- 1二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:07:52
「ここだけアリスクの一人が」スレの四シリーズについて語るスレ
過去のスレでまだ語りたい概念があるうちに完結してしまったネタなどがあればそれもあり
四シリーズ(ヒヨリ、アツコ、サオリ、ミサキ)世界線をクロスさせた概念を語るのもOK
過去スレは>>2以降のURLから遡れます
支援絵やSSの再掲は自由です
- 2二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:08:23
相変わらず重いのでURL再掲は有志に任せます…一応前スレから辿ればすぐに見られます
- 3二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:08:46
- 4二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:11:54
スレたて感謝
- 5二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:12:23
立て乙です
- 6二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:12:50
まだまだ語りたい
- 7二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:13:37
ss毎日更新嬉しい
アズサバドエンも楽しませてもらってる - 8二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:25:47
立て助かる
- 9二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:26:16
- 10二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 17:28:22
ん、お疲れ様
- 11二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 18:58:08
- 12二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 18:59:45
ヒヨリ編から数えると14スレ目突入!
- 13二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 19:23:06【The Fake×Squad】 第一幕 | Writening透き通るような青空 大きな事件が一通りの落ち着きを見せ、ほんのひと時ではあるが平穏な日々を送るキヴォトス。 ミレニアムサイエンススクール。この物語はこの場所から始まる。 「はぁ……」 「ため息がデカ…writening.net【The Fake×Squad】 中編「CHiLD -error-」 | WriteningD.Uの街に雨が降る。 予報外れのその雨は、色んな物を洗い流すかのように、強く、強く、降り続ける。 予報に無かったからと、傘を忘れてずぶ濡れのまま走って帰路に就く者もいるだろう。 どうせこれは通り雨か…writening.net
スレ立て乙です!
ってことで【The Fake×Squad】ここまでのあらすじ
アズサ*テラーとの戦いは一応の決着が着いた。
だが、彼女の中にある「何があっても諦めない」という感情が暴走。
精神崩壊を起こしたアズサ*テラーは、自らの肉体にとある魂を無理矢理憑依させた。
それはあのベアトリーチェだった……
- 14二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:14:50
かんしゃあ〜
- 15二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:15:27
- 16二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:50:51
スレ立ておつですぅ〜
アズサバッドルートも次でエデン条約2章が終わるな
あと2章分か〜…長いなw - 17二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:45:05
心の強さで悪い方にリトライしすぎている
- 18二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:50:06
心は折れなくても錆びたり捻じ曲がったりはするからね
- 19The Fake×Squad24/11/09(土) 00:39:45
偽りのアリウスの空が、建物が、割れる。
アリウス自治区に貼られていた「アズサ」が描いた理想が、夢が、剥がれていく
文字通りの幻へと化して消えていった。
『先生……』
『アリウス自治区が元に戻っていく……』
セイアから通信が入った。
この領域が崩壊したとの知らせ、各部隊の戦いが終わったこと、敵味方共に大きな怪我人が出なかったこと。
「そうか……皆無事なら安心したよ」
『領域は無くなった。私たちの勝利……というわけではないのだろう?先生、君の声色がそう言っているよ』
『先生、私たちはどうするといい?』
「……とりあえず皆周辺への警戒をしながら待機していて欲しい」
「私たちの方は……もう少し掛かりそうだ」
通信を切る。
そして、目の前にいる“彼女”と向き合った。 - 20The Fake×Squad24/11/09(土) 00:40:31
ゲマトリアのベアトリーチェ。
内戦中のアリウス自治区に突如として現れた大人。自治区全体を自らの支配領域とし、「虚しさ」を植え付けて私兵を化した。
その目的は自らが上位存在に至ること。
それが彼女のゲマトリアとしての求道。
その為にアツコを利用し色彩をこの世界に呼び寄せようと画策していた。
だがその計画は、先生が、スクワッドが、そしてサオリが、阻止した。
今のアリウスが“そうなった”元凶。
「アズサ」の肉体を借り、“彼女”が今、ここに降臨した。
「今……もう一人の私の中にいるのが……マダムだと……?」
「あ、あの人ともう一度会うなんて……」
「………最悪なんだけど」
「そう……あの大人がアリウスをこんなことにした……」
「ねぇ、ハナコ……」
「大丈夫ですよコハルちゃん。皆がいますから」
彼女を知る者、知らぬ者、そして戦った者、皆それぞれ反応が違うが、「アズサ」の時とはまた違う雰囲気と気配に押されていた。
「……死んでいたんだねベアトリーチェ」
「えぇ、そうですよ先生」
「……シロコがゲマトリアを襲撃した時に?」
「いいえ、その少し前。色彩に狂った私は“処理”されたのです」
「ふふっ、まぁあの時の私はあまりにも正気ではなかった。あんな求道者とも言えぬ者は排除されて然るべき。当然の結果でしょう」
「まるで今自分が正気であるみたいな言い方だね」
「えぇ、正気ですとも。それに今の私は借り物とはいえ崇高を手に入れた」
「それによって私は“目線”が変わったのです。まぁ少なくとも処理される前の醜態を晒していた頃の私とは違うのです」
- 21The Fake×Squad24/11/09(土) 00:41:22
「ふ。ふふっ……あははははは!!!」
彼女が腕を広げて笑う。
「嗚呼!嗚呼なんて!滑稽なのでしょう!」
「求道という過程を飛ばして結果に到達してしまうなど!!」
「なるほど、これが虚しさなのですね!!」
「ただ私自らの駒を作り上げるための“方便”が、まさか私自身を襲うことになるとは!」
「嗚呼、なんて皮肉なのでしょう!なんて、虚しいのでしょう!!」
翼を広げたベアトリーチェが、笑顔のまま先生に銃口を向ける。
それに皆が焦り、先生を守るために盾になろうとするが、先生がそれを制止させた。
まず、彼女の話を聞きたいと。
「で、その虚しさで空っぽの貴方は一体何をしようとしているの?」
「そうですね………貴方たちへのリベンジ……と思っていたのですが、それは二の次です」
「ほう?」
「私はこの世界を壊す」
「それはどういう意図で?」
「それがあの子の……別の世界から来たアズサの願いですから」
空気が震える。
この空間そのものが軋み、歪み、亀裂が生じる。
「私は託されてしまいましたからねぇ……」
「子供の願いを叶えてやるのが、大人のやるべきことでしょう?」
- 22二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:43:47
彼女もまた、大人
- 23二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:48:50
- 24二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 00:57:23
どっちのSSもそれぞれ別方向にヤバいことになってるよ~~
- 25二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 11:05:24
またif組の平穏な生活が見たい
- 26二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 21:34:25
- 27二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:29:49
ん
クリスマスや年末年始までスレがあれば色々と書きたい - 28二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 23:52:39
期待
ばにばにしてきたな… - 29The Fake×Squad24/11/10(日) 00:40:35
「待てベアトリーチェ!!!」
大人2人の会話の間に、怒りを露わにしたサオリが割って入る。
「アズサは……あのアズサはどうしたんだ……」
「託されたと言っていたが……まさかアイツは……」
「し……んだのか……?」
直前の「アズサ」の言葉。そして彼女の体に憑依したベアトリーチェ。
この状況を考えるに、「アズサ」の魂が消えてしまったのだと思うのも無理はないだろう。
もしそうならば、自分たちが戦っていたことは全て無駄だったのではないのかと、そう絶望しかかっていた。
「サオリ、アズサは―――」
「生きていますよ、勿論」
「……ベアトリーチェ」
先生はアロナとプラナが調べてくれたおかげで知っていた。
彼女の魂は消えてはいない。
消えてはいないが……
「ただし、私の魂を引き上げるのと同時に、あの子の魂は次元の狭間に落ちていった」
「今この体の内側は、その狭間へと通じる扉(ゲート)となっています」
「ならッ……さっさとお前の中からアズサを引き上げてでも……」
「そう簡単に行くでしょうかねサオリ」
「なッ……?」
「だって、あの子は狭間で引き籠っていますよ」
「もしかしたら、もう貴方たちとは話し合いすら拒否しているかもしれませんね」
- 30The Fake×Squad24/11/10(日) 00:41:26
ベアトリーチェが嗤う。
対話の拒否というどうしようもない状況に、ただサオリはそれ以上の言葉が出なかった。
どうする?
どうする?
どうしたら?
彼女を救いたい。その命を助けだしたい。
領域は無くなった。もうこれで彼女の命を削り取るモノは存在しない。
だが、彼女自身が救われることを望んでいない。
話し合いが出来ないなら説得すら出来ない。
叩きつけられる“詰み”の状況に、この場の全員が打ちひしがれていた。
勿論、先生とて同様だ。
ベアトリーチェの言う次元の狭間とやらに接続する方法なら存在する。
それはかつて反転したホシノを元に戻すために使用した方法である疑似ナラム・シンの玉座ならば、声を届けることが、手を伸ばすことなら出来るのかもしれない。
だが、「アズサ」自身がそれに応じてくれなくては意味がない。
それに、それ以前に……
「近づけさせないだろ、貴方は」
「えぇ、そうですとも」
「先生、貴方程の変数ならば、もしかしたら接続に成功させ、もしかしたら声を届かせ説得を成し遂げることさえできるのかもしれません」
「ならば、そうさせるわけにはいかない」
「何かをされる前に、私が全部壊してさしあげましょう」
ベアトリーチェが叫ぶ。
すると辺り全体から地鳴りが響き、至聖所を中心にして、
地に、空に、世界そのものに、
亀裂が走る。
それは文字通り全てを破壊しうるモノ。
次元の壁そのものを壊して、この世界を崩壊させていく。
- 31The Fake×Squad24/11/10(日) 00:41:53
「さぁ!あの子の望み通りにこの世界は終わりを迎えるのです!!!!」
世界の終わりのカウントダウンが始まった。
「………嫌です」
だが、そんな状況でも
それでも、と言う者がいる。
「何が望みですか!!!!」
「自分が死にたいの次は世界を壊したいだなんて!!!」
「なにもかもがふざけています!!!!」
「話しあいに応じない?そんなものやってみなければ分からないじゃないですか!!!」
「私はやってみせます!」
「その為なら……」
「貴方と、戦ってみせますとも!!!」
「皆さんも……そうですよね!!」
阿慈谷ヒフミが、血が滲むほどに拳を強く握りしめて、そう叫んだ。
「白洲アズサ」に負けず劣らずの諦めの悪さ。
その心からの叫びが、絶望に染まり掛けていた全員の心を奮起させた。
「ヒフミ……」
「あぁ、そうだな……すまない、私たちがどうかしていた」
「ベアトリーチェ、お前を倒すよ」
「あの時と同じようにな」
「サオリィ……」
「その心意気は結構ですが、私をどうにかする前にこの崩壊の亀裂をなんとかしなくては意味がありませんよ?」
- 32The Fake×Squad24/11/10(日) 00:42:23
- 33二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 00:42:39
次回、援軍
- 34二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 07:46:27
ケイがくるか…擬似的に繋げるなら…アリスもまた力を貸すだろう
- 35二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 11:49:01
ん…反撃
- 36二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 12:23:30
人並に絶望して、人並に押し潰されるけど
一番最初に立ち上がって声を上げてくれるのがヒフミという女よ - 37二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 19:29:24
ヒフミ 頑張って
- 38二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 22:08:37
無限ではない有限ガッツで頑張れ
- 39二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 23:54:07
全部終わったらまとめが欲しい
- 40The Fake×Squad24/11/11(月) 00:37:00
ほぼ同時刻、ミレニアム
「よし……」
ゲーム開発部の部室の前、先生たちに加勢しに行くためにメッセージの送信と諸々の準備を終えたケイがアリウス自治区へ向けて出発しようとしていた。
「な~にしてるのかな、ケイ?」
ケイの行く手を阻むかのように立ち、彼女を呼び止める者がいた。
同じゲーム開発部の才羽モモイだ。
「モモイ……」
「光の剣なんて担いで何処に行くのさ」
「私は……先生と共に戦うために行ってくるんです」
「先生と?」
「えぇ」
「それってケイが行く必要あるの?」
「これは……私が引き起こした過ちを清算させる為でもあります」
「……」
「恐らく、今先生が置かれている状況を解決させるには、私の力が必要なので」
「なにより……アリスも、きっとそうしたはずなので……」
「だか……ら」
そこまで言おうとした時、モモイがそっと近づいて、
自分の額をケイの額にくっつけた。
- 41The Fake×Squad24/11/11(月) 00:37:25
- 42The Fake×Squad24/11/11(月) 00:37:49
静かになった部室前で、モモイは後ろを振り返った。
「そんな所で隠れてないで出てきてよ、会長」
「……結果的に盗み聞きするみたいになってしまったわね」
近くの部屋にある扉を開け、セミナー会長調月リオがモモイの前に現れた。
「ゲヘナとの協定があるから、政治的な事を考えるなら、迂闊には出て欲しくはなかったのだけど」
「でも会長個人としては?」
「……今アリウス自治区の状況を考えるなら、今すぐにでも彼女を派遣した方が早いし合理的ね」
「なら良かった!」
「でも意外ね。そんな危険な所に行かせられないと、貴方なら彼女を止めると思ったのだけど」
「そうでもないよ。だってそれがケイのやりたいことならね」
「やりたいこと、ね……」
- 43The Fake×Squad24/11/11(月) 00:38:36
ミレニアムタワー屋上。
「アリス……私に力を、勇気を、貸してください」
“データ”が入ったロボットのキーホルダーを握りしめ、祈り、そして覚悟を決める。
「リソース確保のための全体検索を実行」
「リソース名、カタコンベ及びバシリカ」
「………プロトコルATRAHASIS稼働」
「コード名“アトラ・ハシースの箱舟”起動プロセスを開始します」
「……“鍵”が担うは王女の役割」
「偽りの王女に箱舟を用意せよ、承認せよ―――ここに新たな聖域が舞い降りん……!!!」
ケイが屋上から飛び降りて、空中で空間を“蹴り破った”。
「お待たせしました!!!」
「ケイ!」
そうしてケイはバシリカの至聖所へと現れた。
そして先生の方を向き、叫ぶ。
「先生!シッテムの箱を!!」
「……なるほど!」
アトラ・ハシースの箱舟とシッテムの箱の力の合わせ技。
アビドスで小鳥遊ホシノの為に再現した疑似的なモノとは違う、正真正銘の―――
「「ナラム・シンの玉座、展開!!!」」
- 44二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 00:40:22
勇者、到着
- 45二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 00:47:34
アリスはサブ(データ)なのか
- 46二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 00:48:53
あらやだ……ここのケイとモモイやけにしっとりしてる……
- 47二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 05:46:49
加湿器モモイ
- 48二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 12:32:38
アリス…ケイ……
- 49二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 17:11:15
無事に生きて帰らないとモモイが泣くぞ
- 50二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 22:18:08
色んな可能性の混じりあった特異点って感じで滅茶苦茶熱い…
- 51二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 23:25:31
みんなそれぞれの葛藤を抱えてるな…と感じました(小並感)
- 52二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 23:57:57
普段のギャン泣きではないミドリみたいなガチ泣きしそう
- 53The Fake×Squad24/11/12(火) 00:26:41
ケイが光の剣の銃口を地面に突き刺した。
刺した場所を中心に、バシリカが、至聖所が、変化していく。
かつてプレナパテスとシロコ*テラーがこの世界にやってきた時に、箱舟内に展開していた、時間や空間、実在と非実在、それら全てが混ざりあい、そして全てが曖昧になるこの空間。
文字通りなんでもアリで、反則級のそれを展開した。
ベアトリーチェが世界に亀裂を走らせるのなら、その亀裂ごと世界の境界をぐちゃぐちゃにする。
ケイが箱舟を起動した際のリソース量は、以前彼女とアリスが起動させた際に用いたエリドゥやウトナピシュティムの本船のそれよりも及ばないが、それでもこのバシリカ全体を覆うには充分すぎるほどだった。
(よし、ぶっつけ本番だったけどなんとか成功した……!)
(本船で稼働させた時のような危険性はない……)
(だけど、本来アリスがいてこその箱舟を無理矢理出現させたから……)
(いや、泣き言を言っている場合じゃない……!)
「先生!この領域の制御は私が行います!ですので先生は目の前の相手に集中してください!!」
「大丈夫なんだねケイ……?」
「当たり前です!!」
「なら……お言葉に甘えさせてもらうよ」
ケイの言葉を、決意を、先生は信じた。
ならば、と再びベアトリーチェに向き合った。
- 54The Fake×Squad24/11/12(火) 00:27:34
「……そういうことだよ」
「ひとまず世界の崩壊はなんとかなりそうだとして……」
「後は貴方を倒して、貴方の中にいるアズサに声を届けるだけだ」
「ふふっ、先程までどうしようもないと、軽く絶望していたのに……」
「たった一つ解決しただけでこんなにも調子に乗るだなんて」
「随分と都合の良い頭をしているのではなくて?」
「都合が良くて結構、ほんのちょっとでも希望が見えてきたんだ」
「だったら、何がなんでもそのほんの僅かな可能性に縋っていくしかないでしょ」
「知ってる?私ってアズサ程でないにしても、結構諦めが悪いんだ」
その言葉でベアトリーチェが思い浮かぶのは、かつて自分の計画の悉くを真っ向から潰した先生やスクワッド、そしてサオリの姿。
諦めが悪くて、それで最後にはどうにかして解決してしまう。
そんなことは身をもって知っている。
だからこそ彼女は……
「えぇ……そんなこと痛いほど分かっていますとも!」
「ならば……その諦めの悪さを押し潰すほどの絶望を!私はぶつけるだけです!!」
ベアトリーチェがその場で強く床を踏む。
至聖所が、否、アリウス自治区全体の地面が揺れていく。
そして、地面を突き破って出てきたのが……
- 55The Fake×Squad24/11/12(火) 00:28:16
「これは……まさかあの!?」
「み、ミネ団長……」
「怪物……ときましたか……」
「……デカくないっすか?」
「きひひひひ!相手にとって不足はないな!」
「あれって……マダム?」
「先生……皆……あそこで何が?」
怪物化したベアトリーチェ。それがアリウス自治区全体に、複数体現れたのだ。
そして、至聖所にもその怪物が現れた。
数にして5、6体はいる。
「……あの時は貴方1体倒すのだけでも結構大変だったんだけど……ちょっと無茶苦茶すぎない?」
「無茶苦茶なのはお互い様でしょうに」
「確かに……そりゃ言えてる」
ベアトリーチェも、先生も、笑っている。
先生が、懐に手を入れた。
大人のカードを取り出す。
「出し惜しみする必要は……ないね」
- 56二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 00:29:02
あの時は彼女に対して終ぞ使わなかったそれを今、取り出した
- 57二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 01:16:30
カード解禁だ
- 58二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 11:39:16
確定演出…
- 59二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 19:58:11
なんとかなれーッ
- 60The Fake×Squad24/11/13(水) 00:31:57
- 61The Fake×Squad24/11/13(水) 00:32:42
「さぁ……始めようか」
先生が、シッテムの箱を掲げる。
至聖所内の構造が変化する。プレナパテスとの決戦で、ナラム・シンの玉座を変化させた時のように。
先生の中に存在している心象風景。
まるで宇宙空間のような。クラフトチェンバーを使用している時に視るあの空間。
先生自身も、どうして“ここ”が出てきたのかは分からない。
だが、それでも“ここ”ならばと、何故か信じてみようとそう思えた。
「えぇ……求道も誇りも目的も、なにもかもが虚無で空っぽな私が唯一成せることを」
「戦いましょう……完膚なきまで潰しますよ、貴方たちを」
「あぁ……戦おう」
ベアトリーチェ
「行くぞ、私の敵対者―――」
「せめて、今度は最後までその役割を果たしてみせなよ」
それは、敗北し、舞台装置でも、モブでも、それ以下の存在と同胞に嘲笑された彼女に向けた言葉。
「えぇ…!えぇ…!!臨むところですよ!!!」
「アロナ……プラナ……“アレ”をやるよ」
『了解、あれですね』
『いっちょ、やっちゃいましょう!!!』
アビドスでの戦いの最中に現れた「セトの憤怒」。これを倒す為に使った、シッテムの箱の“新技術”。
制約を解除し、更なる演算処理が行えるそのモード。
『『「シッテムの箱、制約解除。プロセス“ペレツ・ウザ”限定稼働開始!!」』』
- 62The Fake×Squad24/11/13(水) 00:33:31
「皆行こう!!」
先生の号令と共に、箱舟を制御しているケイ以外の10人が、それに呼応する。
「だってさナギちゃん!」
「えぇ!やりましょう、ミカさん!!」
『誰か忘れていないかい?』
「「セイアちゃん(さん)!?」」
『なんてな、流石に私はそっちに行って戦えないが……信じているよ、君たちの勝利を』
「セイアさん……」
「ありがとねセイアちゃん!……それじゃあ、張り切っていこうか!!」
ティーパーティーが、
「もう少しなんです……もう少しでアズサちゃんに声を……!」
「ヒフミちゃん……えぇ、その通りです!」
「あのアズサをさっさと叩き起こさないとね!」
「そうだ。もう一人の私をしっかり救わないとな」
「はい!それじゃあ……」
「補習授業部……やってやりましょう!!!」
「「「おーーー!!!」」」
補習授業部が、
そして彼女らも……
- 63The Fake×Squad24/11/13(水) 00:34:45
- 64二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 00:35:52
最終決戦開始
- 65二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 02:16:36
がんばえ〜!
- 66二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 04:20:22
応援するしかあるまい
- 67二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 12:59:44
このレスは削除されています
- 68二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 13:00:08
制約解除決戦
ベアトリーチェ・アズライール
開始 - 69二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 19:47:13
- 70二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 20:11:19
- 71二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 20:34:00
後も先も憂いも後悔もなくなり目の前の男と対峙し為すべきを成すだけとなれば、愉しめるものよな
ゲマトリアもなく、探究もなく、色彩至高崇高も手の内に齎すはかつて己が下にいた娘であり、その娘の中に無理矢理とはいえ依代にし、定着されたならアズサの想いも気持ちも願いも知る事になる
先生が生徒とキヴォトスの為ならベアトリーチェは一人の生徒の為に戦うのだろう
- 72二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 20:35:56
ヒフミをT.S枠とすると
ちょうどストライカー6人とスペシャル4人の構成になるんだよねこれ - 73The Fake×Squad24/11/14(木) 00:34:25
- 74The Fake×Squad24/11/14(木) 00:35:21
「ベアトリーチェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
「サオリィぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!!!!」
2人がぶつかる。
運命から、使命から、全てから解き放たれたベアトリーチェに残されていたのは、ここにいる全員との因縁と純粋な力のみ。
空っぽの彼女に託された願いと、先生から与えられた“先生の敵対者”という役割。
ただ力を振るい、暴れるだけの哀れな人形だと、他のゲマトリアが見たらきっと彼女のことを嗤うのだろう。
だがそれでも構わない。
むしろそれでもいいとさえ思える。
彼女は、笑っていた。
「サオリさん!避けてください!!」
ヒフミのクルセイダーがベアトリーチェに向けて砲撃を行う。
砲弾が当たるその直前、ギリギリでサオリが彼女から離れ、そして命中する。
が、その砲弾を難なく素手で受け止めた。
「この程度で私を―――」
「まだ終わりじゃない!!」
「!?」
- 75The Fake×Squad24/11/14(木) 00:35:54
- 76The Fake×Squad24/11/14(木) 00:37:12
************
「………」
“外”で誰も彼もが戦っている。その様子を、彼女は見て、そして聞いていた。
次元の狭間。
外界の騒がしさとは打って変わって、ここは暗くて広くて静かだった。
そんな空間でただ「アズサ」はとぼとぼと歩いていた。
「は、はは……」
「や、やってしまえマダム!この調子でアイツらを……」
「アイツら……を」
「………」
強がってみせる。悪ぶってみせる。誰にも聞かれるわけでも、誰に見せるわけでもない。
あぁ、これで本当に自分は虚無に沈みゆくんだ。
もう疲れた。何もする気が起きない。ならばもう目を閉じて眠ってしまおうか。
そうやって、意識を手放そうとした時だった。
「そこで何をしているんですか?」
ただの暗闇の中に、急に“光”が現れた。その光は人の形をしていて、「アズサ」に語り掛けてくる。
「お…まえ……は?」
“彼女”は、ケイが箱舟を稼働させた影響で此処に現れた存在。
ケイの持つ因果によって、この次元の狭間に呼び寄せられ、そして介入出来た“彼女”は……
「ただの通りすがりの勇者です!」
- 77二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 00:38:23
始まった最後の戦い。
そしてアズサ*テラーが暗闇の中で出会ったのは……? - 78二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 02:53:25
!
アリスは勇者です!! - 79二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 03:03:27
アアリイィィィスゥウウウウ!?
勇者来た!!これで勝つる!! - 80二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 06:35:24
ちょっとずつちょっとずつアズサを救う為のピースが揃っていく
- 81二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 16:03:54
このまま駆け抜けて
- 82二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 23:45:26
ばにたすを祓ってくれ
- 83The Fake×Squad24/11/15(金) 00:25:05
「ゆう……しゃ……?」
目の前にいる“彼女”が自分のことをそう言った。
光っているせいであまり姿形まではよく分からないけれど、声の調子からして腰に手を当てて踏ん反り返っているような、そんな感じがした。
「はい!勇者です!」
「……なにそれ」
「ズコー!」
ずっこけた。
ゲームも御伽噺も、その手の類の娯楽からは縁遠かった「アズサ」には、勇者というものが何なのか分からなかった。
「そ……そこから説明しないとですね……」
(なんなんだコイツ……)
勇者とは、その名の通り誰よりも勇気に満ち溢れている者。仲間と友情を深め、レベルを上げて、そして迫りくる巨大な悪に立ち向かう。
“彼女”が憧れ、目指し、そして成ることが出来たモノ。
大切な人たちから「なりたい物になってもいい」と、後押しをくれたから成れたモノ。
何処か誇らしげに、そう説明した。
「分かってもらえましたか?」
「まぁ……分かったが……」
「なら良かったです!!」
「それで?その勇者がこんな所に、こんな私に何の用なんだ?」
「それは……」
「あぁ、悪を倒すんだっけ?なら私を消しにきたとかそんな感じか……」
そう言って、「アズサ」は腕を広げた。
悪を倒す存在なら。おあつらえ向きの自分がいる。こんな自分を倒しに来てくれたというのなら、願ったり叶ったりだ。
- 84The Fake×Squad24/11/15(金) 00:25:47
「さぁどうぞ勇者サマ。私は抵抗も何もしない。思いっきりぶん殴るなりすればいい」
「あっ、いいんですか?」
「……へっ?」
凄くあっさりとした返答に、おもわず素っ頓狂な声が出る。
と、同時に「アズサ」の顔面に拳が飛んできた。
「ぎゃああああああああああああ!!!」
「ぱんぱかぱーん!会心の一撃です!」
顔を抑えて蹲る。かなり痛い。滅茶苦茶痛い。
「い、痛い……というか本当に殴ってくるなんて……」
「えっ、だって思いっきりぶん殴れって……」
「いや、そこは流れ的に『貴方を説得しにきたんです』とか『私は助けに来たんです』とかそういうこと言うパターンだろ!!本気で殴る奴が何処にいる!!」
痛みで目に涙が滲み出てくる。
思わず“彼女”に怒鳴り散らかしてしまっていた。
そんな怒鳴り声を聞いて、“彼女”はきょとんとした様子を見せる。
- 85The Fake×Squad24/11/15(金) 00:26:29
「……助けて欲しいんですか?」
「えっ?」
「さっきまで貴方、自分は消えたらいいとか、もう沈んだ方がいいとか、そんなこと思っていましたよね?」
「………」
「本当に、そう思っていたのですか?」
「……お前に私の何が分かる」
「分からないです。ですが……自分に嘘をつき続けていることだけは分かります」
「嘘……」
サオリにも同じようなことを言われた。
止めて欲しかったんじゃなかったのかと、待っていたんじゃないのかと、
本当の私は……本当の気持ちは……
「じゃあ……」
「うん?」
「じゃあ私は……どうすれば良かったんだよ……」
「知りませんよそんなことは。それは貴方が一番分かっていることでしょう?」
「はぁ?」
「自分が本当にやりたいことを、しっかり持っているはずなんです」
「やりたいこと……」
「その気になれば、何が邪魔してこようと、どんなモノも突っ切って優先したい大事なことを、貴方は知っているはずなんです」
「………」
「自分が何をすればいいのか、貴方は分かっているはずなんです」
それだけ言って、“彼女”は歩きだす。
「言えることはそれだけです。貴方の勇気を、信じていますから」
「せめて貴方がこれから進む道に……」
「光よ!」
- 86二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 00:27:26
ゆうしゃ の せっとく!
- 87二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 00:36:17
言ってしまえばありきたりな言葉
でも今のアズサにはそのありきたりな言葉が一番効くんだ - 88二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 09:08:42
アリスは勇者だなあ
- 89二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 15:48:37
光よ───!
- 90二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 17:07:58
はい!アリス!アズサを殴ります!
- 91二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 20:26:47
死人に鞭うつのを止めなってアリス!
- 92二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 20:30:10
まだ死んでねぇって!!
- 93二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:07:37
精神的には死んでたのが生き返っていく
- 94The Fake×Squad24/11/16(土) 00:22:14
“彼女”が去っていった。
言いたいことを一方的に言って、「アズサ」の前から消えた。
「いや……殴られはしたな」
「本当になんだったんだアイツは……」
「………」
まだ痛む顔をさすりながら、その場に座り込む。
体育座りの恰好になってから、目を閉じた。
だがそれは先程まで思っていたような、永遠に眠る為のものではなく、
少しだけ一人で、考えたかったから。
「何をすればいいか、か……」
「いやぁ~!なかなか良いこと言えました!」
「誰かを救い、導くのも勇者の役目ですからね!」
迷い、そして沈みかけていた「アズサ」の尻を叩いた“彼女”、否、「天童アリス」。
今の彼女がどのような状態にあるのか、それは誰にも分からない。
だが、先生とケイが展開したナラム・シンの玉座の影響でここに干渉することが出来た。
偶然見つけた人間が、自らの命を投げだそうとしている。
ならば放っておくわけにはいかない。
そう、勇者として。
「あっ、そうだ!」
「まだ声を掛けなきゃいけない人がいました!」
************
- 95二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:23:01
このレスは削除されています
- 96The Fake×Squad24/11/16(土) 00:24:05
「くっ!?流石にアレは不味い……!!」
『ケイ……ケイ……聞こえますか……?』
「!?」
玉座の制御をしているケイの頭に声が届く。
忘れるはずがない。忘れてはいけない。
その声の正体は……
「アリス!?」
『頑張っていますね、ケイ』
「アリス、貴方……」
『ふふふ……驚きましたねケ―――』
「今それどころじゃないんで引っ込んでいて下さいアリス!!!!」
『えええええええええええええええ!?!?』
特に感動の再会とかはなかった。
まさかの反応にアリスは困惑の叫びをあげてしまっていた。
『な、なんでですかケイ!?ほら、アレですよ!?ゲームだとだいぶ泣けるスチルが挟まる奴ですよ!?』
「今それどころじゃないって言っているでしょうが!!私の前見てください!前!」
『前って……?』
ケイの眼前に広がっていたのは……
- 97The Fake×Squad24/11/16(土) 00:24:48
「さぁ!これで終わりにして差し上げましょう!!」
「皆、アレはヤバい!避けるんだ!!」
複数体いる怪物化ベアトリーチェが一斉にその口元からビームを発射しようとする、まさにその寸前のところだった。
アレを食らえばいくら機械の体であるケイでさえ、アロナとプラナによる守りがある先生でさえも、アレの直撃を食らってしまったらタダでは済まないだろう。
『あー……』
「今そういうお涙頂戴的な展開するほど尺ないんですよ尺が!!」
『い、言い方ってものが……』
「アリス!なんか無いんですか!?この状況をなんとかする方法が!!どうせナラム・シンの玉座のおかげでこうやって私に話すことが出来るのでしょう!?」
『うーん……なくはないのですが……』
「あるんですね!?あるなら出して下さい!早く!!」
『仕方ありませんねぇ……はい!』
アリスが向こう側から何かをしたような、そんな声が聞こえる。
その直後だった。
ケイの持つレールガン、「光の剣」のエネルギーが急激にチャージされていったのだ。
「これは……」
『後は何をすればいいのか、ケイには分かりますよね?』
「えぇ!それなら!!」
- 98The Fake×Squad24/11/16(土) 00:25:25
- 99二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:26:53
アリス&ケイ回
多分ケイは全部終わった後、折角のアリスを雑に扱ったことをめっちゃ後悔してる - 100二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 11:32:41
ほ
- 101二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 12:39:11
共闘
- 102二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 13:06:18
脳内に語りかける上位存在ムーブしようとしたらガチで怒られちゃうアリスはかわいいね
- 103二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 16:12:48
トキと場合による
- 104二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 20:06:40
- 105二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 21:24:21
読んでてきつい話が続くなあ
- 106二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 21:26:00
- 107二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 21:38:39
- 108The Fake×Squad24/11/17(日) 00:25:14
ベアトリーチェのビームと共に、発射。
レールガンとビームがぶつかり合う。
ぶつかった瞬間、強い衝撃波が発生。しっかり踏ん張っていないとそのまま吹き飛ばされてしまう程だった。
「くっ、うううぅ!!!!!」
「あれだけのエネルギーがあってもまだ拮抗しているだなんて……!!」
威力はほぼ同じ。後はお互いの気迫の違い。
ベアトリーチェは本気だ。本気で此方を潰そうとしている。
その気迫に怪物たちも呼応し、どんどん威力が増していく。
僅かに、ほんの僅かに、ケイの体が後退していく。
(押される……このままじゃ……)
(いや、諦めるわけにはいかない!)
(アリスに、勇者に、任された以上……!!)
歯を食いしばるケイ。
あちらが気迫で上回っているというのなら、此方は託された想いを乗せていく。
「ケイ、大丈夫だ」
『ケイならいけますよ!』
ケイの背中を押してくれる者がいた。
先生が、そして何処かから聞こえてくるアリスの声が、ケイの体を支えていた。
目を閉じる。その言葉を受け止めて、力にするために。
心を落ち着かせてからゆっくりと開いて、叫ぶ。
「負けるかあああああああああああああああああああ!!!!!」
- 109The Fake×Squad24/11/17(日) 00:26:20
その強い叫びと共に、ベアトリーチェのビームを少しずつ押していく。
そして遂に……
「なっ、バカな!?」
「このままああああああああ!!!!!」
ビームを完全に押しきり、そのまま薙ぎ払うように全ての怪物たちに命中させた。
爆発する怪物たち。チャンスは今しかない。
「今です皆さん!!」
「よぉし、皆!一斉射だ!!」
先生のその指示で、全員が一斉に怪物たちやベアトリーチェに攻撃。
怪物たちがその攻撃でどんどん崩れ、倒れていく。
後残すところは、ベアトリーチェのみだ。
「先生!私に行かせてください!」
「ならヒフミさん!これを持っていってください!!」
「ナギサ様!?」
「これで終わらせてください!貴方ならそれが出来るはずです!」
「……はい!!」
ヒフミが戦車から飛び出す。そんなヒフミにナギサは自分の拳銃を渡し、それを確かに受け取った。
- 110The Fake×Squad24/11/17(日) 00:27:06
「ミカ!ヒフミを投げ飛ばして!!」
「オッケー先生☆行くよヒフミちゃん!」
「お願いします!!」
先生に言われたミカはヒフミの足を持って、そのままベアトリーチェの前へと投げた。
彼女の元へと向かうのはヒフミだけではない。
「サオリ!私たちも行くぞ!」
「あぁ!ヒフミに続くッ!!」
サオリとアズサが飛んでくるヒフミを受け止めて、ベアトリーチェの所まで駆ける。
「いっけえええええ!!ヒフミちゃん!アズサちゃん!サオリ!!」
3人が構える。
最後の戦いを終わらせるための、最後の攻撃を行うために。
「………」
「なるほど……」
「はっ!中々どうして、悪くはありませんでしたよ。この戦いは……」
ベアトリーチェは目を閉じ、そして武器を手放した。
それと同時に、3人が一斉に攻撃を行った。
その銃弾を、彼女は笑いながら全て受け止めた。
- 111二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 00:27:20
決着
- 112二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 00:42:42
サオリ、アズサ、ヒフミというこの物語の主人公格によるトドメ
ベアトリーチェとの戦いが終わったら後やることといえば…… - 113二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 01:11:04
身体を取り戻したアズサ…
- 114二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 03:33:27
復活したケイ&アリスにサオリが何割か持って行った気がする
ここに交じるヒフミよ - 115二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 06:34:20
決着はついた
あとはもうアズサ*テラーを引っ張りあげて救ってやるだけだ…… - 116二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 10:19:03
- 117二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 14:35:15
生き残るエンディングでないとヒフミが悲しんでしまう
当然ヒフミ以外も - 118The Fake×Squad24/11/18(月) 00:29:09
倒れ、沈黙する。
もう彼女は何もしてこないと、そう確信できた。
大の字になってただ上をボーっと見つめる彼女に先生が、まだ少し痛む足でゆっくりと近づいていった。
『先生、あの怪物たちは無事に皆が倒してくれたよ』
『怪物たちは沈黙。正義実現委員会全員無事です』
『あの大きいマダムは倒れたよ。案外いけるもんなんだね』
「うん、ありがとう皆。これで戦いは終わりのはずだ」
「私たちは……最後の仕事に取り掛かるよ」
他の部隊からの通信が入ってくる。どうやら全ての怪物化ベアトリーチェを倒すことに成功したらしい。
ほっと胸を撫で下ろし、そしてベアトリーチェの前へ立つ。
「ふふっ、今度こそ勝てると思ったのですがね」
「お互いに負けられない理由があったと思う。でも、今回は私たちが貴方のそれを上回った。ただそれだけだよ」
「今回も、でしょう?」
「………」
「……まぁ何にせよ、これで終わりですね」
「まだ終わりじゃないよ」
「……確かに貴方はまだ一つだけ、やることが残っていましたね」
そう言って、ベアトリーチェは先生に手を伸ばした。
「………やってみせなさい」
「ああ、そうさせてもらう」
- 119The Fake×Squad24/11/18(月) 00:29:53
************
果てが見えない程に広い真っ白な空間。
「アズサ」とベアトリーチェの2人は、その空間でお互いに向き合っていた。
「負けたんだな、私たちは」
「えぇ、それも完膚なきまでに」
「………」
「全く、勝手に人を呼び出して、戦わせて、なんて生意気で身勝手な子なんでしょうね」
「私は……」
「………」
「私は……救われてもいいのかな」
「そんなことをわざわざ私に聞く必要があるのですか?」
「それは……」
「私と貴方は所詮、大人と子供、使う者と使われる者、搾取する者とされる者。それ以上でもそれ以下でもない関係だったはず」
「うん……」
「ですが、今の貴方はそんな因果からは既に逸脱した存在となっています。必要もないのに、私の手から離れた者に構う程私はお人よしでも執着があるわけでもないのです」
「うん……」
「自分で考えなさい。私はもう行きますから」
「アズサ」に背を向け、ベアトリーチェは歩きだす。
彼女はもう既にその身を亡くしている存在。行き先は決まっている。
- 120The Fake×Squad24/11/18(月) 00:30:29
「後を追うなんてやめておきなさい。貴方と一緒に行くなんて真っ平御免ですから」
「……随分と、勝手なんだな……大人って奴は」
「えぇ、知りませんでしたか?形はどうあれ、大人というのは自分勝手な生き物なのですよ?」
「そうなんだな……知らなかったよ」
「何を他人事のように。貴方もいずれなるモノなんですから」
「………」
そこから先はなかった。
ベアトリーチェの足音が消えるまで、ただ黙って立ち尽くしていた。
『もう、終わりにするのか?』
足音が完全に消えた後、背後から声が聞こえてくる。
「アズサ」の中にいる、もう一人の自分。
何があっても絶対に諦めないという、彼女自身の本質の一つ。
「うん。もうこんな大々的な私の癇癪は終わりの時間にしなきゃ」
『諦めるのか?』
「うん。もう少しだけ、私は前を向いていこうと思うから」
『お前の罪は消えないぞ?それにこの状況で、お前はどうやって前を向いていく気だ?』
「……簡単なことだよ」
『簡単な?』
「うん。とっても、本当に……とてもとても簡単なことだよ」
- 121The Fake×Squad24/11/18(月) 00:30:59
- 122二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 00:31:36
彼女が救われる為の、たった一つの言葉
- 123二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 00:59:18
助けて…!
- 124二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 07:48:22
アズサが救われないと終われないよね
こちらの世界と来訪したミサキ!ヒヨリ!アツコ!(×2)出番だ! - 125二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 07:53:08
お前は止まれ→止まれた
- 126二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 14:50:46
止まるまでが長かった……長かったよ……
- 127二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 23:12:07
happy end
- 128The Fake×Squad24/11/19(火) 00:38:21
「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!!」
「本当はこんなところで終わりたくない!!」
「こんなところで、一人でいたくない!!」
「寂しかったんだ……苦しかったんだ……だからこんなことまで起こして……」
「私が元いた世界で……私のせいで皆死んで……皆殺して……」
「こんな私は許されちゃいけないから……生きてちゃいけないから……」
「でも……でも……」
「死にたくない……しに……たく……ないよぉ……」
「生きたいっ……まだ……いきたいって、そう思っちゃったから……」
「せめてこの世界の皆に……ごめんなさいって、言いたいから……」
「だからっ……!!」
今まで溜め込んでいた物を全部吐き出した。
ずっと泣かなかった。泣けなかった。
だからそれまでの全てが、目から、鼻から、全部全部垂れ流した。
汚く、みっともない顔をしている。嗚咽を繰り返して、叫び続けて声も枯れていく。
そこにいたのは、この世界を滅ぼそうとした凶悪な“敵”ではなかった。
ただの、泣きじゃくる“子供”。
「た゛すけ゛て……みんなぁ!!!!!!!」
「うん、助けるよ。全力で、絶対に」
「そうやって、正直に言ってくれてありがとう」
「君を、救ってみせるよ」
子供が助けて欲しいと、そう手を伸ばしているのなら。
何があっても駆けつけてくれる者が、そこにいた。
- 129The Fake×Squad24/11/19(火) 00:39:18
「アズサァァァァァァァァァア!!!!!!」
「もっと手を伸ばせアズサ!!私に届くように!!」
「せん……せぇ……」
空の上から「アズサ」の元へと、先生の声が響き、先生の手が伸びている。
自分を救ってくれるその手に向かって、ただひたすらに手を伸ばした。
「アズサさん!!」
「早く掴んで!」
ナギサが、ミカが、
「アズサちゃん!!」
「アズサ!!」
「大丈夫、皆気持ちは一緒だよ!」
「あぁ、安心していい!だからッ!!」
ヒヨリが、ミサキが、アツコが、サオリが
「アズサちゃん!!」
「泣いている暇あったら掴んで!!」
「帰りましょう!皆で!」
「まだまだ知りたいんだ、お前のことを!!」
ヒフミが、コハルが、ハナコが、この世界のアズサが、
みんなみんな、叫んでいた。助けたいと、救いたいと、そう想いをぶつけた。
- 130The Fake×Squad24/11/19(火) 00:39:56
こんなにも自分のことを想っていていたなんて……と、顔をぐちゃぐちゃにしながら、一生懸命に伸ばした。
伸ばして、伸ばして、もうちょっと、あとちょっと、
もう少し、あとほんの少し……
『アズサちゃん』
『私たちはアズサちゃんのこと、何も恨んでいませんから』
『だからそんなに自分のことを憎まないで』
『皆、アズサちゃんが救われて欲しいって、そう願っているんですから!』
背後から、声が聞こえた。
それはかつて自分が奪ってしまった、大事な友達になれたかもしれなかった、あの子。
ずっと傍にいてくれた。ずっと声を掛けてくれた。
こんな近くに、皆いてくれたんだ。
彼女の身体を、3つの腕が押し出した。
「掴んだ!!皆引っ張るよ!!……せーの!」
「オラァァァァァァァァァァ!!!!!!」
ようやく手が、届いた。
- 131二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 00:40:15
救出
- 132二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 03:59:26
これでもう虚しくない…
- 133二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 06:46:09
最後の最後に背中を押してくれたのは多分、アズサ*テラー世界の補習授業部なんだろうな……
- 134二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 06:52:53
救難信号が届いた…!
- 135二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 16:39:25
ん…
- 136二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 23:12:23
アズサ、泣け
- 137The Fake×Squad24/11/20(水) 00:27:47
ここまでの道のりが、ほんの少しでも変わっていたとしたら、きっとこの結末には至ることは出来なかったかもしれない。
細い、細い、綱渡りのような線を渡りきって、ようやく、たった一人の少女を救えた。
「よっ……しゃァァァ!!!」
「アズサ」の意識が引っ張りあげられる。
腕を引っ張った先生は勢いあまって後ろに倒れ、彼女は先生の胸元に飛び込む形になった。
顔を上げる。
皆が、笑顔だった。
激戦続きで服も肉体も精神もボロボロで、気を抜いたらそのまま倒れてしまいそうなコンディションだった。
けれども“あの言葉”を彼女に掛けるまで、何がなんでも意識を保っていようと気合いを入れていた。
「せ、せんせぇ……み、んな……」
酷いことをしたのに、酷いことを言ったのに、
それでも皆は自分を笑って迎えてくれた。
目元が潤んで、全身を震わせて、ついにこの現実世界でも決壊した。
「うっ、うう……」
「うわああああああああああああああん!!!!」
- 138The Fake×Squad24/11/20(水) 00:28:15
幼子のように泣きじゃくる。
今まで我慢してきたものが全部、ここでも流れ出す。
先生はただ、彼女の頭を優しく撫でて、抱きしめる。
「ご、ごめんなさい……」
「こんなことして……みんなにも迷惑をかけて……」
「過去の自分を見ているようで嫌になって、補習授業部の皆を、この世界の私を傷つけて……」
「皆を巻き込んで死のうとして……」
「ごめんなさい……!本当に…ごめんなさい……」
「うっぐ……えっぐ……」
「うんうん……もう大丈夫だからね」
「もう……安心していいからね」
「ねぇアズサ、こっち見て」
そう言われて、「アズサ」が先生と皆を見る。
そして皆が声を揃えて、“あの言葉”を彼女に言った。
「おかえり!」
- 139The Fake×Squad24/11/20(水) 00:28:52
「………アリウス自治区にいる、全ての生徒たちに告げる」
「最後の目標の完遂を確認」
「これをもって、今作戦の全てが完了」
「皆、本当に……本当にお疲れさま」
戦闘の終了、及び「アズサ」の救出。
この一連の事件の終幕の報告が、たった今先生から告げられた。
返ってきたのは歓声…ではなく、安堵と安心から来るため息や、疲労でその場に倒れる者たちの音。
至聖所で戦っていた皆も、おかえりの言葉を届けてからケイを除く全員が一斉にその場にぶっ倒れた。
「アズサ」も泣き疲れたのか、先生の胸の中ですやすやと寝息を立てている。
先生はふと、ケイの方に目を向けた。
「アトラ・ハシースの箱舟及びナラム・シンの玉座……解除、そして解体」
「もう……大丈夫なんですよね、先生」
「うん。ケイもありがとう」
「いえ、私は……」
(もう声は聞こえなくなった……)
(また……きっとまた、貴方は来てくれますよね?)
(そうでしょう?アリス……)
- 140The Fake×Squad24/11/20(水) 00:29:19
一方その頃、この区域から誰よりも早く離脱する者がいた。
アリウススクワッド、この世界のアツコとヒヨリとミサキの3人だ。
操られて敵対していたヒヨリとミサキを叩き潰して気絶させたアツコは、たまたま近くにあったリアカーに2人を乗せて、また何処とも知らぬところへ歩いていく。
「あのアズサ、ちゃんと救われたみたい……本当に良かった……」
「………んがっ」
「ふぇ……あ、あれ?」
「あっ、ミサキにヒヨリ!ようやく起きたね」
「はっ……アツコ!アイツどうなった!?」
「た、確かアズサちゃんっぽい人が現れて……そして……」
「ふふっ、もうぜぇ~んぶ終わったよ!」
「へっ?」
「ど、どういうことですか?」
「……って!ヒヨリ!私たちが着ている服!!」
「えっ……?うわっ、なんですかこの制服!?」
「あはは!そういえばそこはちゃんと説明しなきゃね!実はあの後―――」
「「……?」」
「「えっ……えぇえええええええええええええええええええ!?!?」」
- 141二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 00:29:48
次回、エピローグ(1)
- 142二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 01:58:55
操られて敵対していたヒヨリとミサキを叩き潰して気絶させたアツコ
つ よ い - 143二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 05:34:33
アリスはまた消えてしまわれたか
- 144二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 07:33:56
ハーメルンにまとめ出して欲しいねぇ
- 145二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 07:39:43
あとの懸念は別世界線のミサキとヒヨリとアツコを元の世界に戻せるかだね
- 146二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 09:49:39
Happy End…
- 147二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 20:51:09
エピローグも近い…
- 148The Fake×Squad24/11/21(木) 00:51:57
アズサ*テラーによるキヴォトス全体を巻き込んだ壮大な自死計画。
彼女によって操られた生徒たちの鎮圧。その後に訪れた、現世に呼び出されたベアトリーチェと出現した怪物たちの排除。そして、次元の狭間に籠ってしまった彼女の意識の引き上げ。その全てが成功という形で幕は下りた。
操られた生徒たちはというと、一時的に保護という形を取られた後に解放された。その半数近くがキヴォトス各地に散らばった元アリウス生ということもあり、保護中にサオリがトリニティの自派閥に入らないかと勧誘したが、結果はというとあまり芳しくはなかったらしく、しばらく凹んでいたらしい。
この作戦で敵味方共に大小違いはあれど怪我人はそう少なくない数発生したものの、主犯である「アズサ」以外の全員が、命に関わるようなモノではなかった。
至聖所攻略班だが、ケイ以外の11人があの後入院することになった。戦闘によるダメージや疲労がピークに達したせいだろう。特に先生は戦闘中に足の傷が開いたらしく、それなりに大きな騒動になったという。
なお作戦終了後、「アズサ」はすぐ病院に運びこまれ緊急手術が行われた。自身が展開した領域により命が削られ、喀血するほどまでに肉体がボロボロになった彼女であったが、懸命な治療の甲斐あってか、奇跡的に一命を取り留めた。
- 149The Fake×Squad24/11/21(木) 00:52:29
そして事件から2週間程経った時の事。
「んっ……」
目を開ける。
白い天井。
トリニティ内の病院のベッドに寝かされていた「アズサ」が、ようやくその意識を取り戻した。
あぁ、自分は助けられたのだと、生きているのだと、そう実感した。
「ふふっ、ようやくお目覚めか。タイミングばっちりだな」
「百合園……セイア」
「おはよう白洲アズサ。どうだい、自分がまた生きていいと許された気分は?」
身体を起こして自分のすぐ横を見る。
そこにはセイアが座っていて、目覚めの時を待っていた。タイミングばっちりと言っていたのは彼女の持つ直感が、起きるタイミングを告げていたからだろう。
「悪く……ないな」
「そうか。君が自分からそう言えるようになっただけでも皆嬉しいんじゃないのかな」
「皆……そうだ、皆は今何をしている?」
「知りたいかい?」
「まぁ……うん」
「なら、一緒に来るといい」
そう言って、軽く検査をした後にセイアが予め用意していた車椅子に乗って病院を出ることになった。余計な混乱は起こらないだろうとは思うが、念のためと大き目のフード付きのパーカーを着た上で。
- 150The Fake×Squad24/11/21(木) 00:53:17
「これって……」
「人が多いのは苦手かい?」
「いや、大丈夫だ……」
ちょうどトリニティでは大規模な文化祭である謝肉祭が行われている時だった。
生徒たちが各々飾りつけた装飾たちに、多種多様な出し物や出店の数々。他学校からの訪問者でごった返した校内。
トリニティ全体が盛大ににぎわっていた。
そんな様子を「アズサ」は目をキラキラとさせてその様子を眺める。
そんな彼女を、セイアは嬉しそうに見つめていた。
そしてトリニティ・スクエアに着いた時、そこでは他の場所とはまた違う異様な空気が漂っていた。
大勢のシスターフッドや救護騎士団。それに元アリウス生たちが誰かを囲むようにして固まっているようだった。
その中心には……
「「「マリー!マリー!マリー!」」」
「み、皆さん……!はい!私、頑張ります!!」
「マリーならきっと私たちを導いてくれますとも……!!」
「サクラコさん、だからそういう言い方は……」
「ヒャッホー!最高だよマリー!!!」
フリフリの衣装を来たサクラコとミネがマリーを褒め称え、非常にテンションが上がった先生と周囲の人だかりが彼女らに歓声をあげている様子だった。
- 151The Fake×Squad24/11/21(木) 00:54:02
「サオリィ!アンタ武装したアリウスの子たちをこんなに呼び出してからに!自分から自分らの立場を悪くするマヌケが何処にいるってのよ!!」
「仕方ないだろう!?ナギサ様から急にエマージェンシーを貰ったらこれくらいするだろ!!」
「それは私も同じだけども!!」
「あ、あの……お2人とも喧嘩は……」
「ねぇナギちゃん……」
「ナギサ様……」
「「あとで“お話”しよう(しましょう)ね☆」」
「ひぃ……!」
「ほら、言った通りでしょう?大丈夫だって」
「あ、あはは……一時はどうなることかと」
「……ホントに内戦になりそうだったけど……」
「大丈夫だヒフミ、コハル。サオリもミカもサクラコも敵意も殺気もない。ナギサに至っては武器を出してすらいないからな」
「「ミネ団長は!?」」
「マ~ジでヒヤヒヤしたじゃない……」
「へも、あにもおほらなはったはらよはっはひゃないへふか(でも、何も起こらなかったから良かったじゃないですか)」
「ヒヨリ、アンタ食うか喋るかどっちかにしなさいよ……」
「でも……もしかしてこれ私たちの世界でも起こったりして……」
「「あっ……」」
- 152The Fake×Squad24/11/21(木) 00:54:33
「なにをやっているんだ彼女らは……」
「ふふっ……あはは!!」
「アズサ」は大声を出して笑っていた。
こんなに平和で、おかしな気分になったのはいつぶりだろうと。
もしかしたら、生まれて初めてだったりして。
「皆のところへ行ってみるかい?」
「……あぁ!」
心の底からの、屈託のない笑顔。
セイアに車椅子を引かれて、皆のところへと合流した。
そうして、「アズサ」は謝肉祭を心行くまで楽しんだという。
- 153二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 00:54:54
- 154二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 00:55:44
次回、遂にifアリスクたちにも別れの時が……
- 155二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 08:18:53
命の危険は去った!謝肉祭だー!
- 156二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 13:57:21
うわぁん!また焼き直しです!
- 157二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 18:19:12