- 1君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:29:02
- 2君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:31:20
【前回までのあらすじ】
有馬記念を制し、華々しい引退を飾ったキンペイバイ。だがそれは彼女の中に眠る魂のもう一つの側面を引き出す事になるのであった…… - 3君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:32:00
【おさらい】
キャッチコピー>ミニマムボディの白金少女
誕生日>12月21日
身長>131cm(デビュー時)→136cm(ラストラン)
体重>片方でスイカ1玉分
スリーサイズ>B104・W52・H86(デビュー時)→B117・W54・H92(ラストラン)
※ハリ88%・柔らかさ12%
靴のサイズ>18.5cm
学年>中等部
所属寮>美浦寮
得意なこと>体幹が強くかなり柔らかい・家事(特に掃除)
苦手なこと>同性との付き合い・お菓子作り
好きな食べ物>ミルクアイス
嫌いな食べ物>豆乳
趣味>ピアノ・コスプレ
出身>鳥取県
耳のこと>左右で大きさが違う
尻尾のこと>短めだがブワッと広がっており、触り心地がいい。とても敏感であり、どうなるかは教えてくれなかったが、尻尾の根本は決して触れてはいけないらしい
家族のこと>一人っ子で母子家庭。家族仲は普通。母は売れない小説家、30半ば
相部屋>シンボリルドルフ
ヒミツ①>人に頼られるととても嬉しい
ヒミツ②>寝言がうるさいタイプ
最近の悩み>足元が見えにくいのでよくつまづく
脚質>追込
得意距離>中・長距離
CV>能登麻美子
- 4君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:34:59
【募集中】
ラストランを終えエンディングを迎えたキンペイバイ。現在のスレッドは所謂エピローグであり、書くべきものが終わり次第この一連のスレは終了となります。ご要望等ありましたらなるべくお早めにお気軽にお寄せください
現在未達成の要望
・引退後にお腹を大きくしたキンペイバイ
・後輩との併走
(※抜けている物がありましたらよろしければお教えください) - 5君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:37:28
【募集中】
キンペイバイの産駒の名前を募集しています。
下記のリストにある組み合わせからお好きな数だけ選んでお好きなお名前をお出しください。同一の組み合わせに複数個のアイデアが届いた場合はスレ主の好みの方かダイスによって決めます
(例)
第1子(父:タイキシャトル)
名前:○○○○○○○○(9文字以内)
コメント:名前の由来、容姿の想像等、お好きなことをお好きなようにお書きください。未記入でも結構です - 6君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:38:08
【キンペイバイ産駒一覧】
1.G1複数勝(牝 父:タイキシャトル)
2.GⅡ複数勝(牡 父:タニノギムレット)
3.OP勝ち(牝 父:ダイワメジャー)
4.G I複数勝(牝 父:マヤノトップガン)
5.GⅡ1勝(牝 父:シンボリクリスエス)
6.OP勝ち(牝 父:ダイワメジャー)
7.OP勝ち(牡 父:メイショウポーラー)
8.G I複数勝(牡 父:キングカメハメハ)
9.OP勝ち(牡 父:ディープインパクト)
10.OP勝ち(牡 父:ドゥラメンテ)
11.GⅢ1勝(牝 父:エピファネイア)
12.OP勝ち(牝 父:シュヴァルグラン)
13.G I1勝(牡 父:カルストンライトオ)
14.GⅢ複数勝(牡 父:ドバウィ)
15.G I複数勝(牝 父:パンサラッサ)
16.G I複数勝(牡 父:イクイノックス)
17.OP勝ち(牝 父:オルフェーヴル)
18.GⅢ1勝(牡 父:イクイノックス)
19.G I複数勝(牡 父:コントレイル) - 7君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 08:39:54
- 8二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 08:54:31
ヒャッハー!延長戦だ!
よう考えると繁殖成績をウマ娘に落とし込むって意欲的よな - 9二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 09:19:54
おつです
- 10二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 09:57:17
前スレに上げた奴に情報追加したやつ
第4子(牝 父:マヤノトップガン)
名前:レガシーホーネット
由来:マヤノトップガンの名前の元ネタである映画「トップガン」作中での主人公機であるF-14トムキャットの後継機として開発されたF/A-18スーパーホーネットの非公式呼称より
特徴:父親譲りの栗毛の美しい馬体に稲妻を落としたような流星が特徴。父親に似た変幻自在の脚質と母親に似た無尽蔵のスタミナで牝馬三冠路線のみならず芝・ダートを問わない多くのレースで活躍、シニア級でもその実力を大いに発揮し、GⅠ4勝の八面六臂の活躍を見せた。
特にこの馬を象徴するエピソードとして語られるのは5歳時に挑んだ「エクリプスステークス」である。序盤から馬群に飲み込まれ気味だったレガシーは活路を見出せないまま最終コーナーまでほぼ最後尾というこの馬のレース展開的にはあまり好ましくない位置でのレースを強いられていた。しかし、最終コーナーに入りわずかに膨らんだ馬群の隙間を見つけると、そのわずかな隙間を通り抜けするすると上位に追いついてみせた。そこからの最終直線での末脚も凄まじく、最終的には2位の馬に1/2馬身差をつけての勝利となった。このレースでの華麗な逆転劇は地元メディでも「日本の戦闘機はエンジンが違う」と言われるほどであり、キンペイバイ、そしてマヤノトップガンの血筋としての存在感を大いに発揮したレースと言えよう。
現役を引退後に繁殖入りしてからも母親譲りの名牝ぶりを発揮し、G1馬を2頭含めた多数の重賞馬を輩出することとなる。
2024年現在は5番目の仔となるキタサンブラックとの仔を妊娠中である。
ウマ娘化した際:ゴルシクラスのスタイル抜群のモデルボディ。アメリカ西海岸でカッコよく風を浴びていそうな見た目で、性格もカッコいいお姉さんタイプ(年下の男の子を「少年」呼びするタイプ)
勝負服は空軍のピッチリしたパイロットスーツの上から空軍ジャケットを羽織るタイプ(エヴァQのアスカ)ジャケットのワッペンの一つ左腕についているものは母の友人であるとあるオレンジ髪のウマ娘から譲り受けた物。
趣味はホーネットの模型でブンドド遊び。夢はこの空を自由に飛び回る事。 - 11二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 10:20:28
- 12二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 10:27:44
- 13二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 10:43:15
それであってる。本当はスーパーホーネットにしようと思ったんだけど既にいるんだよね…
- 14二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 11:34:45
産駒(後輩たち)が史実の交配相手に憧れている様子が見たいです
全ての様子を描くのは大変かと思いますので、描くのは一部だけでも構いません - 15二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 11:50:42
現状の実装ウマ娘だと7人しかいないんやね
- 16二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 11:51:39
第12子(牝 父:シュヴァルグラン)
名前:ビッグドリーミン
由来:(色々な意味で)夢は大きく
特徴:小さくかわいい栗毛、太いエクレア流星と4足靴下
幼い頃から体質が弱く、時間をかけてじっくりと勝ち上がらせることを方針として育成されてきた。
様々な人の愛情に触れてきた為人が大好き。
頑張れば人が喜ぶ、と言うことをわかっていたかの様に調教もレースもとても一生懸命に取り組み、体の弱さを知っている関係者をヒヤヒヤさせたとか。
現役時代一番のハイライトはオープン入りを決めたレースで、マッチレースとなった際騎手の思わず漏れ出た頑張れ!の声に呼応するかのように足を伸ばし、見事オープン入りを果たした。
繁殖入り後もそれは変わらず、スタッフからは人の言うことをよく聞く優等生、優しいお母さんと評判であった。 - 17君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 13:15:03
「あと1周、張り切って行こー!」
ウマ娘のトレーニングにおいて最も大事なものは基礎体力の向上というのは古今東西変わらないものである。グラウンドを何周もしたり、学園の外壁に合わせて外周をしたりとやり方自体は千差万別であるが、走っていてストレスが溜まりにくい、単純に回数が少ないという事で、大抵の学生には外周の方が人気がある。
キンペイバイも外周の方が好きなので、後輩数名を引き連れて今日も元気にトレーニングに勤しんでいる。
こうして外周を走っているだけで割とその子自身の個性が見えてくるものがある。
「ほっ…ほっ…ほっ……」
例えばビッグドリーミン。キンペイバイより少しくらい高い程度の身長の小さな彼女は体質的にそこまで頑強ではなく、外周の走り込みでも息の上がってしまうほどなのだが辛い表情を時折見せつつも頑張ってついて行こうとしている。
「頑張れドリーミー」
「ほらほら、帽子落ちちゃうよ」
その後ろにつけるトーキョーバニーとグレンリベットは前を走るドリーミンがついていけなさそうな時に励ましたり、彼女のトレードマークの帽子が落ちそうになったりした時は抑えてあげたりと小さな彼女を何かと気にかけている。
「ぐぬぬぬぬぬ……」
そんな3人の後ろにいて凄まじい眼力を放っているのがターキーバスである。1番年上の彼女だけは走り込みの目的が他の3人とは異なる。
彼女はすでに一線級のレースで戦える実力を持っている。だがしかし、一度に全てを出し切ってしまう悪癖があり、短距離はいいがそれより先の距離には難があった。そのため目の前のウマ娘にピッタリとついて行くという訓練をしているのだ。 - 18二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 13:37:02
前スレに投げた全姉妹の再掲+補足
第3子(牝 父:ダイワメジャー)
名前:スキップビート
由来:KUWATA BAND(桑田佳祐が中心に立ち上げたバンド)の同名楽曲から。おひんば最強世代に脳を焼かれた若馬主が何とか手に入れて勢いで名付けた。
特徴:さほど特徴のない馬体だったが、キンペイバイのかわいらしさと妖艶さを受け継いだらしく牡馬と人間から非常にモテた。また成績はOP止まりであったものの、好走したレースは何れも穴(牡)馬引き連れての決着となっており「本命スキップ」「ビートを乱す女」などと呼ばれたこともしばしば。
芝で勝ち上がりマイル戦線で善戦していたことからずっと芝を戦場にしていたが、妹の活躍もあり実はダートも行けたんじゃないかと若干オーナーは後悔している。
引退後はとあるオーナーとの縁あって九州で繁殖入りした。
娘化したら:あまりしゃべるタイプではなく基本的につっけんどんだが面倒見は良い。特に目立った特徴があるわけではない一方(体型もペイバイ要素がない)、ナチュラルに妖艶な目線遣いや仕草をすることから一部のミギミミにカルト的な人気がある。
設定上の勝負服は「舞子さんの着物に似た意匠を施した」膝丈のドレス。しっかりと帯も巻くし袖デカ族でもある。
Spotifyopen.spotify.com - 19二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 13:37:23
第6子(牝 父:ダイワメジャー)
名前:シーオブラブ
由来:サザンオールスターズの楽曲「涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~」より
特徴:全姉=第3子が自身の持ち馬初のOP入りを果たしたことで無事に脳みそが焼けた馬主がかなり頑張って手に入れた。
芝では芽が出ず苦戦していたが、3歳1月未勝利にてダートを試した結果あっさり勝ち上がり、3歳秋にOP入り後川崎へ移籍。ダート後方脚質小柄牝馬ということもあってG/Jpnの勝利には恵まれなかったもののロジータ記念ほかいくつか地方重賞を制するなど活躍。
美人系の姉に比べて可愛い顔立ち・人懐っこい性格・母親譲りの末脚・厩舎担当者のSNS運用・善戦ガールといった要素からアイドル的人気を博し、写真集が少部数川崎限定で発売された。引退後は姉妹仲良く九州で繁殖牝馬として過ごしている。
娘化したら:小柄でみんなの妹的存在。誰からも愛される一方で姉のようなミステリアスさと「愛されるだけじゃない何かの魅力」に憧れる少女でもある。
コバルトブルーで水着っぽいデザインのドレスがG1級勝負服。人魚モチーフのためキラキラの鱗に似た装飾も施されている。
サザンオールスターズ – 涙の海で抱かれたい~SEA OF LOVE~(Full ver.)
- 20二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 16:23:34
えちち
- 21君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 16:43:48
Q.憧れのウマ娘は誰ですか?
【ターキーバス】
「ライトオの姉御です!あっしはあの一本気な走りに惚れたんです」
なんとも威勢よく答えるターキーバス。爛々と輝く瞳からもその憧れの大きさが読み取れる。
「実際に師事を受けているからこそ言える話なんですが、ライトオの姉御は本当に必要な言葉を掛けてくれるんです。目の前の苦難に挫けて甘えた考えが浮かぶ時、いつだってストレートな言葉で目を覚まさせてくれる。あの人に教えを乞うて正解だったと心から言えます」
多少、言葉が真っ直ぐ過ぎて痛い時もありますがねと彼女は笑った。
質問者は続けて質問を投げかける。
貴方にとってカルストンライトオは憧れ以外の言葉で現すとどんな言葉が相応しいか、と。
「そうですね……心の師…目標……うーん、どれも違うような……親父が1番近いかもしれないですね。厳しくも優しいって感じの」
その後に自分の実の父親の話ではないと付け加えるターキーバス。彼女にとってのカルストンライトオは尊敬する競技ウマ娘であると共に、目指すべき存在である言葉の意味としての父親のようなものらしい。 - 22二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 17:23:45
可愛い
- 23二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 17:25:00
トレーニング風景とかこういう描写好きだなあ
- 24二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 21:03:54
- 25君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 23:12:23
Q.憧れのウマ娘は誰ですか?
【ビッグドリーミン・トーキョーバニー・グレンリベット】
「憧れ……ですか?」
特徴的な白い前髪の少女ビッグドリーミンは可愛らしく頬に指を当てて首を傾げる。お人形のような可愛らしい彼女はこのようなポーズがよく似合う。
うむうむとドリーミンが悩んでいると、横からトーキョーバニーが顔を出してきた。
「はいはーい!わたしわたし!憧れのウマ娘発表したいでーす!!」
どことなくウサギに似て……なくもない彼女はとても好奇心旺盛かつ物怖じしないタイプである。現にこうしてドリーミーがインタビューに詰まってなんとも言えない空気になった時に真っ先に手を挙げられるのは彼女のいいところだろう。
「私の憧れのウマ娘はそう!オルフェーヴルさんです!強くてカッコよくて皆んなの憧れなんです!!それに最近は農業を始めたらしいんです。わたしこの前オルフェーヴルさんが育てた唐辛子貰っちゃいました!」
唐辛子はごま油で炒めて醤油漬けにすると美味しいですよと実に家庭的なワンポイントを添えて、彼女は勢いよく席へと座り、マイクをグレンリベットへと渡した。
「あた……お、俺の憧れの人はタニノギムレット!……先輩です。」
自信があるのかないのか、しどろもどろな俺っ娘がグレンリベットである。系統としてはギムレットのような男装の似合う宝塚フェイスである事は間違い無いのだが、生来の臆病な性格ゆえナヨナヨしたイケメンという寧ろ唯一無二の個性を獲得しているのだが、彼女としてはそんな自分があまり好きではなくギムレットのようなカッコいいウマ娘になりたいようである。 - 26君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/26(土) 23:12:38
「お、俺…自分に自信が持てなくて、だからギムレット先輩みたいに自分を信じて自分の美学を強く持てる人になりたいなぁって…」
にへらと笑うリベットはそう言って彼女の右耳に付けられた耳飾りに手を触れる。そこにはギムレットの挟むタイプの耳飾りに似たデザインのものが付けられていた。
────────
「オリジナルのモクテル『グリーンホーン』ブルーキュラソーにオレンジジュース、見た目は驚くが味は安心安全オレンジジュース味だ」
「モクテルにはな、カクテルのような特別な意味の言葉はない。未熟者には言の葉の重みは分不相応というわけだ。だがな、未熟者に意味がないなんてそんな訳じゃない」
「未熟者は自ら意味を得て一人前になって行くんだ。かつて姿も名前も意味もなかった神に人が意味を与えたように、お前という果実がどんな意味を得て赤く熟すのか、ワタシは楽しみに待ってるぜ」
────────
そして最初だったドリーミンへとマイクが再び回ってきた。
「憧れではないかもしれませんが、私はシュヴァル先輩が好きです。この前は一緒にキャッチボールをしてくれました」
ドリーミンとシュヴァルは学園でもよく一緒にいるところを目撃されている。ある時は河川敷で釣り糸を垂らしたり、ある時は購買で買った肉まんを2人でハフハフしながら頬張ったり、またある時は2人でお出かけに行ったり。その様子は友人付き合いというよりかは一人娘を可愛がるお父さんのような感じではあるのだが。 - 27二次元好きの匿名さん24/10/26(土) 23:47:03
皆が考えた設定に色がついていくこの感じ好きだなあ
- 28二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 01:05:43
第10子(牡 父:ドゥラメンテ)
名前:マイポテンシャル
由来:潜在力を意味する英単語+自分自身を意味する英単語
特徴:鹿毛。稲妻流星がトレードマークの、気性の激しい暴れ馬。
鞍上を振り落としたり、ゲートを破壊したりとその気性難エピソードは枚挙にいとまがない。
自分の思い通りに走れないとレース中でもお構いなしに暴れてしまうが、その歯車が噛み合った時の直線一気の爆発力はGⅠ馬級とも称された。
ただ、心を許した人間には甘えていた様で、自身の世話をしてくれた厩務員に対してはまるで別馬の様な態度で接していたと言う。 - 29二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 10:12:46
第7子(牡 父:メイショウボーラー)
名前:スネークアイ(地方馬にスネークアイ”ズ”がいますがご勘弁を!)
由来:父名の「ボーラー」をボウリングのボウラーと解釈し、スプリットの最難関である左奥端・右奥端が残った状態を指す名称
特徴:すでに大名牝としての評価を得ているキンペイバイの次男として生まれる。G1を多数勝利した長女を再現すべく、タイキシャトルを父に持つメイショウボーラーとの配合が試された。芝のマイルレースを中心に差し~追い込みの脚質で戦った。
戦績:新馬戦、条件戦と危なげなく勝ち上がり3歳春にはOP入りを果たすが、重賞では善戦するも最後まで勝利は得られなかった。マイルや短距離のレースにおける差しという茨の道を進み、常に最終直線で馬群を抜け出して先頭に肉薄する姿にファンは多い。
ウマ娘としての特徴:鋭い目をした細面のウマ娘。長身とスマートな体型、母譲りの身体の柔らかさを持つ。生まれつきの長いスプリットタンを持ち、小学校では男子にからかわれたが高学年になるとその舌を見せるだけで男子を黙らせるようになる罪な女である。
勝負服は山高帽を基調としたシックな男装…と思いきやフジキセキスタイルである。フジキセキと異なる点は、彼女のスマートな体型により上着の”脱皮”を危惧させる点である(どっちもどっちという声もある)
特筆すべき身体の柔らかさとバランス感覚で馬群をヘビのように抜け出す差し~追い込み戦法を取る。
その他のエピソード:若干執着の激しい皮肉屋な性格をしているが、丸っこい物や体温の高そうな人が好みで、キンペイバイによく絡みついたり、タイキシャトルのハグを受け止めたり、メイショウドトウに潰されたりしている。「アタシは寒がりなんだ」と言っているが夏でもお構いなしである。
同じく上記の3名を付け狙う先輩とはライバル関係であり仲は良好である。
無類の玉子好きで玉子食べ放題店からは出禁にされている。 - 30二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 17:33:30
みんなよう設定思いつくなあ
- 31二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 23:21:18
このまま産駒全員分設定できそうな勢い。さすが国際保護馬名確定の子ですわ……
そういやペイバイちゃんの英語表記ってローマ字で「Kinpeibai」なのか、それとも中国語ピンインで「Jin Ping Mei」なのか - 32二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 01:04:17
産駒一頭くらい海外行っててもおかしくはないはず、めっちゃ高値のセリになりそうだけど
- 33二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 02:30:10
それこそドバウィとの子は海外出されてそうよね。16番目の子が海外に行ってg1勝ちまくってるとかでもおもしろい
- 34二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 08:49:17
海外だとローテ設定の幅も広がるな
- 35二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 09:49:54
善戦マンなのはそもそもストライク取れてりゃスプリットにはならんし、スネークアイならど真ん中に入って8本は倒れてるからか…
- 36君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/28(月) 11:12:28
Q.貴方にとってのキンペイバイはどんな人ですか?
はにかみながら、ターキーバスは頬をかく。
「キンペイバイの姉御はあっしにとって、そこにいるだけで無条件で安心して心安らいでしまう、いわば……」
目を丸々と開き、キラキラとエフェクトをかけながらトーキョーバニーはハツラツに答える
「ペイバイ先輩はレースじゃ超強いし料理も上手いし、家事もなんでもできるし、練習以外でも相談に乗ってくれたりなかなか寝付けない日には一緒に寝てくれたり、そうだなぁ例えるなら…」
ドリーミんは胸に手を当てて、彼女との思い出を回想しながらゆっくりと言葉を紡いでいく。
「私にとっての先輩はとっても優しくて強くて可愛い憧れの人です。体の弱い私を気遣ってトレーニングでもレースでもいつも面倒を見てくださって、喉が痛い時には金柑の蜂蜜漬けを持ってきてくれたこともあるんです。その時に……恥ずかしいんですけど言っちゃおうかな………実は看病してくれた先輩に言っちゃったんです……」
相変わらず少し萎縮しているグレンリベットは、下を向いてはいるがチラチラと目線を上げて声を振り絞って答える。
「俺、あんまり…自分に自信が持てなくて。レースだって最初は調子良かったけど注目されると怖くて全然走れなくて…結局皆んな期待外れだったって離れていって………でも、そんな時あの人だけは言ってくれたんです。"よく頑張ったね。カッコよかったよ"って…そんな事を言ってくれるのは両親以外で初めてだったんです。レース後で汗と泥まみれなのに自分の服が汚れるのなんて気にしないで抱きしめてくれて……その時に俺、思ったんです」
「「「「お母さんみたい(ですかね)(です!)(だなぁって)(だって)」」」」 - 37二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 18:34:25
どの子も個性があって可愛い
- 38二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 18:47:32
こ、このインタビューは純真な俺にはイスに座ったウマ娘がカメラで撮られながら答えてるように見える…
…なんでかな? - 39二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 21:20:50
このレスは削除されています
- 40君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/28(月) 21:21:01
これから24時間以内に新規要望がない場合、自動的にn年後の世界の物語に移行します(新規要望があればダイス等振ります)
一応、n年後が終わった後に戻って再会とかも可能なので別段急いで要望をコメントして頂かなくても大丈夫です。ただ、単純に私が忘れる場合があるのでその時はこれ忘れてますよと言ってください - 41二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 21:38:54
- 42二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 21:41:27
- 43君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/28(月) 22:21:48
- 44二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 00:17:54
後輩たちの実際のレースの様子を見守るキンペイバイが見たいです
描写するレース、並びに交配相手が一緒かどうかはお任せします - 45二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 00:50:27
- 46二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 01:14:51
キンペイバイ産駒名前候補再まとめ、【確】はSS登場済みって意味だぞ
1.G1複数勝(牝 父:タイキシャトル、才能98) イリフネ(前スレ135)
【確】2.GⅡ複数勝(牡 父:タニノギムレット) グレンリベット(前スレ127)
3.OP勝ち(牝 父:ダイワメジャー) スキップビート >>18
4.G I複数勝(牝 父:マヤノトップガン、才能95) レガシーホーネット >>10 / アクセルスイーパー(前スレ146)
5.GⅡ1勝(牝 父:シンボリクリスエス)
6.OP勝ち(牝 父:ダイワメジャー) シーオブラブ >>19
7.OP勝ち(牡 父:メイショウポーラー) スネークアイ >>29
8.G I複数勝(牡 父:キングカメハメハ、才能98)
9.OP勝ち(牡 父:ディープインパクト)
10.OP勝ち(牡 父:ドゥラメンテ) マイポテンシャル >>28
11.GⅢ1勝(牝 父:エピファネイア)
【確】12.OP勝ち(牝 父:シュヴァルグラン) ビッグドリーミン >>16
【確】13.G I1勝(牡 父:カルストンライトオ、才能88) ターキーバス >>7
14.GⅢ複数勝(牡 父:ドバウィ)
15.G I複数勝(牝 父:パンサラッサ、才能96) サイユウキ(前スレ122)
16.G I複数勝(牡 父:イクイノックス、才能92)
【確】17.OP勝ち(牝 父:オルフェーヴル) トーキョーバニー(前スレ124)
18.GⅢ1勝(牡 父:イクイノックス)
19.G I複数勝(牡 父:コントレイル、才能99) コウロウム(前スレ153)
- 47二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 01:22:03
個人的には一発必中よりも数年間じっくりどっぷり楽しんでほしいのだわ
というかそういう理性を持ってやるのがある意味一番……興奮するのだわ……
なんとなく見たいシチュエーションのアイデア(スレ主様の無理のない範囲で…)
・後輩たちと一緒にレース用品を見に行ってこだわりをぶつけ合う話(ライバルたち同席しても良し)
・ペイバイ+後輩たちでトレセンから帰る途中に少年と出くわし、一緒に買い物してるだけなのにそれを見てなんか興奮しだす後輩たち
・フェルティローザのカップルに出くわして何かを察するペイバイと少年
- 48二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 02:27:05
ボツネタ
第9子(牡 父ディープインパクト)
名前:ディーボインパクト
由来:イタリア語のスター+父名の一部
ボツ理由:とにかくボインを入れたかった。後のことはよく考えていないため。
というようにとりあえず数撃ちゃそれっぽいのが出来たり、これはお出し出来んわってなったりするからとりあえず考えてみよう!
父の血統や名前の由来見てみたり、キンちゃんの中国、文学から引っ張ってきたり、馬主ネタ騎手ネタとダイスの競争成績から妄想するんだ!
ちな自分的には父名由来が発案しやすいぞ!
- 49二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 03:12:53
第16子(牡 父:イクイノックス、才能92)
名前:Pay by Gold(ペイバイゴールド=金で支払う)
由来:キンペイバイの発音に似ていること、馬主が結構な額を支払ったことから
特徴:キンペイバイ産駒の活躍を耳にした中東の馬主がはるばるセリに参入、話題のイクイノックスが父とあってかなりの高額で落札されたことが話題になった。イギリスでデビュー後は世界を飛び回り5歳まで戦い、獲得したG1全ての開催国が異なる変わった勝鞍となったせいか、「旅先で旅費を稼ぐ馬」「為替レートを読む馬」などのあだ名がついた。
青鹿毛で体格はそこまで大きくなかったがお世辞にも細身とは言えず、また蹄の弱さもあって4歳時はかなり苦戦した。性格は落ち着いておりオンオフの差が無さ過ぎて心配されたこともしばしば。先行脚質でキレはなかったがハイペースの叩き合いでは極めて強く、華はないが強さを感じさせる勝ち方が多かった。
G1勝鞍:(3歳)英ダービー (4歳)サンクルー大賞 (5歳)ドバイシーマC・JC
娘化したら:旅が好きでマルチリンガル。誰とでもすぐ仲良くなるが、常に飄々として何を考えているか誰にも悟らせない(何も考えていないのかもしれない)、距離感を掴ませないミステリアスな少女。腰つきはなんとなくペイバイみがある。
勝負服はイギリスらしいバイクジャケット(Barbourのインターナショナルみたいな)にゴーグルその他を備えたトラッドなバイカースタイル。 - 50二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 09:01:15
自分も色々考えてるけど難しいですね
- 51二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 09:32:14
第9子(牡 父:ディープインパクト)
名前:ディープラム / Deeplum
由来:父のディープ + 母の梅(=プラム)から
特徴:青鹿毛。流星あり。上半身は標準的だが母から肉感的な下半身を受け継ぎ、全体としてはバランスが悪い。
中央競馬の芝戦線を主戦場とした。得意距離は1800~2200m。差しから追込みを得意とする。
比較的スリムな馬体から繰り出される父母譲りのパワーは圧巻で、前方に展開する馬郡を城壁に見立てて、後方からそれを突き崩しながら順位を上げてくる末脚は"ディープ・ラム=深く打ち込まれる衝角"と表現された。
勝ち鞍こそOP止まりだが、勝利数自体は多い。重賞にも何度も出走しており、掲示板入りもしばしばあった。
一度その気になれば凄まじい速度を炸裂させる末脚だが、残念ながら父の持続力は受け継がなかった。その為、仕掛けてから一定時間経過後に加速を止めてしまう癖は"賢者タイム"と通称された。勝負が大きくなればなるほど、その末脚は控えめになる傾向を見せた。やる気がない時の言う事の聞かなさ具合は祖父譲りで、騎手がどう押そうが一定以上の速度を出そうとせず、それがOP止まりとなった原因の一つでもある。
ただし、レース中のやる気は兎も角、走る事自体への意欲は高かった。
欲求に正直で、良く食べ、良く寝て、そして良くウマッ気を出した。パドックでボロォンする事もしばしばで、ボロォンした時ほど上述の賢者タイム発動率が高い事から、匿名掲示板を中心に"OTNTN占い"と呼ばれた。
パワー故に怪我はするものの食欲旺盛なだけあってタフであり祖父譲りの疾病への反骨心で、その度に尽く治療して復帰している。
バランスの悪い馬体とディープ産駒としてはパッとしない成績の為に種牡馬としては期待されず、現役続投の方針がとられた。タフネスと脚をセーブしてしまう気性と相まって、八年間と言う非常に長い間、現役に留まり続けた。
引退後は種牡馬となりようやく三大欲求最後の一つを発散させる機会を得て、細々と血を繋いだ。
ウマ娘化したら:
長い黒髪を後ろで一纏めにして尻尾まで流している。流星あり。目付きは悪い。平均的な身長で、スリムな上半身と非常に肉感的な下半身を持つケツデカ星人。なお、その尻肉は駄肉ではなく筋肉である。
密かに露出願望を隠し持つ。普段からも、下半身は出来るだけピッチリした服装を選びがち。 - 525124/10/29(火) 09:33:02
血統表を見ながら色々と設定考えるの楽しいね
- 53君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 17:53:14
よく晴れたとある日、東京某所にある大型ショッピングセンター。
キンペイバイは後輩達と共に、彼女達のレース用品を見繕うとともにトレーニングのリフレッシュのためのお出かけに出向いていた。休日ということもあり、ショッピングセンターはかなり混雑していて、そんな場では背の小さくホイホイと悪い人に気づかずについていってしまいそうなキンペイバイなら簡単に人の波にのまれてしまうだろうと後輩たちはキンペイバイを左右から挟む形で、近づく不埒な輩がいないか目を光らせていた。
そんな後輩たちの心配を露ほども理解していない、自分の体の魅力に無自覚なキンペイバイは新調した生地の薄い・丈の短いトップスに極端なミニスカートという悩殺モノの私服で136㎝の体に詰め込まれた「牝」をこれでもかとアピールしていた(無自覚)
さて、そんなキンペイバイ達が訪れたのは最近よく名前を耳にするウマ娘用のシューズショップである。こういう総合商業施設らしいテナント借用の個人店であり、全国各地の蹄鉄職人との繋がりが強く、自分の脚に合った蹄鉄を作れる職人を見繕ってくれるともっぱらの評判なのだ。
「へぇ~今だとこんな事もやってくれるお店があるんだね」
キンペイバイの後輩の一人であるビッグドリーミーが店員によって本人の脚についての測定をしているのを見ている中、暇だからとついてきたコードヘブンが感心する用に呟いた。
「だよね、私なんかクラッシックに上がるまで蹄鉄のオーダーメイドができるなんて知らなかったからじじトレさんがいきなり職人さん連れてきたときはびっくりしちゃったよ」
キンペイバイはその体格からくる脚の小ささから小学生くらいのウマ娘用の蹄鉄を着用してレースに出場しており、蹄鉄の耐久性的にかなり危ない状態であった。本来ならばメイクデビューに出走する前にトレーナー側が何とかすべきことなのだが、当時のキンペイバイのトレーナーは彼女の体にしか興味がなかったため、そうしたサポートを受けることができていなかったのだ。 - 54君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 17:53:45
じじトレが彼女のトレーナーになってからは彼女の蹄鉄事情を重く受け止め、全国でも選りすぐりの蹄鉄職人をトレセンまで呼び出して職人の手でキンペイバイの脚を測り,彼女専用の特注品の蹄鉄を作り上げてくれたのだ。いきなり遠方から呼び出されて職人サイドとしては迷惑客なのではと測定前はびくびくしていたキンペイバイであったが、なんでもその職人はじじトレの幼馴染で、その道では知らぬ者はいないレベルの凄い人らしく、かの有名なシンザン鉄を作り上げた職人の1番弟子であり、それまで6本の釘で固定するのが一般的であった蹄鉄を4本の釘で固定できるようにし、シューズの柔軟性を向上させる「フォーポイント装蹄」を実用化まで漕ぎつけたという偉業を持っている。
そしてその恩恵を受けているウマ娘と言うのが、タイキシャトルであり、その担当トレーナーは職人さんの1人息子なのだというのだから不思議な縁もあるというものである。
「アタシは家の方で贔屓にしている職人さんがいてその人に丸投げだった。腕は…その人が作った蹄鉄以外着けたことないから分かんないけど、宮家のほうにも卸してる人らしいし腕は確かなんじゃない?」
まるでなんてことがない事のようにさらっと語られた衝撃的なエピソードに店員さんを含めその場の殆どの人間が凍り付いていた。唯一、コードヘブンの家が名家だということを知っていたキンペイバイだけは驚きが他メンバーよりかはすくなかったが、それでも目の前でキョトンとしているコードヘブンが常識外のお嬢様だということを改めた再認識するのであった。
それからそれほどの時間が経たない頃にドリーミンの脚の測定と型取りが終わり、続いて蹄鉄の素材に関しての話へと移っていった。とはいってもただの中学生相当でしかないドリーミンにアルミニウムの含有率は~とか新型のセラミックスの多層構造の~とかと言っても理解できるはずがない。というよりも現役競技ウマ娘であっても理解しているのはごく少数であろう。つまり、店員の言っていることにとりあえず頷いていれば店員が最適なものを選んでくれるのだ。 - 55君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 17:55:09
さて、蹄鉄に関する書類や契約書を書き終えるとキンペイバイ達は同じ店舗内にあるシューズコーナーの前を訪れていた。今回の外出ついでにドリーミン以外にキンペイバイと親しくしている後輩2人もちょうど練習用シューズの更新をしたいと言い出したので、今回こうして大所帯になったわけである。
「うーむ、前回はこのメーカーの物を選んで痛い目にあったからのぉ、無難にこっちのメーカーのものがいいのか?だがしかし、デザインはこのメーカーのものが一番いい…難しい問題じゃ…」
特徴的な話し方の背の小さな後輩は2つのシューズを見比べてはいやでも…それなら…と難しい顔をしてどちらを選ぶべきか思案していた。
「とりま同じのでいいや」
対して、もう一方の珍しい月毛の後輩は靴のデザインに対してこだわりがないのか、いつも使用しているものと全く同じものをチョイスしていた。
「ネクっち選び終わった~?」
「まだじゃ、そう急かすでない。」
「えー、それまで何してればいいのさ」
「シューズの紐でも選んどったらどうじゃ?それに妾が急いでも無駄じゃと思うぞ」
そう言って視線を彼女たちから見て左の方向へと向ける。
「あー、ありゃ無理だね」
彼女たちが見つめる先ではキンペイバイとコードヘブンがビッグドリーミンを挟んで何やら険悪そうな雰囲気でにらみ合っていた。
「シューズであってもデザインを重視するのは大事だよ!かわいいデザイン、カッコイイデザイン、好きなものを選ぶことは練習のモチベーション向上のためになるだけじゃなくて、心の栄養になるんだよ!」
「デザインの良し悪しで実力に大差が付くわけじゃない。大事なのはどれだけ高強度の練習に耐えられるか、どれだけ長期間使用できるか、それだけだよ」
デザインを重視するキンペイバイと実用性特化のコードヘブン。お互いの主張は平行線のままであり、どちらの方が劣っているとかそんな話題に突入しそうな雰囲気こそないものの、間に挟まれているドリーミンは一体どちらの側につけばいいのかわからず、アワアワと右往左往しておりひたすらに不憫な状態になっていた。 - 56君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 17:55:28
「ドリーミン、君は確か甲が広くて合うシューズが中々無いと言っていたな」
そんな彼女を見かねて同伴していたターキーがバチバチと火花を散らす二人の間に割り込んできた。
「は、はい。色々試着したんですけど合うものが少なくて…」
「なるほど。では、コードヘブン先輩。先輩はとにかく性能がいいもの片っ端から選んでください。キンペイバイの姉御は先輩が選んだものからデザインとして優れるものだけを抽出してください。これならばどちらの意見も曲げることなくシューズの候補を決められますよね」
後輩にこうも理路整然と解決案を出されては二人としても従うほかなく、両者とも互いに軽く頭を下げ、シューズの候補選定へと向かうのであった。 - 57二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 18:10:13
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- 58君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 18:10:57
結局あの後にドリーミンの気に入ったシューズが見つかり、無事にお支払いまで済ませる事ができた。色々と迷惑をかけてしまったためシューズ代はキンペイバイとコードヘブンが折半して出す事となりその場はそれで解決という運びになった。
「そういえばね、ここの5階ってレストラン街になってるんだけどそこのオムライスがとっても美味しいんだよね!」
「オムライス!それはまたなんと素敵な!」
お昼ご飯をどこで食べようかとあそこの店はこんなものがある、あっちのお店はあれが美味しいとおすすめを語り合っていると、キンペイバイの前方からかなり背の高いウマ娘がこちらに向かってきているのが見えた。
どうやら男性と一緒にいるようで、男性側も180cmはありそうな高身長で、お互いに手を繋いで歩いているのは極々普通のカップルの様子であるのに、周囲に比べて頭ひとつ分以上抜けている身長が周りの視線を集めていた。
だがしかし、キンペイバイがそのウマ娘に注目しているのは単純に高身長カップルだからという訳ではない。どこかで見たような既視感があるのだ。それは一歩、また一歩と距離が近づいていくごとに増していき、ついに数メートルの距離になった時、既視感は確信へと変わった。
「フェルちゃん先輩ですよね?」
「えぇ!?ペイバイちゃん!?」 - 59二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 20:40:34
第5子(牝 父:シンボリクリスエス)
名前:フジエベレスト
由来:日本と世界で一番高い山。
特徴:黒鹿毛に牝馬離れした大きな馬体。あの一族特有の耳、所謂ボリクリ耳も受け継いでいる。
初めて馬体を見た関係者から、これは走ると絶賛され、調子に乗った馬主は彼女に日本一だけでなく世界一の馬になってほしいと言う願いを込め、フジエベレストと名付けた。
前評判通りに中距離の新馬戦を勝ち上がるも、世界一への道のりはけして楽なものではなく、条件戦で足踏みする日々が続いたと言う。
ある日、騎手からの進言により距離短縮を勧められマイル路線へ転向。
これが功を奏したのか日本では重賞馬へ、世界の舞台では国際的なグレードこそないものの有名なレースを勝ちきり"世界一"となった。
ウマ娘化したら:
大きなレースで勝ち星を上げることを夢見るウマ娘。
クリスエスの寡黙さに憧れてはいるが、自身はまだまだはしゃぎたいお年頃で色々な物に興味を示す。
キンペイバイによくお弁当を差し入れしてもらっており、卵焼きが特にお気に入り。
時々彼女に卵焼きを食べさせて貰っている光景が学園内で見られる。
勝負服は水色を基調に、肩から斜めに白の一本線が入った、ピッチリとしたランニングシャツにハーフパンツ。
靴は特注の黒を基調に所々黄色の蛍光色が入ったランニングシューズ。 - 60君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 21:02:31
キンペイバイがこの距離になるまでフェルティローザに気づけなかったのは、彼女が髪型を変え衣装も垢抜けた大人っぽいものに変えたからというのも勿論あるが、1番の要因は彼女から放たれているオーラ的なものが全く別のものに感じられるからだろう。
以前までの元気で明るい18歳の大人になりかけの子供らしい感じではなく、それなりに社会経験を積んだ大人の女性といった雰囲気になっていたのだ。
それに、ガッチリとトレーナーの手と握られたその手は彼女たちがどういう関係なのか火を見るよりも明らかにしている。
「久しぶりだねフェルティローザ。トレーナーとは上手くやってるみたいだね」
「え、あ、うん…そこそこばい」
コードヘブンからの挨拶に顔を赤らめてモジモジと答えるフェルティローザ。コードヘブンはその様子に頭の上に?マークを浮かべていたが、キンペイバイだけはどうして彼女がそんな態度をとっているのかなんとなく理解していた。 - 61君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 21:02:59
その後、こんなところで立ち話もなんだろうと一向はレストラン街にある洋食店を訪れていた。
「うわぁぁ、本当にあの"ハイネスマウンテン"のフェルティローザさんなんですね。テレビで見るよりもずっと綺麗です」
「そげん褒めらるーと恥ずかしかよ」
この中で唯一、フェルティローザと面識のないビッグドリーミンはテレビでしか見た事のないスターウマ娘に興味津々と言ったご様子であり、まだ注文したメニューが届かないということもあってフェルティローザを質問攻めにしていた。
対してフェルティローザもビッグドリーミンに悪い気はしないらしく、もうすっかり年上お姉さんモードで自分の武勇伝や質問にノリノリで答えていた。
「あの、どうしたらフェルティローザさんみたいに背が伸びますか?」
「うーん…うち、特に何か特別な事ばしとった訳やなかけんなぁ…参考にはならんかもしれんばってん、強か体ば作るには何事もバランスん良か食事と適度な運動にちゃんと寝る事が大事ばい。あとは、毎日たくしゃん笑うとも大事かな」 - 62君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 21:03:29
フェルティローザは同期の中では勿論、在籍時の全トレセン学園生徒の中でも1・2位を争うほどに身長の高いウマ娘であった。
その身長を生かした威圧的かつ迫力のある走りはまだ記憶に新しい。
そしてフェルティローザはただ身長が高いだけでなく、肉感に富んだウマ娘であるというのも忘れてはいけないだろう。
Uカップの暴力的な爆乳はその身長も相まって圧倒的な質量と重量感を持ち、片乳で並のウマ娘の頭ひとつ分もあるそれは張りが強く下着なしでも形を保てるほどである。
そして大きな体を支える下半身も相応なものであり100cmをオーバーする安産型の巨尻から伸びる大樹の幹のような太さの太ももとそこから地面に伸びる脚の筋肉量を見れば、彼女の生物としての次元の高さを見せつけてくる。
それでいて顔はアニメの美少女顔負けのやわらか美少女フェイスにさらさらピンクの髪と一見して威圧的な風貌になりそうな印象を可愛らしい少女の側に強引に引き戻している。
そして、性格面は気は優しくて力持ちを地で行く誰にも対しても分け隔てなく手を伸ばし、困っている人がいたら積極的に声をかけるとくれば、彼女に憧れるウマ娘も少なくはなく、特にドリーミンのような小柄な後輩ウマ娘からの支持はそれはそれは凄いものがあった。
そんな男から見ても女から見ても女性の理想像の一つであった彼女も、卒業して大学に進学してしまえば大人びた縦ニットのトップスにロングスカートとサングラスを合わせる大人っぽい女性になってしまうのだから、環境の変化というものには凄まじい力がある。 - 63君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 21:22:46
その日は昼食をとりそのまま店の前で別れる事となった。
そしてその夜、キンペイバイの元にはフェルティローザから一通のメールが届くのであった
『ペイバイちゃん、キスまで行くにはどげんしたらよかね?』
キンペイバイは……
1.『勢いです』とだけ返信した
2.自分がどうキスしたのかの経緯を簡単に書き、文末に『急いで大人になっちゃダメだよ』と書き残した
3.いい案が思い浮かばなかったので、あの遊園地の案内を送信した
dice1d3=2 (2)
- 64二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 21:35:47
良き先達である
- 65君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 22:14:01
長期間親元を離れて寮で集団生活を営むウマ娘達にとっての娯楽の一つが「食」である。
日々変わるメニューはそれだけで生活に彩りを与え、心まで豊かにしてくれる。
学食で出る分を食べるというだけでもいいのだが、寮という他人との距離が近い閉鎖空間にいると、人というのは何かしらの繋がりの動機を求めるものであり、そのため寮では毎日のように別の寮生がご飯を自炊したりパーティーをしたりして楽しんでいる。
勿論、キンペイバイもそのうちの1人であり今もこうしてスーパーに買い物に来ているのだ。今日は先日、トーキョーバニーがレースで勝ったお祝いも兼ねてもんじゃパーティーの予定である。使用する材料はメモに書いてきたため、あとはこれを集めるだけである。
「えっと、お肉お肉…あっ、いいの見つけちゃった」
ちょうどよく赤札の貼られたお肉のパックを取ろうとキンペイバイが手を伸ばしたその時であった。キンペイバイの隣から伸びた手が同時に肉のパックを掴んだのだ。
これは私が先にとったものだ!とは言えないキンペイバイは穏便に済ませようと手を伸ばした人物の方へと振り返る。果たしてそこにいたのは…
「──くん!?」
驚くキンペイバイと同じように、少年もまた目を丸くして驚いていた。
「ごめん、これ───くん買おうとしてたんだよね」
「いやいや大丈夫だよ、安くなってんなぁーって思ったくらいだったから。俺頼まれたの鶏肉だし」
お互いに譲り合いが発生し、場が膠着状態になっていると一緒に買い物に来た後輩達がそれぞれ目当てのものを持ってキンペイバイの元へとやってきた。彼女達の手にはそれぞれ好きなお菓子が握られており、その状態で肉のパックを押し付け合う2人を見ては一体全体何が起きているのか分からなくなってしまうのも無理はないだろう。
「先輩、その人お知り合いなんですか?」
さて、どう答えるべきかとキンペイバイは激しく悩んだ。悩んだ末に正直に答えることにした
「えっとね…この人は───くんって言って、私の幼馴染で……私の彼氏」 - 66君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 22:14:52
後輩達の反応
dice1d100=23 (23)
(高いほど興奮、低いと意外と冷静)
- 67二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 22:20:11
(噂とかで割と知ってたんやろなあ……)
- 68君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 22:53:06
キンペイバイとしては年頃の子達だし何かしらキャーとか可愛らしい反応とかが来ると思っていたが、意外にも後輩達は冷静で落ち着いていた。むしろ慌てているのはキンペイバイただ1人である。
「あれ?みんな驚かないの?私だったら驚いて大きな声出しちゃいそうなのに」
予想と違う現実に戸惑うキンペイバイにターキーバスはコホンと咳をすると、口を開く。
「失礼ですがキンペイバイの姉御。姉御ほどの人に彼氏がいないのは世界が今すぐに滅ぶくらいあり得ないとみんな考えていると思います」
こんないい女を男が放っておくか?と言われれば当然その答えはNOな訳で、後輩達としても本人が言わないだけで彼氏の1人や2人はいるものだと勝手に思い込んでいたのだ。
結局、その後はその場のノリで少年も買い物に付き合うことになり2人でメモに書いてある食材と値引きの赤札と睨めっこしながら買い物かごに次々に商品を入れていく。
そんな様子を見て後輩達はどこかソワソワし始めていた。というのも、少年とキンペイバイの距離感の近さや、時折見せる少年の気遣いが2人の親密な関係性を想起させ、端的にいうのなら
「先輩とあの人、夫婦みたいだね」
全員が心の中で大きく首を縦に振らざるを得ないドリーミンのその言葉は幸いなことにスーパーの喧騒に掻き消されて2人の元に届くことはなかったが、キンペイバイが普段見せない恋する少女としての顔に後輩達は胸の高鳴りが止まらなかった。 - 69君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/29(火) 23:19:47
「そういえば、こんな時間にスーパーってどうしたの?部活終わりでしょ?」
「帰る途中に母さんから鶏肉買い忘れたから勝ってきてくれって言われてさ」
途中まで少年とは帰り道が一緒という事もあり、2人は並んで歩きながらたわいもない事を話していた。
時刻は間も無く夜の7時、東京の街が再び活気付く頃合いである。ガードレール越しの道路にはひっきりなしに車が通って、赤やオレンジの光がピカピカと眩しい。
キンペイバイ達が広めの歓楽街に続く道を通り過ぎようかという頃には車の流れもピークに達し、歩道であっても自転車やら人やらで騒がしくなっていた。
そんな時である。やたらとネオンの眩しい通りへと入っていく見覚えのある影が見えたのは。
「あれ、フェルちゃん先輩。こんな時間にどうしたんですか?」
サングラスをかけていてもその特徴的すぎるボディで素性が丸わかりなフェルティローザは、バレたのがそんなに恥ずかしかったのか顔を赤らめて指を口に当てて「しーっ」と静かにするように頼んできた。
フェルティローザの服装を見ても人に見せて恥ずかしがるようなものではなく、むしろ大人びた雰囲気にあった落ち着いた服装と言えるだろう。
結局、フェルティローザはそのまま彼女の元トレーナーと共にネオンの眩しい通りの向こうへと消えていってしまった。
「ねぇ、そう言えばなんだけどさこの先ってホテル街だったよね」
少年が何気なく呟いたその一言にキンペイバイは全てを察してしまった。年若い2人、しかもフェルティローザとトレーナーは年齢的にはそこまで歳も離れていなかったはずだ。その年齢ならばまぁ、そういう事もあるだろう。
心の中で一言、「頑張れ」とだけエールの言葉を呟いてキンペイバイ達はその場を後にした。 - 70二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 23:30:14
ここがフェルちゃんにとってのURA杯決勝…
走り切ったらうまぴょいが待ってる! - 71二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 06:54:05
ペイバイちゃんにとってはウイニングランの最中だが、他の面々にとっても同じなんだな
……しおらしくなってる180cm超の恵体女子はギャップ萌えですね - 72君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 13:19:37
フェルティローザ 諸設定
※勝負服のデザインやここに書かれていない事柄については皆さんで自由に考えて貰って構いません
また、他のオリウマスレへの持ち込み、及びこのスレ以外の場所への持ち出しも原則可とします(他の人に迷惑がかからないようにだけはしてください)
x.gd - 73二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 17:50:15
ほ
- 74君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 19:30:57
後輩のレースに入る前にどの後輩がレースを走るのかだけを先に決めておきます
1.ターキーバス
2.トーキョーバニー
3.グレンリベット
4.ビッグドリーミン
5.その他(これ以外の選択肢の子)
dice1d5=3 (3)
- 75二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 19:31:40
グレンくんちゃんがんばえー
- 76君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 19:36:35
というわけで出走ウマ娘はグレンリベットちゃんに決まりました
もし、発案者の方がいましたら明日あたりまでにグレンリベットの勝負服や走って欲しいレース等があれば教えていただきたいです(もしない場合はこちら側で適当に見繕います)
本日はそう言ったものが関与しない出走直前部分まで進めます。 - 77二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 19:47:08
- 78君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 19:50:25
- 79二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 19:58:22
- 80君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 19:59:20
- 81二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 20:50:00
フェルティローザのトレーナーの声がオカダ・カズチカか森田成一さんで再生される
- 82君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 20:58:42
グレンリベットはあと20分後に迫ったレースへの緊張から不安で震えが止まらずにいた。
時は9月某日、秋に入るか入らないかというちょうど季節の移り変わりのこの日に行われるオールカマーは数々の名勝負が生まれたレースとして、多くのレースファン達から愛されている。
グレードとしてG2ではあるものの、レース会場には多くの人が訪れており、観客席も少しずつ騒がしくなってきていた。
G2とはいってもそこは現役の中でも上位の上澄みだけが走る事を許されるレースであり、人によってはG2で走れるだけでも一生の自慢話にできるほどなのだ。
そんな晴れ舞台ともなれば当然として、出走するウマ娘にかかる不安や恐怖といった負担も大きいもので、特に彼女のような臆病な娘はレース前に潰れてメンタルがガタガタになってしまうような事も少なくはない。
「────、─────、──夫?」
「(……やっぱり、俺にこんな大舞台はまだ早すぎたんだ)」
「──ット──ん、───る?」
「(俺みたいな弱虫なんてどうせドベで終わって笑いものにされるだけなんだ……)」
「リべ──ちゃん、───ットちゃ─、リベットちゃん!」
「わぁぁぁ!!」
気持ちが沈み、頭を抱えて失意の沼に落ちようとしていたグレンリベットの目の前に突然にして現れたキンペイバイに、彼女は大きな声をあげざるを得なかった。
「リベットちゃん、もうすぐゲートに向かう時間だよ」
キンペイバイのその言葉で時計を見るともうすでに出走10分前になるかという頃であり、よくよく聞けば控え室の外から靴底の鳴らす音が廊下に響いていた。
あと、10分しかない。あと10分もしないうちに自分はゲートの中に入り、並み居る強豪達と熾烈な戦いをしなくてはならない。そう考えると余計に気持ちが沈み、自分という存在が小さくなっていくように感じた。 - 83君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 20:59:14
彼女がこれほどまでに萎縮しているのは、彼女が「負ける」ことに対して大きすぎる恐怖を抱えているからに他ならない。
クラシック王道路線での活躍を夢見る彼女はその一歩目、皐月賞のターフを踏むことすら許されなかった。スプリングステークスでは惨敗、それ以外のレース実績も基準に満たなかった彼女は、同期達が輝かしい栄光の舞台で輝いているのをテレビの前で指を咥えて見ているしかなかった。
その後、死に物狂いで出場権を獲得したダービーでは彼女の頑張りもあって多くのファンを獲得しており、多くの人の期待を背負っての出走であった。
結果は13着。
やっとの思いでつかんだG1の栄光の舞台で彼女は勝負すらさせて貰えなかった。
だが、彼女が負ける事を恐れるようになったのはレースで手も足も出なかったからではない。
レース終了後、SNSにてファンを名乗ってくれていた人が呟いた「期待はずれ」という言葉を目にしてしまったからであった。そのファンとしては数多くいるうちのウマ娘の1人としてグレンリベットを応援していただけにすぎず、その言葉も単純な感想でしかない。
しかし、彼女にとっては大切なファンの1人であり、自分に期待を寄せてくれる数少ない人間でもあったのだ。そんな人間から言われた「期待はずれ」の言葉は彼女の心に深い爪痕を残し、レースに負けてまたファンの期待を裏切ったらどうしようという恐怖心を彼女の心に植え付けることになったのだ。 - 84君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 20:59:34
こんな状態ではきっとまた負けてファンの期待を裏切ってしまう、それでまた酷い事を言われるのは怖い、だから今すぐこの場から逃げ出したい。今、リベットの中にあるのはそれだけである。だからこそ、下を向いて俯いていた彼女は不意に自分の体に回された手と全身を包むような暖か佐に目を丸くして驚いた。
「怖いよね、分かるよ。沢山の人の前で走って失敗したらどうしよう、失望されたらどうしようってすっごく怖いよね」
優しい口調であやすように語りかけるキンペイバイは、リベットの頭を撫でるとより一層自分の方へ彼女の体を抱き寄せた。
「でも、リベットちゃんなら大丈夫。今まであんなに練習頑張ってきたんだから。私知ってるんだよ、朝リベットちゃんが誰よりも早く起きて毎日走り込みをしてるの。練習が終わっても筋トレして体作りをしてるの、ずっーと見てきたから」
リベットが失敗を恐れているのは確かな事だ。だが、彼女は敗北への恐怖を言い訳にトレーニングをサボるような「言い訳を作る行為」をした事はただの一度もなかった。それどころか、誰よりも努力し、誰よりも走り込み、誰よりも強くなろうとした。そんな彼女の努力をキンペイバイはずっと見てきていたのだ。
「リベットちゃんは大丈夫。何故って?それはね、信じてるから。私は私が信じるリベットちゃんが勝つって知ってる。だからリベットちゃんも信じて、私が信じるリベットちゃん、そしてあなたが信じるあなた自身を」
最後にもう一度だけ強く抱きしめると、キンペイバイは手を離し、代わりにグレンリベットの目の前に手を差し伸ばした。
リベットは無意識にその手を取り、誰に支えられるでもなく自分の脚で立ち上がっていた。未だに自信なんて何一つないし、怖いものは怖い。それでも、やってみようと思えたのは目の前の小さな先輩が、信じているとそう言ってくれたからに他ならない。
「初めてです、自分を信じてみようかなって思ったの。……俺、ちゃんとできるかわからないけど……それでも、やってみます」
言葉をかけられたからと言ってすぐに気持ちが100%ポジティブに変わる訳でも、無限に勇気が湧いてくるような事もない。それでも、キンペイバイから受け取った温もりは、確かに少女の心の中で分厚い氷海の中に閉じ込められていた「炎」を解き放っていた。 - 85二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 21:12:35
いい…グレンリベットの不安も痛い程分かるしキンペイバイの母性も染みる…
- 86君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 21:21:08
予定時刻通りに始まったオールカマーは特にどんでん返しも、逃げウマ娘の暴走もなく、先頭が間も無く第3コーナーを抜けて第4コーナーに入ろうかという頃。
グレンリベットは後方集団に待機しつつ抜け出す機会を伺っていた。
普段ならバ群に紛れる事は苦手なはずの彼女であるが、今日は心が落ち着ききっており、周りもよく見えていた。
『未熟者は大言壮語な夢を語りがちだ、だがその夢は多くの場合笑われ、嘲笑され見向きもされず本人でさえ腐らせてしまうのが殆どだろう……だが!だからこそ!俺は高らかに言うのさ、未熟者ほど夢を見ろと!』
『青い果実がなぜ赤く熟すのか分かるか?それは誰よりも天の輝きを求め、誰よりもその輝きの下で生きたからさ!未熟な青い果実よ!夢を語れ!夢を生きろ!夢に溺れろ!夢無くして大成あらず、夢無くして悦楽あらず!』
いつもは何を言ってるのかさっぱりわからないギムレットの言葉が、今は少しだけ分かるような気がする。怯え、竦み、影に隠れて生きる果実は一生青い果実のまま燻るだけ。
例え傷つき時に心折れるような道のりであっても、夢を腐らせるのに比べれば何倍もマシだ。
そう、夢なのだ。どれだけ罵倒されても、どれだけ成果が出なくてもこれを諦める事だけはしてはならない。何故なら、それは孤独に戦わなければならないこの世界で唯一いつだって自分の側で行くべき道を照らしてくれる存在なのだから。それを裏切ればたちまちに道を失い、前に進めなくなる。その果てにあるのは何もせず何も成せないカッコ悪い自分でしかない。
それは嫌だ、それだけは嫌だと心が声を上げる。
だってグレンリベット(俺)の夢は……
「カッコいいウマ娘になる事だからッ!!」 - 87君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 21:48:45
競技者としてのグレンリベットの強み、それは大外からの追込によるぶん回しにある。
キンペイバイの指導を受けるようになってからは彼女仕込みの強烈な末脚とコーナーでの戦い方、そしてそれをやるための力を持たせるための息の入れ方を教わり、爆発力に関して言えば世代でもトップクラスと言えるだろう。
しかしながら、決まれば強い戦術の代表格である追込ウマ娘に付きまとう悲しい宿命として前方から速度を落としてきたいわゆる垂れウマに進路を塞がれるとなかなか前に出づらく、強みを発揮しにくいという明確な弱点がある。
フェルティローザやリリスファタールはこのような垂れウマが発生するような状況を作って追込ウマ娘に対処したりと、戦術での対処ができてしまうと言う弱点を持った脚質でもあるのだ。
だが、それは逆を返せば垂れウマを回避できる追込ウマ娘は強いということでもある。現にキンペイバイなんかはそもそもレース開始から終盤まで最後方につけて最後のコーナーから大外を回ってブッちぎるという戦い方であれほどの戦績を叩き出したわけである。
そして、グレンリベットもまた垂れウマの効きずらい追込ウマ娘の1人である。
正確に言うのであれば、彼女は「垂れウマ回避」に特化したウマ娘と言える。
先述の通り、グレンリベットはバ群があまり得意ではない。それは単純にバ群もとい人混みが怖いからであり、スクランブル交差点なんかに行った日には当たりたくない一心で人と人の隙間を見つけてスルスルと縫うように抜けてしまったことがあるほどだ。本人としては無意識でやっていた事なのだが、これを見たキンペイバイは彼女の回避能力の高さに目をつけじじトレや彼女のトレーナーに意見を求め、彼女の強みをより伸ばす方へとトレーニングができるようにしたのだ。
『さぁ、最終直線!ここでグレンリベットがアガッて来た!するりするりと前を走るウマ娘の隙間を縫い、外へと抜け出したーッ!!』
そうして完成した「回避追込型」のグレンリベットは終盤まで内側で走行距離を短縮し、勝負をかける終盤で外へと抜け出し全てを差し切るという彼女独自の戦術を手に入れた。
その様子は人気のない静かな谷を流れる霞、はたまた深い闇の中で大鎌で全てを撫で切る死神のように静かで、だが致命の一撃を喰らわせるそのスタイルは今後のレースでも強烈な存在感を残すことになる。 - 88君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/30(水) 21:48:55
だがこれはまだ、その物語のほんの序章に過ぎない。
大歓声の中、見事な走りを見せ鮮烈な勝利を遂げたグレンリベットはその後、菊花賞へと出走。
ワインレッドをメインカラーにノースリーブのインナーの上からショート丈のアームウォーマー、片側だけの腰マントに腰ベルトにはギムレットから送られたウイスキーボトルのミニチュアキーホルダーを提げた勝負服での出走となった。
惜しくも勝利を逃すが掲示板入りという大健闘を果たし、グレンリベットの名前を世間に大きく知らしめることとなったのだ。 - 89二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 06:39:31
フェルティローザちゃんの説明の『みなさんの思う巨乳声を当てはめてください』で草
- 90二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 11:07:16
- 91二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 19:39:48
スレ主の文章すき
- 92君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 19:45:37
- 93二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 19:47:23
マミークリークのコスプレ
- 94二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 19:59:12
「祝」の頂ウェディング(デュエプレ版)
- 95二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:02:24
思い切って本格的な特殊メイク付きのゾンビ衣装
- 96君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 20:08:31
- 97二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:10:34
後輩ちゃん達とコスプレパーティー
- 98二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:13:59
じじトレと一緒にハロウィンパーティー会場を回る(じじトレもコスプレ?)
- 99二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:24:08
少年と二人でデートしていたらフェルティローザ達と偶然出会ってダブルデート
- 100君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 20:30:28
1.後輩ちゃんたちとコスプレパーティー
2.じじトレと一緒にハロウィンパーティー会場を回る
3.少年と二人でデートしていたらフェルティローザ達と偶然出会ってダブルデート
dice1d3=3 (3)
- 101君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 20:34:52
- 102二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:07:18
似合いそうなのでフウロ
- 103二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:11:51
ウェディングにはパートナーいるけど女の子なのよね…
フェルティローザのコスプレはぷにるで - 104二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:14:06
キュアワンダフル
- 105二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:20:59
エンジェウーモン
- 106君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 21:24:14
- 107二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:30:06
まあ少年はいつも通りの格好かウェディング関係ないコスプレでいいんじゃない
一応ウェディングのパートナーの女の子の説明記事
https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%83%B3(%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%97%E3%83%AC)
- 108君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 21:46:21
10月31日といえばここ十数年の日本ではハロウィンが定着して久しく、日が沈む頃ともなれば街には思い思いの仮装で着飾った人々が店に道に溢れるものである。
そもそもとしてハロウィン=仮装というイメージは多くの企業のイメージ戦略の賜物であり、原義としてのハロウィンの仮装とはかけ離れたものである。とはいえ、そこは文化の坩堝たる日本らしくガラパゴス化した日本式ハロウィンは今や世界中での新たなスタンダードの一つにまで昇華され、特にアニメ・漫画・ゲームのキャラのコスプレは男女問わず大人気であった。
もちろん、この一大イベントを逃すキンペイバイではなく、今年も気合の入った仮装を用意していた。
ウェディングドレスのデザインをベースに六芒星や虹の刺繍、そして人体から離れて浮遊する二つの大盾。
某カードゲームのクリーチャーが擬人化した姿のコスプレはキンペイバイが今まで培ってきた技術がこれでもかと詰め込まれており、勝負服としてそのままお出ししても問題のないレベルで仕上げられていた。
「絶望こそが祝福なのです」
本人としてもその出来栄えをかなり気に入っているのだろう。先ほどから決めポーズに決め台詞でカッコよくキメてはガッツポーズで大興奮している。
そんなキンペイバイとは対照的に少年は周りを気にしてはソワソワとし、なるべく小さくなってキンペイバイのすぐ隣にぴったりくっついていた。
「ねぇ、キーちゃん。流石に俺にこれは無理があると思うんだけど……」
「大丈夫、大丈夫!すっごく似合ってるって!コスプレの基本は何よりも自信だよ!ほら、シャキッとしないと!」
「シャキッとしたらパンツ見えちゃいそうなんだよォォォォォォ!!」
いつもの短めに切り揃えられた髪とは違う毛量の多いウィッグ、縁もゆかりもなさそうなアイドル路線の衣装に、極め付けはレインボーグラデーションのかかったスカート。人生初の女装にしてはあまりにレベルの高いその格好に少年の羞恥はMAXのストレスフル。
衣装作成をしたキンペイバイのこだわりで原点に忠実に仕上げられているせいで、風の通り撫でる感覚に恐怖を覚えた少年は、元の線が細めなのもあって余計に女の子らしくなってしまっていた - 109君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 22:03:41
「それにしても本当に人が多いね」
さすが文化の発信地東京といったところだろうか、街の至る所に仮装をした人たちがおり、普通の私服やスーツ姿の人の方が逆に珍しく映るほどである。
これならばニュースの一つや二つにもなる訳だと、少年が妙な納得をしているといつの間にか2人は大通りに出ていた。それまで2人の歩いていた路地とは文字通り桁の違う量の人だかりに2人は圧倒されてしまう。元々、コスプレして街に出掛ける以上の目的がなかったため、わざわざこの地獄のような人だかりに飛び込む必要もないが、来た道をそのまま引き返すというのもなんだか癪である。
さて、どうしようかと思案していると2人のすぐ近くに男女の2人組がやってきた。彼彼女達もバッチリとコスプレを決めており、特に女性の方に関しては作り込みではキンペイバイでも目を見張るものがある。
そんな2人もどうやらこの人だかりに進むことを躊躇ってしまっているようで、お互い次に行く道を探しているともなればいずれ視線が交差するのは時間の問題であった。
そこで初めて気づく。このやけに背の高くてスタイルのいい男女になんだか最近よく会っていると。特に女性の方の雌として最上位の体つきを見ればそれが一体誰なのか、自ずと答えは一つに絞られてくる。
「フェルちゃん先輩来てたんだね!」
「ペイバイちゃん!?奇遇やね、こげんところで会うなんて」
お互いにコスプレ衣装越しの正体に気づいた2人は、互いの衣装を褒め合いながら偶然の出会いに喜んでいた。
一方男性陣はというと、フェルティローザのトレーナーが女装姿の自分を心底心配そうな目で見てくるので、少年としてはやり場のない羞恥心で顔を俯かせて「うっす…」と力なく挨拶するのが限界であった。 - 110君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 22:22:36
「それにしても、フェルちゃん先輩がコスプレするなんて意外だなぁ」
「そうかもね。うちとしてはペイバイちゃんのコスプレ姿ば何度も見らしぇてもろうて、いつか自分もやってみたかねーって思うとったけん、こげんしてピッタリんタイミングでコスプレできてばり嬉しか」
そのまま成り行きでコスプレダブルデートをすることになった4人は、ハロウィンムード真っ盛りのオレンジの光がそこかしこで輝く街を当てもなく歩き回っていた。
もっぱら会話は女性陣2人で、男性陣はお互いのパートナーが楽しそうな様子を見て笑ったり、共感できるエピソードにお互いに目線を交わして、無言で心の中で分かり合っていた。
「ところで、フェルちゃん先輩っていつ結婚するの?」
「な、何ば言いよーと!?うちとあん人はまだまだそげな関係じゃ…」
「でも、そういう関係にはなりたいんだよね?だってフェルちゃん先輩も、もう大人だもんね」
「うぅ…そん言い方は卑怯ばい…」
トレセン学園のシステムは一般の学校のそれとはかなり違う。
というのもウマ娘のレース参加の目安である「本格化」の到来にはかなり個人差があるからだ。現在確認されている中で下は小学生、上は18歳まで本格化に入る時期というのはウマ娘個人によって大きな差がある。もし仮に年齢ごとに一律にレースにエントリーするとなると、どうしても埋められない絶対差というものがついてしまう。そこでトレセンは本格化に入る兆しが見えてからレースに登録するという方式を取り、本格化していないウマ娘が身体能力の絶対差に苦しめられないようにしている。 - 111君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 22:22:51
だが、ここで不思議に思うだろう。トレセンのカリキュラムはあくまで高校三年生相当の18歳まで。ならば16歳以降に本格化が来た場合は卒業や18歳以降のカリキュラムはどうするのかと。
勿論、トレセンにはそんな場合でも対応できるシステムが構築されている。それこそが専修システムである。これは有り体に言ってしまえばトレセン学園に在籍していながら大学相当のカリキュラムを受ける事で、卒業後に対応する学年に編入できるというシステムである。
これにより18歳で本格化を迎えレース登録をし、21歳まで走って、22歳で大学一年生になるなんて悲惨な状態にはなり得ないのだ。
フェルティローザもかなり遅くに本格化が来た組であり、レースを引退し大学3年生へと編入した彼女は世間的に言えば21歳の立派な1人の女性なのだ。
つまりは、元トレーナーと恋愛関係になったとしても何も問題はない訳であり、事実として彼女がトレーナーと相当に親密であるというのは彼女がトレセンに在籍していた頃からみんな知っている事ではあった。 - 112君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 22:40:16
「確かに結婚と子供ば作るとは、なるたけ早うした方がよかって聞くばってん、ばってんそげなんなやっぱりあん人ん方から言うて欲しかっていうか…自分からガツガツ行くんなはしたなかろうもん」
どれだけ優れた体格をしていようとも彼女はうら若き恋する乙女である。恋人の次のステージに進むときには相手から思いを伝えて欲しいと思うし、だけどなるべく早くその言葉を聴きたい、でももう少しだけこの距離感でいたいというイジらしい感情をちゃんと持っている。
だが無情かな、左耳のウマ娘に付きまとう「フケ」は純情可憐な少女にも等しく牙を剥き、今年の春先から夏の初めまでフェルティローザは子供が欲しいという欲求が己が内で渦巻いており、それを悟らせまいと気苦労が絶えない日々を送っていたのである。
そんな日々も、彼女が自分から言葉を告げるのを躊躇う理由の一つでもあった。
「そっか、フェルちゃん先輩はちゃんと一歩ずつ大人になってるんだね。…できればそうやってゆっくりでいいから踏み外さないで歩き続けて欲しいな」
「ペイバイちゃん……?」
「ほら、私なんかは一回、大人になる道を無理してショートカットしようとして思いっきり踏み外しかけた事があるからさ…すっごく怖かったし、もしあの時本当に踏み外していたらなんて……悪夢でも考えたくないくらい。だからフェルちゃん先輩が自分のペースで歩いてるの見てなんだか安心しちゃった」
それはキンペイバイが同期後輩関係なく、自分と関わりのある全ての「子供」に思っている事であった。
道を踏み外し、取り返しのつかない場所まで行きかけたキンペイバイの胸にはいつまでも、親友のかけてくれた言葉が胸に残っている。
『早くカッコいいオトナになりたい。でも、オトナになるって苦しみながらなっちゃきっとダメだよ』
大人は無理してなるものではない。人を大人にするのは劇的な出来事でもなければ、優れた人間の言葉でもない。人は経験を積み、時間を重ね、磨耗し、研鑽し、研磨する事でその心の内の原石に輝きを灯していく。それこそが大人になるという事であり、それ自体に裏ワザも短縮技もありはしない。
地道に積み重ね、刻みつけてきた足跡を振り返った時、少しだけ自分の影が伸びているように感じたのなら、それがきっと大人になっているという事なのだ。 - 113君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 22:46:01
4人はこの後…
1.道路は道が多すぎて埒があかないので空いているカラオケに退避して、デュエットをしたり持ち歌を歌ったりして楽しんだ
2.ある程度仮装とおしゃべりを楽しんだところで解散、帰宅後にお風呂から上がったキンペイバイの元にフェルティローザと彼女の元トレーナーの2シャットが送られてきた
3.フェルティローザトレーナーの奢りで晩御飯。アーンしたり、口についたクリームをぺろっと舐めたり、お互いにお互いのレベルの高さを見せつけあった
dice1d3=1 (1)
- 114君は繁殖牝馬になれるちゃん24/10/31(木) 22:48:30
以上、ハロウィンでした。
明日はこれ以上の要望がない場合、卒業式となり、トレセン学園からはさようならとなります。
もしまだトレセン生のキンペイバイが見たい人は見たい内容のレスをお願いします。 - 115二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 08:15:24
ついに卒業か
- 116二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 18:34:56
保守
- 117二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 22:41:55
完結が見えてきて寂しくなるな
- 118二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 08:19:24
楽しませてくれてありがとう
- 119二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 08:51:07
気づいてみれば初代スレからもう半年経ってるんだなぁと
読み返してみると、本当に最初からダイス目フルスロットルだったな - 120君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 16:42:28
3月初旬、まだまだ冬寒さが残るこの季節であっても、この日ばかりは雲ひとつない真っ青な空が広がり、頬を撫でる風のなんと心地よいことか。
トレセン学園で最後まで走り切り、卒業できるウマ娘というのはそこまで多くない。早くに本格化が来たものの未勝利戦に勝つことができず、これからずっと敗者として浅ましくトレセン生という称号に齧り付くことすらできず、自分の才能に見切りをつけ去ってしまうものは全体の約2割もおり、そうでなくても本格化に入るのが遅かったからという理由だけで他の場所に行くこともできずそのまま流されるように卒業を迎える者が約3割。卒業らしい卒業ができるのは入学した者の5割程度というのが毎年の通例であった。
「今日でトレセンともお別れだって思うとなんか悲しくなっちゃうね」
「入学した頃は教室も廊下も何もかも広く見えたのに今じゃこんなに小さ……いや、あんまり変わらないか」
その幸運な5割の中に入っているマヤノとキンペイバイは、自分達が初めて出会った中等部1年の教室を訪れ感慨深い気分に浸っていた。
壁に貼ってある習字やクラスの目標は今の1年生達の者だが、こうして隣同士席に座っているとあの日初めて出会った日のことが鮮明に思い起こされる。
親元を離れ大都会東京に1人、右も左も分からない12歳の少女はぼんやりとした憧れを胸に抱いてこの学園の門戸を叩いた。それがもう6年も前の話なのだ。思えば時が経つのは早く、随分と遠くまで来てしまったように感じる。
「ねぇ、マヤノちゃん。初めて会った時のこと覚えてる?」
「勿論!あの時はマヤもちょー緊張してたなぁ。隣の人が怖い人だったらどうしよう!とか思ってたけど、ペイバイちゃんが隣に来てくれてこの子なら仲良くなれそう!って嬉しくなったのよく覚えてる」 - 121君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 16:43:08
- 122君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 16:43:36
「そういえば、ペイバイってあだ名もマヤノちゃんがつけてくれたんだったよね」
「そうだった気がする。でももう、ペイバイちゃんがペイバイちゃんすぎてどこ発祥とかもあんまり気にしてなかったよ」
「そんなにぃ?まぁでも、もう6年なんだよね…」
「早いねぇ…」
2人して窓の外を見上げる。18歳になった2人の見える景色は変わっているようで、変わっていない。そりゃモノの見え方の一つくらいなら変わったかもしれないが、変に大人びる事も世間に揉まれて擦り切れる事もなく、一つずつ大人の階段を登ってここまで来れた。
途中、何度か踏み外しそうになることはあったけどその度に誰かに支えられてここまで来ることができたんだと、そう思える事が自分が大人になった証拠なのだと2人は考える。
「マヤノちゃんにはずっと助けられっぱなしだったね。感謝しても仕切れないや」
「友達が困ってたら力になりたいって思うのは当然でしょ?マヤもそうだっただけだよ」
「マヤノちゃんが困ってたら今度は私が助けに行くからね」
「そしたらマヤもペイバイちゃんがピンチの時には飛んで行っちゃうね」
少し空いたガラス窓の隙間から春の微風が吹き抜けカーテンを揺らす。
6年の付き合いの親友達は止まることのない思い出話に花を咲かせ、集合の時間になるまで、ただ2人で、出会った頃から変わっていない笑顔で笑い合っていた。 - 123君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 16:58:25
トレセン学園の卒業式というのは実のところかなりシンプルな内容で司会進行が進む。
まず理事長による開会の挨拶、国歌斉唱、卒業証書授与は人数の関係で代表者1名、そのまま式辞を行いそんなに長くない祝辞を済ませ、生徒達から最も嫌われる来賓紹介へとコマは進められる。
トレセン学園のような営利主義の極みのこの場所での卒業式に参列する来賓の量は、並の学校のはるか数倍をいく。特に各レース会場、後援会、地元自治体だけならいざ知らず、スポンサー企業の重役から政治家に果ては宗教関係者まで含まれる偉い役職詰め合わせパックのような並びになる。
だが悲しいかな、式典だから参列しているというだけで本音を言えば生徒も学園も来賓もこのただ名前を呼ばれておじさんおばさんが立ち上がるだけの虚無の時間が好きなものなど誰1人としていないのだ。
無論、それはキンペイバイも同じでありあまりの長さに寝かけている隣の席の子を起こしたりしながら、自身も襲いかかる強烈な眠気になんとか耐えている状態であった。
頼むから早く終わってくれ、この場にいる全員がそう感じながら来賓紹介はついに10分の大台を突破した。 - 124君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 17:27:58
「(卒業かぁ……)」
うとうとしている同級生の肩を揺すりつつ、その実感のない言葉が脳に反響していく。
この手のにありがちな気がついたら中学・高校生活が終わっていたという事はなく、キンペイバイとして悩んで泣いて努力して走り抜いた密度の濃い6年間であり、「もう」ではなく「やっと」という接頭語がつく感覚であった。だからこそ、この6年間が今日で区切りがついて終わってしまうという事実が現実として中々飲み込めなかった。
この学生生活でやり残している事はない。誕生日パーティーは自分のも友達のもやったし、プロジェクターを借りて寮の皆んなで映画を見たり、後輩のレース遠征に同行したり、海外に行って外国のウマ娘と対決したり、学食のメニューの全制覇だってやった。
悔いなんて何も残っていないのだ。そう、何も残っていないからキンペイバイは今日、この学園から巣立たなければならない。足に縛り付き重しとなって飛ぶ事を拒む後悔なんてものは無く、今キンペイバイにあるのは開かれた空を自由に飛んでいける真っ白で大きな翼だけ。どこへだって行けるというのに、不思議と後ろにある懐かしい居場所ばかりが気になって飛び立つ気が中々起こらない。
そこで初めて気づいた。自分の中に残っているたった1つの大きな後悔。
それは、あれだけ憧れ焦がれていた「18歳の大人になってしまった」事、そのものであると。 - 125君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 17:41:35
12歳の春、キンペイバイは大人になるための道をステップアップすることの恐ろしさを知った。
それと同時に友の言葉で悟った。苦しみながら大人になることは正しいことではないと。
それからのキンペイバイは牛歩だとしても少しずつ、確実に大人になろうと長い長い道をひたすらに歩き続けていた。その道中、大切なものを失くした人の心に触れたり、立ち直れなくなった幼馴染の手を取ったり、生い先短い恩師の原点を知ったり、多くの事を経験しながら彼女は自分でも知らないうちに大人になっていった。
レースを現役引退してから約2年。競技者としての戦いが終わってからも、後輩の育成やドリームトロフィーリーグへの参戦と成長の場は多く、キンペイバイは預かり知らぬ所で大人っぽくなった、大人びたともっぱらの評判であった。
その言葉自体は嬉しいものだったのだが、自分的にはまだ自分のことを大人らしいとは思えず、卒業して世界に羽ばたいていった同期達を見るたびに、自分はまだまだ子供だとそう思ってばかりであった。
だが、その認識は間違いだったようだ。キンペイバイは青臭さこそ完全に抜け切れていないものの、もう既に大人の18歳であり過去を振り返り自らの刻みつけてきた足跡にどうしようもないセンチメンタルな気持ちを抱かざるを得ない年齢になっていたのだ。
ならば、卒業する事が正しい。
卒業とはそれまでの日々とのお別れという後ろ暗いものでは無く、それまでの日々に背中を押され新たな世界に飛び立っていく明るいものなのだから。変わらぬものを抱えたまま、変わりゆく日々に「初めまして」を告げる、それが卒業というものなのだ。 - 126二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 19:30:06
ペイバイちゃんの卒業と同時に、スレ住人も一つの物語を見届けられた喜びと悲しみを胸にこのスレから卒業しないといけないと言う
- 127君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 19:33:08
「「「先輩〜!!」」」
卒業式が終わり、各クラスでの卒業証書の授与まで終わると、卒業生のクラスに在校生達が雪崩のようにやってくる。今日を過ぎると卒業生達は地元へと帰り、会う事も難しくなるため最後の思い出を作ろうと、皆お気に入りの先輩の元に直行するのだ。
「ゔぅ゙ぅ゙…先゙輩゙ぞづぎ゙ょ゙ゔじな゙い゙で゙ぐだ゙ざい゙ぃ゙ぃ゙…!も゙っ゙ど一゙緒゙に゙ドレ゙ー゙ニ゙ン゙グ゙じだり゙あ゙ぞん゙だ゙り゙じま゙じょ゙ゔよ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙……!」
キンペイバイもその例に漏れず、この2年間で指導してきた後輩達にもみくちゃにされていた。背丈も髪の色も得意距離も出身地も全員バラバラな後輩達だが、こうして涙を流して卒業のお祝いと卒業しないでと泣きべそをかいてくれるいい後輩達である。
「姉御、あっしはまだ姉御に教えてもらい事が沢山…沢山残っでる゙の゙に゙ぃ゙…!」
唯一涙を堪えていたターキーバスも、ついには堪え切れずポロポロと涙を流し、彼女らしくもなくキンペイバイにすがりついてわんわん泣いていた。
そんな心優しい後輩達を小さな体でギュッと抱きしめる。この2年間、自分の子供のように思っていた後輩達と別れるのはキンペイバイ自身、辛い。だが、自分がそうであったように離別と出会いもまた人を成長させるものだから、だからお別れは悪いことではない。
「みんな、2年間ありがとう。長いようで短い2年だったけど、私は沢山思い出ができて毎日が凄く楽しかった」
それから1人ずつ、後輩達の名前を呼んで抱きしめていった。
「ドリーミンちゃん、あなたは誰よりも頑張り屋さんだったね。私が卒業しても、その良いところを失くさないでいてね。でも、無理のしすぎはダメだからね。…大好きだよ、怪我と病気に気をつけてね」
「ばい゙…グスッ…はい!先輩、わたしも先輩のこと大好きです!」
後輩の中でも1番の頑張り屋で1番心の強かったドリーミンは、泣いてお別れはしまいと涙を拭って笑顔を見せた。 - 128君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 19:33:25
「リベットちゃんは初めて会った時もカッコよかったけど、今はそれよりももっとカッコよくなったね。背筋もシャキッと伸びて、笑った顔もとっても素敵。これからも私の大好きなカッコいいリベットちゃんでいてね」
「勿論です、俺、先輩がいつ帰ってきてもいいようにずっと!カッコいい俺でいますから!」
自分に自信のなかったリベットはこの2年間で大きく成長した。まだ憧れのギムレットのようにはなれていないが、それでも自分を信じることのできる強いウマ娘へと成長できていた。
「バニーちゃん、ほら泣かないでバニーちゃん」
「だ゙っ゙でぇ゙…!だ゙っ゙でぇ゙…!今゙日゙が゙終゙わ゙っ゙だら゙ペ゙イ゙バ゙イ゙先゙輩゙に゙会゙え゙な゙ぐな゙っ゙ぢゃ゙ゔで゙ずよ゙ぉ゙ぉ゙…!!」
「たしかにそうかもしれないけどか、永遠のお別れじゃないでしょ。また近いうちに絶対に顔を出すから、ね、もう泣かないで。私はバニーちゃんの笑ってる顔の方が好きだな」
「ゔぅ゙ぅ゙……わ゙が゙…り゙ま゙じだ……グスンッ……なるべく早くきてくださいね」
後輩の中でも1番のムードメーカーであったトーキョーバニーは誰よりも涙を流していた。そんな彼女の変わりっぷりにリベットやドリーミンは彼女の涙を拭ってあげようとハンカチを差し出したり、背中をさすってあげたりしていた。
「最後に、ターキーちゃん」
「押忍、姉御」
「ターキーちゃんは私が指導した1番最初の子だったね。あの時は慣れないことばっかりでターキーちゃんにもすっごく迷惑をかけたと思う」
「迷惑だなんてそんな…あっしはキンペイバイの姉御と巡り会えた事はあっしの人生での何よりの僥倖だと今でも思っています。姉御があっしの姉御である事が、あっしの幸運です」
「私も、ターキーちゃんが私の後輩でいてくれた事が何よりの幸運だって思ってる。今度は、ターキーちゃんがみんなの先輩になってあげてね」
涙一粒、ターキーバスにはそれで十分であった。それをキンペイバイも分かっているからこそ、彼女にかける言葉は先を行くものからの激励であり、これから大人になっていく可愛い後輩への精一杯のエールでもあった。 - 129君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 19:47:59
後輩達が手を振る教室を後にし、歩き慣れた正面玄関までの道を歩いていると、見慣れた人影がこちらを手招きしていた。
「ルドルフ先輩!」
そこにいたのはじじトレと、礼服姿のシンボリルドルフであった。
「いやのぉ、せっかくお嬢さんの卒業式なのだから少しばかり顔を出したらどうじゃと、老人のいらん心配りじゃよ」
「何を言ってるんですか、URAの上層部にわざわざ予定を空けるように頼んでくれたのはじじトレさんでしょう?」
「はて?そうじゃったかの?」
相変わらず食えないじじトレは、あの後に新薬を試すことになった。半ば自分の人生の老い先がない事を受け入れていたじじトレが生きるための新薬に手を出したのは、キンペイバイが引退レースの有馬で見せたあの輝きを見たからであった。
あの輝きを見せるウマ娘をもっと見たい、多くのウマ娘からあの輝きを引き出したい、キンペイバイの走りにトレーナー魂が再燃したじじトレはその後、みるみるうちに病状が回復。今では月一の検査でも異常無しと言われるほどで、まだまだ若いものには負けんと言いつつ、後進育成により一層力を入れているようだ。
ルドルフの方はというと、長年生徒会長を務め、今ウマ娘の幸福のために必要なものは何かという問いに答えを見つけるために卒業と同時にJRAの職員となり、現在は日本からの海外レース遠征に関係する仕事をしているらしい。
「まだまだ始まったばかりな事だがね。これを土台にもっとステップアップしていくつもりさ」
大人になっても精力的に活動するルドルフはトレセン学園生徒会長時代よりもさらに牙を研ぎ澄ましており、いずれは総理大臣にでもなってしまうんじゃないかとそんな凄みさえ感じさせるほどである。
「おっと、本題から随分と逸れてしまったな。卒業おめでとう、キンペイバイ。君のこれからの活躍を誰よりも強く願っているよ」
「儂からも改めて、卒業おめでとうお嬢さん。新居も近いんじゃから、いつでも遊びにいらっしゃいな」
「はい!」
どれだけ歳を重ねようとも、この2人の前ではいつでも、可愛い後輩、打てば響く教え子のままでしか振る舞えなさそうだと笑顔をこぼすキンペイバイであった。 - 130君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 19:48:26
舞い散る桜並木は頬を撫でるが、行かないでと駄々っ子のようには引き留めてはくれない。
むしろ、早くお行きなさいとせせっかしい母親のように旅立っていく者たちの背中を押すようにその風のゆくえを校門へと秒速5センチメートルで落ちていく花弁で教えている。
振り返った校舎は初めて見たあの頃のままで、だけれど少しだけ伸びた背のおかげで、あの時に気づけなかった事にたくさん気づける。時計の針が色褪せて短針と長針で微妙に色が違うこと、あの木の下のベンチはここからだとあまり見えないこと、あの時は気づけなかった色々に今更になって気づいてしまう。
もっと、この場所にいたい。そんな幼い欲望が顔を出すと、キンペイバイの真横を一筋の風が通り過ぎていく。なんて事はない季節風だが、キンペイバイの目には別のものが映っていた。
身の丈に合ってない鞄を背負った小さな女の子。期待に胸を膨らませて、これからの日々を夢に見ては見たことのない場所の輝きに大きな口を開けて感動している。よく知っているその少女の姿に、自分の歩むべき道を思い出し巣立ってゆく母校をもう1度目に焼き付ける。
「さようなら、トレセン学園」
今日、1人の少女がこの学園を旅立っていった。
少女の名はキンペイバイ。
多くの人々に支えられ、強敵や困難を乗り越え、多くの人々の夢や憧れになった少女は輝かしい思い出を抱え、光あふれる道を歩き出し始めた。 - 131二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 23:18:42
このレスは削除されています
- 132君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 23:20:51
- 133君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 23:22:42
- 134君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/02(土) 23:25:09
- 135二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 23:28:08
インモラル回避しても文章に起こせばもれなくインモラルなの面白いんだよな
ペイバイ職業案、まるで方向性違うけど癒し系ボイス持ちだしラジオパーソナリティとかどうだろう - 136二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 02:00:25
ビューティ安心沢と共に衣装を造るデザイナー
- 137二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 07:35:39
漫画家
- 138二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 09:08:06
- 139二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 09:37:29
このレスは削除されています
- 140二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 09:38:12
このレスは削除されています
- 141君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/03(日) 09:40:16
なれるちゃんの進路
1.ラジオパーソナリティ
2.ビューティ安心沢と共に衣装を造るデザイナー
3.漫画家
4. スポーツ系の短期大学を出てそのまま専業主婦、たまに学園に顔出す
dice1d4=1 (1)
仕方ないなぁ。21歳より若いダイスが出たらそれに更新という事で(元々、10代の奥さんをやって欲しいとは言われていたので)
キンペイバイの初年度産駒の妊娠年(出生は年齢に+1)
1.18歳(卒業後一発必中)
2.19歳
3.20歳
4.21歳
dice1d4=3 (3)
- 142君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/03(日) 09:41:34
というわけでキンペイバイの進路はラジオパーソナリティ、初妊娠は20歳、初子は21歳の時という事になりました
ところで、ラジオパーソナリティってどうやってなるんですかね? - 143安価投げた人24/11/03(日) 09:52:38
深夜に眠れぬ人たちを声で癒すペイバイちゃん(CV:能登麻美子)が見れるんですね!!!!!
普通ならアナウンサーとしてラジオ局もしくはテレビ局に就職……となるところだけど、ペイバイちゃんならレースで活躍したし最初はレースのコメンテーターとかで呼んでもらう→人気出て芸人さんのラジオとか対談系のラジオに出る→そこから音楽番組(ANNミュージック10みたいなの)の担当を任される
っていうのはあるかも
比較的見た目で左右されにくいという特性もなんとなく合っている気がしたのだ - 144二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 11:29:44
- 145二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 11:42:37
ソロならスタジオ行かなくても自宅の防音室でなんとかなりそう、録画(音)配信もあるしね
お母さん完全同居で子どもたちは仕事中見てもらえるし、遅すぎる時間帯じゃなけりゃ身体の負担も軽いんじゃないかと
- 146二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 12:18:19
- 147二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 19:30:16
ラジオ聞きたいなあ
- 148二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 19:33:50
絶対、耳が幸せだわ
リスナーのリクエストで、キス音とか流してほしいです - 149二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 01:05:38
まあ昼番組でも収録でも何でも良さそうだし、最近はラジオカーなんてのもあるから入る局次第でいろいろできると思う
- 150二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 09:03:40
このレスは削除されています
- 151君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/04(月) 09:06:29
【報告】
現在、自宅のネット回線が死んでいるので更新が不定期になります。ご了承ください
それでは時間をどれくらい飛ばすのか決めます
次のお話はキンペイバイが
1.20歳
2.21歳
3.22歳
4,23歳
dice1d4=2 (2) のdice1d12=10 (10) 月
- 152君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/04(月) 09:12:40
要望の関係で少し時間を巻き戻してスタートになります
- 153君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/04(月) 10:06:44
春の心地よい風が花をつけたばかりの木々を揺すり、舞い散る花弁が水面に落ちてはまるでそこにもう一本、桜の木でも生えているかのように華やかに着飾った小川が流れと共に花を運んでいく。
世間ではやれ入学式だ入社式だと胸の高鳴りと共に新たな環境に飛び込んでいく人々へのエールで溢れるこの季節。府中の街の住宅街もまたその季節の浮かれに取り憑かれており、忙しそうに準備をする新社会人や新入学生達が家の中で慌ただしく準備をしている。
さて、そんな中住宅街の入り口付近の民家、そのリビングダイニングキッチンでは青い髪の背の低い女性──21歳になったキンペイバイが鼻歌まじりに朝食を作っているところであった。
居間では、朝のTVニュースがラジオがわりに流れ、戸棚には所狭しとトロフィーやら盾やらが並び、その横の一段低い棚にはこの家の主人と思われる人々の写真が飾られていた。
「おはよ〜…」
「おはよう───くん!」
眠い目を擦り、パジャマの裾から手を入れて背中を掻きながら登場した体格のいい青年──21歳になった少年は、料理をしているキンペイバイと口づけを交わすと、冷蔵庫に向かい作り置きと麦茶ポッドを取り出し、食器棚から持ってきた皿とコップと箸をテーブルに手際よく人数分並べていく。
「あれ、お義母さんまだ起きてないの?」
「締め切り近いからねぇ、私後で持って行くよ」
青年があらかたの準備を済ませ終わると、玄関の開く音と共にご老人2人の元気な帰宅の挨拶が聞こえた。
「おぉ、今日もえぇ匂いじゃのぉ」
「ペイバイちゃん、出来上がった料理もう運んじゃっていいかしら?」
「はい、お願いします」
もうすぐ80歳の大台が見えてきそうな老夫婦は、歳のことなど感じさせない軽快なフットワークで今日も店の仕込みに一区切りをつけて家へと戻ってきた。特に老婆の方は若い子ばかりに苦労をかけられないとすでに出来上がった料理だけにとどまらず、作り置きのおかず達も凄まじい速度で人数分取り分けていってしまった。流石の手捌き、まさしく年の功である。
「あら、お父さん達もう帰ってたの?」
再び玄関の扉が開く音がしたと思えば、現れたのは青年の母親。朝食作りと回覧板にゴミ捨てという朝のうだつの上がらない時間帯のめんどくさい仕事はキンペイバイと彼女の交代式であり、たまに定食屋一筋60年の義祖父が1日3食を作ることもある - 154君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/04(月) 10:07:15
やがて全ての料理が終わり、さぁ食べようかという頃合いにバタバタと階段を駆け降りてくる音がしてきた。
「ごめんなさーい!すっかり寝坊しちゃってたわ!!」
寝癖そのままのボサボサヘアーに肉感たっぷりの男を惑わして仕方のない美魔女ボディをテロンテロンの使い古したTシャツがかろうじて隠しているこの女性はキンペイバイの母親である。元々、鳥取に住んでいたのだが、キンペイバイが少年の家に同居する際に母親もどうかと義祖父から提案され、今はこうして3世帯が一つ屋根の下で暮らしている。
最初は色々と問題(自分の体に無頓着な母親絡み)があったが、今では元からこの形だったと言われても不思議ではない仲良し家族である。
「「「「「「いただきます」」」」」」
本日の朝食はご飯に海苔のお味噌汁、焼き鮭と卵焼きに作り置きのほうれん草の胡麻和えと金肥牛蒡。一つ一つの手間はそれほどでもないが、人数分となるとそれなりの労力となる。"今の"キンペイバイの体では特に。
「ペイバイちゃん、体の調子はどう?お腹の張りとかはない?」
「はい、大丈夫です。胎動は感じますけど、まだ産まれる感じはないです」
義理母が心配そうに見つめる視線の先、キンペイバイがさする自身の腹は彼女の身長には不釣り合いに大きく膨らみ、その膨らみに合わせ彼女の大きな乳房が形を変え、大きく丸い輪郭にそい少しつぶれた形となっている。
そう、キンペイバイは今、妊娠中なのだ。しかももう臨月であり、予定日まであと数週間というところまで来ている。
「初孫は楽しみじゃが、まずは何よりもペイバイちゃんの身の安全じゃ。困ったことがあったらすぐに言うんじゃよ」
「こらこらあなた、心配のしすぎでまた目が怖くなっていますよ」
老夫婦も学生時代から見守ってきた孫同然のキンペイバイの初参ということもあって心配が止まらないようであり、特に義祖父に関しては普段の好好爺っぷりはどこへやらと言った感じで、口調は優しいが表情には鬼が宿っていた。
「心配しなくても大丈夫よ、キーちゃんはママの子なんだから。スポンッて産めちゃうわ」
この中でただ1人、あまり心配の表情が見えないのがキンペイバイの母親である。それだけ娘のことを信頼しているということなのだが、いかんせん彼女とキンペイバイでは条件が違いすぎるため、参考にはならないというのが実情であった。 - 155二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 12:05:30
どちらかの実家が自宅近くで飲食店やってるとすごく子夫妻は楽なんよなあ
うちは山盛りエビフライと大量のナポリタンとか持って帰ってたわ - 156君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/04(月) 12:12:31
朝食を食べ終え、食べ終わった食器は義母と母親が片してくれるということで、義祖父母は店の方に、青年とキンペイバイは2階にある夫婦の部屋へと戻ってきていた。
少年も今年で大学4年生、就職先はすでに決まっており単位もほぼ全て取り切ってあとはゼミくらいしか大学に行く用事というのもまともに残っていない。そのため、朝食後はこうして夫婦2人でまったりとするのが日課であった。
2人が夫婦になったのは彼彼女達が卒業してから半年も経たない6月のことであった。結婚式も同月に挙げたのだが、これは元々付き合いのあったビューティー安心沢が主体のブライダル衣装の企画にてキンペイバイに依頼が来たため、諸々の諸経費は企画の経費の方で済ませてしまい、実は彼女達の支払ったお金というのは極僅かなのだ。
ちなみに、その時の衣装は安心沢の好意でキンペイバイに貸与という形で贈られている。
「お腹、おっきくなったね」
「───くんの子だもん、私のお腹でスクスク育ってくれてるよ」
青年の手がキンペイバイのお腹に触れる。
身長140cm未満の体には不釣り合いな程のふくらみに宿るのは3000gを僅かに超える胎児。サイズ自体は平均のそれだが、母体の体の小ささ故、ふくらみ方で言えば一般的な体格の女性が双子を宿しているような感じである。宿るのがウマ娘だからか縦ニットを押し上げる膨らみは見事なまん丸具合だ。
妊娠に伴い、元々良かった肉付きはさらにその威力を増し、産まれてくる赤子に飲ませるための母乳を大量に蓄えている乳房は大きさと柔らかさを増し、胎児の眠る大きなお腹に押し上げられ、お腹の輪郭に添い少し潰れた様子が余計に柔らかさと大きさを見るものに強く印象に与えている。赤子を産み落とすための尻はさらに大きく厚くなり、青年の膝に座るような体勢の現在はその柔らかな肉を少年の太ももに押し当て極上の肉布団となっている。 - 157二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 20:25:31
美しい
- 158二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 06:41:14
うっ!……ふう
- 159二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 06:43:45
親子揃って登場する度に描写がそっち方向に具体的になるの好き
- 160君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/05(火) 09:37:39
両親の手が触れていることが赤子にも伝わっているのか、ごりゅん、モニュとキンペイバイのお腹の内側が押し上げられ彼彼女達の手のひらを押し返す。元気な様子の伝わる胎動に夫婦は顔を合わせて笑い合う。
「どんな子に育つかな」
「キーちゃんの子供だしきっと優しくて走るのが大好きな子になるよ」
「そうだね。きっと優しい子に……たくさんの幸せを手に入れられる子になってほしいなぁ」
我が子の誕生を今か今かと待ち侘びる夫婦。予定日まではあと数週間あるが、その日を今か今かと待ち侘びて心の中ではどこかソワソワとした感じが抜けきれていなかった。
産まれた後の子育てへの不安や悩みも勿論ある。だが、それ以上に今は自分たちの元にやってきてくれたこの小さな命が無事に産まれ落ちてくれる事を何よりも切に願っていた。
「あなたのパパはとっても優しくて強くて立派な人なんだよ。もし、あなたが走りたいと思ったらパパに教えてもらおうね」
「それまでに立派なトレーナーにならなくちゃな」
「きっとなれるよ。だって私がそう信じているから」
いつかの言葉とは真反対の立場の言葉を交わした夫婦は顔を間近に近づけ、互いの体温を交換し合う。
子供を宿して少し体温の上がったキンペイバイの温かさが青年にとってはなんとも心地よかった。
「あなたが無事に産まれて来れるよう、ママも頑張るからね」
まだ見ぬ我が子の顔を思い浮かべながら、もうすぐ訪れる未来への期待にキンペイバイは笑みを浮かべた。 - 161君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/05(火) 13:42:06
青年とは違い、キンペイバイは大学へは行っていない。では完全な専業主婦かと言われればそれも違う。
では何かと問われれば、彼女は誇らしげにこう語る。「ラジオパーソナリティ」ですと。
『以上、今週のミッドナイトドリーマー、司会は私、キンペイバイがお送りさせていただきました。それでは皆さん、いい夢を…』
「はい、OKでーす」
録音スタジオで台本が全て終了した合図が送られると、少しばかりピリついた空気感が解け、ほっと一息ついてしまう。
ここは東京は赤坂にあるスタジオ。キンペイバイはここで週に何度かラジオ番組を収録したり、生放送に出演したりしている。今日は深夜帯の番組の収録日であり、ゲストに招いていた今をトキメク苫小牧の宣伝大使さんと軽い挨拶を交わすと、収録に協力してくれたスタッフの方々にも頭を下げて感謝する。スタッフも若い者から年老いたベテランまで大勢なのだが、皆キンペイバイの礼儀正しく品行方正な大和撫子らしいその姿に尊敬と好意を寄せていた。
キンペイバイがこの業界に入ったのはトレセン学園在学時まで遡る。当時、将来の進路を決めあぐねていたキンペイバイは生徒会からの依頼でウマ娘レース関連のラジオ番組への出演をすることになった。本人としては、自分に本当にできるのかと不安になっていたが、なんとこれが大当たり。競技ウマ娘であったが故の知識もさることながら、聞きやすくリラックスできるその声が大変に評判となり、今では冠番組まで持つに至っていた。
ちなみに、深夜放送ということでリクエストも過激な物がたまに混じっていたりするのだが、キスの音を届けた際はラジオ番組でありながら切り抜きがトレンドに上がるという異常事態にまで発展し、一気に彼女のラジオの名を世間に広めるきっかけとなった。
昨年の夏頃に妊娠が発覚してからは声に妖艶さと母性がより感じられるようになったと大層評判で、同放送局のラジオ番組の人気ランキングでも彼女の出演した番組全てがTOP10に入るという偉業を達成していた。 - 162君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/05(火) 13:42:40
「キンペイバイちゃん、産休来週からだっけ?」
「はい、ちょっと時間を空けてしまい申し訳ございません」
「気にしなくて大丈夫だって、ボクらとしてはキンペイバイちゃんが無事に母親になってくれることの方が大事だからね。みんなもそうだよね?」
「勿論ッす!」
でも産休中の代打を考えると多少むさ苦しくなりそうっすねと軽口を叩き合うスタッフさん達は、キンペイバイの妊娠に関してもかなり好意的で、特に1番上の老年のスタッフはキンペイバイのデビュー当時からの追っかけであり彼女が冠番組を持つことになったきっかけの一端を担っているダンディなおじ様である。
彼自身、2人のウマ娘の子を持つ父親であり愛妻家らしく、自分たちの後輩が身重でも頑張っているから何か差し入れをしたいと娘2人からキンペイバイに贈られた安産祈願のお守りは彼女のバッグに大切に保管されている。
収録スタジオを後にしたキンペイバイは新宿駅から程近いテラスの映えるオシャレなカフェを訪れていた。
「あ、きたきた」
こちらに向かって振られた手の方に向かうと、そこには懐かしい顔ぶれがあった。
「お仕事お疲れ様、ほらここ座りな」
元のクールビューティーな印象はそのままにショートボブだった髪を少し伸ばして大人の雰囲気を感じさせる白髪の美女に成長したコードヘブン。
スラリと伸びた手足が彼女のスタイルの良さと女性としては高めな身長をより強調していた。 - 163君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/05(火) 13:42:53
「これメニューね。ここんおすすめはベリーたっぷりのパンケーキばい」
メニューを手渡す大柄な女性はフェルティローザ。現役時代と変わらぬ大きな体はそのままに色んなところが大きくなっていて、男性にとっては非常に目に毒な事この上ないだろう。ワンピースを押し上げるその巨大すぎる双房からもその存在感と圧倒的質量が感じ取れる。
また、この中で唯一の経産婦という事もあり、雰囲気は柔らかくだがしかしてどこか淫猥でエロスを感じざるを得ない、そんな魅力が今の彼女にはあった。
「おいフェルティ、昼時一発目にパンケーキはねぇだろ」
勝気な瞳に学生時代よりもかなり短くなったポニーテールが"ヤンママ感"を増長させているテュランダイナは20歳を超えた現在でも学生時代とはあまり雰囲気も容姿も変わっておらず、強いていえば肉感が良くなっているあたりから旦那さんとは良い関係性を築けているのだと察することができるくらいな物だろうか。 - 164君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/05(火) 17:46:10
「ペイバイちゃんお腹大きゅうなったね。確かもう臨月やろ?」
キンペイバイの注文が終わると、女子会の話題は自然ともう直ぐ母親になるキンペイバイの事へと移って行った。同期の中でいちばんの年下が同期の中でもかなり早く母親になるとあって、関心はかなり高かった。
「後2週間くらいかな。そう言うフェルちゃん先輩も随分お腹大きくなってきたよね」
ニットの上からお腹をさするキンペイバイは隣に座るフェルティローザへと目をやる。彼女の腹もまた大きく膨らみ、その内に命を宿していることがよくわかる姿をしていた。
違いといえば、キンペイバイに比べて明らかに膨らみの大きさが違うという事だろうか。
「双子ちゃんやけんしょんなかよ。ばってんまだ臨月入ったばっかりやけんまだまだ大きゅうなるっちゃんね。1人目ん時は結構妊娠中も楽やったし、スポンって産めたっちゃけど、2人もお腹ん中におると勝手が違いすぎて大変ばい〜お腹は比べ物にならんくらい大きかし、おっぱいも2人分作っとーけん重うてしょんなかよ〜」
フェルティローザは双子を妊娠していた。しかも珍しいウマ娘の双子である。通常、双子のウマ娘はほとんど発生しないか、何かしらの影響で死産になってしまうことがほとんどであり、こうして臨月付近までなんの問題もなく来れるというのはそれ自体が一つの偉業だろう。
そして彼女の言葉通り、彼女のお腹の膨らみ方は単胎のキンペイバイのそれとは明らかに違う。彼女と彼女よりも背の高い旦那の遺伝子を継いでか、彼女の子供は大きく育ちがちなのだが、それは双子であっても同じなようで、普通ならば2000g程度と単胎の平均よりも下になるのだが、彼女のお腹の中の双子は現時点で3000g以上と双子にしてはかなり大きめに育っていた。
そして彼女の豊満な身体的特徴も合わさり、双子を宿した彼女はUカップを突破しWに届きそうな爆乳と既に1人産み落とし、さらに大きく柔らかく肉をつけた安産型の巨尻を備え、子を産み落とすメスとしての一つの完成系とも言える状態に至っていた。 - 165君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/05(火) 17:46:38
「本当は1人目ん時んごと里帰り出産したかったっちゃけどね、こんお腹やと飛行機で福岡行くだけでん大変やし、揺れで産気づいてしまいそうやなって思うて、今回はこっちで産むことにしたっちゃん」
フェルティローザには今年で3歳になる息子がいる。今は保育園に預けているその子を産んだ時には、地元である福岡まで里帰りしての出産であったため、本人としては今回もそのつもりであったのだが、双子という事もあり大事をとって東京にとどまる事にしたようだ。
ちなみに、彼女のご両親は予定日前後の1週間店を閉めてこちらでホテルを取って待機するらしく、孫バカが発動して大変やけんとフェルティローザは困り顔をしつつも笑っていた。 - 166二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 23:36:53
繁殖最強世代の同窓会、絶対いい匂いする
おそらく同じ空気を吸った男性はその晩そろぴょいしないとおさまらないだろう - 167二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 09:51:40
保守
- 168二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 19:34:19
子どもが生まれた後、子どもをあやすキンペイバイ夫婦が見たいです
後、もし可能ならキンペイバイ夫婦の家に遊びに来る後輩ちゃんも見てみたいです(後輩ちゃんが誰かはお任せします) - 169二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 23:33:28
ほしゅ
- 170二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 23:45:22
ラジオでキス音のネタを拾っていただき、感謝
- 171二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 06:54:18
しかしフェルティちゃんの博多弁がネイティブすぎる
でっかわお牝馬すき。競走馬の彼女も人気高かったんだろうな - 172君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/07(木) 10:43:40
「にしてもフェルティに続いてペイバイまで母親になるなんてなぁ。次はリリスあたりだと思っていたんだがなぁ」
キンペイバイの同期達はかなり年齢がバラけている。そもそもがデビュー時点で上は高校3年生、下は中学1年生であり、単純計算でも6年以上の開きがあるのだ。
そんな年齢層の広い同期の中でキンペイバイは1番の年下であり、そんな彼女が同期の中でも2番目に母親になるともなれば、テュランダイナが驚きを含ませるのも納得と言ったところだろう。
「リリスちゃん、今はトレセンでトレーナーやってるんだよね。綺麗だけどおっかない先輩だって───くんが言ってた」
「正しくは"サブトレーナー"だけどな。てか、旦那が他の女にトキメキかけてるのに余裕だなぁおい」
トレセン在籍中、後輩達の指導に尽力していたリリスファタールは現在ではトレセン学園で現役時代に担当だったトレーナーの元でサブトレーナーとして活躍している。
歴代G1優勝ウマ娘の中でも特に珍しいデバフ主体のウマ娘だったということもあって、彼女に指導を乞うウマ娘はまだまだ多くおり、トレーナーとしての経験と実力も急速に鍛えられており、独立までもう秒読みなんて囁かれるほどである。
ちなみに、リリスファタールはキンペイバイの旦那である青年の先輩にあたり、厳しくも優しい先輩として青年とは良い関係を築けているようだ。
「リリスちゃん、イケメンの彼氏さんとも上手くいってるみたいだし、もしかしたら今年中に結婚しちゃうかもね」
「そうしてくれるとあたしとしても有難い限りだよ。あいつ、バカみたいに美人なせいで変な男が擦り寄ってきて一時期ノイローゼになりかけてたからな」
同期で1番の美人だと言われていたリリスファタールであるが、その美貌も時として本人にとっては厄介極まりないものになってしまうようだ。 - 173君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/07(木) 10:44:12
「子供ねぇ…あたしはまだまだ先になっかなぁ」
会話の途中に届いていたピザトーストを頬張りながら、テュランダイナは妊娠中の2人をどこか羨望の眼差しで見つめていた。
こんなにもヤンママ感に溢れ、さも"産んでいる"雰囲気を醸し出すテュランダイナであるが、トレセン学園時代のエアグルーヴやヒシアマゾンがそうであったように、一部のティアラ路線のウマ娘はどうにも産んでないのに経産婦感を出せるようで、彼女は実のところ恋人である元トレーナーと籍を入れてまだ半年くらいの新婚であり、子供に関しても欲しいとは思っているが旦那さんとの予定の都合もあり、中々子宝に恵まれる雰囲気ではないようである。
「まぁまだ24だしなぁ、仕事もあるし、ちゃんとヤってりゃその内デキるだろ」
「それはどうかな」
そんなテュランダイナの考えに待ったをかけたのはなんとコードヘブンであった。
「そう言ってる奴ほど、ズルズルとなぁなぁにし続けて気がつけば35だよ」
その鋭過ぎるナイフじみた物言いにテュランダイナも思わずダメージを受け仰け反ってしまう。丸くなったとはいえ、相変わらず言葉一撃の破壊力が凄まじいウマ娘である。
「そういうオメーは、どーなんだよ!まさかあたしにこれだけ言っといて純情派気取るつもりじゃねぇよなぁ!」
「……(自主規制)は(ピーー)で、大体(見せられないよ!)、本当は(ahaan)(uhuuun)(waoo!)だけどね」
おおよそ公共の電波ではお見せできないレベルの痴態極まる発言にさしものテュランダイナといえど顔を赤らめて、指さしていた右手を下ろすほかなく、あたしはなんて事をと赤くなった顔を両手で覆って小刻みに震えていた。
対して当の本人であるコードヘブンは別段なんとも無さそうな、いつも通りの雰囲気を崩していない。
「ヘブンちゃん、流石に赤裸々過ぎない?」
「そうかな?まぁでも……ちょっとは盛った」
そこで多少、頬を赤らめるコードヘブン。どうやら彼女と元トレーナーのカップルもいい日々を送れているようだ。 - 174君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/07(木) 10:44:48
昼食を食べ終え、食後のドリンクで喉を潤している4人。そんな中、コードヘブンが発した一言は女子会を騒動の渦へと再び叩き落とすものであった。
「ペイバイとフェルティの2人はさ、そういう事シた時、どんな感じにシてたの?」
一斉にむせる3人。無理もない、そのあまりにも直球すぎる物言いに驚かない方がおかしいと言えるだろう。
「お願い、教えて。アタシその…こういうのは本当は自分の母親とかに聞くべきなんだろうけど…だけど……」
その沈黙の後に続く言葉をキンペイバイは痛いほど理解していた。
コードヘブンの母親は彼女が小さな頃に亡くなっている。心の拠り所が母親しかなかった彼女は母の死以降、壊れるような走りを繰り返し母の元へ行く事を目標としていた。クラシック期までの彼女はおおよそ女の子らしさとは無縁の少女だったと言えるだろう。
そんな彼女だが、生きる目的を得、長期離脱の期間中に自分を見つめ直した結果、年頃の少女らしい感性を取り戻していった。
自分の母親のように子供を産んで大切なものを繋げていきたい、コードヘブンは在学時キンペイバイにそう話してくれていた。彼女にとって母になる行為そのものがその目標に立つスタートラインなのだ。だからこそ、そのスタートラインに一度立った事のあるキンペイバイとフェルティローザを頼ったのだろう。
「私は、去年の夏に───くん…夫と泊まりがけで海水浴に行ってその時に水着のままで…」
そんなコードヘブンの思いを知っているキンペイバイだからこそ、躊躇と恥ずかしさはありつつも自身の体験を赤裸々に語る事に踏ん切りをつけるのは早かった。
そんなキンペイバイの女気を見てか、フェルティローザも言葉を濁しつつも、頬を染めて徐々に小さくなっていく声で自分の経験を語る。
「うちゃ旦那が担当ん子んレースで一旦家に戻った時に……かなぁ。あ、えっとそれがお腹ん中ん赤ちゃん達ん時で、1人目ん時は春頃やった……はずばい」
テュランダイナも含め3人が羞恥で撃沈している中、コードヘブンだけは彼女達の話を至極真剣な顔で聞いていた。
それほどまでに彼女の母親になるという事に対しての渇望は深いものなのだろう。 - 175君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/07(木) 10:45:04
「場所と時期は分かった。じゃぁさ、"どういう事"シたとかある?何か特別な事とか、食べ物とか」
まだまだ突っ込んでくるコードヘブンはまさしく現役の時の大逃げが如し。もはやこうなれば並の速度では追いついて止めることさえできないだろう。
一同は顔を見合わせて、なんと答えるべきか、誰が答えるのか押し付け合うように目だけで無言の言葉を交わす。しかし、ついに問答に押し負けたテュランダイナが大きなため息をついて、あーと何を答えるべきか言葉に悩みつつもそれらしい回答を捻り出そうとしていた。
「あたしはまだ母親にはなったことねぇから参考程度な。まぁ、夫婦生活で1番大事なのはマンネリ回避だろ。なにせ毎日顔を突き合わせる関係なんだ、気持ち云々の前に見飽きる事は必ずある。だからその…なんだ、新鮮さが大事だな、うん。あ、そーだ!ペイバイのコスプレなんかいいんじゃないか?」
「えぇ!?いきなり私!?いや、ヘブンちゃんそんなに怖い顔で迫られても困るよ…後で、参考になりそうなサイトとか送るから…ね?」
いきなりテュランダイナに会話のマイクを放り投げ渡され、コードヘブンの顔が眼前まで迫ったキンペイバイは、咄嗟に解決策を出すしかなく、この後も根掘り葉掘りきかれるんだろうなとヘナヘナと椅子に深く腰掛けた。 - 176君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/07(木) 10:45:22
その夜、コードヘブンとの会話で妊娠中は赤ちゃんを気遣って辞めていたコスプレ熱が再燃してしまった。作りかけであった衣装を手直しし、ウェディングドレス風にした衣装を青年の前で着てみせる。
大きなお腹には負担をかけないように張力のある布は極力排除され、お腹の膨らみに沿うようにチェーンアクセサリーが左右を橋渡ししている。何よりもシースルー素材を多用し、ともすればイカれた下着とも取られそうなその衣装姿の妻を見た少年は思わず、腰の炎を燃やす他なかった。
その後2人がどうなったかを書くにはこのレスの余白はあまりに少ない。 - 177二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 20:36:17
ふとした瞬間に湧いて出てくるコドヘちゃんの過去がやっぱりおつらい
でもコドヘちゃんの話題振りでペイバイちゃんの繁殖牝馬としての実績がアップしてるみたいなので何よりです - 178二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 20:36:29
幸せそうで何よりですね
- 179二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 06:42:39
ほしゅ
- 180二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 09:15:00
やってる事はY談なんだけど、辛い過去が絡むからすごく真面目なY談になってて読んでて素直に鼻の下を延ばせないという
- 181君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/08(金) 10:17:42
10月。秋華賞に菊花賞、さらには秋天とウマ娘にとっては大レースが目白押しの忙しすぎる月。勿論それはトレーナーにとってもであり、今日もあちらこちらで行われるレースのため、トレセンのウマ娘とそのトレーナーは全国行脚に勤しんでいるのであった。
そんな忙しい月のある日のこと、キンペイバイの家に客人がやってきていた。
1.ターキーバス
2.グレンリベット
3.トーキョーバニー
4.ビッグドリーミー
dice1d4=3 (3)
- 182君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/08(金) 10:34:52
「先輩の家すっごくおっきいんですねぇ!」
「隣の土地も買って三世代用にリフォームしたからね。」
初めて訪れる先輩の家にキラキラが止まらないトーキョーバニーは、キンペイバイに案内されてリビングのソファに腰掛けていた。
「赤ちゃん、前に見せてもらった時よりも大きくなりましたね」
「もう産まれて5ヶ月だからね。たくさん飲んでおっきくなってくれて、すぐに飲み干しちゃうんだ」
キンペイバイの腕に抱かれて彼女から与えられる母乳を無我夢中で飲み続けている赤子こそ、キンペイバイが壮絶な出産の果てに産み落とした第一子のイリフネである。
小さな母から産まれたが出生時から現在に至るまで、お医者さんに太鼓判を押されるほどの健康優良児であり、こんな小さな体でちゃんと母親ができるのかとキンペイバイの不安を、より小さな体で払拭し続けてくれている強い子でもある。
そんなイリフネはキンペイバイ家族だけではなく、トレセン学園の後輩や先輩方からも大変に好かれており、夫が忘れていったお弁当を届けた時には後輩たちが無言で連写しまくったり、小さな手に掴まれて昇天しかけたりとちょっとした事件となっていた。
また、キンペイバイがお世話になった先輩方もイリフネの様子を見に家を訪れる事もあり、特にタイキシャトルに関しては出産の報を受けて3日と経たずに大量のお土産を抱えて来日し、産まれたばかりのイリフネに一目でメロメロになってしまい、帰りの飛行機の都合で帰らなければならなくなった時には涙をこぼして別れを惜しんだほどである。
また、彼女の持ってきたお土産の中にあったスペースシャトルのぬいぐるみをイリフネがとても気に入り、泣き止まない時はこれを与えるだけで泣き止んでくれるので、キンペイバイはタイキシャトルに心の底から感謝していた。 - 183二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:24:35
更新ありがとう
これでいきていける - 184二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:21:32
健康優良児(メイショウ)イリフネちゃん良いね
- 185二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:57:02
親バカタイキ助かる
- 186君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:26:33
食べることは生きること。これを初めに言い出したのは哲学者だったかはたまた栄養管理士だったか…
それを体現するが如く、自分の血から作られた母乳を無我夢中で吸い続ける我が子を見るたびに愛おしい気持ちが溢れて止まらない。
今でも鮮明に思い出す、この子を産み落としたあの日。そう、それはあの同窓会から約2週間後、予定日まで後数日と迫ったある日のこと。
産気ついたのはキンペイバイは産休中で体が鈍らないようにと家の周りを散歩していた時のことであった。桜の花がほとんど散り落ち、緑豊かな若葉が青々と繁る近くの公園を通り過ぎたちょうどその時、今までに感じたことのない腹部の強烈な収縮感を感じ、思わずその場へと座り込んでしまった。
「これもしかして生まれようとしてる……?」
暴れるお腹をなんとか宥め、額から落ちる汗を拭ったキンペイバイは自身に起こった強烈な痛みが出産の合図であると本能で理解していた。
家に帰る途中、再び陣痛に襲われたがなんとか這々の体で帰宅に成功したキンペイバイは家にいた義母の運転で産院へと向かうのであった。
「うぅ〜腰っ…砕けちゃいそう…」
陣痛が始まってから約8時間。お昼過ぎから始まった産みの試練は日を跨ぎそうな勢いであり、間も無くてっぺんで針の揃う時計を何度も確認しては、お産の経過にヤキモキとした気持ちが募るだけであった。
側には実習を抜け出してきた夫である青年の姿があり、呻き声をあげる妻に対してどうしてあげることもできず、テニスボールを腰に押し当てたり、水を飲ませてあげたりと場当たり的な対応に自身の無力さを噛み締めていた。
「あ゙っ゙!きっ……きだ……ッ……い゙だい゙〜!い゙だいよぉ〜…!!」
陣痛はもうすでに5分間隔まで来ている。だが、彼女の小さな体故にまだ骨盤の開きが浅く、産もうにも産めないという彼女にとって地獄のような状況が続いていた。
レースで全力で走った後の擦り切れるような足の痛みとは全く違う、心臓が直に殴りつけられるような命の危機すら感じるその痛みにキンペイバイは涙を流して耐えていた。それは彼女の母親としての覚悟の表れでもあった。自分が産むことを辞めればこの子は産まれては来れない。自分だけがこの子を産んであげられるのだと、自分の心を奮い立たせ痛みに立ち向かっていた。 - 187君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:28:08
お産が大きく動いたのは日を跨いだ午前3時過ぎのことであった。
子宮口の開きが最大に達したキンペイバイは分娩室へと運ばれ、分娩台に足を開いたポーズでもたれかかっていた。自身の大きすぎる乳房とお腹で胎児の様子を見ることは叶わないが、先生曰く順調に進んでいるということで一先ずは心の安寧を取り戻していた。
そんな時である。突然に「パシャッ!」という破裂音と共に、キンペイバイの股あたりが汗とも違う液体で濡れていた。
破水したのだ。
これでようやくお産が進むと安心したキンペイバイだがその瞬間、それまでとは比べ物にならない痛みと衝撃が彼女を襲う。破水とはつまり産まれるという直接の合図なわけだが、それは同時に子宮の収縮だけではなく胎児が産道を通る痛みも同時に伴うという事でもある。
自身の体が内側から裂けてしまうような感覚に陥ったキンペイバイは分娩台の持ち手を在らん限りの力で掴み支離滅裂に呼吸を繰り返す。
息を整えなければと頭では分かっているのだが、体は言うことを聞いてはくれず思考は徐々に痛みと恐怖に支配されようとしていた。
「キーちゃん、お母さんの方、向ける?」
パニック状態に突然に聞こえた聞き慣れた声に振り向けばそこには娘の手に自分の手を重ね優しい微笑みを浮かべる母の姿があった。
「お母……さん……」
「よし、ちゃんとこっち向けて偉いね。それじゃぁ次はお母さんに合わせて一緒に呼吸しようか。はい、ひ、ひ、ふー」
「ひっ…ひっ…ふぅぅ゙ぅ゙ぅ゙あ゙ぁ゙!」
母の声でなんとか冷静さを取り戻したキンペイバイであったが、それはそれとして極度の痛みは継続中であり、すでに1分間隔となったこの痛みが果たしていつまで続くのか考えたくもなかった。
それでも側に寄り添ってくれる母の安心感に優るものではなく、母親としての大先輩の助けもあり、それ以降キンペイバイがパニックに陥ることは無かった。
ふと、陣痛のわずかな休息時間に胸がなんだか張っている感覚がし触ってみれば、乳房の先端がぐしゃりと濡れている。体はもう一刻も早く子を産み落とし、母としての役割をこなしたくてたまらないらしい。
「大丈…夫だからね。ママは何があっても負けないから。無事にあなたを産んでみせるから…だからあなたももう少しだけ、あと少しだけ頑張って…!」 - 188君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:29:17
もう間も無く10月10日の間を過ごした場所を旅立ち、新たな世界への一歩を踏み出そうとしている我が子に最後にお腹越しに触れ合う。手のひらに胎動が返ってくることはないが微細な振動がお腹の子の進行を教えてくれる。
出産で命懸けなのは産まれてこようとする胎児もまた同じである。だから人は出産が無事に終わる事を奇跡と呼ぶことがある。
夫婦の元に新たな命が宿ることが奇跡であるのなら、産まれ落ちることもまた奇跡。我々はさまざまな奇跡の積み重ねの上に立っているのだ。
「あ゙ぁ゙…でるっ……赤ちゃんでてくる゙…!」
破水から約1時間後、排臨に至ったキンペイバイのお産はラストスパートを迎えていた。
彼女の産道は少しずつだが赤子の体を通していき、膣口からは赤子の頭がらだいぶ見えるようになりウマ娘特有の可愛らしい頭頂部の耳も確認できるようになっていた。
今まさに赤子を産み落とそうとする彼女の傍には青年と母がおり、声をかけてキンペイバイの疲労をなんとか取り除き最後までしっかりと気を保てるように支え続けていた。
分娩室の外、間も無く昇り始める朝日に急かされて薄紫色に色づいた空の光が窓から差し込む廊下では義母と義祖父母がその瞬間を今か今かと待ち侘びていた。
「最後にもう一度だけいきみましょうね、頭が全部出たら今度はいきまなくていいからね」
産科医の言葉に首を振って頷いたキンペイバイは母としての最後の務めを果たすために大きく息を吸い込む。分娩台の持ち手を握る手に夫の手が重ねられている。その温もりがキンペイバイに最後の力を与えてくれる。
そして訪れる、極大の陣痛。少しずつだが額まで出かかっていた胎児の頭のそれ以降がキンペイバイの体の外へと現れてくる。
そして…… - 189君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:29:35
「びっ゙……びっ…ぶぅ゙ん゙ッ……ゔぅ゙ぅ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!あっ…ゔぅ゙ぅ゙ぅ゙….」
ブルンっ!と音がしそうなほどの衝撃と共に赤子の頭が首のところまで完全に露出した。
とはいえキンペイバイももう限界が近い。ここからは脱力が最優先となるわけだが、それにだって多少なり体力を使うのだ。この体力で最後まで赤子の体を出し切れるのか、キンペイバイに一抹の不安がよぎる。
「ふぁ…ふにゃぁ…」
だがそんな不安は自分の股ぐらから聞こえてきた、この場の誰のものでもない小さな小さな声によって一瞬で消し飛んでしまった。
「(赤ちゃんが泣いている。私の赤ちゃんが産まれたいって一生懸命に泣いてる。私が産んであげなくちゃ…ダメなんだ!)」
虚だったキンペイバイの瞳に再び炎が宿る。
地平線の向こう、海岸線沿いに朝日が顔を出し始めたちょうどその時のことであった。
「おんぎゃー!おんぎゃー!」
その産声が聞こえた瞬間、その場にいた全員が喜びと感動に打ち震えていた。
4月ももうすぐ終わり、緑豊かな季節へと移り変わるそんな日。昇る朝日に祝福されるように産まれてきた赤子は小さな母親の腕に抱かれ、多くの人に囲まれてすやすやと眠っていた。 - 190君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:30:07
「ほんとあの時はもしかしたら死んじゃうんじゃないかって思ったなぁ。お医者さんからは"この小さな体で無事に産めただけで凄いこと"だって太鼓判押されちゃったんだけどね」
母になるというのは自分が思ってる以上に大変なことであったと今なら分かる。某所ではヒダリミミの呪いなんて言われてる「フケ」のせいで子供を作ること自体に抵抗はなかったが、それでも妊娠期間中は行動が制限されるし、お腹を気にしてなかなか心が休まる事も少ない。
ウマ娘という特性で普通の四足獣のように妊娠中にある程度動いたり走ったりしても大丈夫なのだが、それでも妊娠後期に入るとジョギングすら少し怖かった思い出がある。
「お母さんって凄いですね!」
「本当にね。自分がお母さんになって初めてその凄さが真にわかった気がするよ」
キンペイバイの視線は後方左斜めの天井の先へと送られる。そこは母の仕事場兼自室のある場所であった。
自分が母になり、出産にしろ育児にしろこれを全て1人で、しかも仕事と同時並行でやっていたのかと思うと母の偉大さには今後とも頭が上がりそうもなかった。
ちなみに、キンペイバイの母親は皆さんお察しの通り、キンペイバイを産んだ時、初産にも関わらず超安産かつ超ハイスピードにお産が進み並の経産婦よりも早く出産してしまった超安産の人だというのは書く必要性もあるまい。 - 191君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:30:50
「先輩、先輩、イリフネちゃん触ってもいいですか?」
「いいよ、でももうすぐ寝ちゃうと思うから優しくね」
ミルクを飲んで微睡の中に落ちそうになっているイリフネにトーキョーバニーの指が触れる。もちもちで柔らかい、この世のどんなものよりも温かいその感触にトーキョーバニーの脳に閃光のようなものが走った。
指は頬を伝い、肩から腕にそして手のひらへと。反射的にバニーの指を掴んだイリフネの指のなんと小さく愛らしいことか。
この小さくて柔らかくて温かい愛おしい生命体にトレセン生徒がこぞって魅了されるのもさもありなんである。
「ふふっ…可愛いねぇ。お姉ちゃんはねトーキョーバニーって言うんだ。あなたのお母さんの後輩だよー」
そうしてトーキョーバニーがイリフネに指をにぎにぎされていると、玄関の扉が開く音が聞こえた。
「ただいまー…って、お客さん来てたのか。久しぶりバニーさん」
「お久しぶりです。お邪魔しています」
返ってきたのは青年であった。
「お帰り、今日は早かったね」
「明日は菊花賞だからね。レースに備えて早めに解散になったんだよ。ちょうど今日は師匠にも捕まらなかったしね」
「あーだからか。この前じじトレさんが『最近、少年と遊べなくて儂悲しい』って言ってたよ?もぉー逃げないであげてよ」
「だって、捕まると話長いんだよー」 - 192君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 08:31:18
和気藹々と話す様子から2人が仲のいい夫婦である事がよく分かる。数年前、キンペイバイが卒業してからわずか3ヶ月ほどの6月に開かれた結婚式に呼ばれたことはまだ記憶に新しい。
「イリフネちゃんただいまー。パパだよー」
「さっき母乳飲ませたから今はもうねむねむだもんねー?パパがうるさいと起きちゃいましゅよねー」
「えぇ!?ちょっと酷いって!愛娘にただいまくらい言わせてよ!」
「冗談だよ。ほら、イリフネちゃんパパ帰ってきたよ」
トーキョーバニーが驚いたのはキンペイバイが少年を揶揄うような言動を見せている事である。彼女の記憶の中の2人はいつでも手を繋いでラブラブ❤️って感じだったため、今のような軽口を言い合うフランクな関係もあるのは少しばかり意外であった。
「やっぱりイリフネちゃんが世界で1番可愛いなぁ」
「あれ?前までは私のこと"世界一可愛い"って言ってくれてなかった?アレ嘘だったの?」
「そりゃ、今のキーちゃんは"銀河一"だからね」
「もう、スケールいきなり大きすぎだよ。でも、嬉しい。私も銀河一愛してるよ❤️」
もう少しだけこの幸せな空間にいよう。そして、後日この事をみんなに話してドヤ顔で自慢してやろう。そう心に誓うトーキョーバニーであった。 - 193君は繁殖牝馬になれるちゃん24/11/09(土) 15:27:56
- 194二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 16:29:30
次スレ乙
トーキョーバニーちゃんはこの経験があったからこそ、ペイバイちゃんに次ぐ繁殖牝馬っぷりを発揮できたんだよね…… - 195二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 20:02:01
このバカップルがよぉ…末長く幸せに産駒たくさん作るんだぞ…
- 196二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 20:33:14
〘 名詞 〙 ( 「いりぶね」とも )
① 船が港にはいってくること。また、その船。⇔出船。
[初出の実例]「照る月にみをのしるしのあらはれてやすらひもせぬわたのいり舟〈源師光〉」(出典:夫木和歌抄(1310頃)一三)
② 郭(くるわ)などに遊興に行くこと。
[初出の実例]「此風ていは、入り舟の有そうな晩でござります」(出典:洒落本・初葉南志
②…あっそういう… - 197二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 21:23:57
- 198二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:15:25
なんなら歌詞のサビが「スケベスケベ」な曲が由来の娘もおるからな…
- 199二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:25:54
結論:ペイバイちゃんの子孫もえっち
- 200二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 07:11:35
ワイ半年前にペイバイちゃんの名付け親になったあにまん民
正直に言うと由来は大人のお風呂屋