もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart13

  • 1二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 22:52:24

    アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの13スレ目です。

    本編を上回るほどの規模となった『西ユーラシア政変』-この世界線では『C.E.73年地球連合軍冬季攻勢』とも-がようやく終結しました。
    南アフリカを荒らしまわり、オルドリンを目指していたブルーコスモス派連合軍とデストロイも潰え、ようやく世界とミネルバ、アグネス達は傷ついた翼を休ませることが出来るかに思われましたが...。

    本編の世界がそうであったようにこの世界線で生きる人々にとっても、厳しい冬は始まったばかりなのかも知れません。凍てつくバルト海に降り立つ大天使と戦女神の大梟はどのように向き合うべきなのでしょうか?

    おつきあいをいただければ。

  • 2二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 23:02:14

    前スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart12|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの11スレ目です。対ロゴス戦争が変え行く世界…bbs.animanch.com

    1スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たら|あにまん掲示板アグネスが士官学校卒業ザフトアカデミー、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSを書く予定です。お付き合い頂ければ。bbs.animanch.com

    2スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart2|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。はたして、アグネスは、ルナマ…bbs.animanch.com

    3スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart3|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの2スレ目です。己を取り巻く不可解な状況に四…bbs.animanch.com

    4スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart4|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバとアグネスはその進撃…bbs.animanch.com

    5スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart5|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの4スレ目です。ミネルバの活躍は起こるはずだ…bbs.animanch.com

    6スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart6|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの6スレ目です。自分の心境の変化や激動する世…bbs.animanch.com

    ※落としてしまった7スレ目です。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。出世の点数稼ぎの場として『戦…bbs.animanch.com

    再建てされた7スレ目です。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart7(再立)|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの7スレ目です。※不注意から一度スレを落とし…bbs.animanch.com

    8スレ目です。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart8|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの8スレ目です。戦いに消耗したアグネスとミネ…bbs.animanch.com

    9スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart9|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの9スレ目です。C.E.73年- C.E.7…bbs.animanch.com

    10スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart10|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの10スレ目です。遂に開始される『ロゴスとの…bbs.animanch.com

    11スレです。

    もしもアグネスがルナマリアの代わりにミネルバに着任して居たらpart11|あにまん掲示板アグネスが士官学校(ザフトアカデミー)卒業後、親のコネでミネルバに着任し、ルナマリアが入れ替えに月軌道艦隊に着任したいたら…、という何番煎じかわからないSSの11スレ目です。『対ロゴス戦』は本編とはや…bbs.animanch.com
  • 3二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 23:05:16

    たておつです
    さあエンジェルダウン作戦は発動されてしまうのか

  • 4二次元好きの匿名さん24/12/02(月) 23:24:33

    アスランカガリとちょびっとだけ会えたみたいでよかったねぇの気持ち
    親書をスカンジナビア経由で送ったりはしたけど直接のやり取りは格別だよね、やっぱり
    エンジェルダウンどうなるかな……

  • 5二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 01:22:30

    デストロイに随伴していたウィンダム隊長機、そのパイロットがファントムペイン指揮官ネオ・ロアノーク大佐だった。

    難しい顔をしながら判明した新事実を告げるグラディス提督の言葉が様々な考えを脳裏に呼び起こす。

    まとまりのない考えや感傷は邪魔だ。整理しよう。

    アグネス「少しだけ考えさせてください」
    タリア「いいわ。好きなだけ。待ちます」
    アグネス「ありがとうございます」

    心配げな女上司の前で必死に考えをまとめる。

    まず、あの隊長機がファントムペインの上級指揮官で、アーモリーワンから続く因縁の敵であったことは分かっていたこと、今更驚くな!私は馬鹿になったのか!?

    アグネス「(そう。それは想定の範囲内だったはず。先の戦いでもガイアを伴って戦っていたし、スマトラ島にダイダロスクレーターと干戈を交えてきた)」

    まさか『大佐』の階級とは思っていなかったけど。それもよく考えたら納得できることだ。

    大佐と言えば陸軍なら連隊長あるいは旅団長、海軍なら艦長あるいは戦隊司令、空軍なら飛行群(飛行連隊)司令を務める立場。彼がこれまでになって来た任務、即ち犯罪規模と合致する。

    そして、プラントと対ロゴス同盟国は、ファントムペインを軍隊とは認めず、テロ組織・犯罪組織と認識している。だから、『大佐』の階級は彼にとってはありがたいものではない。

    むしろ逆だ。下っ端より親分の方が重い罪に問われるのが道理というもの。

    アグネス「(本人がどう思っているかは知らないけどね。というか、この決定自体を知らないかも知れない。ダイダロスからの急転直下、頭が付いて行けていないのは私だけとは限らないだろう)」

  • 6二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 01:47:07

    保守

  • 7二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 01:50:20

    感傷を廃して考えてみよう。ムウ・ラ・フラガ少佐の要素は排除して。

    『もし、第三国の艦に戦争犯罪・人道犯罪の被疑者が保護・拘束されているなら?』

    引き渡しを要請するだけのことだ。無論、相手の対面を傷つけることなく注意した上でね。

    これまでの人類が培ってきた法の常識を守る。引き渡しを求める艦の艦長に誓約してもいい。

    被疑者・未決拘禁者の人道的な処遇と拷問の禁止、公平公正で迅速な裁判、そして残虐な刑罰の絶対的な禁止。国内法でも国際法でも当たり前のことだ。

    アグネス「(ただ、今の感情的な世論の中でそれが厳守できるかは…。正直分からない。地球連合軍正規軍とファントムペイン、ブルーコスモスゲリラではこちらの心証が違い過ぎる)」

    ある意味、ポーランドと南アフリカのファントムペイン部隊が、母艦のハンニバル級のクルーも含めほぼ玉砕してくれて助かっている。人の死にそんな感想を抱くものではないかも知れないが。こちらが不名誉な振舞いをしたと史書に記述されずにすんだ。

    アグネス「(いや、やはり真実究明には痛手過ぎる。ロゴス・ブルーコスモスの陰謀の真相、ロード・ジブリールを始めとしたメンバーの居所等聞き出したかった情報は山ほどあったわ)」

    更に言えば…。本当に死んだもの皆が厳密な意味での戦死だったのか?暴虐が現場で振るわれていなかったか、その実を私は知らない。ここでの本題からは逸れてしまうけど。

    次は『ネオ・ロアノーク氏≒ムウ・ラ・フラガ少佐』問題に関して。

    私は彼と直接の面識は当然ない。だから、フラガ少佐についてはただの恩人と言う関係だ。

    先の大戦の英雄にして、地球・プラント両勢力を核の炎とジェネシスの死のガンマ線から救ってくれた3隻同盟の要であった人だ。

    アグネス「(アスランからお人柄は伝え聞いている。あのような非道に積極的に関与する人間とは思えない。生前の言動業績とあまりにも矛盾している)」

    勿論、人間は相矛盾した言動をする生き物だ。生きている内に考えが変わることもあるだろうし、行動の仕方も変化する。とは言え、たったの2年だ。余りに振れ幅が大きすぎる。ベクトルが反対なんだ。

  • 8二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 02:03:26

    と言うことはやはり-。

    アグネス「(ヤキン・ドゥーエ戦で行方不明になった後、負傷・漂流中の彼を連合が回収して記憶操作・洗脳をしたと考えるのが自然ね。責任能力なしなら無罪、治療を受けさせるのが筋と言うもの)」

    ただ、そこに彼の階級、開戦から現在の世界の在り様と戦況、保護された先がアークエンジェルと面倒な要素が絡み合って変な化学反応を起こしてしまっている。

    この知恵の輪をどう解けばいい?腹黒議長が暗に示唆したというアークエンジェル強襲などもっての外な選択肢のはずではあるけど。

    アグネス「まさか、フラガ少佐とは別人であって欲しいものです。同一人物にしても転向によって悪事に加担した者であって欲しい。もし、記憶操作や洗脳で本人に責を問えないなら、混乱は必至です。無論、責任能力のないものに刑事罰を加えるが出来ないのは大前提です」

    我ながら要領を得ないことを言っていると自覚する。得意顔でレポートを以て上官の病室に乗り込み、訳の分からない戯言を弄するとは…。アカデミーで学んできたのはナイフとフォークの使い方だけだったのか?!

    情けなさで小さくなる私を宥めるようにグラディス提督は声をかけてくる。

    タリア「そうね。だから、アークエンジェルに特使を派遣するにしても特務隊だけという訳にはいかない。問題が大きすぎる。交渉役として不足しない、それこそ最高評議会議員の内どなたかを派遣していただいて政治判断をその場で下せるようでないと。そうでないなら交渉は無意味よ」

    最高評議会議員の中から特使を…。

    良い案かもしれないが、この現地情勢でアプリリウスから西ユーラシアに踏み込む評議員などいる者だろうか。それこそ話が大きくなり過ぎではないか。うーん。どうすれば良い?

  • 9二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 02:22:40

    アグネス「…。まだ本人確認さえできていません。何にせよ事前協議は行う必要はあります」

    この状況を何とかしないととんでもないことになる。そんな焦りが心を突き動かしてくる。

    タリア「それに出向くと?怪我の治療はどうするつもりなの。貴女、まだ点滴無しでは生きられない状態なのよ。頭を冷やしなさい!」

    私の迷走ぶりに呆れた提督が議論を修正して下さる。思い上がってはいけない、何でもできる気に成るな、と厳しい口調で指摘される。

    確かに彼女のおっしゃる通りだ。私は骨折どころか臓器の傷さえ回復しきれていない。せめて固形物を食べられるようにならないと『敵地』に望むべくもない。

    何でもかんでも手を伸ばし過ぎていたのだろうか。

    アグネス「落ち着きを失っていました。申し訳ありません」

    タリア「よろしい」

    提督はそう言うやレポートを高性能シュレッダーに押し込む。紙が裁断される機械音が虚しく響くが仕方ない。もう、あの紙に用はないのだから。

    しょんぼり気落ちする私に対し、表情を和らげながら彼女は今回の面談の結論を下す。

    タリア「スカンジナビア王国とアークエンジェルの件、私から最高評議会と国防委員会に上申しておきます。貴女は…。自分を労わりなさい。自分を守れるのは自分だけよ。傷ついている時は猶の事ね」
    アグネス「え…」
    タリア「祖国を泥沼から救い上げたいのは貴女だけじゃないわ。そうでしょう?」

    そう言ったうえで彼女は席を立つ。『連名での上申』はさりげなく拒絶されてしまった。上官が目の前で立ち上がって姿勢を正すので、私も急いで立ち上がる、立ち上がろうとするが...。

    アグネス「うっ…」
    鎮痛剤が薄れたのか、勢いが良すぎたのか。左の上半身に何本もの稲妻が走る。

  • 10二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 02:40:10

    タリア「自分を労わりなさいと言ったばかりでしょう。はぁ。しっかりしなさい」

    左上半身を庇うように呻く私に手を差し伸べながら、さっきの言葉を彼女は補足する。

    タリア「アグネス、貴女はもう目立つ存在。出る杭は打たれるものよ。ましてそれが女性ならなおのこと。潰そうとする人や足を引っ張ろうとする人だらけよ。…、便利に使い潰そうとする人間もね」

    思わず握りしめてしまった彼女の掌が柔らかい女性のものであったことに今更ながら驚く。強い軍人の手に私は慣れていたから…。

    タリア「お節介を言うようだけど。貴女は17歳。その歳の女子が渡るには余りに危うい橋よ。普通の戦闘任務とは違う。分を良く弁えなさい。私が今の貴女と同じ年の頃、それなりにいろいろあって…。私も18、19の頃に結婚・出産、初めて尽くしの子育てで大変だったけど。状況は比較にならない。言いたいこと、伝わっているかしら?」

    アグネス「…。はい」

    不承不承、返事を返す。提督のお心遣いはありがたい。親心と言うものだろう。

    しかし、この案件を一時的とはいえ手放して良いものか。特務隊長は彼女だし、選択の余地は実質無いのは確かだけど。

    アグネス「(権限上は頭越しに上申できる。でも、その場合は更に成功確率は低くなるだろう。スカンジナビアとの和平の件は彼女に預かってもらうのが現状ベターかな)」

    そう自分に言い聞かせ、納得させる。そう言えば、朝、手術から目を覚ましたばかりだったわね、私。

    アグネス「はい。お任せします」

    私の返答を聞いた後、彼女はじっと私の両目を覗き込み、それから此方に敬礼する。

    タリア「よろしい。『貴女の発案だったこと』、上手くいったときは改めて記録に残します。落ち着き、注意深く時間を過ごしなさい」

    アグネス「はい。よろしくお願いします」

    この場合、人からの好意は素直に受け取っておかなければならない。私も返礼し、長い話につき合ってくれたお礼を言って病室を辞去する。

  • 11二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 03:46:25

    議長がタリアもアグネスも想定してない斜め上のことやらかして現場で必死に考えてる現状の打開案をぶっ壊す未来しか見えねぇ…

  • 12二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 07:16:37

    アークエンジェルと敵対していない分、余計にネオ・ロアノーク問題が厄介な事になってきてるのか…

  • 13二次元好きの匿名さん24/12/03(火) 17:51:56

    ネオの何が厄介って記憶を完全に別人に書き換えてるけどムウと切り離して完全にネオ・ロアノークという個人で見た場合はネオ自身の意思で作戦を指揮して遂行する能力があって責任能力もある立ち振る舞いしてる点なんだよなぁ・・・

    しかしネオの身柄が口実で議長は最初からAAを物理的に排除したいと思ってるとはアグネスもタリアもまだ確信に至ってないからなぁ
    関係各所へ働き替えてるとこに議長の策謀が正面衝突事故を引き起こすのは確実なわけで…

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:00:58

    少し落ち込み気味にグラディス提督の病室を退出する。

    何だか虚脱感で胸がいっぱいだわ。最初からシュレッダー処理するつもりだったレポートが実際に目の前で切り刻まれて行くのを見ると…、胸にくるものがある。空振りに終わったわけだ。

    少し涙ぐみつつ廊下をよろついていると提督の副官役をしているミネルバクルーが車椅子を押して来てくれた。リハビリだと思って極力歩いて来たけど、一気に疲れが出て来ていた。ここは有難く乗せてもらう。

    ミネルバクルー「提督から言伝です。『貴女の積極性を嬉しく、心強く思っている。よく休みなさい』と」
    アグネス「うん…」

    少し涙を病院服の袖で拭うと彼女に車椅子を押してもらい、自分の病室に連れて行ってもらう。この程度のことで涙、弱っているのかな。やっぱり。

    プラントには俊英が揃っている。ザフトには英才が集っており、軍は精強さを失っていない。

    何でも手を出そうとする私は思い上がっているのか。ゆっくり骨折が治るまで1か月くらい微睡みつつ日々を過ごすのも悪くない。その頃には案外この戦争も終わっているかも…。

    いや-。

    現実逃避は止めよう。ミネルバは未だ敵中にいるも同然。

    1か月休んで、その間に見知った顔が亡くなっていたら、いや、見知った人でなくともミネルバ、月軌道艦隊、冬季攻勢を共に戦ったギーベンラート飛行隊、その内の誰かが亡くなっていたら私はきっと生涯後悔する。

    共に戦う中、隣で斃れた戦友を見送るのと、病院のふかふかベッドで夢を見ている内に仲間が死んでいたのでは訳が違う。

    内臓の傷は如何ともしがたいが、ヒビが入った鎖骨と肋骨はある程度、前倒しできるかもしれない。全力リハビリと最新治療で1か月を2週間にも1週間にも縮めて、ダメならコルセットとバンドと鎮痛剤で誤魔化してでも前線に戻るべきだ。

  • 15二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:06:52

    >>14

    アグネス、なにか思考が准将化してないか? 「僕がやらなきゃ」じゃなくて「私もやらなきゃ」だけど。

    某議長の陰謀はどうなるかねぇ。正規の手続き吹っ飛ばして押し通したとしたら、真面目に手続き進めて

    いた人たちから反感買うの待った無しだし。……まさか「そこまで考えてなんかいない」って事は無いよね?

  • 16二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:08:43

    決意を新たにキュルルルと音を上げる車椅子で自分の病室に続く廊下の角を曲がる。すると、よく見知った顔が4人、部屋の前をウロウロしている。赤服3人、緑服1名。

    此方から声をかけよう。

    アグネス「アスラン先輩!ルナマリアにシンも。お久しぶり(?)です。メイリンもありがとう。彼女と同じ便で此方に?」
    アスラン「ああ。そうだ。変わりないか。すまない。あるから入院なんだな」
    シン「大丈夫か?」
    ルナマリア「だから大丈夫じゃないんだって!」

    何か急に賑やかになったな。まあ、ありがたい。

    アグネス「本当に来ていただいて。ありがとうございます」

    そう言って敬礼しようとするとアスランから立たなくて良いのジェスチャーをされる。

    なので私は車椅子上で敬礼、私の車椅子を押してくれているクルーも後ろで姿勢を正す気配がする。ただ、手礼はしない。車椅子から手を離してはいけないからね。アスランからの返礼を受け二人で直る。

    アスラン「アグネス、その…。大勢でズカズカ、押しかけてすまない。お見舞い…に来た。俺達がミネルバとパイロット隊の代表だ。その、ハイネはアッシュの3人と一緒にバルト海に潜っているから。くれぐれもお大事にと4人からも言伝を頼まれてきた」

    そう言って二つのバカでかい花束を私に差し出してくれる。なるほど、片方がこの4人+ミネルバ組、もう片方がお見舞いに来られなさそうな潜水組の分ね。

    右手を伸ばし、抱きしめるように2つの花束を受け取る。良い香りが胸の中で弾けて鼻から脳に伝わってくる。うん。本当に嬉しいわ。

  • 17二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:15:06

    アグネス「あれがとうございます。アッシュ組はエーゲ海からですね。ハイネ先輩はお疲れではありませんでしたか?」
    アスラン「ああ。だが、彼が言うには2日休んでもうすっかり良くなったと。カリーニングラードのバルチック艦隊がどうしても気がかりだと言って、上申して4人で。昨晩から出撃して早速、ユーラシア連邦の攻撃型潜水艦を1隻撃沈したそうだ」

    疲れ知らずね。やはり、歴戦の猛者は違う。私とは諸々の条件が異なることを差っ引いても。でも、それだけじゃない。多くを見過ぎてしまった、私達は。でも、今更、それを言ったところで仕方ない。

    アグネス「心強いことです。バルト海の制海権は重要ですから」
    アスラン「ああ…。そうだな」

    それから目線をルナマリア達に向ける。

    アグネス「来てくれてありがとう。レイの所には?」
    ルナマリア「ええ。皆で先に」

    ルナマリアの返事にシンとメイリンも頷く。アスランも仏頂面のまま頷く。別に不機嫌なわけでは無く、元からの彼の顔はこうなのだろう。

    シン「思ったより元気そうで安心した…」
    アグネス「格好つけているだけでしょ。ゆっくり休めば良いわ」

    ともあれ、皆と再会できてとても嬉しい。嬉しいを何度言えばいいのやら。私は自分で思っていたより孤独に弱い人間なのか。そう言えばアビーを見送る時、ショーンとデイルとも会えた。

    私は自分が思っているほど一人きりで戦っていた訳では無い。自分が弱るたびに何度も同じことを気づかされる。

    アグネス「貴女もどうもありがとう。提督の補佐に戻ってね」
    ミネルバクルー「はい」

    ここまで車椅子を押してくれた彼女、副官役を頑張るミネルバクルーにもお礼を言っておく。グラディス提督も惰眠を貪るつもりはさらさら無さそうだった。それなら部下が要る。

    それに、さり気なくルナマリアが車椅子役を交代しようとしていたからね。

  • 18二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:18:48

    彼女が後ろに回ってくれたのを気配で察知した上で、お見舞いに来てくれた皆に声をかける。

    アグネス「立ち話もなんですから、よろしければ皆一緒に中へどうぞ」
    アスラン「ああ」、ルナマリア「ええ」、メイリン「はい」、シン「うん」

    そのままルナマリアに押してもらって自分の病室にゴールイン。部屋に入ったら、さらに疲れが噴出してきたわ。もう、くらくらよ。

    アグネス「よいっしょっと」

    車椅子を押してくれたルナマリアに一瞬目配せして軽くお礼をすると、車いすから立ち上がり、ベッドにゆっくり骨に負荷をかけないように座り込む。

    自分で4人を招き入れておいてなんだけど、来客・お世話係用の椅子が3人までしかない。アスラン、女性二人は椅子でシンは立ちね。一応言っておこう。

    アグネス「アスラン先輩、ルナマリア、メイリンどうぞ。シン、椅子が足りなくてごめん。持ってきてもらう?」
    シン「いや…。俺は良いから…」
    アグネス「?そう?」

    ふと、シンの顔を見ると表情に色濃い影が有る。単なる疲れだけではあるまい。私と同じく見たくもないものを見て、傷つけるべきでない人を無数に傷つけた罪悪感に苦しんでいるんだろう。

    ルナマリアも眼差しがどこか虚ろで暗い。アスランも心なしか顔が強張っている。何時も強張っているけど。

    アグネス「(ハイネ先輩がいち早く任務に戻られた心情も今なら何となく理解できる)」

    今回の戦いは余りに多くのものを双方の陣営から奪い去ってしまった。どちらの陣営にも属したくない人も含めてだ。

    そして、私達は守る側であると共に奪い去り、破壊する側でもあった。そのことを今更ながらに見せつけられ、皆が心に傷を負っている。自分よりはるかに同情されるべき人達のことを思うと息が出来ないほど苦しい。

  • 19二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:21:56

    ただ、それはそれだ。

    皆、傷を舐め合うためだけにキールから飛んできたわけでもあるまい。グループカウンセリングはまたの機会にしよう。お見舞いの言葉もさっきお聞かせいただいた。

    メイリンは入室直後から、勧められた席に座ることもなく機材を使いながら部屋のあちこちを確認している。盗撮・盗聴対策に余念がない。頼りになるわ。

    やがて、彼女から『OKです』のアイサインが届き、私も改めて『座って』と目線で促す。そして、メイリンの着席と共にようやく本題に入る。

    アグネス「アスラン先輩、それに3人がここに来たのはお見舞いだけではなくアークエンジェルについて、話し合うためですね?」
    アスラン「そうだ…。すまない…。入院中に」

    面目次第も無いと言った顔のアスラン、とは言え、特務隊同士そろそろ意見交換しないわけにはいかなかっただろう。同じく特務隊のシンもルナマリアもいる。ちょうど良いだろう。

    アグネス「実は先程、グラディス提督に…(中略)」

    メイリンも含めた4人にさっき私たち二人が交わした話し合いの要点を掻い摘んで話して聞かせる。シンは一々変な反応をして居るし、ルナマリアは頷いたり目を丸くしたりで忙しい。メイリンは好奇心旺盛な瞳を忙しく光らせて、アスランは難しい顔をしたり、もっと難しい顔をしている。

    アグネス「こちらはこのようではありますが、アスラン先輩達は?」
    アスラン「俺は…」
    シン「プラントは、ザフトはどうしたら良い?ラクスさんの暗殺未遂ってどうなったんだ?アークエンジェルに乗っているんだろう?」

    自分の説明がいったん終わったので、あちらに話を振るとアスランが言い淀んでいる内にシンから質問が飛んできた。同時に3つも!

    アグネス「後半二つは私が知るわけないでしょう!彼女がどこにいるのかさえ。オーブを出る時はアークエンジェルと一緒で行動を共にしていたはずだけど…。アスラン先輩、ご存知ですか?」

    確かポーランドのデストロイ戦でキラ・ヤマトやアスハ代表と接触していた筈よね。

  • 20二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:24:35

    アスラン「すまない。あの時はそれどころじゃなかった。ほぼデストロイとの戦いと、パイロットの保護で手一杯だ。ラクスがどこで何をしているかは…。俺も分からない。アークエンジェルに大気圏離脱能力は無いから、普通に考えたら艦内だと思うが…」

    そう言って、アスランはシンに目線を遣る。アスランが知らないならどうしようもない。あの修羅場でそこまで気を配るのが無理なことは誰でもわかる。だから、シンもそれ以上は追及するのを止める。

    しかし、ラクス暗殺未遂問題もそう言えばあったか…。もう最悪だ。

    アグネス「(あの事件、プラント上層部が-下手したら腹黒議長自身が-係わっていた可能性が高いのよね。忙し過ぎて頭から抜け落ち気味だったわ)」

    抜け落ちてなかったとして、何かできたかと言うとそうでもないのだけどね。

    雲を掴むような議論に時間を取りたくはない。私も身体が少ししんどくなっている。

    アグネス「『分からないこと』を分かっておくことも大事です。ラクス暗殺未遂の真相、現在のラクスの居場所は分からないことです。そして、彼らとしては前者が分からなければ、我々に後者を教えてくれることは無いでしょう」

    ルナマリア「そうよね。アークエンジェルと政権外のクライン派はラクス暗殺未遂の件からプラントを警戒している。ミネルバのことは信じてくれているみたいだけど。でも、私達も軍人、命令系統にいる以上は簡単に秘密を話してはくれないわね」

    アスラン「そう…なるな。しまった。聞いておけば!」
    シン「戦闘中にですか?そもそもお互い聞いても分からないって言い合うだけになりますよ!」
    アグネス「そう言えば、当時の状況を私はあまり理解していません。映像記録は拝見しましたが…。実態はどの様でしたか?」

    まあ、本題ではないのだけどやはり聞いておくべきだろう。どうも要領を得ない。

    アスラン「俺が降下した時の状況は…」
    アグネス「(え…。そこから話すの?)」

  • 21二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:29:34

    やや長い話を頭の中で要約する。戦闘が長時間に及んだせいで回想タイムも長いわ。

    二人に改めて話を聞くと、当時の戦況は混迷を極め、機体同士の通信状況も良好とは言えなかったそうだ。フリーダムとセイバーは半ば阿吽の呼吸で戦っていたのであって、詳しい情報交換など望むべくもなかったという。

    その上、セイバーとインパルスはデストロイとミネルバ・ブレスト周辺を何度も往復しながらの任務だった。輸送ヘリの護衛も合間合間にしていた。シンはシルエット交換もこなしながらの戦闘だったから、猶のことだ。彼らはアークエンジェル側の事情について共闘した割には良く知らないのだという。

    ともかく、はっきりしているのは最終局面でブルデュエルがムラサメ3機に撃墜され、そこからドミノ倒しのように隊長機とストライクノワールがアスランとキラ・ヤマトに撃破され、勝負がついたことだ。

    その後、青息吐息となっていたデストロイをその場の全機でコックピットを避け、爆散させないよう慎重に撃破、中のパイロットを救出したという。

    そして、アスハ代表が操縦するストライクルージュとセイバーに乗るアスランが至近距離から会話を交わし、ルージュの掌から、セイバーの掌へエクステンデッドの命が託されたわけだ。

    そして、肝心のネオ・ロアノークはと言うと、ウィンダム隊長機が墜落した際にコックピットから投げ出され気を失っていた。その時点で良く生きていたと、その幸運に驚くばかりだが、彼の幸運はさらに続く。

    発見者がデストロイ救出後、手の空いたキラ・ヤマトだったからだ。

    アスラン「俺が…。俺達が彼を見たのはその時で。キラもカガリも本当に驚いていた。被っていたマスクが脱げた下の顔は、大きな傷跡があった以外はムウ・ラ・フラガ少佐その人だった。本人としか思えなかった」
    メイリン「それでそのままにしておいたら、リンチに遭うのが目に見えていたからアークエンジェルに保護した、と言うのがこれまでの流れだそうです」

    アグネス「…」

    なるほど。状況は理解した。困ったわ。何にも名案が思いつかない。

  • 22二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:40:09

    ルナマリア「死刑にする…。わけにもいかないわよね。私達にとっても大恩人な訳だし。フラガ少佐は」
    シン「いや…。でも!」
    アグネス「前大戦の功績と今大戦の戦争犯罪は分けて考えるべき。それはそれ、これはこれよ!」

    どんなに偉業を成した大聖人でも、ふとしたきっかけで悪事をなすことがある。その場合はやはり法にのっとって処罰されるのが筋と言うもの。

    その人の生い立ち生き方等の情状は裁判で汲み取れば良いことだ。あるいは検察が考慮するかもしれない。何にせよ、私達やアークエンジェルが勝手に免責できるものではない。

    ただ、事前に公布していた『エクステンデッドや記憶操作・洗脳、薬物投与によって戦闘を強制されていた兵士は、本人自身も人道犯罪の被害者である点を考慮して大幅な刑の減免や恩赦の対象とする』と言う内応と照らし合わせると重い刑を下すわけにもいかない。

    それにそもそもの話-。

    ルナマリア「でも、責任能力がないならそもそも無罪よね。刑罰でなく治療を受けてもらわないと。それに、人情としてアークエンジェル側が引き渡すとは思えない…」
    アスラン「…」
    メイリン「そうですね」

    そう。ルナマリアの言う通りではある。ただ、そもそも起訴するかどうかは検察の判断することではあるし…。
    これから開かれるであろう国際法廷の構成はまだ固まっているとは言えない。

    ともかく、暫し黙考してみる。

    アークエンジェルは多くの秘密と言うか鍵を抱え込んだ状況だ。この世界やプラントの政界を揺るがすようなネタを持っている。ミーアの正体にしたってそうだ。彼ら自身がそれを積極的に悪用していないだけのこと。

    彼らが隠そうとすること、守ろうとするものをこちらから無理やり引き出そうとしてもプラントが重傷を負うだけだわ。ラクス・クライン関係のことは特にね。

    では秘密にするべきでない、むしろオープンにするべきことは何か。彼らが何なら此方に打ち明けてくれ、情報を共有してくれるか、と言うと-。

    アグネス「ネオ・ロアノーク。彼はこの局面の『ゴルディアスの結び目』にもしかしたらなるかも知れません」
    アスラン「どういうことだ?」

  • 23二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 01:55:14

    アグネス「『ネオ・ロアノークの正体の確認』。その大義名分が有れば、私達はアークエンジェル側と上手くいけば複数回会合を持つことができます。堂々とコミュニケーションを図る口実が出来た-と考えるべきかもしれません」

    そう口にして、怪訝な顔をしているアスラン、考え込んでいるシン、心配顔なルナマリア、流石にハラハラして此方を見つめているメイリンを順に見つめていく。

    アークエンジェルとアスハ代表とは話し合わなければならないことが、スカンジナビア王国との講和の仲介の件を含め沢山ある。沢山あるが半敵対陣営ともいえる現状、無制限に会談をするわけにもいかない。味方に疑われてしまう。

    アグネス「【アークエンジェルが捕虜にしたファントムペイン指揮官ネオ・ロアノーク大佐の正体は、元連合士官ムウ・ラ・フラガ少佐の可能性がある。その正体を確かめ善後策を練らなければいけない】、と言う名目で1回目の会合を持ってはいかがでしょうか?
    無論、1回で終わらせず、次につなげる形で。グラディス提督が動いてくださっているのでその結果しだいとなりますが…。どうでしょうか?」

    提督には私が単独で突出するのは危険と指摘された。そもそも、そんなことが出来る体調でもない、療養に務めよと。

    確かにおっしゃる通りだ。先ずは提督の働き掛けのアンサーを待つのが順序。ただ、プランBはきちんと考えておかなければならない。

    幸いこの場には特務隊が4人もいる。メイリン、仲間外れにするつもりはないからね!

    アグネス「アスラン先輩経由であれば、ともあれ、一回目きりの情報交換程度なら応じてくれるはずです。そこからとっかかりを得るのもプランBとしてあり得るかと思います。グラディス提督とよく報連相を取りながら備えておきませんか?」

    そう特務隊アスラン・ザラ、特務隊シン・アスカ、特務隊ルナマリア・ホークに質問する。どうだろうか。

    アスラン「俺に異論はない。そうだな。グラディス提督のお話を伺いながら、何時でも動けるように」
    シン「うん。そうだな…。他に思いつかないし」
    ルナマリア「そうね。結局待ちになっちゃうけど。そこは大丈夫?」

    大丈夫じゃないわよ。この問題にはタイムリミットが有る(かもしれない)。アークエンジェルがスカンジナビア王国の領海・領空に帰ってしまえば、全部の話が吹き飛んでしまうんだ。

  • 24二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 08:08:29

    ヤマト准将はムウさん渡す渡さないの交渉になったらクソ強そうと言うかアスラン曰くやりたくないことは絶対やらない性格だから最悪ムウさん1人のためにザフトや連合と殴り合いも辞さないファイティングポーズ取ってきそう

  • 25二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 08:25:24

    あとはムウとしての記憶が戻ってるかどうか…
    いや状況からして多分戻ってないんだけど

  • 26二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 08:26:52

    しかし映像で見たいなセイバーとフリーダムの共闘…

  • 27二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 20:11:28

  • 28二次元好きの匿名さん24/12/04(水) 20:41:55

    >>26

    映像とはいかないけど、こんな一幕があったのかな…

  • 29二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 00:00:38

    そもそもアークエンジェルは救助救援活動のために西ユーラシア連邦(リトアニア)の領海に留まっているに過ぎない。ビルニュスの襲撃から72時間は過ぎ、瓦礫の下に生存者が見つかる可能性は1秒ごとに少なくなっている。

    勿論、人間の生命力は想像を超え、大規模な災害の際には奇跡的な生還者が毎回生じる。1週間程度の過酷な環境を耐え抜き、発見される例も歴史的に見れば少なくない。救助活動を断念するにはまだ早いかもしれない。

    生存者のための救援活動、最低限の瓦礫撤去や炊き出し、入浴支援も行ってくれるかもしれない。ただ、全部向こうの善意頼りだ。

    そのためにアークエンジェル一行が長居をしてくれると想定するべきではないだろう。

    考えをまとめ、ルナマリアに返答をする。

    アグネス「そうね。多めに見積もっても…。あと、4~5日でアークエンジェルはスカンジナビアに帰ると思う。交渉・接触可能な時間は長くない。でも、だからと言って焦ってはことを仕損じるわ。先ずはグラディス提督の返事を待つ」

    そうルナマリアにも念を押しておく。自分自身が迷走しそうになったからこそだわ。

    4人に目を配ってもう一度同意を取り、一息つく。アスランが相当思いつめた表情をしているのが気がかりだ。

    アグネス「アスラン先輩、どうかくれぐれも慎重に。先輩ご自身も難しいお立場です。それを忘れなきよう」
    アスラン「ああ…。分かっている」

    大丈夫かしら、この人。偶によく分からない立ち回りをしだすから心配だわ。

    アグネス「(後でフォローしておかないと…)」

    シン「おい…。アグネス。大丈夫か?」

    大丈夫かって?もうフラフラのクラクラよ。シンに看破されるとは私も修行が足りない。

  • 30二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 00:06:55

    彼に答える代わりにその場の全員に打ち明けてしまおう。

    アグネス「申し訳ありません。もっとしっかりお話したいのですが、身体が…」
    アスラン「ああ!すまない。本当に無理させて…。申し訳ない」
    アグネス「いえ。こっちが勝手に無理をしただけなので。少し休みます」

    そう口にした途端、緊張が一気に切れてしまう。頭がボーリングの玉みたいに重くなって姿勢を上手く保てない。そのまま、左半身を庇いながらベッドの上に仰向けに倒れてしまう。

    男性の前でみっともない。これ、ふた昔前ならお嫁にいけない失態ではないか。

    ルナマリア「あんた大丈夫?!ごめん。気づかなくて…」

    言うが早いかルナマリアがナースコールを押している。早合点し過ぎ、疲れただけだ。

    アグネス「ああ。大丈夫。お腹が減ったんじゃないかしら…」
    ルナマリア「分かったから…。看護師さんが来るわよ」
    アグネス「…」

    部屋に入って来た2名の看護師が急いで点滴を開始する。確か、グラディス提督の所に行く前にもしてもらったから、やはり頭を使って脳の栄養が足りなくなったのか?夕ご飯はまだかな。それとも脾臓が全快ではなくて、貧血気味なのか。

    忙しそうに布団をかけ直されたり、あれやこれやされる私を4人は痛ましいものを見るように眺めている。

    メイリン「ゆっくり休んでください。アスランさんやお姉ちゃんは近くのホテルに宿を取っています。私はもうしばらく病院にいますから…。連絡先を貴重品入れの金庫に入れておきます。それと略綬、勲章・記章も。制服は掛けておきますね」

    アグネス「ああ…。ありがとう…」

  • 31二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 00:09:17

    いけない。私が不調なせいで…。

    アスラン「無理せず…。いや…。ともかく、ゆっくり休んでくれ」
    シン「何か有ったら連絡してくれ」
    ルナマリア「もう。調子悪いなら、先に言いなさいよ」

    いや…。私の調子のいかんにかかわらず結構不味い情勢なのだけど…。

    口を開けて何かを言う体力も急に無くなって来た。ちょっと何か…。

    お見舞いに来てくれた4人にぼやける視線で目礼して、次の瞬間には意識が落ちてしまっていた。

    ピピピピピ

    タイマーの音で目を覚ます。点滴が空になったみたいだ。

    薄目を空けて部屋を見渡すと、4人は帰った後だった。ただ、頂いた花束が綺麗に生けてある。メイリンかルナマリアがやってくれたのだろうか。

    私の担当の看護師さんが入室して点滴を外すと、暫くしてあの味がしないお粥みたいなものを持ってくる。

    ぼんやりした頭のまま何となく口に入れていく。しっかりしなければいけないのだが、どうも頭がまとまらない。意識が飛び散って斑の様だ。やはり、手術から起きた当日に調子に乗り過ぎたかな。

    看護師が再入室し、食器を下げた後、私の服を脱がせて体をお湯で洗いながら拭ってくれる。ありがたい。正直、自力でシャワーを浴びられたか微妙だ。

    その後、医師が入室、恥ずかしがる余裕なんてない。彼は何やら小難しい説明を私にしてくれる。要は身体の回復は順調だが、無理をしないように、それと早速、今晩から骨折の早期治癒療法を開始するそうだ。

    彼は私に説明が書かれた紙を手渡した後、看護師に指示を出し、清潔になった体に何やら怪しいスライムみたいなジェルを塗りたくらせる。

  • 32二次元好きの匿名さん24/12/05(木) 00:14:35

    ちょうど、不全骨折をした左鎖骨や肋骨の上ね。

    医師「これは特殊な経皮吸収ジェルで傷んだ骨と関節を急速回復させる効果があります。これから毎晩、これを塗って寝ていただきます。そして、ここからが肝心ですが。このジェルを覆うように機具を着けてもらいます。そこから電気と超音波と二酸化炭素とその他さまざまな刺激を適量、不全骨折した箇所に当てて、寝ている間に身体を治していきます」

    アグネス「ありがとうございます。軍人らしくない質問かもしれませんが、痛いですか?」
    痛いのが嫌と言うより、睡眠が取れなくなるのが恐い。頭がボーとしたままでは、また今日の繰り返しだ。

    医師「軽い睡眠薬を処方します。良く寝れますよ」
    アグネス「ありがとうございます。それと、私の付き添いに来てくれていた赤い髪のツインテールの女性軍人はホテルにちゃんと帰りましたか?何だか心配で…」

    メイリンにちゃんとお礼が言いたいけど、この状態では無理だろう。変に気兼ねしていないだろうか。

    看護師「先程、お帰りになりました。アグネスさんが夕食を食べられたことを確認して。『こちらは任せて下さい、おやすみなさい、アグネスさん』と言伝を」
    アグネス「そうですか。ありがとうございます」

    そう言って睡眠薬を飲み目を閉じる。かなり早い就寝だが骨を直すには睡眠時間が大切だ。機械に繋がれた骨折治療装置が唸ったり、ビリビリしたり、温かくなったりと鬱陶しい。

    ただ、それも深い眠りの淵に落ちていく私を留めることはできなかったようだ。羊を数える間もなくまた私は意識を手放してしまう。

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