- 1二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 11:09:04
「ーーじゃあ、里の防衛の稟議はこれで、それでシカマルには…」
「…おい」
火影の仕事をこなしながら、忙しく明け暮れていたところにシカマルに声を掛けられる。
「目に隈できてるぞ。あまり寝れてないのか」
鋭い言葉で顔が曇りがかっていたことに気づかされる。
「…いや、前みたいに過労でぶっ倒れたりはしないってばよ。体調管理も火影の仕事だからな…ただ…」
「ただ?」
「寝ちまうと…夢に出てきてしまうんだ…九喇嘛が…」
そう言うと、火影補佐官は目に手をあててうつむいてしまった。
「…お前がそうなるのも無理はない。お前にとっては…生まれた時から一緒の家族みたいなもんだったんだ。
だが、今の火影は、ほかの誰でもないお前だ。
気にするな、とは言わねぇ。だが、今は休め。話はそれからだ」
九喇嘛が死んだ、あの日のことを思い出していた。 - 2122/03/04(金) 11:11:27
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里を守る、木の葉を守ること。
しいては今まで関わってきた、里のみんなを守ること。
それは火影になったあの日から…、いや、火影を目指したあの日から誓ったことだ。
だから自分が死ぬことに悔いはなかった。
あの大筒木イッシキに敵わなくても、例え死者になっても里のみんなを守る。
九喇嘛に重粒子(バリオン)モードを提案された時からそのつもりだった。
だが実際はそうはならなかった。あいつだけが犠牲になってしまった。
里に戻ってきた後は身体検査と事後説明だ。そこでみんなに九喇嘛が死んでしまったことを伝えた。
里内でも賛否両論はあったが、火影としての今までの実績、それへの貢献、何よりオレの強い希望もあって最終的には慰霊碑にその名を刻むことが決まった。
かつては里を襲った九尾の妖狐だったが、今は里の守り神に加えられたことは、なんという皮肉だろう。
慰霊碑の前で弔いを捧げ、立ち竦む。秋雨が頬を濡らして、心を冷やしていく。
雨が、九喇嘛と初めて出会った季節の訪れを告げていた。
降りしきる雨音に混じる、草を踏む音に気が付いて後ろを振り向いた。
「イルカ先生…」
「久しぶりだな…ナルト…。いや、七代目火影さま」
そこには、師匠の死を告げられたあの日と同じように、アカデミー時代の恩師の姿があった。
「話は聞いた…残念だったな」
「いや…俺はいいんだ。ただ、あいつが、死んじまったのが……」
次いで普段は絶対に口に出さないことを言ってしまった。いや、言わざるを得なかった。 - 3122/03/04(金) 11:13:26
「ちょっと今はこう思っちまうんだ。俺が火影にならなかったら、あいつも死ななかったのかなって…」
「おまえ…」
「馬鹿なことを言ってるってことは分かってるんだ。火影を目指したのは三代目のじいちゃんや、イルカ先生、みんながいたからだ。
だから俺は命を懸ける気だったし、あいつも命を懸けてくれたんだ。
俺を…みんなを…救(たす)けるために…。
本当は、火影が後悔とか、親しい誰かに先立たれたからって慰霊碑に来るなんて、駄目なのかもしれないけれども…」
自分の九喇嘛への喪失感から言った言葉に、イルカ先生は何だか痛そうな顔をした。
そして、少しの間口をつぐんでいた先生が、昔のように話し始めた。
「昔、お前が巻物を盗んで騒ぎになったの覚えているか」
昔、一楽でラーメンを奢ってもらった時のような口調だった。
「…もちろん、覚えているってばよ。でも今なんでその話を…」
話の流れに困惑して、震えた声で返す。それに先生も決心したように話し出した。
「そうだな…あの時言った言葉は、嘘じゃない。今でもそう思っている。
俺の想像だが、あいつも…九喇嘛もお前が今まで努力してきたことを知っているから、力を貸して、最後は死ぬ覚悟でお前の力になってくれたんじゃないかと思うよ…。
…俺はあいつじゃないから本当のところは分からないけどな」
イルカ先生の言葉が、自分の中で反芻する。
確かにあの時言って貰った言葉は今でも俺の中に息づいている。
九喇嘛と初めて拳を合わせた時にも、その言葉を言った。言われたあいつは驚いたような顔を一瞬して、そしてはにかむように笑った。
だからあいつも、あの日あったことは知っていると思う。でもあいつがどう思っていたかは知らなかった。
「…わかんねぇけど、もしそうならいいなとは思うってばよ」
これはただの願望だ。でもそう思わずにはいられない。
こう思うのは、自分が大人になって責任を持つようになったからだろうか。 - 4122/03/04(金) 11:14:10
次いで先生は諭すようにこう言った。
「それに大人になったからといって、誰か親しい人を弔ったりしたらいけない訳じゃない」
そして慰霊碑を見つめながら言った。
「俺の両親亡くなってもう30年以上経つけど、今でも季節が来たらこうやって墓前で供養したりするんだ」
「先生の両親って…」
「あぁいや、責めているわけじゃないんだ。ただ何というか、大人になるって言うのは、亡くしたりした人を忘れるということではないんだ。
それに少しの間は気に病むのは、仕方がない。ずっとは駄目だけどな」
そう言って、懐かしそうな顔をしながら顔を向けられた。
「正直、俺はお前が火影になっても、いなくなった人のことを思いやれるようになって良かったと、思ってるよ…」
その時の先生の顔は、遠い昔、自分がまだアカデミーの生徒だった頃に向けられていた、教え諭すような、それでいて懐かしそうな顔をしていた。
「先生…」
「まぁでも今の火影はお前だ。しっかり里を背負ってくれよ、火影様」
「…あぁ、当然だってばよ」
九喇嘛と出会ったことは忘れない。その事はこの先も変わらない。
そしてこの先も里を守り続けることも変わらない。九喇嘛が守った、里を。
ずっと忘れないまま、生きていく。そう思っていた。 - 5122/03/04(金) 11:14:46
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それからしばらくたった頃のことだった。
「ボルトの楔から九尾のチャクラが検出された…⁈
それは本当か…!?」
カタスケからの報告で、ボルトの楔に異変が起きていることを知った。火影補佐官として傍で聞いていたシカマルも驚きの表情を浮かべる。
「ボルトの楔だが、今のところモモシキ化の解凍は薬で抑えられていると聞いている。
九尾のチャクラがあることで楔にどんな影響があるかは調べる必要があるが…」
「えぇ。今は科学研究班で詳しい調査をしています。詳しい事はまだ何も分かりませんが…」
「そうか。九尾のチャクラがどれだけの期間影響しているかも知る必要がありそうだな。恐らく“吸収”の能力を使ったのだろうが…七代目、心当たりは無いか?」
そうシカマルに問われる。少し頭を捻るがあまり心当たりが…いや一つだけあった。 - 6122/03/04(金) 11:15:16
「…もしかしたら、ジゲンと闘って封印されたのボルトたちに助けられた時に吸収されたのかもしれねぇ。その時にモモシキの意識が顕現していたらしいからな」
その言葉を聞いてシカマルはため息をつき、そして続け様にこう切り出した。
「ならボルトに事情を聞くしかねぇな」 - 7122/03/04(金) 11:16:05
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「いや…あの時は正直意識がぼーとしていてあんまり覚えてないってばさ…。でも何だか父ちゃんの近くへ寄って行ったような気が…」
そのボルトの言葉を聞いて落胆してしまう。
…いや、自分では落胆していないつもりだったが、落胆していたように見えたらしい。
そしてボルトから、予期しないことを問われた。
「なぁ、父ちゃん……やっぱ九喇嘛に…会いたいんじゃないの」
「……どうしてそう思うんだ…?」
もしかしたら声が震えていたのかもしれない。
夢の中で俺は12歳の頃に戻って、九喇嘛に会って、一緒に修行して、そして九喇嘛のチャクラもちゃんと操れて…
昔出来なかったことを夢の中で経験していた。
夢が自分の欲望の現れというなら、それは確かに九喇嘛に会いたくて、そして昔の少しの後悔があったのだろう。
そしてそれを、ボルトは見透かしていた。自分の息子ながら秀才で頭の切れる子供だと思う。 - 8122/03/04(金) 11:16:36
そしてボルトは俺の問いに、直ぐにこう答えた。
「…父ちゃん…最近家でも何だか呆けてるし…目に隈できてるし…それに寝言で、クラマ、クラマ、って何だか楽しそうに言ってたから、だってばさ…」
そんなことを言っていたのか、自分では全く気づいておらず、ボルトの言うことで初めて気が付く。
そして何も言わないでいると、ボルトから続けてこう言われた。
「うまく言えねぇけど…父ちゃん…なんか火影になってから"自分の人生"を生きているのか不安だってばさ…」
「…どういうことだ?」
ボルトの言っている意味が良くわからなくてそう問い直すと、ゆっくりとしっかりした口調で返された。
「…ヒマワリの誕生日とかもだけど、父ちゃんが火影の仕事と、父ちゃん業っていうか、そういうのを両立したいって頑張ってるのは分かってるってばさ…」
「ボルト…あの時は…」
「ああごめん、責めてるんじゃなくて…何ていうか、火影だから家族に会っちゃいけない、みたいのが嫌なんだってばさ…。オレは、九喇嘛にあんまり会ったことがないからどんな奴かあんまり知らないけどさ。
父ちゃんにとって、九喇嘛は昔からの家族なんだろ…?」 - 9122/03/04(金) 11:17:14
そう問いかけてくるボルトに対する答えはこれしかない。
「……あぁ、昔は色々あったけど、今はオレの相棒だ…」
「だったら、火影だから会いたいっていうのを望んじゃいけないとか、そういうのはナシだってばさ」
そう言い終わると、ボルトは姿勢を正してこっちを見つめて、そして口を開いた。
「カタスケのおっちゃんから聞いたんだけどさ、父ちゃんから貰った俺の遺伝子の中に九喇嘛の遺伝子が入ってるらしくて、それと楔に刻まれた九尾のチャクラを合わせたら九喇嘛を復活させられるかもしれない、だって。
カタスケのおっちゃんもアマドからそう聞いたらしいから詳しいことはよく分かんないだけどさ、俺も九喇嘛に会ってみたいし」
「いや、あのな。いくら火影だからって何でもできる訳じゃないからな。それだってお前に何があるか分からないし…」
「……勿論、楔の中の九尾のチャクラを抜いて大筒木化が進行するなら、その時は諦めるよ。九喇嘛もそんなことして欲しくないだろうし…。
でも、楔から抜いて何も起きないなら別にいいだろう!?」
「……ボルト…」 - 10122/03/04(金) 11:17:46
ここまで書いた。続き思いつかない。スレ画は挿絵のつもりで描いた
- 11122/03/04(金) 11:26:58
序
When 九喇嘛死後
Where
九喇嘛の死後、火影の職務があるとはいえショックで鬱のようだったナルト。
九喇嘛がいない生活は初めてで、火影になったことを悔やみそうになる。
イルカ先生と話す時に1話の話←伏線
ある日、ボルトの楔から九尾のチャクラが検出される。チャクラがある内は検出されない
→Why 九尾のチャクラによって楔が不安定化するため
九喇嘛のチャクラから復活する方法を知る
→どこで?
アマドから?
九尾のチャクラの影響を取り外すために、
破
九喇嘛は、一応は生き帰ったものの子狐のようであり、記憶喪失になっていた。
憎しみの塊だった頃の姿に逆戻りだが、ナルトにだけは「手を出すな」と言って執着を見せる。
九喇嘛自身は記憶を戻すことに執着しないが、ナルトは記憶を戻してほしいという。牙を剥いて威嚇しても怯まないナルトに根負けして九喇嘛は記憶を戻すために、今まで巡った場所へ行く。
(ナルトは本来火影なので、里をあける訳にはいかない。がジゲン戦のような「火影のいない里」では機能しないのでは話にならないので、実験も兼ねてシカマルとカカシで里の運営を暫定的に行い、ナルトの一括承認のみで里の改革を行う。この影響でナルトは多少里を抜けることが可能となる)
終末の谷など
ここで断片的に回想する。 - 12122/03/04(金) 11:27:11
急
九喇嘛の記憶が戻る
記憶が完全に戻ると不安定になり姿が消え始める。
ナルトには「記憶をなくした九喇嘛と「さいしょからやりなおす」」か
「未来で、記憶のある九喇嘛と生きる」かの2択を迫られる。
ナルトの判断と九喇嘛の記憶がリンク←回想に入る
・1話の話
・今までずっと見てきたことを示す
最後に九喇嘛は、あくまでこの再会は奇跡だったと言って冥界に帰ってしまうが、また会えることを示唆する。
プロットではこうなってるけど、面白いかはわからない… - 13122/03/04(金) 11:59:21
面白いですかね…何かいい展開ないでしょうか…
- 14二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 15:23:37
ナルトがクラマの死を引き摺ってるのと火影になってから自分の人生を生きてないってボルトに言わせるの良いな…
- 15122/03/04(金) 15:36:15
一応スレタイがこの小説の目的なんですよね…
アニボルで九喇嘛が死ぬ回放送された頃から書いていたんですが、小説書くの難しい…
そもそも需要があるのか、見たい人いるのか - 16二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 21:58:03
うーん…