- 1二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:20:05
「ダヴィンチ女史、なにかお困りかね」
「ああ、君にしかできないこと・・・といってもいいかもだ」
「ほほう、それはそれは・・・して、如何様な案件かな?」
薄暗がりの中でバーテンに扮したモリアーティは挨拶代わりのカクテル(ジュース)を出しながら尋ねる。
「微小なものだが特異点を作り出している魔術師がいる。アサシンを送り込んでもよかったんだけど色々と調整が面倒でね『魔術的な痕跡を残さず』かつ『不自然さを残さないやり方』で、ターゲットが死亡しなくちゃいけない」
「なるほど、殺人か・・・しかし気配遮断のスキルや狙撃のスキルなどを使えば魔術的な力なぞなくとも可能なのではないかね」
「それが、ターゲットは魔術師だ。魔力を感知する術にたけているからいかにもな英霊や暗殺を塞ぐ手管に長けているのさ。それに特異点は現代に近い。時間がねじれてその時代にそぐわない人物も多数集まっているから下手をすると別の時間軸に影響があるかも・・・」
極めつけはターゲットを始末するという点でもある。とダヴィンチは眉尻をさげて溜息をついた。
「マスターは鋭い、アサシンやアーチャーを使ってそういうことをすると絶対バレちゃうでしょ?だから教授にお願いしてるのさ」
「なるほど・・・それは確かに難儀な仕事だ」
そう言いつつも。モリアーティは不敵な笑みを浮かべていた。
「マスターは現地でどのように?」
「基本的には魔力の供給を行うだけだから特異点を調査するという名目で・・・ま、本人には内緒で休んでもらうさ」
「ふふ、さすがに「これから人を消す」とは言えないからネ」
カクテルを飲み干したダヴィンチはグラスの下にターゲットの情報が描かれたカードを挟んで立ちあがった。
「さて、久方ぶりの仕事だ。せいぜいそつなくこなすとも」
「心強い、こちらも期待させてもらう」
万能の天才の期待を受け、教授は笑みを深めた。
悪のカリスマが特異点に舞う。
※ギャグ時空にするつもりです - 2二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:24:35
~特異点到着~
マスターはこれから自分がどのような仕事をするかもわからないまま無邪気に現地の散策を楽しんでいる。
舞台からするとここは欧州のどこかのようだが・・・イギリスにも見えるし、他の都市にも見える。
これが特異点の影響だろうか?
「さて、マスター。私はちょっと用事があるので失礼するよ。ホテルの住所はここだ。お小遣いは使いすぎないようにネ!」
冗談交じりに言うと年若きマスターは屈託のない笑みを浮かべでホテルへ向かう。こちらは現地の調査とターゲットの身辺調査を行わなければならない。始末するのは確定だ。手抜かりは許されない。
「シンジケートを組織していた私が直接動かないといけないとは、いやはや!わからんものだ」 - 3二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:30:21
数日後。ターゲットは滞りなく始末できた。凶器を破棄するために麻布にくるんで周囲を伺う。
ターゲットはアパートの浴室で浴槽に浮かんでいる。死亡推定時刻は湯の温度や混ぜ込んだ薬品でずれ込み
分からなくなるだろう。あとは特異点の収束を確認してマスターと共に離脱するのみだ。
「さて・・・ん?」
現場から出て少しすると駅が騒がしい。どうしたことだろう。
「もしもし、なにかありましたか?」
「ああ、どうにもバスと鉄道職員がストライキだってさ。おかげでこっちは大変だよ・・・」
どうにも交通機関が麻痺しているようだ。労働者風の男は苛立ちながらも独り言をつぶやいている。
「探偵さんや警察もストライキばかりはどうにもならんしなぁ」
「探偵と警察?」
思わず、反応してしまった。労働者風の男はそれにこう答えた。
「なんでも探偵さんを集めて警察の方々が事件捜査の秘訣なんぞを聞いてるそうだよ」
一抹の不安がモリアーティを襲った。 - 4二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:31:18
まさか米花町か…?
- 5二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:43:01
モリアーティが移動手段を探そうとしていると現場のアパートから女性が悲鳴を上げて出てくるのが見えた。
(不味い、現場から離れる前に騒ぎが起こるとは)
内心で舌打ちを打ちつつバスも鉄道も使えない状況でタクシーでも拾うかと思っていたが存外早く警察まで来てしまった。怯える女性を警察が宥めながらも状況を調べ始めている。
モリアーティは警察がバタバタと走り回っているのをまるで見物人のように振る舞いつつ状況を調べる。
(犯人は現場に戻る、これをまさか私がする羽目になるとはネ)
急いで離れる姿を見られると逆に疑わしいかも。そう思ったのが良くなかったのだろうか。
トレンチコートを羽織った中年の男性が現場から出てきたかと思うと周囲に聞き込みを開始してしまった。
興味本位で近づいた風を装ったので逃げればいかにも怪しい。ポーカーフェイスで対応することにする。 - 6二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:48:55
「あのぉ、すみませんね」
中年の男性はくせ毛の頭を掻きながら申し訳なさそうに聞き込みをしている。
「ふぅ、カミさんのご機嫌取りをしなくちゃいけないのについてない」
「ご苦労様です、あのアパートで何かあったんですか?」
「んー、ああ、そうなんです・・・実は殺しでしてね、犯人は逃げた後らしくてこうして聞き込みを」
それはそれは、と労いの言葉をかけつつモリアーティはええと、と言い淀む。すると男性は何かに気付いたように
また頭を掻いて謝罪をしながら答えた。
「ああ、すみません・・・名乗りもせずにぶしつけでした、カミさんにもそれで良く怒られるんですよ」
「気になる事があると放っておけない、といった様子ですね」
そう言いながら男性はこの時代のものらしい警察手帳を見せた。
「殺人課のコロンボです、ええとあなたのお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか」
「モリアーティですコロンボ警部」
二人は笑顔で握手をしたがこれが始まりとは彼も予想だにしなかった。 - 7二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:50:12
刑事コロンボ!?
- 8二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:56:09
二人が談笑していると警察がコロンボを連れて行ってしまったのでモリアーティはこれ幸いと
現場を離れるべくタクシーを探すことに。
「こんにちは、タクシーをお探しですか」
「ええ、ここらへんではつかまりませんか?」
「そうですね、もう少し歩かれた方がいいかと・・・すみませんがミスター、お名前を伺っても?」
「モリアーティと申します、ムッシュ。もしかして警察の方ですか?」
「よくお分かりで、私はメグレと申します。お見知りおきをミスターモリアーティ」
パイプをくゆらせながら大柄な男性は答える。名前はメグレというらしい。
モリアーティは流石に嫌な予感がしてきた。 - 9二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:57:49
探偵特異点か…
- 10二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 20:58:37
ジュール・メグレ警視か…
- 11二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:10:40
嫌な予感が蜘蛛の糸のように絡みつく。モリアーティは不安を感じつつもタクシーを捕まえてホテルへ。
するとホテルの近くの喫茶店のでマスターである立香(ぐだ子)が誰かとティータイムを楽しんでいるのが見えた。
「ミス立香、なかなか良いところを見つけたね」
「うん、ここは私でも飲めるコーヒーが置いてるよ。そうだ、それより教授!日本の人がいてね、今お話ししてたんだ」
そう言われて視線を移すと目のまえにだらしない恰好をした男性と対照的にスーツを着こなした紳士が立香と同じコーヒーを嗜んでいる。
「・・・ミス立香、彼らは?」
「ええと」
「御手間は取らせませんよレディ、自己紹介はこちらからさせていただきます」
紹介しようとした立香を紳士が制し、席を立って会釈しながら答える。
「コゴロウ・アケチと申します教授、こちらはキョウスケ・キンダイチです」
「これはご丁寧に、ジェームズ・モリアーティと申します。ミスターアケチ」
「どうもぉ・・・いやぁ、煙草銭もなくて・・・食事までごちそうになっちゃって、助かってますぅ」
だらしない男はどうやら立香に金に困っているところを救われ、たまたま居合わせたアケチと同郷というか同じ日本人の誼というやつでこうしてテーブルを囲んでいるようだった。 - 12二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:12:55
名探偵が多すぎる!!!
- 13二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:14:16
推理小説ワールドだから殺人事件が起きること自体は妨害されなかったと(納得)
探偵が湧いてくるのは事件が起きてからだものね - 14二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:18:27
モリアーティは表面上はアケチに笑顔を向けながらも内心では自分のライバルに似通った性質を感じるこの
男に嫌悪感すら抱いていた。
「お二人はどういった用事でここに?」
「なんでも警察が自分達のような探偵に捜査の秘訣を聞きたいと言われましてね。こちらとしても警察の方とはなじみが深い。無下にもできずこうしてやってきたのですが鉄道が止まっていて困っていたんです」
「金欠でタクシーも乗れないしね・・・」
どこか眠たそうなコウスケに呆れつつ、立香はお人好しにも彼にタクシー代を工面してあげている。
彼女の善性にケチはつけたくないが目の前のどっかの誰かに似た嫌なヤツからモリアーティは離れたくてしょうがなかった。 - 15二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:27:28
タクシー代があれば帰ってくれるじゃないか
多分居残るんだろうけど - 16二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:28:48
「それじゃあそろそろホテルに戻るね」
「ありがとうございます立香、またどこかでお会いしましょう」
「うん、金田一さんも気を付けてね?あそこのホテルにいるからまた会えたら声かけてね」
「ありがとうぅ・・・」
そう言うと二人に手を振って別れ、モリアーティはホテルの場所を立香が教えてしまったことにハラハラしつつもその場を離れることができた。
「ここのクロワッサンは美味しかったから買っといたよ、部屋でまた食べよう」
「そうしようか、なんだから疲れてしまった・・・」
立香は癒し、はっきりわかんだね。
モリアーティはホテルへ向かう最中にも周囲に気を配っていたが・・・
「あ、そこの人!えっと、フランスの人?」
「はい、お嬢さん。私のことですかな?」
「うん、これ・・・あなたのですか?」
「おお、これはこれはありがとうございます、お嬢さん」
「いいんですよ、それより探偵さんなんですか?」
「ええ、ミス・・・ええとお名前を伺っても?」
「立香っていいます、リツカ・フジマル!」
「おお、元気なお嬢さん!私はエルキュール・ポワロと申します、お会いできて光栄ですよミスリツカ」
特徴的な髭のフランス人にまで縁を結んでいる立香にモリアーティは内心で頭を抱えていた。 - 17二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:31:23
彼が落としたのは警察が探偵を集めているというチラシのようなもの。それと招待状のようなものを持っているため
彼が探偵?と立香は思ったようだ。
(招待されるくらいには有能な探偵か、なんでそんなに引き寄せるのかネ!)
モリアーティはヤケクソ気味に頭のなかで叫んでいた。 - 18二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:32:47
- 19二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:34:56
ここから教授がザ・ダイナミクス・オブ・アン・アステロイド!するまでを描けたらいいなぁ・・・
- 20二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:40:07
ここにいる名探偵たちは自分を幻霊とかとは思ってない感じなのか
はたまた(生きている)本人なのか - 21二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:44:06
- 22二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:45:53
- 23二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:48:25
厄介ファンすぎる…でも殺人事件でないと排除出来なかった辺りありそうな気もする
- 24二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 21:56:08
- 25二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 23:22:50
明日の夜まで落ちてなかったらまた続き書きます(スレ主
- 26二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 23:34:06
- 27二次元好きの匿名さん24/11/08(金) 23:54:32
めちゃくちゃ面白いスレだ!スレ主ありがとう
モリアーティ推しとして続きに期待大