「そんな…あいつが新しい生命を授かるなんて…」

1セイシー・ポタポタ22/03/06(日) 21:15:49

ハリー・ポッターは悩んでいた。ヴォルデモートが女になっていたことか？否。いつのまにかヴォルデモートが改心していたことか？否。ヴォルデモートが孕んでおり、自分が親になることについて悩んでいた。ハリー・ポッターには親の記憶がほとんどない。自分は親戚のダーズリー家に引き取られ、幸福とは程遠い出来事に溢れていた。子供の頃のいい思い出などほとんどなく、ハリーは悩んだ。
自分が子供に対してできることは何か？どうすれば子供は幸せになれるか？それにヴォルデモートはどこまで答えてくれるか。
悩んだハリーが向かった場所は校長室だった。ダンブルドアはまるで来るのがわかっていたかの様に優しく、そして安心する笑みを浮かべていた。
その顔を見た瞬間、ハリーは崩壊した。泣き崩れ、自分の負担とこれからの不満を正直にダンブルドアに漏らした。
「ハリーよ。それは君が大人になった証拠にして、あやつが人に戻る唯一のチャンスじゃ」
ダンブルドアはそう答え、自分のフォークスの元に歩みと共に歩み、言葉を続ける。
「彼らは生まれ育ち、死に新たな自分へと続いていく。だが我らは、新しい生命を授かり、それを大切にして歩んでいく。違いこそあれど、それぞれ永遠なのじゃよハリー。」
そういうダンブルドアの顔は見えない。が、その後ろ姿は大きく、そしてなにより温かった。
「ハリー、君の両親から受け継いだ愛をあやつと子供に与える時が来た様だ。大丈夫さ。君ならやれる」
そう言われたハリーはもう迷わなかった。心に一つの道が示され、輝いていた。
「ダンブルドア校長、ありがとうございます」
お礼を言いながら頭を下げると、ダンブルドアは再び笑みを浮かべた。それは、初めて組み分けをされた時に見た、温かく、そして優しい笑みだった。