- 1天音テンリ(名誉美食研)24/11/09(土) 21:33:58
天音家、それはトリニティでもかなり位のある一族
そこの御令嬢は生まれた時からティーパーティーのフィリウス派に入ることが決まっている
今年天音家のお嬢様として入学した彼女の名は天音テンリ
スターゲイジーパイを好み
紅茶を愛飲し
優雅な言葉遣いで話し
気品に満ちた
・・・そんな守銭奴であった
~~~
髪の色 dice1d11=7 (7)
瞳の色 dice1d11=9 (9)
1.黄 2.赤 3.緑 4.青 5.紫 6.橙 7.桃 8.白 9.黒 10.茶 11.灰
髪の長さ dice1d100=85 (85) 1で肩につかないくらい100で足元
胸 dice1d5=1 (1) 1.絶壁 2.貧 3.普通 4.デカい 5.別ゲーに行け
腹 dice1d5=3 (3) 1.シュッ 2.細 3.中 4.もちっ 5.もっちもち
尻 dice1d5=3 (3) 1.ぺたん 2.小 3.ふにっ 4.もちっ 5.ドーン
戦闘力 dice1d100=17 (17)
耐久力 dice1d100=75 (75)
神秘 dice1d100=90 (90)
慈悲 dice1d100=23 (23)
身長 130+dice1d50=1 (1) cm
倫理 dice1d100=45 (45)
知力 dice1d100=25 (25)
- 2二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 21:38:07
ちっさい……
- 3とある名誉部員24/11/09(土) 21:50:13
愛をこめて
10レスいかせないと - 4天音テンリ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:00:41
- 5水戸ホープ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:05:04
ロリだな・・・
- 6二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:05:48
守銭奴の神秘か
- 7薪原イサイ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:06:55
- 8水戸ホープ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:18:36
濃い圧倒的に濃いよこの子・・・!
- 9二次元好きの匿名さん24/11/09(土) 22:27:29
昆布茶とか出さなさそう
- 10天音テンリ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:31:22
悩んで、悩んで、偶に立ち上がて紅茶を淹れ
椅子に腰かける
「・・・あ。」
そのとき、ナギサに天啓が舞い降りた
そう、まさにここに丁度いい仕事があるではないか
能力に関係なく任せられて
しかしフィリウス派から遠いと任せにくく
性質上ほぼ自分の監視下に置いておける仕事が - 11天音テンリ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:42:20
- 12天音テンリ(名誉美食研)24/11/09(土) 22:45:26
「初めまして、桐藤ナギサ樣。天音テンリです。」
お嬢様らしい、優雅なカーテシーを見せる
「はい、貴方には是非とも任せたい仕事がありまして。」
流石にこの時期にティーパーティー所属が決まっている者は多くない
今のティーパーティーは3年生が卒業して一番人が居ないタイミングだった
「貴方には他ならぬ、この私の椅子を運ぶ仕事をしてもらおうかと。」
「・・・はい?」
流石に少々間の抜けた返事になってしまった
「私はフィリウスの重要な場にも出席することも多いです。その上で私の椅子を持ち運ぶとなるとフィリウスから遠い身分の方には任せづらくて。ほどほどに近い貴方にこそ任せられます。」
柔和な笑みでナギサはそう言った - 13天音テンリ(名誉美食研)24/11/09(土) 23:35:13
「それで、賃金は?」
「えっ」
喜びでもなく、逆に文句でもない
すぐに金の話をしだしたことにナギサは目をぱちくりさせる
「ナギサ様ほどではありませんが私も令嬢です。そんな私の行動範囲を限定し、慣れない力仕事をさせようというのです。当然、相応の金を用意しているのでしょう?」
気品ある佇まいは崩さず、当然の疑問を口にする
「そう、ですね・・・。まず貴方の時間を頂戴するという意味で1時間当たり1万円。私の椅子を運んだ際は1回毎に追加で1万円、移動費はこちらで負担しましょう。各月の28日に貴方の口座に振り込みます。」
一瞬面喰ってしまったが、学内政争を1年経験してきたナギサはすぐに持ち直す
予め用意しておいた書類を取り出しながら説明してみせた
「了承頂けるならこちらにサインを。」
その契約書に目を通すと、テンリは微笑を保ったまま頷く
「ええ、わかりました。必ず賃金通りの仕事をしてみせましょう」 - 14天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 00:27:38
キヴォトスの学校はBDとはいえ授業があり、クラスがある
そしてテンリの所属したクラスは皆が浮かれ気味だった
それは天音家の令嬢と同じクラスだから・・・ではない
今年の首席合格者と同じクラスだからだ
それもただの首席合格者ではない
入学試験を満点合格した才媛だ
そう、浦和ハナコだ
理知的で物腰柔らか、そして礼儀正しい淑女である彼女は注目の的であり、早くも派閥に誘う動きが生まれていた
それはもう、隙あらば「うちの派閥に来ませんか?」と言われるくらいには
何故こんなにも活発に勧誘が行われるかと言えばそれはハナコの出自にあった
浦和ハナコはトリニティの一般家庭で育った少女である
トリニティで特に令嬢と呼ばれるほどの者は大抵、家柄である程度所属する派閥が決まっている
しかしハナコにそれはない、故に"どの派閥にも所属しうる"存在であった
そしてそれは自分の派閥に引き込みやすい反面敵対派閥に所属する可能性も十分あるということである
もちろんフィリウス分派も例外ではない
「貴方はハナコさんとクラスが同じでしたね。是非、彼女を勧誘してください。」
そしてここにハナコに近づきやすい人物がいるのだ、使わない手はない
「既にパテル分派の勧誘さえも断ったと聞いてますが、そこはどうお考えで?」
テンリの質問にナギサは少々考えると
「安直に考えればパテルの思想についていけないというところでしょうが・・・。彼女なら自分が好きな派閥に入れることに気付いているはずです。それにも関わらず頑なに勧誘を断るのみで、自分を売り込むようなことはしていません。そうなるともっと別の理由があるはずでしょう。」
「そうですか、それで賃金は?」
さっきの質問はなんなのか、興味なんてないのではというほど淡泊な返事をするとすぐに金の話である
「はあ・・・。まあ成功したら考えます。私の予想ですが彼女はそもそもどこかの派閥に属すつもりがないと思うのです。ただ勧誘しないと逆に目立ってしまうでしょうから。」
「そうですか。ええ、わかりました。」
そう言ってテンリは深々と腰を折った - 15二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 01:07:47
金さえ払ってればついてきてくれるからなんだかんだナギサと相性良さそう
そして、そういう娘が「あとできっちり請求しますから。」って身を挺して主人を守る展開好き - 16天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 01:36:43
「今回はこのような場にお招きいただきありがとうございます。」
楚々とした笑顔を見せながらハナコは礼を言った
目の前には同級生の少女がおり、周囲は人払いがされている
その少女、テンリはフィリウス分派の人物でありこれが勧誘であることは容易に想像できた
とはいえ名目上はただの私的なお茶会であり、身分も相手の方が上なのもあって招待に応じたのだ
気になることと言えば向こうは何故かティーパーティーの礼服ではなくトリニティの制服を着ている点だが
アイスブレイクなのか、他愛のない雑談から入る
最近流行りのメイクが高すぎるとか
とある会社の茶葉がやけに高いとか
最近できたこの会社にいくら投資すべきかとか
・・・なんだかやけにお金の使い方に関する話題が多い気がすることにハナコは若干首を傾げるがその疑問は置いておいた
これは彼女が開いた茶会なのだ、別に文句を付けるほどのことでもない
それに聞いているとどうもお金に関しては一家言あるのか、普段の彼女はあまり難しい話題には入れていない印象があったが、意外にも経済には詳しいようだ
きっと彼女が最も楽しませられる話題を選んだ結果のだとすぐに察することが出来た
そしてハナコは誇張抜きに天才である
当然ながら経済にも明るく、見事に話は弾むのだった - 17天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 01:52:53
「おや、もうこんな時間ですか。」
思わず時間を忘れて話していたようで、テンリのその一言でハナコもかなり時間が経過していることに気付く
なんだかお金の話ばかりしていた気がするが
勧誘はおろか学内政治とはあまり関係ない話題しかないことが少々疑問である
「そろそろお開きにしましょうか。楽しんで頂けたなら幸いですわ。」
その一言に、ハナコは驚きを隠せなかった
声こそ辛うじて出さなかったが、表情までは誤魔化せなかった
「・・・勧誘されなかったのがそんなに不思議なのですか?」
「そ、それは・・・。」
そして思わず、しまったと思う
勧誘を断るのは簡単だ、特に今は「まだ悩んでいる」の一言で済む
しかし、あたかも自分が勧誘されると思っていたかのような態度を見せれば話は変わってくる
自分を勧誘しないのかと言っておきながら勧誘を断るなんて、そんなの失礼極まりないだろう
勧誘されるに決まっていると、そう思い込んでいたが故のミスに頭を抱える
打開策を考えるも、時間的にも精神的にも余裕はなく、既にテンリの口が開かれるのがハナコの目に映った - 18天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 12:22:58
「いえまあ、貴方を勧誘する気は全く無いんですが。」
「・・・え?」
開いた口が塞がらなかった
疑問に疑問が重なり、そしてその疑問たちが一本の線となってハナコは答えを導き出す
思えば、彼女が今着ているのは普通の制服だ
茶会中の話題も、学内政治どころか学校の話題も少なかった
そして何より、ただ楽しく会話できた
そこに勧誘する気が無いという情報があればあとは簡単だった
テンリは単純にハナコと友達になりたかった
きっと本来のハナコなら最初の時点である程度察し、一言二言交わせば確信に至っただろう
ただ今回に限っては少々視野が狭まっていた
「ごめんさい。」
ハナコは素直に謝った、せっかくの楽しい茶会を最後の最後で台無ししてしまったから
「謝る程のことではありません。ただ、そうですね・・・。」
そう一呼吸置くとテンリは続けた
「可能なら"どの派閥にも"属さないでください。貴方はバランスブレイカーですので。」
事実上の追放宣言にややショックを受けるがハナコ自身、自分が特定の派閥に入ることでパワーバランスが崩れることを恐れていた
「代わりと言ってはなんですが・・・私とお友達になってください。」
そうテンリは、歯を見せて笑った - 19天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 12:38:46
「というわけで、勧誘はしませんでした。」
テンリからのその報告を、ナギサは温度を少し間違えて紅茶がちょっと苦くなったときのような表情で飲み込む
「理由を聞いても?」
「賃金が実質的になかったので。」
何を当たり前のことを聞くんだと言わんばかりの返答にナギサは呆れすら感じた
「徹頭徹尾金次第ですね貴方。」
ナギサはただ、若干ため息まじりにそう呟いた
これはナギサの狙い通りだったのか
dice1d2=2 (2)
1.全くの予想外なんですが??
2.たしかにハナコさんの勧誘はしなくていいという意味ではありましたよ、ええ
- 20天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 13:05:06
まあ狙い通りだったしいいかと心の中でそっと呟く
そもそもの話、ハナコが政治に深く関わったらトリニティが根底からひっくり返る
少なくとも、ナギサはそう予想している
ナギサが今まで培った人を見る目が「彼女は強大すぎる」と警鐘を鳴らしていた
きっと彼女がフィリウス分派に来てその能力を発揮すれば、トリニティは瞬く間にフィリウス分派が完全に支配してしまうだろう
そしてナギサはその危険性も十分わかっていた
ナギサは自身の理性をあまり高く評価していない
自分はまだ年齢相応の小娘にすぎないと思っていた
もしもそんな自分が、このトリニティを一つの個として扱えるほどの権利を持ったら?
きっと次は他の学校も吸収し、やがてキヴォトス全土を統一しようとする
ゲヘナや、ミレニアムや、連邦生徒会、その他様々な組織から反発されるだろうがハナコが味方ならおそらく何とかなってしまう
ではキヴォトスの全てを手中に収めたら?そのさらに次は?
一度火のついた権力への欲求は止まらないだろう
さらに言えばそこまで肥大化した支配領域を運営する必要もあるのだ
そんなもの、いずれ破綻するのが目に見える - 21天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 14:25:29
やや突飛に見えるが、これを突飛とは断言できないほどのものがハナコにはあると感じていた
テンリの政治的なバランス感覚か、あるいは単に金のことになると頭が回るだけか
彼女に「トリニティの政治に関わるな」と伝えたようだし、私的なものとはいえ他派閥に先んじて交友関係を持てたのだから御の字だ
むしろ私的なくらいの細いパイプの方が丁度いい
「貴方があの場を用意するのに掛かった諸経費等は振り込んでおきましたのでご確認を。」
テンリがどういう人物かの把握も進んだので今回の一件はまさに大成功を収めたと言えよう
まあなんというか、ある意味分かりやすい人である
全ては金次第というシンプルな行動原理
思ったことをそのまま口にする幼馴染とはまた違った意味ではっきりしている
なんだか金の切れ目が縁の切れ目となりそうではあるが
さらにそれとはまた別に考えねばならないこともあった
ナギサは手駒を使って得た「とある報告」のことを頭の片隅に置きつつ業務を熟すのだった - 22天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 15:03:15
「それで、お話と言うのは?」
テンリがハナコと"私的な"交流を持ってから早数日
ナギサはテンリと二人きりの時間を作った
「そうですね、端的に言えば契約内容の更新です。」
そう言って契約書を差し出す
あくまでも更新であり、そこまで大きく変更があったわけではない
ただ、2つほどやるべきことが増えただけだ
・機密性が求められる会談で"人払い"をすること
・賄賂を受け取った場合、誰からいくら受け取ったかを必ず報告し、そして裏切らないこと
あとはこの2つが追加されたことによる報酬の増額である
「人払いですか。」
「ええ、"ハナコさんと会った時のように"お願いしますね。」
どこか含みを持たせた言い方にテンリはやや肩をすくめた
「それではこちら、受け取った賄賂をどうするか書かれていませんが。」
たしかに賄賂を受け取ったら報告せよとは書いてある、だが肝心なその金をどうするかには触れられていなかった
「貴方が受け取ったのだから貴方のお金に決まっているでしょう。どこの誰が貴方に接触し、いくらの値を付けたかを伝えたことへの報酬の代わりと思って頂ければ。もちろん、貴方がフィリウス分派へ献金しようという殊勝な心掛けを持ち合わせているなら止めはしませんよ。」
まあ、そんなのものないんだろうな・・・というのは思っても言わないナギサであった - 23二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 15:16:27
結構相性いいなナギサとテンリ
ハナコとも仲良いみたいだけどもしやエ駄死な話題も…? - 24二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 15:33:43
まあまだハナコが天才清楚系美少女のときだからなんとも言えないと思う 金にがめついのに案外下ネタ耐性ないピュアピュアな一面があるかも
- 25天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 17:56:49
テンリが入学してから早くも1ヵ月が経つ
テンリも業務に慣れてきた
一応の名目上は校内におけるナギサの側仕えである
紅茶を用意したり茶菓子を用意したりといったことが基本業務になっている
そして当然、ナギサの椅子を運ぶのも
「本日はdice1d8=7 (7) へ向かいます。」
1.ミカさんの部屋
2.フィリウス分派内での会議
3.パテル分派との会談
4.サンクトゥス分派との会談
5.それ以外の分派との会談
6.正義実現委員会との会談
7.シスターフッドとの会談
8.他校との会談
重要度 高いほど重要で機密性を求められる、行先が1番の場合は高ければ公的なもので低ければ私的なもの
1d100=
- 26天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 17:57:08
dice1d100=25 (25)
- 27天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 19:30:19
シスターフッド
トリニティ内の部活の一つであり、トリニティの中でも特に宗教的な側面が強く出ている集団だ
基本的に政治活動には不参加であり、啓発活動や慈善活動が中心である
その一方で一定の武力と発言力があり、ティーパーティーから独立した命令系統と情報網から決して無視できない存在だ
秘密主義的な体質であるため、どこで情報を握られているか分かったものではない
ティーパーティーとしても顔色を窺う必要がある組織であった
この時期のトリニティでは大体の生徒の所属先が決め終えており、この会談は新体制となって最初の顔合わせといえる
まあさほど機密性が求められるものではない
今回はこちらが聖堂へ向かうため、テンリも椅子を運ぶ - 28天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 23:15:53
さて、ナギサがこうして外交も行うのには理由があった
先述した通り、ナギサは次期フィリウス分派代表となることが事実上確定していると言っていい
そのうえでナギサ自ら外交役を買って出ていた
まず分派代表であれば重要な会談に参加することも多いので場数を踏みたかったため
次に分派代表になるうえで政治的なバランス感覚を磨きたかったため
そしてこの1年をかけて他派閥に作ったコネクションは今後重要なカードになることを見越したため
この3つの理由からナギサはせっせと外交に励んでいた
~~~
今年入ってきた1年生たちについての"とりとめのない"会話を交わす
こうした水面下での牽制はトリニティでは日常茶飯事だ
迂遠な言い回し、雑談に見せかけた腹の探り合い
こうした学内政争に心が病んで学校に来なくなるものも決して少なくない
基本善人の集まりであるシスターフッドはまだマシな方であった - 29二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 23:21:12
名誉美食研って何?元スレとして貼ってあるスレ見てもこのスレとの繋がりがいまいち良くわからんのだけど
- 30天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 23:27:29
- 31天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 23:29:41
組織としての名誉美食研については
美食研究会を食す側とするなら名誉美食研は料理を提供する側って感じです - 32二次元好きの匿名さん24/11/10(日) 23:32:38
- 33天音テンリ(名誉美食研)24/11/10(日) 23:35:45
こちらこそ、名誉美食研のオリキャラスレ群は発生経緯からして内輪ノリに近い性質がありましたので外部から来た方への配慮が欠けておりました
このスレが貴方のひと時の楽しみになれるよう努力してまいります
- 34天音テンリ(名誉美食研)24/11/11(月) 00:24:59
休日、トリニティにて
「あら、ハナコさん。こんにちわ。」
「えーっと、テンリさん・・・?その服は・・・。」
ハナコは別に自分がファッションセンスに満ち溢れているとは思ったことが無い
ただ何をどう理屈をこねくり回してもテンリの私服は「ダサい」の一言に帰結した
「みなまで言わなくて大丈夫です。これが世間一般のファッションからずれているのは私自身よーく理解しています。そのうえで、ハナコさんなら一般人らしい装いを分かるのではないかと思いまして。」
思わずハナコはちょっと困惑した
初対面時から思っていたことだが、テンリは基本的なトリニティ生から若干外れている
テンリはまず遠回しな表現を好まない
そして金にがめつい
・・・低俗だがトリニティ生は基本お金に困らない人ばかりなので常日頃からお金に執着心を見せる彼女は珍しい
今着ている服もコストパフォーマンスを重視した結果だという
というより、本人の中にコストパフォーマンス以外の評価基準が無いらしい - 35天音テンリ(名誉美食研)24/11/11(月) 01:33:11
ハナコは心の内に言語化し難いものを感じる
この1ヵ月ちょっとで頼られることは沢山あったがそのどれとも違った感覚だ
彼女がその感覚の正体に気付くのはもう少し先の話
そんなモヤモヤを抱えつつ、ハナコは服を選ぶ
無意識に彼女の好み、つまりコストパフォーマンスのいい服に手が伸びるが、そこは向こうも筋金入りの守銭奴
すぐにそのことに気付いて手を止めれられる
「お気遣いありがとうございます。ですが貴方が似合うと思う服が欲しいのです。」
そう言われては仕方なかった
だからこそハナコは色合いや体格から、テンリに最も似合う服を算出する
その恵まれたる頭脳をもって最高の服を見つけ出すのだ
「似合ってるかしら?」
ファッションセンスは本当に無いようで、テンリにはイマイチ良さが分からないようだ
「似合ってますよ。」
「ハナコさんが言うならそうなんでしょうね。」
テンリはそう満足そうに笑顔を見せる
よかった、今日も誰かを喜ばせられた - 36二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 07:39:48
ほ
- 37二次元好きの匿名さん24/11/11(月) 16:57:11
守銭奴ファッションがどんな感じか気になる
- 38二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 02:24:22
普段着てる服がどんな感じなのかが気になる
- 39二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 12:10:08
法主
- 40天音テンリ(名誉美食研)24/11/12(火) 14:18:22
「今日は随分と機嫌が良さそうですね。」
優雅に紅茶を飲みながらナギサはテンリに尋ねた
「そんなに顔に出てました?昨日ハナコさんと服を買いに行きまして。」
そうはにかみながら答えるテンリに、ナギサも笑みがこぼれる
「友人と交流があることは良いことです。出世しすぎるとそうした機会は減ってしまいますから。」
思えばこの1年で幼馴染と私的に会う機会も減ってしまったとしみじみと思う
「あ、これ昨日ハナコさんと撮った写真なんですが、もしよければ見ます?」
そう言ってテンリが差し出してきたスマートフォンをナギサは素直に受け取る
そして思わず紅茶を吹き出した
「どういう服装ですの!?」
まずサイズ感がおかしい、ダボダボすぎる
服の色も系統もチグハグだし流行にも乗り遅れている
そしてそもそもとして服がくたびれており、少なくとも外で着るものではない
あと靴下が左右で違うし
「コストパフォーマンス重視なだけです。」
「それにしても限度があるでしょう!?・・・失礼、取り乱してしまいましたわ。」
紅茶を飲んで落ち着きを取り戻す
「こっちはハナコさんが選んでくれたものですわ。」
画面をスライドすると今度は真っ当な服装のテンリを映した写真が出る
最新の流行を取り入れ、テンリの桃色の髪ともよくあった色のものだ
・・・着ている本人がその良さを一番理解していなさそうなのが歯痒いところだが - 41天音テンリ(名誉美食研)24/11/12(火) 15:20:09
これ来年もまったく同じ服着るんだろうなとナギサはやや諦めの境地に入る
「ええ、まあ、とにかくその交友関係は大事にしてください。」
本当に、フィリウス分派のためにもテンリ個人のためにも
紅茶を一口、安心感すら感じる味わいでメンタルを回復させる
「本日はdice1d8=7 (7) へ向かいます。掃除は頼みましたわ。」
「それはもう終わってます。」
たしかにテーブルクロスに紅茶の染みは一つも無かった
1.ミカさんの部屋
2.フィリウス分派内での会議
3.パテル分派との会談
4.サンクトゥス分派との会談
5.それ以外の分派との会談
6.正義実現委員会との会談
7.シスターフッドとの会談
8.他校との会談
重要度 高いほど重要で機密性を求められる、行先が1番の場合は高ければ公的なもので低ければ私的なもの
dice1d100=70 (70)
~~~
たまに内なる似非お嬢様が出てくるのは生温い心で見逃してくださいbyスレ主
- 42天音テンリ(名誉美食研)24/11/12(火) 15:24:22
よく見たらまた内なる似非お嬢様が出ているしまたシスフ・・・
もしやこれもサクラコ様の陰謀(濡れ衣) - 43天音テンリ(名誉美食研)24/11/12(火) 18:31:32
どれだけ治安がいい街にも犯罪をする人がいるように、シスターフッドにも政治に関わる人はいる
表舞台で直接ではなく裏でこっそり意見を言ってくるのが質が悪いことこの上ない
「最近パテル分派の方たちがよく"祈りを捧げて"まして。」
「そしてそれが"経典"から外れていると。」
「話が早くて助かります。」
幸いと言うべきか、もともと善人が多いだけにそうした政治的な要求もまともなものが圧倒的多数ではある
今回のこれもパテル分派が過激な手段で何かしでかそうとしているというリークだ
どこから掴んできたのかもわからない機密情報を持ってくることもあるので関係を断つわけにもいかないというのが実情である
「それではよろしくお願いしますね。」
シスターは清楚に、しかし怪しく微笑んだ - 44天音テンリ(名誉美食研)24/11/12(火) 19:22:39
「パテル分派の方々も懲りませんね・・・。いえパテル分派なら皆が皆というわけじゃないのは分かっているのですが。」
溜息とともにナギサは呟く
パテル分派はトリニティ内でも特にゲヘナを嫌っている派閥である
去年は雷帝絡みで色々やらかしており、内戦一歩手前までいったものだ
最終的に一応落ち着きはしたがまだ火は燻ぶっているらしい
シスターがもたらした情報の裏どりを進めつつ、訴えるために必要な書類を揃えていく
そして同時にパテル分派へ申請書を用意する
誰が許可するんだと思うかもしれないが、他派閥の人を訴えるには必要なのだ
また、「身内のやらかしを他派閥にバレてなお白を切るのは恥」という風潮があるのでちゃんと通る
まあ逆に言うとバレなきゃ問題ないとも言えてしまうのだが - 45天音テンリ(名誉美食研)24/11/12(火) 21:06:29
さてこういう面倒な手続きは大抵誰かがついた抜け道を埋めるために作られるものだ
この申請書もその類のものである
というのも、権力に物を言わせて勢力を拡大していた新興派閥を聴聞会を通して半ば強引に解体したという事件があったのである
前々から弱小派閥に対して似たようなことは横行しており、度々問題視はされていた
ただ作ったら作ったで今度は本当に訴える必要があるとき困るという理由で中々できなかったのだ
ある程度規模のある派閥は所詮対岸の火事と思っていたのだが、その認識を変えたのが上記の事件なのである
既に中規模というには大きくなっていたその派閥を消すために複数の大派閥が動いており、次は誰が潰されるのかわからないという状況になった
当時のヨハネ分派の首長が言い放ったとされる「身内の不手際の責任も取れないなら政治などやるな」という言葉が後押しとなり、この手続きが作られた
できた経緯が経緯だけに余程確実な証拠がないと使うのは憚れるが、常に足の引っ張り合いが行われるトリニティではそれくらいのほうがある意味丁度いいのだろう
正義実現委員会だけはこの申請書無しに訴えを起こすことが正式に認めらている他、シスターフッドも似たようなことが可能なので不当行為が有利になったわけでもない
・・・シスターフッドのそれは規則として明確に認めらているものではないのである意味問題ではあるが - 46二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 22:11:38
設定が緻密で期待大
- 47天音テンリ(名誉美食研)24/11/13(水) 00:41:53
情報が正しいことが確認できたので用意できた書類を提出する
本当によくこんな情報を抜いてこれるもんだと感心する
シスターフッドからの情報でやっと訴える条件を満たせることも多いのであそこの情報網はかなり重要である
ただシスターフッドにも腹黒い人物はいるので厄介でもあるのだが
特にシスターフッドはとにかく秘密まみれなのでどこの誰から情報が漏れているかわからない
また防諜を強化しないといけないかもしれないとナギサは悩みの種を増やすがそれは後回し
「はあ、なんとか落ち着いてくれないでしょうか。」
ナギサの憂いを帯びた吐息が紅茶に波を起こす
「エクレアを飲み込ませればいいんじゃないですかね。」
「・・・まあそこは聴聞会で適切な処罰が決まるでしょう。」
聴聞会は始まるまではもうしばらくかかる
となれば万が一のために守りを固めるべきだろう
「セーフティハウスへ向かいます。後で椅子を指定する建物へ運んでおいてください。念のため貴方も私についてきてください。」
「了解しました。その間の護衛くらいはおまけしておきますよ。」 - 48二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 06:29:00
ほ
- 49天音テンリ(名誉美食研)24/11/13(水) 13:55:20
セーフティハウスは静寂に包まれている
普段使いの椅子を別のセーフティハウスに運ぶという策が功を奏したようで、椅子が運ばれた方は刺客が送り込まれたらしい
当然この展開は予想済みであり、逆に捕縛した
問いただしたところ案の定パテル分派の過激派だったようだ
訴えられたから拉致しにくる短絡さが実に過激派らしい
むしろ聴聞会でのナギサ優位を盤石にしただけだったが
「あっさり引っかかるものですね。」
「普段からの印象操作の賜物でもあります。」
テンリの若干呆れまじりの呟きにナギサは当然というように返す
ナギサは常に自分の椅子と共に行動しており、その徹底ぶりはレストランにすら事前に連絡して持ち込むほどだ
その行動は上層部なら知らない者はおらず、一般生徒にも名前こそ知られていないが噂が流れるほどだ - 50水戸ホープ(名誉美食研)24/11/13(水) 22:40:04
セイアお前の友人は凄いな。
- 51天音テンリ(名誉美食研)24/11/14(木) 01:16:46
「本当にここで合ってるのよね。」
「シスターフッドからの情報よ。間違っているはずがないわ。」
情報というのは正確性が命だ
故に例え一度でも嘘を吐くとそれだけでその人物からもたらされる情報の信憑性が下がる
シスターフッドからの情報が重要なものと位置づけられているのはシスターフッドには情報屋としての実績とブランドがあるからであり、それ故に彼女たちが嘘の情報をもたらすことはまずありえない
この2人はパテル分派の過激派に所属している
上層部がナギサが出した"ひっかけ問題"にまんまとひっかかったせいでいよいよ逃げも隠れもできなくなったわけだが、今度はシスターフッドから情報を得て再びナギサの誘拐に踏み切った
実行する彼女らとしては乗り気ではないが、やらなかったら今度は蜥蜴の尻尾切りの対象になりそうであり、それなら向こうに捕まって「知りません上からやれって言われたんです」と言った方がまだマシな処罰で済むだろう
「本当にここなの?絶対違うって。」
「シスターフッドが偽情報を流すわけないでしょ。そろそろだまt」
「だ、だって変じゃん。"さっきからずっと近づいてる気がしない"んだよ!?」 - 52天音テンリ(名誉美食研)24/11/14(木) 01:17:33
そう指摘されて、初めて気付く
歩いても、歩いても一向に目的の建物に近づかない
周囲の静けさが体に寄り添う
襲撃の予定時刻は刻一刻と迫るが、侵入すらできていない
お互いに顔を見合わせ、来た道を戻りだす
何か良くないことが起きているのは明らかだった
がむしゃらに、ペース配分も考えず、淑女らしさなんてかなぐり捨てて走り続ける
「きゃっ。」
一方が転び、もう一人は見捨てきれずに振り返る
それが愚かな選択とも知らず
優しい少女の顔がすっと青みを帯び、膝から崩れ落ちる
ただならぬ相方の様子を見て、彼女が後ろを見れば目的地だった建物が"全く変わらなぬ様子で"建っていた
~~~
「ナギサ様、"予定外のお客様"が2名いらっしゃいました。とりあえず"もてなして"いますが・・・あ、どちらも気絶しました。」
「・・・中に入れて寝かしておいてください。流石にやりすぎです。」
今日の夜空は随分遠くにあるような気がした - 53天音テンリ(名誉美食研)24/11/14(木) 02:21:49
「───に次の結論を下す。」
聴聞会の議長の声が響いていく
事前の根回しと揃えた証拠、そして捕まえた誘拐犯らの証言により完全にナギサが有利な状態で議論は進んだ
過激派の主要メンバーは全員ティーパーティーを辞めることになり
それ以外の面々も謹慎を始めその立場に応じた罰則が与えられる
パテル分派としては完全に切り捨てるつもりなのか、過激派の独断専行と言い張ったのが彼女らの運命を決定づけた
向こうの代表として来た者に縋りついているが、代表者の方は冷ややかな視線を返すのみだ
驚くほどあっけなく、聴聞会は閉会となった
~~~
久々に自宅で飲む紅茶にナギサはどこかうっとりとした息を吐く
あまりにも思惑通りに事が進んだのでご機嫌なのだ
唯一気がかりなのはテンリの"人払い"の謎が解けなかったことか
"どれだけ進んでも距離が縮まらない"という手駒の報告を受けた時は何かのミスかと思ったが、誰もが同じ報告をしていれば信じるしかあるまい
そんなわけもあって今回当事者になったが謎は謎のまま
それどころか離れた場所の様子をわかっているような素振りも見せていた
今は彼女が味方である事実に胸をなでおろすばかりであった - 54二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 09:53:04
よかったあ
- 55天音テンリ(名誉美食研)24/11/14(木) 10:37:16
いつも通りの昼下がり
テンリが紅茶を淹れ、ナギサがそれを飲む
しかし今日のナギサはどこか険しい表情をしている
「お疲れですか?」
「いえ、そういうわけでは。ただ少し心配事が。」
今ナギサが心配なのはハナコのことだ
既にトリニティ最難関の試験にすら満点を出している彼女は各派閥に引っ張りだこである
フィリウス分派としては勧誘をもうしていないが、特に中小規模の派閥を中心に勧誘活動は激化している
「彼女はあくまで一般家庭の生まれです。ああもしつこく来られるのは負担になるでしょう。友達として、しっかりケアしなさい。」
「それは次期首長としてのお言葉ですか?」
テンリの質問に対し、紅茶越しに何かを見つめながらナギサは答える
「・・・幼馴染との時間を失いつつある、そんな先輩としての言葉ですよ。」 - 56二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 19:50:17
言葉の重みを感じる……
- 57天音テンリ(名誉美食研)24/11/14(木) 23:38:33
「それでは本日はdice1d8=2 (2) へ向かいます。」
1.ミカさんの部屋
2.フィリウス分派内での会議
3.パテル分派との会談
4.サンクトゥス分派との会談
5.それ以外の分派との会談
6.正義実現委員会との会談
7.シスターフッドとの会談
8.他校との会談
重要度 高いほど重要で機密性を求められる、行先が1番の場合は高ければ公的なもので低ければ私的なもの
dice1d100=38 (38)
- 58天音テンリ(名誉美食研)24/11/15(金) 02:59:51
当然と言えば当然だが、フィリウス分派にも定例会議がある
プロジェクトの進捗報告
作業環境の問題点
財政状況など
緊急性こそ決して高くはないが全員に共有すべき情報であったり、定期的に確認すべきことなどが話される
事前に配られた資料をあらかじめ読み込んでおき、会議中はアイディア出しに専念する
各々が案を出す声と議事録を作るタイピング音だけが響き、タイマーが時間を刻む
一通り案を出し尽くしてからアイディアの是非を議論していく
そしてやがていくつかの案が残る
「これにて定例会議を終了とします。」
今回も恙なく、時間通りに会議は終わった - 59二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 10:54:43
順調だな
- 60二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:10:27
何というか出目38っぽいイベントだな定例会議……
- 61天音テンリ(名誉美食研)24/11/15(金) 23:20:10
「ハナコさん?」
「えっ、あ、ごめんなさい、ぼーっとしてました。」
とある休日の昼下がり
テンリとハナコは洒落たカフェでスイーツを食べていた
「どうしたんですか、どうも疲れているみたいですが。」
テンリは心配そうな表情でハナコの顔を覗き込む
「いえちょっと、お手伝いをすることが増えただけですよ。」
元気であるかのように取り繕っているが、友人としてプライベートを見てきたテンリには無理をしているのが薄々察せられた
「無理しないでください。私からはそれ以上のことは言えませんが。」
「気を遣わなくていいんですよ。私の問題ですから。」
もっと、上手く隠せるようにならないと - 62天音テンリ(名誉美食研)24/11/16(土) 00:37:04
「テンリさん、貴方の耳に入れておくべき情報が。」
「奇遇ですねナギサ様。私もです。ナギサ様からどうぞ。」
ナギサは紅茶を一口飲み、話し出す
「ここのところ、ハナコさんが他派閥の仕事を手伝う頻度が増えています。昨日も、貴方と過ごした後何やら仕事をしていたようです。ハナコさんが発案したものを妨害、ないし対策する仕事すらあるようで、悪循環に陥りかけています。」
その顔は深刻さを隠しきれておらず、事態が着実に良くない方向へ向かっているのが伝わってくる
「お手伝いが増えたとは言っていましたが、まさかそこまでとは。私から報告したいのは彼女が既にかなりの心労を抱えていることです。」
テンリからの報告に、ナギサはさらに顔をしかめる
「これは本格的にメンタルケアが必要ですね。カウンセラーの常駐を提言しておきましょう。それはそれとして、早急にカウンセリングを受けさせる必要がありますが」
ナギサはなんだか頭が痛くなってきたような気がしてきた
たしかに恐れていた事態ではある、しかし想定より進行速度が速い
こんなことならもっと早く動いておくべきだった、全てが後手後手だと後悔の念に駆られる
いつかティーパーティーのホストの席に座ったなら全生徒を見なければならないのだ
ナギサは己の未熟さを強く感じていた - 63水戸ホープ(名誉美食研)24/11/16(土) 10:54:51
うーむ、やはり政治は苦手だな・・・
- 64二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 19:11:42
もう既にストレスがやばそう
- 65天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 00:53:40
弱音ばかり言ってはいられない
ナギサにだって仕事がある
「さて、本日はdice1d8=6 (6) へ向かいます。」
1.ミカさんの部屋
2.フィリウス分派内での会議
3.パテル分派との会談
4.サンクトゥス分派との会談
5.それ以外の分派との会談
6.正義実現委員会との会談
7.シスターフッドとの会談
8.他校との会談
重要度 高いほど重要で機密性を求められる、行先が1番の場合は高ければ公的なもので低ければ私的なもの
dice1d100=70 (70)
- 66天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 01:31:10
「──と、この通り一時期よりは緩やかですがまだ少なくない人数がトリニティに流れてきています。」
正義実現委員会、それはトリニティの治安維持を担う公式的な組織だ
公式的というのはトリニティには自警団が別にあるからなのだがそれはまた別の話
治安維持部隊であり正規軍のような側面も持つ彼女たちは組織名に正義という言葉を使うだけあって己の正義への拘りが少なからずある傾向が見られる
そんな正義実現委員会が今問題視しているのがゲヘナから来る不良生徒である
2年前であればそんなもの全員なぎ倒せで済んだ話なのだが、現在はそうもいかない
というのも、去年雷帝が現れて以来ゲヘナからの難民が増えているのである
この難民への対応についての議論は紛糾し、当時は雷帝政権が終わるまでは安全を保証するというところでとりあえずの合意をした
しかし、数が多いのだ
難民の生活保護を始めとした諸費用は増える一方であり、パテル分派を中心に反対意見が再び出ている
ゲヘナにも真面目な生徒は一定数いる
そういった生徒は問題ないのだが、不良生徒はそうではない
態度は非常に粗暴で自治区内に居ても問題を起こすだけでなんの利益にもならない
トリニティの治安は着実に悪くなっており、由々しき問題であった - 67天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 01:46:15
「やはりゲヘナ生を受け入れたことが間違いだったのです。今からでも捕まえた後ヴァルキューレを通してゲヘナに送り返すべきです。」
パテル分派の生徒が声高に発言する
現在この場には正義実現委員会とトリニティの大きな派閥が揃っており、パテル分派やサンクトゥス分派以外の生徒もいる
やはりというべきか、立場が真っ二つに割れる
難民が現れだした当時の再現とも言えるような状況だが、その実パテル分派を筆頭とした反対派が有利であった
まず今の政策は当時の恒久的に保護すべきという意見と早急に追い出すべきという意見の折衷案である
それが現在は現状維持派と反対派の対立になっている
その折衷案が難民の安全を保証するものとは思えない
しかも難民がどんな影響を及ぼすか未知数だった当時と違い、現在はその悪影響が明確に表れている
当然毎日のように学内政争をしている彼女らはどちらが有利になるかすぐに察知しており、当時より反対派が多い
フィリウス分派を筆頭とする現状維持派は苦境に立たされていた - 68天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 02:06:02
ナギサは半ば扇動とも言えるような状態になっているパテル分派からの意見を適度に聞き流しつつ、紅茶を口にいれて思案する
Q.今最も重大な問題は何か?
A.予算の圧迫
治安が悪くなっているという問題はそもそもキヴォトスなら誤差といって差し支えないレベルのものだ
グラフも視覚的には大幅な増加に見えるが実際はそう見えるよう縦軸に細工をしているに過ぎない
そもそも生徒なら銃器を持っているのが普通であり、彼女らとて全く自衛できないわけではない
身も蓋もないことを言ってしまうとゲヘナの不良生徒に絡まれたくらいじゃ死なないし怪我したところで寝て起きたら大体治ってる
さらに言えばその不良生徒が居るのはトリニティでもゲヘナとの境界付近であり、生活圏にそこまでの影響が出ているわけではない
利益がないという話も、経典の内容を考えれば利益以前に人として為すべきことであるのは明らかだ
それに、利益がないというのも利益を生む仕組みがないだけのこと
それさえ作れば予算の圧迫という問題の解決に繋がる
考えられるだけのことは考えた
「誰か、反論のある方は?」
あとは、意見するのみである - 69天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 03:15:36
静かに挙手し、司会の許可を貰って発言を始める
「先ほど治安が悪くなっていると仰られていましたが、それはゲヘナとの境界を中心として局所的なものであり、その増加量も例年と比べて極端に多いというわけではありません。こちらが地域別のゲヘナ生による犯罪認知件数の推移です。」
ナギサが手元のパソコンを操作するとホワイトボードにプロジェクターが資料を映す
その資料はナギサが言った通りトリニティの中心部にはほとんど影響が出ておらず、境界の方で多少の増加が認められるということを示していた
「また、ゲヘナ難民がなんの利益も齎していないという話についてですが───」
経典に貧しい人に何か恵むことを推奨する話なんていくらでもある
内心はどうあれ経典の内容を是とするこの学校でこの話を表立って否定することは誰にもできるはずがない
「とはいえ、予算が圧迫されているという現実的な問題が解決されるわけではありません。そこで、彼女たちに仕事を与えて雇用契約を結ぶことを提案します。」
はっきり言って生活保護が少々手厚すぎたのだ
それなら単純に働かせればいい - 70天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 03:23:31
「今で何もせず受け取れていたものをこれからは働いて稼げというのは通じないのではないでしょうか。」
これまで静観し、中立を維持していたサンクトゥス分派の生徒から質問が飛んでくる
「確かに、当然の疑問だと思います。」
そう言いながらナギサは次の資料を見せる
「こちら、まだ計画段階ですが彼女たちを雇用するにあたっての労働内容と1ヶ月あたりの給料です。」
それは3つのプランだ
1つ目は現在の生活保護より安い賃金なかわりに簡易ながら人手が必要な仕事
2つ目は現在の生活保護と同等の賃金で一般常識さえあればこなせる仕事
3つ目は現在の生活保護より高い賃金で相応にキツイ仕事
「現在よりお金を得る手段を提示しつつ、楽な逃げ道も用意しておきます。あくまで選択肢を用意するだけで、選ぶのは彼女たち。当然、どれも嫌なら別の自治区に移動してもらえばいい。いずれにしても彼女たちが納得したという事実に変わりはありません。その上で反抗的な態度を見せるようであればその時捕縛すればいい話です。」
理路整然と、分かりやすくそして納得しやすいよう話を展開する
中立的な立場を維持していた面々は既に現状維持の方に流れつつあり、反対派からも「まあそれなら・・・」という声が聞こえだす
最初の反対派優勢をひっくり返す形で今回の会議は終わりを告げた - 71二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 10:03:36
かっこいい主人を見てテンリは何を思うのか
- 72天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 12:52:21
会議を終え、ナギサは紅茶を飲んで一息つく
隣では、相変わらずと言うべきか無言でテンリが立っている
4月からの付き合いだが、ナギサはテンリの腹の底が見えないでいた
もちろん人の心を読めるとは微塵も思ってはいないが、テンリに限っては全く分からない
彼女はどこまでいっても金次第な人物である
今も大変な会議を終えたばかりだというのに労いの言葉もかけてこない
ただ事務的に、椅子を運んで紅茶を淹れただけ
もちろん適当な金を握らせれば相応に褒めてはくれるだろうが、彼女の本心ではない
いっそ機械的とすら言っていい
お金を入れられたらその値段の商品を出す、そんな機械
それがナギサがテンリに抱いている印象だった - 73天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 18:44:43
「ハナコさん?ハナコさん??」
「へっ!?あ、すみません。」
とある休日の昼下がり
テンリとハナコは落ち着いた雰囲気のケーキ屋を訪れていた
「ハナコさん、本当に大丈夫なんですか?」
テンリは心底心配そうな表情でハナコの瞳を見つめる
「ええ、大丈夫です。心配させてしまいましたね、ごめんなさい。」
隠しているはずなのに、隠しきれない疲労
「お願いですから休んでください。友人に倒れられたら私だって悲しみますよ。」
「そんなに心配しなくても大丈夫です。私は大丈夫ですから。」
もっと、ちゃんとしなきゃ - 74二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 18:49:49
ナギサに対してとハナコに対してで感情の見せ方がまるで違うな
- 75天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 22:24:56
執務室の本棚をテンリははたきで掃除していく
いつもどおり、ルーチンワークを淀みなく熟していく
ナギサは書類の文章に一通り目を通すとサインをする
さながら宵闇を飛ぶ蛍のように、洗練された筆致だ
しかし、その筆がはたと止まる
電話が鳴ったのだ
電話に出ながらサインを書こうとして間違えては困る
故に筆を一度置き、受話器を取る
「はい、もしもし・・・今なんと!?」
結果、その行動は正しかったと言えよう
勢いのまま立ち上がり、そしてテンリの方を向く
明らかに声は震え、わずかに言葉に詰まる
「は、ハナコさんが倒れました。」
はたきが床とぶつかる音だけが部屋に響いた - 76天音テンリ(名誉美食研)24/11/17(日) 23:34:33
「ち、違います。私はやってません!断じて!」
教会で一人のシスターがやけに強く否定ている
「あ、"あくまで"懺悔室にいる間に倒れてしまっただけで・・・」
修道服を着用している銀の長い髪が特徴的なシスターだ
しかしなんというか、致命的に胡散臭い
どうしてもその言葉の裏を勘ぐってしまう、そんな人物だ
それ故か、あるいはその倒れてしまった人物というのがあのハナコであるからか、もしくはその両方か
とにかく彼女は複数の生徒から詰られている
「では懺悔室の中で何があったのというのですか!」
「そ、それは・・・そう、守秘義務!守秘義務により言えません。」
事はもう順調と言いたくなるほど悪い方向に進んでおり、周囲は一触即発とすら言える空気を漂わせる - 77天音テンリ(名誉美食研)24/11/18(月) 01:36:42
「・・・いひひひ。」
それは、張りつめていた空気を喰い破るように
あるいは、全てを跡形もなく破壊するかの如く
ゆらゆらと燃える炎のごとく静かに、しかし確かな存在感を放ちながら
彼女はやってきた
正義を実現するために
「きしゃあああ・・・。」
2丁の赤いショットガンを持ち、そして奇怪な表情で奇声を上げながら歩く乙女の名は剣先ツルギ
「ね、ねえあれ。」
「もしかして、あのツルギじゃ・・・。」
その姿を確認するや否や、シスターに詰め寄っていた少女たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった
「・・・大変だったな。」
「いえいえ、助けていただきありがとうございます。」
絵面だけ見ると先程より酷いような気がするが、しかし間違いなくシスターにとってツルギは恩人であった
「申し遅れました、歌住サクラコです。以後お見知りおきを。」
「剣先、ツルギ。お礼は、いい。」
それだけ言うとツルギは去っていった - 78二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 10:55:51
ツルギ先輩やはり頼れる人だ
- 79二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 21:24:14
さすがツルギ先輩
- 80天音テンリ(名誉美食研)24/11/19(火) 00:40:39
その日ハナコは今までの人生でトップに入る程に顔が強張っていた
これまでテンリとハナコは休日に学校外で会うという関係であった
クラスこそ同じだが話すことはほとんどない
ハナコにとって、テンリは他の学校の友人と思えるほど学内では関わりがなかった
そんな彼女が平日、それも普段なら側仕えとして動いている時間に呼び出してきたのだ
また、普段なら安くて美味しい店に行くのにも関わらず、今回は高級志向の完全個室のレストランであった
明らかに何かが違うという、妙な感じを抱く
ハナコが調べた限り、このレストランは防音性に優れ、主に密談をするのによく使われる場所だ
まず間違いなく、テンリは何か重大な話をしようとしてるのだろう
組織ではなく、友人からの大切な話
そんな未知の体験をハナコは迎えようとしてた - 81天音テンリ(名誉美食研)24/11/19(火) 01:32:27
「遅れた。」
そうして待っていると、異様な雰囲気を纏ったテンリが来た
普段からやや俗っぽい彼女だが、今日はいつにもましてお嬢様らしくない
いつも浮かべている微笑みが消え失せ、仮面を被ったかのような無表情を見せている
扉こそ静かに閉めたが、椅子には音を立てて座る
早くメニューをを選ぶよう急かされ、流されるままに注文を終える
ハナコは正直に言って狼狽えていた
なんとなく、彼女が素を隠していることは察していた
でもそれは別に誰でもやっていること
それに少なくとも彼女は気持ちに嘘は吐いていないとわかったから、そこまで不快ではなかった
こんな、別人のように変わるとは思っていなかったのだ
その深い衝撃は、ウェイターが目の前へ料理を運んできたことに気づかないほどであった
「ハナコ、腹割って話そう。」
明るい密室で、彼女はどこかぶっきらぼうに話を切り出した - 82天音テンリ(名誉美食研)24/11/19(火) 02:06:44
お人よしで本来の自分が暴かれることを恐れている、ただ頭がいいだけの普通の人
それが私の、ハナコへの印象だ
~~~
人は信用ならない
いつだって、嘘を吐く
その点、金は分かりやすくていい
唯一信頼できるとすら言える
そしてなにより、金の使い方はそいつの人となりがよく表れる
例えばナギサは、どこか疑心暗鬼、それでいて誠実、そして他人から失望されるのを怖がっている
その一方で前を向いて自力で立って歩く強さも持っている、責任感のある人物だ
彼女はいつだって正当な報酬を用意したし、いつだって自分から価格を提示した
とても、仕え甲斐のある人だ - 83天音テンリ(名誉美食研)24/11/19(火) 02:23:13
そんな彼女に言われたからか、あるいは金の使い方に似たものを感じたからか
私はハナコを気にかけていた
彼女にトリニティは息苦しいだろうから、積極的に外に連れ出した
彼女の息が途絶える前に、本当の彼女のことを知ろうとした
でも、出来なかった
だからこれは、私の計算ミス
投資額を間違えるような、些細だけども大きな影響を出す勘違い
この件は全て私が責任を負うべきもので、ハナコには一片たりとも背負わせはしない
ただ単に私が、彼女の親友足りえる存在で無かった
たった、それだけの話
だからせめて、借金の返済くらいは済ませよう - 84二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 11:52:07
結構面白い
- 85二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 22:13:22
面白いな
- 86二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 08:44:38
大丈夫かこれ
- 87二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 18:06:34
保守ノ
- 88二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 02:33:20
夜の保守
- 89二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 10:54:07
良いスレだ
- 90天音テンリ(名誉美食研)24/11/21(木) 13:11:46
「お前が善意で手伝いをしてんのはわかる。だがな、それでお前が倒れちゃ意味ないだろ。」
磐のような目がハナコに向けられる
その視線に、ハナコはただ無言を返すことしかできなかった
「・・・まあ、お前の気持ちがわからんわけじゃない。お前とはちょっと事情は違うけどな。」
テンリはだされた水を一気に飲み干す
「特異な才能を持った奴がいた時、人がとる行動はいつだって同じだ。最初は褒めちぎるが・・・、段々距離を取るだけならマシだ。私欲のために利用し尽くそうとする輩だっていくらでもいる。」
未だに手を付けれていない料理たちが、切なげに湯気を漂わせている
「なあ、ハナコ。私が実は超能力者なんだって言ったら、信じる?」
~~~
テンリが明かした"特異な才能"は信じがたいものだった
だがそこに噓偽りなどはなく、目の前で起きた現象は手品などではなかった
ハナコのその頭脳が確かに真実だと示していた
今もお互いの手が近づきそうで近づかないでいる
「怖いか?私が。」
その質問に、ハナコは静かに首を横に振る
ふと壁が取り払われたように、手と手が触れ合い、指が絡まる
「まさか。だって、私たち友達ですから。」
なんだか随分久しぶりに正直者になれた気がした - 91天音テンリ(名誉美食研)24/11/21(木) 13:40:01
「ここまで正直に話されたもう、どうしようもありません。」
ハナコは困ったように笑顔を浮かべる
誰にも明かしてこなかったはずの秘密をこうも詳細に聞いておいて、自分のことは話さないなんてまるで卑怯者みたいではないか
「ただ、皆の役に立ちたくて、たったそれだけで・・・。」
ハナコの視界が滲み、一滴の雫がスカートを濡らす
「あれ、私、なんで・・・?」
「溜め込み過ぎだ、このバカ浦和。」
いつの間にか隣にいた友に縋りついて
ただでさえ草臥れているその服をさらにぐちゃぐちゃにして
それでもなお、感情の奔流は止まらない
音義不明の叫びがいつまでも零れ続ける
どうしようもないくらい本当の自分が表に出てしまう
それが肯定されるかもしれないなんて、分の悪い賭けはしたくなかったのに
ただ、もうちょっと
あと、もうちょっとだけこうしていたかった
そんなハナコの感情を、テンリは静かに受け止め続けた