イズナ、イズミ……カスミ、ハスミ……?

  • 1二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:05:28

    キヴォトス、朝7時。
    イズナはベッドの上で目を覚ました。

    「んっ……んぅ……もう朝ですかぁ……?」

    身を起こして伸びをするイズナ。
    しかし、すぐにその動きが止まる。

    「身体が重い……?頭も……?なんか音も変ですね……」

    倦怠感とかそのような類ではなく、物理的に身体が重い。
    寝ぼけ眼で自らの身体に視線を落とす。そこにはよく知ったスレンダーな肢体はなく、代わりにボリューム感のある身体があった。

    「やややっ!?!?」

    イズナは急いで立ち上がり、鏡を探す。
    しかし、そこは百鬼夜行の自室ではなく、まるで他人の部屋のような……

    「きゃんっ!?」

    側頭部に感じる謎の重みに、いつもとはバランス感覚の違うボディ。普段は姿勢制御に活用していたもふもふの尻尾もない。
    立ち上がったイズナはバランスを崩し、頭から転んでしまった。

    「痛い、です……」

    頭蓋骨を直接打ち付けたように響く痛み。恐る恐る手を伸ばすと、そこには立派な巻き角があった。

  • 2二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:05:57

    イズナは勝手の分からない部屋で洗面所を探し、自らの姿を見る。

    「こっ、これは……!?」

    鏡に映ったのは百鬼夜行の久田イズナではなく、ゲヘナ美食研究会の獅子堂イズミだった。

    「…………ええっ、これ私ですかぁ!?」

    イズミとはシャーレを介して何度か一緒に作戦に出たことがある。確か、忍者の携帯食に興味を示して分けてあげたことがあったような……

    しかし、現在の状況はそんなものとは訳が違う。
    イズミ本人になってしまうなんて想像もしなかった。

    「と、とにかく主殿に連絡を……」

    慣れない身体でふらふらしながらスマホを探す。
    いつもの俊敏な身のこなしはどこへやらといった感じだが、しかしフラつきながらも最初の一回以降はコケたりぶつけたりしていないのは天性の運動神経の賜物だろうか。

    「あ、ありました!……あぅ、パスワードが分かりません……」

    スマホを手に取り、手癖でパスワードを入力するが弾かれてしまった。よく見たら自分のものとは機種もケースも壁紙も違う。ロック画面の壁紙は謎の紫色のオーラを放つ料理の写真だ。

    自分の見た目だけではなく、周囲の環境もイズミ殿になってしまったということでしょうか。
    いや、むしろイズナの精神がイズミ殿の身体に入っている?
    部長に昔勧めてもらった漫画に、他人と魂を入れ替える術を使う敵が出てきたことがあったのを思い出しますね……

    あまりにも現実離れした状況に、イズナの意識は少しついていけなくなっていたが、唐突に手の中で震えだしたスマホが現実へと引き戻す。
    表示されたのは「先生」の文字。迷わず画面をスワイプして応答する。

  • 3二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:06:43

    「あっ先生ど……先生!」

    『"良かった!これイズミの携帯だと思うけど、そこにいるのはイズナ?スズミ?"』

    「えっ、あ、はい!イズナはイズナです!!起きたら何故かイズミ殿の身体になっていて、部屋とかスマホも……」

    『"うん、やっぱりそうか。今はイズミの部屋にいるんだね?"』

    「はい!」

    『"どうやらキヴォトスでは今、生徒どうしの精神の入れ替わりが発生しているみたいなんだ。その条件はまだ絞り込めていないけど、恐らくは「名前が一字違いであること」。だからイズミとイズナが入れ替わったんだと思う"』

    「なるほど……?」

    『"とりあえず、イズナの身体に入ってるイズミの方にも連絡を取ってみるよ。身の安全が確認できたら念のためにシャーレまで来てほしいんだ……多分ゲヘナの地理には不慣れだと思うし、一度アロナに頼んでスマホのロックを解除してもらうね。ごめん、地図アプリで頑張ってたどり着いて!"』

    「わかりました!身体は違えどイズナはイズナです!主殿のためにシャーレまで馳せ参じましょう!」

    『"うん、元気そうで安心した。それじゃ、気をつけてね!"』

    いつも以上に忙しそうな先生との会話が終わった。

    「……とりあえず、身支度をしましょうか!」

    こんなときでもイズナは前向きだ。

  • 4二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:07:00

    「えーと、これで良いですかね……ゲヘナの制服を着るのは初めてですね……あー、胸とお腹がちょっと苦しいような……」

    他人の私生活を覗いているような気がして少しむず痒い。
    覗いているどころか他人の私生活そのものを体験しているのだが。

    「あ、先生が言ってた通り、スマホが使えます。今がここで……?シャーレ最寄り駅へはハイランダー地下鉄で……」

    スマホで道順を確認した後、最低限の荷物(他人のものである以上いろいろと持っていくのは申し訳なかった)と、持ちなれないイズミのマシンガンを抱え、イズナは扉を開ける。

    キヴォトスの数奇な一日が、始まった。

  • 5二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:09:08

    7月ごろに「名前が1文字違いの生徒の精神入れ替わり概念」のスレを建てた者です

    また語りたくなった(というかネタを思いついた)のでもう一度立ててみました


    (一応)前スレのようなもの 
    ハルカ、ハルナ、セリカ、セリナ……?|あにまん掲示板似た響きの名前が多くてややこしいんじゃ!!ということで、ある日突然、1文字違いの生徒どうしで精神が入れ替わったキヴォトスの様子を想像するスレbbs.animanch.com
  • 6二次元好きの匿名さん24/12/12(木) 18:46:06

    補足しとくとここは「名前が1文字違いの生徒どうしで精神が入れ替わったら」というシチュを語るスレです

    SSから始まってるけど概念スレのつもりなんです……

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