- 1◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:00:42
- 2◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:01:07
今日は休日、シュヴァルグランはぶらりと街を歩いていた
(たまには釣りじゃなくて、こういうお散歩もいいよね)
何がしたいという目的はなく、ただ街を見て回るのも案外楽しいものだ
ふと、ひとつの店が目に入る
「え…っと、猫カフェ?」
猫、時折見かける可愛らしい存在だと、シュヴァルは知っている
「……予定もないし、入ってみようかな」
そう言って猫カフェに入ったシュヴァルは
「あっ!ちょうどいいところに!猫が足りないんだ!どうか代わりの猫役を勤めてくれ!」
「…え?」
突然の店員の発言に思考を止めてしまった
「あ、あの、どういう…」
「給料は出すから!ただこれ着てゴロゴロするだけでいいから!」
「え、わ、あわ…」
あれよあれよと振り回されて、気がつくとシュヴァルは猫の顔出し着ぐるみを着せられていた
「……ど……どうして……?」
「本当にごめん!まさか一匹いなくなるなんて思わなかった…!どうか見つかるまで代わりを頼むよ!」
「そ、そんなぁ……」
こうして、しばらく猫カフェの猫役を勤める羽目になってしまったシュヴァルであった
〜⏰〜 - 3◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:01:26
とうとう猫カフェがオープンしてしまった
(ぼ、僕だけ場違いですよね……)
灰色の猫のゴロー、白黒の猫のブッチ、三毛猫のミケ、どれも普通の猫の中
茶トラの猫の着ぐるみを着たシュヴァルだけ浮いている
ふと、シュヴァルは壁掛けのホワイトボードを見つけ、書かれている文章を読む
【本日はタビーちゃんがいなくなったため、代理の猫役のダイちゃんをご用意しました。どうか温かい目で許してください】
……シュヴァルはタビーの代わりなのだろう
「……うん、やるしかない!」
「ニャア」
ぐっと腹を括った猫シュヴァルのそばで、三毛猫が鳴いた
〜⏰〜 - 4◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:01:52
最初のお客さんが来店した
「にゃ、にゃあー」
もちろん大きな猫の着ぐるみに驚かないわけがない
「え!?なにこれなにこれ!?どういう事!?」
シュヴァルはそっと壁掛けホワイトボードを指差す
「え、なになに……?……あー……そういう事……?」
「にゃ、にゃあ……」
「つまりこの子は猫として接するべきだよね…」
物分かりがいい人だったため納得、そしてぎこちない動きで着ぐるみを撫でる
「……にゃあー」
マニュアルでは鳴き声しか話せないシュヴァルはとりあえず猫の鳴き真似をする
するとお客さんは何かを手に取ってシュヴァルの口元に近づける
(え、それって確か猫用のちゅーる……!?)
シュヴァルは今猫役だが、流石に猫用の食べ物を食べるのには抵抗があった
それでも食べるしかないシュヴァルは、ちゅーるを一口含み
(あれ、意外といける…?でも毎日これはちょっと……)
ちゅーるの味を知った
〜⏰〜 - 5◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:02:16
開店してからしばらく、客の入りは程よいようだ
もちろんシュヴァルを見て帰る人もいたが、理解してくれる人も多かった
(店員さんも僕に配慮してくれるし、このままでいいかも…)
そう思っていたシュヴァルだが、最大のピンチが訪れる
「ここかにゃー?おっきな猫ちゃんがいるってところ!」
「にゃ……うわぁーーッ!?」
そう、妹のヴィブロスが来店したのだ
あまりの衝撃に素の声を発してしまう
「あれ?シュヴァち?なにしてんの?」
「にゃ……!にゃあ……!!」
全力でホワイトボードを指差すが気付いてない
「あー!もしかしておっきな猫ちゃんってシュヴァちのことだったの?もうちょっと早くおしえてほしかったなー」
「にゃうー……!シャー!」
「あーごめんごめんシュヴァち、可愛くて見惚れてた」
困っていたところにようやく店員がやってきて
「すみません、他のお客様のご迷惑になるのでどうかお引き取りください」
やんわりと対応してくれた。ヴィブロスもとりあえず納得してくれたようだ
「じゃーねーシュヴァちー、またあとでー」
嵐が過ぎた後の猫カフェは、少し気まずそうだった
(もう!恥ずかしかったよヴィブロス!)
〜⏰〜 - 6◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:02:40
妹のヴィブロスが去ってからしばらくして
「ハァ……!ハァ……!」
(ね、姉さん!?)
今度は姉のヴィルシーナが息を切らしてやってきた
「シュヴァル!大丈夫!?変なことされてない!?されてるわね!今すぐそれ脱がせてあげる!」
「ちょ、ちょっと待って姉さん!大丈夫!大丈夫だから!」
姉の暴走を前に流石に言葉を発するシュヴァル
店員もかけつけてバックヤードに移動、そしてシュヴァルは姉に事情を伝えたのだった
「……事情はわかったわ、ヴィブロスから聞かされて心配だったのよ……シュヴァル、辛くない?」
「平気だよ姉さん。僕もだいぶ慣れてきてるから」
「……ならいいけど……ごめんなさいね、邪魔して」
ヴィルシーナは店内を騒がせた事についても謝罪し、すぐに帰っていった
なおヴィルシーナは後日、猫シュヴァルの写真を撮っていなかった事を後悔する事となる
〜⏰〜 - 7◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:03:04
「ようやく見つかったよ…ごめんなさい結局最後まで猫役させてしまって」
閉店後、最初にシュヴァルを巻き込んだ店員が茶トラの猫を抱えてやってきた
「は、はい…でも見つかって良かったです」
シュヴァルも店員に着ぐるみを脱がしてもらい、給料の入った袋を手渡された
そうしてシュヴァルの猫カフェでの1日は終わったのであった
「うわあ…服が汗でびっしょり…帰ったら洗濯しなきゃ」
汗で蒸れた私服を風で乾かしながら
「……また、猫役やりたいな」
今日の出来事を思い返した
〜⏰〜 - 8◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:03:27
翌日、猫カフェから特別バイトの募集の広告が寮の掲示板に張り出されていた
「えっ……?」
そこには昨日の猫役と同じ待遇のバイト内容が書かれていた
ただすでに定員まで埋まっており、シュヴァルは出遅れてしまったようだ
「……ま、まあ今日はトレーニングもあるし、またの機会に……」
そうしてシュヴァルは、通学の準備を始めた
おしまい - 9◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:05:04
というわけで以前書いた辻SSを細かく書いてみました
拙い文章ですが楽しんでいただけたら幸いです - 10二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 18:12:53
なんか慣れと癖でいつも部屋で着ぐるみ着るようになってほしい
- 11◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:16:48
- 12二次元好きの匿名さん24/10/15(火) 18:20:32
- 13◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 18:22:05
微笑ましくなってきました
- 14◆XM.YT5e7lz.S24/10/15(火) 20:04:52
がんばりました
- 15二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 06:34:10
このレスは削除されています
- 16二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 18:31:39
猫娘シュヴァち…ってコト!?
- 17◆XM.YT5e7lz.S24/10/16(水) 18:42:52
- 18二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 06:44:03
よく見たらヴィルシーナさんが誤解招きそうな発言してるなと思いました
- 19◆XM.YT5e7lz.S24/10/17(木) 07:35:54
- 201624/10/17(木) 18:02:52
- 21◆XM.YT5e7lz.S24/10/17(木) 20:29:20
そんな感じです