(SS)猫はお腹で丸くなる

  • 1◆gfqukElXAllH24/11/22(金) 23:51:17

    私は猫である。名はたくさん有る。

    クロちゃん、クロスケ、にゃーさん、みーちゃん、ねこさん、ねこちゃん。
    人間たちはあらゆる名で私を呼ぶ。それらは確かに私の名で有るが、本当の名ではない。なれど、私の名である。

    「ねこさん、こんにちは! これから日向ぼっこ?」
    今日は何をしようか? そう考えていると一人のウマ娘が話しかけていた。
    特徴的な髪形の娘だ。私はこの娘の名は知らぬが、顔見知りだ。
    一鳴きして返事をする。そうだな、それも一考か。

    いいだろう、私についてくるといい。娘の目を一瞥し、また一鳴きして促す。
    今日は良い日和だ。日光浴には良いだろう。

    「今日はどこに連れて行ってくれるの? よろしくね、ねこさん」
    娘を先導するかたちで歩を進める。今日はあの空き地にしよう。森の中、ぽっかり開いたあの場所に。
    私以外は知らぬ、あの場所に。
    普段は獣道や塀を伝うが今日は違う。なるべく人の通れる道を選び歩を進める。まあそれでも娘は少々難儀していたが。
    距離にして3町程度。私の縄張りの中だ。人間の足ならば大した距離では無いだろう。

    さあ、着いたぞ。ここには誰も来ない。好きにするといい。
    一鳴きして伝えると、娘は礼を言うやいなや空き地の丁度中心に仰向けに寝転んだ。相変わらず無防備な娘だ。
    どうやら、そのままひと眠りするつもりらしい。どれ、私も付き合うとしよう。

    今日は暖かい。だが、地べたで眠るのは少々風情が無い。せっかくだ、娘の腹を借りるとしよう。
    娘に近づき、腹のあたりを前足で押して確かめる。なぜ、こんなことをするのか自分でもわからない。まあ癖のようなものだ。
    娘は何も言わずに私の頭を優しく撫でてくれる。済んだ日差しと相まって心地よい。
    腹の上に乗り、身体を丸める。毛皮越しに伝わってくる高い体温が心地よい。
    一刻ばかり、眠るとしよう。

  • 2◆gfqukElXAllH24/11/22(金) 23:51:38

    ──



    心地よい眠りであった。尻を持ち上げ、あくびをしながら体を伸ばす。後半刻もすれば日が沈む。
    娘は私の下でまだすやすやと寝息を立てている。さあ、今日はもう終いだ。

    爪を立てぬように娘の顔を前足で軽く叩く。起きない。
    今度は鳴きながら顔を叩く。起きない。

    まったく困ったものだ。今度は軽く爪を出し傷つけぬように軽く叩く……やっと起きたか。
    眠気眼で私の頭を優しく撫でてくれる。

    「ねこさん、おはよう。もう帰らないと、だね」
    そうだ、今日はもう終いだ。さあ着いてこい。気が向いたら、また連れて来てやる。

    次はいつになるかはわからない。何せ我らは気まぐれだ。
    だが悪く思うな。これは我らの性だ。

    さあ、ここまでくればよいだろう。一鳴きし、別れを告げる。
    また会えたら連れて行ってやる。



    ではな、名も知らぬウマ娘。

  • 3◆gfqukElXAllH24/11/22(金) 23:51:52

    誰かがわたしの顔を叩く。手にしては小さい。指にしては大きい。
    半分覚醒した頭では判別がつかない。わたしは半分夢の中。
    誰だろう? ぼんやりと考えていると、今度は『にゃあ』と話しかけられる。
    ねこさん? でもどうしてここに? そう考えていると、今度はちくりとしたものが顔に触れる。
    薄っすらと目を開けると、そこには黒い何かと金色の目。

    徐々に覚醒した脳がそれを理解する。
    そうだ、わたしはねこさんに連れられて、ここで日向ぼっこしてたんだ。
    『早く起きろ』そう言いたげにわたしの顔をたしたしと叩くねこさん。ふふっ肉球の感触が気持ちいい。

    ねこさんの頭を撫でながら、話しかける。
    「ねこさん、おはよう。もう帰らないと、だね」
    空は既に茜色。もう、帰らないと。

    わたしを先導するように前を歩くねこさんを追い、来た道を戻る。名残惜しいけど、今日はもうおしまい。
    そうこうしているうちに、見知った道に出る。

    「ねこさん、今日はありがとう。また連れて行ってね!」
    「んにゃー」
    返事をするように鳴くと、ねこさんはそのまま茂みの中へ消えて行った。
    伝わっているかはわからないけれど、きっと伝わったかな? そうだと思う。きっと。
    ばいばい、ねこさん。



    次はいつ会えるかな? また一緒に日向ぼっこしようね、ねこさん。

  • 4◆gfqukElXAllH24/11/22(金) 23:52:07

    以上
    ラインクラフトって日向ぼっこの時、猫と一緒に寝てそうだなと思って書きました
    猫になりたい

  • 5◆gfqukElXAllH24/11/22(金) 23:52:19
  • 6二次元好きの匿名さん24/11/22(金) 23:52:50

    可愛い!!!!!

  • 7二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 00:00:54

    平和of平和
    帰った後トレーナーかシーザリオに話してそうってとこまで含めてただただほっこりする話だ

  • 8◆gfqukElXAllH24/11/23(土) 00:56:44

    >>6

    クラフトも猫もかわいいよね


    >>7

    ありがとナス!

    ザリオやトレーナーのほっこり顔が見える見える

  • 9二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 01:20:52

    ねこさんを乗っけてお昼寝するクラフトは絶対かわいい…
    猫とクラフト両方の視点から見る世界観が温かくてめっちゃ良かったです…!

  • 10◆gfqukElXAllH24/11/23(土) 01:41:25

    >>9

    感想感謝

    ものすごく牧歌的で最高の景色だと思うんだ、一人と一匹だけの幸せ空間

  • 11二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 06:59:21

    とてもとても可愛いクラフトを見れた
    とてもとても感謝
    クラフトらしい暖かさがあって良かったです

  • 12◆gfqukElXAllH24/11/23(土) 12:34:48

    >>11

    感想感謝

    こういう平和な光景は何度でも見たい

  • 13二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 12:36:09

    例の花畑を教えてくれた猫かもしれない

  • 14◆gfqukElXAllH24/11/23(土) 20:26:14

    >>13

    かもしれないし別の猫かもしれない

  • 15二次元好きの匿名さん24/11/23(土) 21:43:09

    花畑案内してくれた猫って毛色とかの言及有ったっけ

  • 16◆gfqukElXAllH24/11/23(土) 22:44:08

    >>15

    無かった気がする

  • 17二次元好きの匿名さん24/11/24(日) 09:35:33

    せっかくいい話だったのに、自分の脳内でライトオが猫と聞きつけて乱入してきたせいで勝手に台無しになってしまった…

  • 18◆gfqukElXAllH24/11/24(日) 21:02:43

    >>17

    距離延長すればライトオの乱入は防げるゾ

  • 19二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 07:50:18

    このレスは削除されています

  • 20二次元好きの匿名さん24/11/25(月) 19:31:50

    このレスは削除されています

  • 21◆gfqukElXAllH24/11/25(月) 20:12:09

    >>19

    >>20

    こっちでもか……ままええわ

    残したいという気概は感じた

    でもこれ以上は保守せんでええぞ

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