【トレウマ・SS】(このままでは全ラモーヌポイント没収ね)

  • 1全3レス(予定)24/10/18(金) 21:08:05

    「貴方には失望しましたわ。トレーナーさん」

    室内の暗さも静謐も切り裂くようなラモーヌの冷たい声が響く。脚を組み、蔑むように睨みつける視線が彼女の言動になんら含みのない事を突き付けてくる。今の彼女は俺を心底見下げ果て、呆れ果てているのだ。理由は分かっている。……こんな事言い訳にしかならない事もわかっている。それでも——

    「貴方と作り上げたこの身体は、目を逸らしてしまうような醜いものなのかしら?」

    ——月の光に照らされる彼女の裸体を直視できなかった。

    分かっている。ただただ彼女を、レースを愛しているのならば彼女の裸に心乱される訳がない。他者と競い合い、正面から喰らい尽くす。その事に特化した理想の肉体。それにも関わらず直視できないのは、自分が邪な想いを抱いているからだ。彼女の失望は尤もだ。彼女は純粋にレースを愛する俺を愛してくれている。これでは悪質な詐欺師に欺かれていたのと変わらない。

    芸術品に邪念を抱く者はそういない。彫像にしろ、絵画にしろ、そこにあるのは無垢な美だからだ。矮小な人間など簡単に飲み込む、強大で狂気を孕んだ美のみがそこにあるからだ。彼女の走り、ひいてはそれを生む彼女の身体はまさしくそれだ。純真で貞淑なレースへの愛。人々を狂わせ、魅入らせ、心を捉えて離さず、彼女の勝利、いや走り意外に対して盲目にする。正しく至高の美が今、俺の目の前に在る。

    けれど、彼女は芸術のようであって芸術そのものではない。絵画も彫像も、生きているように見えるだけで当然生きてはいない。どこまで行っても大理石やブロンズ、紙と絵の具。触れてしまえば、先程までそこにあった暖かみはもはや存在しない。結局、人が子を生す以外で人を創り出すことはできない。人は神になり得ない。

    彼女はシルクの薄衣を纏った女神ではなく、シルクの薄衣のように白く、透き通った肌を持ったウマ娘なのだ。生気を伴った、一つの命なのだ。その生々しい艶かしさに、『そういう』目を向けないでいられるような人間ではない。……認めてくれた彼女に、心の底から申し訳なく思う。

    ……それにしても、やはり落ち着かない。見放されるか否かの瀬戸際であっても気になるものは気になってしまう。だが、状況と何より彼女の美しさ、魅力とが視線を上げては落とすどっちつかずの情けない状態を作り出す。

  • 2全3レス(予定)24/10/18(金) 21:08:27

    「言いたい事があるならば、どうぞハッキリと仰ってくださいな。チラチラと覗き魔のように伺うのではなく」

    こうなったら、黙秘権はなくなったも同然だ。これ以上彼女の不興は買うまいと、抱いている違和感を言語化しようと必死に頭を働かせる。

    「今言うことではないけど、さ……少し、体を絞りすぎじゃないか?」

    月明かりが唯一の光源という暗がりの中なので確証は待てないが、どうにもそう思える。彼女の服の下なんて殆ど見たことないので、服の有無からくる誤差だろうかとも思ったが、何年も彼女のデータや実際の仕上がりを見続けてきた経験がそれを否定する。……彼女が気に入りそうな事を言って場を逃れようとしていると、余計に彼女の怒りを買う事になるかもしれない。だが、一度気になってしまえば仕方がない。職業病のようなものだ。

    怖々と面を上げ、彼女の顔を見つめる。ラモーヌは少しの間呆気に取られたような表情を浮かべたかと思うと、微笑んだ。

    「最近はメジロとしての責務に忙しいのもあって思うような練習をできないでいたわ。……もう少し、詳しく見ていただけるかしら?」

    彼女が両手を広げるのに従って、抱き合うような形になる。……形、というか実際抱き合っているのだが。柔らかさ、豊かさ、温もり、高級な石鹸やシャンプーの香り、そして彼女自身の匂いがいつもより強烈に、ダイレクトに伝わってくる。

    首筋から背へと手を這わせる。やはり、絞りすぎだ。おそらく家の仕事の合間を縫ってトレーニングをしていたせいで微調整が効かなかったのだろう。とは言っても、筋肉の疲労も含めてあくまで誤差の範囲。彼女には酷だが休養日を増やして貰わねば。メジロの若芽達のためとはいえ、彼女にとっては些事にすぎない諸々に縛られ、思うように走れないというのはかなりのストレスだ。完全休養とはいかない。家のことが一段落してからの本格的なトレーニングで誤差を修正しよう。さて、日程は……

    「……ん」

    ラモーヌの艶かしい吐息に、トレーナーとしての思考が途切れる。抑えているのか、酷く小さなものだったが耳元で囁かれる形とあっては意識を引き戻されるのに充分だった。手は今、尾の付け根の辺り。超然としていて、人だウマ娘だの枠の外にあるような彼女にも弱い所はあるのかと驚いた日が懐かしい。……それにしても、下半身周りのトレーニングは控えめにするべきかな?

  • 3全3レス(予定)24/10/18(金) 21:08:55

    「脚、見るよ」
    「よくってよ」

    このままでは下半身の確認がやりにくいので、ラモーヌから離れる。股関節、大腿部、下腿部、足部。左右どちらも、特に注意して確認する。メジロの家ならば各種トレーニング器具も充実しているが、おそらく本邸や各種施設を離れての活動が多かったに違いない。走り込みのような道具が少なくて済むトレーニングを中心に行っていたのが下半身の具合からよくわかる。……『本格的なトレーニング』とは言っても、しばらくは緩めのものにせざるを得ない。

    一通り診終えると、トレーナーとしての諸々意外のことにも思考が割かれ始める。流石にラモーヌ。ウマ娘の命である足の爪は綺麗に切り揃えられている。それにこの透き通る白い肌。最高のレースを創り上げるための、トレーニング外の努力をひしひしと感じさせる。……本当に、美しい。神代ならば神々の嫉妬を買って悲劇の当事者となっていたに違いない。……いや、自分の美しさを誇りこそすれ奢りはしない彼女ならそんなことないか。よしんばあっても、一切合切をものともせずに跳ね除けそうだが。

    気づいた時には、彼女の左足の甲に口付けをしていた。

    「あら、服従でも誓うのかしら?」

    それもあるにはある。だが、ただ唯々諾々と従うつもりはない。全てを捧げて、仕えるつもりだが、それは盲目に隷従することを意味しないはず。

    「君を支えるっていう決意表明……再契約?」

    自分でも何が言いたいか分からなくなってきたが、ともかく、もう二度と君の前で無様は晒さない。そういう覚悟の顕われだ。それが伝わったのだろう。

    「無くしたくないものには、自分のものという証明を。当たり前のことではなくて?」

    額に優しく口付けをし返され、呆気に取られるこちらを見つめながら優しく、屈託なくラモーヌが微笑んだ。

  • 4おわり24/10/18(金) 21:10:03

    ラモーヌポイント表


    自分の裸を見て邪念を抱かれる ±0ポイント(ラモトレ限定)


    邪念を抱いたなどという瑣末ごとで誇るべき肉体から目を逸らされる −10000ポイント


    見捨てられる瀬戸際でも頭がレース塗れ +9000ポイント


    阿らない +6000ポイント


    たぶんそんな感じ


    前回書いたやつ

    【トレウマ・SS】Magie Sympathique|あにまん掲示板身体が火照っているのは、きっと先程貴方と飲んだお酒のせいだけではないでしょう。少しばかり頭がクラクラするのも、きっと。ゆっくりと貴方の方へもたれかかってみる。「大丈夫か。……もしかして、お酒苦手だった…bbs.animanch.com
  • 5二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:11:21

    すこ…

  • 6二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:12:02

    ごっそーさんご飯のおかわりある?

  • 7二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:15:10

    おもしれー男女……

  • 8二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:22:20

    冷静になって考えてみるとちょっとトレーニング過多っぽくない?という指摘が心持ち次第でラモーヌへの取り入りにカウントされそうってのに違和感無いのおかしくない?

  • 9二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:26:46

    君に全てを捧げるだけだとたぶんまた失望モードに入ってたと思う

    だからここで反発する時は反発するよと伝える必要があったんですね

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:31:36

    ラモーヌの裸は美しすぎて逆にえっちな目で見れなさそうとはよく言われるけどどんなに美術品じみていようがこんなボンッキュッボンえっちな目で見れないわけがないわな

    それでもレース馬鹿思考を貫けるラモトレ…見事やな

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:36:13

    尾の付け根なんていう位置的に実質お尻を撫でられると弱いなんていうとんでも情報を知っている二人の関係はいったい……?

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:42:26

    脚へのキスなんて本来屈辱的な行為だろうに自発的にするなんて これが愛か

  • 13二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 21:48:19

    ラモーヌ自身はエロい目で見られたこと自体は何とも思っていないけどラモトレはその部分も蔑まれた理由の一つと勘違いしていて微妙にすれ違ってるあたりその内またトラブりそうな予感まあ今回みたいにあっという間に仲直りするだろうが

  • 14二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 22:05:12

    いくら頭レース野郎とはいえ一応は異性に一矢纏わなぬ姿を曝け出している時点で充分えっちなんだがあくまで(たぶん)ラモトレ限定ってのがね堪りませんね

  • 15二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 22:18:58

    あの世界でウマ娘の足にキスするって我々の世界とは違った特別な意味がありそう

  • 16二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 22:32:14

    >>15

    走るために生まれてきたウマ娘にとって脚は命というか存在意義そのものなわけだし『貴女の全てを愛します』くらいの意味はありそう

  • 17二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 22:35:59

    とても良きでした

  • 18二次元好きの匿名さん24/10/18(金) 23:05:32

    全裸で脚を組む違法熟女な美人学生(?)に蔑まれて肩身を狭くする成人男性の図は側から見てたらエロいより先に笑いの方が込み上げてきそうだ

    ラモーヌに詰められるとか胃に穴飽きそうだから絶対当事者にはなりたくないがな

  • 19二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 00:31:43

    これがラモーヌ検定一級試験ちゃんですか

  • 20二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 01:11:52

    筋肉の具合と僅かな情報からここまで推論できるのだものそりゃ姉様も気に入りますよ

  • 21二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 04:58:19

    えっちなことにはならんかったがこの2人らしい

  • 22二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 11:53:35

    >>21

    そういう一線越えるのだけはメジロの中で一番遅いイメージある

  • 23二次元好きの匿名さん24/10/19(土) 21:46:57

    自分のもの宣言か…執着とかなさそうな子の見せる独占欲いいよね

    と言おうと思ったがこの子愛する対象(レース)への執着もの凄かったわ

  • 24二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 00:12:35

    >>21

    認め合う時期が長そう

オススメ

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