- 1124/11/05(火) 20:58:32
- 2124/11/05(火) 20:59:11
前スレ
【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part2|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part4|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com - 3124/11/05(火) 21:03:29
- 4124/11/05(火) 21:04:06
現在好感度まとめ
【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
*グリム 91/92、 67/46
*エース 74/98、 35/80
*デュース 100/100、 88/88
*リドル 61/70、 57/94
*ケイト 99/100、 85/87
*トレイ 30/27、 60/40
*レオナ 2/65、 36/16
*ラギー 14/59、 72/21
*ジャック 66/100、 17/67
*アズール 93/69、 73/21
*カリム 50/79、 28/81
*ジャミル 84/66、 47/62
*クルーウェル 56/-、 13/-
*トレイン 78/-、 36/-
*バルガス 16/-、 6/ - 5124/11/05(火) 21:06:04
前回までのざっくりあらすじ
マジカルシフトの大会で、レオナ率いるサバナクロー寮生たちの企てを阻止した二人。
疲れた体を休めたその夜、出久はオンボロ寮の鏡の中に不思議な影を見たような気がしたのだった。 - 6124/11/05(火) 21:13:17
次のパソスト書けるまで少しかかりそうなので、3章本編に先に突入しちゃおうと思います
先に白状してしまいますが、全ストーリー中3章が一番書くの難しそうです
原作の監督生の動きをそのままなぞるとスレ主の中でとんでもない解釈違いになるので、流れを損なわない程度に改変加えていく予定です
その辺の事情で、今まで基本的にデク視点だったところを、3章は基本的に爆豪視点・デクの心理はクローズド気味で進めます
ダイス目の内容やスレ主の技量不足次第ではデクが宇宙人みたいな挙動になりそうですが、アカンと思ったらそっ閉じ・ブラバでお願いします - 7二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:14:34
宇宙人で声出して笑ってしまった
ついてこれないやつは置いていくぜ!! の精神で行きましょう - 8二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:15:24
あ、スレ立ておつです。3章もパソストも楽しみにしてます~
- 9二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:17:43
異世界から来たから実質宇宙人だなヨシッ!
次も楽しみにしております!
スレ主さんのやりたいようにやっちゃってください! - 10二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:34:57
スレ立て乙です!
スレ主さんの想うままに書いてください!
楽しみに待ってます! - 11二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 21:37:26
まあ原作からしてかっちゃんにとってのデクくんは宇宙人みたいなところあるし…
- 12124/11/05(火) 22:12:08
マジカルシフト大会の熱も落ち着いてきた頃、出久はまた夢を見た。
たたきつけるような嵐の中、気絶した背負った青年を抱えた人魚の少女が海の中を泳いでいる。
人魚の少女は浜辺まで青年を連れて泳ぎきり、その美しいかんばせの青年に恋をした。
――なぜかしら?この胸の高鳴り
人魚は人間の前に姿を現してはいけない。
少女は浜辺から離れた岩の陰から、青年がお付きのものと一緒に陸の世界へ帰っていくのを見守った。
――きっと夢がかなう、いつの日か私は行くわ
夢をみる人魚の少女の瞳が輝く。
――あなたの世界へ!
世にも美しい人魚姫の歌声が海の上に響き渡り、彼女を後押しするように波が押し寄せて弾けてキラキラと陽光を反射する。
福音のような光に混じって、狡猾そうな二対の瞳が人魚の少女を見つめていた。
*出久 夢への違和感 dice1d10=3 (3) + 39
- 13二次元好きの匿名さん24/11/05(火) 23:06:19
スレ立て乙〜って打とうとしたら3章来てた!!!!早い
かっちゃん視点、楽しみにしてます! - 14二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 00:26:49
3章来てた!
楽しみ - 15二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 07:52:48
3章楽しみだ!
スレ主さんもゆっくりでいいからね〜 - 16二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 17:57:01
3章楽しみです!保守
- 17二次元好きの匿名さん24/11/06(水) 21:13:08
幼馴染とツイステ意外と親和性高いな〜と思って見てるけど、最終決戦後の経験豊富な二人が来たのも、かっちゃんしか個性が使えないのも、監督生で夢を見るのがデク一人なのもダイスの決定なんだよな
ダイス神分かってるわ - 18二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 00:37:36
楽しみにしてます!!ほしゅ
- 19二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 04:05:05
乙です3章楽しみにしてます
デクもかっちゃんも真っ当に努力するタイプだからズルして高得点取ろうとする3バカは普通に見捨てそうだしどうなるのかなーと思ってたので改変大歓迎です - 20二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 12:48:50
保守
- 21二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 16:19:14
たのしみ
ほしゅ - 22124/11/07(木) 17:26:32
保守は嬉しいのですが、レスの消費が早いとスレの寿命が縮まっちゃうので、前のコメントから最低でも8時間くらい空いてからにしてもらえれば大丈夫です~
(スレを跨ぐ際の作業が面倒なもので……)
パソストを投げときます
緑谷出久 式典服パソスト 「いい考えだと思わないか?」 | Writening■鏡の間 「ミドリヤ!!一体なんだその服装は!!」 寮の代表として駆り出された集会の準備に到着した瞬間、出久はリドルに叱られることとなった。 「ローブに皺が寄っているし合わせも適当、帯も斜めに…writening.net爆豪勝己 式典服パソスト 「精々頑張れよ」 | Writening■オンボロ寮 -談話室- ナイトレイブンカレッジはとにかく着替える機会が多い。 衣装が多すぎる。制服、寮服、式典服をTPOに合わせて着分けなければならないのがとにかく煩わしい。 基本的に日本では学生は…writening.net - 23124/11/07(木) 18:34:16
書き忘れましたが、二人はクレンジングを持ってないので、この後石鹸で顔を死ぬほどゴシゴシする羽目になったという裏設定があります
- 24二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 19:21:01
パソストやったーー!!!
こんなにも素晴らしいSSを見せていただいていい感じの感想を書けない自分の文章力の無さが恨めしい
どちらもとてもエモでした……いつもありがとうございます…… - 25二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 19:49:00
- 26124/11/07(木) 20:48:43
今は期末試験の真っ只中だが、勝己は毎朝のロードワークを欠かさない。トレーニングは継続が大事だ。
期末テスト最終日の朝、勝己がロードワークから戻ると、勉強部屋からグリムの声が聞こえてきた。
「ブツブツ……応用問題の傾向は……2択がきたらひっかけで……ブツブツ……」
あの獣は出久に懐いているし、出久も獣を可愛がっている。ついにブツブツ癖が移ってしまったのかと勝己の肌が一瞬ゾワついたが、どうにもそういう訳ではないようだ。
「一夜漬けなんかしたって意味ねェぞ、クソ狸」
「ふなっ!いきなり声かけるんじゃねーんだゾ。ビックリして覚えたこと忘れちまうじゃねーか」
「そんくれぇで忘れちまうようなら、覚えたうちに入ンねェんだよ。……それより、出久はどうした」
普段、勝己がロードワークから戻ってくる時間帯の出久は談話室で朝の支度をしているはずだが、今日は姿が見当たらない。
「イズクならまだ寝てるんだゾ。起こしても起きなかったら、オレ様一人で勉強してるんだ」
「…………?」
出久は勝己ほどではないが規則正しい生活を送っている方だ。この世界では大好きなヒーロー情報を追うことができないため、ナード趣味で夜更かしすることもない。
それにも関わらず、出久はここ最近妙に寝起きが悪い日がある。
*勝己の勘 dice1d100=7 (7)
(42以下で成功)
- 27二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 20:51:12
勘が良い
- 28124/11/07(木) 21:11:53
ここに来てから、出久の寝起きが悪い日は大抵ろくでもないことが起きている気がする。リドルの件のときも、レオナの件のときもそうだった。
なんの根拠もないただの勘だが、なんとなく勝己は嫌な予感がした。
***
「そこまでだ仔犬ども。このクラスの期末テストは全科目終了だな」
担任のクルーウェルが答案用紙を回収する中、テストから解放されたクラスの奴らの歓声が湧いた。
「はーっ、終わった、終わった~!」
「やれるだけのことはやった。あとは結果を待つだけだ」
「ぐっふっふ!オレ様にかかればこんなテスト、チョロいんだゾ」
普段は筆記試験が終わる度に半泣き顔になっている三馬鹿だが、今日はやけに自信満々だ。
「どうせテメェらは一夜漬けだろうが」
「みんな勉強頑張ったんだね」
教室での様子を見ていれば三馬鹿が日頃から勉学に身が入っているわけではないのが明白なのだが、出久の耳ざわりの良い言葉だけを拾ってニヤけた面になった。
「まーね♪これくらい楽勝、楽勝♪」
「さて、試験も終わったことだし陸上部に顔を出すか」
「オレも久々に思いっきりバスケして身体動かしたい気分。んじゃ、今日はここで解散ってことで」
まるで羽根が生えたかのような軽やかな動きでエースとデュースが教室を出ていく。
「オレ様たちも帰ろうぜ。夜通し勉強してたから、オレ様もう眠くてたまらねぇんだゾ」
「夜更かしは感心しないけど……頑張ったんだね、えらいよグリム」
「甘やかすな。寝るにゃまだ早えぞクソ狸。寝るなら掃除のノルマこなしてからにしろ」
オンボロ寮に向かう道すがら、すれ違う生徒たちがみな爽やかな表情をしている。会話を拾った限りでは、今回のテストの結果に自信がある者ばかりのようだ。
「……今回のテストはいつもと雰囲気違ったね」
「……なんか気持ち悪ィな」
言いようのない違和感を抱いたが、それをぶつける先はない。
オンボロ寮に戻って掃除のノルマをこなした後、勝己と出久は元の世界に図書室で戻るためひたすら情報収集するうちに、ささやかな違和感のことなどすっかり頭から消え去っていた。 - 29124/11/07(木) 21:30:23
1週間後。期末試験の結果が掲示される日だ。
いつものように、エースとグリムが喧嘩をして廊下で追いかけっこを繰り広げている。
「またやってんのかよ」
「あそこまでくると、逆に仲が良いんじゃないかって思うよね」
追いかけっこに焦れたエースが風の魔法の詠唱に入り、対抗するグリムが炎を吐き出そうと息を吸い込んだ。どうやらグリムがエースのパンを盗み食いしたことが喧嘩の原因らしい。
「アホくせェ」
退学騒ぎになったことさえ忘れているのか。反省と学びがなさすぎて呆れてしまう。
隣の出久が止めようと飛び出そうとしたが、その前に二人がマジカルペンと息を収めた。
「……やっぱ、魔法はやめといてやるよ。また罰で窓ふき掃除させられたら面倒だし」
「へ、へん。オメーのたまにはマトモなこと言うじゃねーか。オレ様だけ魔法使うのも大人げねぇから、今回は勘弁してやるんだゾ」
「「…………!!」」
「おお。ミドリヤとバクゴーが同じ顔してるなんて珍しい」
勝己も出久も驚くと目を見開いて固まることがある。普段対照的な表情を浮かべている二人がシンクロしているので、デュースがもの珍しげに二人を観察した。
「いつもなら僕が止めても学園長が飛んでくるまでやめないのに……」
「どういう風の吹き回しだ?」
毎回教室が黒焦げになる二人の喧嘩のはた迷惑さはかつての勝己と出久の比ではない。
その二人が自発的に喧嘩を止めるなんて違和感しかない。
勝己と出久は頭に疑問符を浮かべたまま教室に入ることになった。 - 30124/11/07(木) 21:35:41
授業が始まると、クルーウェルから答案用紙が返却された。
「やった!92点!」
「88点!お、俺が80点以上を取れる日がくるなんて……」
「見ろ、イズク!オレ様、85点だゾ!!」
「うわあ!グリム、頑張ったんだねぇ!えらいよ!」
小さな手でテスト用紙を掲げるグリムの頭を出久が撫でた。
「で?お前らは何点なわけ~?」
得意げな顔をしたエースが肘で出久を突いた。なんとも腹立たしい表情だ。
*魔法薬学のテストの点数
出久 96 + dice1d4=2 (2)
爆豪 97 + dice1d3=3 (3)
- 31二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 21:37:09
さすが雄英高校生(成績上位)
- 32二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 21:39:40
かっちゃん100点満点さすが
- 33124/11/07(木) 21:46:25
「僕は98点。一問ケアレスミスしちゃった。かっちゃんは?」
「ア?100点に決まってンだろうが」
「うげ~!?なんでお前らそんなに成績良いわけ?」
「一夜漬けのテメェらと一緒にすんなカスども」
「言い方……。でもまあ、コツコツ勉強してればこれくらいの点数は取れるよ」
勝己と出久の点数を聞いた三馬鹿の口元がヒク、と引き攣った。
「お前たち今回はかなり勉強したようだな。小テストの時に比べてかなり……。いや、だいぶ、ちょっとおかしいくらいに平均点がアップしている」
クルーウェルの言葉に、クラス全体がざわついた。なんでも、今回の魔法薬学のテストは全学年が平均点90点
を超えているらしい。他の教科も似たような状況だそうだ。
「平均が90点超え?かっちゃん、これって……」
「なんかきな臭ぇな……」
明らかな不正の臭いがする点数に、ここ一週間勝己と出久が抱えていた違和感が大きくなる。
「ちょっと、ヤ~な予感……」
先ほどまでの余裕はどうしたのか、三馬鹿は青い顔をして冷や汗を浮かべていた。
「成績優秀者、上位50名は廊下に名前が張り出されるから楽しみにしておけよ。では、授業を始めるぞ。テキストを開け」
その日、教室全体の雰囲気がおかしくて、勝己も出久もとても授業に集中できるような環境ではなかった。 - 34124/11/07(木) 21:52:50
放課後、テストの成績優秀者の掲示を見ようとする生徒たちで廊下がごった返していた。
「上位50名にオレ様の名前は!?」
「さすがに平均90点以上なら、50位以内には入ってるよな!?」
「それはちょっと厳しんじゃないかな……?」
「無理だろ。つーか、普段は赤点回避すりゃいいだとかナメた考えで順位なんて気にしねェくせに、急にどうした?」
勝己と出久の言葉なんて耳に入らないようで、三馬鹿は必死に掲示の中に自分の名前を探している。
*テストの順位
出久 dice1d20=6 (6) +30
爆豪 dice1d50=29 (29)
(備考:このテストは上位30人以上が満点の500点です)
- 35二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 21:54:10
かっちゃん満点だ!
デクも30人が満点の中で36位はかなりすごい - 36二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 21:54:48
この異世界人たち魔法のこと最近知ったはずなのにテストの点数いいな……
- 37二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 22:08:12
2人とも50位以内に入ってるの凄いな。
雄英生だからもあるけど、2人とも座学良かったもんね - 38124/11/07(木) 22:08:59
「かっちゃん、全教科満点だなんて流石だね!……明らかに結果おかしいけど」
「今回の試験、そこまで温い内容じゃなかった。ここまで成績に差がつかないなんてあり得ねェ」
偏差値79越えの天下の雄英高校だって、入学してしまえば成績の序列はできる。適正な難易度の試験で今回のような結果が出るのはあり得ないことだ。
「それより……オレ様、50位以内に入ってねーと『契約違反』になっちまうんだゾ!」
「え……『契約』って、グリム、まさかお前……」
「エース、その顔はお前ももしかして……」
三馬鹿が互いに顔を見合わせる。その顔色は真っ青だ。
「待って、『契約』って何のこ…と……?って、えええええ!?何だこれ!!??」
「っ!?何だァ!?」
出久の質問に答えるよりも先に、三馬鹿の頭からイソギンチャクのような謎の物体が生えてきた。
思わず二人はまた同じ顔で固まったが、今度はそれに言及できる余裕がある者はこの場にいなかった。
「待って、今抜いてあげるから……、っ!!抜けない……!!」
「いでででっ!イズク、馬鹿力で引っ張るんじゃねーんだゾ!」
「お前の力でも抜けねェんか」
細身に見えるが、出久の肉体は100%のOFAの出力にも耐えられるほぼゴリラのそれだ。その出久でも抜けないとなると、このイソギンチャクは見た目どおりの物体ではないのだろう
「なんか、リドル君の首輪みたいな感触なんだ。形はあるんだけど、魔法でできた概念的なものっぽいっていうか……完全に癒着していて取れそうにない」
「ふ、ふなぁ~……」 - 39124/11/07(木) 22:30:55
「騒がしいと思って来てみれば、お前らか。なにやってんだ?」
「ジャック君!みんなの頭が変なんだ、これって何の魔法だか分かる?」
ジャックの頭には何も生えていない。いつも通り、大きな狼の耳がピンと立っているだけである。
「頭にイソギンチャクが生えてない……だと!?」
「見た目のわりに超真面目クンかよ!」
ごちゃごちゃ何かを言っているエースとデュースに、ジャックがドン引きした視線を送った。
「いや、俺にも分からん。一体何やらかしたんだお前ら」
「コレは、その……ふな”っ!?なんだぁ!?頭がイソギンチャクに引っ張られる!」
「いでででっ!頭がもげる~!」
「くそっ、絶対服従ってこういうことだったのか……っ」
「「「あぁあああぁああ~!!!」」」
頭に生えたイソギンチャクに操られるようにして三馬鹿がよろよろと歩いていく。それは世にも間抜け絵面だった。
「何が何だかさっぱり分からないけど……心配だ、追いかけよう!」
「ああ。意味不明なモン見せられて、原因が分からねぇままじゃ気持ち悪ィしな」
「俺も行く。……言っておくが、この変な現象の原因がなにか気になるだけで、別にアイツらのためじゃねぇからな。くれぐれも勘違いすんなよ」
「何に言い訳立てとンだテメェは」
「来てくれるなら心強いよ!僕たち、まだ魔法のことは良く分かってないからさ」
三馬鹿を追いかけていくと、各寮につながる鏡舎に辿り着いた。鏡舎は三馬鹿と同じように頭にイソギンチャクを生やした生徒で溢れかえっている。彼らは皆オクタヴィネル寮に繋がる鏡へと入っていく。
「みんなテスト順位を口々に叫んでるね……」
「さっきから聞こえる“インチキタコ野郎”ってのは誰のことだ」
「俺たちも行ってみるか」
謎は深まるばかり。その原因を突き止めるべく、勝己たちはイソギンチャクの列に混じってオクタヴィネル寮に繋がる鏡を潜った。 - 40二次元好きの匿名さん24/11/07(木) 23:02:46
個性悪用して名門学校(それこそ雄英とか)入学試験のカンニング斡旋してる悪徳業者とかヒロアカ世界にいそうだなとこのエピソード見て思った
- 41二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 01:13:06
個性:透視 とかいそう……
逆に、カンニングしてないのに毎回疑われる個性持ちとかもいそう - 42二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 07:02:02
- 43二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 07:11:03
- 44二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 11:39:17
- 45二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 12:17:24
- 46二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 15:19:50
デクくん4章の(事件が終わったあととはいえ)苦労して駆けつけてくれた2人に号泣しそうだな
- 47二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 18:26:49
かっちゃんは「遅ぇわ!!」とか怒りながらもほんのちょっと見直してそう。かっちゃんなりの当社比で
- 48二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 19:49:24
A組で化粧するって青山くんぐらいかな?
- 49二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 19:53:29
学年順位、満点1位が30人いる+98点とった緑谷が36位なのを見て、この世界の順位は一問間違い498点が実質二位っぽいかなとちょっと思った
- 50124/11/08(金) 23:04:26
「うわぁ!水の中に寮がある!」
鏡を抜けた先は、海の中の世界だった。
「水の中に寮があるなんて、マジかよ!すげぇな、ナイトレイブンカレッジって!」
魔法の世界でも類を見ない光景であるらしく、ジャックが興奮気味に尻尾を振り回した。
*感動レベル (ジャックが70くらい)
出久 dice1d100=79 (79)
爆豪 dice1d100=30 (30)
- 51二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 23:17:22
相変わらずデクくん高くてかっちゃん低いのダイスすげえなってなる
- 52124/11/08(金) 23:21:20
「こんなの初めてだ!魔法ってすごいね、かっちゃん!」
「はしゃいでんじゃねェわ。ガキかよ」
「……ゴホン。仮にも別の寮の縄張りに入るんだ。浮かれてねぇで、用心しろミドリヤ」
「テメェも人のこと言えなかっただろうが」
水族館の水槽トンネルのような通路を通り、三人は巨大な白亜の貝殻のようなオクタヴィネル寮に向かって歩いた。
イソギンチャクたちはオクタヴィネル寮ではなく、その隣りにある小さな建物へと引き寄せられて行く。
「『モストロ・ラウンジ』?飲食店みたいだけど……」
「イソギンチャクどもは全員ここに集められたみてェだな。100……いや、200人近くってとこか」
「エースたちはどこに行った?」
モストロ・ラウンジは黒を基調とした内装に海を思わせる什器がよく調和した、とてもお洒落な空間だった。
紫がかった間接照明と壁面の巨大な水槽から入り込む青色光がよく計算され、洗練された空間美を演出している。
まさに紳士の社交場といった空間に、イソギンチャクたちの雑踏はいささか不釣り合いだ。
――パチン。
不意に、指を打ち鳴らす音が響き、モストロ・ラウンジが静まり返る。
計ったようなタイミングで全ての照明が落ち、暗くなったモストロ・ラウンジの中心にスポットライトが当たった。
ライトの中心に立っていたのは、オクタヴィネル寮の寮長、アズール・アーシェングロットだった。
「……アズール君?」 - 53124/11/08(金) 23:38:02
「これはこれは。成績優秀者上位50名からあぶれた哀れなみなさん。ようこそ『モストロ・ラウンジ』へ」
アズールが慇懃な口調で話し出す。わざとらしい抑揚をつけた話し方と大げさな身振りを、勝己は「胡散臭い」と感じた。
アズールは手短に自己紹介した後、イソギンチャクに向かって「今日から君たちの主になる男です」と自称した。
「君たちは僕と勝負をして、負けた。契約に基づき、これから卒業までの間、僕の下僕として身を粉にして働いてもらいます」
「アズール君、なんだか雰囲気が……」
「あいつと知り合いか?胡散臭ェ、どう考えてもロクな奴じゃねェだろ」
なにやらショックを受けたような表情を浮かべる出久をよそに、アズールは話し続ける。
どうやら、アズールは「自慢の能力」を担保として預かる代わりに「期末試験のテスト対策ノート」を渡す契約をイソギンチャクと取り付けていたらしい。
「成績上位50名に入れば担保として預けた魔法を返還し、さらに卒業までの全てのテスト対策ノートを渡す」という甘言に惑わされたイソギンチャクたちだが、アズールは200人近い生徒に対策ノートを渡していた。
結果として上位50名からあぶれた生徒たちは契約違反として「卒業までの間アズールに絶対服従になる」イソギンチャク状態になってしまったというわけだ。
*出久 精神的ショック dice1d50=37 (37)
(出た目の分だけアズールへの好感度からマイナス)
「自制心の弱いアホを狙った、計画的な詐欺行為だな」
「テスト勉強でズルしようとしたグリムたちは悪いけど……アズール君のやり方も随分悪質だ」
- 54124/11/08(金) 23:51:21
「さっきから聞いてりゃ、どいつもこいつも気に入らねぇ!」
どう出たものか、と考えを巡らせていた勝己と出久よりも先に、ジャックが吠えた。
「ん?君は頭にイソギンチャクがついていませんね。今はスタッフ・ミーティング中です。部外者はご遠慮いただけますか?」
「グルル……部外者だと?俺は、自分の力で勉強した奴らと真っ向から競い合って勝ちたかったんだ。それがあんたのせいで台無しになった。十分に当事者だろうが!」
アズールに向かって叫ぶジャックが注目の的となり、イソギンチャクの群れに混ざっていた三馬鹿がジャックの傍にいた勝己と出久の存在に気付いた。
「イズク、バクゴー、ジャック、オレ様たちを助けにきてくれたんだゾ!?」
のんきなことを言うグリムをジャックが睨みつける。
「勘違いすんなよ。俺はここにいる全員が気に入らねぇんだ。アコギな取引を持ち掛けたヤツも、他人を頼ったお前らも、どっちの見方をする気もねぇ!」
*好感度変動
出久→ジャック dice1d50=45 (45)
爆豪→ジャック dice1d50=35 (35)
- 55124/11/09(土) 00:01:40
ジャックの熱い演説はしかし、イソギンチャクには届かなかったようで、曲解されて「アズールから実力で契約書を奪い返せばいい」というムードが漂い始めた。
根が真面目な勝己と出久からすると絶句ものの思考回路である。
「やれやれ。あまり手荒な真似はしたくないんですがね。ジェイド、フロイド。少し遊んであげなさい」
アズールの一声で、左右対称な双子が動き出す。
「コイツら全員絞めていいの?あはっ、やった~」
楽しそうに体を揺らせたフロイドは、明らかに荒事に慣れた雰囲気を漂わせている。
紳士の社交場にふさわしくない血の気だった気配がモストロ・ラウンジに渦巻いた。
*勝己たちはどうする? dice1d3=3 (3)
1.見守る
2.出久だけ参戦する
3.二人とも参戦する
*参戦する場合 対抗ロール
出久 dice1d1000=25 (25)
勝己 dice1d1000=230 (230)
ジャック dice1d500=115 (115)
アズール dice10d100=17 79 84 47 96 46 93 11 52 97 (622)
ジェイド dice1d500=37 (37)
フロイド dice1d500=377 (377)
- 56二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:07:27
多分やる気出なかった二人
- 57二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:09:02
かっちゃんもジャックも比率で見ると微妙にやる気なくてじわる
- 58二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 02:15:23
出久一割以下だ…
- 59二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 02:43:30
とりあえず大事にならないように参戦はしたけど内心どっちの味方もしたくなさそうな出目で笑う
- 60二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 02:57:43
相変わらず解釈納得いくダイス
- 61二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 09:57:38
大怪我する人が出ないよう立ち回りだけした印象
- 62二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 13:17:06
やる気ねえな…
- 63二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 20:54:27
この後もあのお面カラスが脅しますしね……
- 64124/11/09(土) 22:39:35
自分本位なイソギンチャクたちと、脱法詐欺師のオクタヴィネル三人組。
心理的にはどちらにも肩入れできないが、ここで争いを見過ごすようならヒーロー失格だ。魔法が飛び交うモストロ・ラウンジの店内で、勝己と出久は大怪我人が出ないように立ち回る。
ここで下手にオクタヴィネル側を攻撃してしまうとこちら側の過失にされるのが目に見えているので、自然と二人は慎重な動きを余儀なくされた。
「アズールってヤツどんだけ色んな魔法が使えるんだよ!?反則じゃん」
驚くべきは、アズールの魔法の手数だ。200人がかりのイソギンチャクの攻撃をさらりと受け流し、多彩な魔法を同時に使いこなしていた。
その右手には蛸の意匠のステッキが、左手には金色に輝く不思議な契約書がある。その契約書がイソギンチャクたちの攻撃を全て弾き返す。
「みなさんはこの『黄金の契約書』にサインをした。正式な契約は、何人たりとも破棄できない。どんな魔法を使おうが、この契約書に傷1つつけることはできませんよ。フフフ……」
アズールが膝を着いたイソギンチャクを見下ろしてあくどい笑みを浮かべる。
「頭にイソギンチャクが生えている限り、君たちは僕たちの命令に従わざるを得ない。さあ、立ち上がってキリキリ働きなさい!」
アズールの言葉に抗えず、イソギンチャクたちが強制的にモストロ・ラウンジの仕事に従事させられていく。その中にはグリムやエースとデュースの姿もあった。
「ジェイド、フロイド。新入りの指導は任せましたよ」
「「はい/は~い」」
「サバナクロー寮のジャック・ハウルくんに、オンボロ寮のミドリヤさんとバクゴーさん……でしたね。君たちもどうぞお引き取りを。次はぜひ、お客様としてお店においでください。いつでも歓迎しますよ」
優雅な仕草でくるりとステッキを回すと、アズールは革靴の音を立ててモストロ・ラウンジの奥へと消えて行ってしまった。
*かっちゃん イライラメーター
dice1d100=62 (62)
*最初に口を開くのは dice1d3=2 (2)
1.出久
2.爆豪
3.ジャック
- 65二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:41:11
脱法詐欺師で声出して笑ってしまった
- 66124/11/09(土) 23:05:03
「おい、テメェら。いったん帰って仕切り直すぞ」
「……わかった」
アズールたちは今回のイソギンチャク発生事件を計画的に起こしている。ここで深追いするよりも一度事件の背景を探った方が良いだろうと勝己は判断した。
「……不正を働いたイソギンチャク軍団の肩をもつのかよ」
「そういうわけじゃないけど……。あんな風に無理矢理働かされてるの見て、見捨てておけないよ」
「詐欺眼鏡どもは公序良俗違反の不平等契約だろ、胸糞悪ィ」
イソギンチャクたちは自業自得なので、勝己個人としては正直見捨てても構わないのだが、ヒーローたらんとする意識がそれを阻む。
それに、自身の能力を差し出した上で卒業までの自由を奪われ絶対服従になるという契約内容は、テスト対策ノートの対価としては明らかに重すぎる。甘言に騙された情報弱者たちを自己責任で切り捨ててしまうのならば、ヒーローも警察も弁護士もいらないのだ。
何より、オールマイトやベストジーニストならば、彼らを見捨てないだろうから。
「……どうやってイソギンチャクたちを解放する気だ」
「それを今から考えンだろうが!!イソギンチャクどもは数日くらい働かせとけ!!そんくらいの罰は打倒だろ!!」
足元の目標は、不平等契約にメスを入れて正すこと。
その取っ掛かりをつかむためにも、三人は一度オンボロ寮へと引き返した。 - 67二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 23:09:40
ぶっちゃけ、今回の事件で一番の解決方法って『学園側とオンボロ寮側が一切の交渉に乗らず、ガン無視する』だもんね
アズールが卒業する3年間にあんなモチベーション最悪のイソギンチャク共の維持なんて出来なさそうだから、アズール側が妥協策出さなきゃいけないもんね
学園側はそういうわけにはいかないけどね… - 68124/11/09(土) 23:21:57
「まずは例の『テスト対策ノート』とやらの情報が必要だな」
「うん。もしこれがテストの情報を前もって盗んでいたものだったら、向こうに突き出す交渉材料になる。後はアズール君の魔法の詳細だね」
「ああ。あの契約書、随分と厄介なニオイがする。狼、あいつの魔法の仕組みで何か分かったことはあるか」
「……いや、正直分からねえ。相当複雑な魔法だと思うんだが……」
オンボロ寮の談話室、勝己と出久はジャックを交えて作戦会議を繰り広げていた。
「あの契約書、なんか変わった魔法だったよね。僕がこっちの世界に来てから見た魔法と、少し雰囲気が違ってるというか……」
*出久の長考 dice1d100=45 (45)
「ああ、ここにいる皆さんはとっても真面目ですねぇ~。感心、感心。学園の生徒全員が君たちのように真面目だったら私も苦労しないんだすがねぇ~」
いつの間にか、三人が囲んでいるテーブルの横に、胡散臭い人影が増えている。
「うわっ!学園長!?ビックリした!」
「出やがったなクソ烏!!去ねや!!」
「カツキくんは相変わらず口が悪いですねぇ~。お里が知れちゃいますよ」
「コイツと同郷だわ」
「それなら……お里は関係なくてカツキくん個人の問題ですね」
- 69二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 23:26:04
学園長、これでも下水成分減ってるんですよ…
- 70124/11/09(土) 23:37:44
「はぁ……。今年もアーシェングロットくんの“商売”を止めることができませんでした」
「商売?どういうことですか?」
出久がため息まじりの学園長の独り言について質問すると、学園長が愚痴のような説明を始めた。
「アーシェングロットくんはローズハートくん同様、2年生にして寮長を務める非常に優秀な生徒なのですが……少し、いえ、だいぶ問題がありまして」
「問題っていうのは詐欺行為のことか?だったらテメェが学園長として止めさせろや。この職務怠慢クソ烏」
ビッ!と勝己は親指を下に向ける。
「それが……。私が教師だからこそ、彼の行為を禁止できないのです」
学園長によると、アズールが生徒たちにばら撒いた「テスト対策ノート」は一切の不正が含まれるものではなく、アズールがナイトレイブンカレッジ過去百年分のテスト出題傾向を徹底的に調べ上げて自力で練り上げた“虎の巻”なのだという。
「100年分の出題傾向!?すごい……!」
「自分の力だけでそんなモン作るなんて、やるじゃねぇかアイツ」
「100年分は流石に過剰対策だろ」 - 71二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 00:10:37
- 72二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 08:06:02
>> それなら……お里は関係なくてカツキくん個人の問題ですね
学園長の癖に正論を吐くな
- 73二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 08:43:48
リドル母ほどじゃないとしてもモンスター親はいるだろうし、そのモンスターがアズールや双子の親のほうを訴えてきたらどうするつもりだったんだろうね
- 74二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 11:13:27
双子の親の方はセリフ諸々からしてヤとかギャとかマから始まるタイプの自営業って説もあるからそれはそれでモンスター(親)vs海のギャングとかいう別の問題発生しそうだな
でもNRC生ってプライド高いから親に泣きつくのはダセェって考えて黙ってたり嘘ついて誤魔化したりしてそうだから発覚はしないかもな、学園長も当然隠蔽するだろうし - 75二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 12:21:34
問題作成担当の教師の傾向によって問題内容変わってくるから、100年は長いわな…多く見積もって10年じゃね?
- 76二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 13:42:48
ホリデーから帰ってきた息子がイソギンチャクくっつけてたら流石に学校に連絡入れると思うんだ(小声)
- 77二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 14:01:23
最先端のトレンドって言って誤魔化してるんでしょ?(適当)
- 78二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 14:54:42
イソギンチャクは三年間本当に無償奉仕させるために集めたわけじゃなくて、学園長との交渉用の人質としてストックしてるって説をみたことあって自分はそれを推してる
それなら交渉後にイソギンチャクたちを厄介払いしながら学園長から何かしらの権力を得られて一石二鳥だし - 79二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 17:21:06
まあ双子だけでイソギンチャク共全員を見張ることはできないだろうし交渉の為に捕獲しただけっていうほうが現実的よな
下手にずっと抱えてたらイベントか何かでキッチン内バタバタしてるときに料理や飲み物にやべーもん入れて大問題に!とかなりかねない - 80二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 18:41:29
何なら200人以上の不穏分子抱え込まなきゃいけないからね…食事に異物混入とか店の機密情報を漏洩したりして、店の評判落とせるもんね
- 81124/11/10(日) 21:53:27
「でもそうか。不正じゃない分、教師が介入しにくいってことですね」
「イズクくんが察する通りです。教師の立場として、いち生徒が“合法的な努力”でテストの対策ノートを作ることは禁止できません。そして、“親切で”友人に勉強を教えることもね」
「“親切”の意味をいっぺん辞書で引いてこいや」
「ン”ン”ッ。ちょっと咳が。いやですねぇ、歳を取ると体のあちこちにガタが来ちゃいまして」
アズールたちのそれはもはや“親切”ではなく“下心”だろうと勝己は突っ込んだが、学園長のわざとらしい咳で流されてしまった。教育者の隅にもおけない男だ。
「そういえば学園長、さっき『今年“も”商売を止めることができなかった』って言ってたッスよね。まさか、去年もこんなことが?」
「ええ。去年はまだ彼の対策ノートの評判があまり広まっていなかった分、これほど大きな騒ぎにはならなかったんですが……」
学園長が再びため息を吐いた。
今年は対策ノートの噂が出回る一方、契約違反者の末路は強固な守秘義務によって表に出ず、その結果アズールと取引をしてテスト勉強でズルをする生徒が続出する事態となったらしい。
勝己は半泣きで勉強するクラスメイトのことを思い出して内心見直した。上鳴はアホだが、八百万の勉強会に積極的に出席して自力で勉強を頑張る気概があった。
ナイトレイブンカレッジではそのあたり腐った空気が蔓延しているらしい。
「じゃあ、去年アズール君と取引した生徒は、今も能力を担保に取られたままなんですか?」
「それが……。彼は去年、生徒たちから取り上げた能力を元に戻すことを条件に、学園内で『モストロ・ラウンジ』の経営を許可するよう私に交渉してきたのです」
ヨヨヨ、と学園長がわざとらしく悲しむ真似をした。
名門校であるナイトレイブンカレッジでささやかな魔法しか使えない生徒ばかりになって困るだろう、とアズールは交渉を持ち掛けたそうだ。
「な、なんつー野郎だ……学園長を脅して取引なんて。あのレオナ先輩が近付きたがらないのもわかるぜ」
ジャックが驚愕して目を見開く。
「しかも売上の10%を学園に上納するというWin-Winの関係まで提案してきて……」
「テメェも甘い汁吸ってんじゃねェかよ」
学園長の話からは教育者としての矜持や誠意をまるで感じない。
勝己の心の中で根津校長に対する尊敬の念がひっそりと深まった。 - 82二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 22:01:56
- 83二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 22:04:38
根津校長は世界的にも有名な偉人だからね
ポケットマネーで生徒も避難民も守れるバリアを作ったお人だ - 84124/11/10(日) 22:18:19
「ああ、今年は一体なにを要求されるか。バカな……いえ、可哀想な生徒たちのためなら、私は彼の要求をのんでしまうでしょう。私、優しいので」
「そこは毅然と対応した方が良いんじゃないでしょうか……」
「アーシェングロットくんは真面目に勉強し、その知識を慈悲深くも他の生徒に教えている“だけ”……。教師としてはやめるよう強く言えません」
「そこは教育者の意地見せろや!!ことなかれ主義の日和見クソ野郎!!」
「なんでこの学園にはちょっと問題がある生徒ばっかり入学してくるんでしょう!お~~いおいおい!!」
勝己と出久の意見をフル無視した学園長が、両手で顔を覆ってアホみたいな大声で嘆いた。
指の隙間から仮面の下の金色の目がチラチラと出久の方を見ているのが腹立たしくてしょうがない。
(この流れ……まさか)
「と、いうわけでイズクくん。こんなことはやめるよう、アーシェングロットくんを説得してくれませんか?」
「ざッけんなやゴラ”ァ!!そこはテメェの仕事だろうが、出久に頼らねェでテメェがやれ!!」
「はぁ……ここ最近、異世界に渡る魔法が記された魔導書がないか各地の図書館の司書に探してもらうよう連絡しようと思っていたんですが……時間が足りなくなってしまいますねぇ。ただでさえ誰かさんたちを元の世界に戻すためのリサーチをしているせいで問題解決に割く時間もなかなか取れないし……」
「テメェ……!!」
「あ、いえ気にしなくてもいいんですよ。私、優しいので」
元の世界に帰るアテが無い中、ナイトレイブンカレッジの専門的な蔵書は二人が唯一頼れるものだ。魔導書に関する専門知識をもった司書の助力なんて、正直にいえば喉から手が出る程欲しい。
合理的に考えると、学園長の要求を呑むのが得策ということになる。
だが、恩を着せるような学園長の言葉に勝己の頭に血が上り、今にも爆発しそうな怒りをこらえる代わりに両目が吊り上がっていった。
「カツキくんは嫌そうですが……私はオンボロ寮の監督生であるイズクくんに言っているんですよ。どうですか、イズクくん」
学園長の言葉で、その場の視線が出久に集まった。
*出久の表情 dice1d100=74 (74)
(低いほど複雑そうな表情、高いほど凪いだ表情)
- 85124/11/10(日) 22:40:19
「わかりました、やります」
やや硬い、凪いだ表情で出久が承諾の意を告げた。
「そうですか、引き受けてくれますか!さすがイズクくん、私が見込んだ監督生です!じゃ、私は忙しいのでこれで失礼。くれぐれも頼みましたよ!」
先ほどまでの悲愴感溢れる演技はどこ吹く風で、ニコニコした学園長は黒いマントを翻して去っていった。
「……勝手に決めてごめん。アズール君との交渉は僕一人でやっておくから――」
「別に謝らんでもいい。お前が断わらねぇことは分かり切っとったわ」
「……ごめん」
「チッ、謝んな!どのみちあの詐欺眼鏡どもとイソギンチャクの契約に介入するつもりだったんだ。クソ烏に言われるまでもねェ」
元々アズールたちと交渉を行う作戦会議のためにジャックも交えてオンボロ寮に集まっていたのだ。
それが学園長からの依頼にすり替わってしまったのはクソほどムカつくが、やることは変わらない。
「……で、具体的にどうするつもりなんだ?やめろと説得したところで素直にやめるとは思えねぇが」
学園長からの指名があったことで今回の件のリーダーを出久と定めたのか、ジャックが出久に指示を仰いだ。
*今後の行動 dice1d2=1 (1)
1.対象に関する一次情報を集める
2.まずはリドルに話を聞きに行く
- 86二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 23:37:32
- 87二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 00:09:15
断らなさそうなデクにだけ声をかける学園長はさすが姑息だぜ!
あと原作だと食費が〜って部分が魔導書探すために〜になってるのが相手に合わせて断りにくいように文言変えてる感あって姑息感マシマシで良い - 88二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 07:34:35
姑息…だからあんまり尊敬されないんだろうな…
- 89二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 08:04:10
果たしてこの幼なじみ達はどうやっておじたんに要求を通すのだろうか
- 90二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 13:34:36
揉み消しが効かないホリデーまでに学園長が折れるってタカくくってた所に学園内で土地持ちかつ魔力無しの監督生がのこのこきたからこしたんたんと狙ってた黒歴史の抹消にまで手を伸ばしたと
横着しすぎたねぇ(cv大塚) - 91二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 14:32:08
デクもかっちゃんもちゃんと助けようとしてて偉いよ
自分はここやってるとき初めこそイソギンチャクに同情してたけど「コイツラぶっ倒して契約破棄しようぜ!」って言い出してからもう無視して帰ろうぜ監督生…って気持ちになってた - 92二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 17:57:01
- 93二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 20:26:19
やってる時は正直マブたちだけ助けて後は放置でいいんじゃないかなって思ってた
- 94二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 23:56:57
アズールが対価で望むのがオンボロ寮だけどさ……異世界出身て知ってたらその記憶とか知識とか欲しがりそうだよね
けどAFOのこと知って正気でいられるか……? - 95二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 01:32:54
要約:貴方は私達の世界に居た激ヤバ魔王おじさんと大体同じようなユニーク魔法を持っています。その自称魔王おじさんはとんでもないことをやらかしました。(そして語られる今までの前科諸々)
こんなこと聞かされたら流石のアズールパイセンでもバブになっちまうよ…要は「オマエ、オレタチノテキト、ニテル」って言われてるんだから
- 96二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 01:48:58
博物館でのアズールと監督生の会話が好きだからダイス神が緑谷を監督生にしてくれて嬉しい!
今回対立はするけど、エピローグで努力家の2人が会話するの楽しみに待ってます! - 97二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 03:01:11
※notスレ主
支援SSと呼べる代物じゃないんですが、書いてしまったので置いていきます
続きゆっくり楽しみにしてます〜
……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.net - 98二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 12:32:57
なんだ神か?
- 99二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 12:35:55
このレスは削除されています
- 100二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 12:37:47
さすがに魔王と一学生を比べるのはアズールが可哀想な気がする
ウツボと対比されてた治崎だって凶悪ヴィランだけど、魔王と比べたらはるかに可愛げと人間性あるんだから - 101二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 15:24:51
- 102二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:23:37
- 103二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 19:47:59
贔屓目なしに見るならオバブロ勢全員ヴィランの魂持ってるからやばいんだ
未然に防がれてハッピーエンドに舵を切ってるのがツイステッドたる所以なんだ - 104二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 20:06:16
- 105二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 20:20:10
- 106二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 20:24:41
- 107124/11/12(火) 21:13:21
- 108124/11/12(火) 21:23:21
ちなみにこのスレ内での設定なのですが、ここのかっちゃんは好感度が上がっても基本的にNRCの人を苗字呼びには切り替えないです
設定的には異世界の人間に情が湧くのを無意識に避けているため、メタ的にはジャックなどの口調が近いキャラとセリフの見分けがつくようにするためです
あだ名は見た目で分かる要素かつディスりにならなそうなワードを選んでます
(アズールの「詐欺眼鏡」は疑惑の判定ですが、「眼鏡」だとトレイと被るので) - 109124/11/12(火) 21:45:54
「さて、早速アズールを監視しにきたわけだが……」
翌日、勝己と出久は自分たちの授業を放り出して、早速アズールの身辺調査へと乗り出していた。
なぜか朝からオンボロ寮の前で二人を待っていたジャックも着いてきているが。
「まさかジャック君も来てくれるとは思わなかったよ」
「学園長直々の命令なんだ。サボリも多めに見てくれるだろ。それに負けっぱなしは気にくわねぇ。アズールの強さの秘密を知れるなら、俺も知っておきたいからな」
なんやかんやと理由をつけて、ジャックが出久の隣を歩く。大きな尻尾がブンブンと振れているのが鬱陶しい。
「でも意外だな。ミドリヤは真面目そうだからもっとサボリに抵抗があるタイプなのかと思ってたぜ」
「う~ん。僕たち、元の世界の学校では公欠が多かったから、授業を抜けること自体はあまり抵抗ないかも」
「確かに、これも学園長がらみだから公欠みたいなもんか」
「ケッ。殊勝ぶってんじゃねぇわ」
出久が真面目くさった最もらしいことを言っているが、出久は優等生にみせかけて必要があると判断すれば規則を破るタイプの問題児である。
OFAの秘密を共有された後、ステイン逮捕の真相やエリを保護した経緯、更にジェントル・クリミナルとの戦闘の話を聞いて、勝己は内心「マジかコイツ」と思わずにはいられなかった。
「かっちゃん何か言った?」
「なんでもねぇわ!さっさと詐欺眼鏡の教室行くぞ!!」 - 110二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 22:01:31
デクは、おどおどとした態度と真面目な顔に騙されて優等生だと思われがちだけど、その実、マジのマジで問題児だからな
相澤先生の1番の懸念対象だから - 111124/11/12(火) 22:13:58
とりあえず午前中の調査を終えた感想としては、学園長が言っていた「アズール・アーシェングロットは優秀な生徒」という言葉に偽りはなかったらしい、というところだ。
音楽の授業では世にも美しい歌声を披露して。
動物言語学の授業では流暢な猫語を使いこなし。(最も、勝己は猫語が理解できないので猫の声真似をしているようにしか聞こえなかったが)
魔法薬学の授業では難関とされる部分的な変身薬の調合に難なく成功し。
昼食時も己を律して食事の栄養バランスに気を配り。
「あの詐欺眼鏡、隙がねェな」
「こうして観察している分には、ものすごい優等生って感じだね」
アズールに非がないほど、勝己たちがアズールに突きつける交渉材料を手に入れるのが難しくなる。
頭を捻る勝己たちのもとに、良く知った顔のイソギンチャクたちがフラフラとやってきた。
「ふな”ぁあ~~~~……早速アズールのヤツにこき使われてヘトヘトなんだゾ~」
「今日もこれから『モストロ・ラウンジ』の手伝いだし」
「ローズハート寮長には『アズールと契約するだなんて、首をはねてしまうよ』って怒られて反省文かかされるし……」
「頭のイソギンチャクは取れなくてカッコ悪いし……」
「「はぁ~~~~~~~~」」
三馬鹿イソギンチャクがそろって特大のため息をついた。
「自業自得だわクソカスども」
「お前らは少しは痛い目みて反省しろ」
「バクゴーもジャックもひどくね!?ミドリヤ~~!!」
「なんとかしてあげたい気持ちは山々だけど……。エース君、ズルしようとしたことは反省しないとダメだよ」
「優しいけど正論が痛い!」
食堂のテーブルについて会話をしていると、ふと細長い影が出久にかかった。
長身の男が二人、出久の背後に立っている。あの特徴的な左右対称な二人組は。
「……なんだテメェら、何しに来やがった」 - 112二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 22:14:13
人を救ける>>>ルールどころか
人を救ける>>>自分を危険に晒すだもんな…
ステインの時や神野の頃とかは恐怖心とかまだあったのにAFOの存在に当てられてかオバホの殺気?に気づかなかったりしてるんよね
- 113124/11/12(火) 22:46:18
「おや、どうなさったんです。怖い顔をして」
「あはは。ココ、イソギンチャクの群生地じゃん」
「……ジェイド君、フロイド君」
出久が背後の声に振り向いた。出久を見下ろす二人の鋭い歯が覗くニヤニヤした表情が腹立たしい。
「なにか、悩み事を抱えているようにお見受けしますが……」
「どっかの誰かさんたちにこき使われて、ちょ~困ってま~す」
「あはっ、契約違反したイソギンチャクがなんか言ってる~。お前らは文句言える身分じゃねぇんだよ黙ってろ」
エースの軽口に、ニコニコ笑顔を浮かべていたフロイドが豹変して冷たい声で凄んだ。
何度かこの状態のフロイドに折檻を受けたのか、グリムが涙目になって怯んでいる。
「僕が話しかけているのはイソギンチャクたちではなく、貴方ですよ。オンボロ寮の監督生・ミドリヤさん」
「……僕に何の用?」
出久が双子に睨み返すが、丸い目は凄んでもいささか迫力に欠ける。フロイドが馬鹿にしたような笑顔を出久に向けた。
「ん~、髪の毛が緑でモジャモジャしてるから…モズクちゃんかなー」
「も、もずく……?」
急に変なあだ名をつけられた出久が目を丸くするが、構わず双子は話し続けた。
「もしかしてミドリヤさんのお悩みは……このおバカなイソギンチャクについてではありませんか?」
「もしかして、なんてよく言うぜ。ニヤニヤしやがって」
「なに、コイツ?ツンツンしててウニみたい」
「なっ……ウニじゃねぇ!オオカミだ!」
フロイドがマイペースに好き勝手に話す。こちらの感情を置いてけぼりにする話し方に、勝己のイライラが募った。
「しらばっくれてンじゃねェ!!悩みどころか、テメェらんとこの詐欺眼鏡のせいで迷惑被ってんだよ!!」
「あはっ、なにコイツの勢い、シャチの体当たりみたいでウケるんだけど。コイツはシャチちゃんでいっかー」
「ア”ァ!?ふざけたあだ名つけてんじゃねェぞ右ピアス!!!」
「……かっちゃんが言うとブーメランだよ」ボソッ - 114124/11/12(火) 23:04:13
騒がしいやり取りの中でも涼しい笑みを崩さなかったジェイドが、出久に向き直った。
「もしミドリヤさんのお悩みの種がイソギンチャクたちについてなら、直接アズールに相談するのが一番だと思いますよ」
「そうそう。アズールはどんな悩みも解決してくれるよ。例えば……そこにいるイソギンチャクたちを自由にしたい。なんて願いでも」
「…………」
長身を屈め、出久の両脇から双子が囁く。
「もちろん、タダで……というわけにはいきませんが」
「チッ。それが本題か。出久にもあの野郎と契約させようって魂胆かよ」
彼の何がそうさせるのか、この幼馴染は厄介事を引き寄せることに関しては天才的だ。数日前の嫌な予感を思い出して勝己は双子をきつく睨みつけたが、二人は気にする様子もない。
「そんなに目を吊り上げないで。陸の生き物は獰猛ですねぇ」
「オレたちは親切で教えてあげてるだけだよ。ねぇ、ジェイド」
「ええフロイド。僕たち、悩みを抱える可哀想な人を放っておけないタチでして」
「「ふふふ……クスクス」」
ぴったりそろった笑い声が食堂の片隅に響く。ヘテロクロミアの金色の目が不気味に光って出久を捉えていた。
「もし、この話に興味がおありなら、夜9時過ぎに『モストロ・ラウンジ』へおいでください。美味しいお茶を用意してお待ちしています」
「待ってるねぇ、モズクちゃん」
言いたいことだけ言って、双子は食堂から去っていった。 - 115二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 23:25:06
ごめん
ソイツモズクに見せかけた海坊主 - 116二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 01:03:03
こんときのアズールは交渉材料のイソギンチャクがたくさん集まった上に、自分に比較的好意的で土地持ってるデクがそれを何とかしようと動いてるの見て「やっと運が向いてきた!」って思ったんやろなぁ…なお
- 117二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 06:55:29
シャチのかっちゃん、シャっちゃん
- 118二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 07:40:43
「軽い気持ちで力をもらったら大変な目に遭いましたレベル100」の事例を間近で見てるのひどい
しくじり先生の授業を受けて来てる - 119二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 11:38:12
wwwww
- 120二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 17:18:27
誰のこと?青山くん?
- 121二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 19:15:12
願い星の祭があるくらいなので、おそらくピノキオの伝承が残ってるから「何をやっても上手くいかない木偶の人形」って概念はあるかもしれない
- 122124/11/13(水) 22:37:17
「えーっと、つまり……」
「もし、イズクがアズールと契約して勝負に勝ったら……」
「結果によっては、オレたち自由になれるってこと!?」
双子が去った後、先ほどまで萎れていた三馬鹿がなにやら目の輝きを取り戻している。
その視線の先にいるのは、出久だ。
「頼む、イズク/ミドリヤ!アイツに勝ってくれ!!」
「テメェら他力本願にも程があんだろうが!!!」
勝己は出久に詰め寄る三馬鹿をシッシと追い払った。
際限なく出久に頼ろうとする馬鹿を放っておくと、自分を勘定に入れない出久がどこまで自分を切り売りするか分かったものではないので。
「イソギンチャクが頭についてないヤツに、この苦しみはわからねぇんだゾ!」
「そもそもテストで楽しようとしたテメェの蒔いた種だろうが!」
「それについては充分反省したってば~」
「ああ。もう二度としない。たとえ赤点になったとしても、結果を受け入れる……っ!」
「目標が低すぎンだよテメェは!まずは赤点とらないようにするくらいのことは言えや!!」
尚も出久に頼ろうとする三馬鹿が志の低いことを言うので、勝己がバッサバッサと切り捨てた。
「で、どうするんだミドリヤ。アイツらの口車に乗るのか?」
事態を静観していたジャックが出久に問いかける。
余計なことを、と思ったが、零れた言葉は取り戻せない。
*出久の表情 dice1d100=62 (62)
(低いほどいつも通り、高いほど目が据わっている)
- 123124/11/13(水) 23:01:43
「話を聞くだけ聞いてみよう」
出久が下したのは、まずは様子見といった結論だった。
それをどう都合よく受け取ったのか、三馬鹿の顔に歓喜の表情が浮かんだ。
「ったくテメェは本当に……」
「ごめん、かっちゃん。嫌だったらやっぱり僕一人で――……」
「誰がテメェ一人で詐欺眼鏡のとこに行かせっかよ。俺も同席する」
出久は決して馬鹿ではないので、丸め込まれてあまりにも不利な条件の契約を結ばされるなんて事態にはならないだろう。
それでも、未だに勝己には理解できない意味不明な思考回路でとんでもない結論を出す可能性があるので、そうなるくらいなら初めから傍で見ていた方がいくらか安心というものだ。
「――チッ、仕方ねえ。お前、お人好しすぎて危なっかしいからな。俺も着いていってやる」
「ジャック君!ありがとう、頼りになるよ」
「か、勘違いすんなよ!俺はアズールのやってることが気に入らないだけだ」
ジャックの素直じゃない言葉を受け取る出久はニコニコしている。
相変わらず大きな尻尾がブンブン揺れるのが鬱陶しい。
「と、とか言ってる間に、頭のイソギンチャクが引っ張られるっ!」
「いででで!昼休みまでこき使う気かよ~!」
「頼んだんだゾ、イズク~!」
「「「あ”あ”ああああ~~~~~!!!!」」」
頭のイソギンチャクに引っ張られた三馬鹿が、間抜けな姿で歩きながら食堂を去っていく。
「ったく……アイツらはどうしようもねぇな」
ジャックが呆れたようにため息を吐いた。
「少しの間働いてるうちにテストでズルしようとしたことは反省してもらうとして……。やっぱりグリムにはもうちょっと厳しくしないとダメかな」
「そうしろ」 - 124二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 23:07:05
なんかグリムに対する対応が親っぽいよデクくん
- 125二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 23:09:09
かっちゃんの心臓のことを考えれば屋根のある場所を失って野宿は避けたいよなあ
- 126二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 00:16:35
- 127二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 00:22:24
引子さんって…多分出久を甘やかして育てた感じがするから、出久も厳しく育てるって苦手そうだな(実際に最終回で相澤先生が厳しくしろって言及してたし)
生来の性格+無個性として産んだ負い目で…(優しい虐待みたいな甘やかしじゃなさそうだけど)
爆豪家っていう厳しく育てるっていうロールモデルいるけど、かっちゃんだから成立している円満家庭だからなぁ…
- 128二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 07:32:52
このレスは削除されています
- 129二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 15:01:56
飴のデクと鞭のかっちゃんで上手いこと回るかもしれない
- 130二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 20:54:59
自分を切り売りしまくって黒デク化した前科あるからね、妥当な心配ですね
- 131二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 20:57:05
- 132二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 21:08:37
- 133二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 21:10:00
美味しそうだな‥
- 134二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 22:18:05
- 135124/11/14(木) 22:25:05
今日は更新できませんが、ジェイドとフロイドの初対面好感度ロールふり忘れてたのでそれだけ振っちゃいます
今のところリーチ兄弟は二人に好かれる要素がない気がするので上限控えめで
*初対面好感度ロール
出久→ジェイド dice1d50=26 (26)
爆豪→ジェイド dice1d50=21 (21)
ジェイド→出久 dice1d80=65 (65)
ジェイド→爆豪 dice1d80=43 (43)
出久→フロイド dice1d50=8 (8)
爆豪→フロイド dice1d50=28 (28)
フロイド→出久 dice1d80=33 (33)
フロイド→爆豪 dice1d80=69 (69)
- 136二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 22:27:06
ジェイドはデク、フロイドはかっちゃんの方が好感度高いのなんかわかる気がする
- 137二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 22:29:03
全体的に幼馴染→双子の好感度低いな
- 138二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 06:32:07
ほ
- 139二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 07:04:09
>今のところリーチ兄弟は二人に好かれる要素がない気がする
それはそう
- 140二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 08:22:54
フロイド、すぐウギるリドルのことお気に入りだからすぐキレるかっちゃんのことも気に入りそう わかる
- 141二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 09:50:21
入学式早々、からかってノータイムで燃やしにかかるキレ芸披露したから、おもしれー男認定したんだね
- 142二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 11:35:14
- 143二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 11:55:30
オールナイトでオールマイトのトーク……これがオールマイトニッポン!?
- 144二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 11:58:52
- 145二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 11:59:18
- 146二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 17:01:29
- 147二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 17:06:32
ジェイド→デクの好感度が比較的高いの、「ああいう大人しそうなやつに限って実はやばい」を密かに期待してるから説
- 148124/11/15(金) 22:10:32
リズミックのシーンはカットします!
- 149124/11/15(金) 22:28:03
夜、ジェイドに指定された夜九時の少し前に、勝己たちはモストロ・ラウンジを訪れた。
大人びた雰囲気のラウンジ内は大勢の客で賑わっている。
「あ~、モズクちゃ~ん、いらっしゃい~。それにシャチちゃんとウニちゃんも来たんだ」
エントランスに立つ三人にフロイドが気づき、やや毒っ気のある甘い声で話しかけてきた。フロイドの様子に気がついたジェイドも店の奥からやって来る。
「おや……これはこれは。早速のご来店ありがとうございます。ようこそ『モストロ・ラウンジ』へ」
前回、乱入者として扱われたときとは打って変わって、ジェイドはいかにも給仕然とした恭しい態度で勝己たちを出迎えた。
「さて……お客様、本日のご用件は?」
ジェイドの視線は自らが招待した出久に向いている。
「……アズール君と話がしたい」
「ふふふ……かしこまりました。今、支配人は別のお客様のご相談を受けておりまして。しばらく店内でお待ちいただけますか?9時丁度にはご案内できるかと思いますので」
そう言って待合用のチェアを3人分用意すると、ジェイドは一度店の奥へ戻っていった。
*待っている間の話題 dice1d3=1 (1)
1.店の雰囲気について
2.イソギンチャクについて
3.アズールについて
- 150124/11/15(金) 22:57:06
「ここってすごくお洒落な内装だよね。大人っぽくてなんか緊張してくるなぁ」
「詐欺眼鏡との交渉、トチったらコロす」
「うん。今のうちに『人』の字でも飲んで精神統一しておこう」
「………………何やってんだミドリヤ?」
「これ?う~ん、改めて言われるとなんだろう。緊張しないおまじない、かな?」
「変な呪いだな。本当に効果あるのか?」
出久が手のひらに指で『人』と書いて口元に持って行く動作を、ジャックが不審なものを見るような目で見ている。
どうやらこの世界に『人』の字を書いて飲むおまじないは存在しないらしい。
待っている間店内を眺めていると、ホールに給仕として駆り出されているエースとデュースが横切っていった。その表情は疲れ切っている。グリムはホールにはいないらしい。
時折、店内での会話を楽しむ声や洒落たジャズのBGMに、イソギンチャクたちの悲鳴が混じる。どうやらジェイドとフロイドに新人教育と称した折檻を受けているようだ。
「……いくら契約の対価にしたって、やっぱりこれはやりすぎだ」
「チッ、気分悪ィな」
「同感だ。グルル……」
出久が痛みに共感するように眉根を寄せる。勝己としても新人いびりなんて見せられたら気分のいいものではない。ジャックも同様なようで、牙の隙間から獣のように唸る音が漏れている。
折角の洒落た社交場の空気を楽しめる雰囲気でもなく、三人は自然と口数が少なくなった。
妙に長く感じられた数分が過ぎた頃、カツカツと高らかに革靴が鳴る音が近付いてきた。
「大変お待たせ致しました。VIPルームの準備ができましたので、どうぞこちらへ」
「遅ぇ」
「……フフフ、手厳しいですね」
苛立ちを隠しもしない勝己の棘のある態度にも臆さず、アズールはいかにも商人めいた愛想笑いを顔に張り付けた。
「ジェイド、フロイド。お客様にお茶のご用意を」
「「かしこまりました」」
「さあ、貴方たちはこちらへ」
アズール自らに案内され、三人は『モストロ・ラウンジ』の奥にある貴賓室へと通された。 - 151二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 23:06:20
TWLって舞台西洋って感じするしそもそも漢字ってあるのかな?
- 152二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 01:39:10
着物文化はありそうなんだよな あと中国の龍とかもいたか
- 153二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:34:56
日本っぽいところはあるかもしれんね、中国っぽいところ(赤竜の国)はあるし
- 154二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 12:30:21
ベイマックスモチーフの国があるなら、サンフランソウキョウ的な街があるはず
- 155124/11/16(土) 17:13:16
「さあ、突っ立ってないで入口を塞いでいないで。奥へどうぞ」
アズールに案内されたVIPルームは、大きな金庫が印象的な、銀行の応接間のような部屋だった。
黒革のソファは柔らかく、出久が掛けるとお尻がふかふかと沈み込んだ。勝己とジャックがその両脇に座る。
「それで?僕に相談というのは?」
「君が言うことを聞かせている生徒たちを解放して欲しい」
「はっはっは、これはまた……突然横暴なことを仰いますね。僕と契約した生徒、225人の解放ですって?」
「225人……!?」
目を丸くする出久に対し、アズールが小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「チッ。この学園、やっぱりクソ生徒だらけじゃねェかよ」
「ガルルル!!俺までイソギンチャクと同類みたいな言い方をするな!」
「ちょっと二人とも、ここで喧嘩しないでよ!」
「おやおや。騒がしいですねぇ」
「元を辿ればテメェの汚ぇ計画のせいだわ、詐欺野郎」
勝己の苛立ちを受け流すようにアズールがやれやれ、と肩を竦める。
あくまで余裕のある態度を崩さず、アズールは優雅に足を組んで出久に向き直った。
「さて、ミドリヤさん。あなたは生徒たちを自由にしてほしいと言いますが、僕は彼らに不当な労働をさせているわけではありません。彼らは契約書の内容に合意し、僕と『契約』を交わした。『契約』は“可哀想”だとか、そんな感情的な理由で他人が口を挟めるものじゃないんですよ」
「……確かに彼らと君のには『契約』が成立しているんだろうけど、公序良俗違反で無効になりうる内容だと僕は思う。試験でズルしようとしたことは罰せられるべきだと思うけど、それで学生生活の自由全てを失うべきだとは思わないし、その罰を与えるのは君じゃなくて教師たちのはずだ」
「今回イソギンチャクたちが高得点を取ることを叶えた試験対策ノート、あれは魔法でできているものではないんですよ。僕には、あれの作成にかかった労力の対価を求める当然の権利がある」
「その対価なら、彼らは『能力』って形で支払ってるはずだ」
眼鏡の奥の高圧的な視線に、出久が負けじと睨み返す。
誰かを守るときだという自覚のある出久の目は、平素からは想像もつかないほどの鋭い形をする。
*舌戦 対抗ロール
出久 dice1d100=57 (57)
アズール dice1d200=195 (195)
- 156124/11/16(土) 17:43:55
慣れない舌戦にて出久は懸命に自己の主張を押し通そうとしたが、アズールの良く回る舌がそれをすべて躱してくる。
ジャックの視線が先ほどから「助け船を出さなくて良いのか」と訴えているが、勝己が言えるようなことは既に出久が主張し尽くしている。
「……君がどうしても過剰請求を認めないなら、学園外の教育委員会や法律相談所に訴えることも辞さない」
「フフフ、面白いハッタリですねぇ。財力どころか、この世界のどこにも籍も無い貴方にそんな手段が取れるわけがない。ただでさえウチの学園長は隠蔽体質、揉み消されるのは貴方の主張の方ですよ」
「………っ!」
出久が言葉に詰まる。学園内の最高権力である学園長が表だって味方しそうにない以上、この舌戦は出久の方が圧倒的に不利だった。
正論など無意味。相手は公序良俗違反なんて承知の上で計画を押し通している。向こうがこちらの主張に乗るつもりがないのならば、暴力に訴えてアズールたちを屈服させるが、学園外の権力に訴えて強制的に止めるしかない。
しかし、後者の手段は取りようがないし、出久は決して前者の手段を良しとはしない。八方ふさがりだ。
ふと、VIPの外からイソギンチャクのものと思しき悲鳴が聞こえた。出久の表情が歪む。両ひざの上に乗せられた両手が固く握りしめられ、デコボコした形の骨がくっきりと浮かびあがった。
(…………マズい!)
出久の舌戦を見守っていた勝己だったが、後戻りできなくなる悪い流れを察知して咄嗟に隣の出久の表情を盗み見た。
出久の深緑の目は完全に座っている。
「そちらの主張は終わりですか」
「おい出久―――――」
「アズール君。君は取引すればどんな願いも叶えてくれるって話だよね」
勝己が口を挟むよりも先に、出久が言葉を言い放った。
*爆豪の反応 dice1d2=1 (1)
1.出久の邪魔はもうしねェって決めとンだ。見守り継続。
2.コイツが何を差し出すか分かったんもんじゃねェ。反対する。
- 157124/11/16(土) 17:54:44
本編には関係ないですが、入れたかったロール一つ入れ忘れたので振っちゃいます
*ジェイドが淹れた紅茶の味(1:すごく美味しいけど八百万の紅茶の方が好き、100:今まで飲んだ紅茶の中で一番美味しい)
出久 dice1d100=50 (50)
爆豪 dice1d100=24 (24)
- 158二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 19:03:59
タルトのときといい、かっちゃんがA組舌にされとる…
- 159二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 19:24:07
助けを求める声が聞こえたなら仕方ねえよな…………緑谷出久ならそうする
- 160二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 22:16:47
ああああかっちゃんの決意が悪い方向に…………
- 161124/11/17(日) 00:34:52
「!?おい、お前なに考えてんだ!?」
出久の言葉にジャックが驚愕の表情を浮かべ、その肩を掴んだ。出久はアズールから視線を逸らさないまま、右手でジャックを制す。
「バクゴー、お前も止めろ!」
「そんなんしたって意味ねェよ。どうせ止めたところで、そうと決めたコイツは絶対ぇ譲らねェ」
「……止めないでくれてありがとう、かっちゃん」
「チッ。勝手決めといてよく言うぜ」
出久は穏やかな性格に反して、その性根は非常に頑固だ。今取引を止めさせたところで、それしか手段がないのなら後から一人ででもアズールのもとへ取引しに行くくらいのことは平気でやってのけるだろう。
自身の知らないところで勝手に自己犠牲精神を発揮されるくらいなら、勝己の近くで手の出しようがあるところでやってもらった方がまだマシだ。
「ほう、ミドリヤさんは僕と取引をしたいと?面白いことを仰る」
「あはっ。モズクちゃん、度胸あるじゃん」
出久の言葉を聞いたアズールと、その両隣に控える双子の口角がニタリと持ち上がる。
「……ふぅむ。あなたが僕と取引したいのは分かりましたが……。しかし困りましたねぇ。確かミドリヤさんは魔法の力をお持ちでないし、バクゴーさんのような特殊体質もない。ほんとうにごく普通の人間だ」
アズールの言葉に、出久がごく普通の人間であってたまるか!と勝己は内心荒れたが、それを口に出して向こうに餌をやるほど勝己は馬鹿ではない。
「それだけ大きなものを望むのでしたら、相応の担保が必要です。たとえば……ミドリヤさんが管理しているオンボロ寮の使用権、とか」
「「!!」」
アズールが提案した担保の内容は勝己にとっても出久にとっても全くの予想外であり、かつ出久をわざわざ招いたことに合点がいく内容だった。
「!!テメェら、最初からそれが狙いで……」
嵌められたことを悟った勝己の左手から抑えきれない苛立ちが火花となってバチバチと爆ぜる。
それが大きな爆発となる前に、別の騒音がVIPルームに響き渡った。
――バン!!
耳障りな騒音は、VIPルームの扉が乱暴に開かれた音だった。
「その話、乗ったーーーーー!!!!」
果たして、勢いよく開いた扉の向こうから転がってきたのは、全身泡だらけの毛玉だった。 - 162二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 00:42:31
そう言う流れで話を運ぶのか!すごい
- 163124/11/17(日) 01:02:46
泡だらけの毛玉は立ち上がると、ペッペと泡を吐き出した。
「グリム!?」
「も、もうこんな生活嫌なんだゾ!オレ様の気は食洗機じゃねぇってんだ!」
「!?!?テメェまさか自分の毛で食器洗ってやがんのか!?汚ったねぇな、この店の衛生観念どうなっとンだ!!」
「かっちゃん、そこ突っ込むところ?」
「ハァ!?飲食店だぞ!そこがいっちゃん大事だろうが!!」
「グリムさん。従業員が仕事をサボって立ち聞きとは感心しませんね」
「サボリよりも先に衛生教育しろやァ……!」
「フロイド、つまみ出しておしまいなさい」
「はぁ~い」
「無視すんなクソピアスども!!」
「ふなぁ~~~っ!」
グリムはフロイドが一歩踏み出した瞬間、尻尾を振り回して全身の毛を逆立てながら出久の脚の後ろに隠れた。 - 164124/11/17(日) 01:03:21
「まあまあ、待ちなさい2人とも。ミドリヤさん、あなたたちと学籍を分ける、魔力をもった唯一の寮生であるグリムさんがこう仰っていますよ」
出久と勝己とグリムは三人で一人の生徒という扱いになっている。三人の中で魔法士たりうる魔力をもっているのはグリムだけ。グリムを欠くと、勝己と出久がナイトレイブンカレッジの学生として保護される前提が崩れてしまう。
「どうします?オンボロ寮を担保に僕と契約なさいますか?」
「おい、ミドリヤ。やめとけ!どうせこっちが不利な条件での契約に決まってる」
「……契約の条件が聞きたい」
「その潔さ、気持ちが良いですねぇ」
出久の返答にアズールはニコリと笑みを浮かべ、ジャックは大きな耳をピンと逆立てた。
「おい!お前、本気かよ」
「大丈夫、ジャック君。さすがにひどい条件だったら、交渉の一つもなしに契約を呑んだりしないよ」
「……本当だろうな」
出久の毅然とした表情に押されてジャックが一度引いたのを見届けて、アズールが口を開く。
「この契約の達成条件は――『3日後の日没までに、珊瑚の海にあるアトランティカ記念博物館からとある写真を奪ってくること』」
*??? (後でロール内容公開します)
出久 dice1d100=15 (15)
ジェイド dice1d100=39 (39)
フロイド dice1d100=54 (54)
- 165二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 01:09:25
このレスは削除されています
- 166二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 02:36:56
かっちゃんよ、ずっと衛生観念気にしてるがデデニーでは食器洗いを動物が自分の体でやるのはまあまあよくあるんだ(ソース:白雪姫、魔法にかけられて)
- 167二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 09:52:04
このレスは削除されています
- 168124/11/17(日) 09:53:17
「テメェ!出久に盗みやれってか!?」
提示されたとんでもない条件に、アズールの両隣の双子もまた目を丸くした。二人にとっても想定外の条件だったらしい。
「……美術品を盗むなんて犯罪だ。そんな条件は受けられない」
「いいえ、美術品ではありません。奪ってきてほしいのは――10年前撮影された、リエーレ王子の来館記念写真です」
「来館記念写真……?」
「ええ。博物館の入口近くに飾ってあるもので、歴史的な価値など一切ないただの写真パネルです。拝借したところで、大事になったりしません」
「価値があろうがなかろうが、盗みには変わりねェだろうが!!」
「――――………」
ふざけた条件に勝己が吠える。
隣の出久が言葉を発さず目が据わったままでいることに、勝己の背を嫌な予感が駆け上っていく。
「……それなら、どうしてわざわざその写真を取って来てほしいの?」
「フッ、それなりに難題でないと勝負にならないでしょう?あまり簡単な条件では、僕が損をするばかりですからね」
「そういうことなら、やっぱりこの話は受けられない。勝負のためだけに窃盗だなんてできるわけないだろ」
アズールの提案に出久が拒絶の意を示したことに、勝己はひとまず安堵する。まだ油断はできないが。
アズールは出久のドスの効いた声に多少驚いたようで、目をぱちくりとさせた。
「ふむ……あなたの主張は最もです。話せる範囲で事情を打ち明けるのならば、僕が個人的にその写真を必要としている、というのが正直なところです」
「――――………」
出久が再び黙りこくり、右手で口元を弄りだす。この癖が出るのは、何か思案に耽っているときだ。
据わった丸い目は草食動物めいていて、視線も感情も読みにくい。
勝己の嫌な予感センサーが再び反応しまくり始めた。
出久が迷っていると判断したのか、ジェイドがアトランティカ記念博物館の詳細について説明を始めた。
曰く、その博物館は珊瑚の海という国にあり、国宝や重要文化財が収蔵されている有名な観光名所であるらしい。 - 169124/11/17(日) 10:37:38
「ちょっと待てよ。『珊瑚の海』って国は国自体が海の底にあるはずだろ。エラもヒレもない俺たちには滞在することすら難しい。こっちの条件が厳しすぎるんじゃねぇのか」
土地勘のない二人に代わり、ジャックがアズールの契約条件の不平等に文句を言う。
泡のドームのようなものに包まれているため人間でも滞在できるオクタヴィネル寮とは違い、珊瑚の海は正真正銘の海底にあるらしい。
「ご安心ください。君たちには水の中で呼吸が可能になるこちらの魔法薬を差し上げます。海の魔女も、人間に恋した哀れな人魚姫に陸を歩ける足をつけてあげたそうですから」
そう言ってアズールは巻貝の形をした小瓶を取り出した。中には怪しげな色をした液体が入っている。
「さあ、どうします?僕と取引し、契約書にサインします?僕もヒマではないんです。早く決めてください。さあ……さあ!」
「急かさないで。契約書の内容はちゃんと確認したい。それに、悪いけどそのままの条件じゃとても契約できない。こっちからも条件を出させて」
「……良いでしょう。そちらの条件を呑むかはさておき、どうぞ」
気合を入れ直すように一度深い息を吐くと、出久はソファの上で姿勢を正してアズールと向き直った。 - 170124/11/17(日) 10:50:21
「まず勝負の内容についての確認だけど、『3日後の日没までに例の写真をアズール君のもとに持ってくる』ってことで間違いないよね」
「ええ。契約書のこの部分に記載があります」
アズールが金色に輝く不思議な契約書をどこからともなく取り出して、出久に渡した。
指さす先の文言は、間違いなく先ほど出久が復唱した内容が記されている。
「――勝負の内容については分かった。次は担保についてだけど、僕たちはあくまで学園長の厚意でオンボロ寮に住まわせてもらってるだけだ。学園管理の建物だから僕が勝手に使用権をどうこうなんてできないよ」
「あそこは元々ただの廃墟。権利なんてあってないようなものです。あなたさえ許してくれれば、後は僕たちが使用する許可がすんなり下りますよ」
「……何のためにオンボロ寮を使いたいのかは分からないけど、担保として差し出せるのは一階の部分だけだ。二階は僕たちの居住スペースとして残させてもらう」
ちらり、と出久が勝己の肩の下に視線を向ける。勝己の体調を慮れば、宿無しになるのは絶対に避けたいところだ。
これは出久にしてみればギリギリの譲歩だろう。オンボロ寮の掃除は毎日しているが、まともに住める状態なのは一階部分だけだ。二階はまだ手つかずで、使用できる状態ではない。
*アズールの反応 dice1d2=1 (1)
1.出久の条件を呑む
2.オンボロ寮の2階部分に相当する補填を求める
- 171二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 10:50:35
急かされて即断しないのはさすが
- 172二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 10:55:18
1階を取られても居住スペース確保出来るからまだマシか
- 173二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 11:38:07
- 174二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 11:39:58
まぁ…そんな図太い提案して飲んでくれるとは二人も思ってないだろうし…
- 175124/11/17(日) 11:52:57
「……本来であれば二階部分も欲しいところですが、ここは海の魔女の慈悲の精神に則って、ミドリヤさんの条件を呑みましょう」
アズールが指先を動かすと、契約書の担保に関する項目の文面がひとりでに書き換わる。
「……それで、あなたのご決断は?」
出久の目が契約書の上を隅々までなぞる。やがて、出久は決断を下した。
「――契約する」
「出久」
「大丈夫だよ、信じて」
「ヂィッ!勝手ばっかしやがってクソゴミボケカス。下手打ったら爆破しコロして塵芥にしたる」
「うん。見ててよ」
勝己があえて物騒な言葉を選んで発破をかけると、どういう思考回路なのか出久はいつも笑顔になる。本当に理解できない。
ジャックはもう口を挟まなかった。
「いいでしょう!ではこの契約書にサインを」
アズールは魔法で執務机から真っ白な魚骨のペンを取り寄せ、出久の右手に握らせた。ぐ、と力の入った見慣れた筆跡で、黄金の契約書に『緑谷出久』の文字が刻まれた。
「ふふふ……確かに頂戴しました。これで契約は完了です」
満足そうな笑みを浮かべ、アズールが契約書を受け取った。
「もし条件を達成できれば、僕の下僕である225名のイソギンチャクたちの自由を約束しましょう。でも、もし達成できなければ……オンボロ寮の一階は僕のもの。そしてあなたもまとめて僕の下僕になってもらいます!ああ、バクゴーさんは対象から外れていますから安心くてくださいね」
「なにが安心だ。俺もイソギンチャクになるっつー条件ならコイツに契約させる訳ねェだろうが!寝言は寝てシね詐欺眼鏡!!」
海底火山が噴火する勢いで並べ立てられる勝己の暴言にアズールの口元がヒクりと引き攣ったが、なんとか紳士的な笑みは崩れなかった。とんだ商人根性である。
「ジェイド、フロイド。お客様のお見送りを。3日後を楽しみにしていますよ」 - 176124/11/17(日) 12:09:05
「ほう、ここがオンボロ寮。中には初めて入りましたが、なかなか趣のある造りですね」
「なんッでテメェらがここまで着いてきとンだクソピアス共!!!!」
「あはは、シャチちゃんマジでうるせ~」
勝己たちが『モストロ・ラウンジ』を出ても、オクタヴィネル寮を出ても、鏡を抜けて校舎を出ても二人はお見送りと称して着いてきて、果てはオンボロ寮まで来てしまった。
「だってこの寮を担保にアズールと契約したじゃん」
「ミドリヤさんは他のみなさんと違い、契約時に能力を預けて頂く事ができませんでしたから。代わりにこの寮の一階部分を没取させて頂きます。ふふふ、学校からも近いので、『モストロ・ラウンジ』の2号店にぴったりの立地です」
「にゃに~~~~!?」
グリムが心底嫌そうな悲鳴を上げる。勝己も嫌すぎて顔面の表情筋が崩壊しそうだった。
出久が申し訳なさそうな顔をしていたのにムカついたので、残ったそばかすがちぎれるくらいに頬をつねっておく。
「従って、おふたりには一階から直ちに退去して頂かなくてはなりません」
「荷物を二階に移す時間くらいはあげるからさぁ」
「正式にここがアズールのものになった際は、一階に残された私物は全て廃棄させていただきます。そのつもりで身支度なさってくださいね」
「ふふふ、大丈夫だって。3日後の日没までに写真を持ってこられたら全部返してあげるからさ」
「「フフフフ…………」」
ぴったり揃った不気味な笑い声がオンボロ寮の廊下に反響する。
出久も勝己も私物は殆どもっていないが、グリムが慌ててツナ缶を取りに走っていった。
*勝己の行動 dice1d2=1 (1)
1.オンボロ寮の2階に向かう
2.オンボロ寮の外に向かう
- 177二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 12:33:47
わくわく!
- 178124/11/17(日) 12:41:40
「かっちゃん、もう荷物はいいの?」
「鞄の中に入れてとるモンと雄英の制服以外に大した物なんかねーわ。もう寝る」
「待って、僕もすぐ行く!」
ドタバタ、と慌ただしい音がしたかと思えば、パンパンに膨れた鞄をもった出久が階段を駆け上ってきた。
久しぶりに足を踏み入れた二階部分はひどい有様だった。今まで掃除は一階部分で集中的に実施しており、雨漏りの補修も一階分しか終わっていない。
噎せかえるような黴の匂いと、なぜ人間に鼻毛が生えているのか一発で理解させるような塵っぽい空気に生理的嫌悪感をかきたててられ、二人は足を止めた。
「これは……ここで寝たら病気になるね。かと言って今から掃除するのは現実的じゃないし……」
「アレルギー、喘息、肺炎。ただでさえ真菌症はウイルス病より治しにくい。健康リスク考えりゃ、一泊くらいなら防寒さえできりゃ野宿のがまだマシだ」
「かっちゃんって野宿したことある?」
「でっけぇ山登っときに何度か親父とテント泊したことはある。テメェは」
「野宿はないかなぁ。強いていうなら、雄英を離れてオールマイトを振り切ってから何日か廃墟の中で夜を過ごしたくらい」
「マジでなにしてたんだテメェ。体調管理クソ過ぎンだろ」
「それに関しては本当に返す言葉もないというか……」
閑話休題。
とにかく、全く清掃が手つかずのオンボロ寮二階は衛生面が終わっているので、一泊だけどこか別の場所で夜を明かすことにした。
最悪、校舎に入り込んで宿直室を間借りするなりなんなりすれば、勝己の心臓が急に悪くなるなんてことにはならないだろう。
「ふなっ?オマエらどこ行くんだ?」
「グリム、僕たち今夜はオンボロ寮じゃない別の場所で過ごそうと思うんだ。グリムも行く?」
「行く!そっくり兄弟と一緒なんてオレ様嫌なんだゾ!」
グリムはツナ缶がたっぷり入った風呂敷を背負いながら、出久の横に駆け寄ってきた。
「じゃぁねぇ、モズクちゃんとシャチちゃんとアザラシちゃん。達者で~」
「ああ、もし宿にお困りでしたらご相談ください。オクタヴィネル寮のゲストルームは、1泊1万マドルからリザーブ可能ですので」
「誰がテメェらの世話になっかよ!!!シね!!!!!」
暴言を吐き捨て、勝己はオンボロ寮の扉を蹴破る。
夜の澄んだ冷たい空気に頬の傷跡がチリチリと小さく痛んだ。 - 179二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 13:41:53
寝起きに鼻かんだら真っ黒な鼻水が出てきそうな不衛生ぶりで草
トリップ初日によく掃除できたな - 180二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 17:34:37
かっちゃんは才能マンだけど接客態度はクソ・オブ・クソだろうから、イソギンチャクにしたところでアズール的には不良債権の類よな
アズールが昔を思い出すような言動がデフォだし
性格はクソなのに他は完璧だから「!?!!??」ってなるところまでセットでやってほしい - 181124/11/17(日) 18:50:15
「おーい、ミドリヤ、バクゴー、グリム!」
2人と1匹が丁度オンボロ寮の敷地を出ようかというタイミングで、デュースとジャックとエースがやってきた。
「話は聞いたぞ、オンボロ寮の一階を取られたんだって
?二階は住める状況じゃないだろ」
エースとデュースはそこそこの頻度でオンボロ寮に遊びにきたり出久に勉強を教わりにきたりして、その度に場所代として清掃に付き合っているので、内部の事情をよく知っている。
このままだと2人と1匹が二階部分で夜を越せないことに思いあたり、駆け付けてくれたようだった。
「ふなっ!オマエたち、もしかして助けにきてくれたんだゾ!?」
「んー。グリムはともかく、ミドリヤたちが宿無しになるのは、まあオレたちにも原因があるし?野宿して風邪でもひかれると寝覚めが悪いっつーか。バクゴーはたまに血ィ吐いたりして体弱いみたいだし」
「エース君……!」
「いい感じの空気に流されんじゃねェよ。そもそもコイイツらが詐欺眼鏡の甘言に乗らなきゃこんなことになってねェんだわ」
勝己がジロリと睨むと、エースが飄々と視線を流した。
「ローズハート寮長に、話はつけてある。僕たち1年生の4人部屋でいいなら、雨風をしのげる場所は提供できるぞ」
「お前ら、4人部屋にさらに2人と1匹を押し込めるつもりか?ハーツラビュルに空き部屋はねぇのかよ」
デュースの言葉にジャックが呆れたような表情を浮かべる。4人部屋に6人と1匹を入れるのは明らかにキャパオーバーだ。
「ウチの寮は退学者も留年者もいないから、常に満員状態なんだ」
「………なら、今晩はサバナクロー寮に来るか?」
「「「エッ!!!!」」」
誰もが予想だにしなかったジャックの提案に、その場の全員が目を見開いた。 - 182二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 18:53:47
悪役モチーフの学校だからかっちゃんの善属性が輝くと同時に
口と態度の悪さによってコイツ善側だよな…?て困惑も発生しちゃう - 183124/11/17(日) 19:02:39
「アズールとの交渉に付いていってやると偉そうに言っておいて、結局なにもできなかったからな。マジフト大会のときの借りもあるし、レオナ先輩たちも断りゃしないだろう」
「ほぉ~~~」
「へぇ~~~。ジャックくんって実は優しいんだぁ~~~」
「意外な一面なんだゾ~~~~」
ジャックの言葉を聞いた三馬鹿がニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「ジャック君、初対面のときからずっと優しいけどなぁ……?」
ジャックに懇意にされている出久が小首をかしげた。
「か、勘違いするなよ!!次のテストのために、ミドリヤにはアズールとの勝負に勝ってもらわないと困るだけだ!」
「だからテメェは何に言い訳立てとンだ」
「はいはい、そういうことにしときましょ」
「ジャックの提案の方が、ミドリヤたちもしっかり休めそうだしな」
「ウチの寮だと、床に寝るか、オレとデュースのベッドで一緒に寝るかになっちゃうしねー。……あ、もしかしてそっちの方がいい?」
「冗談は頭のイソギンチャクだけにしろやクソハート野郎」
「いや食い気味に拒否すんのやめろよ!!冗談じゃん!!」
キャパシティー的にはサバナクロー寮一択だ。リドルたちほどレオナを始めとしたサバナクロー寮の面々とは打ち解けていないが、空き部屋に入れるなら関わる機会もないだろう。
「じゃあ、さっさと寮に戻るぞ。もう12時近いじゃねぇか……ふぁあ……」
早寝早起きが習慣になっているジャックが大きな欠伸をした。
*二人の眠気 (1.おねむモード 2.夜勤モードになってる)
出久 dice1d2=1 (1)
爆豪 dice1d2=1 (1)
「じゃあ、また明日な」
「おやすみ」
「おやすみ、エース君、デュース君」
ハーツラビュルの二人組と別れ、勝己たちはジャックについてサバナクロー寮へと向かった。
- 184二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 19:05:23
ジャックがデクくんに対して最初から好感度100だからずーっと優しい(しかも相澤先生という前例もある)のニマニマしちゃう
- 185124/11/17(日) 19:23:30
「却下だ」
「即答かよテメェこの野郎!!!!」
無断で外部の人間を泊めるわけにはいかねぇ、とジャックが寮長のレオナに話を持って行った瞬間のやりとりがこれだ。
「そんな即答しなくても……」
「一つ、一人がうるせぇのがいるから寮生どもから苦情がくる。二つ、ウチの寮はペットの持ち込みも禁止している。毛が落ちるからな」
「アァ”!?誰がうるせェって!?もっぺん言ってみろや!!」
「かっちゃん、どうどう。そういうところだよ……」
「嘘つけ~~~!オマエらのほうがオレ様よりよほど毛がフサフサしてるじゃねぇか!」
「それはそれ、これはこれッス」
「大体な、空き部屋の掃除なんか何か月もしてねぇし、寮生どものがらくた置き場になってんだろ。3匹もどこに置いとくつもりだ」
最もらしい言い分を並びたてられて、勝己たちは追い出されそうになった。
流れが変わったのは、ラギーが仰天ものの提案をさも名案のように言ってのけてからだ。
「あっ。コイツら、レオナさんの部屋に置いとけばいいじゃないスか」
「「「はあ!!??」」」」 - 186124/11/17(日) 19:26:42
「おい、ラギー。言葉は慎重に選べよ。口を縫い合わされたいのか?」
「だって、レオナさんは部屋に召使がいるのとか慣れっこでしょ?宿代代わりに、身の回りのお世話は全部ソイツらにやらせればWin-Winじゃないスか」
「ガルル……。ラギー、テメェ……」
「いやぁ~、オレ、まだ寮対抗マジカルシフト大会の時の傷が癒えきってないんスよね~。魔法薬を飲んでまで魔法使ったからか、ハードワークはしんどくて。なにせ、レオナさんのために命張っちゃいましたから」
いけしゃあしゃあとラギーが流れるように理屈をこねる。
それが勝己たちのためではなくて自分のためなので、笑顔がなんとも腹立たしい。
「コイツらがレオナさんのお世話を手伝ってくれれば治りも早くなる気がするなぁ」
「…………チッ、小賢しい野郎だなテメェは」
「やだな、嘘じゃないッスよ。シシシッ!」
レオナは眉間に皺を寄せまくっていたが、なんだかんだラギーには甘いのか、なんと最終的には折れた。
「はぁ……仕方ねぇなあ。だが、そう簡単に俺の傍に置いといてやるわけにはいかねぇな。おい、テメェら、ちょっと来い!」
レオナが声を張り上げると、談話室にいたサバナクロー寮生たちが寄ってきた。なぜか手をボキボキと鳴らしている。
「……あれ、これってもしかして喧嘩する流れ?」
「この学園の奴ら、血の毛が多すぎンだろ」
「ウチの寮生と勝負しろ。勝ったら小間使いとして置いてやってもいい。たった一晩とはいえ、サバナクロー寮にか弱いお荷物を置いとくつもりはねぇんでな」
*対抗ロール
出久 dice1d1000=624 (624)
勝己 dice1d1000=507 (507)
サバナクロー寮生 dice5d100=68 90 8 29 57 (252)
- 187124/11/17(日) 19:37:17
勝己も出久も眠たくて仕方なかったが、睡魔のせいで体が鈍くなるようなやわな鍛え方はしていない。
早く喧嘩を終わらせて眠りたいという邪念もあり、サバナクロー寮生たちを早々に床に沈めた。
「テメェら草食動物にあっさり負けやがって。俺の顔に泥を塗ってんじゃねぇよ」」
「キャイン!すんませんっ!」
「約束は約束なんだゾ!今晩寝泊まりさせろっ!」
「グルル……。チッ……。少しでも騒がしくしやがったら、夜中でも即座に外に放り出す。わかったな」
「こんなことならエース君たちの部屋の方が安眠できた気がする」ヒソヒソ
「過ぎたことグチグチ言うなウゼェ。さっさとオンボロ寮取り戻すぞ」ヒソヒソ
「んじゃ、ジャックくんは余ってる布団をレオナさんの部屋に運んでやって」
「了解ッス」
「……シシシッ!ラッキー♪これで俺の雑用が減るッスね」
「ったく、お前ら……全部聞こえてんだよ。あとで覚悟しとけ。……オラ、草食動物ども。ついて来い。ちんたらすんな」 - 188124/11/17(日) 19:50:41
レオナに連れられてきたサバナクローの寮長室は、異国情緒のある石造りの部屋だった。
以前見舞いに訪れたトレイの部屋よりも数段広く開放的で、三人分の布団を床に敷いてもまだ余裕がある。
「さて、俺はもう寝るが……俺の眠りを妨げたら、平たく伸ばして食ってやるからな。グルル……………ぐー」
「……ア?こいつまさかもう寝たんか」
「さ、3秒で寝たんだゾ……!」
「起こさないように静かにしよう……」
朝から色々なことがありすぎて、流石の勝己も疲れた。出久もそうだろう。
早く寝て回復に努め、明日のパフォーマンスを上げることが大事だ。
「おやすみ、かっちゃん、グリム」
「ふぁぁ~。おやすみなんだゾ~~」
「……すみ」
青い三日月に見守られながら、2人と1匹はまぶたを閉じた。
*レオナの部屋での安眠レベル
出久 dice1d100=16 (16)
爆豪 dice1d100=47 (47)
- 189二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 20:42:21
二人ともおねむモードなの可愛いな
- 190二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 20:45:34
どっちも安眠レベル50以下!
出久に至っては半分切ってる! - 191二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 21:32:44
ここの出久のレオナへの好感度、全キャラ最低の2しかないから落ち着かなかったんだろう
- 192二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 21:40:02
ギリギリで細かいこと言ってすまんがスレタイに「クロス注意」を忘れずにな
不埒者に隙を見せるのはよくないからね - 193124/11/17(日) 22:05:18
そろそろ次スレ移行します!
【クロス注意】幼馴染みinNRC Part6|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com途中で付け忘れたことに気づいて密かに気にしておりました……
- 194二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 22:06:38
- 195二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 22:59:46
立て乙
- 196二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 23:09:14
うめ
- 197二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 23:11:46
梅干し
- 198二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 23:12:00
埋め立て
- 199二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 23:13:36
うめ
- 200二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 23:26:40
うめ