- 1二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:48:59
- 2二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:49:45
初代
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求!|あにまん掲示板それなら俺がキヴォトスに転移してえちえちハーレムを築いても文句は言われんはずだ!いくぞ!うおおおおおおおお!!!!!!いたいなぁ…あついなぁ…まぁ普通の人間が弾丸飛び交う世界に行ったらこうなりますよね…bbs.animanch.com2代目
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求! 2|あにまん掲示板このスレはキヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレです前スレはおいた…bbs.animanch.com - 3二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:50:25
ごめん俺も保守忘れてた
- 4二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:50:32
3代目
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求! 3|あにまん掲示板このスレはキヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレです少しづつ、けれ…bbs.animanch.com4代目
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求! 4|あにまん掲示板このスレはキヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレです少しづつ、けれ…bbs.animanch.com - 5二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:50:52
SS書いてくれる人がいる限りは落とせねえ……
そういや小数点のときはサドンデススタイル継続? - 6二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:51:30
4.5代目
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求! 4.5|あにまん掲示板このスレはキヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレです途中脱線したけ…bbs.animanch.com4.75代目
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求! 4.75|あにまん掲示板キヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレですラブコメの香りを諦めきれ…bbs.animanch.com - 7二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:52:16
4.9代目
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求!4.9|あにまん掲示板キヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレです前スレ広域規制で落として…bbs.animanch.com前スレ
【閲覧注意】美少女まみれの世界に転移してエロエロしたいのは普遍的欲求!5|あにまん掲示板キヴォトスに転移させられた結果気をやってちょっと行動的になったばっかりに死にかけた事をきっかけにドタバタハーレムラブコメが展開され始めた俺くん×モブorネームドちゃんのスレですPart4だけで3スレ分…bbs.animanch.com - 8二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:53:44
- 9二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:54:36
- 10二次元好きの匿名さん24/12/10(火) 23:56:03
- 11二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 08:07:47
やっちゃったよ……
- 12二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 17:52:14
このレスは削除されています
- 13二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 17:52:58
すまぬ…すまぬ…
- 14二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 19:04:44
爆発の人生存報告
○時なら誰かやってくれると思って油断しちゃだめだね… - 15二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 23:01:37
- 16二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 23:11:00
それでいいと思われ
- 17二次元好きの匿名さん24/12/11(水) 23:27:54
.0、.5、.75までは普通のスレ、.9はサドンデスになる感じか
- 18二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 09:30:32
落とすのはダメ!保守!
- 19二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 17:16:19
いい感じにスレが暖まってきたところにスレ落ちで冷や水をさしてしまった感じだな……
- 20二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 21:41:01
- 21二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 21:50:22
教室に入ると既に小さな背中が席に着いていた。また可愛らしい反応を期待して声を掛ける。
「うふふ、おはようございます。コハルちゃん、今日も気持ちいい♡一日ですね」
コハルはチラッとこちらを見るが、何も言わずに俯いてしまう。予想外の反応に少し動揺してしまう。それと同時に何かあったのかと勘ぐる。コハルに恐る恐る近づいて顔を覗き込むと、涙目で少しばかり目元が赤くなっている。
「ハナコ・・・・・・・うぅぅ・・・」
コハルは泣き出してしまう。最近ここまで泣かせるようなことをした記憶はない。知らずのうちに何かしてしまったのだろうか。それとも他の誰かに何かされたのだろうか。少しばかり心に不安が現れ、思考が回転し始める。内心の動揺を隠しながら、目線を合わせるように膝をつく。
避けられている感じではないことに安堵しつつ、コハルを落ち着かせることを試みる。見たところ怪我をしている様子はない。
「大丈夫ですか?コハルちゃん、何があったんですか?」
「うぅぅぁあ・・・うぅぅ」
泣き続ける友人に何をしてあげれば良いのか、考えあぐねながら声を掛ける。どうすれば泣き止むのか、案を思いついては実行できずに消えていく。
少しすると、ヒフミとアズサが遅れて教室にやって来る。
「おはようございます・・・・・って、どうしたんですか!?」
「・・・・むっ、何かあったのか?敵襲か?」
二人も泣いているコハルを見て、駆け寄ってくる。普段見ることのない友人の姿に戸惑いながらも、落ち着かせようと声を掛ける。二人の反応から原因が外部にあると推察する。 - 22二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 21:50:53
「何があったのか教えてくれませんか?コハルちゃんの力になりたいんです」
二人のおかげもあってか、少しずつ落ち着いてきたコハルがポツポツと話してくれる。
「・・うぅ・・・男の人が・・・・ぐす・・・走ってきて・・・・・変なこと・・・・叫ぶから・・・」
「男の人・・・その方に何かされたんですか?」
異性、生徒ではないことがわかると共に、邪推し始める。
「・・・・されてない・・・・けど・・・うぅ」
「そ、そうなんですか?何もされてないならよかったです・・・ですが、コハルちゃんを泣かせるなんて許せません!」
「ああ許せないな・・・手頃なIEDと手榴弾をいくつか取ってこよう。ヒフミ、手伝ってくれ」
「ま、待って!・・・・・ぐす・・・・わ、私が悪いの・・・・うぅぅ」
動き出そうとする二人をコハルは慌てて引き止めて、起きたことを話す。今朝いつも通りに登校していたこと。突然、男の人が走ってきたこと。男の人が叫び出して、思わず発砲したこと。倒れて血を流し、病院に運ばれていったこと。・・・断片的な言葉からでも中々の惨状であることが伺える。
さすがに重症者に追い打ちを掛けるわけにもいかず、二人は襲撃を断念する。その傍らで考え込む。
(登校時ということは住宅街の方でしょう・・・・・男の人・・・先生であれば、きちんと先生だと言うはずです・・・コハルちゃんが、相手が死にかけるほど何度も発砲するとは思えません。学生以外の市民ではない?・・・あるとすれば、キヴォトスの外の人?・・・ですがなぜ住宅街にいるのでしょう・・・寮に侵入するにしてもキヴォトス外の人なら撃たれる危険があると分かっているはず・・・突然叫び出したことを考えると、不審人物であることはたしかですが・・・・・・今朝の出来事ならSNSなどに何か情報があるかもしれません)
ヒフミとアズサに任せ、教室を出る。スマホを取り出し、ネットで情報を探す。数分で動画を見つける。遅刻ギリギリなのが幸いか、まだ広まっていない様子である。しかし、こんな事件が噂にならないはずはなく、広まるのは時間の問題だろう。見るからに悲惨な状況の再生画面・・・それを再生する。 - 23二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 21:51:12
遅い時間だというのに野次馬ができている。道路には救急車が停まっており、懸命に応急処置を行っている生徒の後ろ姿が映っている。歩道は見たことのないほどに赤く染まっており、死んでしまうのではないかと思ってしまう。そして、その真ん中に放心状態で座り込んでいるコハルが見える。あまりの惨状に顔が強張るのを感じる。
(通学路の交差点で間違いありません・・・この人数なら口止めは難しそうですね・・・ここから近い病院を考えると、中央病院の可能性が高いでしょうか・・・・・・まずはここに映っている生徒に聞き込みを・・・)
野次馬から聞き込みをする生徒を見繕おうとしたとき、コハルの怯えきった表情と茫然とする姿が見えた。
(・・・・・・いえ、今はコハルちゃんが優先ですね) - 24二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 23:03:15
流石ハナコ、状況分析が完璧すぎる
- 25二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 08:49:28
あさほ
- 26二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 08:51:19
おお!新しい話がきている!
- 27二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 16:28:50
そういえば色んな人がいるけど今どんな世界線があるんだっけ……?
- 28二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 19:44:33
A氏とB氏と爆弾とコハルがパッと思い出せる限り
- 29二次元好きの匿名さん24/12/13(金) 23:59:01
あはは...保守します
- 30二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 00:06:28
(1)『始点にして終点』(仮称)
初代スレ主が投稿した、すべての始まりたる1レス完結(本人曰く「1発ネタ」)の物語。「ある日突然キヴォトスへ転移した平凡な男子高校生が昂揚のままにハーレム願望を叶えようとするも、被弾して呆気無く失血死する」という内容。
これ単体では「現実は非情である」と示すだけの話だが、「一命を取り留めた主人公に、撃ってしまった生徒が贖罪として己を差し出し、爛れた関係となる」というアイディアを提示するスレ民がいて大いに盛り上がったおかげで、即落ちを免れた。
(2)『名も無き学園にて』(仮称)
Part1から始まった、シリーズ初の長編。(少なくとも精神面は)平凡な男子高校生である主人公くんが唐突な異世界転移に対する錯乱からハーレム願望を叫ぶに至ったという展開、ヒロインちゃんが主人公くんを誤射するに至った経緯、不慮の事故の原因を作ってしまいヒロインちゃんへの罪悪感に苛まれるヒロイン友ちゃん等、緻密に組み立てられた筋書きが特徴。往年のネット掲示板SSらしく誰の固有名も明かされていない点もまた、世界線を越えた遭遇という一大イベントが起きて初めて脚光を浴びた登場人物達の凡庸性を却って際立たせている。
筆者はメインライターたる「名も無き学園の人A」(>>9)の他、Part2終盤で上記3人以外に豪腕でゆるふわ系な先輩キャラ(通称「ゆるふわゴリラ先輩」)を主要登場人物として加えた「名も無き学園の人B」(Part4以降は消息不明)や、Part3中盤でメインライターが自ら開示したバッドエンド案を代わりに書き起こしPart4序盤で公開した「名も無き学園の人C」(>>10、Part4.5以降は消息不明)もいるが、残念ながら互いに連携はしていない。
(3)『爆破に巻き込まれた少年』(仮称)
Part5から始まった完全新作。負傷して昏倒するきっかけが銃創ではなく爆発の巻き添えであるという、最初の設定にすら囚われない柔軟な発想でスレ民を驚かせた物語。
筆者は少々悩んだ末に「爆発の人」と名乗り始めた。
(4)『エ駄死少年』(仮称)
同じくPart5から始まった完全新作。「原作のネームドキャラだと誰が本概念のヒロインになりうるか」という議論で名前が挙がっていた下江コハルをヒロインに据えた物語で、主にトリニティ生徒との交流が描かれると思われる。
筆者の呼称は未定。
- 31二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 00:06:53
現時点で明確に筆者の区別が付く物語をまとめてみました。
新スレ冒頭での過去作紹介にお使いください。 - 32二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 10:47:17
まあ簡単に言うと、保守投稿☆ってところかな?
- 33二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 12:18:19
まとめあざます
- 34二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 18:32:04
さてと…どう語っていこうか
- 35二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 20:36:13
そもAニキはいるんだろうか……
- 36二次元好きの匿名さん24/12/14(土) 23:51:29
しんやほ
- 37二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 07:43:10
ほ
- 38二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 14:44:17
ほ
- 39二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:35:53
保守代わりにネタ帳として概念を置いて行きたい……
- 40二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 09:48:07
- 41二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 09:50:35
うへ〜、おじさんが保守しちゃうよ〜
- 42二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:20:57
ん、忘れる前に保守
- 43二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:14:39
- 44二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 08:20:56
- 45二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 11:42:42
ほ
- 46二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 19:46:24
コハルルートはシャーレとの関わりも気になる
- 47二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 22:16:58
どうなんだろ……補習授業部だから先生に連絡自体は行きそうな気がする。事情が事情なだけに凹んだコハルを見舞いに来たりとか……
- 48二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 05:36:43
そういやコハルの上司だからハスミもくる可能性が大きいな
デカすぎて話が頭に入ってこなさそうだ - 49二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 16:05:55
着目するのは背丈か乳か翼か…
- 50二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 18:23:29
- 51二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 00:26:47
☆ゅ
- 52二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 07:41:30
個人的な妄想としては、ハナコがダメと言っても、コハル側がケジメと称して押し通る気がするってのはある
- 53二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 18:50:04
ほ
- 54二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 22:42:52
寝る前ほ
- 55二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 09:52:08
無限に期待出来る。頑張ってください
- 56二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 17:03:17
ほ
- 57二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:45:55
楽しみにしてるぜ!
- 58二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 22:37:25
コハル待ちの保守
- 59二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 01:23:00
- 60二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 01:26:04
- 61二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 06:50:47
- 62二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 18:30:41
ほしゅ
- 63二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 19:15:36
護衛から始まって距離が縮まる物語、いいよね……
- 64二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 23:45:44
よるほ
- 65二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 11:24:29
ん、保守。
- 66二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:49:09
イチカと会った次の日、病室にノックが響いた。看病してくれる生徒と入れ替わるように聞いたことのある声の生徒が入ってくる。病室の温度が下がった気がする。
「失礼します」
そう言って近いてくるのは、白いセーラー服、ピンク色の長い髪、目を吸い寄せる胸、浦和ハナコ。
その表情は微笑んではいるものの、目が笑っていない。吸い寄せられる視線を絶対に胸にもっていってはいけないと直感で確信する。
「はじめまして、浦和ハナコと申します」
知ってます。
「少しお話を伺えますか?」
「・・・・・・はい」
ハナコはベッドの横の椅子に綺麗な姿勢で座る。目のやり場に困る。視線が下がらないように気をつけながら、ハナコの目を見る。いや、ずっと目を合わせるのもおかしい気がする。髪に付いているリボンを見る。リボンの付いている三つ編みを見る。・・・視線が泳いでいる自覚がある。
「まずは、私の友人があなたにこのような怪我をさせてしまったことを謝罪させてください」
「あー、いや・・・・・コハルにも言ったけど、あんなとこで騒いでた俺の方が悪いというか・・・・・本当にすみません」
「・・・コハルちゃんを責めないのですね・・・・・・その件でいくつか聞きたいことがあります。あなたが撃たれたときの状況をいくつか質問していいですか?」 - 67二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:49:41
「コハルちゃんから、通学路の交差点にあなたが走ってきて突然叫び出したと聞きました・・・間違いありませんか?」
「・・・はい」
「不審者だと思ったコハルちゃんがあなたに発砲し、この病院に運ばれてきた」
「・・・その、はい」
「そのときのことを何か覚えていますか?」
「その・・・興奮して叫んでいたら後からコハルの声がして・・・撃たれてからは記憶がない、です」
「・・・コハルちゃんは信号待ちをしていたらしいのですが、気が付かなかったのですか?」
「・・・・・・他のことに集中してたから」
ハナコの圧に生きた心地がしない。もっと楽しい会話をしようぜ・・・
「・・・そういえばコハルちゃんが、あなたが叫ぶ前、信号を渡るでもなく立ち尽くしていたと言っていましたが、何を見ていたのですか?」
「うぐっ・・・・・その〜・・・・・向こう側に銃を背負った生徒がいて・・・物珍しに・・・・」
そのときのことを思い返す。トリニティの制服、ペロロのストラップ、ここがブルーアーカイブの世界だと確信したときのこと。・・・でも、これ、傍から見ると・・・
「・・・・・つまり年頃の女子高生を見て興奮していたと」
「言い方!否定できないのは辛いけど、言い方!」
「銃を見慣れていないということは、やはり、あなたはキヴォトスの住人ではないのですね・・・外から来たのでしょうか」 - 68二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:50:15
「・・・そういえば女の子に欲情したあなたが何を叫んでいたのか、聞いていませんでしたね。教えてくれませんか?」
「うぐっ・・・欲情していません・・・黙秘します」
「・・・・・・まあ、あなたが叫んでいるところを見ていた生徒に聞き込みをしたので、何を叫んでいたのか知っているんですけどね」
「おい!ちょっと待て!何で聞いた!」
まずい、完全に手玉に取られている。段々と叫んでいた内容を思い出してくる。そして、それを目の前の女の子に内容が知られたということを理解してくる。
「あああぁぁ・・・・・いやだ、恥ずかしい、死ぬ」
「ですが、人通りの多い通学路で、あのようなことを叫ぶのは、さすがにいけないことですよ」
「こんなことになるって思ってなかったよ!変なテンションだったときのことを聞かれるなんて、どんな羞恥プレイだよ・・・」
「そうですか?自分を曝け出して生きていくというのも案外悪くないかもしれませんよ」
「それで気持ち良くなるのはお前だけだろうが!」
「・・・・・・」
ハナコと同類扱いはさすがに嫌だ。女子に白い目で見られるのは心にそれなりのダメージが入る。俺の奇行を見ていたのはコハルとあの生徒くらいだったはず・・・それと事情聴取に来たハナコだけ・・・まだ傷は浅いはず。
・・・ん?事情聴取?
「もしかして、これから何度も掘り返されることになるのか・・・?」
「そうでしょうね・・・・ところで太ももがお好きなのですか?」
「ぎゃあああああああああ・・・あぁ・・・あぁ・・・ころして・・・」 - 69二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:50:47
悶絶する俺とは対照的にハナコは笑みを浮かべているだけである。
「ですが何故、朝早くからあのような場所にいたのですか?」
「いや〜・・・それは・・・その」
「寮や生徒の自宅に侵入するにしても、あなたの叫んだ内容と微妙に合いませんし」
ハナコの視線が刺さって痛い。針の筵とはこの事なのだろう。どうにか言いくるめる方法を探していると・・・
「・・・そういえば、先日キヴォトスの外から輸送船が到着したと記事になっていましたね・・・もしかしてそこから来たのでしょうか?」
「っ!そう!キヴォトスに行くって聞いたから無理を言ってついてきたんだ!いやー、説得するのがなかなか大変で…」
「嘘ですよね。キヴォトスに入る為の規定も確認しましたが、そう簡単に入れるようなものではありません。今のあなたのように怪我をしてしまいますから・・・それに、そもそもそのような一団はありませんよ・・・・・・本当のことを教えていただけますか?」
カマを掛けられた!無いことをまくし立てていた口はピタリと止まる。背中から冷や汗が止まらない。平凡な自分にハナコを上手く誤魔化せる話を即興でつくれるはずもなく、仕方なく事実を話す。 - 70二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:51:17
「うぐっ・・・その〜・・・信じてもらえないだろうけど・・・本当はここにくるつもりじゃなくて・・・その、実は別の世界からこっちに迷い込んだんだ・・・俺の知ってる街を歩いていたら、なんとなく路地裏が気になって・・・道なりに進んでいったらあそこに出たと言うか・・・」
「つまり、別の世界から来たと言いたいのですか?・・・俄に信じがたいですが・・・ですが、突然現れたことの説明はつきますね」
「すんなんり受け入れるんだね・・・」
もう少し反応するかと思ったが、ハナコは表情を崩すことなく静かに話す。
「ええ、とりあえず事情だけでも聞こうと思いまして。あなたは治るまで病院から動けないでしょうし、その間に調べられます。・・・それに一発撃たれただけで死にかけるような相手ならば大して脅威になりませから」
「・・・」
「あら、どうかしましたか?卑猥なことを叫ぶ虚言の多いおにいさん?」
「だから言い方!言い方にとてつもなく悪意感じる!」
「そうですか?身元不明なのも、通学路で卑猥なことを叫んだもの、別の世界から来たと言っているのはあなたですよね」
「じ、事実を並べないでください、死にたくなります」
「それは困りますね。できればコハルちゃんにあなたが死んだと伝えたくないのですが」
「こんなつもりじゃなかったのに・・・俺のブルアカなんかおかしい・・・」 - 71二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:51:47
「それと、もう一つ。あなたは先ほど『それで気持ち良くなるのはお前だけだ』と言いましたよね。まるで普段の私を知っているかのようです」
悶絶して、のたうち回っていた体がピタリと止まる。背筋がゾワッとする。
「・・・黙秘します」
「それに私がこの部屋に入ったとき、私の顔を見るなり驚いた表情をしていましたね」
顔が強張るのを感じる。きっとイチカみたいに青ざめた表情になっていることだろう。
「・・・・・・私の知り合いに、あまり表にできない尋問ができる方々がいるのですけど・・・どうしましょうか」
「・・・またカマかけようとしてる?」
「あら?カマなんてかけていませんよ・・・ですが、カマだと思うなら、シスターフッドのことも知っているのですね」
「・・・・・・そんなシスター知りません」
「うふふ、嘘が下手ですね・・・どうやら、本当に私達のことを知っているようです・・・もしかしてコハルちゃんのことも知っているのでしょうか?」
「・・・」
また言い負かされてしまった。居心地が悪い。とてつもなく悪い。 - 72二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:52:19
「別の世界から来たと言うあなたが、何故私達のことを知っているのか気になりますが・・・これ以上の詮索はしないで起きましょうか」
ホッ
「今日のところは♡」
「ハナコ!お前!完全に弄んでるだろ!」
「うふふ、突然ハーレムなどと叫びだす不審者が友達の周りにいたら怖いじゃないですか。コハルちゃん、泣いていましたよ」
「うっ・・・本当にすみません、コハルに何かするつもりはないです」
「いざとなれば、あなたが行く先々で出会う女の子に叫んでいた内容をばらします」
「やめて!やめろ!本当にやめて!」
「うふふ、冗談です♡」
「嘘つけ!顔に本気って書いてあるぞ!」
この人、やるかやらないかで言えば絶対やる。いろいろと見透かされていく気分で、心臓に悪い。振り回されて段々と疲れてきた。それに気づいてかハナコの方から話を切り上げてくる。 - 73二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:52:43
「最後に、あなたが迷い込んだという路地の場所を教えてくれませんか?」
「いいけど・・・まだ俺のいた世界まで繋がってるかわからないぞ」
「構いません。あの辺りは学生の居住区ですから防犯カメラが多いんです。これ程扱いやすいあなたが、住宅街に着くまでカメラに映らないとは思えませんし、調べる価値はあると思います」
ハナコに路地の場所を伝えると、冷や汗の止まらない時間は終わりを迎え、ハナコは病室を出ていく。部屋は静まり返る。、少しばかり早い鼓動、手汗を感じる。呼吸を整えて今後のことを思いふける。不安と期待、入り交じった感情が湧くが、怪我が治るまでできることはないだろう。そして、冷静になってハナコの姿を思い返す。
・・・おっきかった。 - 74二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 13:07:52
新作だ!ハナコやっぱ強いね…詰められたら絶対負けるしかねえよ…
- 75二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 17:56:41
大作きてるのに人がいないのが悲しい…
- 76二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 21:05:54
朝は8時頃から!!夜8時すぎまで!!仕事なんじゃ!!!!
それはそれとしてハナコやっぱり強いな…… - 77二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 23:23:22
ほ
- 78二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 09:09:13
保守
- 79二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 17:30:53
ほっしゅ
- 80二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:02:12
- 81二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:14:36
いいよ……
- 82二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 09:07:36
Aです。私事ですがパソコンを買い替えた為にテレグラフのまとめの更新が出来なくなりました
また新しいまとめを作って、ついでに一部の話を加筆修正しようと思っています - 83二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 14:16:08
- 84二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 15:05:16
ケホッ・・・ケホッ・・・コハルよ。38の熱と咳と痰でひどい目に合ってるわ。・・・でも、せっかくのクリスマスだから夜に没世界線の話を投稿するわね・・・実はね・・・もともとエデン前の話を書くつもりだったの。だから、結構書き溜まってるのよ・・・メモ帳の奥底に眠ってるくらいなら投稿するわ。
私はこれから救護騎士団のところにいってくるわ・・・ケホッ・・・先生も気をつけるのよ・・・じゃあね。 - 85二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:31:47
コハルの横線
イチカと会った時からの分岐よ……
見分けやすいように・を…にしといたわ。
この病床に根っこをを張ってから数週間。激痛に悶え、少女に看病をされたり物珍しさにやって来る少女たちと過ごす日々は、地獄の痛みと一瞬の幸福であった。
……そして、たまにコハルが顔を見せてくるようになった。毎回、ムツキ程度にからかって遊んでいると少しずつ、いつもの調子を取り戻していった。
イチカはとても忙しいらしくアレ以降二回しか会っていない。なんでも連邦生徒会長失踪の混乱の対応に追われていたり、数日前は紅茶漬けのホストがいきなり砲兵隊を他自治区に送り込んだことに騒ぎ立てる生徒を宥めたり大変らしい。
先生以上に脆い男子高校生の扱いは決めあぐねているようで……正実の足枷になると考えたのか、報告を受けたティーパーティーは「正義実現委員会の方で引き取ってください」の一言で済ませたらしい。おい、ナギサ。最終的に「退院したら考える」と問題を先送りにしたと困り顔で教えてくれた。
そして現在、コハルの勉強を手伝っている。
「ちょっとまて、俺の教科書より難しくないか?」
「と、当然よ!トリニティは三大校の一つで、私はエリートなんだから!あんたみたいなサルと違って頭の出来が違うわ!」
ありふれた高校に通っていた俺の教科書と比べると内容が難しい。 - 86二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:32:18
「……ほーん、じゃあこの問題解いてみ」
俺の数学の教科書にある応用問題を指さす。
「うえ!?バ、バカにしないで!!これくらい簡単よ!…………ううっ」
そう言って唸りながら解いている。……が、途中式から既に間違っている。
「………………勉強しようか」
そして勉強会となったのである。ここで点数を稼いでおけば補習授業部が楽になるだろう。
……とはいえ、分かってはいたが、かなりひどい。キヴォトスに来る前にやっていた範囲……の数ページ前を唸りながら解いている。よく入学できたなこいつ。
教科書の落書きにコハルがピーピー騒いだり、隙を見てコハルの押収品()を抜き取って、言い訳を眺めたりして時間が過ぎていった。
「そろそろ私は帰るわ。あんたと違って私は忙しいの」
教科書、筆記用具、ノートを片付けて「じゃあね」と病室を出ていく。
「……あ、そうだ、コハル……前から気になってたんだけど……その黒い線は何?」
コハルの顔がみるみる꒰𑁬(⸝⸝ↀᯅↀ⸝⸝)໒꒱になっていく。
「 ──ッ!?!!?お、お、お、お女の子に身体のこと聞くなんて信じらんない!!!変態!!バカ!!最低!!あんたにデリカシーってものはないの!!!お、お男っていつもそうなの!?!!女の子のことなんだと思ってるわけ!!!」
「信じらんない信じらんない信じらんない」と呟きながら出ていってしまう。かと思えば扉から顔を出し、べーっと舌をだして勢いよく扉を閉める。次はその線がどこまで続いているのかを聞こう。 - 87二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:32:51
そして更に時間が過ぎた。まだ違和感が残るものの退院となる。看病してくれた少女にすごく心配されるが、ずっと病院にいるわけにもいかない。退院が決まったときイチカは『やっべ』と笑顔のまま顔を青くしていた。本当に何も考えていなかったようで、準備もしていなかったみたい。「護衛つけるんで、退院祝いにどっか遊んでいてください」と足早に帰っていった。なんかごめん。
そんな護衛に立候補したのがコハル。
「コハルー!俺のことがそんなに好きなのかー?」
「あ・ん・た・が!変なことしないかの監視よ!突然奇声をあげる不審者は見張っておかなきゃ駄目でしょ!!少しでもおかしな事したら即刻牢屋に入れてあげるんだから!」
中身の無い会話をしながらコハルにトリニティの中を案内してもらうことになった。もちろん比較的安全な場所を……
街中を歩けば道行く女子生徒の視線が刺さってこそばゆい。しかし、話しかけてくる生徒はいない。
(ふっ……ハーレムへの道はまだまだ先だな……)
とバカみたいなことを考えているとコハルからジト目を向けられる。なんで分かるんだよ。きっしょ。
「モテ期がきたな」
「バカなの?あんたに向けられてるのは連行されるサルを見る目よ」
「俺は珍生物か何かか!?」
「ふふっ、いい勝負じゃん。檻に入れて踊らせたら女の子も集まってくるじゃない?」
「笑いものじゃねーか!絶対それ憐れみとかゴミを見る目じゃん!!」 - 88二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:33:18
騒ぎ立てながら商店街を見て回る。レンガ舗装の道路、白い建物、ショーウィンドウには可愛らしいワンピースや如何にも高級な香水などが並んでいる。どれも女物で高級品ばかりである。なんでもここはブランド物が多い区画なのだとか……
「キ、キラキラして落ち着かないぜ……」
「し、仕方ないでしょ……最近銃撃戦が増えてるんだから……ショッピングモールの方も時々弾丸飛んでくるし……公園とかもたまに地雷が埋まってるし……」
「なにそれこわい……」
「と、とにかく!こういうとこじゃないと、安全な場所って殆どないわよ!」
ティーセット、バッグ、万年筆、画材、楽器、そんなお店が並ぶ中、ある店の前で足を止める。ショーウィンドウの中にはボルトアクションライフルが並んでいる。玩具のように見えてしまうがどれも実銃だろう。
……こんな物を見てしまったら入らずにはいられない。日本では見る機会の殆どないガンショップ。興奮しないわけがない。 - 89二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:33:44
並べられているのはどれもボルトアクションライフルで、金の装飾が施されていたりと、雰囲気に少し気圧される。規模は小さくなるが、アサルトライフルやサブマシンガンのスペースもある。中にはおもしろい物もあった。トリニティの白黒手榴弾。ポップには『十字をクルッと回して投げるだけ☆』と書いてある。……いや、そんな簡単でしょ?みたいに書かれても……
そんな感じに目を輝かせて眺めていると、クイックイッと袖を引かれる。
「ふふ、あんたにはアレが似合うんじゃない?」
コハルが指を指す先にあるのはハンドガンのコーナー……の一番奥の小型拳銃が展示されているガラスケース。
「デリンジャー……もしかしてバカにされてる?俺のデリンジャーが火を噴くぜ、とかダサすぎん?」
「違うわよ。その一段上」
そこには親指サイズの拳銃があった。これを渡された日には玩具だと勘違いする大きさである。
「こいつ、完全に舐め腐ってやがる……」
「あははっ、そもそも、あんた買えるだけのお金ないでしょ」
「うぐ、でも、せっかくキヴォトスに来たんだし撃ってみたいんだぜ……OKコハル何か良い方法を教えて」
「わ、私を何だと思ってるのよ……たぶん正義実現委員会の備品なら貸し出せると思うけど……あんたが銃持ったところで戦力にならないでしょ。一発撃たれただけで致命傷なんだから……それに、明後日の方向にしか飛ばないならな持つだけ無駄じゃない?」
「ふっ、この俺を舐めるな……いざとなれば、こう銃身あたりを両手で握って……思いっきり振りかぶる!」
「銃を何だと思ってるのよ!?やっぱり貸し出すのなし!!怒られるの私なんだから!!」 - 90二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:34:14
店を出て再び街を散策する。青空の下を並んで歩く。噴水のある広場が見えてくる。……奥の方にクレープのキッチンカーが停まっている。こういうのを見ると段々小腹が空いてくる。近づいてメニューを見てみると……たっか……さすがはトリニティ、普段見かける値段の倍はあった。さて、手持ちの所持金はいくらだっただろうか?…………撃たれたときにできた穴の空いている財布に赤い紙切れ。
「スッ……血で真っ赤に染まった万札を取り出す」
「やめなさいよ。いきなりそんなもの出されたら恐怖以外の何ものでもないでしょ」
「…………いたたた。(チラッ)あー、コハルに撃たれた傷がいたいわー(チラッ)」
イラッ…………ベシッ
「い゛ってええぇ!!ざけんな!まだ痛むんだぞ!!」
「あははっ!いい気味ね!いいわ、その悲鳴に免じて今回だけは奢ってあげる」
噴水の近くのベンチにコハルと並んで座る。
日本にいた頃に想像できただろうか……ヨーロッパの様な美しい町中で、数ヶ月前まで手元で時間を注ぎ込んできたゲームのキャラの女の子と並んでクレープを食べる。海外旅行とは微妙違う不思議な感覚になる。異世界に転移するキャラもこんな気分になるのだろうか?
そんな感じに、ぼーっと食べている俺とは対照的にコハルはほっぺにクリームをつけながら美味しそうにクレープを頬張る。手に付いたチョコレートを舐める仕草、パサパサと動く頭の羽が、コハルがすぐ隣にいると実感させる。
本当にブルーアーカイブの世界に来たんだなと、クレープを食べながら思いふける。道行く人たちを見ながら贅沢な時間を過ごす。じゃれ合ってる2人のトリニティ生、カフェから出ていくスーツのロボット、優雅に談笑するティーパーティーの生徒たち。銃やら羽やらロボットを除けばありふれた平和な光景である。 - 91二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:35:30
……少し奥の方、見慣れない制服の少女が気になって目で追ってしまう。綺麗な金髪のロングヘア、少しつまらなそうな表情の美少女。白と黒を基調とした制服。セーラー服が多いトリニティでは少しばかり目立つが浮くほどでない。背負っているアサルトライフルは塗装はなく真っ黒で装飾付いていない。…………はて?こんな生徒、ネームドでいただろうか?モブやPVも思い起こしてみるが出てこない。でも、何か違和感を感じる。名前が出そうで出ない、喉に突っかかる言葉……
そんな不躾な視線を送っていると、答えは直にわかることになった。その少女は角を曲がり人気のない道に進む。さらに薄暗い路地裏に入って行く。少女が視界から消えようとした瞬間、少女は懐からガスマスクを取り出した。
……!?トリニティでガスマスクを着ける少女……その正体を知っている。退院する少し前、当番だったという名前も知らない少女が先生はミレニアムに行ってしまって、かまってもらえなかったとボヤいていた。エデン条約編は始まっていない。……足は少女を追いかけていた。
「……?ちょ、ちょっと!どこいくのよ!?そっちは不良が多いから危ないわよ!…………あー!もう!待っててば!」
路地裏に入って少女の後を追う。背中からコハルの制止する声が響く。
「ね、ねえ。いきなりどうしたのよ。このあたりはあんまり安全じゃないから、大通りの方にもどろ?」
道なりに進んでいくとトリニティにしては古びている建物が見えてきた。
先ほどの少女が同じ制服、同じガスマスクを着けた2人の少女と入口で話ている。コハルと一緒に物陰から様子を窺う。
「本当に何なのよ…………ねえ、あの子たち、何者なの?」
「たぶん悪いやつ…………まずい、こっち来る、隠れて」
コハルを押し込めて、息を殺す。 - 92二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:36:01
「……スパイの情報通りだ。警備の巡回コースと人数には規則性がある。」
「一度情報を持ち帰りますか?」
「ああ、だが引き続き監視として2人残す。その後は……」
すぐ真横を通り過ぎていく。話し声もだんだんと遠くなっていき、どっと息を吐く。
「ほんと何なのよ……あの子たち。スパイだとか、監視だとか……」
「コハル、行こう」
「ち、ちょっと!戻らないの?私たちじゃ手に負えないわよ!」
「今引き返したら鉢合わせるかもしれないじゃん!」
そうして2人で建物の中に入っていく。屋内は古いのか床が軋んだり、壁には汚れなどが付いていたが、意外にも綺麗に使っているようだった。扉もいくつかあり、奥の方に階段も見える。しかしそれ以上に目立つのが部屋の真ん中にある机だった。
机の上には色んなものが置いてあった。双眼鏡やワイヤー、デジタル腕時計、無骨な単眼鏡はナイトビジョンだろうか。そして、手描きで描かれたどこかの施設の見取り図と、時間と場所と人数が記録された表が3、4枚……紙の上から下までびっしりと書き込まれている。先ほどでここにいたのか、カップからは湯気がまだ立っている。
部屋隅には無造作に武器が置いてあり、銃がいくつか立てかけてある。ゲームで見たことのあるような四角い形の箱、クレイモアだろうか。手榴弾や弾薬ケースが置いてある。そして、ガンケースの上にハンドガンと古い携帯のような機器から伸びる配線と…………爆弾。映画やゲームでしか見たことのない光景が広がっていた。バクバクと心臓の鼓動が速くなる。これらはすべて本物だろう。先ほどのキラキラした世界が夢のように感じる光景。こんな急激な温度差に思考が狭まっていく。キヴォトスとは弾丸の飛び交う危険な都市で、その上に学園モノという青春が乗っかっている歪な世界だということが嫌でも感じてしまう。 - 93二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:36:23
さらに奥の扉を開けた瞬間、銃声とは違う爆竹の様な火薬の音。パパパッとけたたましい轟音が響き渡る。………………!?!?突然の爆音に頭が真っ白になる。これからどうすれば良いのか、どうやって切り抜けるか……そんな思考は一瞬で霧散する。代わりにアズサが合宿で着いて早々爆弾やトラップを設置するシーンがフラッシュバックした。アリウスのゲリラ戦技術、日本で普通の高校生だった素人に対処できるはずはなかった。
建物の外から「侵入者だ!」と駆け足が近づいてくる。
突然の爆発音にコハルは肩をビックっとさせ、袖を引っ張ってくる。
「ね、ねぇ!どっ、どうするの!?来ちゃうわよ!!ねえってば!!」
入口の方はきっとすぐに塞がれてしまうだろう。コハルの手を引っ張って上への階段に向かう。塞がったばかりの傷口が階段に足を着けるたびに痛む。
「こ、このまま上がっていったら、逃げ場がなくなっちゃうんじゃないの!?」
たしかに……入口を抑えられていて、すぐに上がってくるだろう。でも、FPS以上の戦闘経験のないただの一般人には、この命の危機にどう対処すれば良いのかわからず、逃げる事しかできなかった。
二階に上がる。それでも解決策は見つからない。きっとコハルだけでは負けてしまうだろう。……これがゲームなら鍛え上げたレベルの高い生徒が数秒足らずでアリウス生徒のHPを0にするのに。………………レベルの高い生徒。
「ねえ!コハル!助けを呼ぼう!!」
「うぇ!?……だ、で、でもどうやって!??」
「モモトークで!」
「あ、う、でも、そ、そんな暇ある?」
コハルの手を引っ張って個室に入る。 - 94二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:36:59
「スマホ貸して!」
コハルから奪うようにスマホを貰うと、ホーム画面をスワイプしてアプリを探す。コハルはドアから顔と銃を出して階段の方に向ける。……ホーム画面の背景は恥ずかしがるコハルと正義実現委員会のある生徒とのツーショットだった。
瞬間、隣からとてつもなく大きな破裂音が響き渡る。耳がキーンとする。…………見慣れないアイコンばかりのスマホからモモトークを探す。初めて見るスマホの仕様に焦っていると、コハルの銃声と同じくらい大きな銃声が連続で鳴り響く。初めて聞く連射音。これ程大きな音は今まで聞いたことがなかった。モモトークを見つけて開くと目当ての名前が一番上に表示される。
轟音がけたたましく鳴り響くのに、コハルの銃の排莢する金属の擦れる音が聞こえる。手を伸ばせばコハルの背中に触れられる……そんな距離で銃撃戦が繰り広げられている。一発でも当たれば脆いこの体は血を流して死ぬだろう。手が勝手に震えて文字が上手く打てない。
銃弾が近くを掠めてヒュンと音を立てる。部屋の中の何かに当たって、木片が飛ぶ。そこに頭があれば即死する。心底震え上がりながら文字を間違えては消し、場所と助けての言葉を送信する。
「──いっ………………ね、ねえ、弾がなくなりそう……」
コハルの言葉に軽くパニックになる。考えろ!考えろ!何か状況を打開する方法は……?
何か使える物は?何か持ってきてる物は?……コハルの後ろ姿……コハルのカバン…………コハルのEX…………コハルの手榴弾…………使い方は簡単、十字をクルッと回して投げるだけ…………
カバンに近づいて開ける。直に見つかる大きな手榴弾。大きさにしてはずっしりとくる金属の塊。この十字の部分をクルッと回して…………投げる! - 95二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:38:29
廊下の壁に跳ね返ってアリウスの方に転がっていく。
「!?……グレネードだ!下がれ!」
同時に銃声以上の轟音と衝撃波が発生する。空気が震える。至近距離での爆発に足がすくむ。けれど、迷っている暇はない。コハルの腕を掴んで、三階への階段に駆け出す。うえっとコハルの声がするけど、きちんと付いてきてる。きっと手が震えまくってるのはバレてる。
これからどうする?どこまで逃げる?どこで追い詰められる?考えながら力の入らない体で階段を上がる。足がとても重い。腕に力が入らず、手のひらはコハルの腕の感覚だけを伝える。
最後の一段を踏み越え、三階に到達した瞬間、足を何かに引っ掛けて転ぶ。…………それと同時にカチンッと音を立てて、黒い卵型の物体が目の前に転がってくる。先ほど投げた物より現実味のある物。
(ワイヤートラップ!?…………まずい!死ぬ…………)
死を覚悟したとき、コハルが前に出て手榴弾の上に覆い被さる。
「うぐっ………………うぅ……………」
コハルはピクリとも動かなくなり、気絶してしまう。ガチャガチャと音をたてコハルの銃が床に落ちる。…………コハルのおかげで助かったけれど、無情にも階段を上がってくるアリウスの生徒の足音が近づいてくる。どうすればいい?頭はまったく解答を出さなかったが、手は勝手にコハルの小銃に伸びていた。
小銃を構える…………先ほどガンショップでふざけていたように、両手で銃身を握って、バットのように…………
角待ちショットガンならぬ角待ちバットである。アリウスの生徒の銃口が見えた瞬間、思いっきり振りかぶった。コハルの小銃はアリウスの生徒の顔面、ガスマスクに命中し、後続を巻き込んで転げ落ちる。
迷っている暇はない。コハルを回収して、階段を駆け下りる。アリウスの生徒を踏みつけて外を目指す。「ぐぇ………」と足下のうめき声にごめん、と思いつつも外を目指す。 - 96二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:38:51
たった数分間で付けられた弾丸の後の横を通り過ぎていく。後の方から「追いかけろ!」の声と足音が聞こえる。玄関を出て日の当たる場所へ走る。背後からパパパッと銃声が響く。隣を通り過ぎる弾丸に恐怖しながら足を動かす。
…………ふくらはぎあたりにドンと殴られた様な感覚がした。思いっきり転ぶ。ドクドクと打つ脈動と熱さ、鋭い痛みを感じる。まずい……
カツカツと近づいてくるのがわかる。ガスマスクの少女たちは銃口を向けながら冷淡な、けれども可愛らしい声で話す。
「入り込んだネズミはこれだけか?…………まったく、面倒を掛けやがって。勝手の効く拠点だったが放棄しなきゃいけなくなった」
「この二人はどうしますか?」
「男の方は……ヘイローを持っていないな…………殺せ。正義実現委員会の方は連れていって尋問するとしよう」
冗談じゃない……!こんなところで殺されるなんて堪ったもんじゃない!
しかし、無情にもこの病み上がりの体は言うことを聞かない。下っ端の少女が拳銃を取り出し銃口を頭に向ける。やばい……死ぬ……
「そこで何をしているのですか?」 - 97二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:39:17
知っている声、とても頼れる生徒の声がする。目を向けると黒いセーラー服、黒いロングヘアー、高身長の美女。そしてとてもおっきい、むn、羽!
ハスミは倒れている俺とコハルを見ると、顔をしかめる。
「……事情を聞くために、貴方がたを拘束させていただきます」
「…………撤退するぞ」
アリウスの生徒はスモールグレネードを転がす。そのまま建物の方に向かって駆け込んでいく。
「──ッ!待ちなさい!」
ハスミは発砲し追いかける。アリウスの生徒が建物の中に入る瞬間、こちらの方をチラッと見てきたような気がする。……たしか建物の中にあったのは、武器に、地図に、表と……
「待って!ハスミ!中にはばくだ…」
「──!?」
ハスミが飛び退こうとした瞬間、一瞬光、大爆発した…… - 98二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:39:40
そして、再び病院に連れ戻されたのであった。救急車で搬送されたとき、いつも看病してくれた少女はムンクの叫びのような顔をしていたそうな。目が覚めたとき、少女は半泣きで説教をしてきた。話を聞きつけたイチカは慌てて病院に来て、「無茶しすぎっす……」とあきれていた。
一番頑張ったコハルは擦り傷や火傷があった程度で、次の日には目を覚まし動けるようになっていた。流石キヴォトス人。
ハスミはあの爆発をもろに喰らって、かなりの重傷らしい。動けるようになるのはまだまだ先のことである。
そんな病院にコハルの可愛らしい絶叫が響いた。ドタドタと走ってくると、バンッと扉を開け放った。俺の顔を見るなり、キッと睨みつけ、目尻に涙目を浮かべながら近づいてくる。
「あ、あ、あ、あんた!!!私の銃壊したわね!!」
そういえば、思いっきり振り回したなと思い出す。
「あー…………えへへ、ごめんね☆」
「何がごめんよ!!気持ち悪いのよ!!…………ううっ…………ぐすっ……ホントになんてことしてくれるのよ…………フレーム歪んで……動作系も全部こわれて…………買い換えた方が良いって…………うぅ」
コハルが崩れ落ちる。流石に可哀想になってくる。どうにか慰めようと言葉を掛けるが逆効果になる。
「えーっと、その、そんな日もあるさ?」
「そもそも!!!あんたが!!あんな場所に行かなければ!!こんなことにならなかったでしょ!!」
「うぐっ……それは……その……本当にご迷惑おかけしました……」
コハルの叫び声が響いて、撃たれた足に激痛が走る。きっと下手に首を突っ込んだ罰なのだろう。……今度、エロ本でも……差し入れるか……
そうして痛みに意識を持っていかれるのであった。 - 99二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:40:13
昼下がりのティータイム、最近は忙しく余り時間を取れていなかったから、落ち着いた一時は疲れを取れる癒しの時間である。そんな時間に側近の一人が近づいてくる。ティータイムの時はよほどのことが無ければ近づかないよいに人払いをしている。……よほどに該当することが起きたのだろう。資料を手渡すと耳打ちで報告する。
「ナギサ様…………………………………………」
「おや?………………ハスミさんが?……………………そうですか」
さて、どうしましょうか?……内心の動揺を隠しながら紅茶を啜る。悩ませる問題が持ち込まれた。何者かが警備の内情を探っている。…………正直に言ってしまえば怖い。とても恐ろしい報告である。それはつまりは、誰かが確実にトリニティを狙っているということ。その標的は………………
ハスミさん……確かにゲヘナ嫌いの彼女を遠ざけておきたかった。しかし、負傷し動けなくなるのは想定外である。今の忙しい時期に正義実現委員会の戦力が落ちることは良くない。
必要以上の牽制は行わない方が良いですね……
ナギサは手元の資料に目を向けた。 - 100二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 08:55:24
ほ
- 101二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 10:30:08
物語が……大きく動く……!!!
- 102二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 18:54:59
またも大作が!素敵だ
- 103二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 22:29:14
喜びの保守
- 104二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 07:58:56
このまましれっとエデン前時間軸で進めてもいいのよ?
- 105二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 18:16:48
コハルとはいいコンビになりそうだ
- 106二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 21:26:36
うわぁん!誤字ってます!
尻目に涙目→目に涙
近づかないよいに→近づかないように
他にないよね……
目尻に目付いてたらバケモノなんよ。
頭痛と発熱で頭まわらんかったから赦して……
望むなら続き書くよ……挙動が全く読めないけど…… - 107二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 23:01:58
書いて♡
- 108二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 03:25:49
ん、爆発の人が「お茶を濁そうと思って本編と関係ない小話作ろうとしたけど短すぎる気がしたから無理やり本編をくっつける」って言ってた。
それと「ネームド生徒なら共通認識があるし話弾むよなぁ」って言いながら遠いとこ見てた。 - 109二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 04:45:50
- 110二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 14:07:33
- 111二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 18:36:32
気合い入ってそうだから期待してるぜ
- 112二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 22:23:17
ゆっくり待ってますよのほ
- 113二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:13:18
このレスは削除されています
- 114二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:13:46
このレスは削除されています
- 115二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 10:14:16
このレスは削除されています
- 116二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 13:22:54
うわぁん!しれっと書きます!
リハビリのおかげで少しずつ歩けるようになったころ、病院の中で噂が広がっていた。なんでもシャーレの先生がトリニティに来るとか、もう来てるだとか……そんな噂がちらほらと耳に入る。
すると自然に先生の話題が増えてくる。足を舐められるだの、匂いを吸われるだの、当番に行った生徒が「そんなふうには見えなかった」と否定したり、街で見かけたとか、話しかけたとか……そんな話に花を咲かせていた。
そして、コハルが見舞いにくる頻度が少なくなってきた。なんでも上の方から警備を厳重にしろだの、もっと捜索範囲を広げろだの命じられて大忙しなのだとか。押収品の管理として奥に押し込められてるコハルですら、たまに引っ張りだされて調査にまわされているらしい。…………ナギちゃん。
段々と賑わい始めるトリニティとは裏腹に、俺は病院の中庭で呑気にぼんやりと口を開けてアホ面を太陽に向け光合成をしていた。いい感じにデンプンと酸素が作れてきたなと頭が悪そうなことを考えていると、コハルがげっそりとした顔でやってきて覗き込んでくる。
「はあ……そんなバカみたいな顔してたらモテないわよ」
直にキリッした顔にする。コハルはいつもと違う赤いアサルトライフルを背負っている。
「…………昼間、あんたの親戚みたいなのを捕まえたわよ……」
直に誰なのかピンとくる。きっとピンク色で突然下ネタを言い出すに違いない。
「生徒のたくさんいる広場で、水着で歩きまわってたのよ!学校指定だからいいとか開放的だとか、わけわかんないことばっか言って……ほんっとバカじゃないの!」
やはり、ハナコか……というか…………
「……いや!そんなのと親戚扱いするな!」
「一緒でしょ!通学路でえっちなこと叫んでたの忘れたとは言わせないわよ!…………はあ、どうして私の周りには変態しかいないのよ……」
「ふっ、ときとして孤独はひとを狂気へいざなうのだよ。コハルもいずれこっち側に来れるよ」
「行くわけないでしょ!!そんなとこ!!ほんとバカばっかり!!!」 - 117二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 13:23:23
そんな感じに中庭でじゃれ合ってると背後から声が掛かる。
「あのー、すみません。正義実現委員会の方ですか?」
「何よ!…………あぅ……」
そこにはペロロのリュックを背負った普通の生徒、阿慈谷ヒフミと俺よりも年上の男性がいた。シャーレのマークの入ったカードホルダーが首に掛かっている。この人がシャーレの先生か!アニメ先生に近い爽やか系の若い先生である。
突然知らない人に話しかけられたコハルは俺を盾にして隠れてしまう。可愛いかよ。
「えっと、探してる方がいまして…………正義実現委員会の羽川ハスミさんがこの病院にいると聞いたのですが……」
「なっ…………は、ハスミ先輩に何のようよ!」
「その、実は……正義実現委員会の牢屋に閉じ込められている方を出さなくてはいけなくなったのですが……担当の方に、自分では判断できないので許可を取るように言われてしまって……」
「それって……」
「水着徘徊する変態のことだな」
「んなっ!…………そんなの外に出せるわけないじゃん!また水着で歩き回ったらどうするのよ!そんなの絶対ダメ!ダメに決まってるでしょ!?」
「とかいって〜意外に気が合うんじゃなぁい?」
「そんなわけないでしょ!!変なことする変態はあんただけで十分よ!!…………そもそもなんであんなの外に出さなきゃいけないわけ!??」
「あはは、その……」 - 118二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 13:23:48
ヒフミと先生は補習授業部のことを話す。
「あははっ!つまりバカの集まりってことね!そこに変態だなんて救えない連中ね!いい気味だわ!そんなとこに放り込まれるなんて、私なら恥ずかしくて二度と学校に通えなくなるわ!!」
やはり盛大なフラグを立てるのかコハル……
「……哀れコハル、そのまま補習授業部に放り込まれるのであった……」
「はあ!?……また私のことバカにして……私昨日追試で合格したし!そんなとこ入るわけないでしょ!!」
なん……だと…………俺のデータに……ってデータキャラやってる場合じゃねぇ。嘘だよなコハル?
先生の方を見ると……
"名簿にはないね"
what?…………ぇ?
「え?コハルだよ?正義実現委員会の……」
「あはは、えっと、そういう話は聞いていませんが……」
「あんた、ほんっっと失礼ね!私はエリートなんだからこれくらい当然よ!まったく…………ハスミ先輩なら二階の奥の部屋にいるわ!精々努力することね!」
………………………………ゑ? - 119二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 21:05:59
おっとぉ!?
- 120二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 23:56:01
ほ
- 121二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 03:07:00
バタフライエフェクトがどう作用するのか…扱いきれるのかこのパターンは
- 122二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 11:40:45
これからにも期待
- 123二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 20:41:06
落としはせんよ
- 124二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 00:55:48
正直、今後の展開どころかそれぞれの挙動すらまったく読めないけど、この物語は行けるところまで参ります……ストーリー読み込まなきゃ……
- 125二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 06:42:16
やってみせろよマフティー!
- 126二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 13:25:13
補習授業部って全員が強烈に相互作用してるからコハルがいないとどうなるのやら…
- 127二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 22:24:07
補習授業部ってやっぱりあのメンバーじゃないと何となく成立しない感はある、全員キャラ強烈だし
- 128二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 01:19:44
- 129二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 06:53:11
不謹慎ながらもワクワクしちゃうのが子供っぽさを演出していてむしろ健全といえる
- 130二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 17:51:17
- 131二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 18:48:17
- 132二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 22:06:26
あ、Aです。ようやく新たなまとめついでの加筆修正を始めたところです。流れ自体は何一つ変わりませんが、なんかもう主人公のいた日常がまたキヴォトスとは別ベクトルのドタバタ系になっちゃったので目が覚めてからの反応は完全に別物になります
ついでにヒロインちゃんが主人公や友人ちゃんと比べるとだいぶキャラが薄味なことに気が付いてしまって、どうやってテコ入れしようかと悩んでます - 133二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 22:37:46
お、進んでるようで何よりじゃ……
待ってる - 134二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 06:39:38
素直系ヒロインは逆に動かしづらいところがあるから難しいよな…
- 135二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 12:12:42
まあキヴォトス(というか先生サイドの)とは別ベクトルになってもいいんじゃないかな……これもまた青春ってことで……
- 136二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 20:28:39
先生とヒフミの背中を見送ると、思考停止した耳にコハルの声が入ってくる……入ってくるけど、今起きた出来事に引っ張られて意味を理解できない。代わりに連邦生徒会長の幻聴が聞こえる。
(おまえのミスでした。何しやがるんですかこの野郎。さっさと修正しといてください)
いや、まさかこんな事になるとはおもわ…
「…………っと!……ちょっと!聞いてるの!!」
「ハッ!…………コハルが補習授業部に入らないとかいう夢を見てた」
「殴っていい?」
「やめて!」
なるほど……現実か…………現実かぁ - 137二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 20:29:14
「はあ、あんたといると疲れるわ…………今日はあんたに渡したい物があって来たのよ、感謝しなさい」
「お、ついにデレた?」
「殴るわよ」
コハルは背負っているアサルトライフルを渡してくる。
「あれ?コハルの新しい銃じゃなかったのか?」
コハルはキッと軽く睨みつける。
「はあ、私のは修理中よ…………それ正義実現委員会の備品だから壊さないでよね」
「やったぜ!コハル愛してる!」
「なっ!…………バ、バカじゃないの!!変なこと言うな!!バーカ!」
プルプル震えてるコハルの横で、渡された銃をペタペタ触る。後の方にマガジンのある、正実モブのアサルトライフルである。かなりずっしりとくる金属の物体。プラスチックのおもちゃの銃とは全然違う、ひんやりとした感覚が実銃だということを伝えてくる。これを渡されてテンションの上がらない男はいない。
コハルのことを忘れかけるほど熱中していると、コハルが睨みつけながら紙の束を押しつけてくる。
「なにこれ……取扱説明書?…………てかこれ、埃かぶってない?」
「当然でしょ、こんなの誰も読まないから…………でもあんたは別」
「……ねぇ、もっと綺麗なのはなかったの?」
「あったわ、でも一番奥のやつ引っ張ってきた」 - 138二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 20:29:40
コハルは笑顔でそう言った。…………こいつ。でも、たしかに初めて銃を持つならきちんと読み込んどかないとまずい。
「ん?……って…………これ弾入ってなくね?」
「そうよ、だって弾持ってきてないもん」
「なんで持ってきてないんだよ!」
「だって変な使い方されたら危ないじゃない……扱えるようになるまで弾はあげないわよ」
「……これじゃただ重いだけの飾りじゃねーか」
がっくりとうなだれる。
……………………両手で銃身を握る。
「次それやったら弁償してもらうから」
「ごめんなさい」 - 139二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 21:14:23
どうなるか楽しみだ
- 140二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 22:19:03
銃器の禁止事項である「銃身を握る」で警告が入るのはやっぱり銃社会
- 141二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 07:57:47
マジでコハルいない補習授業部どうなるんだ?正実の人質はどうなるんだ?
さあ腕の見せ所だ(○○がいない系の二次創作の屍の群れを眺めながら) - 142二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 08:05:21
やっぱりちゃんと練り込まれたストーリーで〇〇がいないってのは進行上難しいよね……
- 143二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 17:55:50
ゆうほ
- 144二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:19:22
よるほ
- 145二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 10:09:11
気軽に地獄をはじめてしまったかもしれない。
正実の人質は消えました。ゲヘナ嫌いのハスミがいなくなったので人質を取る理由のほとんどが消えて、落ちた戦力の穴を埋めるためにフル稼働してる正実の動きを制限するような人質を取る余裕ないんじゃないかと思ってる。ナギサが何かするとしても監視を派遣するくらいじゃないかな。
ヒフミとアズサは通常運転しそうだけど、おもちゃをとられたハナコが何を思うか……
最悪ナギサや先生に、もう頼れるのは……ってする方法もあるけど、警戒してるティーパーティーに近づくのは難しいし、合宿はアズサのトラップが多すぎて下手に侵入すると死ぬ。どうしたものか………… - 146二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 14:48:19
- 147二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:18:11
- 148二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 06:58:13
ほ
- 149二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 17:43:44
し
- 150二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 21:36:22
数日後、二度目の退院となる。いつも看病してくれた少女はとても、本当にとても心配してくる。一度やらかしている以上、大丈夫大丈夫……と軽く流すことができず、「危険な所に行かない」とか「銃声が聞こえたら逃げて」だとか色々言われることになった。
極め付けに、あまりゴテゴテしていない防弾チョッキと赤い十字の入ったポーチを押し付けてきた。中には止血帯やら緊急用バンテージだとか鎮痛剤とかが入っているとか……ありがたいので貰っておくけど……たぶん、忠告虚しくすぐに使うことになって、またこの病院に戻ってきそうな予感がする。
防弾チョッキと医療品のポーチを持ってる姿をコハルにからかわれながら病院を出る。イチカに学校へ連れて来るように言われているらしく、案内されながら街を歩くことになった。物珍しいものはないかと視線を動かし、歩調が遅くなってくるとコハルに腕を引っ張られる。
「今日はまっすぐ連れて来るように言われてるんだから、よそ見はダメよ」
「少しくらいよくない?」
「よくない!……いい、変な人を見かけてもついて行かない、人気のない場所に行かない、わかった?」
「ねえ、バカにしてない?それ子供に言い聞かせることだよな」
「バカにしてるに決まってるじゃない!今日のあんたは連行されるサルよ」
……ぐぬぬ、とコハルに不満の視線を送っていると、周りの生徒からクスクスと笑われてるのに気づく。俺もコハルも恥ずかしさが込み上げてきて、足早に逃げ出す。 - 151二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 21:36:55
豪華な装飾の校門が見えてくる。大きな金属製の校章が付けられている校門を通り校内に入る。流石はトリニティ、城とか宮殿みたいな立派な建物が目の前に現れる。空色の屋根に真っ白な壁、大きな噴水。ありふれた高校に通っていた、普通の高校生を圧倒するには十分な景色である。街ではちらほらとしかいなかった生徒達も校内に入れば、見渡すかぎりに十数人の女の子がいる。病院で慣れてきたと思っていたが、とても落ち着かない。
コハルに引っ張られながら正面の立派な建物に入る……ことはなく、その横の道を進む。タイル舗装され、手入れの行き届いた植物が植えられている。奥の方に見える巨大な時計塔がトリニティ総合学園にいるのだと実感させてくる。
談笑する声があちこちから聞こえる。すれ違う少女の不思議なものを見る視線が痛い。遠くの方から騒がしい声が響く。……この声を知っている!放課後スイ…
「そっちじゃないわよ」
コハルに腕をガッチリ掴まれて連行される。声が遠のいていく。せめて一目見たかったぜ……
広い敷地を歩いていくと建物が見えてくる。入り口の階段には黒いセーラー服の生徒が何人かいる。黒髪のモブちゃんもいれば、ケモミミがついていたり、赤毛の子もいる。正義実現委員会の部室とかそういう所だろう……正実だけで建物があるのか……きっと他にも色々あるんだろうな……
建物の扉を開けると、イチカがモブちゃんと話し込んでいる。俺たちが入ってきたのに気づくと、話を切り上げて近づいてくる。
「お、きちんと来れたみたいっすね。大丈夫っすか。撃たれてないっすか?」
「病院からまっすぐ連行されたからな……腕引っ張るなんてコハル、俺のこと好きす…」
ベシッ!
「いっった!………………そういうイチカは忙しそうだね」
「はは、本当に忙しいっす…………この前なんて弾薬庫に立て籠もる生徒がいて……途中で先生が来なかったらヤバかったっす」
「…………え?先生が来たの?」
「そうっすよ。いや〜先生の指揮もなかなかのものだったっす…………まあそんな事より……とりあえず、退院おめでとうっす、もう無茶しちゃいけないっすよ。見てるこっちの方が……」 - 152二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 21:37:27
え?ホントに先生が来たの?だってストーリーじゃハナコを牢屋から出したいとコハルに話しているときに、マシロとハスミがアズサを制圧して……ハスミが…………アズサを制圧…………え、正実、アズサを制圧できなかったの?マジで?……………………連邦生徒会長がひょっこり顔を出す。シッシッあっちいけ。
「おーい、聞いてるっすか〜」
「ハッ…………すまん、ぼーっとしてた」
「本当に大丈夫っすか?…………退院した後、行くとこないっすよね……流石に放り出して変な所で死なれると困るんで、対応が決まるまでここで生活して欲しいっす。最近忙しくって、対応できなくって申し訳ないっす」
「いや、色々とお世話になりっぱなしで、こっちの方こそ申し訳ないっていうか……その、役に立てることはあんまりないだろうけど何でも言ってくれれば手伝うよ」
空き部屋を用意してくれたみたいで建物の中を案内してくれる。
「この部屋を使って欲しいっす……学校の外の方とか、寮の近くの空き家とか、色々考えたっすけど結局校内以上に安全な場所がほとんどなくって……不便をかけるっすけど必要な物があれば何でも言ってください」
案内してくれた部屋は狭いもののベッドや机なども用意してくれたようで感謝しかない。
「あ、女の子が多いからって変なことしちゃダメっすよ」
「うぐっ…………しないから!」
「まあ、ここの一つ下が牢屋なんで、奇声をあげるようなら、そのまま放り込めばいいだけっすけど!」
「本当に檻の中の猿になるじゃん!それは流石にいやだ!」
「あははっ!いいわね!その時はバナナでも持ってきてあげるわ!」
そうして、日本にいた頃には想像もしなかった女子校暮らしがはじまったのであった。 - 153二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:22:02
まあ一番脆い存在だから正実収容が一番安全なのか……
- 154二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:25:51
さらっととんでもない人いない?主人公のイメージなだけ?
- 155二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 02:13:04
初コメです。面白い作品ばかりで良いですね
- 156二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 13:50:08
- 157二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 17:26:04
主人公がこの世界詰んだと気づいちゃったのかな…合掌
- 158二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 23:00:03
- 159二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 08:06:17
保守
- 160二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 19:51:47
- 161二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 22:36:34
まあ、悲観の前にまずは探索かな……?
- 162二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 23:42:39
- 163二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 09:46:34
これ本当に私のミスですか?
- 164二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 18:48:39
- 165二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:16:32
- 166二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 08:27:18
続きが楽しみだ
- 167二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 17:24:25
ゆうほ
- 168二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 01:03:39
ほしゅゅゅ
- 169二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 10:13:21
ほ
- 170二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 19:09:55
そういえば、服とかもまあまあ問題だけど、下着とかってどうするんだろ……
どこの学区に落ちても女子校ばっかだと思うんだけど…… - 171二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 19:17:50
- 172二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 00:06:05
でも住人って大半犬とか猫とかロボットなんだよなぁ……
- 173二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 07:26:39
じゃあ先生が男だったら下着無しであの生徒たちに接してるってことに…?
- 174二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 18:58:12
へ、変態だーーーーーー!!!!
- 175二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 02:14:40
ほ
- 176二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 09:56:30
盛 り 上 が っ て ま い り ま し た
- 177二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:06:14
耳をつんざくような銃声が響き渡る。
現在、校内の第3グラウンドに来ている。面倒くさがるコハルを説得して、待ち望んだ射撃をさせてもらうことになった。グラウンドが3つもあることに驚きだが、射撃場じゃなくてグラウンドでやるのもわけわからん。
グラウンドには体育祭で使うような天幕と装飾の入った机がいくつか置いてある。その横に、空薬莢の入ったゴミ袋と『使用済みの薬莢は拾ってください』と書かれた看板が立てられている。奥の方には土嚢が山積みになって、距離を示す看板や丸い的、人型の的が設置されている。何故か人型の的にヘイローが描かれている。
生徒も数人いて、それぞれ自分の銃で練習している。渇いたような銃声もあれば切り裂くような銃声も聞こえる……耳栓をしているにもかかわらず、とてつもなくうるさい。
「来てる人、意外に少ない?」
「当然でしょ、放課後まで残って練習する人なんて殆どいないわ。大会目指してる部活の人か授業で成績の悪い人くらいよ」
…………射撃の授業があるのか。
「……ちなみにコハルは?」
「あんた……ほんっと私のことバカにするのが好きよね……これでもクラスで上位なんだから!」
「……え?成績の良いコハルは解釈違いなんだが?」
「はあ……………………私だけ先、帰ってもいいわよ」
「ごめんなさい…………またエロ本差し入れるからゆるして」
「い、いらないわよ!!エッチなのはダメ!死刑!」 - 178二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:06:53
なるほど……こんなちんちくりんでもネームドなだけに射撃はできるのか……コハルの機嫌を取りながら、天幕に近づく。
「あ、白線よりも向こうに行っちゃ駄目だからね」
「その……なんというか……あえて言うぞ、雑すぎん?……もっと射撃場っぽいのを想像してたんだが」
「あのねぇ、別に撃って当てる程度ならこれで十分でしょ……射撃場なんて私でも数えるくらいしか行ったことないわよ……正義実現委員会だからクラスの子より撃つ機会は多いけど、わざわざお金払ったり面倒な申請してまで行く必要ないでしょ」
そんなんでいいのか……と若干あきれながら、持ってきた鞄からずっしりと重さを感じる箱を机に置く。赤白青のラインが入ったパッケージには『.280British 7x43mm』と『KAZEYAMA』のロゴが印刷されている。丁寧に開ければ、綺麗に並べられている実弾が出てくる。火薬の入った真鍮の薬莢。映画やゲームでしか見たことのない本物の弾丸に触れる……冷たい金属の感覚にテンションが上がってくる。鼓動が早くなるのを感じる。…………対照的にコハルは近くから椅子を持ってきて面倒くさそうに座っている。
ブルパップ式の後ろの方にあるマガジン。マガジンキャッチを押して弾倉を外す。手の中にある弾丸をマガジンに入れる……入れ……ん?
「もっと強く押し込まないとだめよ……非力なんじゃないの?」
「うっせ!………………入った!」
残りの弾も込める…………この銃……渡されてから説明書を読み、色々弄くり回して気づいたことがある。ロマンのある機能が付いているのだ。
ダストカバーを開けてチャージングハンドを思いっきり引っ張る。ボルトが開かれ固定される……マガジンをAKのように突起に引っ掛け、軽く回すように入れる……マガジンキャッチがカチッと音を立てるのと同時に、カシャン!とボルトが前進し閉鎖される。マガジンを装着すると、自動で初弾が装填されるのだ!
「……ニヤニヤしてキモいわよ」
「うるせ!」
ストックを脇に挟み、的の方を見る。的の下にはレールのようなものが設置されており、机の上にあるボタンで動かせるのだろう。それにしても…… - 179二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:07:35
「その……的の奥にある土嚢?なんか低すぎない?外して上飛んでったらどうなるの?」
「当然そのまま奥の建物に当たるわね……窓に当てたら百点よ」
「いや!そんな野球みたいに言うなって!……ていうかボール代わりに弾丸飛んでくるとか怖すぎる!」
「精々外さないことね。窓割っても一緒に怒られてあげないから」
……コハルに渡されてからというもの、弾が手に入らず鉄の置物となっていた銃をようやく撃つことができる。
「大丈夫?引き金わかる?」
「バカにすんな!それくらいわかる!」
数キロある銃を構える。……といっても正しい構え方なんて知らない。映画やゲームの見よう見まねで、それっぽく構える。それでも、成績上位のコハル先生からダメ出しが入る。
「重心が後すぎ!……もっと脇締めて!……あぁもう!」
あまりの下手な構え方にコハルは居ても立ってもいられなくなったようで、近づいてきて体のあちこちを押してくる。結構強く……
「グリップの握りがあまいわよ!……覗き込もうとしないで……きちんと構えれば目線と重なるようになるんだから!」
「あれ?……もっとこう……体を押し付けて胸が当たるみたいな展開は……いってぇえ!……つねんな!」
「あんたが!変なこと言うからでしょ!!次言ったら、もう教えてあげないわよ!!!」 - 180二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:08:40
騒ぎ立てながら銃を構える。絶対目立ってると思う。体のあちこちを押されたり、引っ張られて数分後、コハルからようやくOKが出る。トリガーガードに付いているセーフティを指先で解除する。標準装備されている倍率の入っていない光学照準器を覗く。不思議な照準器でレティクルが上から中央に向けて線が付いている。そのまま20と書かれた看板の横にある的を狙う。……結構ブレるなこれ。
的に重なったと思った瞬間、引き金を引く。大きな銃声と肩を突かれるような反動を感じる。人生初の発砲である…………これが銃を撃つ感覚……!
「ハズレよ……左に逸れたわね」
……もう一度、的に集中する。
「右すぎ………………力入れすぎちゃだめよ………………ハズレ……もっと呼吸を意識して」
「ちょっと黙っててくれますかねぇ!」
マガジンの残りが6、7発くらいになる。せっかくだからと、グリップの少し上に付いているボタンを押し込みフルオートに切り替える。反動で銃口が跳ねすぎて、明後日の方向に飛ばないように的の下の方を狙い、引き金を引く。……ダダダダッと連続した破裂音と押される感覚がする。
「…………この時間帯はフルオート禁止よ」
「先に言え!」
そんな感じに、コハルから指摘を受けながら射撃を続けていると、背後から声がかかる。
「おや、そこにいるのは、コハルさんですか?珍しいですね」
「マシロ…………えぇ、不本意だけどね……こいつにせがまれて仕方なくよ」
振り返ると、正実の制服を着た髪の短い女の子がいた。でも、一番視線が吸い寄せられるのは、背負われた大きなライフルである。翼やらネコ耳やら異世界なんだなと感じることはよくあった。だが、アニメのように体格に合わない大きな銃を持っているのを見ると、この現実味に違和感を感じてしてしまう。
「ちょっと!指かけたままこっち向けないでよ!危ないでしょ!」 - 181二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:09:12
「あ、ごめん」
「はあ……この通り、銃の扱い方を知らない素人よ」
「あなたが噂になっている男子生徒ですか……はじめまして」
「ん?噂になってる?……へ、変な話は流れてないよね!?」
「……以前撃たれて病院に搬送されたヘイローを持たない同年代の男子が、正義実現委員会の本部に住み込んでいると……トリニティのいたるところで話題になっていますね。その、中には、あまりよくない話も混ざっていましたが……あくまで噂程度ですから」
「よくない話?……あぁ……事実よ、こいつが変なこと叫びながら走りまわ…」
「コハルちょっと黙れ」
「聞きましたよ。トリニティの内情を探っている何者かを撃退したと……あなたにも正義の心があると感心しました。……ですがあまり無理をしてはいけませんよ。正義のために訓練を行うのは、大変好ましいですが怪我をするような戦闘を繰り返して命を失っては元も子もありませんから」
ハスミの穴埋め考えると、また無理する必要があるよなぁ……
「ていうかマシロ、普段は長距離用の射撃場使ってなかった?」
「ええ、ですが放課後まで開放されているときは、こちらも利用しています。正義を実現するためには日頃からの訓練が大事です。射撃の腕は直に鈍ってしまいますから」
「本当に真面目よね」
「…………つまりコハルよりマシロの方が射撃の成績が良いと……」
「あ・ん・た・は!まず的に当てなさい!!」
「ほーい」 - 182二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:10:17
マシロは隣の天幕と机のないレーンにライフルを置いて準備をはじめる。
伏せた状態で構える。視線がライフルからスカートの方に移る…………立ち絵ではとんでもない丈だったが、リアルで見ると短いけどおかしいというほどではない。短いけど…………などと考えているとコハルがゴミを見る目で蹴ってくる。
「死刑よ!死刑!」
「なにも言ってないって!」
「言わなくてもバレバレよ!やっぱり牢屋に放り込んでやるわ!!」
……今度から視線も気をつけよう。
その後、持ってきた弾薬を使い果たすまで撃ったが結局、的の中央に当てることは叶わないまま射撃は終わることになった。コハルからはバカにされながら中学生レベルとお墨付きをもらった。
「ちゃんと空薬莢、拾うのよ」
きちんとルールを守るのは大事だ。机に転がった空薬莢を集める。だがコハルは、ぽけ〜っと見ているだけである。……いや手伝ってくれないんかい。
机の上を片付け終わり、地面に落ちた空薬莢も拾うためにしゃがみ込む。机の下も探し、もう落ちてないか見渡す。……コハルの足下にも一つ落ちていて、それを拾う。
「………………ローアングル」
呟いた次の瞬間、目の前にコハルの膝が迫ってきた。 - 183二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 01:26:30
ほしゅ
- 184二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 01:43:01
ロクでもないことを言って蹴られるのはお約束〜
- 185二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 05:08:16
なんかこういうスケベ主人公とツッコミヒロインの関係懐かしくて好きだ
射撃場のルールとか細かくていいね!サバゲー会場をさらにグレードアップした感じかつキヴォトスのユルさをミックスしてるのが世界観を表していてすげえ - 186二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 16:47:34
星ゅ
- 187二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:02:32
保守
- 188二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:19:37
Aです。あの一応報告なんですけど、どうして僕は今翌日の話に出てきた本編とはまるで関係ない別ゲーの子をモデルにした子の部分の修正でこんなに苦戦しているのでしょうか
あ、現状出来てる分としては、主人公のフィジカル関係の描写の改変が主でぶっちゃけ文章の内容としては前編の主人公が目覚めたところ以外はほとんど変わってないです - 189二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:36:17
- 190二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 06:16:38
- 191二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 06:16:56
- 192二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 11:42:48
うめー
- 193二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 22:43:16
埋め立て〜
- 194二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 01:15:39
うめ