スペちゃんの教えて♡トレーナーさん！(ラップバトル編)

1二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:43:09

※前回

スペちゃんの教えて♡トレーナーさん！(数学の起源編)｜あにまん掲示板※解釈違い、キャラ崩壊を含む恐れあり〜トレーナー室〜沖T「…よし、仕事も一段絡だな。ちょっと休憩するか…」ガララッ！！！！スペ「トレーナーさぁぁぁぁぁん！！！！」沖T「うおおおっ！？す、スペか！？」 …bbs.animanch.com

※解釈違い、キャラ崩壊を含む恐れアリ

〜トレーナー室〜

沖T「フンフンフフ〜ン…あれ、これ何の曲だったかな…リズムは分かるのに曲名が思い出せない…」

ガララッ！！！

スペ「YEAAAAAH！！！！！！！！」　

沖T「！！！？」

スペ「YOYOYO!トレェナさんYO！？どんよりふぇいすは似合わな〜い、悩みがあるなら言ってみNA?」

沖T「お…おおう…？」

スペ「さぁ見上げてぇ、空を見上げてぇ！眩しい太陽笑ってるぅ、ついでにあなたもSmile Smileすまーいる！！！いえーーーい！！！」

沖T「…………」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

スペ「せんきゅうッ！！！！」ﾄﾞﾔｧ

2二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:45:22

スペ「じゃなくて！？トレーナーさんもノって下さいよ！私一人じゃ恥ずかしいじゃないですか！」　

沖T「いや、でも上手かったぞ。ラップの才能あるんじゃないか？」

スペ「え、そうですかね！？へへぇ…」

沖T「しかし何でまた急にラップを…」

スペ「トレーナーさん知らないんですか？今はラップが熱い！ラップ旋風が吹き荒れてるんです！！」

沖T「どの辺で…？」

スペ「私のクラスでです！」　

沖T「その旋風狭くないか？」

スペ「ノーノー。今は小っちゃい扇風機〜、でも目指すぜ巨大なハリケーン！」ﾄﾞﾔｯ

沖T「いちいちドヤ顔すな…」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

3二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:48:12

スペ「いや〜、最初はエルちゃんが始めたんですけどね。昼休み急にエルちゃんがグラスちゃんにラップバトルを仕掛けて…」　

沖T「グラスワンダーに？そりゃまた酷なことするな…あの子はそういうのあんましなさそうだが…」

スペ「ところがどっこい！ラップバトルの結果はグラスちゃんの圧勝だったんです！」

沖T「えっ、グラスが勝ったのか？意外だな…」　

スペ「素人の私達でもはっきりと分かる勝負でした…2人とも英語使ってたから何言ってるかは分からなかったんですけど、勢いで突っ走るエルちゃんに対して、流れるようなリズム、完璧な韻の踏み、そして多分エルちゃんのハートを打ち砕くような言葉の数々…その後エルちゃんがラップを口ずさむ事は二度とありませんでした…」

沖T「エグイな…」

スペ「でもその勝負がきっかけで、みんなの間でラップが大流行！！エルグラ勝負のwinnerはグラァス！そしてラップが流行ったクラァス！！今じゃみんながラップで暮らぁす！！！いえあ！！」ﾄﾞﾔｯ

沖T「へー」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ…

4二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:49:26

キングのへっぽこラップは聴けるのかな？

5二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:51:01

沖T「そういえば、2人とも出身はアメリカだったか。ならラップに詳しいのも不自然でもないな」

スペ「へ？ラップってアメリカで生まれたんでしたっけ？」

沖T「アメリカで生まれたっていうか…うーんそうだな。正確には、ラップがこんな世界中で歌われるようになった原因が、アメリカで流行ったからってのはあるな」

スペ「？そういえば、ラップっていつ頃から歌われるようになったんですか？」

沖T「これも結構難しいんだけど…今みたいな、誰もが知ってる『ラップ』自体は、1970年頃のアメリカって言われてるな」

スペ「えっ、じゃあやっぱりラップはアメリカで生まれたんじゃないですか！」

沖T「今みたいな、って言ったろ？ラップにもちょっとした歴史があんだよ」

スペ「！そのお話、もっと詳しく聞きたいです！クラスのみんなに自慢出来ます！」

沖T「別に良いけどよ…結構暗い話だぞこれ」

スペ「暗い…？」

6二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:53:01

起源は抑圧された界隈の文化だから暗い暗い……

7二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:53:48

沖T「スペはラップを歌う外国人って聞いて、どんな人を想像する？」

スペ「外国人さんですか？うーん…」

沖T「ざっくりでいいよ」

スペ「そういえば…肌が黒い人が多いような…？」

沖T「そう、いわゆる黒人だな。ラップを最初に歌い出したのは、アフリカの血を引く黒人達なんだ」

スペ「そうだったんですか！」

沖T「まぁこれも正確に言うと、ラップの原型みたいなものなんだが…ラップにも色々あるだろ？曲に合わせて歌うラップとか、韻のみで歌うラップとか…それでお互いに言い合うラップバトルとか」

スペ「エルちゃんとグラスちゃんがやったやつですね！」

沖T「そう。で、音楽としてのラップが浸透したのはさっきも言った通り1970年代…それまでのラップと言えば、単にユニークで滑らかな喋り方って意味合いしか無かった」

スペ「へー…何がきっかけで音楽になったんですか？」

沖T「詳しい事は分からないが、当時貧困層だったアフリカ系のアメリカ人達が発端と言われてる。彼らは社会に対する不満とか怒りとか、とにかくネガティブなものを抱えてて、そう言う感情を音楽に合わせて吐き出してたんだ。広場とかに集まってな」

8二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 21:58:06

沖T「それが今のラップの元ネタと言われてるが…彼らもいきなりそんな事を始めた訳じゃない。感情を言葉にして吐き出し合う、これにも実は元ネタがあったんだ」

スペ「元ネタの元ネタ…ですか」

沖T「スペは『グリオー』って聞いた事あるか？」

スペ「ぐりおー？なんですかそれ」

沖T「アフリカに伝わる伝統芸能だな。どんなのかって言うと、一族の偉い人が楽器とかのリズムに乗せて、村の人々に色々な事を伝えるんだ」

スペ「何を伝えるんですか？」

沖T「本当に色々な事さ。昔話だったり、明日の予定だったり、他の一族との揉め事の内容だったり…中には超個人的な話だったりな。そういうのをリズムに合わせてユニークに伝える。どうだ？何かに似てると思わないか？」

スペ「！ラップですね！」

沖T「正解！今みんなが歌ってるラップを遡ると、このグリオーに行き着く…って言われてるんだ」

※グリオー参考映像

African Griots Live

9二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:00:12

スペ「…あれ？ラップの元ネタがグリオーっていうのは分かったけど、それアフリカのお話ですよね？なんで遠く離れたアメリカでラップが流行るんですか？」

沖T「…ここからが暗い話なんだが、黒人の人達が、昔は奴隷として扱われてた…ってのは、流石に知ってるよな？」

スペ「あぁ…はい」

沖T「18世紀頃、そのアフリカから沢山の黒人達が奴隷としてアメリカに連れて行かれた。そこで彼らは雇用主にこき使われまくった…劣悪な環境でな」

スペ「うぅ…ひどい」

沖T「彼らも人間だから、当然不満や鬱憤は溜まる。けど、そういうストレスを雇用主にぶつけるわけにもいかない。命に関わるからな」

スペ「でも、ストレス溜めすぎは良くないですよ。ご飯も美味しくなくなるし…」

沖T「だから彼らは雇用主以外にその鬱憤をぶつけ始めた。彼らがサンドバッグに選んだのは…自分達だった」

スペ「え？」

沖T「ここで登場するのが、『ダズンズ』だ」

10二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:02:01

これは沖スペ？沖スペだな！

11二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:02:10

スペ「だずんず？」

沖T「当時の奴隷扱いされてた黒人達の間で流行った言葉遊びさ。いわゆるディスり合いだな」

スペ「でぃす…？それって…」

沖T「つまり、お互いでお互いの悪口を言い合ったのさ。本来なら雇用主にぶつけるべき怒りを、他の奴隷達にぶつける事で一時的なストレス解消を図った訳だな」

スペ「なんだか…悲しいですね」

沖T「まぁ、根本的な解決にはなってないからな。その場凌ぎってだけで…けど、こういう発想に至れたのは、さっき言ったグリオーのように、黒人特有の音楽的な感性の高さのおかげと言われている。そしてこのダズンズが、今のラップの直接的な原型になった訳だな」

スペ「へー…何かルールとかあったんですか？ダズンズって」

沖T「基本は一対一、ギャラリーに囲まれてスタートだ。周りはヤジを飛ばしたり歓声を上げたり…最終的なジャッジもギャラリーに委ねられる。両者が使って良いのは言葉のみ、いかに上手い例えや韻を踏んで罵詈雑言を吐けるかって勝負だ」

スペ「ひえぇ…」

沖T「その一つ一つの口撃を『snap』と呼ぶ。そのsnapで相手の心を挫き、言い返せなくするもしくは、相手がキレて手を出したりしたらそいつの負けだ」

スペ「この前のエルちゃんみたいな感じか…でもそれ、勝った方はスッキリするかもだけど、負けた方は凄く落ち込みそう…っていうか、仲も悪くなっちゃいそうじゃないですか？」

沖T「意外とな？そういう訳でもなかったらしい」

スペ「ほえ？」

12二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:05:06

沖T「確かに、バトル中はカッとなる事も多かったらしいが、彼らはそれをお遊びだとちゃんと理解してたし、日頃から雇用主にそれ以上に頭にくる事をされてたからな。それが原因で遺恨が残る…って事は滅多になかったらしい」

スペ「へぇ〜…」

沖「むしろ、ダズンズはそういう日頃の劣悪な環境に耐える、強い心を鍛えるって目的でもあったんだ。いかに平静を保てるかってな」

スペ「確かに…雇用主さんにキレちゃったら終わりですからね…」

沖T「まぁそんなわけで、1865年に奴隷制度が廃止され、黒人達は自由になった訳だが、このダズンズが廃れる事はなかった。彼らにとっては、最早娯楽の一種になってたんだな」

スペ「最初はストレス発散の為だったけど、みんな楽しめるようになったんですね！」

沖T「そう。ダズンズは彼らの間で…いや、アメリカの若者達によって継承され続け、ユニークな例えや韻の踏み方、ディスりディスられに動じない強い精神を育てた。それが今活躍するラッパー達にも受け継がれてるって訳だ。黒人白人関係なくな」

スペ「うぅーん！深い歴史に感動しちゃったYO！」

13二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:08:25

沖T「まぁこんなもんかな。今じゃ世界中で歌われてるラップも、紐解いてみれば色々な事の積み重ねで出来上がってた訳だ」

スペ「そうだったんですね！勉強になりました！」

沖T「…ところでよ、スペは誰かとラップバトルとかしたのか？お前の才能なら結構良い勝負できると思うけど…」

スペ「え！？あ、いや…えぇーと！今修行中でして！トレーナーさんに最後の仕上げをお見せした訳ですよ！どうです！？ばっちりでしょう！？」

沖T「そうだったのか。うん、ばっちりだ。自信持って良いと思うよ」

スペ「そ、そうですかぁ！？へへぇ…！じゃ、じゃあ今日はこの辺で失礼しますね！さよーならー！」

ガララッ！！！

沖T「気をつけてなー。…なんか変な焦ってたなあいつ…まぁいいか」

14二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:10:48

〜次の日〜

沖T「昼飯食うと眠くなるなぁ…散歩でもしてないとマジで寝ちまいそうだ…ん？」

？？？「スヤスヤ…」

沖T「人が倒れてると思ったら…おいおい、こんな所で寝ると流石に風邪引くだろ…おい、起きろー」

？？？「ぐぅぐぅ…」

沖T「聞こえてるかー？おーい？…セイウンスカイ！」

スカイ「むにゃっ…！うーん…おはようございます…？」

沖T「昼だけどな。寝るにしたって場所を選べよ」

スカイ「おやおや？スペちゃんのトレーナーさんじゃないですかー。ねむねむセイちゃんこれにはビックリ、姿勢を正してご挨拶〜！なんちゃって☆」

沖T(本当に流行ってんだ…)

スカイ「あ、すみませんね？これちょっと今流行ってて…」

沖T「君のクラスでだろ？ラップ旋風吹き荒れてるらしいじゃないか」

スカイ「ありゃ？スペちゃんから聞きました？じゃあスペちゃんに伝えほしい事が…」

スペ「あれ？セイちゃんと…トレーナーさん！？」

沖T「お、スペ。丁度良いところに」

15二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:14:22

沖T「セイウンスカイが何か伝えたい事あるんだってよ」

スペ「…な、なぁに？セイちゃん」

スカイ「あちゃー。できればトレーナーさんを通したかったんだけど、仕方ない…スペちゃん！」

スペ「うっ……！」ｷﾞｸｯ

スカイ「まだクラスで勝負してないのはスペちゃんだけ！さぁ私とラップバトルといきましょう！」

スペ「うぅ……！？」

沖T「おっ！スペとスカイのラップバトルか！良いじゃないか。見せてくれよ、お前らの名勝負」

スカイ「さぁスペちゃん！」

スペ「…………」

スカイ「さぁさぁ！」

スペ「…………………」

スペ「むりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ！！！！！」ﾀﾞｯ

沖T「あっ！！おいスペ！！？」

スカイ「やっぱこうなったか…」

16二次元好きの匿名さん22/03/06(日) 22:16:09

沖T「な、なんであいつ逃げたんだ？」

スカイ「いやぁ〜、それがですね〜。スペちゃん恥ずかしいらしくて…なかなかノってくれないんですよねぇ…」

沖T「え？恥ずかしい？？」

スカイ「普通に歌うならともかくラップは韻とかリズムとかあるじゃないですか？なんかそういうのに自信ないらしくて…そういうの気にしなくていいよってトレーナーさんに言って欲しかったんですけど〜…フフッ、意外とシャイですよねぇ〜」

沖T「…………………」

スペ『YOYOYO!トレェナさんYO！？どんよりふぇいすは似合わな〜い、悩みがあるなら言ってみNA?』

スペ『さぁ見上げてぇ、空を見上げてぇ！眩しい太陽笑ってるぅ、ついでにあなたもSmile Smileすまーいる！！！』

スペ『今は小っちゃい扇風機〜、でも目指すぜ巨大なハリケーン！』

スペ『エルグラ勝負のwinnerはグラァス！そしてラップが流行ったクラァス！！今じゃみんながラップで暮らぁす！！！いえあ！！』

スペ『YEAAAAAAAAAH！！！！！！！！』

沖T「……内弁慶過ぎるYO」

スカイ「はい？」

end