【SS】 「ん、今の私はスーパーシロコ」

  • 13.5周年からの新任24/12/07(土) 14:16:05
  • 2二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:16:47

  • 3二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:17:21

  • 4二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:17:31

  • 5二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:17:42

  • 6二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:17:55

  • 7二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:18:05

  • 8二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:18:49

  • 9二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:19:01

  • 10二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 14:19:14

  • 113.5周年からの新任24/12/07(土) 15:05:13

    ───だから。
    ドローンにも強く意志を込める。

    応じる様にドローンが駆動を変化させ、ミサイルの自動照準を切る。
    独自に浮遊するのではなく、ピタリと私の両肩に追従せる、私がどれだけ速く動いてもだ。
    そして今までよりも更に速く駆け抜ける、ホシノ先輩でも追いつけない程に、そしてドローンのミサイルを放つ。
    狙いはホシノ先輩であってホシノ先輩ではない。ミサイルを放ち、更に反対に移動しミサイルを放つ、それ更に追い越しつつ追撃を繰り返す。
    ミサイル一つ一つの弾速は銃弾に劣る、しかしそれが逆に有効打になる。今の私ならミサイルより速く動ける。それを利用してホシノ先輩の逃げ道を瞬く間に塞いで行き、遂に捉える。
    この期を逃さず銃弾を全て叩き込み、盾に全体重を込めて押し込む。

    「先輩!」
    「ユ───」
    「帰ってきて!ホシノ先輩」
    「ユメ、せん、ぱい」

    少しだけ、ホシノ先輩が発する光が弱くなって、ううん。盾に吸われているのがわかる。きっとユメ先輩が助けてくれてるんだ、このまま───

  • 12二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 15:07:16

    スレ立てありがとうございます
    保守できなくて申し訳ない

  • 133.5周年からの新任24/12/07(土) 22:41:35

    >>12

    多分ですけどよく朝方に保守して下さった方ですよね?

    むしろありがとうございます。

    とても助かってました

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/07(土) 23:50:18

    保守

  • 15二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 08:31:59

    保守

  • 163.5周年からの新任24/12/08(日) 16:31:01

    「───私が!」

    光が爆発する。一瞬呆気に取られて弾き飛ばされいた事に気づくのが遅れ、体勢を立て直す。
    まだ足りない、あと何度繰り返せば良いのか分からないけど、何度だって手を伸ばしてみせる、ホシノ先輩が私の手を取ってくれるまで。

    だからユメ先輩、まだ力を貸して。

    私を包んでいた蒼白い光が少し弱まっている、維持はできるけどこれだと弾丸を防ぎ切るのは難しそうだ。
    ホシノ先輩の手帳を模した何かとシッテムの箱を触れさせるためにもまだホシノ先輩を消耗させる必要がある。
    ドローンのミサイルで再び逃げ道を塞ぐ様に射撃を行う。しかし同じ手は食わないとでも言うかのように今度はミサイルを閃光で薙ぎ払って撃ち落とし始める。
    確実にシロコの戦法に適応して潰してくるその姿はまさにホルス神の威光を体現していた。
    しかしアヌビスの神聖を振るうシロコもまたその神聖に恥じぬ力を持つ事も間違いなかった。
    撃ち落とされるのならばミサイルの縦軸も変えてしまえば良い。頭、胴、脚、そのどれかにでも喰らいつけば目的は達される。
    問題なのは移動とミサイルの面制圧の計算で手一杯になるため、薙ぎ払う閃光を確実に盾で直接防ぐ程の余力が無い事だった。ここからは根比べになると覚悟を決める。

  • 17二次元好きの匿名さん24/12/08(日) 23:33:46

    保守

  • 18二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 09:54:31

    どうなるか

  • 193.5周年からの新任24/12/09(月) 19:30:31

    一度途切れた映像が動き出して、ここまでの経緯が映し出される。再び黒い光が収まったと思えばシロコは一人になっているし、傷は治ってるし、ホシノの盾を持ってるしで、何もかもが不可解な状況だった。

    「これは……全く同じ神秘の同一化。神聖の持つ複数の面を擬似的に再現する事で出力の変化が起こっているのでしょうか?それに興味深いのはあの盾に込められた神秘。どうやら暁のホルスとの衝突により神秘の相殺による減衰を起こしている様ですが……これは随分と研究し甲斐のある現象ですねぇ……クックックッ……」

    ”どういう事?”
    ”シロコは無事なの?”

    「そうですね、難しいです話ですが。噛み砕いてお伝えすれば今の彼女はその身に2人分の神秘を内包している、ということです。本来なら器が耐えられないはずですが、今回は全く同一の神聖ですからそれが何らかの作用を───いえ、これ以上は蛇足でしたね」

    ”私達の世界のシロコは帰って来られる?”

    「ええ、それは恐らく問題ありません。そもそもが精神データですので、今回の事件さえ解決すれば。データとしての扱いには何ら障害は存在し得ないでしょう」

    ”そっか、それなら良かった”
    ”後は私達がいつ、向こうに干渉できるかだね”

    「そうですね。こちらも恐らく、ですが。糸口は見つけましたので次の機会が訪れれば時間を無視できるでしょう」

    ”分かった、その時は宜しく頼むよ”

    「ええ、お任せ下さい。少々姿が代わりの者になりますが。先生自身に問題は無いのでご心配無く。クックックッ……」

    不敵に笑う黒服に少し不安を覚える、けれど彼は契約を遵守するその点に於いては信用できる。はずだ。きっと。多分。

  • 20二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 22:59:22

    保守

  • 21二次元好きの匿名さん24/12/09(月) 23:30:13

    保守

  • 22二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 11:32:33

    保守

  • 233.5周年からの新任24/12/10(火) 14:59:11

    反撃される分ホシノ先輩に詰めるまでの手数が増えてる。少しずつ散弾と閃光が私の体を鈍らせて捉えようとしているのが分かる。
    でも後数手で捕まえられる、これでどれだけホシノ先輩を抑えられるか分からないけど、関係無い。
    ミサイルがホシノ先輩の逃げ道を完全に塞いだ。その瞬間に何度目かの全弾を用いた全力射撃を行うと、ホシノ先輩は大きく体勢を崩して膝を着いた。
    この期を逃さず盾のグリップを逆手に持ち、盾の上部を頭頂部目掛けて振り下ろすと鈍い音を立てて先輩が頭を垂れた体勢になる。振り下ろした勢いのまま身体を捻りながら、順手で盾を持ち直し前面で叩き付ける。
    ここに来て遂に暁のホルスに膝を着かせ、追撃で地に伏す迄に至った。

    「そろそろ……折れてよ、先輩」
    「ユ、メせんぱ……」
    「ホシノ先輩ッ!」
    「わから、ない……わからない……わからないんですよ……せん、ぱい」

    私の声は未だにホシノ先輩には届いていない。やっぱりもう一人の私の記憶通りシッテムの箱が必要なのかな。
    それでも無力化さえできれば先生がこっちに来るのを待つだけ、だからこのまま───

  • 24二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 22:40:28

    保守

  • 25二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:25:21

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 08:14:14

    保守

  • 273.5周年からの新任24/12/11(水) 15:23:40

    急に体勢が崩される、予期せぬ目に見えない引力は、戦闘で疲労が積み重なった身体にいとも容易く死の一歩を招き入れた。
    抑える力が緩んだ瞬間を逃さずホシノ先輩は爆発を起こす。
    体が爆発で浮き上がり拘束が解か、銃口は光を収束させ私の右腕を捉えていた。
    一瞬の光、それに遅れて痛みと熱感が襲う。右腕は大きく焼け爛れ銃を握る形を取っているだけの使い物に成らない棒に成り下がってしまった。
    幸いその直撃を受けた右腕以外はまだ動く、だから次だ、次の手を考えるんだ。



    「ヒヒヒッ!ヒヒッ!!死の神がその死を振りかざさなければ、神としての権能を捨てているも同然!対して!暁のホルスはその本質のままに力を振るっているのですから?勝てない理由などある筈も無いでしょう!」

    地下生活者は自身の勝利を確かな物だと確かめる様に一人悦に浸り。勝利の果てに得る答えとは何か、その事に夢中になり始めていた。

  • 28二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 22:50:37

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 23:34:06

    保守

  • 30二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 09:12:38

    保守

  • 313.5周年からの新任24/12/12(木) 17:13:48

    使い物にならなくなった腕の使い方なんてもう大して無くて、がむしゃらに銃身で殴りつけるしかなかった。
    それでもホシノ先輩も私と同じように消耗しているらしく、捉えるまでにかかる時間は少しだけ短くなっていた。
    ミサイルで崩した体勢を追い討ちに銃身で殴りつけて盾を押し付ける。
    反撃は密着した状態で右脚に叩き込まれた最大火力の散弾だった。

    「───ッ!!」

    機動力を削がれた、このまま距離を取れば次に接近する事は用意では無い。このままこの距離を維持すれば再びあの散弾。どちらを選んでも次の手は無くなる。
    それなら───散弾を撃てないように更に距離を詰めれば良い。左手の盾に全体重を乗せホシノ先輩を押し倒す。そのまま右腕を押さえ込んで、覆い被さる。
    あの爆発を起こす力も無くなったのか今度は抑え込む事に成功する。

  • 32二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 00:32:28

    保守

  • 33二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 09:56:47

    保守

  • 34二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 15:11:50

    このレスは削除されています

  • 353.5周年からの新任24/12/13(金) 15:13:53

    「まだ……やるの?ホシノ先輩?」
    「せん、ぱ……」
    「やっぱり、私の声は聞こえないんだね。悔しいな……」
    「て、ちょう、は、どこなんですか……?」
    「いい加減……」
    「……」
    「いい加減、かわいい後輩の事も見て!!ホシノ先輩ッ!!」

    左手は抑え込む為に、右手は使い物にならない。残った頭で最後に頭突きを盛大にお見舞いすると鈍い音が響く。
    お互いに意識を失い静寂が訪れた。


    「ここは……?」

    気が付くと砂漠の中に居た、砂嵐の向こうに誰かの人影が見える。

    「ホシノ先輩!」

    ……シロコちゃん?

    振り返った人影は私の名前を呼び返してくれる、しかしその姿は砂で隠されていた。

  • 363.5周年からの新任24/12/13(金) 22:47:47

    保守

  • 37二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 00:28:10

    保守

  • 38二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 09:27:43

    保守

  • 393.5周年からの新任24/12/14(土) 15:16:59

    ここはきっともう一人の私の記憶にあったホシノ先輩の精神空間の様な物なんだろう。

    「ホシノ先輩、帰ってきて。列車砲シェマタの事は先生がどうにかしてくれる」

    そうだね、風紀委員長ちゃんもそう言ってた。

    「なら───」

    これも言ったかな、結果的にそうなったけど、絶対にそうとは限らないよ。
    だからアレは私が確実に壊さないと。

    「でも私も皆もそんな事望んでない」

    うん、そうだね。
    ごめん。

    「謝るくらいなら帰ってきて」

    うへ、厳しいね。
    でも私は皆を守るって決めたから。
    先輩ならきっとそうしたはずだよ。

    「その想いは嬉しい、けどユメ先輩はホシノ先輩が独りになる事なんて望んでないはずだよ」

    ……分かったような言い方だね?

    「少なくとも、私は分かるよ」

  • 403.5周年からの新任24/12/14(土) 15:17:13

    会ったこともないのに分かるなんてシロコちゃんはエスパーにでも目覚めたの?

    「めっ」

    ……え?

    「かわいい後輩にそんな言い方しちゃダメだよ?ホシノちゃん」

  • 41二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 22:51:17

    補習

  • 42二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 23:36:57

    保守

  • 43二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 10:37:00

    どうなるかな

  • 443.5周年からの新任24/12/15(日) 14:59:42

    ……その……声は……嘘だ、嘘だよ、嘘ですよ。

    「嘘かもしれないね、でも少なくとも私は本気でホシノちゃんを助けたいと思ったんだよ?だってこんなにかわいい後輩がいるんだもん!助けてあげるのは先輩の役目だからね!」

    ……どうして今になって?
    ……どうして私の所には?
    ……どうして?

    「シロコちゃんがね?ホシノちゃんも、友達も、後輩も皆助けたいって言ってくれたんだ」

    そう……ですか……。

    「私、その時は良く分からなかったのに、今は不思議だけど全部分かるんだ。」

    全部?

    「うん、この世界の私はもう居ない事。ホシノちゃんを怒らせちゃってそれきりな事。ずっと私の居なくなったアビドスを守り続けてくれた事。行き詰まって止まれなくなっちゃった事も。全部今なら分かるんだ、こんな事ってあるんだね」

    不思議ですね。
    私の知ってる先輩なのに、私の知ってる先輩よりずっと賢そうです。

    「はう、それはー……でも本当に私なんだよ!?信じてよー!ホシノちゃ〜ん!」

    嫌でも分かりますよ。
    どう見てもユメ先輩じゃないですか。

  • 45二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 23:21:36

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 00:06:20

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 02:24:32

    保守

  • 48二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 11:27:32

    保守

  • 493.5周年からの新任24/12/16(月) 15:01:29

    「良かった!信じてもらえた!」

    でも、あなたは私の知ってるユメ先輩とはまた違うんですよね?

    「うん、きっとそうだね」

    ですよね……すみません。
    先輩はもうどこにもいないなんてとっくに分かってるのに。

    「私、嬉しかったんだ」

    え?

    「だってホシノちゃんは独りじゃないし、守りたい後輩だっているんだよ?私が思い描いたアビドスに少しずつ近付いてるんだなあって思うとすっごく嬉しかったんだ!」

    そうでしょうか……?でもそれも今は……

    「ん。そうさせないために私も皆もいる」
    「そうだよ!私を連れてきてくれたのもシロコちゃんなんだから」

    私、先輩に迷惑かけてばかりですね。

    「私はホシノちゃんにいっぱい助けてもらったよ。それはこの世界の私だって同じだよ?」

    でも私は結局、先輩を守れませんでした。
    だから、こんな思いはもう二度と。

  • 503.5周年からの新任24/12/16(月) 23:31:26

    保守

  • 51二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 09:09:26

    補習

  • 523.5周年からの新任24/12/17(火) 17:55:00

    「でも、ホシノちゃんが居なくなったら皆はもっと悲しむし、なにより私も悲しいよ」

    それは……すみません。

    「ホシノ先輩、さっきから謝ってばっかり。謝るくらいなら帰ってくるべき」

    そうだね、でもやっぱり、私は……

    「私にはきっと本当の意味では分からない。大切な人を失った痛みも、守るためだって言いながら、守りたい人達の話を無視する事も」

    ……。

    「私より強い人の言う事しか聞かない私には、昔のただ強くあろうとしただけのホシノ先輩が、どうしてユメ先輩の事を忘れられないのか、分からない」

    そうかもね、この痛みは───

    「でもそれはホシノ先輩と出会う前の私だったらの話。私にも守りたい人達ができた。それもこれもホシノ先輩があのマフラーをくれた日から始まった」

    ユメ先輩が、そうしろって……。

    「ん。なら、ユメ先輩にお礼を言わないと。ありがとうユメ先輩」
    「えっ!?急に私!?ど、どういたしまして?」

    ……。

  • 53二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 23:20:29

    保守

  • 54二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 09:52:53

    良いSSだ

  • 553.5周年からの新任24/12/18(水) 15:02:02

    ……。
    先輩が死んだ理由はいったいなんなのさ?私達が生きる理由は?

    「違うよ、ホシノちゃん。生きる事に理由を見つけないとなんて、悲しい考え方。ホシノちゃんは理由がなくたって生きてて良いんだよ?少なくとも私は生きてて欲しいな」

    でもそうでないと納得なんて……。

    「もういい」

    シロコちゃん?

    「アヤネも言ってた、ホシノ先輩のわからず屋」

    それはごめんって。

    「そうだそうだー!ホシノちゃんのわからず屋ー!」

    先輩……急にハイテンションですね。

    「ん。今からそっちに行って力いっぱいホシノ先輩をぶん殴るから」

    随分と物騒な宣言だね。

    脚を踏み出す。砂嵐は私を拒むかのように打ち付け私の身体を強ばらせる。
    でもそれは歩みを止める理由にならない。

  • 56二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 23:39:57

    保守

  • 57二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 10:32:06

    保守

  • 583.5周年からの新任24/12/19(木) 15:05:17

    「殴られたら先輩の負け、私達の所に帰ってきてもらう 」
    「やっちゃえー!シロコちゃーん!」

    うへっ!?先輩まで!?
    ちょ、ちょっと本当に?
    こ、こっちに来てるし!?
    お、おじさんは殴られたって負けだなんて認めな───

    「私、ホシノ先輩がいない学校なんて嫌だよ……」

    ホシノは殴られていない、それどころか優しく、まるで生まればかりの赤子を包むかのように抱きしめられていた。

    「朝学校に来て皆におはようって言って、借金返済のための作戦会議して、銀行を襲う計画を立てて怒られて、芝関ラーメンを食べて、また明日って。そんな毎日からホシノ先輩が居なくなるなんて嫌」

    砂嵐は止み、はっきりとホシノの姿が目に写っていた。

    「シロコちゃん……」
    「なんでもない毎日が一番の奇跡なんだって。あの世界の私は知ってる」
    「奇跡……」

    いつかの日に聞いた『奇跡』それは他愛の無い日常の大切さ。どこにでもありふれ、而して個人にとっての日常は誰かの日常にはなり得ない。
    だからこその奇跡を小鳥遊ホシノは忘れるはずもなかった。

  • 59二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 22:38:53

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 23:30:59

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 10:57:52

    ほほほ

  • 623.5周年からの新任24/12/20(金) 18:37:52

    「ホシノちゃん」
    「ユメ、先輩」
    「ホシノちゃんが居てくれたから毎日が奇跡の連続だったんだよ?だからかわいい後輩の奇跡を、ホシノちゃんの奇跡を手放さないで欲しいな!」
    「そんな、言い方……ずるいですよ」
    「ふふっ、ごめんね?それでも私はホシノちゃんに幸せになって欲しいんだ」
    「良いんでしょうか?こんな私が───」

    シロコに抱きつかれたまま不安を口にするホシノにユメは近付き二人の頭を優しく撫でる。

    「こんな、じゃないよ。私の大切なホシノちゃん、シロコちゃんの大切なホシノ先輩、でしょ?」
    「ん。皆にとって大切なホシノ先輩。間違いない」
    「そう……だね、ありがとう」

    ゆっくりと、しかし力強くホシノはシロコを抱きしめ返す。夜の砂漠に奪われた熱を取り戻すように、苛まれ続けた渇きを癒すために。

    「よしっ!仲直り成功!良かったねシロコちゃん!」
    「ん。ユメ先輩のおかげ。本当にありがとう」
    「ふふっ、どういたしまして!それじゃ行ってらっしゃい!」
    「はい、行ってきます。ユメ先輩」
    「ん。でもどうやって戻るんだろう?」
    「うへ?確かに……」

    辺りを見回しても戻るためのヒントは見つからない。

  • 63二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 22:32:08

    保守

  • 64二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 09:24:49

  • 65二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 10:20:22

    保守

  • 663.5周年からの新任24/12/21(土) 15:07:48

    「もしかして」
    「シロコちゃん?なんか分かったの?」
    「ん。私がホシノ先輩をぶん殴るって言ったアレ」
    「うへっ!?アレなの!?」
    「あ〜、確かに『負け』って決めちゃったもんね……」

    シロコの宣言によってこの場に於いてのルールが決まっていた。
    結果としてこの状況を収束させるための選択肢はホシノが殴られるかシロコが殴られるかの二択になってしまったのだった。

    「えっ、えっ、この状況でおじさん殴られちゃうの!?本当に!?」
    「ん。仕方ない、ホシノ先輩も私達の話を聞かなかったし反省して」
    「う、うへぇ、勘弁してよぉ……。せ、先輩……」

    情けない表情のままホシノはユメに助けを求める。それに対し満面の笑みを向けたユメは。

    「まあしょうがないよ!私もシロコちゃんの背中押しちゃったからね!」
    「うへぇ……」
    「ホシノ先輩、覚悟して」

    そう言いながらシロコはホシノから少し距離を取り拳を握り締める。

    「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ってシロ───」

    言い切るより早くシロコの拳がホシノを捉えてクリーンヒットした。

  • 67二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:48:45

    保守

  • 68二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 23:36:57

    保守

  • 69二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 11:14:22

    保守よ

  • 703.5周年からの新任24/12/22(日) 15:45:59

    そのまま意識を失い、ホシノは倒れる。
    砂に覆われた空が晴れ始める、この精神世界に終わりが訪れた事が分かった。

    「よしっ!これで私の役目は終わりだね!」
    「ん。本当にありがとう。私だけだったらホシノ先輩を救えなかった」
    「えへへっ、どういたしまして!きっともう会えないと思うけど。それでもシロコちゃんも私の大切な後輩だからね!それとホシノちゃんの事よろしくね?」
    「任せて、ホシノ先輩は私がしっかり面倒みる」
    「ふふっ、頼もしいなあ。じゃあね、シロコちゃん!」
    「ん。さようならユメ先輩」

    笑顔で手を振り合いその場を去る。太陽が更に輝きやがて目が眩む、きっと現実に戻るのだと理解する。



    気が付くとシロコの眼前には元の姿に戻りつつあるホシノが居た。安堵しため息をつくがそれを地下生活者は許さない。

  • 71二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:40:57

    保守

  • 72二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 23:45:12

    保守

  • 73二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 07:32:19

    保守

  • 74二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 15:29:48

    このレスは削除されています

  • 753.5周年からの新任24/12/23(月) 15:32:00

    「ハァアアアア!?なぜだァッ!?暁のホルスは恐怖へと転じたはずだ!!だというのにッ!!なぜッ!!」

    先程まで決まりきった勝利に悦に入っていた、しかし再び冷水を掛けられ、これまで通り憤りを独り露わにしていた。

    「で、ですが、まだ!まだです!『セトの憤怒』には、ただの生徒一人では勝ち得ない!真のチートをもって死の神を葬り去りましょう!」

    雷撃がシロコとホシノを襲わんとその手を延ばす。
    ホシノは気を失い、シロコ自身も満身創痍、光を宿した盾も役目を終え姿を消した。避ける余力も受ける術も何一つ残されてはいなかった。
    無慈悲に貫かれる二人の子供達、残っていた一人のヘイローも消失し轟音の後に砂が吹き荒れる音と雷の光のみが残っていた。


    「……ヒヒッ!ヒヒヒッ!!ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!!!!」

    地下生活者の勝利だった。
    幾つものイレギュラーを握りつぶし捻じ曲げ、遂にはキヴォトスの崩壊の一歩を踏みしめていた。



    ”そんな……”

    私達は間に合わなかった。シロコが必死に抗い続ける様を観ることしかできなかった。

  • 76二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 22:41:38

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:37:30

    保守

  • 78二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 10:02:46

    セトの憤怒、強敵だな

  • 793.5周年からの新任24/12/24(火) 15:20:00

    項垂れる私に黒服は近づき口を開く。

    「先生、私とどう契約したかを覚えていらっしゃいますか?」

    ”今はそれどころじゃ……”

    「大切な事です。お答え下さい」

    普段の不気味さは消え、真面目な声色で真っ直ぐ私を見る黒服の態度から、その問いに答える必要が有ると理解する。

    ”私の大切な生徒を助けて”
    ”そう、契約したはずだよ”

    私の回答に黒服は口端を軽く吊り上げる。

    「ええ、その通りです。そして私はその願いを叶える契約をしました。後はこれを履行するだけです」

    ”でもそれも今……”

    「いいえ、まだですよ先生。今度は私達の番です。生憎私はご同行できませんが、特等席から先生の活躍を観させて頂きます。期待、していますよ先生?」

    ”それは───”
    ”いったいどういう───”

    突如目の前から黒服が消えた。それと同時に光に包まれ思わず目を瞑る。

  • 80二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 22:48:23

    保守

  • 81二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:53:44

    保守

  • 82二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 07:56:44

    保守

  • 83二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 18:24:39

    良いSSだ

  • 84二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 18:51:47

    ───

    「理解出来ぬ」
    「死の神は確かに色彩により『恐怖』へと転じたはず」
    「色彩の嚮導者にも成らず、本質にも導かれない」
    「そして何故我らの干渉も受けない?」
    「理解出来ぬ」

    無名の司祭、虚妄のサンクトゥムを、その原因を招いた元凶といって差し支えない存在達は困惑していた。

    「クックックッ、それは彼があなた達との契約を果たしたからです」
    「理解できぬ」
    「誰だ、何故我等を観測しながら姿を現さぬ」
    「何故我等から貴様を認識できない?」
    「曖昧である事に意味が有りますので。それよりもあなた方の今の行動は契約に背いています。手を引いて頂けると幸いですが、いかがでしょう?」
    「契約だと?」
    「暗喩にこそ生まれる意味?それはつまり?」
    「理解できぬ」
    「あの者は我等の言いなりのはずだ」
    「あの愚かな選択はその結果をもたらした、そこに我等の落ち度は無い」

    返答ほ拒否の意を示していた。そこで黒服は「はいそうですか」と引き下がる程甘くは無い。
    なぜなら彼こそ契約を重んじ、矛とし、振りかざす存在なのだから。

  • 85二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 23:10:20

    保守

  • 86二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 23:48:17

    保守

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