- 1◆VLlUGaOg9c24/11/15(金) 18:41:41
- 2二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:07:05
たておつ
- 3◆VLlUGaOg9c24/11/15(金) 19:07:48
ヴァルキューレの生徒?「みなさん、お察しの通り、シャーレの先生は我々が確保しています」
ナレーション
観念したヴァルキューレの生徒?の告白を聞いて、先生を拐かしたことへの生徒たちの怒りが爆発する。
勿論、ここに集まったのはカナも含めて立場ある生徒たちだ。感情を抑えつけて、冷静な対処を試みている。
しかし、それでも、抑えきれない怒りは形のない弾丸となって放たれ、ヴァルキューレの生徒?は再び青冷める。
カナは心配そうにヴァルキューレの生徒?に寄り添いながら、ゆっくりと背を摩りながら励ましていた。
ヴァルキューレの生徒?「ヒッ!も、もちろん、拘束はしていますが怪我はさせていません!」
ヒナ「なら、早く案内して」
ツルギ「………いや、待て。気持ちは分かるが事情聴取も必要だ。
捜査隊を2つに分け、片方は残ってコイツの拘束・尋問をする。というのは、どうだ?」
ヴァルキューレの生徒?「で、でしたら、簡易の地図を描きましょう!」
ナレーション
そういって、ヴァルキューレの生徒が自身の端末を取り出した……その時だった。
どうした?やっぱり、具合悪……っ!?
ナレーション
ヴァルキューレの生徒?の様子が可笑しい。異変に最初に気がついたのは、その身をずっと案じていたカナだった。
動きが止まったのである。それも、まるで機械がフリーズしたかのように、全く姿勢を崩すこと無く静止している。
青冷めていた筈の顔色も、頭そのものを入れ替えたかのように一瞬にして真顔になり、文字通り人形のようだった。 - 4◆VLlUGaOg9c24/11/15(金) 19:08:08
- 5二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:12:52
今更と言えば今更なんですけどトリップ戻したんですね
- 6二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:13:58
つまり……ロボ生徒……?(?
- 7二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:18:15
なんじゃこら
- 8二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:23:33
うわーお
- 9◆VLlUGaOg9c24/11/15(金) 19:30:51
代理モブ「「絶命した」と表現した所為で、現状の予定は未定だけど、将来的に生存ルートがやり辛くなったと、
1は新スレ早々いきなり後悔しています。1は相変わらずポンコツですね」
ナレーション
ヴァルキューレの生徒?に対して、喧嘩腰であった生徒たちもこれには唖然とした。余りに突然のことだった。
コロコロと転がったヴァルキューレの生徒?の残骸………内部や機械が丸見えになった首がカナの足にぶつかり、
2人の視線が合う。そうして、ようやく、一同は何が起こったのかを理解した。
ベアトリーチェは二枚舌のバカダムで、どうしようもないクズだった。今でも許してないし、許しちゃいけない。
……けど、私たちを傷つけて追い詰めることはしても、虚しさや怒りを植え付けることはしても、
「これ」だけはしなかっ……・いや、しようとしてたが、でも、実際、アイツに直接殺された仲間はいない。
ナレーション
カナはゆっくりと、可能な限り優しい手つきで首を拾い上げて抱きしめる。その目には、大粒の涙が浮かんでいた。
でも、そうか。この絵を描いたヤツは「やる」のか。
自分に従う相手を、助けになる相手を……自分の手で殺すのか。
ナレーション
誰も声をかけられなかった。怒りが、悲しみが、強い意思の力が不可視の嵐となって渦巻いていた。
イチカは戦慄した。嵐の中心であるカナの瞳が見たこともほどに鋭く、冷酷な色をしていたからだ。
カナの精神テンションは任務を遂行する兵士のそれに戻っていた。
……なら、そいつは私の敵だ。許さない、許しちゃいけない敵だ。
ナレーション
カナは焼けただれた残骸の中から、生徒たちの誰もが見慣れたタコのシンボルの姿を見つける。
殺意の宿る冷たい目が、遙か遠くの「敵」を見据えていた。
- 10二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:42:31
やりやがった
- 11二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 19:43:04
- 12◆VLlUGaOg9c24/11/15(金) 20:19:20
代理モブ「あのカナちゃんが殺意?と思われる方も居るかもしれません。
ですが、カイ……いえ、敵は1番の地雷を踏み抜きました。最も触れてはならない逆鱗に手を出しました」
代理モブB「確かに、神子柴カナは善の人です。キヴォトスでは珍しいほどの寛容さと倫理観を持っています。
………けれど、カナはアリウス最悪の暗黒時代の内戦と、アリウス最低の暗黒時代の圧政。
その2つの時代の中を生き抜いてきました。最低限、適応して見せました」
代理モブC「だから、カナの中にも兵士としての冷酷さは眠っています。もう2度と起こしてならない冷たさが。
よく言うでしょう?「普段優しい人ほど本気で怒ったら怖い」と。つまりは、そういうことです」
代理モブ「1も最初はヴァルキューレの生徒?を生かすつもりだったそうですが、
カイザーが裏切りを許す訳がありません。だから、結局、こうなるのは必然だったんです」 - 13二次元好きの匿名さん24/11/15(金) 22:58:53
目覚めさせてはいけないものを目覚めさせたか、カイザー
- 14二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 08:07:24
残念
- 15二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 12:09:54
ロボキューレちゃん…
- 16二次元好きの匿名さん24/11/16(土) 20:43:56
保守
- 17◆VLlUGaOg9c24/11/16(土) 21:50:04
代理モブ「1も悩んだけど、1の脳内のカイザープレジデントが「やれ」って言うから……」
ナレーション
ほどなくして、ヴァルキューレ警察学校内で先生が発見・保護された。
念の為に検査入院を……と、救護騎士団のミネからの提案もあったが、先生は緊急事態だからと入院を固辞。
最終的には軽い健康診断のみを行って、その足で先生も交えて会議を再開することととなった。
リン「カイザーのやり方に対して疑問を抱いたヴァルキューレ生の離反者……尾刃カンナ公安局長の齎した情報、
捜査に参加した治安自治組織の皆様の証言、そして、恐ろしさすら感じさせるほどのカナの告発。
それらの影響もあって、カイザーコーポレーションに対しても今まで以上に厳しい捜査の目が入るでしょう」
カナ「分かった。ありがとう、リン」
ナレーション
静かに目を閉じるカナの姿を、その場の全員が注視していた。
…1度は復讐鬼に墜ちたと思わせるほどの豹変振りを見せたカナだったが、あのアリウスで育ったが故か、
少なくとも表面上は意識を切り替えて、何時もの表情を取り戻しているように見えた。
しかし、カナの涙を知る治安維持組織の生徒たちからすれば普段通りの姿は痛々しいようにも見え、
そんな彼女たちに釣られて、上司となる生徒会長や生徒会の面々もカナへ関心を向けざるを得なくなっていた。
“カナ…“
ナレーション
中でも、1番にカナを気にかけていたのは先生だった。
何しろ、先生はアリウスの地下聖堂で磔にされたカナの姿を見ている。
殺されかけたにも関わらず、ベアトリーチェの心に想いを馳せて、それを掬い上げた優しさを知っている。
そんな「生徒」が、目の前で助けようとした誰かを殺されたと聞かされたら、先生は冷静ではいられなかった。
- 18二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 08:37:07
不安よな
- 19二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 12:28:00
独断先行だけはしないといいんだけど
- 20二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 20:36:25
切り替えれてるのが逆に心配になるわ
- 21◆VLlUGaOg9c24/11/17(日) 21:54:15
先生、そんなに心配しなくても大丈夫だ。
先生たちのお陰でトリニティに来てからは平和……でもなかったけど、「こういうの」は初めてじゃない。慣れてる。
ナレーション
違う、大丈夫な筈がない。幾ら痛みに慣れていても、傷痕が癒える訳では無いのだ。
けれど、カナは………アリウスはそれを知らない。時間に任せて、傷も痛みも抱え続ける生き方しか知らない。
“カナ、それは……っ!“
ナレーション
何とかしなければ!という想いが湧き上がるものの、何を如何したら良いのか分からないまま、
先生の中では何も出来ないことへの無力感と焦燥感だけが渦巻いていた。だって、生きてきた世界が違い過ぎた。
平和を知らない子どもと戦争を知らない子どもの価値観は違う。何処かの漫画の海賊が言っていた言葉の意味を、
先生は現実に思い知らされることになった。
“…それでも、心配ぐらいはさせて欲しいな”
ナレーション
結局、先生は上手く笑えているかも分からないまま、当たり障りの無い言葉を口にすることしか出来ない。
そっか。なら、ありがとう。やっぱり、先生は優しいな!
ナレーション
何時もと変わらない華が咲いたような笑顔は、不思議と、枯れたまま無理に咲こうとしているように見えた。
- 22二次元好きの匿名さん24/11/17(日) 22:58:15
そればっかしは必ず生まれるか…
- 23二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 07:56:11
保守
- 24二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 12:42:41
不安だ
- 25二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 21:01:31
保守
- 26◆VLlUGaOg9c24/11/18(月) 22:06:59
リン「それでは、色々とトラブルはありましたが会議を再開させて頂きます」
ナレーション
どれだけ不穏の影が付き纏おうとも、そんなことはお構いなしに会議は進んでいく。
えっと、たしか、不可視の高濃度エネルギー……だったっけ?
ナレーション
カナが言う「慣れている」というのも事実で、カナは何でも無い様子で普通に会議に参加していた。
今更、出会ったばかりの相手が目の前で1人亡くなった位で一々動揺するほど、アリウスの生徒は繊細ではない。
カナはただ、トリニティに転校してからは平和だったから、久し振りのことで少し動揺しただけだ。
“…そうだね“
ナレーション
少し、先生の反応が遅れた。
本当は分かっているのだ。カナたちが抱えているモノは一朝一夕でどうにかなるような軽いものでは無い。
今自分がしてあげられるようなことも大して無い。分かっているのだけれど、それでも気が気でないのは、
もう先生としての性のようなものかもしれない。
“もしかしたら、計器の故障と思う子も居るかも居るかも知れないし、実際そうかもしれない。
けど、キヴォトスには私たちの常識を越えたモノが確かに存在するんだ。
カナやミカ、ミレニアムのみんなは心当たりがあるんじゃないかな?“
ナレーション
会議を疎かにすることは出来ない。目の前の問題を放っておいて、取り返しがつかなくなれば目も当てられない。
大人として、先生として、カナだけではない、全ての生徒を守る責任を先生は自身に課している。
幾らカナが心配でも、他の子をを放っておいて良い免罪符にはならない。と、先生は自分を叱責した。
シャーレの……みんなの先生として気を引き締め直し、先生は改めて会議に臨むのであった。
- 27二次元好きの匿名さん24/11/18(月) 23:47:08
会議再開か
- 28◆VLlUGaOg9c24/11/19(火) 07:01:29
あー、ベアトリーチェと仲間の何か、こう…黒いやつ。
ミカ「それにマエストロとかいう木の人形?みたいなのと、
赤いフードの幽霊…でいいのかな?そういうのも、見たね」
ユウカ「私たちの場合はアリスやケイのことかしら?会長が色々言っていたし、
実際、ケイにはミレニアムのシステムを掌握するだけの力があったわ」
ノア「無名の司祭が作り上げた名も無き神々の王女、ですね。
その言葉の詳しい意味は分かりませんが…世界を滅ぼすという会長の言葉も大袈裟では無いのかも知れない。
そう思わせるだけの謎と力があるのは事実です」
ナレーション
ここに集まったのは、何れもキヴォトス有数の大規模校の幹部たち。
中でも、三大校に数えられるトリニティとミレニアムの生徒会が心当たりを口にするのであれば、
他の生徒たちも無視は出来ない。立場ある者の言葉とはそれだけの力を有する。
- 29二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 09:34:37
そういや三大校でゲヘナだけ関りないんだった
- 30二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 12:48:10
纏めて言うと結構いたな
- 31二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 20:13:00
保守
- 32◆VLlUGaOg9c24/11/19(火) 22:02:18
チェリノ「むむ!しかし、見えないし、触れないとなると、流石のオイラでもどうしたらいいか分からないぞ」
マコト「はっ!そんなもの、決まっている。こういうのはミレニアムの物好きにでもやらせておけば良いのだ」
ナレーション
「キキキッ!」という、小馬鹿にしたような笑いを前にして、ユウカたちミレニアムの代表生徒は眉をひそめた。
確かに、多角的な視点での観察・考察・実証実験はミレニアムの十八番。必要な機材・知識・人材の全てを有する。
しかし、それはそれとして、人をバカにしたようなマコトの態度が気に入らないのは事実だった。
ユウカ「…そうですね。
礼儀も知らないゲヘナの方に現場を壊されないよう、私たちミレニアムが調査を請け負いましょう」
ナレーション
だからだろうか?何時もはセミナーの良きオカン……もとい、頼れる生徒会役員として振る舞うユウカは珍しく、
マコトに対する当てつけのように、わざとらしくシャーレの先生の方を見て言った。
まるで、「野蛮なお前たちには出来ないだろう」とでも、言うような態度だった。のだが……
……ようするに、マコトはユウカのことを褒めてるのか?
ナレーション
そんな険悪な空気の中、またカナが妙なことを言い出し、横で聞いていたナギサは紅茶を噴き出した。
ナギサ「あ、あの、カナさん?また急に何を…?」
え?だって、「ミレニアムの物好きにでやらせておけばいい」ってことは、ミレニアムなら出来るってことだ。
ユウカたちの力を信じてないと、こんなこと言えないと思うぞ?
- 33二次元好きの匿名さん24/11/19(火) 22:23:36
やはりこういう時に必要なノリ良いなカナ
- 34◆VLlUGaOg9c24/11/20(水) 06:56:51
>>32 小ネタ
Q.ナギサ様どうしたの?
ナギサ(無闇に藪をつつくこともありません。
トリニティは充分以上発言しましたし、無闇に目立つよりはここは静観といきましょう……)
……ようするに、マコトはユウカのことを褒めてるのか?
ナギサ(何やってるんですか、カナさんわぁーーーっ!?)
セイア(残念だが、カナと方針を共有していなかった私たちの落ち度だよ。ナギサ)
ミカ(お腹空いたじゃんね)
- 35二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 10:58:35
素直さが出ていく
- 36二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 15:42:43
帰り道でご飯屋さんに寄ろう
- 37二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 20:45:33
保守
- 38二次元好きの匿名さん24/11/20(水) 22:58:44
ほ
- 39◆VLlUGaOg9c24/11/20(水) 23:04:57
ユウカ「…へぇ、確かにその通りね。カナの言う通り、万魔殿の議長様も中々可愛いところがあるじゃない」
ナレーション
カナの横槍に気を良くしたのはユウカだった。
当然だ。いけ好かない他校の生徒会長が単なるツンデレで本当は自分たちを認めていたなんて面白い話、
的外れな考察であれ、的を射た真実であれ、相手を揶揄うのに良い材料には違いなかった。
単なる偶然だが、ミレニアムはほんの数日前に美食研究会を名乗るゲヘナのテロリストの被害に遭ったばかり。
その怨みをぶつけるかのように、ここぞとばかりにユウカは揶揄いの笑みを浮かべた。
マコト「ええい、好き勝手言うんじゃないっ!このマコト様の心を推し量ろうなど100年早いわ!」
そうなのか?じゃあ、どんな意味か教えて欲しい。
マコト「ぐっ、それは………」
ナレーション
こうなると都合が悪いのはマコトだ。何しろ、そこまで深く考えずに喋っていた。
ただ面倒だから押しつけるために適当言っていたら、妙な解釈をされて自分のイメージを崩されてしまった。
反論したいところだったが、何も思いつかない。当たり前だ、マコトは理屈なんて考えずに喋っていたのだから。
マコトが周囲の視線が突き刺さるのを感じながら必死に誤魔化しの言葉を考えいると、今更ながら気がついた。
マコト「…そ、それより、お前、アリウスの生徒じゃなかったか?」
覚えててくれたのか!?そうだ、私は神子柴カナ、元アリウス生だ。今はアリウス分派のホストをしてる!
ナレーション
本当に今更だ。ベアトリーチェ圧政時代、他校との窓口役は基本的にサオリだったから仕方の無い部分はあるが、
それにしてもアリウスとトリニティの合併は今のキヴォトスでもっともホットな話題でなのだから、
一校を預かる生徒会長ともなればカナの名前や顔ぐらいは把握していないとダメな案件である。
………最も、今の今まで気付かれていなかった本人は無邪気に「覚えててくれた」と喜んでいたのだが。
- 40◆VLlUGaOg9c24/11/21(木) 06:38:08
代理モブ「ちょっと、変わり種の小ネタやります。見れば分かると思いますが、この世界の話ではありません」
小ネタ 『或る魔女の夢』
ナレーション
何時ものベランダ。ティーパーティー御用達のお茶会会場では、4人の少女たちが顔を合せて紅茶を啜っていた。
うん。やっぱり、ナギサのロールケーキは美味しいな!なんか、こう、ふわふわする!
ナギサ「ふふっ、それだけ喜んで頂けると作り甲斐がありますね」
ミカ「美味しいのはそうだけど、こんなに何時もロールケーキばっかりだと流石に飽きない?」
…・…?お腹いっぱい、食べられるだけ贅沢じゃないか?
ミカ「私が悪かったじゃんね」
セイア「……ほら、これも食べると良い。遠慮することは無い、私は小食だからね」
ナギサ「気持ちは分かりますが、流石に控えてください。
この流れ、もう8回目ですよ?カナさんがハスミさんみたいになったらどうするんですか」
ミカ「それはハスミちゃんに失礼じゃんね!!」
ナレーション
下らない話をして、クスクスと笑い合う。ささやかだけれど、平和で、穏やかな優しい時間。だったのに………
ミカ「んっ……ふわぁ~……。あれ、お茶会はぁ………?」
ミカ「………なぁんだ、ただの夢かぁ」 - 41二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 09:52:24
別時空のミカ…?
- 42二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 14:54:26
本編の方かね…
- 43二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 20:29:09
保守
- 44二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 20:43:00
カナちゃんはマコトにとっての天敵?
- 45◆VLlUGaOg9c24/11/21(木) 22:25:37
代理モブ「ある意味では天敵かもしれませんが、経歴や所属を抜きにすれば、むしろ相性が良い方です。
何故かというと、カナの内面はイブキちゃんに近いんです」
代理モブB「純真無垢が故の幼さ、素直で人懐っこく、方向性は違えど頭の回転が速く物分かりも良い。
勿論、カナとイブキちゃんは同一人物ではありません。育ってきた環境も年齢も違う、別人です」
代理モブC「カナちゃんの頭の良さは本能的なモノなので計算勝負ではイブキちゃんに勝てませんし、
イブキにカナちゃんみたいな兵士としての冷静さや判断力はありません。
育った環境が違うので価値観も違います。ですが、根っこのところにある本質はかなり近いと思います」
代理モブ「まぁ、私たちにこれを喋らせている、生みの親の1でもカナの全てを把握はしていないんですがね……」
- 46二次元好きの匿名さん24/11/21(木) 23:11:46
流石にか…
- 47◆VLlUGaOg9c24/11/22(金) 06:56:28
ナレーション
非協力的………というか、面倒くさがって他校に押しつけようとしたマコトをカナが無自覚に論破したことで、
邪魔をする者が居なくなった会議は比較的円滑に進んだものの、画期的な解決策が出ることは無かった。
何しろ、現段階では問題の高エネルギーは触れられず、見ることも出来ず、熱かったり冷たかったりもしない。
そんな何が何だが分からないものを前にしては、流石に有力校の生徒会と言えども出来ることは少ない。
結局、最終的には「最大限警戒しながら調査を進める」という無難な結論に着地したのだった。
ナギサ「3人とも分かっていると思いますが、これから忙しくなります。急いで帰り支度をしますよ」
ミカ・セイア・カナ「「「分かった(よ)」」」
ナレーション
今にも溜息が出そうなほど疲れ切ったナギサの言葉に、他のティーパーティーの3人が応える。
ゲヘナもそうだがトリニティはエデン条約の調印式を急ピッチで書面だけして終らせて急行してきたこともあって、
EDOの設立や、それに伴うゲヘナとの合同会議等、ただでさえ残している仕事が山ほどある状況だった。
その上、今回の緊急招集でトリニティの代表となる調査隊の編制までしなくてはいけなくなり、
山積みの仕事の上に追加で仕事が積まれたような状況である。ナギサが疲れた顔をするのも無理は無かった。
それじゃあ、すまないけど、よろしく頼む。
サオリ「ああ、任された。だから、頼むから大人しく座っていてくれ」
ナレーション
とはいえ、トリニティのトップとして公の細々とした雑務に従事する姿を見せる訳にはいかない。
堂々とふんぞり返っていることもリーダーの仕事。なので、カナたちの仕事は部下に命令を出すだけだった。
- 48二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 12:56:40
それはそれで心苦しい
- 49◆VLlUGaOg9c24/11/22(金) 18:01:37
- 50二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 21:28:05
そんなこともある
- 51二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 23:03:05
しゃーなしだから問題無い
- 52◆VLlUGaOg9c24/11/23(土) 00:08:23
私、今の内にトイレ行ってくる。
ナレーション
帰り道で催さないよう、カナは今の内にトイレに行っておくことにした。
必要なこととはいえ、周りが忙しく動いているのに座ったままなのが居心地悪かった。というのもある。
アツコ「じゃあ、私が護衛するね」
カナ「あ、そうだな。頼む」
アツコ「任せて」
ナレーション
が、立場的に考えて、自治区内やプライベートの場なら兎も角、
他校の生徒たちが集まっている連邦生徒会の建物内で、カナを1人で出歩かせる訳にはいかい。
アツコの護衛という言葉でそのことを思い出して、「邪魔してしまったか?」と少し後悔したものの、
今更言葉を覆す方が周りを混乱させるのも分かっていたので、カナは予定通りトイレへと向かうことにした。
アツコ・カナ「「……あれ?」」
ナレーション
…筈だったのだが、アツコと2人で会議室の扉を出た先にあったのは、廊下ではない何処か別の場所。
照明はシャンデリア、窓硝子は新校舎…アリウス分校の聖堂の物と良く似たステンドグラスになっており、
規則正しく書棚が並んで中央の道を空けて、道の先にはクラシックなデザインの机と椅子が置かれている。
用意された椅子は3つ。内二つは仲良く並んだ空席、向かい合うように置かれた椅子には見知った顔が一つ。
ベアトリーチェ「どうも、お久しぶりですね。2人とも」
ごめん。話の前にトイレ行ってきていいか?
ベアトリーチェ「………真っ直ぐ進んで、突き当たりを右です」
- 53二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 00:26:26
うーん、シリアスブレイクw
いやまあ絶対に話が長くなるだろうし、乙女の尊厳を破壊される訳にはいかないから仕方ないんだが
というか律儀に教えてくれるのなw - 54二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 08:06:26
あるんだ、トイレ
- 55二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 08:07:09
会議室に二人しかいない状況から出たらこうなってたのかコレ…?
- 56◆VLlUGaOg9c24/11/23(土) 08:41:15
- 57二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 13:58:30
なぜまだ彼女が
- 58二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 20:38:54
幻覚、じゃないよな
- 59◆VLlUGaOg9c24/11/23(土) 21:33:52
ナレーション
かつて儀式の生贄として使われかけたのはカナだったが、本来の予定では自分が生贄になる筈だった。
カナだって結果的に生き残っただけで、死ぬ1歩手間まで追い詰められた。その時の酷い怪我を今も覚えていた。
ベアトリーチェがアリウスの生徒たちを抑えつけ、傷つけ、追い詰めた過去は変わらない。
仮面に隠しているが、アツコの内心には緊張と恐怖が渦巻いていた。警戒が必要な相手には違いないのだ。
ベアトリーチェ「改めて、久し振りですね。2人とも」
ああ。久し振り、ベアトリーチェ。前に言ってた、やることは終ったのか?
ナレーション
そんな護衛役のアツコの苦悩を他所に、両者の関係からは信じられないほど穏やかに話し合いが始まった。
大分前の話になるので振り返っておくと、「神輿は軽くてバカが良い編 第二章」のスレにおいて、
ベアトリーチェは「私にはやらなければならないことがある」と言って、迎えに来た黒服の手を取った。
カナはその時のことを覚えていたのだ。
ベアトリーチェ「いえ、今は半分といったところですね。最終的な目的は一つですが、そこまでの過程が長い。
今日、このような形で2人に接触したのも、やらなければならいことの1つを済ませる為です。
……神子柴カナ、これを持って行きなさい」
ナレーション
そう言うと、ベアトリーチェは1枚のカードを机の上に取り出して、スッとカナの方へと差し出した。
カナとアツコには、カードのデザインに見覚えがあった。自分たちは持っていないが見たことがある。
あ、これ、先生が持ってるのと同じヤツか?
ナレーション
それは大人のカードと呼ばれている物とそっくりだった。
- 60二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 22:41:42
どっかでコピーでもしたのか?
- 61二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 06:47:16
ほし
- 62◆VLlUGaOg9c24/11/24(日) 10:15:00
アツコ「…態々渡しに来たぐらいだから、ただのカードじゃないと思うけど……特に変な感じはしないね」
ナレーション
護衛役であるアツコが手に取って検分してみるものの、特段不思議なところは見受けられない。
何の変哲も無い。ただのプラスチックのカードのようにしか感じられなかった。
ベアトリーチェ「劣化版の模造品のようなものです。シャーレの先生が持つオリジナルには遠く及びません。
今代のアリウスの長であるカナにしか使えませんし、使えるのは精々2回といったところでしょう」
何に使うんだこれ?
ベアトリーチェ「何にでも。どうせ理解出来ないでしょうから細かい原理の説明は省きますが、
簡単にいえば相応の対価を支払うことで奇跡を引き起こす。いえ、買うと評するべきでしょう。
流石に限界はありますが、大抵の状況であればひっくり返して優勢を得る取っ掛かりを得られる。
正しく、切札と称するに相応しい品です。……先程も言った通り、これは劣化版の模造品ですがね」
アツコ「対価って何?カナをどうするつもりなの?」
ベアトリーチェ「どうもしませんよ。オリジナルと違い、それは使用者に対価を求めません。
起こせるだけの奇跡を引き起こし、後は自壊して砕けるのみの使い捨てです」
ナレーション
その言葉を鵜呑みにすることは難しい。何しろ、ベアトリーチェには自身の言葉を覆した前科がある。
本当に対価は必要ないのか?そもそも、このカードは本当にベアトリーチェが言う通りのものなのか?
アツコの頭には疑念が尽きることはなく、本当に受け取っていいものはどうか疑わしくて仕方が無かった。
- 63二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 14:46:14
デメリットない代わりの上限不明使いきりかぁ
- 64二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 21:08:19
微妙に信用ならんな…
- 65◆VLlUGaOg9c24/11/24(日) 21:11:42
ベアトリーチェ「おやおや、随分と嫌われたものですね。まぁ、別に懺悔などするつもりは今更ありませんが、
忌々しいことに私が負けた上に慈悲をかけられたのも、また事実。なので、借りを返しに来ました」
アツコ「借り…そんな殊勝な人には見えないけど」
ナレーション
アツコの疑いが分かったのだろう。ベアトリーチェは趣味の悪い笑みを浮かべながら、弁明の言葉を述べる。
益々訝しげな視線を強めるアツコだったが、ベアトリーチェは意に介することもなく「クスクス」と笑った。
…分かった、受けとる。カード、ありがとう。
アツコ「いいの?カナ」
こんな無茶苦茶な招待が出来るなら、もっといい罠の羽目方も出来る。
そりゃあ、ベアトリーチェがやってきたことは許してないし、簡単に許しちゃいけないことだ。だけど……
…だけど、憎しみばかりの過去はいらない。って、言ったからな。
ナレーション
カナの言うとおり、罠に嵌める目的なら、もっと幾らでもやりようがあるのは事実。
何より、今の自分たちのトップも、ベアトリーチェに殺されかけたのも、他でもないカナなのだ。
カナが言うなら仕方が無いアツコはそう自分を納得させて、手の中のカードを机の上に戻す。
ベアトリーチェ「チッ!…まったく、バカの相手は疲れます」
ナレーション
舌打ちをするベアトリーチェだったが、不思議と、その声色は不機嫌そうには聞こえなかった。
- 66二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 22:38:02
このスレ世界の色彩は呼ばずとも向こうからタイプだったか?
- 67二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 04:16:55
ほしゅ
- 68◆VLlUGaOg9c24/11/25(月) 06:55:28
ベアトリーチェ「これで要件は終わりです。来た道辿れば帰ればすから早く帰りなさい」
ナレーション
さっさと行け。と、追い払うように「しっしっ!」とジェスチャーするベアトリーチェだったが、
カナは席から立とうとはしなかった。まだ、目の前の不可思議の専門家に聞きたいことがあったのだ。
いや、その前に聞きたいんだが、目に見えない高濃度エネルギーについて何か知らないか?
ベアトリーチェ「…私のレポートを読まなかったのですか?」
読んだけど、あんまり良く分らなかったから、先生に預けた。
アツコ「少しは分かったんだけど、抽象的な表現も多かったから……」
ナレーション
シャーレやトリニティに預けることは想定していたが、まさかカナたち自身が内容理解出来ていないとは思わず、
ベアトリーチェは余裕の笑みも忘れて「どうしたものか?」と、頭を抱えるように額を抑え、大きく溜息を吐いた。
ベアトリーチェ「まったく、嘆かわしい。これでは先が思いやられますね」
大体は全然勉強させてくれなかった先代の所為では?
ベアトリーチェ「黙りなさい。言い訳など、みっともない」
ナレーション
ベアトリーチェはカナの言い分を「言い訳」と切り捨てるが、それは半分的を得ていた。
そもそも学のない戦いしか知らない少年兵に、いきなり専門用語満載の研究レポートを見せて内容を理解しろ。
という方が無理があるのだが、長年の圧政で暴君気質が板についたベアトリーチェには知ったことでは無かった。
- 69二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 10:02:13
それはそう
- 70二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 12:53:46
ベアちゃんはさぁ…
- 71二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 20:23:09
かわいい
- 72◆VLlUGaOg9c24/11/25(月) 21:30:50
ベアトリーチェ「それで、あのエネルギーについてでしたか?あれは「色彩」の影響によるモノです」
ナレーション
理解こそ出来なかったが、カナもアツコも、ベアトリーチェの研究レポートには目を通している。
そのお陰で、レポート内で何度も言及された、詳細不明の謎の存在、或いは現象が「色彩」だと言うことを、
2人は直ぐに思い出すことが出来た。のだが………
アツコ「待って。完全には理解してないけど色彩って確か、キヴォトスを見つけられないんじゃあ……」
ナレーション
「色彩」の影響というのは少し可笑しい。何故なら、「色彩」がキヴォトスへと辿り着くことは極めて難しい。
それこそ、本来ならば何者かの手引きでも無い限り、色彩がキヴォトスを訪れるなんて考え難い。
ベアトリーチェ「いいえ。正確には色彩がキヴォトスを見つけられる可能性が
「砂漠で一粒の砂を見つける程度しかない」のです。言葉は正しく使うものですよ?アツコ」
ナレーション
……考えに難いのだが、全く考えられない訳ではない。
数学ならば誤差の範囲で計算外に入れなければならないような、極々僅かな可能性。運命とさえ呼べる奇跡。
天文学的な確率を乗り越えれば、色彩が独力でキヴォトスに到来することは可能であった。
アツコ「…つまり、砂漠の中から一粒だけの、私たちのキヴォトスを見つけてきたってこと?」
ベアトリーチェ「もしくは、我々も知らない何者かの儀式…或いは実験によって招かれたか。ですが、
そちらの方が考え難いですね。もしかすると、あの連邦生徒会長ならば可能かも知れませんが…」
ナレーション
「…やはり、有り得ませんね。彼女には動機がありません」と、自身の考察にも満たない想像を切って捨て、
アトリーチェは「今度こそ、話は終わりです。もう教えるべきことはありません」と締めくくった。
- 73二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 23:06:35
言うだけ言ったから後はって感じか詳しい話は多分黒服が多少は知ってるだろうけど…
- 74二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 07:45:10
ほ
- 75二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 13:02:33
ツンツンしてるな
もうちょっと柔らかくいこうぜ - 76◆VLlUGaOg9c24/11/26(火) 20:56:41
代理モブ「また思いつきで申し訳ないのですが、最終編の内容はかなりオリジナル展開が入ると思います。
1は未熟者ですので拙い部分が多々出てくると思いますが、どうかお付き合いください」
代理モブB「まぁ、そもそも、初代スレの1からずっと思いつきで作られてますけどね」
通りすがりの(自称)一般生徒「あはは……」
ナレーション
アツコは尚も情報を聞き出そうとしたが、
ベアトリーチェ「これ以上は主観交じりの考察…いえ、妄想になります」と、話を続けることを拒否。
結局、カナとアツコの2人は謎のカードだけ受け取って、その場を後にすることになった。
それじゃあな、ベアトリーチェ。カード、ありがとう!
ベアトリーチェ「分かりましたから、早く行きなさい。私も忙しいのです」
分かった。やること終ったら、ちゃんと罪を償いに来るんだぞ!
ナレーション
まるで小さな子どものように無邪気にブンブン腕を振って、カナはアツコとともに扉の向こうへと消えていく。
ベアトリーチェはその姿を見届け終えると、疲れたように「はぁ」と息を吐いた。
黒服「ククク……お疲れのようですね、ベアトリーチェ」
ベアトリーチェ「ええ。たった今、更に疲れました」
ナレーション
突如、背後から現われた良く知る気配にベアトリーチェは振り向かず、投げ捨てるような返事を返した。
- 77二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 20:59:50
親って大変だよね
- 78二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 23:13:25
ほ
- 79二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 07:38:21
し
- 80二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 12:00:43
こういう影からの手助け好き
- 81◆VLlUGaOg9c24/11/27(水) 20:48:05
ナギサ「…遅いですね」
ナレーション
時間は少し巻き戻る。ベアトリーチェから招待を受けたことで帰りの遅れたカナたちを心配していた。
カナがトイレといって部屋を出てから既に結構な時間が経っており、もう会議室には他校の生徒たちの姿はない。
トリニティの生徒たちと、最後の1人まで見送るつもりの先生だけが、静かな部屋でただジッと待っていた。
ミカ「迷子じゃない?カナちゃんたち、ここに来るの初めてでしょ?」
サオリ「…いや…じゃなくて、いえ。それは考え辛いと思います。
カナ…様はとても方向感覚が良い。目を瞑ったままでも、何が何処にあるか分かる…んです」
ナレーション
公の場なので、たどたどしい敬語で発言したサオリの言葉に気楽に構えていたミカも顔を顰める。
…もう良い時間だし、いい加減に探しに行こう。そう思って、ミカが手を上げようとした…その時だった。
サオリ「…何か来るっ!総員、警戒態勢!」
ナレーション
サオリの叫びを皮切りに、場慣れしたアリウス分派の生徒たちが一斉に銃を構えた。
会議室に残る他の生徒たちや先生を守るように囲って壁になり、真剣な表情で安全装置を外す。
そのお陰で、突然のことで殆どの生徒たちは混乱していたものの、その場の人間たちが散り散りにはならなかった。
しかし、次の瞬間、アリウスの生徒たちでさえ呆けてしまうほどの出来事が起こる。
“あれは…っ!?“
ナレーション
会議室に現われたソレ………渦のような、或いは靄のような、不可思議な黒い『ナニカ』は何の前触れもなく、
突如として、まるで最初からそこにあったかのように、彼女たちの前に姿を現わした。
- 82二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 22:39:40
黒いヤツ、ワープのアレか…?
- 83◆VLlUGaOg9c24/11/28(木) 06:58:44
ナレーション
彼女たちを最も驚かせたのは、黒いナニカの深奥より現われ出た少女だった。
深き闇に染まった光輪は中央の球が砕け散り、色素の抜け落ちた長い髪は何の手も加えられておらず伸びっぱなし、
身につけているソレはティーパーティーのドレスに似ていたが、何百年も経ったかのようにボロボロに擦り切れて、
もはやドレスは愚か服と呼ぶことすら烏滸がましい布切れのようにも見える。
服の後ろから伸びた黒い翼は6枚もあるが、見る者が見れば、何の手入れもされていないことが一目で分かる。
ナギサ「ミカ…さん?ご、姉妹の方ですか?」
ミカ「し、知らない。私、何も知らないよ」
ナレーション
一目で別人と分かるが、しかし、少女の姿はミカにそっくり瓜二つであった。
???「………っ!?」
ナレーション
見下すような、睨み付けるような、…或いは何も見ていないかのような冷たい少女の瞳がサオリたちへと
向けられると、その色は憎悪と混乱に染まり、見開かれた。
???「何で、お前がここに……・っ!!」
サオリ「わ、私かっ!?」
アズサ「知り合いか?何かしてしまったのなら、謝るべきだ」
サオリ「い、いや、さっぱり覚えがない」
ナレーション
サオリの返答を聞くと、少女の表情は更なる憎しみに歪んだ。 - 84二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 08:57:17
カナちゃんのおかげでこの世界じゃ大分平和的に進んだからなぁ
- 85二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 09:25:46
えっ、色彩に触れて執念からサオリ達を見つけて〇しに来たんか……砂漠の砂1粒を見つけて……
- 86二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 10:08:21
ダブルゼータ、もといダブルテラーもあり得るぞコレ…
- 87二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 14:51:41
これは4thPVであったプレ先世界で生きてる生徒はミカを筆頭にみんなテラーになってる説あるかもな…
- 88二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 19:48:27
シロコ*テラーに加えてミカ*テラーだとお!?
- 89◆VLlUGaOg9c24/11/28(木) 22:25:18
『先生っ!』
“ッ!サオリっ!”
ナレーション
シッテムの箱の少女のサポートありきではあるが、先生は誰よりも早く反応した。
サオリも先生の声に応えて、磨き上げた反応と技術を以て、考えるよりも早く防御の態勢を取ることができた。
ドゴォォォンッ!(轟音)
ナレーション
迫撃砲を至近距離で放たれたかのような、或いは隕石を受け止めたかのような、凄まじい衝撃が走った。
防御の上からミカに似た少女の細腕がサオリに叩きつけられたのだと周囲が理解する頃には、
既に、吹き飛ばされたサオリによって守るべきトリニティの生徒たちをボーリングのピンのように撥ね飛ばされ、
それでも尚止まらぬ勢いのまま、サオリの身体が何度も壁を突き破って、その場の誰の視界からも消えていた。
ミサキ「何…あれ…?」
ナレーション
まるで蟻と象。磨き上げた技術を嘲笑うかのような圧倒的な「暴」を前に、流石のアリウス分派も足が竦む。
ベアトリーチェは恐ろしい怪物だったが無駄にしぶとい以外は普通に戦える相手だった。
大空シズは強かったが銃が当たれば怪我をしたし、隙をつけば銃が当てられた。
けれど、眼前の少女は違う。戦うとか、そういう次元の相手じゃない。それを一瞬にして分からされたのだ。
???「あーあ、予定が台無し。今日は「私」だけ裁くつもりだったのに。
でも、まぁ、いっか。どうせ全員裁くんだし、遅いか早いかだけでしょ」
ナレーション
少女の口元だけが不気味に歪む。誰から見ても分かるほど歪な、貼り付けたような笑み。
しかし、少女の力を目の当たりにした生徒たちの目には、獰猛に笑う怪獣のようにも見えた。
- 90二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 07:48:22
まぁ強いよな…
- 91二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 14:16:50
やばい
やばい - 92二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 18:35:13
>>40の世界線のミカか?
- 93二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 20:44:28
完全に狙われてる
- 94◆VLlUGaOg9c24/11/29(金) 20:49:06
ナギサ「ミカァッ!」
ミカ「オッケー、ナギちゃん。サオリちゃんの仇、とってくるよ」
セイア「死亡確認した訳でも無いのに、縁起でも無いことを言うんじゃない。
…そこの君、大至急正義実現委員会に連絡を。あの強さだ、ツルギやハスミには絶対に来るよう行ってくれ」
ティーパーティーのモブ「りょ、了解しました!」
ナレーション
1学園の生徒会長は、ティーパーティーのホストは伊達ではない。
この状況においても謎の生徒の力にただ竦むのではなく、それぞれが事態の解決のために動き出した。
???「…サオリちゃんだって?」
ナレーション
ナギサの指示を受けて、腕をグルグルと回しながら近づいてくるミカの言葉が余程気に入らないらしい。
少女は嫌悪を隠そうともせずにミカを睨みながら、ゆっくりと拳を握る。
ミカ「…うん。貴女に何があったかは知らないけど、サオリちゃんは……アリウスのみんなは私の友だちだよ
だから、私はサオリちゃんたちを傷つけた貴女を許さない!」
ナレーション
それでもミカが臆することはなく、真っ直ぐに少女を見つめ返す。
ミカにとって大切なのは一つだけ。眼前の相手は大切な友だちを、理不尽に、何の説明もせずにぶっ飛ばした。
たったそれだけで、たとえ相手が何であろうとも立ち向かう理由には充分過ぎた。
???「…そう。なら、いいよ。予定通り、貴女から裁いてあげる」
- 95二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 22:58:59
オリジナルとテラーの差しか…
- 96二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 08:05:49
バチバチじゃんね
- 97二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 10:55:05
勝利条件が謎
- 98◆VLlUGaOg9c24/11/30(土) 11:25:00
ミカ(啖呵切ったは良いけど、正直、自信無いなぁ…)
ナレーション
自分を頼りにしてくれている幼馴染みや学友たちの手前、強気な態度を取っているが、ミカは本当は不安だった。
ミカは強い。その気になれば牢獄に使われるような分厚い鋼鉄の壁を素手で殴り壊せる。フィジカルオバケだ。
しかし、ミカはあくまでティーパーティーのホストであって、正義実現委員会でも自警団でもない。
純粋な戦闘の経験値が少なく、数少ない戦闘の機会も腕力でゴリ出来てしまったミカにとって、
自身と同等…或いは凌駕しうる力の持ち主との戦いは初めてのことであった。
ミカ「大口叩けるのも今の内じゃんねっ!」
ドゴォォォンッ!(爆音)
ナレーション
それでも、ミカに戦わないという選択肢は無い。この場で目の前の少女を止められるのは、きっと自分だけだから。
仲間のため、ミカが覚悟を決めて振るった拳と少女の拳がぶつかり合い、その衝撃が凄まじい爆風を生んだ。
拳同士がぶつかったとは思えない、至近距離で爆弾を起爆したかのような凄まじい衝撃波を前にして、
戦い慣れていない生徒たちはその場で踏ん張ることに集中することを余儀なくされる。
ミカ「この程度?ちょっと期待外れかな?(いったぁ~いっ!これ、骨折れてないっ!?)」
ナレーション
骨が軋んでいるのかも知れない。これまで感じたことのないような痛みが、ミカの腕の中に走った。
思わず痛みに歪みそうになる表情を無理矢理に笑みに変えて、ミカは余裕を演出してみせる。
ドォンッ!(殴打)
ミカ「い゛っ!たく、ないじゃんね!」
ナレーション
ミカの必死の虚勢を嘲笑うかのように、側面から黒い翼の殴打が遅いか掛かった。
- 99二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 13:54:27
羽まで使えるのか
- 100二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 21:42:54
これヤバイな?
- 101二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 23:05:58
ほ
- 102二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 09:26:38
手強いな…
- 103二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 13:43:39
やはりテラーでも強いのは変わらずだよな
- 104二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 20:35:00
シロコの場合と同じぐらいの力差だとするとかなりヤバイ
- 105◆VLlUGaOg9c24/12/01(日) 22:02:46
ナレーション
翼のお返しにとミカが放った殴打を合図に、2人の少女による乱打戦が始まった。
至近距離で砲撃戦をしているかのような凄まじい衝撃と爆風の前に、外野は状況の把握にすら苦戦を強いられる。
“ミカ…っ!”
ナレーション
先生だけはシッテムの箱のサポートもあって何とか状況だけは把握出来たものの、そこで打ち止め。
得意の指揮を飛ばそうにも、単純な殴り合いを前にして使える策が無い。あったとしても、指示が間に合わない。
先生が一言話すよりもずっと早く、2人の拳足は衝撃波を放ち終えてしまう。
アズサ「…ダメだ、戦闘経験値が違う。あの人、喧嘩の動きだけど戦いに慣れてる。このままだとミカ様は…」
ナレーション
アズサはその先の言葉を口にしなかったが、みんな飲み込んだ言葉が何なのか察しがついた。
ただ力任せに自分の獲物を振るうだけの喧嘩とはいえ、数を熟せば段々と「戦い」に対する経験は蓄積される。
そうして蓄積された経験値は、思考を用いない学術として無意識に研磨されていき、直感と戦術を作り上げる。
戦いにおいて武器の差というのは圧倒的だ。戦いの経験が薄いミカは、謎の少女が持つ武器を持っていなかった。
ナギサ「…いえ、ミカさんは負けません。彼女がそう簡単に負けるものですか」
ナレーション
それでも、幼馴染みであるナギサはミカの勝利を信じていた。
だって、とうの本人のミカが無理にでも笑って立ち向かい続けているのだから、自分が諦めてはいけない。
そう自分に言い聞かせて、震える腕を必死に押さえつけていた。ナギサもまた、戦っていたのだ。
ナギサだけではない、誰もが緊張に震えていた。空気そのものが張り詰めていて、みんな時間も忘れていた。
- 106◆VLlUGaOg9c24/12/01(日) 22:05:14
- 107二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 22:37:20
カナと合流できたか
- 108二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 07:53:21
どうなるかね…
- 109二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 12:50:29
カナちゃんー!
なんとかしてくれー! - 110二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 20:57:19
間に合った、かな?
- 111◆VLlUGaOg9c24/12/02(月) 22:30:10
ミカ「えっ!?カナちゃんっ!?」
???「あの顔は…っ!?」
ナレーション
突然、「バァーンッ!」という効果音が良く似合うぐらい元気な声を響かせたカナの登場によって、
その場の全員の意識が1度扉付近へと寄せられる。それは、戦っていた2人の少女も例外ではなかった。
カナ「ミカとミカに似た知らない人が怪我してる!!?アツコ、あの…ほら…あれだ、ぽかぽかするドローン!」
ナギサ「待ってください!黒い羽根の方は襲撃者です!」
アツコ「了解、ミカ様だけ治すように調整するね」
ナレーション
何が何だか分からないまま、カナが出した指示とナギサの忠告に従い、アツコは治療用ドローンを起動する。
それを黙って見過ごす筈がない………かと思いきや、謎の少女はただ動揺したままだった。
???「嘘…嘘だよ、だって、あれはただの夢でしょ?だって、そうじゃないと……っ!」
ミカ「…大丈夫?私の台詞じゃないかもだけど…何か、変だよ?」
ナレーション
少女の様子が可笑しい。戦っていた筈のミカが心配してしまうほどだ。
信じられないと見開いた目で語りながら、わなわなと身体を震わせて、年相応のただの怯えた少女のようだ。
いや、実際にそうなのだろう。連邦生徒会を襲撃したテロリストとはいえ、彼女もまた1人の生徒なのだ。
???「先生ぇ…っ!」
ナレーション
そうして、彼女は逃げるように踵を返して、再び闇の中へと帰っていった。
- 112二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 22:31:48
どうなるかね
- 113◆VLlUGaOg9c24/12/03(火) 07:00:20
小ネタ『ある死者の懺悔』
百■セ■■「ミカ、すまない。私は愚かだった。
あの結末の幕を開いたのは間違いなく君だが、その方向へとジャンルを定めたのは私の短慮だった」
百■セ■■「未来に目を曇らせて、今を見ていなかった。現実の君たちを見ていなかった。
私が居なくなることで、君たちがどれだけ深く傷つくか……私は想像すらしなかったんだ」
百■セ■■「■■サは良く足掻いた、君も十二分に苦しんだ、先生は本当に良くやってくれた。
……私だけだ。私だけは、ただ訳知り顔で知った風な口を利くだけだった。
本当に大切なモノに何1つ気がつかないまま、最後まで君たちを傷つけるだけだった」
百■セ■■「今更、許してくれとは言わない。私の罪も、■■サの罪も、君の罪も、もう裁ける者は1人も居ない」
百■セ■■「…笑ってくれ、ミカ。それでも愚か者の私は思わずにはいられないんだよ。
あんな世界があるのだともっと早くに知っていたら、
私たちの物語はもっと違うものになったのだろうか?と……」 - 114二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 13:11:47
うーん…悲し味
- 115二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 20:58:32
向こうの過去のティーパーティーか
- 116二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 22:39:31
これなら…ミカのみがテラーになってるヤツかね…?
- 117◆VLlUGaOg9c24/12/03(火) 22:39:50
ナレーション
まるで嵐のようであった。謎の少女が闇に消えて、その闇もまた虚空に消えると、部屋には静寂だけが残されて、
何もかもが夢みたいだったかのような錯覚を齎した。それほどまでに静かだった。
壁に空いた巨大な穴と滅茶苦茶になった会議室、ズタボロに傷ついたミカが少女との戦いを証明しているものの、
起こった出来事が余りにも唐突で衝撃的過ぎて、本当に全部幻だったのではないか?と思う者さえ居た。
ミカ「一体、何だったんだろ……?」
ナレーション
戦いが終って気が抜けて、へたり込むようにミカはその場で座り込んだ。
急に自分そっくりなあの子が現われて、サオリちゃんをぶっ飛ばして、私とあの子とで殴り合って…
……と、一つづつ起こったことを数えていって、ゆっくりと時間をかけて現実に起こったことを飲み込み始める。
ミカ以外の生徒たちも、先生ですら、似たようなモノだった。誰もが過ぎ去った嵐が本物なのかを考えていた。
…あれ?そういえば、サオリはどこ行ったんだ?
ミカ「…っ!そ、それは……っ!」
ナレーション
思い出したように静寂を裂いたカナの言葉に、ミカたちの表情は歪んだ。
謎の少女の攻撃で殴り飛ばされ、壁を砕いて吹き飛んでいったことを、カナたちにも話さなければならない。
油断しているところにパンチを受けて、あの吹き飛び方だ。ただじゃあ済まないだろう。きっと、今頃は……
サオリ「無事だ、勝手に殺すな」
ナレーション
……数秒後、傷だらけになりながらもサオリは穴の向こうから帰ってきた。
決して無事とは言えないまでも、自分の足で立って、自分の口で話せているその姿に、一同の心は晴れるのだった。
- 118二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 07:44:06
サオリは無事と
- 119二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 13:40:42
つよい
- 120二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 20:59:17
大事なくて良かった
いやすでに大事ではあるんだが - 121二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 22:23:30
流石は本編にて天井組の一人と差しでやってただけはあるな…
- 122◆VLlUGaOg9c24/12/04(水) 22:33:53
ナギサ「どうでしょう?お2人の容態は」
ミネ「重傷です。お2人には一刻も早く、より強度の高い救護が必要でしょう。医療用ヘリの要請をお願いします」
ナギサ「…致し方ありませんか」
ナレーション
暫くして、会議室へと駆け込んできた応援の生徒たちの力も借りて、ミネ主導の下で二人の治療が行われた。
といっても、救護騎士団の部室でもなければ、他校の医療施設でもない会議室では応急措置が精一杯なのだが、
そんな軽い処置だけでもミカとサオリの身体が見た目以上に傷ついていることがミネには分かった。
だから、外から目立つことを承知で医療用ヘリを呼ぶようナギサに指示を出したのだ。
サオリ「そ、そこまでか?」
ミネ「そこまでです。貴女に必要なのは仕事でも勉学でもなく救護。今はそれだけを考えてください」
ミカ「無駄だよ、サオリちゃん。こうなったら、ミネ団長はテコでも聞かない」
ナレーション
包帯でグルグルに拘束されて、半ば無理矢理に寝かされたサオリが不満そうに尋ねるが、ミネは休めの一点張り。
ミネの性格をよく知ってるミカは諦めたように目を閉じるが、しかし、そのまま穏やかに眠ることは出来ない。
ミカの脳裏には、自身に良く似た少女の姿が焼き付いていた。
サクラコ「しかし、彼女は一体何だったのでしょうか?サオリさんやカナさんのことを知っているようでしたが…」
カナ「いや、多分、初めて会ったと思うだが……色彩の関係者じゃないか?
さっきベアトリーチェが色彩来てるって言ってたぞ?」
ナレーション
全員の視線が、一斉にカナへと向いた。
- 123二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 07:50:55
そういやまだ伝えてなかったか
- 124二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 13:34:16
タイミングよ
- 125二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 20:48:47
さらっと言ったな
- 126二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 22:28:45
いやまぁ隠す理由とかまったくないなカナちゃんだし
- 127◆VLlUGaOg9c24/12/05(木) 22:49:12
“…カナ、気のせいかな?今、ベアトリーチェって聞こえたんだけど?”
ああ、さっき会った。トイレ行こうとしたら何か変な空間に連れ去られ…召喚され?まぁ、呼ばれた。
ミカ「呼ばれたって本当に大丈夫だったのっ!?」
ナレーション
あっけらかんと答えるカナの姿に、先生だけでなく分校時代のアリウスを知る生徒たちまでもが頭を抱えた。
ベアトリーチェといえば、嘗てアリウス分校を支配していた暴君であり、今のアリウス分派の生徒たちの仇敵。
しかも、カナはベアトリーチェの手で殺されかけた張本人だ。
それが、ついさっきまで会っていたと言われたら心配にもなるし、もう少し警戒しろとも言いたくなる。
いや、だって、敵意は感じなかったし、相手のテリトリーで戦うのは極力避けたかったし……。
アツコ「私たちも2人だけだったからね。事を構えたくなかった」
ナギサ「理屈は分かりましたが、それにしても、もう少し、こう、色々とあるのでは……?」
ナレーション
ナギサは傷だらけになって歩くことすら出来なくなったカナの姿を見ているだけに、殊更心配だった。
PTSDを発症しているように見えないのは喜ばしいが、こうも淡泊な反応だと却って不気味だ。
仮に恐怖が残っていなかったとしても、相手が相手なのだから、もう少し大騒ぎをするのが普通では?と困惑した。
帰ってきたら何か非常事態で言うタイミング逃しちゃったし………別に大したこともなかったしな。
トイレ借りて、カード貰って、色彩来てるよって教えて貰ったぐらいだ。
ミサキ「豪胆過ぎない?」
セイア「充分以上に大したことでは???」
ナレーション
食い気味な2人の台詞が重なった。それほどまでに普段道理なカナの姿に皆が騙されて気がつかなかった。
これだけ多くの人数が居て、その手が小さく震えていることに誰も気がつけなかったのである。…先生、以外は。
- 128二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 07:33:56
…あり得るよな
- 129二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 12:27:49
心配だ
- 130二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 21:07:49
推し隠してるのか
- 131二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 22:48:31
…不安か
- 132◆VLlUGaOg9c24/12/06(金) 23:48:00
“カナ、君は…“
それより、ちょっと休憩しないか!?みんな疲れたと思うし、ここでバタバタ大騒ぎしててもやることがない!
それなら、学校で落ち着いて話し合った方がよく考えられるし良い………と思う!
ナレーション
何度目になるか分からないが、カナはバカではあるが愚かではない。大事ことは理屈より深い所で分かってる。
普段から仲の良いサオリたちや同格のナギサたち、あるいは目上の先生だけなら兎も角、
ティーパーティーのホストである自分が、普通の一般生徒の前で弱味を見せるのが何を意味するか?理解している。
だから先生の言葉を遮るように、カナは大きな声で休息を提案した。可能な限り、普段通りの自分を貼り付けた。
“…そうだね。私もちょっと疲れたし、休憩したいな“
ナレーション
それでも、先生がカナの無言の意を汲むことが出来たのは、震える姿を見ていたからだろう。
震える姿を見たからこそ、それでも普段通りに笑みを作るカナの内心を推し量ることが出来た。
以前、先生はアズサから聞いた話を思い出した。
カナが育てのお姉ちゃんの意思を汲んで、最期の別れを悟って笑えるほどに強い少女なのだと、先生は知っていた。
ナギサ「…まぁ、色々と言いたいことがありますが………だからこそ考えを落ち着ける時間が必要ですか。
いいでしょう、暫し休息とします。と言っても、ヘリの到着までそう時間は掛からないと思いますが……」
ナレーション
カナの言い分にも理はあることは分かっていたし、先生も賛同するのであれば態々反論するのも分が悪い。
ナギサは何とも言いがたい気分であったが、この場は自分を納得させて引き下がることにした。
- 133二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 09:31:26
会議室は一旦お開きだろうが、ゲマ側よりもこっち先に来るの結構エグいがテラー枠が二人なら納得だが一人ならミカだからかと考えるしかないかね…?
- 134二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 15:43:04
どうなることやら
- 135二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 21:48:51
カナちゃん大丈夫か
- 136◆VLlUGaOg9c24/12/07(土) 22:46:54
《トリニティ総合学園 ティーパーティー会議室》
ナレーション
あれから間もなく、カナたちは医療用ヘリでトリニティに戻ってきたその足で、
ティーパーティーのホスト…即ち、4人の生徒会長による緊急会議を行うことになった。
不可視の高エネルギー反応に対する合同調査、カナとベアトリーチェの接触、襲撃をかけてきた謎の少女……
…一刻も早く話し合いたいほどの重大な議題が、一生会議出来るんじゃないかというほど山積みであった。
ナギサ「つまり、ベアトリーチェはカナさんに「借りを返す」と称して先生の持つカードの模造品を渡しに来たと…」
ミカ「それ、本当に持ってて大丈夫なの?捨てた方がいいんじゃ…」
セイア「そうだね、普通であればそうするだろう。そして、それはベアトリーチェも考えるはずだ。
その上でカードを渡してきたと考えると、普通に処分するのも怖いところだね」
ナレーション
中でも、カナの報告に対してはナギサたちも疑念の視線を強く向けていた。
何しろ、相手はベアトリーチェ。現在もキヴォトス全域で指名手配中の重罪犯にして、アリウス圧政時代の元凶だ。
それが「借りを返す」だ等と殊勝なことを言ってきたところで、信じられる訳がなかった。
胡散臭いのはその通りだ。けど、あんな呼び出し方が出来るなら、もっといい罠の掛け方が幾らでもあると思う。
ナギサ「…カナさんは、宜しいのですか?そのカードを渡してきたベアトリーチェは、嘗て貴女たちを…」
ナレーション
心配そうにナギサが尋ねると、カナは周りに一般の生徒が居ないかキョロキョロ見回してから、
一言づつ絞り出すようにゆっくりと、恐る恐る、内心を吐露し始める。
…そりゃあ、怖くないって言ったら嘘だ。凄く怖い、泣きそうだ。
ナレーション
言葉の通り、身体は不可視の恐怖に怯えていた。
- 137二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 01:19:54
俺はお前が周りに不安を話せることに……すげぇ安心している。
- 138二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 09:22:32
そりゃ誰だって怖いよ、自分を殺そうとした人なら尚更
- 139二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 15:22:40
…そりゃそうだよな
- 140二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 21:30:34
保守
- 141二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 22:13:35
それでも今は共に立ってくれる人がいるからヤバい時に頼って欲しいな…
- 142◆VLlUGaOg9c24/12/08(日) 23:11:37
ナレーション
無理もないことだ。ベアトリーチェによって、カナは文字通り死ぬ1歩手前まで追い詰められたのだから。
特に、カナは虚しさに染まって全てを諦めてはいなかった。死を望まず、仲間と生きることを願っていた。
想像を絶する苦痛の中で、少しずつ薄れていく意識の中、1歩また1歩と近づく死の足跡に何も感じないほど、
許すという決断で全て忘れられるほど、カナは鈍感にはなりきれなかった。
死ぬってどういうことか、よく分からない。分からないけど、死んだら、もうみんなに会えないのは分かる。
一緒に話したり、ご飯食べたり、遊んだり、そういうことが出来なくなるはだってのは……よく知っている。
そんなの、絶対に嫌だ。凄く寂しい、みんなにも寂しくなる。
ナギサ「カナさん……」
…ずっと側にいて、当たり前に一緒に居た人が居なくなったら、会えなくなったら、
身体のずっと中の方で、こう、ポッカリと穴が開くんだ。その穴はどうやったって埋まらない。
どんなに楽しくても、ふとした瞬間に寂しくなって、楽しい気持ちを穴が吸い込んで寂しさだけが残るんだ。
ナレーション
しかも、カナは死を体験として知っている。大切な存在との別離を経験している。
それによって刻まれた、消えることのない傷痕をずっと抱えているのだ。死ぬのが怖くない、訳がなかった。
…でも、だからこそ、私たちはもう殺しちゃいけない。
傷つけて、傷つけられて、失って、奪って………そればっかりだったから、アリウスは虚しい場所になった。
そんなのは止めにしないといけないんだ。どんなに怖くても、憎くても、嫌いでも…私は許さないとダメだ。
ナレーション
「だって、今は私がアリウスで1番偉いんだから」。そんな言葉を飲み込んで、カナは前を向き直した。
恐怖と怨嗟を噛み潰して、「それでも」と言い続けられるからこそ、カナは神輿に祭り上げられた。
それこそが、今代のアリウスに最も必要なモノなのだから。
- 143二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 07:47:58
…大丈夫なら良いがねぇ
- 144二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 12:50:14
つよいね
- 145二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 21:28:41
頑張ってるなカナちゃん
- 146二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 22:46:10
無理はすんなよ……
- 147◆VLlUGaOg9c24/12/09(月) 22:52:25
ナレーション
カナが背負っているもの、抱えているもの、それらを守り貫く為の覚悟。その一端を目の当たりにして、
ティーパーティーの3人は口を閉ざすしかなかった。
だって、どうすればいい?3人は権謀術数渦巻くトリニティの政界に君臨する生徒会長ではあるが、
空調もない寒空の下、理不尽な暴力と圧政に堪えながら、死の恐怖に怯える日々なんて知らない。
大切な誰かとの別離も、それを嘆く余暇さえ与えられない戦争も、怒りと虚しさを飲み込んで笑う理性も知らない。
カナの抱えているモノは、彼女たちにとって想像すら難しいほどに遠い世界のモノだったのだ。
ミカ「…そ、それでもさ!」
ナレーション
やるせない沈黙だけが支配する空間を打ち破るべく、ミカは何時もより努めて大きな声を出した。
瞬間、周囲の視線は一斉に自身へと向くのを感じて、ミカは思わず息をのむ。
ミカ「それでも……それでも、カナちゃんがずっと我慢しなきゃいけない。なんてこと、無いんじゃないかな?」
ナレーション
何て言ったら良いのか?何をすれば良いのか?今、何て言ってるのか?そんなのミカには分からなかった。
分かるのは、ただ、目の前の大切な友だちの為に何かしてあげたいという、子ども染みた自分の我儘。
ミカ「だ、だって、ほら、ここには私たちしか居ないし、今なら泣いても怒ってもバレないんじゃない…かな?
他にも新校舎でアリウスのみんなと居る時とか、部屋に1人で居る時とかさ?もっと、我儘の時間がないと!
じゃないと………疲れちゃうんじゃない?かな?なーんて……」
…ああ、そうだな!ありがとう、ミカ!もっと、我儘頑張る!
ナレーション
けれど、時に、そんな子どもの論理が、感情の論理が、理性や理屈よりも必要とされることがある。
傷つけられた心を最も癒やすのは、純粋な優しい誰かの心なのだ。
- 148二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 23:03:06
子供の強さだね
この強さを見たからこそベアトリーチェも少し変わった、と信じるよ - 149二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 07:28:51
これこそ必要な物よな…
- 150二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 13:51:50
もっと好きなもの作ってええんやで
- 151二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 20:53:22
優しさが沁みる
- 152◆VLlUGaOg9c24/12/10(火) 21:57:06
《トリニティ新校舎 訓練場》
ナレーション
一方、ティーパーティーの4人が話し合いの席についていたのと同時刻。
すっかりアリウス生たちのホームと化した新校舎では、1人の少女が縛り上げられていた。
アリウス分派の月雪リア…改め、元ミレニアムサイエンススクール生徒会長調月リオである。
アズサ「リア、いい加減我儘はよせ。私たちアリウス分派から調査員として送り出せる人員はお前しかいないんだ」
リア「…調査ならドローン越しでも十分に可能よ」
サオリ「学園の代表として行くのに顔も出さないなど許される訳がないだろう」
ナレーション
アリウス生として新校舎に身を寄せている以上、リオは「リア」としてアリウス分派の力にならなければならない。
トップであるカナはリアに対して何も強制する積もりはないし、サオリたちも元々そんなつもりは無かったのだが、
補習授業部で必要なだけの学力を詰め込んだばかりのサオリたちに頭脳労働は難しい。観測や研究となれば尚更だ。
そういう事情もあって、何が何でも、リアをアリウス分派の代表として調査に送り出さねばならなかった。
ミサキ「大体、なんでそんなにミレニアムの人たちに会いたくないの?指名手配とかされてないんでしょ?」
リア「…別に、会いたくない訳じゃないわ。ただ、合せる顔がないだけ」
ミサキ「それが「会いたくない」っていうんでしょ?」
ナレーション
その出自がどうあれ、リアは既に自分たちの学友だ。出来るなら【お話】はしたくない。
けれど、相手は色彩。あのベアトリーチェでさえ理外と称した謎多き存在。出し惜しみが出来る相手とは思えない。
ただ調査員を送り出せない。というだけの話ではない。トリニティの…キヴォトスの為にリアの力が必要だ。
そういう思いがあるからこそ、アリウス生たちは心を鬼にして、縛り上げてまでリアを交渉の席に引き釣り出した。
なのに、そこから交渉が全然進んでいないのだから、ミサキは思わず溜息を漏らした。 - 153二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 22:15:24
こっちはこっちで行動中だったか
- 154◆VLlUGaOg9c24/12/10(火) 22:49:55
アツコ「でも、このままじゃいけないのは分かってるよね?」
ナレーション
まるで宥めるように優しげな口調で、アツコは膝を曲げて縛られたリアに視線を合わせる。
母親のように柔らかく笑いながら、アツコはゆっくりと話しはじめた。
アツコ「リアが調査に行かないのは勝手だよ。けど、そうなった場合、誰が代わりに謝ると思う?」
リア「…」
アツコ「万丈…」
名字が万丈の一般アリウス生「え?」
アツコ「じゃなくて、カナだよ。カナにはアリウスのホストとしての責任があるし、リアを匿った責任も感じてる。
だから、アリウス分派の代表としてカナが矢面に立って謝るしかない。
そうなったら、ゲヘナや反アリウス派の生徒は責任問題だって寄ってたかってカナを責める……」
ナレーション
途中、変な流れ弾が飛んでいったが、アツコの言葉は概ね正しい。耳に痛いほどに正論だ。
合同調査に遠隔ドローンで参加すれば嫌でも悪目立ちする。
特に、トリニティ嫌いのゲヘナや最近大人しくなった半アリウス派のトリニティは鬼の首を取ったかのように、
アリウス分派への責任問題を追及するだろう。そうなったら、アリウスの代表として頭を下げるのはカナだ。
アツコ「リアが行くしかない。ホントは分かってるよね?だから、光学迷彩も使わずに大人しく捕まったんでしょ?」
ナレーション
それは狩りだ。逃げ道を塞ぎ、行き着くべき場所へと追い詰める話術の狩人。
リアはその術中にまんまと囚われたのである。
- 155二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 22:59:13
エ〇ルトォォォォ!
ネタ抜きに奴並の話術、英才教育の賜物だな - 156二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 01:01:07
おい待て、アツコ何を言おうとした?
- 157二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 01:03:54
てかいるんだ、万丈って名字の子…
- 158◆VLlUGaOg9c24/12/11(水) 06:41:20
- 159二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 08:49:09
全国に50人くらいいるらしいね万丈さん
- 160二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 13:28:04
そうだったんだ…
- 161二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 19:39:30
兎と戦車…あぁ、仮面ライダービルドか
- 162◆VLlUGaOg9c24/12/11(水) 21:08:51
ナレーション
生徒会長としての責任と他者と隔絶した才能、徹底した合理主義に少女らしい感情豊かな情緒、
それらが複雑に絡み合って出力された「キヴォトスの滅亡を防ぐべく天童アリスを殺す」という回答。
それらが否定されたことで、倫理に反することだと守るべき学園に抗われたことで、リオは途中式を破却した。
リア「…いえ、それでも、アリスを殺そうとした私が今更何を…」
ナレーション
途中式を捨てた結果が「月雪リア」。「調月リオ」という過ちの途中式を否定から生まれた、その場凌ぎの回答。
しかし、どれだけ否定しても、人の本質は積み上げた過去が作るもの。リアになっても「リオ」は消えない。
リアの中の「リオ」は呪い続ける。過ちを犯し、害をなし、誰からも嫌われ憎まれる。
そんな【私/お前】が2度と、ミレニアムのみんあの邪魔をするなと囁き続けている。
………「AL1ーS」ではなく「アリス」と呼んだリオが、本当に人でなしの訳がないというのに。
ヒヨリ「あ、あの、ちょっと良いですかね…?」
ナレーション
黙りこくってしまったリアに、今度はヒヨリが声をかけた。
もはやリアは反応すらしなかったが、それでもヒヨリは続けた。
ヒヨリ「私、昔からサオリ姉さんたちに面倒見て貰って生きてきたんですけど、1回だけ逸れたことがあって…
…その時にカナちゃんと初めて出会ったんですけど、それでも、合流するまで少し寂しかったんです」
リア「…」
ヒヨリ「そりゃあ、カナさんには良くして貰いましたし、あの時の焚き火は凄く暖かかったですけど、
……やっぱり、サオリ姉さんの代わりも、ミサキちゃんの代わりも居ないんです。
それで、えっと……多分、トキさんたちも同じなんじゃないかなって……」
- 163二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 23:08:12
…それはそう
- 164二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 07:35:14
保
- 165二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 07:39:57
頭にエビフライ付けてそう(ポテト並感)
- 166二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 14:36:28
動いてくれるかね…
- 167二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 16:15:27
ちょっと真面目過ぎるのよリオは
- 168◆VLlUGaOg9c24/12/12(木) 21:45:44
代理モブ「それもありますが、リオ会長は天才過ぎたが故に、その才能に振り回された印象があります。
「名も無き神々の王女によるキヴォトス滅亡の未来」を誰よりも鮮明に予見出来てしまいましたから……」
リア「そんなことは…」
ヒヨリ「じゃあ、なんでトキさんはあんなに必死に戦ったんですか?」
リア「それは…っ!」
ナレーション
先輩だから、上司だから、世界の危機だから、それっぽい理由は出てくるのに、リアは不思議と言葉が出なかった。
自分はトキを縛り付けていた。自分がアリスを殺そうとしなければ、トキはC&Cの学友たちともっと早く会えたし、
本来背中を預ける相手に銃を向けることもなかった。それが変えようのない事実だと結論付けているのに、
リアはヒヨリの言葉に強く反論することが出来ない。リア自身も、訳が分からなかった。
ヒヨリ「あの日…カナちゃんに初めて会った日のことは今でも鮮明に覚えています。
周りは知らない人ばっかりで、そこら中で銃声や爆発が聞こえて、痛くて、苦しくて………
だから、カナちゃんが焚き火に誘ってくれて本当に嬉しかったんです。暖かかったんです」
ヒヨリ「でも、それでも、私はやっぱりサオリ姉さんたちに会いたかった。
会って、一緒に何時もの何でもないやりとしりがしたかったです」
サオリ「…っ!」
ナレーション
末の妹のように可愛がっている少女の告白を前にして、サオリの胸は締め付けられる思いだった。
カナに会えたから良かったモノの、たった1人で内戦時代のアリウスを当てもなく彷徨うことが、
今よりずっと小さなヒヨリにとってどれほど心細く、辛く苦しい体験だっただろうか?
想像するだけで、サオリは己の身を引き裂かれるよりも苦しかった。
- 169二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 23:13:45
保守
- 170二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 07:42:07
保
- 171二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 12:53:36
優しさが沁みる
- 172二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 21:24:36
リアちゃん動けるか
- 173二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 22:31:33
頼むぜ…
- 174◆VLlUGaOg9c24/12/13(金) 23:45:55
ヒヨリ「も、もちろん、私はミレニアムのみなさんとは違いますから、本当は何考えてるか何て分かりません。
もしかしたら、トキさんも新しい居場所を見つけて楽しくやっているかも知れません。
でも…幾ら新しい友だちが出来ても、楽しい時間を過ごせても、失った誰か代わりにはならないと思います」
アズサ「…そうだな。どれだけ大切な人が出来ても、その人を誰かの代わりすることは出来ないし、しちゃいけない。
辛くても、苦しくても、心に穴が空いていても、それでも…失った者は決して帰らない」
ナレーション
実感の籠もったアズサの言葉に、少なくない数のアリウス生たちが顔を歪めた。
今のアリウス生たちは最も内戦が激しい時代とベアトリーチェの圧政という独裁の時代を生きた生徒たちだ。
内戦時代には人死に等珍しいモノではなかった。事実、アズサは「お姉ちゃん」という育て親を失っているし、
圧政時代も、ベアトリーチェは積極的にアリウス生を手にかけなかったが苦しい環境下で衰弱していった者は居る。
ヒヨリ「で、でも、リオさんは未だ生きてます!私とサオリ姉さんたちが出来たように、また会えるんです!
だから、その、リアさんとしてでも1度会ってみても良いんじゃないかなって…え、えへへ…」
ナレーション
最期の方はどんどん尻すぼみしていって、何時ものような誤魔化し笑いが出てきてしまったが、
しかし、ヒヨリの言葉を笑える者は1人も居なかった。みんな、失う痛みを知っていたからだ。
だって、形は違えど、アリウスも、リオも、大切な誰かを死なせない為に戦ったのだから。
ヒヨリ「それで、もし仲直りが出来たら、みんなで一緒に焚き火しませんかっ!?
先生と約束したんです。カナちゃんと、サオリ姉さんたちと、アリウスのみんなと……
…大切な人たちみんなで焚火を囲ったら、きっと、あの日よりも暖かいですよねぇ」
ナレーション
にへらっと笑うヒヨリに、何故だか少しだけカナの姿が重なって見えて、サオリは静かに涙を落とした。
- 175二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 08:46:54
悲しいけど強いなぁ
- 176二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 14:36:18
焚き火良いね
盛大にキャンプファイヤーだ - 177◆VLlUGaOg9c24/12/14(土) 21:18:07
リア「私は…」
ナレーション
かつて、リアがアリスを殺そうとしたのは非情さからではなく覚悟から、大切な学友や後輩たちを守る為の行動だ。
それは結果として間違いだったのかもしれない。世界もアリスも守る道を見落としていたかも知れない。
けれど、その根底には愛があった。リア自身が思うような人でなしから生まれない、尊い願いだった。
そんな優しいリアが、ヒヨリの説得に何も思わない訳がなかった。
リア「…それでも、きっと、私はまた間違えてしまう…」
ナレーション
リアは文句なしの天才だ。才媛揃うミレニアムの歴史においても並ぶ者等、数えるほどいない大天才だ。
そんな大天才に生まれてしまったからこそ、リアの思考回路には「合理と計算」が焼き付いていて、その上、
大天才であるが故に自身の計算に絶対の自信があった。だから、自身の出した結論を疑わずに進もうとした。
そして今も自身の成せなかった全てが、自身の過ちであると「自分の結論」を過信して蹲っている。
つまるところ、リアは大天才であるが故に当たり前のことを学んでこれなかったのだ。
別に間違えても良いんじないか?
ナレーション
そして大抵の場合、天才の知らないようなことは、真反対のバカに聞くのが1番良い。
リア「カナ…?」
サオリ「早かったな?ティーパーティーでの緊急会議と聞いていたが…」
みんな疲れてたし、ミカも怪我してるからな。今日の会議は早めに終って、続きは明日からになった。
それで、何の話してたんだ?も、もしかして、小テストがあるのか!?
- 178二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 22:59:34
帰って来たか
- 179二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 09:24:03
保守
- 180二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 09:40:17
小テストは怖い
- 181二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 14:39:03
ほ
- 182二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 21:40:11
ナレーション
カナやヒヨリでもあるまいに、キヴォトス有数の才媛であるリアが小テストで一喜一憂することは無いのだが、
戻ってきたばかりで今一状況の掴めていないカナは何とも気の抜けた問いを投げた。
全員真剣な顔で話を聞いていたが故のギャップもあり、気楽なカナの振る舞いが余計に気の抜けた感じがしたのだ。
サオリ「…という訳でな。あまり無理強いは進まないのだが、こればっかりは私たちが変われるモノでもないし、
ベアトリーチェがわざわざカナに接触したというのも気がかりだ。
だから、リアの力を貸して欲しかったんだが………どうにも上手くいかなくてな」
なるほろ……大体分かった。
ナレーション
サオリの説明は端的で分かり易かく、リアが酷く悩んでいることもちゃんとカナに伝わっている。筈なのだが……
…説明を受けてからも、カナは変わらず柔らかい表情を浮かべていた。
分かった上で言うけど、別に良いんじゃ無いか?間違えても
リア「…何言ってるの?私はアリスを殺そうとしたのよ?
もし、また同じようなことがあれば、今度こそ死人が出ても可笑しくないわ」
ああ、そうだな。でも、リアのお陰でアリスの秘密が分かったし、アリスを生かす覚悟も決められた。
リアが居なかったら、何も分からないまま対策も立てられなくて、ケイに好き勝手されたかもしれない。
リア「…それは、もしもの話でしょう?」
…?「また間違えたら」はもしもの話じゃなないのか?もしかして、私、言葉間違えて覚えてたかっ!?
ナレーション
本気でビックリしたカナの言葉を前に、リアは思わず口を噤んだ。
- 183二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 21:41:50
決心できるかな
- 184◆VLlUGaOg9c24/12/15(日) 21:45:25
- 185二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:27:49
そういう要素があるのか…
- 186二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 07:46:05
なるほど
- 187二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 07:46:41
また間違えたらって確かにもしもの話なのに。そう考えてる当人はある程度明確にイメージしてしまうせいで、もしもだと思えないことあるのよなぁ。特にメンタルマイナスになってる時は
- 188二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 13:01:17
保守
- 189二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:12:28
ズバッと言えるのは強いね
- 190◆VLlUGaOg9c24/12/16(月) 21:58:26
アツコ「ううん、合ってるよ」
そ、そうか?なら、良かった。……あれ?じゃあ、結局、リアが言ってるのはどういうことだ?
ナレーション
思わず口を噤んだリアとは対照的に、どこか可笑しそうにクスリと笑いながらアツコが教えると、
カナは自身の無知を晒さずに済んだとホッと胸を撫で下ろす。と、同時に、再びコテンと首を傾げるが、
リアはどう返答すれば良いか分からず、カナの疑問に答えが返って来ることはなかった。。
…?よく分からないが、私は間違えてもいいと思うぞ?人間、誰だって間違えるモノだ。
リア「でも、私が間違えた所為でアリスは……」
ああ、死にかけた。でも、それはミレニアムのみんなを守る為だろ?
実際、アリスには……あれ?何だっけ?な…な…何とかの王女?の力があったし、制御出来ずに暴走もした。
そりゃあ、いきなり「お前を殺す」は急すぎると思うけど、危険を考えて対策を立てるのは必要だったと思うぞ?
リア「…ヒマリも、ユウカも、ノアも、エンジニア部やヴェリタスも敵に回った」
そりゃあ、いきなり現われてバーッと一方的に喋って、強引に連れてったら、「何やってんだ、お前」になるだろ?
何とかの王女とか、む…む…無能の司祭?とか言われても、それが本当に殺さないといけないほど危険なのか?
何か他に道がないか?考えたり、話し合ったり、し…試行錯誤?したり、そういうことをしようとしなかった。
リア「それは…っ!荒唐無稽な話だし、説得している時間さえ惜しかったから…」
じゃあ、周りは抵抗に回るに決まってる。だって、何の事情も分からないんだから共感しようがない。
リアは色々見えてたかもだけど、私には「危険なのでアリス殺しますね」位の情報しかなかったぞ?
それで「はい、分かりました。どうぞ持っていってください」は、私の方が冷酷だろ。
- 191二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:57:00
こればっかしはなぁ…
- 192二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 07:33:58
…そろそろかね
- 193二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 12:39:50
無能の司祭は草
- 194二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 17:29:39
保守
- 195◆VLlUGaOg9c24/12/17(火) 22:06:44
ナレーション
リアは大天才だ。大天才であるが故に周囲と違う視座でモノを見るのに慣れすぎていた。
自分には計算で簡単に分かることが、相手は何度説明しても上手く理解してくれない。そんな経験がありすぎた。
結局、リア…いや、リオの最大の失敗は何なのかといえば、自身の才能に振り回され過ぎたこと。
自身の頭脳だけを信じるに至った環境、その根源である天才性自体が、リオの最大の敵であり誤算であった。
リア「なら…なら…っ!?」
ナレーション
気がつけばリアは泣いていた。自分でも何が何だか分からないほど、追い詰められていた。
いや、そもそも、初めから余裕など無かった。ミレニアムから逃げだそうとした日からずっと苦しみ続けていた。
大切な居場所を捨てて、学友も、同僚も、後輩たちも敵に回してまで成そうとしていた全ては間違いでしかなくて、
自分はただ1人空回って後輩の命を危険に晒しただけ。その事実がリアの心の奥底にまで突き刺さり、蝕んでいた。
リア「なら、私は一体どうしたら…っ!?
ナレーション
それでも何とか逃げ出して、必死に新しい自分を作っていたのに、また舞台に引っ張り上げられようとしている。
その上、許されないと自らを呪い続けた過ちさえも、肯定されようとしている。
リア「どうしたらよかったのよっ!!?」
ナレーション
肥大化した強迫観念と夢にしても甘過ぎる誘惑、許されたいという傲慢と許されない罪、
相反する2つの大きなナニカに板挟みにされて、リアはとうとう反論ですらない叫びを吐いた。
…バカだな、リアは。ホントにバカだ。
そういう時はな、ただ単純に「すまん、助けてくれ」で良い。
- 196二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 22:07:11
ほ
- 197◆VLlUGaOg9c24/12/17(火) 22:18:19
- 198◆VLlUGaOg9c24/12/17(火) 22:20:31
- 199二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 07:34:49
お疲れ様です
- 200二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 08:47:03