- 1二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:48:51
「ふぅ〜、寒い。今朝の天気予報で言ってたけど、今日は一段と冷えるね」
「えぇ。ここ数日と比べても今日が一番寒いですね」
「ちょうど良い所に自販機が。メサイア、何か暖かい飲み物でも飲もうか」
「はい」
私達は寒い寒いと言いながら、冷える体を温める目的で、自販機に立ち寄る。
今年も残り一ヶ月も切り始めた矢先に訪れた冬の到来。隣にいるトレーナーさんがおっしゃたように、数日前から天気予報では冬の寒さが到来すると報道していました。
今朝はそんな寒さを和らげる為、コートにマフラーなどの冬装備で外に出たのですが、やはり寒いものは寒いですね。
天気予報だけ見ても、ピンときませんが、今この身に感じる寒さが冬本番である事の証明でしょうか。
「やっぱり冬は温かい飲み物が美味しいよね」
「そうですね」
トレーナーさんの言葉に同意しつつ、何を飲むか頭の中で吟味する。
コーヒーにココアなど温かい飲み物は様々ありますが、やはり、ここは王道のココアにしましょうか。
そう思っていましたが、ふと自販機を見るとおしることコーンポタージュ、この2つの商品に目が止まります。 - 2二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:49:50
真面目な性格なので、普段ならこのような商品は手に取りません。ただ、今は信頼できる人が隣にいるので、たまには堅実な己の殻を破る思い切った行動の一環として、選んでみたい。
そう思い、どろっとした甘い飲み応えのあるおしるこかはたまたなめらかな飲み応えのあるコーンポタージュか、どちらにしようか悩んでいると隣から声がかかる。
「メサイアは何飲みたいか決めた?」
「えぇ。以前にも話ました、時には思い切り行動と思いまして、おしるこかコーンポタージュで悩み中です」
「なるほど……。ちなみにメサイアはどちらも飲んでみたい?」
「え?」
トレーナーさんの問に思わず声を上げる。
盲点でした。悩むということは、どちらか選ばない、つまり、諦めるということ。
またの機会に飲めればいいのですが、はたしてそのような機会が訪れたとしても、同じ心境になるとは限りません。
ならば、どちらも買えばいいのですが、飲む量が多く、お腹がたぷたぷになってしまいます。そう、私一人だけなら。
「はい、できれば両方飲んでみたいです。こういったものを飲む機会はなかなかありませんから」
「なら、両方買って、分け合おう。後でコンビニで紙コップでも買えば半分こできるから」
「なるほど、それは妙案ですね。ですが、トレーナーさんはいいのですが?」
私一人では思いつかないアイデアに心から関心しつつ、トレーナーさんもおしることコーンポタージュが飲みたいのか尋ねる。
このやり取りでNOとは言わないと思いますが、本当は別のものを飲みたいのを我慢させてないだろうかという確認の意味を込めて聞く。 - 3二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:51:02
「いいよ。俺もメサイアと同じで、こういった機会とかじゃないと中々飲まないから」
「では、お言葉に甘えてそうさせて頂きます」
やはり彼も私と似て真面目な性格なので、こういった物は普段飲まないようです。
こういった機会を設けてくれたことに感謝しつつ、そうと分かれば話は早い。
私は早速コーンポタージュを、そして彼はおしるこをそれぞれ購入。
手に収めた缶の温もりで冷えた手を温めながら、近くのコンビニに立ち寄る。
「紙コップ買ってくるから、ちょっと待ってて」
そう言って、トレーナーさんは一人コンビニへ。
「お待たせ、メサイア。それじゃあ、先にどっちから飲む?」
「コーンポタージュでお願いします」
「分かった。じゃあ、分けようか。うん?凹んでいる?」
彼は購入したばかりの紙コップにコーンポタージュを注ごうとした時にある違和感に気づく。
缶の飲み口の少し下あたりが少し凹んでいることに。
「先ほど調べたのですが、こうすることで缶に入っている粒を残さず飲みことができるそうです」
「へぇ~、なるほど」
先ほどトレーナーさんがコンビニに行ってる間、スマホで調べていた内容を実施し、お伝えする。
その様子に彼はひどく感心している模様。
そして、トレーナーさんは缶のプルタブをカシュッと小気味いい音と共に開け、飲み口から湯気が上がりながら2つの紙コップに均等になるように注いでいく。 - 4二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:52:14
「どうぞ、メサイア」
「ありがとうございます」
渡された紙コップからはトウモロコシの優しい香りが鼻を刺激する。
私は早速紙コップに入れられたコーンポタージュを頂く。
体の芯を温められるような優しい甘さに味に舌鼓を打ちつつ、滑らかな飲み応えを楽しむ。時折出てくるコーンの粒が良いアクセントとなる。気づけば全部飲み干していた。
「美味しいです。優しい甘さの中にコーンの粒が残り、食べごたえもありますね」
「そっか、それはよかったよ。それじゃあ、次はおしるこだね」 - 5二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:52:25
先ほどとは打って変わって、渡された紙コップからは食欲をそそるような小豆の甘い香りが漂う。
おしるこに口をつけると、先ほどとは打って変わって、ドロドロとした食感に小豆が舌の上で踊り、しっとりとした甘さが口内に広がっていく。 喉を通る度にじんわりとした温かさが体全体に広がっていく。
「どろっとした食感の中に小豆のしっとりとした甘さが口いっぱいに広がりますね。寒い時に欲しくなる気持ちが分かります」
「そうだね、このおしるこはまさにそんな感じがするよね」
トレーナーさんも私の言葉に相槌を打ちつつ、ゆっくりと味わうように飲む。
「「ごちそうさまでした」」
2人で飲むにはちょうどいい量だったようで、あっという間に飲み切ってしまう。
お陰で体もポカポカと温かい。
「美味しかったです。たまに飲む分ならいいかもしれません。日頃から飲むには糖分の取り過ぎで少々心配なります」
「そうだね。けど、たまにならいいんじゃない?」
「えぇ、そうですね」
トレーナーさんの言葉に同意する。
毎日飲んでいたら、体に悪そうですが、たまになら問題ないでしょう。
そう、たまにはと思って、思い切りにはちょうどいいかもしれません。 - 6二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:54:51
終わりです。前にメサイアを引けたので、書いてみました
- 7二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:56:26
いいね あったかい話だった