- 1二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:04:40
- 2二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:08:26
ご飯食べ次第、順次落としていきます
- 3二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:09:21
SS読むの久しぶり、楽しみに待つね
- 4二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:25:25
そうなんだ…
- 5二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 21:55:22
どっかで倉本山小屋が出てきそう
- 6二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:07:04
あにまんってSS流して良かったのか
読むのも書くのもちょっと飢えていたんだ - 7二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:21:15
ご飯食べおわりました、投下開始します。
人いっぱい、緊張。 - 8二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:22:53
広「ふふ、外真っ白……出歩いたらすぐみんな雪だるまだね」
佑芽「見て!! 千奈ちゃん、窓にでっかいつららあるよ!! 3本も!!」
千奈「なんでそんな皆様方、落ち着いてらっしゃるのですわ!?」
千奈「……それでは、えっと。
ま、まずは、状況を整理いたしましょう! そう、まずわたくしたちは――」
広「スキーをしてたら、足を滑らせてあらぬ方向に転がっていった。
他の1年生と合流できなくて困ってたところ、管理用と思わしき山小屋にたどり着いた」
佑芽「2人とも、出会ったとき雪だるまみたいだったね!」
千奈「まさか、わたくしたち三人全員転がり落ちてるとは思いませんでした……」 - 9二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:23:47
広「私は雪の中に埋まってたから、二人が来てくれて助かった。
……あともう少しで、氷漬けのマンモスみたいになってた」
千奈「お、恐ろしいですわ……。本当に花海さんがいてくれて助かりました。
わたくし一人では上半身が完全に埋まった篠澤さんを助けることはできませんでしたわ」
佑芽「えっへん! あたしが足を滑らせたからだね!!」
千奈「助けてもらったはずなのに、なんだかものすごくしまらないですわ……!」 - 10二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:24:53
佑芽「それで、千奈ちゃん。これからどうするの?」
千奈「こ、これから。そうですわね。これから……これから、どういたしましょう」
広「遭難したときは下手に動かないのが定石。ここで、救援を待つ方がいいと思う」
千奈「そ、そうですわね……!
電気ストーブもありますし、見た感じ食べ物もあるみたいですし、救助が来るまではなんとかなりそうですわ!」
佑芽「あ~電気ストーブ暖かい~。お姉ちゃんの背中みたい!」
千奈「花海さんのお姉さんってどんな体温してますの……?
ほら、篠澤さんも、ストーブまで来てくださいませ、一番冷えてらっしゃいましたし」
広「ふふ……しもやけがすごいことになりそう。楽しみ」
千奈「やっぱり、ちょっと篠澤さんはストーブから距離を置いたほうが良いですわ!」 - 11二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:30:05
千奈「それにしても、せっかく皆さんとのスキー旅行でこんなことになってしまうだなんて……」
佑芽「えへへ、北海道なんて初めてきたよ! 本当にどこもかしこも雪まみれだね!」
広「秋田も雪は降るけど、北海道は雪の質が違うね。すごくふわふわしてる。
……ほら、窓についてる雪、結晶が見えるよ」
佑芽・千奈「本当だ! きれーい(ですわー)!」
千奈「……じゃなくて! ごめんなさい。
倉本家が管理するスキー場で、お二方にこんな目に合わせてしまうだなんて」
広「それ、千奈が謝ること?」
佑芽「そうだよ、転がったのはあたしたちのせいだし、千奈ちゃんは悪くないよ!
それに、こうして3人でいられるの、すっごく楽しいし!」
広「ふふ、忘れられない思い出になりそう」 - 12二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:32:37
千奈「そ、そうでしょうか? それなら……良かったのですけど。
あ、そうだ。そこの棚にお茶がありますし、皆さんに淹れて差し上げますわ! なんのお茶がよろしいかしら!」
佑芽「あたし、ウーロン茶がいい!」
千奈「ウーロン茶! いいですわね、とっても元気が出そうですわ!
篠澤さんは?」
広「スーティ・ツァイ」
千奈「……えっ? スー、えっとスー……。なんですの……?」
広「ううん、なんでもない。私もウーロン茶でいいよ」
千奈「えっ、でも」
広「私、温かいウーロン茶って初めて飲むかも」
佑芽「あ、あたしもー! プロデューサーがくれるウーロン茶っていっつも冷えてるよねー!」
千奈「き、気になりますわ~ッ!!!」 - 13二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:37:33
千奈「それでは、お二方。お茶が入りましたわ!」
佑芽「やったー! ありがとう、千奈ちゃん!」
広「ありがとう、千奈」
千奈「えへへ、それではお二方、これで体を温めてくださいま――」
――ブツッ!
千奈「ぎゃーっ!!? な、なんですのー!? と、突然真っ暗になりましたわー!!」
佑芽「ス、ストーブも止まっちゃった!!」
広「――たしか。うん、あった。ふたりとも大丈夫?」
千奈「わっ! 明るい!」
広「小型のLEDライト。一応、こういうこともあると思ったから」
佑芽「さっすが広ちゃん! 頼りになるぅ!」
広「ふふ……旅行先でもやっぱりトラブルは尽きないね。……楽しい」
千奈「あ、あの篠澤さん、照らされたお顔がとっても怖いですわ……」
広「……そう? そうだ、そこにペットボトルとコップがあったよね。コップに懐中電灯を入れて、その上にペットボトルで――。はい、簡易ランタンの出来上がり」
佑芽「おぉ! 部屋全体が明るくなった! すっごーい!」 - 14二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:39:06
千奈「そ、それにしても……どうして突然停電に? さっきまでまったく問題ありませんでしたのに」
広「……多分だけど、この小屋ずいぶんと傷んでるから。ストーブとかの熱気が外に漏れ出て、つららが落ちたんだと思う。そこに電線があって、多分それで千切れた」
千奈「わ、わたくしたちがストーブをつけたせいだったのですわね……」
佑芽「あぁ、だんだんストーブの熱がなくなってくよぉ……」
千奈「ど、どうしましょう!? このままどんどん冷えていったら、お外と同じ寒さになってしまいますわ! 小屋の中で三人氷漬けのマンモスになってしまいますわー!」
広「……外に連絡したほうが良いね」
千奈「み、皆様、スマートフォンはお持ちでしょうか!?」
広「……ロッジで充電器に繋いだまま」
千奈「あ、わたくしもですわ……。は、花海さんは!?」
佑芽「え、えへへ……スキーで転んだ時に落としちゃった」
千奈「は、花海さ~んッ!?」 - 15二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:41:32
千奈「ど、どうしましょう……」
広「さっき、千奈が入れてくれた温かいお茶があるから、しばらくは寒さは大丈夫だと思う。だけど、連絡ができないのは、あまり良くない」
佑芽「外は相変わらず、吹雪がすごいことになってるね……」
千奈「そ、そうですわ。きっとロッジと連絡する電話があるはずですわ! それで――って、あぁ……電気が通ってないんじゃ意味がありませんわね……」
広「……電気だけならどうにかなるかも」
佑芽「えっ、広ちゃんそれ本当!?」
広「さっき切れたのが配電線だけで、電話線が切れてないなら」
千奈「す、すごいですわ、篠澤さん! やってみましょう! こういう時はできること、ぜーんぶやってみるものですわ!」
広「わかった。――てってれー、ポータルブルジェネレーター」
千奈「ポ、ポータブル……」
佑芽「ジェネ……何?」
広「ポータブルジェネレーター。携帯式発電機。ハンドルを回すことで、発電できる発電機。ラジオとかにたまについてるアレ」
千奈「ラジオに……ついてますの?」
佑芽「ラジオってスマホで聞くやつしか知らないかも……」
広「…………。
ともかく、この発電機のカバーを外して、コンセントを差し込んだ状態でハンドルを回せば通電するよ」 - 16二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:43:40
佑芽「すごーい! ……でもなんでそんなの持ってるの? モバイル充電器とかならわかるけど」
広「ふふ……ここに来てからずっとトラブルいっぱいだから……。またこういうこと起こるかなぁって」
千奈「ど、どうして嬉しそうなんですの……? と、とりあえず回せば良いのですのね!」
広「ふふ、それは私の自信作。回路設計、ハンドルの強度、オリジナルのコイルと磁石――すべてこだわりぬいた発電機。理論上は、ちょっとした暖房器具も動かせる」
佑芽「よくわからないけど、なんかすごいことだけはわかったよ! 広ちゃん!」
千奈「では、回しますわ~! せーのっ! ふぬ~っ!」
広「ただ、ふふ……。
しっかり作りすぎて、回すには成人男性並の腕力が必要。私が全力で回そうとしても、うんともすんとも言わない」
千奈「し、篠澤さん!? ちょ、こ、これ……全然ビクともしませんわ~ッ!! ふぬぅッ!」
佑芽「……自分でも動かせないなら、失敗作じゃないの?」
広「ふふ、ひどい、佑芽。ぐうの音も出ない」
千奈「ダ、ダメですわ……。ビンの蓋も開けられないわたくしでは、力及ばずですわ」
広「ふふ、私もビンの蓋開けられない。仲間だね」 - 17二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:45:57
佑芽「千奈ちゃん。あたしにも貸して!」
千奈「花海さん!? もしかして、自信がありますの!?」
佑芽「えへへ、わかんない。でも、できるかもしれないし! やってみる!」
千奈「わ、わかりましたわ。それでは、花海さんに託しますわ!」
佑芽「……う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛ーっ!」
千奈「すごいっ! ま、回りましたわ! わたくしがあれだけ全力で回してもビクともしなかったというのに――ッ!」
広「さすが。佑芽は人間じゃない」
佑芽「だから人間だってぇ! それで、広ちゃんこれで発電できてるんだよね!?」
広「できてる。1W、2W、5W……どんどん、電力が上がっていく。すごい」
千奈「そ、そしたらえっと……まずはお電話ですわね! 電話線が繋がってることをお祈りいたしますわ~!」 - 18二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:49:14
千奈「……繋ぎましたわ! えっと、画面も――付きました!」
広「電話線も繋がってる表示が出てるね、良かった」
千奈「では、受話器を取って……。な、なんだか変な音がしますわ~!?」
広「変な音? ……あ」
佑芽「えっ? どうしたの広ちゃん。あたしの顔になにかついてる?」
広「佑芽、回し過ぎかも」
佑芽「え゛っ、回し過ぎとかあるのこれ!?」
広「ある。それと、回す時は等間隔。一定のスピードかつ、遅すぎても、早すぎてもダメ」
佑芽「う、うーん。それじゃ……これくらい?」
広「……ちょっとまだ早いかも」
千奈「あっ! わかりましたわ! お歌のリズムでやってみるのはどうでしょう!」
広「なるほど、名案」 - 19二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:50:57
佑芽「歌? な、なんだろ……」
広「アンパン◯ンのマーチとか」
佑芽「えっ!? み、見てたの小さい頃過ぎて歌詞わからないよ~!」
千奈「でしたら、課題曲はいかがでしょうか! この間、やっと覚えた~って言ってましたわよね!」
佑芽「あ、あれだね! うん、わかった!」
広「それじゃ、かける先はどうする?」
千奈「えっと、秦野さんで! きっとわたくしたちを探しているはずですわ!」
広「オッケー。それじゃ行ってみよう」
千奈「では、花海さん! お願いいたしますわ!」
佑芽「うん! ひとつぅーのゆーめ、叶うまーで負けなーい! 行くよぉ~ッ!」
広「……曲選に一抹の不安を覚えた」 - 20二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:52:02
千奈「もしもし、秦野さん? ……出てくださいますでしょうか」
広「もしかしたら寝てるかも」
千奈「あ、ありえそうですわ……あ! 繋がりました!」
『おかけになった電話番号は電源が入っていないか電波がとどかないところにあるためかかりません』
広「……どう?」
千奈「ダメですわ! 電源が切れてるみたいですわ!」
広「ふふ、ままならないね……。次行こう」
千奈「はい、えっと……それじゃ、せんせ――プロデューサーにかけましょう!」
広「たしかに、プロデューサーなら来てくれそう」
佑芽「全力ゥ! だぁしてぇ! 倒れるまではァ! ペース配分不要なんです!」
広「ペース配分はしてね、佑芽」 - 21二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:54:29
千奈「えっと、先生の電話番号は……こうですわ! 出てくださいまし……!」
『はい、こちら――』
千奈「先生! 良かった……! 繋がりましたわ……!」
『倉本さん? ……この番号、どこか外にいるのですか?』
千奈「はい、はい……! 今、篠澤さんと花海さんと「絶対~! 負けない! くよくよ負けてるそんな時間はァ……ない!」」
『……えっと、よく聞こえなかったのですが。そこに誰か他にいるのですか?』
千奈「えっ、えっと。だから篠澤さんと、花海さんがおりますわ! 電波が遠いのでしょうか……」
『篠澤さんと花海さんが? ……もしかして旅館からかけてます?』
千奈「あぁ、いえ。旅館というわけではないのですけど、ところで「泣いて、笑って、手を繋いで! 夢掴む準備はいいねッ? ひとつぅーの、ゆーめッ! かなえたーい思いは♪」」
千奈(――花海さん、すっかり気持ち良くなっちゃってますわぁ!?) - 22二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:55:57
このレスは削除されています
- 23二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 22:58:43
『……課題曲?』
千奈「あっ、あの! 花海さん、もう少しだけお声を小さく歌っていただけませんでしょうか……」
佑芽「えっ? 何、千奈ちゃん?」
千奈「あぁっ!? 回す手を止めてはいけませんわ!」
佑芽「あっ、うん。そうだった! いつも、いつでも止まらなぁい!」
千奈「うぅん、こうなったら……てっとり早く用事を伝えなくては。えっと、先生はどちらにいらっしゃいますの!?」
『はい、俺ですか? 兵庫です』
千奈「えっ、兵庫……? 北海道、ではなく?」
『はい。プロデューサー科は今回、アイドル科とは途中から別行動です。兵庫県には歌劇団の大劇場がありまして。プロデューサー科は歌劇団のミュージカルを見学することになっています』
千奈「そ、そうでしたのね……」
『それで、倉本さんはどちらに?』
千奈「い、いえ! なんでもありませんでしたわ! わたくしたちは大丈夫ですから先生はミュージカルを楽しんでくださいませ!」
『はい? 倉本さ――』ガチャッ - 24二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:01:16
千奈「ダメでしたわ~!!」
広「……説明、しなくて良かったの?」
千奈「せ、説明なんてしようものでしたら、せんせ――プロデューサーは今すぐ学校行事を抜け出して飛行機に乗ってこっちに来てしまいますわ! 絶対の信頼がありますの!」
広「たしかに。あの人ならやる」
千奈「わたくしたちのミスで、プロデューサーの経歴に傷はついてはいけませんわ。……つ、次! 次がありますの!」
千奈「……全部、ダメでしたわぁ」
佑芽「千奈ちゃん、あたし、ごめん。さすがに疲れちゃった……。腕パンパンだよぉ」
千奈「いいえ。今まで回してくれて本当に助かりました。どれだけお礼を言っても足りないですわ……」
広「千奈がさっき入れてくれたお茶もみんな飲み干しちゃったね」
千奈「お外は……まだ吹雪いてますわね。まだ、小屋の中からは出られそうにもありませんわ」
広「体力の都合を考えても、もう出歩くのは難しいと思う。多分、私は外に出て十歩で氷像になる未来が見える」
千奈「でしたら……できるだけお体を冷やさないように待つしかないのですのね。もう少ししたらまたお電話をかけてみましょう……」
広「そこにある空のダンボールを体に巻こう。少しだけだけど、断熱効果がある」 - 25二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:05:08
佑芽「……あたし、お腹減ったかも」
千奈「たしかに、ここに来てから時間が経ちましたものね。
そしたら……ええと棚にある食べ物を。あぁ、カップ麺ばかりですわ……」
広「お湯が……。頼りの佑芽も疲れてるし」
千奈「あっ、でもチョコレートがありましたわ! みんなで分け合って食べましょう!」
広「定番だね。高カロリー、糖質。いろんな栄養素も摂取できる」
千奈「……ボソボソしてますわ」
広「湿気ってるね。……カビは生えてなさそうだけど」
佑芽「でも、味は美味しいよ!」
千奈「わたくし、今日ほど食べ物に感謝した日はありませんわ……。
温かいところで、美味しい食べ物が食べられるのって、本当に幸せなことなんですのね……」 - 26二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:07:31
千奈「ふふっ、そうですわねっ! 雪山で遭難したアイドル、多分初星学園でわたくしたちが初めてですわ! えぇ、初めてはとてもいいことですの!」
広「……ダンボールを齧る初めても挑戦してみようかな。もしかすると私の胃に隠されていた消化酵素があるかもしれない」
千奈「篠澤さんっ!? そ、それは挑戦しなくていい初めてですわ!」
広「ふふ、冗談。……少しだけ興味あるけど」
千奈「篠澤さんの冗談はたまに冗談に聞こえませんわ……」
佑芽「……ぐぅ」
千奈「えっ? 花海さん?」
広「……寝てる?」
千奈「は、花海さぁんっ!
ね、寝たらダメですわぁ! 寝たら死にますわぁ! お、起きてくださいまし!」
佑芽「うぅん……五分だけ……五分だけ」 - 27二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:08:33
千奈「……う、うーん。しょ、しょうがないですわ。花海さんはつかれてるでしょうし。でも、三分だけにしましょう。それ以上はきっと危ないですわ。
それでいいかしら、篠澤さん――」
広「うん、良いと思う」
千奈「……あの、どうして上着脱いでらっしゃいますの?」
広「チョコ食べたら元気出てきた。暑い。
……と思ったんだけど、千奈は暑くないの?」
千奈「バリバリ寒いですわっ! 温度計は――ほら7℃ですの!」
広「……冷蔵庫と同じくらいの温度。なるほど、矛盾脱衣」
千奈「矛盾、脱衣?」
広「寒くなりすぎると、体温の調節が上手く行かなくなって寒さを暑さと誤認する。こういう感じなんだ」
千奈「れ、冷静に仰ってますけど、それってあまりよろしくないのでは?」
広「とても良くない」
千奈「い、今すぐ上着を着てくださいませ! 私のダンボールも差し上げますわ! それと、カップ麺も食べてくださいませ!」
広「生カップ麺、いただきます」 - 28二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:09:12
千奈「それと、花海さんも起きてくださいませ! もう三分は経ちましたわ!」
佑芽「うぅーん、もう食べられないよぉ……」
千奈「ごちそうを食べる夢を見てらっしゃる!?」
広「ダンボールかも」
千奈「ダンボールからはもう離れてくださいませ! 起きてください、花海さぁん!!」
佑芽「……んぅ、お姉ちゃん?」
千奈「私、花海さんのお姉様ではありませんわ! ですから、ほら起きて――」
佑芽「……お姉ちゃんの匂いがする」
千奈「し、篠澤さん! 人間って追い詰められると、存在しない匂いもかげるようになりますの!?
……って、篠澤さん、あの」
広「聞いたことない。
……あ、着てるよ。着てるから。矛盾脱衣はしてないから。生カップ麺しょっぱいね」
千奈「今、半脱ぎしてましたわ!!」
広「それは気のせい。まぼろし」
千奈「あーもう、本当に早く誰か来て欲しいですわぁぁ~ッ!」 - 29二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:11:00
咲季「――ここねっ、見つけたわっ!」
千奈「えっ、あなたは……」
佑芽「はっ、この匂い――! お姉ちゃんだっ!!」
咲季「もう、佑芽。スキー場にスマホ落としていったでしょ。
今回は私が拾ったから良かったけど、もし私が気づかなかったら完全にスマホをなくすことになってたわ」
佑芽「うん、ありがとう! ……わぁ! ちゃんと電源もつく!」
咲季「うふふ、どういたしまして。もう落としちゃダメよ?」
千奈「……は、花海さんのお姉様? どうしてここが?」 - 30二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:12:34
手毬「……本当にいた。いくら落ちこぼれだからって、スキー場からも落ちこぼれないで欲しいけど」
千奈「ひぇっ、あ、あなたは――」
手毬「そ、そんな顔することないでしょ。私たち、助けに来たんだから!」
千奈「そ、そうでしたわ。お二方、ありがとうございます。あやうくこの山小屋にカオスが生まれるところでしたわ……」
手毬「……といっても、実際に頑張ってたのはプロデューサー。
あなたたちの電話の後『何か、尋常ではなさそうだから』って地図アプリでスキー場とその周囲を徹底的に調べ上げて、私達に探索ルートを送ってきたの。
……まったく少しは探す身にもなってほしいよ」
千奈「そうなのですの、プロデューサーが。……本当、先生にはご迷惑をかけてばかりですわね。今度、お礼をしませんと」
手毬「……でも、無事で良かった。さすがに、ち、違うクラスとはいえ何かあったら寝覚めが悪いから」
広「手毬、心配してくれてありがとう」
手毬「そ、そんじゃないから! 良いからほら、とっととロッジに帰るよ、今はちょうど吹雪も止んでるし」 - 31二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:15:30
佑芽「はーい! それじゃ、行こう! 千奈ちゃん」
千奈「そうですわね! ……あ、あら?
あ、頭がちょっとふらふらしますわ」
広「……立てない」
千奈「あぁ! 篠澤さんがくまさんのぬいぐるみのようなポーズのまま動けなくなってますわ!?」
咲季「ちょっと、皆顔色悪いじゃない! ふふふ、精が出るにはこれよ! 私特製SSD!!」
手毬「うわ出た。こ、こんな時まで持ってきてるの?」
咲季「当然じゃない! 運動の後はこれが一番効くんだから!」
佑芽「やったー! ありがとう、お姉ちゃん! 千奈ちゃんと広ちゃんも飲もうよ」
千奈「あっ……」
広「ふふ、私たち逃げられないね。千奈」
千奈「い……」
千奈「いただきますわぁ~~!!!」
-完- - 32二次元好きの匿名さん24/11/03(日) 23:19:46
ドがつくほど、緊張してしまい、ちょっと耐えられなかったので続けざまに投下してしまいました……。
SS自体、ちょっと初めてだったので色々反省点が多いです。
今後は、あにまんで見栄えが良くなるように、色々研究してみます。
ここまで見てくださった方、ありがとうございました! 千奈P増えろ、千奈P増えろ……。 - 33二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 00:42:53
乙
面白かった - 34二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 00:54:20
ありがたや…ありがたや…(千奈Pより)
補習組のわちゃわちゃした雰囲気がいい感じに表現されててほっこりした
SS全然わからんけど初めてでこれは凄いと思うよ
面白かったです、ありがとう - 35二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 08:28:29
面白かった!
- 36二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 08:34:38
歌声でかき消されてたのは笑った
- 37二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 10:57:23
良いのよこういうのもっと流行ってくれても(強欲
- 38二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 12:32:51
とてもよかった
補修組だからこそ遭難したんではあるけど、遭難したのがこの3人で良かったね…
長所を活かして無事生還できたわけだし - 39二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 16:00:17
乙です!
脳内動画再生余裕でした!
・・・ひょっとしてこのドリンクがあればどんな状況からでもオチに持って行けるのでは🤔 - 40二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 17:45:07
- 41二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 17:52:05
- 42二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 19:57:15
すみません、投稿テンパってたみたいで、一部抜けてました……。
抜けてた部分を投稿します、本当ゴメンナサイ……。 - 43二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 19:58:14
ウメ「……あーあ、お姉ちゃんのSSDが飲みたいなぁ」
千奈「え゛っ。……あ、あぁ、でもたしかに。あれを飲めばすごく力は湧いてきますわ」
広「いざとなれば、カップ麺をそのまま齧ろう。味はともかく、一応カップ麺には脂質もあるから」
ウメ「そういえば、聞いたことあるかも。ダンボールって食べられるって」
千奈「そ、そうなんですの?」
広「口にいれることはできると思う。……だけど人間の胃はリグニンやセルロースは分解できない。つまり栄養にはならない。だったら、体に巻いてた方が良いと思う」
千奈「……カップ麺、一度も今まで食べたことなかったのですけれど、まさか初のカップ麺がそのまま齧ることになるかもしれないのですのね……ふふ、今日は人生初めてのことばっかりですわ」
広「そうだね、初めてのことばっかり。人生はままならない」
ウメ「……でも、あたし楽しいよ! この三人だから」
千奈「ふふっ、そうですわねっ! 雪山で遭難したアイドル、多分初星学園でわたくしたちが初めてですわ! えぇ、初めてはとてもいいことですの!」
- 44二次元好きの匿名さん24/11/04(月) 20:00:53
これが25の後ろに入る感じです、マジで初投稿で焦りすぎてて気づきませんでした。あばばば……