- 1二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:34:20
————『"ウイには休暇が必要だよ"』
それは、突然の出来事だった。来る日も来る日も本の修復に明け暮れ、数日の睡眠時間には目も当てられない。これをきっと救護騎士団の団長が見れば呆れてしまう、そんな生活が続いている。
元々ついていたクマはより酷く、シミコが顔を覗かせた時には焦りと心配を顔に浮かばせていた。心配しなくても大丈夫ですよ、と言ったはいいものの、気を抜くと視界がふらふらとして倒れてしまいそうになる。
「もうすぐ、もうすぐ終わりだから……」
完全修復に至るまであと数ページ。小刻みに震える手を本に重ね、丁寧に留めようとした瞬間、ぐわんと揺れる感覚が脳を襲った。もうすぐ、もうすぐ終わる────そう思い、もう一度手を伸ばす。落ち着かない視線を一点に向けた瞬間、私は無力感に襲われた。
体が動かない。やはり、無理が祟ったのか。そんな事を考えている間と、ほんの数秒後に意識を手放していた。
時計の針が一周する頃、ぱちりとウイは目覚める。病院で着るような淡白な服装に、医療用ベッドのやわらかな感触が心地よい。チチチと鳴く小鳥の声を聞くのも何週間ぶりだろうか? - 2二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:34:36
────診断の結果、ウイは過労だと診断された。
まあ、無理もないだろう。その結果を甘んじて受け入れ、診断室の椅子にそっと腰掛ける。
"ウイ、大丈夫!?"
医師の説明を聞く途中、割り入るように先生の声が響く。はぁ、はぁと息を切らして、相当に急いでいたらしい。
「先生からも言ってあげてください、彼女にはしばらく休んでもらわないと」
そして、改めて医師の説明が始まる。ウイの過労の件、これからの対処法、具体的な休養期間。そわそわともの寂しそうにしている手を見て、一度業務からも離れるように釘を刺される。
そうしてこっぴどく注意されたあと、体の重たい様子でそっと扉を閉じた。私はそこまで酷くないのでは、と思っていると、先生からも"ウイには休暇が必要だよ"と言われてしまった。
先生の視点はきっと私の状況を客観的に見た上での判断だろう。……やはり、医師の言うことは素直に聞いておくべきだ。
"ねぇ、ウイ。気分転換に外に出るのもいいと思うよ"
「ですが……」
"大丈夫、その間の管理は私からみんなにお願いしておくから"
「そう、言うのなら……」
それが、旅の始まりだった。
私の一人旅は、たしかに紆余曲折あって、色々巻き込まれはしたけれど……楽しくなかったといえば、嘘になる。
これはそんな私が体験した、ちいさな旅の物語———— - 3二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:34:57
という概念を思い付いたのであとは任せていいですか
- 4二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:44:35
だめ
- 5二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:44:59
つづけて
- 6二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:51:26
続けてくださいお願いします
- 7二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:55:39
続けろください
- 8二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:58:24
- 9二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 21:59:18
ダイスで旅行先決めるとか?
- 10二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 22:01:10
外はうるさくて、眩しくて、あの子達がいない
だから嫌いなはずだったのに、今は少し──
「好きになったかも、しれませんね」
そのきっかけは、一つの出会いだったとか - 11二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 22:07:14
ミレニアム廃墟で書物漁り、ゲヘナのコーヒー、アビドスの忘れられた書架、DU区のカフェでのんびり、赤冬の図書室、百鬼夜行の絵巻物、本好き"だった"ヘルメット団、退学したいつかの同級生スケバン、
- 12二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 22:17:28
百鬼夜行に混乱を齎した怪書、山海経にて秘伝される武林秘籍、アビドス砂漠の遺跡に眠る碑文…
まだ見ぬ素晴らしき子たちを探す旅…休暇とは…? - 13二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 09:15:54
続けて
小川のそばに腰掛けて水の流れる音を聴きながら自然の中でゆっくりしてほしい - 14二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 10:11:31
休暇と言われても普段古書館に篭ってて修復作業や本を読んでいるため、何をすればいいのか分からず途方に暮れている古関ウイの目が突然覆われる
「だーれだ☆」
大波乱の旅が今始まる……! - 15二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 12:35:15
トリニティから出るなど、自分にとってはそうそうない経験だった。比較的に近場だったはずの夏の海に行くことすら億劫で、傷のないカバンにいくつかの着替えと財布を突っ込みながらパンフレットを開く。
ゲヘナの温泉だとか、D.U地区には様々なものがあるとか、そんな話は耳にする。でも、今求めているのはそういうモノではなくて、かといって書店を見漁ると教務を思い出してまた倒れてしまいそうだ。
どうするか、そう思い悩んでいると、かすかな風にあおられてぺらりとページがめくれる。
『鍾乳石の神秘』と書かれた特設ページが目に付いて、流し見るように視線を向けた。
『新たに発見された美しい光景の数々!洞窟の奥深くに広がる鍾乳石の景色をあなたも!』
「鍾乳石。いい経験かも、しれませんね……」
その言葉の響きと写真に収められた光景に興味が湧いた。ほんのりと青みを帯びた洞窟の中には壮観とも言える岩の数々が天井から吊り下がっていて、これを現実で見ることができれば、それはきっと良い経験になる。
一度目にしておきたいが、これが詐欺でないことを願おう。観光客を目当てに襲う輩はキヴォトスの治安を鑑みればいてもおかしくない。
どうやらヴァルキューレの生徒が複数名で警備にあたるようで、軽く調べてみても嘘のようには感じなかった。そもそもが有名な観光会社らしく、口コミや実績は充分に揃っていると言える。
あまり慣れたものではないが、無事に申し込みの連絡を取り付けることもできた。神秘と謳うほどに美しい光景に期待が高まる。
バスに集まるのは数日後になるが、それまでに準備を整えておかなければ。 - 16二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 23:22:24
保守
- 17二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 10:38:34
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