- 13.5周年からの新任24/10/27(日) 20:48:27
- 23.5周年からの新任24/10/27(日) 20:50:10
- 33.5周年からの新任24/10/27(日) 20:50:52
10まで
- 43.5周年からの新任24/10/27(日) 20:51:11
6
- 53.5周年からの新任24/10/27(日) 20:51:22
5
- 63.5周年からの新任24/10/27(日) 20:51:33
4
- 73.5周年からの新任24/10/27(日) 20:51:47
3
- 83.5周年からの新任24/10/27(日) 20:52:00
2
- 9二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 20:52:01
2
- 103.5周年からの新任24/10/27(日) 20:52:23
1
- 113.5周年からの新任24/10/27(日) 20:53:59
「パヒャヒャッ、環境設定はこっちの自由だからね!あースッキリ!」
「快勝ー!」
「腹立つわね……っ!」
「本来の想定した対策もアレだったということでしょうか?」
「んー?まあそうなんじゃない?とりあえずアレだけ用意したら勝てるって分かったし、もう一人増えたって楽勝でしょ」
「よゆーよゆー」
「うへぇ、適当だねぇ……」
勝ち誇る二人を恨めしそうに見つめるセリカ、苦笑いのアヤネ、普段通りのノノミ、そこにサイクリングからシロコ達が帰ってくる。
「ん」
「ん」
「……ん」
この世界のシロコだけ不機嫌そうな表情を浮かべていた。
「私が一位」
「ん、私が二位」
「……ん」
「よわシロコが最下位」
「ん!」
サイクリングで負けたシロコテラーは、勝ち誇ってきたこちらのシロコに模擬戦闘でリベンジをしたらしい。順位報告で更にシロコは不機嫌の色が強くなっていた。 - 12二次元好きの匿名さん24/10/27(日) 22:33:46
保守
- 13二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 06:08:58
保守
- 143.5周年からの新任24/10/28(月) 16:05:53
三人の頭を順番に撫でると機嫌が良くなったのかそこでヒカリとノゾミに気付いた。
「ん、どうしてあなた達がここに?」
「あ、やっと気付いたんだ?」
「視界不良ー」
「……喧嘩を売ってるなら買うよ」
「ど、どうどう!私もコイツらに怒ってるけどここで暴れないで、シロコ先輩!」
「……ん」
セリカになだめられたシロコは銃口を降ろした。
「ていうかさ、シロコだっけ?アンタって増えるの?なんか前に二人いたのは知ってたけどまた増えてるじゃん?」
「プラナリアー、切ったら増えるー、再生力ー」
「ん、そんな意味不明な力なんて持ってない」
「コスシロコ先輩、紹介しますね、こちらの二人は──」
「ん、知ってるよ、ハイランダー学園の橘ヒカリとノゾミ」
「え……っと、ご存知だったんですね!」
ハイランダー学園の生徒達について詳しく知ったのは、列車砲シェマタの件の後だ、その二人を知っているという事はコスシロコが既にあの事件を迎えている事になる、にも関わらずコスシロコはその記憶が無い。 - 15二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 23:26:55
保守
- 16二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 08:45:26
保守
- 17二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 15:00:52
保守
- 18二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 23:57:17
保
- 193.5周年からの新任24/10/30(水) 00:39:43
色彩による反転、不思議な体の状態、存在しないシェマタ事件の記憶、しかし橘姉妹の事は覚えている、少しずつ揃っていく不安のピースを他所に二人は続ける。
「パヒャヒャッ、喧嘩を売りたいなら買ってあげる、コレでね」
「いざ尋常にー」
「ん、コレは?」
事の経緯を説明され、それならばやる事は一つとシロコ達が立ち上がり、勝負を挑むと二つ返事でノゾミは了承した。
先程とは違いメンバーは、こちらの世界のシロコ、コスシロコ、セリカ、アヤネの四人、ノノミは一戦目で満足、あちらの世界のシロコは「勝てる相手にわざわざ挑む必要もない」とのことだった、二人は煽っていたがどこ吹く風な様子を見て「面白くない」と諦めた。
そうして再現されるあの時の戦場、揺れる貨物列車、機銃を取り付けた先頭車両、ポーズを決めて先へ進む二人、現れる圧倒的な数のハイランダー学園の生徒達、先生が指揮を取り戦闘が始まる。
ノノミが抜けたことで広範囲への攻撃手段を無くしているため迅速かつ適切な処理が求められる状況でも先生の指示は問題無く行われる、一戦目と違い増員を知っているのも有り最適化されていた。
しかし、それを加味しても順調過ぎた。増えた人員をものともせず、それどころかあの時よりも早くハイランダーの生徒達を無力化していく、その要因はコスシロコだった。 - 20二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 09:52:31
念の為保守
- 213.5周年からの新任24/10/30(水) 15:03:20
明らかに今までの生徒と比較してシロコのソレは一線を画していた、弾丸を直に受けてもものともせず、そもそも避ける意識に切り替えると銃口で捉えることすらままならず、なぎ払うような闇雲な射撃でやっと一二発が身を掠める寸でまで、やはり命中には至らない。
あっという間に橘姉妹の駆る機関銃前まで辿り着く、二人は少し引き攣った表情をしながらも恒例の複線ドリフトを仕掛け、シロコ達の車両に位置取る。
瞬間鉄と鉄がぶつかり轟音が響く、皆が衝撃に怯み思わず目を瞑る、襲い来るはずの機関銃の猛攻に備えるため直ぐさま目を開くと、飛び込んできた光景は意外なモノだった。
「ちょ!そんなのアリ!?」
「や、やめろー!」
そこには操縦席に足を着き銃口を構えているコスシロコの姿が有った、予想だにしない状況に狼狽える橘姉妹、必死に降りろだ、離れろだの喚いているが構わずコスシロコは引き金に力を込める、近接の装備を用意していなかったのもあり勝敗は一瞬だった。 - 22二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 22:34:34
保守
- 23二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 23:29:52
ほ
- 24二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 08:20:09
決着がつくか
- 253.5周年からの新任24/10/31(木) 15:29:43
「いったいどういう訳!?ぶつかる瞬間に飛び乗ってくるとかさぁ!常識!常識とかないの!?」
「非常識ー野蛮人ー!」
「アンタの操縦の方が余っ程野蛮でしょ……」
「シロコちゃんカッコよかったですね〜☆」
「うへぇ、さながら漫画の主人公みたいな大立ち回りだったねぇ」
「ん、再戦しよう、私もアレやりたい」
「よわシロコには無理だよ」
「ん!」
”危ない事はダメだよシロコ”
”命に関わる指示は出せないかな”
模擬戦闘が終わり駅で外の様子が表示できるモニターも交えて感想と反省をしている、シロコはコスシロコの動きをやりたいと興奮している、しかしいくら再現といえど痛みも感じる状況で危険な事はさせられない。
「……分かった、私だけの体じゃないもんね」
”誤解を産む言い方は良くないね!?”
「うへぇ、先生、認知はちゃんとしてあげるんだよ?」
”ホシノも悪ノリしないでね……?”
二人のボケにタジタジになる先生、橘姉妹にニヤニヤと見つめられて更に慌てる様子を皆に楽しまれてしまった。 - 26二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 22:47:57
保守
- 27二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:48:56
保
- 28二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 09:58:30
保
- 293.5周年からの新任24/11/01(金) 14:55:35
”そ、そろそろ外に戻ろうか!”
話の流れを変えるために再現の終了を切り出す、皆反対もなく終了に向けて操作を始める──
[エラー操作を完了できません]
”っえ”
間の抜けた声が出た、皆も困惑して固まっている、操作を間違えたのかもとノゾミにお願いするも同様にエラーを吐き出される。
突如空が暗くなり周囲が見えなくなる程の砂嵐に見舞われる、押し寄せる突風で体も自由が効かなくなる。
「な、なんなのよ!?これ!!」
「私達も知らないし!」
「風がー!強すぎー!助けて!」
「先生、私に捕まってて!」
”シ、シロコ……”
手を伸ばそうとするも更に勢いを増した突風で体が浮き上がる、それは他の皆も同じで、シロコ達だけが砂嵐に耐えている光景を最後に意識は現実に戻された。
直ぐに周囲を確認する。心配そうにこちらを見つめるあっちの世界のシロコ、ホシノ、ノノミの3人。
私と同様に周囲を確認する再現世界に居た皆、シロコとコスシロコだけが未だに意識をこちらに戻せず横になっている。 - 30二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 00:12:27
保守
- 31二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 08:20:44
意識が戻ってないのか
かなりまずいことになってるな - 323.5周年からの新任24/11/02(土) 15:06:32
”アロナ!”
”プラナ!”
「はい、先生!状況は確認しました!『潜寿郎Mk-Ⅲ』へのアクセスと意識のサルベージを行います!」
「解析、現在該当機は本来のロジックから外れていると予測されます、プログラムのコードではない何かが何かのまま仮想世界を構築しています」
素早い対応と確認を二人がしてくれる、これなら救助も問題なく行われるはずだと──
「謝罪……私達にはお二人の救助を行えません」
「ごめんなさい先生……何故か私達は今の彼女達をこちらに引き戻すべきでは無い、と判断してしまいました……」
引き戻すべきではない、それはこちらに戻す方が問題になると判断したという事になる、その理由を尋ねるが。
「理由が……分からないんです、何故かそうしないと駄目だと、まるでお願いされた様な、そんな気がしてしまって……」
「同意、私も同じ感覚を覚えました、懐かしい様な暖かいような、そんな想いでした」
”分かった、後は私に任せてね”
そうは言ったものの解決の糸口は見当たらない、一度ミレニアムに連絡を取るべきか、思考を巡らし始めた所で遮られる。 - 33二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 22:50:09
保守
- 34二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 23:29:49
保守
- 35二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 08:04:23
保守
- 363.5周年からの新任24/11/03(日) 14:54:54
「クックックッ、お困りの様ですね皆々様?」
「黒服!お前いつからっ!」
「ゲマトリア……ッ!」
「ホシノさん、それに死の神もそう怖い顔をなさらず。私は助け舟を出しに来たのですから、他ならぬ先生に、ですがね?」
”貴方ならこの状況をどうにかできるんだね?”
「ええ、確約致します。私と先生の目的はこの状況の解決にあります、得られる結果には満足頂けるでしょう」
「先生!何か裏が有るに違いないよ」
”そうだね、黒服はいつもそうだから”
”でもそれと同じく彼は契約は守る”
「クックックッ、その通りです、流石は聡明な先生ですね。では契約内容の確認といきましょうか」
契約内容を確認し終えて、解決策を
話し始める。
黒服が言うにはコスシロコの体は混沌空間に酷似した領域によって構築されている、そこに『潜寿郎Mk-Ⅲ』からアクセスしたために混沌により逆にシステムを呑み込まれた事が原因だと。
その上で解決するには再度接続し、混沌領域がこちらに来た原因を解消する必要が有る事、そしてその原因は黒服にもまだ分からない事だった。
なぜ理由は分かるのに原因は分からないのか、それはこの情報を渡してきた相手との契約だからと答えられ、それ以上は知り得なかった。 - 37二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:32:32
保守
- 38二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 08:44:44
保守
- 39二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 17:52:49
「では先生、私があちらへご案内しましょう。お手をどうぞ」
そう言いわざとらしい仕草で手を出す黒服、その手を取ろうとするがホシノが遮る。
「黒服、お前は信用できない。私も連れて行ってもらうよ」
「クックックッ、貴方ならそう言うと思いましたよ、ホシノさん。しかし私としても心苦しいのですが、私が案内できるのは先生お一人だけなのです」
「一人も二人も変わらないでしょ?お得意の『契約』しようよ」
含みのある言い回しをするホシノ。私の為とはいえ軽はずみな行動を許す訳にはいかないと声を発する前に黒服が口を開く。
「あなた達生徒の神秘はそれだけ強大なのです。先生の矛にも盾にもなるソレは私の身には耐えられない物ですから」
「ん、嘘じゃ無さそうだね」
「ええ、死の神にでも誓いましょうか?」
「誓われたって何も返さないから良い」
「ククッ、残念ですフラれてしまいましたね」
黒服は肩を竦ませまたわざとらしい仕草を見せた。 - 40二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 22:01:12
保守
- 41二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 23:31:35
保守
- 42二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 08:30:28
黒服との契約か...
- 433.5周年からの新任24/11/05(火) 15:03:46
「では気を取り直して、始めましょうか、先生?」
”後は任せてね、みんな”
不安そうにこちらを見る皆を安心させる為に穏やかに笑いかける。効果の程は定かでは無いがこれが私にできる精一杯だろう、後は結果で示すのが大人としての責任だ。
そして今度こそ手を取る、黒服は『潜寿郎Mk-Ⅲ』に触れて操作を始めると再び私の意識は冷たい機械へと吸い込まれて行く。
「さて、まずは第一段階です」
”ここは?”
”何も見えないね”
気がつくと何も見えない真っ暗な空間に黒服と二人で立っていた。不思議な事に真っ暗なのにもかかわらず姿は認識できた。
「ええ、ここはまだ通路の前に立っている様な状況です。……今接続されている世界はミメシスの源に酷似している。しかし我々が扱うミメシスのそれとは違う……?本来の世界とは差異が生じ揺らいでいる、そこに有る神秘とは……ククッ、まるで水面の月ですね」
ブツブツと早口に続けた黒服は最後の一言を話す前に私の事を思い出したらしく、要領を得ない要約を伝えてきたせいで首を傾げる。 - 44二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 23:18:44
保守
- 45二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 08:24:52
どうなるか
- 463.5周年からの新任24/11/06(水) 15:05:26
「原因を探るにあたって先生にはご助力頂けますと」
”もちろん”
”何をしたら良い?”
「先生の記憶を少しお借りします。ああ、誤解の無きようお伝えしましょう。記憶を失ったり改変されたり等は有りませんと約束致しましょう。大切なのは記憶によってこの世界と私達の世界の『差異』を知る事です」
”分かった、どうしたら良いのかな”
「そうですね、まずは虚妄のサンクトゥムでの戦いから始めましょう、難しい事はありません、ただ思い返して頂ければ良いだけです。この機械は記憶の読み取り機能がある様です、恐らくは再現を補強するための機能でしょう」
黒服の言葉の通り虚妄のサンクトゥムでの出来事を思い返す。
突如現れた謎のエネルギー
ヴァルキューレに扮した襲撃者
カンナ達による救出劇
現れるサンクトゥムタワーとキヴォトスを混乱に陥れた数々の存在
行方不明のシロコ
アトラ・ハシースの多次元解釈
ウトナピシュピテムの本船
勇者と従者の光輝
捻れた先の”結末”
”結末”から託された存在──
記憶にザラつきを感じる、感覚で分かる、これがきっと『差異 』なのだと。 - 47二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 22:42:10
保守
- 48二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 00:10:43
保守
- 49二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 11:46:08
☆
- 50二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 11:46:10
ほ
- 513.5周年からの新任24/11/07(木) 19:00:02
”見つけた”
「どうやらその様ですね、ではまずはそこから見てみましょう」
黒服が手をかざすと空中にスクリーンが浮かび上がり、覚えの無いシーンが映し出される。私がプレナパテスから託されたシロコが映し出されている、私は産まれたままの姿だ……。
「おや?クックックッ……これはこれは随分と立派なお姿ですね?」
”この時は仕方がなくて……”
「まあ命があっただけ儲け物と言ったところでしょうね、さて話はそこそこに向こうへ集中しましょうか」
黒服にうなずき私もスクリーンへ意識を向ける。
「”これは彼が持ってた最期の物だよ”」
「”君にとっては形見だろうから”」
「ん。良いのかな……私なんかが持ってて」
「”きっと悪い気はしないんじゃないかな”」
「”だからシロコが持ってて良いんだよ”」
そんなワンシーンだった、これが私達の世界との『差異』だろう。 - 52二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 23:23:59
保守
- 53二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 08:56:52
どうなるか
- 54二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 11:33:03
ここ最近朝方にコメント兼保守して下さる方ありがとうございます。
夜はなんとか保守のため自前で書き込んでるのですが、朝が対応できないのでとても助かってます。 - 553.5周年からの新任24/11/08(金) 15:01:56
”これが原因なの?”
”そんなに大きな理由ではなさそうだけど”
「ええ、これは原因の一つに過ぎないでしょう。私の方も感覚は掴めましたので、同じ揺らぎの波形を探します。先生も同じ要領でお願いします」
記憶を辿り集めていく、私は自身の記憶から、黒服は掴んだヒントから、そうして集められた数々の差異がこれだ。 - 563.5周年からの新任24/11/08(金) 15:02:27
差異その二
「私が答えを教えてやろう。あの者に勝利するためには……」
「邪魔をするなァアッ!!クズがッッ!!!!」
「「死」を知らない貴様ごときがア!ええッッ!?」
「小生の苦しみ、孤独を……恐怖を、理解できるのかア!!?」
「匿名の行人のクセに出しゃばるァッ!!これは小生のキャンペーン!!」
「苦行を通じて、小生が、どんな気づきを得られるかがッ、それが重要なんだよォ!!」
「それを貴様がッ、邪魔をするんじゃねえッッ!!!!!」
「小生のキャンペーンに、割り込むなァ──!!!」
「ハァ……ハァ……落ち着くのだ……落ち着かねば……これから何をすべきか……き、決めなくては……」
「……?こ、これは?列車砲シェマタ、死の神、セトの顕現、もう1つシッテムのOS?この観測は……」
「ヒヒッ、ヒ……そうですか、小生は既に敗北している、これは影法師の様な物なのでしょう。アア、そう……。ならばこのキャンペーンでの小生の求道は……ヒヒッヒヒヒヒッ……」
地下生活者が次々に口にしたそれ等はあの事件で実際にあった、私達が青春を守りきった数々の要素。何故かそれ等を彼が私達との闘いの前に知り得ている。
「死の神の突発的な乱入が小生の障害足り得るのならば!それを含めた対策をしてしまえば良いというものッ!」
「そのためのカードは既に揃っています、ヒヒッヒヒヒッ……」 - 57二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 22:42:08
保守
- 58二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:10:22
保守
- 59二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 11:22:57
保守
- 603.5周年からの新任24/11/09(土) 14:55:31
差異その三
次のシーンはシャーレの中だった。
「混乱、この異常は初めて見る現象で──」
プラナが言い切るより早く突如響き渡る轟音、硝煙に包まれ辺りは火の海となり、その中に倒れ伏し辛うじて呻いてる私がいた。本来ならば間一髪でプラナ達に守って貰えたがこの世界でそうはいかなかったらしい。恐らくは地下生活者が知り得た情報が原因だ。
「……攻略法、その2。奇跡の担い手とはいえ、肉体には物理的な限界がある。それが先生……あなたの弱点でしょう?ヒヒッヒ……ヒヒヒッ、
ヒヒヒヒヒッ!イヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!」 - 61二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:33:57
保守
- 62二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 23:22:01
このレスは削除されています
- 63二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 09:28:49
地下生活者め...
- 643.5周年からの新任24/11/10(日) 14:56:58
差異その四
「というか、お茶くらい出してくれたって良いじゃん?」
「お菓子食べたーい」
「な、何だこいつら……」
列車上で行われたカイザー社との戦いでは辛くも勝利を収めていた、しかし私の指揮無しであったために消耗は少なくない、それでも橘姉妹の複線ドリフトは多大な功績を残していた。
差異その五
ここからは私達の世界と大きくかけ離れていた。
「いやはや、観測が無ければ小生の負けでした、最高の神秘に迫るとは……本来これ程の力は無かったはずですが、まあ良いでしょう」
私の指揮が無いにも関わらずシロコは一人でホシノに肉薄していた、どういう理屈なのかは地下生活者にも分からなかった様だ。
「ふむ……死の神の神秘、そこにも揺らぎが生じていると推察されますね」
黒服がまたブツブツと呟いている、答えは得られそうにないのが残念だ。 - 65二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 23:18:48
保守
- 66二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 08:52:59
保守
- 673.5周年からの新任24/11/11(月) 15:26:12
差異その六
私が遅れて目を覚ました、死に至らずとも意識が回復するまで時間がかかった。 しかしその程度で済んだのはプラナが遅れながらも守ろうしてくれたからだ。
地下生活者の存在を観測し、キヴォトス最高の神秘を利用しようとしている旨を伝えられる。
私を守り切れなかった分プラナの負ったダメージは少なかった。
そのお陰で地下生活者から情報を抜き取り現状を把握する事に成功、反撃のために対策委員会への連絡行い、力を借りたい生徒に連絡を取る。 - 683.5周年からの新任24/11/11(月) 15:28:15
「”助けて欲しいんだ”」
「分かったわ」
「”ありがとう、状況なんだけど……”」
「大丈夫よ、全部知っているから」
……あぁ。
───やっぱり。
ユメ先輩を殺したのは───
───私だ。
私のせいだ。
私が殺したんだ。
私が、私が……私が。 - 693.5周年からの新任24/11/11(月) 15:29:02
私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。私が。
私が。
殺したんだ。
……この苦しみは、誰にも分かるはずがない。
何も知らないくせに。
「ウオオオオオオオオ───!」
「ついに、ついにやったぞ!」
「これこそが、古則の答え!」 - 70二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 23:04:41
保守
- 71二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 10:55:36
保守
- 723.5周年からの新任24/11/12(火) 15:02:05
差異その七
ここでの差異が最も情報量が多かった。
辺り一帯を禍々しい色に染める閃光、異様な光景に列車砲を追いながら目を奪われる。
中でもシロコはその異様さを本能から危険を強く感じ取っていた。
「ん。アレは本当にダメ。私……行かなきゃ」
「えっと、その、私もただ事では無いのは分かります。けれどまずは列車砲シェマタとスオウさんを止めるのが優先事項だと思います!」
「そ、そうよシロコ先輩!先生も目が覚めてこっちに来てくれるって、それにシェマタで合流するって言ってたじゃない!」
「分かってる、でもアレは……!」
そう、直に先生は合流する。それを加味しても尚今行かねば取り返しがつかなくなる、そう本能は警鐘を鳴らし続ける。 - 73二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 22:58:05
保守
- 74二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 23:32:24
保守
- 75二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 09:43:50
保守
- 76二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 20:24:04
初めて来た読んでみよう
- 77二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 23:27:49
保守
- 78二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 23:51:08
いらっしゃいませ、楽しんでいただけると幸いです。
- 79二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 09:44:20
保守
- 803.5周年からの新任24/11/14(木) 18:24:13
付き合いの長さか、はたまた本人の観察眼か、ノノミはそのシロコの焦りに気付いていた。
「……シロコちゃん、私達と先生でスオウさんは止めます!」
「ノノミ先輩!?」
「きっとシロコちゃんは止めても行きますよね?なら私達は争うべきじゃないですよ♪」
「ん。ありがとう。ノノミ、行ってくる」
橘姉妹にお願いして速度を落としてもらう、飛び降りられるギリギリになった瞬間強く床を蹴り宙へと舞う。
脚先に全神経を集中し着地に全力を注ぐ、思ったよりも体は軽く、そして見事なまでに簡単に衝撃を受け流しきり走り出す。自分でも驚く程に上手くいった。
禍々しい閃光の元に辿り着くとゲヘナの風紀委員長、空崎ヒナが倒れている。その先には変わり果てた、それでも彼女を良く知る人達なら分かる、アレはホシノ先輩だ。 - 81二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 23:26:38
保守
- 82二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 08:30:26
テラーか…
- 833.5周年からの新任24/11/15(金) 14:59:01
「ホシノ先輩……ッ!」
「……」
「ホシノ先輩ッ!」
「……」
大きく掲げたと思えば背面へと乱暴に振り回される銃口、そして次は私を切り付けるかのように振り抜かんとしている。その光景は一瞬の様にも水を掻き分ける様にも感じられる。違うそうじゃない、見ていないで逃げないと。
渾身の力を込めて地面を蹴り出す、数瞬遅れて放たれる暴力的な、閃光にも紛う程の銃撃。
「ハッ……ハッ……」
きっと何度も耐えられる物では無い、掠めた脇腹の痛みからそう確信する。それに風紀委員長を安全地帯に連れて行かないと不味い。
「……ん、ぱい」
「ゆめ……せん、ぱい」
あんな姿のホシノ先輩と相対すれば命が幾つ有っても足りないし、私の目的は先輩を倒す事ではない。
「手帳……手帳はどこに……」
視線を彷徨わせたその先に捉えられたのは風紀委員長、体も起こせず倒れたままのその身にあの銃撃が襲いかかれば無事では済まないだろう。 - 84二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 22:44:15
保守
- 85二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 09:40:28
保守
- 863.5周年からの新任24/11/16(土) 17:04:59
風紀委員長に手を掛けたとなればアビドス復興の未来に暗い影を落とす事なるし、それ以上にホシノ先輩を本当の人殺しにしたくない、させない。ならばやるしかない、どうにか先輩を制圧するしか無い。
───無理だった、本気を出したホシノ先輩になら何とか喰らいつけた。けどこれは、無理だ。
そもそも攻撃が通ってるのかすら怪しい、私の銃撃に怯むどころか、返ってくるのはあの閃光。体力と精神力を卸金に掛けられ、遂にはその銃口から逃げきれなくなり、今や片足は身体を支えるので手一杯だった。
「どう……したら……」
どうしたらこの状況を打破できるのか。
どうして私はこの状況を打破できないのか。
どうして私はホシノ先輩も風紀委員長も救えないのか。
「そっか……」
私は誰かを救える様な存在じゃない。
「私達は苦しむために生まれてきた」
あの私はそう言ってた。
───それなら、苦しむのは私の役目だ。
”ダメだ!シロコ!”
この声は彼女には届かない、分かっていても叫ばずにはいられない。
「”シロコ!シロコを止めて───!”」
それでもその世界の私の言葉に彼女は虚空より現出し応えてくれる。 - 87二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 22:53:00
保守
- 88二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 23:45:33
保守
- 89二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 10:15:41
保守
- 903.5周年からの新任24/11/17(日) 17:15:29
「前に戦ってるから。負けない」
そうして、シロコはホシノを止めるために動き出す、そのはずだった。
「ヒヒッ!先生?今度は小生のターン、ですよ?ヒヒッ……ヒヒヒヒヒッ!!」
地下生活者にとって本来ならこの状況は好ましく無いはずだった。
死の神、アヌビスの存在は暁のホルスを討てる神聖、恐怖を持ち合わせているのだから。
それでも地下生活者はこの状況を待ち望んでいた。本来ならば先生が立ち会っていなければ生じないこのイベント。
それを発生させるために状況を意図的に先生に観測させた。そしてカードは場に出揃ったのだ。
「ここまで小生がお膳立てしたのです。楽しませて下さいね?死の神よ」 - 913.5周年からの新任24/11/17(日) 22:36:23
保守
- 92二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 00:11:56
保守
- 93二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 09:58:20
どうなるか
- 943.5周年からの新任24/11/18(月) 15:49:26
列車砲、その主砲ではなく副砲の数々が動き出し獲物へと狙いを定め始めていた。
「小鳥遊ホシノ……!お前と戦うのは私だ……ッ。それ邪魔する奴は、不要だ」
「そうです、あなたは証明しなければならない。そうでなければあなたの今までは誰にも響きはしないのですからッ!さあ!あなたの願いを叶えるためにもッ!!かの死の神を葬り去りッ!!あなたの存在を刻みつけましょう!!ヒヒヒヒヒッ!!!!」
そうして意識外から襲いかかる無数の熱線と爆風は瞬く間に視界を奪い尽くし、蹂躙していった。
静けさが戻った時、もう一人の私は意識を保つので精一杯のようだった。
向かう先を無くした双眸が再び私を捉える。あぁ、私が決断できなかったから───
不思議な音が鳴り響いたと思った瞬間ホシノ先輩を横から殴つける弾丸の嵐、その先には風紀委員長が脚を震わせながら銃口を構えて立ち上がっていた。
「行きなさいッ!私が引きつける!」
「でもあなたも……」
「あなたより私の方が長く保つ、それ以上の理由がある?私を助けたいなら先生を少しでも早く連れてきて」
「……ごめんなさい、なるべく努力する」
もう一人の私に駆け寄ると胸元が黒く光っていた。
「それ、どうしたの?」
「ん……これは……」
もう一人の私が取り出したのは黒く薄い何か、その何かは更に輝きを増して目が眩む。
「先生!」
「あれ……さっきまで私、『潜寿郎Mk-Ⅲ』で……。違うホシノ先輩と……ッ!」 - 95二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 23:22:28
保守
- 96二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 10:55:30
保守
- 973.5周年からの新任24/11/19(火) 20:20:27
収まった光の元には反転した姿のシロコ、その傍にもう一人普段通りのシロコが立っていた。
「どうやら私達の世界から来たシロコさんはこのタイミングで来たようですね」
”私達も行かないと”
”見ている場合じゃない”
「残念ながらまだですよ先生。私達があちらに介入するにはまだ時間が足りません」
”どういう事?”
「説明すると長くなりますが?」
”なら良いよ、少しでも必要な情報を集めよう”
「ええ、そうしましょう」
再び再現に意識を向けると一時停止された映像が動き出す。
どうやら二人ともこの状況に困惑しつつも理解できた様で、動き出していた。反転したシロコは戦いに、こちらのシロコはヒナの方へと。
「下がって!風紀委員長!」
「あ、あなた達どうして増えて!?」
「ん。説明は後。あっちで倒れてる私を連れて行って!」
「……分かったわ、満身創痍の私よりもあなた達の方が動けそうね。どういう訳か傷も治っている様だし」
そう、反転したシロコは傷一つ無く回復している。それどころか再現戦闘の際に見せた異質な強さを発揮していた。 - 98二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 07:40:18
保守
- 99二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 08:10:16
保守
- 1003.5周年からの新任24/11/20(水) 17:10:40
「これなら……」
これならホシノ先輩を制圧できるかもしれない。でも気がかりなのは、依然こちらを捉えている列車砲だ───
意識を割いた瞬間に視界の端で銃口が光を放っているのが写る。認識すると同時に全力で踏み込む。砂を巻き上げたその場所に熱線と爆風が降り注ぐ。
今の体なら列車砲も問題では無い、今度こそホシノ先輩をどうにか制圧できるはずだ。
「ふざけるなァアッ!!!」
地下生活者は叫んでいた。自身の敗北を知り、要因を知り、対策を取った。それでも尚意味の分からない要素がそれ等を狂わせているのだから理不尽に感じるのも無理は無い。
「RULEBOOK[コデックス]はどうなっている!?死の神の存在だけでも常軌を逸してるだろう!?ええッッ!!それを二体だァ!?ふざけるのもッ!!大概にッ!!しろよッ!!!!」
「クックックッ、随分と興奮してますねぇ?」
”いい大人が……”
”そう言えば彼は大きな子供だったね……”
「いえ?いいえ?まだカードは無くなった訳ではありません。ええ、カードには切り方があるという物!!これこそ小生の腕の魅せ所、ということですね?ヒヒッ!!ヒヒヒッ!!」
”忙しいね、彼”
「ええ、忙しいですね、彼」
黒服と綺麗に意見が合うのは珍しいがこれはまあ当然だろう。
そんな呑気な空気を他所に地下生活者は状況の舵を切った。 - 101二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 22:45:49
保守
- 102二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 23:28:56
保守
- 103二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 08:33:55
どうなるか
- 1043.5周年からの新任24/11/21(木) 15:58:15
「次から次へと……どうしてだ!なぜこの呪われた地は私を否定する!……まずは邪魔な奴から……そうか、そうだ。まずはお前達からだ……ッ!」
反転したシロコを捉えきれないと踏んだスオウ、もといその考えに干渉している地下生活者は矛先を変える、その対象は───ヒナ達だった。
熱線に襲われるヒナ達、舞い上がった砂が落ち、ヒナ達の無事な姿が見える。ヒナ自身が頑丈だからでは無い、わざと外したのだ。
狙われていると分かれば助けるのが当然の道理、そしてこちらの世界のシロコは駆け出す。その先に───轟音と熱が無慈悲に降り注ぐ。
「……な、なんでッ!」
「ァ……グッ」
反転したシロコがシロコを助ける形で倒れていた。その光景は見事なまでに地下生活者の狙い通りだった。
「ザマァ見ろォ!!運ゲーも!後出しも!全て全て!!小生の手に掛かればこの通りッ!カードは切り方が大事なんですよ、所詮は己が視点からしか物事が見えないあなた達には分かりもしないでしょう?ヒヒッ!!ヒヒヒッ!!」 - 105二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 22:41:23
保守
- 106二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 23:38:31
保守
- 107二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 09:55:29
保
- 1083.5周年からの新任24/11/22(金) 15:08:53
「なんで!?どうして私を!私じゃあのホシノ先輩を!一人じゃどうにもできないのに!」
「私が……巻き込んだから」
「それでも!」
「だって……私の、先生なら……そうした。きっとあなたの、先生も……そうでしょ?」
「そう、かもしれないけど……ッ」
「先生の大事な生徒を……私のせいで傷つけられない……」
意識を失ったシロコと、自身の無力に喘ぐシロコ。二人の姿を双眸が再び捉え、閃光を放つ。
「ウオオオオオオオ───!!」
「これでッ!これで小生の勝利だあああァ!!」
しかしその閃光は突如二人を包んだ黒い光によって途切れる。
「ハァアアアア!?なんだ!?今度はなんだァ!!何度小生の努力をッ!!策略をッ!!苔にしたら気が済むんだァ!!!!ご都合主義も大概しろッ!!」
幾度ものイレギュラーに憤慨する地下生活者、その姿を最後に映像は途切れてしまった。
”黒服!”
「お気持ちは分かりますが、これは再現。今の我々ではここまでの経緯を変えることは叶いません」
”そう……だったね。大きな声を出してごめん”
「いえ、生徒を事を慮る先生ならば当然でしょう」 - 109二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 00:03:19
保守
- 110二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 11:35:20
保守
- 1113.5周年からの新任24/11/23(土) 15:00:07
差異その八
「クヒヒ、高高度からの落下なんて最高ぉ……」
「先生!燃料が足りないため飛行できるのはここまでです。先程説明した通り、申し訳ありませんがここからは降下作戦になります。着陸の補佐はしますが、そこから先は……」
「”大丈夫だよ、よろしくねミヤコ”」
「こちらRabbit1、これより作戦ポイントに到着次第、降下作戦を開始します。Rabbit4はRabbit2の撤退を援護、Rabbit2は撤退完了後にRabbit3の回収後に私、Rabbit1を回収して下さい」
「了解!」
「りょ、了解しました……」
作戦ポイントに到着、否、目標は未だ遠く、ヘリからの降下を含めて何とか足りる距離が今だ。
降下というのも体の良い表現だ、実態は衝突と言うべきです。何せ目標は列車砲シェマタ、高速で移動する鉄の塊なのだから。
本来ならこんな危険な方法、許可できるはずも有りません。それでも必要なのだと先生の表情で分かりました。
そして私が先生に作戦を許可する条件として提示したのが、私が着地の補佐をする事だった。 - 112二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 22:40:18
保守
- 113二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 23:29:19
保守
- 114二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 09:48:28
保守
- 1153.5周年からの新任24/11/24(日) 15:01:10
「”ごめんね、ミヤコ。危ない事をさせて”」
「私は問題ありません。それよりも私の方こそこの様な危険な方法しか……」
「”無理を言ったのは私だよ”」
「”責任は私にある、それに私はミヤコを信じてるよ”」
信頼の言葉、この身を奮い立たせるのにこれ以上の物は無い。何としても先生を無事に送り届けてみせます。
燃料が完全に底を尽く前に、ホバリングの自動操縦に切り替わる。
今から感じる予定の重力に恍惚とした表情でヘリから飛び降りるモエ。
降下装備と共に先生と私を繋ぎ声を掛ける。
「それでは、行きます先生!」
「”うん、お願い!ミヤコ!”」
降下を始める、視界には今も高速で移動する列車砲。目標への誤差を埋めるため姿勢を制御する、先生に合図を送り1つ目の装備を起動する。
展開されたそれは船の帆ように広がる、抵抗を受けグッと感触が伝わる、次は2つ目の装備をタイミングを合わせて起動する必要がある───今だ。 - 116二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 22:44:36
保守
- 117二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 23:26:00
保守
- 118二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 10:19:17
保守
- 1193.5周年からの新任24/11/25(月) 20:31:29
再度合図を送り起動される2つ目の装備、というには余りにも急造でお粗末な物、衝撃を吸収できそうな物を袋に詰め込んだだけ。それでも無いよりは断然マシだろう、そして私は背を下に、体の前方に繋いだ先生が上になるよう、体勢を変え、衝撃に備える。
「──グッ!フゥ゛ゥ゛!」
装備を通して尚強烈な衝撃が背に走る、想像を絶するそれに意識が飛びかけるが食いしばった歯に更に力を込め意地で持ち直して踏ん張る。1つ目の装備が引っかかったのも有り、無事車上に降下、否、墜落に成功する。
「”ミヤコ!大丈夫!?”」
「……ええ……なんとか……後はお任せします、先生……」
「”ありがとう、私の責任を果たしてくるよ”」
先生の言葉に頷き3つ目の装備を使って岩にワイヤーを張りそれに身体を預け、4つ目の装備で落下を抑えてそのまま地上に崩れ落ちる。
これで私の作戦は完了です。後はRabbit3を回収したRabbit2による回収を待つだけ。
心残りなのは先生のお傍に居られない事だけ、しかし無理をしても足を引っ張ってしまうだけですから。
適切な判断を下せる事も優秀なSRT隊員に必要な事です。
そう自分に言い聞かせる、もしも次があるのならば、あらゆる状況に対応できる備えをしておかないと。
そんな事を考えながら月雪ミヤコは意識を手放した。 - 120二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 08:12:48
どうなるか
- 1213.5周年からの新任24/11/26(火) 15:58:21
「クックックッ、随分と愛されてますね、先生?」
”そうだね、私は幸せな先生だよ”
”それはそれとしてあんな危ない事”
”本来なら絶対させられないんだけどね……”
そう、本来ならこんな危険な事、それも生徒にさせるなんて本来ならば到底許せない。
それでもあの選択に至ったのはミヤコの意志の強さ故なのだろう。
生徒の命が関わっている、それを天秤に掛ける様で、私には到底耐え難い選択で、それでも私は私の生徒を救うための選択をし続ければならないのだろう。
きっとこれから先も選び続ける。 - 122二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:41:21
保守
- 123二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 23:30:20
保守
- 124二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 07:29:52
保守
- 125二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 17:11:15
良いSSだ
- 1263.5周年からの新任24/11/27(水) 17:46:05
───私が、私が私を見詰めていた。
「どうして」と問い詰めている。
だってアナタは、アナタの先生の大切な生徒だから。
私の先生だって私が傷付いたら悲しむから。
でも……このまま倒れてたら私達はどの道助からない。
だから立ち上がらないと、瞼が重くて仕方がないけど、苦しむ必要があるなら、それは私の役目だから。
だから───
「───あ─」
「────の」
「あ、あの〜……?」
何か聞こえる。まだ目が開かない、音で少しでも情報を得ようと耳を動かす。
「あ、動いた!大丈夫?水、飲める?」
「え、えぇっと、飲めそうなら耳を1回動かして貰っても良いかな?」
1度耳をピクリと動かすと「あ!良かった!」と言いながら声の主は心地よい冷たさを口元に持ってきてくれる。
むせないように少しずつ喉へと運び乾きを癒すと、同時に体に力が入り始めてゆっくりと目を開く。
「………………おとう、さん」
「へっ?」 - 127二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 22:51:45
保守
- 128二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 23:51:05
保守
- 129二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 11:20:48
保守
- 1303.5周年からの新任24/11/28(木) 14:56:19
私に父親の記憶は無い勿論母親も、けどふと目に入った緑色の髪と金色の瞳に何故かそんな言葉が思考より先に口をついて出た。
当然だけど、そう呼ばれた目の前の存在は素っ頓狂な声を出して呆然としていた。そこにもう一人小柄な子が───
「うへぇ、ユメ先輩どうしたんですか?その子、見た事無い子ですけど?」
「ど、どうしようホシノちゃん。この子に『お父さん』って……」
「うへっ!?先輩に隠し子が!?」
「ひ、ひぃん……そんな覚えなんて無いよぅ!」
「だめですよぉ先輩。ちゃんと認知してあげなきゃ〜」
どう見てもホシノ先輩だ、私が良く知る。ゆったりしてて、小さくて、でも凄く強くて、いつも一人で抱え込んでて、それを微塵も私達に見せようとしてくれない。そんなホシノ先輩が目の前にいる。 - 131二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 23:00:09
保守
- 132二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 23:33:38
保守
- 133二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 08:28:31
追いつけた
- 1343.5周年からの新任24/11/29(金) 15:07:45
「ホシノ先輩!」
立ち上がって近寄ろうとしたけど、まだ体は言う事を聞いてくれなくて座り込む。
「うへぇ、なんか私の事も知ってるみたいだねぇ?」
「も、もしかして私達の子供が未来から!?」
「先輩?流石にそれは突拍子も無さすぎません?」
「そ、それもそっかぁ……」
もしかして、また私は別の世界に居るのかもしれない、なら聞かないと。
「ホシノ先輩は、今何年生なの?」
「ん?私は3年生だよ?」
「そして私も3年生!ホシノちゃんと同級生!」
「先輩は留年し続けてるだけですけどね?」
「ひぃん……だって私が卒業しちゃったら、ホシノちゃんが一人ぼっちなって寂しいでしょ?」
「それは、まあそうですねぇ。でもそろそろ本当に卒業に向けて考えましょうね?」
「はぅ、まあそれは追々で……ね?」
ホシノ先輩が3年生、ユメ先輩も3年生。ホシノ先輩が1年の時にユメ先輩は3年生だったって聞いてるから2年留年してる事になる。
卒業したら一人ぼっち、なら私達はこの世界には居ない?アビドスに入学してない?やっぱり違う世界に居るんだ。それも1回目と違ってかけ離れた世界に。 - 135二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 22:44:56
保守
- 136二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 23:59:46
保守
- 137二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 11:23:08
ほ
- 1383.5周年からの新任24/11/30(土) 15:25:21
「あ、先輩!そろそろ行かないと電車に乗り遅れますよ!」
「そ、そうだった!どうしよう!?」
「とりあえず、私は荷物を運ぶので!先輩はその子の事、お願いしますねー!」
「え!?ちょっ、ちょっと待ってよー!ホシノちゃーん!ひぃん!!」
物凄い速さで走り去るホシノ先輩に悲鳴を上げるユメ先輩は少し間を開けてこちらに振り返った。
「はぅ、どう、しよっか?私達と一緒に来る?今からね、アビドス砂祭りを開催する為に他の学校の人達に協力して貰えないか聞きに行くんだ!」
「私は……私は皆を、ホシノ先輩を助けないといけなくて……」
「へ?ホシノちゃんを?」
「ん……変な事言ってごめん、とにかく私は行かないと……でもどうしたら……」
状況は少し分かったけど、戻り方が分からない。きっと戻ればまた1度目の様に時間は経ってないはず。
でもゆっくりしてられない、それに1度目と同じ保証もない。
どうしたら。
どうしたら。
どうしたら。
「事情はよく分からないけど」
優しく手を握られる。
お日様みたいに暖かくて心地良さすら覚える。
焦って影を落とした心に陽光が差している様に感じる。 - 139二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 22:54:47
保守
- 140二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 23:08:16
保守
- 141二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 23:27:31
保守
- 142二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 10:55:08
保守
- 143二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 22:05:53
追いつけた
- 144二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 22:38:43
保守
- 145二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 22:51:02
「君はホシノちゃんを助けたいんだよね?」
「ん。私はホシノ先輩に命をもらったから、だから助けたい。私と一緒に過ごした大切な友達も、後輩も」
「……そっか!それなら助けが必要な時は私の事も呼んでね!絶対!ビューン!って飛んで行ってあなたの『ホシノ先輩』を助けるのに協力しちゃうから!」
「ん。ありがとう。ユメ先輩」
「えへへ、約束だよ?」
「ん。約束」
列車の発進を告げる音が駅のホームに鳴り響く。今更気づいた、私はアビドス鉄道の駅のホームに居る。
「あ、そろそろ行かなきゃ!じゃあね!えーっと……そう言えば名前を聞くの忘れてた!私は梔子ユメ、あなたは?」
「ん。私は。砂狼シロコ」
「シロコちゃん!かわいい名前だね、またねー!」
「ん。またね。ユメ先輩」 - 146二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 23:26:30
保守
- 147二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 08:02:48
別れか
- 1483.5周年からの新任24/12/02(月) 15:34:59
列車に乗り込み、去っていくユメ先輩を見送ると次の列車が来る事を告げる音が鳴る、何となく分かる。これが私の乗るべき列車だと。
それに乗り込み腰をかけると抗い難い眠気に襲われて、でもそれが心地好くて、すぐに意識を手放した。
「結局、あの子は連れてこなかったんですね?」
「うん、大事な人たちの所に行かないと行けないんだって」
「そうですか。それにしても不思議な子でしたね。私の事もユメ先輩の事も知ってて、その上先輩って呼んで。嫌な感じは有りませんでしたけど、少し警戒しておいた方が良いんですかね?」
「ううん、きっと大丈夫だよ。あの子はただの───かわいい後輩だから」
目が覚める。
眼前にはあの姿のホシノ先輩。
自身を犠牲しても守ると決めた存在の一人である私の事も分からず。
閃光で何もかもを焼き尽くそうとしている。
ホシノ先輩には誰も傷つけさせない。私の事も、風紀委員長も、ホシノ先輩自身も。
───その為にも。
「───助けて!ユメ先輩!!」
閃光が私に襲いかかる、直撃すれば命に関わる光。しかしそれは私に届かず堰き止められた。 - 149二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 23:01:37
保守
- 150二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 23:30:55
保守
- 151二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 10:56:52
ほ
- 1523.5周年からの新任24/12/03(火) 15:18:36
「せん、ぱい?」
砂嵐の中であっても見失う事も無い、そんな暖かな光に包まれた盾が私の前に鎮座している。
普段ホシノ先輩が使っていた物と寸分違わぬそれは、確かに私を守ってくれた。
体の痛みも無い、これならもう一度戦える。でももう一人の私の姿が見えない、一体───
(いったいこれってどういう事?)
頭の中から声がする、私の声だ。
(ん。私の中に私がいる?)
(ん。分かんないけど、そうかも?)
(……ん。ユメ先輩。そんな事があったんだ)
(勝手にひとの記憶を見ないで欲しい)
(ん。それは違う。私だから)
(ん……)
どうして頭の中で一人でボケとツッコミをしないといけないんだろう……。
意味不明な状況にも程がある。
でもこれで私の事は気にしないで良い、それにあの世界の私達がどうやってホシノ先輩を戻したのかも分かった。
後は風紀委員長とあっちの世界の私だけど───列車砲シェマタにノノミ達が乗り込んでる。
後は先生と協力してどうにかしてくれる事をもう一人の私が教えてくれた。
なら、やる事はもう一つだけだ。
ホシノ先輩を助ける。
「ん、今の私はスーパーシロコ、だからホシノ先輩、私に負けたら私の言う事を聞いてもらう。」
そうして私は彼女の前に立つ。 - 153二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 22:43:01
保守
- 154二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 23:28:41
保守
- 155二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 08:31:56
やはり良いSSだ
- 156二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 15:59:46
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- 1573.5周年からの新任24/12/04(水) 17:05:46
銃を持つ手に強く、けれど無駄なく力を込め、引き金を引く。
解き放たれた蒼銀の弾丸は、佇んでいるホシノ先輩を容易く捉え、よろめかせる。
確かな手応え、意志の強さが弾丸に込められたとでもいうのだろうか。
撃ち込まれた弾丸に初めて驚異を感じたのか、ホシノ先輩はこれまでと打って変わって走り出しながら銃撃を開始した。
回避行動を取るということは相応の意味がある、今の私ならホシノ先輩を制圧できる、その確信が持てる。
銃口に光が集まる、あの閃光がくる。それを見越して盾を構える。
しかしその予想から銃口は外れ、周りの地面を薙ぎ払った。瞬間砂が巻き上がり視界を奪われる。 - 158二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 22:41:35
保守
- 159二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 23:34:45
保守
- 160二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 07:59:01
どうなるか
- 1613.5周年からの新任24/12/05(木) 15:10:24
不味いと理解した瞬間には遅く、高速で四方八方から散弾の雨が浴びせられる。盾を構えようにも撃ちながら移動されるせいで防ぎようが無い。
───こう使うと良いよ。
誰かの声に教えられてその通りに盾を構えると蒼白い光が私を包んで弾丸を防いでくれる。
体勢を整える為にがむしゃらに走り出す、後ろから私を追いかける存在を感じ闇雲に銃撃を行い、回避させて距離を取り切って振り返る。
再び視界にホシノ先輩を捉える、互いに1度目の攻撃を終え、次の一手を窺う。
私が先に口火を切り、銃弾を放つがあっさりと躱される。
光に包まれた散弾を放ちながらあっという間にホシノ先輩は私の前まで迫る、最大火力を叩き込むために。
「先輩、隙だらけだよ」
引き金を引くより先に、否。この状況を見据えていた私は、予め左手に込めた全力でホシノ先輩を弾き飛ばす。
小さくそれでも確かな重みを持つ身体が宙を舞い、そこに空かさず弾丸を叩き込む。
それでも脚が地に着くと同時に回避へと移られる。 - 162二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 22:53:18
保守
- 163二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 23:23:20
保守
- 164二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 10:24:17
朝の保守
- 1653.5周年からの新任24/12/06(金) 18:03:59
一度回避に移られると銃口で捉えられても弾丸が当てられない。線の動きでは今のホシノ先輩は捉えられなかった。
ホシノ先輩の散弾を完全に避け切るのは難しい。きっとこの盾が無ければ私に『制圧』という選択肢は選べないだろう。
そう、今の私、厳密には反転した私ならきっとホシノ先輩を殺せた。命を奪う為の弾丸ならもっと容易にホシノ先輩を捉えられた。
だから次の手が必要だ、線の動きではなく、面の攻撃をする必要がある。
ドローンを起動する、私ともう一人の私の分で2機による爆撃。当然というべきか、それだけではホシノ先輩は意に介さない。
自分を狙ってくる弾なら避けるだけだから。