- 1二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 16:36:32
- 2124/11/22(金) 16:37:06
・ほぼ捏造
・名無しモブしか出てきません
・時系列に矛盾あるかも
・ハッピーエンドではない
・スレ主はスレ立て初心者 - 3124/11/22(金) 16:40:14
1.海軍G-■■支部基地 訓練場にて 一等兵
はい、大尉は私の上司でした。
あの人は、どう言ったらいいのでしょうか、良い意味で海兵らしくない海兵でした。
威厳や迫力は全くと言っていいほどありませんでしたが、いつも礼儀正しく快活で私のような下っ端とも同じ目線で話してくれました。上下関係に厳しい上層部からは苦い顔をされていましたが大尉自身は気にしていないようでした。
若くして本部の大尉という地位にまでなったのにそれを鼻にかけることなく誰にでも優しく接し、しかし戦場に出れば先陣を切って果敢に戦い何よりも市民の安全を第一に行動する。
彼は私の目標でした。
まあ……確かに少々お人好しで、そのくせ不器用で、ちょっとだけ……いや、かなり抜けているところはありましたが。彼の補佐の中尉がそれに手を焼いている様子もしょっちゅう目にしましたが。
同じ「正義」を背負う海軍将校でも、安全圏でふんぞり返って指示を出しているだけの上層部とは正反対です。あの人の海賊に立ち向かう背中に、傷ついても立ち上がる粘り強さに、私は何度勇気を貰ったことでしょうか。
私だけではありません。
彼の下についていた海兵はいつもあの人の姿に背中を押されていたんです。
彼のような人物こそ真に海軍に必要な存在だと思っていました。 - 4二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 16:41:45
面白そう!期待
- 5124/11/22(金) 16:42:03
朝礼であの人の訃報を聞いたときは衝撃で目の間が真っ暗になるようでした。
聞けば、海兵に恨みを持つ海賊に騙し討ちに遭い、子どもを守って殉職したと。犯人はもう捕縛され、別の部隊によってインペルダウンに連行されたそうです。遺品もすでに遠くの親族のもとへ送られました。
大尉を殺したのがどこの何者かは伝えられませんでした。
きっと懸賞金もかかっていないほどくだらない野郎なのでしょう。
そんな奴に大尉を殺されたと思うと、悔やんでも悔やみきれません。
あの人はこんな所で倒れるべき人じゃない。これから先も何人もの命を救い、市民を守るはずだったのに。
本当に惜しい人を亡くしました。
犯人が今も檻の中でのうのうと生きているのかと思うと、はらわたが煮えくり返るような気分です。
そいつが例えどんな恨みや事情を抱えていたとしても、大尉を殺した犯人を私は絶対に許しません。 - 6二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 16:59:51
なんか…いっちゃ何だがこの海軍ちゃんとワンピの海軍か?
上下の規律に厳しいとか上層部が安全圏でふんぞり返ってるとか正直描写されてるワンピの海軍との乖離が酷いんだが - 7二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 17:01:21
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- 8二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 17:10:47
とりあえず待機
面白そうだ - 9二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 17:13:13
- 10124/11/22(金) 17:18:04
2.とある港町にて 町の老人
この町出身で海兵になった人……というと、角の食堂の息子さんかな?
懐かしいのう。あの子のことなら小さい頃からよーく知っとるぞ。
大きくなったら海兵になりたいと口ぐせのように言って、毎朝この通りを走ってたんじゃよ。
真面目で優しい、正義感の強い子じゃった。
彼の何が偉いって、ふつうは小さい頃の夢って変わるものじゃろう?
現実を知って諦めたり、自分より才能のある人に出会って挫折してしまったりと。
わしだって昔は世界中を旅する冒険家になって財宝を見つけて愉快に暮らしたいとか思ってたが、今となっちゃこんなどこにでもいるような道具屋のジジイじゃよ。
おっと、話が逸れてしまったな。
歳を取ると自分のことばかり喋るようになっていかんのう。
あの子はな、海兵になるっていう夢をずっと諦めなかったんじゃよ。
毎朝走るのも、チビっ子の一時の気まぐれではなくて本当に毎日毎日、それこそ国を出るまで続けていたのじゃ。
小さい子の他愛もない夢だと思って微笑ましく見守っていた皆も、それが何年も続けば本気だと察するようになる。気づいたらこの近所の連中はみんなあの子の夢を応援しておった。 - 11二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 17:18:35
このレスは削除されています
- 12124/11/22(金) 17:19:05
彼がこの国を出ていったのは……3年……いや、ありゃあ雨が降った年じゃから2年前のことじゃな。
反乱軍のバカ息子どもが帰ってきて少し経った後、入れ替わるように海軍の船に乗って行ったんじゃよ。
いいや、あの子自身は反乱軍には入っていなかったぞ。国が荒れて危険じゃから子どもたちを保護したいと言っておった。
だから彼は戦場には行かなかったんじゃが、それでも巻き込まれて怪我をしてしまっての。
怪我のせいかしばらくの間は元気がなかったが、それでも治ったらすぐに町の復旧を頑張っておった。海兵になる夢も諦めんで、本当に偉い子じゃよ。
まったくウチのバカ息子にも少しは見倣ってほしいもんじゃ。
今は何をしてるんか気になるな。海軍には入れたかのう?
元気にしてるといいんじゃが。
最近大きな事件が多いじゃろう? 年寄りには堪えることばかりじゃよ。 - 13二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 17:19:46
- 14124/11/22(金) 17:51:53
3.とある寂れた村にて 少年
知ってるよ。このお兄さん、悪い人なんでしょ?
だから、ぼくお父さんと協力してこの人をやっつけたんだ。
ぼくのお母さんがね、ちょっと前に病気になっちゃったんだ。
むずかしい病気だから村のお医者さんではなおせないんだって。夜も眠れないくらい苦しそうだから1日でも早くなおしてあげたいのに。
病気をなおすためには遠くの国のめずらしい薬がいるらしいんだけど、それを買うためにお父さんは最近ムリばっかりしてるの。
疲れてるはずなのにごはんを食べないし、家に帰ってくる時間もどんどん遅くなってるし。ぼく、お母さんには早くよくなってほしいけどお父さんがそんなふうにムリしてるのも嫌だった。
だからぼくも、毎朝ゴミを拾って食べものや燃やせそうなものを探したり、道においてある缶に入ってるお金を拾ったり、精いっぱいがんばったんだよ。
たまに怖いおじさんに殴られそうになるときもあるけど、それくらいなんてことないよ。
きっとぼくよりお父さんとお母さんの方がずっと辛い思いをしてるんだから。 - 15124/11/22(金) 17:52:59
そうしてたらお父さんに言われたんだ。
海兵のふりをした悪い人をつかまえればお金がもらえるから、お母さんの薬を買ってまた楽しく暮らせるようになるって。
ぼくはお父さんに言われたとおり、路地裏に隠れて大声で泣きまねをしたんだよ。
そしたらこのお兄さんがひとりで来たから、そこをお父さんが後ろからやっつけちゃったんだ!
そいつが倒れたところでお父さんが「家に帰ってなさい」って言うからその通りにしたんだ。だからその後はよくわかんない。
お父さんもあれから家に帰ってこない。
どうしたんだろう。
悪い人をやっつけたんだから、また三人で暮らせると思ったのに。 - 16二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 18:04:46
アラバスタ出身か…?
- 17二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 18:08:00
情報がジワジワ分かっていく感じおもしろいな
先の展開が気になる - 18二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 18:22:52
このレスは削除されています
- 19二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 18:31:37
- 20二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 18:39:33
基本誠実な海軍でもネズミみたいな汚職に手染めてる例外もいるしな
この海兵がそういう支部にいたってだけで済む話だし「っぽい」なんてそもそも曖昧な言葉だからスレ主は気にしなくて大丈夫
合わないスレは何も書かず離れれば良いだけ - 21二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 18:40:08
少年これ本当のこと知った時辛いな
- 22124/11/22(金) 18:44:21
4.とある港町にて 食堂の女将
……ええ、ええ。聞きましたよ。先日、海軍から電伝虫がありましたから。
息子は亡くなったのですね。
最後に話したのはいつだったかしら。
ついに大尉になれたんだと、電伝虫越しでも分かる本当に嬉しそうな声で話すのを聞きましたが、まさかあれが最後の会話になるなんて。まだ信じられない。
海軍の方からは、海賊から子どもを守っての名誉の戦死だと聞きました。
名誉と言っていただけるんならあの子も少しは報われるんじゃないかしら。
そうであってほしいもんです。そうであってくれないと。
海兵になるのは息子の昔からの夢でした。
悪い海賊から皆を守りたいんだと言って、暇さえあれば体を鍛えたり航海や武器の本を呼んだりしていました。
我が子ながらその情熱はどこから来るんだと疑問に思いましたね。私も主人も海軍に関わったことなんてないただのコックだし、海兵になれとも一度も言ったことがありませんし。
近所の人には息子は小さい頃から正義感の強い子だと思われていますが、もっと昔はそうじゃなかったんですよ。
泣き虫で気が弱くて、いつも親の後ろに隠れているような子でした。
やっぱりあの日、何かあったんでしょうか。 - 23124/11/22(金) 18:45:34
16年前のことです。
首都アルバーナで大きな市が開かれて外の国の珍しい食材が揃うということなので、私と主人は隣の香水店のご家族に2日間息子を頼んで首都へと行きました。
ご近所さんは家族も同然の信頼のおける方々だし、息子は当時まだ6つだったので砂漠を越えるのは大変だろうと思ったんです。
今思えば、無理をしてでも連れて行けばよかったかもしれません。
私と主人が不在の間に町が海賊の襲撃を受けたそうです。
息子もお隣の家族も無事だったのが不幸中の幸いですが、家や町は半壊していました。
後から聞いたところによると、息子と隣の娘さんがちょうど港の方で遊んでいるときに襲撃が起こってしまったそうです。
子ども二人で海賊に襲われるなんて、どんなに怖かったことでしょうか。
その次の日からでした。あの子が海兵になりたいと言い出したのは。
私は我が子を置いていってしまった負い目もあり理由を詳しく聞けませんでしたが、きっと海軍の方に助けてもらったのでしょう。
それ以来息子は本気で海兵を目指すようになったのですから、よほど強く印象に残ったに違いありません。
……あの子が言っていた言葉、正確には「海兵になりたい」じゃなくて
「海賊を倒して皆を守れるように、強くなりたい」だったかしら。 - 24124/11/22(金) 21:00:23
5.海軍G-■■支部 留置所にて 罪人
彼について、ですか。
すみません、ごめんなさい、償っても償いきれないことをしたとはわかっています。
どうか、どうか妻と息子だけは。
……すみません。分かりました、全て話します。
私は借りた土地で野菜を育てて、それを売って幾ばくかの小銭を得て細々と暮らしていました。
妻は家で針子として働き、息子は私の手伝いをしてやっとその日の食べ物にありつけるような生活でした。
しかし、妻が病気に罹ったのです。
元々私と妻の共働きでなんとか糊口をしのぐような暮らしをしていたものですから、当然稼ぎは減って生活は苦しくなりました。水しか口にできない日々が続きました。
何より、床に伏せる妻に薬どころかまともな食事すら食べさせてやれないのが辛かったのです。
誰にも頼れませんでした。
隣人も皆私たちと同じような、いやもっと苦しい生活をしているのは知っていました。
老いた両親の面倒を見ているふたりきりで見ている若い兄妹や、旦那を亡くして昼も夜も泣いている身重の未亡人にどう頼れというのですか。
金持ちの連中にすがったところで蹴り飛ばされるのが精々です。彼らは所詮私たちのことを家畜か虫としか思っていませんから。
そんな時でした。
息子がクロスギルドのビラを拾ってきたのは。 - 25124/11/22(金) 21:01:03
彼らが海賊だとは分かっています。
しかし、私たちは藁にもすがりたいほどに困窮していました。
彼らが提示する報酬はあまりに魅力的で、しかも相手が何者であれ必ず支払ってくれるというのです。
妻の病状は日に日に悪くなるばかりです。
このまま一家揃って飢えと病で死ぬのなら、海軍に謀反人として罰されて死ぬのも同じこと。
私は悪魔に魂を売る決断をしました。
息子に路地裏で大声を出させ、様子を見に来たあの海兵の頭を私がレンガで殴りつけました。そして息子を帰したあと、彼を動かなくなるまで殴り、首を絞めました。
……あなたに分かりますか。帰ったら病床の妻が首をくくろうとしていた時の私の気持ちが。
息子が腹をふくれさせようと泥水をすする姿を見た私の気持ちが。
あの海兵のことは気の毒ですが、私は私のしたことを悪いとは思いません。
私のことは死罪にでも縛り首にでもすればいいでしょうが、どうか、どうか妻と息子は、助けてください。
お願いです。 - 26124/11/22(金) 21:47:07
6.とある港町にて 香水店の娘
いらっしゃいませえ。……ってあれ、お客さんじゃない? 隣の息子について?
ああ……あいつ、亡くなったみたいね。隣のおばさんが泣いてたの見たよ。……ご愁傷さまです。
まあ家も隣同士だし、そりゃあいつのことは昔からよく知ってるよ。
言っとくけど断じてそういう関係じゃなかったけどね? あんな海兵になることしか考えてないバカ、ただのお隣さんってだけよ。
あいつが海兵を目指すようになったきっかけ、ねえ。たぶんアレじゃないかしら。
ほら、海賊に襲われたとき。
私も小さかったからあんまりはっきりとは覚えてないけどね。
あの時は隣のおじさんとおばさんが市場に行くとかで、あいつが私の家に預けられてたのよ。
それで……、昼間はヒマだったから、私が両親に内緒で港の方に行こうって誘ったのよ。あいつはやめとこうって言ってたのを私がむりやり引っ張って。
そこで、海賊に襲われたの。
……怖かった。乱暴に家もお店も踏み荒らして、刃物をつきつけて大声を出してくるんだもの。
私は怖くて足がすくんで動けなくなってたところを、あいつに手を引かれて死にものぐるいで逃げた。
でも、所詮子どもの足じゃ限界があって。二人まとめて殺されるってところで、
あの男に助けられたの。 - 27124/11/22(金) 21:47:49
あの男が海賊をふっ飛ばしてる間に私たちは壊れかけの家のかげに隠れた。もう走る体力なんて残ってなかったし、腰が抜けてたから。
そのへんに落ちてたボロ布を被って二人でひたすら震えてたっけ。
そうしているうちに、だんだんと騒ぎが小さくなって、海賊たちの悲鳴が聞こえてきて……。
気づいたら夕方になってて、私は両親の腕に抱かれてた。あいつの親も帰ってきたみたいで、二人して親に抱きついて赤ん坊みたいにわんわん泣いたものね。
私もあいつも、その時死ななかったのは奇跡みたいなものよ。
…………あの男、っていったらそりゃあこの国では一人しか居ないでしょ。口に出させないでよ。
まあ、確かに私とあいつが助かったのはあの男のおかげ、ってことになるんだけど……。
それも全部国を騙すための嘘だったわけじゃない!
私のいとこの兄貴は国王さまの軍に勤めてたの。
でも、2年前のあの反乱で戦って死んじゃったのよ。
それもこれも、全部あの男が仕組んだことなんでしょう? 許せるわけない。
そういえば、あの男…………また新世界で動き出したそうじゃない。四皇と組んで、大げさに広告を出したりして。
私たちにとっては国を奪おうとした極悪人よ。