もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart10

  • 1二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 12:30:05

    アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの10スレ目です。

    遂に開始される『ロゴスとの戦い』。しかし、その様相は本編とは大きく異なったものとなっているようです。

    デュランダル議長はこの戦いをもって『もう二度と戦争など起きない平和な世界』をもたらすと宣言してしまいました。しかし、アグネスの周りの人達はそれを心の底から信じられる者ばかりではなく、プラントの友好国各国も各々の国益をまず、念頭に置いています。

    混迷の世界をさらに深める世界、嵐の大海にミネルバは再び出港せざるを得ません。アグネス自身は既に先駆けの任についています。彼ら彼女らの航路はどこに続くのか。

    おつきあいをいただければ。

  • 2二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 12:37:49

    前スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart9|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの9スレ目です。C.E.73年- C.E.7…bbs.animanch.com

    1スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たら|あにまん掲示板アグネスが士官学校卒業ザフトアカデミー、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSを書く予定です。お付き合い頂ければ。bbs.animanch.com

    2スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart2|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。はたして、アグネスは、ルナマ…bbs.animanch.com

    3スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart3|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。己を取り巻く不可解な状況に四…bbs.animanch.com

    4スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart4|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバとアグネスはその進撃…bbs.animanch.com

    5スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart5|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバの活躍は起こるはずだ…bbs.animanch.com

    6スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart6|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの6スレ目です。自分の心境の変化や激動する世…bbs.animanch.com

    ※落としてしまった7スレ目です。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。出世の点数稼ぎの場として『戦…bbs.animanch.com

    8スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart8|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの8スレ目です。戦いに消耗したアグネスとミネ…bbs.animanch.com
  • 3二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 13:36:47

    たておつです
    まだまだ戦いの終わりは見えてきませんね

  • 4二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 13:37:13
  • 5二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 13:45:43

    ニュージーランド奪還したらクレタ戦が待ってる
    働けど働けど仕事は降って湧き休む間なし
    追い詰められて焦ってるんだろうけど議長あまりにも兵士を駒として酷使しすぎ!!
    チェスの駒は疲労を訴えないけど人間は疲労するんだよ? わかってる?

  • 6二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 13:48:19

    立て乙です
    SEEDの頃のアークエンジェルと違って味方の支援とかはあるものの、あの頃のアークエンジェルとは別ベクトルのハードワークさせられてるな

  • 7二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 14:01:10

    >>4

    ありがとうございます。

  • 8二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 14:02:13

    とうとうFAITHに任命されたアグネス
    数々の激戦をくぐり抜け、パイロットとしても人間としても大きく成長したが…戦争行為に対する忌避感も強くなっていく。
    そんな中始まったニュージーランド攻撃作戦。アグネスは何を感じ、どう生き抜くのか。

  • 9二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 14:27:56

    ボズゴロフ級にインパルスと共に着艦。着艦と同時に電源コードが差し込まれ、ファイヤーフライ 誘導ミサイル、ピクウス 76mm近接防御機関砲、CIWSの補充が急ピッチに進む。

    アグネス「(電力の残りは55%、56%になったわね)」

    隣ではシン、インパルスが同じくCIWSの補充を完了している。セイバーの充電はまだ時間がかかる。やはりデュートリオンビーム送電システムは偉大だと再確認する。

    アスラン「アグネス、シン、今の電力は?」
    アグネス「59%です」
    シン「83%です」

    やはり大ビーム砲を使用しない分、インパルスは消費が少ないわね。
    アスラン「良し。カオスの充電率が65%を超えしだい、二人で編隊を組んで出撃を。
    こちらのバビ隊による『ウェリントン郊外アッパーハット・地球連合軍ニュージーランド方面軍統合本部』の爆撃は成功した。俺達の攻撃目標は繰り上がる。『パーマストンノース・地球連合軍リントン軍事キャンプ及びマナワツ地方オハケア空軍基地』だ。二人で先行し、攻撃を開始せよ」
    アグネス、シン「了解」

    モニターで同期し確認するとアッシュの隊は私達が殲滅したオークランドに一路、急行している。連合軍より先に抑えに行くつもりだろう。

    既にバビ隊はニュージーランド方面軍統合本部の猛爆を終え、私達が搭乗している艦とは別のボズゴロフ級に帰還途上だ。オハケア空軍基地から出撃した連合軍航空隊がオークランドに向かった隙を衝けた。

    ここまで作戦は順調に進んでいる。別チャンネルを開くと、南島ではクライストチャーチに駐屯中の地元民出身者で編成されていた連合軍部隊が内応・離反し同市を占領。反連合派の民衆と合流しつつ、ニュージーランド南島の制圧を進めている。

    統合本部を破壊され、オークランドの部隊は殲滅、南島は離反。パーマストンノースの連合部隊はほとんどパニック状態だろう。

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 14:44:20

    コックピットのコントロールモニターを確認、やっと充電率が65%に!

    アグネス「65%。行けます」
    アスラン「頼む。オペレーター、指示を」

    艦内では慌ただしく発進シークエンスが開始される。
    パーマストンノースの連合軍無力化に合わせて、ウェリントンの反連合派民衆と離反した地元民部隊が蜂起する手はずになっている。逆に言えば、私達がしくじれば、ニュージーランド最大の都市で大虐殺が生じかねない。

    ボズゴロフ級級オペレーター「カタパルト推力正常。針路クリアー。インパルス、発進どうぞ!」
    シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
    ボズゴロフ級オペレーター「続いてカオス、カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス発進どうぞ」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

    ボズゴロフ級の垂直に上がる発艦形式は実戦では初めてかもしれない。でも、陸上戦艦の経験はある。訓練も問題はない。

    艦から飛び出すと南太平洋の大海原が360度に大きく広がり、反射する太陽の光と目に飛び込んで来る。海上の青い海の美しさと今、陸で巻き起こっている惨劇の鮮やかすぎるコントラスト。
    狭い艦内で繰り広げられていた戦闘準備の忙しなさと大洋を横切る海風の風音、着艦時に感じなかったあらゆる感情が押し寄せるが、それに流されることは自分と仲間の死を招くだけだ。

    次の瞬間にはシャットアウトする。第三目標と敵航空隊の殲滅、今はそれのみだ。

    アグネス「シン、行けるわね。私も人を直に撃つのは初めてだったけど。戦争よ」
    シン「ああ」
    アグネス「非戦闘員は意図的に攻撃してはならない。私達はちゃんと守っている。この出撃も合法。飲まれたらダメ」
    シン「分かった」

    良し。二つの高推力スラスターを全開にする。第三目標を潰す。それだけに―。

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 19:15:30

    うーん、シンを叱咤してるようで、自分に言い聞かせてる感がお辛い…
    アグネスだけじゃなく、ミネルバ隊皆ギリギリの精神状態っぽいんだけどね

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 19:31:29

    >>11

    一番メンタル来てるのが周囲のメンタルケアまでやってるアグネスかも知れない…

    愛国心と出世欲と責任感をないまぜにしながら軍人としての使命だと自分に言い聞かせる事で自分を保ってる彼女の姿はかなりお労しいぞ…

    …その気になればアグネスをミネルバから外せる議長がアグネスをそのまま置いておく理由がDP的にアスラン係とかやらせるのに最適だからとかだったらどうしよう

    アグネスのお陰で原作よりもミネルバが上手く廻ってる感が強いし

  • 13二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 19:36:48

    >>11

    精神状態だけじゃなく、肉体の疲労も限界寸前でしょうこれは。「作戦終了して帰還したパイロットが、自力では

    コクピットから出られず&気絶して整備班に救出され、そのまま医療室に直行」なんて状態は、普通は敗戦寸前の

    有様ですよ。ましてやどこかの誰かの思惑で山ほど犠牲を出しているとは言え、一応勝っている戦況ならば、一度

    後方に下げて充分な休養を取らせるのが常道というものでしょうに。


    まさか、「『どこかの誰かさん』が『駒にするには厄介になって来たから使い潰してしまおうかな~」なんて考え

    をうわおまえらなにをするやめr

  • 14二次元好きの匿名さん24/10/20(日) 19:48:10

    口に出してたら危ないところだった

    >>13の犠牲は無駄にはしないぞ…

  • 15二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 00:51:16

    シン、そして自分自身に喝を入れ、偵察機とコンタクトを取る。バビと一緒に出撃したはず。

    アグネス「AWACSディン、応答願います。こちらカオス。連合軍オハケア基地航空部隊の位置を教えてください」
    AWACSディンパイロット「300機のモビルスーツの内、150機は基地空港から発進済み。オークランド救援に失敗後、南下中。現在、南タラナキ湾。後、15分で湾を縦断します。ウェリントンかクライストチャーチに向かう模様」
    アグネス「了解!?シン、聞いた通りよ。南から回り込む様に、基地を目指す」
    シン「了解」
    アグネス「アスラン先輩、通信を」
    アスラン「確認した。二人は、南タラナキ湾南部で敵先発隊を叩き、ウェリントンと南島を守れ。オハケア基地と後発隊は俺が対処する」
    アグネス、シン「了解!」

    モビルアーマー形態のまま高推力スラスターを全力で噴射!!
    南タラナキ湾の南部に付近に突っ込む。インパルスが遅れ始める。基地攻撃の拠点攻撃用に持って来たエクスカリバー・レーザー対艦刀が邪魔になってしまったか。

    アグネス「シン、エクスカリバーは投棄して。ウェリントンの防衛、敵編隊を海上で捉えることがすべてに優先される」
    シン「分かった!」

    フォースインパルスがエクスカリバー・レーザー対艦刀を海中投棄するのを視認。カーペンタリアに行けば予備は手に入る。無ければミネルバで。20分後の100点満点よりも、今は15分後の70点解答に大きな価値がある。

    コックピットレーダーを目を皿のようにして見つめ、空を駆ける。どこだ?連合モビルスーツの大編隊は?

    AWACSディンパイロット「南タラナキ湾、カピティ島北5㎞です!」
    アグネス「シン、前から助攻。悪いけど囮をお願い。私は後ろから回り込む。カオスはモビルアーマーになると全武装が前を向く」
    シン「分かった!」

    大洋州連合の本来の首都ウェリントン、その北北東約50㎞、カピティ島上空付近で遂に私達は連合軍、ウィンダム・ダガーL計150機の編隊を捉える」

  • 16二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 00:54:22

    シンが島を南から回り込む様に編隊の前に姿を現す。たちまち敵編隊から雨のように空対空ミサイルが発射され、緑色のビームが何十本も空を横切る。

    シンは巧みに機体を操り、避けられるミサイルとビームは避け、避けきれないミサイルは20mmCIWSで迎撃、ビームは機動防盾で受け流す。

    私は北から敵編隊の後ろに回り込むと全武装を起動、一斉に攻撃を仕掛ける。

    カオスのカリドゥス改・複相ビーム砲が文字通り、猛火を吹き出して後方のダガーL3小隊9機を焼き落とす。こちらに振り返ろうと減速したダガーLをビーム突撃砲と高エネルギービームライフルを掃射して1小隊3機、撃ち落とす。

    兵装ポッドを開きファイヤーフライ・誘導ミサイルを全弾発射するとともに、ビームライフルの2発目を発射し、25機の敵機を空中爆発させる。後方からの襲撃に気が付いた敵編隊は散開しようとするが、構わない。好都合だわ。

    半ばパニックになる敵のど真ん中に高機動スラスターを全開にしながら突撃、ビーム突撃砲2発で目前のウィンダム小隊の内2機を撃墜し、ビームサーベルを振り切って残りの1機も焼き切る。そのまま接近戦を開始しビームクローでウィンダム2機も挟み切る。

    チャージが終了したカリドゥス改・複相ビーム砲で2個小隊6機を薙ぎ払い、一旦突撃に一区切りをつけると敵編隊から弧を描くように離れる。再突入のためだ。何度も確認する、カオスはモビルアーマー形態の時全武装が前を向く。

    アグネス「(ちょうど50機墜としたか。シンの苦労に見合った戦果かな。一応)」

    (カウントMS249 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等65)

    そして、当たり前だが、シンがただの囮役で甘んじている訳がない!

  • 17二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 00:59:31

    カオスが突撃を開始する前に、インパルスの高エネルギービームライフルは敵ウィンダム6機を海面に叩き落している。カオスの突撃で編隊が乱れると見るやビームサーベルを片手に突撃、飛び回り、跳ね回りながら敵を斬りまくり、更に4個小隊12機がバラバラになった残骸となって海の藻屑に変じている。

    インパルスの位置を目視とレーダーで確認、誤射は許されない。許さない、私自身が。

    二つのスラスターを全開、急旋回からの再突撃。発射ボタンと共に飛び出したカリドゥス改・複相ビーム砲の赤い閃光が2個小隊6機のウィンダムを薙ぎ払う。
    そのままビーム突撃砲、ビームライフルで1小隊3機を墜とし、ビームサーベルとビームクローでダガーL3機を両断。
    カオスを離脱させる直前に追いすがり、背中を取ったつもりの馬鹿者どもに気づく。チャージが終わったカリドゥス改・複相ビーム砲で薙ぎ払い6機を墜とし、寸でビームを避けたウィンダム1機にはビームライフルを的中。即、態勢を立て直すと再び弧を描きながら旋回する。

    (カウントMS268 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等65)

    アグネス「(なるほど。訓練の時も思ったけど、これは正しくバビの上位互換ね。あの機体も大概、一撃離脱戦法に特化していた。これはそれに接近戦闘能力をプラスした感じか)」

    『バビによく乗っていたからカオスに』そう推してくださったハイネ先輩とアスランは慧眼だった。割と慣れが早い。

    旋回中に確認すると、シンが立て続けに4機撃墜している。海面に水柱が2本上がっているのはビームサーベルの前に2機をビームライフルで撃ち落としたのだろう。

    ここまで来ると、戦闘はかなり一方的なものになる。
    旋回を終えたカオスの機首が戦闘空域離脱を図る小隊を向き複相ビーム砲が発射される。バラバラになった3機が燃えながら木の葉のように海面に落下していく。逆方向に逃げようとする別の小隊1機にもビームライフルを発射、命中。2機はビーム突撃砲で仕留める。

  • 18二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 01:05:27

    連合モビルスーツ隊は散り散りなって撤退を始める。良し。ウェリントンの危機は去った!壊走しようとする敵を相手にするのは苦労するけれど…。

    絶望的な状況下でも勇者はいる。ビームサーベルを引き抜いた2個小隊がカオスを囲むように突っ込んで来る。ビーム突撃砲で2機を撃ち抜き、ビームサーベルとビームクローで3機を墜とし、ビームライフルで最後の1機を墜とす。

    (カウントMS280 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等65)

    アスラン「連合軍オハケア基地陸上戦力及び発進前のモビルスーツ隊全機、殲滅完了。そっちはどうなっている?」
    アスランからの通信に背筋が凍り付く。展開が早すぎる。兵は神速を尊ぶとはこのことか…。

    上空を旋回し、確認。インパルスのビームライフルがウィンダムとダガーL、合わせて5機を連続して落としている。レーダーに映る敵影は…。

    アグネス「カピティ島周辺空域の敵機、残り36」
    アスラン「良し。そのまま逃がさず。こちらはリントン軍事キャンプの攻撃を開始する。最後まで油断するな。アグネス、シン」
    アグネス、シン「はい」

    そう、もうすぐニュージーランドの連合軍は殲滅される。空軍基地の壊滅で確定した。後は―。

    空域から離脱を図る小隊に複相ビーム砲を撃ちこみ、今度は大きく円を描くように、逃げようとする敵機を1機1機潰していく。
    ビームライフルで、ビーム突撃砲で、ビームサーベルで、クローで、また複相ビーム砲で。計15機の翼が永遠に捥がれた。島に落ちた機体と海に落ちた機体。どちらが良かったのだろう、生存率は。

  • 19二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 01:11:27

    (カウントMS295 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ14 輸送機1 リニアタンク8 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 対MSミサイル搭載トラック6 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等65)

    その間、インパルスも敵を撃ち続ける。レーダーで確認すると、もう残敵は12機。追いかけまわしながらロックする。こいつ等を墜とせば…。

    墜として、一体どうなると言うんだ!?
    アグネス「シン、もうそろそろかな?!」
    シン「ああ。もういいだろ!!」

    シンの応答。悲しみなのか、怒りなのか分からない苛立ちが声に滲んでいる。
    アグネス「アスラン先輩、降伏勧告の許可を」
    アスラン「許可する」

    短い通信と返事で決意を固める。

    アグネス「『国際救難チャンネルの放送を開始します。当空域で戦闘中の連合軍、私達は月軌道艦隊ミネルバパイロット隊所属、特務隊アグネス・ギーベンラート、同じく特務隊シン・アスカです。連合軍諸君諸姉の勇戦に敬意を表します。しかしながら、既にニュージーランドの連合軍は壊滅状態にあります。武装を放棄し、降伏されたし。人道的待遇を約束します』」
    シン「『機体を空中停止させ、ビームライフル、ビームサーベルその他武装は即時に海中投棄。でなければ…』」

    必死に逃走を図ろうとしていた12機が空中で急停止、武装を次々と海に投げ捨てていく。
    ウィンダムパイロット「自分が最先任です。降伏します。機体の引き渡しにも合意します。特務隊ギーベンラート・アスカ両氏に感謝と敬意を。どこに降りれば?」

    コックピットにヘルメットを脱いだ連合軍パイロットの上半身が映る。普通のしっかりした青年といった顔つきだ。彼はモンスターじゃない、私もシンも違う。

  • 20二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 01:25:12

    アグネス「カピティ島の北海岸に。護送します」
    ウィンダムパイロット「了解」

    カオス、インパルス2機の監視の下、最後に残った6機のウィンダムと6機のダガーLが島に着陸。パイロット全員が機体から離れるのを確認する。

    アグネス「全機の武装解除を完了」
    アスラン「了解。リントン軍事キャンプも陥落した。ウェリントンでは蜂起と連合軍現地民部隊の内応・離反が開始されている。俺達の任務は終了だ。…、この地では」

    アスランの通信で流石に力が抜けそうになる。終わった。たった半日経たず世界地図を塗り替えた。

    それは良い。それ自体は。島の周囲をバラバラになった敵機と波の狭間でも者達がカメラで確認される。

    アグネス「周辺の捜索救難救助の許可を」
    アスラン「今回は時間がない…」
    コックピットモニター越しにアスランと目が合う。確かに、そう言う任務だ。でも、私は1日後の100点満点より、今は1秒後の50点が欲しい。

    アグネス「直ぐ傍にいます。海中で危機にある者は誰であれ、神の手を握る権利を有します」
    アスラン「確かに…。30分だ。救助したものは、カピティ島に。ザフトの迎えが来る」
    アグネス「了解。ありがとうございます!」
    シン「ありがとうございます!」
    シンも割り込んで礼を言い出すものだから、ちょっと笑いそうになる。笑ったらダメだけど。

    アスラン「俺はこちらで救助を。終了したら、ボズゴロフ級で合流」
    アグネス、シン「了解!」
    さて、許可が出たから、頑張らなくっちゃね。

    アグネス「(アスランの反応。彼らはカーペンタリアに送るのね。報復に有ったりしないように)」
    本島の方はどうなっているのだろうか。少し想像するのが恐い。戦争犯罪になっては一大事だから、ザフト軍が到着できた場所から騒ぎは収まる手はずだけど。それまでは大変だろう。

    アグネス「(今は本島の話なんてどうでも良い。カピティ島周辺が私とシンのフィールドだから。他は後だわ)」

  • 21二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 07:42:23

    ☆彡

  • 22二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 08:50:03

    やはりアスランは頭ひとつ抜けてるな
    アグネスもシンが覚醒してない状態とはいえシンと同等クラスの強さはあるな

  • 23二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 11:45:05

    アグネスカラーのカオスこんな感じかな?
    前スレでバーガンディに変えるって話があったので

  • 24二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 17:17:51

    砂漠の惑星ホス

  • 25二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 17:31:01

    最初の頃と違って、義務的な人道対応じゃなくて、自分の心を守るために救助活動をしてるっぽい?
    メンタル限界じゃないか…

  • 26二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 20:37:53

    >>25

    「人間的成長」と見るか、「正気を保ちたいから人道という正義に縋る」と見るか……。

    単に「ヒャッハー!! コーディ/ナチュラルは皆○しだー!!」とハッスルできていた

    前大戦の連中はよほど能天気&後先考えていなかったんだろうなぁ。そういう「悪い前例」

    を知ればこそ「ああなったら我が身の破滅だ」と自覚せざるを得ず、さりとて建前で行動

    していたら「敵も人間である」という事実を嫌でも認識せざるを得ず……PTSDの専門家を

    早く派遣してー!


    ……事実上片道作戦なクレタ降下前にディスティニー&レジェンド等の新型機が配備されればあるいは……。

    いや潜伏しているファントムペインが動き出したならば、まずそっちに対処しなければならないし……。

    後はヘブンズベースに逃げ込んだであろうジブリの動向も気になるしで、良い意味で先が読めない!

  • 27二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 22:29:02

    >>25

    もう戦争なんかしたくないってアグネスの本音が見て取れるのがね…

    今まであれこれ理由付けて自分をを正当化する事でそれを跳ね除けて来たけどそれももう限界だわ

    でも自分がここで降りたら戦友が死ぬかもしれないから降りることもできない

    キラと同じ心理状態だわ

    果たしてこのアグネスが戦後に自ら進んでコンパスに志願するだろうか…?

  • 28二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 22:42:51

    あれ?このアグネス、レジェンド向いてない?
    自分の戦績ここまで把握できるなら空間認識能力高そうだし

  • 29二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 23:14:42

    >>27

    「上流階級社会」と自分が経験してきた物事、加えて否応なしに「上品なお嬢様」だけではいられなくなった

    自分と周囲のギャップに耐えかねて、半ば逃避するようにコンパスへ志願……後ろ向き&悲惨すぎる理由か?

  • 30二次元好きの匿名さん24/10/21(月) 23:50:12

    >>28

    レイが長期加療で戦線離脱を余儀なくされ、かつ「どこかの誰かさん」が「こいつに新型機与えれば手駒になるかな~」

    と考えたらワンチャンありえるかも……? アグネスにしてみれば「もー政治的思惑はヤダー!」と悲鳴を上げるだろな。

  • 31二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 00:20:02

    波の狭間で藻掻く人を、カオスの手で一人一人拾ってはカピティ島の岸にそっと上げていく。シンは皆の監視役だ。彼も救助活動をやりたがっていたが、捕虜から目を離すわけにもいかない。

    138機撃ち落とされた連合モビルスーツ隊。30分で助け上げることが出来たのは9名。そして7名の亡骸。

    アグネス「(亡骸だけでも家族の下へ、何て思ってしまうのは罪深いことかしら)」
    救助された兵士も無傷な者ばかりではない。後遺症が残りそうな人もいる。そう言うものだと思うことにする。

    バビ隊と医療班が載ったヘリコプターが飛来したのでに救助活動を引き継ぎ、きっかり30分で切り上げる。漂流中の兵士がまだいるとすれば、もう少しの辛抱と言ったところだろう。

    私達を見上げ、軍人らしく姿勢を正した連合軍パイロット達が、こちらに敬礼してくる。立てないものは横たわったまま、手を上げられないものは目線で。

    何かが喉元までせり上がって来るが、それを言葉にしたら多分自分は壊れてしまうだろう。
    アグネス「(まだ頑張らなくちゃ。最後まで格好は付けなくてはいけない。それも任務の内だわ)」

    英雄(ヒーロー)らしく、コックピットの中で返礼しながら彼らに返事をする。外部拡声器オン!
    アグネス「次会う日まで壮健なれ」

    敵と味方に手を振られながら、シンと一緒に南タラナキ湾を後にする。

    シン「アグネス…」
    アグネス「なに?」

    辛気臭い話なら聞きたくない。そう言う感情は自分である程度は解消してくれなきゃ困るわ。

    シン「お腹空いた」
    アグネス「はぁー。私はあんたの母親か!社会はお前の母親ではない!!」

    強い言葉を笑いながら言ってしまう。なるほど、確かに言われてみれば。深夜に叩き起こされて、倍速再生、いや4倍速再生の映画のキャラクターみたいに今、南タラナキ湾上空。朝ごはんは栄養ゼリー、最悪だ。

  • 32二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 00:27:37

    シン「ごめん。でも…」
    アグネス「ごめん、ごめん。確かにそうね。何を食べようかしら…」

    そんなもの、出されたものを食べるだけだ。でも、正しい。まったく。世界が終わる日の夕べでさえ、きっと人間は空腹を覚えることだろう。生きているってことだ。

    ニュージーランド沖、タスマン海に浮かぶボズゴロフ級を一路目指す。シンのおかげで昼食が少し楽しみになった。

    レーダーに反応!大型海上船舶2隻、味方信号だが…、ボズゴロフ級ではない?

    光学映像を確認すると大型フェリー2隻が北島を目指して波を掻き分けている。識別からして大洋州連合軍が徴発して兵員輸送船にしたみたいね。

    カオスとインパルスで編隊を組んで低空飛行、パフォーマンスで士気を引き上げてあげないと。陸軍、歩兵はやることが多いからね。せっかく敵戦力を殲滅したなら、ニュージーランドをしっかり確保して無事、大洋州に編入し直さないといけない。

    アグネス「(大きな船ね。2隻でだいたい一個旅団と言ったところかな)」
    第二次大戦中の著名な兵員輸送船(徴発された豪華客船)『クイーン・メリー』と姉妹船『クイーン・エリザベス』は一度の航海で15000人を輸送したと言うけど、こっちも及ばずながらも頑張っているわね。

    2隻の兵員輸送船からは大勢の兵士が甲板に躍り出て大洋州国旗とプラント国旗を振ってくれている。沢山の窓から顔を覗かせ、同じく手を振って歓声を上げてくれる。

    アグネス「(悪いことばかりが起きたわけでもない。無論、そもそも先の大戦が起こらなければ…。開戦なしで祖国が独立できていれば一番だったのだけど。今はただ、苦汁を嘗めた二つの島に安寧が訪れんことを切に願うわ)」

    並んで飛ぶインパルスと共に彼らと別れを告げ、やがて我らが誇る大型潜水母艦に降り立つ。
    アグネス「(しかし、まともな海上戦力がボズゴロフ級だけなのもどうなのかな。うーん。後で考える!)」
    というか、私が考えても…、と言う話かもしれない。

  • 33二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 00:37:13

    着艦したところ、セイバーは既に帰還して弾薬の補給と充電を開始している。おそらく、完全充電は難しいだろう。アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲を多用したはず。

    タスマン海をある程度の余裕をもって超えられるところで一旦充電を打ち切って、カーペンタリアに向かうしかない。

    アスラン「ご苦労。良くやった」
    アグネス、シン「はい」

    モニター越しのアスラン、彼の表情は少し柔らかい。良かった、カウンセラー役をいつもしていたらこっちがパンクしてしまう。

    皆、ここからが大変だけど、今は些事だわ。カオス、インパルスもすぐさま電源を繋いで充電を開始、弾薬の補給も即時に始まる。
    カオスもカリドゥス改・複相ビーム砲を使用するため、かなり消耗している。どれぐらいかかるか。やはり、適当なところで切り上げるしかない。

    コンコンとコックピットがノックされる。昇降機で上がって来た整備班ね。なんかあったの?

    ボズゴロフ級整備兵「どうぞ」
    ボズゴロフ級整備兵が何故かハンバーガーを差し入れてくれた!サンドイッチで良いのに。3個も。チーズバーガーとベーコンチーズバーガーとハンバーガー。
    アグネス「へ…」
    アグネス「(私も遂にこんな貧乏人の料理を食べるまで落ちぶれたのね…)」

    とは言え、何時もの栄養ゼリーが高級食なのかと言えば否だ。いざとなったらカタツムリやカエルも食べなければいけないのだから何ほどのものでもないだろう。寄生虫が恐いからその2種類はしっかり焼かないといけないけど。

    バーガーを受け取りモグモグ、というかハグハグ食べてみる。
    アグネス「ありがとう…。美味しい!牛肉たっぷり」
    ボズゴロフ級整備兵「そうでしょう」

  • 34二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 00:41:01

    めっちゃくちゃ美味しいわ。前言撤回、君子豹変しないとね。それはそうと何でこの整備兵が得意そうなんだろう。こっちの視線に気が付いた兵士が訳を聞いてもないのに教えてくれる。なになに?

    ボズゴロフ級整備兵「私は『現地採用組』です。コーディネイターのザフト軍人ですが、国籍は大洋州連合で家族も。カーペンタリアの基地で志願手続きを」
    アグネス「ふぉ。なぁるほぉど」

    こっちは、ほぐほぐ食べて居るのに勝手に悲しき(?)過去を語り始めないでよ。外国人志願兵ね。まあ、彼の要件なら必要とあればすぐプラントに帰化できるでしょうけど。

    ボズゴロフ級整備兵「母方の叔父一家がニュージーランドに。ナチュラルですが私の家とも昔から仲が良くて。これで落ち着けば本当に久しぶりに従姉妹に会いに行けます」

    アグネス「そう!?叔父君の家は、まさかオークランドじゃないでしょうね!?」

    肉の塊とパンを咀嚼し、何とか飲み込んで言葉を出す。
    ボズゴロフ級整備兵「ハミルトンで酪農を。みんな無事です。ありがとうございます。これで、また家族そろってクリスマスが迎えられます。自分は潜水中かもしれませんが」

    ほうほう。それは良かった。感謝されて悪い気はしないわね。お母さんのごきょうだいはナチュラルなのね。キラ・ヤマトとアスハ代表みたいなものか。

    アグネス「切り離された国が、また一つになれて何よりだわ。因みにあなたの家は畜産業を?この肉牛を育ててたの?」
    ボズゴロフ級整備兵「いえ。両親ともに工業大学の教授です。でも、オーストラリアと言えば羊と牛って皆さん思っているでしょう。ちょっと自慢しようと思いまして」

    なるほどね。確かに。オージービーフは有名だものね。
    アグネス「ありがとう。美味しいわ。成人していたら、これにビールを合わせるのかな。パイロットだから飲まないけれど」
    ボズゴロフ級整備兵「ハハハ。コーラ持って来ますか?」
    アグネス「ありがとう」

  • 35二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 00:56:00

    チックショウ!こんな時間にお腹が減っちゃうじゃないか!!

  • 36二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 01:04:53

    気さくに話して昇降機を下りて行く彼。なるほど、あの人は心の整備担当か。よく訓練された艦ね。

    アグネス「(ただ嘘をついていた様子はない。身の上話は全部本当か)」

    考えてみれば、ごく当たり前な話だ。コーディネイターであること、自分が生まれ育った国を誇りに思うこと、血を分けた親族をナチュラルであっても大事に思うこと。

    アグネス「(全部同じね。何の不思議もない。同じコーディネイターで親族にはナチュラルが当然存在して祖国を愛している。もし、敢えて違いを上げるなら、私が宇宙で生まれ育ち、彼が地球の大洋州で生まれ育ったくらいか)」

    ジェネシスのガンマ線が放たれていれば、間違いなく彼の一家は全滅していた。それはカーペンタリア基地の皆も同じ。アスランが何かと居心地悪そうにしているのも理解できる。

    親の罪は子に及ばない。ザラ元議長も大戦後期は精神失調であった可能性がある。でも、それはそれ、これはこれ。被害者になりかけた立場の人間には思うところがあるはず。
    そして、今度はサトーとか言う大馬鹿者のせいで地上は危機的状況になった。黒幕どうこうは彼には関係ない。自分も家族も親族も祖国も、全てが吹き飛ぶところだった。

    働き者の背中を何となく追っていると、気配に気が付いたのか今度は真面目ぶって敬礼してくる。真摯な態度は別に私が名誉勲章受章者だからでも、ましてフェイスだからでもない。彼なりの好意だ。ユニウスセブンを砕いたこと、ニュージーランド奪還に一役買ったこと。

    彼に親族を返してあげられてよかった。そう素直に思う。無駄なことばかりをして来たわけじゃない。コックピットを空け、見えるように丁寧に敬礼を返す。

    アグネス「(ただ、ハミルトンは危うい、タウポ火山が心配だわ。よく火山がポコポコある国で生活できるわよね)」

    体験したことは無いけど、地震と言う現象も怖い。いざとなったら動けなくなりそうだわ。この宇宙と地の狭間には、私が思いもかけないことがたくさんある。だから、思いをはせないといけないんだ。誰かの思いを吹き飛ばさないために。こんな時代だから可能な範囲で。

  • 37二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 01:15:38

    私とシンがハンバーガーを貪り喰い、機体の充電率は55%、56%まで回復する。

    アスランから通信、ちょっと難しそうな顔が映るが何時ものことだ。
    アスラン「100%まではまだかかるが、ここまでだ。カーペンタリアに出発する」
    アグネス、シン「了解!」

    また、慌ただしく発進シークエンスが始まる。袖触れ合うのも多生の縁とはよく言ったもの、私はもうこの艦に愛着を持ち始めている。それなら、猶のこと旅立たねば。

    大洋州連合の国境線は前大戦以前のものに確定した上で講和条件を突き付ける。南太平洋に連合の居場所はない。

    ボズゴロフ級オペレーター「カタパルト推力正常。針路クリアー。インパルス、発進どうぞ!」
    シン「シン・アスカ、インパルス、行きます!」
    ボズゴロフ級オペレーター「続いてアスラン機、カタパルト推力正常。針路クリアー。セイバー発進どうぞ」
    アスラン「アスラン・ザラ、セイバー、発進する!」

    シンとアスランが立て続けに発艦。道中も敵機と交戦の可能性が十分ある。気が抜けない。というか何時抜けるのかも当分分からないが…。

    ボズゴロフ級オペレーター「続いてアグネス機、カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス発進どうぞ」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

    飛び出た後はカオスをモビルアーマー形態に変形、2機の後を追う。戦闘は同じくモビルアーマー形態に変形したアスラン。この並び順なら、まずカーペンタリアまでは無事につく。

    アグネス「(問題はそこからね。交戦云々を抜きにカーペンタリアでシャトルに乗ってからが本番になる)」
    それまでにまともなものを食べれて本当に良かった。

  • 38二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 01:27:10

    上流階級にしてみればジャンクフードであっても、まともな食事(ハンバーガー9にありつけたのは良かった。特に、
    帰還してからというのが。何故かって? ソロモン要塞攻略戦、コアブースター、ビグ・ザム。あとは分かるな?

  • 39二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 08:01:50

    >>37

    >アグネス「(問題はそこからね。交戦云々を抜きにカーペンタリアでシャトルに乗ってからが本番になる)」


    確かにそうなんだけど、ねえ議長。オーバーワークとか過労タヒとかって概念はご存じですか? 部下が半分以上

    ゾンビ状態になっていますよ? このままだとクレタ降下作戦がマジで片道特攻になりかねませんよ? いい加減

    彼女たちにお休みをあげて下さいな。

  • 40二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 08:07:38

    今のアグネスにはこういう末端の兵士の存在は有り難いだろうな

  • 41二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 10:06:10

    >>40

    もうプラントに居た頃のように「地上のコーディ=プラントの住人より格下」という目では見られないだろうな……。

  • 42二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 12:22:44

    >>41

    地上のコーディどころか連合パイロットの顔を見てしまったし、追撃も躊躇するし…

    こんな状態でクレタ島強襲なんかやったら、深刻なPTSDになるのでは…

  • 43二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 14:27:46

    メイクする時間もないから薄化粧で顔の良さ引き立つしトゲ作る余裕もないからシンに対する当たりがどんどん柔らかくなってるし視野が広いから突っ込みがちなシンとうまく連携とれてるしこんなのパーフェクトヒロインじゃん…!

  • 44二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 18:19:28

    >>43

    今んとこシンとルナが進展する気配がない一方でレイはアグネスに対して戦友以上の感情持ってそうなのがね

  • 45二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 21:12:14

    >>43

    パーフェクトヒロイン?

    私 が 主 役 よ !


  • 46二次元好きの匿名さん24/10/22(火) 23:01:57

    >>45

    正にその通り! 完走をお祈りします!

  • 47二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 01:36:12

    ボズゴロフ級で補給を受けセカンドステージシリーズ3機でタスマン海を北西方向に横断する。カーペンタリアまでの距離は3900㎞以上。もう何も言うまい。

    3機で編隊を組み亜音速以下時速900㎞で空を駆け抜ける。セイバー単体なら、ともかくカオスとフォースインパルスも一緒だ。やむなし。敵機の影と艦影に怯えつつ、4時間30分程度、風とお友達ごっこ。

    アグネス「(と言っても行けども行けども、『海』。船なんて米粒以下ね。偶に大洋州の軍民艦船が行きかっているけれど)」

    嬉しいニュースも勿論ある。余計な流血を見ることなく、ニュージーランドの連合軍はその後、全軍が武装解除・降伏したと言う。私が恐れていたような虐殺合戦も今のところは起こっていないらしい。ニュージーランド住民の辛抱強さに感動することしきりだ。

    ただ、大西洋連邦はじめ、同盟条約締結国の内情はかなり酷いと報道されている。各国の総動員と予備役の動員、モスボールされた兵器の復帰が急ピッチを通りこして音速で進む中、民衆の不満は超音速で爆発。

    ロゴスメンバーを狙ってテロ・武装蜂起も相次ぎ、それを抑え込もうと動員された警察・軍と衝突が起こり、流血が拡大し…。まあ、何時も通りね。

    もう、ここまで来たらロゴスメンバーを差し出して、ギブアップすればいい。ついそう思ってしまうが、世界はそんなに単純には出来ていない。そして、歴史の歯車も止まってはくれない。大気圏の上では月軌道艦隊のクレタ攻撃作戦の詰めが行われている。

    悪いニュースもある。連合軍が旧エジプト領と旧アルジェリア・チェニジア・リビア領から援軍を派遣する気配があるとの報告が中東方面軍から届いた。議長が声明でハワイとスリランカ島に並べてクレタ島の軍団の撤収を要求したことが仇になった形だわ。

    神経を使った任務のあと、休みたい気持ちもある。でも、気分は変に昂ぶっている。脳内麻薬か神経の過剰反応か。ただ、一回休んだら当分動けなくなってしまうことは火を見るより明らかだ。走り抜けるしかない。

  • 48二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 01:42:00

    アグネス「(そう言えば、クジラやイルカ。見たかったな。せっかく地球の海に来たのに。彼らがジャンプするところ、じかに見れたらきっと感動するわ)」

    別に恩を着せるわけではないが、大洋州への今回の貢献、勲章に値するはず。ついでに永住権もつけて欲しい。浜辺に別荘買うから。うーん。永住権は無理か…。どうかな。

    ともあれ別荘は欲しい。クジラを見たい。使いきれていない給料やら、ボーナスやら、年金やら、金一封やらがたくさん貯まっているはず。勲章にくっ付いてきた年金は生涯貰えるわけだし。18歳の誕生日が来たら、両親にプレゼントをねだっても良いはず。

    取り留めのない考えを頭の裏側でこねくり回しつつ、残り99%の脳内出力で必死に警戒して―。

    やっと、カーペンタリアに付いたわ。空港では大勢の兵士が帽子を振りながら私達を迎えてくれる。ちょっと嬉しいが、疲れた。寝たい。

    さっきまでこのまま継戦一択と思っていたのに…。カーペンタリアに付いた途端…。
    アグネス「アスラン先輩。誠に勝手な頼みと分かってはいますが…。シャトル積み込みまでコックピット内でも良いので…。どうか…、小休止をさせて下さい」

    上官に弱音を垂れ流すのもどうかと思うが、もう査定何てどうでも良い。疲れて動けないんだ。表彰式・ロゴス討伐宣言からの夜中叩き起こされて、ニュージーランド戦・タスマン海横断。もう限界だ。脳内麻薬が切れた。

    シン「俺も…。すいません」
    粋がることがディステニーのようなシンまで。ダメね、これは。
    アスラン「すまない。本当に。毛布を差し入れさせるから。充電時間もある。それなりに休めるはずだ。ただ、緊急時には…。頼む。すまない」
    モニターに本当にすまなそうなアスランの顔が映る。カオスには電源コードが差し込まれ、空港ではすでにシャトルの準備は完了している。

    本来、私達の機体充電は最小限にして、シャトルで打ち上げられたら、衛星軌道でミネルバからデュートリオンビームを照射する予定になっていたことと思う。それを変更するのだからアスランから見ても私とシンは相当な顔色をしているのだろう。

  • 49二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 01:48:45

    昇降機から整備兵が上がって来たのでコックピットを開ける。

    カーペンタリア整備兵「どうぞ。その、お疲れさまです」
    アグネス「ありがとう」

    水分・栄養補給水と毛布を彼から受け取り、ヘルメットを脱ぎ捨てゴクッっと一口飲む。そのままパイロットスーツを上半身脱ぐと毛布に包まり、瞳を閉じる。そんな私に慌てて敬礼をした彼が昇降機で降りていく。その気配を感じつつ、私はズルズルと眠りの沼に引き込まれて行く。引き摺り込まれるが正しいか…。

    アスラン「すまない。セイバーの充電が終わった」
    アグネス「はい…」
    シン「はい…?」
    充電完了を知らせるアスランの合図とともに目を覚ます。あの後、1時間30分か。実際は終わってからも限界まで待ってくれていたに違いない。体を伸ばして、掌を握ったり開いたりする。

    アグネス「(まずまずかな。何が、と言われれば困るけど)」
    外を見るともうシャトルの中。相変わらず展開が早いわね。ボトルの残りを少し急いで飲みこむ。外で整備兵が合図をしてくれる。毛布を返すのね。

    アグネス「ありがとうございます」
    整備兵「いえ。ご武運を!」
    アグネス「あなたにも!」

    毛布にボトルを包んで下に投げ、もう一度、体をグイッと伸ばして準備完了。
    アスランに通信を入れる。
    アグネス「ご迷惑をおかけしました。誠に…」
    アスラン「良いんだ。グラディス提督からも休ませるようにと。シン、行けるか?」
    シン「勿論!」

    何かシンは元気が急回復しているわね。この辺りのタフネスはやはりインパルスパイロットに選ばれるだけあるわ。

  • 50二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 01:56:19

    アスラン「出してください」
    カーペンタリア基地司令部「はい。ご武運を!」
    アスラン「ありがとうございます」

    シャトル発進の轟音と加速に伴って増す重力が体に覆いかぶさる。平気だけどね、別に。
    モニターに映る空港はあっという間に小さくなり、やがて眼下にはオーストラリア大陸西部とタスマン海が広がり、その向こうにニュージーランド。その景色も重力も振り切って、シャトルは空が宇宙になるまで突き進む。やがて、衛星軌道に達したところでシャトル格納庫は静かに開く。私達は懐かしい闇の世界と感動の再会だ。足元からは青い星の光が照らしてくれている。恐くない。

    シャトルパイロット「武運長久をお祈りします」
    アグネス「貴方にも」
    シン「お世話になりました」
    アスラン「それでは…」

    モニター越しに敬礼して下さるシャトルパイロットに私達は敬礼を返す。ここからは、また秒刻みの作戦が始まる。連合海軍・空軍のエジプト・アルジェリア・チェニジア・リビア地方部隊の出撃という要素が加わり、作戦は大幅に変更されている。
    まず、私達はミネルバと大気圏外では合流しない。そして、インパルスとも一旦、別行動だ。

    私がカオスをモビルアーマー形態に変形させるのを確認して、アスランもセイバーをモビルアーマー形態に。2機のモビルスーツは空気抵抗の呪縛を離れたこの死の世界で、高機動スラスターを一気に吹かせ、東地中海に高速移動を開始する。

    アグネス「(通信回線をミネルバブリッジとセイバーに固定)」
    グラディス司令官より、タイミングよく月軌道艦隊全員に訓示が伝えられる。

    タリア「皆、今更くどくどと言葉を重ねようとは思わない。この作戦により、この戦争が早期終結へ向かわんことを切に願う。クレタ攻略戦開始!」
    アグネス「ザフトのために!」

  • 51二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 02:07:05

    私とアスランの目的地はクレタ島…の東北東145㎞、ロドス島!

    アスラン「降下開始。目標、ロドス島連合軍基地ロドス・マリツァ空港」
    アグネス「了解」

    真っ赤に燃え上がる外気、空気の抵抗で何度も揺さぶられる機体、もう3度目、慣れたものだ。

    アグネス「(作戦目標は、クレタ島それは変わらない。しかし、あの島の攻略には腰を据えてシステマティックに進めるしかない)」
    計画変更はグラディス提督がフェイス権限もフル活用して、国防委員会も了承済みだ。中東方面軍の後方支援も取り付けてある。というか元々『支援は惜しまない』がこの作戦の前提条件だ。そう言われたから、皆渋々ながら引き受けたんだから万難を排して協力してもらうわ。

    赤い世界が徐々に青い世界に切り替わる。中間圏を抜け、成層圏を抜け、対流圏に。制動をかけ始める。長芋のようなクレタ島の東北東、カソス島、カルパトス島を挟んで薩摩芋のようなロドス島ロドス首都ロドス市南西14 km。連合軍軍用航空基地ロドス・マリツァ空港を視認。

    太陽を背に制動を止め、セイバーとカオスの機首を空港の方向に。ほぼ真っ逆さまに急降下を開始する。

    敵の発進シークエンス開始を確認!
    アグネス「(毎回、そううまくはいかないか)」

    アスラン「先にレーダーサイトと防空陣地を潰しに行く。後続して基地防空隊を殲滅せよ」
    アグネス「了解」

    急遽、変更が加えられた作戦この時点で私達は大概ミスを犯している。だが、それは敵も同じ。ロゴス暴露で戦略的に大ポカをしている。ゲームじゃないんだ。準備万端で開始なんてできない。

    その実、私とアスランはロドス・マリツァ空港の正確な戦力も知らない。一応、メイリンの報告では、この島の基地はあの空港のみ、兵力は大隊規模と報告してくれた。あくまで、『ダイダロス基地陥落時』はだけど。

  • 52二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 02:18:37

    空港の発進シークエンスは進む。約90機のウィンダムを視認。地下エレベーターが持ち上がり、ゲルズゲーが1機その禍々しい姿を白日の下に晒す。早速予定外の事態発生。
    もう戦場の霧が漂い出す。霧の中では皆が手探りだ。

    アスラン「変更。俺がゲルズゲーを援護を頼む」
    アグネス「了解!」

    そのまま機首を下に。
    セイバーがモビルアーマー形態で、今まさに飛び立とうとするウィンダムの編隊目がけ、アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲を発射、薙ぎ払う。それに答えるようにゲルズゲーもホバーで機体を上昇、陽電子リフレクターからビームシールドをを展開。真っ赤なビームを受けきり仲間を守る。

    セイバーはそのまま、憶すことなく、急降下を継続する。自らが放った赤いビームが消え去る前に、ゲルズゲーの間合いに飛び込み、素早く機体をモビルアーマー形態に変形を果たす。ヴァジュラ・ビームサーベルを引き抜くや、不自然なほど自然に、巨大な虫を思わせる大型モビルアーマーの胴を斬り裂く。

    次の瞬間、ビームシールドが霧散。同時に私はカオスのカリドゥス改・複相ビーム砲で、空港に展開する自走リニア榴弾砲3両、ブルドック2両を薙ぎ払い撃破する。

    大きく態勢を崩した大型モビルアーマーは、味方の頭上に落下を開始する。

    まるでコマ送りされるフィルムのようだ。時間が突如、スローモーションになる。
    空港ど真ん中に落ちていくゲルズゲー。せめて、仲間の仇討ちとばかりにウィンダム90機はビームライフルの照準をセイバーに向ける。急降下を終え、モビルアーマー形態に変形して上昇に転ずるセイバーを狙って…。

    アグネス「(させない!ザムザザーの下敷きになるやつは放置。残りが狙いだ!)」

    高エネルギービームライフルを発射、ウィンダム1機を地上で爆散させる。それを皮切りに、ほぼ同時に開いたカオスの機動兵装ポッドから、ファイヤーフライ・誘導ミサイル24発を発射、全弾命中させ、24機、24人のパイロットを天門の向こう側に放り込む。

  • 53二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 02:24:17

    刹那の間を置き、ビーム突撃砲を撃ち放ち、2機を消し飛ばす。
    カオスを上昇に転じさせながら、ビームクローで手近な2機を引き裂き、ビームライフルで傍の1機を撃ち抜いて離脱を開始。
    地面を掠めつつ、片手で保持していたヴァジュラ・ビームサーベルを振り抜いて、こちらに砲門を向けようとしたリニアガン・タンクを3両切り裂き、ピクウス 76mm近接防御機関砲を発射してタンクの傍に展開中だったいたブルドック3両を更に吹き飛ばす。

    (カウントMS325 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ14 輸送機1 リニアガン・タンク11 自走リニア榴弾砲3 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 ブルドック11 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等65)

    後方で、仲間のウィンダムを押しつぶしながらザムザザーが大爆発する。直接下敷きにならなかったウィンダムも爆発に巻き込まれながら誘爆し、無事なのはあと30機だけだ。

    アグネス「(オークランドの時も思った。重力下で陽電子リフレクター装備モビルアーマー、いや、正確に言えば大型機体を運用するのも善し悪しね。特に仲間の盾として使う場合はそう。巨大な弾薬庫と電力爆弾の塊が傍で動いているようなものなんだから。撃破時の位置しだいで一度に戦力を失ってしまう)」

    そんな考えが頭をよぎるがそれも一瞬の電気信号、意識は直ぐに覚醒する。再び攻撃に転じたアスラン、セイバーがビームライフルでレーダーサイトを破壊。アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲、スーパーフォルティスビーム砲で残る30機のうち24機を吹き飛ばしてしまう。

    周囲のリニアガン・タンクも自走リニア榴弾砲両もブルドックも…。まったくついていけていない。これが人の技だろうか…。

    感嘆してばかりもいられないので、私も再降下、止めを刺す。発進を諦めたウィンダムはこちらにビームライフルを向けてくるが先に高エネルギービームライフルを発射して1機を撃ち、フェイントをかけてビームクローで挟み込み2機を切り裂く。

  • 54二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 02:37:03

    残る一機もほぼ同時にビームサーベルで斬り、ピクウス76mm近接防御機関砲、20mmCIWSを連射して10機のブルドック、3両のジープ、6両のリニアガン・タンクを乗員ごと…、破砕する。

    アグネス「(う…。うう…)」
    ニュージーランドの時と同じだ。燃えながら車両を飛び出し、ダンスを踊るように焼け死ぬ人、座席に座ったまま黒焦げになる人。ジープの乗員の手足首胴がバラバラになって宙を舞う。ジープはもろに見えるから嫌いだ。

    地面に降り注いだCIWSはパニックを起こして駆け回る連合兵を容赦なく肉塊、肉片に変え、彼らの年齢性別はもう親族でも分からない。

    アグネス「(きっとすぐになれる…。慣れるはずだわ。そして、何も感じなくなるんだ)」
    嫌だ…。嫌だと思う自分も嫌だ。戦時下の軍人が何を言っているんだ!しっかりしろ、そう言うものだと承知でアカデミーの門をくぐったんだろう、アグネス・ギーベンラート!

    (カウントMS329 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ14 輸送機1 リニアガン・タンク17 自走リニア榴弾砲3 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機8 軍用艇3 ブルドック21 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等68)

    アスラン「上空偵察、敵戦力の無効化を確認する!」
    アグネス「了解!」

    軽い涙声になっているのを聞かれていないだろうか

    セイバーはロドス島上空を旋回、私も続く。敵の対空戦力は…。無し。

    アスラン「ロドス島、ロドス・マリツァ連合空軍基地掌握。作戦可能です」
    タリア「よろしい。ローラシア級第一ポット投下」
    月軌道艦隊ローラシア級「艦長、了解。カタパルト分離、大気圏投入せよ」

  • 55二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 02:58:49

    タリア「対岸、アナトリアのザフト中東軍は手筈通り、ロドス島ロドス・マリツァ基地に月軌道艦隊地上部隊、電源車 ・弾薬運搬トレーラー ・給水車等を空路で輸送開始してください」
    ザフト軍指揮官「了解」

    はるか上空では今投下されたポットが開き、中からは偵察ジンから衣替えした仲間がAWACSディン4機でご到着だ。6機を同時に投下できるローラシア級カタパルト、もう2機はショーンとデイルのグフ、久しぶりでもないわね、全然。昨日会ったばかりだわ。

    アグネス「(これでこの作戦の『目と耳』の心配はない。あのレクイエム攻防戦を乗り切れた要因は最後までこちらの現状把握能力が機能したことにある。戦訓を活かさねば)」

    対岸からは補給物資・人員を乗せたバビやヴァルファウ、中型輸送機、中型輸送機、物資搬送用支援航空ヘリが次々と発進している。

    降下してきたショーンとデイルに一時的にエアカバーを任せて、セイバーとカオスで空港の残骸をどけ、回線を開いて着陸可能なポイントを通知する。

    タリア「弾薬と電力が届き次第、補充開始。時間との勝負よ」
    アスラン、アグネス「了解」

    到着した電源車のコードを即刺してもらい、セイバーとカオスの弾薬の補充が慌ただしく進む。中東方面軍は島の掌握に乗り出している。残念だが、彼らはクレタ島攻撃に直接参加予定はない。ただ、どしどし物資は送ってくれるし、月軌道艦隊の地上部隊隊員の移送にも協力してくれる。今、電源車を操作してくれているのはマルマラ海ポート・タルキウスから駆けつけて来た人ね。

    それと私達が敵戦力を排除した地域の占領も彼らの役目になる。歩兵のお仕事、役割分担ってやつね。

    タリア「よろしい。ローラシア級第ニポット投下」
    月軌道艦隊ローラシア級「艦長、了解。カタパルト分離、大気圏投入せよ」

    第二カタパルトから姿を見せるのはブレイズザク6機。レクイエム生き残り組の人達だ。彼らは危うい。死に場所を探されたりしても迷惑、しかし、その戦力は絶体に必要。という訳で、この空港の防衛に当たってもらう。ファイヤビー・誘導ミサイル、彼らの宇宙での経験を元に全力で弾幕を張れば、一度に40~50機は撃ち落とせるだろう。

    6機のザクがロドス・マリツァ空港に降り立ったタイミングで弾薬の補充が終わる。次だ。

  • 56二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 08:13:58

    そういえばアスランがへばってるとこ見たことないな

  • 57二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 09:50:20

    >>56

    >そういえばアスランがへばってるとこ見たことないな


    頭から大流血をして伸びている事はあってもね。しかも、

    大けがをしてやめとけと言われたのを無理やり出撃した

    挙句の事だから。

  • 58二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 11:47:34

    やっぱおかしいよアスランはー
    二つ名『アスラン・ザラ』は伊達じゃないというか
    でもきっと、その原動力になってるのはシンとアグネスなんだろうな…

    それはそれとしてこのスレのアグネスはいよいよ令和三馬鹿の領域に片足突っ込み始めてるな…

  • 59二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 13:29:46

    >>58

    >それはそれとしてこのスレのアグネスはいよいよ令和三馬鹿の領域に片足突っ込み始めてるな…


    経験と実績でスーパーエースになりつつあるもんなぁ。ただし、それだけの戦果を挙げられる環境

    (=問答無用の激戦地)に間断なく放り込まれるというスーパーブラックな強制レベリングが……。

  • 60二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 13:52:24

    歴戦のパイロットが目を守っているから、空と陸は安心だな…海マジでどうしよう
    海中戦捨ててるアビスに弾速早いメーザーない(あっても機動力が無理ゲー)から、ハイネでもタイマンですら落とされかねないのよフォビドゥン。ダガー顔の方ですら
    ザフトの海中戦力自体が前大戦で少数のフォビドゥン部隊に壊滅させられてるから、数揃えるのも大変だし
    寝返りフォビドゥンか、せめてオーブのスケイルシステム欲しい

  • 61二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 19:07:19

    >>60

    ザフト水泳部、マジで新型の導入が必要な模様。もうボズゴロフ級やアッシュくらいではどーにもならん。

    いっその事、「宇宙飛行能力をオミットしてかわりに潜水能力を付けたミネルバ級」みたいな「地球限定

    全領域対応母艦(タンホイザー付き)」と「フォビドゥンの丸パクリorデッドコピーの数押し」で何とか

    ならんもんだろか。こちらの水中用MSの優位が失われている現在、せめて母艦だけでも強力(空を飛べて

    高速、火力は並みの水上艦をワンパン、潜水機能は非常時用)にして、MSは同レベルは無理でも数で対抗

    出来るところまで持っていけたら……。

  • 62二次元好きの匿名さん24/10/23(水) 21:15:45

    >>60

    いっそガンダムの連邦軍のように水中戦は捨てて空輸&沿岸で迎撃というのは無理かな?

    MSだけならともかく、海上海中輸送してる描写もあるし厳しいか…

  • 63二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 00:06:23

    アスランと私は次のアクションを起こす。残りの降下ポットでハイネ先輩のアビスとアッシュ3機、それからレイのグフ、計5機を安全にカルパティア海(クレタ海の東部)に降下させなければならない。
    それに加えて、クレタ島とロドス島の間には北東北から順にカルパトス島(ドデカネス諸島に属する島の中ではロドス島に次ぐ大きさ)、直ぐそのすぐ南西にはカソス島が存在する。

    クレタ島攻略にはこの2島も抑える必要がある。

    ここまで攻勢はまずまず成功裏に進んでいる。その要因は連合軍側の、特にクレタ島司令部のパニックにあると想定される。奇襲が成功した、と言うだけではない。

    アグネス「(この攻略作戦の戦闘部隊が月軌道艦隊のみであると連合軍は知らない。『ザフト中東軍全軍が攻勢を開始したのではないか』、『ザフト欧州軍が攻勢を開始したのではないか』、『あるいはその両方かも』と)」

    実際両軍は後方支援のため『惜しみなく』活動しているわけだが、槍の穂先はあくまで月軌道艦隊だ。そのことをとやかくは言うまい。今、欧州と中東の軍をすり減らすことが出来ないことは理解している。

    それよりも大事なのは連合軍が今、ありもしない大軍に気を取られ縮こまっているという事実。その隙に相手の傷口をひたすら広げていく。

    アグネス「(ただ敵も長距離哨戒機を有している。手品の種が明かされるまで時間がない!)」
    カルパトス島南部に位置するカルパトス島国立空港は空軍基地が併設されている。カソス島北部のカソス市営空港は連合軍が臨時軍事空港として接収し利用中だわ。

    アスラン「セイバーとカオスでカルパトス島国立空港とカソス市営空港を強襲する。ショーンとデイルはロドス島の制空を続けてくれ。AWACSディンは俺達が出撃後、ソナーでロドス島-カルパトス島間の水中探索を実行せよ」
    アグネス、ショーン、デイル、AWACSディン「了解」

    アスランは上空遥かミネルバブリッジにも交信を行う。

    アスラン「グラディス提督、2島を押さえます」
    タリア「了解。こちらも開始します。ロドス島の中東方面軍司令部に通達。島が抑えられた時点より、カルパトス・カソス両島に物資・人員の輸送をして下さい」
    ザフト軍指揮官「了解!」

  • 64二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 00:15:11

    粛々と指示が飛び交う中、セイバーとカオス、私とアスランは行動を開始する。今回の作戦、止まることは許されない。

    アスラン「スピードが勝負になる。俺はカソス市営空港、アグネスはカルパトス島国立空港の分担で行く。カルパトス島国立空港の方が規模は大きい。用心を」
    アグネス「了解!」

    セイバーはカオスを置いて赤い残像となり、カソス島に高速飛行していく。

    私はロドス・マリツァ空港から山がちなこの島を眼下に収めつつ、ひたすら南西に。目標のカルパトス島国立空港は137㎞先にある。島を抜けると東地中海の青い海が神話と信仰の宿る島々を包み込んで広がっている。

    幾つもの文明の興亡の舞台となり、多くの自然・文化・歴史遺産が存在するこの地で繰り返される愚行、私達は後世、糾弾されるに違いない。それをどう飲み込めばいいか、私には、まだ分からない。

    微かな迷いは脳内を駆け巡る電気信号の嵐にかき消される。後方ではAWACSディンによる安全確認完了の合図で、衛星軌道上のローラシア級からポッドが投下される。中にはアッシュ3機とアビス、レイのグフが乗っている。ショーンとデイルのグフがエアカバーをかけ、万一に備える。

    細心の注意と大胆さの下、やや低空でポッドが開きアッシュ3機とアビスは無事着水。海中に潜航する。白いグフは反対に青い空に舞い上がる。

    正直、アッシュでフォビドゥンヴォーテクスの相手は難しい。アビスとてあの機体と積極的に戦闘することを想定してはいない。ただ、各々が連携すれば勝機もあるし、何より―。

    アグネス「(何より潜水兵器の存在意義は単純な戦闘能力じゃない。『水面下の【どこか】に攻撃能力を有した水中モビルスーツ(ないし潜水艦)がいるという事実』そのものが与える心理的圧力。これが最大の武器であり役割だ。結果として敵海上戦力の抑止にもつながる)」

    時代遅れの旧式潜水艦1隻で西暦時代の軍隊は行動を大幅に制限されていた。まして、今回、我らは旧式機ではない。

    西暦時代に潜水艦部隊が『沈黙の軍隊・不言実行の軍隊』と呼ばれていたことと同じこと。私達の最重要の目的の一つは連合軍のボスポラス・ダーダネルス海峡突入の阻止。水中部隊が息を殺して、海中に戦力として存在すること、ただそれだけでソウダ湾から連合軍艦隊が出撃するのを押し留めてくれる。

  • 65二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 00:23:20

    彼らがそれだけに甘んじることは無いと思うけれど、さりとて本分を忘れるようなことは断じてない。
    フォビドゥンヴォーテクスの探知能力が特別高いとも聞かないし、元グーン組3名は水中戦のプロなのだ。

    脳の半分で仲間の降下成功を喜び、もう半分で空港襲撃の瞬間に向け、自分の全身、体の各部のセーフティーを解除する。勿論、あくまでイメージだわ。

    右手前方には山がちなカルパトス島。景色が恐ろしい勢いで後ろに吹き飛ぶ。

    AWACSディンパイロット「報告!スピアヘッド12、対MS戦闘ヘリコプター12。発進中です。空港には自走リニア榴弾砲、ブルドック、リニアガン・タンクより編成された防空隊が大隊規模」

    アグネス「了解!」
    カルパトス島南端、突き出た半島の浜辺に存在する空港から、次々と敵戦闘機と戦闘ヘリコプターが発進、編隊を組んでこちらに向かってくる。

    スピアヘッドの速度はディンに勝る。案外、手ごわい相手だ。1機ごとに搭載されているミサイル6発。躱しきれない分は20mmCIWSで撃ち落とす。スピアヘッドの編隊がすれ違う瞬間、機体を旋回させ、ファイヤーフライ・誘導ミサイルを12発撃ち放つ。命中!
    背中から迫って来た誘導ミサイルを交わしきれなかった12機が爆散するのをレーダーで確認する。

    カオスの高推力スラスターを一気に吹かして、対MS戦闘ヘリコプターの上を取り、ピクウス 76mm近接防御機関砲を連射、穴だらけになって燃え上がるヘリが木の葉のように海面に叩きつけられ、バラバラになって波間を漂う。

    そのまま空港を制圧にかかる。現実は恐ろしく冷淡なほどに散文的だ。AWACSディンが示す件の基地防空大隊、まずカリドゥス改・複相ビーム砲で一薙ぎする。厄介な自走リニア榴弾砲が13門蒸発するように燃え上がる。ほぼ同時にビームライフルとファイヤーフライ・誘導ミサイルを発射し、リニアガン・タンク13両が弾け飛ぶ。

    そのままピクウス76mm近接防御機関砲でブルドック13両を撃破、指揮車両、走り回るジープ等16台をCIWSで砕き続ける。無論、駆け回る人影も例外ではない。直ぐに中東方面軍が物資と人員を輸送してくれる。生き残られてゲリラ戦をされるわけにもいかない。

  • 66二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 00:29:14

    アグネス「ぁ…。…」
    喉に何かが掠める。出来ればもう降伏させたい。時間の余裕さえあれば…。

    AWACSディンパイロット「報告!クレタ島東部シティア空港より航空隊は発進。カルパトス島、カソス島に向かってきます。スカイグラスパー24機、スピアヘッド57機、計81機。スカイグラスパーはランチャーパック。空港は軍に接収されていた模様です」
    アスラン「了解。恐らく威力偵察だ。撃退する。カソス空港攻略完了。アグネス、そちらは?」

    AWACSディンからの報告が途中まで聞こえた時点で機体をモビルスーツ形態に変形する。
    最悪のタイミングだ。艦隊、皆の足を引っ張るわけにはいかない。少しでもしくじればみんな死んでしまう!
    胸部20mmCIWSだけでなく、頭部の12.5mmCIWSも起動、一斉掃射を開始する。パニックになって逃げまどっている連合兵、数にすれば1個中隊ほどをピンクの塊と欠片に変えてしまう。

    眼を見開いて必死に確認する。もう…、大丈夫だわ。
    アグネス「航空隊、防空隊共に殲滅完了」

    (カウントMS329 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ26 輸送機1 リニアガン・タンク30 自走リニア榴弾砲16 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機20 軍用艇3 ブルドック34 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等84)

    アスラン「良し。俺が先行する。後続せよ。戦闘空域に到着次第、任意に攻撃開始」
    アグネス「了解」
    アグネス「(連合軍はやはりソウダ湾以外にも戦力を置いていたわ。クレタ島西部には念のため2級戦力。2級とは言えランチャーパック『アグニ』は十分な脅威)」

    瞬時にカオスをモビルアーマー形態に、高速スラスターでAWACSディンが知らせるポイントまで急加速する。

    急速にかかるGのせいだろうか。頭の中がチカチカする。何て非現実的なんだろう。美しい東地中海、浜辺に隣接する空港。破壊され、焼き焦げ、今なお燃え上がっている兵器の残骸。ピンクと赤のブヨブヨした肉の塊。

  • 67二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 00:32:32

    そして、澄み渡るこの空に敵機が81機、81機!
    アグネス「(なに。これ…。ああ戦争はこう言うものね)」

    荒涼とした大地のみならず、楽園のような景色の中でさえ戦果の影は差し込んで来る。映画やドラマやアニメで戦闘シーンを暗く映す演出は止めるべきだ。非日常的な空間で戦争が行われていると勘違いする者が出たらどうするんだ。

    先行するアスラン、セイバーがランチャーパック装備スカイグラスパーを連続して撃墜していくのが視認される。スパアヘッドも相当数、撃墜済みだ。レーダーを見るにスカイグラスパーが残り18機、スピアヘッドが30機と言う所か。

    アグネス「遅れました。上から行きます」
    アスラン「分かった。引き付ける」

    アスランのフォローを受けつつ、私はカオスを旋回、上昇させる。太陽を背に間髪おかず、真上から敵編隊に急降下を開始する。
    カリドゥス改・複相ビーム砲でセイバーを追い回すスピアヘッド10機を一薙ぎして空中爆発させ、ランチャーパックのせいで大回りになっているスカイグラスパー3機をビームライフルとビーム突撃砲で撃ち抜く。
    20mmCIWSを全力で射撃し続け、こちらに方向を変えようとするスピアヘッド6機をバラバラにして、行違うスカイグラスパー5機とスピアヘッド2機はピクウス 76mm近接防御機関砲で粉々にする。

    セイバーとカオスどっちに対応すべきかよくわからないまま旋回しようとするスカイグラスパー2機をビームクローで引き裂きそのまま再度上昇に転ずる。

    カオスを追いかけようとする敵影をセイバーのアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲が真っ赤に焼き尽くす。ピクウス76mm近接防御機関砲が咆哮を上げるたびスピアヘッドを叩き落とし、スーパーフォルティスビーム砲がスカイグラスパーをパイロットの命ごと消し飛ばしてしまう。

    アグネス「(再突入の必要は…。無いわね)撤収しますか?」
    アスラン「ああ。『こちらセイバー。ミネルバ、カルパトス島とカソス島を奪取完了』」
    タリア「了解。『ロドス島中東方面軍は2島に物資・人員の移送を開始してください』
    ザフト軍指揮官「了解」

  • 68二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 09:09:23

    このレスは削除されています

  • 69二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 09:11:12

    このレスは削除されています

  • 706824/10/24(木) 09:21:23

    >>67

    自レスを見て、誤字脱字があまりにも多かったので再投稿。


    >映画やドラマやアニメで戦闘シーンを暗く映す演出は止めるべきだ。非日常的な空間で戦争が行われていると勘違いする者が出たらどうするんだ。


    思えば日本軍守備隊が全滅したペリリュー島も、美しい南国の島だったと言うしなぁ。「煤と煙と炎にまみれた、

    如何にもありがちな非日常的風景」の中だけで戦争は行われている訳ではないと気づかされる名文だと思います。


    その点、種運命本編の第二次オーブ侵攻線で、オーブ・オロファト島首都のビジネス街をZAFTの空戦MSが

    低空飛行で駆け抜け、その様子を一般市民がオフィスの窓から目撃して動揺するというシーンは秀逸だった。


    戦争とは日常を叩き壊すもの。その演出を再評価するのに20年かかったのは種運命が先進的過ぎたのか、

    我々の認識と感覚が追いつくのにそれだけ時間が必要だったのか……。



    追記。スレ画はあまりにもお労しいからやめてあげて。主に准将閣下の精神的に。

  • 71二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 09:51:13

    かなり精神的にキテるねアグネス

  • 72二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 10:29:17

    あまりにも美しい空と海との狭間で繰り広げられる、問答無用の殺戮の応酬。これは確かにPTSDものですわ。
    平時ならバカンスに最高のシチュエーションに、自分が生産した「人間だったモノ」が転がっているんですから。
    下手すりゃ二度と観光旅行に行けなくなるぞ。プラントの中ですら、似たような風景を見たらフラッシュバック
    を起こしかねない。

  • 73二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 18:05:03

    誰かアグネスを休ませてあげて・・・

  • 74二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 18:22:33

    アスランも無双してるけど、かなり立場的に不味くないか?いや、オーブではアレックス名義ではあるんだろうけど。
    中立国オーブの人間がこんな大規模攻撃に参加するのは許されないし、今後オーブではアスランに戻れないんじゃ…

  • 75二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 18:38:43

    >>74

    アスラン(アレックス)はオーブの軍人じゃない

    あくまでアスハの私設護衛兼代表首長の選任を受けたプラントへの使者なので民間人

    ましてや亡命前は元々ザフト軍所属だからまあ多分なんとかなるんじゃない? きっと

  • 76二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 18:42:25

    >>75

    追記

    花嫁強奪事件の前後にセイランによってアレックスの市民登録消されてるの忘れてた

    なのでアスランとして新たに市民登録できるんじゃないかな

    アスラン・ザラの経歴に謎の空白の2年間が生まれるけど

  • 77二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 18:49:33

    >>76

    成る程!

    それなら公式にオーブへ移住(本編通りなら亡命になるか?)した方が記録もスッキリするのか。

  • 78二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 18:55:44

    降下→地上戦→シャトルで戻る→目的地上空に移動して即降下→地上戦…

    コンパスの主任務を2年先取りしてませんか…?

  • 79二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 19:15:28

    >>73

    ???

    (ロゴスの発表でもっと混乱するかと思ったが、議会の動きに加えて、作戦も上手く行きすぎて政情が安定しすぎているな…先行する強襲部隊が活躍しすぎているのか。

    アスラン・ザラとアグネス・ギーベンラートか。優秀な人間だが、この2人には休んでもらおう。永遠に、ね…)

    こうですか?

  • 80二次元好きの匿名さん24/10/24(木) 19:31:19

    >>78

    しかも労働環境のブラックぶりまで先取りしてるし……。それでもポジティブに考えれば、事前に

    「コンパスを創設・運用したらこういう問題が起きますよ~」と洗い出しが出来ているとも……。

  • 81二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 01:37:06

    (カウントMS329 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ26 輸送機1 リニアガン・タンク30 自走リニア榴弾砲16 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機46 軍用艇3 ブルドック34 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等84)

    秒刻みの作戦展開は止まることを知らない。ザフト中東軍の人員・物資輸送部隊と後方から届いたグゥルに乗り込んだブレイズザク6機は、既にこちらの知らせでロドス島最南端から空路出発している。エアカバーはレイとショーンとデイルが掛けてくれている。

    ブレイズザク隊はロドス島を放棄するわけではない。既に島の掌握はアナトリア半島から到着したザフト地上部隊が済ませている。空路、アナトリア半島から『ロドス島分隊』のバビ隊も駐屯を開始中。彼らに『バケツリレー』と島の占領は任せ、こちらは『歩を進める』のみだわ。彼らが着陸する空港の片づけをしなければならない。

    上空の警戒はセイバーに一任する。先ず、カルパトス島国立空港の『障害物』を脇に除け、スペースを空ける。その次はカソス島、海を越え空港に散らばる兵器の残骸と黒焦げた亡骸をテンポよく運んでいく。時間がないのは救いだ。余計な感傷の一切を排除してくれる。

    両空港の片づけが終わったのと同時にカルパトス島国立空港に我らが『歩』ことブレイズザク6機と陸上部隊、整備兵、物資が到着する。

    アスラン「レイ、ショーン、デイル。上空警戒を。俺とアグネスは弾薬と電力を補充する」
    アグネス、レイ、ショーン、デイル「了解」

    カソス空港からカルパトス島国立空港にとんぼ返りし、同じく降り立ったセイバーと同じタイミングで電源車のコードを接続、ミサイル、弾薬の補充が急ピッチで進む。

    空を見上げると白とオレンジと無地のグフがセイバーの代わりを早速務めてくれている。ハイネ先輩の御下がり、使い心地はどうなのかな。

    レクイエム生き残り組、モビルスーツの外側からも異様な空気が出ているわね。今のところ、『真ん前』には出せない。今は、この島を守ってもらう。

  • 82二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 01:46:00

    私達は間断なく行動するのみ。
    アスラン「AWACSディン、サントリーニ島の状況を報告せよ」

    サントリーニ島はカルパトス島北西約180㎞、クレタ島首都イラクリオン北北東約115㎞、ユーラシア連邦ギリシャ本土から南東200㎞に位置する島だ。アトランティス伝説の起源ともされるミノア噴火により陸地が陥没、現在は三日月型の本島を含め5つの島よりなる。

    サントリーニ島には軍民共有空港であるサントリーニ国際空港が存在する。あの島を押さえるた時点で第一次作戦は完了する。

    AWACSディンパイロット「サントリーニ国際空港は陸上防空部隊が大隊規模。対MS戦闘ヘリコプター48機…。これは!クレタ島・イラクリオン国際空港からウィンダム隊120機機、ザムザザー1機、ユークリッド2機発進中。サントリーニ国際空港に向かっています。こちらの意図を読まれました」
    アスラン「了解」
    アグネス「了解」
    アグネス「(流石にサントリーニ島は看過しないわね。あの島がザフトに陥落したら、ボスポラス・ダーダネルス海峡行き等、絵に描いた餅になってしまう)」
    別の偵察機からも立て続けに急報が入る

    AWACSディンパイロット「ギリシャ本土の航空部隊にも動きが!ラリッサ空軍基地、ユーラシア連邦がドイツとイタリアから下げたウィンダム隊約90機にスクランブルが掛かっています」
    アスラン「了解。『グラディス提督、ミネルバ降下開始を。作戦変更を上申します。降下地点はクレタ島東部、シティア空港に。押さえます』」
    タリア「…!!…。分かりました。ミネルバ、降下開始」

    急な予定変更、仕方ない対処するのみ。サントリーニ島に敵の注意が向いているなら、そこは今、衝くべき場所ではない。

    回線越しからミネルバブリッジのやり取りが慌ただしく耳に飛び込んで来る。
    メイリン「大気圏突入まで後20!」
    タリア「ブリッジ遮蔽。全隔壁閉鎖せよ」
    アーサー「本艦はこれより大気圏に突入する。ブリッジを装甲区画に遷移、プロトコルR2発令、大気圏突入に備えよ。冷却システムオンライン、融除シールド作動」

    遂に我らの母艦のお出ましか。乗せられるだけの艦載機を乗せて、エーゲ海に。
    アグネス「(やはり予定通りにはいかないか。相手も馬鹿じゃない。こちらもバカには成れない)」

  • 83二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 01:52:29

    アスラン「レイとショーンとデイル、カルパトス島国立空港に駐屯するブレイズザク隊6機は連携して、カルパトス島とカソス島を保持せよ。アグネス、シティア空港を攻める!」
    一同「了解!」

    敵がこちらの狙いをサントリーニ島と読み違えている(読み違えていない)間にクレタ島東部に討ち入る!

    セイバーとカオス揃って、空港を発進。眼下で手を振る陸上隊にコックピット内で敬礼する。シティア市はカルパトス国立空港から海を越え95㎞の距離、クレタ島東部の港町だ。

    さほど大きな町ではないがギリシャ各地を航路で結ぶ港があり、シティア公共空港も存在する。E75号線(欧州自動車道路)が始まる地点でもある。

    アグネス「(先程のスカイグラスパーとスピアヘッドはその空港から発進してきた。第2波が無いと言うことは、緊急発進できる機体があれで全部だったということ。獲るなら今しかない)」

    セイバーと共に二つの島を高速で横断する。完全に虚を突かれた形のシティア公立空港から対MS戦闘ヘリ12機が急速発進する。飛び出さなければ良かったのに。
    アスラン、セイバーがアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲で薙ぎ払い、全機撃墜されている。

    敵飛行隊撃破を確認しながら、私はカオスを急降下させ、カリドゥス改・複相ビーム砲で港湾部に展開していたリニアガン・タンク10両を燃やし尽くす。そのまま、傍に控えていたブルドック6両もピクウス 76mm近接防御機関砲で粉砕、シティア港も獲らねば意味がない。

    港の敵を殲滅、次は空港。滑走路に展開し始めた自走リニア榴弾砲8両、リニアガン・タンク8両、ブルドック8両、指揮車両1両にビームライフルとファイヤーフライ・誘導ミサイルを発射、爆発炎上させ、空港上の戦闘力を消滅させる。

    E75号線に逃げ出そうとした軍用トラックと兵員輸送車計20両を20mmCIWSで吹き飛ばして一旦、作戦を区切る。

    (カウントMS329 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ26 輸送機1 リニアガン・タンク38 自走リニア榴弾砲24 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機46 軍用艇3 ブルドック42 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等105)

  • 84二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 02:08:25

    地獄の釜からスプーン一杯分のスープをぶちまけたような光景が地には広がる。目を背けるように蒼穹を仰ぐと、黒い大梟が宇宙から舞い降りてくる。

    改ミネルバ級惑星強襲揚陸艦『ミネルバ』、もはや過積載などと言う概念は生温い。その身に詰め込んみ、背負ったモビルスーツは何と38機!
    アグネス「(アイデアを出した私が言うのもおかしいけど、滅茶苦茶よね)」
    両側の甲板にはザクを8機ずつ載せている。呆れを通りこした恐れが浮かぶが、私の感情などこの場に存在する余地はない。

    彼の女神も己の眷族がこのような振舞いをすることに、オリンポスで眉を顰めていることだろう。

    眉を顰めるで、ふと、グラディス提督のむっとした表情が思い出される、ちょっと笑ってしまった。何かおかしい。テンションが変だわ。

    アグネス「(でも、今はそれが心を支えてくれてもいる。上官に頼りきりになるのは良くないのに…)」

    今は仕方ない。己と戦友の生存、それのみに集中せよ!

    天より舞い降りる梟からはまず、雛が6羽飛び立つ。兵力が一時空白になっていたカソス市営空港を守らせるためだ。彼ら彼女らは、レイの護衛の下、無事、目的地に降下を終える。弾薬の予備と電源車は隣の島から運ばれてくる。心配いらない。

    カソス組は休暇切り上げ組、腕もなまっていないし、悲しき過去も少しだけ控えめ。当てにしている。

    カソス島上空を通り過ぎたミネルバはやや高度を下げ始める。それに合わせて、セイバーは機首を上昇させ、ミネルバに並行飛行可能となった段階でモビルスーツ形態に変形、デュートリオンビームで電力充電を開始する。マリクさんの操舵の技とアスランの技量により、降下作戦を続行しながらの充電になる。

    その間も私は敵戦力の粉砕を続ける。まだ終わっていない、ここからが大変なんだ。

    シティア市内から急を聞きつけて、空港に駆けつけてきた連合兵をまず排除する。機体を一時、モビルスーツ形態に変形、12.5mmCIWSでゲートに急ぐ者達をハチの巣にしていく。糸が切れたような人形のように何十人もの人間が撃ちた倒されて行く。

  • 85二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 02:18:19

    そのまま、駆けつけつつある軍用トラック7両も20mmCIWSで粉砕、炎上させる。奇襲はまだ完了していない。速度を上げることがあっても止まることなどできない。

    カオスはE75号線沿いの防空部隊を粉砕し続ける。この道路はクレタ島北海岸を横断し、シティア市からクレタ島首都イラクリオン、そして私達の目標地点たるソウダ湾基地に通じている。

    逆に言えばこの道路を不通にしてしまえば陸路での反撃は敵にとって困難になる。何両リニアガン・タンク、自走リニア榴弾砲、ブルドックがあっても『車両』である以上、道路と橋が通行可能でないと進めない。

    破壊された車両を動かすのだって手間がかかる。今は1秒が万金に値する。

    モビルアーマー形態に変形。高推力スラスターで市街の丘からミネルバを狙っていた自走リニア榴弾砲4門をビームライフルで吹き飛ばす。次のポイントにいた6門はカリドゥス改・複相ビーム砲で蒸発させる。

    ビームクローを下げ、地面ギリギリ、道路すれすれを飛行しながら出合い頭に歩兵、装甲車、軍用トラック、自走リニア榴弾砲を切り裂きながら山がちな郊外を駆け抜ける。

    赤十字マークの車が目に飛び込むたびに冷や冷やする。その時だけは足を上げて避けなければいけない。道路が海岸に抜けるまでに計45両の軍用車両をスクラップにしている。中身もろとも。

    (カウントMS329 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA10 対MSヘリ26 輸送機1 リニアガン・タンク38 自走リニア榴弾砲46 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機46 軍用艇3 ブルドック42 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等138)

    カオスの爪がミラベッロ湾に達するころ、低空飛行に入ったミネルバからシティア空港にケルベロスバクゥハウンド3機とブレイズザク13機の着地を確認。充電を終えたセイバーがカーゴハッチから直接、電源車・ 弾薬運搬トレーラー・給水車を往復して積み下ろしを始める。それなりの速度をだしながらのことだ。一般人が見たら驚嘆することだろう。

  • 86二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 02:34:41

    アグネス「(私達はできる。これが強さとして働くはずだわ)」

    というか、現に働いている。クレタ島内にザフトの拠点が瞬く間に完成してしまった。ソウダ湾の連合司令部はまだ、そのことをまともに認識しきれていないだろう。

    タリア「アグネス。ご苦労だったわね。直ぐに充電開始。上空警戒はセイバーとミネルバ自艦で行う。デュートリオンビームが終わったら着艦して、弾薬の補充を受けなさい」
    アグネス「はい!」
    アビー「オペレーターは私が。メイリンさんは陸戦隊と空港施設に突入します」
    アグネス「了解。アビーお願い」
    アビー「はい」

    セイバーはメイリンも乗っていると思われる兵員輸送車をそっと空港の空きスペースに降ろす。ミネルバの降下中にアビーと交代して乗り込んだわけだから、彼女もすごい決断をしたものね。

    ただ、これでクレタ島内の電子戦はこちらの優勢が確定したようなものだ。連合軍はシティア空港基地内外を接続するネットワークの自壊を完了していない。彼らが物理的に切り離しを完了できるまで、メイリンは大いに腕を振るってくれるだろう。

    積み下ろしが終わり、大旋回するセイバーは早速、イラクリオン国際飛行場から飛来したダガー隊を撃墜し始めている。私はカオスをミネルバに並行飛行させつつデュートリオンビームの照射を受ける。
    ミネルバからは副長の指示の下、ミサイルが唸りを上げて噴射され、まばらに飛来する敵機を吹き飛ばし、ミラベッロ湾に残骸が舞い散っていく。

    カオスとセイバーがシティアを奇襲してから、まだ2分と経っていない。時間の経過と自分の感覚が歪みそうになるのを必死に耐える。

  • 87二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 06:35:32

    メイリン無双

  • 88二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 08:11:57

    >>86

    >アビー「オペレーターは私が。メイリンさんは陸戦隊と空港施設に突入します」


    マジでメイリンにも勲章授与されないか?「名誉白兵戦記章」とか。


    まだ敵軍の立て籠もってる基地に陸戦隊と一緒に突入って、普通のオペレーターは

    まずやらないぞ。ボディアーマーを装着して、自動小銃は持たないにしろ短機関銃か

    拳銃を護身用に持って、場合によっては電子機材を担いで……。他の陸戦隊員は自分

    の装備で手一杯、何か余分な装備を持っていたら動きが鈍くなってタヒにかねないから

    下手に荷物持ちは出来ない。しかも人数がミネルバ一隻分(他に無理やり詰め込んだ

    増援多少あり?)だからメイリンの荷物を分担できる余裕はほぼ無い、と……。


    うん、マジで勲章物の危険地帯突入だわこれ。

  • 89二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 18:21:40

    保守。

  • 90二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 18:40:55

    さすがのメイリンも、まだFreedom時代程の経験積んでない筈だから、どこまで無双できるかな…
    今時点でもかなりの無法っぷりではあるけど

  • 91二次元好きの匿名さん24/10/25(金) 22:16:36

    >>90

    ハッキングスキル云々よりこの場合問題なのはサバイバルスキルだよ。ほんまもんの室内近接戦闘が予想される場所に、

    いかなコーディネーターとは言え管制が本職のオペレーター女子が入り込んで、ホントに大丈夫なのか? ルナマリアは

    パイロットだから拳銃で射撃訓練をしていた(でも下手っぴ)けど、メイリンってそういう事アカデミー以来してるの

    だろうか。敵基地に飛び込んだら、自動小銃に機関銃、手りゅう弾にクレイモア系対人地雷と白兵戦火力総出のお出迎え

    だ。ミネルバ陸戦隊の実力がどんなもんかは知らんけど、「怖い目」程度じゃすまない鉄火場を潜り抜けなきゃならん。

    ましてや蟹さんのその中身の中身は別の場所で激戦中だし。マジで「メイリンは生き残る事が出来るか!」状態なのよ。

  • 92二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 02:40:28

    ミネルバ艦内でカオスの弾薬補充が慌ただしく進む。デュートリオンビーム照射時間も合わせ、再出撃まで2分以内に済ませなくてはならない。

    外からコックピットがノックされ、ヨウランが栄養・水分補給飲料を届けてくれる。私も急がなければいけない。飲み物を受け取り早速口を着ける。その時、彼と久しぶりに視線を合わせたことに気が付いた。

    アグネス「ようらん、全然久しぶり?!」
    ヨウラン「何で疑問形。大気圏突入前に会ったばかり…。いや、いろいろあったもんな」

    彼の瞳の奥に労りと感謝の光が見える。
    ヨウラン「どうぞ。アグネスの体調は?凄いな、ニュージーランド。大洋州のやつら、皆、テレビでお祭り騒ぎだ。国家再統一だって」

    気遣ってくれるのね。何か感動…。
    アグネス「う…。ぅぅ…」
    ヨウラン「ちょっと。泣くなよ。ごめん」
    アグネス「謝んないでよ。ありがとう。本当にありがとう」

    慌てる彼の仕草を必死で制しながらお礼を連呼し、グビッとドリンクを飲み込む。泣いてしまった、男子の前で。苦しくて、辛くて、自分が駒として使い潰されて行くみたいで…。

    アグネス「嬉しくて。恥ずかしいけど、労わってもらえるのが…。皆大変なのに…」
    ヨウラン「良いって。大変なの、分かっているから」

    差し出されたボトルを飲み切る。どんなお礼を言えばいいか分からないから、彼に心を込めて、そっとそれを引き渡す。この浅黒い肌の少年と私はアカデミー時代に諍いを起こしたことがある。それなのに…。
    アグネス「(恵まれているわね。もう少し頑張らないと)」

    ボトルを受け取り、格好つけて敬礼してくる彼に、私も精一杯格好つけて敬礼を返す。目の前で泣いちゃったけどね。

  • 93二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 02:47:22

    私の感傷に世界が合わせてくれるわけはない。モビルスーツ格納庫、カタパルトの中はもう一つの戦場だ。けたたましい騒音とアナウンスが流れ続けている。

    既にガズウート6人組は甲板直通エレベーターを使い、左右に3機ずつ配置についている。

    アビー「ザク、ルナマリア機、発進スタンバイ。ウィザードはブレイズを装備します。全システムオンライン。発進シークエンスを開始します。カタパルト推力正常。針路クリアー。ザク、発進どうぞ!」
    ルナマリア「ルナマリア・ホーク、ザク、行くわよ!」
    アビー「グゥル射出!」

    ルナマリアを含むザク隊10機も次々と発艦を開始。今回の戦いは大気圏内、ザク単体では飛べないからグゥルを使う。無論、グゥルの機動力ではジェットストライカーを装備したダガーLやましてウィンダムと戦闘などできない。

    彼らがグゥルに乗っているのは単にミネルバの甲板の広さが足りないためだ。『足の踏み場』としてグゥルに乗っている。CIWSを始めとしたミネルバ本体との相互援護が可能な範囲を出ることなく、艦と文字通り行動を共にする。

    アグネス「(それプラス、誘導砲塔の役割ね。改ミネルバ級の誘導砲塔、便利なんだけど、大気圏内では分離できないからね)」

    ザク隊は前、後ろ、左右、艦底に2機ずつ配置。全機ブレイズウィザード。ビーム突撃銃の他、片手にはもう一本余分にビームトマホークを持っている。いざという時、この武器はとても役立つことが戦訓で判明している。

    カオスの通信回線から他にも様々な情報が耳に飛び込んで来る。
    タリア「アビー。シンに、本艦の次の攻撃ポイントがイラクリオン市南東39㎞内陸部、カステリ・ユーラシア連邦空軍基地、次にイラクリオン国際空港(軍民共有)であること、降下のタイミングは任意と伝えて」
    アビー「了解」
    アーサー「偵察隊、サントリーニに向かった敵部隊とギリシャ本土からの増援部隊の所在を報告せよ」
    AWACSディンパイロット「サントリーニ島手前でイラクリオンに引き返しました。シティア市の方向には向かっていません。イラクリオン北北東100㎞。ギリシャ本土からの援軍はハルキス市北西60㎞。まだギリシャ本土を抜けていません」
    アーサー「良し!いいぞ」

  • 94二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 02:52:52

    正に良し!今、ミラベッロ湾上空にいる私達から見ればカステリ空軍基地までは西に40㎞、カステリ空軍基地からイラクリオン国際空港までものの20㎞。

    アーサー「エジプトからの援軍の所在は?」
    AWACSディンパイロット「クレタ島南部イエラペトラ市南南東330㎞海上に」
    アーサー「良し。分かった。監視を続行。それ以西の北アフリカ艦隊は?」
    AWACSディンパイロット「マルタ沖を目指しています」
    アーサー「了解。そちらも監視を」

    ブリッジのやり取りを把握、再出撃の時間が来る。一応、今の戦況は悪くはない。各個撃破出来ている。
    アグネス「(実際はそんな恰好が良いものではなく、ただの綱渡り。ロープの下には血と肉でドロドロになった底なし沼が広がっている…)」

    綱が揺れるたびに、誰かの焼き焦げた亡骸とミキサージュースになった血肉が沼に降り注ぎ、水嵩はどんどん増していく。ただ、今はその意味を問う日ではない。自分が、仲間が落ちる側にならないように誠心誠意務めるのみだ!

    アグネス「出撃可能です」
    タリア「大変だと思うけど、カオスは本艦に先立ちカステリ空港を強襲せよ。イラクリオンからの部隊はセイバーが抑えます。
    アグネス「了解」

    アビー「カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

    ミネルバから発艦、後方にはミラベッロ湾、既にミネルバはクレタ島内陸部に進出している。
    ついさっきまで、上空付近を横切っていたラシティ県都アイオス・ニコラオス市、その港と同市を横切るE75号線沿いには黒焦げた残骸が散乱している。連合軍防空隊『だった』自走リニア榴弾砲39門、リニアガン・タンク13両、ブルドック13両、そしてそこに乗っていたはずの兵士達。

  • 95二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 03:03:52

    ミネルバからの攻撃とグゥルの6連装ミサイルランチャー2基10機分のミサイル弾幕が降り注いだのだ。彼らにとっては青天の霹靂だっただろう。

    出撃早々にミサイルを撃ち尽くしたグゥルの弾薬補充が、また後方で慌ただしく始まっている。勿論、その間もミネルバは飛行を止めることは無い。

    カオスをモビルアーマー形態に変形させ、高推力スラスターを一気に噴射する。皆の先駆けの任を果たさなければいけない。

    ミラベッロ湾からカステリ空軍基地に向け、ラシティ高原を一気に駆け抜ける。山がちな高原地帯だ。昔は白い風車で有名だったと聞く。
    この地には大神ゼウスが生まれ育ったディクテオン洞窟も存在する。不敬な形で飛び越えざるを得ない。眼下に広がる雄大な自然、古き時代の名残り香を未だに留める修道院、それらを前に『原初の神』の名を勝手に借りた兵器を乗り回し、殺戮の手を止めない。

    そんなことは人類の歴史に泥を塗ることではないか。この地に文明を築き、私達に有形無形の贈り物を残してくださった父祖が望んだ未来とはこんなものだったのか。これに比べたら彼の神の好色も何の罪になるのだろう。

    カステリ空港が射程圏内に入る。内陸部の軍事拠点だからか、基地内には大量の軍事車両と仮設兵舎、キャンプが広がっている。旅団無いし、師団規模が駐屯している。
    今更になって、警報が鳴り響き、蜘蛛の子を散らすように人々が逃げ駆けまわり、あるいは自走砲や戦闘車両に飛び乗り始める。

    恐らく目視するまで、場合によっては目視して猶も私達の接近に気が付いていなかったかのようだ。早くもメイリンがレーダーと連絡網を引き裂いてくれたのか、あるいは私達の進撃速度が速すぎて理解が追いついていないのか。

    アグネス「(多分、両方かな。どっちか一つも勿論あり得る)」
    空港では、ダガー隊の発進準備が格納庫から引っ張り出され、地下からゲルズゲー3機が這い出して来る。

    コックピット回線にミネルバブリッジの指示が飛ぶ。ミネルバは今、カオスに後続中だ。援護射撃をしてくれるのか。

  • 96二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 03:09:08

    タリア「タンホイザー起動。照準の際には射線軸前方に留意。人口の希薄エリアだけど、街を吹き飛ばさないでよ。攻撃が軍用地内に留まるよう特に配慮せよ。カオスは発射と同時に空港に切り込め」
    アグネス「了解!!」
    アーサー「タンホイザー、目標、敵空軍基地。空港全体を薙ぐ払え」
    チェン「プライマー兵装バンク、コンタクト。出力定格。セーフティ解除!」

    『了解!!!』、信じられない。後ろからタンホイザーが飛んでくる!?撃った直後に陽電子ビームの滝つぼに身投げする…。皆で帰るためだ、それでいい。余計な考えなど浮かばない。高推力スラスターの進路を急いで修正、ビームライフルはマウントし、両手でヴァジュラ・ビームサーベルを引き抜く。

    アーサー「撃てぇ!!」
    カオス後方からタンホイザーの真っ赤な土石流が空港を南から北に流れ下る。グラディス提督の指示通り市街地にこそ攻撃範囲は及んでいないが、クレタ島内陸部に巨大な衝撃が巻き起こるのだ。その心理的打撃たるや…。

    ホバーで急上昇したゲルズゲー3機が古代の亀甲部隊のようにビームシールドを合わせ、何とか管制塔等基地中枢施設とダガーL隊、防空連隊は庇いきるが、キャンプを広げていた旅団以上の将兵、数百台・数百両の軍事車両はその余波を免り切れない。砂嵐と暴風雨、光の洪水と共に数千~万の命が吹き消される。

    その洪水が流れ、その余波と嵐が渦巻く中、カオスは殺戮の巷となった基地に突入、太陽を背にする利点など今回はない。

    亀甲陣形を解け切れていないゲルズゲー2機の横腹をビームサーベルで切り裂き、随伴に飛び出したダガーをファイヤーフライ・誘導ミサイルで24機、吹き飛ばす。カリドゥス改・複相ビーム砲で防空連隊の内、自走リニア榴弾砲8両・リニアガン・タンク6両・ブルドック3両を焼き尽くすと同時に最後のゲルズゲーの両腕のビームクローで捥ぎ取ると、真上から持ち替えたブームライフルで撃ち抜き、その場を急速離脱する。

    バランスを崩しながら順に落ちていく巨大な半人半虫が大爆発を立て続けに3回起こし、タンホイザーを免れた兵士、ダガーL隊、防空部隊、管制塔をその衝撃と炎で覆いつくす。
    上空を振り返って、自分達が行ったことの取り返しのつかなさに驚愕する。

  • 97二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 03:51:13

    アグネス「(ゲルズゲー3機の爆発に巻き込まれた連合軍だけで…。ダガー36機、自走リニア榴弾砲26門、リニアガン・タンク26、ブルドック30両、、軍用車両等50、歩兵等1個大隊以上…。ゲルズゲーが彼らを最も効率よく庇えるポジションを取った事、当然の心理として盾の下に敵兵が集まったことによるものだけど)」

    そして、それを狙っての攻撃。成功したことを喜ぶべきだ。正しいことを確実に行ったんだ。私達は!

    (カウントMS389 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA13 対MSヘリ26 輸送機1 リニアガン・タンク70 自走リニア榴弾砲80 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機46 軍用艇3 ブルドック75 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等188)

    自分の役割を果たしたところで、カオスをミネルバに並走させる。こまめに電力は補充しておきたい。これからが本番になる。

    アグネス「アビー、デュートリオンビームをお願い。充電しだい着艦シークエンスも。弾薬を補充する。ブリッジ!」
    タリア「許可します。アビー」
    アビー「了解。デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、カオスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    充電中にも刻々と状況は切り替わっていく。空港内の生き残りに止めを刺すべく、ミネルバからはミサイルが雨のように降り注ぎ、甲板のガズウート隊からはファルコーネSSM地対地対艦ミサイルが全弾発射される。ガズウート隊は発射したら即、ミサイルを補充だ。

    アグネス「(本当に容赦がない。グラディス提督が無情な訳ではない。戦争が無情なんだ)」
    しかも、これでもまだ、私達は『綺麗な戦争』をしている方。第二次世界大戦の東部戦線はどれ程のものだったのだろう。身を置かずにすんで良かった。これからも断じて、同じような状況には成りたくない。

    カタパルトに着艦して、補充を受けつつ、さっきの自分の内心を振り返る。『自分の役割』、私の役割ってなんだ?任務、任務だ。人道犯罪と戦争犯罪には手を貸さないと決めている。それ以上、自分に何ができると言うんだ!?

  • 98二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 06:48:55

    ソフトターゲットに陽電子ビーム…
    劇場版のレクイエムのシーンと似たような画になってる?

  • 99二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 07:43:17

    タンホイザーで動きを封じたからとはいえゲルズゲー3機を瞬殺…
    既にバケモンみたいなレベルに成長してる…

  • 100二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 08:58:24

    戦争ってのは惨いものだね
    ヨウランの前で泣き出すくらいだしアグネスのメンタルはずっとボロボロだ
    それでもスーパーエース級の動きができてて流石

    アグネスのメンタルのやられ具合に廃人寸前のキラと未熟だが反戦を叫び続けるカガリを思い出した
    軍属としての教育を受けている分タフかもしれないが頭で分かっていても心はそう割り切れないだろうし彼女はどうなるかな…

  • 101二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 09:20:09

    やっぱデュートリオンビーム強いなぁ
    戦場で数秒棒立ちになるけど急速充電できるし

  • 102二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 11:46:36

    もう戦後にコンパスで死んだ目でキラと一緒に残業しながらブルコス狩りする作業マシーンになってるアグネスの姿しか想像できねぇ…

  • 103二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 14:38:34

    やはり陽電子砲、それも汚染抑えて引き金軽くなったのは強い
    でも強い兵器を使うと相手も引き金軽くなるのが怖いのよな。前大戦でケチついたとはいえ、陽電子砲搭載艦はあっちが本家
    AA級量産からの並べて陽電子砲とかありえるし、やられたらミネルバ以外生き残れない

  • 104二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 21:33:08

    >>103

    結晶装甲が実装されてなかったらミネルバでも生き残れない…

    すぐに製造できるものではないけど、ザフトが撃つならうちもバンバン撃っていけ…の応酬で、世界の風潮が陽電子ビーム(以上)が標準になる可能性もあるよね

  • 105二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 00:00:47

    アストレイで外付け陽電子砲だのキャンセラー付き核動力も出てるしな
    デストロイよりあっちのが怖いわ。NダガーNみたいなステルス機に持たされたら・・・

  • 106二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 00:45:58

    >>104

    >世界の風潮が陽電子ビーム(以上)が標準になる可能性もあるよね


    最終的には「波動防壁」でもなければ軍艦としてやっていけないという時代が来るやも知れん。


    もう理論上は「メ一号作戦」の時の「キリシマ」と正面切ってやりあえるレベルなのよC.E世紀

    の陽電子砲搭載艦って。発射間隔や射程に問題がなければ、ガミラス艦とて撃沈可能な化け物だ。

    ただしガミラス艦は陽電子ビームが主砲でデフォだから、傲慢サンダーだのディスラプターだのを

    持ち出さなければ……あれ?持ち出せば案外勝てるんじゃね?


    つーかなにか? 将来的にC.E世紀の軍艦は「フェムテクレベルの装甲」と「プラウドディフェンダー

    級の防御シールド」が標準で主砲は陽電子砲、決戦兵器に「収束重核子ビーム砲ディスラプター」を

    装備するのが標準になるのか?んでもって、それで人類同士で内戦やるのか?


    ……もし自分が地球侵略に様子を見に来た宇宙人だったら、怖くて絶対手を出さないか、「○られる前に○れ」

    とばかりに太陽系丸ごと吹き飛ばすかのどっちかだな。こんな超兵器を持ってなお同族同士で内戦してる狂暴な

    種族(しかも艦艇どころか20m級の機動兵器に搭載できる技術力アリ)なんて、災厄以外の何者でもないよマジで……


    半分ジョークのつもりで書いたら、結構怖い結論に至ってしまった……。

  • 107二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 03:16:27

    アグネス「(落ち着け。マインドフルネス、マインドフルネス、呼吸を…。整えるのよ)」

    イラクリオン国際空港はこんなものでは済まない。自分の行いに疑問を少しでも抱けば、私は死ぬ。自分が死ぬことで仲間が大勢死ぬ。その後悔を断末魔が終わるまで、永遠に近い瞬間味わいつくした挙句、暗闇に落ちることになる。

    アグネス「(大変でも辛くてもそれだけは嫌だ。ここで私が命を落とせば、皆の頑張りが無に帰す。その命ごと文字通りの意味で。そんなこと、自分が生きたまま焼き殺されるより辛い)」

    気をしっかり持たなくては、今をただ、戦うだけだ。

    アビー「カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

    弾薬補充終了と同時にミネルバの前に飛び出て警戒飛行開始。私と入れ替わりになってセイバーが前線から一時、ミネルバに接近、素早く充電を開始する。

    アスラン「アビー、デュートリオンビームを。弾薬の消費は抑えた。充電だけで良い」
    アビー「了解。デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、セイバーを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    セイバーの充電の隙を衝いて、敵機が来襲するかと思ったが…。カステリ空港救援は諦めたのか。
    補給を進める間もミネルバの足は止まらない。このままイラクリオン国際空港を強襲する。今なら、サントリーニ島手前で引き返した連合軍-ザムザザー1、ユークリッド2、ウィンダム120機-が戻る前に攻撃を開始できる。

    イラクリオン市はクレタ島の首都だ。イラクリオンと言う名では馴染みがない人も古代ミノア文明やミノタウロス伝説の元となったとされるクノッソス宮殿は知っているのではないだろうか。悲しき怪物が退治されてから幾星霜、古代文明の礎は今も猶、郊外の高台から地中海世界の営みを見守っている。

    アグネス「(諸説あるけど、平和な文明だったとされている。交易で栄え、女性は胸をはだけたファッションだったとか。きっとそれが可能な時代だったのね)」
    今だったら、そんな振る舞いは出来ない。身を守るためにも。装いばかり固くなっていく。

  • 108二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 03:24:33

    我らが攻略せんとするイラクリオン国際空港はありがたいことに、大事な古代遺跡からも都市中心部からも多少の距離がある。軍民共用空港、イラクリオン国際空港は市中心部から東に約5 km、海に面した平坦な地形で、東側が岬になっている。

    アスラン「グラディス提督、セイバー、充電完了しました」
    タリア「よろしい。アグネス、アスランと2機編隊で西から回り込みなさい」
    アスラン、アグネス「了解」

    カオスはモビルアーマー形態そのまま、セイバーも充電が終わった段階で高速飛行形態に変形し、共に西に弧を描くように飛行して突入を図る。飛行中、コックピットに響く通信は刻々と深刻さを増していく。

    AWACSディンパイロット「イラクリオン港に停泊していたアーカンソー級8、ユークリッド8、出港して空港の沖に。岬を半翼で囲むように布陣しミネルバを迎え撃つ意図と思われます。アーカンソー級の艦対空ビームシステム起動を確認」
    タリア「了解。ユークリッドは戦況次第でホバーで乗り上げてくるつもりね。ソウダ湾は?」
    AWACSディンパイロット「動きなし。ただ、イラクリオン港を出港した他の艦はソウダ湾基地に逃げ込む模様」
    タリア「そちらには構っていられないわね。サントリーニ島に向かった隊は?」
    AWACSディンパイロット「沖合20㎞です」

    近い!本当にタッチの差だ!!

    私達が飛行する下、イラクリオン市ではけたたましい空襲警報が鳴いている。駆け回る市民が頑丈な建物や地下鉄に駆け込む。クレタ攻撃はとうに始まっているが、シン曰く『クレタ島は広島県と同じくらいの大きさがある』。人間は自分の近くの攻撃でないと、いや、自分のすぐ隣に火が回ってさえ、ともすれば正常化バイアスに囚われてしまう。民間人だけではない。ソウダ湾の敵主力の動きが鈍感なのも、一番の理由はそれだと思う。

    それが解けるまでどこまでやれるか。秒刻み秒刻み言っているのには理由があるんだ。

    空港の西、市街地東部に差し掛かかる。私を怯えたように、いや間違えなく怯えて見上げる男たち、白目まで見える。

    この島の女性・高齢者・未成年者・病傷者・障がい者は(自らの意思で残ったものを除いては)避難済みだ。ユーラシア連邦の意地と言うか良心だろう。しかし、男性の避難は戦時動員の必要もあり、最後まで行われなかった。

  • 109二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 03:30:11

    アグネス「(あの町にはまだ『民間人』がいる。男性全員が軍服や腕章を着けているわけではない。住み慣れた我が家から離れるのを拒んだ高齢者、夫や婚約者と運命を共にする決断をした女性たちも、きっと…)」

    だから、何だと言うんだ!戦争とはそう言うものだ。事前避難が行われている、それを確認してから攻撃している、それだけましだろう?!別に敢えて狙おうとしているわけではない!配慮はするんだから。

    タリア「アビー、シンは?」
    アビー「既に降下開始しています。間も無くイラクリオン国際空港!」

    アグネス「(シン、インパルスも。なら、もう『やっぱりやめた』は無しね…)」
    今更になって何を言っているんだ。同じようなことはこれまでもしてきたはずよ。

    AWACSディンパイロット「空港滑走路にはゲルズゲー3機が布陣。ダガーL隊120機、対MS戦闘ヘリコプター26機のスクランブルが開始されました。ブルドック・リニアガンタンクよりなる防空部隊は連隊規模が展開中」
    タリア「分かったわ」

    グラディス提督が息を吸った音が聞こえる。私も大きく大きく息を吸う。

    タリア「タンホイザー起動。照準の際には射線軸前方に要注意。イラクリオンはクレタ島首都。ザフトが故意に文民を傷つけるようなことが万に一つでもあってはならない。街を吹き飛ばさないで。攻撃が軍用地内に留まるよう細心の注意を。タンホイザー発射に限定せず、月軌道艦隊は本戦闘において民間人・市街地の被害を最少とするよう努力せよ」
    アグネス「了解!!」、一同「了解!」

    アグネス「(あれは!)」
    敵の陣容を完全に目視して心臓が止まりそうになる。敵の備えが思っていたよりしっかりしている!

    まず、西側海上に縦に3機のユークリッド、空港西端には雁行状に3機のゲルズゲー、そこから陸から海まで横一列5機のユークリッドが丁度『有明月』の形にビームシールドの大盾を並べ重ね合う。
    逆に海上ではアーカンソー級8隻が陸に沿って『三日月』型に並び艦対空ビームシステムで上空を睨む。

    民間人の心配や敵への同情心など一瞬で蒸発する。今回は連合の陽電子リフレクター装備モビルアーマーの数が多い!ニュージーランドやカステリのようにはいかないかも知れない。

  • 110二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 03:40:35

    アーサー「タンホイザー、目標、敵空軍基地。空港全体を西から東に薙ぎ払え。西側には市街地がある。端の方は撃たなくて良い」

    副長の号令が右耳から左耳に抜けていく。
    敵モビルアーマーの『亀甲部隊』が海まではみ出ているのは、ザフトの翼攻撃を恐れてのこと。ちょうど私とアスランがやろうとしているように!

    後方に廻っての奇襲を正しく恐れている。アーカンソー級のビーム砲が天空を向いているのは大気圏降下作戦を予想してのもの。実はインパルスでそれをするつもりだった。相手は案山子じゃない。ちゃんと手を打って来る。私達はその場しのぎで、これを一つ一つ抜いていかなければいけない。

    チェン「了解。プライマー兵装バンク、コンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    アーサー「撃てぇ!!」

    ミネルバ艦首から噴き出す赤色の濁流が空港西から2機目のゲルズゲーの大盾を滑り、そのまま2機目のゲルズゲー、ユークリッド5機と東に流れ去る。
    結果的に西側海上を縦3機のユークリッドと陸上左端のゲルズゲーはビームシールドを張ったは良いが無駄骨になってしまった。

    アスラン「アグネス、空港西端のゲルズゲーを墜とせ。そこから盾を割っていく。提督よろしいですか?」
    タリア「任せます。こちらが合わせる」
    アスラン、アグネス「了解!」

    アグネス「(なるほど。攻勢側が先手を取れる、とはこう言うことなのね。そもそも彼らの方が、数は多い。無理をしてでも敵を叩き続け、思考を消極主義的なものに誘導する意味は確かにある!)」

    空港西端、民間人巻き込みを回避するためにも、敢えてタンホイザーを向けなかったポイントに陣取るゲルズゲーにセイバーとカオスで素早く切り込む。

    タンホイザーの照射を免れたユークリッド3機とゲルズゲー1機、彼らはようやく私達の意図が迂回ではなく的中突破にあったことに気が付く。実はその場の第二プランだったので彼らの読みは正しい。でも、霧の中での戦いでは、最後まであきらめなかった方が勝つ。

  • 111二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 03:57:53

    セイバーは高速飛行形態のままアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲で海上のユークリッド3機を薙ぎ払う。牽制攻撃で方向転換を始めていた3機に再び陽電子リフレクター起動を強制し、注意を自分に向ける。

    私はカオスのカリドゥス改・複相ビーム砲をゲルズゲーに発射、同じく陽電子リフレクターの再起動を強制し、この巨大な半人半虫を『ピン止め』する。
    同時に機動兵装ポッドを開き、予想通りザムザザーを助けに飛び出した随伴のダガーL12機をファイヤーフライ・誘導ミサイルで吹き飛ばす。その後ろでこちらに砲門を向けたリニアガン・タンク3両を高エネルギービームライフルとビーム突撃砲で3両爆発させる。

    胸部の20mmCIWSを回転させブルドックを6両炎上させると同時に、彼らの守り手だった半虫の巨人の横腹をヴァジュラ・ビームサーベルで焼き破り、中の人間ごと劫火と轟音の中燃やし尽くす。
    ゲルズゲーの爆発にリニアガン・タンクが3両巻き込まれるが、今回の巻き添えはそれだけ。流石に相手も配置を工夫している。ただ、これで11枚あった大盾の1枚目を叩き割れた。

    (カウントMS401 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA14 対MSヘリ26 輸送機1 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機46 軍用艇3 ブルドック81 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等188)

    アグネス「(それと、陽電子リフレクター装備モビルアーマーと随伴機の間に微妙な間隙がある。誘爆対策だろうけど、おかげでやりやすくなったわ。『盾』と『騎士』が離れ気味になっている)」

    破壊し陣を抜いたザムザザーの背後で小さく弧を描いて旋回、高推力スラスターの出力を調整細かく調整する。ピアノを弾くように繊細に、地面すれすれを滑るように。その間にも攻撃は続く。周囲のダガーL12機はファイヤーフライ・誘導ミサイルで撃ち落とし、空を舞う対MS戦闘ヘリコプターは左腕を上に曲げ、ピクウス76mm近接防御機関砲で同じく12機撃ち落とす。

    回り込んだ先に位置したゲルズゲーは節足動物のように足を動かして、体の向きを変える。思ったより早い、熟練者か。

  • 112二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 04:07:04

    ただ、その瞬間にミネルバ甲板のガズウート隊がフルカ 2連装ビーム砲を発射し無防備な胴体を撃ち抜かれてしまう。共同して戦っているんだ、私達は。

    アグネス「(爆発に巻き込まれるか、ギリギリだけどね。信頼されるのも辛い)」
    即時にカリドゥス改・複相ビーム砲を発射、又隣のゲルズゲーに命中させた直後、高推力スラスターを全力噴射して上昇旋回離脱する。後方で大爆発がほぼ同時に二つ。一つは私が撃った機体。

    アグネス「(息が出来ない。吐け吐け。吐け!)」
    呼吸を回復させつつ、機体を再降下、攻撃を再開する。

    空港西の海上ではユークリッドが2機爆散している。随伴のダガー隊は波間を漂う残骸になっている。セイバーの攻撃によるものだ。アスラン、頼もしいを通りこしているのではないか。偶に怖くなる瞬間がある。

    上空ではガズウートのファルコーネSSM地対地対艦ミサイルとミネルバのミサイルが8隻のアーカンソー級に降り注ぐ。大盾の1枚目が砕かれたときから袖に攻撃は開始されている。

    アーカンソー級8隻は対空ガトリング砲等で必死に迎撃するが、3隻は抗し得ず撃沈する。3隻が沈んだ瞬間、天から一振りの大太刀と衝撃が舞い降りる。

    シン「うおゥゥゥ!!」
    エクスカリバー・レーザー対艦刀を空に振り上げたインパルスがアーカンソー級1隻を降下と共に一刀両断、そのまま次の艦に飛び乗り切り裂いている。

    取り合えず、あいつは叫ばないと本気が出ないのね、多分。

    西側最後のユークリッドはセイバーが撃破。巨大な水柱と共に随伴機の残骸も高く舞い上がり、やがては落ちていく。
    『盾』の裏側にいたダガーL隊と対MS攻撃ヘリコプター隊、防空部隊には歴戦のザク10機分のファイヤビー誘導ミサイルと同じく歴戦のガズウート6機のフルカ 2連装ビーム砲が炸裂し、どんどん数を減らしていく。
    防空隊にはミネルバのミサイル群とグゥルの6連装ミサイル2基10機分が降り注ぎ、逃げ場のない高熱の中、燃え滓にしていく。

  • 113二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 04:16:00

    見物客になるつもりはない。味方を庇うため地上で向きを変えようとするユークリッド1機を死角からビームライフルで撃ち抜き、地面に叩き落す。空港の路面で大爆発が起こり、駆け回っていた大勢の兵士、出発しようとしていた30台の工兵車、ジープ20両がバラバラに巻き上がり燃え尽きていく。

    雄たけびを上げながらシンは5隻のアーカンソー級を全部斬り終え、その次にはユークリッドに飛び乗って1機目を海中に爆散させている。

    20mmCIWSで空港内の兵士を撃ち続け、ピクウス76mm近接防御機関砲で空港内の軍用車両を撃ち続ける。39両、中には軍人も乗っていただろう。
    アグネス「(乗っていたのは軍人なんだ)」
    輸送航空大隊の大型輸送機12機とVTOL輸送機24機を発見、飛び乗り駆け込み続ける人員ごとカリドゥス改・複相ビーム砲で焼き払い、焼け残りはピクウス76mm近接防御機関砲でハチの巣にする。

    目前の急展開についていけていないユークリッドがクルクル回り、ともかくミネルバを墜とそうと高エネルギービーム砲『デグチャレフ』を上空に向けた。即座にビームサーベルで武装と防御の空白部分を一薙ぎし、急速離脱。背後で大爆発が起こる。

    一旦上昇して戦場を確認すると、こちらに応援に来たセイバーとインパルスがそれぞれ1機ずつユークリッドを撃破して戦闘を締めくくっていた。飛行部隊も防空部隊も物言わぬ鉄塊と丸焦げのタンパク質と化している。

    (カウントMS413 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA17 対MSヘリ39 大型輸送機12 VTOL輸送機25 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 対空砲7 空母11 イージス艦15 駆逐艦2 コルベット艦2 戦闘機46 軍用艇3 ブルドック81 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10 工兵車30 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等247)

    目の前の敵が消えた瞬間、虚無感と絶望感が大波のように押し寄せる。思わず一度、刹那の間、操縦桿を手放してしまう。慌てて握り直す。握った手が固まって離れずに苦労することもあるのに。

  • 114二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 04:35:35

    アグネス「(たった3分に至らない間の出来事だったんだ。私とアスランが突撃を始めてから。あれから空も陰っていない。地中海性気候の冬季は雨の日もあるのに。今日はどうしてこんなに空が…)」

    タリア「総員、集中力を切らすな。気をしっかり持ちなさい。ザク隊とガズウート隊の補給を急がせ。アスラン、アグネス、シン、デュートリオンビームを。カオスはその後、弾薬補充を」
    アグネス、アスラン、シン「了解!」

    アーサー「サントリーニ島から引き返してきた部隊はどうなってる?」
    AWACSディンパイロット「サントリーニ島に逆戻りです。ギリシャ本土からの増援と合流する模様。本土からの増援はサントリーニ島北西170㎞」

    アグネス「(引き返したの?!何で?)」
    いや…。陸地目前であんな光景を目の当たりにしたらそうもなるか。敵前逃亡とは少し異なる。あそこで突っ込んできても敗勢に流れた軍に巻き込まれるだけだった。それなら、増援と合流を、と。判断は正しいだろう。

    アグネス「(ソウダ湾の味方と合流するのも手だけど、『援軍の無い籠城戦に勝ち目はない、それなら援軍を呼んでこなければ』と言ったところか)」

    何にしろ、彼方もこちらも合理的な思考で動けてはいないだろう。どちらも限界だ。この島に立て籠るような形になっているユーラシア連邦軍。激変する世界情勢の中、軍団を維持していくこと自体が大変だったことだろう。瓦解せずによくここまで保っていたとさえ思う。

    アグネス「(特に上級将校の精神疲労は相当なものだったはず。そこに来て、今日、攻めるはずの立場だったのに気が付いたら守勢に転じていた。ニュージーランド陥落の報も入っているだろう。多分、パニックを起こしている)」

    ただ、限界なのはこちらも同じ…。

    取り留めのない思考はアビーの声が断ち切ってくれる。
    アビー「了解。デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、セイバー、カオスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

  • 115二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 08:28:39

    ミネルバ隊の心がゴリゴリ削られていく音が聞こえるようだ…

  • 116二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 08:42:04

    僕たちはどうしてこんなところまで来てしまったんだろう…

  • 117二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 10:27:14

    >>116

    アグネス本人に限定すれば、一番最初は「手柄を思いっきり立てられる赴任先が良い~!」と親のコネ使って、

    ミネルバ隊に配属してもらったんだよね。で、ルナマリアは月軌道艦隊へ、と。「艦隊・母艦・戦友まとめて

    戦タヒ!」という目に遭ったルナと、現在進行形でガリガリ身を削られているアグネス。どっちがよりお労しい?

  • 11811724/10/27(日) 17:11:52

    >>117

    保守ついでに追記。まあアグネスとしては、「実力は上がりまくり、手柄も挙げまくり」だから本懐叶ったりでは?

    値崩れ通り越してハイパーインフレ状態だけどネビュラ勲章も授与されたというか、勲章だけでオセロゲームでも

    出来そうなくらい貰ったし。これで「あいつは親のコネが頼りのプロパガンダ役者」という不届き者がいたら、むしろ

    そいつが一発で人望と信用を失う位だ。今のお前は正に押しも押されもせぬネームド級大エース様だぞアグネス。


    なお、本人の疲労と精神状態は考えないものとする(無情。

  • 119二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:01:04

    デュートリオンビームは艦橋両側に1つずつ。一度に2機までしか充電できない。1機は順番待ちになる。機体特性上、インパルスを押しのけるような形になってしまった。シンはその間、警戒飛行だ。

    アグネス「シン、悪いわね」
    アスラン「すまない」
    シン「ああ。何かごめん」
    コックピットモニターには申し訳なさそうなシンの顔が映る。

    アグネス「どうしたの?」
    アスラン「何かあったか」
    シン「ニュージーランド戦の後、大変な仕事を押し付けちゃって…」

    なるほど。そのことか。
    コックピットモニターに同時に映るアスランと目配せをし合う。

    アグネス「良いわよ。あんたも大気圏突入疲れたでしょう?」
    シン「俺は…。まあ、でも…」

    しゃっきりしないわね。私も人のこと言えないけど。

    充電中にもブリッジに繋がっている回線から、戦況報告と相互通信の音声が流れ込んで来る。

    アッシュ隊とハイネ先輩が連合の攻撃型潜水艦6隻を撃沈したとのこと。そのまま、また『沈黙の軍隊』を続ける。彼らがどこにいるのか、私でさえも知らない。
    カルパトス島とカソス島の月軌道艦隊ザク計12機は後続の中東軍に空港占領を引き継ぎ、シティア空港に直接空路で輸送された。バトンを貰った、現地の13機のザク隊と3機のバクゥハウンド隊は先に進む。メイリンたち制御室確保組、全員の無事も確認された。

    アグネス「(メイリン、あの子は偶に冷や冷やさせる。ちょくちょく『仕込み』とか『訓練』とか言っていたのが、まさかこのことだったとはね)」

  • 120二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:08:58

    ただ、彼女に無理を強いているのはザフトの側だ。私も何度もお願いを聞いてもらっている。彼女が望んで引き受けてくれているとは言え、足を向けて寝れない。

    メイリンが陸戦隊と一緒に突入したのは降伏直後のダイダロス基地に続いて2度目だ。彼女は拳銃も扱え、度胸もある。月軌道艦隊の陸戦隊はそれなりの練度で、もし『ロドニアのラボ』突入戦が起これば彼らの力の見せ所だっただろう。
    連合兵は、逃げ出す者も駆けつけた者も、私が事前にCIWSで吹き飛ばした。空港に降下したザクとケルベロスバクゥハウンドがズラリと管制塔を包囲して心理的圧力をかけてもいた。

    それでも内部の敵の戦力や彼らの交戦意思の有無と程度は完全に賭けだったはず。内務構造をメイリンが事前把握していたことを考慮しても―。
    アグネス「(本当に無事でよかった。今この瞬間も、メイリンは敵のレーダー網と通信回線の混乱・遮断を続けてくれている)」

    シティアのザク隊13機とバクゥハウンド隊3機は敵の残骸を乗り越え蹴散らしながら、E75号線を踏破、私達が戦力を叩き潰しておいたアイオス・二コラオス市の手前まで前進している。
    バクゥハウンドは陸の王者だ。これより上はそれこそガイアしかいないのではないか。
    レイとショーンとデイルは、同じく西にスライドして今はシティア市とミラベッロ湾の上空にエアカバーをかけている。あの3人ならちょっとやそっと、いやそれ以上の事態でも対処して見せるだろう。

    皆、持ち場で最善を尽くしている。誰かが特別どうとか言う話ではない。

    もう一度、今度はシンの目を見て言葉を続ける。
    アグネス「あんたは『舞い降りる刀』になってもらわなきゃいけなかった。上出来だったじゃない?敵はビビってサントリーニ島に逃げてったわ。おかげで勝てた。はい、順番ね」
    アスラン「よくやった」

    二人でシンの罪悪感を吹き飛ばす。変な心理だが、気持ちはよく分かるからね。
    シン「ありがとう」
    アグネス「よろしい」

    セイバーはそのまま警戒飛行、カオスは着艦、高速で弾薬補充が始まる。
    それでどうする?サントリーニに逃げる敵を追撃するのか。ブリッジの会話に耳を傾ける。

  • 121二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:15:36

    タリア「引き続き、状況を報告せよ」
    AWACSディンパイロット「イラクリオン市北方12㎞の小島ディーアの西6㎞に脱出した分艦隊。ユークリッド2、デイモン級6、輸送艦25、揚陸艇60、哨戒艇15、その他中小艦艇25」
    タリア「よろしい。先にそちらに仕掛けます。準備を」
    アーサー「はい!」

    なるほど、さっきは『構ってられない』状況だった分艦隊、今なら止めを刺す余裕が出来たわね。イラクリオン港はクレタ島の海の玄関。空母等の主力艦はソウダ湾として、ここは一大輸送基地の役割を果たしていた。
    タリア「病院船は?」
    AWACSディンパイロット「1隻、やや北に離れて航行中。ただ武装しています」
    タリア「武装の程度は?」
    AWACSディンパイロット「対空ミサイルランチャー2、25mm対空ガトリング砲1」

    ミネルバ甲板よりガズウート隊のフルカ 2連装ビーム砲とファルコーネSSM地対地対艦の発射音!港湾内防空隊を殲滅しているらしい。

    その間も当然のようにブリッジ内のやり取りは続く。

    タリア「なら自衛用ね。よろしい。総員、本艦はこれより、イラクリオン港からソウダ湾に逃走した艦隊を撃滅します。湾に逃げ込むのを許すな。北を航行する病院船は軽武装しているが、自衛用のものと判断。彼らから戦闘に加わらない限り攻撃を禁じます。カオス、セイバーは先行せよ、インパルスはそれに続け」
    アスラン、アグネス、シン「了解!」

    提督の号令一つで皆の士気が再び高まる。グラディス提督と…、シンのおかげだ。シンと話したら元気が出た。誰かと話すと元気が出る。願わくば、私と話した誰かも元気が出ていて欲しい。

    アグネス「(それはともかく。こちらはひたすら攻撃あるのみ。本作戦の肝は相手の隙をひたすら衝いて掻き回し、戦力と精神力、判断力を破砕し続けることにある。こちらが削られるようじゃいけない。目前のウィークポイントを逃がすな)」

    アビー「カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

  • 122二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:25:24

    ミネルバから飛び出し、セイバー、アスランとシン、インパルス、3機で編隊を組みイラクリオン港、北方に突進する。

    沖合には131隻とユークリッド2機、大型艦はデイモン級6と輸送艦25が航行中。セイバー、カオス、インパルスは、水中からのフォビドゥン襲撃に警戒しつつも、海面を滑るように超低空飛行する。対潜警戒の警戒は緩めないが、過度な心配は必要としない。索敵担当バート・ハイムさん、彼も既に歴戦の勇者だ。

    タリア「タンホイザー起動。照準の際には射線軸前方に注意。病院船を巻き込んではならない。発射直後に先行する3機は突撃せよ」
    アーサー、アスラン、アグネス、シン「了解!」
    チェン「プライマー兵装バンク、コンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    アーサー「目標、敵分艦隊、撃てぇ!!」

    水面すれすれを飛ぶ私達の背中を焦がすように真っ赤な大ビームがディーア島と岬の間を踏破しようと躍起になっている敵艦隊を薙ぎ払う。2機のユークリッドが殿となってビームシールドを展開するが、この規模の部隊をカバーしきることは無理だ。

    光の洪水と巨大な爆発、吹き上がる水柱。撃破され誘爆し、衝撃波と水圧に打ちのめされ、無数の艦が轟沈ないし転覆するさまがスローモーションのように脳内に飛び込んでくる。
    水柱を突き破り、ユークリッドの至近距離に飛び出すセイバーとカオス、2機が繰り出すヴァジュラ・ビームサーベルの斬撃で次の瞬間には彼らの2つの大盾は叩き割られ、大爆発を引き起こしている。

    水柱の向こう側、その光景は惨憺たるもの。生き残っているのは分艦隊主力でユークリッドが守り切ったデイモン級6隻と輸送艦12隻、傍にいた哨戒艦3隻。運よく転覆ですんだ艦が20隻ほど艦底を空に向けている。レーダーで病院船を確認。無事だ。

    そのままセイバーがアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲でデイモン級2隻を轟沈、スーパーフォルティスビーム砲で同時に哨戒艇2隻を爆沈させる。
    私、カオスも同時に攻撃、カリドゥス改・複相ビーム砲を発射、デイモン級1隻を轟沈させ、高エネルギービームライフルで哨戒艇1隻を爆沈させる。

  • 123二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:29:28

    シン、インパルスは艦から艦に飛び移りながら、エクスカリバー・レーザー対艦刀を縦横無尽に振りかざし、デイモン級3隻、輸送艦8隻を切り捨てる。『対艦刀』という単語を考え付いた人間は本当にすごい。と、感心している内に残り4隻も叩き切っている。輸送艦も申し訳程度の武装はしていたのだが、インパルスの性能とシンの技量にはベニヤ板どころか紙同然であったようね。

    アグネス「(心の余裕(?)が戻ってきている。麻痺したのか、慣れたのか、脳内麻薬が異常分泌しているのか。何にしろ今はありがたい)」

    アスラン「提督、分艦隊の殲滅を確認」
    タリア「了解。『国際救難チャンネルの放送を開始します。付近を航行中の連合軍病院船。こちらはザフト軍月軌道艦隊旗艦ミネルバ。貴官達の勇戦に敬意を表します。本艦は病院船である貴艦を攻撃する意思を持ちません。安心して救助活動を行ってください。属す陣営は違えでも道中の無事を祈念します』。セイバー、カオス、インパルスはミネルバに帰投。デュートリオンビームを受けなさい」
    アスラン、アグネス、シン「了解!」

    コックピットモニターに連合軍病院船の艦長が映り、グラディス提督に謝辞を述べている。本当は私達も協力したいところだけど、今回は本当に時間がない。あちらにお任せする。

    (カウントMS413 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA18 対MSヘリ39 大型輸送機12 VTOL輸送機25 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 ブルドック81 工兵車30 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等247対空砲7 空母11 イージス艦16 駆逐艦2 コルベット艦2 哨戒艇1 戦闘機46 軍用艇3 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10)

    モニターに連合軍攻撃型潜水艦2隻撃沈の表示。速さからしてハイネ先輩かな。沈めた途端、気配を消してしまう。出来る人はどのポジションでも役割を黙々とこなすのね。見習いたいわ。

  • 124二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 06:57:18

    保守ついでに。ここまで音沙汰の無いディープフォビドゥン君が気になるのは、私だけ?

  • 125二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 08:11:22

    >>124

    気にしない方がいいよ

    忘れてた方が突然襲われた時のショックを楽しめるから…

  • 126二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 08:40:25

    メイリン頑張ってるな

  • 127二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 09:13:38

    >>126

    てか、下手すりゃドンパチの痕も生々しい占領したての敵基地の中でお仕事中、なんてお労しい状態かも……。

  • 128二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 09:23:56

    >>127

    アグネスがトラウマゲージ溜めながら防衛部隊吹き飛ばしたとはいえ、基地内が無人ってこともないだろうし…

    文官中心で投降してくれてたらいいけど、抵抗されたらゆっくり明け渡し交渉なんてする間はなさそう。

  • 129二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 11:46:48

    >>128

    >文官中心で投降してくれてたらいいけど、抵抗されたらゆっくり明け渡し交渉なんてする間はなさそう。


    連合兵:「交渉する振りしてでも時間を稼げ! その間に全てのデータを消去しろ! 軍用ネットワークも、書類もだ!」


    ……となるので、そうされる前に基地を制圧(最低限、連合軍側がデータやネットに干渉できない状態に)しなければ

    ならないから、強襲制圧一択しか無いでしょう。基地の陥落が確定した以上、連合側がデータを潰すかZAFT側が抑える

    かという時間との競争にしかならんわけで……。

    ともかくもメイリンが怪我もしていない様子なのは何より(なお心理状態ry

  • 130二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 22:10:09

    守保 

  • 131二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 03:06:50

    タリア「ミネルバは陸上飛行に移ります。3機は距離を保ちつつ飛行」
    アーサー、アスラン、アグネス、シン「了解」

    グラディス提督の命令に合わせ、私達はイラクリオン市の西9㎞に位置する村、パレカステロ上空に移動する。その間も代わる代わる充電を続ける。忙しないが、この充電システムには大いに助けられている。セカンドステージシリーズ量産化が可能なら、全艦体に装備させたいくらいだわ。

    眼下のイラクリオン湾、西から突き出た半島には三角形の砦の壁の一部が目視できる。ヴェネツィアのパレオカストロ要塞の名残だ。かつてこの地に中世ヴェネツィア共和国がイラクリオン湾を守るために築いた。オスマン帝国の侵攻に立ち向かい、この島の陥落と共にその役割を終えた砦。この島に生きる人々にとって、その遺跡は今も猶、大切な記念碑だ。

    アグネス「(良かった。連合軍も防空陣地を設けていない)」
    『歴史上の記念建造物』つまり古代遺跡等や文化財は国際法上、攻撃してはならない。ただし、軍事利用されていたなら…、止む負えない。

    この地はイラクリオン市防衛のためなら、必ず軍を置いて然るべき場所なのに。やはり、ユーラシア連邦の軍人にとって、この島も国土の、祖国の一部。滅茶苦茶にできる地ではない。

    シンの先祖の地に例えるなら、東大寺の大仏殿の隣に高射砲陣地を築けないのと同じだ。
    だから、ユーラシア連邦軍は敢えて防空陣地を構えなかった。私達も弁えなければならない。

    ブリッジから全パイロット、全クルーに通達がなされる。

    タリア「パレオカステロ要塞遺跡上空は飛行禁止。他の文化財についても軍事利用されていない限りは。この命令は戦闘終了の命令が下るまで遵守せよ。『国際救難チャンネルの放送を開始。こちらはザフト軍月軌道艦隊旗艦ミネルバ、当艦隊はこの戦闘において、人類の共有財産たる遺跡、文化財の破壊を望みません。攻撃禁止を遵守させるので、連合も遺跡周辺地域の軍事利用を控えられたし。両軍周知の法なれど、今一度、お伝えいたします』」

  • 132二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 03:12:27

    グラディス司令長官の放送に返信!クレタ島の連合軍司令部から!?
    ブリッジとコックピットモニターに壮年の連合軍将官が姿を現す。

    連合軍指揮官「『こちら連合軍クレタ島司令部、ミネルバの申し出、感謝する。改めて国際法遵守を確約する』。おかしな言い方だが、ありがとう」
    タリア「いえ。叶うなら再会を」
    連合軍指揮官「叶うなら、な」

    グラディス提督とクレタ島連合軍指揮官の一人が国際救難チャンネルで意思を伝達し、敬礼を交わし合う。互いにアイサインを出し合い、回線が切られる。

    正しい振る舞いだ。正しいのだが…。
    アグネス「(当然のやり取りなんだけど。何か変な気分ね。もういっそ『じゃあ、この戦闘も止めにしましょう』とは、ならないわね。仕方ない。これでも互いに頑張っている方だわ)」

    とは言え、両陣営ともそんな法などお構いなしに、核だのジェネシスだのぶっ放し合っていたんだ。と言うかこっちは核もレクイエムも撃たれている。ここで『普通の戦争』の枠組みに戻らなければ、破滅するのは双方同じだ。

    メイリン「ブリッジ、フォビドゥンについて至急報告が!」
    アビー「メイリンさん!」
    タリア「直ぐに!」

    メイリンの鬼気迫る声と表情。遂に傍聴に成功したか、まだ風はこちらに吹いているわね。
    メイリン「クレタ島にフォビドゥンヴォーテクスは2機。1機がカソス島-クレタ島間の海峡に急接近中。南東部の都市、イエラペトラ沖合を時速100ノット(185.2㎞)で水中航行しています。ザクロスの岬まで後、20分。もう1機はソウダ湾内で基地と主力艦隊を防衛しています」
    タリア「ありがとう。ハイネ、アッシュ隊に通知。返信は不要」
    アビー「了解」

    アグネス「(フォビドゥンは2機いたか。1機かも知れないと言う楽観論を持たずにいたのは良かった。2機か)」
    厄介だけど。この状況自体が厄介だから、インフレして感覚が薄れているわ。

  • 133二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 03:47:22

    アーサー「AWACSディン、情報共有」
    AWACSディンパイロット「情報共有、了解。島の東南部を高速移動中のフォビドゥンヴォーテクスをこちらでも確認できました。監視を続けます」
    タリア「フォビドゥンヴォーテクスの位置情報は全パイロット、参加部隊全指揮官共有を徹底!中東軍はバビだけでなくブレイズザクも、どうか急いで」
    中東軍指揮官「了解。既にロドス島に3個小隊、カルパトス国立空港には2個小隊配備完了。カソス島にも15分後に1個小隊が到着する」
    タリア「感謝します」

    カオスから通信回線を繋げる。グラディス提督と中東軍指揮官が敬礼してくれたので返礼する。
    アグネス「特務隊アグネス・ギーベンラートです。僭越ながら補足を。よろしいでしょうか?」
    タリア「許可します。急ぎなさい」
    アグネス「はい。では、この機体について対処法を。まず、海岸線に接近し過ぎず、偵察機と協力して水中監視を。海中からはフォノンメーザー砲が狙っていると想定、攻撃に最大限の警戒をして下さい。決して海中で雌雄を決しようとすることなく、敵の上陸を待ってください」

    海が相手のフィールドなら、わざわざ降りて相撲を取る必要はない。こちらの土俵に引き上げる。

    アグネス「必要なら水際防御は諦め、拠点の一時放棄も考慮してください。そして、フォビドゥンの機体が上がってきた瞬間にザク隊は、機体頭部の『イーゲルシュテルン』、両腕の『アルムフォイヤー』にビーム・トマホークを一斉に投げつけ、同時にファイヤビー・誘導ミサイルで網を張るように弾幕を張って下さい。動力部・コクピット周辺以外ならミサイル等でも攻撃が通じます。切り込むなら手足とテイルエクステンションを捥いだ後に」
    指揮官は真剣な面持ちで私の顔を眺めていたが、彼なりに納得して結論を下す。
    中東軍指揮官「徹底させる。斧が二本要るな」

    なるほど、投擲用と切り込み用ね。それとも彼なりのジョークかな。両方か。
    アグネス「はい。欲張りを言うなら、機体の回収も。ザフトで量産したいので」
    中東軍指揮官「なるほど」

    調子に乗って欲張り出す私に提督は何か言いたげな視線を送る。『目前の任務に集中せよ』。はい。ごめんなさい。

  • 134二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 03:53:48

    ハイネ「俺からも提案、いっそ地上部隊は囮にしようぜ。敵が強襲上陸したところを、アビスが強襲逆上陸して仕留めるからさ。そこは割り切って考えようぜ」
    突然、コックピットモニターにハイネ先輩の顔が映り、とんでもないことを言い出す。
    というかこの通信、オープンだわ。これまで息を潜めていたにもかかわらず、今ので位置が特定される。
    カソス島北西30㎞、2つの島とシティア市をカバーできるギリギリの位置だわ。

    アグネス「(ああ、なるほど)」
    タリア「名案ね。このことは内密に」
    中東軍指揮官「そうだな。流石はフェイス、名案だな。そのようにしよう。では健闘を」

    二人の指揮官もオープンチャンネルでそれに答え、協議が終わったので、通信を切る。一瞬ピコーンとしたハイネ先輩、アビスも深海の闇に再び身を隠す。

    メイリン「例のフォビドゥンヴォーテクス、イエラペトラやや東方沖で急停止。本部に指示を仰いでいる模様です」

    良し。取り合えず、脅威の無効化成功ね。今後、どう動くかは要監視だけど。
    ハイネ先輩のハッタリで、シティアとカルパトス島、なによりカソス島の危機が遠のいた。潜水艦戦は神経戦ね。無論、相手も囮作戦からの逆襲撃など、ブラフと分かっている。ただ、『もしそれを実行されたら』、と考えざるを得ない。既にあの海峡は一時的にしろこちらのフィールドで相手は孤立している。空中の目もない。

    アグネス「(それと、彼は知らないだろうけど、基地との会話はメイリンが盗み聞きしている。この状態になったら、無敵の機体に乗っているつもりの人間でも一旦、足を止め沈思黙考するなり、上官の判断を仰ごうとする)」

    その一秒一秒が私達の得点になる。こうして確保した『リミット』で私達は次にどこを攻める?
    タリア「クレタ島中部、南岸の都市ティンパキには軍事空港があったはず、状況は?」

    なるほど。反対側、アフリカとの連絡網に一撃入れるのか。

  • 135二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 03:56:15

    AWACSディンパイロット「ティンパキ空軍基地には対MS戦闘ヘリコプター6個中隊78機、メンテナンス中の長距離哨戒機4。北アフリカ・スエズ-クレタ間の連絡の為の大型輸送機30機、VTOL輸送機80機。リニア榴弾砲とリニアガン・タンク、ブルドックから編成された防空部隊が2個連隊206、ティンパキ-ソウダ湾間輸送のための軍用車両等250以上。ティンパキ港は軍に接収されています。デイモン級12隻、フレーザ級25隻、哨戒艇6隻、輸送艦10隻、その他艦艇12隻」

    アグネス「(連合勢力圏の北アフリカに面している分、2級戦力ね。でも、数が多い。やるなら素早く)」

    タリア「イディ山山麓に対空陣地は?」
    AWACSディンパイロット「今のところ確認されていません」
    タリア「メイリン、ティンパキの連合軍の目をギリギリまでごまかせる?」
    メイリン「可能です」

    コックピットモニターでブリッジを確認すると提督と副長が軽く目配せをし合っている。頷き合って協議終了。この二人もすっかり名コンビね。

    タリア「よろしい。ミネルバはこれより南西に進路を取りイディ山山麓に向かいます。随伴のザク隊は戦闘態勢を継続。バート、警戒を厳に。セイバー、カオス、インパルスは先行してティンパキ空港、港湾部の連合勢力を殲滅せよ」
    アスラン、アグネス、シン、バート「了解!!」

    割と無茶な命令を平気で下される。もう慣れたけど、と言うかこの任務自体がそうなのだから提督や副長に文句を言っても仕方ない。

    ミネルバを一旦置いていく形で、アスランと私とシンはニダ高原を飛び越える。ミネルバは3機を追って後続する。我らが向かうイディ山はクレタ島最高峰だ。今飛び越えたニダ高原はその東峰と西峰の間にある。

    イディ山もまた、本来は神宿る神聖な地だ。この地のイダイアン洞窟でゼウスは産まれたという。同じ島で2か所も産まれた洞窟が存在することになるが、神々には良くあること。

    何より、古代クレタの人々はこの神々しい山並みに、万物の母にして大神ゼウスの母、レアーを見ていた。植物と豊穣を司る女神。もし命が生まれいずるものなら、私達は大変な親不孝をしていることになる。

  • 136二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 04:08:20

    ユニウスセブンがパルテノンを吹き飛ばしていたら、彼女の孫たるアテーナ―は地上におけるもっとも荘厳な神殿を失う所だった。我が母艦たる大梟は主人の危機を救うことだけは成功したのだから、どうか、お祖母様の機嫌が損なわれないことを祈る。この揺籃の地に幸あらんことを。

    高原から吹き降ろす風になったつもりで山肌を低く滑るように飛ぶ。目前には空港、そのすぐ先に青い海。港からは慌てて出港作業に入る連合分艦隊!タイミング遅れのスクランブルが数十のヘリコプターを急き立てている。

    慌てふためき防空体制を整えようと躍起になる敵軍と舞い降り爪を突き立てようとする自分達、それを何となく他人事のように感じる。自分が離脱しているような感じ…。
    アグネス「(ミネルバは戦神であると同時に知恵の神でもあった。それなら、私達の行いは…)」

    アスラン「攻撃開始、俺が防空隊を、アグネスが対MS戦闘ヘリコプターを、シンは管制塔を対艦刀で破壊しろ。出来れば、データを抜きたい。軍用ネットワークも可能なら。破壊するべき場所とそうでない場所はメイリンからの指示に従え」
    アグネス、シン「了解!」

    取り留めのない考えはアスランの号令と共に頭から霧散する。私のコックピットモニターにも要破壊箇所と要保存箇所が示される。兵士の詰め所は勿論、更には現在の建屋内守備兵の配置まで映る。歩き回る兵士の位置情報まで。メイリンがカメラをジャックしているのか。

    先行したセイバーは高速飛行形態のまま急降下、攻撃を開始、スーパーフォルティスビーム砲で空港のレーダーサイトを破壊する。同時にアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲がリニア榴弾砲、リニアガン・タンク、ブルドックで構成された防空陣地を二薙ぎで50両焼き尽くす。ピクウス76mm近接防御機関砲が唸りを上げ、更に15両ほどを穴だらけにして炎上させ、そのまま流れるようにモビルスーツ形態に変形、高エネルギービームライフルで間断なく攻撃を続行する。

    私もカオスを急降下させ、スクランブルで浮かび上がった対MS戦闘ヘリコプターをこちらに飛来するミサイル諸共カリドゥス改・複相ビーム砲で薙ぎ払う。15機のヘリコプターがなすすべなく燃え上がり空港に叩きつけられ、バラバラになる。

  • 137二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 04:14:20

    機動兵装ポッドからファイヤーフライ・誘導ミサイルを発射、上昇を止めない24機を燃やし尽くす。低空だったから諦めきれないのか、火達磨になりながらヘリから飛び降りる兵士もいるが、その安否は知りたくもない。

    攻撃の手を緩めるわけにはいかない。ビーム突撃砲で乗員が乗り込んだばかりの戦闘ヘリコプター2機を撃ち抜き、爪が届く範囲にいた12機を引き裂く。ヴァジュラ・ビームサーベルで剣が届く先にいた10機を焼き切り、ピクウス 76mm近接防御機関砲で剣が届かない位置にいた15機を粉砕してこの基地の航空戦力を永久に葬り去る。

    ピクウス 76mm近接防御機関砲と20mmCIWSで、ヘリの傍で走り回るパイロット、整備兵、傍の工兵車30両、軍用トラック12両を連続して破壊する。文字通りの破壊だ。巻き上がった路面のアスファルトごと粉々になっていく。

    機体を上昇させると、防空隊を殲滅したセイバーが格納庫に収まっている機体の破壊を高速で続けている。空港の周囲は火の海だわ。
    シンは管制塔と付属施設を斬り終わり、20mmCIWSで撃ちこめる範囲の敵を排除し始めている。カオスの12.5mmCIWSならもう少し細かくやれる。加わるべきか。

    アーサー「セイバー、カオス、インパルスは港の艦隊を攻撃。残りはこちらでやる。陸戦隊の用意良し!」
    アスラン、アグネス、シン「了解!」

    3機で目前のティンパキ港に、既に各艦は緊急出航を始めている。ミネルバに向けてデイモン級が放ったミサイルが接近、セイバーとカオス、モビルアーマー形態で突撃しながら、ビームの弾幕を張って叩き落す。

    背後の空港ではミネルバとルナマリアらザク隊のミサイル、ビームの一斉攻撃で生き残った機体と兵士が暖炉にくべられた氷のように解けていく。陸戦隊の降下が始まる頃に戦意を保っていられるものがどれだけいるか、私が彼らなら保っていられるか自信はない。

    アグネス「(さっき提督が文化財について敵将と協議し、敬礼が終わってから11分も経っていない…。手際の良さを誇るべきなんだ。恐らくは)」

  • 138二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 08:07:18

    連合の指揮官も良識のある軍人だったのは良かった…良かったんだけど全く良くない
    良識ある人が亡くなったらブルコス率が上がってしまうんじゃないか
    せめて生身の兵士達は投降してほしいが…

  • 139二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 12:36:56

    >>137

    火達磨になりながらヘリから飛び降りる兵士もいるが、その安否は知りたくもない。


    宇宙世紀の全天モニターって敵機とかをCGモデル表示して恐怖感を和らげるってあったけど、こういう生々しい画をカットしてパイロットの忌避感を和らげる目的もあったのかな…

  • 140二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 13:33:37

    >>139

    >こういう生々しい画をカットしてパイロットの忌避感を和らげる目的もあったのかな…


    そこまで高級な機能は無いだろ。「いちいち何を映すか映さないか」判断する余裕があるなら、「最優先で対応すべき

    脅威は何か」を判断した方がずっとまし。……実際、MSから射出座席で脱出したパイロットが爆発に飲まれる様子を

    モロに見てしまって、あとでPTSD患った人もいるそうだし。

  • 141二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 20:07:57

    >>140

    ……実際、MSから射出座席で脱出したパイロットが爆発に飲まれる様子をモロに見てしまって


    本スレのアグネス…いや、アグネスが見てきたのはそれどころじゃないが。

    大丈夫?肉食べれなくなったりしない?


    優秀なパイロットがPTSDで脱落するくらいなら、(優先順位はともかく)人体表示のオンオフもつける価値あるかもしれない…歩兵はどうするとか色々課題ありそうだけど

  • 142二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 00:00:36

    >>141

    >優秀なパイロットがPTSDで脱落するくらいなら、


    いえね? 全天周モニター採用した宇宙世紀で、飛び切りのエースパイロットが精神やられちゃったんですよ。


    カミーユ・ビダンさんって人なんですけど。

  • 143二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 00:43:23

    私とアスランがミサイル迎撃を着透ける中、空港上空を進むミネルバは射角を調整、全火力発射準備を即時に開始する。

    タリア「面舵15、下げ舵10。タンホイザー起動。目標、連合分艦隊。セイバー、カオス、インパルスは射線軸より退避。ミネルバ一斉攻撃と同時に突入し、残敵を一掃せよ
    アスラン、アグネス、シン「了解!」

    通信に短く答え、カオスの軌道修正を済ませる。そろそろタンホイザー手当が欲しい。何時も掠めるかどうかのギリギリを突っ込まされたりしている気がする。

    ブリッジ内のやり取りは私心の挟まる余地を与えてはくれない。
    タリア「バート、民間船舶、病院船の位置を再確認。チェン、絶対に射線軸に入れるな」

    提督の指示を聞き、命じられたわけではないが、私もカオスのレーダーとカメラで確認する。病院船無し。この港には置かなかったらしい。あるいは出港済みか。民間船舶も見当たらない。連合軍がイエラペトラに疎開済みと推測。

    アグネス「(戦時下でも港湾を利用するのは軍だけではない。今、焼き払った空港にしても敷地の外には普通に民家が広がっている。神経を使うわ。こういう点は宇宙の方が楽ね)」

    バート「民間船、病院船の反応、ありません」
    タリア「よろしい。チェン」
    チェン「了解。プライマリー兵装バンク、コンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    アーサー「トリスタン、クルヴェナール、誘導砲塔は未分離状態で全門起動。ミサイル発射管全門パルジファル装填」
    タリア「甲板ガズウート隊、全機、ファルコーネSSM地対地対艦ミサイル、フルカ 2連装ビーム砲発射用意、照準はブリッジと同期せよ」
    ガズウート隊「了解!」

    ブリッジ内の緊張が極限まで高まるその間にも、カタパルトを用いて、ザク隊の弾薬・充電補充作業は休むことは無い。ミネルバが降下してからと言うもの、ずっとそうだ。着発艦がこの瞬間にも…。

  • 144二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 00:53:22

    タリア「撃てぇ!」
    背後から放たれた光の洪水と濁流、ミサイルの雨が冗談抜きでカオスの傍を通り過ぎ、ティンパキ港から沖合まで進まんとする連合分艦隊に流れ下り、降り注ぐ。

    タンホイザーが連合デイモン級8隻、フレーザ級15隻を劫火に包み、同時に着弾した主砲トリスタンはデイモン級2隻を焼き尽くす。
    ガズウート隊のフルカ 2連装ビーム砲がデイモン級2隻とフレーザ級10隻を貫き、命中した艦は誘爆を起こし、あるいは浸水を始めるが、彼らの終わりを正確に知る術はないだろう。
    なぜなら、分艦隊主力を消滅させた陽電子ビームはそのまま海面に激突、大爆発を引き起こし、海面上では炎と爆風の嵐を、海面下では爆発に伴う水圧の激変を生じさせ、立ち昇った水柱は柱と言うよりは巨大な壁を思わせ天に向かって聳え立ってしまうから。

    後ろから迫るパルジファルとファルコーネSSM地対地対艦ミサイルは水の壁を貫き、生き残った艦に無情にも降り注ぐ。私達3機も同じだ。まだ崩れていない水の壁を衝き破って、中の空間に機首が入るやセイバーはアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲をカオスはカリドゥス改・複相ビーム砲を発射、フレーザ級3隻と輸送船3隻を撃沈する。インパルスも続いて突入してきたが骨折り損になってしまった。私とアスランが沈めたので最後だった。他の艦はミネルバとガズウート隊の働きだ。

    アグネス「(ここ最近の戦いで、私の中で『陽電子リフレクター装備モビルアーマー不要論』が沸き起こりかけていたけれど…。必要な場面もあるわね)」

    セイバー、カオス、インパルス3機でそれを確認、高推力スラスターを吹かせて3機で急いで海上を飛び退る。巨大な水柱が瀑布となって崩れ落ち、海面と大衝突する。巻き込まれていたらと肝が冷える。旋回して振り返った海原に浮かんでいるのは残骸だけだ。

    (カウントMS413 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA18 対MSヘリ117 大型輸送機12 VTOL輸送機25 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 ブルドック81 工兵車60 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等259対空砲7 空母11 イージス艦16 フレーザ級3 大型輸送艦1 コルベット艦2 哨戒艇1 戦闘機46 軍用艇3 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10)

  • 145二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 00:56:38

    アグネス「(投げ出されて、助かった遭難者は…)」
    激変した風景の中、僅かな救いを求めるようにカメラを拡大しようとするが、戦況はそれを許さない。

    タリア「アスラン、アグネス、シン。ご苦労だったわね。直ぐにデュートリオンビームを。弾薬の補充も、遅滞は許されないわ!」
    アスラン、アグネス、シン「了解!」

    提督の命令に殆んど反射的に応え、せめてとコックピット内で海原に敬礼をするとミネルバに接近、まず、セイバーとカオスがデュートリオンビームを受け、その間インパルスは着艦、実弾の補充を受ける。

    アスラン「アビー、頼む」
    アグネス「お疲れアビー、お願い」
    アビー「はい。デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、セイバー、カオスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    コックピット内の騒めきは収まることを知らない。ブリッジには次々と報告が上がって来る。良い知らせも、悪い知らせも、更に悪い知らせも。

    アーサー「ティンパキ空港管制棟に到達した陸戦隊に内部の連合兵が降伏、データ、ネットワーク確保完了。破棄しようとした者は排除しました。ザフト側の死傷者なし」
    タリア「よろしい。今の艦隊殲滅の効果かしら。他は?」

    ブリッジにシティア空港のメイリンから入電。私達とも同時に共有される。
    メイリン「ギリシャ本土からの連合軍増援、ウィンダム90機がサントリーニ島サントリーニ国際空港に到着。モビルアーマーは伴っていません。また、サントリーニ島を目指していたウィンダム隊120機機、ザムザザー1機、ユークリッド2機より編制された部隊はイラクリオン市沖合60㎞海上で反転、イラクリオン国際空港再占領を目指して向かってきます。到達は12分後」

    アグネス「(あの部隊、行ったり来たり本当に落ち着かないわね。サントリーニ島に本土の部隊がモビルアーマー随伴を諦めて急行してくれて、ようやく決心がついたか)」

    カオスとセイバーはカタパルトに着艦、弾薬保有開始、インパルスが出て充電を開始する。
    ザク隊の補給も順次。通信内容とかかわりなく粛々と進む。

  • 146二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 01:02:39

    メイリン「それと、ティンパキから南東沖約245㎞海上のエジプト艦隊主力アーカンソー級2隻から16機のウィンダムの発進シークエンス開始を確認、攻撃目標はシティア空港です。15分後に到達します。逆にイエラペトラ沖のフォビドゥンヴォーテクスは進路をティンパキ市に向かっています。38分後にそちらに到達」

    アーサー「提督!?」
    タリア「揺さぶりをかけよう、と言うことでしょうね。皆、動揺するな。こちらの配置は。クレタ島内のみ簡潔に」
    バート「シティアにはブレイズザク12機、エアカバーは中東軍のバビ隊。ザク13機とバクゥハウンド3機はアイオス・二コラオスに到着、港湾部を占拠。補給物資も到着、グゥルも届いたので急速前進可能。バクゥハウンド隊はE75線沿いをイラクリオン方面、マリア市まで前進、進路の安全を確保しています。グフ隊もミラベッロ湾西部からマリア市までの範囲を警戒活動中」
    アーサー「いいぞ。凌げそうですね」
    タリア「…」

    ブリッジではムードメーカーの副長が皆を元気づけている。さて、こちらは弾薬補充を完了。
    アグネス「アビー?」
    アビー「はい!カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

    カタパルトから一気に飛び出す。こんなに短期間で着発艦を繰り返すのは初めてかもしれない。オペレーターのアビーの疲労は…、いやブリッジの疲労、整備班の疲労は限界に近付いている。と言うより限界を超えて次の天井に近づいていると言うべきか。

    カオスをモビルアーマー形態に変形してセイバー、インパルスと合流。今の情報を総合した感じだとイラクリオンに迫って来る例の部隊を排除しないとかな。
    ブリッジにメイリンより緊急入電、短期間に2度目、どうした?!

    メイリン「ソウダ湾、ハニア空軍基地に動きあり。ザムザザー1機、ウィンダム・ダガーL混成250機、計251機編制の部隊が2つ、発進シークエンスが進行中。目標は先発する隊がミネルバ、後発隊がアイオス・二コラオスないしシティアのどちらか任意の目標を襲撃するとのこと」
    アグネス、一同「!!!」

  • 147二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 01:13:16

    アグネス「(『二頭の龍』戦法、と言ったところか。一度に500機とザムザザー2機を一度に投入と。いや、イラクリオン-サントリーニ島間の迷子組、エジプトからの援軍、本土からサントリーニ島まで来ているのまで合わせるとモビルスーツ726機と陽電子リフレクター装備モビルアーマー5機を投入した大航空戦。なかなかお目にかかれるものじゃないわね)」

    お目にかかるどころか当事者と言うのが…。自伝・伝記の山場に困らなくて良い、と思うしかない。

    タリア「いよいよ本隊のお出まし、と言ったところかしら。ミネルバ担当の先発隊がティンパキに着くまでの猶予は?」
    メイリン「15分後。先に上がった編隊を先発させた場合は繰り上がります。最短で5分後」
    タリア「…」
    アーサー「提督!陸戦隊を引き上げますか?!」

    ああ。シティアの2匹目のどじょう狙いで降ろしたのが良くなかったかもね。
    アグネス「(この局面、どうする?各個撃破するしかないのは分かっているけど。ちょっとパニックになりそう)」

    無論、それを相手は狙っている。だから、絶対それだけは避ける。
    タリア「陸戦隊を艦に収容。押収したデータは現時点で回収できる物のみで構わない。軍用ネットワーク、施設は破却。捕虜は一時解放せよ」
    アーサー「了解!」
    タリア「本艦はカステリ空港に向かいます。一度前線を下げ、立て直す」

    勿体ないが仕方ない。まず、ザムザザーの対処をベースに考えないと。グフ隊なら捌けるけど、随伴機が多い。

    アグネス「(少し調子に乗って引き寄せられ過ぎたか。こちらの攻勢限界をティンパキと予め想定されていた?)」
    いや、予めはないだろう。霧の中で戦っているんだ。そう考えて作戦を立てたとしても、それは今さっきのはず。

    アグネス「(そう『今さっき』。敵に同情するのは生き残ってからでも十分だ。一秒一手でも間違えれば自分達が破滅する。)」

    積み上げてきたつもりの足場は砂山だったかもしれない。それならそれで構わない。踏み固めて岩にするのみ。ここで臆病風に吹かれたらみんな死ぬ。意識に鑢(やすり)をかけて研ぎ澄ますしかない。

  • 148二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 07:38:57

    最近規制続きで書き込めなかったけどようやく書き込めた

    相変わらず連合の物量は恐ろしいな

  • 149二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 16:54:07

    500機…
    それも大気圏突入から連戦した後でか
    ギレンの野望だと物資が切れだして疲労値も溜まって、すりつぶされるしかない状態だが…

  • 150二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 17:53:30

    >>149

    元々の駐留地から追い出された連中の寄せ集め……にしては規模が大きすぎるな。

    なし崩し的に出来た集団とはいえ、確かにこれは一大方面軍だわな。それを実質、

    艦一隻分の戦力で潰せって議長ェ……。しかも連合は周りから場合によって増援

    有り、こちらは基本的に陽動onlyって無茶振りにも限度って物があるだろうに。

    敵は陽電子リフレクター付きMA五機を中心にMSが700機over……普通は退却だぞ。

    さては議長、本気でミネルバをすり潰しにかかって来てるな?

  • 151二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 21:23:22

    風雲急を告げるブリッジに突如、衛星軌道上で待機中の月軌道艦隊パイロット隊から入電!産休明けと傷病休明けで最後まで戦線投入していなかった人達だわ。

    パイロット「グラディス提督、月軌道艦隊パイロット隊。ガナーザク5機、ブレイズザク6機、電源車、弾薬補給車、イラクリオン国際空港に降下準備、整いました」
    タリア「…」

    アグネス「(どういうこと?そりゃ、ローラシア級のカタパルトの補充が済んでいるなら降下自体は可能だし、最悪の時のための予備兵力だけど。ここでそれをするべきか…)」

    コックピットモニターに映るグラディス提督が一瞬、逡巡するが…。即断する。
    タリア「予備兵力降下開始。目標、イラクリオン国際空港。グフ隊は支援を。ミネルバの進路変更、北東20㎞ニダ高原を目指します。セイバー、カオス、インパルス、ミネルバ・ティンパキに向けて飛来する部隊に先制攻撃、一撃離脱を。エクスカリバー・レーザー対艦刀は荷物になる。置いていきなさい。アイオス・二コラオス、マリアの部隊は現場の判断に一任。責任は私が取ります」
    アスラン、アグネス、シン、一同「了解!」

    提督の号令と共に止まりかけた歯車が急速回転を始める。そうだった、この作戦において私達はマグロみたいなもの。泳ぎが止まれば死ぬだけ。後退という選択肢はこの段階では最悪。覚悟を!

    ミネルバに見送られ、ティンパキを離れる。敵の出鼻を挫くべく、セカンドステージシリーズ3機で北西、敵拠点ソウダ湾基地・ハニア国際空港に全速力で進む。AWACSディンからリアルタイムで届く敵影を目がけ遮二無二、突撃する。ハニアとイラクリオンの間にあるレシムノン市西10㎞で海上に抜け、ミネルバ目指して発信した件の『250機と1機』その先発隊、ザムザザー1機とウィンダム45機、ダガーL40機と接敵を果たす。ティンパキを離れて3.5分だ。

    ザムザザーの盾に飛行隊が矛に、仲間の仇を撃ち、連邦の意地を見せんと彼方も決死の気迫、レーダーとモニター越しでさえ伝わってくる。

    アスラン「俺が戦闘のザムザザーをアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲で攻撃したら、インパルスがビームサーベルで撃破しろ。カオスはひたすら随伴機を墜とせ」
    アグネス、シン「了解!」

  • 152二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 21:26:24

    見敵必殺。言うが早いか、セイバーはアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲発射、ザムザザーがビームシールドを展開、飛び込んだインパルスがヴァジュラ・ビームサーベルで駆け抜けながら脇場を切り裂き致命打を与える。直後にインパルスは接近したウィンダム1機を高エネルギービームライフルで撃墜、もう1機をビームサーベルで斬り、全速で旋回し空域を離脱する。

    次は私だ、ある意味この空戦の主力。カオスは全武装が正面を一気に向くのが強み、強襲のために、先手を取るために造られた機体、今活かさずにどうする?!
    セイバーとインパルスの働きで、空中に展開されたビームシールドが消えたその瞬間、カリドゥス改・複相ビーム砲でザムザザーの随伴機残り8機を薙ぎ払って焼き落とす。それと同時に高エネルギービームライフルを発射し、編隊長らしきウィンダム1機を仕留める。猶も前進、兵装ポットからビーム突撃砲を伸ばして発射、隊長機の左右のウィンダム2機を撃ち抜く。

    ファイヤーフライ・誘導ミサイル全弾発射、24機のダガーLに向かって飛んだミサイルが目標を捉えて爆発するのを確認、もう一発ビームライフルを撃ちこんでウィンダム1機を撃墜する。

    海面に落下したザムザザーが大爆発を起こし、上空まで水柱の飛沫が飛ぶ。あの爆発が海上であって良かった。ここからの戦いでは落下先まで配慮していられないだろう。
    素早くビームライフルをマウントさせると両手でビームサーベルを抜き放ち、両足のビームクローの爪も開くや行違いざまにウィンダム4機を己が四肢で切り裂く。チャージが終わったカリドゥス改・複相ビーム砲を再発射、ダガーL7機を薙ぎ払うと旋回、インパルス同様に大旋回、当空域を離脱する。

    (カウントMS460 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA18 対MSヘリ117 大型輸送機12 VTOL輸送機25 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 ブルドック81 工兵車60 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等259対空砲7 空母11 イージス艦16 フレーザ級3 大型輸送艦1 コルベット艦2 哨戒艇1 戦闘機46 軍用艇3 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10)

  • 153二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 21:40:39

    敵も当然このまま私達を帰らせようとはしない。カオスの無防備な背中をジェットストライカーを吹かせて一気に追撃してくる。
    アグネス「(それで良い。追ってきなさい)」
    カオスの離脱を逃すまいと後ろを追うウィンダム27機とダガーL9機。背後からビームが何本も脇を掠め、ミサイルは高速スラスターの速度を超えて追いついてくる。敢えて振り向いて迎撃しない。今は囮に徹する。

    カオスが宙に描いたバーガンディーの残像を追うのに夢中になる敵編隊に、セイバーの赤い閃光が迫る。アスランはザムザザーに主砲を撃った後、私とシンに追い越させていた。

    カオスを追うミサイル群にセイバーは高速飛行形態で接近、一瞬でモビルスーツ形態に変形するとアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲を発射、片側の1門でカオスを追うミサイル群を全て撃墜し、もう片側の1門でウィンダム12機を消し炭にする。同時にスーパーフォルティスビーム砲を連射を連射、9機のダガーLを墜とし、敵の更なる漸減とカオスの離脱支援を成功させる。
    私の空域離脱成功を確認すると、セイバーは自機の離脱の為、更にビームライフルでウィンダム1機を撃墜、直後に高速起動形態に変形、宙返りをしてインパルス、カオスを追って駆け抜ける。

    接敵から全て10秒に満たない間の出来事だ。当たり前にしていることだけど、思い出せば目が回ると思う。

    アグネス「(大きな成果だけど、14機は撃ち漏らしたわ」
    レーダーで確認、ハニア国際空港から飛び立ち続けると後続隊がこちらに合流しに向かってくる。

    アスラン「ミネルバ、ザムザザー1機、ウィンダム・ダガーL混成隊71機撃墜。これよりニダ高原に向かう」
    アビー「了解。落ち着きながら急ぐように、とのこと」
    アスラン、アグネス、シン「了解!」

    アグネス「(先発隊14機と無事な後発隊、計179は残存、今はそれだけが事実。どう転ぶかは今後しだい)」
    高推力スラスターを全開にしてミネルバへ。仲間の危機が迫っている。

  • 154二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 02:28:44

    ミネルバの信号を追ってニダ高原上空で合流、即座にセイバーとカオスの充電が始まる。インパルスはその間、ミネルバの護衛だ。大口径砲を使わない分、フォースインパルスには電力の余裕がある。

    アビー「デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、セイバー、カオスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」

    アビーの声をどこか遠くに感じる。先程の戦闘から3分36秒ほど、グラディス提督から先制攻撃の命令を受けてから7分ほど。現在地はイラクリオン国際空港南西28㎞の距離、ニダ高原上空をミネルバは大急ぎで進んでいる。

    アグネス「(降下部隊はもうイラクリオン空港に着地、戦闘準備を整えている。その上空にはグフ隊、一見順調に見えてその実、全滅の危機だ。連合の迷子部隊が後、5分で到達する)」

    あの行ったり来たりの部隊、ここにきて最大の脅威になりつつある。今、イラクリオンを『仮抑え』してくれている彼女ら彼らだけで対処できるとは思えない。幼い子供を家に置いてきた若い母親たちがほとんど。死なせられない。

    先制して、こちらに向かう部隊を叩き、イラクリオン救援を達成する、それが当面の目標になる。

    当然、そんな都合の良い振る舞いを敵が見逃すはずもない。メイリンが必死にレーダーを攪乱してくれても目視はどうにもならない。さっきの部隊の残り187機がミネルバに来襲する。

    セイバーは充電を終え、カオスは着艦して弾薬の補充を開始、カオスの出撃は来襲に間に合うだろうか。遠い意識で何故かぼんやりと切実な現実を知覚する。

    アグネス「(落ち着け、引きずり出すことには成功したんだ。あの179機。まず、あれを消し飛ばす。追いかけてきた敵兵を馬上で振り返りざまに射抜いて見せたパルティア騎兵のように)」

    ミネルバの前後左右下には、誘導砲台と化したルナマリア達、ザク隊がグゥルで並走。迎撃準備を整えている。回線越しにブリッジの声がカオスのコックピットにも木霊す。

    タリア「タンホイザー起動。目標、敵モビルスーツ群。セイバー、インパルスは射線軸より退避」
    アスラン、シン、チェン「了解!」

  • 155二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 02:35:34

    陸上での空中戦。地上の被害も気になる。人口希薄エリアでの戦闘、完全な無人地帯とまでは行かないが…。止むを得ない。

    ミネルバに迫る敵の大編隊、こうしてみると…。
    アグネス「(恐ろしい。突然、実感が戻って来た…)」
    怖いのは良いことだ。生きている証拠だ。さっきからどうかしていた。

    チェン「プライマリー兵装バンク、コンタクト。出力定格。セーフティ解除!」
    アーサー「トリスタン、クルヴェナール、誘導砲塔は未分離状態で全門起動。ミサイル発射管全門パルジファル装填」
    タリア「甲板ガズウート隊、全機、ファルコーネSSM地対地対艦ミサイル、フルカ 2連装ビーム砲発射用意、照準はブリッジと同期せよ」
    ガズウート隊「了解!」
    タリア「撃てぇ!」

    ミネルバのタンホイザーが敵モビルスーツ群を薙ぎ払うが、流石に効果は限定的だ。連合側も織り込み済み。予め編隊を散開させ、被害を押さえている。墜ちたのは12機か。
    ただし、彼らはタンホイザーを恐れるあまり忘れていたようだ。ミネルバの他の武装とガズウート隊の火力を。

    主砲トリスタン1番2番4門の砲門が輝く。次の瞬間、9機が焼き飛びこの世界から消える。副砲クルヴェナール、未分離誘導砲も同時に10機の敵を打ち砕く。ガズウート隊フルカ 2連装ビーム砲の砲火が24本伸び飛び、同数のコックピットが焼き抜かれ、空中爆発を起こしている。

    更に続いて降り注ぐファルコーネSSM地対地対艦ミサイルとミネルバのミサイル群、対してウィンダム・ダガーLはトーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器で迎撃を図りる。その抵抗は確かに一定の効果を発揮するが、十分とは言えない。死の運命から逃れきれなかった連合ダガーL24機がバラバラになり地面に激突する。

    『来襲』と言っても接敵を図っているのは彼らだけではない。彼らの急接近を受けて、ミネルバも攻撃の為、積極的に前に出る。気勢がそがれた敵編隊にセイバーが突進、ど真ん中でフルバースト、一度に30機のウィンダムを葬る。

    ミネルバとつかず離れず展開するザク隊からはファイヤビー・誘導ミサイルが一斉射される。それが壊滅しつつある敵に最後の止めを刺し、無数の残骸は長閑な高原に降り注いでいく。

  • 156二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 02:39:04

    アグネス「え…」
    燃え上がり、バラバラになり、声のならない無念を絞り出しながら墜落していく100機以上のウィンダムとダガーL。何が起こったのだろう。これは現実なのか。

    湧き上がった恐怖と戦意が行き場を失くしそうになる。
    マッド・エイブス「弾薬の補充終了!」

    マッド・エイブスの声とカオスを見上げて親指を立ててくれるヴィーノの表情で夢の中に落ちそうな意識を辛うじて現実に繋ぎとめる。
    アビー「はい!カタパルト推力正常。針路クリアー。カオス、発進どうぞ!」
    アグネス「アグネス・ギーベンラート、カオス、出ます!」

    一瞬暗くなった視界を抜けると、光が瞳孔に注ぎこまれる。空にはもう敵機はいない。夢ではない。全て残骸となり地面に落ちている。夢のように感じたのに妙にはっきり脳裏に刻まれたさっきの戦闘、脱出できた将兵はいなかったように見えた。

    アビー「デュートリオンチェンバー、スタンバイ。捉的追尾システム、セイバー、インパルスを捕捉しました。デュートリオンビーム照射!」
    セイバーとインパルスは今の内に、デュートリオンビームを受け、ガズウート隊、ザク隊の弾薬補充が急ピッチで進む。

    カオスをモビルアーマー形態にして警戒飛行、皆を守る。

    アグネス「(敵の大編隊が来襲し、ミネルバが攻撃を始めて、それからまだ10秒手前。人生の感覚がおかしくなりそう)」
    蓄積した疲労と相まって、脳内の電気信号は破綻し、思考が感情に追いつかない。そもそも感情が消失したかのよう。自分から自分が半分抜け出て世界を見ている。変な感覚。

    アグネス「(危機的状況下なはず、今は、確かに。なのになんだ。彼らはなんだ。殺されに飛んできたのか?)」

    頭が追いつかない。何かに対するいら立ち。こんなことに何の意味がある。

  • 157二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 02:42:45

    タリア「本艦はこれよりイラクリオン国際空港へ。『戦友』を守ります。疲れているだろうけど、正念場よ。セイバー、カオス、インパルスは先行、グフ隊と現地で合流し敵部隊を漸減せよ」
    アグネス・一同「了解!」

    奇妙な夢に浮かされているような感覚が抜けないまま、セイバー、インパルスと共にイラクリオン国際空港へ。ザク隊11機が確かに、眼下で視認する。本当に助けに来てくれたのか。

    アグネス「(さっきの光景は関係ない。この変な感覚も所詮、私個人の問題に過ぎない。この仲間たちは身を捨てる覚悟で、家族や直ったばかりの身体のことさえ、後回しにして。危機に陥った私達のために飛び降りてくれたんだ)」

    大型モビルアーマー3機とウィンダム120機の正面に受領したばかりの機体で立ち向かうことになるのに。そうなったら時間稼ぎしかできないことを本人たちが一番わかっていただろう。その思いを無駄には出来ない。

    光学映像でグフ隊3機も確認、何故か手を振っている。片手にはビーム・トマホークを握っている。キャットゥス500mm無反動砲は置いてきたらしい。レクイエム戦の戦訓が生きている。あの武器は本当に便利だわ。

    レイ「アグネス、シン。二人とも大丈夫か!?」
    コックピットモニターにレイの顔が映る。病人に心配されるのも変な気分ね。
    アグネス「平気よ!」
    シン「ああ…」

    ショーン、デイルの顔もコックピットに映る。昨日会ったばかりなのに久しぶりな感覚、でも、こいつ等の顔を見ると安心するわ。何と無くね。

    アグネス「(良し。抜けかけていた意識が体に戻ったわ)」
    色あせていた身の回りの視野、鈍っていた五感が再び鮮明になる。レーダーに無数の光点、敵機だ。というか、既に視認できている。
    敵部隊ザムザザー1機、ユークリッド2機、ウィンダム120機。会敵ポイントはイラクリオン沖北方6㎞。

  • 158二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 02:47:17

    アスラン「俺とショーンとデイルでユークリッド2機を、シンとレイはカオス主砲の援護の下、ザムザザーを墜とせ。アグネス、カリドゥス改・複相ビーム砲でザムザザーを砲撃後は随伴ウィンダムを頼む」
    アグネス・一同「了解!」

    敵部隊は当然と言うべきかザムザザーとユークリッドを前面に押し出して突進してくる。水面をホバーでユークリッドが左右から鶴翼の翼に、上空のザムザザーは破城槌のように。

    ザムザザーは前腕を伸ばし、複列位相エネルギー砲『ガムザートフ』を2門、ユークリッドの高エネルギービーム砲『デグチャレフ』を合わせて4門、編隊飛行する私達に向ける。当然背後には120機の随伴機。

    アスラン「始め!」

    アスランの号令と共にカオスは相手より半瞬早くカリドゥス改・複相ビーム砲をザムザザーに照射、その赤い光と駆けっこをするようにインパルスとレイのグフは突撃を開始する。

    やや下を飛行して居たセイバーは滑るようにモビルスーツ形態になるとアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲をユークリッド2機に発射、ビームの光に誘導されるようにショーンとデイルは巨大なモビルアーマーに接近。

    先に墜ちたのはザムザザーの方だった。インパルスと並んで飛ぶ白いグフが投擲したビーム・トマホークが前傾姿勢でビームシールドを張るザムザザーに命中!容赦なく食い込んだ斧が巨大な爆弾にスイッチを入れたかのようだ。すぐ後ろを飛ぶウィンダム6機まで巻き込んでザムザザーは大爆発し、衝撃波が周囲を巻き込む。

    下の方は少し苦しかった。こちらの意図を読んだウィンダム12機飛び出してきた。アスランの作戦通り、カオスを降下させファイヤーフライ・誘導ミサイル12発で彼らを吹き飛ばす。

    機体を上昇させ、今度はインパルスとグフに集ろうとするウィンダムにビームライフルを発射、命中させ、残りのファイヤーフライ・誘導ミサイル12発も撃ちこみ、ビーム突撃砲で2機を貫き、もう一発ビームライフルを別の機体に命中させる。

    カオスが破壊した16機、インパルスがビームライフルとビームサーベルで斃した2機、レイのグフがスレイヤーウィップで打ち払った2機とドラウプニル4連装ビームガンで撃った1機、計21機が海面上空でほぼ一斉に爆発。更に、それと時を同じくして左右のユークリッドがザムザザー同様の大爆発を起こして巨大な水柱が両翼に聳え立つ。

  • 159二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 02:52:39

    アグネス「(ショーンとデイルが投擲したビーム・トマホークね。良し、後ろを飛んでいた随伴機6機も同時撃破)」

    (カウントMS488 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA19(共同1) 対MSヘリ117 大型輸送機12 VTOL輸送機25 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 ブルドック81 工兵車60 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等259対空砲7 空母11 イージス艦16 フレーザ級3 大型輸送艦1 コルベット艦2 哨戒艇1 戦闘機46 軍用艇3 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10)

    高速飛行形態になったセイバーがアムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲を撃ち放し、2本の赤いビームで敵編隊を穿ち抜く。8機の敵機が炎上しながら海面に突っ込んでいくのを尻目に敵陣の後方に旋回を遂げるセイバー。勝負を決めると言うことか。

    私達5人もアスランの意図を察し、総攻撃を開始する。カオスはカリドゥス改・複相ビーム砲で敵編隊の前面を横薙ぎにして15機に灼熱の炎を吹きかける。ビームライフル、ビーム突撃砲を発射、3機を仕留める。
    ショーンとシン、デイルとレイは両翼からもたつく敵を抑え込む。

    左翼に回ったショーンのグフが逃げ場を探すような仕草をするウィンダム1機をスレイヤーウィップで叩き落し、近場の1機はテンペストで撃ち落とす。スレイヤーウィップを更に一閃、もう2機焼き切る。

    シン、インパルスは高エネルギービームライフルを連射して2機、ビームサーベルを振るって追加で2機を撃墜。左に逃げようとする敵の意識を絶つ。

    右翼に回ったデイルとレイも連携して、スレイヤーウィップをグルグル回し、テンペストを乱れ撃ちにして6機を撃破、機体の残骸は波間に揺れる。右に行くと言う思考も彼らには働かないだろう。

    前から押され、左右から押され。かき乱され、動揺した敵編隊。いや、すでに編隊と言うのも烏滸がましいだろう。団子になったウィンダムの手段の後方から、遂にセイバーのフルバーストが襲う。

  • 160二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 03:33:49

    アムフォルタス・プラズマ収束ビーム砲が1門12機ずつ計24機の敵を薙ぎ払う。アムフォルタス砲身の上部スーパーフォルティスビーム砲も主砲と軸を同じくしながら連射され、8機の敵を撃ち抜く。両脇に抱えた主砲を下ろすや、高エネルギービームライフルを発射し2機を撃ち落とす。流れるようにヴァジュラ・ビームサーベルを両肩から抜いて、セイバーは最後に残った13機に切り込みを駆けていく。

    アグネス「(畳みかけるか)」
    カオスも両手にビームサーベルを抜き、ビームクローも起動させ突進、4機をサクサク斬り捨ている。インパルス、グフ3機も加わると残り9機などあっと言う間だ。バラバラに切り裂かれた破片が海面にボドボド墜ちる。

    残敵が一掃された時点でふと気づく。
    アグネス「(今度はさっきと違って達成感がある。長い付き合いの仲間との『共同戦果』だからだろうか。それとも駆けつけてくれた仲間を一先ず守れた安堵か…)」

    とは言え、落ち着く間はない。次だ、次ぎ…。海中に目をやる。もし、丁度、助けられるなら、とも思うが...。浮いていない。仕方ないこと。

    タリア「よくやったわ。本当に。降下した者もご苦労。気を緩めるな」
    乱戦の中で確認が遅れたが、ミネルバは既にイラクリオン国際空港上空に到着していた。補給を受ける為、セカンドステージシリーズ組はミネルバに。レイたちは空港でもう一本ずつ新しいビーム・トマホークを握る。

    何時も通り、デュートリオンビームは、セイバーとカオス、その次にインパルスの順だ。

    ブリッジにメイリンから入電!
    タリア「メイリン!状況に変化が?」
    メイリン「はい。シティアないしアイオス・二コラオスを標的にした、ザムザザー1機と混成モビルスーツ隊250機の部隊は出撃中止、シティアを攻撃目標にして飛行中だったエジプトの援軍16機も反転、母艦に引き返しました。状況の不利を察したとのこと」
    アーサー「よっし!」
    アビー「やったー!」
    バート「おお!」、マリク「良し!」

    回線越しにブリッジ組の安堵と歓声の声を聴く。グラディス提督も口には決して出さないが、ホッとした表情を浮かべている。援軍と共に討って出ようとした連合軍の壮挙は空振りに終わったようだ。

  • 161二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 04:02:47

    アグネス「(意図していなかったけど、今回の戦い、ローマのガリア遠征のハイライト『アリシアの戦い』に何とはなしに似ていたわね。包囲戦と言うにはちょっと意味合いが違うけど、雰囲気的に。ただ、敵主力は漸減されども健在。『戦記』にピリオドを打つにはもう少しかかるかもね)」

    でも、正直私も嬉しい。もうくたくたよ。

    (カウントMS511 デストロイ1(共同)  セカンドシリーズ1(共同) 大型MA19(共同1) 対MSヘリ117 大型輸送機12 VTOL輸送機25 リニアガン・タンク78 自走リニア榴弾砲80 ブルドック81 工兵車60 汎用車両・兵站車両・軍用トラック等259対空砲7 空母11 イージス艦16 フレーザ級3 大型輸送艦1 コルベット艦2 哨戒艇1 戦闘機46 軍用艇3 アガメムノン級14 ネルソン級14 ドレイク級17 リフレクターシールド装備型ドレイク級10)

    充電を終え、順番をインパルスに。カオスは着艦する。その間もメイリンの報告は続く。

    メイリン「フォビドゥンヴォ―テクスはティンパキ襲撃の戦術的意味を失ったため、イエラペトラ沖に戻っていきます」
    タリア「イエラペトラ沖が彼の策源地なのね。ありがとう」

    ああ。あっちもあるか…。本当にもう、降伏して欲しい。何のための戦いなのか。
    アグネス「(何のための戦いか…。私も良く分からない。考え出したら挫けてしまう。ある意味では流れで戦っている連邦軍を笑えるような状態ではない)」

    強いて言うなら、私はプラントの国益なり友好勢力の独立のためなり、まだ理由付けは出来なくもないが…。ロゴスについても、跋扈されたら困る敵性勢力なのだ。もう、ここまで来たら半端は許されない。潰すしかないだろう。
    ただ…。うん?

    ヨウラン「アグネス…。大丈夫か?」
    コックピットを外側から開けられて声をかけられた。大丈夫と返そうとするが、喉が動かない。それと視界が暗転している。限界が来たか...。

    カオスの外が騒がしい。元々騒がしかった…。
    ヨウラン「もうちょっと…。頑張れ。医療班が来たから」
    アグネス「戦況は?」
    ヨウラン「すごくいいよ。大丈夫!」

    それはない。一時の危機が去っただけ。サントリーニ島には…。
    看護兵「操縦桿から指が離れない。硬い」
    軍医「急がないと。提督にも…」

    ほら、気休めは結構なのよ。直ぐに起きないと…。

  • 162二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 07:57:37

    アグネス限界だな
    肉体的にも精神的にも

  • 163二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 09:45:25

    ジブリール
    「私を倒せば済む事ではないのか!?これでは虐殺とかわらん!」

  • 164二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 12:24:17

    >>163

    某スパロボのシャアみたいな事言いやがって!

    お前が始めた戦争だろう! いやこの作品のジブリール影薄くて今何してんだほんとに

  • 165二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:12:18

    アグネス、種割れて超高速で並列思考をしてないか? 半分他の事考えながら、あれだけの戦闘で生き残るって……。

  • 166二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 01:52:20

    最早戦闘後はコクピット内で気絶するのが当たり前になっている……

  • 167二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 01:54:28

    重い瞼を億劫に持ち上げる。見慣れた天井、つまりは医務室だ。体が動かない。弛緩しているのに硬直しているような不気味な感覚、その上、胸の上に錘が乗っているよう。呼吸がしにくい、とても苦しい。

    弱音を吐きたくても、それが許されない状況なのは理解している。医務室は他のベッドも満員だわ。

    一杯一杯で戦っていたのは私だけじゃない。他の部署の兵士も累積した疲労と極度の精神的ストレスで倒れ、あるいは擦り減った注意力の下で起きた事故等でまた一人と倒れ、ここに運び込まれくる。『倒れ』が『斃れ』にならなかったことを良しとするべきではある。死屍累々だが、生きている。何より大切だ。

    目玉を動かすだけでも渾身の気力が必要になる。左腕を確認すると点滴、うんざりするけど、これのおかげで何とかなっているのが…。

    医務室にまた、一人運び込まれてきた…。って、ヴィーノじゃない!担架を担ぐ兵士の内、一人はヨウランか。
    アグネス「ヴ…。ヴィーノどう…した…の?」

    縺れる舌、言うことを聞かない喉を必死に動かし、声を絞り出す。艦が被弾したのか!?それとも作業中の事故か?!

    動かない右手を必死に上げて合図を送ろうとすると、担架に乗ったヴィーノもそれに気づき、こちらに疲労でシナシナになった真っ青の顔を向けてくる。元気印の男子にそんな顔を向けられるとこちらの心も折れそうになる。

    ヨウラン「心配ない…。過労と脱水症状だ。無理すんな」

    担架を担ぐヨウランが私に短く事情伝え、私とヴィーノ2人を同時に励ます。私は彼の言葉にアイサインする余裕さえないが、今運ばれてきたお調子者は違ったようだ。
    私のベッドにすれ違う瞬間、ヴィーノは親指をグッと立てて見せ、精一杯の格好をつけて来た。
    ヨウラン「お前はもう…。ハァー」
    それを目にしてヨウランはすっかり呆れているが、私としては一安心した。何よ、本当に…。安心した瞬間、またふっと意識が飛ぶ。

  • 168二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:01:21

    パチリと瞼を開ける。見慣れた天井が少し角度を変えている。男性兵の患者が増えたから女子スペースを切り詰めたのね。致し方ない。

    上半身を起こしてみる。ちゃんと自力で起きれて偉い。自分に100000000000アグネスポイント!

    アグネス「(点滴の減り具合を見るにあれから3時間か…。今どうなっている?捕虜になっているという訳でもあるまい、ミネルバが降伏したのでない限り)」

    私が起きた気配を悟って、カーテンが引かれ看護兵が点滴の残量を確認しに来る。
    アグネス「降伏していませんか?」

    顔を出した女性看護兵に開口一番質問する。女性軍人が捕虜になるのはやはり厳しい、何時の時代であったとしても。

    看護兵「いえ。まだ、ソウダ湾基地の結論は出ていません」
    アグネス「連合軍側の…。今は戦闘中ですか?」
    看護兵「いえ。一時停戦中です。ただ、便宜的なもので…。軍医殿、アグネスさんの意識が戻りました!」

    彼女の言葉を聞きつけた軍医が、簡易ベッドひしめく医務室を掻き分け、私の元に。疲れた彼の顔が意識を取り戻した私の顔を見た瞬間、喜びに溢れる。軍医も衛生兵も人の子、患者が治ってくれて嬉しいのは同じなのだ、と今更気付く。『衛生兵!』と呼べばいい存在では断じてない。良く知っていることを教え込まれることばかりだ。

    点滴が終わり、さっさと医務室を出ようと思ったが、足が立たない。へなへなで転倒しそうになり、また担ぎ上げられて点滴再開の目に合う。世の中おかしいわ。

    ルナマリア「アグネス、大丈夫?」
    隣のベッドから窶れ顔のルナマリアが声をかけてくる。彼女も程度の差はあれ、と言ったところでここに来たか。
    アグネス「シンやアスラン先輩、レイや皆は?」
    ルナマリア「アスランさんは平気、どうなってんのよ…。シン達もさっきまで休んでた。レイは落ち着けるように自室で休ませてる。人のことを気にしてる場合なの?!」

    彼女も他人を気にかけている場合ではないだろうに。第一、気にしなければ死ぬからね。腐っても戦友だし。

  • 169二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:08:56

    彼女のクリクリした目に視線を合わす。この状況下でも死んだ魚のような目にはなっていない。一流の人間って感じね。流石は我が友ね!

    だから、話せるうちに。生きている内にこそ懺悔はしておくべきだろう。

    アグネス「大丈夫じゃないわ。つらい。死ぬ前に言っておく。この艦に乗るの、最初はあんただったの。『姉妹揃って同じ艦では危うい』と、故事を持ち出して代わりに乗り込んだ。手柄が欲しかったの。ごめん。浅はかな人間だった。本当にごめん」
    ルナマリア「え…。えっ。そう。え!?」

    ルナマリアにちゃんと謝れて良かったわ。心の閊えがとれたお陰か、また力が抜け、瞼が下りてくる。
    ルナマリア「死ぬ前って!突然何?しっかりしなさい。衛生兵!」
    医務室で『衛生兵!』は無いでしょう。

    だから、騒がないで…。ああ、それと…。
    停戦とはなに。戦争が終わるのか、連合も遂に懲りたのか…。良かった。
    再び意識が遠のく、泥の中に吸い込まれると言うより、ふわっと魂が抜ける感じ。慌てるルナマリアに一抹の罪悪感を覚えるが、どうにもならない。振るい落されるように意識を失ってしまう。

    ユラユラ、ユサユサ…。
    遠慮がちに体を揺らされ、ようやく目を覚ます。目の前にいたのはルナマリア、さっきよりちょっとは顔がましになっている。ちょうど今、彼女の点滴が終わったみたいね。

    ルナマリア「起きた?辛いかもしれないけど」
    アグネス「平気。あんたは?」

    タイマーを見るに更に1時間が過ぎている。シンやレイは無事だろうか。ミネルバは?今の戦況は―。

    ルナマリア「平気。それと、気にしてないから!月でもやること、出来ることは一杯あったわ。それに乗り換えが無ければ、あんたもレクイエムで焼かれていたかもしれない。姉妹揃って同じ艦は、って言うのも嘘を言ったわけじゃない。今、二人とも生きていてプラントが1基も撃たれていないなら…。お互いが頑張ったってことでしょ」

    軽くぶっきらぼうに許しの言葉を返してくれるルナマリア。ベッドから立ち上がるのに肩を貸してくれる。

  • 170二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:17:37

    うーん。悪い男に掴まらないで欲しい。とことん毟り取られそうで心配になる。良い出会いが彼女をますます幸せにして欲しい。そんな世情でないことは良く分かっているけど。

    少しふらつきながら立ち上がる。赤毛の少女は、私が立てるのを確認した上で憎まれ口を叩きだす。心配げな雰囲気を纏ったままで―。

    ルナマリア「まったく。本当、都合のいいタイミングでしか告白しないんだから。はぁー。良いわよ。何かメイリンもスーパーマンみたいになっているし。姉冥利に尽きるわねぇ」

    左右の足を踏みしめ、ウォーミングアップを済ませる。

    アグネス「姉離れするべきだったのよ。メイリンも十六、姉の後ろに隠れる歳じゃないでしょ」
    ルナマリア「そうね。でも、身近過ぎると、ね」
    互いに肝心なことは触れない。触れても仕方がないこともある。

    軍医と看護兵にお礼を言って医務室を飛び出す。説明は歩きながら、いや早歩きしながら聞く。

    アグネス「それで今の状況は?ここはイラクリオン?」
    ルナマリア「そう。イラクリオン県のディーア島。クレタ島北方の無人島、東から2つ目の入り江にミネルバは着水停船中よ」
    アグネス「なるほど」
    ゼウスの雷に打たれて石に変えられたトカゲ、それがこの島だ。古代文明においては重要な港だった。

    二人して更衣室に入り、再びパイロットスーツに着替える。緑色の病院服は汗やら何やらでドロドロになっている。最悪に気持ちが悪い。それよりはまだクリーニング済みのパイロットスーツの方がましだわ。

    ルナマリア「イラクリオン沖で大型モビルアーマー3機とウィンダム120機を一度に殲滅され、連合軍ソウダ湾・ハニア空港司令部とユーラシア連邦は驚愕。国際救難チャンネルでイラクリオン県の無防備都市宣言(無防備地区宣言、開放都市宣言)を行ったわ。少し遅れてラシティ県にも、ただしイエラペトラ沖の無人島フリシ島は除いてね」

    チャックを上げてパイロットスーツを締める間にもルナマリアの口からナパーム弾のような現実が浴びせられかける。
    !?待て。この知らせは悪いものではない。

  • 171二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:18:12

    過労やらなんやらで倒れたってので、ふと銀河英雄伝説の回廊の戦いを思い出した
    あれもヤン艦隊の人員が疲弊して限界がきてあちこちでバッタリ倒れて寝てたからな

  • 172二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:29:58

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  • 173二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:34:40

    アグネス「へぇ!島の半分を無条件降伏とは。思い切ったことをするわね」
    ルナマリア「そこまで来たら、フリシ島も。持っててもどうしようもないでしょ」

    イエラペトラ市南方のフリシ島をわざわざ除外したのはフォビドゥンヴォ―テクスの活動のため。実際にいるかどうかはともかく島の周辺海域に『潜んでいる』と思わせ続けるためね。あんまり意味なさそうだけど。

    ルナマリア「切り札の大型モビルアーマー3機と新鋭機ウィンダム120機を、あっと言う間に墜とされたのが決め手ね。イラクリオン市にはまだ男性中心とは言え大勢の一般市民がいる。それに国内外のメディア関係者もたくさん。その目前でのことだから…。かなり響いたみたい」
    アグネス「確かに」

    一般市民にとって、50m前後の巨大モビルアーマーが目の前で撃墜され、大爆発を起こす。その時点で仰天ものだわ。他国の出来事と自国の出来事では訳が違う。同じ国の出来事でも目視できる範囲で起きたかどうかは大きい。このC.E.においてすら、西暦のご先祖様がきっとそうだったように。

    重大なことなんだ、本来は。モビルスーツ部隊は、簡単に全機撃墜されたりして良いものじゃない。イージス艦が2隻以上一度に沈めば将官の首が飛びかねない。そして、当然、空港も簡単に陥落するようなものじゃない。

    アグネス「(私達の感覚が異常なんだわ。レクイエム、迫るコロニー、立て続けに迫る数十隻の宇宙母艦と宇宙戦艦。戦乱の時代に生きる者達の中でさえ、私達は異質な人間になってしまった)」

    ニュージーランドと…。なにより、エーゲ海で展開されていた光景は連邦の人間にとって驚天動地と言うほかない。立場が反対なら、私もおかしくなってしまっていただろう。地球の裏側でニュージーランドが落ちたかと思えば、今度は自分達の島があれよあれよという間に占領されている。

    加えてタンホイザーとミネルバ・艦載機部隊の破壊力も直視した。ザフトの意図はともあれ、もしあれが『うっかり』都市を巻き込んでしまったら?そう思い至った人もいたのだろう。

  • 174二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 02:53:31

    アグネス「無防備都市宣言の発出元はモスクワ政府?」
    ルナマリア「最初は連合軍ソウダ湾・ハニア空港司令部が独断で。だから、最初はザフト国防本部も黙殺する予定だったけど。モスクワ政府が追認して声明を出したから最高評議会も受諾したわ」
    アグネス「そう。英断ね。『連合側の諸政府≒ロゴス』という図式に私まで引っ張られかけていたわ。危ない」
    ルナマリア「世界はそんなにきっぱり二分できる物じゃないのにね」
    アグネス「ええ。不覚」

    シンの国で例えるなら…。
    政財界の中で確かにロゴスは横綱かもしれない。それどころか、相撲協会そのものかもしれない。でも、観客や一般力士なしに『お相撲さん』は出来ない。

    アグネス「(正教会辺りからストップがかかったのかな?クレタは歴史ある修道院がいっぱいある。あるいは旧ユネスコ系団体が動いたかも。クレタ島にはユネスコがあった頃の世界遺産が多数存在している。国連が消滅した後、国元で活躍している人もいるはず)」

    アグネス「まあ、私もユーラシア連邦モスクワ政府のパワーバランスは分からないけど…。でも、2県の人達には朗報ね」
    ルナマリア「このまま終わると良いわね。この島だけでも」

    更衣室を出て2人、エレベーターに歩き出す。

    アグネス「それでクレタ島4県のうち2県を開放都市宣言と。占領は?」
    ルナマリア「順調よ。既にロドス島とカルパトス島、カソス島はギリシャ独立派に統治を任せることが決定されたって。クレタ東部2県も、停戦時間終了前には独立派の統治開始が宣言されるわ。
    クレタ東部2県は軍人・兵器・施設の撤去完了前の宣言だったわ。だから、本当は良くなかったんだけど。そこは双方合意の上、兵器と施設はザフトに即時引き渡し、軍人は武装解除を条件にバスやトラックでハニア県、レティムノ県への移動を開始」

    一気に捲し立てられてビックリするが、お互い時間が無いから仕方ない。宣言前に軍を下げる時間、無かったものね。それも、仕方ない。同意できたなら結構だわ。

  • 175二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 03:12:23

    エレベーターに乗ってボタンを押し、格納庫に下がる際の重力変化に久しぶりに眩暈を覚える。ビックリしているだけだわ。

    アグネス「そこまで腰砕けになるとは。もう月軌道艦隊だけじゃない。ロドス-クレタ間はハニア県、レティムノ県を除いてザフトが駐留し放題じゃない。欧州軍も来た?」
    ルナマリア「欧州軍はまだね。地理的に暫くは中東軍が…。マハムール基地は天手古舞でしょうね」

    確かに。一連のバケツリレーの水源の一つ、後方司令本部もあそこだ。大変だろう。

    アグネス「ラドル司令官は有能な方。心配いらないわ。ガルナハン-コーカサスを戦い抜けたのは彼の胆力あればこそ。というか、ユーラシア連邦軍の戦意はかなり低くなっていそうね」
    ルナマリア「それは間違いなく。ラドル司令官のことは知らなかったけど、凄い人なのね」
    アグネス「黒服といってもピンからキリまでいるわね。上の方の人ばかりと仕事が出来て良かったわ」

    アグネス「(さっきのミネルバ医務室の惨状を知ればまた、連合の判断もまた違ったはず。でも、霧の向こうの彼らにそれは知る由もないこと。少数で多数を蹂躙し続ける化け物に私達が見えたんでしょう)」

    実際半分は当たっているけれど、私達は化け物ではない。消耗の極だった。それに蹂躙していたのでなく、押しつぶされないよう我武者羅に戦っていただけ。ただ、攻撃の意思を最後まで失わなかった方が勝者になる、というのも事実。精神論に流れないようにしなければいけないけれど、精神自体は大事だ。

    戦史上、少数の軍に包囲され、あるいは城門を破られただけで、まだ戦いようがあったはずの大軍が投降してしまう事例も少なくない。使い放題の戦術的資源を有しながら、最後まで投下できずにぬるりと負けてしまう者達も。今回もまたそうだったのだろう。

    アグネス「(何より、国と軍が彼らにここで死ぬに足る大義名分を示せていない。私にも皆にも、多分、アスランにも迷いがあり、モチベーションを下げる要因がある。でもそれは彼らも同じだった。と言うか、同じではなく彼らの方が大きかったということね)」

  • 176二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 03:21:12

    アグネス「状況は理解したわ。それで、この停戦は何?」
    ルナマリア「そう…。それね」

    『チーン』という音と共にエレベーターが開く。女二人、しんみりと話していられたのもここまで。私もルナマリアも飛び疲れた鷹みたいなもの。まだ翼を休めたいけど、無理そうね。

    モビルスーツ格納庫の中は戦場だ。気温変化で風邪をひきそう、両方の意味でね。翼を休ませる樹木などない。次の獲物を獲ってこいと鷹匠は合図を送るばかりだ。いや、鷹匠も強いられている。結果、行きつく先がこれだ。本物の猛禽なら無礼者を許しはしないのに。

    アグネス「状況は理解したわ。それで、この停戦は何?」
    ルナマリア「そう…。それね」

    『チーン』という音と共にエレベーターが開く。女二人、しんみりと話していられたのもここまで。私もルナマリアも飛び疲れた鷹みたいなもの。まだ翼を休めたいけど、無理そうね。

    モビルスーツ格納庫の中は戦場だ。気温変化で風邪をひきそう、両方の意味でね。翼を休ませる樹木などない。次の獲物を獲ってこいと鷹匠は合図を送るばかりだ。いや、鷹匠も強いられている。結果、行きつく先がこれだ。本物の猛禽なら無礼者を許しはしないのに。

    それでも―。エレベーターから歩み出すと、私達に気が付いたヴィーノとヨウランが手を振ってくれる。素直に嬉しい。医務室を出るとき、お調子者ヴィーノの姿が無くてちょっと心配だったけれど、復帰していたとは!軍人は頑丈でなければやっていけないわね、お互いに。

    赤いザクファントムに駆け出す前にルナマリアが残りを話してくれる。

    ルナマリア「プラント最高評議会がモスクワ政府と連合軍ソウダ湾・ハニア空港司令部に対し通告を。『全武装の解除と基地・兵器の完全な引き渡しに合意するなら、将兵の無害通航を許可する』ってね。赤十字船舶・輸送機でスエズないしセヴァストポリまで。足りないなら貸す、移動中と到着後24時間攻撃しない、と。上手くいくと良いわね」
    アグネス「そうね。ありがとう」

  • 177二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 03:31:09

    私もカオスに駆けていく。連邦が弱腰になった途端、我が祖国は随分、調子に乗ったものだわ。

    昇降機でカオスのコックピットに乗り込みモニターを開く。
    アグネス「(『交渉事は最初は強気に』別にプラントが悪辣という訳ではない。向こうが気を変えたらこちらが不利なのは変わっていない。気を抜くな)」

    そう自分に言い聞かせる。取り合えず、自分に今できることは次の発艦に備えることだけ。駆け引きは得意な人、綱引きの参加資格がある人達に委ねるしかない。その結果次第で切り込むのが仕事だから。

    外部ミネルバのモニターとカオスのモニターを同期する。ブリッジ越しにイラクリオンからレティムノに向けて走る大型バス10両。車内に乗っているのは武器を持たない連合軍人たちだ。バスの後方からはザフト軍の救急車両が追う。負傷兵を送り届けるためだろう。E75線の向こうには鉄条網が張られ、急いで作った検問所が見える。

    外部モニターを切り替えイラクリオン国際空港に。ザク隊の警護の下、ザフト軍の救命活動が猶も続く。移送できない重傷者はこちらで治療をするし、これまでもそうしてきたが…。

    アグネス「(流石に生存者がいるとは…。いや、まだ72時間経っていない!勝手に諦めるのは全方位に失礼だわ)」

    ホスピタルウィザードのザクもドシドシ到着しているのだから、何とか、少しでも助かって欲しい。そう思うのは自分が傲慢だから?

    アグネス「(確かに私は聖人君子ではない。今日もルナマリアに卑怯な振舞いをした。だからと言って敢えて酷薄になることは絶対に間違っている!)」

    遺体袋がまた一つ運ばれて行く。私が見た遺体はほとんど『人間の形』を留めてなどいなかった。あの袋の中身を想像するのは怖い。それでも、髪の毛一本、小指の骨一つになっても帰りを待つ人たちが、彼ら彼女らには必ずいる。
    あの場を引き継いだ我らがそれを怠るわけにはいかない。

  • 178二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 03:37:44

    モニターを切り替え、再びイラクリオン県を去り行く彼らに。レティムノ県との県境で対峙する両軍の境界線に到着したバスから連合軍人が下りてくる。『敗残の将兵を辱めた』そう言う印象は避けたい。護送隊・警備隊のザフト歩兵はきちんと姿勢を正して丁寧に対応し、『線』の向こうに彼ら戦友として送り出す。

    一応、私もモニター越しに彼らに敬礼する。
    アグネス「(『残る命散る命』どちらになったかは戦場の運…。運命の悪戯だ。私もミネルバに乗り込まなければレクイエムで焼かれたかも知れない。ルナマリアの言うことはやっぱり正しい)」

    モニターを切り替えてイラクリオン国際空港の遺体安置所にも敬礼する。手伝いもしないで覗き見だけだと、やはり気が咎める。
    何とはなしにサトーの馬鹿者の声が頭蓋骨に反響する。『この墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか!』

    死者の思いも確かに無視して良いはずはない。彼らは一瞬前まで我らだったのだから。でも、それでも世界は生者のものだ。

    アグネス「(モスクワからの回答、どうなるかしら。YESかNOでなくとも良い。結構、プラントの要求も心理戦とはいえ欲張りなものだった。あくまで交渉開始のゴングだ。YESでないなら妥協案か交渉続行、どれかにして欲しい。もう遺体袋を増やしたくない。当分の間は)」

    それは彼らとて同じだろう。だから、まだ砲火は止んでいる。このままドミノ倒しみたいな奇跡を期待するのは間違った考えなのだろうか。

  • 179二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 07:13:34

    アスランほんと鉄人だな
    メンタル以外に弱点がない

  • 180二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 08:23:50

    あんだけ何度も離着陸して充電と弾薬補充と破損点検繰り返してたらそりゃヴィーノら整備兵も倒れるわ…
    作戦前に満載してきてるだろうとはいえあんな大軍相手に弾薬類の在庫もよく保ったな

  • 181二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 12:50:10

    キラでもここまでしてなくね?

  • 182二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 17:09:23

    キラはTVでも敵との戦力比ともかく、休む時間はあったよね…映画でもその気なら休める時間は取れた筈だし。

  • 183二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 18:19:31

    キラの場合、
    艦が単独・僚機は一機で交代役もいない・OS周りできるのがキラだけだから整備にも参加
    戦力面でも、性能差が対実弾以外圧倒してない(Xナンバー、ラゴゥ、ゾノ)、戦艦は陽電子砲使えない、補給もあてにできない

    なんだ、この地獄は

  • 184二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 18:30:58

    とうとう整備班も点滴送りに…
    これが勝ってる軍隊の姿か…!?

  • 185二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 18:44:57

    幼女戦記で、前線の兵士達が必死で戦って勝ちを拾い続けるのに対し、後方の政治家とかは「勝つのが当たり前」みたいな意識になっていた…なんて話があったと思う。

  • 186二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 23:47:18

  • 187二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 00:47:07

    カオスのコックピットデバイスを操作し、より細かい情報の把握に努める。
    まず、この一時停戦の対象エリアはクレタ島、カソス島、カルパトス島、ロドス島の4島及び離島、周辺海域とその上空まで。その他の地域では普通に戦争は続いている。サントリーニ島、レパント海のエジプト地方海軍・空軍、マルタ島周辺に集まっている北アフリカ諸勢力海軍・空軍は停戦の対象とはされていない。

    ただ、これらの勢力はマルタ救援のためにこそ、駆けつけたわけだから『適用されずとも認知はする』と言う姿勢で、成り行きを注視している。

    ミネルバは、私が意識を失っている間も、イラクリオン港とイラクリオン国際空港を利用して弾薬・物資の積み込みを続けていた。他の部隊の応援もあってのこととは言え、頭が下がるわ。中東軍の協力もあって無理やり満載にした後、民間への配慮から沖のディーア島に錨を下ろしているのは、ルナマリアが教えてくれた通りね。

    アグネス「(今、月軌道艦隊モビルスーツ隊はイラクリオン国際空港とティンパキ空港、シティア空港に展開中。イラクリンにはザク隊13機とバクゥハウンド。ティンパキにはザク隊12機。最後に降りた11機は比較的後方のシティアに下げた、と)」

    あくまで、月軌道艦隊の話ね。ザフト中東軍とギリシャ独立派政府軍がイラクリオン県とラシティ県各所に進駐を開始している。カステリ空港は中東軍が除染活動中、そんなにかからないと思うけど。

    渋滞に巻き込まれ、乗り捨てられ、あるいは無防備都市宣言までの撤退が間に合わず、引き渡された軍事車両、自走リニア榴弾砲2門、リニアガン・タンク13両、ブルドック43両、汎用車両・兵站車両・軍用トラック91両。鹵獲車両は今のところ、ザフトが管理している。

    アグネス「(独立派に引き渡したいけれど、引き渡した途端、戦意が高揚して暴発されても困るからね)」

    停戦時間終了まで後、45分か…。
    コックピット回線にインパルス、シンの声が流れる。

    シン「アグネス、大丈夫か?」
    アグネス「ええ。心配かけたわね。今はアスラン先輩と上空監視中でしょ。あんたこそ、体調は?」

    停戦中も警戒を怠るわけにはいけない。相手はミネルバとモビルスーツ隊の力に畏怖を覚えたのだから、全てを引っ込めるわけにもいかない。今はインパルスとセイバー、ショーンとデイルのグフ3機が上を飛んでくれている。

  • 188二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 00:51:59

    シン「ああ。俺は大丈夫。アグネスはマルタとキプロスのことは、もう知っている?」
    アグネス「いえ。初耳ね」

    流れから、大体わかるけど。一応、コックピットデバイスを確認してみる。案の定、マルタと南キプロスでは反ロゴス派の民衆が決起、その上、警察・現地治安部隊軍も連合を離反、2か所でコンボ技が炸裂しているわね。

    何て間の悪い。向こうはチャンスと思ったんだろうけど。
    アグネス「不味いわね。マルタは…。私達の停戦…、クレタ島の戦いの結果を『連合・ユーラシア連邦軍の敗退』と早合点したんだわ。現地政府まで丸っと独立宣言しちゃっている…。今、沖合には連合北アフリカ諸勢力艦隊が展開しているのに」

    キプロスではさらに事態が差し迫っている。現地住民主体の治安部隊が反ロゴスを掲げる民衆に銃を向けられず、一緒に連合を離反したまでは良かったが…。
    あの島には大西洋連邦軍の大規模基地がある。現地軍と一触即発の状況になっているらしい。民衆を巻き込んでの地上戦とかになられたら困る。

    レイ「いざとなれば、俺達が来ると思っているんだろう」
    アグネス「うわぁっ!ビックリした。急に出てこないでよ」
    レイ「オープンで話しているのが悪い」

    コックピットモニターには何時の間にかグフに乗り込んだレイのすまし顔が映る。頼むから飛行中に発作で墜落とか起こさないでよ。

    レイ「マルタ、キプロスは西暦時代からタックスヘイブンとして扱われてきたお国柄だ。不正や汚職、マネーロンダリングの拠点にもなって来た。無論、現地の人達の不断の努力により、一時は改善したこともあったのだが…。ロゴスめ」
    アグネス「ああ。なるほど。地政学的な重要地点と言うだけじゃなくて、そっちでも抑えられるなら押さえたい、と。でも後回しよ。それどころじゃないわ」

    この期に及んでも、議長の『対ロゴス戦争』に乗り気なレイには呆れてしまう。ロゴスのマネーロンダリングの拠点潰しに駆けずり回る、そんなのごめんだわ。世界中を小突き回らないといけなくなる。

  • 189二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 01:05:38

    私の態度が気に障ったのか、レイはむすぅっとした表情を浮かべる。思ったより、元気が有ってよろしい。

    レイ「それを判断するのは、俺達じゃない。議長たちが熟慮の上で決定される」
    アグネス「そうね。じゃあ、まず目下の睨み合いを何とかして欲しいわ。でないと、マルタもキプロスもギリシャも何ともならないわよ」
    シン「と言うか、俺達もミネルバもまだ、大分危ないぞ。ロゴスのことは後でも良いんじゃないか?レイ」
    レイ「それは…。確かに」
    アグネス「でしょう。まだソウダ湾とハニア空港には空母14隻を中心にした大艦隊と470機のモビルスーツ隊、多数のモビルアーマー、フォビドゥンヴォ―テクス1機が立てこもっているのよ。フォビドゥンヴォ―テクス1機は湾外で活動中。一瞬でも気を抜けば、私達、お終いよ」
    レイ「そうだな」

    と言うかね。議長-毒親はもう放っておきなさい。
    アグネス「あんたは『しょ・う・びょ・う・休暇』でしょう!入院の先延ばしは無しだからね。生きられるなら生きたいでしょう!!」

    私の言葉にレイが一瞬、雷に打たれたような顔をする。
    レイ「ああ…。それは…。そうだな。どんな命でも…」
    アグネス「私は『どんな命』の話はしていない。『あなたの命』の話をしている。分かった!?私の気苦労を増やさないで!」

    レイはモニター越しに目をパチクリしていたが、やがて頷き素直な声で応じる。
    レイ「分かった。俺は生きられるなら生きたい。かなうなら少しでも健やかに。ちゃんと分かっている…」
    アグネス「よろしい」

    分かればよろしい。はぁー。『ロゴスとの戦い』などと、真っ黒議長が言い出したせいで、誰が何と戦っているのやら。戦いを宣言するなら、せめて勝利条件を設定して欲しい。ロゴスの資産・資本の70%を差し押さえたら成功とか、構成メンバーの80%を捕縛して起訴できれば勝利とか。まあ、先のことは良い。

  • 190二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 01:16:24

    >>189せめて勝利条件を設定して欲しい。

    それな!

    数値で明確になってると、作戦も引き際も明確化しやすいんだけど、漠然と「ロゴスゆるせねえ~」だけだと何をどこまでやったらいいのか判らないよね。

  • 191二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 01:40:06

    アグネス「(ただ、西ユーラシアとの取り決めがあるから、何にしろマルタとキプロスには駆けつけないといけないのか…。豪華ヨットをプレゼントされても今はお断りしたい。拒否権ないけど)」

    勿論、ヨットの恩賞なんてない。ロゴスメンバーの隠し財産がもしあれば、それはマルタとキプロス、西ユーラシアの復興のためにこそ用いられるべきだろう。あの地域の人々の生活は滅茶苦茶だ。怨嗟の声の向かう先が読めない以上、和らげることにも気を使うべきなんだ。

    アグネス「(フェイスになって徽章は増えても、権限を使う間すら与えられない。実質、拒否権なんてないのだから普通のパイロットと変わらないじゃない!)」

    ただ、ミネルバの皆が命じられれば、仮に私個人が拒否出来ても付いて行くしか無い。死んでほしくないから、戦友に。だから結局同じか…。

    『命令』と言えば…。最近のグラディス提督の『命令』、これまでとは違った重みを感じる。部下に無理な命令を繰り返していることへの自覚、私達に対する彼女なりの責任感と思いやりのようなものを。辛かったり、苦しかったり、後悔したりした時は自分を責めなくて良い、私を恨めと。どこか他人行儀だったタリア・グラディス艦長とは少し違う決意のようなものを最近感じることが多い。それが、良い方向にそれが働くのを祈るばかりだわ。

    ブリッジから入電。
    アーサー「急報だ。ユーラシア連合軍アテネ市防衛隊が独立派に降伏した。ギリシャのアッティカ地方はこれでユーラシア連邦の実効支配が及ばない地となる。ギリシャ13地方の内、ペロポネソスと中央ギリシャ、西ギリシャ、イオニア諸島、北エーゲに加え6地方目だ」
    アスラン「首都陥落…。では?」

    警戒飛行中のアスランの声。少し震えている。感動ではなく慄きに近い感情、私も同感だわ。時代のうねりは緩慢になったかと思えば流れ下って忙しない。身も心も追いつかないわ。

    アグネス「(まだ、テッサロニキとラリサはユーラシア連邦が保持している。でも、正直、ギリシャでユーラシアが盛り返す眼はもうない)」

    そうなると問題なのはクレタの軍。彼らはどうなる?ギリシャ本土再侵攻を図る士気などとうに喪失しているだろう。
    アグネス「(ただ、まだ大軍で余力があるから降伏できない。実行すれば、上級将校は国家反逆罪に問われかねない。モスクワ政府が何かしら命じないといけない)」

  • 192二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 12:28:18

    ミネルバ組は疲弊、地球軍側は大損害
    どこかで手打ちにしたいが難しいか

  • 193二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 18:02:18

    このレスは削除されています

  • 194二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:07:57

    アビー「司令部より緊急通達です」
    コックピットモニターにアビーの疲れた顔が映る。メイリンはまだ戻れないから仕方ない。
    タリア、アーサー「え?」
    アビー「ユーラシア中央よりロシア平原ベラルーシ地方を通過して地球軍が侵攻。既に3都市が壊滅。ザフト全軍は非常態勢を取れとのこと」
    タリア「何ですって!?」

    ルナマリア「3都市が壊滅…。どういうこと?」
    ザクファントムからルナマリアの通信が入る。彼女も特務隊、問いかける権利がある。

    とは言え、この感じだとアビーどころか、グラディス提督も何も知り得ないだろう。クレタで手一杯だったのに何をしてくれているんだ!

    アビー「分かりません!追加情報!南アフリカ統一機構、旧南アフリカ共和国にもジンバブエを通過して地球軍が侵攻中。こちらも3都市が壊滅しています。最終目標はオルドリン地区と想定されます」

    タリア「…」
    アーサー「クレタは陽動で、彼方が主攻だったということでしょうか?」
    タリア「分からないわ。そこまでの計画性が果たしてあったのか。メイリン?」

    クレタの司令部を傍聴中のメイリンに提督が通信回線で問いかける。停戦時間終了前から、ブリッジはまた騒然とし始めている。

    メイリン「クレタ島司令部も動揺しています。アテネ陥落の報を受け、緊急会議を開いているところの急報。参謀たちもパニックを起こしています。事前にこの攻撃を認識していた様子はありません。」

    タリア「ありがとう。不味いわね。彼らが『共犯者』じゃないことは分かったけれど。その分、衝動的に動くかもしれない」

  • 195二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:13:00

    AWACSディン「サントリーニ島のウィンダム隊90機に動きが!発進シークエンスが開始されています」
    アスラン「目的は?」
    AWACSディン「不明です!」

    シン「アグネス、どういうことだと思う!?」
    アグネス「サントリーニ島の部隊に関してなら…。そうね。アテネに牽制的な攻撃を仕掛けるとか、ラリサに帰還するか…」
    シン「そっちも大事だけど!都市が!」
    アグネス「分かっているわよ!でも状況が…」

    コックピットモニターに眦を吊り上げたグラディス提督の顔が映る。
    タリア「全艦、全パイロット、特務隊、動揺するな。こちらも情報収集に努めている。目前の任務に集中せよ」
    アグネス・一同「了解!」

    了解は良いが…。サントリーニ島はどうする?
    アグネス「(停戦時間終了まで40分。サントリーニ島は停戦エリア外だけど、ここから出撃してしまえば、停戦エリアを策源地に用いたことになってしまう。どうしたものか。でも、放っておくと同志勢力の独立派が…)」

    それ以前に都市が3つ壊滅とはどういうことだ?!正確に言うと、ユーラシア西側で3つ、南アフリカで3つ、計6つか。

    アビー「詳細判明!西ユーラシア、南アフリカに侵攻しているのはデストロイ!両者とも母艦はハンニバル級地上戦艦。随伴に大隊規模以上のウィンダム・ダガーL混成隊、西ユーラシアにはガイアも!壊滅した都市名判明!ユーラシア西側はウクライナ地方チェルニヒウとキーウ、リトアニア地方ビリニュス。南アフリカはポロクワネ、プレトリア、ヨハネスブルク」

    頭がパンクしそうだわ。何が起きているの?
    アーサー「提督これは?!」
    ブリッジでも副長が同じことを言っている。それに苦虫を噛み潰したような提督が応じる。

    タリア「独立派とザフト…。要は地球連合に都合が悪い存在を焼き払ってしまおうと言うことでしょうね。見せしめも兼ねて。でも、だからってこんなこと…」
    そこまで言って提督は口を閉じる。ここは評論の場ではない。次のアクションを考えなければ。

  • 196二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:16:37

    タリア「ザフト国防本部、状況は切迫しています。ミネルバの任務内容の再確認を!」
    ブリッジから、本国の司令部に緊急通信を入れる。停戦時間終了まで残り40分、ただ繰り上がらないとも限らない。霧はますます濃くなっている。

    シュライバー「待て!グラディス提督。今、最高評議会で緊急会合が…」
    シン「会議が終わる頃には次の都市が焼かれます!」

    インパルスの回線からブリッジに顔を出したシンが国防委員長に大声を上げている!?フェイスだからギリセーフ、いやアウトか?

    アスラン「シン!頭を冷やせ!」
    シン「でも!」
    遂にはセイバーとインパルスのモニター越しで、アスランとシンが言い合いになっている。

    アグネス「メイリン、サントリーニ島の部隊は?」
    皆、ちゃんと足元を確認して欲しい。先ず、あの連中を何とかしなくてはいけない。
    メイリン「黒海に向かうようです。ハンニバル級への合流を目指すとのこと」
    アグネス「じゃあ敵ね。そいつらは。提督、先ず『灯台下暗し』を防ぎましょう」

    ここまで話したところで、国防委員長から注文が付く。
    シュライバー「無論、見過ごすわけにはいかない。ただ、そこから直接は困る。休戦エリアを策源地には出来ない。一旦出てから対処を。サントリーニ空港を確保したら中東軍が向かう」
    タリア「分かりました。ミネルバを離陸させ、一旦大気圏を離脱します。カーマン・ラインより上で、停戦エリア外からセイバー、カオス、インパルスを降下させます」

    何か、また相当無茶苦茶言ってくれるわね。

    ラドル「ロドス島のロドス国際空港にシャトルを必ず届ける。サントリーニ島が片付き次第、はそちらに来てください。大気圏外のミネルバに合流できるよう取り計らいます」
    タリア「ありがとうございます」

    コックピットモニターに顔を見せて下さったラドル司令官、ご挨拶をする間もない。後方のマハムール基地も大変だ。シャトルはアナトリアから届けるのね。

  • 197二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:36:48
  • 198二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:38:07

    とうとうデストロイを本格投入か…

  • 199二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:39:10

  • 200二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:39:52

オススメ

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