- 1二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:17:42
「ん……?」
いつもの反省会。その時に資料を読んでいたセンパイは僅かに眉を顰めた後メガネを一度取り、かけ直す。
「大丈夫ですか?」
疲労が溜まっているのかなって心配になり、つい声を掛けてしまう。
そんなわたしに「ええ、大丈夫です」と毅然に返事をする。
その後「ただ……」と付け加えるように呟く。
「そろそろ度が合わなくなってきたようで、今度新調しようかと……」
そうしていつも通り、トレードマークのメガネをくいっと上げる。
いつも通りの癖だけど、今回はそれを強調する意味合いがありそう。
……そっか。
「……メガネ、変えるんですか?」
「そのつもりです。葛城さんをプロデュースする以上、俺も万全の態勢で望みたいですから」
わたしの疑問に、真っ直ぐ向き直って答える。
「必ずトップアイドルにしてみせます」という強い意志がその目に宿っていた。
「……センパイ」
本当に、この人はいつも真剣に向き合ってくれる。それを実感するだけで口元がにやけそう。
……うん、やっぱり、わたしのプロデューサーがセンパイで良かった。
そう思ったことは何度もあるけど、その度にしみじみと感じてしまう。
この人と出会わなかったら、わたしはどうなっていたんだろう?
その『もしも』を考えなかったことはない。そして、その都度怖くなる。 - 2二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:18:46
センパイと出会わなかったら、わたしは今もただがむしゃらにデタラメにレッスンだけしかしなかったのではないか?
導いてくれる人がいないわたしは果たしてアイドルになることができるのだろうか?
そんな妄想をする度に怖くなり、そしてセンパイに出会えたことに感謝する。
この人がいなければ今のわたしはなく、同じ光景を見ることはきっとできないのだから。
(……本当に助けられてばかり、わたしにも何かできないかな……)
日頃から助けてもらっているから何か恩返しでも……そう考えるものの、わたしが思い浮かぶものはお菓子を作ってあげるくらいで……。
でも、それはもうしてしまったから……。
きっとセンパイは嫌な顔はしないし、嬉しそうに受け取ってくれると思うけど……。
(流石にそればっかりはダメだよね)
他に何かないかな、と逡巡する……あ。
「あの、センパイ」
「なんでしょう、葛城さん?」
「その……わたしも付いていって……いいですか?」
「え――?」
意外そうな顔で呆けるセンパイ。
『鳩が豆鉄砲をくらった』ってこういうことを言うのかな? - 3二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:20:56
あの日から数日。
センパイに付いていく許可を貰ったわたしは一人待ち合わせ場所でそわそわしていた。
アイドルプロデュースに関係ない(センパイには関係あるかも?)私用でのおでかけ。
それに付いていく、しかもわたしとセンパイの二人だけなのだからデートと思われても仕方ないのかもしれない。
だからか、どうにも落ち着かない……。夏祭りの時も似たような感じ……。
でも、今回はそれとは別にもう一つ大事なことある。それがうまくいくのかが心配……。
センパイ、迷惑に感じないといいな……。
そんな後ろ向きな思考に陥りかけた時――
「あ、センパイ!」
視界の隅にセンパイの姿を捉えた瞬間、つい元気に呼び掛けてしまった。
その声と一緒に後ろ向きな思考は何処かに出ていったらしい。
「おはようございます、葛城さん。もしかして、待たせてしまいましたか?」
そうしてわたしの元に来ると、センパイは挨拶を済ませると腕時計を確認する。
「おはようございます。いえ、さっき来たばかりです」
そう答えるとセンパイから安堵の息が漏れる。時間を間違えたわけではないとわかったから?
「そうですか、では行きましょうか」
すぐに切り替えれるのはセンパイの長所。
何かトラブルが発生してもそのおかげですぐに対処してくれる。……センパイは本当に頼りになる……。
「はい」
そんなことを思いつつ付いてくるよう促すセンパイに並行して歩いていく。 - 4二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:22:49
「うわぁ……」
そうして着いたのはメガネの専門店。
踏み入れる機会がなかったから初めて見る店内にしばらく感嘆の声が漏れた。
メガネを取り扱うだけあってそこに展示されているだけでもすごい数……。
種類も多様で日常で使うものからスポーツ用やカジュアルなものまで本当に色々。
(この中から選ぶんだ……)
すごい数だから大変だなぁ。
そんなことを思っていると、センパイはお店の人の元に向かっていた。
「いらっしゃいませ、今日はどうされましたか?」
「はい、実は度が合わなくなったのでメガネを変えようかと思いまして」
「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
そう言うとお店の人は離れていった。
「葛城さん、用意するのに少し時間がかかると思いますので見て回りますか?」
「え……?」
「メガネやコンタクトを使う人以外だとそう縁がない場所だと思いますし……なにやら興味深そうに眺めてましたから」
戻ってきたセンパイは早々にそんな言葉を掛けてきた。
……やっぱりセンパイはわたしのことをよく見てくれている。 - 5二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:24:10
「……はい。初めて入ったので圧倒されたというか、メガネ一つでもこんなに種類があるんだなって……」
形や柄が違うのはわかるけど、用途別のものがあるのは知らなかった。
何に対しても言えることだけど、やっぱり実際触れないとわからないことは多い。
「そうですね、用途によるものもありますが、材質が異なるものもあります。ほら、これなんかはフレームがプラスチックですし、こちらは鼻当てがゴムです」
「あ、本当だ……やっぱり、センパイは詳しいですね」
いつから掛けているのかはわからないけど、直す癖とか見ると付き合いは長そう。
ということはわたしが知らないメガネを付けたセンパイもいたはず……?
うぅ……気にならないといえば嘘になるけど、だからって昔のセンパイの写真が見たいって言うのも恥ずかしいし……。
「まあ、一通り調べてきましたから」
そう頭の中で身悶えていると、センパイはさも当然のようにその一言は発した。
あ、そっか……入念に調査するセンパイのことだから今日に備えて事前確認をするのもおかしくないよね。
「え……じゃあ、その、もう決まってたり……?」
もしそうなら、計画が台無しになっちゃう。ううん、計画って程だいそれたことじゃないけど、わたしが付いてきたいと思った当初の目的が潰えてしまう。
それを危惧した結果、つい不安そうに訊ねてしまう。 - 6二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:26:56
「いえ、実はまだ決めあぐねてます。葛城さんのプロデューサーとして相応しく、隣に立っても違和感のないものにしたいですから。我ながら結構慎重になってます。……付き合いも長くなりますし」
そんなわたしの気持ちを払拭するようにセンパイは答えてくれた。
『決まってない』て言葉だけでも良かったのに、その理由が理由だけに不意打ちを食らってしまった……。
「……センパイ」
最後の言葉は小さかったけど、どうにか聞き取ることができた。
その『付き合い』がどっちに対してのものか、あるいはどっちもなのかはわからないけど、そう思ってくれるだけで嬉しくて胸の奥に温かいものを感じる。
「お客様、大変お待たせ致しました。用意が出来たのでこちらへどうぞ」
そうこうしていると、お店の人が呼びに来る。
どうやら準備が終わったみたい。
「はい、わかりました」
「? 何をするんですか?」
そういえば、何の準備なんだろう? すっかり聞き忘れていた。
「視力検査ですよ。流石に口頭で説明しただけで度を合わせることはできませんから」
「なるほど」
よくよく考えれば当たり前だった。
度が合わなくなるということは視力が変わったから。だから視力検査をする、至って簡単な因果関係。
そこに気づけなかったのは思考を割ける余裕がないからかも……。 - 7二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:27:29
- 8二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:28:41
「うーん、これはどうだろう……」
良さげなものを見つけては手に取り、備え付けられている鏡の前で掛けてみる。
その度に「何か違う」と感じて別のメガネに手をつける。何度もそれを繰り返している。
メガネである以上基本的な形は同じ。でも細部や色、レンズの大きさによって与える印象は違ってくる。
幾つもののメガネを試着して抱いたのはそんな感想だった。
まるで服と同じと思うと同時に、服とは違って毎日掛ける以上その人にとっての象徴(イメージ)はより大きくなる。
センパイが決められていないと言っていた意味を痛快する。
ただ選ぶだけでも時間がかかるのに、センパイは更にわたしのことまで考えてくれていた……。
そのことを思うと、迂闊にこんな突飛な考えをしたことを後悔しそうになる。
「やっぱり、センパイと……」
一緒に考えるべきなのかな?
いつもならそうするべきだとわかっている。
そもそもこれはわたしのわがままでしかない。だからここでやめてもセンパイに迷惑をかける訳でもない。ううん、もしかしたらやめない方がセンパイにとっては迷惑かもしれない。
でも、それを言い出したら思い付いた時点でやめるべきだった。
迷惑かもしれないと思っても、それでもやろうと決めたのはわたしなのだから。
「……ううん、やっぱり、もう少しだけ」
決意を新たに気合いを入れ直す。
センパイが戻ってくるまでそんなに時間がない。早く決めないと……。 - 9二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:30:40
「あれ……?」
焦りそうになった心に待ったをかけるように、一つのメガネが視界の隅に映る。
それを手に取り、よくよく観察する。
奇抜なデザインや配色ではなく、一見黒一色に見えるけど、横のフレームにはアクセントとして白いラインが描かれている。
形も……うん、今センパイが使っているのとそう大差ないかも。
………………。
「あの、すみません……!」
少しの葛藤をした後、わたしはお店の人を呼んだ。 - 10二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:31:45
- 11二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:32:26
「ええ、心配いりません。元より下がった視力が戻ることはそうありませんから。順当に、と言っても少し下がっただけで著しく下がったわけではありませんから」
不安が顔に出ていたのか、センパイは「葛城さんのせいではありませんよ」とばかりに言葉を紡ぐ。
センパイのその気遣いを感じ取ったわたしは額面通すにその言葉を受け止めることにした。そうした方がセンパイも安心してくれると思ったから……。
「……そういえば、新しいメガネを決めないといけませんね」
「あの、センパイ……そのことなんですけど……」
話題を変えるべく、そして本来の目的としても話しを切り替えるセンパイ。
そのことについて言おうとした瞬間――
「お待たせしました、お客様」
お店の人がわたし達の元に来た。 - 12二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:33:26
- 13二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:34:24
「え? ……はい。センパイにはいつもお世話になってるので、少しでもお返ししたいと思って……」
その言葉に嘘はない。
わたしはいつもいつもセンパイに助けて貰ってばかり……。
センパイは「トップアイドルになってくれることが最大の恩返しになる」と言ってくれるけど、それまではどうしても時間が掛かってしまう。
その間、まったく何も返せないのはやっぱり嫌。
センパイに支えて貰えるのは嬉しいけど、それに甘えっぱなしの自分にはなりたくない。
「そうですか……ありがとうございます、葛城さん」
そんなわたしの思いを感じ取ってくれたのか、センパイからお礼の言葉が紡がれる。
お礼を言いたいのはわたしの方なのに……でも、その言葉を受け取ると自然と胸に暖かくなり、口が緩んでしまう。
「あと、その、選んだついでにわたしに払わせてくれませんか?」 - 14二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:36:00
「え、いや、流石にそれは……あくまでも俺の買い物ですし」
そのままの勢いでそう提案するが、やっぱりセンパイは首を横に振る。
……うん、センパイならそう言うと思っていた。
いつもならここで引き下がるけど今回は違う。ちゃんとそれに対する『回答』を持ってきたのだから。
「……実はライブで入ったお金、まで使ってないんです」
――そうして、わたしはその回答(言葉)を口にした。
「……それは何故?」
それを聞いた瞬間は、センパイは不思議そうな目をこちらに向けた。
センパイのその疑問は正しい。
一生懸命頑張って、ひたすら努力して、ようやく立てた大きなライブ。
その報酬として渡されたあの金は、他のお仕事で入ってくるのとは違って見えて……だからこそ『特別なこと』に使いたかった。
「わたしがあの場所に立てたのはセンパイのおかげなんです。わたし一人じゃきっと立てなかった。だから、恩返しとしてこのお金はセンパイの為に使いたいって思ってたんです」 - 15二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:37:59
わたしの言葉を聞いても、センパイは口を挟むことなく黙って聞いてくれる。
メガネになったのは結果論でしかないけど、それでも恩返しとして何かを贈りたいという思いは本物だった。
「……いや、でも、俺も自分の夢の為に手を尽くしただけですし……」
そんなわたしの思いを聞いても、センパイはやっぱり素直に受け入れようとしてくれない。
センパイは優しいから……きっとまだ渋るのはわかってた。
だから――
「センパイ。このままだとわたし、今後入ってくるお金にも手を付けれなくなります。……だって、わたしがまず一番最初に使いたいことが『これ』だから……」
「う……っ」
ダメ押しとして放った言葉は、確かにセンパイに効いたらしい。
少しの間頭に手を当て考えた後。
「…………わかりました。葛城さんは意志の強い人であり、意外と頑固ですから、折れないと本当に使わなそうですし」
少し考え込んだ後、センパイは肯定の言葉を紡いだ。同時に、気になる言葉も。 - 16二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:39:56
「えぇ……そう、ですか……?」
わたしはそのセンパイの言葉に首を傾げそうになった。
そう言われる程わたしって頑固かな……。いや、確かにセンパイを困らせてしまうことは多いけど、それは頑固だからなのかな……?
頭を悩ませてるわたしを見て苦笑するようにセンパイは言う。
「そうですよ。ええ、“だから”素直に受け取ることにします。ありがとうございます、葛城さん」
困ったような、諭すような言い方だったけど、その声色には確かに喜色が籠もっていた。
「――ありがとうございますっ! センパイ!」
その一言を聞いてわたしは思わず声を弾ませた。
ずるいやり方だったかもしれないけど、たぶんセンパイはここまでしないと受け取ってくれないと思うから……。
だから……うん、本当に良かった。 - 17二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:41:05
「――ただし」
浮かれていたわたしに忠告するようにセンパイは付け加えて言う。
「あくまでフレームの代金だけです。ここに来たのも元々は俺の問題ですから。だからレンズの分は俺が自分で払います。ここだけは譲れません」
「…………ふふ、はいっ」
その頑とする姿勢がおかしくて気付いたら笑顔を浮かべて応えていた。
センパイだって人のこと言えないじゃないですか。
でも、そんなセンパイだからきっとわたしはこれから先も一緒に歩き続けたいと思うんです。
あの日センパイが短冊に書いた願い、それをわたしも願っているから……。 - 18二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:41:46
「日暮れが早くなりましたね」
メガネを買って、お店を出ると外はもう暗くなっていた。
センパイのメガネを買った後、ファッションのモデルとして仕事することもあるかもしれないというセンパイの提案で、暫くわたし達はお店の中を散策させて貰った。今度はセンパイと一緒に。
わたしに合うのはどういうものか、それを検討していたら思っていたより時間が経っていた。
「……ふぅ」
電車の時間を確認しようとスマホを覗いていると、隣にいるセンパイからため息が漏れたのが聞こえた。
「……センパイ? 大丈夫ですか?」
目を閉じ、眉間を揉んでいる。
もしかしてメガネが合わなかったのかな……? - 19二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:43:19
「ええ、心配いりません。度が変わると、それに目が慣れるまで少し時間がかかるんです」
不安げにそう思っていると、安心させようとしてかわたしの方に向き直って説明した。
センパイが言うには度数が変わると最初の内はまだ目が慣れないこともあり疲れやすいらしい。
『新品の靴が馴染むまで時間がかかる。それと同じですよ』って笑って言っていたけど、その状態で歩くのは大変なんじゃ……。
「その……なら、まだ前のを掛けていた方がいいんじゃ……」
わたしとしてはすぐに掛けてくれるのは嬉しいけど、それでセンパイに迷惑はかけたくない。
そんなわたしの思いを知ってか知らずかセンパイは言う。
「どのみち掛けるんですから早いに越したことはありません。……それに、せっかく葛城さんが選んだくれたんです。早く馴染めるようにしたいですから」
「……センパイ」 - 20二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:44:47
そうして、いつも通りメガネをくいっと上げる。
わたしが選んだそれは、前のと比べてそう大きな変化があるわけでもない。
デフォルトの色は同じ黒だし、レンズの大きさやフレームの形状も差異はあってもその差は小さい。
ただ唯一違うのはフレームのサイド――テンプルと呼ばれる部分に、アクセントとして白いラインがあるくらい。
主張し過ぎず、本当に添える程度のそれは、わたしが今出せる精一杯の表現みたいで……。
……やっぱりわたし、わがまま娘かも……。
選んだ理由を思い返してか、顔が熱くなる。
「あ、その……センパイ。そういえば、その……前のメガネはどうするんですか?」
それを冷まそうと取り繕うかのように出た言葉にセンパイは少し考え込む。
「そうですね。万が一のスペアとするか、思い切って捨てるかの二択ですね」
「え、そんな……」 - 21二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:45:38
- 22二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:46:58
散策中に散々レクチャーされたわたしがそのことを知らない訳がない。
だからこそセンパイは困惑している。
……大丈夫。ちゃんと理由は言おう。恥ずかしがらずハッキリと。
「もちろん掛けるわけじゃないです。ただ、そのメガネが近くにあったらセンパイが見守ってくれていると思って……迷ったり弱気になったりしても、それさえ見ればセンパイを思い出して『頑張ろう』って……そう思えるかなって考えたん……ですけど……」
最初はともかく後半になるとやっぱり気恥ずかしくなっていき、声がだんだん小さくなっていった。
それでもセンパイの耳にはちゃんと届いたようで、目を閉じて思案している。
「……それでは渡せませんね」
「そう、ですか……」 - 23二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:47:53
目を開き、返ってきた答えは良いものではなかった。
目に見えてがっかりしたのだろう。その様子を見たセンパイはくすりと笑う。
「ええ。ただ逆の理由なら問題はないです」
そして、悪戯でもするかのように一言。
「え……?」
「葛城さんは頑張り過ぎです。ですからアクセルではなくブレーキとしての役割としてなら喜んでお渡しします」
「あ……」
諭すように優しく伝えたその内容に、わたしは安堵する。
それは条件付きとはいえメガネを譲って貰えるのと、やっぱりセンパイはわたしのことを良く見てくれているという安心感から。
「……はい、ありがとうございます、センパイ!」
――ああ、やっぱり、わたしのプロデューサーがこの人で良かった。
改めて、心の底からそう思ったわたしは満面の笑みでセンパイにお礼を言うのだった。 - 24二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 21:50:04
終わりですわ〜疲れましたわ〜
後日談として貰ったメガネで清夏さんに揶揄われるリーリヤさん書こうとしましたがバダンキューですわ〜 - 25二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 22:07:13
素晴らしい
ぜひ続きが読みたい - 26二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 22:08:40
素晴らしい
- 27二次元好きの匿名さん24/11/28(木) 22:39:19
- 28二次元好きの匿名さん24/11/29(金) 00:01:01