ブラッディ・マリーを、あなたと

  • 1二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 23:51:28

    ※20歳以下の飲酒ダメ、絶対!お酒は20歳になってから!お酒は楽しく適量を。生活安全局、中務キリノとの約束ですよ!
    ───
    ──


    ドアの前で深呼吸を一つ。ついでに手鏡を取り出して、前髪を直してみたり。エレベーターを使ってここまで来たのだから、特に息は切れていないし髪も乱れたりなんてしていない。けれどどうしても、この扉を開ける前には緊張というか、身構えてしまう。
    おそらくそれは、ちょっとでもよく見られたい、みっともないところを見せたくないなんて、シスターになりたい私の、小さな意地、なのかも。

    吸い込んだ息を吐き出し、チャイムを押して。
    シャーレの扉が開くまで、僅かに緊張を帯びた私の姿が、ここにあった。

  • 2二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 23:53:16

    あら卑しい

  • 3二次元好きの匿名さん24/10/14(月) 23:54:27

    >>2

    キキョウステイ

  • 4二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 00:13:08

    チャイムを押してすぐ、扉の奥から声が聞こえてくる。それから、足音が段々と近づいてきて。
    ガチャリ、と扉が開く。

    ”はい……、あれ、マリー? どうしたの?こんな時間に”

    メガネを外して、ラフな格好で。髪も少しぼさついてる……のはいつもの事か。
    普段と少しだけ違う様相の、そう、言ってみれば「プライベート」な、先生の姿がそこにはあった。

    「こ、こんばんは、先生。あの、サクラコ様に頼まれていた書類を届けに参りました」

    先生が心配げな表情を浮かべるのも当然。なにせ時刻は0時を回る頃。アポイントメントも無しに尋ねるにはどうしたって遅い時間。

    ”あー、あれか。ありがとう。でもこんな遅い時間じゃなくても……”

    少しだけ困ったような、虚を突かれたような。顔を見れば感謝より困惑の色が濃い。

    「い、いえ。ちょっと、散歩をしたかったというか、夜風に当たりたかったというか。先生が起きていない様であれば帰ろうかとも思ったのですが」

    先生が日付を跨ぐまで起きていることは割と誰でも知っている。そうでなくとも、シャーレを見上げ、執務室の階の明かりがついていればまだ先生は起きているのだと、大体誰でも知っているのだから。

    だから、書類を郵送で送ろうとしていたサクラコ様を遮って、私が届けるなんて言ってわざわざこの時間に。シャーレを訪れた理由は。

    「……ちょっとだけ、甘えたがりな私を、お許しください。先生」
    ”……分かった。上がって。時間も遅いから少しだけだよ?”

    何のことは無い。理由もない。ただ、ふと、先生に会いたくなった。
    それだけの事。それだけを理由に、ここまで行動を起こせるだなんて、自分でも思っていなかったけれど。

  • 5二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 00:52:01

    踏み入れた執務室は、当然いつもと同じ様相。違うのは、窓の外に広がる暗闇だけ。星はあまり見えなくて、ここと同じようなビルの明かりが煌々と灯っている。
    普段であれば、もうベッドに入って眠っている時間。そんな時間に見下ろすDU区は、なんだか私の知らない街に来たみたい。

    外から内に目を向ければ、普段と変わりない執務室内。違うところと言えば、机の上に広がる総菜が入っていたであろうパックと。

    真っ赤な液体が並々と注がれているグラス。

    ”ごめんね。ちょっと……晩酌しててさ。ほら、今日で休日も終わりじゃない?だから英気を養うためといいますか……”

    机を見やっていただけなのに、誰に向けるとも知れない言い訳を述べ始める先生。顔を向ければ、少し表情が引きつっていたりなんかして。
    なんだかその様子がおかしくて、思わず私も釣られて笑ってしまう。

    きっと。セリナさんやミネさんに詰められた時の事を考えていたのだと想像がつく。……多分、想像ではなくて実際に詰められた可能性の方が高いけど。

    「いえ。大丈夫です、先生」
    「誰にも打ち明けられないことを聞く、聞いて、心の安らぎを、救いを得られるように。それもシスターの役目ですから」
    目を閉じ、胸の前で手を組んで。心持ち厳かな雰囲気を纏えるように。

    ”いや、そんな大層な事でも無いんだけどね……!?”
    「へえっ?あれ?すみませんっ?少し大事に捉えてしまいましたか……?」

    お互いに目を見合わせて、くすりと笑い声を一つ。
    もちろん、そこまで深刻な事ではないと分かってはいたけど。私に合わせてくれるのが楽しくて。ついつい。調子に乗ってしまった。

  • 6二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 01:31:52

    めちゃくちゃ面白いけどまさか現在進行形で書いてるのか…?

  • 7二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 01:36:25

    こほん。

    とはいえ。夜も更けるこの時間、先生が何を楽しんでいたのか、にはとても興味がある。
    総菜が入っていただろうパックに関しては、多分唐揚げだったりポテトサラダだったのだろうと想像がつくけど。

    飲み物──それも晩酌というからにはお酒なのだろう──が気になる。
    お店で売っているような、缶に詰められたものとは違う。誰でも飲めるジュースのように、コップに注がれた真っ赤な液体。
    見る限り少しどろっとしていて、私の知る限りトマトジュースに近いような。
    そんな思いが伝わったのか、私の視線が卓上のグラスに注がれていたことに気付いた先生が、

    「ああ、私が飲んでたのは【ブラッディ・マリー】だよ」

    と。
    そう、声を掛けてくれた。

  • 8二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 02:17:20

    >>6

    現在進行形で書いてるけど思った以上に終わらんかったから明日続き書くやで

    ─────


    ”まあ、気取った言い方をしなければ「ウォッカのトマトジュース割り」ってだけなんだけどね”

    私の名前。を、冠したお酒。この場合はカクテル、と言うのだろうか?

    それを、先生が、好んで飲んでいる。その事実に、なんだか胸がドキドキして。


    ……血染めの「私/マリー」とは、ちょっと気に食わないというか、物騒というか。もう少し可愛げのある名前にしてくれても良かったのに、だなんて。顔も見たことのない、レシピの考案者に思いを馳せる。


    これが結構、レシピまで考えると結構奥が深くて。

    まあ、私はかなり適当に自分流にアレンジして飲んでるんだけどね。


    ……私が知りたいのは他の誰かのレシピではなく。

    貴方が【ブラッディ・マリー】を、どのように楽しんでいるのか、その一点。


    それが解れば、そもそもなぜ私が夜更けにここを尋ねに来たのか。自分でも今は気分としか言えないその理由を。


    見通せる気がした。

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