SSその人は強かった

  • 1◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 16:54:20

    その人は強かった

    近づけば近接戦闘

    離れれば狙撃

    戦闘での隙なんてない

    それでも………

    そんな人でも病気にだけは勝てかなかった

    勝ったら名前を教えてあげると言われたのに

    私はその人の名前を知ることはできなかった

    手元にあるのは彼女の遺品

    このクラックショットだけだ

  • 2◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 16:54:40

    ここだけイオリが名も知らぬ強者と出会っていた世界線。


    誤字脱字は許して………


    🎲スレにしようかと思ってましたが、スランプ気味なので今回は相当悩まない限りは🎲無しでやらせてください。


    書いている時のBGMはこちらです、良ければ聴きながら読んでください。


  • 3二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 16:58:22

    よし、じゃあ、その生徒の性能をダイスしようか

  • 4二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 16:59:07

    >>3

    時が読めない人……?

  • 5◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 16:59:08

    いえ、書き溜めしてるので………

  • 6◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 16:59:52

    イオリ「ふっ………はっ!…………せい!」

    訓練用の動く人形を銃で殴り、ストックの突起で抉り、蹴り飛ばして距離を取る。

    イオリ「今ッ!」

    そして、即座に急所を狙って撃つ。

    イオリ「……………13秒48…まだ遅い」

    あの人なら………あの人なら10秒もかからずに同じ動きを…いや、これ以上に鋭い一撃を加えつつ、もっと速くできるはずだ。

    ヒナ「イオリ、まだやってるの?」
    イオリ「委員長………」
    ヒナ「鍛錬することは良いことよ、でも………やり過ぎるのは良くないわね、倒れては意味がないの」
    イオリ「……………委員長にそれを言われたらおしまいですね」
    ヒナ「そうね……………でも、限界を把握したうえで無理をするのと、限界かどうかを判断できないのに無理をするのでは意味が違うの、貴女は後者よ」
    イオリ「限界?そんなわけがないですよ、私はまだやれます」
    ヒナ「………そう、なら良いのだけど……………ともかく、今日はもう遅いから帰りなさい」
    イオリ「?……………げっ!もうこんな時間!?」

    スマホで時間を確認すれば、既に20時を過ぎていた。

  • 7◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 17:01:02

    自室に戻った私はお風呂に入り、服を着替え、食事をし、武器の手入れをしながら考え事をする。
    これが私の日常であり、これも彼女(強者)から受け継いだこと………当時を思い出す為の、目標を、憧れを、再確認する為のルーティン。

    ─────
    ──────────
    ───────────────
    強者「イオリちゃ〜ん、そんなに私の名前が知りたいの〜?」
    イオリ「教えてほしい、忘れたくないから」
    強者「ふふっ………そっか〜、じゃあ〜私に勝てたら〜………………………教えてあげる」
    イオリ「ッ!」
    強者「さぁ構えろ、知りたいんだろう?忘れたくないんだろう?私が誰か」
    イオリ「ゴクッ………ふーっ……………おおおおおおお!」
    ───────────────
    ──────────
    ─────
    イオリ「結局……………勝つどころか、傷1つつけられなくて……………」

    勝ち逃げするように病気でタヒんだ、本当に………異常な程に強くて……容姿が全く違うのに、ヒナ委員長を見た時はあの人を重ねた、あの人もゲヘナ最強………いや、キヴォトス最強の1人だったのだろう。

  • 8◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 17:02:02

    イオリ「強者は語らず………丘に眠る………か………」

    窓の外に月明かりに照らされた丘が見える……………あの人のお墓はあの丘の上に存在する、あの人が住んでいた小屋だって、今もそこにあり続ける……明日は休みだ、久しぶりに行ってみよう。

    イオリ「………モモトーク、先生からだ」

    先生
    イオリ、明日予定がないなら買い物に行かない?

    イオリ
    明日は予定がある、大事な予定がな

    先生
    どんな予定?良ければ聞かせてほしいな

    イオリ
    墓参りだ、来るか?

    先生
    うん、行くよ

  • 9◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 17:02:44

    なお、書き溜めと言ってもここまでですが………保守お願いします

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:03:25

    10

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:04:05

    このレスは削除されています

  • 12二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:04:57

    >>11

    文盲はSSスレに来るなよ。スベってるぞ

  • 13二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:12:08

    頑張れ…

  • 14◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 17:22:09

    “お待たせ、イオリ“
    イオリ「いや、今来たところだ………それは?」
    “お墓へのお供え物“
    イオリ「……………あそこには野生動物も来る、手を合わせた後で回収した方が良い、荒らされては困るからな」
    “そっか………そうだね……それじゃあ、案内をお願い“

    私は先生と共に丘を登る、ゲヘナ学園の校舎から見て北に存在するこの丘には人が来ない………というよりは、伝承を恐れて寄り付かない。

    この丘の向こうの海から黒い悪魔、ラーズグリーズがタヒをもたらし、ここに眠ったと言われている………そして私達の種族は悪魔であり、悪魔はより上位の悪魔を恐れる、それこそ伝承の悪魔など畏怖の象徴に等しい。

    “イオリは怖くないの?“

    そんなことを話しながら歩いていたら、先生にそんな質問をされた。

    イオリ「一部の恐れ知らずの馬鹿は例外だ、そして馬鹿か痛い目を見て、伝承は本当だった………なんて広まっていくことで、この丘にみんな近付かなくなる……その伝承の正体が………………あの墓の下に眠っている……………………強者だった存在………私の師匠…私の、目標」

  • 15二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:27:40

    強者とヒナってどっちの方が強いの?

  • 16二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:31:31

    海からくる黒い悪魔……………ラーズグリーズ……………エスコンのラーズグリーズが元ネタかな?

  • 17二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:36:45

    海の悪魔?リヴァイアサンとかレヴィアタンとことか?

  • 18二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 17:49:49

    このレスは削除されています

  • 19◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 18:45:53

    ─────
    ──────────
    ───────────────
    強者「ふっ…はぁっ!…せいっ!」

    訓練用の人形を銃で殴り、ストックの突起でなぎ倒し、隣の人形を蹴り飛ばして距離を取ると………

    強者「ッ!」

    素早くコッキングを行い、2発、3発と人形を穿つ……………

    イオリ「……………」

    その姿から目が離せなくて………かっこよくて……………

    強者「そこにいると危ないよ〜?」
    イオリ「あ………」

    彼女の訓練場に勝手に入っていると気付くのが大きく遅れた。

    強者「おいで、名前は?」
    イオリ「しろみ………銀鏡イオリ………あなたは?」
    強者「さぁ〜?誰でしょ〜?」
    イオリ「教えてほしい、誰なの?どうしてそんなに強いの?名前を教えてくれるまで………帰らない」

  • 20◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 18:46:30

    強者「イオリちゃ〜ん、そんなに私の名前が知りたいの〜?」
    イオリ「教えてほしい、忘れたくないから」
    強者「ふふっ………そっか〜、じゃあ〜私に勝てたら〜………………………教えてあげる」
    イオリ「ッ!」
    強者「さぁ構えろ、知りたいんだろう?忘れたくないんだろう?私が誰か」
    イオリ「ゴクッ………ふーっ……………おおおおおおお!」

    勝てるはずがない……………でも………それでも……………!

    強者「遅いッ!」
    イオリ「ぐぁっ!」
    強者「………一撃かぁ〜、それじゃあ教えられないな〜…………………ッ!ゴホッゴホッ!」
    イオリ「!」
    強者「ゴホッ………ぅぅ……………まだ……………まだやれる…………………大丈夫………まだ意識はある………………………………襲って来ないんだね………イオリちゃん」
    イオリ「………ここで攻撃しても、勝ちじゃない」
    強者「卑怯な手段も………戦術の1つだよ?…やらないんだ?………ゴホッ!」
    イオリ「堂々と勝ちたい………名前だって言わせてみせる…絶対に言わせる」
    強者「……………なら、明日から、ここに来ると良いよ…鍛えてあげる」
    ───────────────
    ──────────
    ─────

  • 21◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 19:22:35

    “それが…お師匠さんとの出会い?“
    イオリ「正確には、めちゃくちゃに強い怪物との出会い………ヒナ委員長でも勝てるかどうか………」
    “怪物………ヒナより強かったの?“
    イオリ「委員長とあの人が直接戦ったことがあるのか、そもそも知り合いなのかはわからないけど………普段の委員長なら勝てないと思う。
    ただ、私は委員長の本気を未だに知らないから、暫定的にそう考えているという程度だな」

    もし、委員長が本気を出したら………どうなるのだろうか?普段であれならあの人と………怪物と本当に並ぶんじゃないか?……………だとしたら、私はその後を継げるのだろうか?

    “イオリ?“
    イオリ「………なんでもない、ほら、墓の掃除を始めるぞ、あと小屋も」

    強者は語らず、丘に眠る…………アンタは今もそこにいるのか?………………それくらいなら教えてくれても良いだろ………

  • 22◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 19:38:50

    小屋の掃除をしていたら、先生がなにかを見つけた。

    “これ………日記かな?“
    イオリ「あの人が日記ね………本棚を調べたことはなかったからなぁ…………持ち帰るとしよう」
    “え?“
    イオリ「既に故人なんだ、何も言われないし………それにここの管理を任された時に好きにしていいとも言われている、何が問題なんだ?」
    “………“
    イオリ「それとも読みたいのか?」
    “うん………まぁ………“
    イオリ「先に一人で読みたい……だから、後でいいなら」
    “ありがとう、イオリ“

    他に何かないか探してみると………

    イオリ「地下への入口…先生は待っていてくれ、探し様子を見てくる」
    “大丈夫?“
    イオリ「脆い先生に何かあった時の方が問題だ………それに少し覗くだけだ」

    こんな場所があるとは…知らなかった。

  • 23二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 19:46:49

    生前は本当に最強格だったんだろうなぁ。
    それももう〇ぬからって覚悟決まってるからメッキメッキ強くなって………って

  • 24◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 20:46:37

    イオリ「……………ついた」

    地下室はかなり整備されていて、電気も未だに通っているのか、それとも電池式か、明かりをつけることができた……………ただ…………

    イオリ「ゴホッゴホッ!ホコリが凄いな………一旦出るか……」
    “イオリ、どんな感じ?“
    イオリ「ホコリが多すぎる、肺をやられそうだ………綺麗な布を用意してくれ」
    “掃除用に買ってきたマスクがあるよ“
    イオリ「ならそれを………ありがと」
    “うわっ…ほんとにホコリが凄いね“
    イオリ「ここも掃除するぞ」

    ホコリを可能な限り舞い上げないようにしつつ、袋に集めて捨てる、それを繰り返しているうちに夕暮れが近づいてきた。

    イオリ「綺麗にはなったが、もうこんな時間か…………」
    “今日はここまでだね、帰ろう、イオリ“
    イオリ「………そうだな」

  • 25二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 21:13:42

    地下には何かあったんだろうか

  • 26◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 22:56:44

    今日から日記を書くことにした、理由はまぁ、この日記を読んでくれそうな人、弟子ができたから。

    私はもうすぐタヒぬ、それは決して避けられない運命。
    それがただ、他の人より早かっただけ、きっと、それだけ。

    生まれつき私は身体が弱くて、大人になるまえにタヒぬって言われてた、だから自分を鍛えることにした。

    そしたら戦闘の才能があったみたいで、気がついたらゲヘナで誰もが私を恐れていた。

    だからゲヘナ学園に入って、風紀委員になって、風紀委員長として卒業した。
    次期委員長候補の子は大丈夫じゃなさそうだけど、でも3年後にはゲヘナ情報部のあの1年生が風紀委員長になってると思う、きっとそう。

    正直、現状ではあの子以外に務まるとは思えない。

    だけどその子も1年後にはいなくなる、だから弟子を取った、それに、私の生きた証を、力を、あの子は受け継いでくれると思うから。

  • 27◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 22:58:06

    あの子が来るようになってから一ヶ月、最初は考え無しに真っすぐ挑んでくるだけだったのに、最近は逃げ回るようになった。

    でもただ逃げ回るんじゃなくて、相手を見ながら逃げ回る、私を観察してる、良い傾向だと思う、だからまだ見せたことのない動きを少しずつ増やしていくことにした。

    私の技、全部モノにできるかな?楽しみだね。

  • 28◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 22:59:01

    小屋に戻った私はお風呂に入り、服を着替え、食事をし、武器の手入れをしながら考え事をする。

    これが私の日常であり、ルーティン、いずれはあの子がこれも受け継ぐのかな?受け継いでくれたほうが面白そうだし、このことも話してみようかな?

  • 29◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 23:01:56

    今日の日■は休■■~~~

    イオリ「文字がぐちゃぐちゃだし血がついていて読みづらいな………書いてる時に喀血したのか…………」

  • 30◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 23:03:21

    今日はゲヘナの救急医学部と、ミレニアムの医療研究部と、変装してからトリニティの救護騎士団に行ってみた。

    でも状況は改善しなかった、むしろ今年中が限界だろうって言われた、まぁそうだよね、なんとなくわかってたけどさ。

  • 31◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 23:06:38

    弟子への鍛錬を厳しくしないと、教えきれないかもしれない、そう思って厳しくしてみたら、あの子はしがみついてきた、想像以上に、必死に。

    その甲斐もあって、弟子に私の技術の全てを教えた、まだモノにはできていないけど、私の動きの真似はできるようになった、あとは一撃の重さや動きの鋭さ、それから射撃の正確性。

    全部、自己鍛錬でも手に入る範囲、そうでなくとも十分強い、そのへんの一般生徒では相手にならない。

    あの子は努力の天才、きっとそうなのだろう。

  • 32◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 23:07:42

    時々思う、ピアノの才能があったら良かったのにと。

    私は音楽が好きで、旧校舎でこっそり練習してたことがある。

    まぁ、才能はなかったし問題児達の対応、特に雷帝への対応であんまり練習らしい練習はできなかったけれど、楽しかったなぁ。

    楽譜置いていったら誰かが弾いてくれるかな?弾いてくれたらいいなぁ。

  • 33◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 23:08:39

    今日は情報部のあの子が訪ねてきた、私のことを知って興味を持ったらしい。

    丁度いい、彼女にも1つ受け継いでもらうことにする、私が風紀委員長時代に羽織っていた上着。

    もしこれをあの子が読んでいるのなら、いや、きっと読んでいるだろう。

    イオリちゃん、空崎ヒナに挑みなさい、そして、勝って、私の名前を聞き出して、あの上着を受け取りなさい。

    大丈夫、あなたはもう一人の私だから、あなたは強いから、あなたが風紀委員に入ることも、彼女が風紀委員長になることも見越して全部仕込んでおいた。

    忘れないで、イオリちゃん。

    快晴はあなたと共にある。

    イオリ「……………快晴…」

    それがアンタの名前なのか?

  • 34◆hZ/EUkOIhyD.24/10/28(月) 23:12:31

    誤字脱字と設定の確認を終えた書き溜めその2はここまでになります、ここからは本当の意味で投稿ペースが落ちますが、もう少しばかりお付き合いいただければと思います。

  • 35二次元好きの匿名さん24/10/28(月) 23:17:35

    無理しない程度に進めてもろて

    元風紀委員長なら強いわけだよ、むしろ強くないとあの罰ゲームは務まらないし

  • 36二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 08:48:10

    保守

  • 37◆hZ/EUkOIhyD.24/10/29(火) 13:41:20

    誤字脱字確認のためにまた書き溜めてるのでしばらくお待ちいただければと思います、保守ありがとうございます。

  • 38二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 13:44:43

    このレスは削除されています

  • 39二次元好きの匿名さん24/10/29(火) 22:40:28

    このレスは削除されています

  • 40二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 09:06:11

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 16:36:00

    快晴って今日は快晴?

  • 42二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 16:42:06

    書き溜めということは相当悩んでいるということ
    これは生徒の性能をダイスした方が良いんじゃないか?

  • 43二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 16:44:01

    >>42

    君消されたくせに懲りないな。それ面白くないの分かってんの?そろそろ自分のつまらなさに気づいた方がいいよ

  • 44◆hZ/EUkOIhyD.24/10/30(水) 17:22:34

    🎲スレではないので振りません、以上

  • 45二次元好きの匿名さん24/10/30(水) 21:28:56

    強者の外見が気になる

  • 46◆hZ/EUkOIhyD.24/10/30(水) 23:13:32

    見た目は大人びた黒髪の少女ですね、あとで立ち絵作ってきます

  • 47◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 00:07:52

    強者のイメージはこんな感じですね、立ち絵メーカーも貼っておきます

    picrew.me
  • 48◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 00:09:50

    わかりにくいですがポニテです、ポニテは良いぞ

  • 49二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 00:17:44

    美しい……イベストの要素も拾ってくるなんて……なんて美しい文章だ……

  • 50二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 08:47:40

    ポニテ!

  • 51◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:09:34

    あれから一週間が経って、私は仕事をいつもより頑張って、どうにか休みを作った……………まぁ、仕事を頑張ったっていうのは書類の類だけど。

    イオリ「地下はまだ調べてなかったからな……で、なんで先生がいるんだ?」
    “私もお師匠さんのことを知りたいんだ、故人だったとしても生徒だから“
    イオリ「卒業生だけどな」
    “それでもだよ“
    イオリ「……」

    それから地下を漁ってみたけど、どうやらここは物置きらしく、あの人がしまい込んだ想い出が詰まっているように思えた。

    イオリ「ピアノコンクール参加賞………よく戦闘よりも音楽の才能が欲しいと言ってたからな…日記に書くほどに」
    “イオリ………これ…………“
    イオリ「どうし…………………それ……風紀委員の………」

    ボロボロになったゲヘナ風紀委員会の腕章、きっとあの人が使っていたものだ。

  • 52◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:14:19

    イオリ「遺品整理を手伝ってくれてありがとう、あの数を調べるのは一人じゃ難しかったからな」
    “私も気になってたからね“
    イオリ「あぁ…そういえばそんなことも言ってたか」
    “腕章、持って帰るんだね?“
    イオリ「………まぁ……………な…」

    目標を………憧れを………もう一度近くで感じたい、だから、持って行く。

    「どけぇ!」
    イオリ「むっ…」
    “イオリ、大丈夫?“
    イオリ「問題ない……ただ…」

    高そうな女性モノのバックの紐を抱き抱えるようにして走っていく男と銃を構えたままの男…なにか訳アリだろうがその理由はおそらく……

    「誰か捕まえてぇ!ひったくりよー!」
    イオリ「やっぱり……行ってくる」

    今日の私は非番、だから身分証代わりの生徒手帳はあっても風紀委員会の腕章は持ってきていない………が、ここにはあの人が使っていた腕章がある。

  • 53◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:17:31

    ひったくりA「どけどけっ!邪魔なんだよ!」
    ひったくりB「おらおらどうした!」
    風紀委モブ「うわっ!」
    ひったくりA「屁でもねぇな!今の風紀委員はその程度かよ!」
    ひったくりB「空崎ヒナがいないと何もできないってか?」
    イオリ「試してみるか?」
    ひったくりB「あ?なんだおめ───」

    銃を構えた男を銃で殴り、ストックの突起で抉り、蹴り飛ばして距離を取る。

    イオリ「捉えた」

    そして、即座に急所を狙って撃つ………今まで以上の完璧な動きができていて、あの人が私に乗り移ったような………不思議な感覚だった。

    ひったくりB「………」
    ひったくりA「お、お前……お前ッ!なんでお前が!」
    イオリ「どうした?」
    ひったくりA「なんで暴風がいるんだよ!卒業したはずたろ!」
    イオリ「暴風?誰のことだ?」
    ひったくりA「なにを……いや…あの女は黒髪だ、なんだよ……へへ、なら恐れる理由なんてなっ────」

    一気に接近して銃口を鳩尾へと叩き込む、前のめりになって頭が下がってきた所で頭突き、トドメのアッパーカットで意識を刈り取る。

    イオリ「…黒髪の女………暴風……」

    このひったくりは……あの人のことを知っているのだろうか?強くて、かっこよくて、私に戦い方を教えてくれたあの人を………

    ヒナ「イオリ、今日は非番でしょう?」
    イオリ「ヒナ委員長…」

  • 54◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:20:31

    ヒナ「……それ、どこで見つけたのかしら?」
    イオリ「え?」
    ヒナ「その腕章…貴女の物じゃないでしょう?」
    イオリ「これは………その…………」
    ヒナ「……………………あの人について知りたいのなら私に挑みなさい、それまであなたに知る資格はない。
    そうでしょう?」
    イオリ「………委員長は……全部、知っているんですよね?」
    ヒナ「今のあなたに答える義理はない……どの道、あなたは私に勝たなければならない、次期風紀委員長としてゲヘナ最強の頂きに立ち、その力を誇示しなければならない、それが使命なのだから」

    委員長の存在感が一気に増す、殺気ににも似た何かを纏い、私を見つめる………まるで………怪物のように…………

    イオリ「……勝てない………私じゃ…」
    ヒナ「そう………どうやら見込み違いのようね、てことは彼女も大したことはなかったのかしら?」
    イオリ「っ!」

    あの人が……大したことない?そんなわけがない……そんなわけが………!

    ヒナ「きっとそうなのでしょうね、こんな軟弱者を弟子にしているのだから」
    イオリ「…ヒナ委員長、いくら委員長でも「言いたいことがあるのなら挑みなさい、それまであなたの言葉を受け入れるつもりはない………あぁ、業務上のことやいつ時間が取れるのか、そういう話なら別よ」
    イオリ「………」
    ヒナ「……………待ってるわ、イオリ………快晴と共に」

  • 55二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 17:32:25

    暴風なのか快晴なのか謎が深まった

  • 56◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:45:41

    自室に戻った私はお風呂に入り、服を着替え、食事をし、武器の手入れをしながら考え事をする。
    これが私の日常であり、これも彼女(強者)から受け継いだこと………当時を思い出す為の、目標を、憧れを、再確認する為のルーティン………

    なんで暴風がいるんだよ!卒業したはずたろ!

    イオリ「…」

    その腕章…貴女の物じゃないでしょう?
    あの人について知りたいのなら私に挑みなさい、それまであなたに知る資格はない。

    イオリ「………」

    次期風紀委員長としてゲヘナ最強の頂きに立ち、その力を誇示しなければならない。
    彼女も大したことはなかったのかしら?
    きっとそうなのでしょうね、こんな軟弱者を弟子にしているのだから。

    イオリ「……………」

  • 57◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:46:40

    カスミ「ハーッ!ハッハッハッ!ヒナのいない風紀委員など怖くない!メグッ!」
    メグ「よぉし!どんどんやっちゃうよー!」
    イオリ「くそっ…この程度……っ!」
    ヒナ「下がりなさない、弱者に用はないから」
    イオリ「ッ!まだ、まだやれます!私は「まずは怪我の心配をしたらどう?あなたは弱いのだから、それとも証明する気になった?」
    イオリ「怪我?うぐぁ?!………」
    ヒナ「もう一度言うわ、雑魚は下がってなさい」
    チナツ「イオリ、あまり無茶はしないでください」
    アコ『チナツ、イオリを下げてください、代わりの者を向かわせます』
    イオリ「……………くそっ……」
    チナツ「………」

  • 58◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:47:12

    イズミ「おぉ?風紀委員会がきたよ!」
    ジュンコ「は、はやく逃げましょう!」
    アカリ「しかしヒナさんがいませんね」
    ハルナ「風紀委員長相手でなければそこまで恐れる必要はありません、フウカさんも車両も確保できています、行きましょう」
    イオリ「…………この距離でも当てられるはずっ!」

    狙いを定め、引き金を引く………いつもやっていることだ………なんの問題も………

    イオリ「っ!あれは!」
    ジュンコ「ヒナはいないんじゃないの!?」
    ハルナ「想定より早かった……それだけでしょう……………」

    爆炎を背にしながら、委員長が歩いてくる………私は……………何もできずに…

    イオリ「………委員長…」
    ヒナ「後始末はよろしく」
    イオリ「待ってください委員長!あの人は弱くなんて「なら構えなさい、イオリ、それができないのなら這いつくばって地面だけ見てなさない、雑魚」

  • 59◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:48:58

    アル「ど………どうにか撒いたわね……………って………」
    イオリ「……………」
    ムツキ「あはは♪おかわり入ったね、アルちゃん?」
    ハルカ「わ、私が相手します!皆さんは先に行ってください!」
    カヨコ「待って……………様子がおかしい………いつもならもう攻撃してきてるはず……なのに…」

    本当に………弱いのだろう…………私は………怪物達のようにはなれない…

    アル「………風邪ひくわよ」
    イオリ「別に……どうだっていい………」
    アル「いいわけがないでしょう!ほら、これ着て!事務所のシャワーと着替え貸してあげるから!」
    ムツキ「アルちゃんいいの〜?次期風紀委員長だよ〜?」
    アル「うっ……でも………」
    イオリ「次期風紀委員長にはなれない………私に務まるわけがない………」
    ハルカ「何かあったんでしょうか?」
    カヨコ「………………………」

  • 60◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:50:05

    イオリ「……………」
    アル(どどどど、どうしましょう!風紀委員を事務所内に入れちゃったのだけどー!で、でもあんなのほっとけないし!)
    ムツキ「くふふ、アルちゃんが風紀委員を拉致したー♪」
    アル「ら、拉致じゃないわよ!ほ、ほら…おおお、お客様だから!お茶淹れるわね!」
    ハルカ「あの……お茶なら………その…もう、淹れて…………ごご、ごめんなさい!勝手なことをして!タヒんだ方が良いですか?!タヒんだ方が良いですよね?!タヒにますね?!」
    アル「そんなことはないから!ありがとうハルカ!ズズッ美味しかったわ!ほらお客様にも出して!」
    カヨコ「はぁ………騒がしてごめん、イオリ、何があったの?」

  • 61二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 17:51:15

    このレスは削除されています

  • 62◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:52:05

    いつの間にか、私はあの人のことを四人に話していた。

    アル「そんなことが………」
    ムツキ「先代風紀委員長の弟子で次期風紀委員長、強くもなるよね」
    イオリ「…………強くなんて…」
    ハルカ「も、もっと自信をもってください!少なくとも蛆虫の私よりは強いですらから!」
    カヨコ「…………………快晴の暴風、かつてゲヘナ最大の問題児である雷帝を抑え込んだ絶対強者…私の先輩だった人」
    イオリ「知ってるのか?」
    カヨコ「彼女が風紀委員長だった当時を見てきたからね、間違いなくヒナの同格か………下手したらそれ以上の強者」

    鬼方カヨコはあの人のことについて語ってくれた。
    余命が短いからこそ無茶ができて、何も恐れることがなかった、正真正銘の怪物、快晴の暴風について………そこに込められた意味も。

    雷帝が作り出したいくつもの超兵器、それらをたった一人で相手取りながら、他校からの軍事的圧力の全てを押し返す。
    病弱のはずでありながら、歴代最強の風紀委員長と呼ばれた強者。

    どれほど分厚い雲に覆われていようとも暴風が雲を吹き飛ばすように。
    どれほど戦況が悪化しようとも彼女が全てをなぎ倒し、快晴と勝利をもたらす。

  • 63◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 17:54:36

    カヨコ「だから、快晴の暴風………本名については空崎ヒナから聞き出すことだね
    イオリ「私が……勝てると?」
    カヨコ「私には暴風と重なって見える、自分で弱いと思ってるから本気を出せなくなってるんじゃない?」
    イオリ「………」

    待ってるわ、イオリ………快晴と共に。

    アル「イオリ、私も二年生よ?今のあなたに私達を捕まえられると思えないし、張り合いがないでしょうね」
    イオリ「……………言うじゃないか」
    アル「やるだけやりなさい、イオリ」
    ムツキ「応援してるよ〜、イオリちゃん?」
    ハルカ「わ、私も!応援します!」
    イオリ「あぁ………だが、次からは手加減なんてなく捕まえにいくからな」
    アル「望むところよ!」
    ムツキ「………くふふ♪」

  • 64二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 18:54:13

    快晴をもたらす暴風………苗字に風とか嵐とかついてたのかな?

  • 65二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 19:00:47

    きっとヒナもイオリが追いついて、越えてゆくのを待ってるよ

  • 66二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 19:10:43

    >>64

    苗字もそうだけど神秘の由縁かもしんないね

  • 67二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:00:24

    >>66

    天候の悪魔か邪神か………クトゥルフ神話のイタクァ(風の邪神)しか思いつかないや

  • 68二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:05:47

    他に何かいたかなぁ

  • 69◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 20:43:57

    雨は未だ止まない……だけど………私の心は晴れやかで、もう迷うこともない。
    だから………こうして風紀委員会の部屋の前に立っている。

    イオリ「快晴は共にある………か……私がもう一人のアンタだというのなら、鏡だと言うのなら………私は暴風になれるはず」

    あの雲を、空を、吹き飛ばせるはずだ。

    アコ「委員長、書類をお持ちしました………あら」
    ヒナ「あら、丁度いい所に来たわね、この書類の処理をお願い」
    イオリ「ヒナ委員長………いえ、ゲヘナ学園風紀委員会、空崎ヒナ風紀委員長殿、お時間よろしいでしょうか」
    ヒナ「……………続けて」
    イオリ「私は……次期ゲヘナ学園風紀委員長として、あなたに挑みに…………………………いえ、叩きのめして這いつくばらせて地面を見つめさせにきました」
    チナツ「い、イオリ?」
    アコ「イオリ!あなた自分が何言ってるのかわかってるの!」
    ヒナ「待ちなさいアコ………勝てるとでも思ってるの?あなたが、私に」
    イオリ「お望みとあらば、曇天の空を吹き飛ばしてみせます」
    ヒナ「……………アコ、私とイオリとは今から非番になるわ、ただし……何があったとしても、誰も私達に近づけないで、手加減なんてしないから」
    アコ「………わかりました」

  • 70◆hZ/EUkOIhyD.24/10/31(木) 20:48:03

    戦闘描写に手こずってます、が、ステータスは決めません、先手を打ちます、しません。

  • 71二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:54:46

    どのキャラの株も落とさずに描写するのは難しいと思うけど頑張って欲しい

  • 72二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:43:58

    なんだろう、すごくドキドキする文章
    なんだか世界に引き込まれる感じがする

  • 73二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 06:20:44

  • 74◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:50:41

    ゲヘナ自治区の端にある鉱山跡地、露天掘りによって窪地となったこの場所には、置き去りにされたクレーンや掘削機がそのまま置かれている。

    ヒナ「イオリ、そんなに彼女の名前が知りたいのね」
    イオリ「教えてほしいですね、忘れたくないので」
    ヒナ「そう………私に勝てたら…教えてあげる」
    イオリ「………」
    ヒナ「さぁ構えなさい、知りたいんでしょう?彼女が誰か」
    イオリ「口を割らせてみせます、空崎ヒナ風紀委員長殿」
    ヒナ「来なさい、銀鏡イオリ」

  • 75◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:51:30

    先に動いたのは、ヒナ委員長だった。

    イオリ「ッ!速い!」

    一瞬で距離を詰めてきて蹴り飛ばそうとしてくる…でも……

    ヒナ「舌噛むわよ?」

    まだ追えない程じゃない、でも委員長は本気じゃない、もっと速く動けると考えていい………だから今のうちに機動力を奪う、狙うのは膝、関節にダメージを与えれば……………!

    イオリ「硬っ!」
    ヒナ「良い判断ね、相手が悪いことを除けば」

    委員長の左膝を蹴った私の右脚の方が痛いっておかしいだろ!何食ったらこんなに硬くなるんだよ!

    ヒナ「お返し」
    イオリ「あぐっ!?」

    委員長の回し蹴りが腹に叩き込まれ、私は地面を転がった。

  • 76◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:52:17

    イオリ「ゲホッ!ゲホッ……」
    ヒナ「口ほどにも無いわね」
    イオリ「……………どうでしょうね」
    ヒナ「今の実力でもマコトが消えたあとの万魔殿と協力すれば十分治安維持はできるわ、別に私に勝たなくてもいいのよ?」
    イオリ「それだと………名前……聞けないので……………」
    ヒナ「異名なんかについては誰かから聞かされたんでしょう?マコトは話すなんて思えないし、鬼方カヨコかしら?」
    イオリ「勝てたら…ゲホッ……教えてあげます」
    ヒナ「そう、なら這いつくばるどころか、動くことすらできなくしてあげる」
    イオリ「……………」

  • 77◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:52:51

    イオリ「捉えた」
    ヒナ「ッ!」
    イオリ「次」
    ヒナ「何?動きが………ぐっ…」
    イオリ「……………腕章、変えてみましたが…気が引き締まりますね」
    ヒナ「ふふ…そう………やっと本気で戦えるわね」

    ボロボロの腕章の位置を正し、武器を構え直す………力を貸してくれ、暴風。

    ヒナ「避けてみなさい」

    紫色の曳光弾………いや、エネルギー弾が飛んでくる、何度か見たことがあるが、大勢相手かそれなりの強者相手でなければ使わない技だ。

    ヒナ「!?」

    だが隙間がある、ならばそこに突っ込んだ方が最短でいける、多少の被弾も痛みも今は無視する。

    ヒナ「まずい!」

    蹴って駄目なら叩きつけるだけだ。

    ヒナ「……………なんてね」

    委員長を地面に叩きつけようとした瞬間、委員長がマシンガンのストックを地面に付き立て、銃口を………私に……

    イオリ「!」
    ヒナ「悪くない動きだったわ」

  • 78◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:53:40

    イオリ「うおああああああああ!!!」
    ヒナ「ッ!」

    この程度で諦めてたまるものか!叩きつけることもできないのなら投げ飛ばして仕切り直すまで!

    イオリ「オマケだ!」

    空中で姿勢を正される前に銃弾を叩き込む、左膝を集中的に狙う、どれほど硬くてもダメージが0なわけがない、蓄積はするはずだ。

    イオリ「…来る」

    3発目を叩き込んだ直後に、あのエネルギー弾が飛んできた、それもさっきよりも密集して。

    イオリ「接近して………いや、同じ手は使わない方が良いか」

    今近づけば蹴り飛ばされるか殴り飛ばされるだろう、だが相手は弾幕を張れるのに対してこちらは一発必中で当てねばならない。

    イオリ「何か………使えそうなものは………」
    ヒナ「逃げ回ってどうしたの、弾切れを待つつもり?」
    イオリ「……………アレだな」

    委員長の機動力を奪うのは変わらない、だがトドメは別で叩き込む、卑怯な手段も戦術の1つなのだから。

  • 79◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:54:22

    レーザーのように放たれるエネルギー弾を迂回しながらある程度接近し、接近戦に持ち込む。

    ヒナ「同じことを……」
    イオリ「試してみますか?」
    ヒナ「………なにを考えてるの」

    委員長がマシンガンを振りまし、蹴りを放つ、それを後退るようにして躱し、左膝を執拗に狙う、だが相手はあの空崎ヒナ、流石にこちらの狙いに気づいたらしく、今度は委員長から突っ込んでくるようになった。

    ヒナ「私から足を奪うつもりね?だけどそう上手くいくものじゃないわ」
    イオリ「………」
    ヒナ「イオリ?」
    イオリ「っ!捕まえた!」
    ヒナ「!」

    委員長に抱きつき、動きを止める、委員長は私を振り解こうとするが、私がそう簡単に放すわけがない、だからこそマシンガンを私へと向けて撃ち放つ。

    イオリ「待っていましたよ、その攻撃をッ!」
    ヒナ「なにを………あ」

    数発程くらいながらも、銃口を反らし真上に向けさせる……………その先には大型の掘削機があり、いくら頑丈に作られているとはいえども空崎ヒナ(絶対強者)の本気の攻撃に耐えられるはずもなく、倒壊し、私達の元へ落ちてくる。

  • 80◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:54:47

    瓦礫から這い出し、武器を構える………委員長は未だ倒れておらず、戦意が消えていなかった。

    イオリ「………流石…ですね……ゴホッ………ペッ」
    ヒナ「無茶……………してくれるわね………イオリ………」

    だが今日一番のダメージを負わせることはできた、私も手負いになったが………でも、動きを鈍らせた今なら勝機は見えていた…………………あとは手を伸ばす、ただそれだけでいい。

    イオリ「委員長の技………使わせていただきますよ…………」
    ヒナ「それ………簡単には扱えないはずなのだけど……………」
    イオリ「練習……してましたから……」

    クラックショットの銃身に光が灯る、委員長にエネルギー弾が放てるのなら……………私だって………そう思ってきた、だから練習していた。

    イオリ「快晴は、暴風と共にッ!」
    ヒナ「……………………」

    委員長は避けようとせず、私が放ったエネルギー弾を見つめる………どこか満足そうな笑みを浮かべて。

    ヒナ「強くなったわね…イオリ……」

  • 81◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:55:25

    自分で放ったとは思えない程の破壊が暴れ狂い、力の奔流が辺り一帯を包み込み、窪地のここから真上に向けて暴風が吹き荒れる。

    イオリ「ぐッ!……ぬぅ……………」

    目を開けていられない……吹き飛ばされる………それでも…

    イオリ「この程度………!」

    これはただの余波でしかない、この程度を耐えられなければ最強(風紀委員長)にはなれない、憧れにたどり着けない。

    イオリ「はぁ…………はぁ…………」

    暴風が収まり、土煙が晴れ、泥濘んだ地面に委員長が倒れていたのを認識する。

    イオリ「勝った……のか?……あ……」

    どっと疲れが襲ってきて、私も倒れる………転がって、大の字に寝そべると、太陽が私を見つめていた。

    イオリ「快晴………」

    頬が緩んだ。

  • 82◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:55:51

    それから、ぼーっとしていたら先生と、アコちゃんと、チナツが来て………どうしたんだっけ?よくおぼえてない。

    覚えている範囲としては気付いたらベッドの上で、ヒナ委員長が椅子に座っていたということ………というか、正に今がその状況。

    イオリ「委員長…………」
    ヒナ「何かしら」
    イオリ「………わたしには…名前を、聞く権利は……ありますか?」
    ヒナ「ないわね」
    イオリ「そうですか……………え?」
    ヒナ「冗談よ、まぁ最後は温情で負けてあげたのは事実だけど」
    イオリ「……………アレをくらって動けたんですか?」
    ヒナ「直撃なら流石に私でも動けないわ、でもね、まだ避けられる程度には余力があったわよ」

    そっかぁ………やっぱり委員長は別格だ……………

    ヒナ「それでも、あなたが私に勝ったことも事実、あとはこれまで以上に実戦を積めばあの人に………北風カガリに近づけるはずよ、誇りなさい、新風紀委員長」
    イオリ「………………」
    ヒナ「どうしたの?」
    イオリ「いや………その………実感がまだ、なくて………というか、今さらっと名前言いましたよね?」
    ヒナ「言ったわね、歴代最強の風紀委員長、北風カガリ………それが名前よ」
    イオリ「北風…カガリ……か……これで墓に名前を刻めますね」
    ヒナ「………そのお墓、今度案内してくれる?私もお墓参りはしたいから」
    イオリ「委員長も、多分知ってる場所ですよ」

  • 83◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:56:22

    それから数日後、委員長と共に北風カガリのお墓参りに来ていた。

    イオリ「色々と当たりが強かったですけど、あれ、全部わざとやってましたよね?焚き付けるためというのはわかりますが………らしくないので」
    ヒナ「………………頼まれたからよ」
    イオリ「先代にですか?」
    ヒナ「えぇ、北風カガリと話た時にね、もしイオリが風紀委員会に入ったとしてその時に強者としての覚悟が足りていないのなら、心をへし折るつもりで焚き付けてほしいって………少しやり過ぎたかもしれないけれど」
    イオリ「いえ、おかげで決心が付きましたから………いつまでも甘えてられないなって、そう思いました」

    正直、本当に心がへし折れてしまいそうだったけど………便利屋のみんなが励ましてくれたから……………前にを向くことができた………もう一度、目標に手を伸ばせた。

    ヒナ「はい、これ」
    イオリ「え?あ……これ…………」
    ヒナ「どうせ渡すのなら、彼女の前が良いと思ってね………彼女が使っていた風紀委員長の上着」
    イオリ「………本当に……手が………届いたんですよね」
    ヒナ「正確には指先程度、これからがスタートラインよ、イオリ」
    イオリ「……………はい」

  • 84◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 13:56:49

    その人は強かった、どれほど強かったのかを直接見ることはできない………それでも、ゲヘナ最強たる歴代の風紀委員長達の中で、トップクラスの実力を持ち、第二の暴風と呼ばれる程に強かったそうだ。

    風紀委員長「私は彼女のようになれるだろうか………いや、ならねばならない……風紀委員長の名を継承した以上は」
    イオリ「お、新風紀委員長、何してるんだ?」
    風紀委員長「銀鏡先生……先生はゲヘナのOBなのですよね?」
    イオリ「まぁ、そうだな」
    風紀委員長「………暴風と呼ばれた2人の先代委員長について、知っていますか?」
    イオリ「知ってるぞ?なんだ、気になるのか?」
    風紀委員長「はい、どれほど強かったのか、知りたいんです」
    イオリ「そうだなぁ〜〜私に勝てたら………………………教えてやろう、さぁ構えな」

    〜fin〜

  • 85◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 14:01:31

    ということで短編のブルアカSS「その人は強かった」は終了となります、ご愛読ありがとうございました。


    ラーズグリーズの元ネタ(小ネタ)がわかる人がいてちょっと嬉しかったですね、元ネタはACE COMBAT5の姫君の青い鳩に登場する悪魔にして英雄ラーズグリーズです。

    北風カガリの北風や、暴風という異名はラーズグリーズを意味しています、よければこちらをどうぞ。


  • 86◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 14:02:23

    後日談もあります


  • 87二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 14:16:41

    おつ、面白かった、やっぱりエスコンのラーズグリーズだったかぁ、blurry流したいね

  • 88◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 14:31:42

    >>15

    単純な能力だけなら北風カガリの方が強いですが、実はこの物語ではブルアカの属性の概念が適応されています。

    北風カガリの属性は神秘の軽装甲で、爆発で重装甲のヒナとはすこぶる相性が悪く、直接戦えばヒナの方が有利ですね。

    ただ北風カガリは単純な身体能力だけではなく、タヒを受け入れたからこその執念深さがあるため、もかヒナが勝った場合は永遠と戦いを挑まれ続けると思います。

  • 89◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 14:42:53

    >>71

    どうにか頑張りました………ボロクソに言われて心が折れかけるとかそういう描写は欲しかったんですけど、ヒナがやるかと言われたらまずやらないだろうし、理由付けに悩みました。

    それ以上に2人の戦闘描写に悩みましたがね……………

  • 90◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 14:43:53

    >>72

    ありがとうございます!やはりこういうコメントが一番嬉しいですね、褒められて嫌な人はいない。

  • 91◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 15:29:40

    >>87

    いいですよね、blurry


  • 92二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 21:11:25

    おつ、先代の生き様とかの描写もう少し見たかったなぁって思う、過去編とかやってほしい

  • 93◆hZ/EUkOIhyD.24/11/01(金) 22:48:45

    他で書いてる作品があるので、隙間時間があればってところですかね

  • 94二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 01:25:01

    このレスは削除されています

  • 95◆hZ/EUkOIhyD.24/11/02(土) 10:58:27

    過去編……ゲヘナでの治安維持か、それともイオリとの会話か

  • 96二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 11:37:25

    北風カガリ最期の戦い、とか見てみたいね

  • 97◆hZ/EUkOIhyD.24/11/02(土) 16:30:01

    >>96

    それで書いてみますね

  • 98二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 17:03:49

    >>88

    ゲームの都合が無ければヒナよりも強いって事は他の各校のトップ層の生徒よりも設定上格上か

  • 99◆hZ/EUkOIhyD.24/11/02(土) 17:49:19

    >>98

    タヒという《恐怖》を受け入れ、なおも絶望しなかったことで《崇高》に限りなく近付いたという解釈です、これにより最強格の中でも更に上位に食い込んでいます。

    なので本家ではわかりませんが、この世界線においてホシノが最初からユメ先輩のタヒをしっかりと受け入れることができていたのなら、もっと強くなっていたと思います。


    と言っても今作では登場していませんが。

  • 100二次元好きの匿名さん24/11/02(土) 21:36:52

    このレスは削除されています

  • 101◆hZ/EUkOIhyD.24/11/02(土) 23:32:29

    まだ他スレ書いてるのでしばらくお休みするかもしれません

  • 102二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 09:10:42

    了解

  • 103二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 19:15:26

  • 104二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:16:57

    しゅ

  • 105二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:46:23

    このレスは削除されています

  • 106二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 08:10:06

    このレスは削除されています

  • 107二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 17:29:41

    いつまでも待つ

  • 108◆hZ/EUkOIhyD.24/11/04(月) 23:25:02

    ありがとう

  • 109二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 08:29:24

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 17:39:47

    最後の戦い、どんな戦闘だったのかな

  • 111◆hZ/EUkOIhyD.24/11/05(火) 21:34:12

    マコト「来たか、次期風紀委員長、銀鏡イオリ………いや、第二の暴風と呼ぶべきか?」
    イオリ「……………やっぱり、知ってるんだな、あの人のこと」
    マコト「キシシッ、あぁ知っているとも、彼女と共に戦ってきたからなぁ………私の元を訪れたのは彼女のことを聞きに来たのだろう?快晴の暴風、北風カガリの戦いを」
    イオリ「……………あぁ、現状、確実に知っていてなおかつ近くにいたのはアンタだ………鬼方カヨコも知ってはいるだろうが、アンタほどじゃないだろうしな」
    マコト「しかし、まったく………仮にも万魔殿議長を相手に敬意を払わないとはなぁ、そこはヒナに似たか?」
    イオリ「私はヒナ委員長にも本当の意味で敬意を払ったことはない、委員長相手に形式的なものなら払ってはいるが………本当に敬意を持っているのは北風カガリだけだ」
    マコト「……………いいだろう、彼女の戦闘の数々………それらを語るに相応しい場所がある、来たまえ」

    マコトに連れられ、向かった先は兵器格納庫、万魔殿指揮下の砲兵隊が保有する、いくつもの野砲が並んでいる。

    マコト「…………………ゲヘナ野戦砲兵隊、通称デッドベル、かつて私が部隊長を努め、彼女の背中を見続けてきた場所だ…………ここに来ると、昨日のように思い出せる」
    イオリ「……………なるほど、確かに、語るに相応しい場所だな」
    マコト「では………今日はどの話を語るとしようか…………キシシッ」
    イオリ「なら最後の戦いを聞かせてほしい、最も激しい戦闘だったと聞いている」
    マコト「あぁ……ヒノム火山攻防戦か……………確かに、アレは激戦だった……総戦力の六割…いや、八割が投入され…………………キシシッ…隠蔽には苦労した」
    イオリ「隠蔽?」
    マコト「ヒノム火山での火山活動が活発化しているため、一般人の立ち入りを全面的に禁止し、更に一部地域からの避難命令と戒厳令………覚えているだろう?」
    イオリ「……………アレか」
    マコト「言いふらすんじゃないぞ?」
    イオリ「わかっている」

  • 112二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 08:06:57

    どうなるか

  • 113二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 08:59:35

    わくわくする

  • 114二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 09:09:40

    コクマ―でも出たのか?

  • 115◆hZ/EUkOIhyD.24/11/06(水) 16:13:00

    デカグラマトンの二章が全部出るまで待つかどうか……………悩みますね

  • 116二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 23:48:03

    このレスは削除されています

  • 117二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 09:00:45

    あさほ

  • 118◆hZ/EUkOIhyD.24/11/07(木) 19:35:53

    そろそろこっちも進めたいけど………ヒノム火山を戦地として選んだからヒノム火山の詳細がわかるなら知りたいところ

  • 119二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 19:39:09

    このレスは削除されています

  • 120◆hZ/EUkOIhyD.24/11/07(木) 19:43:45

    実はまだ二章を読んでないというか読めてないんですよね、初期化されてたものですから。

  • 121二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 19:44:49

    >>120

    ネタバレ大変申し訳ありませんでした()

  • 122◆hZ/EUkOIhyD.24/11/08(金) 01:00:16

    大丈夫ですよ

  • 123二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 10:56:40

    保守

  • 124◆hZ/EUkOIhyD.24/11/08(金) 18:21:53

    少しずつですけど、書いてはいますのでまだお待ち下さい………あんまり時間がかかる場合はいっそ一部出すかな

  • 125二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 03:04:35

    了解保守

  • 126二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 11:56:44

    このレスは削除されています

  • 127◆hZ/EUkOIhyD.24/11/09(土) 20:19:23

    3年前 ヒノム火山 麓

    マコト「状況は?」
    砲兵「現在、雷帝が製作した機械竜、“サラマンダー“によって周辺地域が火の海と化しており、市街地へと進行中。
    このまま放置すると、溶岩を纏った機械竜がゲヘナを焼き尽くすかと」
    マコト「それは知っている、部隊はどうなっている?」
    砲兵「……………万魔殿の部隊は7割が壊滅、2割は避難誘導のため不在、動けるのは我々野戦砲兵隊のみ」
    マコト「……………馬鹿(雷帝)はどうなった?」
    砲兵「北側カガリ率いる風紀委員会主力によって制圧済み、援軍としてこちらへ向かっているとことです」
    マコト「わかった、快晴は必ず訪れる、風が吹くまでサラマンダーの足止めをする。
    デッドベル全隊員に通達、砲撃準備、断種榴散弾、目標機械竜サラマンダー」
    砲兵「了解!目標機械竜サラマンダー!初弾装填!仰角良し!いけます!」
    マコト「………鐘を鳴らせ」
    砲兵「撃ちぃ方始めぇ!」

  • 128二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 06:58:43

    戦いが始まったか

  • 129◆hZ/EUkOIhyD.24/11/10(日) 15:17:10

    榴散弾による鉄の雨が機械の竜に降り注ぐ、ダメージはない、だが相手はカメラではなくレーダーで視界を確保しているからこそ動きが鈍る。

    マコト「砲門2つを残して撃ち続けろ!ありったけの金属片を舞い上げろ!奴の視界を奪え!」
    砲兵「了解、弾種そのまま!一番二番以外、全門自由射撃!」
    マコト「一番二番に粘着榴弾を装填しろ、嫌な予感がする」

    いくつもの鐘が鳴り響く、死の鐘の名に相応しい砲声が轟く、あの化け物にただの砲弾は効かない、爆風では駄目だ、暴風でなければ溶岩も、火山灰も、曇天も吹き飛ばすことはできない。

    観測手『目標より高エネルギー反応を検知!』
    マコト「位置は?」
    観測手『何を「早く言え!」
    観測手『ッ!サラマンダーの口です!レーザーが来ます!退避を!』

    機械の竜が大きな口を開ける、その中に光が集束していくのが見えた。

    マコト「逃げる?馬鹿を言うな、一番二番!奴の口を狙え!他砲門も粘着榴弾に切り替え次第撃ち込め!」
    砲兵「一番二番、仰角修正、弾種粘着榴弾、いけます!」
    マコト「撃てぇ!」

    2つの砲門がほぼ同時に射撃し、奴の口に爆薬がたっぷりと詰まった砲弾を叩き込み、集束していた光が小さくなる。
    更に他の砲も奴の口へと爆薬を流し込み、怯ませ、押し返す。

  • 130◆hZ/EUkOIhyD.24/11/10(日) 15:17:48

    グルォォォォオオオオオオッ!!!

    砲兵「効いてる…いけるかもしれない」
    マコト「油断するな、まだ何かを隠している可能性は十分にある………もう一度砲門2つを残し、榴散弾の自由射撃、鐘を絶やすな!」
    観測手『新たな高エネルギー反応!これは………そんな……………』
    マコト「どうした?」
    観測手『背面ミサイルハッチ開放、レーザーだけでなく、ミサイルも来ます!』
    マコト「対空砲は?」
    砲兵「それが………既に対空部隊は壊滅、対抗手段は………何も…」
    マコト「なら奴の口に砲弾を叩き込め、レーザーだけは撃たせるな!周囲一帯が蒸発するぞ!合図を待つな!直ぐに撃て!」
    砲兵「了解!一番二番!奴の口にもう一度撃ち込め!合図は待つな!任意で撃て!」

    再度、化け物の口に砲弾が叩き込まれ、光が霧散する、だがそれでも、全てのミサイルの発射を阻止することはできなかった。
    一部のミサイルはあらぬ方向に飛んでいったものの、少なからずこちらへ飛んでくるものがある。

    マコト「動ける者は迎撃しろ!小銃でもなんでもいい!ミサイルを撃て!一発でもいいから減らせ!耐えろ!」
    砲兵「しかし!」
    マコト「今更退避など間に合わん!愚策だろうがやるしかない!撃ち続けろ!」
    観測手『着弾する!伏せろぉ!』

    砲兵陣地に3発のミサイルが着弾し、7.5cm野砲の弾薬に誘爆した。

  • 131◆hZ/EUkOIhyD.24/11/10(日) 15:18:27

    マコト「ぐぅ……………どうなった……………………ッ!」

    砲兵達が、万魔殿の生徒達が大勢倒れ伏し、瓦礫の下敷きにされ、動ける者はほとんど残っていなかった。

    マコト「………状況報告」
    無線『ザッ………ザサッ……………』
    マコト「状況報告!」
    無線『………ザッ…』
    マコト「誰でもいい、応答しろ!」

    どれほど無線で呼びかけても返事はなく、聞こえてくるのはノイズだけ。

    マコト「ハッチが……開いた…」

    再び背面のミサイルハッチが開き、二射目が放たれる。
    迫りくるミサイルを、私はただ異常なほど冷静に見つめていた、いや、ただ諦めていただけなのかもしれない。

    マコト「………………………終わりか」

    そのまま目を瞑ろうとした瞬間、ミサイルが空中で全て爆発し、暴風が吹き荒れた。

    マコト「これはッ!」
    「待たせたね、マコトちゃん」

    名前を呼ばれ、振り返れば、待ち望んでいた人の姿があった。

    カガリ「あとは私に任せておいて」

  • 132二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 22:07:15

    このレスは削除されています

  • 133二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 08:16:37

    どうなるか

  • 134二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 17:48:51

    このレスは削除されています

  • 135◆hZ/EUkOIhyD.24/11/11(月) 21:56:02

    進められなくて申し訳ない

  • 136二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 08:14:54

    大丈夫ですよ
    楽しみに待ちながら保守します

  • 137◆hZ/EUkOIhyD.24/11/12(火) 12:37:28

    右手にはkar98k、左手にはMP40を携えた北風カガリが目で追えない程の速度で機械竜へと突撃し、ライフル弾を一発だけ放ち口でボルトを咥えてコッキング。

    撃たれた相手は何ともなさそうに見えるが、自分の周りで羽虫が飛んでいるような煩わしさがあったのだろう、完全に注意が北風カガリへと向けられる。

    カガリ「撃ってみなよ、キミに当てられるのなら」

    グルォォォォオオオオオオッ!!!

    カガリ「煽り耐性はないみたいだね」

    もう一度ミサイルが放たれる、普通の人間が銃弾をばら撒いて撃ち落とせるのは運が良い場合に限られる………普通の人間が相手であれば。

    カガリ「おつむはよろしくないか………その程度じゃあ私には届かない」

    MP40は拳銃弾、正確には9×19mmパラベラム弾を使うサブマシンガンで、その弾速は銃弾としては遅い部類であり、ライフル弾のような精度も貫通力も持ち合わせていない………

    もっと簡単に言えば、ミサイルを撃ち落とす為に使うのは愚の骨頂に等しいということ。
    だというのに、彼女はMP40を乱射してミサイルを全て撃ち落としていた。

  • 138◆hZ/EUkOIhyD.24/11/12(火) 21:34:15

    カガリ「あー………なるほど…ミサイルは目眩ましだったかぁ」

    機械竜の口の中で光が増幅し、光線を放つ準備をしていた。

    カガリ「でもね、キミのソレも私には当てられないよ?」

    その場でしゃがみ、左肘でライフルを固定し、撃ち放つ………たった一発の銃弾が機械竜の口の中で爆発した、いや何かを壊していた。

    カガリ「ビナーの相手をした時を思い出すよ、まさか弱点まで同じだったとは思わなかったけど」
    マコト「いったい……なにが………」
    カガリ「お、マコトちゃんも動けるようになった?」
    マコト「いや…まだ身体が重い……野砲は一門だけ無事だが弾はほとんどない」
    カガリ「じゃあ一発だけ装填しておいて、できるだけ貫通力のあるやつをお願いね」
    マコト「………何か勝算が?」
    カガリ「あるよ、だから力を貸して、マコトちゃん」

  • 139二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 23:36:55

    強い(小並感)

  • 140二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 09:02:34

    保守

  • 141二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 17:52:35

    このレスは削除されています

  • 142◆hZ/EUkOIhyD.24/11/13(水) 21:58:05

    更新が…むぅ

  • 143二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 01:07:46

    待つよ

  • 144二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 09:14:33

    このレスは削除されています

  • 145◆hZ/EUkOIhyD.24/11/14(木) 17:42:46

    北風カガリがもう一度走り出す、それを見届けた私は砲弾を装填する。

    カガリ「遅い」

    再び左腕で固定して狙撃し、目のような部位を撃ち抜いた、しかし…

    カガリ「それ、目じゃないんだね」

    飾りだったのか、それとも別の目的があるのか、機械竜はなんともなさそうにしていた。

    カガリ「でも、これならどうかな?」

    次に撃ち抜いたのは機械竜の鼻のような部位、撃ち抜かれた機械竜は悲鳴のような咆哮を上げ、のたうち回る、まるで前が見えていないように。

    カガリ「レーダーはそっちにあったんだね、にしても銃弾一発で壊れるとは脆いねぇ?………マコトちゃん、装填終わった?」
    マコト「75mm徹甲弾を突っ込んでおいた、戦車砲ほどではないが、今用意できるものとしては一番貫通力がある」
    カガリ「そっか、ありがと………あとはドタマを撃ち抜くだけだよ」

    北風カガリが7.5cm野砲を抱え、正面から向き合う………野砲とは本来抱えて使うものではないのだが、絶対強者に常識を当てはめて考えてはいけない。

  • 146二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 23:36:03

    HELLSINGで見たアレじゃん、アハトアハト!そいつは素敵だ大好きだ!

    口径違うけど

  • 147二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 09:01:57

    このレスは削除されています

  • 148◆hZ/EUkOIhyD.24/11/15(金) 17:03:39

    野砲を抱えた北風カガリが、再び機械竜へと迫る、先程のような機動力はないが、それでも飛んできた攻撃を砲身を振り回して防ぐというのはとても異様な光景だった。

    身体を纏う溶岩、その所々に点在するミサイルハッチなどの突起を蹴って、身体を登っていき………

    カガリ「避けてみろ」

    砲口を頭に突きつけ、射撃した。
    至近距離で射撃された機械竜は避けることなどできず、そのまま崩れ落ちるようにして動きを完全に止めるが、どういう原理なのか、身体に纏った溶岩は未だに纏ったままである。

    倒れ伏した化物を背に、真の怪物が野砲を肩に担いぎながら終わりを告げる。

    カガリ「ざっとこんなもんかな、どう?マコトちゃん、まだ動ける?」
    マコト「……………強い」

    あの人の力を再認識して、当然の事実が口から漏れていた。

  • 149◆hZ/EUkOIhyD.24/11/15(金) 22:12:36

    マコト「それが、北風カガリの最後の戦いだな、正確には他にもいくつか戦闘はあったが、どれも暴れている生徒を制圧したという程度の日常風景だな」
    イオリ「……………その時使っていたMP28はどこに?」
    マコト「アレは借り物だ、よく他人の武器を借りたり、敵から奪ったりして足りない部分を補っていた、その時にボルトハンドルを噛んで操作していたようで、今も噛み跡が残っているはずだ」
    イオリ「この溝って噛み跡かよ……というか教えてくれなかったんだが」
    マコト「キシシッ!銃に噛み跡を付けて戦っていることを指摘すると顔を赤くしていたからな、恥ずかしかったんだろう、だがボルトハンドルを変えると違和感があるとも言っていたな」

    つまり何も言わなきゃバレないとかそういう………

    イオリ「全く…あの人は……」
    マコト「そう言うな、お前もいずれは噛み跡をつけるようになる………ということは間接キスだな?」
    イオリ「や、やめろ!変なことを言うな!」

    北風カガリの過去 END

  • 150二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 22:35:59

    おつ、面白かったよ

  • 151二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:35:00

    おもろかったです。
    過去の猛者に関する二次創作は時々見るけど、これは終わらせるには惜しい概念だ……

  • 152二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 03:18:58

    >>99

    イオリが急に強くなったのも、便利屋の励ましと腕章のおまじない効果で「自分は弱いかも知れない、師匠に近付けないかも知れない」と言う恐怖を乗り越える事が出来たから?

  • 153◆hZ/EUkOIhyD.24/11/16(土) 09:10:50

    >>152

    そういう感じです、弱いと思っているから弱くなる、そこにあの人がついている………やれる!となって強化されてます

  • 154二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 18:33:15

    もう少し続いてくれぇ……

オススメ

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