- 1ホットドリンク大好き24/11/05(火) 08:27:44
- 2ホットドリンク大好き24/11/05(火) 08:28:28
- 3二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 09:24:30
10まで
- 4ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:47:27
───── SS:注文の多いラーメン屋 ─────
アル:
「・・・ここで合ってるわよね・・・?」
カヨコ:
「合ってるはずだけど・・・。」
アビドスと一緒にいた、ちょっと格好いい仮面を被った生徒が便利屋68の下を訪れたのは つい先日のことだった。
ちょっと やんちゃな性格をしたその子は、「ウチのボスから お前らに話があるんだ!」・・・と その小さな躰の胸を張って語った。
・・・今頃ムツキに、ハルカと二人で弄くり回されている頃だろう。
そんな経緯から、詳細な依頼の話を聞こうと指定された待ち合わせ場所にやってきたアルとカヨコだったが、早速 場所を間違えたのではないかと不安になった。
というのも、軒先に『不知火ラーメン』という暖簾が掛けられていたからだ。
飲食店で打ち合わせとは聞いていない。 - 5ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:48:11
アル:
「まぁ、まずは入ってみましょ?」
カコヨ:
「そうだね。」
意を決して、『不知火ラーメン』の暖簾を潜って扉を開ける。
カヤ:
「おやおやおや・・・腕が鈍りましたか、ユキノ。」
ユキノ:
「・・・ふん。
私のチャーハンを食べてみてから考えるんだな。」
カンナ:
「───おい!
トッピングを取ってきたぞ!
要るなら最初から言え!
ウチから ここまで往復するハメになっただろうが!!」
カヤ:
「おや、カンナ。
早かったですね。
それより味見をさせて貰えますか?」 - 6ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:48:48
カンナ:
「あ?
苦労してD.U.からアビドスまで往復してきた元相棒に言う言葉がそれか?
いいだろう、今すぐ鉛玉を食わせてやる。
そこで 大人しく待ってろ。」
オトギ:
「ちょっ・・・落ち着きなってぇ~。」
カンナ:
「離せッ! アイツに一発 鉛玉を食らわせてやるッ!!」
オトギ:
「力つよ・・・っ。
ちょっと、クルミ! 手伝ってぇ!」
クルミ:
「・・・え!? 私 今、酢飯を混ぜてるところなんだけど!?」
ニコ:
「ダメだよ、ニコ。
お稲荷さんは酢飯が命なんだから。」 - 7ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:49:08
クルミ:
「そ、そうよね。」
カンナ:
「私のッ! 邪魔をッ! するなぁぁぁぁ!!」
オトギ:
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
バタンッ
アルは扉を閉めた。
アル:
「・・・場所を、間違えたみたいね。」
カヨコ:
「・・・そうだね。」
そうして そのまま去ろうとして─── - 8ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:50:15
カヤ:
「───おや、声も掛けずに退店とは失礼ですね。
2名様で宜しいですか?」
カヤに捕まる。
アル:
「え、あの・・・。
私達 依頼人を探していて・・・。」
カヤ:
「私が その依頼人ですよ。
とりあえず中に───」
カンナ:
「うぉぉぉ!!
カヤぁぁぁぁぁ!!」
カンナが軒先からカヤに殴り掛かってくる。
カヤ:
「おや、失礼。(カンナの拳を受け止めながら)
先に店内で寛いでいて下さい。
私は この人を落ち着かせてから戻りますので。」 - 9ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:51:01
アル:
「え、ええ・・・。」
カヨコ:
「・・・。」
殴り合う二人を尻目に、アルとカヨコは店内に入る。
オトギ:
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・い、いらっしゃいませ。
こちらへどうぞ・・・。」
疲れ切ったオトギに案内されるまま、二人はカウンター席についた。
客は他に誰もいない。
お通しです。
そう言わんばかりに、水と・・・お稲荷さんが出た。
ニコ:
「騒がしくてすみません。
とりあえず、こちらをどうぞ。」
アル:
「え、あぁ・・・ありがとう。」
カヨコ:
「ありがと。」 - 10ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:51:47
水と お稲荷さんを受け取った二人は、先に少し水を飲んでから お稲荷さんに手をつける。
・・・これは。
ホカホカの酢飯の酸味に、甘い油揚げがマッチしている。
最高に美味しい。
二人がお稲荷さんを味わっていると、今度は何を言うでもなくチャーハンがコトッと置かれた。
そして肝心の置いた相手は、仏頂面で二人を見つめている。
アル:
「えっと?」
ユキノ:
「食べてみろ。」
それだけ言って、レンゲを手渡してくる。
とりあえず口にいれる。
・・・これは。
パラパラになった米に、塩コショウを筆頭とした香辛料がマッチしている。
大きめの具材も合っている。
最高に美味しい。
カヤ:
「───失礼。 ようやく終わりました。」
カンナ:
「まぁ、今回はこれくらいで許してやろう。」 - 11ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:52:19
少し衣服の乱れた二人が戻ってきた。
そして何も言わずに調理場に立つと、これまた無言でラーメンを出してきた。
カヤ:
「『連邦ラーメン』です。
サンクトゥム・タワーの名物なのですよ?」
トッピングの彩りが綺麗な、オシャレ ラーメンだ。
何を言うでもなく箸を差し出してくるので、麺を掬って口に入れてみる。
・・・これは。
シンプルな細麺醤油ラーメンでありながら、素人目でも分かる豊かなコクがある。
トッピングも、彩りが豊かなだけでなく普通に美味しい。
醤油のスープに良く合う。
これも最高に美味しい。
矢継ぎ早に、今度は小鉢が出される。
カンナ:
「煮玉子だ。
不味いとは言わせんぞ。」
鋭い眼光で、食えと促される。
アルとカヨコは小鉢の中の煮玉子を口に入れた。
・・・これは。
独特の旨味が口の中に広がる。
食感も悪くない。
食べ終わると、謎の多幸感があった。
最高に美味しい。 - 12ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:52:40
ニコ:
「お通しです。」
イクラの乗った お稲荷さん。
ユキノ:
「これも食べてみろ。」
レバニラ炒め。
カヤ:
「健康と懐に優しいラーメンもあるのですよ。」
野菜マシマシ ラーメン。
カンナ:
「メンマだ。
これだけでも美味いぞ。」
小鉢に入れられたメンマ。 - 13ホットドリンク大好き24/11/05(火) 09:53:16
アル:
(私達・・・なんでこんなに食べさせられているのかしら・・・?)
カヨコ:
(さぁね・・・。 でも今 聞くべきことは───)
二人はカウンター一杯に広げられた料理を見る。
まるで満艦全席。
とても食べきれる量では無い。
カヨコ:
(お金と・・・持ち帰る用のタッパがあるかどうかかな。)
アル:
(そうね・・・。)
二人は、しかし美味しそうにラーメンを啜った。
───── SS:注文の多いラーメン屋 ~Fin~ ───── - 14ホットドリンク大好き24/11/05(火) 14:58:13
ふぅ・・・大体つくり終えましたかね。
おや、あまり箸が進んでいないようで。
・・・あぁ、そうですね。
食べきれませんね。
すみません、少し張り切り過ぎてしまったようで。
タッパは こちらで用意します。
是非お持ち帰り下さい。
・・・お金ですか?
別に結構ですよ。
こちらが用意したくて用意しただけなので。
・・・何故か・・・ですか。
私にも良く分かりません。
アナタ方が柴関ラーメンを最近口にしたと知って、どうも無性に作りたくなってしまって。
・・・そうですね。
身内と言えば身内なのかもしれません。
中々分かり合えない仲ですが。
?
どうしたのです?
そんなに汗をかいて。 - 15ホットドリンク大好き24/11/05(火) 14:58:36
・・・あぁ、意外と柴関ラーメンを爆破したことを気にされていたのですね。
大丈夫ですよ。
気にするのは死んだ子供くらいですから。
・・・いえ、こちらの話です。
それで・・・どうでしょう?
私のラーメンは柴関のラーメンより美味しかったですか?
・・・いえ、なに。
こういったことは柴関ファンのアビドスの方々には あまり聞けないもので。
私、こう見えてもラーメンには拘りがあるのですよ。
特に、柴関ラーメンには負けたくなくて。
・・・美味しいけど、どっちが上かとかではない・・・ですか。
確かにそういうものなのかもしれません。
・・・代金ですか?
そうですね、連邦生徒会の方では1,020円で提供させて貰っています。 - 16ホットドリンク大好き24/11/05(火) 14:59:25
・・・そうですか。
代金込みなら柴関ラーメンと・・・。
はぁ・・・。
・・・すみません、死んだ子供が出てきていたようです。
ですが連邦ラーメンは これでもギリギリの値段設定なのですよ?
業者と専属契約を結び、月ごとに丸ごと在庫を仕入れることで単価を下げ───
・・・あぁ、すみません。
そんなことは聞かれていませんでしたね。
・・・まだ柴関ラーメンには勝てませんか。
・・・おや、今回の料理の代金を支払いたいと?
本当に我々が作りたいものを提供しただけなので結構なのですよ?
・・・あぁ、借りを作りたくないと。
そういうことでしたら・・・えぇと、そこの貴方。
今回の領収書をお願いします。 はい。 - 17ホットドリンク大好き24/11/05(火) 14:59:54
・・・ですが本当に宜しいのですか?
各々が趣味に走った結果、それなりの料金になっていますが。
・・・そうですよね。 難しいですよね。
・・・ふむ、なるほど。
依頼の遂行によって料金を支払いたい・・・と。
そんなつもりは無かったのですが・・・まぁ、やる気になって頂けたのは良いことです。
そういうことでしたら依頼の話をさせて頂きましょう。
改めまして、私は連邦生徒会 防衛室長の不知火カヤと申します。
・・・おや、カヨコさんはともかく、アルさんは ご存じ無かったのですね。
そんな白目を剥くほど驚かれるとは。
・・・いえ、今回は防衛室からの依頼ではありません。
あくまで非公式な・・・そう、私の個人的な依頼です。
どうでしょう?
我々と共に、カイザーと戦って頂けませんか? - 18二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 17:46:05
パート2始まって怒涛の如きツッコミどころの多さ。思ってた以上にフリーダムだなこのカヤちゃん・・・
お通しと言わんばかりのSSがもう面白い - 19二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:11:58
今更ながら防衛室を祈り手の仮面つけた生徒が出入りするんだろ。こわ
- 20ホットドリンク大好き24/11/05(火) 22:50:26
───── Tips:連邦ラーメン ─────
不知火カヤが作り上げたラーメン。
薄口醤油・細麺・量少なめ・高級と柴関ラーメンの真逆をいくようなコンセプトをしている。
キヴォトス各地の名産品が使われており、その事実がクロノスジャーナリズムスクールで取り上げられた結果『連邦ラーメン』の俗称が定着した。
その一杯にキヴォトスの全てが詰まっていると言われている。
しかし実際にはカヤがキヴォトス各地を回って素材を厳選した結果として各地の名産品が起用されただけであり、政治的意図が一切存在しないゴリゴリの本格派ラーメン。
その拘りは同業者ですらドン引くほどの狂気の域に達している。
しかし、それでも思い出のラーメンには遠く及ばない。
あんな素人ラーメンの、どこが良かったというのか。
そして何故、これだけ拘っても柴関ラーメンに勝ったとは全く思えないのか。
──────────────────── - 21二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 02:05:13
>気にするのは死んだ子供くらいですから。
・・・すみません、死んだ子供が出てきていたようです。
もっと〇んだ子供を出していいんだぞ…(´;ω;`)
- 22ホットドリンク大好き24/11/06(水) 12:09:09
───── 少し経って・・・ ─────
・・・そうですか。
遂にホシノさんが対策委員会に退会届を提出し、カイザーと合流しましたか。
それは実に良いタイミングです。
・・・いえ、こちらの話ですよ先生。
・・・ふむ、なるほど。
ホシノさんが黒服と名付けた大人が、裏で糸を引いていたと? - 23ホットドリンク大好き24/11/06(水) 12:14:51
この世界線のカヤは───
1.ゲマトリアを深く理解している。 なんなら、ベアトリーチェ以外とは仲が良い。
2.ゲマトリアを深く理解している。 なんなら、黒服の助手紛い。
3~4.ゲマトリアを深く理解している。 ゲマトリア メンバーからは基本 警戒されている。
5~6.ゲマトリアという組織の存在だけは認知している。 黒服は知ってる。
7~8.ゲマトリアという組織の存在だけは認知している。 黒服は知らない。
9~10.ゲマトリアを知らない。
dice1d10=2 (2)
- 24ホットドリンク大好き24/11/06(水) 12:27:58
───おや、師も意地が悪い。
私に内緒で実験の話を進めてしまうとは。
・・・いえ、こちらの話ですよ先生。
・・・えぇ、私は黒服と名付けられた大人を深く理解しています。
しかしだからこそ、止める必要があるのですよ。
なぜなら───
1.実はホシノもカヤの仲間。
2.シンプルに連邦生徒会長の意思に反する。
3.ホルスの神聖に恐怖を適用することで発生する被害を、黒服以上に理解している。
dice1d3=2 (2)
- 25ホットドリンク大好き24/11/06(水) 12:36:17
───連邦生徒会長の意思に反するからです。
それを冒涜することは、例え師であっても許されません。
・・・先生、キヴォトスには救いが必要なのです。
灰色の青春が、色彩を取り戻すような救いが。
・・・貴方がその救いであることを、私は望んでいます。
だからこそ、救いが与えられる機会を私は維持します。
・・・先生、どうぞ私に見せて下さい。
連邦生徒会長が先生と仰ぎ、信頼し、最後の最後にキヴォトスの全てを託した・・・その理由を。
・・・えぇ、そうです。 はい。
では今度は直接お会いしましょう。
それでは。
・・・。
始めましょう、皆さん。
決して表舞台で語られることのない、私達だけの暗闘を。