【SS】黄金の焼き芋求めて

  • 1二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:22:54

    「It's almost time。トレーナー、もう焼き上がったじゃないかな」

    「うーん……。タップ、まだだね。後、もう少しかかるよ」

    「てか、タップ。もうそのやり取り何度目だ」

    「私らもお腹空いたけど、タップ、もう少し我慢したほうがいいじゃない〜」

    「仕方ないだろ〜。目の前に黄金のお宝が積まれているのにお預けくらったら、誰だってこうなるだろう?」

     タップダンスシチーはそう言いながら、モクモクと煙が昇るその火の元、落ち葉の山を見る。
     黄金のお宝、つまり、落ち葉焚きの中にあるサツマイモが焼き上がるのをいまかいまかと待ち望む。
     先日、テレビで見た焼き芋特集を見た影響か、タップの号令から、突如始まった焼き芋作り。
     参加者はタップにトレーナー、タップの友達4人と拠点に集まる何時もの面子。
     ただ焼き芋を楽しみたいのであれば、落ち葉焚きよりキャンプ道具を使っての焚き火をするのが効率的だ。
     
     だが、我らが船長こと、タップは追い求めるのはそんな現実や効率ではなく、ロマン一筋。
     枯れ葉、落ち葉を集めて燃やし、その火や煙をじ~っと見つめながら、その中でサツマイモをじっくり、じっくりと焼いて、食べる。
     
     そう、日本人なら誰もが思い描く、秋を象徴する風景。焼き芋するなら、落ち葉焚きが一番というタップのロマンは、やはり、トレーナーやタップの友達にも通じ、今に至る。

  • 2二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:23:24

    さながら、漫画によく出てくる骨が付いた肉に齧り付く姿に憧れを抱くようなものだろう。
     焼き始めて、もうかれこれ40分ぐらい。
     待ち切れないタップを静止するのを幾度も繰り返して、ようやく、トレーナーが待ちに待った言葉を口にする。

    「……うん、そろそろ良いかな」

    「タップ、そろそろいいみたい」

    「Really!!待ちに待ったぜ、航海士殿。いや、今はコックかな。よし!今行く!」

     待ちに待った言葉にタップは勢いよく立ち上がり、落ち葉焚きの下へと駆け寄る。
     その様子はまるで、長い航海の末、島を発見して、船員総出で上陸し、お宝が見つかり歓喜する船長の姿。
     そうなると先陣を切るのはもちろん、船長の役目。焼き芋を最初に手に取る権利はタップにあるだろう。
     集まった仲間が見守るなか、タップは焚き火から取り出したサツマイモからアルミホイルを取り除く。
     アルミホイルから出てきたサツマイモは紫の皮が所々焦げているものの、それはしっかりと焼けている何よりの証拠。その熱々の焼き芋を割る。
     すると中からは湯気と共に現れる黄金の身が顔を出し、甘く香ばしい香りが漂う。
     
    「Oh……。Great……。これが焼き芋…」

    「うわぁ、美味そう!」
     
    「テレビで見たまんま!!」
     
    「うんうん。上手く焼けて、良かったよ」
     
     その黄金に輝く姿にタップを始め、その後ろで見ていた友達やトレーナーも感嘆の息を漏らす。

  • 3二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:24:28

    「Looks good!!すげぇ、匂いといい、見た目といい、素敵なお宝だ!」
     
     タップは生で見る焼き芋の出来栄えを褒め。言い終えた後、大口を開け、齧り付く。

    「ちょっ!!タップ、少し冷ましなよ。熱々だから火傷するよ」
     
    「あっ、あっつ!?」
     
    「ほれ、言わんばかりに。待ってろ、水を用意するから」

     やはり、焼きたてのサツマイモはかなり熱かったらしい。
     たが、タップはそれでもひるまずに熱々のサツマイモを頬張り続ける。 
     口の中にホクホクとした食感と共に芋の甘味が口いっぱいに広がる。

    「〜〜Delicious。これだよ、これ!!やっぱ、焼き立てにかぎる」

    「タップ……。熱くないの?」

    「こういうのは熱いうちに食べるのが一番なんだよ。オマエらも見てないで食べようぜ」

     そう言い終えるとまた一口齧り付く。それを見ていた友達もトレーナーも苦笑を漏らす。でも、その美味しそうに食べる姿はこちらの食欲をそそるには十分だった。

    「タップの食べてる姿、めっちゃ美味しそう」

    「あぁ〜確かにね。ねぇ、ねぇ。あーしたちも食べよう」
     
     友達もタップに続き、焼き立ての焼き芋を頬張り、その美味しさに頬が緩んでいく。

  • 4二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:25:01

    「……美味しい!!私、幼稚園以来かな。焼き立ての焼き芋食べたの」

     「日頃はねっとり系が好みだけど、ホクホク系も悪くないね」


    「……良かった、良かった。しっかり焼けて」

     その様子に火加減を担当していたトレーナーもホッと一安心。
     何しろ、焼き芋を上手く作れる自信があまりなかったのだ。
     サツマイモをアルミホイルで包んで、焚き火の中に突っ込むだけだが、サツマイモの火の通り加減や火力は経験がないだけに手探りな面がある。
     それでもタップたちの楽しそうな姿が見れたのでそれで十分と一人納得した所に、突然、隣から割れたサツマイモの片割れが渡される。
      
    「トレーナー、手が空いてるぜ。アンタも食べなよ。美味いから」

    「えっ?でも、それ、タップの分だろ悪いよ」

    「おいおい、今更そんなこと気にすることか。アンタとアタシ、同じ船のクルーだろ。それにまだ、お宝はあるんだし、ほれ」

    「……ありがとう。いただくよ」

     トレーナーは戸惑いつつもそれを受け取り、タップと同じように大口を開けてかぶりつく。優しい秋の味覚が口いっぱいに広がり、トレーナーの顔も思わず緩む。

    「……うん!美味い!」

    「YEAH!だろ〜。さっ、2個目を頂くとしようか」

     こうして、落ち葉焚きの焼き芋という一つのロマンある冒険は無事に終えるのであった。

  • 5二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:27:58

    終わりです。タップの秋のボイスから、イチョウをお宝に例えたので、タップとタップの仲間が楽しそうにするのに、焼き芋しかないと思い書きました

  • 6二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:29:19

    おいもいいよね
    3年前ぐらいにそのシチュのSSが投げ込まれるスレ立っててすごい楽しかったんだが過去スレみつからんのよな

  • 7二次元好きの匿名さん24/10/16(水) 23:43:33

    こういうの好き
    光景としては鉄板だけど実際にはなかなかやらんよね落ち葉焚きの焼き芋
    七輪でサンマ焼くみたいなのもロマンだよなー

  • 8二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 02:12:45

    おつおつ
    日常の一コマって感じで良いね 途中の『さながら、漫画によく出てくる骨が付いた肉に齧り付く姿に憧れを抱くようなものだろう』って表現でタップの行動になんかすごく共感できたというか、好きな表現だった

  • 9二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 02:49:12

    タップダンスシチーの実馬のほうがいる茨城のへんはな、様々なさつまいもが🍠️とれてねぇ…


    ちょっと北になるけど、さつま芋の専門店なんてのもあるんだよ

    Potato labo · ひたちなか市, 茨城県maps.app.goo.gl

    まあ実際走ってると美浦とか土浦のへんは芋よりレンコンの方が目につくがな

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 03:28:10
  • 11二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 04:37:07

    >>10

    近いから行ってみるか…

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 15:16:40

    >>11

    近年はヨークベニマルやカスミ系列で一年中焼き芋が売ってる店もあるよ

    もうおいもの時期だからどこでも買えそうではあるが

  • 13二次元好きの匿名さん24/10/17(木) 21:32:36

    >>6

    やっぱり、秋の風物詩と言えるだけあって、焼き芋のネタみんな書きたくなるよね


    >>7

    バーベキューならやりやすいけど、七輪や落ち葉焚きはなかなかハードルが高いですよね。だからこそ、やることにロマンを感じます


    >>8

    タップのキャラが某海賊漫画にいそうな感じだから、それを参考に書いたものだったりします


    >>9

    どうやら茨城県は日本でのサツマイモ収穫量2位みたいですね

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