ウマ娘昔ばなし『ジャック・オー・ランタン』

  • 1読み手24/10/31(木) 20:15:31

    昔々、人を騙すことに長けた詐欺師のジャックという男が居ました。


    ジャック dice1d121=62 (62)

  • 2二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:17:27

    ジャック・オー・マチタン…

  • 3二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:19:45

    読み手!読み手じゃないか!

  • 4読み手24/10/31(木) 20:22:56

    「クモさんドリンク〜 クモさんドリンクは要りませんか〜?飲めばたちまち元気満タン、レース1着、トレセン主席卒業!クモさんがちょーっと入ってるけど、味も身体も保証しますよ〜。」
    「これ下さい!」
    「私も!」
    「あ!ずるい!私のが先よ!」
    「えへへーまいどあり〜。」


    「いやー今日も大儲けですなぁ〜。コンビニで買ってきたよくある黄色いドリンクさんから炭酸を抜いただけでガッポガッポ!むはは〜。」

    ジャックは市販のドリンクを特製栄養ドリンクとでっちあげて販売することで生計を立てていました。

  • 5読み手24/10/31(木) 20:25:32

    しかしジャックの商売もそう長くは続きませんでした。

    徐々に購入者からのクレームが増えてきて、商売がやりにくくなってきたのです。


    「むむむ〜。また考え直さないとなぁ…。それかいっそお引越し…?」


    ジャックが悪巧みをしていると、目の前に突然悪魔が現れました。


    悪魔 dice1d121=105 (105)

  • 6二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:27:13

    (ノリだけ)悪魔がきたな…

  • 7読み手24/10/31(木) 20:35:09

    「やーっぱり!とってもグッドな魂の匂いがしたから来てみたけど、あなた相当な極悪人ね!」
    「わあビックリした!どちら様?」
    「私は悪魔!あなたの魂を貰いに来たわ!」
    「え〜。私、他人にタダで物をあげるのが1番イヤなんですけど。お金払ってくださいよう。」
    「悪人のくせにうるさいわね〜。でもね、あなたの魂は地獄で高値で売れるのよ?それってとっても素敵なことじゃないかしら?魂の価値が高いって良いと思わない?」
    「でもですよ?私の懐には一銭も入らないんですよね?魂あげちゃったら死んじゃいますし。」
    「………それはまぁ、そうね。」
    「じゃああげません!本日閉店です!ガラガラピシャーン。」

    ジャックは悪魔の申し出を断りました。
    魂をあげてもどうせ自分が行くのは地獄ですし、何より自分自身が面白くないのをジャックは嫌がりました。

  • 8二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:36:40

    マチタン図太いな…

  • 9読み手24/10/31(木) 20:40:12

    閉め出されたせいでジャックの家の外で困ってウロウロしている悪魔を窓から見ながら、ジャックは次の商売を考えるのではなく、せっかくやって来た悪魔をどう有効活用するかを考えていました。

    「………そうだ。これならいけますかねぇ…?」

    次の日の朝、ジャックは外に居た悪魔にこんな提案をしました。

    「銀貨を下さい!それならあげます!」

  • 10二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:44:49

    ハートさんシンプルに困ってて可愛い

  • 11二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 20:47:48

    相変わらずのエミュ力の高さよ

  • 12読み手24/10/31(木) 20:55:31

    「あら、本当に?銀貨だけでいいの?」
    「ただーし!…使っても使っても無くならない銀貨を下さい!」
    「はぁ…そんな銀貨あるわけないでしょ?」
    「ありゃりゃ。悪魔さんでも無理ですか?」
    「何よその言い方。……まぁ、出来なくもないわ。一度使われたとしても自動的に増える銀貨に、私自身がなるの。」
    「おー!やっぱり悪魔さんは凄いですねぇ。」
    「でも、そんなの持ってどうするのよ。魂取られちゃうのに。」
    「あ、そうですよここからが本番です。で、その代わりに魂を取るのを10年後にしてくださいな。」
    「……なるほど、私を使って10年間遊び倒そうって魂胆ね。まぁいいわ。その代わり絶対に10年後にあなたの魂を何が何でも貰うから!いいわね!」
    「はーい、分かりましたので今日から財布さんのお留守番よろしくお願いしまーす!」

    こうしてジャックは、悪魔が変身した使っても使っても無くならない魔法の銀貨を手に入れ、悪魔の見立て通り10年間遊びに遊んだのでした。

  • 13読み手24/10/31(木) 21:06:36

    10年後、日付が変わった瞬間に財布の中の銀貨が元の悪魔の姿に戻りました。

    「その姿だとお久しぶりですね悪魔さん!もうあれから10年ですよ10年!」
    「ええそうね!私もこの日を待ち侘びてたわよジャック!さあ!早速魂を……。」
    「わーっ!何してるんですかぁ!キチンと10年後にしてもらわないと!」
    「……10年経ったわよ?」
    「こーんな真っ暗じゃなかったでしょう。朝でしたよね?銀貨になってもらった時。」
    「まぁ…そうね。」
    「厳密には10年後じゃないですよね?」
    「………そうね。」
    「じゃあ朝まで待ってくださいね。いいですか?」
    「はぁ…分かったわよ。」

    部屋の隅で不貞腐れる悪魔を尻目に、ジャックはそのままベッドで横になりました。

  • 14読み手24/10/31(木) 21:15:45

    ジャックは朝早くに目を覚ますと、庭でお茶を飲み始めました。

    「もうすぐで約束の時間ね。最後の晩餐ってところかしら。」
    「そうですねぇ。でもお茶が晩餐なのも味気ないですなぁ。………あっ。」

    ジャックは庭の木にリンゴが成っているのに気が付きました。

    「あのリンゴ、食べて良いですか?私が死んじゃうとこの庭もどうせ意味無くなっちゃいますし。」
    「………まぁ、それぐらいなら…。」
    「ありがとうございます!」

    ジャックはリンゴの木の下に行ってみましたが困ってしまいました。リンゴの実はかなり高いところにあるのです。

    「失念してましたなぁ。朝から木に登るのは難しそう…。」
    「はぁ…私が取りに行ったげるからそこに居なさい。」
    「えー!?悪魔さんありがとう!」

    見かねた悪魔は宙に浮かんでリンゴを取りに向かいました。

  • 15読み手24/10/31(木) 21:51:39

    「まったく…変なところで鈍臭いわね。……なっ!?」

    悪魔がリンゴのところまで向かうと、リンゴの実に十字が刻まれていました。
    悪魔は魔除けである十字を見ると姿が固まってしまうのです。

    「お〜本当に固まるんですねぇ。悪魔って不思議ですねぇ。」

    実はこのリンゴの十字は昨日の段階でジャックが彫っていたものでした。

    「た、助け…。」
    「助けてほしいんです?」
    「イ、イエス…!」
    「じゃあ、魂は諦めますか?」
    「分かった…!諦めるから…!」
    「うーん、あとですねぇ。」
    「な、何よ…!?」
    「どーせ私、地獄行きですから、地獄へ行かなくてもいいよって感じの契約書とか書いてもらえると嬉しいなぁ〜なんて。」
    「わ、分かったわよ書くわよ…!う、ううー!」

    悪魔は涙ながらにジャックが地獄に行かなくてもよくなる契約書を書いて、そのまま地獄に帰って行きました。

  • 16二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 21:54:57

    かわいそうな悪魔

  • 17読み手24/10/31(木) 21:55:02

    数十年が経って、ジャックは寿命で亡くなりました。

    ジャックの死体から幽霊のジャックが幽体離脱のように出てくると、何処からともなく地獄からの使者がやって来ました。


    地獄からの使者 dice1d121=48 (48)

  • 18読み手24/10/31(木) 22:02:47

    「よお、迎えに来たぜ。」
    「ありゃ!そんなガラが悪そうな見た目!地獄から来た人ですか?」
    「そうだが…。おいおい、まさか天国に行くか地獄に行くかで賭けてたのか?アンタの人生見つめ直してみろよ。地獄行きが当然だ。」
    「へーっ、本当にそうですかね…?」

    ジャックは悪魔が書いてくれた契約書を使者に見せました。

    「な…!?なんだこの紙…!?聞いてねぇぞ…!?」
    「ふふーん、どうです?これ、悪魔さんのハンコですよね?」
    「ま、間違い無い…。なんてこった……アイツ…何でんな事してんだよ…!?」
    「さ!帰った帰った!私は地獄になんて行きませんよーだ!」
    「く、クソッ…!勝ったと思うなよ!不戦勝なだけだ!」

    使者は捨て台詞を吐いて地獄に帰って行きました。

  • 19読み手24/10/31(木) 22:47:33

    「さ〜て、意気揚々と天国行っちゃいますかね〜。」

    ジャックは天国に向かう扉を開けようとしましたが、扉は固く閉ざされて開きません。
    どういう事か悩んでいると、横の貼り紙にこう書かれていました。

    『この扉、罪人通るべからず。』

    なんとジャックは地獄に行かなくてもよくなったものの、とっくに天国にも行けなかったのでした。

    「そ、そんなぁ…。」

    ジャックは天国か地獄のどちらかにいつか行けるように、カブをランタンにした物を持って自身を照らし、今も現世を彷徨っているのでした。

    おしまい。

  • 20読み手24/10/31(木) 22:53:34

    お疲れ様です。今日はハロウィンという事で『ジャック・オー・ランタン』の昔話をお送りしました。
    原作だとジャックはカブをランタンにしているのですが、ちょうどアメリカのこの時期は採れたカボチャが余るそうで、現在はそのカボチャを有効活用するためにカボチャをランタンにするようになったそうです。
    最初はこれではなく、怪談話でもしようかとも思いましたが流石にマイルドめな昔話にしました。怪談話はまたいつかの機会で…。
    改めてお疲れ様でした。また次のお話で…。

  • 21二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 22:54:27

    お疲れ様でした

  • 22二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 22:55:36

    お疲れ様でした 
    面白かったです

  • 23二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:00:18

    今回は短めだったね

  • 24読み手24/10/31(木) 23:02:38

    >>23

    ダイスも3回しか振りませんでしたからね。思ったよりお話膨らまなかった…反省です。

  • 25読み手24/10/31(木) 23:04:16

    せっかく短く終わったので、走れメロスの時にも行った次回のお話をダイスで決めたいと思います。
    下のレスから10レス分まで受け付けようと思います。よろしくお願いします。

  • 26二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:07:56

    銀河鉄道の夜

  • 27二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:10:05

    美女と野獣

  • 28二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:10:30

    眠れる森の美女

  • 29二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:10:43

    不思議の国のアリス

  • 30二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:10:59

    おしいれのぼうけん

  • 31二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:11:05

    罪と罰

  • 32二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:11:34

    ピーターパン

  • 33二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:12:24

    テンペスト(戯曲)

  • 34二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:13:25

    マクベス

  • 35二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:13:58

    リア王

  • 36二次元好きの匿名さん24/10/31(木) 23:18:41

    ねないこだれだ

  • 37読み手24/10/31(木) 23:31:05

    皆さんレスありがとうございます。

    では、ダイスで決めさせていただきます。ドキドキ…。


    dice1d10=8 (8)

  • 38読み手24/10/31(木) 23:34:45

    という訳で次回はシェイクスピアの『テンペスト』をお送りします。
    色んな物語の題材になっているお話ですね。長めなので結構時間が取れた時に挑戦しようと思います!それでは早いですが次回もお楽しみに!

  • 39二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 01:02:39

    (地獄からの使者でスパイダーマッが脳裏に浮かんだなんて誰にも言えない……)

  • 40二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 01:17:20

    ジャック・オー・ランタンの原作知らんかったけど天国、悪魔、リンゴに十字架とキリスト教の世界観がふんだんに入ったお話だったのか
    面白いし勉強になったわ

  • 41二次元好きの匿名さん24/11/01(金) 01:36:57

    いつもスレが終わってから見てたけど、初めてスレ出来る時に見れた!
    次作どうなるのか今から楽しみにして待ってます!

スレッドは11/1 13:36頃に落ちます

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