【ss】ちょっぴり独占欲が強くてヤンデレ気味なユウカが自分の役目を奪いそうな機械に嫉妬する話

  • 1新任先生24/12/15(日) 01:34:02

    「これで良し、と」

    私は早朝からシャーレの執務室でとある機械のセッティングをしていた。

    「じゃあアロナ、頼めるかな?」

    『お任せください! 先生!』

    シッテムの箱に話しかければ、アロナの元気いっぱいな声が響く。同時に眼前の機械がゴトゴトと動き出す。
    そんな機械の様子を満足気に見ていると、ふと入り口の方から聞き慣れた声がした。

    「先生、おはようございます」

    「あ、ユウカおはよう。そっかもうそんな時間かぁ」

    結構余裕をもって作業を始めた筈だが、思ったよりも時間を食ってしまったらしい、既に当番の時間のようだ。

    「……先生、それは? ミレニアムの刻印がありますが」

    ユウカが私の眼前にある機械に視線を送り、私の隣でしゃがみ込む。
    つんつんと機械を突きながら、興味深そうに観察していた。

    「ふっふっふー、それはねユウカ、私の仕事を手伝ってくれる演算装置だよ! ミレニアムのエンジニア部に頼んで作ってもらっていたんだ!」

    「へぇ~、そんな機械を作っていたとは、初めて知りました。それでどんなことが出来るんです?」

    ユウカがしゃがんだままこちらへ顔を向ける。

  • 2新任先生24/12/15(日) 01:34:21

    「えっとねぇ……」

    エンジニア部から貰った仕様書を確認する為、私は自分のデスクへ行き椅子に座る。
    ユウカは未だに機械の前にしゃがんでいる、よほど物珍しいのだろうか。

    そんなユウカを横目に、私は仕様書をパラパラとめくった。

    「えーと何々? スピーカー兼シュレッダー兼スパコン兼高性能ロボット……? はは、エンジニア部らしいね……」

    これでもかと機能をつぎ込んだのだろう、仕様書はまるで辞典のような分厚さになっている。

    「へー! 領収書の管理や税金関連の計算、家計簿機能まであるんだってさ! これでユウカに頼まなくて済む――」

    そこまで口に出した瞬間、ユウカの方からけたたましい破壊音が響く。
    同時にシッテムの箱からアロナの怯えたような「ひぇっ!」という悲鳴が短く鳴った。

    「すみません先生、機械が壊れてしまったようです」

    「あ……」

    私は仕様書に視線を落としたまま、小さな声を漏らす。
    何故か今ユウカの方を見てはいけないような気がした。

    「じゃ、じゃぁ修理の依頼をしなきゃなぁ~、あはは……」

    そう口にすれば、カツカツと鳴るユウカの靴音が近づいて来た。

  • 3新任先生24/12/15(日) 01:34:41

    「……せんせい」

    やがてユウカの両脚が俯く私の視界に映る。

    「ねぇ、せんせい?」

    「ひゃ、ひゃい……」

    私は自身の肩が跳ねるのを感じながら、辛うじて返事をする。
    ダラダラと滝のように汗が流れ、背筋が凍る。分からない、分からないが、間違いなく自分が何かの地雷を踏みぬいたという事だけは理解した。

    ユウカの左手が私の顔の横を通り過ぎ、椅子の背もたれにつく。片膝が私の脚の間にスルリと進み、股下まで伸びる。

    「修理、必要ですか?」

    必然的に前傾姿勢となったユウカの顔が私の耳元に近付いて、その言葉と共に吐息がフッと耳にかかった。

    「あ、いや……その」

    私が言葉に詰まっていると、ユウカの右手でグイッと顎を持ち上げられる。
    視界に映ったのは、顔の上半分に影がかかり、どこか光が少ない瞳で私を見つめるユウカの顔。

  • 4新任先生24/12/15(日) 01:35:08

    「先生の領収書の処理も、税金回りも、先生の支出の管理も、全部私がやってますよね?」

    「ハイ」

    淡々とした彼女の問いかけに対し、私は情けない声で返事をする。
    するとユウカはにっこりと、どこか怖い笑みを浮かべると顎を持ち上げていた右手で私の両頬をギュッと挟んだ。

    「じゃあ機械の修理、必要ないですよね? 元より届いた初日に壊れてしまうような機械ですし、必要――無いですよね?」

    「しょ、しょれはユウカが……」

    両頬を挟まれているので、上手く声が出ない。
    きっと今私の顔はフグのようになっているのだろう。

    「私が、なんですか? 先生」

    ニッコリと笑うユウカの右手に更に力が入った。

    「にゃんでもないでしゅ!」

    「機械、必要です?」

    私を見下ろすように覗き込んでいたユウカの顔が、更に近づく。
    もう互いの鼻先がくっついてしまいそうな勢いだ。

    「ひぃえ……」

    私は必死に首を振ろうとしながら否定の言葉を絞り出す。
    すると、フッとユウカの右手から力が抜けた。

  • 5新任先生24/12/15(日) 01:35:23

    「もー、しょうがないですね先生は。そこまで仰るなら分かりました、これからも私がかんぺき~に先生のお財布を管理しますね?」

    「あ、アリガトウゴザイマス」

    私のその言葉を聞いて、ユウカは満足そうな笑みを浮かべると、私から離れる。

    「全く、こんなことしてあげるのは私くらいなんですからね?」

    どこか照れくさそうに、しかし悪戯っぽい笑みを浮かべながらそう告げるユウカを見て、私は頬を擦りながら――そりゃそうだ。と思わずにはいられなかった。

    「ふふっ、じゃあ今日のお仕事を始めましょう! って、せ~ん~せ~い~? なんですかこの領収書!」

    先ほどまでの様子が嘘のように、普段の優しくてちょっと怖い、だけれと気の利くユウカの姿がそこにはあった。
    そんな彼女を見ながら、私は無意識に笑みが浮かぶ。

    なんだかんだ、彼女とのこんなやり取りが私の日常には欠かせないモノになっていたのだろう。
    領収書のことでプリプリとお怒りのユウカがこちらへ振り返り、そしてキョトンとした表情を浮かべた。

  • 6新任先生24/12/15(日) 01:35:34

    「……どうしたの?」

    私が問いかけると、ユウカは表情を変え、まるで獲物に狙いを定めた捕食者のような瞳で私を見つめる。

    「せんせい、私がずっと、お世話してあげますからね?」

    そう呟いてまた表情をコロリと変え、私に領収書の説明を求めてくるユウカ。
    私はそんな彼女にただ苦笑いを浮かべ、少しおせっかいで可愛らしい、私の会計担当に「ありがとう」と伝えた。

  • 7二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:36:23

    このレスは削除されています

  • 8二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:39:44

    投稿おつ! ヤンデレ気味なユウカとヘタレ先生…破れ鍋に綴蓋?こういうのもなかなか

    あとアドバイスというか、この時間帯は人が少ない上に投稿規制が掛かってて書き込みにくい日も多いから、感想を貰いたいならもう少し人が集まりやすい時間帯を狙って投稿するのがオススメかなって

  • 9二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:46:24

    人のもの勝手にぶっ壊すのはちょっぴりの独占欲じゃ済まないのよ

  • 10二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:48:46

    うーむこれはユウカに救護が必要かもしれん

  • 11二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 01:49:55

    ユウカになにかとんでもないストレスが溜まってないか?精神科医が必要だ

  • 12二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 08:52:16

    いいねこいうのもっと頂戴よ

  • 13二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 08:56:45

    アッ...好き...

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 20:52:34

    これで終わりか!?続きは!?

  • 15二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 08:48:55

    ほす

  • 16二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:43:31

    無いのか…そうか……

  • 17二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 08:37:23

    >>9

    理解できる

  • 18二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 08:44:48

    救護しにきた団長とヤンデレブーストがかかったユウカのガチバトルは見てみたい

  • 19二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 08:53:48

    >>18

    ミネ「病んだ心に恋は危険なんです!」

    ユウカ「あなたが言うことか!」


    先生「"くっ二人とも早すぎて見えないッ!"」

  • 20二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 19:01:54

    >>18

    理解できる

  • 21二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:46:10

    >>18

    理解できる

  • 22二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:51:48

    なにこのスレ最高かいいぞもっとくれ

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