- 1二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:13:03
今日も残骸を漁って日々の糧を得る。
昔から好きだった機械弄りも、最近はろくにしていない。
発電機を作っても、電気を使う意味がない。
電気を使うものを作っても、それがなんだというのだろう。
キヴォトスが滅びて、この都市はまあるく磨かれた球体になった。
平坦で、穏便で、私達が私達だった面影が残る都市の亡骸だけが横たわる、丸い地平線になった。
雨は降らない。風は吹かない。ただ淡々と日が昇り、眩しくもなんともないぼんやりとした光が降り注ぐ時間が続いて、それからのんびりと月が顔を出す。
寒くもない。暑くもない。エアコンの効いた室内のように、一定の温度に保たれているのは、温度を変えるなにかがこの都市から失われてしまったからだろう。
保たれているのではなく、変化のきっかけが存在しない。
誰もいなくて、何も変わらなくて、泣いても叫んでも得るもののない世界に、私は、小鈎ハレは生きている。
残骸を調べて、手軽に使える道具を見つけて、壊れていたらそれを直して。
減る一方のそれらを使いながら、食事をして、眠って、起きて、歩いて、食事をして、眠って、起きて、歩いて、食事をして、眠って、起きて、食事をして眠って起きて眠って起きて眠って起きて、起きて、歩いて、歩いて。
どうして失われてしまったのか、誰のせいなのか、何かのせいなのか。
そんな意味のないことに心を動かされる時間は、もうとっくに過ぎてしまった。
だから、私は今日も歩く。
いつか、私の目の前にピリオドを打ってくれる何かが見つかるまで。
いつか、私がピリオドを打っていいと、思わせてくれる何かに出会えるまで。
ここは廃滅都市キヴォトス。がらんどうの都市の亡骸。
ようこそ、そしてさようなら。
そう言える誰かが見つかることを祈って、自分の心が砕けて消えてしまえることを期待して、小鈎ハレは歩き続ける。 - 2124/12/15(日) 01:14:22
以上です。一人ぼっちな少女終末旅行的なサムシング。
興味があれば何か書いていってください。 - 3二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:22:25
良いSSだ
こうした擦り切れていく日常の向こうに幸せがあると良いな - 4二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:23:49
え…続きは…?続きはないのですか…!?
- 5二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:28:16
終末旅行系いいよね・・・もっと書いてくれても・・・いいんやで?