- 1二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:03:52
- 2二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:06:09
お前が思い付いたのは概念じゃない、ダジャレだ
- 3二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:06:26
アビドスの場末のカフェのマスタークロコ
- 4二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:07:26
カフェマスタークロコ概念?
- 5二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:19:35
ちなみにクロコの好みはdice1d7=3 (3)
1.砂糖入りブラックコーヒー
2.ミルク味カフェオレ
3.豆乳とかココナッツミルク系のカフェラテ
4.生クリームガン盛りコーヒー
5.アフォガート
6.香り中心の珈琲
7.ほろ苦いアイスラテ
- 6二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:45:15
話は変わるがたんぽぽコーヒー豆乳ラテは美味いぞ
- 7二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:48:05
クロコがマスターやってるカフェとか超行きたい
たまにあのドレス姿でピアノとか弾いてほしい - 8二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 16:49:29
- 9二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 18:13:25
テラー化繋がりでホシノのの好みも
dice1d7=7 (7)
1.砂糖入りブラックコーヒー
2.ミルク味カフェオレ
3.豆乳とかココナッツミルク系のカフェラテ
4.生クリームガン盛りコーヒー
5.アフォガート
6.香り中心の珈琲
7.ほろ苦いアイスラテ
- 10二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 18:21:45
- 11二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 18:30:04
- 12二次元好きの匿名さん24/11/12(火) 23:30:05
ほしゅの
- 13二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 06:38:10
先生の家が喫茶店経営しててそこに住み込みで勤めるクロコはアリですか
- 14二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 13:34:25
- 15二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 13:38:25
そのクロコもしかしてオトモダチが見えるタイプだったりしたない?(中の人繋がり
- 16二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 13:41:36
- 17二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 13:58:04
- 18二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 14:03:13
ホシノ「うへ~、じゃあ紫関ラーメン一つお願いしてもいいかなぁ~?」
セリカ「バカ!喫茶店にラーメンなんかあるわけないじゃない!」
クロコ「・・・あるよ。」
アヤネ「あるんですか!?」
クロコ「ん・・・喫茶店*テラーに、無いものは無い・・・。」
- 19二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 15:04:52
アビドス砂漠だからトルココーヒー(熱した砂でコーヒーを沸騰させるやつ)みたいな事やってるといいな……
- 20二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:06:53
知る人ぞ知る隠れた名店感あっていいな…
どうぞ続けて - 21二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:08:26
美食が来るけど爆破せずに帰っていくやつ
- 22二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:33:20
- 23二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:38:27
- 24二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 16:43:41
- 25二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 18:03:40
アビドスのどこかに、新しい喫茶店が出来た。
そんな噂が、一部生徒の間で実しやかに囁かれている。
それ以上の情報──メニューは、内装は、マスターは、そもそもどこにあるのか──を求めてSNSの海に潜っても、
潜るうちに広大な海原はいつしか干上がり、アビドスの砂漠のようになる……即ち、まるで情報がない。
地元の生徒ならば、と思っても、廃校寸前のアビドスに丁度良く知り合いがいる筈もない。
そんな有様だから、わざわざ自分の足で探してまで噂の真偽を確かめようとする好き者は本当に珍しい。
つい最近まで無かった路線の列車に乗って、知り合いのいない校区へ行って、あるのかも分からない店を探す。
観光客というより旅人、もしくは探検家のような気分にもなるが、頭の回る者はコンパスを持っているかもしれない。
どんな百貨店にも、骨董品屋にも売っていない、そのコンパスの正体は……連邦捜査部の主の証言。
"ああ、うん。一応知ってるよ。ただ、あそこのマスターは……なんて言えばいいんだろう"
"一人が好き、って訳じゃないのだろうけどね。とりあえず、約束事は一つだけ"
"『みだりに口外しないこと』。このご時世では珍しいと思うけど、約束してくれる?"
たった一つの、されど確かな筋からの情報。それを頼りに、砂の海に呑まれかけた街をゆく。
どれくらい歩いたか分からない。何度角を曲がったか分からない。
そうして、やっと辿り着いて……急く気持ちを抑えて、そっとドアを開ければ──
「……ん。いらっしゃい」
コーヒーから立ち昇る湯気のように儚げな主人が、たった一人、静かに守り慈しむ。
そんな小さな別世界が、そこにはあった。
みたいな導入から始まる喫茶店*テラーとマスターなクロコの話があると聞いて
- 26二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 18:44:57
廃墟をセーフハウスにして自転車を直して売るその日暮らしから立派になって……っ!
その店、ピアノとか置いてたら先輩と風紀委員長が揃って来店して、シックな感じになりそうね
先輩はポニテで男装してね - 27二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 22:25:55
店名、「*テラー」以外だと
・「ホワイトウルフ」
・「ブラックウルフ」
・「サンドウルフ」
・「デザートウルフ」
を思いついた - 28二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 22:29:18
- 29124/11/13(水) 22:44:23
少しスレから離れた間にこんないい概念が出来てたとは……儚い雰囲気のクロコが喫茶店の店主やってるのは(1にとって)健康にいいのでどんどん続けてください
- 30二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 22:45:56
「テラ」という大地の女神がいるらしい(wikiより)
大地(砂漠)の辺境に小さな喫茶…芳醇な香りにひとつまみの癒しをブレンドした女神と…アリだな - 31二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 23:05:38
仮面ライダーキバの次狼じゃねえか
- 32二次元好きの匿名さん24/11/13(水) 23:06:51
喫茶てら〜 とかもあるか…?
- 33二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 00:48:04
- 34二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:11:21
ほ
- 35二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:25:56
辿り着けない喫茶店がある。最近D.U.でも耳にするようになった噂。
特に犯罪と関わりが無ければ、時間を余らせた学生達の話のネタとして消化されるだけなんだけど、
生活安全局は他の課と比べると市民と接する時間が多い。
SNSのタイムラインのごとく、新しい情報がポツポツと入ってくる。
キリノは、怪しい組織の仕業かもしれません!
と、やる気に満ち溢れていた。
今日も道端で銃声が聞こえる程度のいつもの日常。
パトロールなんてめんどくさい…、と
多少口で漏れながら、だらだら指定されたルートを歩く。
地図アプリを確認しながら、ルート上のどこが
犯罪発生率が高い地区かを選別していき脳内でショートカットを作り出す。
2時間以上もパトロールが早く終了できると頭の算盤は結果を出すが、
それだと署に戻ったら別な仕事を押し付けられるかもしれない。
そんな時は、お気に入りの店でドーナッツとコーヒーで時間を潰すのに限る。
地下鉄に続く階段を下りて、通路内をあえてぐるぐる回る。
念のためGPSを狂わせておくことも忘れない。
人気の無い通路を歩いていると、味気ない地下通路に似つかわしくない、
古びた木製のドアが、粗末な合成画像のように壁に貼り付けられていた。
「なにこれ…、いたずら?」
君子危うきになんとやら、面倒な事に巻き込まれる前に応援を呼ぶか無視するか…
ふと、キリノがあの噂に言及していた事を思い出す。
本当に…犯罪組織かも…?
自身のポリシーかヴァルキューレとしての信条か……
私は天秤が揺れたままドアに手をかけた。
「ん。いらっしゃいませ…。」 - 36二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:28:09
意を決してドアを開けると、静かな歓迎の挨拶と共にドアの外とは不釣り合いな
シックな雰囲気のカウンターと芳しい香りが漂う室内…
「喫茶店…??」
「そう。」
カウンターの奥にいるマスター(店主)と思われる人物が肯定する。
安心と怪しさと困惑がフードプロセッサーに
かけられる中、マスターの視線に促されひとまずカウンターに座る。
意外と座り心地がいい椅子に身を預けると少しは心が落ち着いてきた。
改めてマスターを見ると、胸が開いた扇情的とも言える黒いドレスと
対比して映える白い長髪が目立つ美人さんだ。
はへー、大人だぁ。とアホらしい感想が飛び出そうになるのを抑える。
…不自然なドア、喫茶店らしき室内、
ほぼ確証に近い答えを聞くため私はマスターに取調を開始する。
「突然だけど、マスターは最近のキヴォトスで有名な噂知ってる?
辿り着けない喫茶店っていうの。」
「噂…?あっ、もしかして…。」
「その反応だと自分の事だって分からなかったんだ…。」
この人、意外と抜けているのかもしれない。
少しのいたずら心が芽生えてきてからかってみる。
「けど、本当にただの喫茶店かなぁあそこの地下鉄の通路にドアなんて無いし、
無許可で設置したなら、私も仕事しなきゃいけないしさ。」
「何が言いたいの?」
「分かってるんじゃないの?
呼ばれたくなかったらね…」
- 37二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:28:43
無線機を弄りながら、
あえて含みを持たせて言ってみると
マスターは、ふっ。と温和に微笑みを浮かべると何処からともなく
ライフルを取り出し私に向ける。
「厄介客の対処は初めてだけど
大丈夫、問題ない。」
「じょ、冗談、冗談!
私が悪かったって…ちょっといたずら心が芽生えて…」
「ふっ…、私を一杯食わせたいなら
まずは、私のコーヒーを一杯飲んでみるべき。ご注文は?」
「コーヒー…、それとドーナッツってある?」
「ん。あるよ。
コーヒーとドーナッツ、かしこまりました。」
注文を受け取ったマスターは、コーヒーポットに火を灯し
バックバーに並んだ瓶の内一つを取り出す。
ざらざらと瓶から排出される音が聞こえると次は、ゴリゴリ、カリカリと挽かれる音が響き
合いの手のようにコンロの五徳が
ポットの振動でカタカタと多重奏を奏でる。
静かだと思っていた店内は心地いいくらい騒がしく、
お気に入りのラジオ番組がEDに向かうように、
トポトポとゆっくりと注ぐ音が終わりを教えているのを少し寂しく思ってしまう。
「どうぞ。ブレンドとドーナッツ。」
いつも飲んでいるものよりも、真っ黒なコーヒーと
どっしりとひび割れた表面と白濁した模様がうっすらと滲む艶々した
二種のドーナッツが目の前に置かれる。
- 38二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:29:05
なんと言えばいいか、完璧としか
表せない目の前のそれに釘付けになる。
まずはオールドファッションから…
サクッと小気味良い歯触りから
感じられないくらいしっとり重めの甘い生地。
オールドファッションといえばこれだよねぇ。
一口食べ終えれば、甘さを中和するお待ちかねのコーヒー。
軽く息を吹きかけ、表面を冷まし口付ける。
口いっぱいに纏わりつく強い苦味
けれど、満たす香りはフレーバー入りのチョコのようで嫌には感じない。
舌を通りすぎ飲み込む頃にはすこし渋めの酸味が
苦味を優しい後味に変えてくれた。
次はもう一つのドーナッツ
シュガーグレイズドを一口。
摘まんだ瞬間からわかった柔らかい生地からは油とくどいくらいの甘さが、
じゅわっと染みだし口も心も幸福で溢れさす。
もう一度コーヒーを一口飲んで甘さを体の奥へ流し入れる。
「はぁ……、美味ぁ~。
やっぱりドーナッツにはコーヒーだよねぇ。」
マスターの優しい視線など気にもせず、私はコーヒーとドーナッツを味わい尽くす。
カップの中身が半量を迎えるときマスターが呟いた。
- 39二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:32:15
「良かった。」
「良かった…?」
「ん。たまたま、淹れたコーヒーを褒められて、やってみたお店だからすこし不安だった。」
「それに……ううん。何でもない。」
いい淀んでいる間の中には、いったいどんな感情が潜んでいるのか
不可思議で訳ありなお店だから店主も何かしら抱えてそうだとは思ったけど、
そこまで踏み込むのは、めんどうくさい…
「私は良かったと思うよ。
マスターが何をしてきたかは知らないけど、そのしてきた時間の結晶がこんなに美味しいんだもん。
コーヒーもさ、そういうものでしょ?」
「……ん。そうだね。」
思いがけない至福の時間を過ごし名残惜しみながら、
ドアを開けばうって変わって殺風景な地下通路。
後ろを振り返れば、ドアなど無く
右と左と同じ色の壁が続いているだけ。
またサボりたい時に現れないかと
都合の良い事を考えながら
口に残ったコーヒーの残り香が消えないうちに
パトロールを再開した。
とても良い概念だったからssを書いてしまったなぁ!
素晴らし概念、アイディアありがとうねぇ!
数レスも消費してしまったのは申し訳ない。
- 40二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 08:34:24
乙です! 申し訳ないだなんてとんでもない、良いものを読ませてもらいました
フブキはこういうのが似合いそうだなあ
時間潰しに喫茶店に入り浸るところとか様になると思う - 41二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 14:07:36
仮にカフェをやるなら店名はdice1d30=14 (14) がいいな~とぼんやり思ってる。
1.シロコ喫茶 2.アビドスナ店 3.おーかみかふぇ 4.アビドスコーヒー 5.シロコん家
6.砂喫茶 7.プレナカフェ 8.喫茶アヌビス 9.cycle&circle 10.やすら木カフェ
11.シロコカフェ 12.はじめ 13.オアシス 14.シロコット 15.砂漠きっさ
16.カフェ テラ 17.シロコの遊び場 18.しばきや 19.アビドス魂 20.柴カフェ
21.はいこうカフェ 22.coffee shop 𝓼𝓱𝓲𝓻𝓸𝓴𝓸 23.ニクキュウ🐾カフェ 24.シロコの焙煎 25.ソウルコーヒー
26.やさしみ 27.珈琲処しろこ 28.アビドス豆直売所 29.コーヒーメイカー 30.おおかみのおやつ
- 42二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 14:14:30
あらおしゃれ
- 43二次元好きの匿名さん24/11/14(木) 16:22:24
- 44二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 01:12:24
良い概念じゃ…
- 45二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 08:27:45
期待の保守
- 46二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 09:52:41
- 47二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 09:54:23
このシロコはトゥルー何なんだ……?
- 48二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 20:01:27
実際に気分で日替わりメニューやってそう
- 49二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 20:38:02
1. クッキー系
2. ドーナツ系
3. クレープ系
4. カップケーキ系
5. パンケーキ系
6. スフレケーキ系
7. メレンゲ菓子系
8. パイ系
9. タルト系
クロコはどんな製菓分野が得意なんだろうね - 50二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 20:42:14
これを忘れてた
10. フロランタン系
11. クグロフ系
12. チョコレート系
13. カスタード菓子系
14. ブラウニー系
15. ゼラチン菓子系 - 51二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 20:42:59
トゥルーマスター(カフェのマスター
- 52二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 23:17:43
ラテ系は良さそうだが、食べ物系はコメダスタイルか気になるな…
- 53二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 23:45:06
こりゃ良い概念だぜ
SS書けたら載せよっかな? - 54二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:27:37
- 55二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 00:47:57
- 56二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 08:16:20
- 57二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 09:37:07
- 58二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 09:54:32
- 59二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:15:13
- 60二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:21:49
手作りのものには、その人の人生の一瞬が無意識に投影される──
これは個人的な思想みたいなものだ。私個人が持っている感性であり、別に理解される必要はない。単なる個人的な、哲学的思考によって生まれた産物の一つに過ぎない。
だからこそ、今こうしてある喫茶店の前に立っている私──つまり、柚鳥ナツにとって。
隠れた名店の中のメニューに書かれた一品というのは、いかに色濃く、鮮やかにそれを作った人の生涯の一瞬を映すのか。
気になって仕方ないのは、やはり自分がロマンチストが故なのだろう。
「噂には聞いてはいたのだが…ほほう、木製の扉とは。入りから期待が高まるね」
静かにその扉を空ければ、質素かつやや暗めのカウンターに、そのマスターはいた。
「ん。いらっしゃいませ」
白く揺れる長髪に、頭部から見える狼のものと思わしき耳。服装はよく整えられており、Yシャツの上に紺のベストと蝶ネクタイ。可憐ながらも麗しい淑女、というのが私が彼女に対して抱いたファーストコンタクトだった。
「コーヒーを一杯。それから…ブルーベリーパイを一つ」
「畏まりました。お好みのブレンドは?」
「そうだね…マスターさんのブレンドがあれば」
「…ん。ではこちらを」
すると彼女は棚に並べられた豆の入った瓶から一つ取ってくれた。いくつかある彼女のオリジナルブレンドの内の一つだったようだ。 - 61二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:22:55
コーヒーミルに注がれた黒い豆たちが、その身を文字通り粉にして働き始める。そうして集められた砂粒が、やがて注がれた恵みの水によって一つのカップの中で混ざりあい、溶け合っていく。
そして小皿に乗せられたカップから湯気が立てば、それは自分がその極致を享受するに値する段階になった証明。
隣の皿には、青紫色の果実を元に作られた、口触りが実に楽しい嗜好の一品。
整えられた二つの注文の品を、私は待ってましたとばかりに受け取った。
「どうぞ…こちら、私のオリジナルブレンド。店を開けた時に、最初に作ったものだよ」
「ありがとう。それでは…いざ参らん」
まずはコーヒーから。立つ香りを確かめると、ほとほと感嘆の息を漏らしてしまう。
様々なベリーやオレンジ等の果実系と思わしき甘い香りが、互いに邪魔にならない丁度良い塩梅で微かに感じられた。
4…いや、5つほどだろうか。ここまで多種に入っているのは、彼女なりのこだわりなのかもしれない。
入れたかったのか──入れるべきだったのか。その真意は、一口含めばすぐに判明するだろう。
ゆっくりとカップを唇に当て、口に通したコーヒーの熱さを冷ましながら、少しずつ味わう。
前半は、先ほど述べた果実から来ると思われる、芳醇で色彩豊かな景色。
後半は──その風景をじんわりと包み込んでいく、深くキレのある苦み。
そしてその苦みが──想像以上に舌の上で、後味として効いている。それが最後には引いて徐々に小さくなっていき、僅かな未練を残して終わりを迎えた。
- 62二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:24:03
ほっと一息。そして、カップを小皿へと戻す。最初に抱いた感情は、もしかしたら同情からだったのかもしれない。
「・・・そうか」
「・・・お気に、召さなかった?」
「いや、好みだったし、美味しかったよ。非常に味わい深い。けれど──」
そこで私は、その味を『完全』に理解することができないということに、若干ながら口惜しさを感じた。
「今の私には、まだ早い味だったのかもしれない。この味を真に理解できるのは、本当に大事なものを失った悲哀を知る者のみだろう」
「……?」
「マスター、きっと君は…私の知らない『苦み』を経験してきたのだろう。私からすれば、あなたは尊敬すべき対象なんだろうね」
「ん、それは誉め言葉として受け取っても良いの?」
「勿論。これだから、隠れたロマンを巡るのはやめられない」
「(ロマン…?)」
マスターが首を傾げる中、私は皿の上のブルーベリーパイを頬張り、その苦みを解していった。
サクサクとした触感の中に感じる酸味と甘味が、今の青春を正しく謳歌できている私自身を表しているようで、自分がまだ未熟な子供であることをを少し自覚した。
彼女はきっと、私よりも「大人」に近い何かを知っている。そんな気が、なんとなくした。
彼女は──このマスターは、果たして私が享受できた青春を、幸福の日々を受け止められたのだろうか。あるいは──受け止めている最中なのだろうか。
そんな真偽の分からない問いも、瞬く間に御馳走と一緒に腹の中へと消えていくのだった。
- 63二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:25:10
「…ごちそうさま」
「ありがとうございました」
「…あとこれは、お代とは別のだけど」
「ん?」
食べ終わった私は、支払いをしている最中にふと、自分のバックに手を伸ばした。
これほどまでに奥のある、知らない世界を魅せてもらえたのだ。もし彼女に何かお金以上の価値を挙げられるとしたらと、私はバッグからあるレシピを取り出す。
普段から色んなスイーツを試す私としては、手作りスイーツのレシピを持っている時もあったりする。
取り出したレシピのタイトルは──「アフォガード」。
「気が向いたら試してみてほしい。君の味わい深いコーヒーを受け取った、一人の未だ青く甘いロマンチストからの、贈り物と思ってくれたら嬉しい」
「…ん。気が向いたら、作ってみる」
「それじゃ、どうも」
「またのご利用、お待ちしております」
常連のように慣れ親しんではいなくとも、その別れの挨拶は互いに淡泊なものではなかった。少なくとも、私にとってはそういう瞬間だったと願いたい。
今でも思い出せるその苦みを頭の中でしまい込みながら、私は私自身の甘酸っぱい日常へと帰っていくのだった。
「彼女が作り出した『苦み』は──果たして、ロマンと呼ばせて貰ってもよいものか。
さて──困っちゃったね」
終わり
- 64二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 10:26:51
- 65124/11/16(土) 11:28:20
素敵なssありがとうございます!雰囲気がとても良かったです……
ダジャレからこんなおしゃれな概念が生まれるとは…… - 66二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 11:29:28
すげぇ……上手いし雰囲気よく出てる
- 67二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 17:37:51
クロコって花屋とかカフェとかの店員さんみたいな格好似合いそう
緑のエプロンとスキニージーンズにTシャツでさァ… - 68二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 19:09:07
クロコ補給助かります😁
- 69二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 21:37:06
ほ
- 70二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 05:42:02
いい感じの曲が流れてるやつ
- 71二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 05:47:15
深煎りされたコーヒー豆をミルに入れて、蓋を閉め、ハンドルを握る。
あっちで、まだみんながいた頃には、時々ノノミが持ってくる生豆を手焙烙で煎ることもあったっけ。
ゆっくりとコーヒーミルのハンドルを回し、豆を砕いていく。
ハンドル越しに掌に伝わる感覚、耳に触れる音、隙間から零れる香り。自分で挽く楽しみの一つ。
豆を砕き終えたら、マキネッタのボイラーに水を入れ、続けてバスケットをセットする。
初めて使った時には、よくこんな構造を思いついたものだと感心したのを憶えている。
コーヒーミルからバスケットへと粉状になった豆を充填したら、サーバーをセットする。
ここまでも、この先も、もう慣れたものだ。一連の作業に慣れない頃を知っている人たちは、もういない。
最上部の蓋を含めて各部がしっかり嵌っているのを確認しながら、五徳の上にマキネッタを置く。
あとは、待つだけ。手から零れ落ちたこれまでと、自らの足で進むこれからに思いを馳せながら。
丁度いいタイミングを耳で計って、加熱され過ぎないように火から下ろす。
何も知らなかった自分は、これを通して『待つこと』と『機を窺うこと』を覚えたような気もする。
サーバーからカップへ、香り立つエスプレッソを静かに注ぎ入れる。
コーヒーは大人の味、なんて言葉は嘘ではないだろうけれど、私には──あの"大人の背中"は、まだ遠い。
カップの中で黒く揺らめくエスプレッソへ、ゆっくりと白いミルクを注ぐ。
コーヒーが大人なら、ミルクは子供だろうか。もしもそうなら、カフェラテは──。
「……お待たせしました、カフェラテだよ。砂糖と追加のミルクは、そこにあるのを使って」
ソーサ―に乗せて、お待ちかねの相手に出す。感嘆の声を後ろに聞きながら、カウンターの向こうに戻る。
自分用にと一緒に淹れていたエスプレッソに、いつもよりミルクを少なめに入れて、一口飲んでみる。
「……ん……まだ、私にはちょっと苦いかな──ふふ」 - 72二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 05:50:29
了
エスプレッソの淹れ方ってこれでいいのかしら(マキネッタエアプ)
よくなくても書きたいものは書けたからヨシの精神で失礼 - 73二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 16:17:54
うまそう
- 74二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 22:35:00
クロコinラテアートとか面白そう
- 75二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 09:47:00
「inラテアート」…?
- 76二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 18:16:39
ほ
- 77二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 04:01:37
アビドスの校章とかシャーレのマークとかなら出来るかもだけど流石にクロコのラテアートは…
と思って画像検索かけてみたら最近のラテアートって凄いのね