- 1アンデルセン24/10/30(水) 20:14:39
- 2アンデルセン24/10/30(水) 20:15:38
- 3アンデルセン24/10/30(水) 20:16:52
- 4ウルトラマンイミティ24/10/30(水) 21:06:11
※建て乙です……すいませんちょっと気力がないので居るものとして処理してください
- 5トレウス24/10/30(水) 21:44:41
前スレ200
「おぉっとぉ…これはこれは…」 - 6鑢イチカ24/10/30(水) 21:47:52
前スレ199
………そういやハニエルに自分の神核を渡すとか自己犠牲してたねぇアイツ - 7佐藤勇一郎24/10/30(水) 21:53:29
【前スレ199】
何でしょうかこの人? - 8オベロン 24/10/30(水) 21:54:02
『ずっと向こうの」と、王子の像は
低く調子のよい声で続けました。
「ずっと向こうの小さな通りに
貧しい家がある。 窓が一つ開いていて、
テーブルについたご婦人が見える。
顔はやせこけ、疲れている。 彼女の
手は荒れ、縫い針で傷ついて
赤くなっている。 彼女はお針子を
しているのだ。 婦人はトケイソウの花を
サテンのガウンに刺繍しようとしている。
そのガウンは女王様の一番可愛い侍女の
ためのもので、舞踏会に着ることに
なっているのだ。その部屋の隅の
ベッドでは、幼い息子が病のために
横になっている。熱があって、
オレンジが食べたいと言っている。
与えられるものは川の水だけなので、
その子は泣いている。 ツバメさん、
ツバメさん、小さなツバメさん。
私の剣の柄からルビーを取り出して、
あの婦人にあげてくれないか。
両足がこの台座に固定されているから、
私は行けないのだ」』
「私はエジプトに行きたいんです」と、
ツバメは言いました。 「友人たちは
ナイル川に沿って飛びまわったり、
蓮の花に話しかけたりしています。』 - 9佐藤勇一郎24/10/30(水) 21:57:48
ツバメさん凄いです!
- 10トレウス24/10/30(水) 21:59:45
「……ここまでならいいんだがなぁ…」
- 11ありすとアリス24/10/30(水) 22:02:15
- 12オベロン 24/10/30(水) 22:10:37
『「ツバメさん、ツバメさん、
小さなツバメさん」と王子は言いました。
「もう一晩泊まって、私のお使いを
してくれないか。 あの子は
とても喉が乾いていて、お母さんは
それはとても悲しんでいるのだよ」
幸福の王子がとても悲しそうな
顔をしましたので、小さなツバメも
すまない気持ちになりました。
「ここはとても寒いですね」と、
ツバメは言いました。
「でも、あなたのところに一晩
泊まって、お使いをいたしましょう」
「ありがとう、小さなツバメさん」
と、王子は言いました。
そこでツバメは王子の剣から
大きなルビーを取り出すと、
くちばしにくわえ、町の屋根を
飛び越えて出かけました。
ツバメは川を越え、やっと、
あの貧しい家にたどり着くと、
ツバメは中をのぞき込みました。
男の子はベッドの上で熱のために
寝返りをうち、お母さんは疲れ切って
眠り込んでおりました。 ツバメは
中に入って、テーブルの上にある
お母さんの指ぬきの脇にルビーを
置きました。 それからツバメは
そっとベッドのまわりを飛び、 翼で
男の子の額をあおぎました。』 - 13オベロン 24/10/30(水) 22:12:52
『それからツバメは幸福の王子の
ところに飛んで戻り、やったことを
王子に伝えました。 「妙なことに」
と、ツバメは言いました。
「こんなに寒いのに、僕は今
とても温かい気持ちがするんです」
「それは、いいことをしたからだよ」
と王子は言いました。 そこで小さな
ツバメは考え始めましたが、やがて
眠ってしまいました。考えごとをすると
ツバメはいつも眠くなるのです。』
『「今夜、エジプトに行きます」と、
ツバメは言いました。 ツバメはその
予定に上機嫌でした。 町中の名所を
みな訪れてから、教会の尖塔の先に
長い時間とまっていました。 ツバメが
行くところはどこでもスズメが
チュンチュン鳴いていて、「素敵な旅人ね」
と口々に言っていましたので、
ツバメはとてもうれしくなりました。
月がのぼると、ツバメは幸福の王子の
ところに戻ってきました。
「エジプトに何かことづけはありますか」
「もうすぐ出発しますから」』 - 14トレウス24/10/30(水) 22:26:35
- 15佐藤勇一郎24/10/30(水) 23:17:36
- 16オベロン24/10/31(木) 20:28:20
『ツバメさん、ツバメさん、
小さなツバメさん」と王子は言いました。
「もう一晩泊まってくれませんか」
「私はエジプトに行きたいと思っています」
とツバメは答えました。 「明日僕の友達は
川を上り、二番目の滝へ飛んでいくでしょう」
「ツバメさん、ツバメさん、小さなツバメさん」
と王子は言いました。 「ずっと向こう、
町の反対側にある屋根裏部屋に若者の姿が
見える。 彼は紙塗れの机にもたれている。
傍らにあるタンブラーには、スミレが一束
刺してある。 彼の髪は茶色で細かく縮れ、
唇はザクロのように赤く、 大きくて
夢見るような目をしている。 彼は劇場の
支配人のために芝居を完成させようと
している。 けれど、あまりにも寒いので
もう書くことができないのだ。 暖炉の中
には火の気はなく、空腹のために
気を失わんばかりになっている」
「...もう一晩、あなたのところに
泊まりましょう」と、よい心をほんとうに
持っているツバメは言いました。
王子は言いました。 「残っているのは
私の両目だけだ。 私の両目は珍しい
サファイアでできている。 これは
一千年前に城へ運ばれてきたものだ。
私の片目を抜き出して、彼のところまで
持っていっておくれ。 彼はそれを
宝石屋に売って、食べ物と薪を買って、
芝居を完成させることができるだろう」』 - 17オベロン24/10/31(木) 20:34:51
『王子様」とツバメは言いました。
「私にはできません」そしてツバメは
泣き始めました。
「ツバメさん、ツバメさん、
小さなツバメさん」と王子は言いました。
「私が命じたとおりにしておくれ」
そこでツバメは王子の目を取り出して、
屋根裏部屋へ飛んでいきました。
屋根に穴があいていたので、入るのは
簡単でした。ツバメは穴を通ってさっと
飛び込み、部屋の中に入りました。
その若者は両手の中に顔をうずめるように
しておりましたので、鳥の羽ばたきは
聞こえませんでした。 そして若者が
顔を上げると、そこにはとても美しい
サファイアが枯れたスミレの上に
乗っていたのです。
「私も世の中に認められ始めたんだ」
若者は大声を出しました。 「これは誰か、
熱烈なファンからのものだな。
これで芝居が完成できるぞ」
若者は、とても幸福そうでした。
次の日、ツバメは波止場へ行きました。
大きな船のマストの上にとまり、
水夫たちが大きな箱を船倉からロープで
引きずり出すのを見ました。
月が出るとツバメは幸福の王子の
ところに戻りました。
「おいとまごいにやってきました」
ツバメは声をあげました。』 - 18オベロン24/10/31(木) 20:37:50
『ツバメさん、ツバメさん、
小さなツバメさん」と王子は言いました。
「もう一晩泊まってくれませんか」
「もう冬です」ツバメは答えました。
「冷たい雪がここにも降るでしょう。
エジプトでは太陽の光が緑の
シュロの木に温かく注ぎ、 ワニたちは
温い泥の中に寝そべって過ごしています。」
「下のほうに広場がある」と幸福の王子は
言いました。「そこに小さなマッチ売りの
少女がいる。 マッチを落としてしまい、
全部駄目になってしまった。お金を持って
帰れなかったら、お父さんが女の子を
ぶつだろう。 だから女の子は泣いている。
あの子は靴も靴下もはいていないし、
何も頭にかぶっていない。私の
残っている目を取り出して、あの子に
やってほしい。そうすればお父さんから
ぶたれないだろう」
「もう一晩、あなたのところに
泊まりましょう」ツバメは言いました。
「でも、あなたの目を取り出すなんて
できません。そんなことをしたら、
あなたは何も見えなくなってしまいます」
「ツバメさん、ツバメさん、
小さなツバメさん」と王子は言いました。
「私が命じたとおりにしておくれ」』 - 19オベロン24/10/31(木) 20:39:37
『そこでツバメは王子のもう片方の
目を取り出して、下へ飛んでいきました。
ツバメはマッチ売りの少女のところまで
さっと降りて、宝石を手の中に
滑り込ませました。「とってもきれいな
ガラス玉!」その少女は言いました。
そして笑いながら走って家に帰りました。
それからツバメは王子のところに
戻りました。「あなたはもう、
何も見えなくなりました」
と、ツバメは言いました。
「だから、ずっとあなたと
一緒にいることにします」
「いや、小さなツバメさん」と、
かわいそうな王子は言いました。
「あなたはエジプトに行かなくちゃいけない」
「僕はずっとあなたと一緒にいます」
ツバメは言いました。
そして王子の足元で眠りました。』 - 20オベロン24/10/31(木) 20:44:56
『「可愛い小さなツバメさん」
王子は言いました。「あなたは
驚くべきことを聞かせてくれた。しかし、
苦しみを受けている人々の話ほど
驚くべきことはない。度しがたい
悲しみ以上に解きがたい謎はないのだ。
小さなツバメさん、町へ行っておくれ。
そして見たものを私に教えておくれ」
ツバメはその大きな町の上を飛びまわり、
ものうげに黒い道を眺めている
空腹な子供たちの青白い顔を見ました。
橋の通りの下で小さな少年が二人、
互いに抱き合って横になり、
身体を暖め合っていました。
それからツバメは王子のところへ
戻って、 見てきたことを話しました。
「私の体は純金で覆われている」と、
王子は言いました。「それを一枚一枚
はがして、貧しい人にあげなさい。
生きている人は、金があれば
幸福になれるといつも考えているのだ」
ツバメは純金を一枚一枚はがしていき、
とうとう幸福の王子は輝きを失い、
灰色になってしまいました。
ツバメが純金を貧しい人に送ると、
笑い声をあげ、通りで遊ぶのでした。
「パンが食べられるんだ!」と、
大声で言いました。
────やがて、雪が降ってきました。』 - 21トレウス24/10/31(木) 21:16:57
「……ついにか…」
- 22佐藤勇一郎24/10/31(木) 21:36:25
雪が降ってきましたね
- 23オベロン24/10/31(木) 22:03:39
『町の通りは銀でできたようになり、
たいそう光り輝いておりました。
水晶のような長いつららが家の
のきから下がり、 みんな毛皮を着て
出歩くようになり、子供たちは
氷の上でスケートをしました。
かわいそうな小さなツバメには
どんどん寒くなってきました。でも、
ツバメは王子の元を離れようとは
しませんでした。心から王子のことを
愛していたからです。パン屋が
見ていないとき、ツバメはパン屋の
ドアの外でパン屑を拾い集め、
小さな翼をぱたぱたさせて
自分を暖めようとしました。
でも、とうとう自分が死ぬのだと
わかりました。
「あなたがついにエジプトに行くのは、
私もうれしいよ、小さなツバメさん」 と
王子は言いました。「あなたはここに
長居しすぎた。でも、キスはくちびるに
しておくれ。 私もあなたを愛しているんだ」
「私はエジプトに行くのではありません」
とツバメは言いました。
「死の家に行くんです。
『死』というのは
『眠り』の兄弟、ですよね」
そしてツバメは幸福の王子の
くちびるにキスをして、
死んで彼の足元に落ちていきました。』 - 24オベロン24/10/31(木) 22:05:58
『その瞬間、像の中で何かが
砕けたような奇妙な音がしました。
それは、鉛の心臓がちょうど二つに
割れた音でした。酷く寒い日でしたから。
次の日の朝早く、市長が
市会議員たちと一緒に、像の下の
広場を歩いておりました。
柱を通りすぎるときに市長が
像を見上げました。
「おやおや、この幸福の王子は
何てみすぼらしいんだ」と言いました。
「何てみすぼらしいんだ」
市会議員たちは叫びました。
彼らはいつも市長に賛成するのです。
皆は像を見ようと近寄っていきました。
「ルビーは剣から抜け落ちてるし、
目は無くなってるし、
もう金の像じゃなくなっているし」と
市長は言いました 。
「これでは乞食と変わらんじゃないか」』 - 25オベロン24/10/31(木) 22:09:10
『「それに、死んだ鳥なんかが足元にいる」
市長は続けました。
「われわれは実際、鳥類はここで
死ぬことあたわずという布告を
出さねばならんな」 そこで書記が
その提案を書きとめました。
彼らは幸福の王子の像を下ろしました。
溶鉱炉で像を溶かすときに、
その金属を使ってどうするかを決める
ため、 市長は市議会を開きました。
「他の像を立てなくてはならない」
と、市長は言いました。
「そしてその像は、
私の像でなくてはなるまい」
「おかしいなあ」鋳造所の労働者の
監督が言いました。 「この壊れた
鉛の心臓は溶鉱炉では溶けないぞ。
捨てなくちゃならんな」 心臓は、
ごみために捨てられました。
そこには、死んだツバメも
一緒に横たわっていたのです。』 - 26ありすとアリス24/10/31(木) 22:15:29
- 27二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 22:18:14
このレスは削除されています
- 28オベロン24/10/31(木) 22:19:29
『神さまが天使たちの一人に、
「町の中で最も貴いものを二つ
持ってきなさい」とおっしゃいました。
その天使は、神さまのところに
鉛の心臓と死んだ鳥を持ってきました。
神さまは「よく選んできた」
と、おっしゃいました。
「天国の庭園でこの小さな鳥は
永遠に歌い、 黄金の都でこの
幸福の王子は私を賛美するだろう」』
かつて、ハニエルを助けるために
自分の半身を差し出した時と同じように
ハイドラの顔をした王子は笑っていました。
心の底から幸せそうに、笑っていました。
オベロン
『...めでたし、めでたし、と。
神に巡り会えるのはいつだって死後だ。
だから、変に期待しちゃいけないよ?
僕たちに宝石や金を運ぶツバメは来ない。
人生を賭けるには、少々分が悪すぎる』 - 29トレウス24/10/31(木) 22:21:10
- 30ありすとアリス24/10/31(木) 22:22:02
- 31佐藤勇一郎24/10/31(木) 22:25:35
- 32鑢イチカ24/10/31(木) 22:27:40
- 33オベロン24/10/31(木) 22:31:52
- 34鑢イチカ24/10/31(木) 22:34:51
- 35ありすとアリス24/10/31(木) 22:37:09
- 36トレウス24/10/31(木) 22:40:31
- 37オベロン24/10/31(木) 22:48:55
- 38ありすとアリス24/10/31(木) 22:52:04
- 39トレウス24/10/31(木) 22:57:39
- 40鑢イチカ24/10/31(木) 22:58:55
- 41オベロン24/10/31(木) 23:05:36
- 42鑢イチカ24/10/31(木) 23:06:53
- 43トレウス24/10/31(木) 23:11:43
- 44鑢イチカ24/10/31(木) 23:15:04
- 45ありすとアリス24/10/31(木) 23:15:44
「・・・・・・」
「アリス?さっきからどうしたの…?難しい顔して考え事して」
「いえ…私たちがこの夢の世界に来たことで与えられた役割りって何なのかしら?って思って…」
「私たちの役割り…?」
「私たちは確かにアンデルセンさんの案内で身体の部位を手に入れてきた…だけどそれって私たちを夢の世界に引き込まなきゃ出来ないことだったの?オベロンさんが『人魚姫』から『喉』を手に入れてクティーラさんが『腕』と『頭』を手に入れていた…正直言ってアンデルセンさん1人さえいれば『赤い靴』と『幸福の王子様』の身体の部位も問題なく手に入っていたと思うの…だからクティーラさんはどうして態々私たちをこの夢の世界に連れてきたのか…って考えてしまって」
「そうか…確かに言われてみれば最低でも私たちが絶対に必要だった…ってわけでもないし…特にこれとといった行動もしていない…これじゃあ私たちがここにいる意味がないものね?」
「だからちょっと気になっちゃって…杞憂だと良いんだけど…」
- 46オベロン24/10/31(木) 23:35:25
- 47トレウス24/10/31(木) 23:40:14
- 48ありすとアリス24/10/31(木) 23:41:22
- 49マルクト24/10/31(木) 23:43:25
- 50鑢イチカ24/10/31(木) 23:47:13
- 51マルクト24/11/01(金) 00:12:54
- 52鑢イチカ24/11/01(金) 00:15:47
- 53マルクト24/11/01(金) 00:17:08
- 54トレウス24/11/01(金) 00:19:23
- 55ありすとアリス24/11/01(金) 00:33:01
- 56鑢イチカ24/11/01(金) 00:34:15