- 1二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:04:15
「本日は御足労頂きまして、有難うございます。
いやぁ、一方的に嫌われてしまっているようで、お逢いして頂けないのではないかと内心憂慮していたが、寛大な判断、痛み入ります」
「御託はいい。要件はなに」
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「クックック。随分と警戒されてしまっていますね。私はただ、あなたとお話がしたいだけだというのに」
「後輩を巻き込むようなら、容赦はしないよ?」
「そう気を張らずに。先程も言った通り、あなたに私の仮説を聞いて頂きたいだけなのです」
「仮説?」
「はい。あなたは以前『セトの憤怒』と接触しましたね」
「・・・」
「苦い思い出でしょう。傷心を抉るような真似をして申し訳ありません。ですが、今しばらくの辛抱を」
- 2二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:05:14
「『セトの憤怒』の姿を覚えていますか。猛々しく、雄々しい、雷を纏った嵐の神。
その頭部には『目』のような器官を有している。
セトとは、ホルスと鎬を削った神の名です。親近感を覚えませんか? 『暁のホルス』」
「・・・それで?」
「クックック。ホルスは『ホルスの目』と呼ばれる特殊な目を所持しておりました。一方セトに関しては『セトの目』なる資料は見受けられない。不思議ですよね。ならばなぜ『セトの憤怒』は目の意匠を持ち合わせているのでしょう」
「・・・」
「そんな中、このような資料を発見しました。
Set (deity) - Wikipediaen.wikipedia.org要約いたしますと、セトはホルスに孕まされた際に頭部から円盤が顕現し、それは『ホルスの目』であり、セトはホルスの目を所持していたという解釈です」
「・・・お前は、私にセクハラがしたいの?」
「そう殺気立たないでください。『Eye of Horus』は下ろして。
私はただ、『ホルスの目を模したヘイローを持つ生徒』がいれば、それは『セトの神秘』を宿していることでしょう、と言いたいだけですよ」
「セトは『セトの憤怒』として独立しているんでしょ? そんな事を考えてなんの意味が」
- 3二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:06:08
「・・・ところでホシノさん。あなたは後輩の前では『おじさん』を自称しているそうですね」
「それがどうした」
「最年長であることを『おじさん』と称するユーモア、私は嫌いではありませんよ。
・・・そう睨まないでください。別に茶化したわけではありません。
ちなみに『おじさん』とは、どのような漢字を書くのですか?」
「いちいち考えたことなんてないけど」
「そうですか・・・。あなたの認識が知れれば、私の考察の補強になったのですがね。まぁいいでしょう。
私は、キヴォトスの生徒たちが何らかの神格・人外を宿した器だと思っていました。ですが最近、こう考えるようになったのです。『ただの少女の人格に、神秘を内包できるものか』? そして新たな仮説を立てました。生徒として、つまりは器の方にも何らかの力があるのではないか、と。現実に存在し、数々の偉業を成した偉人たち。それが器に組み込まれているのだとすれば辻褄が合う。
そうして私は、あなたにぴったりな偉人を見つけ出した。『オジマンディアス』。低迷したエジプト王朝を復権させたカリスマ的な王(ファラオ)です。」
「オジ・・・マン・・・」
「クックック。気に入って頂けましたか?
彼は自らを太陽神と崇めさせたそうです。合点がいきましたよ。ホシノさんが最高の神秘量を宿している理由が。単純な話です。あなたは器としてもまた『神』なのです。他の生徒の宿す神が一柱なのに対し、あなたは二柱宿している」
「・・・へぇ。それがわかって満足した?」
「いえいえ、俄然興味が湧きましたとも。伝説的な王の器でなければ収められない神秘。これほど心躍るテーマがありますか」
- 4二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:07:53
「オジマンディアスのミイラから、彼の毛髪は赤毛であったことが判明しています。そして赤毛の王族は・・・いえ、これはあとにしましょうか。
更にオジマンディアスのミイラは、輸送する際にパスポートが発行されました。さながら『どこでも入場券』と言ったところでしょうか。永眠できる安住の地を探す片道切符です」
「・・・趣味が悪いよ、お前」
「クックック。あなたのユーモアに釣られてしまいましたかね。
話を戻しましょう。オジマンディアスは歴史上初となる、平和条約を結んだ王です。懐かしいですね。エデン条約の際には、部外者であるアビドスの介入によって、複製(ミメシス)の統制が揺らいでしまいました」
「いいから続けろ」
「そう急かさないでください。お話は起承転結が大事なのです。これは商談ではなく『お話』なのですから。
このヒッタイトとの平和条約を結ぶ切っ掛けとなった『カデシュの戦い』。そこでオジマンディアスは大きな手傷を負わされました。あなたも『列車砲シェマタ』の一件で、空崎ヒナに遅れを取ったと」
「・・・なんでそこでヒナちゃんが?」
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「いえ、そういえば嵐の神『バアル』はウガリットの神だったなと。そしてヒッタイトはウガリットに徴兵を要求していたと、不意に思い出したもので。お気になさらないでください。
ヒッタイトとの平和条約の写しは、エジプト側はラー・アメンの神殿に、ヒッタイトは雷を武器とする嵐の神にして神々の王『テシェブ』の神殿に安置されました。なにか思うことはありませんか?」
「嵐の神・・・セトと同じ・・・」
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- 5二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:08:26
「そうです。セト・バアル・テシェブは度々同一視される嵐の神。すると『セトの憤怒』の見え方が変わってきます。
『セトの憤怒』が顕現したのはホルスに呼応したからではなく、平和条約を破られた『テシェブの怒り』だったのだと」
「『セトの憤怒』が、セトじゃない、と」
「はい。そもそもなぜ、『セトの憤怒』の名はセトではなく、憤怒と普通名詞がついているのでしょう。これは本来の名を隠した名残なのではないかと私は考えていました。
怒りを示す『Fury』。それを『Wrath(ラース)』に置き換えれば太陽神ラーを指しているようにも聞こえる。つまりセトの憤怒の真名は『アメンの憤怒(Wrath of amen)』。転じて『ラー・アメン』。アメンは雷霆(ケラウノス)を持つゼウスとも同一視され、そしてエジプトに安置された平和条約の写しが安置されているのもまたラー・アメンの神殿。セトの憤怒はエジプト・ヒッタイト平和条約が破棄された際に現れる災害なのです。さながら『セトの憤怒』の目は、悪い子を見張るお天道様と言ったところでしょうか」
- 6二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:09:12
「・・・ふぅん。それで?」
「まだおわかりではないのですか? これで『セトの神秘』が空座になったことを」
「・・・だから、それが?」
「先ほどオジマンディアスの髪色について、保留した事がありました。赤毛の王族は主に、オシリスを殺した『セト』に関連付けられます。」
「・・・」
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「それだけではありません。あなたの自称「おじさん」呼び、砂狼シロコさんに対して初めておこなったそうですね」
「どうしてそれを・・・」
「クックック。先程「おじさん」の漢字表記を聞きましたね。それはもしや「小父」ではなく、血統を同じくする「叔父」なのではありませんか?」
「・・・」
「死の神(アヌビス)はオシリスの子です。そしてオシリスはセトの兄。『叔父さん』は、あなたの内なるセトが発した言葉ではありませんか?」
「・・・」
「そういえば、先程『ホルスの目を模したヘイロー』の話をした時、あなたは特に顔色を変えませんでしたが、これは失敬。あなた達キヴォトスの方々は『ヘイローの形状』が見分けられなかったのでしたね。
それではこちらをご覧ください。我々が開発した空間認識装置が出力した画像です。これならば、あなたにもヘイローの形状が認識できます」
「目・・・これが私の・・・ヘイロー?」
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「ご理解いただけましたか? 私は詫びなくてはいけません。あなたを『暁のホルス』など呼んでいたことを」
「・・・私がホルスじゃなくて、セトだからなんだっていうんだ」
「特に何も。強いて言えば、セトはオシリスを殺した神。あなたも『殺した』ことがあるでしょ?」
「!!!!」
- 7二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:10:23
- 8二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:10:40
- 9二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:11:14
- 10二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:11:33
- 11二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:12:07
てな感じの軽めな考察系SSください。
- 12二次元好きの匿名さん24/11/26(火) 22:13:17
ブルアカにセトが出るなら暁のホルスの対になる、黄昏のセトだろうなぁとか思ってた
- 13二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:00:45
書けなかったセト考察
趣味:ごろごろする→ゴロゴロの実的な意味で雷
クジラ:カバはセトアニマルと呼ばれる獣の一つ。カバの姿でホルスを襲った際に槍で足と睾丸を潰され敗北。クジラとカバは鯨偶蹄目で近縁種
夜間パトロール:セトはラーの夜間の旅での守護者
小鳥遊:外敵(鷹)がおらず、コトリがのびのびしている様。ホルスは鷹の頭をした神であり、ニュアンスが合っていない
ホシノ:保守・ノ ノとは旧約聖書のエゼキエル、エレミヤ書において「ノ・アーモン」と記された街を指しているとされる。ノ・アーモンはネウトアメンのこと。ネウトアメンは首都「テーベ」のこと テーベはオジマンディアスの墓所がある場所。その他王家の谷、カルナック神殿(列柱の並ぶ遺跡)
antiqueseraphim:アイドル衣装から逃げる1年組を追うが、返り討ちされ倒れる。バステト、イヒのもつ楽器「シストラム」はセト避けの儀式に使われる。トートは孕んだセトの頭に現れた円盤から、セトの頭を割って生まれた伝承がある。 - 14二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:01:40
なにこれ
好き - 15二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:02:10
長い、三行で頼む
- 16二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:21:20
刺さるスレだ
- 17二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:28:43
>>5辺りから普通にキバヤシ化してるんだが
- 18二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:41:31
全然わからんぞ!?(つまりどういうことだ)
- 19二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 00:46:30
- 20二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 06:38:55
「ん。来てくれてありがとう、先生」
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”シロコからの頼みだからね”。それで、どうしたの?”
「ゲマトリアについて・・・いや、『黒服』について、ちょっとね」
”黒服・・・?”
「最近、動向が掴めなくなった。以前ゲマトリアを襲撃した時・・・つまり、私と色彩の嚮導者が空を赤く染め上げた時、私達はゲマトリアの保持する技術を簒奪したの」
”虚妄のサンクトゥム・・・F.SCT攻略戦のときだね”
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「ん。あの時は、私もいっぱいいっぱいで・・・その、ごめんなさい。先生の・・・プレナパテスの考えにも気付けずに、私は先走ってた」
”しょうがないよ。それは無名の司祭に差し向けられていたことなんだから”
「うん・・・ありがとう。だけど、プレナパテスにとっては、私の空回りも計算の裡だったみたい」
”どういうこと?”
「私はずっと、プレナパテスのことを『使って』、こっちのキヴォトスを滅ぼすことに躍起になっていた。それは使命で、死の神(アヌビス)の神秘で、そしてヤケになった私のエゴ。まるで妖婦のような醜い生徒だった。
それでもプレナパテスは、ずっと私を見ていてくれて、私を思って、色彩と私を繋ぐ小径(パス)に徹し続けた」
”・・・プレナパテスは、立派な先生だったんだね”
「・・・うん。私の大切な先生。
”シロコは死の神(アヌビス)じゃない。君はみんなの魂を連れる先導者で、誰にも負けない『神よりも強力な鋭い矢』だ。”なんて言ってたっけ。あの頃は無名の司祭に言わされているだけと聞き流しちゃったけど、思い返してみれば、色彩に飲まれた状態でも意思を保ち続けていたプレナパテスの本心だったんだね。ひどいことしちゃったな」
ウプウアウト - Wikipediaja.wikipedia.org