【SS・🎲⚓️オリキャラあり】服部ヒョウ太は水の都に居る⑳【閲覧注意】

1◆BtOeeshqkE24/11/30(土) 02:36:41

振り回されても思考は止めない生徒会長とハラハラしっぱなしなクローンの異世界奇譚です

2◆BtOeeshqkE24/11/30(土) 02:37:22

今までの章

chapter.0　落下

chapter.1　生徒会長は水の都の夢を見るか？

chapter.2　最初の接触

chapter.3　病院の窓

chapter.4　宿借りの島

chapter.5　過ぎにし日々、ウォーターセブンで

chapter.6　豹は無慈悲な夜の兵器

chapter.7　出来損ないの順列都市

chapter.8　あなたのための物語

chapter.9　豹は街から世界を夢見る

3◆BtOeeshqkE24/11/30(土) 02:37:50

原作開始（⑨より）
chapter.10　すべての終わりの始まり

chapter.11　たったひとつの冴えたやりかた

chapter.12　今宵我ら星を奪う

4◆BtOeeshqkE24/11/30(土) 02:38:03

W7終了後
（previous chapter.　追想、アムネジア）

chapter.13　クローンドリーに花束を
・覚悟を決めてプッチへ
・カッスンとの遭遇
・変装して街へ観光
・海軍に見つかり、エンタメ勝負を挑まれる
・地下迷宮(中将の私物)に海賊団が落とされる
・中将、夢で学園世界と接続疑惑
・ハリセン紙風船の絵面と会話の温度差
・謎は増える←ｲﾏｺｺ!

5◆BtOeeshqkE24/11/30(土) 02:38:47

1スレ

【SS・🎲⚓️】服部ヒョウ太は水の都に居る｜あにまん掲示板chapter.0　落下bbs.animanch.com

前スレ

【SS・🎲⚓️オリキャラあり】服部ヒョウ太は水の都に居る⑲【閲覧注意】｜あにまん掲示板終わりは近いはずなのに割とマジでまるで全然物語が終わる気しないクローンと生徒会長異世界奇譚ですbbs.animanch.com

参照概念スレ

服部ヒョウ太を原作ガレーラに投げ込みたい｜あにまん掲示板事件発生前でも後でもいい　見知った顔はいるのに明確に異なった世界に突然飛ばされて動揺しながらも、ヒョウ太のガワを被りつつ自らの身に何が起きたのか探るルッチとその周りの反応が見たい原作ルッチ含めたCP9…bbs.animanch.com

関連リンクまとめ

服部ヒョウ太は水の都に居る　SSまとめ | Writening1 https://bbs.animanch.com/board/1862098 2 https://bbs.animanch.com/board/1873128 3 https://bbs.animanch.com/board/1885295 4 https://bbs.animanch.com/board/1894191 5 https://bbs.animanch.com/boa…writening.net

6◆BtOeeshqkE24/11/30(土) 02:41:39

『手配の背景は知れたが、分からないのは貴様の考えだ』

ぱちん、と四度目の紙風船が割れる音。

『懸賞金が掛けられたのは変えようのない事実としても、市民に紛れて隠れるでもなく革命軍に身を置くでもなく、海賊団を結成したのは貴様の意思の筈』
痛みはなくとも反射的なものだろう、カッスンが右手首を押さえながら中将を睨み付ける。それに怯む気配を微塵も見せずに睨み返す女将校は、責めるような語調で更に言葉を重ねる。

『何故貴様は海賊に堕ちた？海に出て何を求める、復讐か、それとも略奪か？』

7二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 03:40:32

スレ立ておつです！

8二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 03:44:56

怒涛の情報過ぎてヤバい……
カッスンさん実は王族の出で原因の天竜人は行方不明で中将は何か思惑がありそうだしついでに夢と接続してるし…
名探偵ヒョ太えもんなんとかしてくれ

9二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 03:51:54

とりま10までうめ

10二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 03:52:20

うめ

11二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 07:56:07

たておつです！！！

12二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 18:28:31

立て乙です！

13二次元好きの匿名さん24/11/30(土) 21:56:43

立て乙でーす！
今回も楽しみです！

14二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 04:34:47

追いつきました
一晩読んでたらこの時間
続き楽しみにしてます

15◆BtOeeshqkE24/12/01(日) 08:40:33

『そんなことは考えたこともないッ！そりゃ天竜人は憎いが、だからといって外道に成り下がるのは違うからな！』
『ならば最後に言ってみろ！貴様の行動、その真意を！』

二人は啖呵を切った後、取っていた距離を詰めるようにお互いに向かって駆け出した。
今まで回避に徹していたカッスンだが残りの紙風船は頭上の一つだけ。攻勢に出なければ厳しいと本人も分かっているのだろう、剣の柄に片手を回している。

『は、ようやっと武器を抜く気になったか！』
紙など簡単に切れてしまう刃物を携えた相手に対応すべく、中将はハリセンを持った腕を引き、体勢を受け身に変える。相手が外せばすぐにでもカウンターが出来る構えだ。
一度きりの攻撃機会を躱されれば必ずその隙を突かれるというプレッシャーを受けながら、カッスンは逡巡の欠片も見せずに真っ直ぐ突撃していく。

16二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 10:32:54

今の話読んだ後にChapter9読み返したらまた違った印象になるな…特にカッスン海賊団の台詞周り

17二次元好きの匿名さん24/12/01(日) 21:28:05

まだ真意が見えないし「殴って終わり」じゃないからもどかしい……

18◆BtOeeshqkE24/12/02(月) 03:17:07

体当たりでもするかのような勢いを衰えさせないまま、一直線に肉薄するカッスン。
速度が攻撃に乗るといえど、この状況ではメリットを帳消しにして余りある読まれやすいというデメリットを含む動作である。……先の啖呵を皮切りにして幾分か冷静さを戻したように見えていたのだが、気の所為だったのだろうか。

『戦闘は苦手か？随分な愚策だな！』
おれと同じ思考をしたのだろう。
カッスンの持ち方からして居合の如く抜き放たれるであろう剣に備えて、中将が構えをとった。

19◆BtOeeshqkE24/12/02(月) 06:13:24

電伝虫越しに聞こえたのは、ふ、と短く息を吐く音。
『確かに戦いは嫌いだが……それはどうかな？』

言葉の意図を誰かが掴む間もなく、カッスンは中将の眼前で双剣を抜く──ことはなく、そのまま。

『、んな』
──そのまま思い切り地面を蹴って、中将の頭上をくるり、と宙返りで飛び越した。

20二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 13:37:28

カッスンはさぁなんか鮮やかで華麗なんだよね
やり方というかあり方というかが…目を奪われる人が多いの分かるんだ

21二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 21:40:39

今更ながらこの姉弟対決ってカッスン側の勝利条件ってなんだ？
風船を制限時間まで守る？それともフィル中将を無力化させるのかな？

22◆BtOeeshqkE24/12/03(火) 01:26:17

「ひゅう、意表の突き方大胆！さっすが船長、やるネ！」
ひらひらと華美な衣装が宙を舞ったのを皮切りに、話題の暗さのせいで負の方面に向かっていた観客席のざわめきの色がまた変わる。隣から流れる私情を多大に含んだ実況に口笛が混じった。

聞こえているだろう此方の声を気にする素振りもなく、すたんと靱やかに着地した男は奥の扉へと駆けていく。
彼等にとっての勝利条件は宝の奪取、それを背に守っていた番人が呆然としている今、残りの障害物は何も無い。

『っは、しまった！待て！』
呆気に取られていた中将が我に返って叫び、後を追おうと足を踏み出した時には。

23◆BtOeeshqkE24/12/03(火) 01:35:08

先程は手を添えられていただけの双剣の片割れが、カッスンの元で白い刃を晒していた。

『待たん！──これで、閉幕だ！！』
その標的は真正面の鉄扉。

一閃。
遅れて、重い音。

24◆BtOeeshqkE24/12/03(火) 01:50:41

『…………鉄を切るか。懸賞金は、どうやら伊達ではなかったらしい』
『お褒めに預かり恐悦至極、というヤツだな』

一文字に切り裂かれ半分を蹴り飛ばされた鉄扉が、ぱらぱらと細かな残骸や埃を落とす。その奥の仄暗い空間から出てくる影を認めて、中将はハリセンを横に投げ捨てた。

動揺の消えた顔。
彼のどんな表情より見覚えのある自信満々な笑みを湛えて、手のひらサイズの宝箱を堂々と天に掲げたカッスンがスクリーンに大きく映し出される。

『さて、中将。先程の……最後の質問に答えよう！復讐、海賊行為？違う、おれ達の行動原理はただ一つ！』

25二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 12:10:42

ほしゅ

26二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 21:25:41

グランドライン前半だろうに斬鉄できるのはすごいな

27◆BtOeeshqkE24/12/04(水) 03:31:06

『我らが旗を掲げたのは、ケードウの名声を永劫に伝え広めるため！──折角だ、今ここに宣言しよう！』

微かでありながらくっきりと人物を照らす光源も、彼が乗り越えた中将という壁も、舞台効果の全てがサー・カッスンという役者を輝かせるための演出であるかのよう。

『国とは民であり、王である！王が、我らが生きている限り、ケードウが滅びることは決してない、と！』

無意識的に、しかし確かに整えられていた民衆からの指示という地盤は、カッスンの大見得によって完成する。
割れんばかりの拍手を誘爆させた広場の端まで響き渡る高らかな演説は、まるで元々ステージのフィナーレとして用意されていたかのように良く馴染んでいた。

28二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 05:07:34

忘れ去られた時が真の死であるから、カッスンさんたちがいる限りケードウ王国は残り続けるんだろうな…
ちょっと050も思うところあるんじゃないかコレ

あと今更気付いたんだけどケードウって道化のもじり？なんかな

29二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 06:37:05

アラバスタみたいな国だったのかな……

30二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 18:13:22

ほし

31二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 18:19:04

読解力無いんだがもしかして一連のエンタメショーって、「ケードウ王国」が確かに在ったことを伝える為のショーなんかな…とか…

32二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 01:44:40

保守

33二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 12:53:42

保守ルッチ！
展開にわくわくしてした

34二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 22:12:06

カッスン船長、統治するものというか王の器は結構あるな…

35◆BtOeeshqkE24/12/06(金) 01:23:14

──────

36◆BtOeeshqkE24/12/06(金) 01:23:56

「──それで？海兵はおれ達を捕まえなくていいのか？」
「言ったろう、わたくしは見極めに来たのだと。まァ手ぶらで帰れば支部長からのお叱りは避けられそうにないが、その分の見返りは十分に得た」
「……中将でも怒られたりするんだな」
暫くぶりの日光に目を細める二人の赤毛は、観客に聞こえる声でどこか抜けた会話を交わす。空気感は和やかなものへと変わり、険悪さもほとんど消えたように見える。

「なに、そんな事はどうだっていいんだ。知りたいことを知れた、わたくしの夢も成就した。これ以上のことはない……挑戦を受けてくれて感謝する、サー・カッスン』
「こちらこそ、ってな！こんな特別仕様の大舞台に立つことが出来たのも──ケードウに興味を持ってくれたことも。ありがとう、フィル中将！」

お互いに一礼、観客に向き直ってまた一礼。
事情を知らず見たままを享受しただろう人々からの喝采を贈られながら、観劇じみたステージの幕は円満に下りる。

37◆BtOeeshqkE24/12/06(金) 01:41:35

……本題はここからだ。
聞きたいこと、知るべきことがいくつもある。カーテンから透ける薄ぼんやりとした明かりの中で、どこから手を付けたものかと思考を巡らせていると。

「──お前達は仲間を迎えに行ってやれ。そちらの舞台袖から安全な通路に降りられる」
目の前に来ていた中将に合流を促された。カッスンと二言三言話していたようだったが、いつの間に会話を終えたのやら。
「ハイどーも。……フィルサン、敵対する気がないんなら先に言っといて欲しかったヨ？あーあ、無駄な心労掛けられたナー」
「それはすまないが、敵に回るかはお前達次第だったからな。不可抗力だ」
「……おお、コワ」

38二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 10:37:44

おっと尋問タイムくるか……？
都合よく人の少ないタイミングがあるといいんだが

39二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 19:14:56

SSと直接関係はないんだけど、ピ学扉絵の生徒会長がカツカレー食べててほっこりした
こっちの生徒会長も帰ってきたら050とたくさん食べろ……

40二次元好きの匿名さん24/12/06(金) 22:54:41

保守ほしゆ

41◆BtOeeshqkE24/12/07(土) 03:13:20

洒落になっていない軽口を叩き合うコンフィ達やおれから少し離れた場所で、普段ならば真っ先に仲間の元へと駆け付けそうな海賊船長は一人立ち尽くしていた。先程獲得した手の中に収まるサイズの宝箱を開けた状態からほとんど動きがない。

「師匠、疲れちゃった？大丈夫？」
「！ああいや、心配させてしまったか？問題無い！」
用があるのは中将にだが、050のそれを後回す程の心配も尤もである。近付いて真正面から顔を覗き込めば、ハッとしたように作り笑顔を返された。

42◆BtOeeshqkE24/12/07(土) 03:27:39

「あーっと……おれはちょっと用事ができてな。ヒョウ太も、コンフィと一緒に皆の所に行ってやってくれ！」
「？分かった、けど……」
ポンと軽く050の肩を叩いて、足早に舞台から降りるカッスン。その仕草にはどうにも引っ掛かりを覚える。明らかに隠し事をしている人間の振る舞いだ。

訝しみつつも去る背中を見送ったところで、ステージ上に中将の姿がなくなっていることに気が付く。もう話が済んだようで、カッスンと同じくどこかへ行ってしまったらしい。

それを見渡し認めて、コンフィが呆れ笑いを零す。
「……サー達、改めてサシの話し合いでもしてるんだろーネ。自分らはどうしよっか、ヒョウ太サンも一緒に降りる？」

43◆BtOeeshqkE24/12/07(土) 03:28:07

1.降りる

2.降りない

dice1d2=1 (1)

44二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 08:43:30

久しぶりのダイスだ
ここで人の心を慮れるの050だよなあ

45二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 17:57:44

久しぶりのダイス結果がすごく解釈一致

46二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 01:08:59

ひとまずショーも落ち着いて一段落着いたね……
さてこれからヒョウ太はどう動くか

47二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 07:50:43

ワンピ学園読み返したけどやっぱヒョウ太いいな…
こういうの好きだ

48◆BtOeeshqkE24/12/08(日) 18:24:21

「そうだね、着いてくよ。ついでに迷路見学でもしてみるわ！」
（カッスンの方はいいのか？）
（そりゃ師匠の様子も気になるけど……上に残っててもお邪魔だろうし、やることないし）
050は存外即決でそう答え、コンフィの斜め後ろに着いて歩き始める。選択の意図を聞けば、せいぜい盗み聞きくらいしか出来ないから、と。姉弟の話に割り込んでいくのも無粋なのはそうであるしそれが妥当か。

舞台袖の床には蓋の空いた隠し階段。ここから下に建造物が埋められているのだと思うと改めて感じられる規模の大きさに、一体どうやって作ったんだかと心の中で息を吐いて、燭台が等間隔に飾られた通路を進んでいく。

49◆BtOeeshqkE24/12/08(日) 21:54:47

「味気ない階段、完全に移動用って感じだネ。皆を探すにはすれ違っちゃ面倒だし、まずは一番奥行こうカナー」
「りょーかい、それなら……着くまでにちょっと掛かりそうだね？」
コンフィがきょろきょろと代わり映えのしない景色を見回しながらルートを定め、050がそれを首肯する。
その後に含ませた言外の意思は察してくれたようで、先導する歩みは止めないままに顔だけがこちらを向いた。

「ン、ヒョウ太サンが言いたいことは分かってるつもり。今なら外野も聞いてないし、ちゃんと説明するヨ」

50◆BtOeeshqkE24/12/09(月) 04:26:35

かつ、かつ、と二つ分の足音が一定の間隔で響く中、言葉を選ぶようにして目の死んだ男はゆっくりと話し出す。
「まず気になるのは、サーとフィルサンが言い合ってた内容カナ？そうだネー、ホントとウソで大体半々って感じ」
「思ってたより嘘の割合が多いなァ……」
「それはホラ、事情が事情だからネ」
隠さなきゃいけないことは無限にある、とコンフィは人差し指を振った。

「天竜人のせいでケードウが酷い目に遭ったのはホント、ソイツの行方を知らないのはウソ。それから、あー……ヒョウ太サン相手なら秘密にすることないケド、コレ自分から言っていいヤツ？サーに言わせるべき？」
そっちの方が筋ではあるよネ、などと言い淀んではぶつぶつと口を濁し、終いにはこちらに伺いを立ててくる。……カッスンの話の中に真実を伝えにくいことがあるのだろうか、彼らの故郷とは無関係なおれ達に対して？

「そんなにとんでもない事？」
「とんでもないっていうか、サーがヒョウ太サンにも吐いてるウソだからっていうか。……マ、いいや。言っとこ」

51◆BtOeeshqkE24/12/09(月) 04:29:32

「サーは、アストリー・カッスンは、ケードウの騎士団長じゃない。つまりは話に出てた王族じゃないってワケ、ホントの王は他にいる。……秘密にしてネ？あの人が隠れ蓑ってのは、自分らのいっちばん大切な隠し事だからさ」

52二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 14:45:03

ナ、ナンダッテー!!!
確かに前スレでコンフィくんが自分たちの偽装にフィル中将が付き合ってくれてるみたいな事を言ってたねー

53二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 22:15:01

なるほど影武者か

54二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 00:07:57

本当の王族って誰なんだろうか
カッスンが影武者という事実と、こうして存在が仄めかされたって海賊団内の誰かとか？それかまさかのフィルさん？

55二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 10:50:37

このレスは削除されています

56二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 18:46:47

ほ

57◆BtOeeshqkE24/12/11(水) 04:01:40

───────

58◆BtOeeshqkE24/12/11(水) 04:07:12

未だ興奮冷めやらぬステージの表舞台、その反対側。歓声の余韻を散らす海風が吹く舞台裏で、安堵に困惑の混ざった表情を浮かべた海賊と、感情の読めない海軍は相対していた。
「二人きりで話したいって、どうしたんだ？姉上。わざわざ宝箱に呼び出し文を入れて隠してまで」
指に挟んだメモ書きをひらひらと揺らしながら、カッスンはステージで封印していた呼称を用いて軽い調子で切り出す。

「わたくしを姉と呼ぶな。その資格はもうない筈だ」
「、……その言い草はあんまりじゃないか？別にいいだろう、今は誰も見てないんだ。海賊になった事情も話したんだし」
「嘘ばかりだった口が何を言う」
びりりと肌を刺すような緊張感は、依然変わらず発されている。

59二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 14:09:45

保守

60二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 01:02:33

ほ

61二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 12:30:30

フィルお姉様めっちゃ厳しい
でも人に厳しくするのはその人に期待しているからってのは割と聞く話よね

62二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:08:50

まだこの姉弟謎が多い！

63◆BtOeeshqkE24/12/13(金) 02:20:21

「む、姉上だってその嘘に乗ってくれたってのに。それと、呼び方は変えないぞ。資格がなかろうとおれは貴女の弟だからな！」
少し拗ねた声色で唇を尖らせるカッスンを細めた目で見つめ、中将は首を横に振る。
「言い方が悪かった。偽りを責めている訳ではないし、それに……」
「それに？」

うろ、と。
真っ直ぐだった視線が、初めて迷い子のように泳ぐ。

64◆BtOeeshqkE24/12/13(金) 02:44:49

「……資格がないのは、わたくしの方だ。国に帰らず政府に与し、ケードウを守る誓いを果たせなかった元騎士が、今も王の盾となっているお前の姉を名乗れるとは思えん」
「、何だって？」

「恨んでいないのか。祖国の滅びを見たお前は、のうのうと仇の組織で生きていたわたくしのことを」
冷たくも強い芯が見えていた今までとは真逆の、弱気でどこか投げやりな言葉に、受け取り手は反応する声も出せずに固まった。

カッスンはぽかんと呆けて開いた口を、言われた意味の処理を数秒遅れで完了してから回す。
「恨む？何言ってるんだ？姉上が生きていてくれたってだけでおれは嬉しいんだからな！はは、命さえあれば全部何とかなる！そういうものだろ？」
おちゃらけて笑いを零した台詞は、自分の国が滅びると同時に命が散る様を見た彼にとって、掛け値ない本心である。

65二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 14:37:23

通りすがり保守

66二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 22:10:04

これは光……
世が世ならルフィばりに主人公やれてた器

67◆BtOeeshqkE24/12/14(土) 03:05:57

フィルが見せる冷徹さの根本は罪悪感だと受け取って、ほっとして。一人で考え過ぎてしまったのであろう姉を柔らかく包み込み諭すように、カッスンは言葉を紡ぐ。
「姉上だって離れていてもずっとケードウを想ってた筈だ。じゃなきゃ、こんな大掛かりな舞台の用意はしないしできないあもんな！」
「そうして出来たことといえば被害の周知に偽装の補強、せいぜいが延命程度だが。……海賊旗を掲げている限り、お前の懸賞金はこれからも上がり続けるぞ、悪名もな。それに関してわたくしは何も出来ないも同然だ」
「あまり自分を悪し様に言うな、姉上。苦しい気持ちはわかるが……おれ達も貴女も生きてるんだ！これからどうにでもしていける！」

海軍帽を深く被り直して自嘲を重ねる肉親に気にするなと明るく腕を差し伸べるカッスンは、──まだ気付いていない。

68◆BtOeeshqkE24/12/14(土) 03:09:56

刃が如き冷たさに隠れていたのは見え難い姉弟の情、再会の安堵。また一皮剥けば現れるのは罪悪感に無力感。

何層にも重なった多種多様な感情、その最奥。

思い詰めた末の、固く、硬く、淀んだ決意に。

「生きていれば何とかなる、か。……だからこそ。わたくしは、お前の姉とは名乗れない」

69◆BtOeeshqkE24/12/14(土) 03:10:42

現状の殺意

1.ある

2.ない

dice1d2=1 (1)

70二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 09:11:13

殺意！？！？

71二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 10:29:41

誰が、誰に！！？？？

72二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 17:08:26

ほ

73二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 00:43:08

SSをそのまま受け取るなら中将が中将自身に向けた殺意っぽいけど……なんかありそうで怖い

74二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 09:07:22

イイハナシダナーって思ってたら「殺意」って出て！？！？ってなってしまった
自分のものに向けるものであって欲しいけど基本「殺意」って誰かに向けるものだしな…

75◆BtOeeshqkE24/12/15(日) 09:19:23

今やハリセンを振り回すようなユーモアは消え、代わりにいつの間にか抜き放たれていた無機質な剣が白く煌めいている。
「これまでもこれからも、わたくしの選択はお前を失望させるだろう。だが決めた」

殺す覚悟と死ぬ覚悟の切先が向く先はカッスンの喉元。

「お前の首を持って、マリージョアへ行く。生き残ってしまった人間として復讐を果たす……それが、わたくしのケジメだ」

76二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 10:10:21

えーーー!?さすがに冗談か言葉の綾ですよねお姉様ー!?
それとも弟がどんな理由であれ悪（海賊）に堕ちたのなら肉親として殺してでも止めるみたいな事?

77二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 10:29:00

イイハナシ………ジャナイナー

78二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 20:56:44

殺意って天竜人へのか…
あかんあかん誰か姉上を止めてー！

79◆BtOeeshqkE24/12/16(月) 07:56:09

「おれを餌にしてマリージョアに攻め込む、と聞こえたが──本気、なのか」
「ああ」
「……正気か？」
「さあな」

カッスンは剣を向けられているにも関わらず、訝しみ、問うだけの余裕があるようだった。会話がまだ可能なことを確認しつつ、警戒を隠さず自身の双剣に手を掛ける。
「何があろうともおれは死ぬ訳にはいかん。拒否一択だが、どうしてその考えに至った理由くらいは知りたいもんだ」
「……存外冷静だな」
ほんの少し瞠目した中将は、しかしすぐに表情を戻す。

80二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 15:17:09

いまこそ生徒会長の工作スキルを活かすとき！！！
天才生徒会長なら首のハリボテくらい作れるのでは！！？

81二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 16:04:26

ドフラも父親の首手土産にしてたけどそうでもしないとマリージョアの土を踏める道なんてないって感じなんだろうかねやはり…
ただフィルさんは弟自身への愛憎とかで殺意を向けている訳ではなさそうなのはよかっ……いやよくは…ないが！生き残ってしまった者としての復讐の決意が固い…

82二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 02:17:12

ほしゅ

83◆BtOeeshqkE24/12/17(火) 06:26:39

「行動とはあらゆる理由の最大公約数だ。一つの目的だけで突っ走れる者などほぼいない。動機は、数え切れない程にある」
「だから閉口するってのか？説き伏せるつもりなんて元々ないにしても、そりゃ酷いだろ」
「一から十まで説明しなければ納得できないと？」
「まあな。だがもし納得したとしても、同意はしないぞ」
「…………いいだろう」

語れるものではないと口を噤もうとしていたフィルは、カッスンの追い縋るような瞳と言葉を認めて掲げていた剣を下ろす。
柄は握ったままに、息を吸って。

84◆BtOeeshqkE24/12/17(火) 06:36:51

「まず一つ、犠牲になった皆の、天竜人への恨みは絶対に晴らさなければならない」

「一つ、聖地に海軍が違和感なく入るにはそれなりの理由が必要だ。お前の首なら十二分、油断も誘えるだろうから」

「一つ、お前が生き続ける限り、身内を失った天竜人共はその執念を手放さない」

「一つ、影武者として目を逸らさせる役割を完全に達成させる必要がある」

「一つ、わたくしもお前も国民を守る誓いを果たせなかった、ならば命で以て報いるべきだ」

「一つ、こうすればお前は加害者になることはない、永劫被害者だ。国に降りかかる汚名の心配もなくなる」

「一つ、もしもお前が生きたまま捕まったら、奴隷にされたらと思うと耐えられない。それならわたくしの手で葬った方が幾分かマシだ」

一息で、滔々と。

「一つ、お前が真正の海賊となる可能性がある以上は、道連れが最良だと判断した」

一見は理路整然とした根拠が並べ立てられる。

85◆BtOeeshqkE24/12/17(火) 06:39:42

どれをとっても理由と成り得るそれらはしかし、聞いていてどうしても支離滅裂の四文字が頭を過ぎってしまう。

「…………貴女はまったく冷静じゃないな。考え過ぎだろ、姉上」
「自覚はある。五年考え抜いても、まだ思考が纏まらん」

感情と論理がぐちゃぐちゃと入り乱れた、揺らがない声音では誤魔化されない程の危うさに直面して。冷や汗を頬に伝わせたカッスンは、そう絞り出すのが精一杯だった。

86二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 17:25:23

これヒョウ太どう動くんだろうか…………
もう自慢の身体能力も無いし、残されたスキルは豹への変身能力と2人分の頭脳のみ…

87二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:44:26

この会話を生徒会長も050も聞いてないってのが痛いな……
身体能力ガタ落ちしてる分一手二手先を予測して動かないと止められないぞこれ

88二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 08:40:36

フィルさんって意外と脳筋なのでは?

89二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 08:40:44

このレスは削除されています

90二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:49:29

ほしゅ

91◆BtOeeshqkE24/12/19(木) 01:42:30

「説明はこれで終わりだ。……時間稼ぎをしようなどとは思わんことだな、待っていても助けは来ない」
決心の定まりよう、そしてとある理由から。自分からの説得が彼女に通じる状態でないのは彼が一番良く分かっている。
だからこそ、話を続けていればいずら現れるかもしれない突破口──例えば船員が戻ってきて加勢してくれるだとか──の可能性に期待していたのだが……その魂胆を見越したであろう言葉に、カッスンは思わず肩を跳ねさせそうになった。

「ヘェ、断言するじゃないか。部下に足止めでも指示してたのか？だが、おれの仲間は海兵数人程度に阻まれる程ヤワじゃないぞ！」
「いいや違う。彼奴らには何も伝えていない。わたくしの目的も何もかも」
「じゃあ、どういう……」

92二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 08:07:08

さっきのダイス次第じゃこの場にヒョウ太いたかもしれんのに…！

93二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 19:36:27

①ハンサムなカッスンは突如反撃のアイデアがひらめく
②仲間が来て助けてくれる
③助からない。現実は非情である。
つまりこういう事か…（ジョジョ脳）

94◆BtOeeshqkE24/12/19(木) 21:38:58

「簡単な話だ。ステージに戻る直前、迷宮内に催眠ガスを散布した」
「─────は」

絶句。
ステージ上での暴露の時も、明確な殺意が向けられた時も、動揺はあれど恐怖はなかったのに。
無抵抗の人質を確保したと言外に抑揚なく告げる目の前のひとが、剣を構え直す血を分けた肉親が、初めて恐ろしいと思えてしまった。

95◆BtOeeshqkE24/12/19(木) 21:40:32

「迎えに行かせた二人も迷路を探索している頃合いだ、もう眠っていることだろう」
「お前はッ、……貴女は、何度も驚かせてくれる……！仲間には手を出すな、ヒョウ太に至っては一般市民！巻き込まれただけの子なんだぞ！」
姉弟だから分かる、脅しのための嘘ではない。何が最善か、どう対処すれば？剣の柄を握り締めながら、カッスンはぐるぐると思考を巡らせる。

「……お前が考えているようなことはない。元よりわたくしの標的はお前だけ、妨害が入らないようにしたかっただけ。ガスも叩けば起きる程度の、微弱で害のないものだ」

96◆BtOeeshqkE24/12/19(木) 21:49:17

歯噛みするカッスンを落ち着かせるように説明しながら、中将は軽く息を吐いた。

「とはいえ心底から海賊になっていたのなら、友であろうと何だろうと首を落とすつもりだったが……杞憂で、安心した」
見極めるというのも確かにこの脱出ショーの目的の一つだったからと瞼を伏せる。
当たり前だ、皆は以前の善性を変化させることなく生きてきたのだと、海賊団長はそう考えて。

「お前だけだ、カッスン。何かを後ろめたく思っているのは」
「…………やっぱり、姉弟で隠し事は出来ないんだな」

97二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 02:47:59

カッスンまだ何か読者に開示されてない爆弾ある…？
もうずっとドキドキしてる…

98二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 07:33:07

仲間を置いて逃げちゃった、とかかな

99二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 16:36:15

さらっととんでもない事してる！？ヒョウ太寝ちゃったのか…？

100二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 02:46:55

この皆の太陽みたいな男にも後暗いものがあるなんて気になりすぎるな…

101◆BtOeeshqkE24/12/21(土) 09:25:57

息を切り詰める。刃が、問う視線と共に向けられている。

「──人を殺したことがある。市民からの略奪を、考えたことがある。自分でも分かってる、おれは確かに悪しき海賊だろう」

「……そうか。それを聞けて良かった、躊躇する理由が一つ減る」
「それでも！おれは死ぬ訳にはいかないんだ、姉上！」

カッスンの啖呵を切欠にして、一閃。白刃と白刃の甲高い衝突音が響いた。

102二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 11:21:59

そりゃこの世界で海賊やってりゃ誰でも殺人経験はするだろうというのは分かってたけどあのカッスンさんが言うとなぁ…すごいなぁ………………色々と重いなぁ……

103二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:31:02

偽りが許されないこの場面で何を言ってくれるんだサーカッスン!!

104◆BtOeeshqkE24/12/22(日) 02:56:28

攻撃の全てを受け流せる訳もなく、そして反撃もなしに対処できるような甘い戦闘でもない。傷付けたいと望む望まないに関わらず、お互いの身体には切創が増えていく。
しかし、支部とはいえ海軍の中将と、億に満たない懸賞金の海賊。殺意を隠さず剣を振るうフィルと、傷付けるつもりなどなく後手後手に回らざるを得ないカッスン。どちらが優勢となるかなど、火を見るよりも明らかである。

「聞いておこう、お前が手に掛けたのは件の天竜人か？」
「その疑惑があるだけでどれ程面倒事があると思ってるんだ！ノーコメント！」
「答えたも同然だろう。……成程、革命軍に入らなかったのは祭り上げられたくなかったから、と？」
「分かっているなら聞くな！ッ」

その上で、彼女は言葉でも揺さぶりを掛けてくる。知りたいことを知るついでに集中を掻き乱し、隙を生じさせようとしているのだ。

105◆BtOeeshqkE24/12/22(日) 02:58:23

純粋な力比べならいざ知らず、技術面では到底叶わない。今でこそ双剣の手数もあって打ち合えているものの、このまま防戦一辺倒では先に自分の体力が尽きるだけだ、とカッスンは何か手がないか思考を回す。
せめて彼女を武装解除できれば……少しは状況が好転する筈だ。

期を窺うため切り結びながら観察する。呼吸から足運びまで、あらゆるリズムを掴む。

（──ここしかない！）

フィルが踏み込み切りかかってくる。今まで律儀に受けていた攻撃を後ろに跳んで躱し、彼女の武器を弾き飛ばそうと握り込んだ剣を振って。

106◆BtOeeshqkE24/12/22(日) 03:00:17

ざく、と。

重く深く、肉を切り裂く感触がした。

「…………え」
「どこまでも甘いな、お前は」

右手の剣を取り落とす。
左手の剣を弾き飛ばされる。

思考の空白、その間にカッスンは地面に倒れていて。
右腕から鮮烈な赤色を流すフィルを見上げていた。

107◆BtOeeshqkE24/12/22(日) 03:02:15

「何を、姉、上……」
自身の首元に添えられた刃など意識の中に入れられず、金色の視線はただ姉の顔と赤く染まった傷口とを往復するのみ。

「わざと、腕を、切らせて……？」
信じられない、と震えた喉。
狙いは正確だった筈。順当に行けば武器を奪えたか、そうでなくとも深手を負わせることなんてなかっただろう。

……フィルが全て読んでいたかのように、腕をわざわざ伸ばして剣を受け止めるなんてことさえしなければ。

108◆BtOeeshqkE24/12/22(日) 03:05:35

「まだわたくしを姉と呼ぶのか？何をどうすれば失望するんだ、お前は」
呆れたような、泣きそうな。

「お前の優しさに付け込んだ下衆なやり方だ。……どうかあの世で、わたくしのことを恨んでくれ」

静かに沈んだ声と同時。
振り被られた剣が、閃く。

109二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 09:32:23

こわいこわいこわい
どうなったんだ結末は

110二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 19:53:49

ほ

111◆BtOeeshqkE24/12/22(日) 23:19:42

「────指銃、『撥』ッ……！」

訪れる筈の痛みはなかった。

代わりに到来したのはこの場にいる訳のない恩人の声。
カッスンにとって聞き馴染んでいながら、けれど聞いた事のないほどに低い声。

112二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 23:24:50

ルッチ〜〜〜!!!

113二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 08:39:54

うおぉぉヒョウ太ー！！(ペンラ振り回し)

114二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 17:50:15

本当に最高のタイミングで来るじゃんありがとう…………
身体能力は著しく低下してるけど六式で守れるくらいのことは出来るのね良かった……！
誰かを守る為に指銃を使うの、イイ

115二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 21:56:42

トラウマしっかり克服できたんだな…よかった……！
ヒョウ太スタイルで生徒会長ボイスはそりゃ驚くよ

>>116

116二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 22:58:53

>>115

いやこれ飛ぶ指銃「撥」だからトラウマ自体は克服出来てない気がするよ

なにはともあれギリギリのところで間に合って良かった

117◆BtOeeshqkE24/12/24(火) 02:22:37

予想だにしなかった風切り音と金属音に、思わず閉じた瞼を開く。

「……これはっ」
見上げると、武器を弾き飛ばされたフィルがそれに構わず立ち竦んでいた。警戒に少しの戸惑いを滲ませた視線の先を振り返ってみれば、やはり知っている姿がそこにある。

「ッは、間に合った、ね」
「今何したのヒョウ太くん！？、……ううん、今はそれより、ええと──」
息を切らした数人のカッスンの仲間達。その一人に背負われながら、険しい表情で右腕を前に突き出した少年。

そして。

「とにかく！双方構えを解きなさい、これは命令です！」

二人の騎士の主が、毅然とした態度で立っていた。

118◆BtOeeshqkE24/12/24(火) 06:42:51

────────

ヒョウ太達がどうしてこれ程早く戻ってきたのか。一体どうやって催眠ガスを避けて帰ってきたのか、何故海賊団の全員は揃っていないのか。

時は、少し遡る。

119二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 18:32:14

このレスは削除されています

120二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:50:48

「二人の騎士の主」ってことは本物の王族か…？
やっぱりカッスン海賊団の誰かなんだろうか

121二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 08:14:29

本編は殺伐としてるけど𝓜𝓮𝓻𝓻𝔂 𝓒𝓱𝓻𝓲𝓼𝓽𝓶𝓪𝓼だね…ヒョウ太くん…カッスン海賊団の皆さん…

122二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 14:32:05

海賊団の誰なんだろう
個人的にはクラウさんが真の王族なんじゃないかと予想
それとヒョウ太が六式使ってしまってるけどカッスンさんとフィルさんは政府と関係深いからどう思われてるのかが心配だな　声色も全然違うし…カッスンさん達は050とだけ交流があるからルッチと対面することがあればどんな反応するんだろうか

123◆BtOeeshqkE24/12/25(水) 21:27:07

「……なるほど、うん。大体分かったよ」
「悪かったネ、先に言ってればヒョウ太サンももっと気楽に観れたのに」
「なァに謝ってるの！むしろそんな大事なこと、おれに言っちゃって大丈夫？」
コンフィによるあれやこれやの解説を聞きながら、先の道が最低限照らされているだけの暗がりを降りていく。随分とややこしい事情を抱え込んでいるものだ、おれ達が言えることではないが。

「ヒョウ太サンなら問題なし！考えてみてヨ、こんだけしがらみの多い自分ら……というかサーが、本気で仲間になってほしいって言ったんだヨ？信頼してなくて何だってのさ」
「え、そんなに珍しいことだったの？」
思い返されるのは半年前、ハトの腹話術師を面白がって船に乗らないかと聞いていた光景。政府に追われる経緯が特殊である指名手配犯の軽さではなかったと記憶している。
「軽口で勧誘することは今までもあったけどネー。あの人ウォーターセブン離れた後にやけ酒して泣いてたんだヨ、弱くて普段一滴も飲まない癖に」
「それこそおれが聞いていいことかなァ……」

124◆BtOeeshqkE24/12/26(木) 00:09:45

「ウソ吐いて黙ってた分、恥ずかしいコトちょっと暴露するくらいじゃないと割に合わないカナーってね」
「だーから気にしてないよ、ホントに！」
（……本当に。気にしてないけど、うう……なんだろコレ、すっごくモヤモヤする！）

閑話や重圧を感じさせない語り口に紛れているものの、話の内容は一つの国が滅びた経緯の詳細。どこか遠くの出来事、ある種の歴史と思えてしまうが、050はおれ程には割り切れていないようだ。
そして、……モヤモヤと形容された霧がかって腑に落ちない感覚は、覚えがある。

125◆BtOeeshqkE24/12/26(木) 00:24:05

「そう？それにしちゃあ顰めっ面だネ。そうだ、まだ時間あるし質問タイムと行こうカナ！」

「質問？」

「そそ。楽しいことでも悲しいことでも、分かることなら答えるヨ〜」

取り繕えていないその様子を見て、わざとだろう。コンフィが明るく切り出した。

こんな時だが、折角だ。何でも聞いてくれと叩かれた胸を借りることにしよう。

1.本当の王について

2.天竜人の本当の行方

3.他の嘘について

4.安価

dice1d4=1 (1)

126二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 11:24:01

ストレート!
やっぱそこが一番気になるよね
カッスン、ヒョウ太を仲間に出来なくて悔しくてやけ酒したのか〜めっちゃ気に入られてて良かったな050ぉ〜

127二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 20:07:13

ここぞってときにスパンと引いてくるのほんとダイス神いるなこのシリーズ

128◆BtOeeshqkE24/12/27(金) 01:22:32

脇道逸れずに進めろってダイス神から背中突っつかれてる…

「じゃあさ、結局本物の王様って誰？何となく、察しは付いてるけど」
「あ、分かっちゃったんだネ。まーアレだけヒント出てたら当然かナー……」
トラブルの中心、ケードウの王族とやらがこの一座にいるとすれば、の話だが、考えられる心当たりは一人しかいない。050もおれと同じ結論に辿り着いていたようだ。

「団長やれるくらいの強さで、騎士としての称号を持ってて。でもって赤色と金色が綺麗って言ったら──」

129◆BtOeeshqkE24/12/27(金) 01:56:21

人数

1.2人

2.3人

3.4人

4.5人

dice1d4=2 (2)

130◆BtOeeshqkE24/12/27(金) 01:57:55

1.ディオン

2.リフター

3.トラット

dice1d3=3 (3)

1.寝てる

2.起きてる

dice1d2=1 (1)

131◆BtOeeshqkE24/12/27(金) 02:06:20

「こんなとこに通路だーーッ！！」
「どっわあっ！？」

バンッ！！！と盛大な音を立てて。
頭に思い描いていた金糸が、意識の外から眼前に飛び出してきた。

132◆BtOeeshqkE24/12/27(金) 03:05:47

……どうやら、前方の壁が隠し扉になっていたらしい。勢いよく開いたドアと予想外の声量に飛び跳ね、足を滑らせかけた体は、コンフィによって咄嗟に支えられた。

「んあ？あれ？……コンフィとヒョウ太くんだったんだ、何でここに？」
「迎えに来てくれたんじゃないのか？というか姉さん、人がいるって分かってたなら勢い落とさなきゃだろ」

急に飛び出してきておいて首を傾げる女は前に、副団長と副船長を名乗っていた。
海風に晒されているだろうに大した痛みもなさそうな髪はきらきらとした金の色。確か姉弟で揃いの瞳は淡く穏やかな赤の色。……『確か』と曖昧なのは、何故か二人ともガスマスクを付けているからである。

ともかく、改めて確信出来た。

「──だよねェ、クラウさんしかいないよね。……ぬはは、びっくりしたあ」
「噂をすれば何とやらって言うケド。どっからツッコめばいいのカナ、この状況」

ついでにクラウはこの騒ぎを気にせず眠っているらしい誰かを背負っていた。どんな状況だ。

133二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 14:34:53

このレスは削除されています

134二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 22:55:21

予想もされてたけどやっぱりクラウちゃんか
サーカスの花形のピエロで明るくてお喋りでうっかり屋な面もあるけど他人の為に涙を流せるくらい優しい子で腕っぷしもある金髪美女が実は亡国のお姫様とか属性モリモリの実かよ
でもそうゆうキャラ好き!!!

135二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 00:04:17

「──だよねェ、クラウさんしかいないよね。……ぬはは、びっくりしたあ」

＞ここダブルミーニングかかってて好きだわ

136◆BtOeeshqkE24/12/28(土) 02:50:13

「こっちの事情は話せば長くなるんだけど」
「とりあえずガスマスク外そうヨ」

経緯を語りだそうとしたクラウに、話に集中できないからと当然のストップが掛かる。何故そんな厳つい物を着けているのか、そもそもどこから持ち出したんだ。

姉弟は言われて気付いたらしくハッとしながら顔を覆うマスクを取り払い、そして急いだ様子で隠し扉を閉めた。……一見奇妙な行動だが、理由の想像はつく。

137◆BtOeeshqkE24/12/28(土) 02:53:05

「これでよし、と……胡乱げな目で見るなって、ちゃんと理由があるんだからな！」
「どんな理由？まさか毒ガスが撒かれてるワケでもあるまいし」
「毒じゃあないけど、うーん……あながち間違いじゃないんだよねー」
「へ？」

言いながらクラウが横目で見たのは、背負われたまま眠る人物……トラット。釣られて全員が視線を向ければ、彼女はちょうど身動ぎをした。
場面的に不自然な眠りから、そろそろ覚めるようだ。

138◆BtOeeshqkE24/12/28(土) 03:22:41

──────────

「ハァ！？催眠ガスらしきものが迷宮にって、えェ！？フィルサンがしたの？そんなまさか！」
「変な匂いがするな〜って思ってたら、いつの間にか寝ちゃってたみたいで……私も信じられないけど、そうとしか考えられないな〜」
目覚めたばかりではあるがトラットはすぐに状況を把握したらしく、いつもより間延びした話し方で話に加わった。
状況証拠から少しは察せられる内容だったにも関わらずコンフィが驚きの声を上げているのは、なまじフィルの人物像を知っているからか。そんなことをするわけが無いという盲点だったのだろう。

「そーそー。ウィンドがショー放ったらかしで探索してなかったら、わたし達も今頃眠ってただろうね」
「最初に脱落して落ちてった姉さんを探してただけなんだけどな……偶然ガスマスクなんてのを見つけて、念の為に持ってったのが功を奏したんだ」
肩を竦めて頷く姉弟。その偶然がなければ、迷宮内に突入する予定だったおれ達もトラットと同じ結果だったかもしれないと思うと、少し恐ろしい。

139◆BtOeeshqkE24/12/28(土) 15:11:38

……しかし、催眠ガスか。
「コンフィさんの言う通り、中将さんってそんなになりふり構わない人じゃなさそうだよね？っていうか、何で皆を眠らせなきゃいけなかったんだろ」
必要に迫られなければ、これ程強引な行動には出ないだろう。問題はその必要性がどういうものか、だ。

「どうしても見られたくない、妨害されたくないことでもあるのか？おれ達にも、もしかしたら自身の部下にも」
「…………あ」
一番高い可能性を提示したウィンドの言葉に、トラットが短く声を洩らした。
心当たりがあるのかと伺った顔色はみるみる青褪めていき、そして。

「まさか……っ皆、早く上に！止めなきゃマズいかも！」
「え、ちょっ、トラットサン！？」

仲間への端的な呼び掛けを残し、急いた足取りで階段を駆け上がり始めた。

140二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 00:04:41

トラットちゃんフィル中将と歳も近かったしケードウに居た時はだいぶ仲良しだったのかな
想像が膨らむ〜

141◆BtOeeshqkE24/12/29(日) 02:02:04

オリキャラの自分で設定した三人称を間違える(n敗目)　気にする人いないと思うけど見なかったことにして……

「止めるって何を！？まだディオンとリフター回収できてないんだが！」
「そっちは後で〜！んん、どう説明したら……」
突飛な行動に全員戸惑ったものの、置いていかれないようにと先を行く彼女を追う。

「フィルちゃんは船長と──カッスンとよく似てる！考え方とか、行動とかが！私の心配事、クラウなら分かるよね〜！？」
「…………、それってまさか、いや、全然ありえる！」
「頼むから自分らにも分かるように言ってくれないカナ！！」
二人だけで通じ合った女性陣に、コンフィが半分怒鳴るようにして叫ぶ。
訳の分からないまま走らされている此方としては当然の怒りだ。この体は既に息が切れかけて余裕がない故に声を上げられないだけで、気持ちとしてはおれも050も同じ。

「聞かせてくれ姉さん、似てたら何がマズいんだ？」
「……カッスンとの秘密だったんだけどね、そんなこと言ってらんないか！」

142◆BtOeeshqkE24/12/29(日) 02:31:32

思い出すだけで腹立つ、と。
焦燥と苛立ちを混ぜこぜにした声色で、クラウは吐き捨てる。

「五年前に手配書が出回った時、カッスンはどうしたと思う？ほんっと信じらんないことに、単身でマリージョア襲撃なんて企ててたの！」
「…………は！？何ソレ聞いてない！！！」

（……マリージョアは確か、天竜人の住む地だったよな？）
暴露された過去は、この世界への理解が乏しいおれでさえとんでもない事だと分かる話だった。

143二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 07:44:26

この姉弟そっくりやんけ〜〜〜

144二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 08:51:56

よっく命があったな……！？と思ったら企ててただけかめちゃくちゃ止められたんだろうな…

145◆BtOeeshqkE24/12/29(日) 11:06:39

今度こそ完全に怒鳴ったコンフィが受けた衝撃はおれ以上のものだろう、誰も語気を荒らげた彼を咎めない。

「賞金首がマリージョアに侵入する手段なんて、その首を差し出すくらい……フィルサンは今正に、サーのソレとおんなじコトしようとしてるって！？」
「カッスンの時はわたしが傍にいたから説得できた。けどカッスンのおねーさん、フィルを止められる人は居ないはず！思考回路が似てるっていうなら十分ありえる話だよ！杞憂ならいいんだけど！」

地上に向かうにつれて、会話が焦りと共に段々と熱を帯び、それと比例するように走る速度も上がっていく。

146◆BtOeeshqkE24/12/29(日) 11:09:02

1.疲労に気付かれる

2.息切れ

3.転倒

dice1d3=3 (3)

147◆BtOeeshqkE24/12/29(日) 11:10:58

怪我の度合い（1で擦り傷、5で骨折）

dice1d5=4 (4)

148二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:02:10

oh…
骨折まではしてないけど重傷だ
顔面からいった？

149二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:45:44

このレスは削除されています

150二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:23:38

骨折はしてないけど歩けないくらいの塩梅だぁ

151◆BtOeeshqkE24/12/30(月) 01:51:20

つまりは、追従する者の体力を容赦なく削ることに他ならない。
効率のいい体の動かし方を熟知できているだけマシだが、どうしようもない身体能力の低下を逐一思い知らされるのが腹立たしい。

（無理するなよ、今の体は前とは違う。何ならこの問題はおれ達が着いて行く必要なんざないんだぞ）
（それは、そうだけど……！全部見届けないと多分、モヤモヤが収まんないから！）

表層にいないおれでさえキリキリとした肺の痛みが分かる程だ。050はそれ以上の苦しみを受けているだろうが、自身の苦痛で止まるような人格でないことは承知の上。
おれに出来るのは、地下迷宮をぐるりと囲んでいる無駄に長いこの階段が早く終わることを祈ることだけ。

152◆BtOeeshqkE24/12/30(月) 01:52:08

「見えた、地上！」
「よし、それで師匠達はどこに──、」

終点が目と鼻の先、というところまで辿り着いて。……油断、してしまったのだろう。

「──っわ、あ？！」
（ッ050！）

疲労のせいか階段を踏み外し、体勢を崩してしまって。
前のように咄嗟に空気を蹴ることも叶わず、為す術なく前に倒れ込んだ。

153◆BtOeeshqkE24/12/30(月) 02:34:05

「ヒョウ太サン！？」
「ヒョウ太！？怪我してない？大丈夫！？」
「いっ──だ、大丈夫……っ？」
（な訳ねェだろうが！気付いてるだろ050、折れちゃいないが走りでもすれば悪化する！）
即座に駆け寄って身を案じてくる海賊達を心配させまいと立ち上がりかけたバカヤロウを、体の操作に割り込んで無理矢理止める。

「大丈夫そうには見えないヨ！やっぱりどこか痛む？しばらく座って待ってて、後で迎えに来るからネ！」
不自然な動作に気付いたコンフィに、椅子まで運ぶためか抱え上げられる。……トラブルが遠ざかる。

そうだ、その方がいい。
今は、何がなんでも立ち上がらなければならなかったエニエス・ロビーの時とは違う。

154◆BtOeeshqkE24/12/30(月) 02:39:54

「……ごめん」
「全面的に自分らが原因！謝んなくていいから、ヒョウ太サンは心配しないで──」
「ごめん、実を言うと歩けないんだけどさ、おれも連れてって！引き摺ってでもいいから！」

なのに何故、それ程までに無茶をしようとする？

155二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 10:11:17

指銃打てたからちょっとは体力残ってるとは思いきや本当に無くなっちゃったのか　050必死過ぎて見ていて辛いよ〜もう動かなくなるのが間近なのにこんな怪我しちゃって大丈夫…？

156二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 12:25:19

＞なのに何故、それ程までに無茶をしようとする？

ルッチ大丈夫？心配の感情が一周まわって怒りに変わってないかい

157二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 23:07:35

何故それ程無茶をするのかと問われたらカッスン達が大切だからって理由もあるけど死ぬ前にやり残した事を作らない為にとかサラッと言いそうな050

158二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 23:40:35

050がなにかするほどルッチが曇っていくシステム言っちゃ悪いが好きです

159◆BtOeeshqkE24/12/31(火) 09:43:36

「……乗りかかった船じゃ気になる、って？分かったヨ、事が終わったらすぐディオンサンに診てもらうからネ！」
止めてくれればよかったのだが。ぐ、と息を詰めながらもコンフィは了承し、そのまま背中に抱え直された。

カッスン達二人はどこへ行ったのかと飛び交う声を意識の遠くへ追いやり、顔を顰める心地で片割れを呼ぶ。
（050）
（う、だからごめんって！）
（その謝罪は怪我したことについてだな？違う、痛くて怒ってるんじゃねェ……はァ、お前に言っても無意味だろうが）
常識として定着した善人の振る舞いは、頑強だった時の名残り。だが今は何もかもが前と違う、弱者となった身体で無茶な真似をするべきじゃない。

160◆BtOeeshqkE24/12/31(火) 09:47:07

（いや、分かってるよ。今になってやっと分かったんだ。このモヤモヤ、ルッチのそれと同じだって）
（、…………）

モヤモヤとやらの正体はとっくに知っていた。
……躊躇なく行われる自己犠牲への苛立ち。散々おれが050に対して覚えていた感情だ。

（……だったら、尚更タチが悪いな）
（うん、ごめん）

師匠と呼び慕う相手が──親しい相手が身を呈している事実にどうにもならないやるせなさや腹立たしさを感じたのなら、おれの葛藤を真に理解できるようになっただろうに。

161二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 17:36:21

大晦日の更新が沁みる〜〜〜〜〜語彙力無いんですけどモヤモヤ関連の描写がすっっごく良いなぁと

162◆BtOeeshqkE25/01/01(水) 03:08:23

あけましておめでとうございます！今年の抱負はSSを完結させることです　前も言ってたような気がする

「気配はあっち、きっかり二人分！」
所在に目処がついたらしく、心の中での会話はそこで途切れた。クラウが指し示したのはステージの裏側、舞台袖を出て回り込めばすぐの場所。
蹴り飛ばす勢いで外への扉を開け、壁の向こうに雪崩込む。

確かにカッスン達姉弟は、そこにいた。

「……どうかあの世で、わたくしのことを恨んでくれ」
それも、想定していた内の最悪に分類される姿で。

163二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 09:08:38

あけましておめでとうございます!
朝からSS見れて嬉しいな〜
今年もゆっくり頑張ってくださいね

164二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 20:13:47

正月ほしゅ

165二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 01:11:03

あけましておめでとうございます！
大好きなスレと共に新年を迎えられて幸せです！
2025年今年もルッチと050くんの終わりの旅がどうなっていくのか、楽しみにしてます！
新年早々ですが今は何かとインフルやコロナが流行ってますのでスレ主もお身体お気をつけてください…

166◆BtOeeshqkE25/01/02(木) 01:54:35

息を飲む音は誰の喉から聞こえたものか。

呆然と地面へ腰を落としたカッスンが見えた。双剣は離れた場所に落ちて、武器はおろか防具も身に付けていない。
鮮血を流している腕で握った剣を、無防備な男の首に振り被る中将が見えた。冗談や脅しの類いではない、寸止めの素振りはない。

おれのすぐ側には静止を叫ぶ者、声を上げる時間さえ惜しんで走り寄ろうとする者、急いで自身の得物を取り出そうとする者。介入しようとするそのどれもが間に合わないと、冷静な思考が走る。

このままでは、カッスンは死ぬ。

167◆BtOeeshqkE25/01/02(木) 02:05:52

右手が銃の形を作っていた。

指で空気を弾く技術を持たない050が咄嗟にした構え。
……今の身体の筋力を思えば不発に終わる可能性がある。今の身体の脆さを思えば、無理に放てば反動で手がダメになる可能性がある。

「────指銃、『撥』ッ……！」

それでもおれは、望みに応えなければならない。

168◆BtOeeshqkE25/01/02(木) 02:07:09

反動の度合い(1で軽傷、5で重症)

dice1d5=3 (3)

169二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 08:37:03

1が反動でしばらく手が動かないくらいで5が骨折で再起不能ってくらいだったら3は筋痛めて1日動かないくらいかな?

170二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 11:35:25

やっぱり六式も耐えられないか…もう身体中ボロボロじゃないか頼むからもう自分の身体を壊すようなマネしないでくれ　ゆっくり過ごしてくれ…

171二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 23:13:17

ほしゅ

172◆BtOeeshqkE25/01/03(金) 03:23:18

この体のことは自分が一番分かっている、以前と同じようなやり方では標的まで到底届かない。十分な威力を出すためには、……変則的な筋肉の使い方が必要。
（ああクソッ、何が悲しくて自傷を計算に入れなけりゃならねェ！）

悪態を吐きながら今まで以上の力を込めて放った空気弾は、狙い通りに中将の剣を弾き飛ばす。

「……これはっ」
意識外からの攻撃によって手元の武器が叩き落とされたからだろう。警戒と困惑を湛えた中将と、固く閉じていた瞼を開いた海賊頭は此方を見て、そしてどちらも硬直した。

173◆BtOeeshqkE25/01/03(金) 03:25:20

「ッは、間に合った、ね」
「今何したのヒョウ太くん！？、……ううん、今はそれより、ええと──」
それはここにいる筈のない者達が息を切らして立っているから、一般人であるはずのおれが空弾を撃った体勢をしているから？確かに要素の一つではあるだろうが、本題ではない。

「とにかく！双方構えを解きなさい、これは命令です！」

彼彼女らにとっての王が、堂々とそう宣言したから。
……これでひとまずは安心だろう、050もカッスンも。恐らく暫く続くことになるだろう痛みを噛み殺しながら、細く息を吐いた。

174二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 12:06:25

そうだったここのダイス神はギリギリまでヒョウ太を追いつめるタイプだった

175二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:39:22

ここの女神様はボロボロなヒョウ太がお好みなのだろうか