- 1二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 20:45:34
雨が大粒で冷たくはなかったから、夏の事だったと思う。
その日の反省を終えてトレーナー室を出た頃から、空には重たげな灰色の雲が立ち込めていた。昇降口の蛍光灯は、薄暗闇に気圧されたような弱々しさで点滅している。
校門を出る頃になって、アタシの鼻を水滴が打った。
鞄から折りたたみ傘を取り出して広げるやいなや、どっと夕立が降った。
歩きながらポリエステルを叩く雨粒の音に耳を向けていると、後ろからの忙しい足音を拾った。
トレーナーが立っていた。傘もさしていないので、色が変わるほどスーツが濡れ、前髪が額に貼り付いていた。
そして、振り返ったアタシを見て、開口一番に。
「傘、持ってたんだ……、よかった」
眉を下げながら笑うトレーナーの真っ直ぐな鼻を、雨粒が滑り落ちた。
初めて男を美しいと思った。 - 2二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 20:47:17
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- 3二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:04:29
それだけインパクト受けたと言うか特別な瞬間だったんじゃないか
- 4二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:06:25
少し落ち着いた感じの美しい風景切り取った少女漫画みたいなトレベルは五臓六腑に染み渡る……
- 5二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:06:37
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- 6二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:10:58
一瞬にフォーカスした描写がよかった
タイトルも好き - 7二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 21:29:25
ほうスパダリトレーナーですか
- 8二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 22:59:11
詩のような美しさが好き