メジロドーベルのトレーナーやってて思ったんだが

  • 1二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:14:19

    URAシナリオ通りにメジロドーベルのトレーナーをちゃんとやりながらプライベートではメジロブライトと仲良くなってうまぴょいしたいね

  • 2二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:16:07

    春天でブライトに勝った後でブライトとズブズブしてぇ〜

  • 3二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:17:13

    申し訳ないが八方美人はNG

  • 4二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:18:03

    俺と付き合ってるからそんな未来は起こり得ないよ

  • 5二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:37:09

    日も暮れたというのに、トレーナー室からは明かりが漏れている。
    トレーナー……まだ仕事してるのかな。

    労いの言葉でもかけようと引き戸を開けようとして――部屋の中から話し声が聞こえてきた。
    扉の隙間から覗いてみると、トレーナーとブライトが仲睦まじげに話している。
    何よその顔……にやにやしちゃって。
    アタシは何故か不機嫌になって、やや乱暴にドアに手をかけた――その時。
    ブライトが、とん、とトレーナーとの距離を詰めた。
    そしてそのまま顔を近づけて――


    頭から血が引いていくような感覚。
    呼吸が浅くなる。
    心臓がおかしな脈を打つ。
    思わずその場にへたり込んでしまう。

    ――けれど。
    その二人から、ずっと。
    目を離せなかった。

  • 6二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:40:07

    >>5

    この日以降、描いてる漫画の内容が大きく変化しそう

  • 7二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:49:59

    ブライトの桜花賞にずぶずぶハロン棒が入っていくところから目を離せないドーベル

  • 8122/03/06(日) 19:50:53

    >>5

    ありがとう

    スレ立ててよかった

    ありがとう

  • 9二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 19:52:01

    どぼめじろう先生がナリタトップロードしか描かなくなった

  • 10二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:07:56

    >>5

    自分でも意識しないまま秘部に指が触れていることに気づいた瞬間己の性を自覚するんだよね…

  • 11二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:09:40

    やめろやめろやめろッこんなものーッ
    全部破り捨ててやるから全部見せろーッ

  • 12二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:16:52

    2人はドーベルの良い所を語り合ったのが切っ掛けで仲良くなったんだよね…

  • 13二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:19:02

    ズブくてドーベルの感情に気づかなかったブライト
    棘があってどう接すればいいか悩んでいたときに助言をもらったトレーナー
    よし、誰も悪くないな!

  • 14二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:40:24

    >>5

    アタシのトレーナー。

    (メジロドーベルは、"強いウマ娘"だ。)

    いつだってアタシを信じてくれる人。


    ブライト。

    アタシの親友であると同時に、共にトゥインクル・シリーズを戦った戦友。

    共に『メジロの栄光」を掴むと誓い合った同志。



    「ブライト、ここでこういうことは…」

    「トレーナー様は…お嫌、でしょうか~?」

    「…ずるいな」

    「ふふ…そうかもしれません」



    ドアの向こうから二人の声が漏れ聞こる。

    あの人はちょっと困った顔をしながらもブライトの顔を愛おしそうに撫でる。

    アタシに向けるあの優しい顔とはほんの少し、けれど絶対に違う表情。

    ブライトも頬を赤らめながらもそれを受け入れ、潤んだ目であの人を見つめている。



    「あまり、こうして二人でお会いできませんでしたから…」

    「ブライト…」

    「わたくし…その…いつもトレーナー様のことを…」



    トレーナーがブライトを抱き寄せるとブライトは嬉しそうに身を寄せる。

    ブライトが少し背伸びすると、再び二人の顔が重なる。

    アタシの大好きな二人が――。

  • 15二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:42:38

    むう…文豪…

  • 16522/03/06(日) 20:45:33

    >>14

    続き助かる

  • 17二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:45:47

    最悪だけど最高だし嫌いだけど好きだし続きは読みたい

  • 18二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:46:34

    脳が破壊されてるのに続きを見たい気持ちが抑えられない

  • 19二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:47:59

    背徳感があるけどそれが良い…続き読みたい!

  • 20二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:48:11

    ズブブ…

  • 21二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 20:53:38

    覗き見ぴょい中にブライトと目が合うんだよね 

  • 22二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:01:15

    この手のモノはドーベルが第三者に走るのだけは無理(故人の乾燥)

  • 23二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:03:51

    >>22

    (ああ、布団乾燥機に救われたのね……)

  • 24二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:15:27

    >>21

    これからトレーナーのハロン棒が入る直前に目が合ってほしい

  • 25二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:17:41

    >>23

    焼香に使われる布団乾燥機とは一体・・・

  • 26二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:22:29

    >>24

    ドーベルに蠱惑的な笑みを浮かべながら入ってきたハロン棒に喘いで欲しい

  • 27二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:16:55

    >>24

    見つかってしまった衝撃と、ハロン棒が入ってくる期待と恍惚、ドーベルへの罪悪感と僅かな優越感がごちゃ混ぜになった結果出力されたのが見たことないくらい蠱惑的な悪い笑顔なんだよね…

  • 28二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:22:08

    興奮しちゃうじゃないか…❤

  • 29二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 01:31:58

    >>14

    ──何も見たくない。

    とっくに手遅れなのに、心底まで焼き付いた光景から逃れようと立ち去るアタシは、

    人生で一番静かで、謙虚に、弱弱しく走っていた。

     

    「あ……はぁ……ぁ」


    ゆらゆらと、廂間に出た所で、何となく思う。

    さっきの自分は、まるで惨めに敗走する負け犬のようであったな、と。

     

    「……って、何が尻尾巻きよ……。そもそも別に、アタシには関係ない事だし、何も勝負だなんて……」

     

    その通り、自分は勝負の土俵にすら立っていない。

     

    ──だって自分とあの熱くてお節介で、でも気遣いと親切ばかりで、アタシのことを信じてくれるトレーナーの間に、何も甘酸っぱい関係性なんてものは──

     

    「──よかったじゃん。前からあの二人なら、相性いいなって思うことあったし。

    でもあんな事するならもうちょっと、場所とか選んだ方がいいと思うけどね。

    確かに普通あの時間にアタシは行かないけど、わざわざアタシたちのトレーナー室で、あんな……」

     

    そうだ。誰かに、というかアタシに見られるかもしれないのに、スリルを楽しむためなんかに日中から盛り上がらなくても。

    なんて、冷静になったつもりで悪態をついてみる。それと同時に、言いようのない不快感が身体中を駆け巡り始めた。

     

    きっと自分の中の2人に対する人物像が揺らぎ始めたからだろう。

    私と付きっきりだったはずのトレーナーと、そんな雰囲気を微塵も出していなかったブライト。

    アタシの大切な2人が熱に踊らされ、背徳に酔っていた事実を、どうしようもなく”羨ましく”思って──ようやく気が付いた。

     

    「──え? 

    な、なんでアタシ……そんな──あっ」

     

  • 30二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 01:32:27

    >>29

    ──やけにくすんだ涙が、どろりと頬を伝っている。そんな無様が示しているのはたった一つで。

     

    「そんなっ……こんな、ことで、今さら気付くなんて……アタシは、なんて……っ!」

     

    自覚してしまって、もう流れは止まらない。

    思い出が壊れる感覚を覚えて初めて、淡すぎる自分の想いが浮き彫りになって。

    遅れて不幸にも情動は、具体性を顕にして。

     

    「な、んでよっ……よりに、よってブライトが、なんでアタシの……ぅぅぅっ……!」

     

    驚愕、疎外感、無力感、嫌悪感、失望、羨望、嫉妬、無惨。

    このとめどなく溢れる醜い想いが、アタシの本性だとしたらそれは。

    余りにも情けなくて、お似合いな姿だ。

     


    「はは──もう、何も見たくないよぉ…………」

     

    ──遅すぎた想いは、一つも残らず虚空に流れていった。

  • 312922/03/07(月) 01:39:20

    この後略奪愛に持っていこうとしたんですが、あまりにドーベルが敗北者なので構想浮かばず……

    誰か後はよろしく……(脳破壊されて崩れる音)

  • 321422/03/07(月) 01:43:36

    >>29

    >>30

    続き助かる

  • 33二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 01:44:00

    ありがとうこれで脳を粉々にして月曜の朝を迎えることができる

  • 34522/03/07(月) 01:44:32

    >>29

    >>30

    続き非常に助かる

  • 35二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 01:48:19

    全員違う奴らが連携して脳破壊してたのかよ!(ボロボロ)

  • 36522/03/07(月) 01:55:57

    14の続きで二人が叡智な展開になって絶望する終わりを考えてたけど上手く文字にならなかった

  • 37二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:08:45

    これトゥインクルシリーズ現役時代だとすると信頼してるトレーナーが学生(しかも担当である自分の親族)に手を出してるって意味でも脳破壊なんじゃないか?

  • 38二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:15:54

    >>35

    これが……友情のリレーってやつですね……

  • 39二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:22:17

    トレーナーは見られてたの気がついてないのがまた良い

  • 40二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:26:01

    美しい…

  • 41二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:30:34

    こういうときマック、女帝は出番がないのですね…

  • 42二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:32:38

    クリスマスのブライトがあっという間に鬼になる概念ですわ。堪りませんわ。

  • 433022/03/07(月) 02:33:39

    >>2を参考にして

    そういえば誰かさんと違って1人のドーベルが漏らした慟哭は春天のブライトオマージュです……ううっ

  • 44二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:43:47

    担当してるだけあってこのトレーナーは強いウマ娘はドーベルだと信じてるんだ。そしてその面では愛しい人の一番になれてない焦燥感がブライトの中でほの暗い熱を育ててトレーナー室での行為に走らせたんだ。
    でも後になってその行為ではどう足掻いても一番のウマ娘にはなれないことを、それこそトレーナー室にあるドーベルのトレーニングアイデアノート的なのを見て改めて気付いてしまいいろんな感情でぐちゃぐちゃになるんだ。

  • 45二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:50:07

    友情トレーニング発生!

  • 46二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 02:55:27

    >>44

    まあレースと恋情は切り離せるから……トレーナーも違うしね……

    というか愛慕の面ではそもそもドーベル眼中に無いし、むしろそっち側ではあなたの一番ですわ〜とか言って攻めるから(確信)


    ……まあ春天で負けた心理が尾を引いた結果ではあるんですけどね(

  • 47二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 03:01:03

    >>46

    意を決して、私にも同じことしてよ…と懇願してもトレーナーとしてメンタルにダメージ与えないためにしか受けて貰えなさそう。

    そしてことが終わってもあの時ブライトに見せてた表情は見ることが出来なかったとかありそう。

  • 48二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 03:25:16

    続きはよ

  • 49二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 03:40:17

    天皇賞春のレースで勝って恋愛で負けたドーベル
    しかもその相手が同じメジロで仲の良いブライト…おっとり不器用で恋愛にも疎そうでメジロでもあまり期待されてなかったウマ娘…まさかあのブライトがこういう行動に出るなんてと…美しい

  • 50二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 04:26:02

    ドーベルのトレーナーは見られたことを知らずに次の宝塚記念に向けてドーベルを勝たせるため普段以上にトレーニングメニューを考えて熱心に接してくる
    自分の力で輝いて弱いアタシに勝つと誓ってみせた自信も、他の誰かのようになりたいという昔の自分も見失ったドーベルは…

  • 51二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 10:42:46

    あげたろ

  • 52二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 10:49:10

    >>41

    こんなこと相談できるのかな…

    誰にも相談できず抱え込みそうでもある

  • 53二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 10:59:14

    >>52

    最悪契約解除行きになりかねないし誰にも言えないし、なんなら今までそれとなく誘導したりしてくれてたのが当のブライトって感じだったから。

  • 54二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 14:04:33

    脳破壊の良さをここで初めて教えたもらったよ…

  • 55二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 14:28:23

    >>53

    ドーベルがすぐにトレーナーとの距離を詰めていればブライトに勝ち筋はなかったのに…となっててほしい(ココ重要)

  • 56二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 14:29:43

    ある日どぼめじろうの作風が大幅に変わってファンにめっちゃ心配されそう

  • 57二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 14:40:01

    >>56

    この後だいたい恋愛感情に気が付かなかった主人公が自分より優れた友人に先を越されて涙する話が多くなったんだよね…

  • 58二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 15:35:06

    >>29

    負け犬って・・・なんでそんなひどい表現できるの・・・?

    というか文書いてる人たちが1番ダメージ受けてるぽいの芝生える

  • 59二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 15:38:40

    >>58

    負け犬どころか戦いの場にも躍り出てないんだよなぁ……

    WSS以前の惨めさですよー(

  • 60二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 19:29:32

    オラッもっとみんな破壊されろっ

  • 61二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 19:31:20

    いっぱい出た

  • 621422/03/07(月) 20:32:15

    >>30

    一睡もできないまま翌日を迎えたアタシはトレーニングを休んだ。

    風邪気味、体調不良―――別に、嘘じゃない。


    (こんな状態でトレーニングなんてできるわけない)


    エアグルーヴ先輩や何人かがお見舞いに来てくれたけど、風邪がうつるからと言って帰ってもらった。

    けれど―――。



    「ドーベル…大事ありませんか~?」


    なんとなく予想はしていたが、ブライトだけは無理を言ってアタシの部屋まで来てしまった。


    (…そうだよね。逆の立場だったらアタシだってそうしたから)



    「ドーベルのトレーナーさまも、とても心配していましたよ~?」


    「っ…うん…。なんて、言ってた?」


    「季節の変わり目は無理をしないようにと。それから、わたくしに代わりにお見舞いに行って欲しいと~。」


    「…そっか、そうだよね」

  • 631422/03/07(月) 20:32:59

    >>62

    ブライトの顔を見るたびに昨日見てしまった光景が脳裏をよぎる。

    アタシには向けられることのないトレーナーのあの視線、好きな人に抱きしめられて幸せそうなブライトの表情。

    男性との触れ合いなんて想像もできなかったブライトがあんな顔をするなんて。

    そして二人の唇が重なって――。

    こうしていつも通りに話していても、知らないところではアタシのトレーナーとーー。

    そう考えるとアタシに向ける視線も、言葉も、全てが今までと違うものに感じてしまう。



    「ブライト…」


    「?」


    「…ううん、なんでもない。来てくれてあり、がとう」


    聞けるわけがない。聞いたら、どうなってしまうのか。

    アタシとブライトの関係は。アタシとトレーナーの関係は。


    (…バカみたい)


    (…別にどうにもなるわけない。だって)


    (アタシとトレーナーは、"ウマ娘"と"担当トレーナー"でしかないんだから)


    (もともとそうだったし、これからも、きっと、そう)


    ("たかが"それだけの関係でしか、なかった)



    (―――ブライトとは違って)

  • 64二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 20:39:50

    んんんんんんんん!!1!1!(脳破壊)

  • 65二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 20:43:46

    これは上質な脳破壊

  • 66二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 20:50:07

    もう感謝祭のあの時とは違って、お見舞いでりんご剥いてくれるトレーナーは来ないんだよね……

  • 67522/03/07(月) 20:59:22

    >>62

    >>63

    続き非常にとても助かる

    脳破壊やばい精神がおかしくなるのに筆が止まらないんだ……

  • 682922/03/07(月) 21:07:10

    >>62

    >>63

    続き助かる

    たかが担当ウマ娘の自分だけど、無事ブライトと結ばれたら

    メジロの身内になるので、これから一生顔合わせることになるんだよね

  • 69二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 21:16:50

    いいもん見た〜と見なきゃ良かったぁ〜が同時に来る良スレ

  • 70522/03/07(月) 21:57:29

    >>63

    いい加減、割り切らないといけないのに。

    受け入れないといけないのに。

    あれから数日が経っても、世界は色を失ったまま。

    そう簡単に心の整理がつけられるほど、アタシは大人じゃなかった。


    大きな穴があいてしまったような日々。

    ご飯も、勉強も、トレーニングも。

    意思を持たない体が、染み付いた行動を繰り返すだけ。

    外面は努めて普段通りに振る舞っていても、わかる人にはわかってしまう。


    ――一番、気づいてほしくない人にも。

  • 71522/03/07(月) 21:58:26

    >>70


    (やめて)


    わずかな異変を感じとり、アタシを気遣ってかけてくれる声も、心配そうに投げかけられるその視線も。

    全部が針となって全身に突き刺さる。


    (やめて……)


    アタシへの言葉を紡ぐその唇は、彼女と繋がっていたもので。

    アタシを思いやるようなその目も、彼女の熱っぽい瞳を見つめていたもので。


    (やめてっ……)


    アタシのトレーナーなのに。

    ――アタシだけの、トレーナーなのに。

    励ましも、信頼も、愛情も。

    みんなアタシのものだと思っていたのに。


    (やめて……よぉっ……)


    悔しくて、惨めで、いたたまれなくて。

    逃げるように走り出す。


    ターフを全力で駆けている間だけは、余計なことを考えなくて済むような、そんな気がした。

  • 72522/03/07(月) 22:00:16

    >>71

    夜になると、独り布団の中で考える――嫌でも考えてしまう。

    どうして、どうして、どうして、と。

    トレーナーの一番近くに居たのは、確かにアタシだったのに。


    けれど。

    休日、買い物にでも行こうかと誘われても、勝手に行ってくれば、と突っぱねた。

    映画を観ようとチケットを差し出されても、一人で観てきなよ、と断って。

    男性が苦手だからとか、課題が忙しいからとか、自分の中で理由をこじつけて正当化する。


    いくらでも本当の気持ちに気づけるチャンスはあったのに。

    いつも向かい合わなかったのはアタシ自身。

    何度夜を重ねても、結局は自分が弱くて、怖じ気づいていたという結論にしか至らなくて。


    脳にこびりついたあの瞬間が瞼の裏に流れ、変えようのない事実を嫌というほど確認させられて。


    「っ…………ぃゃ……ぁ……っ……」


    今晩もまた、声を押し殺して枕を濡らす。

  • 73新人です22/03/07(月) 22:28:14

    いつもと変わらない、でも決定的な何かが変わってしまったトレーナー室。
    昨日の夜はこのソファにブライトが座っていて、その隣にはアイツが───思い出したくもない。でも、知らなかった頃には戻れない。
    アイツは今日も何食わぬ顔でパソコンに向かっている。見られてたなんて微塵も気づいてないんだろう。夜にブライトと愛し合った場所で、今はアタシのための仕事をしている。
    ねえ、教えてよ。いつからそんな関係になってたの?ずっと前からそうだったなら、今までどんな気持ちでアタシに接してたのよ。いったいどの面さげて───あんなに優しい言葉を掛けてきたの。

    「なあ、ドーベル」

    うるさい。話しかけないで。

    「今日はなんだか調子悪そうだな、何かあったのか?」

    お願いだからもうアタシに優しくしないでよ。愛してくれないなら、いっそもう捨ててもらった方がせいせいするのに。
    ───それなのに、まだアタシはこの人を愛してる。離れたくないと思ってる。

    「……なんでも、ない。本当だから」

  • 74二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 22:42:16

    あゝ
    脳が破壊されてゆく……

  • 75二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 22:46:42

    ドーベルの寝取られ(WSS?)適性は気づかなかったなあ

  • 76二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 22:53:15

    あぁぁ…良い…ドーベルにはWSSがとても合う…
    ドーベルの日頃のトレーナーへの言動がどうしてもWSS向き過ぎる

  • 77二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 22:55:25

    (まあ取られて、というか2人が既に深い関係になってるの見て初めて自分の想いに気付いたわけで
    WSSですら無いパターンもあるけどなブヘヘ)

  • 78二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 23:07:21

    全てが遅すぎたドーベルとブライトと深い仲なのをドーベルに知られてないと思っているトレーナーは良いぞ

  • 79二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 23:10:14

    このレスは削除されています

  • 80二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 23:26:48

    野ざらしの番犬というフレーズが思い浮かんだ

  • 81二次元好きの匿名さん22/03/07(月) 23:53:48

    ドべトレもブライトも鈍くないから不調には気付いてるけど原因までわからないんだよね……
    さて、ここからブライトが気付いて……

  • 82二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 00:11:18

    実際ドーベル育成してるとこの娘めっちゃ出てくるからな......

  • 83二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 02:35:56

    >>82

    しかもドーベルのトレーナーさまにも割とフレンドリーに話しかけてくれるんだ

    ドーベルの良いところを話して意気投合して仲良くなる想像は難しくない

  • 84二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 02:53:05

    ブライトがいなけりゃ本家クリスマスでもちょっと高い市販チョコ渡しておしまいだったからな。
    それでも本家スパダリなら、ドーベルが渡すってだけでもどれだけ勇気だしたかわかるからこそブライトに合わせて二人きりになっちゃったな?とか言って甘い展開迎えたけど、これがファン一号並みのにぶトレだったら、誰よりも淡々と一大イベント終了よ。
    そしてこの概念のドーベルは本家で優しく手を差しのべてくれた二人が他のことならともかくこれに関してはどうも出来ないし、どうもしないからどうすんだこれ。

  • 85二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 07:28:32

    うわぁ……

  • 86二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 07:38:03

    当方ベルトレ、脳が破壊される感覚をこのスレで初めて体験する。なんだこれ……

  • 87二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 07:59:26

    なんか最近どぼめじろう先生の作品NTR多くない?
    作品のクオリティ凄い高くて面白いんだけど読んでいてツラい……

  • 88二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 10:27:00

    >>81

    はっぱかけて立ち直らせたところで譲れないだろうし、そもそも本家シナリオ的にある程度はドーベルが信愛の情を感じてるって知ってるだろうしメンタルやられるほどドーベルがトレーナーを愛していたとブライトが気付いたところで、ブライト自身もダメージを負うぐらいしか出来ない気がする。

  • 89二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 17:49:53

    救いはないのですか?

  • 90二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 17:51:54

    救われる方法がベルトレが2人まとめて愛すかブライトのトレーナーとドーベルがくっつくぐらいしか思いつかない…

  • 91二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 18:08:00

    >>90

    なんてトレンディ…!

  • 92522/03/08(火) 22:55:39

    ※どこからとも繋がっていないし、どこからでも繋がりそうな分岐の話

    不安定ながらひとまずの落ち着きを取り戻しつつも。
    アタシの心情を表すように、どんよりと雲が垂れ込めた空。
    いくら調子が悪くとも、レースの日程は待ってはくれない。
    出走登録の手続きのため、気は進まなかったけれど、数枚のペーパーを手にあの部屋へ足を運ぶ。

    目的地が近づくにつれて、焼き付いた映像がフラッシュバックする。
    戸を開けようとして、楽しそうな声が聞こえてきて、中を覗いてみて、気がついたら二人の影が重なっていて――

    ――そう。いま、目の前で起こっているように。

  • 93522/03/08(火) 22:57:03

    >>92


    「っぁ……」


    何かの見間違いならよかったのに。

    あれは実は夢で、現実と勘違いしているだけならよかったのに。

    そんな逃避を許さないような、無情な光景が頭を殴り付ける。


    「いやっ……!」


    体が震える。

    視界が狭くなる。

    一歩、後ずさる。

    ばさり、と手に持った用紙を落としてしまう。


    「あっ……やっ……」


    ブライトが物音に気づき、アイツから離れてこちらへと向かってくる。

    アタシは――気が動転したまま、その場を駆け出した。


    「……っ! ドーベル!!」


    普段のおっとりとした声ではなく、芯の通った突き抜けるような声。

    けれど、アタシは聞こえないふりをして、脚を動かす速度を上げた。

  • 94522/03/08(火) 22:58:22

    >>93

    学園の正門を飛び出して走る。

    商店街、大通り、裏路地。

    目に入った道を選び、とにかく走った。

    通行人からの視線は、この期に及んでは気にならなかった。

    ――走っていれば、あの記憶を思い出さずにいられるはずだったから。

    なのに。


    「なんでっ……」


    息が上がるばかりで、頭からはあの光景が離れない。


    「はあっ……なんでよっ……」


    幸せそうに抱き合って、見つめ合う二人。


    「はあっ……ううっ……なんでっ……よぉ!!」


    いくら駆けようとも、あの日見た映像と、いま見たばかりの瞬間が脳内を支配している。


    ひとしきり走って。

    河川敷に着いたあたりで、脚が限界を迎えて崩れ落ちた。


    「なんで……忘れられないのっ……!」


    淀んだ空を見上げた。

    頬に、ぽつり、と雫が落ちた。

    やがてざあざあと降りだした雨は、アタシの涙と混ざって土へと吸い込まれていった。

  • 95522/03/08(火) 22:59:50

    >>94

    雨に打たれ、呆然としたままアタシは思う。

    いくら強がったり、受け入れようとしたりしていても。

    アイツのことを諦めきれていないんだ、と。

    ずっと傍に居るはずのアイツが、アタシでない誰かにだけあんな顔を見せるのが、どうしても耐えられないんだ、と。

    でも、アタシは競争に負けた――いや、ゲートに入ってすらいなかった。

    それに、アイツが“いま”愛しているのはアタシではない。

    だから、あの二人のように通じ合うこともできない。


    ――だったら。


    明らかに短絡的で、全てを破滅させるような考え。

    行動に移してしまえば、アタシたちの関係性は不可逆的に変わってしまう。

    ともに未来を創るという誓いは?

    いつでもアタシのことを強いと言ってくれた無償の信頼は?

    どちらも二度と手の届かぬものとなるだろう。


    けれど。

    損傷を受け続け、自暴自棄になった思考回路は。

    とても正常な判断を下せる状況ではなかった。


    ――もう、こうするしかないよね。


    どろり、と色のない世界に黒いインクが滴り落ちる。

    アタシは虚ろな足取りで、来た道を戻っていった。

  • 96522/03/08(火) 23:02:03

    >>95

    あの扉を開けると、トレーナーが駆け寄ってくる。


    「ドーベル! 無事でよかった……!」


    アタシは俯いたまま黙っている。


    「ずぶ濡れじゃないか。今タオルを…… あと君を追いかけて行ったブライトにも連絡を……」


    トレーナーがスマホを操作する。

    ――ブライト。


    「トレーナーは、何してたの」


    下を向いたまま、呟くように問いかける。


    「ああ。ブライトが、ヒトが追いかけても追い付けないからここで待っていた方がいいって」


    ――ブライト。


    「ほら、早く拭かないと風邪をひく――」


    アタシは渡された布切れを放り投げ、トレーナーをソファに突き倒す。


    「ドーベル?」

    「うるさい!!」

  • 97522/03/08(火) 23:03:50

    >>96

    そのままトレーナーにウマ乗りになって押さえつけ、乱暴にネクタイを掴んでひったくる。

    首を引っ張られて呻くような声が聞こえたけれど、そんなの気にしない。

    垂れた髪から水滴が落ちて、トレーナーのシャツに染みを作った。


    「――アンタ、最近ブライトと随分仲がいいみたいじゃない」

    「い、いや、そんな……」

    「嘘言わないで!!」


    アタシは叫ぶように吐き出し続ける。


    「あの日も……そしてさっきも! この部屋で二人で何をしていたの!!」


    その言葉を聞いたトレーナーの顔から、血の気が引いたように見えた。


    「そ、それは……」


    トレーナーはそう言ったきり口をつぐんでしまう。

    だから、アタシは。


    「……言えないんだ。――こういうことをしてましたって!!」


    真一文字に塞がれた唇に、アタシの口を強引に押し付ける。


    あの時二人がしていたような、愛を確かめるようなものでもなく。

    少女漫画に出てくるような、ヒロインと王子様のロマンチックなものでもなく。

    アタシのファーストキスは暴力という形で、無惨にも散った。

  • 98522/03/08(火) 23:06:43

    >>97

    「っはあっ。ドーベルっ――」

    「うるさいうるさい! アンタはアタシだけのトレーナーなの! アンタはアタシだけを見ていればいいの!!」


    そう言って再び唇を押し付ける。

    トレーナーにとっては不条理もいいところで、頭の中には疑問符しか浮かんでいないだろう。

    でも、そんなのアタシにとってはどうでもよかった。

    ただ、トレーナーを奪って、その脳内をアタシの色で染め上げられればなんでもよかった。


    「ぅあっ……やめっ……」

    「口答えしないで!」


    三度目、四度目、五度目。

    トレーナーの全部を、アタシで上書きするんだ。

    ここで愛を交わしていた記憶を、アタシのもので塗りつぶすんだ。

    やがてトレーナーの抵抗が弱まってくると、アタシは閉ざされていた唇を割って、口の中まで攻め尽くす。

    前歯、頬、上顎、舌、歯ぐき。

    届く限り隅から隅まで、アタシを塗り込んでいく。


    「っあ……ベ、ル……」

    「はあっ……はあっ…… アンタの愛情の全てはアタシのものじゃないといけないの!」


    またトレーナーを侵そうと顔を近づけて――廊下を駆ける音が聞こえた。


    「ふうっ、ドーベルっ、ドーベ……ル……」


    肩を上下させたブライトが帰ってくる。

    開け放たれたままの入り口から部屋の惨状を目にして――絶句する。


    「え……ドー、ベ……ル? どう、した、の? これ……は?」

  • 99522/03/08(火) 23:08:22

    >>98

    信じられないものを見るような目付きで、途切れ途切れに言葉を発する。


    「……ブライト」


    アタシはゆっくりと首を彼女に向ける。

    彼女が息を呑むのがわかった。


    「――ごめんね。トレーナーは、アタシのモノなの」


    ああ。

    いま、鏡があったのなら、自分の顔を見てみたい。

    きっと、女の子がしてはいけないような。

    狂気と恍惚と。全部がごちゃ混ぜになったような、歪んだ笑顔をしている。


    「ぁ……ぇ……」


    ブライトが顔を覆ってくず折れる。

    声にならない悲鳴を上げている。


    ――ごめんね、ブライト。


    アタシはもう一度だけそう思って。

    トレーナーの世界を塗り替える作業を再開した。




    メジロドーベル√ END 5『野ざらしの番犬』

  • 100二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 23:08:23

    ナリタトップロードやんけ~

  • 101二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 23:09:09

    文豪に脳みそ壊されるの気持ちいい〜

  • 1025 あとがき22/03/08(火) 23:10:46

    ブライトの好感度の上げすぎには注意しよう!

    タイトルは>>80より

    ベルちゃんもブライトも好きなのにこんな救いようのない話ばかり思い付いて止まらなくて頭がおかしくなりそうだった

    ~~しないとっていう強迫観念に迫られてしまう性格のドーベルなら、追い詰められて死体蹴りされたら壊れてしまうんじゃないかって解釈です


    (ところで、こういう掲示板の自分のレスを下敷きに加筆修正再構成して支部とかに投下っていいんでしょうか)


    ほな、皆さんによい脳破壊ライフがあらんことを……ぐえ

  • 103二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 23:11:52

    支部にあげるならいいねしたいから教えてね♡

  • 104二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 23:12:39

    あぁ^〜

  • 1052922/03/08(火) 23:19:49

    ブライト「NTRですわ〜〜💢💢」

    続き助かる〜
    強迫メンヘラ化ドーベルのせいでどの目線でもトップロードしてるの芝……生えないねえ……(恍惚)

  • 106二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 23:25:05

    他のルートも書くんだよ!!

  • 107二次元好きの匿名さん22/03/08(火) 23:32:09

    >>106

    True が見たければガチャで引くしかねぇな!

  • 108二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:00:15

    ここでようやく最近のドーベルの不調の原因が分かってしまったブライトが曇る展開いいぞ~

  • 109二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:19:19

    しかしだねぇ、トレーナーは既にブライトのおせいそを散々味わっているのだから…
    今更キス程度では心を動かされないのだから…

  • 110二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:20:31

    男が簒奪対象のトプロはまず立たないと駄目だからな……
    案外難しいよね

  • 111二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:30:02

    ここに書いてる人たちはもっと評価されるべきだと思うから是非。……別ルートを書いてもええんやで?

  • 112二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:39:02

    あとはどんなルートがございますのん?3ぴょい?

  • 113二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 00:41:12

    ドーベルが終始負け犬で救いのないエンドが一番脳破壊されそう

  • 114二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 02:22:51

    まともに考えてしまうと心がどうにかなってしまうし、かといって何かしてないと考えてしまうしで限度を越えた自主トレーニングをするも、当然病院送りになり、そして病室に一番に駆けつけてくれたのは二人だった。

  • 115二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 07:36:30

    おつらい

  • 116二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 14:03:52

    脳ミソズタボロにされてあぁ^~~~ととのう~~~~

  • 117二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 14:41:09

    >>112

    『ふたりのトレーナーさん』ルートはトレーナーが腎虚で死にそう

  • 118二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 14:44:18

    鬱だっち

  • 119522/03/09(水) 21:12:35

    ※どこからとも繋がっていないし、どこからでも繋がりそうな分岐の話

    アタシの心は、処刑を待つ囚人。
    けれど、囚人よりも恵まれているのは、そのタイミングを自ら早めることができるということ。

    早朝のランニングを終えて、アタシは――心を無にして。
    トレーナー室の扉を開く。
    パソコンから目を上げたトレーナーが「おはよう」と挨拶してくる。
    アタシは返事もせず、そのままアイツの近くへ寄り――机をどん、と叩く。

    「次の週末。休養日でしょ」
    「ああ、うん」
    「……朝の十時。正門前」
    「え?」
    「要件は言ったから。遅れないでよ」

    それだけ言い残して、足早に立ち去る。
    ――想いに、けじめをつけるために。
    この瞬間、刑の執行日が確定したのだ。

  • 120522/03/09(水) 21:14:02

    >>119


    「……遅い」

    「いや、ちょっと支度に手間取って……」


    まだ集合時間よりも十数分早いのに。

    遅いなんてことはなく、アタシが先に待っていただけ。


    「何か言うことはないの」

    「遅れてすみませんでした」


    最低限。

    ――と、思ったら。


    「あと……勝負服もだけど、ドーベルは白が似合うね」


    ……なんだかこういう台詞を言い慣れているように思えて、むっとしたけれど。

    ひとまず及第点にすることにした。

    一度だけ大きく尻尾を振って。


    「じゃあ、行くよ」

    「ええ? 行き先聞いてないんだけど」

    「買い物」


    アタシはすたすたと歩き始める。

    少し後ろをついてきたアイツは、いつの間にか隣に並んでいた。


    ――今日だけ。

    今日で、終わりにする。

  • 121522/03/09(水) 21:15:36

    >>120

    行きつけのアロマ店。

    いつもは一人で来るけれど、今日は初めて連れが居る。


    「ドーベルがよく言ってたお店って、ここ?」

    「うん。……ほら、入るよ」


    アタシにとっては見慣れた店内でも、アイツには未知の領域らしく。

    きょろきょろしているのが少し面白い。

    それに、新しいことを教えているみたいで、ほのかな優越感のようなものも感じていた。


    「あ、これ」


    サンプルを手当たり次第に試していたトレーナーが、何かに気づいたように声を上げる。


    「……それ、アタシがいつも使ってるやつ」

    「ああ、道理で。覚えがある香りだと思った」


    そこの棚から新しいものをひとつ取りながら。

    “担当トレーナー”だから“担当ウマ娘”のことはよく観察してるんだな、と思った。


    「せっかくだし、トレーナー室でも焚いてみようかな」

    「えっ、これを? やめてよ」


    恥ずかしいから、とは流石に言えなかった。


    「いい香りだと思ってたんだけど」

    「……他のなら、何か見繕ってあげるから」

  • 122522/03/09(水) 21:17:08

    >>121

    落ち着くものがいいのか、とか。

    目が覚めるものがいいのか、とか。

    あれこれ聞いて吟味して。


    ――まあ、悪い時間ではなかった。

    いいって言ったのに、アタシの分までお代も出してくれて。

    勝手なわがままで連れ出しているのに、なんだか申し訳なく思った。

    でも、尻尾はまた揺れていた。




    「次。映画観に行くよ」

    「了解です」


    べじキャロリンを観た。

    周りは小さい子どもばかりだったけど、あまり気にならなかった。

    幼児向けだからといって侮れず、映画は予想以上に面白かった。

    途中で、ちらり、とアイツの横顔を見た。

    オフの日の姿を見ることはあまりなかったから、今更ながら新鮮に思った。

    胸の奥が少し痛んだ。




    何かの雑誌で見たレストランで遅めのランチをして。

    べじキャロリンの感想を語り合って。

    妹や弟の話もして。

    アイツには小洒落た場所はあまり似合わないな、と思ったり。

    頼んだデザートを一口だけ分けてみたり。

  • 123522/03/09(水) 21:18:15

    >>122

    駄目だなあ。

    ――やっぱりこの人のことが好きなんだな、って。

    もっと早くに想いに気づけていたのなら。

    一歩を踏み出せていたのなら。

    ――愛する人という立場になれていたのなら。

    こんな日々をいくらでも手にできていたのだろうか。

    トレーニングとかミーティングではなく、自由な時間の中で。

    アイツと同じ瞬間を共有しているということが、どうしようもなく尊くて。


    決心が揺らぐような気がして、また胸の奥が痛む。


    「――ドーベル、ドーベル?」

    「……なんでもないから。……そろそろ次行こうか」


    コーヒーを呷って席を立つ。

    思っていたよりもカップの中身が残っていて、むせそうになった。

  • 124522/03/09(水) 21:19:39

    >>123

    オレンジに染まる道を並んで歩く。

    ひとときの夢が、覚めるときがやってくる。


    最後なんだから、と言い訳をして。

    一歩、肩を寄せる。

    そっぽを向いたまま、空いた右手でトレーナーの左手をつついて、指先を握った。

    一瞬だけアイツがこちらを見て。


    「……今日は嬉しかったんだ」


    しみじみといった様子で口を開いた。


    「これまでいくら気分転換に誘っても、首を縦に振ってくれなかったから」

    「……ごめん」

    「そんなことはどうでもいいんだ」


    それよりも、とトレーナーが続ける。


    「ドーベルとたくさん話せて、心を開いてくれたんだなって思うと感慨深くて」


    そう言って、アイツはアタシに微笑みかける。

    ――親愛に包まれた、柔らかな笑顔。

    その表情は、さっきの言葉が本心から出たものということを保証しているのと同時に――


    ああ。

    やっぱり、“担当トレーナー”と“担当ウマ娘”という関係でしかないんだ。

    あの子に見せていた顔は、アタシに向けられることはない。

    アタシがアイツの特別になることはできない。

    今になって、すべてを認めることができた。

  • 125522/03/09(水) 21:22:22

    >>124

    ――心を開いて。

    心を開いて、か。


    終わらせるにしても、抱え込むだけじゃないよね。


    「寮、着いたよ」

    「……うん」


    アタシは大きく息をつく。

    精一杯の勇気を抱いて。

    つまんでいた指を一瞬だけ、ぎゅっと握りしめて。

    手を離して、数歩駆ける。

    トレーナーの前に飛び出す。


    振り向いて、一歩。

    そして、背を伸ばして――


    「……っ!」

    「トレーナー。黙って聞いて」


    遅い。

    あまりにも遅すぎる。


    「――アタシは、アンタのことが好き。悩んだけれど、どうしても好きなの」

    「ドーベル――」


    遅すぎるけれど、ようやく素直になれた。


    「何も言わないで! ……わかってる。わかってるの。アンタはアタシじゃない誰かを愛しているということも。だから、この想いには応えられないことも」

  • 126二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:23:43

    My dream,your smile 忘れようとすればするほど好きになる……

  • 127522/03/09(水) 21:24:29

    >>125

    じっと、トレーナーの目を見据える。


    「それでも、もう一度言う。アタシは、アンタのことが好き。……それだけ」


    そう言って、玄関へと足を向ける。


    「じゃあ、また明日。トレーニング、よろしく」


    この想いは届かない。

    届いてはいけないもの。


    それでも。

    言いたいことは言えた。

    弱いアタシにけりをつけて、自分の気持ちと向き合うことができた。


    それだけで、十分だった。


    アロマを焚く度に、今日の出来事を思い出すのだろう。

    あの香りは、胸の痛みも呼び起こしてしまうのだろう。

    けれど、いつか。

    きっといい思い出になれるって、信じてる。


    こうして、アタシの恋心は空へと還っていった。


    夕陽が眩しかった。

    モノクロームの世界に風が吹いて、ほんのりと彩りがよみがえった気がした。



    メジロドーベル√ END 4『Just a small step』

  • 128二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:25:32

    救いはあるのですか〜?

  • 1295 あとがき22/03/09(水) 21:27:02

    別ENDです

    ごめんねベルちゃん……という罪滅ぼしで書きました

    救いはありまぁす!!

    タイトルはドーベルのキャラソンから連想(かわいい曲だから皆聞いてね)

    脳破壊連鎖が始まる前かつ心の芯を失わなかったら、耐えきって前に進める強さを保っているのかなあという解釈です


    正直言って>>92からのやつが自分で書いておきながらどうしようもなさすぎて今読んでも辛いしこれを超える完成度を叩き出せる気がしない

    苦しい話の方が筆が進むのもおかしいでしょ


    ほな、また脳破壊に戻ってもろて……うぐっ

  • 130二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:27:58

    良い物語を読んだはずなのに胸と胃が痛い……

  • 131二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:33:22

    アロマみたいにスッキリなお話ですね!(なおトレーナーの末路)

    こんなにいい空気焚いてくれたんだから
    後はその精油で盛大に炎上させたいですねえ……どう転ばせようか(

  • 132二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:39:10

    ズブウマの癖に人のものに手を出すのは速いんだねというクソ発言が浮かんだがそんなことベルちゃんが言うわけ無いだろ!!

  • 133二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 21:49:42

    文豪なぜこんなところに…?ありがとう

  • 134二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 22:16:37

    詰みスタートすぎる
    誰に恋心がバレても曇るし

  • 135二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 22:21:36

    ベルトレはドーベルの気持ちある程度汲みつつからかい、ドーベルの気持ちわかった上で気ぶるブライトの構図で見てた育成シナリオ大好きだったから解釈違いではあるけど、それはそれとしてとてもいい

  • 136二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 22:28:48

    >>132

    自分がズブだと知っていて、かつドーベルの気持ちを知っていたからこそ、もう遅いとわかった上で自分の気持ちを正直に伝えたんだろうなぁ…

    結果として誰よりも先んじて彼を勝ち取ってしまったわけで…

  • 137二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 22:59:51

    言いたいけど照れで言えなかった言葉が、言いたいけどもう言ってはいけない言葉に変わったことに気付いてしまったドーベルからでしか摂取できない栄養は確かにある。

  • 138二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 23:02:33

    >>127

    数年後に送られてくるブライトとトレーナーとその子供の写真見て一瞬だけ自分の面影はないと思ってしまったことに苦笑しつつ、写真立てに飾ってある一番幸せそうに映る自分と旦那の写真を見て微笑みそう。

  • 1391422/03/09(水) 23:08:32

    >>127

    >>135

    >>136

    >>138

    この解釈好きだから助かる

  • 140二次元好きの匿名さん22/03/09(水) 23:17:21

    >>129

    >>135

    実際結構本編とは解釈違いだからこそ、前提としてドベトレ×ブライトでドーベル→ドベトレしつつだと、色んなアイデアがドベトレはそんなことしねぇー!、ブライトもそんなことしねぇー!、ドーベルはそんなことしねぇー!で流れていって前提守りつつ幸せな流れに持ってくの難しいのわかる気がするわ。

  • 141二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 00:02:42

    ドーベルがようやく自分の気持ちに折り合いをつけられそうになった矢先にレース中の事故で意識が戻らなくなるブライト…という概念はどうだろう

  • 142二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 00:11:08

    >>141

    これ以上地獄を増やさないでくれ…マジで脳が壊れる…あるなら読む

  • 143二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 00:45:13

    >>142

    すまんがSSの書き方を知らないので…

    ただ、長い間意識不明だった人物が、周りの様子を聞いて知覚していたという事例は少くないそうだ

  • 144二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 02:32:34

    スパイラル~推理の絆~EDのカクテルの歌詞が似合ってしまいそう。

  • 145二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 11:28:25

    名SSが増えてて俺は……最高になった

  • 146二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 11:29:22

    >>141

    君が望む永遠でもしたいのか

  • 147二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 12:24:20

    >>146

    嫌だよダスカに猫のうんこ踏めとか言われそうなドーベルなんて

  • 148二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 12:32:23

    久々に覗いてみたらすごいことになってた…心が痛むのに読むのをやめられない、いいと思ってしまう…これが脳破壊…これが…!!

  • 149二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 12:51:24

    ドーベルはこんなことにならない!ベルトレはそんなことしない!!ブライトもこんなことしない!!!
    それはそれとして読みたい!!!!

  • 150522/03/10(木) 20:25:30

    >>141

    リノリウムの床を一心不乱に走る。

    勢いよく扉を開くと、いくつもの管と機械に繋がれ、ベッドで目を瞑るブライトと、椅子にうなだれるトレーナー。


    「ブライト!!」


    彼女の元に駆け寄る。


    「ブライト……っ!」


    涙が彼女の髪を濡らす。

    誰よりも親しい相手が痛ましい姿になっていて、平然としていられるはずがなかった。

    背中をさする大きな手を感じながら、アタシはずっと泣いていた。




    「命に別状はないけれど、しばらくは眠ったままだろうって」


    トレーナーが重々しく口を開く。

    その顔には――泣き腫らした跡が見えた。

    それもそうだ。

    最愛の人が大怪我をしたのだから。


    「……ブライトのトレーナーは出張を切り上げて明日戻って来るらしい」

    「アンタは……」

    「これから学園に戻って報告とか連絡とかしないといけないから。……ドーベルは少しでも傍にいてあげてほしい」

  • 151522/03/10(木) 20:26:48

    >>150

    そう言って病室を出ていくアイツの姿はあまりにも弱々しく、すぐにでも倒れてしまいそうなほどだった。


    ――一人にして放っておけないほどに。


    (……っ!)


    頭の中を何かがよぎる。


    (違う。違う。アタシはそんなんじゃ……)


    頭を振って邪な考えを振り払おうとする。

    けれど。


    (とっくに終わらせたはずだったのに……っ)


    “意識しないように”意識する度に、おぼろげだったものの輪郭が浮かび上がってくる。

  • 152522/03/10(木) 20:27:53

    >>151

    『隣は空いているぞ』


    耳元で悪魔が囁く。


    『邪魔者は当分居ないんだ』


    たたみかけるような声。


    『自分の気持ちに“素直”になるんじゃないのか?』


    鍵をかけて心の奥底にしまっておいた記憶が甦る。


    (っ……ぁ……)


    粘ついた血液が全身を巡る。


    (悪く……ない……)


    横たわる彼女は口を閉ざしたまま。


    (アタシは悪くない……)


    そう。仕方がない。


    (アタシのトレーナーを、元の場所に取り戻すだけ……)


    ――そうして、アタシは人としての道を踏み外した。

    窓に映る誰かの瞳は、昏く濁りきっていた。

  • 153522/03/10(木) 20:30:59

    闇堕ちベルちゃん……ごめんねブライト……
    怪我させるのはガチで辛くて書けないもうやらない

  • 154二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 20:32:35

    当然だけどブライトにはブライトのトレーナーがいるんだよな......
    ブライトのトレーナーの脳も破壊されてそう

  • 155二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 20:36:09

    >>154

    ♂トレでも♀トレでも心が痛い……

  • 156二次元好きの匿名さん22/03/10(木) 20:37:42

    ブライトが育成実装されたらブラトレ×ドーベル概念も産み落とされるんだろうか

  • 1572922/03/10(木) 20:45:43

    続きだけじゃなくて別ルート助かる

    でももうちょっと重いのもみたいな〜
    別の切り口もほしいな〜

    ……自分で書くしかないか(

  • 158二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 00:56:05

    すごいスレを見つけてしまった・・・
    もう読みたくねえ、だがもっと読みたい・・・

    こんな心配してもだけど発端を作ってしまったスレ主も楽しめているのだろうか・・・

  • 1592922/03/11(金) 01:00:03

    >>157

    2000字辺りで進捗が死んでる非力な私を許してくれ……


    言い訳をするとブライトが泣き出してしまったので私まで筆が止まってるんだ……

  • 160122/03/11(金) 02:53:54

    >>158

    大丈夫

    スレ主ですが、今さらだけどなにせ >>14 >>62 は私なので


    さあみんなでメジロドーベルを育てよう

  • 161二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 03:06:34

    あぁ~~
    【↑↑↑↑↑絶不調】

  • 162二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 03:15:26

    ドーベルシナリオを知っている人ほど救いのないWSSに脳が焼かれていく快楽に溺れていくのだ…

  • 163二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 03:24:08

    こんなにも悲しいのに口角が釣り上がる…嫌な感覚だ

  • 164二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 12:16:34

    どうして次々素晴らしいなモノがお出しされるんですか…?
    もう最高…

  • 165二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 15:26:15

    ふとしたきっかけで妹分たちの愛憎を知ってしまったライアンお姉さまが巻き込まれるってのは如何?

  • 166二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 17:06:45

    >>165

    お姉さま優しいから本気で悩んでしまって体調崩しちゃいそう…

    そして悩むうちに少女漫画なんかで似たようなシチュエーションを思い出してしまってしばらく漫画が読めなくなっちゃうんだ…

  • 167二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 21:05:42

    このスレきっかけで気になったからチケットでドーベル交換しよ

  • 168二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 00:08:07

    スレ主は楽しめてると言うけどここまでの大規模脳破壊祭りの会場になるとは予見できていたのだろうか

  • 169二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 02:52:00

    学生の間に付き合うことになったのも、同じ年頃同じメジロの子と付き合うことがドーベルとのトレーニングに役立つからと押しきったものの、確かに真摯に全てをトレーニングに活かそうとするドベトレを見て、そんな真摯な紳士だから好きになったけど自分をもっと見て欲しい、でも言い出したのは自分だから口には出せない。そうした悶々とした気持ちもレースにぶつけてきたけれど、ついにはドーベルに得意なはずの春天ですら敗れたこのブライトの気持ち…

  • 170二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 06:50:56

    >>167

    このスレきっかけっていうのもアレだけどドーベルのストーリーはいいぞ。トレーナーがクソボケじゃないしな

  • 171二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 07:19:17

    脳破壊は癌には効かないがいずれ効くようになる

  • 172二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 07:36:21

    脳の破壊と再生が繰り返される恐ろしくも
    素晴らしいスレ

  • 173二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 07:38:11
  • 1742922/03/12(土) 11:21:28

    >>2を見てやりたかった、禁断のブライト目線の怪…お話です

     

    ちょっとスレの流れとは切り口が違います(むしろこっちに行くと思ってた)

    つまりトプロ感が薄いです

    でも暗いし長いし曇るし雑いし依(ry…

     

     

    わたくしこそが、メジロの”新たな栄光”となる夢。

    身体を磨き、研鑽を重ね、成らんとする志を膨らせ続け、ようやくデビューを飾ったあの日から、わたくしたちだけの栄光がはじまった。

    そのはず、だったのに──。

     

     


    わたくしにとって、特別な存在であるドーベル。

    あの子と誓いと交わした──いえ、交わそうと決めていたからずっと。

     

    いつか必ず、共に最高の栄光を掴もうと、走り続けてこられたのです。

     

    それが同志としてのみならず、同期でクラシックの道に邁進することが出来るなんて、どれほど喜ばしかったか。

     

    しかし、次々と冠を戴くあの子と違い、わたくしは惜敗ばかりで、何の栄誉もあげられず。

    人生で一度のクラシック路線は、見せ場なく幕を落としてしまった。

     

    自らの限りを尽くした結果だからこそ悔いはなく、それだけに、突き付けられる厳しい現実が骨身に堪える。

    もたつく上に、キレ味に欠ける。己が性質に今更感じ入る恩讐はありませんが、苦しいのはわかっていた。

     

    同じレーススタイルしか取れない以上、レースの主導権を逃げやキレ味で取られれば、勝ちの目を見るのは難しい。

     

    それでも、歴史を塗りつぶす栄光を描くには自分とその志を信じて、進み続けるしかない。

  • 1752922/03/12(土) 11:21:52

    >>174

    誓いを交わし合ったのに、あの子にばかり先を行かせてしまった。

    いずれ自ら目指していたでしょうが、一方的に迫ったわたくしが、このままではいけない。

     

    誰よりも誇れるスタミナが身についた。競り合う間もなく伸びる脚を確立した。勝負根性も根限りに解き放てる。

     

    ようやく、始めることができる。

    過去をすべて塗り替える輝き──わたくしたちの”新たなる栄光”を。

     

    貴きメジロに新たな盾を。

    まずは必ず、先達に恥じぬ功績を、春の季節で打ち立ててみせる。

     

    ……そうしなければ、ならなかったのに。

     

     

     

     

    愛するメジロに報いる為に、果たすべきつとめがある。

    共に駆ける同志と共に、刻み込むべき輝きがある。

     

    すべてを賭けた春の舞台。自分を信じて人生で最高の走りが出来た。

    その果てに──栄光を全て戴くあなたが居た。

     

     

    「譲っては、ならなかった……! ここだけは……譲ってはならなかったのに!」

     

    すべて受け入れられるからこそ、広がる光景が像を結ばない。世界が、道程が、光を失ったようにしか感じられなかった。

    栄光どころか悲願にも、期待にも、何一つ応えられなかった。

     

    そしてこの日から、世界は徐々に、暗く染まっていった。

  • 1762922/03/12(土) 11:22:10

    >>175

    優駿が集った宝塚記念。

    わたくしは栄光にはあまりに程遠い惨敗を喫して、砕かれた。

     

    ライブが終わり朦朧としたまま、おそらく控え室に向かっていたときだっただろうか。

    燦然と成ったドーベルとそのトレーナーさまが、さらなる飛躍を誓い合う一幕が目に飛び込んできた。

     

     

    「……あれほど、立派に成ったドーベルに比べてっ。

    わたくしは、なんと、無様で、”不甲斐ない”……っぁ」

     

    未来へと目を光らせるあなたたちの傍で、わたくしは一人、暗澹たる世界に堕ちてしまった。

    進むべき道は過去と脚が覚えている。これから積むべき研鑽、目標もわかっている。

     

    それでも、このままでは、いや、もうおそらく──……っ…………。

     

    ……ただ、頭は常に、先の未来を弾き出して、イヤなのに、わたくしに見せようと──する中で気付いてしまった。

     

     

    『不甲斐ない──ドーベルにばかり背負わせて──わたくしが──』

     

    不甲斐ない、背負わせてばかり、などと。

    どの口が、言っていたの。

     

    わたくしは、何も成せないままなのに、あんな事を一度でも口走って。

    あなたは共に行くまでもなく、自分の力で背負い、栄光を冠し続けられるというのに。

    わたくしは、なんて……

     

    ……もう、あなたと共に道行く資格なんて───

  • 1772922/03/12(土) 11:22:41

    >>176

    ……エリザベス女王杯。

    彼女は、貴きメジロに猛き冠を戴いた。

    描き始めたのだ。新たなる栄光を。たった一人で。

     

    わたくしは、独り闇でもだえるだけだった。

     

     

    「……今日が、ドーベルとメジロ家の栄光特集を見る約束をした日、でしたっけ」

     

    志どころか、脚すらおぼつかなくなっていたあの日、わたくしは遂に、崩れ──

     

    「──! ブライト、どうしたんだ!?」

     

    ──堕ちた先で、貴方に絡めとられてしまった。

     

     

     

     

    「ドーベルの、トレーナーさま……」

     

    明らかに普通でないと諭されたが、繕うことも出来ず、明かせる本音も無かった。

    だから後生のためにと、今までのドーベルの軌跡について、教えてもらうよう話題を逸らした。

    話すうちに彼女の良い所の言い合いになって、なんだか自分までほっこりしていった。

     

    貴方はこちらを慮り、優しく接してくれた。

    話していて直ぐに身に入る。彼女は一人ではなく、彼と共に歩んだから、栄光を目指せたのだと。

    相手を第一に気遣う人情と信じることを末通す志が、彼女を強く、眩く成長させたのだ。

    今はわたくしがその殊勝な姿に、背中を押されるようだった。

  • 1782922/03/12(土) 11:23:00

    >>177

    しかし、感じ入るのはそこまで。

    そこで図らずしもわたくしは、更に己の情けなさを思い知らされることとなってしまった。

     

    「え……。ドーベルは、あの時期、自信は無く自分の弱さに打ちひしがれていた、と──?」

     

    特に、春は一番低迷していたと言う。

    あの時の彼女に、先達の光をわけてもらうなんて性根すらあったというなら。

     

    わたくしは、覚悟の無いドーベルに、ねじ伏せられて、しまったと───

     

    「──うぅぅぅぅぅぅッ……!!」

    「──!」

     

    わかっていた。ずっと共に歩んだから、本当は、彼女の状態は、わかっていたはずなのに。

    目を逸らすどころか、見ようともしなかった事実。

    過ちを犯し続けた、わたくしの胸が抉られていく。

     

    暗い現実が苦しくて仕方がなく。

    彼女が一人だなんて迷妄までしていたわたくしは、なんと、あまりに、惨めな。

     

    気が付けば、わたくしはその場で崩れ落ち、滂沱の涙を垂れるばかりで。

     

    貴方はただ、驚きはすれど、何も言わずに暗がりで冷えきったわたくしを、温かにさすってくれていた。

  • 1792922/03/12(土) 11:23:31

    >>178

    「……本当は、とっくに理解していたというのに」

     

    『譲っては、ならなかった……! ここだけは……譲ってはならなかったのに!』

     

    まだ、終わりではない。応えるべき期待はすぐそこにある。

    でも、自分の性質は、実力は、自分が一番身に染みるほどわかっている。

     

    だから、あの日、取らなければならなかった。

    わたくしが、わたくしこそが成さなければならなかった。

     

    計算、考慮した、一族の悲願という視座や世間体。

    わたくしが、栄光を始めるには。

    あそこが輝かしく広がる未来の、分水嶺だった。

     

    貴方に気付かされたから、もう決して目を逸らさない。逸らせない。

    あそこで功績を打ち立てないと、もう未来で栄光には────

     

    「っ……本当は、共にと嘯きながら、その形で『メジロブライト』が成したかっただけなのに」

     

    『わたくしたちの”新たなる栄光”を……ドーベルと共に、”わたくし”が──!!』

     

    メジロならばそうすべきという観念、共に輝くことで一層増すであろう栄光。

    少なくない打算でドーベルを巻き込んだのに、自分は応えられなくて。

     

    特に最近のわたくしは、己と彼女を比べ合わせるなどと、建設的でない思考ばかり。

    これが、あの春の彼女の情緒と似通っている事実が、自分の未熟さを証明している。

    ましてや、そんな状態なのに、春の盾を譲っ──

     

    ──いいえ。強い彼女との誓いの生き証人なのに、精彩を欠いた彼女に出し抜かれ敗北した、自分がただただ厭わしかった。

  • 1802922/03/12(土) 11:23:53

    >>179

    「……ですが。

    愛すべき名と彼女との契りを成せなかったことで、わたくし自身が滞った有り様であるのが、最も情けないですわ~…………本当に」

     

    ……こうして未熟惰弱を燻り続けているのが、一番情けない。

    勝者だけが歴史に栄光を刻み付けられるこの世界で、誰しもが相対する不安や恐怖に、今更打ちのめされている。

     

    過去は過失と惨苦だけではなく、いつでも向くべき未来への試練。

    墜下したとて夢を諦めては、栄光なんて届かない。

     

    夢を叫ぶには、結果を出さないと意味がない。

    弱い自分を受け入れ、嘆きと悲憤は置いて、退路を断ち、自分の、ペースで、前へ…………ぅ──

     

     

    「………………」

     

    それでも、ひどく、重くて。

    脚はもう、動かなかった。

  • 1812922/03/12(土) 11:24:27

    >>180

    「……俺は”ドーベルの"トレーナーだから、君の抱える覚悟はわからない。

    でも、これだけは言える。ドーベルが強く軌跡を描いて高みを目指せるのは、君がいるからだ」

    「……ぇ──」

     

    「俺が一番近くでドーベルを見ていた自負があるけど、ブライトが誓いと軌跡──輝く未来へずっと道をしるしてくれたことを知っている。

    彼女と俺との相互関係だけじゃない。君がいたから、俺たちもここまでやってこれた。……なんて、言えるぐらい大きな存在だよ、君は」

     

    「…………でも、わたくしは彼女に応えることが、出来ません。

    誓いどころか、夢どころか、もう──「待って」──っ」

     

     

    「それだけは違う」

     

     

    「君は諦めていない。誓いだけじゃなくて、夢を諦めてない。

    ドーベルと切磋琢磨してきた君だから、それだけはわかる。

    だから、脚を止めずに走り続ける君が、情けないはずはないよ」

     

    「っ~~…………それでも……わたくし、はあの日……」

     

    「……打ち克つには、これからも走り続けるしかない」

     

    「え……」

     

    「ずっと一つのことを追い求められるのは、凄いことだと思う。

    それだけに、絶対に達成したい目標への想いは、自分しか推し量れないだろうけど」

     

    推し量れない、なんてご謙遜を。

    すべて、見透かされているではありませんか。

  • 1822922/03/12(土) 11:24:44

    >>181

    「──夢は、形を変えるから。

    敵わなかったり、屈したり、破れたりしても。その度に、立ち上がって、前を向ける」

     

    ドーベルは、誓いがあったから目標を立て、しかし中途で覚悟しきれず、それでも新たな形として自分を強く持ったからこそ夢に挑み続けられた。

    そしてそれは、わたくしの覚悟を目の当たりにしたから気付いたという。

     

    あの日のわたくしの蹄跡は、ドーベルに応えられた──?

    夢は、進化する、と──?

     

    「ずっと変わらない夢に向かって走り抜いてきたのかもしれない。

    だからどこかで、決定的な場面でくじけそうになったのかもしれない。

    それでも挑戦を辞めない限り、旅路を無駄だと思わない限り、輝く未来は決して消えない」

     

    未だ暗い紫の瞳孔まで射貫く視線。光無き世界に墜ちた身を包む温度。

    眩いほどの優しさが、勝手に塞ぎかけたわたくしの心を照らしていく。

     

    「なにより。望んだ夢を飛び越えて──想像もつかないもっと凄い栄光を紡げるって思えば、面白いだろ?」

     

    「────!!」

     

    ──そうして、光の中に私は立っていた。

     

  • 1832922/03/12(土) 11:25:59

    >>182

    「まあ、それを成し遂げる一番強いウマ娘はドーベルだけど。彼女のためにも共に走る君が必要だからって、打算もあったりするからさ。

    だから、差し出がましいことばっかり言ってごめんな、って──!?」

     

    「──この度は突然に迷惑この上なく情けのない非礼を働いてしまったこと、本当に申し訳ありませんでした」

     

    ああ、困惑させてしまっています。

    当然でしょう、勝手に弱音を漏らした上に、唐突に額が擦れそうな具合に謝罪されるなんて。

     

    顔が上がる。これだけは、どうしても伝えたかった。

     

    「そして──私に輝く夢【栄光】をしるしてくれて、ありがとうございます」

     

    「……! ……ああ、これからもよろしく、ブライト。

    ドーベルと新たな舞台で、待ってるから」

     

    貴方の透徹した熱いまなこに映る真実の私が、闇を振り切って微笑んでいる。

     

    決して譲れなかったから、程遠くなってしまった私の夢は、進化させて臨めるのだと教えてくれた。

    ……私を、独りにしないでくれた。

    …………私に、走り続ける理由をくれた。

     

     

    「──まだまだ、鍛え上げなければ、ですわ~」

     

    貴方様のお陰で、ひた走った先にある、想像のつかない”新たな栄光”を夢見られる。

    ならば、『待ってる』なんて言って下さるなら。

     

    脚はもう、とっくに動き出していた。

    まずはそれに応える形で、輝くことを目指しましょう。

  • 1842922/03/12(土) 11:26:43

    >>183

    それで。

     

     

     

    それで。

     

     

     

     

    わたくしが偉大な栄光を果たすことは、終ぞ───

     

     

     

     

     

    シニア級、見えない未来の栄光のために駆け続けたけど、やはり一筋縄で果たせるものは無い。

    一つ下の世代で、わたくしの天敵である脚を放つ若い輝きが跋扈しているから。

    勝鬨をあげられたのもたった一度で、夢はますます遠くなるばかり。

     

    ただ、不思議なのは。

    あれほど示したい栄光よりも、あの方に応えられていない現状にモヤモヤすることだった。

     

     

     

    輝かしい成績をあげ、今もなお”新たな栄光”の軌跡を描き続けている彼女と、トレーナーさま。

     

    未だ惜敗続きで、望むものは掴めず、されど確かに未来に夢を見続けるわたくしは──彼女たちと共に進めているでしょうか。

    そんな疑懼の思いから始まり、あの方とお話しする機会は自然と増えていた。

  • 1852922/03/12(土) 11:27:10

    >>184

    ただ、その度に言いようのない不安や焦燥を感じるようになった。

    今までに覚えがないもので、でもその正体を知りたくて。

    さらに交流は盛んになっていった。

     

    結果や栄誉ばかりを気にすることは無くなったからか、前より一層おっとりでマイペースになったと言われるようになった。

    もうなんかオーラが凄い、なんておっしゃられて、嬉しいやら恥ずかしいやら、よくわかりませんでした。

     

     

     

    「ふふっ、いつでも波乱万丈で上手くいかないものですが~……、トレーナーさまとドーベルが励んでいるからわたくしも精進できます。

    …………幸せ者、ですね。わたくしは」

     

    自分を貫き通し、そびえ立つ壁から目を逸らさず、

    夢を見続け、それに向かって進めるだけでも幸福だった。

     

    望む限り未来は広がる。だとしても、わたくしの見える世界や成せる目標は下がり続けている。

    けれど、不甲斐ない軌跡も現実も拭うことはしない。

    貴方がいつでも舞台で、『待ってる』から。

     

    そんな明かりを頼りに、私はここまでやってこれた。

  • 1862922/03/12(土) 11:28:34

    >>185「ドーベルはエリ女二連覇を達成した。……誇るに足る未来まで、そう遠くはないのかもな」

    「またまた~、私たちは”新たなる栄光”を未来永劫まで轟かせるのですわ~」

    「……ああ、君たちが望む限りずっと、だよな」

    「改めてですが、貴方の存在は絶対に”必要不可欠”ですわ~。貴方がたのレースを駆ける関係は、私が”羨ましく”思ってしまうほど。

    そんな貴方様なのですから、胸をどんと張って、───」

    「……? ブライト?」


    ふと、思った。

     

    どうして私は、ここまで勇気をもらえるのでしょう。

    どうして貴方は、こんなにも温かなのでしょう。

     

    疑問をフワフワ浮かべると、あの不安と焦燥も一緒にせり上がってきた。

    そして最後に、夢見る栄光も、遠巻きに浮上している気がした。

     

    じゃあ、つまり。

    そういうこと、だったのですか~……。

     

    ……そう、なのね。

     

    …………うれしい、な。

     

     

     

     

     

     

     

    「────欲しい」

    「え?」

  • 1872922/03/12(土) 11:29:27

    >>186

    ガタン、と、何かが崩れる音がした。

    もう、眼前に、貴方が居た。

     

    二度と離さないよう、今度は私が指先から絡めとっていた。

     

     

    「──っ!?」

     

    「──貴方が欲しい。

    未来永劫まで続く、私たちの栄光のために」

     

     

     

     

     

     

    はじまりとは全然違いますし、栄光はとっくに万里の彼方へ見えなくなった。

    けれど、私は今も走っている。

     

    誓いも矜恃も消えてはいない。

    けれど、私の真ん中には貴方がいる。

     

    貴方に絡めとられたあの時からずっと。

    どうすればその恩に応えられるか、見出した夢を果たせるのか、ずっと考えていました。

     

     

    それって全部。

    ただこうすれば、良かったのね──

  • 1882922/03/12(土) 11:29:37

    >>187

     

     

     

     

     

    「あのね、貴方が求めたのですよ~? ドーベルのためにも、私に走り続けてほしい、と。

    だったら私が応えるには。夢のためには。貴方が必要不可欠なのは──当然のことでしょう?」

     

    「あっ…………!」

     

     

     

     

    あるいは私は、自分でひょいっと立ち上がっていたのかも。

    でも、そうはならなかった。繋ぎとめて、未来をくれたのは貴方。

     

    想像できないほどの厳しい未来は──あまりにも甘美で。

    こんな幸せに満ちた世界で、夢心地でしかいられなかった。

     

    だからこそ、白昼夢のようで不安だった。ずっと続けたくて焦っていた。

    絶対に、失いたくなくなかったから。

     

    光差す世界をくれた貴方がいてくれれば、そんな憂慮は永遠に起こらないの──

  • 1892922/03/12(土) 11:30:12

    >>188

    「──あっ」

     

    ……ああ。

     

    わたくしは、なんとわがままなことを。

     

    いつでも熱く優しい瞳に映るわたくしは、見たことが無いくらい溺れ惚けてる。

     

    でも、愛しさの抑え方なんて知らない。

    この手は既に、貴方の熱くなったほおべたを包み込んでいた。

     

     

     

     

    ──あれ?

     

    わたくしは、どうしてこんなに幸せなのでしたっけ?

     

    どうしてこんなに、まだ夢を見られるのでしたっけ?

  • 1902922/03/12(土) 11:30:22

    >>189


    …………まあ、いいや。

     

    この方と、あの時遭ったため以外に、何もない。

     

     

    「全部、貴方のおかげになってしまいしたね~。

    だからね、もう……この手を離さないで。ずっと、夢を見させて。

    貴方に応えるためにも。わたくしがこうなった責任、とってくださいませんか──?」

     

    「────」

     

     

    なんて言うけど、返事も待たずに。

     

    わたくしを繋ぎ止めた言祝ぎが、永遠に消えないように。

     

    ──その源泉を、呑み込むように引き込んだ。

  • 1912922/03/12(土) 11:31:02

    >>190

    ……いろいろありましたが。

     

    これまでの重ねた軌跡を評され、わたくしとドーベルは見事ドリームトロフィーリーグへ進出することが決まりました。

     

    ”新たなる栄光”は、まだ潰えさせない。

    もう、その在り方は、自分ではよくわからないですが。

    目の前にいる貴方が、生き証人なのですから安心です。

     

    「ブライト、まだこんな時間に、ここで……」

    「でも貴方は、いつだってこうして、受け入れてくださるではないですか~?」

    「……ああ」

    「ふふっ、ふふふ──一つも離さないで、くださいね?」

     

    夢は形を変えると、貴方が言ってくれた。

    辿り着いた先にあった形が、こんなに歪で愛おしいだなんて、それこそ想像できなかったですが。

     

    「あら……?」

     

    自分を貫くことを止めることはない。そも、止められないでしょう。

    不安も焦りもとっくに全部、多幸感に呑み込まれていった。

    もう、怖いものは何も無い。

     

    「…………見られたかも」

    「え? ……まさか」

    「いいえ♪ なあんでも、ないですわ~」

     

    貴方がわたくしを映す限り、この栄光は終わらない。

     

    これからもずっと、そこに仄暗い輝きを映して、ただ軌跡を描きましょう。

  • 192懺悔 あとがき22/03/12(土) 11:31:40

    可笑しい…ドーベルはともかく、なんでブライトまでこんなズブズブ依存酩酊チョイギマリ状態に…

     

    春天で敗れてもブライトはこんなことしねぇ~…よなぁ?ってずっと錯乱しながら書いてたらこの有り様でした。すまない…

     

    >>2と私が悪いんだよ…ドーベルに澱みをぶつける選択肢なんて無いからくすみ続けるブライトを掬い上げたらズブズブに呑み込まれる幻覚は人類の夢なんだよ!!どうしてわかってくれないんだ!!!(一転躁鬱)

  • 193二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 11:39:44

    すげぇよ、やはり文豪はいるだな。ほんの一瞬敬語が外れるブライトにやられてしまった。

  • 194二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 11:43:50

    ヤバいNTRだけじゃなくてガチのズブズブ怪文書まで刺さってきちゃった・・・

    よく考えたらイッチの欲望的にもこのズブズブ関係が本来の需要だったのでは・・・?

  • 195522/03/12(土) 11:44:52

    ああ、いい……どうしようもなく堕ちていくのいい……

    言い回しも素晴らしいしもっと語彙広げないとなあと思ったり

    >>ドーベルに澱みをぶつける選択肢なんて無いから

    本当にこの一言に限られていて、登場人物に(同士で)明確な悪意や負の感情をぶつけることはしたくないのよ本当に本当に

    そうすると必然的にずぶずぶ沈んでいくお話しか書けないのわかる?わかって……


    しかしブライトで数レスの話書いてたけどこりゃ投下する場所ないな

  • 196二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 11:45:37

    助かる
    ブライト側の気持ちはどんな感じなんだろうといろいろ妄想しちゃってたところだった
    無事に昇華されました・・・

  • 197二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 11:53:29

    そっか…春天取られたら後ブライトが1着になるレース1つしかないから栄光なんて…でも本人はもう幸せになっちゃったんだよね…

    てかこれ見てからドーベルのグッドエンド見たら強がってるようにしか見えなくなるじゃん!

    更に更にこっからドーベルが参戦する今までの各ENDに分岐するって考えたらブライトの心境って…ヒェッ

  • 198二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 12:07:48

    >>195

    完走した感想スレでやっちゃってくだせえ!いくらあっても良いですからね〜


    新しい扉がこじ開けられまくってずっと楽しい神スレだった・・・

  • 199二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 12:13:04

    既に乗り遅れてしまいましたがドーベルに無理矢理キスされたトレーナーが反射的に唇拭ってるといいなと思いました
    ブライトに操を立ててるとかドーベルが恋愛的に眼中になかった的な意味で

  • 200二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 12:14:15

    すげえ…完走した
    200ならベルちゃんの脳破壊

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