- 1二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:02:46
いつもの様にトレーナー室で書類仕事をしていたら、突然携帯が鳴った。誰からだろうと思いながら画面を開くとシービーからだった。
内容は『一緒に昼食を食べない?いつもの場所で』との事。時計を見ると時刻は11:30。まだ授業時間中な気がするのだが大丈夫なのだろうか?そんな事を考えながら『分かった』と短く返信をし、元の仕事に戻る。
昼休みのチャイムが鳴り、校内が俄かに騒がしくなる。僕も弁当を片手に屋上に上がるとシービーが待っていた。
「トレーナーさん。待ってたよ。」
「待たせてごめん、自販機に行列が出来ててさ。」
申し訳なさそうに少しだけ視線を逸らすと、シービーがニコッと笑った。
「ふふっ冗談だよ。私も今きたばかりだから」
そう言うとシービーは屋上のベンチに腰を掛け、僕もその隣りに腰をかける。しかし、シービーの手元には自身の弁当がない。
「もしかして、シービー・・・寝坊した?」
「うん、寝坊しちゃってお弁当作って無いんだよね〜だから、トレーナーさんのお弁当少しだけ頂戴」
僕の顔を覗き込みながら、悪びれずにニコッと笑う。相変わらずのヒモ男っぷりだ。それに対して、弁当を半分渡す僕も中々の貢ぎ女だ。
「ねぇねぇ、トレーナーさん。もう一つ頼み事があるんだけどいい?」
今更、どんなお願いでも別に驚きやしない。良いよと即答する。
「ね、私にあーんして。」
「えっ」
何も驚かないぞと思っていたが、流石にこれはマズいだろう。以前、僕がシービーに膝枕をしてあげたら丁度その瞬間をデジタルが見ていたようで、色々大変だったのにもしもこれを他の生徒に見られたら、学内新聞の一面に『ミスターシービー、担当トレーナーとの熱愛発覚!!』とデカデカと書き出されて、どこに行っても変な目で見られる事だろう。
そんな事はごめんだ。流石に今回ばかりはダメだとはっきり言った方が良いだろう。 - 2二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:03:14
「シービー・・・流石にそれはマズいって年頃の女の子と男性が二人で弁当をシェアしているのですら問題なのに、更に食べさせて上げてるなんて・・・学内紙に何て書かれるか知れたもんじゃない。」
そうすると、シービーが肩を落としながら顔を伏せ、この世の終わりのような悲しい声で喋り出した。
「えーそれなら、私は今日のお昼抜き・・・午後には体育の授業が入ってるのに、何も食べてないから全然、動けなくて先生から体調が悪いのかって聞かれたら、トレーナーさんがお昼を食べさせてくれないからって・・・」
「分かった、分かった。御所望の通り食べさせてあげるよ・・・でも、この事は内緒だからね。いい?」
そんな事になる位なら熱愛報道の方が百倍マシだ。あーんでも口移しでも何でもしてやる。
「本当!?やった〜トレーナーさん大好き!!」
と言うや否やシービーが僕に勢いよく抱きついた。たったこれだけの事でここまで喜ぶなんて・・・と思いながら、弁当を開いていたが、よくよく考えればシービーのコロコロした笑顔を見れば全部チャラにするかと思っている自分も中々、安い男なのだろう。
ー了ー - 3二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:05:20
- 4二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:06:23
あっ!!!!(大量のトレシビを摂取して死ぬ音)
- 5二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:07:17
ほーん、ええやん
もっと描いて♡ - 6二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:07:54
このシービーは卒業後にトレーナーさんを離さないタイプや...
- 7二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:10:33
シービーにはこの前の弁当のお返しって言ってパンを買ってきてトレーナーにあーんしてあげてそう、トレーナーは「いや、自分で食えるから!」って言うんだけど「私の好意なんだけどなぁ...」ってちょっと寂しそうな顔するから「こ、今回だけね...」って言って結局あーんされちゃうんだよね...
そんでデジたんがまた死ぬと - 8二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:14:36
今俺ss読んだ後天界にいるんだけど、デジたん死にすぎだろ、閻魔大王に出禁くらうぞ
- 9二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:17:35
ダメだもう俺の中ではシービートレはお兄ちゃんみたいなちょっとオドオドしてる感じで可愛いタイプのイメージが固まってしまう...そんでもってシービーが調子悪いことは一瞬で見抜くみたいなシービーキラーの所も持ってそうみたいな感じになってる...
- 10二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:19:12
からかっているのか、結構本気でしょげたり喜んだりしているのか分からない絶妙なバランスですよ
- 11おまけ その122/03/04(金) 17:35:37
その日の午後・・・ターフでシービーと共にアップ終えた時に丁度、ルドルフとそのトレーナーがターフに降りて来た。ルドルフが僕の顔を一瞥するなり深刻な表情になり僕にこう耳打ちをした。
「今日の昼休みにシービーが君から口移しで昼食を食べさせて貰ったと言っていたのだが・・・それは本当かい?」
「えっ!?いや・・・そんな事は無いけど・・・」
「そう・・・だよな。私もそうだと思っていたのだが・・・いや、シービーの事だからもしかしたら・・・と思ってな。」
お互いに小さくうなづきながら距離を取り、ルドルフはまたトレーナーと共に歩いて行った。はぁ・・・・・・・やりおったな。
「ねね、トレーナーさん。ルドルフが何か耳打ちしてたけど、どうしたの?」
「シービーさん。今、ルドルフさんが僕になんて言ったと思いますか?」
「えっ・・・なんだろう?もしかしてデートのお誘いとか?」
シラを切る気なのか本当に知らないのか・・・。兎に角、今日という今日は本気でとっちめてやる。
「ふざけないで下さい。」 - 12おまけ その222/03/04(金) 17:36:04
どうやら、流石のシービーも僕がお冠だと言うことが分かったようで、少しだけ声のトーンが落ちる
「えっ・・・もしかして、本気で怒ってたり・・・する?」
「えぇ、本気です。今日の昼の話し、なんでルドルフさんが知ってるんですか?それも、かなり捏造された形で」
そう言いながら俺は、一歩一歩シービーに躙り寄る。
「ね、捏造なんて聞こえが悪いよ・・・本の冗談〜」
「シービーーーーーーッ!!」
と僕が叫ぶや否やシービーが勢いよく走り出した。ヒト息子の僕にウマ娘であるシービーに追いつける訳が無いが、兎に角全力で追いかける。 - 13おまけ その322/03/04(金) 17:36:20
「なぁ、トレーナー君。あの二人は本当に仲が良いんだな。」
ストレッチを終え、軽く足を伸ばしているルドルフが自身のトレーナーに呼びかける。
「・・・そうだね、もしかしてルドルフもこんな事がしたいの?」
ノートPCを見ていた彼は、画面を見ながら生返事で答える。それを流し目で見ながらルドルフは、音もなくトレーナーに近寄る。
「ふふっ・・・いや、まさか。私たちには私たちなりの絆の深め方があるのだから、別に比べる必要もないだろう・・・こんな風にな。」
と言い終わるや否やパソコンと睨めっこしているトレーナーの顎をクイと持ち上げトレーナーをジッと見つめる。
「あ、あぁ・・・ごめん、ルドルフ。」
「ハハッ、相変わらず君はかわいいな。本当に。」
ルドルフの瞳の輝きがより強さを増したその後ろで、シービーとトレーナーが仲良く追いかけっ子をしていた。
ー了ー - 14二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 17:38:12
- 15二次元好きの匿名さん22/03/04(金) 18:38:01
素晴らしいSSありがとうございます!