- 1文字書き いちか24/11/27(水) 22:28:36
元スレ
【閲覧注意】ここだけアスラン(♀)、ただし|あにまん掲示板bbs.animanch.comこのスレはこちらのアスラン♀のいるハーレム世界線の世界観を引き継いだ三次創作で、元スレでSSを書き足りなかったスレ主がまったりお話を投下していくものとなります。
わちゃわちゃきゃっきゃしたりイチャイチャしたり時々シリアスしたり、急に湿度ジットリになったり激重になったりします。
- 2文字書き いちか24/11/27(水) 22:34:52
前スレ
【閲覧注意】アスラン♀ in ハーレム時空|あにまん掲示板元スレhttps://bbs.animanch.com/board/3913535/このスレはこちらのアスラン♀のいるハーレム世界線の世界線を引き継いだ三次創作で、元スレでSSを書き足りなかったスレ主…bbs.animanch.comハーレムは元から女の子のアスランに加えてラクス、フレイ、カガリによるキラの精神安定を確保する完璧な布陣(何やらそれ大丈夫なのかという子も居ますがスルーの方向でお願いします)
タイトルにあるようにアスランがエピソードの中心になりがち、スレ主の趣味と独断でキラアス♀描写多め、他は余り期待し過ぎないように願います。
なお、元スレ主≭スレ主ですご注意ください。
という事で、元スレでSS書いてた自分が自己満の為に自らスレ立てました。
(今回、元スレで会話のみのSSでは状況描写が不十分として一部に地の文を追加しております)
どうぞスレ主が気の済むまでの間、この世界線に今しばらくお付き合い下さい。
何卒宜しくお願いします。
また、感想的なコメントなどは随時歓迎。こんなの見たい的なシチュ等もゆるく募集しております。
勿論総てにお応えは出来かねますので、その辺りは寛容の精神でお願いしますね。
なお、スレ主のモチベ維持の為、これ好き!と思ったらハートだけは是非遠慮なく押してって下さい(切実)
- 3二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 22:36:59
スレ立て乙です!!
もう全部好きですが体調不良とかやはりよいですよね!あとお買い物も良かったです! - 4二次元好きの匿名さん24/11/27(水) 22:39:08
たて乙です
- 5文字書き いちか24/11/27(水) 22:41:54
登場人物(元スレエピローグ時点での状態+スレ主設定)
キラ・ヤマト
このハーレムの主。
夜のコーディネイターレベルは1D100=75(1ほど一般男性寄り100ほど人間の皮を被った人外)
戦後精神を病んで以降、中々けしからん状況になっている。
並列で4人の女の子それぞれに対しかなりグラヴィティな恋愛感情を向けていて、恐らく独占欲は強め
のんびりほわほわしているように見えて愛情だけは超重い旦那様(人数分なので都合4倍で)。
何だかんだで気付いたら完成していたラクス作のハーレムをすっかり受け入れている模様。
現カノ、前カノ、双子の片割れ、幼馴染…って内訳を書くと、中々アレな感じはしているけども - 6文字書き いちか24/11/27(水) 22:43:50
ラクス・クライン
誰が呼んだか魔王様。正妻の座だけは譲れない。
戦後病んだキラの為にハーレムを作るべく彼が大事にしている女の子たちを集めたある意味震源地。
フレイとは軍師と参謀のような関係で何かと息がぴったり揃いがち。
アスランを妹のように思っており、若干シスコンの気配があったりなかったり…? - 7文字書き いちか24/11/27(水) 22:45:17
フレイ・アルスター
本編と違い死を免れた少女。嫁その2。
キラとはキッパリと決別し、親戚の伝手を頼りに地元へ帰ろうとしていたところを引き入れられる。
どういう訳だかラクスとはいいコンビで、馬が合うのかいつも二人で何かを画策 ( ) している事が多い。
天然やボケ多いせいか、いつもツッコミに回りがち。
キツめの口調の割に何かと絆され易く、気付けばついつい誰かの世話を焼いている。 - 8文字書き いちか24/11/27(水) 22:47:21
カガリ・ユラ・アスハ
言わずと知れたキラの双子の片割れ。嫁その3。
現オーブ代表にしてハーレムのインモラル係数を一人で計測不能の限界値まで押し上げる張本人。
唯一、隠れ家に住み着かず通い妻をしているので不在な事も多い。
一応の常識枠、何かと暴走しがちなラクスとフレイに頭を悩ませている。
その胸中や…如何に。 - 9文字書き いちか24/11/27(水) 22:51:14
アスラン・ザラ
キラの幼馴染で元ザフト。嫁その4。
物語の語り手。
戦後、放って置いたら死にそう感を漂わせていた事もあって、最終的にラクスによってハーレムへと引き込まれた。
戦いを知らない頃のキラを唯一知る存在であり最大の理解者で、支えるべき彼に依存している重い女でもある。
諸事象から自身に無頓着で女の子らしい服装などを拒絶していた(徐々に緩和中ではある)。
普段の口調からは想像しづらいが、中身はかなりの照れ屋で純情。
尚、未だに女同士の下世話な話には付いていけない事が多い。
自己肯定感低めで実はコンプレックスの塊。 - 10文字書き いちか24/11/27(水) 23:00:56
…そんな訳で、2スレ目になります
どうぞ今暫く、妄想を垂れ流すスレ主にお付き合い願えると幸いです - 11文字書き いちか24/11/28(木) 01:12:10
- 12二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 05:57:53
書きたいように書いてくださいワクワクしながら待ってます
- 13文字書き いちか24/11/28(木) 11:32:36
一先ず進捗ですかね
書き進め易い地の文補完SSですがキラアス二人きりシチュのものは前スレで書き切っているので、それ以外の話から…という事になってます
ウェディングフォトとハロウィンの数パートに分かれているものは少し後回しにしますが、短そうなものを見繕って書き始めています
筆の進みが好調なら今日中で行けそうでしょうか
その裏でメモ書きの方からのシチュも一応…
ちなみにですが>>11の絵は髪の長さから見て隠れ家に来たばかりの頃辺りのつもりで描いていました(だいぶ中性的ですが、これでも一応骨格は女の子で描いてあるのです)
彼女は比較的女の子としては背の高い方寄り(運命時のキラより気持ち小さいくらい)胸がそれなりにある(CからD相当)ので間違われたりはないですが、雰囲気自体はだいぶ男っぽく服装もメンズのものを好んで身に着けていることから後姿だけだとだいぶ間違われ易い…そんな感じの出で立ちです
身なりにほとんど気をかけていなかったのと精神的に張り詰めていたりなどで、ザフト時代辺りはもっと荒んだ印象だったはずですが、元スレ最後辺りで書いていた時系列くらいだと雰囲気含めて女性的な色気が漂ってはいるのではないでしょうか
やっぱり恋をしていると女の子は変わりますよねぇ…
- 14二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 12:37:16
次スレだ!やった!
スレ主の無理のない範囲で進めてください!
楽しみにしています! - 15二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:07:52
このレスは削除されています
- 16二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 02:57:41
とりあえず最初は服装のチェックからされたんだろうなアスラン
- 17文字書き いちか24/11/29(金) 05:42:24
お待たせして、申し訳ありません
ちょっと別のが降りて来たものがあり、そっちに少し割いていたもので…
悪い癖だとは思うのですが、元々ムラっ気があるのもあって何とも言えません
取り敢えず、今日中には1つ目投下は行けるかなというところです
アスランが隠れ家に移り住む為に遣って来た時、荷解きを手伝おうとしたラクス辺りから持ち込んだ荷物の少なさにたぶん驚かれたのではないかとは思っています
流石に身一つって程ではなかった筈ですが、私物はかなり少なかったんじゃないかとは
たぶん家出の持ち出しくらいの量の荷物だけで遣って来て、荷物は後から来るのかなと思ったら本当に最初に持ち込んだ分だけだった、みたいな感じ…(軍属だったこともあり基本的に私物は余り持たないというのもあったので)
なので彼女の私室に今ある私物の大半は住み付いてからのものじゃないでしょうか
それから各々に個室が割り振られては居ますが、女の子たちの部屋でキラがあまり気にせず出入りしているのは実はアスランの部屋くらいの筈です(たぶん隣に住んでいた頃の感覚で遣っているせい) - 18二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 11:48:29
- 19文字書き いちか24/11/29(金) 16:28:54
- 20文字書き いちか24/11/29(金) 22:06:20
「ちょっと、あんたそこで何をしているのよ」
髪を無造作に掴んで鋏を入れていると制止するような強い調子の声がして、思わず手が止まってしまった。
声のする方を見ると、燃えるような赤毛の少女…フレイが少し険しい顔をして見ていてこちらに近寄ってくる。
「……見れば解ると思うが」
「そういう意味じゃないわよ。そんなに無造作に髪切って…ちょっとその鋏貸しなさい、毛先だけでも整えてあげるから」
ほら、と苛立たしげに手を差し出され、私は戸惑う。
華やかな印象と気の強そうな雰囲気もあって近寄り難く距離を取っていたから彼女の方から、こんな形で話し掛けて来るとは思っても居なかったのだ。
怖じせず、何でも遠慮をしないで思った事を言えるハッキリしたタイプ…同性の友人すら居なかった私から見れば、別の世界の住人のような少女。
……そして、キラが初めて愛した…。
胸の奥がチクリと痛む。
何より住まいを移すに当たりキラの為のこの環境の説明を受けてはいたが、未だに腹の決まらない私はまだこの場に於いては部外者のようなものだ。
幼馴染であるが故にただ彼に望まれただけの。
「いや、君の手を煩わせる訳にも…」
だからやんわり断ってこの場を離れよう、そう思っていた。
「あぁもう、煩いわね」
「……っ」
気遣いなど要らないと口を開きかけたところをピシャリと跳ね除け、じれったいわ。そう言って私の手から鋏を半ば強引に引っ手繰ると、毛先の長さもガタガタな荒れた髪を指で掬い上げる。
「…ほら、ジッとしてるのよ」
そうして棘のある口調からは想像も出来ないような優しい手付きで、整える為に髪に無言で鋏を入れ始めた。
「……私のこと、気に食わないと思っていると思ってた」
何も言わず毛先を整え始めたフレイに戸惑いながら、私はふと隠れ家に来て以来彼女に対して思っていた事を小さく呟くように言葉にした。
顔が見えないせいか、少しだけ話しかけられそうな気がしたからだ。
それを聞いたフレイは髪を切る手を止めず、先ほどより落ち着いた声で静かに答えてくる。
「そうね。元ザフトだし、キラを苦しませる一端だったし。…まぁそれに付いては私も散々彼を焚き付けたからあんたの事は言えないわね」
その言葉の後半には少し自嘲的な響きがあった。
「あれは…」
思わず口にし掛けて口ごもる。 - 21文字書き いちか24/11/29(金) 22:25:32
取り敢えずの一投めはこちら、フレイに毛先を整えて貰う話、の前編になります
この段階ではアスランは隠れ家に引っ越して来ただけでまだ添い寝の決心が出来ていなかった為、ただの居候状態でした
なのでラクスに煽られるのはこの少し後、彼の初恋の相手が自分だと知るのはもっと後です
この辺りでしか見られない彼女からの片想い感が実は貴重かもしれません
そして対するフレイの方も、よく知らない相手である彼女をどう扱うべきかと考えていた時期でした
…まぁ最終的に、こんなの放っておけないと世話焼きに入る事になる訳ですがね
(蠍座と魚座は同じ水の星座という気質の方向が似ている為、根っこの部分で相性自体はいいので問題はないだろうなと思いながら元スレで書き出していた当時の記憶) - 22文字書き いちか24/11/30(土) 04:28:15
互いに大事なものの命を奪い奪われ、最終的に殺意を向け合いその末に味わった絶望を思い出しかけたからだ。
「それから…口数少なくて何考えているのか解らないし、キラが居ないとすぐどこか一人で行っちゃうし」
どうやら彼女はこちらの反応を待っている訳ではなかったようで、一方的に話を続けて来る。
「私ね、最初あんたが来るの反対だったのよ。キラの幼馴染だって聞いたけどまともに顔だって知らなかったし」
初対面の時点で余り歓迎されていないというのは薄々感じていた。
最初の日に紹介をされた時に見たあの探るような厳しい視線を思い出し、やはりそうだったのかと心の中で呟く。
でもそれならば何故、彼女は今こうして私に話しかけているのか…。
そんな思いでその言葉を聞き続けていると、疑問の答えはすぐに彼女自身から返ってきた。
「でもあんた、見かける度にずっと何かを堪えるように淋しそうに遠くを見てるばっかりで、キラの傍にいる時だけ元気だった…」
一旦彼女はそこで言葉を切り、少しの間沈黙する。
けれども鋏が髪を切る音は途切れる事はなく、微かに耳に届いていた。
「あんたの事誤解してたところがあったんだなって、気が付いたの。それに私たち、この先ラクスがうっかり解散とか言い出さない限りはずっと一緒よ。仲良くとまでは言わないけど、もう少しあんたに歩み寄らなきゃって」
思う事が多過ぎて、私はそれをただ黙って聞き続けるしか出来ない。
何より、今の気持ちを上手く言葉に出来る気がしなかった。
「ホント、あんたって何も喋らないわね。ま、いいけど。…ほら出来たわ。今度から切るならちゃんと言いなさい。綺麗なものが雑に扱われているなんて見てられないのよ」
言いたい事を言い切って気が済んだのか軽く息を吐き、肩に落ちた髪を払いながら不機嫌そうに、少し呆れ混じりに言いながらフレイは鋏を返してくる。
「…あぁ、有難う」
声音とは裏腹な気遣いを感じ取って、私がそっと目を伏せながらどうにか小さな声で礼を伝えると、世話が焼けるわ、と肩を竦めつつ背を向けて彼女は自室の方へと去って行ったのだった。 - 23文字書き いちか24/11/30(土) 05:26:50
という訳で、フレイに毛先を整えて貰う話、の後編になります
アスラン目線でだと冷静に考えて、命を奪ったはずの相手に恋愛感情を抱いていたのに気付くのが、相手を失った(と思い込んだ)直後というのが、ここの世界線の最大の恋愛的お労しいイベントその1
そりゃあどう考えても錯乱もしますよって状況ですから、本当
その2は手に掛けたと思ったっていた相手が生きていたのは良いけれど、彼には既にラクスという彼女がいる事もあって早々に身を引く決意と父親の件で命を投げ捨てる覚悟をほぼ同時に決めていたとこでしょうか
正直カガリ居なかったら首の皮一枚で繋ぐ事すら出来てなかったという状況だったので、マジでファインプレー過ぎだったって話に(戦後、捨て鉢になっていたアスランが精神的に無理をしつつも一時期彼女を手伝ってたのは、実はこの辺の恩もあっての事です) - 24文字書き いちか24/11/30(土) 13:39:18
スレ主、恋愛ものに割と付き物なぐちゃぐちゃした部分は実はだいぶ苦手で読んでいるだけでもストレス酷いので、当然書くつもりはないです(イラ付くのでそういう描写が売りの恋愛ものは一切見ない派)
たぶん、これが円満ハーレムもの世界線だったから書こうって思えたんでしょうねと今更思います
進捗ですが、ちょこちょこ手を付けてはいますが残りの補完SSは後回しにしているアレらを除くとやっぱり糖度とかキラアス成分足りないので、何か書かなきゃって気分だけはあります
はい、勿論ありますよ
ちょっと自分の中でも少し枯渇してきたので(基本自給自足民なので自分で需要と供給満たすのはいつもなのですが)
出来ればギリR-15くらいのを…書けるといいなぁ(ボソ) - 25二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 17:03:23
ぐちゃぐちゃした部分については、気持ちわかる気がします。
もはやテンプレなのか知らないけど、ストーリー展開的に両方悪いのに結果的に周りの人たちが一方だけが悪いというかヘタレ扱いしてくる展開が多くて、周囲の人たちの仕方ないな~的に上から目線で発破かける流れにイラっとくるので、そういうのあたったら地の文飛ばして会話部分だけ流し見することあります。
かといって、愛され系が好きなだけじゃ?と思いきや、ものによってはやっぱりイラっとするので、加減が難しいよな…と書く視点から見ても思う。
スレ主みたいに仕方ないな~って思いつつ、ちゃんと相手を思いやってる感じとか誰かはストッパーになってるような感じが上手い塩梅で後味悪くなく読めるので好きです。
- 26文字書き いちか24/11/30(土) 21:30:52
スレ主としては、ここまで来ると自分が読みたいものを書いて皆様にお裾分けしている、そんな感じに近いでしょうか(キラアスに関しては特に)
気負い過ぎると筆が止まる傾向もあるので、そう言う意味では自分の需要で内容は選んでるところもたぶんありますけども…
長年この関係を続けて連れ添うのであれば互いへの理解は不可欠だし、ギスったら続けられないですからね
その辺、キラを真ん中に置いとけば何とかなる…そんな関係性にしてバランスを取っているつもりです
当の彼が嫁全員が好きなせいで、気分であっちふらふらこっちふらふらしてるのだけはどうにもなりませんが
さてと、雑談で保守ったしお話書いてきますね - 27二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 06:06:39
保守
- 28文字書き いちか24/12/01(日) 13:28:18
ラクスの魔王様設定、正直あれだけはどうしたらいいか未だにわかりませんw
エピローグで冗談としてネタにして茶化して終わりにしましたが、マジで何なんですかねあれは…
魔王って言ったら最初、お父さんお父さん~♪って歌詞の歌曲しか出て来ませんでしたからね
(父の背中で魔王とその娘たちを見てそのまま魂を連れ攫われてしまう息子という内容のやつです)
それにしても何の因果か嫁側は揃って身寄りがいないという状況だし、考えると本当に行く当てがないんですよね、アスラン自身もそう言っていましたが(フレイはその気があれば頼れそうな親戚くらいは居そうですが)
そして生まれ年から考えてラクスが一番年上、フレイが一番下なのですが (2月生まれと3月生まれで) 、何だかんだで不安定で今にも死にそうオーラ漂わせてるせいか気付けばアスランが二人から気遣われ構われ倒している構図が発生してる状況なんですが、これが精神的に持ち直して来るとラクスをも正座させてお説教し出すオカンが出て来るのかと言われると…ちょっと今のところ想像も出来ない今日この頃
何でしょうね、ここのアスランの妹味はw - 29文字書き いちか24/12/01(日) 20:50:25
「……あの…バカ」
次の日、私はブツブツと呟きながら洗濯機に昨夜の跡も生々しいシーツなどを押し込むようにして投げ込んでいた。
未だにその残滓のように微かな痛みと気だるさが纏わり付き、諸々の光景を頭の中から追い出そうとするのを邪魔してくる為、ついこの場に居ない幼馴染への文句ばかりが浮かんでしまう。
と、不意に背後からおっとりとした声が聞こえた。
「アスラン、誰が莫迦なのです?」
「っ!?ラクス…っいつからそこに」
弾かれるように振り向くとすぐ後ろにラクスの姿があり、私は完全に背後を取られていた事と隙を突かれて居た事、何よりそれに一切気付くことが出来なかったことで吃驚して慌てて数歩後ずさってしまう。
「隙だらけですわ。貴女がベッドリネン抱えている姿が見えたので後を付いて来た来ただけですけれど」
どうやらキラの部屋から昨晩の後始末をして出て来たところからつけられていたらしい。
そんな事にも気付けないなんてどれだけ上の空だったのかと思いながら、私は彼女の顔を無言で見詰め返したが、すぐ目を逸らした。
正直、気不味過ぎて言葉が出なかったからだ。
そんな沈黙を破るように、やおらラクスが堅い声で口を開いて問いかけて来る。
「ここで貴女の結論は如何なのかと伺っても?」
この隠れ家での身の置き方自体への処断の話なのだと、すぐにわかった。
彼女からは嘘も誤魔化しも通用しない、そんな空気が漂いその場を支配していて僅かに張り詰めている。
確かに思うところがないという訳ではない。
けれど自分の考えの中で一つ、確実に変わった部分があった。
「最初に言った考え自体は変わらない。こんな関係、正直どうかとは思っている。…だけど、今の私はキラのものだ。これがあいつが必要とし望んでいる事であるのならば、それは受け入れるよりないだろう」
胸の奥に押し込め報われるとは思っていなかった想いが拾い上げられ、あまつさえ受け入れらた…それによって思いがけず満たされてしまっている自分がいるのだ。
だからこそ、否定するだけの理由がそこにはなかった。
すると、そんな私の様子を見て少しだけ表情を柔らかくしたラクスは静かに頷いて口を開く。
「そうですか、今はそれで構いません」
言って、言葉を区切るとどこかホッとしたように微笑んだ。 - 30文字書き いちか24/12/01(日) 21:09:04
例のドロドロにされたのと仕切り直しの次の日の話、の前編になります
補完しながら洗濯機が置いてある場所ってどう呼べばいいんだろう、実はそんなところで手が止まって悩んでいたのは内緒
そんなところで幾ら悩んでもわからないんでもういいや、ってなって開き直りましたけどもw
この世界線に於いてのラクスのポジションはキラの本妻兼アスランの姉 (自称) です
そしてキラにとっての彼女たちが切っても切り離せないものだと理解し、それごと受け入れるハーレム計画を立ち上げた張本人
どうあっても切れないのであれば、それは彼の一部であると見做した訳ですね
それを受け入れる度量も然る事ながら、その考えが中々ぶっ飛んでて当初はフレイやカガリも困惑を隠し切れなかったと思われます
アスランに対しては庇護欲を刺激されるのか兎角構いたがり、彼女から身構えられるくらい
キラとアスランの幼馴染故の距離感を微笑ましくもどこか羨ましく見ている節もあり、その様は最早シスコンの域に踏み込んでいるかもしれません - 31二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 00:28:24
アスランが色々と考えにふけってるせいもあるとは思うけれど、ここのラクスはアスランが気づかないうちに後ろに立ってそうなイメージ
時々見かけるラクスとアスランが姉弟みたいな関係が大好物なので、姉妹になったらもっと距離が近いだろうなとワクワクしております。
お姉ちゃん、もっと妹を可愛がっていいのよ…… - 32文字書き いちか24/12/02(月) 01:55:10
「…それにしても貴女も大概危ういところがあると思っていましたけど、その辺りはやはりキラにお任せしてしまって正解でしたわね」
流石は幼馴染だと。
「…どういう意味だ」
言葉の意図が別にあるような気がして問い掛けると、彼女は一瞬だけ少し寂しそうな顔をする。
「わたくしたちと違って、貴女は何かに縋ってないと今にも死にそうでしたから。貴女からは何も仰ってくれませんし。何が遭ったかなんて解りませんけれど」
「それは……」
たぶん3年前の事を言っているのだと気が付いた。
当時は母上を喪って今よりも精神状態が不安定で荒れていた時期だったはずだ。
錯乱していたのもあってよく憶えていない部分も多いけれど。
「気持ちの整理がついて話したくなった時で十分ですわ。何なら一生言わなくても構いませんから」
「………」
ラクスはそう言って柔らかく微笑み、私はそれに対して何も返す事ができなかった。
僅かな沈黙のあと、彼女は急に思い出したようにポンと手を叩く。
「ところで、昨夜は如何でしたの?」
唐突過ぎて思考が一瞬停止した。
頭の隅に追い遣りかけていたものが急に引っ張り戻された格好になったせいで、出来るだけ気にしないようにしていたものまでが脳裏に過ぎってしまう。
「…っ!?」
「あらあら、面白いくらい顔に出ますわね」
初々しいですわと楽しそうに言う。
何だかんだで姉を自称する彼女に振り回されたことなんて数知れないが、ここまで性質の悪いものも滅多にない。
「…余りからかわないでくれないか」
もごもごと言い返すが、彼女はそれすらも楽しいのか笑みを崩さない。
「別にからかってなんていませんわ。可愛い妹分が自分の気持ちに素直になってくれて少し安心しただけですもの」
……あぁやはり勘付かれていたのか。
流石に隠し切れているとは思っては居なかったが、彼女から指摘をされるとは思っていなかった。
「焚き付けたのはラクスじゃないか…」
この関係を受け入れるという事は、自ずと自身で決めていたことに反することになる、と頑なに跳ね除けた私を前に、あの時のラクスは決然と覚悟を問い質して来た。
キラの回復を望んでいないのかと。
あれは幼馴染としての私へのものだと思っていたが、蓋を開ければまったく別で…彼を恋慕する同じ女である私へ突き付けられた言葉だったのだ。
完全に乗せられた、そう思った。 - 33文字書き いちか24/12/02(月) 02:35:45
一線を越えた翌日のお話、中編になります
ラクスに詰められた内容の詳細は元スレとほぼ同じ(あの時は有難うございました。あれがあったお陰でドロドロの話を書けたようなものなので)
ずっと傍に居て欲しい、とキラから言葉の楔を打ち込まれた事で、彼女がその身に色濃く纏っていた死の影が薄らいだのは確かだと思います
ですが、それでも総てを取り払うにはまだ足りてはいないのが現状のようです
それは恐らく起きた事に対し、何でもかんでも背負い込み自責を止めないからなのでしょうが… - 34文字書き いちか24/12/02(月) 09:18:24
だからこそ、形だけでも求められ想いを遂げられるのであればと腹を括ったというのに…。
「えぇ、でもそれに乗せられたのも貴女ですわ」
「…この策士が」
確信犯の笑みを浮かべる彼女に思わず悪態を吐いた。
つまり私は彼女の良いように掌で転がされてしまっていた、そういうことなのだろうから。
「まぁ、それは聞き捨てなりませんわ。って、あら?」
だがそれが不本意な言われようだったのか、一瞬ムッと唇を尖らせかけたラクスだったが、ふと何かに気付いたらしい。
そしてまるで子供の可愛い悪戯を見付けたように小さく笑みを浮かべた。
「何かあったか?」
「昨夜の痕が残ってますわ、この辺に」
その様子に何があったのかと訝しむと、彼女は自分の首筋を指差す。
それは、完全に死角で鏡でもまともに確認することが出来なさそうな位置で…。
「~~~~~っ!?あいつ…っ」
わなわなと震えながら、反射的に彼女に示された位置を手で隠す。
お陰であらゆる場所に隈なくキスされ捲くっていたのまで思い出してしまったのもあって、恥ずかしさで頬はおろか耳の方まで熱い。
そのせいもあってもう既に頭の中はちょっとした混乱状態で、どうにも居た堪れなくなって思わず踵を返してその場をどうにか逃れたのだった。
そう、この時洗濯機のスイッチを押すのをすっかり忘れていたのに気付かなかったくらいには、私は激しく動揺してしまっていた。
「あら行ってしまいましたわ…。こんなの日常茶飯事なので今更なのですけれど、初心な照れ屋さんは仕方ありませんわねぇ」
……その場に取り残されそんな事を呟きながらラクスは微笑ましいものを見たとばかりに楽しそうに微笑み、洗濯機の状態に気付くと彼女の代わりに一通りの操作をして、くるりと足取りも軽く居間の方へと去って行ったのだった。 - 35文字書き いちか24/12/02(月) 09:52:26
という訳で、魔王様の思惑に知らず乗せられていた話、の後編になります
この件ですが、一応キラにはアスランへの気持ちは事前に確認済みで、だからこそ煽ったというのが事実だった模様
くっ付けてしまえば計画の完遂はほぼ確定で、心配だった妹分も手許に置いて構えるしで、ラクスにとっては良い事しかないですから
まぁ彼女の口車に乗せられてしまったのは事実ですからね…
当人からしたら経緯に不本意な部分が多くて弄ばれたような気分だったのでしょうが - 36文字書き いちか24/12/02(月) 16:01:46
残りのSSはアスランの主観が絡まないものは取り敢えず省くと…花嫁4人に囲まれる野郎が一人となるウェディングフォト回3つとハロウィン (お茶会編)3つ 、それからハロウィン (夜這い?編)
後はそこから地続きの部屋引き篭もってしまったやつと…〆の誓いの儀式のところもかな(これこそ地の文ないと雰囲気が伝わりづらい)
メンテ遣ってるのとラクス暗殺の際のシリアスは…どうしようかなってところですが
結構書いていたと思っていたのですが、こうやって挙げていくと案外ないものですね…スレ後半自分が乗っ取っていた割には - 37二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 16:25:44
むしろまだまだ見られる歓喜
ラクス暗殺…アスランズ無双が繰り広げられそうですが果たしてどういった会議が繰り広げられているのかものすごく気になりますな…
今更ながらわたしのレスでネタを下ろすことが出来たなんて感激でっす!
- 38文字書き いちか24/12/02(月) 22:18:43
SSの補完は元スレに投下した原型があるので書くのは割と早いのですが、二人きりシチュがもうないので合間でちまちま書いてはいます…
まぁ合間で書いてるので大して進んではいないのですが
それから前スレで言っていたナンパされて云々の話もリサイクル出来そうなので少し手を付けてたり
アスランはアカデミー時代やザフトに居た頃と運命時系列直前辺りくらいで比較すると、だいぶ見た感じの雰囲気が変化してそうだなと思います
髪が伸びたということもありますが痛々しさやトゲトゲした感じが減って、きっと穏やかに微笑む事も増えて来ているのではないかと思うので、恐らく二度見されそう
その辺りは母親を喪った当時の自分と折り合いを付け始めているせいか、少しずつですがキラやラクスが知っている頃の彼女が戻っては来ているせいもあるとは思われますね(父親の方のも…まぁ追々で)
何やらだいぶ色気のようなものが混じっても来てますが - 39二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 01:22:18
- 40文字書き いちか24/12/03(火) 07:35:12
∑ な、なんですと!?
え、ええと…あ、有難うございます…(おろおろ)
元スレ乗っ取って拙いSS垂れ流していただけの身ですが、こういうのは…何とも照れ臭いですね
前以って告知しときますが、本日は予定が急遽前倒しで外出時間が3時間ほど前倒しになっております
その分3時間ほど早い時間に戻っては来られるのですけれど
そんな訳で、本日は帰って来るまで殆ど手付かず確定です
ドタキャンも困るけど、土壇場で時間変更もかなり勘弁して頂きたい案件ですな…
普段温厚な自分でも流石に青筋立っちゃうくらいには、ですね
自分の書く物語の範囲外のお話しにはなるはずですが、5人が今後もずっとこの関係を続けていくのであれば数年内に子供の一人や二人は出来てるんだろうなぁとは思うのです
かなり深刻な話を含むのであんまりお話上話題にはあげるつもりがないのですが、関係がインモラルな事になっている以上避けて通れないものがありまして…えぇカガリの件です
彼女は他3人と違って態と出来ないように裏で遣ってそうだなとは思っていて(両親の血が近いと子供に遺伝上の影響が出る為)これを話に使うと、何やら和やかに終われそうにない気がするので物語上では触れない方がいいのだろうなという感じです
それ以外でだと、自分の命を粗末にしがちなアスラン辺りは生きることに執着して貰おうとした結果として、早々に子供が出来てそうな雰囲気あるんですよね…(そしてそこからラクスのシスコンが加速する流れ)
まぁ、取り敢えずこの話はここまでにしましょう - 41文字書き いちか24/12/03(火) 16:15:32
取り敢えず帰宅
出先で用事をしながらメモ書きしてたキラアス (ほぼ健全) のシチュを詰めてましたが、やっぱりながらは駄目ですね…殆ど纏ってないです(仕方ないのでオチ部分は降りて来るの待ちの模様)
砂糖吐きそうなくらいの甘いのを書きたいというのもあるんですが、ここのところ全体的にほのぼの寄りのものが多かったせいか、反動でだいぶ重い感じのやつが書きたい気分にもなってるんですよね…さてどうしたものか(ぐぬぬぬ…) - 42二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 19:10:13
- 43文字書き いちか24/12/03(火) 21:50:42
いえいえ、とんでもないです…
自分、どれだけ頑張っても色気ドコー?な絵しか描けない人なので、色気出せる人スゲェってなりながら見てました
本当に有難うございます
ラフ画は早いのですが線が多くて絞れないのを誤魔化すような画風してますし、文章に専念してると中々余裕がなくて手が回らないのですよね(気付けば短時間のワンドロするくらいしか出来ない)
そんな訳で、遠慮せず手が滑ったらまた置きに来て下さい
自分もある意味キャラを借りている立場なのでアレですが… - 44二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 22:51:40
- 45二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 06:54:39
待機
- 46文字書き いちか24/12/04(水) 07:44:30
前日の予定変更のお陰で寝不足だったので、結局大して捗らない内に撃沈して起きて来た訳ですが…
今日は何か投下出来ればいいなぁ(例によって予定は未定)
姉貴分に気持ちを見透かされたどころか弄り倒され、初めてを捧げた彼に変な痕付けられてたせいで昨夜何をされたかがチラ見えしてしまう…現状のアスランとしてはこれより恥ずかしい話はない訳で(SS内にてキラが「しつこくした」と言っていたもの一部でもある)
まぁ、そりゃ堪え切れず脱兎で逃げますよねという…
たぶんあのまま自室駆け込んでお布団被っていた筈です(いやぁ可愛いですねー)
そしてラクスはそんな妹分の可愛いところが見られてほっこり…どうあっても勝ち組とか最強過ぎますね魔王様はw
一応彼女の名誉の為に言いますが、ラクスはキラの本心を訊き出してはいますがアスラン側の想いは (推測の範囲を超えない事もあって) キラへは伝えていません
ちなみに、アスランのキラへの片想いっぷりがどれだけ彼女に透けてたかというと、割と押し隠し切れていたのでほぼ勘に近いレベルだったんですがね… - 47文字書き いちか24/12/04(水) 17:18:37
- 48文字書き いちか24/12/05(木) 00:55:09
それは月の出ていない暗い夜だった。
何気なく外を見ていた私は、目に入る景色に何か違和感のようなものを感じて目を凝らした。
空に何かの機影のようなものが見えた気がしたのだ。
そしてそれは戦いに身を置いていた間に知らず身に付いていた、ある種の勘のようなものかもしれない。
殺気に近い何かがすぐ傍まで近付いて来ている、とそれは私に告げていた。
「…………」
こんな本島から離れた場所に態々遣って来るなんて、何という物好き…などと軽口を叩けるような状況ではないことなど、とうに理解出来ている。
何の為に?
ここに居るのは立場と名を偽り身を潜めるマリューさんやバルトフェルドさん、それから精神を磨耗し今は療養しているキラと…。
「窓の外なんか怖い顔して睨んで、何かあったの?」
窓際に立って外を見詰める私に唯ならないものを感じ取ったのか、フレイが怪訝な顔で近寄って来て問い掛けて来た。
「……シッ、フレイ…君は確か銃の心得くらいはあったと聞いているが?」
私はそれを唇の前に人差し指を立てて小さな声で遮ると、いつもより張り詰めた低い声で問い掛ける。
彼女は確か、一時軍属だったこともあり最低限の…安全装置を外して撃つくらいの…銃の扱い程度なら出来るとは聞いていた。
「ちょっ、どうしたの急に」
いつもとは違う張り詰めた様子に、フレイは驚きながらも少し怯えたような様子を見せこちらに問う。
こんなものを荷物の中に仕舞っているとはと、ラクスに眉をひそめて咎められそうだったが、今はそんな事を言っている場合ではない。
「外に不審なものが見えた。キラたちを起こして、その後はマリューさんたちの指示で動いてくれないか。たぶん気が付いてるだろうから」
恐らく私が気付いているくらいなのだから、あの二人も当然気が付いているはず。
……その目的が恐らくラクス自身である事を。
そしてこうしている間にもこの隠れ家へと危機は更に近付いて来ているのだ。
一度、私は彼女に少し待つように告げてから部屋から護身用に持っていた銃とナイフを取って戻って来ると銃の方を渡しながら短く説明する。
すると途端に不安そうな顔になった彼女は恐る恐るこちらの顔を見、手にした軍用ナイフの確認を始めた私に不穏な何かを感じたのか張り詰めた声で問い掛けて来た。 - 49文字書き いちか24/12/05(木) 01:04:53
運命本編時間軸内でラクスに暗殺部隊が差し向けられた場面の、この世界線バージョン前編です
一応、予定では別の物を投下するつもりで書いていたのですよ
いい感じの言葉が降りて来なくて絵を描いたりなどをしていたのですが、中々進まず直ぐにはどうにもならないのならと、こっちに手を付けたら急にスルスル出て来たので困惑しながら書き上げました
再三申し上げますが、この場面含めて本編は20年ほど見返してないので何かと色々おかしい部分があるのは重々承知しています
なので雰囲気で、ここは雰囲気で読んで下さい - 50文字書き いちか24/12/05(木) 07:06:49
「あ、あんたはどうするの?」
「…少し、様子を見てくる。相手の規模と戦力の把握…行けそうなら数減らしもしたいところだな」
気配を消し、隠密して動くなら銃よりもナイフの方が小回りが利く。
夜陰に乗じて遣って来るような無粋な連中だ、遠慮などしていてはこちらが不利になるだけだろう。
何より、どれだけの規模の集団であろうとこの場所にそんなものを何一つとして近付けたくはなかった。
「規模…ってもしかして何人も居るってこと!?」
「…たぶん」
「確かにあんたは強いって聞いてるけど、そんなの無茶よ。何考えてるの!?」
淡々と返す私にフレイは感情的になって二の腕を掴んでくる。
「……いいから、今私が言った通りに。キラたちが何を遣っていても強引でも構わないから万が一にでも逃げられるようにさせてくれ」
勤めて冷静に、そして何よりも大事なお願いを彼女に託す。
こんな危険な思いは自分ひとりでいいのだから。
「…ちゃんと帰って来なさいよ。それに怪我なんてしたら許さないから」
そんなこちらの思いを察したのか、心配そうな微かに苛立ちと不安の混じった抑えた声で言い募られて一瞬言葉に詰まり、何とか搾り出した。
「善処はする…」
正直、答えに困って守れるつもりもないことを口にしてしまったとは思う。
相手が判らない以上、流石に無傷で戻って来られる自信などはない。
それにもし仮に私が動けなくなってもここには腕の立つ人間が更にいる、それも並の相手では手も足も出ないくらいの相手だ。
「あぁそうだ、以前君は私のことを小動物がどうのって言っていたと思うが…ウサギはあの可愛い見た目で毒蛇すら倒すほど凶暴なんだ。私もそんなに軟なつもりはないから覚えておいてくれ」
裏口の扉を開ける寸前、ふと思い出した話を背中を向けたまま淡々と話す。
無論、タダでやられてなど遣るつもりはないとは思う。
こんな軽くて安い命でも、彼の為以外に使うつもりなどありはしないのだから。 - 51文字書き いちか24/12/05(木) 07:45:19
で、後編になります
…何か校正が足りてないですね
後から見たら重複した言い回しとか、入れ替えた方がいい行とかが散見されてて凄く気になるのですが…
ま、いいか(開き直り)
地の分を入れる作業をしていると降ろしてる感覚が強くなる為、台詞だけだった時は気付かなかった人物の情動の機微に気が付くことが多くて中々興味深いなと思うことが度々あります
今回のだと、アスランが今にも死にそうって思われてるのは一事が万事こんな考え方をしているからだろうと見受けられるところとかですね
きっとこの後はお説教されるとは元スレでも書いていたと思いますが、それも已む無しってところでしょう
ついでに旦那と姉に挟まれてぎゅうぎゅうにされとけとも - 52文字書き いちか24/12/05(木) 14:31:17
SSでの会話内で無傷で…という言葉が出ていたので思い出したものを
CEに於いて傷痕は消せるものであるというのは当然の認識だと思います
(生還した虎さんや復帰後のムゥさんみたいに自らへの戒めのように残している人物もいますが)
種本編でもアスランは少なからず負傷したりしている場面もある為、種の時系列をほぼ踏襲しているこちらの世界線でもやはり彼女は原作通りに怪我をしています
主なところでは慟哭の空のカガリとの再会場面…あれはいつの怪我だったんですかね、正直まるで憶えてないのですが(当時の放映時間のせいもあって料理作りながらで視聴していたので台詞はともかく理由まではちゃんと記憶出来ていません)
それと言わずもがなな、父上に撃たれた時のやつですね
ご存知の通り、彼女は我が身には無頓着なので勿論のことながら痕が残るような傷も気に留めておらず、割とそのままにしています…それが人目に触れる事自体は気にしてはいる癖に、です
無論そういう仲なので、キラも当然ながら傷の原因は知らなくても傷痕があちこちにあるのははちゃんと把握してますし、他の女の子たちもまた然りで - 53二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 15:55:52
男アスランの立ち回りはかっこいいけど、女アスランならしなやかな動きで舞うような美しさがあるイメージ
敵からしたら次々に味方がやられて恐怖しかないとは思いますが……
傷跡といえば、ひとつひとつの傷跡にキスを落としていくのっていいですよね… - 54文字書き いちか24/12/05(木) 23:05:50
スレ主、恋する乙女の一喜一憂は個人的には大好物です(鬱陶しくならない程度の範囲に限りますが)
だから正直、少し意地悪したくなる悪戯っ子なキラの心情は理解出来るんですけどねぇ…
えぇまぁ、また脳内で小規模なバトルしてまして…
お願いだから彼女と同調してる時にそれは手が止まるからやめて欲しいんですよ切実に(確信犯を疑うスレ主)
物凄く古いんですが、蝶のように舞い蜂のように刺すって表現がありましてね…(本当に古い)
それはそれとして、個人的には立ち回りは猫化の猛獣のイメージがどちらにもありますね
女の子の方のアスランは特に樹上まで駆け上がって飛び掛ってくる豹のような…そんな身軽さで確実に仕留めに来るイメージ
傷痕にキス…それは中々えちぃですね
彼ならたぶん遣ってそうですけど(そして茹でダコになってるアスランまでがワンセットで)
- 55文字書き いちか24/12/06(金) 07:36:23
ずっと補完したものばかりだったので、そろそろイチャついてるの書こうと思ってたんです…
何か途中から予定から逸れ出してるんですが、そのつもりだったんです
健全なの書こうって思ってたのに何で過剰にスキンシップしたがるんですかね、この人はw
このくらいの歳の男の子が原作よりメンタルに余裕があって体力余ってたら、そりゃ仕方ないと言えば仕方ないんですが
…現在そんな攻防中です
取り敢えず、スレに投下出来る範囲に収まるようにはしたい所存
今日中にはなんとか…なるといいなぁ - 56文字書き いちか24/12/06(金) 14:20:50
余りにお邪魔虫が酷いので、平行で走らせてた方に逃げた自分はたぶん悪くない…そんな進捗です
とは言え煮詰まってるのも事実ではあるので、少し外の空気吸って来ますかね - 57二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 21:03:23
☆彡
- 58二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 00:04:36
こちらはゆっくり待ちますので、スレ主さんの無理のない範囲で大丈夫です。
続き楽しみにしています! - 59文字書き いちか24/12/07(土) 08:26:55
お気遣い有難うございます…
相性が良過ぎるのも考え物だと昨夜は痛感してました
無意識に彼女と同じ行動パターンしてて焦りましたよ…影響受け過ぎですって
まぁ、今日もボチボチ遣って行きますよ
さて、恋を自覚したタイミングはともかく、何時から好きだったのかというのは中々判らない話かもしれません
一緒にいて居心地が良くて、そこに居て当たり前の状況だと仕方のない事なのかもですけども
気付けばそれがなくては生きて行けない、そんな意味での空気のような関係になりつつはあるようですがね - 60文字書き いちか24/12/07(土) 16:35:47
自分を大事にしてない行動が目に付くせいか気付けば周囲に心配され世話を焼かれている、これが隠れ家での彼女の立ち位置です
割り振られた家事などもソツなくこなすし戦闘ともなれば俄然頼りになるのですが、一人にしておくとどこかに消えてしまいそうな雰囲気を漂わせている事も多く、放っとけないと感じるのか気付けば誰かが彼女を構っている…そんな状況になっているのです
しかも普段世話を焼かれている側のキラですら彼女の様子が目に余ればフォローを入れてくるくらいですから、相当のものかと(勿論、縋られてるのを理解してるからでしょうが)
とは言え当のアスランから言わせると、理由が解らないんでしょうけどもね - 61二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 00:18:01
☆彡
- 62文字書き いちか24/12/08(日) 08:27:50
――殺してしまった…私が、この手で……!
血塗れのこの手と、足元には横たわったパイロットスーツ姿のキラ。
寸前まで純粋な殺意を向けていたはずだったというのに、その先にあったのは何よりも大きな喪失だった。
膝から崩れ落ち愕然と動かなくなった彼を見詰めながら、底なしの慟哭で心が押し潰される感覚に私はその名を何度も呼び、泣き叫んでいた。
……自らその命を摘み取った相手を何より愛していたと気付いた絶望で。
「――――ン、ねぇアスランてば!」
体を揺すられ、呼ばれている声にハッと目を開けた。
目の前には仄かな明かりに照らされ、キラが私の顔を心配そうに見下ろしているのが見える。
「どうしたの?何か呼ばれてるって思って起きたら君が泣きながら寝てるし…。思わず起こしちゃったけど、問題なかったよね?」
彼は、急に引き戻されたことで夢と現実の落差に頭が追い付かず呆然とその顔を見詰めている私の涙を拭いながらそう言って、優しく微笑んだ。
――あぁ、あれは夢だったのか。
どこかホッとしながらも、こちらが夢なのではないかと思えてしまうような夢の中での生々しいほどの喪失感が酷くて、思考が付いて来ない。
だいぶ泣いていたのか目の回りが少しヒリヒリしていた。
「…あ、あぁ」
やっとの事で返事をし身体を起こす。
そうだ、彼は生きている。あの時この手でその命を奪おうとした事実は消えなくても…。
私は顔を手で覆い心の中でそう呟くと、大きく息を吐いた。
「ほら、必死に呼ばなくても僕はちゃんとここに居るってば」
キラはそんなこちらの様子を気遣うように手を取り、そっと肩に手を回し抱き寄せると自分の頬に触れさせてくる。
そうして私が少し落ち着いて来たのを確認すると、心配そうに見詰めながら言葉を紡いだ。
「ねぇ、何か怖い夢でも見たの?」
訊ねる声は柔らかく静かなものだったけれど、そこで見たものを思い出し思わず返事に詰まってしまった。
「……何でもない」
夢での光景を打ち消しながらそう答え、目を伏せる。
けれども彼はそれでは納得出来なかったらしい。
「僕にはとてもそんな風には見えないんだけど、どうしても言えないの?」
重ねられる彼からの問いに、言葉もなく俯く。 - 63文字書き いちか24/12/08(日) 08:48:07
だいぶお待たせしました
悪い夢のお話、前編です
こっちが平行で走らせていた方の話ですね
全体の雰囲気だけは決まっていたのに、いざ書き出したら細かいところで躓いてどえらい難産に(現在進行形で)
〆のところはまだ書いてる途中なんですよ、これ
もうちょっと重めで踏み込んだ話にしようと思ったのに、気付けばこんな感じに…
余りに筆が止まるので途中からは、どうしても言いたくなかったんだな、と諦めましたけども - 64二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 18:03:05
保守
- 65二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 01:03:28
ハーレムの中でも撃ってしまったという特大のトラウマ持ちアスランをいかにキラが甘やかすか楽しみすぎるー!
- 66文字書き いちか24/12/09(月) 06:42:48
思い出すことさえ躊躇われる上、だいぶ復調したとはいえ未だに夜中に飛び起きることすらある彼に、心の傷になったものに触れる話をしたくなくて私はただただ頭を振り、その肩に額を押し当てるしかなかった。
「何でもないから、本当に…」
「……しょうがないなぁ」
彼は隣で眠っていたせいで夜中に起こされたにも拘らず、困った顔で笑いつつ溜め息混じりにそう言うと、頑なな私を片腕で抱き寄せたままもう一方の手で髪を撫でてくる。
隙あらばと抱き寄せられるのはいつものことで慣れては来たが、泣く子を宥めるような対応をされたのは初めてで、少し勝手が狂う。
…小さな頃、怖い夢を見たと泣きながら起こして来たのは誰だったのやら。
そんな事を考えながら心の中で苦笑する。
されるに任せて身を預けていること自体は悪い気分ではないにしてもだ。
そのまま彼は暫く頬をくっつけるようにして来たままだったが、思い出したようにぽつりと口を開いた。
「そう言えばいつもは僕が起こしてる側なんだよね」
このところは落ち着いているので、そういう事に遭遇することもめっきり減ってはいたが、元はと言えば添い寝当番もそれが最初の理由だったのだ。
その添い寝をしている方が魘される可能性というのは当然考慮されている訳はない。
ただそのせいでよく眠っていたところを起こしてしまったことには違いないので、その部分だけは謝るしかないが。
「……起こしてしまったようで、悪かった」
「気にしてないよ。泣いてる君に気付かず朝にならなくて良かったって思ってるくらいだから」
こちらを安心させるようそう言って微かに微笑う。
「落ち着いた?」
小さく頷くと、良かったと囁くような声が返ってきた。
それからややして再び口を開いた彼は、噛み締めるように呟いたのだ。
「こうしてると、やっぱり安心する」
「…この前の話か?」
私は以前に、こうしていないとどこかへ消えてしまいそうだと言われたのを思い出していた。
「それもあるけど…何だろ、ずっと欠けた部分が戻って来た…そんな感じもしてるんだよね」
「少し大袈裟だろう、幾らなんでも」
本当に、それは大袈裟だと思う。
幼年学校を卒業するまでの間、暇さえあれば一緒にいたようなものだったのは確かだし離れてからは酷く寂しかったのも嘘ではない。 - 67文字書き いちか24/12/09(月) 07:04:13
悪い夢のお話、中編(たぶん)です
まだ最後まで仕上がってないんですよね…
夢の内容というのは言ってしまった方がたぶん気が楽にはなると思うのです
でも、ちょっと彼女としては色々と曝け出されてしまう部分でもあるせいか、珍しく踏み込ませてくれなかったんですよね…
そこを無理に暴くのもどうかと思ったので、最終的には話させるより宥める方向へと舵を切ってます - 68文字書き いちか24/12/09(月) 15:54:32
やっとエンジン少し掛かって来た感があるんですが、こういう時に限って邪魔が入るのは一体何故なのか
酷くはないんですが、いつもの頭痛がしててですね…仕方がないんで少し休憩入れてきます(しょんぼり) - 69二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 21:25:02
続きはゆっくり待ってますよ!
- 70二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 21:29:31
寒くなってきてますし、温度差もありますのでお大事にしてください!!
キラのずっと欠けた部分が戻って来た、のセリフすごい好きです。
キラとアスランって二人揃うと欠けた部分がカチリと噛み合う感じですよね。 - 71文字書き いちか24/12/10(火) 08:03:52
保守代わりに何か書こうと思ったら規制されててこの時間…
有難うございます
何かいつものと言うより寒暖差から来た頭痛っぽかったみたいです
曜日で察してる方も居そうですが、今日も外出して来ます
時間変更がないので、帰宅時間は20時過ぎ予定
もし書き上がっても投下は夜半近くなるかと思われます
筆自体はそこそこ進んでいるので、そっちの意味では問題はないと思うのですが…どうでしょうかね - 72二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 11:31:29
☆彡
- 73二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 21:42:47
楽しみ保守
いつもはキラと女の子の2人で寝ること多いけど、スレ画のように全員で寝ることがあると配置はどんな感じに決まるんだろうと考えてる
確実にアスランは遠慮して一番離れた位置で寝そうとしようだけど - 74二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 07:31:01
難産のようですね
のんびりお待ちしてます - 75文字書き いちか24/12/11(水) 10:50:57
保守有難うございます
難産というか、外出の疲労でダウンしてました
普段は遣わない気をフル回転で使うのは存外疲れるものだとつくづく…
一応起き上がっては来られたので、まぁ今日中にはどうにかなるでしょう
というか、どうにかします(本当にあと数行ってところなので) - 76文字書き いちか24/12/11(水) 12:08:30
そこに居たはずの存在が居ない、そんな何処か無味乾燥な日々にも慣れて行くしかなかったし、母上を亡くしてからは最早それどころですらなくなっていた。
そして戦渦の中で再会した頃には胸に燻る恩讐に囚われ、いつの間にかそんな事すら忘れ掛けていたのだ。
だからそんな自分の事ばかりで一杯になっていた薄情な私のことを、欠けた部分とまで言い表されるとは思ってもいなかった。
「別に大袈裟でもなんでもないんだけどなぁ」
少し不服そうにキラはちょっとだけ口を尖らせるが、すぐに口元は笑みを作っていた。
「君が居なくて寂しかったんだ。ずっと…そこになければいけないものを失くしたような気持ちを抱え続けてたから。だからあの日、君がこの家を訪ねて来てくれてとても嬉しかった。ただ、そのまま帰したらもう会えなくなってしまうような気がして、気付いたら必死に君を引き止めてたよ」
あれはまだ、こんな環境にキラが居ると知る前だ。
訪ねた先にはラクスが居て、そしてそこには更にもう一人…フレイが居た。
二人の甲斐甲斐しいその様子に私は自分の出る幕などないと断じ、せめて彼への想いを見透かされないようにと振る舞い何事もなかった顔で静かに立ち去る事にしたのだ。
少なくとも自らここにはもう来る必要などない。
私など居なくても、彼を支えてくれる者はいるのだからと。
そういう意味では、私の行動は彼に見抜かれていたのだろう。
「……あの時は、もう来る事はないと思っていたから、確かにその勘は正しかったんだろうな」
そう言って私は自嘲的に微笑んだ。
「やっぱり、何か様子がおかしいって思ったのは勘違いじゃなかったんだ…。行く当てがないって自分で言っておきながら何処かに消えてしまおうとしてたなんてさ」
まるで答え合わせをするようなそんな言葉。
真意や理由までは解らなくとも彼に対して吐き通せるような嘘ではなかったのだと痛感する。
でもどの道、あの場でキラが引き止めていなくてもラクスが出て来たのだろうし、最終的には同じ結果になってはいただろうとも思う。
結局、私はどれだけ振り払おうと思っても彼の手を拒む事は出来ないし、望まれればそれを受け入れてしまうのだろうから。
……何より自らの想いに抗える訳もなかったのだ。 - 77文字書き いちか24/12/11(水) 12:12:05
「何処にも行っちゃ駄目だからね。それはもう、許さないから」
「……キラ」
珍しくキッパリと彼は言う。
「それとも、ずっと僕を欠けたままでいさせるつもり?」
「それは……」
問われて思わず口ごもってしまった。
『――それなら、私はキラのものだ』
あれ程の大言壮語を吐いたというのに、本当のところは彼の気持ちを受け止め切れている自信がないし、未だに自分で良いのかという思いは残り続けている…そんな事を言ったら本気で拗ねられてしまいそうな気がした。
「まぁ君がどう思おうと、僕としては何があっても放すつもりはないんだけどね」
何の迷いも衒いもなく言い放つと、キラは私をギュッと一層強く抱き締めて来た。
少し息が苦しいのは、跳ね上がった心拍数のせいなのか、力いっぱい抱き寄せられているせいなのか、もう判らない。
……ただ私も、この腕の中から離れたくはない、そう思うのだ。 - 78文字書き いちか24/12/11(水) 12:45:45
という訳で、悪い夢の話・後編となります
途中から、隠れ家に遣って来た辺りの経緯がサラッと触れる程度に出て来る流れになってしまいましたが…
何だか話がブレてるなー、とは思いましたが筆が進まないので仕方ありません
夢に出るほどの本気で戦って死なせ掛けた件に関してですが、たぶんキラは「僕もあの時は君を本気で殺そうとしたからお相子だ」と言うはずなのは間違いないのです
…まぁ、その答えで彼女が納得するかはともかくとして、ですが
これを白状するとなると恋心の自覚のところまで話さないといけなくなる、というのが今回ちょっと彼女としてはネックになっていたようで、一気に筆が止まりましてですね…
ちょろっと書いては止まりを散々繰り返した結果、こういう〆方になりました
これなら一応問題ないらしいです、それまでみたく止まりませんでしたからね
同調してた割に個人的には、そこのセーフのラインがよく判りませんでしたけども… - 79二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 20:36:57
待機
- 80文字書き いちか24/12/11(水) 20:57:11
冷静に考えてみると、女の子たちで同年代の同性の友人が居た環境があった描写があったのって、実はフレイだけなんですよね…
ラクスはお友達は皆戦争に云々とアスランとの会話で出ていたものの何かと深窓の令嬢感強いし、それ以外の交友関係すら不明、下手するとプラント住まいだった頃は父親絡みもあっていつも周囲には大人ばかりだった事が多かった疑惑を持っています
カガリはガチでお姫様なのもあるけど色んな意味で畏れ多いという事もあって、こっちもやっぱり同性のお友達と呼べるレベルとなると下手するとラクス以上に居なさそう感が酷い
そしてこの世界線のみ限定ですが、女の子なアスランも幼年学校時代は結局キラといつも一緒で身近に女の子は居ないしアカデミー→ザフトと経る間もとなれば尚更…という状況
そう思うと、実はこのハーレム環境に次々引き込まれたこと自体が中々の奇縁なのかもしれませんね - 81二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 05:10:44
保守
- 82文字書き いちか24/12/12(木) 12:27:12
どうも、眼精疲労が酷過ぎて、買って来た目薬が沁みて仕方がないスレ主です
さて進捗ですね…メモの方からはそろそろ時期だし個別デート(スレの趣旨とスレ主の嗜好もあるのでアスランの以外は割とサラッと流す感じになると思います)ネタをそろそろ動かしましょうか
SSの補完は…ウェディングフォト回のドレス選びしてる話に手を付け始めてます
さてどっちが先に出て来るかは、物語の神のみぞ知る…
まぁ、今日中はちょっと無理そうですがね - 83二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 20:02:44
ゆっくりどうぞ~
- 84文字書き いちか24/12/13(金) 04:59:34
「私はこの辺りにしておこうかしら、でもこっちもちょっと気になるのよね。ねぇこれどう思う?」
デザイン違いで百着以上はゆうにあるであろう撮影用のウェディングドレスが並ぶ中、試すがめす当てながらフレイがくるりと振り返る。
それを見て悪くないんじゃないか、と答えつつもカガリが衣裳部屋の隅にあるベンチに腰掛けながら暇そうにこちらの方を眺めているキラの姿を見遣った。
「まぁ気が済むまで試着でもして決めればいいと思うぞ。…そこで暇そうにこっちを見てる誰かは置いておくとして」
女の子の服はわからないから、と困った顔で乾いた笑いをしながら早々にあの場所に陣取って早小一時間、彼は欠伸をかみ殺したり、従業員の一人に差し出されたサービスのお茶を貰って飲んでいたり、あるいは頬杖をついていたりと中々終わらないその時間を何とか凌いでいるようだ。
「では、わたくしはこちらにしようかと思いますわ」
ふんわりとした袖と裾の広がった淡い差し色の入ったドレスを翻しながらラクスが笑顔で言う。
「そういうデザイン、あんたが好きそうだと思ってたわ。…って、アスランあんたこの期に及んでパンツ選ぶの!?ここはドレス一択でしょうが!」
楽しそうな彼女たちの様子を横目に私がドレスに紛れて何着かあったパンツスタイルのものから飾り気のないものを選んでいるところを、フレイに目敏く見付けられてしまった。
「……いや、私はこれで…」
尻すぼみにどうにか言い返すが、詰め寄って来ると腕を掴まれ、そのままラクスたちの居るところまで引き摺って行かれてしまう。
「ダメよ!もう、二人ともちょっとこっち来て、この子また可愛げのないもの選ぼうとしてるんだけど!?」
「あらあら、アスランも往生際が悪いですわ。この際なのでわたくしたちで見繕って嫌でも着させた方が宜しいかもしれませんね」
「か、カガリ助けて欲しいんだが…」
焦って視線を送ると自分用に見繕っていただろうカガリが一瞬手を止めてこちらの方へ振り返った。
それから私が提げ持っていたものとラクスやフレイを見比べるようにして少し思案したようだったが、言いづらそうに口を開く。
「そうだな、確かにそれも似合ってそうだとは思うんだが…。それでも今回の趣旨を考えると辞めておいた方が良いと思うぞ。それと、悪いが私にはこの二人の勢いを止めるだけの力はないからな?」 - 85文字書き いちか24/12/13(金) 05:21:06
貸衣装を選ぶ・前編です
案の定というか、こっちの方が進みは順調でした
完品にはなっているので、残りは昼頃に投下させて頂きますね
この世界線のアスランとして原作通りの口調を保ったまま成立させる為とはいえ、彼女にはかなり重い設定を背負わせてしまったなぁと、今でも少しだけ申し訳なく思ってはいるのです
まぁ、ここからは幸せになるしかない道筋を立てるので、それで何とか差し引きゼロくらいにして頂きたい
…なるかな、自信持って言えないのがつらいところなんですけども - 86文字書き いちか24/12/13(金) 11:45:35
こうなるとカガリには最早お手上げなのか、困ったように笑っているだけだ。
「梯子外されましたわね」
「ま、そう言う事だから諦めて貰おうかしら」
「え、ちょっ、…えっと、キラからも何とか言ってくれないか」
改めて目の前に仁王立ちする彼女たちを前にたじろぐ私は、窮するあまりに思わず藁をも掴む思いで暇を潰していたキラの方を振り返って助けを求めていた。
「何、どうかしたの?」
こちらの声に、鳩が豆鉄砲でも食らったような、きょとんとした顔をして彼が顔を上げる。
そして私に呼ばれたことで鎮座しているがごとくに座っていたのが嘘のように近くまで来てくれたが、何があったのかとどうも要領を得ない様子。
これまでの遣り取りも丸っきり他人事で、興味がなかったのが見て取れるほどだった。
「キラ聞いて下さいまし、アスランたら折角写真を撮ろうというのにドレスではなくてこんなパンツスーツ選んで来たんですのよ!」
「そういうのは普段着だけで十分よ。記念なんだから足並みくらい揃えて欲しいわ」
「き、キラ…」
彼を呼び寄せたのは私の方なのだが、ラクスはいいから聞いて欲しいと言い付けるように現状を訴え、フレイがそれに同調して文句を言う…。
まさに鉄壁のコンビネーションで言い募る様に、最早何も口を挟む事が出来ない。
私がそんな彼女たちからの圧に困り果て縋るように見詰めていると彼は少しばかり考え込んだ後、のんびりとした口調でこう言った。
「んー、僕もアスランのドレス姿は見てみたいかなぁ」
確かにそこまでの言葉は期待などしていなかったが、まさか言うに事欠いて…。
「なっ、私が困っているというのに、お前までそんな事を言うのか!」
「だってさ、きっと可愛いと思うし。どうせだから着て欲しいな」
愕然として思わず詰め寄るが、ふわりと微笑んだ暢気そのもののキラから期待をするような眼差しでいっそ無邪気にそう言われ、言葉に詰まった私はそのまま立ち尽くしてしまう。 - 87文字書き いちか24/12/13(金) 11:47:20
今回の話はラクス主導で進んだ話で、私が気付いた頃にはもう既に止められないところまで纏っていた。
4人揃ってウェディングドレス姿で彼の隣に並ぶこと、これが今回の趣旨の主なところになる。
この傍から見れば歪で不自然な…恐らく祝福されない関係をこの先も続ける為に何か記念となる事がしたい、その結果が今回の写真撮影なのだ。
互いに望み望まれそこに在る、その証の一つとして。
だからと言って、こちらにだって譲れない…譲る事が出来ないものもあった訳で、だというのに目の前の幼馴染はそんな事などお構いなしだ。
……だいたい、そんな目で見られても困る。
そんな風に微笑まれたら、嫌だなんて言えなくなってしまうじゃないか…。
子供の頃、花嫁姿に憧れた時期は確かにあった。
今もそれをなくしたとまでは言わないが、そんなものとは程遠い…寧ろ対極のような自分の姿に諦めすらしていたというのに、何故彼は事もなげに言い切るのだろう。
「…………キラが、そこまで言うなら…」
不承不承ではあったが、どうにか首肯すると、フレイがテキパキと場を仕切りだした。
「決まったわね、そうとなったらさっさと選ぶわよ。ドレスだけじゃなくてこの後セットもメイクも残ってるんだから」
そして、ちらと見た視線の先で、キラが退屈そうにまた一つ欠伸をかみ殺していたのだった。 - 88文字書き いちか24/12/13(金) 12:24:34
以上、貸衣装を選ぶ・後編、になります
背が高い(だからと言って特段高いという訳でもない)のも鍛えられた体型(とは言え見た目にもゴツいって言う程じゃない)も当人が思っている程マイナス要素ではないのですが、気になると言えばやっぱり気になってしまうものなのでしょう
この辺はかつては厳格な家庭環境で育った事に加えて無意識に以前とは別人のような振る舞いを始めてしまう位には精神に深い傷を負った経緯も絡んでいる分、余計に「女の子らしい」事へのコンプレックスは深まってしまったのは割と大きいとは思っています
気付いていないようですが意識していない部分で、可愛くありたいと思っているせいもたぶんあります
注視すればどんなに些細で小さなことでも大きく見えるものですから
彼には全肯定されているんですがねぇ…克服にはまだ時間が掛かりそうです - 89二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 13:54:14
貸衣装部屋の壁か床か天井になりたい
いや壁か床ならピキーンしたキラがその前に立つか座りそうなので天井で……
にしてもウエディングドレスにパンツスタイルがあるんですねえ(知らなかった…) - 90文字書き いちか24/12/13(金) 22:17:31
何かちょっと名称間違えて憶えてたみたいで…投下した後で調べ直したら間違いに気付きました。正しくはパンツドレスですね
裾を捲くらない限りはドレスに見えるものから、パンツの上から透け感のあるゆったりした布を巻いてるだけみたいなのまであったはずです
可愛いよりカッコイイ寄りのデザインが多く、見た目漢前系美人でスラッとした感じのアスランにはたぶん似合ってるはずなんですが…そういうのは無しでって事になっていたので却下されてしまった感じですね
うーん、衣裳部屋もいいと思いますが、それだったら正直メイクや着替えする部屋の方が良くないです?(おいw)
- 91二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 07:08:37
保守
- 92文字書き いちか24/12/14(土) 13:53:44
保守有難うございます
段々頼りにしだしてる自分がいて、あきまへんなぁ…
そういうのに甘え過ぎはいけませんから(戒め)
という事で進捗
補完の方は話が進んで、鏡が苦手な理由
メモからの書き起こしの個別デートは、一応の方向性が決まったので前振り部分を書き始めました
どちらもキラアス成分は補給出来そうな話ではあるのですが、補完は話が重いので別の意味でのたうち回ってます
そういう事もあって、甘い話が書きたかったんじゃなかったのか?と偶に自分でも思うことはありますね… - 93文字書き いちか24/12/14(土) 22:11:13
今書いてますが、取り敢えず続きとかは明日以降になるかな…たぶん
恋愛方面に関しては何かとアスランが受身なのは今更な事実です
基本スペック高め、割と何でも知ってる(事前調査などもするタイプなので隙がない)大抵の事は高水準で出来る、と割と万能でキラに対して姉のように振舞っていた過去が霞みそうな勢いで、今やその彼相手に振り回されオロオロしているのが彼女の現状となっています
完全にイニシアチブは彼の側ですし、元々激甘対応だったのが更に惚れた弱みにまでなっている訳ですから、それはもうどうにもなりません
彼からしたら、彼女に対し数少ない優位が取れるものですから尚の事押せ押せで行くしかないんでしょうが
まぁ不健全なことに関して知らない事が多いというのをあの晩に彼から薄々察されてしまったとは、彼女も今のところ気付いては居なさそうですけど… - 94二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 08:37:37
待機〜!
良いぞ良いぞキラ
自己肯定感薄いアスランにはもっと押すのだ - 95文字書き いちか24/12/15(日) 16:59:12
進捗ですが、デートの前振り部分の方が少し進んでる感がありますが、どっちも外枠をザックリ書いた程度で言い回しとか描写の補強部分 (実はこっちの方が文章のメイン) が残っている感じ
夜頃にはどちらかは出せそうかなぁ…と見ています(例によって予定は未定)
寝起きに頭痛がしたので焦りましたが、寒かっただけのせいか身体が温まって来たら収まりまして安心しました
やれやれです
キラ自身は彼女たちの誰かだけをえこひいきしたりはしていないつもりなのですが、如何せん唯一世話を焼く以外では自分から来ないタイプという、この環境に於いてのイレギュラー行動をするアスランに対してだけはそうも行かない事もあって、アプローチを掛ける側に回りがち(実は根本が面倒臭がりなのもあって、好きな子の方から来るなら受け止めるだけで済むという、ちょっとした横着をしているのは内緒)
そして、それを見ている女の子たちも彼女の挙動に少々焦れているという事もあって、押せ押せになっている彼の行動を概ね許容済みという…(なので基本キラがアスランを構っていると、また遣ってるわ…って感じで見ています)
ちなみに彼のダダの捏ね方も何パターンかあって、弟ポジからのもの、幼馴染としてからのもの、恋人目線からくるもの…と地味に使い分けて来ている時がありまして(殆どは無意識でやってますが)
ただ彼女が自分には甘い、という一点のみは理解しているので、その部分でだけは確信犯なのかもしれません - 96二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 00:01:38
待機
- 97文字書き いちか24/12/16(月) 03:01:05
鏡に映った自分の姿をまともに見ることが事が出来ないままメイクと髪を整え、喧々諤々の末にラクスたちが選んだ一着に着替えて真っ先に部屋から出てくると、そこには撮影の為既に花婿らしい正装に着替えを済ませたキラが出て来るのを待っていた。
朝から待ちぼうけになる事が多かったのもあり、退屈そうにしていた彼は私の姿を見るなりパッと表情を明るくし、嬉しそうに微笑みながらこちらへと歩み寄って来る。
それに気付いた私は気不味くて、慌ててその場で俯いた。
「……こういう格好は、正直不本意ではあるんだが」
今の私は手の甲を覆うだけの長手袋に大きく肩と胸元が開いたデザインの純白のウェディングドレス姿だ。
正直、スカート部分のボリュームと裾の長さもあって重いと感じるほどで、かなり歩きづらい。
身に着けた小花を散らしたようなアクセサリーと相まって普段の自分とはかなり相反した雰囲気だったのだが、一緒に着替えていたラクスたちからは勿論、専属のメイク担当スタッフにまで褒めちぎられた為、居た堪れなさからそそくさと逃げるように部屋から出て来てしまったのだ。
「そんな事言わないでよ、というかこっちをちゃんと見て欲しいんだけど」
傍まで来てから首を傾げるようにしてキラがこちらを覗き込んできたのと目が合ってしまい、思わず目を逸らした。
「…その…キラ、頼むからそんなにマジマジと見ないでくれないか」
褒められはしたものの自分では納得がいかず、落ち着かない。
「見るなって…そんなに嫌だったの?」
「いいや、嫌という意味ではないんだ」
問われて小さく首を横に振る。
それは嫌悪ではなく、後ろめたさや気後れ…そう言った方が正しいと思うのだ。
「…なぁキラ、私は他の子たちと違って女らしくはないだろう?なのに今更になってらしく取り繕っているようで滑稽に見えて仕方なくて」
キラを異性として…何より恋愛対象として意識し出すようになって、途端に目に付き始めた事は多い。それも、同年代の同性と接する機会がなかった時には気付かなかった事ばかりだ。
戦う為の力が欲しいと形振り構わずアカデミーで訓練に明け暮れていた時期、陰でだいぶ酷い言われようだったと聞いた事もあったが、その時ですらこんな事は思ったことがない。
だというのに…今の私はこんな些細なことに頭を悩ませている。 - 98文字書き いちか24/12/16(月) 03:15:49
筆が乗り過ぎて遅くなりました…orz
鏡が苦手な理由・1になります
まずは綺麗に纏りそうだった補完の方を先に投下させてもらいます
そして前中後表記ではなく英数表記という事は…はい、余裕の3,000文字越えしてるんですよ今回
台詞だけだった時には言葉にしていない心情が出るわ出るわで膨れ上がり捲くりまして、それはえらい事に…
まだ本当は〆まで終わってないのですが、8割方出来上がっているので一応出せると取り敢えず見切りを付けました(また後で粗に気付いて修正したいと言い出すんでしょうが) - 99文字書き いちか24/12/16(月) 09:24:38
そして、その殆どが母を喪って以降自身が女であるという事を顧みなくなったことに端を発するあらゆるものも多いという事も。
「そういうの、別に考えた事ないんだけどな。アスランはアスランだと思うし、言葉遣いだってカガリとそんなに変わらないし…」
自嘲的に笑う私に、どうして?と不思議そうに彼は言う。
「そのカガリだって、こんなに鍛え上げてはいないと思うんだがな。それに背だってお前と並ぶと殆ど一緒で…」
そもそも背の高さ一つ取っても彼と並んで立てば殆ど一緒であり、他の3人と一緒に居れば自身の身長の高さを自覚するより他がない。…私自身、彼女たちが小さくて可愛らしいと思う事もあるので尚の事だ。
こうやって挙げ出せばキリがない。
「だから気にしてないって…。ねぇ、それでアスランである事の何が変わって来るの?…僕はそうは思わないけど」
他者を見た目や生まれ、肩書きなどで考えない彼らしい言葉だ。
……ただそれが今欲しい言葉かと言われると、また違うのではあるのだけれど。
それを聞いて私は少し考えた後、躊躇いながらも彼へと問いを投げ掛ける事にした。
「……キラ、本当はそれだけじゃないんだ。なぁお前はこの姿の私を見て、どう思った?」
「どうって…そうだなぁ、月並みで安っぽい言葉しか出て来ないけど、可愛いなとか似合ってるなとか…」
その何の捻りもない素直な言葉に少しだけ安心する。
そして、彼の目には私自身を通して別の何かが見えている訳でもないことにも。
この後に続く言葉は間違いなく今まで誰にも打ち明けた事がない話になる。
「…そうか。お前にはあの日以降ずっと…髪も瞳の色も母上譲りだったのもあって未だに鏡を見るのがつらくて避けているということは、確かまだ話していなかったよな」
――これが私がずっと黙っていた事の一つだ。
あの日以降、母上を亡くしたショックから私は彼女を想起する総てのものに対して拒絶反応を示すようになっていた。
よく梳いて貰っていた長い髪も、選んで買ってくれた少女らしい衣服も、そして良く似た面差しの自身の姿にまで。
「うん、それはまだ聞いてなかったかな。確かに前はよくリボンや髪飾りを鏡の前でよく直してたなって記憶してたけど…。そうか、道理で鏡を見ているところを殆ど見掛けないなと思ったんだ」 - 100文字書き いちか24/12/16(月) 09:38:26
鏡が苦手な理由・2、です
正直、地の文の密度に我ながら呆れております
台詞だけだと情報量が余りに足りなかったのは仕方ないにしても、これは…
1000文字未満の遣り取りが約3.5倍以上に膨れ上がるってと思いつつも(現在も増量中)
これでも一応まだ抑えてるんですよね…筆が乗ってる状態って恐ろしいw
取り敢えず、この後の後半部分は勢いで書いたこともあって詰めが足りないので、文章として出来ては居ますが少しお時間を貰いたいです
出来れば、夜までには仕上げたいところですね - 101文字書き いちか24/12/16(月) 18:36:07
もう2スレ目も折り返し…ですか
書きたい事は書けてはいますが、今スレの範囲で語り尽くせるのかと問われると少し足りないような気もしています
まぁ、先の話はもう少し埋まってきてからでいいですかね
年を跨ぎそうなので鬼が笑うようなことになったら困りますし
このSS内にてアスランの身に着けている撮影用の花嫁衣裳は、甘さを抑えた清楚系を想定してますね
大人っぽいでもなく、クールでもなく…そんなイメージです
雰囲気で言うならスズラン辺りの花を思わせる主張の激しくない、ひっそりと佇んでいるようなそれでいて可憐な感じ
ちなみにスズランの花言葉は、幸せが帰って来る…自分としてもとても好きな花です - 102二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 00:29:42
ほ
- 103文字書き いちか24/12/17(火) 08:05:08
ある程度出来上がっていたとは言え読み返していると誤字脱字もですが、蛇足だなと感じる部分が出てきたり、逆に足りないなとなる場所が目に付きだしたりで中々纏らなくなって現在…
…という事で、もう少しお時間下さい
書いてて気付いたんですが、この話って割と彼女にとっての契機の一つなんですよね
伏せてた部分の開示も多いですし
そして原作と違って結構泣く子だというのを改めて感じます
まぁ、泣く胸を貸してくれる相手も居る事ですし、もっと甘えてくれればとも思っていますが - 104文字書き いちか24/12/17(火) 14:25:38
例によって外出して来ます
お時間をと言っていたのは、このせいもあるので…
帰宅はいつも通りくらい
今日こそは続き投下出来るようにしますね(希望的観測ですが) - 105二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:55:47
- 106文字書き いちか24/12/18(水) 02:11:20
身に着けるものや言動といった部分の変わりように関しては一切触れないのは、彼の気遣いなのか無意識なのかはわからない。
彼は寧ろ、あの頃の癖などに対する違和感の方を先に記憶と結び付けていたようだった。
「鏡を見ると、そこに映った自分に母上の姿が重なって仕方がないんだ。……だからこそ、もう居ないんだって思い知らされる」
あの優しい手も声も、今も尚ありありと思い出せるというのに、あの温もりはもうこの世の何処にも存在しないのだと。
鏡越しに見た在りし日の取り戻す事すら出来ないその姿をどうしても思い出してしまう。
「…………母上が私の髪を梳きながら言っていたんだ、可愛い娘…自慢の娘…って。服だって…きっと似合うって……ぅ…っ」
記憶の中の鏡に映る私と私の髪を梳く母上の姿が脳裏を過ぎる。
ずっと押さえ込んでいたものが噴き出して来たかのように、悲しみとそれに伴う涙が一気に溢れ出て来て止まらなくなっていた。
「ちょっ、アスラン…大丈夫だから、ほら…」
キラは、化粧をしている事すら忘れて両手で顔を覆い崩折れ掛ける私を抱き留めると、支えるようにしてそのまま近くに置かれた長椅子のところまで連れて行ってくれる。
そして無言で手に持っていたハンドタオルをこちらへ差し出すと、一緒にそこへ腰掛けた。
一頻り泣いて落ち着いて来た私は、話を続ける。
「……あの日以来、少しでも女らしくしていると、あの優しい手や私を呼ぶ声を思い出してしまうようになって苦しかったし、父上も私を見ると母上を思い出すのか見向きもしてくれなくなった…」
可愛らしい服や髪型は、母上が自ら見立て手ずから整えてくれていたものだけに、その最たるものとなってしまった。
そうやって避けている内に本当にそういうものが似合わなくなってしまったというのも、皮肉な話だ。
それから父上に関して思い出せるのは厳しい背中の記憶ばかりだ。そしてその最期は私の事すらわからなくなるほどの悲しい姿だった。
喪った果てに狂気に落ちるほど母上を愛していたとなれば、私を見るのはどれ程つらかったのだろうかと。…父上のあの末路を見届けた後、そう思った事を思い出した。
私はそうやってぽつりぽつりと記憶を拾い上げ、言葉にする。
どれ一つ取っても、思い出すだけでとても苦痛だった話だ。 - 107文字書き いちか24/12/18(水) 02:34:44
お待たせしてます
鏡が苦手な理由・3になります
もうちょっと色々と詰められそうな気もしないでもないですが、キリがなかったので諦めました
残すは話のオチ部分…何とかします - 108二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 11:03:54
保守
- 109二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 16:49:20
辛い…悲しい…
男でもレノアさん似って分かるしにょたランならもっと似てるよね… - 110文字書き いちか24/12/18(水) 20:02:36
だからこれは、少なくとも聞いてくれているのがキラだから話せているのだろうとも思っている。
「……そっか。君が一番つらい時に傍にいてあげられなくて…ごめんね」
キラは私が吶々と話すのを口も挟まず静かに聴いていたが、やがてそう言って済まなそうに微笑んだ。
一緒に居られなくなったのはお互いの事情故だ、少なくとも謝って欲しかった訳ではない。
それでも抱え込んでいた手に余るほどの感情の一部を吐き出した事で、ずっと溜め込んでいた胸のつかえが少し軽くなったような気がした。
…あぁそうか。私はあの時、きっと誰かに…他ならぬキラに傍に居て欲しかったのだ。
今、こうやってしてくれているように。
だからこそ、彼には言わなければならない事がある。
「…それはお前が気に病む事じゃない。ただ……あの頃の記憶のままの私じゃなくなってしまって…済まなかったって、そう思ってる」
そう、寧ろ謝る必要があるとするならば私の方だ。
彼に対して思っていた事をそのまま言葉として紡ぐ。
見た目の印象も言動も、あの頃を知る者からすれば見る影もないほど変わり果ててしまったというのに、敢えて多くを問わずに居てくれることがいつもどこか心苦しかった。
だから彼から何気なく可愛いと言われる度、あの頃の自分との差異にずっと後ろめたい思いを抱えていたのだ。
そして、彼の目に映る私は一体どんな風に見えているのだろう?…そんな風にも考えている。
けれども、彼は私のこんな心に刺さる小さな棘のような負い目など気にも留めていない様子で、当然とばかりに微笑んだ。
「そんなの大した事じゃないじゃないか。僕は今の、凜としてるアスランも好きだし」
キラは一切の照れも臆面もなくそう言い切る。
一瞬面食らって動きが止まり、思わず声が上擦った。
「…だっ、だから、急にそういう事を言うなよ」
不意打ちのような言葉にそれまでの後ろめたさも一瞬忘れるほどうろ狼狽たえてしまうほどの事だというのに、彼にとっては当たり前のことであるらしい。
「そんな事言われてもなぁ…今も絶賛惚れ直している最中なんだけど、駄目なの?」
本当に何の気なしに言っているのだろう、いっそ無邪気に小首を傾げる様子が少しばかり腹立たしい。 - 111文字書き いちか24/12/18(水) 20:04:04
「本当に…しれっとそう言う事を言うなって言ってるだろ!」
最早涙が引っ込んだどころの話ではなく、今や私の顔は頬どころか耳まで真っ赤だ。
惚れ直される要素がどこにあるのかも皆目検討が付かない上、屈託なく微笑まれてしまったとあっては何も言い返せないのだから尚更だ。
彼はそうして隣で挙動不審な動きになっている私をにこにこと見詰めていたが、ふと何かに気が付いたらしい。
「それにしても、折角のお化粧取れかけちゃったね…これはラクスたちに怒られそうだなぁ」
困ったね、と苦笑しながらキラが言う。
手元にある本来は汗を拭うものだっただろうハンドタオルは涙を拭ったことによって落ちたファンデーションとマスカラで汚れていて、どう考えても化粧直しは確定事項だ。
そうでなくてもこれだけの状態になっているのだから目許は間違いなく赤く泣き腫れているはず。
「いや、これはお前のせいではないから…」
話の途中で感情を昂ぶらせた結果泣き出した私自身のせいだ。
これが事実のはずなのだが、キラから言わせればこういう時は彼が責められるべきものらしい。
その彼女たちの理論は正直同性ながら間尺に合わないし、納得がいかないのだが。
「…まぁ、君が泣いてる時点で無理かなって思うけどね」
困惑する私の隣で、彼はそう言って苦笑いを浮かべたのだった。 - 112文字書き いちか24/12/18(水) 20:12:46
鏡が苦手な理由・4、これにて完了です
補完後の文章量が4400文字超で約4倍強…ちょっと増え過ぎですね
とはいえ、この話は会話だけでは見えて来ない背景部分の説明が必要だったので多少はしょうがない話でしょうか - 113文字書き いちか24/12/19(木) 02:48:19
さてと、保守りますかね…
一応、個別デートの前振りの続き書き進めております
ただ前振りだし1000字くらいで、と思ったのにもっと長くなりそう
…どうしてこうなった - 114二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 10:19:58
保守
- 115二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 18:21:20
待機
- 116文字書き いちか24/12/19(木) 20:28:36
保守して下さって、いつも有難うございます
疎かにしている訳ではないですが、ここのとこ何も書いていなかった方に別件で書いていたのでこちら用のものがが少し後回しになってしまってます
最近は名前を出したままなので常駐先をご存知の方も少なからずいらっしゃるとは思っておりますが…
取り敢えずクリスマス近いですし、どうしてもデート回は書きたいのです(ラブコメ書いている以上、避けたら駄目という強迫観念じみたナニカ込みで)
気迫と熱意だけは買ってください、ちゃんと書けているかは別としてですけど
さて、頑張って来よ… - 117二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 02:43:09
アスラン泣かせたら怖い保護者がくることになるという認識のキラかわよ
気づかないうちに溺愛されてるアスランかわよかわよ - 118文字書き いちか24/12/20(金) 09:55:00
それはもう、ラクスが普段からアスランを可愛がっているのはキラも重々承知しているので…
メイクと着替えが終わって残りの3人が出て来たら、撮影に支障がとフレイがキレ、妹分を泣かせたとラクスが怒り、それを見てカガリは怒ったりする暇がなくなって宥めに入る…そんな状況になるのは確実ですから
話題に挙がったので、ここの世界観でのラクスとアスランの関係性のイメージに関してですが
この二人は一言で言うと、抱っこしたいのに寄って来てくれないと嘆く飼い主と、余りに可愛がりたい圧が凄いので飼い主に近寄れない飼い猫、みたいな感じですかね…
- 119二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 18:01:38
保守
- 120文字書き いちか24/12/21(土) 02:25:09
「ねぇキラ、わたくしたちとおデート致しましょう?」
それはいつも通りのお茶の時間。
ティーカップを手に満面の笑顔で唐突にラクスが言う。
飲み掛けのコーヒーの入ったカップを口元へ運びながら視界の隅で何気なくその光景を見ていた私は、はたと手を止めた。
彼女のこの手の急な思い付きに拠る話題振りは今に始まった事ではないが、今…”たち”って複数形だったような?
若干聞き捨てならないというか、スルーしてはならない文言が聞こえたような気がするんだが。
そんな事を思っていると案の定、突然過ぎて面食らっただろうキラが、きょとんとした顔で聞き返した。
「デート?」
「えぇ、デートですわ。それからわたくしたち4人全員と一緒にではなく、それぞれと二人きりで、という事になりますけれど」
個別にとなるとキラからしたら割く時間や労力などを含めて総てが4倍だ、そもそも彼が頷かなければ話は進まない話でもある。
面倒臭がりの彼が即答するとも思えないのだが…そんな事を思っていると、そこへ割って入る声があった。フレイである。
「急な事を言い出すのね、ラクス」
この二人はよく一緒に何かを計画していたりが多いのだが、今回の提案はその手の打ち合わせはまだだったらしい。寝耳に水とばかりに声をあげたフレイは突然降って涌いた企画に少しだけ驚いていたようだった。
「キラの返答もだけど、この場に居ないカガリはどうするつもり?忙しいのかここ1週間くらい来てないじゃない。急に決めたらスケジュール調整で揉めるわよ」
彼女自身割と言いたい事を遠慮なく言うタイプだが、気付けばラクスの参謀役に収まっていただけあって、指摘は鋭かった。
そんな的確なツッコミにラクスがポンと手を叩く。
「それは…つい今しがた思い付いたばかりでしたので、カガリさんにはこれから細かいところを決めてから連絡致ししましょう」
おっとりとそう言って微笑む。
そんな事だろうと思っていたが、どうやら本当にその場での思い付きだったらしい。
少なくとも、彼女の中では全員参加の体で話は進んでいるのだけは確かだ。
一口大に割ったビスケットを口の中に放り込みながらそれを眺めている私の目の前で、キラに改めて向き直ったラクスが少し甘えた声でアピールをし始めた。 - 121文字書き いちか24/12/21(土) 02:32:58
大体書けましたー
という事で個別デートの前振り話、デートをしましょう・前編になります
後半分というか〆のところがまだなんですが、たぶん大丈夫きっとメイビー…(遠い目)
そんな訳で、この続きが夕方過ぎから夜になったらごめんなさいってところですが、恐らく何とかなるはずです - 122二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 11:38:12
保守
- 123文字書き いちか24/12/21(土) 19:34:46
「お出掛けというと全員で…というのが最近の流れでしたけど、偶にはふたりきりも宜しいかと思いましたの。という事で、おデートしませんか?」
ともすればあざといと言われそうな仕草ですら、彼女がすればとても自然で愛らしい。
小首を傾げてお願いするようにそう言う彼女を見詰め、僅かな間の後キラが少し歯切れの悪いながらも了承するように頷いた。
「それは、構わないけど…」
でも4人分かぁ、などと面倒そうに言いながらマグカップの中身を啜っている割に何だか満更でもなさそうな様子でもある。
それを見ながら私はずっと思っていた事をぼそりと小さく声に出した。
「……つまり私も強制参加、ってことになるのか?」
話が勝手に進んでいて、気付けば私まで参加する前提で話が進んでいるようだったからだ。
すると呟く私のその言葉をラクスは耳聡く聞き取っていたのか急にこちらに水を向けてくる。
「あらアスラン、キラとのデートはお嫌ですか?」
訊きながらラクスはふんわりと微笑んでいるが、言葉だけでなく雰囲気からも妙な圧を感じた。
まさか参加しないとでも言うつもりなのかと、言わんばかりの有無を言わせない空気だ。
私は気圧されるまいと身構えつつ、思っていた事を言葉に乗せる。
「…そういうんじゃなくて、意思に関係なくもう既に頭数に含まれているのかっていう話だ」
参加の有無ではなく、最初から結論ありきで話を進められている事、それ自体が問題なのだ。
「ねぇ、アスラン」
焼き菓子を齧りながらそれを聞いていたキラが、不意にテーブルを挟んだこちらの方へ少しだけ乗り出すようにして私を呼んだ。
「…なんだ、キラ」
彼は返事をする私をジッと見詰めると、拗ねたような声で訊ねてくる。
「僕とデート、したくないの?」
「……こんなに四六時中一緒に居て、今更デートとか」
どう考えても彼とのそういう状況自体が想像出来ない。
……そもそもの話、何をすればいいというのか。
「ねぇ、しようよデート」
キラはそんな事を思う私の口振りに更に前のめりになると、今度はジッと上目遣いでこちらを見上げて来る。
あぁこれは私が頷くまで続くパターンだ。
内心、閉口しながら頭を抱えた。
「…私が断れないの解ってて言ってるだろ、それ」
「そこまでは思ってないけど、でもどうせだからアスランともデートはしたいよ」 - 124文字書き いちか24/12/21(土) 19:35:31
案の定ねぇねぇと、どうあっても折れる様子を見せないどころか、こちらが屈するのを待つくらいのしつこさで食い下がってくる。
やはりと言うべきか、結局、こうなってしまうのか。
盛大に溜め息を吐いて、仕方ないなと呟いた。
「…………解った。お前の場合言い出したら私が頷くまで話が終わらないからな」
これはもう諦めろとしか自分に対して言い訳のしようがない。
渋々受け入れる私に、キラはそれまでの駄々っ子のような態度が嘘のように上機嫌になっていた。
そして、そんなこちらの遣り取りを見守っていたのか、ラクスとフレイがお互いに目を見合わせながら口々に言う。
「話は纏ったみたいよ?」
「そうみたいですわね」
それからドッと疲れている私を尻目に、これで本題に入れるとばかりに話の続きを始めたのだった。 - 125文字書き いちか24/12/21(土) 19:47:25
はい、個別デートの前振り編である、デートをしましょう・後編出来ました
尚、スレ主の嗜好もあってデート本編はアスラン以外の分は描写があってもサラッと流す感じにはなると思います、その辺りはご了承下さい(断じて軽んじているという訳ではなく、寧ろ彼女たちのキャラを活かし切れる自信がない為です)
という事で、この後はデート回ですか…
クリスマス前に間に合うといいなぁ(遠い目) - 126文字書き いちか24/12/22(日) 00:39:11
デートと言われても正直何をすればいいのか解らなくて色々悩んだ挙句、自分ではあまり観る機会のない古い映画を居間にあるスクリーン型のモニターで一緒に観ることを思い付いた。
そもそも出掛けるにしても何を着たらいいのかも解らない、だったら出掛けなければいいのではとなった為だ。
何故こんな事になっているのかと言うと、なし崩し的にデートをする事になった後の話し合いのせいとしか言いようがない。
デートの内容について、キラは4人それぞれに付き合うという負担もあるので相談は受け付けても基本は何も考えないでいいという事になったので、自ずとこちら側で立てるということで話が付いてしまい、悩まなくていい頭を悩ませる破目になってしまったのだ。
安直ではあるが、思い付くものがないのだから仕方がない。
そう思っていた矢先、ラクスが私の部屋を訪ねてきた。
彼女は私を都度構いたがっているようで、こうやって度々部屋へ来たり、その逆で自身の部屋に連れて行こうとしたりして来る。
彼女に何体かあげた自作のマスコットメカのハロのメンテなどの話を逃げるように振って遣り過ごしているが、どうも私を構いたいという意図がありありと透けて見えて何とも遣りづらい。
しかも最近では身を構わないのを見兼ねたフレイに世話をされている事が多い事に対抗している節もあって、更に圧が増したようにも思えるから困る。
「おデートに着て行く服でも見繕って差し上げようと思いまして」
にこにこと微笑みながらそう言ってくるので、断る為にも止むを得ず私は自分の考えているデートプランを明かす事にした。
「まぁっ、そんな…手抜き過ぎなのではありませんの、それは」
……そんな事を言われても困るのだ。
一緒に居る事が当たり前過ぎて、敢えてデートと言われても結局そこからの何かを想像が出来ないし、甘い何かを期待するような気持ちにすらならないというのに。
困惑する私の前でラクスが何やらご立腹のようだが、こればかりは本当にどうしようもないのだ。
そんな感じで部屋の戸口のところで遣り取りをしていると、フレイがそこへ通り掛った。
「あんたたち何そんなところで…」
「あぁフレイさん、いいところに来てくれましたわ。アスランたら、手抜きもいいところのデートをしようとしてますのよ」
振り返るなりそう言って彼女を即座に味方に付けに行くラクス。 - 127文字書き いちか24/12/22(日) 00:40:20
こちらは味方してもらえるとは端から思ってはいないから、そんな事などどうでもいいのだが、どうしてこんなタイミングで通り掛るのか…。
「はぁ!?ちょっとアスランあんた…流石にそれはどうかと思うわよ」
そして案の定と言うべきか、フレイもまたラクス同様に駄目出しの方向らしい。
……だったらどうすればいいんだと言いたいところだが、言ったところで二人がかりで何やら始まって仕舞いかねないので口を噤む。
「…大体、プランは各自で自由にしていいはずだろう?口出しされても困るんだが」
「それはそれ、これはこれですわ」
「しかも普段着でとか色気がなさ過ぎよ」
二人は捲くし立てるように言うと、目を合わせるなりそのまま私を部屋へ押し込んで一緒に中に入って来る。
「ちょっ、二人とも何を…っ」
「何って…ねぇ?」
「ですわよねぇ?」
一瞬の後、制止する間もなく部屋のクローゼットを開け放つ二人に私はその場で固まる事になるのだった。 - 128文字書き いちか24/12/22(日) 00:51:12
デート回との幕間の話が降りて来たので
実は予定外のものなのですが、降りて来ちゃったので仕方ありませんね
勢いだけ正味3時間くらいで書けちゃいましたし
相変わらず、結託した二人が強過ぎましたw
尚、オチはボカしましたがこの後二人の試行錯誤の結果が、アスランのデートの装いになります - 129二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 01:07:52
やったデート回だ!!!
あとアスラン諦めろ…その2人がタッグを組めば逃れる術はないぞ… - 130二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 09:00:45
保守
- 131文字書き いちか24/12/22(日) 16:40:26
勢いで書いたので、読み返すとやっぱりちょっと粗が目立ちますね…
彼女の持ち物は性別問わないようなデザインのものとメンズのものが大多数だというのは以前にもご説明した通りですが、今回のデートで着る事になるスカートなどの服は隠れ家に移り住んでから増えたもの
一緒にショッピングなどに引き摺って行かれたりした時の購入品ですが、敢えて自ら身に着ける理由もないのでずっとタンスの肥やしになっていたものがやっと日の目を見る事になった…そんな感じです
進捗ですが、別件含めて2本抱えているので、今日はちょっと投下は難しそう
まぁ、衝動的に書きたいものが降ってくれば話は別なのですが - 132二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:57:46
1個は気にしなくてもいいですよ(小声)
どんなデートになるのか楽しみです - 133文字書き いちか24/12/23(月) 06:29:07
アスラン以外のデートですが、ラクスは夜景が綺麗な場所、フレイはウィンドウショッピングに引っ張り回す、カガリはスポーツ観戦か自身が身体動かすようなヤツ、というのを自分の中では想定してはいます
その様子は実際には書かないので、本当にザックリしたイメージになってしまってますが
それから最強コンビに駄目出しされてこの後全身デート用コーデされてしまうことになったアスランですが、お家デートは却下だったんで、はてさてどうするんでしょうねぇ… - 134二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 12:30:03
待機
- 135文字書き いちか24/12/23(月) 20:19:08
現在、変なところで躓いてて筆が止まってます
折角ちゃんとデートらしくコーディネートしてあげたのだから、描写ちゃんと書きたいなぁと思ったのが裏目に出てましてね…
そう、自分自身も普段から洒落っ気ゼロなのを思い出しました
元々は文章ではなく絵の方が専門だったのと、自分が着ないような服を登場人物に着せて悦に入っているタイプの人間なので、余計にファッション周りの用語詳しくないんですよ…
何やら遣っちまったなぁって感じです
もうこれ、適当なところで何とかするしかないですねぇ - 136二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 02:43:50
分かりますわ〜
自分そのキャラに合う服の色の時点で分からなくてどんなんあるだろとネットに聞きましたぜ
アスランに着せたいといえばスカート系ですが、ワンピース着せてみるとか…流石に安直すぎるかな…
街中でよく見る透けてる系はフレイとかラクスが着てそう - 137二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 11:05:10
ほ
- 138文字書き いちか24/12/24(火) 14:30:45
火曜日ですので、やっぱり今週も外出して来ます
帰りもいつもくらい
デート話は半分くらいまで書けてます、一応
一応なのは何となくしっくり来ないところがあるからですね…
まぁ、帰ってから何とかします - 139二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 22:44:38
待機
- 140二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 06:16:29
待機
- 141文字書き いちか24/12/25(水) 14:05:11
私たちは隠れ家から二人揃って放り出されて呆然と立ち尽くしていた。
どうしてこんな事になったのかと考えるが、どうしても納得がいかない。
正直なところデートがどんなものかなんて知らないし、どうしたらいいのかも解らないのだ。
だから自分で解らないなりに考えたのだが、それを聞いたラクスとフレイに大した剣幕で二人掛かりで怒られてしまった。
しかも自分としては家から出るつもりもなかったのに、その場で頭の先から足の先まできっちりとデート仕様に整えられてしまい、そんなこんなで現在…二人でどこかに出掛けて来いと私とキラは外に追い出されていた。
「ねぇ、今日は本当はどうするつもりだったの?」
彼がそんな途方に暮れていた私と目を見合わせて訊ねて来た。
「……古い映画を一緒に観ようと思っていたんだ。居間に観られる設備があっただろう?」
そう答えると、キラは少し頤に指を当て思い出す素振りをした。
「あぁ…そう言えばあったね、そんな感じの」
お互いにインドア派とはいえ、映画鑑賞の趣味もないしあまり興味もないので当然と言えば当然の話。彼も私が言った事でそんなものがあったのを思い出したくらいには惹かれるものはなかったらしい。
「それに他の3人相手のデートは全部近場とは言え外出してたじゃないか。だったら家でのんびりしても良いんじゃないかとも思ったんだ」
勿論どうしたらいいのか解らなかったのもあるが、私としては一緒に居られればそれでいいとも思っていた訳で…。
……そう、雰囲気なんてどうでもいい。隣に彼さえいればそれで十分なのだから。
「まぁ、あちこち連れ回されて疲れてないかと言われたら、それなりには大変だったけどね」
そう言った後、取り敢えず適当にこの辺を歩こうかとキラはこちらへ手を差し出し、私は少し躊躇いながらその手におずおずと自分のそれを重ねた。
それはいつかの式場を模した撮影所での一幕の再現のようだった。
着慣れない服に履き慣れない靴という落ち着かない状況もあの時とよく似ている。
「それにしても、今日は…」
そこでやっと、彼は私の見慣れない格好に気付いたらしい。
ただ急に注視されたことでこちらも頬が熱くなって来てしまう。
そう、今の私は普段着ている男物のシャツにデニムというラフな服装ではなかった。 - 142文字書き いちか24/12/25(水) 14:11:43
お待ちかね(?)の個別デート本編前編です(ちゃんと書くのはスレ主の都合でアスランのみですが)
ある程度納得出来るところまで書けたので、出来上がった部分から投下していきますね
果てさて、彼女の駄目出し食らったデートプランはどうなったのか…その目でご確認下さい - 143文字書き いちか24/12/25(水) 20:00:32
踵の低いパンプスに足首が隠れそうなくらい長いロングスカート、上に羽織っている上着がラフなものなのでだいぶ女性らしい印象が薄まっているが、私としてはまじまじと見られてとても居心地が悪いのだ。
……変に思われていないだろうか。
そんな事を思いながらも彼からの視線に耐えかねて思わず目を逸らした。
別に選んでくれた二人のセンスを疑う訳ではないが、どうにも自信がないのでついそういう思考になってしまう。
「えっと…普通に可愛いと思うんだけどさ」
少しの間があって、そんな落ち着かない私の様子を見ながらそう彼が答えた。
「……あまり、褒められても困る」
というか、何にでも可愛いと言い過ぎなのだ。
だからと言って変に語彙を増やされても困るのだけれど。
「仕方ないなぁ。そういうところ含めて可愛いと思ってるから、もう気になんてしてないんだけどさ」
キラはそう言って笑いながらも、頬が熱くなって来て困ってきた私の手を取って歩き出した。
そしてそのままいつもの散歩コースでもある海岸の方へと歩いて行く。
「何だかいつもの癖でこっちに歩いて来ちゃったけど…いいよね?」
確認を取ってくるが、特に行きたい場所もない。
構わないと答えて彼の足の向くままに従って、手を引かれて歩き続ける。
遠かった波の音が足を進める毎に近付いて、気付けば本当にいつもの海岸まで出て来てしまっていた。
本当にいつもの散歩だなと思いながらもそのまま歩いていると、ふとキラが足を止めてこちらを振り返った。
「そう言えばこの辺だっけ?皆で指輪交換したの」
恐らく明け方前、日の昇らない内に全員でお揃いのリングを指輪の交換の儀式を真似て遣った時のことだろう。
表に出せない関係だとしてもこれから始まるというのに日暮れでは流石に縁起が悪い、そんな事からあの時間だったのだが周囲が薄暗かったのと、この辺でいいかと適当にその場で決めたのもあって私も場所までは正確に記憶していない。
「……たぶん」
「じゃあ、ここでいいかな」
私が曖昧に答えたのを聞いて彼は自分の左手の薬指から指輪を外すと、こちらへ差し出しながら柔らかく微笑んだ。
「あの時はラクスが代表してだったから、アスランともちゃんと遣りたかったんだよね」
「べ、別にそんな事しなくても…」 - 144文字書き いちか24/12/25(水) 20:15:26
個別デート・中編です
デートなんだから出掛けて来いと放り出されたものの、ノープランの上に着慣れない服…予定外だらけのデートの行方は…?
オチは鋭意製作中なので暫しお待ち下さい
実は、気付いたら描写端折ってしまったんですが今回アスランは服装どころか髪型やメイクにネイルまで例のコンビにガッツリ整えられていまして…要するにデート仕様の完全武装状態なんですよね - 145二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 05:48:27
保守
- 146文字書き いちか24/12/26(木) 14:08:17
保守して下さって、有難うございます
リアル側の諸事情あってもうちょっとお時間を頂くかもしれませんが、今暫くお待ち下さい - 147二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 23:21:24
待機
- 148二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 23:26:28
個別デートの破壊力やばいですね
顔のニヤつきが止まりませんね……
後編もゆっくりお待ちしてます!
スレ主さんのやれる範囲で大丈夫ですよ〜 - 149文字書き いちか24/12/27(金) 08:05:59
進捗ですが、締め方を少し迷ってしまっていて…もう少しお時間を貰いたいです
でもあと少しなんで、頑張る
今回ノープランという事でノリと流れに任せることにしたのですが、自発的に動いてくれたキラのお陰で進んだ部分が多かったですね
…その代わり、だいぶ乙女心にダイレクトアタックかましてますがw - 150二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 15:20:29
待機
- 151二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 23:42:38
保守
- 152二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 07:50:56
待機
- 153文字書き いちか24/12/28(土) 16:29:36
保守有難うございます
進捗ですけども、リアル事情もあって昨日はちょっと手に付かずでした
ただ、いざ書こうとなったら今度はしっくりくる締めが来ないんですよね…
もう少しお待たせしてしまいますが、宜しくお願いします - 154二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 00:13:29
書くときのノリってありますよな
さっきまで思い浮かんでたのになんかちょっと時が過ぎるだけで具体的に書けなくなるみたいな - 155二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 08:52:53
文字に起こして読んだらしっくりこないとかありますもんね
- 156二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 16:53:19
保守
- 157二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:45:55
どんな締めになるかなぁ
- 158文字書き いちか24/12/29(日) 23:27:53
長々お待たせしてすみません…あのぅ一応締められはしたのですが予定外に長くなってまして、後編?って状況です
加えて割とグダりました
デートの余韻とかそういうのないです
と、いつもとは逆で投下前に言い訳を先にしておきますね - 159文字書き いちか24/12/29(日) 23:32:01
改めてもう一度と言われ、その時の敢えて言うのはこれきりと思って口に出した誓いの言葉を思い出して今度は頬どころか耳の方まで熱くなって来た。
彼が態々こちらが照れ臭くなる事ばかりをしようとするのはどうしてなのだろうか。
そんな事を考えたが、無論答えなどある訳がない。
普段は気にしないで見る事が出来るその顔も、こうなってしまえばまともに見詰めることさえ出来なってしまう。
「ねぇアスラン、いいよね?」
ただ促されたものの、いざ改めてなどと言われると躊躇ってしまう。
「ほら、これ」
それを見たキラは中々受け取らない私に、それならとこちらの手を取って直接手渡してきた。
言い出した時点で解っていたとは言え、どうあっても譲る気はないらしい。
私はつと手の中の指輪に視線を落とす。
デザインは勿論私の着けているものと同一で、内側に誕生石が嵌め込まれているのも一緒だ。
薄明の薄暗い中では良く判らなかった小さな石の翠色が鮮やかに日の光の下で輝いていた。
「…まったく、遣り直さなくても変わらないだろうに」
嘆息しながら言うが、彼は拗ねるどころか寧ろ期待するようにこちらを見ていて、そのせいか妙に緊張してしまう。
私は遠慮がちに彼の左手を取り、もう一方の手で銀色に光るシンプルな指輪をその薬指の付け根向かってに押し込むように滑らせた。
「…ほら、これでいいか?」
伏し目がちに言いながら静かに指から手を離すと、キラは指輪の嵌め直された手を確認した後で顔を上げ今度は私の方へと手を差し出して来る。
「それじゃあ君のも貸して。僕にも遣り直させてよ」
「いやもういいだろう、私の分はあの時にやったじゃないか。態々二度もやる必要なんて…」
「い い の。ほら貸してったら」
ずい、と掌を上に向けた手を更に突き出してもう一度言う。
本当に、昔からこういうところは強引だしゴネ出したら引き下がろうとしないし譲らないし…。
こんな事も何度思ったか数知れない。
でも結局、彼に乞われると拒否が出来ない自分が居る。
小さく溜め息を吐きながら渋々と自分の指から指輪を引き抜いてキラへと渡すと、彼はどこか恭しくそれを受け取って私の左手を取った。
そしてあの時と同じように薬指へと誓いの証しを改めて着け直したのだ。
「結局同じじゃないか…」 - 160文字書き いちか24/12/29(日) 23:34:38
正直なところ着けている場所は同じだし、以前と同じように彼が自身の手で同じように同じ指に戻しただけだ。
思わず口をついて出た言葉に彼はほんの少しだけ不服そうな顔をした。
「同じじゃないよ」
言って、元の場所へと戻って来た指輪を着けた私の手を掬い上げるように引き寄せると、そこへと口付ける。
それが余りに不意打ち過ぎたせいで呆然と一連の流れを目で追い、不意に視線を上げたキラと目が合ってそこで我に返った。
「…っ、一々そういう気障なことするなって…」
目を逸らしもごもごと言う私を前に、にこりと微笑むと一度指輪の感触を確かめるように撫でてから彼はゆっくりと手を離す。
「なら、アスランはどうして欲しいの?」
「……いや、それは…」
こちらとしてはそもそも具体的な要望などないし、そんな質問の仕方は少し意地が悪い。
というか、私が口ごもっているのを、いつもの恋人ぶっている時の余裕のある笑みのまま見てられているのが何とも釈然としないのだが。
そんな事を思っていると、彼は軽く息を吐いた後で苦笑し肩をそっと竦める。
「まだ昼間だし紳士らしく行こうと思ったけど、やっぱり可愛いとこ見せられちゃうと無理だよなぁ…」
そう呟いた後、私へ甘えるような声色で問い掛けて来た。
「ねぇ、キスしてもいい?」
「最近はそんな事も訊かなくかった癖に…」
「一応デートだしと抑えてたんだけど。…そっか、訊かなくて良かったんだ?」
キラはこれから悪戯でも始めようかという笑みでそう言って、私の頬に手を添える。
二人きりだし確かにまったく期待していなかった訳でもないが、こんな白昼誰が見てるか解らないようなところでとか何を考えて…。
もう既に茹りそうなくらい真っ赤になっている事くらい自覚しているし、半ば動転しているのも頭の隅で理解出来てはいた。
「お前はそうやって直ぐ調子に乗るんだか……っ」
慌てて制そうと顔の前に手を出したが、それもすらも当たり前のように退けられそのまま唇を塞がれてしまう。
そして彼が手を離してくれる頃には、私は膝から崩れその場にへたり込まされていた。
「…本当に、場所と時間くらい選べ莫迦」
悪態を吐きながら彼の胸を拳で軽く叩く。 - 161文字書き いちか24/12/29(日) 23:35:38
……やっぱり、恋人らしいデートなんて柄じゃないんだと確信してしまった自分がいた。
取り敢えずこの浮かれた幼馴染には、私が立ち上がれるようになるまで小言を言い続けて遣ることにしようか。
少なくとも日はまだ高く、夕暮れには程遠かった。 - 162文字書き いちか24/12/29(日) 23:45:21
個別デート・後編(?)です
言い訳の続きですが
纏り切らなかった結果、実はこれだけで1980文字超(!)あるんですよ…
全然イチャイチャもしてないのに orz
今日になって利き手で物を持つと腕が痛む状況になってたせいで色々ありまして…
幸い、キーボードを打つのには支障はなかったんですけど、この年の瀬に少々参っております
取り敢えずデート回は何とか締められましたので、一安心ですが - 163二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 07:35:14
待機
- 164二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 18:02:45
待機
- 165文字書き いちか24/12/30(月) 22:51:19
年末の買い出しで疲労してるスレ主に、保守の二文字が有り難いやら焦るやら…
次は何を書こうかってところですが
メモとストック眺めてから考えたいと思います
やっぱり完成まで書かないと前中後の割り振りはやってはいけなかったな、と今回ので猛反省
締めまで出来てない時は素直に数字振っておく方が無難ですね(遠い目) - 166文字書き いちか24/12/31(火) 08:11:36
予定外ですが、急にちょっと独占欲強めの人の話が降って来たので書き始めてます
イチャイチャとはまた別方向だし、ちょっと湿度高くなりそうな予感…
正直、彼からの愛が重いのも程度問題だと思いますが、彼女たちの許容範囲ってどのくらいなんでしょうね
たぶんアスラン辺りは雁字搦めにされてても割と平気そうだとは思いますけど - 167二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 17:20:07
焦らずゆっくり書いて下さい気長に待ってますから
- 168文字書き いちか24/12/31(火) 19:02:09
ラクスたちと分担していた家事の担当分をこなしていると、作業に伴って聞こえる音に混じって誰かの足音と気配が近付いてきた。
つと目を上げるとそこに居たのはキラだったのだが、何やら酷く不機嫌そうな顔でこちらを見ている。
無論、そんな顔をされる憶えもないし理由が解らない。
長年の付き合いの中でも見た事のない程の怒りを感じてどうしたのかと声を掛けようと思い口を開きかけたその時、彼は至近距離まで近付いて来て少し荒っぽく私の腕を掴んできた。
「ねぇアスラン、本当だったら僕以外の誰かと結婚する事になってたって話は本当なの?」
キラは普段の温和な雰囲気からはとても想像が出来ないほどの…何か、怒り以上のものが垣間見えるような怖い顔でこちらを見詰め、強い口調でそう訊ねて来る。
拗ねたりなどで不機嫌くらいならよく見るが、こんな眸を見るような事など滅多になく…それこそ私と殺意を向け合ったあの時でさえ見せなかったのではないかと思うほどのものだった。
「そんな話を誰から…。あぁ、そんな事を知っているのは一人しかいないから訊くまでもないか」
私は訊き掛けてから該当者が一人しか居ない事に気付いてそのまま質問をしまい込んだ。
「ねぇ、本当なの?」
そんな私へ彼は更にきつく問い詰めるような声で問い質して来た。
「プラントの婚姻統制のことを言っているのだったら、本当だと言うしかないだろうな。…ラクスもそう言っていたんじゃないのか?」
「…言ってた。ムキになって問い詰めちゃってだいぶ吃驚させてしまったみたいだけど」
憮然とした声音で返される。心底不機嫌だと言わんばかりのその声に、私は少し戸惑う。
「お前、彼女にもそんな剣幕で詰め寄ったのか…」
急な事もあって驚いたが、私もキラのこんな顔を見たのは子供の頃からの付き合いを含めても初めてじゃないだろうか。
怖いと一瞬でも思うほどの、こんな表情で詰問されたらラクスだって内心吃驚どころの騒ぎではないだろう。
「……確かに私もラクスもこうやって一緒に暮らすような事もなく戦争だったりがなくてプラントに居続けたのであれば、いずれはそんな事になっていただろうというのは否定しない」
敢えて隠すほどの事ではないし彼を宥める為にも知っている範囲で説明した方がいい、そう判断した。 - 169文字書き いちか24/12/31(火) 19:28:09
重い彼氏のお話・1になります
〆までは出来てないですが、思っていたよりスッとお話が出て来たので投下していきますね
激重な彼はこのハーレムという状況がなければ最終的に誰か一人だけを選ばなければならなかった、という事自体はちゃんと理解はしているのですよね
仮にそう言う状況になって選べるのかと言われるとどうなるかは解りませんが… - 170二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 01:02:21
雁字搦めでも全く気にしないアスラン、いい…
重さのレベル…確かにありそうですが線引きが中々に難しいですな
ラクスも割と平気そうなイメージあるし、フレイは呆れながらも聞きそう
カガリ辺りがいやいやそれは無茶だろとかズバッと言いそうなイメージありますわ - 171文字書き いちか25/01/01(水) 06:26:17
目の前の彼からの視線は変わらず怒り…というかこれは寧ろ苛立ちや嫉妬と呼んだ方が正しいのだろうか…そんなものをない交ぜにしたものでしかない。
「そういうの、いつから解ってたの?」
「…それもラクスにはもう訊いたんじゃないのか?」
彼の様子から考えてこの問いはする必要もなかったのではないかとも思ったが、確認の為にそう問い掛けてみる。
恐らく話の途中で頭に血が上った状態になって禄に聞きもしないまま、私にも確認に来たのだろうから。
ただ、訊かれたという事もあるし説明をしなければ恐らく納得もしてくれないだろう事は明白だったので、私は仕方なくそこから更に言葉を継いだ。
「私も母上の事がなければ父上の立場もあったし制度のモデルケースとしてそう言う話が来る事は近くあるだろうということにはなっていた、とは思う。…だが、今はもう関係のない話だろう?」
左手の薬指の指輪に目を落としながら言う。
コペルニクスからプラントへ移り住んで間もない頃には既に顔も知らない誰かと娶わせられるような話を匂わされていた事もあって、当時の私はラクスとは違いその時点で恋愛への願望のような部分はとっくに棄てていたようなものだった。
そんなことなどに下手に夢や希望などは持つべきじゃない、と。
そういう意味では私がキラの為に投げ捨てた意固地なまでの決め事も、そういう中で抱えてしまっていたものだったと言えた。
……今となってはもう、どうでもいい事になってしまったことではあるのだが。
「実際に話があった訳じゃなかったんだ…」
それまで険しい顔をしていた彼がどこか拍子抜けしたような声でぽつりとそう言った。
「お前もしかして、ありもしない話に腹を立てていたのか?」
だとしたら、本当に早合点もいいところだ。
思わずそんな事を考えて頭を抱えていると、掴んでいた手を離した後、今度は気不味そうにしながらもそのまま抱き付いてくる。
「そうだよ。もしかしたら知らない間に君やラクスが誰かに取られてたかもしれないって思ったら、何ていうか…」
この話自体はなし崩しで立ち消えていたものでしかなかったし、相手の話すら出ていなかったというのに…。 - 172文字書き いちか25/01/01(水) 06:55:13
新年、明けましておめでとうございます
本年ものんびりと創作活動を続けて参ります
今暫くマイペースに妄想を垂れ流すスレ主にお付き合い頂けますよう
皆様どうぞ宜しくお願い致します
重たい彼氏の話・2になります
婚姻統制の実態があんまりよく解らないので自己解釈が多分に含まれている事に関してはご了承ください
今回の話は表向きは彼氏の重たい側面を出すものだったんですが、実はアスランの決められたレールの上を歩かされる未来を知っていたこともあって、恋愛や結婚に対する夢や希望を早々に諦めていたという部分がスレ主の設定開示としてではなく、彼女の考えていた事として言葉にされる話にもなっています
この辺は何れ何かしらの形でと思っていたところではあったので、敢えて狙ってなかったんですが都合よく降りて来たのは助かりましたね… - 173文字書き いちか25/01/01(水) 15:42:45
自分がお話を書く上で設定を盛ったりする時に考えるのが『不幸の先払い』というもの
どれだけ進んでも絶望なんていうお話は世に幾らでもありますから、自分が敢えて積極的に書く必要はないだろうとも思っています(憑依型なので書いてるだけでダメージが返って来ますしね)
なので、可能な限りハッピーエンドで、を常に心掛けてはいるんですよ
その過程で多少の困難や不幸があっても最終的にはちゃんと幸せになれるところに着地出来るように…と
この世界線に於けるアスランもまたそういう考えの下、お労しい設定こそ追加されて盛り盛りになってますが、これはキラの傍に在ることという一番の望みが叶うことや恋の成就…等の為に支払って貰ったものです
この先、幸せにしかなれないのですから設定の辻褄の為に少し(?)大変な目に遭って貰うか…という筆者目線的な都合ではありますが
まぁ、少しどころかだいぶヘヴィだとは思いますけどね - 174二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 17:02:32
あけましておめでとうございます!
今年も楽しみにしてます!
嫉妬と独占欲の入り混じった彼氏の重たい感情良きかな… - 175二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 00:36:15
保守