魔王軍と人類の戦いを設定するスレ3

  • 124/12/15(日) 22:33:49

    勇者や魔王を軸に戦いを設定していくスレです。
    設定などは前スレから継続しています

  • 224/12/15(日) 22:34:09
  • 324/12/15(日) 22:34:40

    設定集(順次更新。スレ主が盛ることあり)

    https://writening.net/page?kpVmQE

  • 424/12/15(日) 22:35:04

    地図

  • 524/12/15(日) 22:35:34
  • 624/12/15(日) 22:36:03

    いただいた支援絵
    勇者アレイオール

  • 724/12/15(日) 22:36:24

    魔法使いリューベン

  • 824/12/15(日) 22:36:41

    斥候ジナイ

  • 9二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:37:22

    このレスは削除されています

  • 1024/12/15(日) 22:37:50

    弓使いルナ

  • 1124/12/15(日) 22:38:09

    神官モニタ

  • 1224/12/15(日) 22:39:44

    神官ルクスタ

  • 1324/12/15(日) 22:40:06

    斥候ミナイ

  • 1424/12/15(日) 22:40:24

    アイギスシリーズ

  • 1524/12/15(日) 22:41:09

    女神プ■トア■■ス

  • 1624/12/15(日) 22:41:25

    魔導師シャヘル

  • 1724/12/15(日) 22:42:13

    以上です! 多くなってきましたし、次からそろそろ別ページにまとめても良いかもですね
    再開は明日の夜になると思うので、雑談、感想、考察などご自由にどうぞ

  • 18二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:44:25

    縦乙
    終末がおもったより大物だったのとマリアが現在(弟子、自分)を諦めて未来と過去に託した事がわかりましたな

  • 19二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:45:08

    たておつ
    この分だとやっぱ終末ラスボスぽいな

  • 20二次元好きの匿名さん24/12/15(日) 22:52:54

    >>19

    大穴で大いなる目の可能性もあるぞ

    まあ討伐じゃなくてアバドン隔離とかになるだろういえど

  • 21二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 00:58:35

    天空の遺跡に眠る伝説の剣とか聞くだけだとなんて王道なんだってなるな

  • 22二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 08:31:20

    >>21

    なお代償…

  • 23二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 16:16:33

    代償とかリスク付きの武器とかも王道になりつつある気がする

  • 24二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 16:24:54

    ゆっくりシャヘル「だから罪悪感を植え付ける必要があったんですね(これであのガバのリカバリーができたぞ)」

  • 25二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 16:33:46

    ちょいと話変わるけどイルダノスが人間嫌いな理由に自分も兄を裏切ったことにされている怒りもあったりする?
    まぁ、他に弟がいた可能性も無くはないと思うけど

  • 26二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 18:26:25

    今日は何時再開かねー

  • 27二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:30:45

    >>25

    真相は分からんから本当に裏切っていて白を切っている可能性も一応はある

    ただキャラの設定的にはそういう感じではないように思う

  • 28二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:34:49

    簡単なまとめ(レムランティス文明崩壊まで)
    終末
    『世界を滅ぼすRTA はっじまるよ〜アバドンの大いなる偉大な御方に見つめられたらタイマースタート!』
    『まずは災害を起こしてレムランティス文明を衰退させます。次に傀儡術を使って文明自身に対終末兵器を作らせましょう」
    「うん?そんなことしたらこちらに危害が及ぶかもしれないって?ふっふっふっ…そこで用意したのが人類兵器乗っ取りチャートです。じゃけん傀儡術で政治家や科学者乗っ取ってこちらに都合のいいように誘導しましょうね〜』
    『はい、これで崩壊が確定しました。やっぱり人類は愚か、はっきりわかんだね。うん?何か文明の残党が何かを作っているようですが大した影響はなさそうなのでええい無視だ無視。それじゃあこのまま早送りで人類を滅ぼして…どうして等速に戻す必要があるんですか?』

  • 29二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:53:29

    マリア『再走とリセマラを繰り返すRTA はーじまるよー私が生み出されてからタイマースタート!』
    『まずは弟子たちと合流しましょう。ここで巻き込みたくないからと駄々を捏ねて合流しないでいるといつの間にか死んでいたり、傀儡術を使われたりしているので絶対に合流しておきましょう(n敗)』
    『次に一柱と五者の会を設立します。ここは後で重要になってくるので覚えておきましょう。おっ、弟子が樹人に襲われてますね。助けたいところですがここで助けると後々詰むので助けてはいけません(n敗)…ごめんね』
    『では樹人と戦争を始めましょう。ここで注意しなければならないことは必ず終末の行動を完封しなければならないことです。理由は二つ、彼のどの陰謀や計画も魔法使いや人類に致命的な損害を出してしまいます。また予備の計画や咄嗟のリカバリーも脅威なのでそれも防がなければなりません(n敗)』
    『そしてもう一つはその全てを私が完璧に防ぐことで終末に興味と無意識の恐怖を植え付けなければならないからです。これに成功すると終末は魔法使いを過度に恐れ行動が制限されます。だから一柱と五者の会を作る必要があったんですね』
    『もしこれに失敗した場合終末は私の死後に魔法使いを恐れずどんどん侵攻してきて未来で詰むので気をつけましょう(n敗)』
    『弟子たちの被害には目を瞑りましょう。決して助けようとしてはいけません。天秤に私情を乗せてはいけません。(n敗)終末の直接対決では相手の魔法の全てを完璧に対処して相手に可能限り相手にそんなを与え続けなければなりません。(n敗)ここで相手が魔法使いにトラウマを持たなかった場合もリセットとなります。(n敗)』
    『では最期にオリチャーを発動!過去改変でメガトンメシアします。これがないと勇者システムができないので詰みとなります(n敗)』
    『どうかこれが最期の悲劇となることを祈りますように』

  • 30二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:05:09

    終末「再走いいですか?」
    マリア「ダメです」
    シャヘル「ダメです」

  • 31二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:06:19

    終末「頼むからさっくり逝ってね!(全ギレ)」

  • 32二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:14:36

    曇らせルートを経由する方が早いから曇らされるアレイオール(ぐるぐる目)

  • 33124/12/16(月) 20:38:51

    再開しようと思います
    考察とかまとめとかあって嬉しいな

  • 34124/12/16(月) 20:40:25

    さて、前回は終末の細かい設定と、彼を倒す手段となるであろう伝説の剣メシアの設定が明らかになりました
    今回は、ちょくちょく登場している亜人種について詰めていこうと思います
    すなわち、エルフやドワーフ、人狼ですね

  • 35124/12/16(月) 20:41:39

    エルフ

     人間よりも美しい容姿をした、細身で長身の種族。寿命は人間と同程度だが敏捷性に優れる。人口は都市一つに集住できる程度とそれほど多くはない。

    ドワーフ

     小柄で筋肉質の身体が特徴の種族。寿命は300年を超える長命種で、人間よりも全身の筋力が勝っている。長寿なぶん数は少なく、世界の何箇所かに小さな里を作って暮らしている。

    人狼

     いわゆる獣人のような姿をもつ種族。少なくとも頭部が獣そのものになっている者がいることは知られているが、その場合も知能の点で人間と遜色はない。

    実はまだこれだけしか決まっていません。あとは巨人族というのもありますが、これは今回は省きます

  • 36124/12/16(月) 20:44:52

    さて、これらの種族は天然のものか、それともレムランティス文明によるものか。まずはここから占いましょう

    dice3d3=3 1 2 (6) エルフ、ドワーフ、人狼の順

    1人間から分岐した亜種 2人間と異なる先祖を持つ 3レムランティス文明による人工人種

  • 37二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:46:04

    綺麗に別れたな

  • 38124/12/16(月) 20:48:57

    きれいにバラけましたね

    どうやらエルフは魔族と同様の改造人種で、ドワーフは人間から自然に分岐した亜種、人狼は人間と異なる祖先を持つ、全く別の知的生命体のようです

    ではまず、レムランティス文明の遺産の一つだというエルフから。作られた理由は?

    dice1d4=3 (3)

    1鑑賞や後ろ暗い娯楽のため作り出された愛玩人種。

    2希望者の子に変異が施される上位人種

    3特定の環境に適応できるよう作られた開拓人種

    4魔族のなり損ない

  • 39二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:50:56

    …もしかしてアバドンのことか?

  • 40124/12/16(月) 20:51:45

    エルフは特定の環境の適応のために作られたようです

    その環境とは?

    dice1d4=1 (1)

    1樹上生活が望ましい森林

    2素早く泳ぐことが期待される水域

    3無数の状況が想定されており、全環境適応型として作られた

    4その他(他の項目と合わせて安価)

  • 41二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:53:27

    もしかして森林に覆われている惑星に移住しようとしてた?(前スレのレムランティス関連の安価を見ながら)

  • 42124/12/16(月) 20:54:15

    森林。いかにもエルフらしいですね。しかしレムランティス文明の力を持ってすれば森林など簡単に切り開けそうなものですが…?

    dice1d3=3 (3)

    1文明の所産で環境破壊が進みすぎ、自然と共存する人種が求められていた

    2ある種の恩恵を与える人工森林の拡大が続けられていた

    3全土が森林で覆われた惑星への入植が計画されていた

  • 43二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:55:18

    あー…入植者だったのか
    いや樹上生活に適したってなんだよ

  • 44124/12/16(月) 20:56:14

    なるほど。前回ちらっと登場した「播種船」関係のようですね

    ちなみに他惑星への入植計画は

    dice1d4=4 (4)

    1複数の惑星に向かって船が飛び立った。成否は知れない

    2播種船の多くは終末に破壊され、一つだけが星の外へ飛び去った

    3いずれの播種船も飛び立つことはなく、入植計画は未遂

    4計画自体が破棄され、播種船は別のものへ作り変えられた

  • 45二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:56:21

    人食い植物まみれの樹海ダンジョンも何らかの負の遺産なのだろうか

  • 46二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:57:09

    カルダシェフスケールで言う所のレベル2まで到達してたのかレムランティス文明

  • 47124/12/16(月) 20:59:34

    どうやら計画倒れに終わったようです

    すでに作られていたエルフたちは

    dice1d4=3 (3)

    1そのまま市民権を認められ社会に同化

    2市民権が認められず社会で孤立

    3処分対象となり、反乱を起こし研究所から脱走

    4播種船の中で凍結していた。文明崩壊後に一部が覚醒し脱走

  • 48二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:59:47

    アバドン以外にもヤバい世界在りそう

  • 49124/12/16(月) 21:02:19

    壮絶な起源ですね…

    ちなみにこのような歴史はエルフたちのなかで

    dice1d4=1 (1)

    1伝説として歪曲され、神からの罰と失楽園としてエルフたちに伝わっている

    2ほとんど散逸し、伝承するエルフはいない

    3ある程度しっかりした記録として残っているが、惑星開拓などの理解できない概念は失伝

    4無数の起源説の一つとして俗説や伝説のなかに紛れている

  • 50二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:02:22

    後処理がクソ!

  • 51二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:02:53

    なまじスペック高い人種だから厄介だったのかな…

  • 5224/12/16(月) 21:04:56

    ちなみに処分の決定については

    dice1d4=2 (2)

    1始めからプロトコルに組み込まれていた

    2開拓委員会の委員として潜り込んでいた終末が恐怖感を煽って決定

    3すでに各地で暴動や紛争が始まっており、異分子として排除が決定された

    4計画推進派が失脚し、社会秩序の維持を唱える政敵が排除を決定

  • 53二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:05:01

    あまりにも勿体ない気がするし裏から終末の手が回ってたのかな
    まあこの時代のホムンクルスやクローンはこんな扱いだったみたいな可能性もあるけど

  • 54二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:06:08

    ここのダイス神分かっている選択肢を選ぶねぇ

  • 55二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:06:29

    終末さんワンオペぎみでは

  • 56二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:07:35

    「大体こいつのせい」ポジションになりつつある終末

  • 5724/12/16(月) 21:08:49

    ちなみに終末は

    dice1d4=2 (2)

    1普通にワンオペしている

    2複数の分身を使役できる

    3憑依する。「上書き」された人間は以降終末そのものとして行動する

    4全ての人間に終末因子を付与しており、発現させることで同期する

  • 58二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:09:43

    というか他の樹人は何してるんだろ

  • 5924/12/16(月) 21:11:35

    このように凄惨な過去を持つエルフですが、幸か不幸か、すでにそのことは忘却しつつあるようです
    …悲惨な割に敏捷性があるだけではあんまりなので、もう一つくらい能力を付与しましょうか
    それでは下5、15分くらいでお願いします

    例)暗視:暗いところでものが見える

  • 60二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:14:18

    動物や植物と会話し使役する

  • 61二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:14:27

    マナビジョン:「気」や「魔力」の流れを感じ取れる

  • 62二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:15:25

    触れた植物を自在に操る

  • 63二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:16:54

    人間と比べて病気耐性が高い(=病気に殆どならない)

  • 64二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:17:51

    スタミナが人間の倍以上上回っている

  • 6524/12/16(月) 21:19:33

    dice1d5=2 (2)

    1>>60

    2>>61

    3>>62

    4>>63

    5>>64

  • 6624/12/16(月) 21:20:49

    マナビジョン:「気」や「魔力」の流れを感じ取れる
    ですね。一部の武術や魔法によい適性がありそうです
    魔導師シャヘルもエルフですし、RTAをやるのにも有利そう

  • 67二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:21:17

    そういや魔法は今は御伽噺扱いだけどレムランティス文明期だと普遍的なモノなんだったな

  • 68二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:22:10

    終末殿はほんのわずかなガバが連なって自分の首絞めてますな…

  • 6924/12/16(月) 21:24:35

    エルフはひとまずこのくらいでいいかな。

    では次に、人間から分岐したドワーフについて

    誕生したのは

    dice1d3=1 (1)

    1レムランティス文明以前から

    2レムランティス文明末期ごろ

    3レムランティス文明崩壊後から

  • 7024/12/16(月) 21:26:41

    おや、だいぶ古いですね

    まあ進化史的にはそれくらいでないと不自然になってくるのですが…

    人間との関わりは

    dice1d3=1 (1)

    1友好。同胞として扱われていた

    2しばしば敵対的。競争相手

    3共生。何らかのメリットを与える代わりに、人類の社会に居場所を持った

  • 71二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:26:58

    >>68

    そもそもマリア以降のガバは全部人為的なものだから必然的に終末の本当の意味でのガバはマリアの誕生を見逃したくらいしかないし…

  • 72二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:27:42

    シンプルにホモ・サピエンスとホモ・ネアンデルターレンシスみたいな感じか?

  • 7324/12/16(月) 21:28:56

    人間とは総じて友好的な付き合いだったみたいですね

    ドワーフから見た人間

    dice1d3=3 (3)

    1気の毒な短命種

    2気の良い仲間

    3数の多い隣人

    人間から見たドワーフ

    dice1d3=3 (3)

    1威厳ある長命種

    2洞窟の隣人

    3なんかもじゃもじゃした奴ら

  • 74二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:29:58

    うーむ互いに平和な認識

  • 7524/12/16(月) 21:30:40

    こうした関係は

    dice1d4=2 (2)

    1レムランティス文明をまたいで安定

    2レムランティス文明崩壊時の混乱で一度壊れた

    3文明崩壊後はやや険悪に

    4人類が力を持つにつれ、徐々に人類優勢に

  • 76二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:30:48

    うん、技術的にも倫理的にもそこまでかけ離れてはいなかったから互いに適切な距離で共存していたと
    文明的なドワーフとか沢山いそうだよな

  • 77二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:30:59

    エルフとの差が酷い

  • 7824/12/16(月) 21:32:22

    どうやら文明崩壊の際には一度は敵対するようなこともあったようですが、時間が経って元鞘とまではいかないまでも安定した、ということのようですね
    本編の時点では人間の住居とは離れた場所に里を作っているようですし、まだちょっとギクシャクしているのかもしれません

  • 7924/12/16(月) 21:35:00

    ところで、ドワーフと言えば鉱業や加工技術ですよね。
    この世界のドワーフの技術はどうなんだろう?
    というわけで、これも安価を募集します
    例)
    得意なこと:あやとりとなわとび
    代表的な制作物:スーパーひも。なんかすごい伸びるひも。

    下5、20分くらいでどうぞ

  • 80二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:39:22

    得意なこと:錬成と酒造り
    代表的な制作物:クラムフェル合金 レムランティス文明の様々な物品に利用される合金

  • 81二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:42:02

    得意なこと:秘紋付呪…ドワーフに伝わる秘術であり、様々な超常を引き起こす特殊な【紋様】をモノや生き物に付与する技術
    代表的な制作物:秘紋呪具…秘紋が付与された道具のこと

  • 82二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:44:42

    得意なこと:鉱石を加工する事
    代表的な制作物:ダラブズ合金いくつかの鉱石を混ぜ合わせた特殊合金純粋な硬さもそうだが耐熱も耐寒も兼ね備える少なくとも並の魔法程度では壊れない

  • 83二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:45:15

    得意なこと:建築、酒造
    代表的な制作物:カヴォン材 高い強度、高い熱伝導性、高い伸縮性を誇る素材。魔石、炭素、数種類の金属を特殊な技法で合成することで作られる

  • 84二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:47:47

    得意なこと:物体に魔力を混ぜる事
    代表的な制作物:魔力を混ぜて作り上げられた魔剣魔槍魔鎧等の魔具

  • 85二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:48:28

    得意なこと:あらゆる石の加工、建造、錬金術、鋳造
    代表的な制作物:シャラストの尖塔

  • 86二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:48:39

    得意なこと:錬金術とモノづくり
    代表的な制作物:錬成触媒

  • 8724/12/16(月) 21:49:40

    dice1d5=2 (2)

    1>>80

    2>>81

    3>>82

    4>>83

    5>>84

  • 8824/12/16(月) 21:50:14

    得意なこと:秘紋付呪…ドワーフに伝わる秘術であり、様々な超常を引き起こす特殊な【紋様】をモノや生き物に付与する技術
    代表的な制作物:秘紋呪具…秘紋が付与された道具のこと
    ですね。付呪系とはちょっと意外な方向ですね

  • 89二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:51:40

    ルーン魔術的なサムシングか

  • 90二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:52:09

    まあアバドンみたいなオカルト関連の技術もあったみたいだし不思議ではない
    というかレムランティス文明の遺跡の機械に普通に掘られてたりしそう

  • 91二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:52:23

    ドワーフには身体中秘紋まみれの戦士とか居そう

  • 9224/12/16(月) 21:53:48

    さてさて、時間が迫ってきているので人狼に進みます

    キャラ募集もやりたかったけど流石に厳しそうですね…

    人狼は人間とは異なる生物を祖先に持つようです その祖先とは

    dice1d4=3 (3)

    1知能の高い普通の獣

    2竜族と対を成す獣族

    3アバドンの獣 dice1d2=2 (2) 1捩れている 2捩れなし

    4獣神

  • 93二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:54:20

    やべーのが出てきた

  • 94二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:55:47

    アバドンの獣…ねじれてはない…ほなセーフか…

  • 9524/12/16(月) 21:56:23

    アバドンの獣ですが、どうやら捩れてはいない様子。なぜ?

    dice1d3=3 (3)

    1大いなる目が開眼する前にルーワンズベルト大陸にやってきた

    2大いなる目が開眼したのでルーワンズベルト大陸に逃れてきた

    3アバドンの辺縁領域に住んでおり、大いなる目の視線からかなり遠い+多少の耐性もち

  • 96二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:57:33

    異界起源種族か…

  • 97二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:58:58

    人狼はなんか人になすぎてる気がするからウイルス系の可能性もあるかも?

  • 98二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:59:20

    偉大なる一つ目様の有難いお捻りに耐性…不遜では?

  • 99二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:00:35

    >>98

    おは終末

  • 100二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:00:40

    >>98

    おは樹人

    魔法使いがそっちに向かったよ

  • 10124/12/16(月) 22:00:49

    どうやらこの獣は大いなる目の影響をなんとか免れているようです

    ちなみにルーワンズベルト大陸にやってきたのは

    時期

    dice1d4=3 (3)

    1レムランティス文明期

    2レムランティス文明末期

    3レムランティス文明崩壊後

    4本編開始前2000年以内

    手段

    dice1d4=4 (4)

    1探索団(後の樹人)の開いた門を使って勝手にやってきた

    2次元転移能力を持っていた

    3魔法使いたちに誘われて

    4とある樹人の気まぐれ

    目的

    dice1d4=4 (4)

    1特にない。獣の本能

    2獲物を追ってやってきた

    3使命を果たすため

    4より強い敵を求めて

  • 102二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:02:44

    結構最近だな。と言っても安価的にやって来たのは1万~8千年前くらいだからアレイオールのいる現在とはかなり時間は経ってるんだが

  • 10324/12/16(月) 22:03:08

    人狼自体はそんな悪い存在でもなさそうですけどアバドンの獣はだいぶ不穏ですね…

    ちなみに人狼については

    dice1d4=3 (3)

    1アバドンの獣が既存の生物を変異させた

    2アバドンの獣が単為生殖で生み出した存在

    3アバドンの獣がルーワンズベルト大陸の動物と番って生まれた存在

    4討伐されたアバドンの獣の亡骸から生まれたいくつもの獣人の一種

  • 104二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:03:49

    異種間交配の結果なのか

  • 10524/12/16(月) 22:05:23

    ちゃんと子孫みたいですね。番ってるってことは危険なだけの獣ではないのかな

    アバドンの獣について

    凶暴性dice1d100=37 (37)

    交配能力dice1d100=81 (81) 高いほど多くの生物種と子孫を残せる

  • 106二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:06:31

    人狼というか獣人という種の祖になってるのがアバドンの獣って感じか?

  • 107二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:06:36

    そこまでというか野生動物と考えれば低い方かな?

  • 108二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:06:58

    かなり色んな生物種と交配できるみたいだしこの世界かなり獣人居そうだな

  • 10924/12/16(月) 22:07:39

    凶暴性はそこまででもないので求道者みたいなタイプかな。

    樹人が送り込んだにしては大人しいですね。まあ気まぐれだからかもですが…

    ちなみに子供を作ったのは

    dice1d3=2 (2)

    1自分の好敵手となりうるから

    2本能

    3樹人との契約

  • 110二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:08:43

    これ人狼を見ると完全に人をヤッちゃってますがこれは獣が自主的に…?
    それとも何らかの介入があって…?

  • 11124/12/16(月) 22:08:44

    うーん、何考えてんだこいつ…

    ちなみにアバドンの獣の見た目は

    dice1d4=1 (1)

    1正統派の肉食獣タイプ

    2被膜の翼や角を備えた魔獣タイプ

    3複数の生物の特徴を備えるキメラタイプ

    4不定形のスライムタイプ

  • 112二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:08:58

    大分変な生態してね?

  • 113二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:09:02

    シンプルに子孫を残す為でしたか

  • 114二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:09:25

    …やっぱり生息地がアレなだけで普通の野生動物では?

  • 115二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:09:29

    獣の神みたいなやつかもしれんなこれ

  • 116二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:10:15

    異界の生物相手に本能的に子を残そうと番ったってだいぶ変な生態だな…

  • 117二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:10:53

    一つ目様的にはかわいいペット・・・の可能性

  • 11824/12/16(月) 22:11:12

    ちなみにアバドンの獣はどれくらいの種類の子孫を残している?

    dice1d4=3 (3)

    1人狼とあと一つ

    2人狼を含め数種類

    3数多い種族を作ったがほとんど全滅

    4いわゆるアバドンの魔物と呼ばれる生物種の大半を形成する

  • 119二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:11:27

    >>117

    終末の脳が破壊されてしまう…

  • 120二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:13:00

    異種間交配だし子に生殖能力が無い奴ばっかだったのか?

  • 12124/12/16(月) 22:15:53

    ✕全滅 ◯絶滅です

    せっかく生み出した異種族もほとんどは絶滅してしまい、僅かな生き残りの一種が人狼なのでしょう

    ちなみにアバドンの獣の「本能」とは

    dice1d3=1 (1)

    1アバドンの意思。外次元の生命体を侵蝕する

    2他種に擬態し、その能力を写し取り、記録として子孫を形成する、進化のハブ機能

    3より完全な個体をもとめ遺伝子配合を繰り返す

  • 122二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:17:29

    うーむまさに侵略者(インベーダー)って感じだ

  • 123二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:17:43

    アバドンの意志=一つ目様…?

  • 124二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:18:37

    >>123

    一つ目が注目している「何か」の可能性も

  • 12524/12/16(月) 22:18:55

    要するに汚染の一形態ですねこれ…

    ちなみに本能とは別に強い敵を求めるアバドンの獣個人?の意思としては

    dice2d3=1 1 (2)

    1アバドンには自分にかなう獣がいなくなり退屈

    2戦闘好きで、自分の力を試したい

    3より強くなるため、戦闘の経験を積む敵が必要

  • 126二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:20:51

    単為生殖で増えてくタイプだとヤバかったろうな

  • 127二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:21:07

    1の重複ってコイツアバドンの生命の中でもとんでもなく強いのか…

  • 128二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:22:10

    獣王とか獣神とかの異名がついてそう

  • 12924/12/16(月) 22:22:12

    ああすいません、被ったのでひとつ下で、1,2ですね。本人自体は割と陽性のバトルジャンキーで邪悪ではなさそうですが、本能的に他世界を侵蝕してしまうと
    退屈していたところに樹人が声をかけた格好でしょうね…
    獣については一旦置き、人狼に進みましょう
    今のところ設定で存在しているのは見習い狼プラタだけです

     エルディラト連合国はウォルフランド出身の人狼の女性。頭部が完全に狼の形をしているタイプで、白毛蒼眼で気品がある。
     魔法とは縁のない人生を送っていたが、ひょんなことから旅の魔法使いに見出され、弟子入りすることになった。魔法使いとしての教育を受け始めたばかりのため、まだ初歩的な魔法しか使えないが、その才能は相当なものだと見込まれている。獣人の魔法使いはまだ少なく、これまでの歴史上でも、彼女を含めて二人しか記録されていない。
     元気で明るい性格をしており、少々のことではへこたれない根気も持つ。魔法の使い方は感覚派で、暗記や理論構築はちょっと苦手。

  • 130二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:24:09

    プラタの設定を見るに世代交代ごとに本能が薄れている可能性が

  • 13124/12/16(月) 22:25:41

    ご覧の通り、プラタは頭部が完全に狼になっているタイプですが、これは設定が固まっていないためスレ主が書き足した部分です。人狼の姿についてはどんなルールがあるのでしょう?

    dice1d4=3 (3)

    1全ての人狼が狼の頭を持つ

    2個体によって度合いはさまざま

    3人間形態と狼の形態を切り替え可能。ただしフルで狼に寄せた時の姿に個体差あり

    4全身を狼に変えることもでき、部分変化も自在

  • 13224/12/16(月) 22:27:39

    割と便利目なのが来ましたね。個体によれば完全な獣化もできるのかな?

    寿命はどうでしょう

    dice1d5=3 (3)

    1人間より短命。50年生きれば長い方

    2人間と同じくらい

    3人間より少し長い。150年は生きる。

    4ドワーフに匹敵。数百年生きる。

    5かなり長寿。1000年に届かないくらい

  • 133二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:27:51

    人獣切り替えれるタイプなのね

  • 134二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:28:03

    ケモレベルはある程度可変というわけですかな

  • 13524/12/16(月) 22:28:36

    結構長そうですね。

    ちなみにここまでの項目は人狼以外の獣人にも適用される?

    dice2d2=2 1 (3) 1姿 2寿命

    1適用される

    2種類ごとに異なる

  • 136二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:29:07

    種族誕生からの年数的に相当アバドンの獣の血が薄まってそうだけどそれでも若干長命なんだな

  • 137二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:30:14

    そうか可変か…(ガチ獣人を想像してた)

  • 13824/12/16(月) 22:32:07

    種族に関わらず寿命は長いようですが、変化できるかどうかは種族によるようです
    常に獣の頭を持っているとか、二足歩行のでっかいトリとかいるかもですね

    ふむふむ、だいぶ設定が固まりましたね
    それでは、人狼(獣人一般じゃないことに注意!)について安価を募集します

    得意なこと:なしでも可
    苦手なこと:なしでも可
    特殊能力:並外れた嗅覚など
    特徴:アバドンの獣の影響などお好きに

    下5、20分くらいでいきます

  • 13924/12/16(月) 22:33:08

    >>135

    すいません書き方がややこしかったですね

    一つ目が姿、二つ目が寿命の判定という意味です

  • 140二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:34:36

    得意なこと:戦闘全般
    苦手なこと:建築などの創造的行為
    特殊能力:優れた暗視と夜目、鋭敏嗅覚
    特徴:満月の夜になると、アバドンの一つ目の視線を感じ、本能的に狂暴化する

  • 141二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:37:57

    得意なこと:集団行動 狩り 白兵戦
    苦手なこと:満足に食べられない事 水に関わること全般
    特殊能力:五感の性能が凄まじいが何より勘が良い個体によっては未来でも見れるかのよう
    特徴:エネルギー効率があまり良くなく物凄く大食いそして飢餓を感じると元がどれほど温厚でも段々と凶暴化していく

  • 142二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:38:49

    得意なこと:狩猟
    苦手なこと:鍛冶など暑い場所でする仕事や行動
    特殊能力:並外れた嗅覚と聴覚、俊敏さ
    特徴:基本的に二足歩行の獣やいわゆる獣人というべきで人間形態への変身は人間との混血の末に手に入れたものである。闘い好きで武術を嗜む者が多い。

  • 143二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:40:02

    得意なこと:戦う事と子孫を残すこと
    苦手なこと:子孫を残せない事
    特殊能力:驚異的な筋力と勇者には大きく劣るがそれでも十分驚異的な生命力
    特徴:アバドンの獣の血を引く獣人種の中でも人狼族は祖たる獣の特徴を色濃く残しており、最強の獣人と呼び声高い氏族

  • 144二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:42:18

    得意なこと:近接戦闘と繁殖
    苦手なこと:手工芸や弓といった指先を使うもの
    特殊能力:満月の夜は本能的に力が強くなる
    特徴:この特性からか荒くれ者が多いが、意外と穏やか、若しくは臆病な人狼も多い
    …単に無鉄砲な人狼は早死にするというのもあるが

  • 145二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:44:28

    得意なこと:隠密行動 狩猟行動
    苦手なこと:陽の光を浴びる事
    特殊能力:巨大化 狼の状態のまま3〜4m程の大きさになれる全能力が向上するが余り長く持たない
    特徴:アバドンに関連する何かを察知した瞬間本能的にそちらに惹かれてしまう

  • 14624/12/16(月) 22:48:01

    dice1d5=3 (3)

    1>>140

    2>>141

    3>>142

    4>>143

    5>>144

  • 14724/12/16(月) 22:49:11

    得意なこと:狩猟
    苦手なこと:鍛冶など暑い場所でする仕事や行動
    特殊能力:並外れた嗅覚と聴覚、俊敏さ
    特徴:基本的に二足歩行の獣やいわゆる獣人というべきで人間形態への変身は人間との混血の末に手に入れたものである。闘い好きで武術を嗜む者が多い。
    ですね。割といい感じに付き合えそうな種族です
    アバドンからの侵蝕という事実が厄ネタ過ぎますが…

  • 14824/12/16(月) 22:51:19

    さて、人狼の設定が整ったところで、本日は終了です
    明日はエルフ、ドワーフ、人狼でキャラを募集しようかとも思いますが、人狼に限定せず獣人の設定を掘り下げて枠を広げるのもありですね
    ちなみにキャラ募集の際には、「~で勇者と関わるエルフ」や「~と戦っている人狼」みたいな感じにお題を出す予定です
    それでは、おやすみなさい
    明日も特に問題なければ20時~20時半ごろより開始します

  • 149二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:52:31

    乙です
    竜族と違ってこっちは獣形態が基本なのかな?

  • 15024/12/16(月) 22:54:59

    実は竜族もスレ主的には竜体が基本のイメージでいます
    本来は個体ごとに距離をおいて生活する生き物なので…
    ただ、現在は様々な事情で一つのコロニーにいるので、嵩張らないよう変身しているわけですね
    まあこの辺ダイスでひっくり返るかもですが

  • 151二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 23:01:25

    純血(もしくはそれに近いの)は人に変身できないとかありそうだな人狼

  • 152二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 23:54:56

    エルフ処分決定に反対していた者はいるのだろうか
    いたとしても終末に潰されてそうだけど気になる

  • 153二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 08:31:09

    わざわざ手のかかる方法で潰してるってことは終末にとってもレムランティス文明って割と厄介だったんだろうな

  • 154二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 17:43:07

    このレスは削除されています

  • 15524/12/17(火) 20:17:12

    再開します
    今回は各種族の本編への絡み方とキャラ作成ですね

  • 156二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 20:19:22

    ヒャッハー!再会だぁ!

  • 15724/12/17(火) 20:26:11

    まずエルフですが、彼らの人口はドワーフほどではありませんが少なめで、見かけるのは珍しいと思います

    キャラクターとしては魔導師シャヘルくらいですね、今のところは

    絡み方としては

    dice2d4=4 1 (5)

    1実は魔族のプロトタイプ的な存在であり、魔族と縁が深い

    2隠された播種船を起動するキーとなる一族が存在する

    3魔法使いリューベンはエルフとのハーフであり、因縁あり

    4混乱したエルディラトをエルフが統一し皇帝となる

  • 158二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 20:29:14

    むぅん乱世乱世

  • 15924/12/17(火) 20:31:59

    まあ両方ともレムランティスに作られた改造種族ですからね。

    内容的に開拓用の人種だったエルフをもとに戦闘特化に作り変えたのが魔族のようです

    エルディラトの話は、終末が起こす動乱を収めるのがエルフということのようです

    ちなみにこの統一は

    dice1d3=1 (1)

    1本人の実力(人徳なども含む)が大きい

    2勇者アレイオールと共闘したことが大きい

    3終末が背後で手引きをしていた

  • 16024/12/17(火) 20:33:24

    本人の実力が大きい……ちゃんとした覇王ですね

    ちなみにエルディラト国内でのエルフの受容度は

    dice1d100=85 (85) 100に近いほど受容され、人間と平等に扱われる

  • 16124/12/17(火) 20:34:47

    二級市民とまではいかないけど、少数民族だしあまり重要視はされていない、くらいかな

    エルフの覇王にめちゃくちゃ逆風が吹いていたわけではなさそう

    ちなみに勇者アレイオールに対するスタンス

    dice1d100=22 (22)

    ゴドルダルキアに対するスタンス

    dice1d100=33 (33)

    100に近いほど友好的

  • 16224/12/17(火) 20:41:40

    どちらに対しても冷たい……! あまり協力的ではなさそうですね

    ちなみに勇者アレイオールと面識や何らかの関係はある?

    dice1d4=3 (3)

    1直接の面識はないが配下が何度か敵対している

    2直接戦ったことがある

    3かつてはそれなりに友好的だが道を違えた

    4リューベンの父

  • 16324/12/17(火) 20:46:41

    ふむふむ。どうやら覇王となる前に勇者一行と出会い、友好的な付き合いがあったようです

    なぜ道を違えてしまったのか?

    覇王側の理由

    dice2d4=4 2 (6)

    1野心 2冷酷さ 3邪心 4疑心

    勇者側の理由

    dice2d4=4 2 (6)

    1エルディラトの権力争いへの協力を拒否

    2汚れ仕事を認めない清廉さ

    3ゴドルダルキア人であり外交的には敵

    4セルフィオ正教へのスタンスの差

  • 16424/12/17(火) 20:48:21

    つまり、
    エルフの覇王は目的のために手段を選ばない冷酷さを持つ上、疑心暗鬼で友である勇者アレイオールをも信じきれず、
    勇者アレイオールの方は、覇王のやり方に納得できず、宗教観でも大きな差があると
    付き合いを深めれば深めるほど、溝が深いことが分かっていくやつですね……

  • 16524/12/17(火) 20:50:18

    ちなみに勇者アレイオールの正教に対するスタンス(仲間全滅前)は

    dice1d100=82 (82) 100に近いほど信心深い

  • 166二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 20:50:49

    リューベンの覇王ルートとかあったら更にアレイオールの情緒壊れそう

  • 16724/12/17(火) 20:51:25

    ゴドルダルキア人らしく、しっかり信心深いようですね。

    覇王の方はスタンスが大きく異なることを加味して

    dice1d50=41 (41)

  • 16824/12/17(火) 20:52:49

    ちょうど半分ですね。どちらかといえば宗教は嫌いな方で神などいるまいと思っているが、表向きに堂々と無神論者をやるほどではなく、必要なら祈るふりくらいはするタイプ。

    アレイオールの方は食事の前のお祈りを欠かさないタイプでしょうから、そりゃ相性は悪い

    ちなみに仲間全滅後のアレイオールの信仰心は

    dice1d100=21 (21)

  • 16924/12/17(火) 20:54:35

    神も仏もあるものか……という感じですかね。無理もない
    それではこのあたりの設定も踏まえて、このエルフの覇王について安価を募集します

    名前:
    種族:エルフ
    性別:
    年齢:アレイオールと出会った頃のもの
    外見:
    性格:
    来歴:

    でお願いします。下5、25分で行きましょう

  • 170二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:04:41

    名前:ランティス
    種族:エルフ
    性別:男性
    年齢:20
    外見:緑髪青目の美青年
    性格:同胞と認めた者には種族性別問わず優しいが、敵に対しては冷酷。
    来歴:エルディラト国内のとあるエルフの里の出身。貴族同士の裏の抗争に巻き込まれて家族を失って以来、国の改革と貴族領・少数種族自治区の解体(=中央集権化)を志すようになった。

  • 171二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:19:01

    名前:アルフィ
    種族:エルフ
    性別:女
    年齢:18
    外見:黒い長髪に青目のグラマラスな美人
    性格:冷酷にして苛烈だが善性を捨てている訳ではない、しかしそれを無視して行動する事が出来る
    来歴:裕福では無いが貧乏でもない一般的なエルフの家庭に産まれた幼少期は至って普通に暮らしていたが母の急死により家庭に亀裂が走り修復出来ずに追い打ちをかけるような小さな不幸が積み重なり遂に崩壊そして悲しみに暮れる中母の死が人間の権力争いに巻き込まれての事を知り復讐と改革を決意した

  • 172二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:19:34

    このレスは削除されています

  • 173二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:20:27

    名前:マリアナ
    種族:エルフ
    性別:女性
    年齢:21
    外見:金髪の年齢よりも幼く見える小柄な可愛らしいエルフ
    性格:夢みがちの理想家であり現実主義者
    本気で夢を叶えるために全てを捧げれる異常者でもある
    来歴:なんてことのない一般エルフの家に産まれたエルフ
    魔族と人間の戦争を見て疑問を持ち、本気で理想の世界を作るための活動をしている
    そのためには手段を問わないところがあり生まれついての革命家とも独裁者ともいえる

  • 17424/12/17(火) 21:23:14

    締め切ります

    dice1d3=3 (3)

    1>>170

    2>>171

    3>>173

  • 175二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:23:38

    このレスは削除されています

  • 17624/12/17(火) 21:24:28

    名前:マリアナ
    種族:エルフ
    性別:女性
    年齢:21
    外見:金髪の年齢よりも幼く見える小柄な可愛らしいエルフ
    性格:夢みがちの理想家であり現実主義者
    本気で夢を叶えるために全てを捧げれる異常者でもある
    来歴:なんてことのない一般エルフの家に産まれたエルフ
    魔族と人間の戦争を見て疑問を持ち、本気で理想の世界を作るための活動をしている
    そのためには手段を問わないところがあり生まれついての革命家とも独裁者ともいえる
    ですね。結構思想の強そうなタイプ…革命家ですか…

  • 177二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:27:34

    うおっ…(思想が)でっか…

  • 17824/12/17(火) 21:28:34

    マリアナの掲げる理想とは?

    dice1d3=3 (3)

    1完全な平等

    2恒久平和

    3世界の統一

  • 179二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:30:43

    もしかしてレムランティスの再興を目指してる…?

  • 18024/12/17(火) 21:31:43

    世界を一つにまとめればもう戦争など起きないはず!

    dice1d4=4 (4)

    1なので武力で統一します! 対話はしません! みなさん抵抗しないで下さいね!

    2まずは穏便に話し合いをします。断られたら武力を用います!

    3早く世界を一つにしたいのに国内に反乱分子がいるようです。少し静かにしていてもらいましょう

    4今の世界は人口が多すぎます! なのでまずは(自主規制)

  • 181二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:32:32

    信じられるか?別に終末の回し者じゃねえんだぜ、それ

  • 182二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:32:35

    ヤベー奴じゃないか!

  • 183二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:33:28

    仲間内で同志マリアナとか呼ばれてそう

  • 184二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:33:39

    とんでもない化物が爆誕したようだな…

  • 185二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:35:21

    こっ、これもシャヘルのシナリオなのか…?

  • 18624/12/17(火) 21:36:13

    ちなみにマリアナの国内での称号は

    dice1d4=4 (4)

    1総帥。全軍の長なので

    2同志。立場に差はありません!(形式上)

    3あのお方。なぜか皆さん名前で呼んでくれません…

    4陛下。皇帝と呼ばれるのは好きではないのですが…

    魔導師シャヘルから見た時の計画への影響度

    dice1d100=76 (76) 100に近いほど大幅な修正を余儀なくされる

  • 187二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:37:02

    このレスは削除されています

  • 188二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:37:54

    チャートに多大な影響与えてる…

  • 189二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:38:42

    オリチャー発動してるじゃねぇか!
    というか元のチャートの原型がほとんど残っていないじゃないか!!
    うーん、これはガバ運

  • 19024/12/17(火) 21:39:54

    魔導師シャヘルの対応

    dice1d4=3 (3)

    1速やかな排除。勇者アレイオールを差し向ける。勇者はdice1d2=2 (2) 1従う 2従わない

    2魔王プロトアイギスに進言し魔軍で叩き潰そうとする

    3自らエルディラトに出向き殲滅を試みる

    4幸い魔族との融和主義者であり、取り込みを試みる dice1d100=17 (17) 70以上で成功

  • 191二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:40:35

    実際の革命家とか独裁者見てるとね…
    どんなに残酷な政策や行動をしていても思想の段階では美しかったり、本人の人柄自体は紛れもない善人だったりするのよ

  • 192二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:40:43

    不思議と声援を送りたい気分だぜ…

  • 19324/12/17(火) 21:42:43

    終末の対応

    dice1d4=4 (4)

    1都合の良い勢力。配下の樹人を援軍として送り込む

    2都合は良いが一応警戒しこれ以上の手出しはしない。人間は何をするかわからない。

    3傀儡として操るべく接触する。マリアナとの共鳴度dice1d100=65 (65) 50以上で思想を自分に寄せさせる

    4直接の干渉はしないが、都合の良さそうな遺物などをタイミングよく「発見」できるようにする

  • 19424/12/17(火) 21:44:49

    どうやらそうと気づかれない形で、何かしら遺物を贈ったようですね…
    どんな遺物を贈ったのか、安価で募集してみましょう
    下3まで採用します(複数採用)、20分くらいでお願いします

  • 195二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:47:44

    意識、記憶、魂の伝播を可能とする培養型マイクロチップ
    簡単に言えばマリアナが死ぬとその思想の賛同者の中に新たなマリアナが生まれる
    その時肉体はマリアナとして再構築され、また培養型ということでエルフのマナビジョンを持ってすれば量産も可能

  • 196二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:52:50

    THF-A55 ゼフィーラ:鉄巨神の一つで完動品。アバドン重力源破壊作戦のために開発された量産機の一つが終末の手引きによってマリアナの手に渡った。

  • 197二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 21:53:13

    覇道の冠
    自分と志を同じくする者に強力なバフを与える。
    同志の魂を消費することで魔法使いに匹敵する魔法を行使可能になる。

  • 19824/12/17(火) 21:55:52

    締切です。そろそろ鉄巨神の完動品が出てくるかと思いましたが、案の定ですね…

  • 19924/12/17(火) 21:57:39

    話の流れとしては
    勇者前日譚→勇者と仲間の冒険→呪層童窟編→勇者放浪編→エルディラト動乱編→竜族の里襲撃編→最終決戦
    みたいな感じですね今のところ

  • 200二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 22:01:11

    個人的には動乱までにダンジョン攻略とかしてトラウマ克服回みたいなの欲しいな

  • 20124/12/17(火) 22:01:28

    さて今日も良い時間になりましたし、少し短いですがお仕舞いにします
    少し人が足りなくなってきた印象なので、ぼちぼち設定を畳んでエピソードを動かす方にいくべきかもですね…
    明日はまた同じくらいの時間(20時くらい)に開始すると思います

  • 202二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 22:02:11

  • 203二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 22:03:36

    乙です
    鉄巨神はバリエーション豊かな可能性が出てきた…当時は用途別に様々な機体が開発されてたのかな

  • 204二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 22:09:08

    シャヘルのRTA動画があったらマリアナ登場のところで悲鳴が上がってそう

  • 20524/12/17(火) 22:42:59

    もう少し設定を練り込むのがいいか、畳みに入るのがいいかでいうと皆さんはどっちですかね…?

  • 206二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 23:20:05

    残りのドワーフと人狼をやってから畳むとか?

  • 207二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 03:43:09

    ここまで流れを見て思ったんだが、もしかして終末って前回の失敗から学んで、今回は表では動かずに相手が勝手に争って弱るのをまってるんじゃないか?

  • 208二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 12:21:26

    このレスは削除されています

  • 209二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:08:44

    待機RTA(再走)

  • 21024/12/18(水) 20:31:13

    再開します
    人いるかな…?

  • 211二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:34:08

    いま。す

  • 21224/12/18(水) 20:37:28

    今日はドワーフと人狼たちのかかわり方ですね
    今日の反応を見ながら、ぼちぼちエピソードを実際に進めていくかどうか決めようと思います
    まあ平日の晩なのでそもそもあまり覗けていない人もいるかもなんですけどね
    さてドワーフですが、レムランティス文明以前から存在する古い種族で、人間とは割と友好的です
    筋力に優れるほか、秘紋付呪という付呪術を得意としていますね

  • 213二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:40:23

    ふむふむ

  • 21424/12/18(水) 20:43:18

    いくつかの里に分かれてくらしている種族なので、エルフのように普通に社会に溶け込んでいるわけではなく、外部から人が訪ねることで話に絡んできます

    おおよそ次のパターンでしょう

    客人がdice1d3=3 (3)

    1 人を探してやって来る

    2 アイテムを探してやって来る

    3 技術を探してやって来る

  • 21524/12/18(水) 20:46:53

    技術を探してやって来る、つまり里のドワーフに何かをしてもらったり、アイテムの技術について解析してもらったりするためにやって来るということですね

    これは普通に考えて秘紋付呪のことでしょうね……あるいは何か別の理由がある?

    dice1d3=2 (2)

    1秘紋付呪されたアイテムの解析

    2あるアイテムに秘紋付呪を施す/かかっている秘紋付呪に干渉してもらう

    3秘紋付呪以外の個人のスキルを目当てにしている(鍛冶、学問など)

  • 21624/12/18(水) 20:48:32

    ふむふむ、どうやらすでに秘紋付呪がかかっているアイテムをどうにかしてもらいたい、というのが客人の希望のようです

    ところでこの客人とは

    dice1d4=4 (4)

    1勇者一行

    2魔族

    3勇者の友好勢力

    4中立勢力

  • 21724/12/18(水) 20:50:59

    勇者アレイオールに対して友好的ではない勢力のようですね。ザント=ヴェルニフルとかあのあたりかな?
    エルディラトの貴族とかもありそうな線ですね
    中立勢力が里にアイテムを持ち込み→何らかのアクション→本編への絡み
    ということなので、里が登場するというよりは、アイテムや付呪師が関わってくることになりそうです

  • 218二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:51:10

    この世界で中立ってやれるんだ…

  • 21924/12/18(水) 20:52:32

    すいません、書き方が悪いですが「勇者に対して中立」という意味です

    外堀の方から埋めていきますよ

    まずアイテムの種類

    dice1d4=2 (2)

    1武器や防具

    2道具

    3薬

    4生物

  • 22024/12/18(水) 20:58:23

    道具ね……ちなみに付呪をどうしたいの?

    dice1d3=1 (1)

    1古くなり力を失っているので復活させてほしい/強化してほしい

    2新たに付呪をかけてほしい

    3付呪を解いてほしい

  • 22124/12/18(水) 21:02:32

    既存の付呪の復活あるいは強化という用事のようです

    となると持ち主にとって有益な付呪なのでしょうか

    そのあたりもダイスに聞いてみましょう

    dice1d3=1 (1)

    1道具に全く新しい効果を付与するタイプ(例:打ち出の小槌)

    2道具本来の効果を強化するタイプ(例:岩を砕く小槌)

    3特定の状況の鍵となるタイプ(例:認証キーとなっている小槌)

  • 22224/12/18(水) 21:04:51

    効果の種類

    dice1d4=3 (3)

    1富裕。富や財産になるものをもたらす

    2守護。何らかのものから身を守る

    3呪詛。持ち主を呪う。敵に持たせる用

    4操作。任意の物体に特定の効果をもたらす

  • 223二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:05:47

    剣呑な感じ

  • 22424/12/18(水) 21:09:13

    結構不穏なものを引きましたね……

    相手に持たせるための呪詛付呪。しかも従来のものを復活/強化させるのですからいわくつきのアイテムでしょうか

    種類は

    dice1d5=5 (5)

    1宝飾品や衣服、帽子など身につけるもの

    2絵画、彫像などの美術品、骨董品

    3槌や食器、裁縫道具などの手に持つもの

    4箱や小物入れ、水筒などの容器

    5錫杖、武器として使えない剣などの儀礼品

  • 225二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:09:36

    危険物過ぎる…

  • 226二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:10:34

    陰謀の匂いしかしないな

  • 22724/12/18(水) 21:11:49

    儀式用のアイテムみたいですね……使うタイミングも人物も限られる……うーん危険な匂いがします!

    ちなみに強化した呪いの効果

    対象

    dice1d3=1 (1)

    1持ち主

    2持ち主とその血縁

    3持ち主と周囲の人間

    効果

    dice1d3=2 (2)

    1死 2病 3破滅

  • 22824/12/18(水) 21:14:55

    持ち主を病にする儀礼品ということのようです

    病の種類

    dice1d4=4 (4)

    1心の病。発狂する

    2心臓の病。ほとんど動けず、無理をすると死ぬ

    3腫瘍。一年以内の余命となる

    4伝染病。周囲に広まっていく死病。伝染した人間については回復の可能性はある

  • 22924/12/18(水) 21:17:00

    持ち主を中心に広まっていく伝染病……普通にバイオテロですねこれ

    ちなみに標的となっているのは

    dice1d4=3 (3)

    1ゴドルダルキア王族

    2ザント=ヴェルニフル皇族

    3デアム=カエリ高位聖職者

    4竜族

  • 23024/12/18(水) 21:18:59

    聖職者だったら儀式とかしょっちゅうやってそうだし最悪ですね……

    陰謀の主体となっている中立勢力

    dice1d3=1 (1)

    1とあるエルディラト貴族

    2ザント=ヴェルニフル政府

    3デアム・カエリ教団内の政敵

  • 23124/12/18(水) 21:22:36

    うーむ権謀術数を得意とするエルディラト貴族らしいやり方……

    ちなみにそんないわくつきの儀礼品は知られていそうなものですが、どうやって持たせる?

    dice1d4=2 (2)

    1ゴドルダルキアからの寄贈品に紛れ込ませる

    2よく似た儀礼品とすり替える

    3教団内に内通者がおり、そいつを通じて儀式本番にすり替え

    4その貴族重代の暗器であり、あまり知られていない。あとで回収する

  • 232二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:24:49

    シンプル〜でもなんかこういう聖職者って儀礼品は物凄い管理手厚いイメージ

  • 23324/12/18(水) 21:25:04

    ちなみにターゲットは

    dice1d4=2 (2)

    1大神官(教団トップ)

    2枢機卿たち

    3大主教たち

    4聖女、預言者などの別枠

  • 23424/12/18(水) 21:29:26

    >>232

    枢機卿が使う大事な儀礼品をすり替えられるなんてとんだ失態ですよね……一体なぜこんなことに……

    dice2d4=1 2 (3)

    1ドワーフの里に修繕に出していた所を狙い撃ち

    2大神官もしくは枢機卿の一人が協力している(内部粛清)

    3魔王復活に伴う千年に一度の儀式であり、女神以外に実物を目にしたものがいない(普段は布をかけられている)

    4腐敗した聖職者を買収

  • 235二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:29:57

    枢機卿か
    まあデカい宗教だしね

  • 23624/12/18(水) 21:31:53

    内通者は教団トップクラスの誰か、位にしておいたほうが面白そうなのであえてダイスは振らないでおきましょう

    こんな邪悪な計画に協力するドワーフとは……

    dice1d4=2 (2)

    1教団に怨みがあり協力した

    2脅されてやむを得ず

    3金さえ貰えればどうでもいい

    4若いドワーフの過ち。自分の腕を証明したかった

  • 23724/12/18(水) 21:36:45

    どうやらドワーフは弱みを握られ仕方なく協力したようですね…

    ちなみになんの儀式?

    頻度

    dice1d3=1 (1)

    1 年に1回以上やっている定例の儀式

    2 数百年ぶりの珍しい儀式

    3 千年ぶりの極めて珍しい儀式

    種類

    dice1d4=3 (3)

    1豊穣祈願

    2平和祈願

    3戦勝祈願

    4慰霊祈願

  • 23824/12/18(水) 21:39:26

    そんなに珍しい儀式でもないのでチャンスは結構あるし気も緩んでそう
    ではそろそろ、まずはこの呪いの儀礼品について安価を募集しますね
    名前:
    種類:儀礼剣、錫杖、振り香炉など
    呪いの効果:
    外見:
    特徴:
    でお願いします。下3、15分くらいでいきましょう

  • 239二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:39:39

    何故に武闘派な願いを…?

  • 240二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:41:14

    >>239

    割と仲の悪い大陸だからエルディラトとか魔族とかと日常的に戦争はしてるんだろう

  • 241二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:46:47

    名前:呪層惨鏡
    種類:鏡
    呪いの効果:持ち主が鏡で自身を見た時持ち主に病を感染させる
    外見:豪華な装飾の鏡人の顔より一回り大きい程度
    特徴:現実で病に掛ける訳ではなく鏡の中で伝染させそれが鏡写しの本人にシンクロする事で病に掛けるこの為対処法が鏡を物理的に壊す等が有効と言うかほぼそれしか無い

  • 242二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:54:52

    名前:ジャスティルマの呪剣
    種類:儀礼剣
    呪いの効果:剣の柄を持ったものに強い多幸感を発生させその状態で刀身を見ると強い自傷欲求が生まれ刃を体に触れさせてしまうそこ迄やってしまうと完全に病に掛かる
    外見:赤い宝石の装飾の付いた銀剣
    特徴:かつて強い権力を持ったジャスティルマと言う貴族が居た彼は別に悪性であった訳では無いしかし居るだけで周りから疎まれていたそして遂に貴族達は暗殺を企んだその結果この呪剣が出来上がりジャスティルマを呪殺その後この剣はジャスティルマの呪剣と言われる様になった

  • 24324/12/18(水) 21:56:41

    締め切ります

    dice1d2=2 (2)

  • 24424/12/18(水) 21:57:33

    名前:ジャスティルマの呪剣
    種類:儀礼剣
    呪いの効果:剣の柄を持ったものに強い多幸感を発生させその状態で刀身を見ると強い自傷欲求が生まれ刃を体に触れさせてしまうそこ迄やってしまうと完全に病に掛かる
    外見:赤い宝石の装飾の付いた銀剣
    特徴:かつて強い権力を持ったジャスティルマと言う貴族が居た彼は別に悪性であった訳では無いしかし居るだけで周りから疎まれていたそして遂に貴族達は暗殺を企んだその結果この呪剣が出来上がりジャスティルマを呪殺その後この剣はジャスティルマの呪剣と言われる様になった
    ですね

  • 245二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:57:39

    このレスは削除されています

  • 24624/12/18(水) 21:59:00

    時間的に遅いのもありますがだいぶ安価が集まらなくなってきたのでちょっと潮時感がありますね……
    OKです。設定に関してはこのあたりで切り上げましょう。ドワーフの人物や人狼についてはスレ主の方で盛っておきます

  • 247二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:59:33

    了解です

  • 24824/12/18(水) 22:00:42

    今後は実際にエピソードを紡いでいく方向でやっていきます。
    システムについては少し悩んでいるところなので、こういうのが見たい、というのがありましたらぜひ教えて下さいね
    本日はここまでにします。設定の整理とかをしたいので、明日はお休みをいただいて、明後日の夜から再開にします
    それでは、お休みなさい

  • 249二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 22:01:25

    名前:暗闇の火
    種類:ロウソク
    呪いの効果:ロウソクに火を灯した持ち主に呪いを掛けるそして火が付きた時持ち主の心臓に病を発生させる
    外見:至って普通のロウソク
    特徴:強力な呪いで発生させた病は解呪と治療の両方を高レベルで要求する基本的に一度火が尽きたら助からないロウソクは火が尽きるまでは溶けるが火が尽きた後に魔力を通すとまた再形成されるしかし呪いを込めるには数日のインターバルが居る

  • 250二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 01:21:24

    このレスは削除されています

  • 251二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 09:12:57

    このレスは削除されています

  • 252二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 17:18:06

    このレスは削除されています

  • 253二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 21:44:41

    保守

  • 254二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 01:27:31

    このレスは削除されています

  • 255二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 08:44:10

    保守

  • 256二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 16:59:32

    いつも通り20時あたりかな?

  • 25724/12/20(金) 19:58:19

    20時から始めます。
    おまけの序文

    PA歴35年、身も凍るような冬のある夜明け。
    ゴドルダルキア南部の都市エルゼト。その商家の一室にて、ひとりの男児が産声を上げていた。
    のちに勇者として知られる子を両親はアレイオールと名付け、家を継ぐものとして大事に育てた。
    アレイオールの才能は非凡だった。初めて持った木剣で頑丈な鉄柵を切断したことを皮切りに、彼はその尋常ならざる実力を世に知らしめていく。
    PA歴50年。15歳となったアレイオールに、転機が訪れようとしていた……。

  • 258二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:01:33

    やったぜ

  • 25924/12/20(金) 20:03:54

    アレイオールは家を出、故郷を後にした。

    その理由は、

    dice1d3=2 (2)

    1故郷の街が魔族の襲撃で滅んだ。(家族は生存)

    2栄光を求め、冒険者になるべく旅立った。

    3親と口論になり、家を飛び出した。

    同行者は

    dice1d3=1 (1)

    1リューベン(まだ魔法使いではない)

    2ペットとなる小動物(マスコット)

    3同行者なし

  • 26024/12/20(金) 20:08:23

    「待てよアル」
    街道をゆくアレイオールは、ふいに声をかけられ振り向いた。
    「リューベン! どうした?」
    「どうしたもこうしたもあるか」
    リューベンは呆れたように言った。
    「いくら丈夫でもお前みたいな向こう見ず、放っておいたらすぐ死んでしまうだろ」
    「俺なら大丈夫さ」
    アレイオールはそう言った。実際のところ、しぶとさには自信があった。
    「そういうところが不安なんだ……俺もついていくぞ」
    「そいつはありがたいが……本気か?」
    アレイオールのからかうような視線に、リューベンは鼻を鳴らすと、彼の前を通り過ぎて先に向かった。
    「今更だ。お前が行かないというなら俺のほうが置いていく」
    アレイオールは頬を綻ばせながら、幼馴染の後を追うのだった。

    ・リューベン(Lv.1)が仲間になった!

  • 26124/12/20(金) 20:10:00

    人が集まってくるまではダイス主体で振っていきますね

    二人の向かう先は

    dice1d3=1 (1)

    1ゴドルダルキア首都

    2とある迷宮のそばで栄える都市

    3デアム・カエリ教団領へ

  • 262二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:11:30

    王様に会いに行くのかな?(ド◯クエ脳)

  • 26324/12/20(金) 20:12:10

    「それで、どこに行く?」
    「出世したいなら、やはり王都だろう。人も情報も集まる場所だ」
    「なるほど」
    「……お前、まさかそんなことも考えずに町を出たのか……?」
    「い、いやいや! 俺もそう思ってたところだ!」
    リューベンの追及を分かりやすく目を泳がせながら躱しつつ、アレイオールは行先を王都に定めた。

  • 26424/12/20(金) 20:14:44

    ゴドルダルキア王都、アドラ。

    かつて勇者アドラが即位し、現在の勇者王朝を創始したと言われる都市である。

    道中の風景

    dice1d3=1 (1)

    1美しい絶景

    2牧歌的な風景

    3荒廃した風景(トラブル発生)

  • 26524/12/20(金) 20:19:10

    商業都市エルゼトから王都アドラへと向かう道中には、切り立った崖と水域からなる特異な景観を持つ、ルイガ水山嶺が存在する。崖から落ちる水滴は日光を反射して虹色に輝き、急峻な地形は旅人の足腰に試練を与える。二人の旅人は互いを励まし合いつつ、絶景を横目に先を急いだ。

  • 266二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:20:04

    アレイオールはまだ慢心ぶりは見られないと…これからが楽しみだ

  • 26724/12/20(金) 20:20:47

    さて王都にやってきた二人ですが…

    dice1d3=1 (1)

    1まずは冒険者ギルドに行こう

    2当面の拠点はこの安宿だな

    3何やら王城の方が騒がしいな…

  • 268二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:21:41

    順調に進んでる!

  • 26924/12/20(金) 20:25:25

    「ここが冒険者ギルド……!」
    「さっさと行くぞ」
    感激した様子のアレイオールを尻目に、リューベンは無感動に扉を開けた。
    冒険者ギルドはルーワンズベルト大陸でも歴史の長い組織で、世間一般のイメージと裏腹に小綺麗な印象を与える場所だった。
    軽装の獣人の一団に、甲冑をまとった重戦士と斥候のコンビ、ちょっとした魔法もどきが使えるらしいエルフの術師に、あの背の低い人影は……まさかドワーフだろうか?
    故郷では考えられない光景に、アレイオールの胸は躍った。
    ※画像はイメージです

  • 27024/12/20(金) 20:27:36

    冒険者ギルドのシステム

    dice1d4=2 (2)

    1よくある階級付けと自由依頼がセットのやつ

    2個人ごとの斡旋式。駆け出しに選ぶ権利はない

    3依頼主とその場で交渉する場を貸している。本業は冒険のサポート

    4軍隊式。ギルドが受けた依頼を各冒険者に割り当てている。

  • 27124/12/20(金) 20:30:04

    「冒険者の登録を行いたいんだが」
    アレイオールがそう言うと、受付の女性は片眉を少し上げた。ブロンドにちょっと冷たい印象の、色素の薄い切れ長の碧眼。
    「こちらの用紙に、名前とご年齢を」
    「職業っていうか、役割とかは?」
    「不要です」

    釈然としない様子のアレイオールに、リューベンは肩をすくめてみせた。
    「どうせすぐ音を上げる新人だと思われてるんだろ。気にするな」

  • 27224/12/20(金) 20:31:25

    「すぐにでも仕事がしたい(宿代もないので)」と訴えるアレイオールに、受付の女性がため息混じりに紹介した依頼とは……?

    dice1d3=1 (1)

    1薬草採集

    2弱い魔物退治

    3安価

  • 273二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:33:13

    まぁ、新入りに難易度が高い依頼をさせる訳にはいかないよな…

  • 27424/12/20(金) 20:33:51

    「こちらの依頼なら、すぐにでも……」

    「なになに、薬草採集?」

    「初心者向けの依頼ってやつか」

    アレイオールは

    dice1d3=3 (3)

    1仕方ない、これも下積みと引き受ける

    2もっとズバーっとした依頼はないわけ?

    3依頼は受けず野良で仕事をするか……

  • 27524/12/20(金) 20:36:26

    うーん、強いからってこいつ……


    「正気かアレイオール? あの女の顔を見たろ。次の仕事はないぜ」

    「俺達には簡単すぎるだろ。無駄に遠回りをすることはねえよ。俺達がやるのは」

    dice1d4=3 (3)

    1山賊退治

    2地下墓地のアンデッド浄化

    3近くで暴れまわっている魔族を狩る

    4安価

  • 276二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:36:36

    うーんフリーダム

  • 27724/12/20(金) 20:39:21

    「よし、魔族を狩りに行こう」
    「はあ!? お前、魔族の強さが分かって言ってるのか!?」
    「何とかなるだろ、俺達ならさ」
    「いやいや、確かに地元では負け無しだったが!」

    こうして二人は魔族を倒すため、情報収集をすることにした。
    魔族の噂は王都中に流れているため、特定は容易だった。
    どうも近くの廃灯台に住み着いているらしい。
    渋るリューベンを説き伏せ、アレイオールは灯台へ向かった。

  • 278二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:39:48

    マジで今迄折れた事とこ無かったんだろうな…

  • 279二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:40:09

    リューベン振り回されてるなぁ

  • 280二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:41:06

    調子に乗れば乗るほどあの名画(幻覚)の芸術ぶりが引き立つのです…

  • 28124/12/20(金) 20:43:17

    王都の北の岬に、その灯台——シャラストの灯台はそびえている。頂上から怪しい燐光を発するこの塔は、一説によれば古代レムランティス文明の昔から存在していると言われるが、真相を知るものは誰もいない。晴れていた空は、灯台に近づくにつれどんよりと曇りだし、果ては稲妻を走らせ始める。黒雲を衝くように影を浮かび上がらせるその塔は、吹きすさぶ風に魔性の響きを乗せていた……。

  • 28224/12/20(金) 20:46:54

    「……なあ、引き返した方が良いってこれ。うまく言えないが、なんかこう、凄まじいアレを感じる」
    「なんだよアレって。大丈夫大丈夫」
    灯台を見上げて血の気を引かせるリューベンの背を笑いながら叩き、アレイオールはずんずんと先に進んでいく。
    リューベンの目には見えている。塔の周囲を渦巻く不気味な魔力の渦が。
    だが、この時点のリューベンはまだ、アレイオールには渦が見えていないということを知らなかった。

    シャラストの灯台
    攻略難度:高
    全30階層。
    ギルドによる最高到達階層 … 5階 

  • 28324/12/20(金) 20:50:26

    1階。灯台の基礎となるこの階層は、塔全体の重量を支える中央の柱も最も太く、これを取り囲む扇状の4つの部屋に分割されている。

    ギルドによる念入りな探索を受けた階でもあり、罠は発見、解除済みである……解除不能であった一部のもの以外は。


    アレイオールは1階を探索した!

    dice1d100=61 (61) 50以下で罠を踏む。70以上で階段発見。それ以外は振り直して加算

    振りなおし用

    dice1d100=73 (73)

    dice1d100=21 (21)

  • 28424/12/20(金) 20:53:02

    ちょっと時間がかかりつつも無事突破ですね。

    まあギルドの先輩が探索済みみたいですし。


    2階。明らかな探索の痕跡が残る1階と比べると、この階層からは明らかに人の営みが感じられなくなっている。

    かつてギルドの派遣した大規模な探索部隊が全滅したのはこの階層である。

    その理由とは…

    dice1d3=2 (2)

    1強力な罠

    2門番となる敵

    3入ったものを惑わす仕掛け

  • 285二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:54:59

    門番…レムランティス製かな?

  • 28624/12/20(金) 20:55:10

    敵ですね。アバドンの魔物か、ゴーレムのようなタイプか……

    アレイオール戦闘力dice1d100=72 (72)

    敵戦闘力dice1d100=65 (65)

    ※戦闘力で負けるとアレイオールの覚醒カウンターが1進みます。(全10段階)

  • 28724/12/20(金) 20:56:53

    強え…高難易度ダンジョンにいきなりぶち込んでも覚醒せず進みやがる…
    すぐやられる噛ませ犬ボスですので安価はいいか
    とりあえずテンポ重視で進めますがこういう場合は安価取ってくれ—っていう人は教えてね

  • 288二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:58:33

    コレがあんな目に遭うドラゴンゾンビさん強くね?

  • 28924/12/20(金) 21:01:56

    「UUMMMMM……URRLLLAAAAAAAAAAAAA!!」
    人型の巨体は、喉の奥から聞き苦しい音――おそらくは叫び声――をあげた。
    全身が雑多な鉄くずで構成されたがらくたの巨人……アレイオールにはそう見えた。
    「……面白い」
    腰に佩いた長剣を抜き、構えるアレイオール。リューベンも援護しようと短杖を構えるが、アレイオールは笑って言った。
    「まあ見てろよ。王都の学園では見られねえものを見せてやるぜ」
    アレイオールが踏み込むと同時に、巨人は怒りの咆哮をあげ、鉄でできた腕を振り回し始めた。

  • 29024/12/20(金) 21:06:03

    アレイオールは、地響きを立てて倒れた敵が全身の制御を失ってその巨体を崩し、がらくたの山になるのを見届けた。
    「よし、一丁上がり!」
    「なにが一丁上がりだ。途中で良いのをもらいやがって。死んだかと思ったぞ」
    「あんなくらいで俺が死ぬわけないだろ」
    普通は死ぬんだよ、とリューベンはこめかみを押さえて頭痛をこらえつつ言った。

    がらくたゴーレム:
    2階層の守護者。もともとは鋼鉄製の立派なゴーレムだったが、ここを攻略した上級冒険者パーティによってたかってボコボコにされた。コアが無事だったためその後再生したが、破損された部品までは直せずガラクタの塊に。アレイオールトの戦闘でコアを両断され完全に沈黙した。

  • 29124/12/20(金) 21:07:33

    3階。そろそろ魔族がどの階層にいるのかダイスを振りましょう。

    dice1d4=1 (1)

    1 5階

    2 10階

    3 15階

    4 30階(最上階)

  • 292二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:08:44

    これはクエストが早めに終わりそうな感じかな?

  • 29324/12/20(金) 21:11:28

    以外に低い。すぐ上がれそうなのでこのまま探索していきましょう。


    シャラストの灯台3階。強敵ゴーレムを倒してこの階に到達した冒険者たち、渦巻く瘴気と闇を目にして、進むか退くかの決断を迫られる。この階には異次元からやってきた魔物たちが潜んでいるという……。


    探索の結果

    dice1d3=1 (1)

    1特に問題なく階段発見

    2アレイオールが罠を踏み抜く

    3アバドンの魔物にリューベンと分断される

  • 29424/12/20(金) 21:15:16

    4階。
    「なんだ……?」
    何かに気づいたリューベンが周囲を見回した。
    「どうした」
    「いや、何か。これは上階からか」
    リューベンはまだ知らなかったが、彼が感じているものは、一部の武術家たちの言う「気」であり、魔法使いたちのいう魔力だった。波動のようにゆらめくそれが、上階から確かに伝播してきていた。
    「気をつけろよアレイオール。どうやらお目当ては近そうだ」
    「分かった」
    幼馴染のその表情に、アレイオールはいつになく真剣な様子でそう答えた。

    ボス前階なのでそのまま上がっちゃいます

  • 29524/12/20(金) 21:18:43

    さて5階のボス魔族に出くわす前にこいつの素性を占いましょう。

    イベントの種類

    dice1d2=2 (2)

    1必敗イベント 2通常イベント


    必敗イベントの敵

    dice1d3=1 (1)

    1魔導師シャヘル

    2魔神プロトイージス

    3魔王の影アヴァロン


    通常イベントの敵

    アレイオール+リューベンの戦闘力dice1d100=56 (56)

    敵の戦闘力dice1d100=91 (91)

    ※戦闘力で負けるとアレイオールの覚醒カウンターが1進みます。(現在:0/10)

  • 296二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:20:48

    このレスは削除されています

  • 29724/12/20(金) 21:21:13

    どうやら最初の覚醒イベント(剣が一瞬聖剣に変わるなど)でやられるやつっぽいです
    たぶんこのまま死にますが場合によっては再登場するかも というわけで安価です
    灯台にいる理由については、魔王の命令で何らかの仕事をしに灯台にやって来ている的な事情でお願いします(あとで補完します)
    名前:
    性別:
    種族:魔族
    性格:
    特徴:
    でお願いします。
    下3、15分くらいでいきます

  • 298二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:33:52

    名前:ネレーザ
    性別:女性
    種族:魔族
    性格:冷酷かつ冷静だが、人間を見下している。
    特徴:魅了で動きを止めつつ、華麗な剣術で相手を追い詰める戦法を使う。灯台には魔王の命令でとある遺物の回収に来ていた。

  • 299二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:35:44

    名前:ワーダル
    性別:男
    種族:魔族
    性格:冷徹冷酷冷血の仕事人
    特徴:格闘によるシンプルな接近戦を好む魔力を全て身体能力に回しているため大半の魔族より馬鹿力
    塔に居る理由は王都の監視

  • 30024/12/20(金) 21:37:47

    締め切りますね

    dice1d2=2 (2)

  • 30124/12/20(金) 21:38:06

    名前:ワーダル
    性別:男
    種族:魔族
    性格:冷徹冷酷冷血の仕事人
    特徴:格闘によるシンプルな接近戦を好む魔力を全て身体能力に回しているため大半の魔族より馬鹿力
    塔に居る理由は王都の監視
    ですね。

  • 302二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:39:32

    間に合わなかった…

  • 303二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:44:18

    シンプルパワータイプだな
    単純に身体能力で上回れた感じかな

  • 30424/12/20(金) 21:44:44

    テンポ重視でいきますので…すいません
    安価の取り方は難しいところですね

    5階はこれまでの階層とことなって開けており、ホールを思わせる空間だった。
    探索するまでもなく、中央に上階への大きな階段がある……だがその前には、人影が立ちふさがっていた。
    青い肌。捩れた黒い角。ひと目見て魔族と分かるその人物は、筋骨隆々な肉体をもつ偉丈夫だった。
    腕組みをしていた魔族の男は、階下から現れたアレイオールたちを見て目を細めた。
    「何やら気配を感じると思えば……ずいぶん若い奴らが来たものだな」
    男の姿を見たリューベンは油断なく短杖を構え、アレイオールに告げる。
    「アレイオール。ヤツがそうらしい。凄まじいオーラを感じる」
    「らしいな。俺でも分かるくらいだ」
    びりびりと頬に感じる強圧に冷や汗を垂らしつつ、しかしアレイオールは強気に笑ってみせた。
    「なかなか活きの良い連中だ。丁度退屈しておったところよ」
    魔族の男は腕組みを解くと、腰のあたりで構えて言った。
    「俺は魔王プロトアイギス様の配下、ワーダル! 人間の勇士よ、貴様の力、見せるがよい!」

  • 30524/12/20(金) 21:50:53

    始めに動いたのは、やはりアレイオールだった。
    類稀な身体能力が実現する高速の踏み込み。しかしそもそも生物として上位にある魔族のワーダルにとっては、人間の基準でいかに神速であったとしても、見切るのは容易かった。
    「遅いわ!」
    身体を回転させるように躱し、その勢いのまま回し蹴りを放つ。蹴りは確実にアレイオールの脇腹を捉える軌道であった。
    しかし。
    「ぬっ!」
    横合いから飛び込んだ青白い光弾がその進路を阻む。すんでのところで軌道をそらしたワーダルは、追撃を予想して距離を取った。
    「油断するなアレイオール! そんな簡単な相手ではないぞ!」
    「すまん! 助かったぜ!」
    (あの小僧、魔法使いではないらしいがあの術……)
    ワーダルは油断なく構え、相手の出方を伺った。

  • 30624/12/20(金) 22:00:03

    ちょっとスキップ。

    「がはっ」
    掌底から放たれた衝撃波が床を伝播し、予想外の角度からアレイオールを襲った。たまらず弾き飛ばされたアレイオールは喀血しながら宙を舞う。
    「アレイオール!」
    「よそ見をしている暇があるか、魔術師!」
    気づけばリューベンの至近にワーダルがいた。さきほどアレイオールに食らわされた十字の傷を胸に深く刻みながらも、その動きからは一切の痛みを感じさせなかった。
    「くっ」
    とっさに防御膜を張ろうとしたが、相手の拳のほうが速かった。胸の前で構えた短杖ごと殴りつけられ、ぼきりと骨と杖の折れる音が響いた。
    「人間がその若さで、よくぞこれほど鍛え抜いたものよ。しかしこれで終わりだ」
    ワーダルは倒れ伏したリューベンに手をかざす。全身の魔力が掌に集中し、強力な衝撃波を生み出す下地が出来つつあった。
    「待、て……」
    「驚くべきしぶとさだが……もう動けまい。そこで見ていろ」
    かすれた声にワーダルは眉一つ動かさず、振り向くこともなく言う。
    彼の背後、剣を支えに立ち上がったアレイオールの瞳は、まだ光を失っていなかった。
    不意にワーダルは、背後から熱を感じた。尋常の熱ではない。魔法使いではない敵には生み出せないはずの、強い炎を思わせる熱だ。
    振り向いたワーダルの目が驚愕に見開かれる。
    剣が変化していた。ただの鉄の長剣が、赤い炎を帯び、光り輝いている。

  • 30724/12/20(金) 22:02:01

    ワーダルは

    dice1d2=1 (1)

    1聖剣に斬られ死亡。断末魔の魔力でこの事態を魔軍に知らせることにdice1d2=1 (1) 1成功 2失敗

    2聖剣に斬られ深手を負うも、灯台のバルコニーから身を投げ行方不明に

  • 30824/12/20(金) 22:03:59

    どうやら報告の義務は果たしたようです。早めに当代勇者を発見できて、これにはシャヘルもニッコリ
    こうして魔族を討伐した二人は、一躍期待の冒険者として名を馳せるのでした
    (ちなみに聖剣化で剣が塵になったのでそれ以上の探索はせず帰還しています)

  • 309二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 22:05:47

    ゆっくりシャヘル「勇者が現れたのではい、スタート。まずは(ry」

  • 31024/12/20(金) 22:09:53

    「……」
    「はい、ここに」
    白亜の宮殿の最奥。夕日の差す寝室に平伏した人影が、何者からの声に応えていた。
    「……?」
    「すでに準備は整っております」
    疑問を呈す声に、人影は丁寧に応える。
    声はそれ以上なにも語ろうとせず、沈黙した。
    眠ったのだと人影は思った。近頃は特に長い眠りを必要とするようだ。
    人影は恭しく一礼しつつ部屋を出た。
    薄暗くなりつつある廊下をひとり歩く。いくつかの柱を横切ったところで、影から湧いて出たかのように、人影の後ろに、少し小柄な影が付き添った。
    「役目のときがきたようです」
    「……はい」
    小柄な影の声は、高く、幼さを残した少女のそれだった。
    「アドラに向かい、くだんの少年に接触しなさい。期待していますよ、……モニタ」
    モニタと呼ばれた影、神官の衣装から金の髪をのぞかせた少女は、静かに頷いた。

  • 31124/12/20(金) 22:12:06

    というわけで、次回はモニタちゃんが登場します。
    何とはいいませんが着々と準備が進んでいていいですね。
    きりが良いので本日はここで終了です。
    正直スレ主的にはダイスと即興SSだけのほうが進行は楽なんですが、安価スレの意味がないのでなにか考えたいところです。やっぱり行き先とかかな……?
    というわけで、次回は明日の夕方か夜頃です。よろしくお願いします!
    感想などお待ちしてます!

  • 312二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 22:14:34

    わーい モニタちゃんだやったー
    面白かったです!!進め方は主の楽なようにして大丈夫ですよ

  • 31324/12/20(金) 22:16:53

    ちなみに今回もそうですが、大事なところだけピックアップしていくダイジェスト的なやつにしていきます
    想像で補完できるように各話タイトルくらいは出すかもだけど……

  • 314二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 01:07:06

    おつです

  • 315二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 09:25:12

    保守

  • 316二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 17:44:55

    上げ魔王

  • 317二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 20:04:57

    待機

  • 31824/12/21(土) 20:23:43

    再開します
    前回はアレイオールとリューベンが魔族ワーダルを倒し、名前を上げたところでしたね
    ギルドで一目置かれるようになるところはスキップします

  • 319二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 20:26:57

    待ってました!

  • 32024/12/21(土) 20:27:51

    アレイオールとリューベンは、噂の魔族を倒した若き冒険者として少し名を知られるようになっていた。
    二人は若手の冒険者向けにギルドが貸し出している宿舎を拠点に、冒険を続けていく。
    しかし、いくつかの護衛依頼と、一つの中規模ダンジョンの攻略を終えたあたりから、リューベンはますます強くなっていくアレイオールと自分との差に思い悩むようになっていった。

  • 32124/12/21(土) 20:34:14

    「アレイオールどの。宮殿に参上するようにとの王命がくだった」

    ある日ギルドにやってきた王宮の使者は、背筋をぴんと伸ばしながらそう言った。

    「とうとう来たか。な? リューベン、言った通りだろう」

    「……」

    リューベンは無表情に押し黙っている。アレイオールが訝しげにその様子を伺っていると、使者は咳払いをした。

    「陛下がお呼びなのは、アレイオールどの、貴方だけだ」

    「なんだと?」

    アレイオールが顔色を変える。リューベンはやはり無表情に言った。

    「俺が行っても仕方ないだろう。行ってこいよ」

    「お前……」

    アレイオールは

    dice1d2=2 (2)

    1一人で王城に向かう

    2謁見を断ろうとする

  • 322二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 20:37:44

    若気ェ!

  • 32324/12/21(土) 20:38:58

    「そういうことなら、王様には悪いが……」

    「馬鹿なことを言うな。俺達平民にとっては一生に一度もあり得ないようなチャンスだぞ」

    断ろうとしたアレイオールを、リューベンはそう遮った。

    なおも納得できない、という様子のアレイオールに、続けて言う。

    「つまらん遠慮をするな。不愉快だ」

    「しかし……」

    使者は二人の様子を見て、何を思ったのか鼻を鳴らして言った。

    「連れの方の言う通りにした方がいい。陛下のお怒りを買うことになる」

    アレイオールは

    dice1d2=1 (1)

    1仕方なく謁見を了承

    2それでも断る

  • 32424/12/21(土) 20:41:48

    後ろ髪を引かれながらも、アレイオールは使者に案内され、王城へと向かった。

    二人を見送ったリューベンは一人、溜め込んでいた息を吐き出した。

    「そろそろ潮時か……?」

    彼はそう呟き、宿舎へと戻っていった。


    リューベンの決断

    dice1d2=2 (2)

    1アレイオールと離れ、一人旅を始める

    2もう少しだけ、アレイオールについていく

  • 32524/12/21(土) 20:45:51

    同日午後、アドラの王城・謁見の間。

    アレイオールは空の玉座の前に跪き、この国の主がやってくるのを待っていた。

    (リューベンのやつ、様子がおかしかったな……いったいどうしたんだ)

    相棒の振る舞いに違和感をおぼえ、アレイオールは考え込む。しかしその思考は、高らかに吹き鳴らされる喇叭の音と、近衛の大声にかき消されてしまった。

    ゴドルダルキア現国王はdice1d2=1 (1) 1王 2女王

  • 32624/12/21(土) 20:48:39

    「国王陛下の御成り!」

    事前に作法は伝え聞いていた。アレイオールは視線を下げたままでいた。

    きっかり90秒を数えたあたりで、頭上から声がかかる。

    「面をあげよ」

    dice1d3=2 (2)

    1若々しい、活力ある声だ。

    2少し疲れたような、太い声だ。

    3しわがれた、弱々しい声だ。

  • 32724/12/21(土) 20:53:56

    ゴドルダルキア国王、ロイ8世の姿がそこにあった。齢は50を過ぎたばかりのはずだが、実年齢より老けて見えるのは、眉間に深く刻まれた皺のせいか、それとも、全体に落ち着いた雰囲気を漂わせているせいか。
    「そちが、噂になっておるアレイオールか」
    「……」
    控えていた侍従がアレイオールに近寄ろうとするが、王は面倒そうに片手で制した。
    「よい。直答を許す」
    「はっ、私がアレイオールでございます」
    アレイオールがそう答えると、ロイ8世は値踏みするようにその姿を眺めた。
    「そちの働き、誠に天晴なものじゃな。民草には、そちを称えるものもおるそうじゃ。……勇者だとか」
    王の視線は矢のように鋭かった。すでに数々の冒険を乗り越えてきたアレイオールも、こういう場に慣れてはおらず、思わず生唾を飲み込んだ。

  • 32824/12/21(土) 20:56:13

    ※注釈
    現ゴドルダルキア王家の始祖は勇者で、この王朝はその後、(傍系からですが)さらにもうひとりの勇者を輩出しています。しかしここ数百年は勇者が生まれてきておらず、現国王も若い頃は勇者ではと噂される優秀な王子でしたが、結局は普通の王として即位することになりました。

  • 32924/12/21(土) 21:03:18

    アレイオールが答える声は、少し上ずっていた。
    「滅相もございません。私が勇者などと。噂に尾鰭がついたのでしょう」
    「そうかの? そちは謙虚な男じゃな」
    王はそう言った。にこりと微笑んだが、目は笑っていない。
    「魔族の討伐、その他様々な戦の功績をたたえ、王宮からも褒美を与える」
    侍従の一人が、布を被せた細長い荷物を運んできた。アレイオールが横目でそれを見ると、王は頷き、相図とともに布が取り払われる。
    それは剣であった。一見するとシンプルな片手半剣だが、動きの邪魔にならぬよう、細部に装飾が施されている。
    素人でも高級品と分かる誂えだ。
    「王家の鍛冶屋に打たせた業物じゃ。これを使って、この国にいっそうの平穏をもたらすがよい」
    「はっ」

    ・アレイオールはバスタードソードを手に入れた!

  • 33024/12/21(土) 21:15:26

    「は~……なんかどっと疲れたな」
    宿舎への帰り道。アレイオールは夕日の中を一人歩いていた。
    王のあの態度、あまり歓迎されているとは言い難かった。
    「なんか思ってたのと違って……ん?」
    ぼやくアレイオールは、行く手の喧騒に気づいて足を止めた。
    「な~、いいじゃんかよシスター、ちょっと付き合ってくれよ~」
    「悪いようにはしねえからよぉ~?」
    二人の酔客が、あろうことか修道女に絡んでいた。修道女はかなり若く、まだ少女と言っていい容姿だ。
    肩に手を回された修道女は、びくびくと怯え涙目になっていた。
    「あんたもよぉ、溜まってんだろ? 俺達が発散させてやるよ」
    「あ、あのっ……わたし行く所が……っ」
    「つれねえこと言うなよぉ」
    修道女は助けを求めるように周囲に視線をやっているが、道行く人々は関わり合いになりたくないのか、誰も止めようとしない。
    アレイオールがため息をつき、声をかけようとしたそのとき、酔った男の右手が修道女の尻を鷲掴みにした。
    「や、やめてくださぁい!」
    次の瞬間、修道女の右手が垂直に持ち上がり、少女の倍近い体格の男は真上に吹き飛んだ。
    「!?」
    アレイオールが唖然として見守るなか、まだ何が起きたか全く理解せず、だらしない笑みを浮かべていたもう一人の男の側頭部を、十字架を模した杖が目にも止まらぬ速さで襲った。
    「天誅!」
    すこーん、という、人間の頭部から響いた場合は割と洒落にならない音が夕暮れの街に木霊した。
    アレイオールが声をかけようと半身になった体勢のまま固まる前で、二人の酔客は路上に沈み、少女は肩で息をしていた。

  • 331二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:18:56

    モニタ!?

  • 332二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:19:48

    なんとなく分かってたけどSTR高そうだな

  • 333二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:21:30

    暴漢が暴女にやられた!

  • 33424/12/21(土) 21:22:32

    衛兵を呼ぶべきかどうか、アレイオールが迷っていると、少女ははっとした様子でこちらを見た。
    街の人はトラブルの気配を察したかいつの間にか退散しており、気づけば通りには少女とアレイオールの二人しかいなかった。
    「あ、あの……」
    少女が一歩、アレイオールに近づく。アレイオールは一歩後ずさった。
    「も、もしかして、あなたが……」
    少女が胸の前でぎゅっと杖を握りしめた。いかにも少女らしい、愛らしいポーズである。杖先から血が滴っていなければ。
    「あなたが勇者様ですか?」
    期待に目を輝かせて少女は言った。
    (それはどういう意味で言ってるんだ……?)
    困惑しつつ、アレイオールは考える。
    今の身のこなし、どう見ても素人ではない。衛兵を呼ぼうかと思っていたが、悪くすれば衛兵にも犠牲者が出るかも知れない。

    アレイオールの行動について安価
    下3くらいから

  • 335二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:26:24

    「まだ勇者と呼ばれるほど功績を上げられていない」と言う

  • 336二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:34:30

    「あっ!魔王!」と気を逸らして逃げようとする

  • 337二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:34:43

    警戒しつつ「俺が勇者に見えると思うか?」と答える

  • 33824/12/21(土) 21:35:47

    dice1d3=3 (3)

    1>>335

    2>>336

    3>>337

  • 33924/12/21(土) 21:55:43

    すいません、猫に絡まれて遅くなりました

    「俺が勇者に見えると思うか?」
    アレイオールはそう言って身を低くした。いつでも逃げられる構えだ。
    少女は首を傾げた。
    「? 勇者様ですよね? 聖剣の力を感じるもの」
    「聖剣? いやこれはさっき貰った剣で……」
    アレイオールは言い募るが、少女はかぶりを振った。
    「その剣のことではありません。炎の剣のことです」
    「炎の剣?」
    アレイオールは警戒するのも忘れ、思わず聞き返した。
    ワーダルを倒したときに一度だけ目にした、あの剣。
    (あのときは俺とリューベンしかいなかったはず。この子は……?)
    より警戒を強めるアレイオールと対照的に、少女はにぱっと笑ってみせた。
    「わたしはモニタといいます。聖地から勇者様のお供をするためにやって来ました。これからよろしくお願いします!」
    アレイオールはひとまずリューベンに相談すべく、モニタと名乗った少女を連れて部屋に変えることにした。

    ・神官モニタが仲間になった

  • 34024/12/21(土) 22:01:31

    次の冒険までスキップ。
    その間のあらすじ。
    神官モニタを連れ帰ったアレイオールは、彼女をリューベンに紹介し、対応について相談した。
    リューベンはモニタから邪悪な魔力は感じられないこと、身につけたものは正規の神官のそれであり、デアム・カエリ教団への問い合わせは必要だが、ひとまずは本物らしいと考え、「聖剣」の情報の出どころについて彼女を問い詰めることにした。
    しかし、モニタの答えは「聖下に教えていただいた」というだけのことであり、それ以上の情報はなく、二人に怪しまれていることを気にする様子もないモニタとの、奇妙なパーティが誕生したのだった。

  • 34124/12/21(土) 22:04:25

    次の冒険

    dice1d4=4 (4)

    1何らかの事件への介入

    2魔族との戦い

    3迷宮攻略

    4怪物退治

  • 34224/12/21(土) 22:10:33

    怪物か……さて何かな

    dice1d4=1 (1)

    1アバドンの魔物

    2亜種竜(ワイバーン、ワームなど)

    3狂った達人、魔法使いなど

    4大型の動物

  • 343二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:14:20

    貴方達ラストダンジョンのモンスターでは…?

  • 34424/12/21(土) 22:18:50

    アレイオールたちは、ゴドルダルキア南東部のとある山岳都市へやってきていた。
    目的は、この地域の山にひそみ隊商を襲っているという、不気味な怪物だ。
    「特徴はねじれた角、翼、馬の脚、鳥の脚、狼の頭、蛇の頭、魚の尾、赤い鱗に青い鱗……めちゃくちゃだな。これじゃ、何もわからないのと一緒だ」
    依頼書に一応書かれていた特徴をざっと読み上げてアレイオールが言った。リューベンは杖を頼りに山道を四苦八苦して進みながら言う。
    「遭遇したときにパニックになっていたのだろう。正体は俺達で確かめるしかないな」
    「聖典にもそんな怪物のお話はありませんし、リューベン様のおっしゃる通り、パニックだったんだと思いますよ」
    その横を悠々と歩いているモニタは、なんと聖典を開いてペラペラと捲っていた。「ふうん、そうなんだ」と事も無げに言うアレイオールと歩調を合わせているのに、まるで疲れた様子もない。
    (クソ、お前らも化物なんじゃないのか……)
    リューベンは内心で毒づきながら、必死で二人の後をついていった。

  • 345二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:22:21

    リューベンに不穏な描写が…

  • 34624/12/21(土) 22:25:58

    ミクトラン山脈は、古くから交通の難所として知られている。山の中腹には火山活動で出来たと言われる天然の洞穴がいくつもあり、その中に飛竜や大羆といった危険な生物が棲み着いているのだ。この地を通る旅人たちは、山脈を越えた先にあるゴドルダルキア南東部の豊かな景色を求めて、今日も危険に挑んでいる。

  • 34724/12/21(土) 22:46:20

    「はっ!」
    「せいっ!」
    目に映るものを見境なしに襲う「よだれ熊」をアレイオールが一刀のもとに斬り伏せ、鎖をつけた金属製の聖典を振り回すモニタが、翼開長がリューベン2人分ほどもある小型飛竜の頭をかち割る。
    「くそっ、数が多いな……」
    リューベンはそうした怪物たちの攻撃を躱しながら、呪文による攻撃を行っていた。
    「! リューベン、後ろだ!」
    アレイオールの切迫した声に、リューベンは振り返りざまに”火の矢”の呪文を放った。
    見れば、まっすぐリューベンにむかって突っ込んでくる小型飛竜がいた。
    指先から放たれた拳大の火の玉が飛竜の翼をとらえ、焼き尽くす。しかし本体そのものは慣性に従ってそのまま突っ込んできたので、リューベンは身を翻して躱そうとした。
    「リューベン!」
    崖のギリギリのところを踏み込むつもりだったが、思ったよりも地質が脆くなっていたらしい。
    右足が崖を踏んだ途端、その場所が崩れた。
    「くっ」
    リューベンはそれでも、持ち前の素早さを活かして態勢を立て直そうとしたが、断末魔の叫びを上げながら崖下に向かっていく先程の小型飛竜が、道連れとばかりに尾で彼の脚を打った。
    (しまった!)
    リューベンはほとんど無意識に手を伸ばしていた。
    アレイオールの戦っている位置は彼からは遠すぎた。
    「リューベン様!」
    ぐっと手を握られる感触と、強い慣性を感じ、気づけばリューベンは崖とは反対側に向かってよろめいていた。
    振り返ったリューベンが見たのは、反動で崖から身を躍らせたモニタと、彼女の手を掴もうと飛び出していくアレイオールの姿だった。

  • 34824/12/21(土) 22:48:19

    引きに丁度いいので本日はここで終了です 明日はまた20時くらいに開始かな
    SS主体になるとどうしても進行が遅くなりますね…
    少なくとも例のシーンまではしっかりやるつもりですので、これまでご参加いただいた方は、ぜひ見に来てくださいね

  • 349二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:49:13

    おつおつ

  • 350二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:49:45

    お疲れ様です

  • 35124/12/21(土) 22:52:47

    ※解説
    よだれ熊:ミクトラン連峰に住んでいるクマの一種。めぼしい巣穴は体長10mくらいある大羆に占拠されているため、毎年のように冬眠できず、巣穴もなく彷徨っている。いつも腹ペコでよだれを垂らしており、動くものにはなんでも襲いかかる。中級冒険者なら何とか単身で撃破できるくらいの強さ。
    小型飛竜:小さい飛竜の総称。翼開長は1~3mくらい。ワイバーンの幼体が含まれることもあるが、ほとんどはこれで成体。一体一体は弱いが大抵の場合は集団で襲い掛かってくるため、油断すると危険な相手。

  • 352二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 03:09:06

    このレスは削除されています

  • 353二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 11:21:39

    このレスは削除されています

  • 354二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 20:00:40

    このレスは削除されています

  • 35524/12/22(日) 20:21:29

    再開します
    前回はアレイオールとモニタの二人が崖から転落したところでした
    ダイスはともかく安価を何とか取りたいんですが取っ掛かりがないですね…

  • 35624/12/22(日) 20:37:17

    リューベンは残った怪物たちを片付けると、崖の下へと向かって叫んだ。
    「アレイオール!」
    声がむなしく木霊した。返事はない。
    アレイオールの丈夫さは折り紙付きだが、さすがにこの高さから飛び降りたことはない。
    嫌な汗がリューベンの額を伝う。
    「くそ、いつも通り無事でいてくれよ……」
    崖の下は森になっていた。木の枝葉がクッション代わりになってくれている可能性もある。
    リューベンは自分にそう言い聞かせながら、下に向かうべく、来た道を引き返し始めた。

    一方その頃、崖下。
    「ずいぶん落とされたな……」
    頭に葉っぱやら枝やらを乗せ、服のあちこちが擦り切れたアレイオールは呑気に上を見上げていた。
    「うーん……あいつこんな奥まで来られるかな」
    呟きつつ、背後に目をやる。アレイオールと同様にボロボロの格好になったモニタが背負われていた。
    崖から落ちた時、とっさに彼女を抱きかかえ、自分が下敷きになって庇ったのだが、しっかり衝撃はあったらしく、気を失っている。
    あまり雰囲気が良いとは言えないこの森からは、出来れば早めに離れた方がいいのだが。
    「仕方ねえ、森の外れまで走るか」
    アレイオールはそう言うと、人一人を背負っているとは思えない身軽さで駆け出すのだった。

  • 35724/12/22(日) 20:39:04

    合流について

    dice1d3=1 (1)

    1無事に合流できる

    2敵と出くわし手こずる(夜になる)

    3どちらかがボスと遭遇 dice1d2=2 (2) 1アレイオール 2リューベン

  • 35824/12/22(日) 20:52:43

    「よっ、リューベン」
    「無事だったか……って、モニタはどうした。まさか死んでるんじゃ」
    「寝てるだけだ。大きな怪我はないはずだぜ」
    あっさりと合流してきたアレイオールの姿を見て、リューベンは思わずへたり込みそうになった。
    「……まあ合流できて良かった。モニタが目を覚ますまで、休もう」
    二人はモニタを連れて、怪物がいない洞穴へともぐりこんだ。このあたりにはこういう横穴が無数にあり、なかには大型の宿主がいないものもあった。

    「ぅ……」
    「お、目を覚ましたか」
    しばらくして起き上がったモニタは、寝ぼけ眼で周囲を見回した。
    「はょござぃ……あれ、ここ……?」
    「リューベンが見つけてくれた洞窟だよ。崖から上がってきたんだ」
    「崖……? あ! アレイオール様、お怪我は?」
    「そんなもんもう治ったよ。それより自分の怪我を治したら?」
    「わ、わたしのことなんていいんです! それよりも、あんな……!」
    なにやら口論し始めた二人を横目にしながら、リューベンは焚き火で暖を取っていた。
    どうもモニタは自分を助けようとアレイオールが飛び出したことを非難しているらしい。
    アレイオールはアレイオールで、自分の行動が間違っているとは全く思わず反発しているようだ。
    (しかし元はと言えば俺のせいだ)
    リューベンは考える。そもそも自分が態勢を崩さなければあんなことにはなっていない。
    加えて、落ちてから今まで、果たして自分は何の役に立っていた?
    アレイオールは自力でここまで這い上がってきた。洞穴だって見つけられたはずだ。
    「……」
    リューベンは何かを振り払うように、木の枝をひとつ焚き火に投げ込むと、仲間の口喧嘩を止めるため立ち上がった。

  • 35924/12/22(日) 21:01:50

    必要なイベントは拾えているので、ボス戦までスキップします。

    ボスについて

    dice1d3=2 (2)

    1魔王の影アヴァロン

    2一般通過アバドンの魔物

    3樹人の差し金

  • 36024/12/22(日) 21:08:17

    何度かの怪物たちの襲撃を凌ぎ、中腹の開けた地点にやってきた一行は、そこで奇怪な存在を目撃した。

    それは、生物と呼べるのかも怪しい怪物だった。影が凝り固まって出来たかのようで、身体の特徴はおろか、輪郭すらもはっきりしない。

    「なんだ、こいつは……!?」

    「気をつけろアレイオール、何をしてくるか分からんぞ!」


    アレイオール一行dice1d100=56 (56)

    アバドンの魔物50+dice1d50=47 (47)

  • 36124/12/22(日) 21:09:31

    覚醒カウンターが進みます。スキップも考えて今回からダイスで決めましょうか

    カウンター進行度dice1d3=1 (1) (現在1/10)

  • 36224/12/22(日) 21:22:55

    ダイジェストで。
    アレイオールたちはそれぞれの武器を手に怪物に立ち向かったが、自在に身体の形状を変える怪物の動きを捉えることは難しく、徐々に疲弊していく。
    怪物が口から吐いた炎の玉がモニタを襲い、しなる尾がリューベンを打ち据えた。仲間たちを守りつつ戦うアレイオール。危機が迫るなか、アレイオールの持つ剣が光り輝き、赤い炎をまとい始めた。「聖剣」を覚醒させたアレイオールは怪物を一刀両断にするが、怪物は怯む様子もなく、それどころか斬られた部分から二体に分裂して襲いかかってきた。
    常識外れの生命力に苦戦する一行だったが、敵を観察していたリューベンは、自在に変形する身体の中で、唯一動きの鈍い部分があることに気がつく。
    しかし、そのことについて伝えた一瞬の隙をつき、怪物は爪を繰り出してきた。そして攻撃からリューベンをかばった結果、アレイオールの手から剣が弾き飛ばされてしまう。万事休すかと思われたその時、アレイオールの手を離れた剣がひとりでに飛んで怪物の弱点を貫き、変幻自在の怪物はとうとう滅びるのだった。

  • 36324/12/22(日) 21:24:08

    ちなみにこの時つかったのは王様からもらったバスタードソードですが

    剣の耐久力dice1d10=1 (1)

    聖剣化の消耗dice1d10=1 (1)

  • 36424/12/22(日) 21:30:06

    また剣折れちゃった……金のかかる能力ですね……

    無事に冒険を終えた一行ですが、リューベンが少し悩み気味。

    魔法使いになっていくので、彼が途中離脱するのは確定なんですが…

    リューベンは

    dice1d3=1 (1)

    1黙って離脱

    2再開の約束をして離脱

    3冒険中に行方不明

  • 365二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 21:36:35

    何も言わずに離脱とは…

  • 36624/12/22(日) 21:41:27

    何も言わなかったのは

    dice1d3=3 (3)

    1アレイオールに止められるとズルズルとついていきそうだったから

    2「足手まといだから置いていけ」と言えないプライド

    3魔法使いから接触があり、事情を説明できないから

  • 36724/12/22(日) 21:46:55

    どうやらスカウトがあったようです。人目を忍んで生活する魔法使いですから、説明することは禁じられていたのでしょう

    ところでスカウトしに来たのは

    dice1d3=2 (2)

    1大魔法使いグリマール

    2最後の魔法使いマー??

    3その他の魔法使い dice1d2=1 (1) 1既存キャラ(バーバ・ヤーガ以外から) 2新キャラ(安価)

  • 36824/12/22(日) 21:52:37

    こういう仕事結構してそうな副会長さんですね。
    こうしてリューベンは魔法使いとしての道を歩み始めるのでした。

    リューベンが去って落ち込むアレイオールですが、モニタに慰められつつ冒険を続けます。
    このあたりちょっとロマンスっぽいイベントとかモニタが謎の人物と連絡を取って表情に翳りが出るイベントがあるんですが、終わらないので割愛で。

    次は斥候ジナイがパーティ加入するところですね。

  • 369二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 21:54:45

    マー??さん!!謎が多すぎて訳がわからないマー??さんじゃないか!!

  • 37024/12/22(日) 22:01:30

    さて加入のシチュエーションからですが、斥候が欲しくなるタイミングがあるわけで…

    最初は仕事で出会ったということだったので

    dice1d4=2 (2)

    1本格的な迷宮探索

    2治安の悪い都市で意気投合

    3アレイオールがジナイの危機を救う

    4ギルドからの紹介(お目付け役)

  • 37124/12/22(日) 22:08:56

    どうやら治安悪めの都市で出会い、アレイオールと気が合ったようです

    ちなみになんでそんな都市に?

    dice1d3=3 (3)

    1攫われた要人の保護・救出依頼

    2迷宮を中心に発展した都市。迷宮探索が仕事

    3街に潜む怪物の討伐依頼

  • 37224/12/22(日) 22:10:31

    怪物の正体

    dice1d3=1 (1)

    1魔族

    2竜族

    3樹人

  • 37324/12/22(日) 22:11:18

    ふーむ全滅前は本当に魔族がメイン敵で話が進むんですね
    なんか連載が長引いて樹人の設定が生えてきた感があるなこれ

  • 37424/12/22(日) 22:12:28

    下3、25分くらいで魔族の安価を取って本日は終了にしますか
    こんかいはかなりざっくり目にしてみます

    名前:
    特徴:

    でお願いします

  • 375二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:23:42

    名前:ノーラ
    特徴:赤肌の魔族女性。シャヘルの直属の部下であり、どうやら彼の命令で「何か」(曰く極秘任務)していたところをアレイオールたちに嗅ぎ付けられた。

  • 376二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:28:37

    名前:ナリアドラ
    特徴:人間擬態可能かつ鬼才の演技力をもつ女性魔族
    シャベルの勅命により貧民街で慈善活動を長年にわたって行い自分のために死んでくれる兵隊や策謀のために動いてくれる人員を作り続けている
    スラムや街では聖女と呼ばれ慕われていたが裏では貴族の抗争を激化させたり暗殺をしたりしている

  • 377二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:33:17

    名前:バイタス
    特徴:青肌に総白髪の老爺。不老不死を求めて数多の孤児や浮浪者を犠牲にしてきた魔族の中でも異端の存在。
    樹人を崇拝しあらゆる命に従う。

  • 37824/12/22(日) 22:34:15

    dice1d3=3 (3)

    1>>375

    2>>376

    3>>377

  • 37924/12/22(日) 22:35:13

    名前:バイタス
    特徴:青肌に総白髪の老爺。不老不死を求めて数多の孤児や浮浪者を犠牲にしてきた魔族の中でも異端の存在。
    樹人を崇拝しあらゆる命に従う。
    ですね。いいですね、爺さんのキャラクターは実は少ないので個性が出そうです。
    最後に少しだけ冒頭を触って終わりにしますね。

  • 380二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:37:45

    ゲームとかアニメならここで樹人の伏線が出る感じか

  • 38124/12/22(日) 22:44:44

    「人が消えてる?」
    アレイオールがその話を聞かされたのは、リューベンが彼のもとを去って半年あまりが経つ頃のことだった。
    髭面のギルドマスターは重々しく頷いた。
    「ああ。サイフェはもともとガラが良いとは言えねえ街だったが、このところ数年は異常だ」
    ギルドマスターの言うには、ゴドルダルキア西部の都市サイフェでは、このところ行方不明者が続出しているのだという。
    孤児や浮浪者など、いなくなっても誰も気にしない人々が――悪いことにサイフェではこういった人々は多かった――いなくなっていたのだが、先月に豪商の令嬢が行方不明になり、ようやく事態が明らかになったのだという。
    「衛兵や騎士の仕事では?」
    「それが、捜索に当たっている彼らまでもが消えているのだ」
    胡乱げに聞いていたアレイオールの金色の目が細められ、口元がにやりと弧を描く。隣で聞いていたモニタがその様子を心配そうに見つめていた。
    「なるほど、それで俺をご指名と」
    「では、やってくれるか」
    「いいぜ」
    アレイオールは立ち上がり、踵を返した。モニタがペコリとギルドマスターに一礼し、あわてて後を追う。
    二人を見送ったギルドマスターはその姿に少し危ういものを感じ、古い知り合いの伝手を頼ることにしたのだった。

  • 38224/12/22(日) 22:46:49

    本日は以上となります。
    うーん、やはり安価が無いとそれはそれで書きにくいしこのくらいのバランスが良さそう
    明日も夜8時ごろに開始予定です。よろしければお付き合いくださいね

  • 383二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:48:00

    「終末」がいい感じに人名と思えないから会話の中でポンと出てきたらそのまま伏線になりそう

  • 384二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 02:00:22

    このレスは削除されています

  • 385二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 11:47:39

    このレスは削除されています

  • 38624/12/23(月) 19:00:46

    すいません、急用で今日は再開できなさそうなので、明日夜に延期します

  • 387二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 19:33:47

    了解です

  • 388二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 00:14:59

    このレスは削除されています

  • 389二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 10:30:43

    保守

  • 390二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 20:07:11

    このレスは削除されています

  • 39124/12/24(火) 20:11:40

    再開します
    リューベンと別れたアレイオールたちが都市に潜む魔族と対決するところですね

  • 39224/12/24(火) 20:22:58

    サイフェ。かつて迷宮を中心に栄えた都市である。
    しかし、その中枢となっていた迷宮が消滅し、主力産業であった魔石採掘業が衰退したいま、この都市に人を惹き付けるべきなにかはもはや存在しない。
    ただ蓄えられた財力が人々の欲を惹き付ける誘蛾灯となって、燃え尽きるまでのわずかな時間に悪徳の光をともしている。
    商業都市とは名ばかりの、悪党どもの巣窟となったこの街に、勇者アレイオールは足を踏み入れようとしていた……。

  • 39324/12/24(火) 20:29:40

    「ひええ……の、野良犬が人のご遺体を……!」
    「聞きしに勝る終わりっぷりだな、この街は」
    大通りをゆくアレイオールとモニタの二人に、建物の影から好意的とはいい難い視線がいくつも浴びせられている。
    昼間だと言うのに街は閑散としており、手入れのされていない通りには砂塵が吹き溜まっている。
    アレイオールたちはいま、今回の依頼人である豪商の邸宅へと向かっている。この商人、何かと悪い噂の絶えない男ではあるが、一人娘を溺愛していることでも有名で、彼女と浮名を流した若い男が何人も下水に浮かんだと実しやかに言われていた。
    「でけえ屋敷だ。一発で分かるぜ」
    掃き溜めの市街地を見下ろすような高台に屋敷が建っていた。砂色の壁をしたその建物は、サイフェと不釣り合いに清潔に見える。
    「離れるなよモニタ」
    「言われなくたって離れませんよぉ!」
    「離せ……首が締まる……」

  • 39424/12/24(火) 20:37:02

    「いやあ、名高い勇者どのにお引き受け頂けるとは! 長年ギルドと付き合ってきた甲斐がありました!」
    豪商ミヤイ・N(ネモ)・チカはでっぷりと膨らんだ腹をゆすり大袈裟にそう言うと、両手でアレイオールの手を包み込み、何度も上下に振った。
    「私めの可愛いカーシャをどうぞ、お救いくだされ! 言いつけを破って街に繰り出すじゃじゃ馬ですが、ある日を境に帰ってこなくなってしまい……私はこの通り、食事も喉を通らぬ始末で……」
    「なにか手がかりはないのか?」
    「手がかりといいますか……実は居場所に見当はついておるのです」
    ミヤイはいかにも困ったという表情で言った。
    「この街の地下には、下水道を浮浪者どもが拡張して作った迷宮のような場所がありましてな……下町の者どもに尋ねるに、どうもそこに多くの人間が攫われているようなのです」
    「そこまで分かっているのに、ミヤイ様は助けに行かれないのですか?」
    「そうしたいのは山々なのですが……」
    ミヤイは悲しげにかぶりを振った。
    「あそこは賊や魔物共の巣でしてな、私のように戦う術のない人間にはとても入ることなど……」

  • 39524/12/24(火) 20:40:15

    話をまとめるとこうだった。
    ミヤイの娘カーシャは下町に遊びに出かけたところを攫われたようだ。
    この街の犯罪者たちにはだいたい「尋ねて」回ったが、彼女の行方を知るものはいない。
    だが、下町の人間のあいだでは、人が下水道に消えてしまう事件が少し前から話題になっていた。
    ミヤイとしてはカーシャもまた下水道に消えたのだと考えているが、危険であり調べきれずにいる。
    そこで実力派の冒険者であった、アレイオールとモニタのコンビに声がかかったというわけだ。

  • 39624/12/24(火) 20:43:23

    ここでダイスロール

    ミヤイのカーシャに対する愛情dice1d100=69 (69)

    カーシャの生存率dice1d100=43 (43) %

  • 39724/12/24(火) 20:48:34

    まああながち嘘ってわけでもなさそうですね……娘さんの生存率は半分切ってる感じか

    「ところでお二人は、この街の土地勘はほとんどないでしょう。そこで紹介したいものがおります」
    ミヤイは召使を呼びつけると、誰かを呼びに行かせた。
    しばらくすると、一人の男が応接室へと入ってきた。
    茶髪に髭を蓄えた、爽やかな印象の男性だ。眼差しがこの街の住人とは思えぬ優しいものであることに、アレイオールたちは驚いた。
    「ジナイだ。斥候をやっている。お二人さんの案内役を務めるぜ」

  • 398二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 20:49:39

    ジナイ来たー!

  • 39924/12/24(火) 20:53:50

    アレイオールたちは後に聞く話だが、ジナイはサイフェの出身ではない。彼は由緒ある冒険者の家系の人間で、こことは異なる迷宮都市の出だ。弟ともに仕事でやってきたというジナイは、しかし既にサイフェについて知り尽くしていた。
    「自慢じゃないがこの手の仕事で俺達兄弟の右に出るものはいないと思っている。さすがに下水道に関しては限界があるが、いざとなった時の撤退には確実に困らないと断言できるぜ」
    ジナイは穏やかに微笑んでそう言った。虚勢を張っているのではなく、ごく自然体に、実力に裏打ちされた自信が外側に顕れているようだった。
    「それは助かるよ、ジナイ……さん」
    「よしてくれ、ジナイでいい。あんたがパーティリーダーなんだからな」
    ジナイは手を振ってそう笑ったが、すぐに表情を引き締めていった。
    「勇者アレイオールの噂は聞いているが、油断はするなよ。この街の地下に巣食っている連中は、想像外にヤバそうだ」

  • 400二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 20:53:51

    思った以上に治安悪くて草ァ!
    娘さんはどうなるやら

  • 40124/12/24(火) 21:01:49

    アレイオールたちが地下への探索計画を練っている頃……。
    サイフェの地下、深奥。

    「ヒッ、……ヒッ、やめて……」
    「クゥクゥ……カッカッカッ、何も恐れる必要はないぞ。お主はこれから人を超えた存在になるんじゃからのう」
    「や、やめ、やめ、ごっ、ゴボッ、ガゴゴッ」
    「カカカカカッ、よおし、よいぞよいぞ……その調子ぞ……!」
    カーシャは冷たい石の床に横になって、頭を抱えて震えていた。
    「ガっ、ぎゃあああ、ああ……!」
    少し離れたところからぼきぼきという破砕音と、絞り出すような悲鳴が聞こえてくる。
    ここに来てから何日経っただろうか。もう永遠と思えるほど、こんな時間が続いている気がする。
    「うん? おう、おうおう。どうした。もう終わりかの? 終わりなのかの? 残念じゃ、残念じゃのう、人間は脆いのう、魔族であればのう、魔族が使えていればのう。あのガラクタめが……」
    嗄れた声が一人話しているのが聞こえる。悲鳴はもう聞こえない。
    「パパ……誰か……助けて……」
    無駄と知りながら、カーシャはそう呟いた。嗄れた声の主が癇癪をおこし、何かに当たり散らす音が今日も聞こえていた。

  • 40224/12/24(火) 21:09:37

    バイタスは人間を素体に実験を繰り返しているようです。

    ちなみにその”失敗作は”

    dice2d3=3 1 (4)

    1「不死」となる

    2「不老」となる

    3「自由」となる

  • 40324/12/24(火) 21:10:31

    ちなみにカーシャの順番はあと

    dice1d10=1 (1)

  • 404二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:11:36

    そうか、魔族にはとても頼もしい守護者ができたんだったな
    そしてカーシャの命運はもうズタズタ

  • 40524/12/24(火) 21:12:00

    ダメみたいですね……

    特にボーナスはなく生存判定は素振りです

    dice1d100=57 (57) 100-43=57より大ならば生存

  • 40624/12/24(火) 21:14:01

    ぴったりなので大サービスとしてアレイオールの覚醒によるボーナス救済を一回与えます。

    dice1d10=6 (6)

    >8...無傷で救出

    7,6,5...後遺症つきで救出(値が低いほど重傷)

    4,3...死亡

    2,1...”失敗作”に

  • 407二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:14:47

    同値なんですが…

  • 408二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:14:53

    悪運がおつよい

  • 40924/12/24(火) 21:23:29

    サイフェ下水道。汚泥のような街の、さらに薄汚いものが流れ着く、光差さぬ闇の世界である。
    溝鼠の走り抜けるなかを、松明を持ったアレイオール一行が進んでいく。
    「ひどい匂いだ……こんなところに攫われているのか」
    「町人のなかに、怪物が人をさらって下水道に引きずり込んだのを見ていたのが何人かいた」
    悪臭に顔をしかめるアレイオールに、鼻までをスカーフで覆ったジナイが言った。
    町人への聞き込みを行っていたのは彼の弟ミナイであり、アレイオールたちはすでに彼とも面識を持っていた。
    「アレイオール様、わたしの神術で匂いを浄化しましょうか?」
    「いや、いい。魔力はとっておけ」
    「ふたりとも静かに。……なにか来るぞ」
    ふいにジナイが足を止め、警戒して身を低くした。
    アレイオールが剣を、モニタが杖を構えるなか、正面の闇の中から、ずる、ずる、となにかを引きずる音が聞こえてくる。
    「こいつは……なんてことだ」
    それが松明の光に照らしあげられたとき、ジナイは思わずうめいた。
    一見してそれはピンク色の、ぼこぼこした肉塊にしか見えない。
    だが目を凝らせば、肉塊のそこかしこには目や鼻や耳、手を指、乳房、関節といったものが出鱈目に形成されている事がわかる。
    「ひゅー……ごぼ、ごぼ」
    肉塊は、上部にあいた穴から掠れたような音を発した。
    アレイオールが血の気を引かせ、モニタが口元を押さえるなか、肉塊は苦しげな絶叫を上げながらアレイオールたちに飛びかかってきた。

  • 41024/12/24(火) 21:30:40

    「はっ!」
    アレイオールの斬撃が鈍重な肉塊をやすやすと斬り裂く。肉塊は悲鳴をあげると、自身の表皮を突き破って鋭い骨のようなものを突き出して攻撃してきた。
    「当たるかよ!」
    アレイオールが剣で骨を弾き、次の攻撃に移るのを、肉塊はたったいま形成したいくつもの目で憎々しげに睨みつけていた。
    一方。
    「……これ……」
    モニタは立ち尽くしている。凄惨な怪物に臆したわけではない。
    斬られた端からぼこぼこと増殖して再生するその有り様に、彼女は見覚えがあった。
    そのあり得ない事実が、モニタを金縛りにしている。
    「神……術?」

    「シスターさんよ! 悪いが手伝っちゃくれねえか!」
    ジナイが探検で肉塊の伸ばした触手の鞭を打ち払いながら叫ぶ。怯んだところに、お礼とばかりに自家製の火薬玉を投げ込み爆裂させる。
    「あ! あっ、はい! ごめんなさい!」
    弾かれたようにモニタが動く。瞑目して集中し、唱えるのは光や雷槌の呪文ではない。
    それは解除の呪文。神術を伝授されるものが、最も困難で、最も大切な技術として最初に習得するものだった。

  • 41124/12/24(火) 21:32:25

    モニタの解除呪文の有効度

    dice1d100=71 (71)

    高いほど有効。75以上で呪文を維持できなくなる

  • 41224/12/24(火) 21:37:19

    「ギャアアアアア!」
    モニタが放った白い光を受けた肉塊は、紛れもなく人間の声で悲鳴を上げた。モニタが悲痛に表情を歪めた瞬間、肉塊は止めを刺そうと接近するアレイオールに赤黒い液体を吐きかけた。
    「うわっ!」
    「リーダー!」
    ジナイが気を取られ、アレイオールが怯んだ隙をつき、肉塊は身体を半ば崩壊させながら下水に飛び込み、姿を消した。

    「くそ、なんだこれ、取れねえ」
    「アレイオール様! 毒かもしれません。いま分解します!」
    膝をついたアレイオールにモニタが駆け寄り、解毒の呪文に集中し始めた。ジナイは周囲に敵の気配がないか警戒しつつ、肉塊が飛び込んだ波紋をまだ残している下水を見た。
    「どうやらどうしようもねえ外道がいるようだな……」

  • 413二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:43:38

    ここで未来の芸術シーンへの伏線を貼っておくわけだ

  • 41424/12/24(火) 21:47:39

    「あれは神術かも……いえ、神術そのものだと思います」
    道すがらモニタは話した。
    女神の恩寵を元に開発された神術、なかでも回復術は、鎮痛、増殖、そして免疫の3つの要素からなる高等技術だ。
    だがこれらの術は、一歩間違えれば容易に死を招く危険なものでもある。このため、教団が新人の術師に最初に教える呪文はこれらを制御し中断する「解除」の呪文なのだという。
    「あの……”人”には強力な増殖の術がかかっていたようです。他の術はかかっていませんでした」
    「痛みは感じるし、病気にもなるということかい?」
    門外漢ゆえに今ひとつ分かっていない様子のジナイにモニタは曖昧に頷いた。
    無秩序な増殖による全身の腫瘍化と出鱈目な器官の発生。それらが招く激痛と病に何ら無頓着な悪魔の術式。
    それはきっと、知らないのならその方が良いことなのだ。
    「先へ急ぎましょう。こんなことをあと1秒でも長く許していてはいけません」
    「ああ……そうだな」
    静かに燃えるようなモニタの目に、アレイオールは首肯した。

  • 41524/12/24(火) 21:52:56

    ここからのシーンはガチで大事なのでちょっと一晩寝かせて、今日はおしまいにします
    具体的には以下に触れます
    ・モニタの〇〇に対するスタンス
    ・バイタスへの対応
    ・なかば異形と化したカーシャへの処遇を〇〇た〇〇

  • 41624/12/24(火) 21:54:14

    明日はまた20時頃に始めたいですね
    スレ主の中では映像がある程度できているんですが、即興で書いているので描写とか分かりにくかったら質問してくださいね

  • 417二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:57:15

    おつおつ
    ぞわぞわする描写が多くて良い感じですな

  • 418二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 00:55:10

    このレスは削除されています

  • 419二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 10:29:54

    保守

  • 420二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 18:55:57

    魔保守

  • 421二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 20:09:33

    待機!

  • 42224/12/25(水) 20:12:05

    再開します。前回はバイタスが行った人体実験で肉塊の化け物が誕生してアレイオールたちと戦ったところでしたね

  • 42324/12/25(水) 20:18:31

    勇者アレイオール一行は、下水道と並行するように作られた地下通路を進んでいく。
    通路は複雑に曲がりくねり、わずかに下に傾いていた。アレイオールたちは、次第に増していく纏わりつくような悪意を肌に感じながら、悪徳の街の下へ、下へと進んでいった。
    サイフェの下水道から続く地下通路は、やがて石造りの廊下へと繋がった。
    汚水の流れる下水道から離れたことで、強烈な臭気は減じた……その代わりに一行の鼻に充満したのは、カビ臭いにおいと、鉄さびのようなにおい……血の匂いである。
    その道は壁に備え付けられた青い炎をともす松明によって照らしあげられ、奥へと進む穴がポッカリと口を開けていた。

  • 42424/12/25(水) 20:24:32

    空になった牢屋と犠牲者の痕跡を見つけるシーンはカット

    何体目かの肉体を切り裂き、「解除」の呪文で滅ぼしたのちに、アレイオールたちはとうとう、この通路の最奥へとたどり着いた。
    そこは円形の部屋で、広さは地上の街の広場ほどもあった。薄暗い部屋はやはり青い松明で照らしあげられ、この世ならざる青で染まった室内のそこかしこには、黒ずんで見える肉塊や砕けた骨が散乱している。
    そして中央には、蠢く巨大な影と、そのまえに立つ、背の曲がった小柄な影があった。
    「このような所まで這入り込んでくるとは。不躾な者どもじゃな」
    嗄れた声が聞こえ、背を向けていた小柄な影は振り返った。
    暗青色の肌に、片方だけのいびつな角。皺だらけの顔は醜悪な笑みを浮かべるが左半分は引き攣っており、そちらの目は深い傷跡によって潰されていた。
    「わしの名はバイタス。死霊の占い師と呼ばれておる」

  • 42524/12/25(水) 20:33:53

    「お前が……あの怪物を作り出したのか?」
    勇者の問いかけに、死霊占い師は黄ばんだ歯を見せて、甲高い耳障りな笑い声を上げた。
    「クゥクゥ……怪物とはご挨拶じゃのう。あれはお主らの同胞よ。もっとも、我が術法によっておぬしら人間を超えた存在になってはおるがな」
    同胞。人間と言いたいのだろう。無論ここに来るまでにアレイオールとジナイは察しており、モニタは確信していたが、最悪の予想が的中したことに一行は等しく顔をしかめた。
    「おおかた人間どもを救いに来たというところじゃろうが……カカカッ、”間に合って良かった”のう」
    外道バイタスは手にした杖の石突で床を打った。すると、背後で蠢く巨大な影がずるずると回転を始める。
    「う……うぁ……」
    「!!」
    そして晒された全貌に、アレイオールは絶句した。卵型の肉塊に、アレイオールたちとそう年の変わらないであろう少女が、その下半身を呑み込まれる形で融合している。
    肉塊から少女の肌にまで達したグロテスクな脈管は、しかし癒合している部分から遠い胸や顔までは届いておらず、まだ少女が取り込まれきっていないことを暗示していた。
    「たす……けて……」
    「貴様ッ!」
    「クゥクゥ、見ての通り、まだ生きておるぞ。どうする? 困ったのう……どうするのじゃ!?」
    バイタスはアレイオールたちを前に哄笑した。

  • 42624/12/25(水) 20:41:22

    バイタスが手を振り下ろすとともに、少女を貼り付けた肉塊は地響きを立てながらアレイオールたちに突っ込んできた。
    「くそッ!」
    横飛びでかわすアレイオールを狙い、バイタスは黒い骸骨型のオーラを飛ばして攻撃してきた。
    オーラを剣で弾くアレイオールにバイタスは目を丸くする。
    「ほほう、人間ごときがやるものじゃな。さすがは……」
    「余所見をするな!」
    余裕の笑みを崩さないバイタスに、影のように肉薄していたジナイが短剣で切りかかる。それを横目で見たバイタスがひゅっと高い口笛を吹いた。
    「!」
    地面の石畳が砕けたかと思えば、床を割って下から人の胴ほどの太さがあるピンク色の触手が飛び出す。
    思わぬ方向からの攻撃にジナイは防御の姿勢も取れず、胸にまともに一突きを受けた。
    「ジナイ!」
    「大丈夫です!」
    間一髪でモニタが防御の術法を発動させたことで、ジナイへのダメージは最小限に抑えられた。天井を蹴って距離を取ったジナイは、咳き込みながらも態勢を立て直す。
    「ぐ……すまん!」
    「気をつけてください! あの……怪物は、床下にも触手を伸ばしているようです」
    一人始末したと確信していたのだろう。バイタスが胡乱げにモニタを睨みつけ、鼻を鳴らした。
    「ふん……人間とはいえ術者は厄介じゃのう」

  • 42724/12/25(水) 20:41:47

    良いところですが急用で30分くらい離脱します! 畜生!

  • 42824/12/25(水) 21:25:27

    復帰しました。再開します

  • 429二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 21:34:45

    老獪な爺さんだ…一つ目推しの樹人推しだけど

  • 43024/12/25(水) 21:37:35

    「あなたは……」
    「うん?」
    モニタはバイタスを正面から睨み返し言う。
    「あなたはどうしてこんなことが出来るんですか。女神の恩寵を、こんな……命を弄ぶようなことに使うなんて」
    碧い瞳にはっきりと悲しみの色を浮かべてモニタは問いただした。バイタスは嘲笑う。
    「女神の恩寵じゃと? ガラクタ相手に敬虔なことよな。わしは人間どもに不死としがらみからの解放をくれてやっているだけじゃ」
    アレイオールの斬撃を、割って入った触手が弾く。
    「おぬしらも、死にゆくものの定めをその術で捻じ曲げているではないか。わしとどう違う?」
    「あなたの作ったものを見ました」
    モニタが杖を振り下ろすと同時に、いくつもの光の十字が光条を残してバイタスに殺到する。バイタスは嗤いながら杖を振るい、黒い風の奔流を巻き起こして光をかき消した。
    「みな苦しみ悶えています。この世の誰も、あんな姿にされ、死にも勝る苦痛を与えられる謂れはありません!」
    「見解の相違じゃのう、人間の神官!」
    ジナイが懐から取り出したトゲのような暗器――東方の武器で苦無というらしい――を投げつけ、退路を塞ぐようにアレイオールが炎の斬撃を放つ。バイタスは舌打ちしつつ、奔流で苦無を弾き飛ばすと、杖で斬撃を受け止めた。
    「じゃあなんでお前は、自分には術をかけていない!」
    アレイオールの叫びに、バイタスはニヤリと口元を歪めた。
    「知れたこと……このわしこそ最後に術を受けるべきものだからよ」

  • 43124/12/25(水) 21:49:00

    膠着状態となりかけた二人のもとに、おぞましい叫びを上げながら肉塊の怪物が突進する。飛び退いたアレイオールが一瞬前までいた空間を、表皮を突き破って現れた歯列が噛み潰した。
    「厄介な……」
    限界を迎え、ぼろぼろと崩れる剣を捨て、アレイオールは次の剣に持ち替えた。バイタスに操られているせいで、肉塊と術者のコンビネーションは完璧に近かった。
    「アレイオール様」
    モニタが駆け寄り、アレイオールに防護の術をかける。バイタスたちは様子をうかがっているのか、この隙に仕掛ける様子はなかった。
    「モニタ、あの怪物、お前の術でなんとか出来ないか。さっきまでやっていたように」
    モニタは悲しげに目を伏せた。
    「これまで戦ってきた人たちとは次元の違う強度の術です。残念ながら」
    モニタは顔をあげた。目には悲痛な決意が宿っている。
    「あなたの剣で終わらせてください。あの子はもう……」
    「死ぬ方がマシだといいたいのか?」
    「死よりも残酷な状態です」
    アレイオールはバイタスの隣に鎮座する肉塊を見上げた。正面に張り付いた少女は今も苦痛の呻きをあげ、助けを求めてあえいでいた。
    「……いや、俺は諦めない」
    「アレイオール様!」
    「お前がなんと言おうとだ。要はあの子のいるところだけ切り離せばいいんだろ?」
    「そんな余裕は……」
    「俺も賛成だな」
    なおも言い募ろうとするモニタに、いつの間にか近づいてきていたジナイがウィンクしながら言う。
    「せっかくここまで来て誰も救出できませんでした、じゃあスカウトの名が廃るぜ」

  • 43224/12/25(水) 21:55:57

    (悩んでおるのう。考えておるのう。愚か者どもめ)
    バイタスは内心でほくそ笑みながら、固まっている三者を眺めていた。
    むろんただ眺めているだけではない。こうしている間にも。
    (我が術は完成しつつあるのじゃ! 木偶共めが)
    ローブで覆われたバイタスの全身には、複雑な術式が入れ墨となって刻まれている。これこそ彼が長年にわたって追い求めてきた、不老にして不死の秘法。偉大なる彼の主に捧げるべき至高の術式である。
    もう少し時間があれば、いまも隣でもがいているこの女も完璧にしてやれたのだが、さすがに派手に動きすぎた。
    それに、とバイタスは横目で醜い肉塊を見やり、侮蔑する。
    しょせんは人間。術の秘奥に耐えられるものではなかったようだ。
    (やはり素体は魔族に限るのう)
    全身の術式に刻一刻と魔力が満ちていくのを感じつつ、バイタスは思った。

  • 43324/12/25(水) 21:57:48

    ①バイタスが自身に施した術の成功率(完成度)

    30+dice1d70=39 (39)

    ②実際の判定

    dice1d100=6 (6)

    ①>②で成功(?)

  • 43424/12/25(水) 22:09:24

    肉塊ルートは回避したみたいですね。まあ所詮は外法ですが……

    「よし、じゃあいくぜお二人さん!」
    「おう!」
    「……分かりました」
    固まっていた三者のうち、アレイオールとジナイが左右から挟み込むようにバイタスたちに向かう。
    「カッカッカッ! 何をしてくれるのかのう!」
    嗤いながらも、バイタスは杖を構え、特にアレイオールに注意を向ける。”炎の剣”は脅威だ。まだ不完全とはいえ、その力はすでに魔族の振るえるそれを大きく超えている。
    対してもう一人の男は……バイタスに言わせれば、ここにいること自体が間違いの、小細工が頼りの弱者でしかない。火薬だの暗器だの、仕込みはしてきたようだが、バイタスの”真の魔術”の前では児戯にも等しい。
    (勇者さえ凌げばこちらのものじゃ!)
    バイタスが杖先で地面を打つと、黒い衝撃が波のように生じてアレイオールに向かった。
    アレイオールは至近距離で生じた衝撃波を前に、驚異的な反射神経を発揮して飛び上がる。
    「背後に回ろうてか!」
    そんな事は予想済みとバイタスは鋭く口笛を吹く。背後に控えていた肉塊が刺激を受け、身悶えしながら触手を鞭のように振るった。
    しかしアレイオールはあろうことか、振るわれた触手を踏み台にし、さらに高く飛び上がる。
    「ば、化け物かっ!?」
    「お前に言われたくねーよ」
    その動きに度肝を抜かれたバイタスがハッと我に返る。
    (だがあの位置では剣は届かん! この隙にもう一人がわしを狙う算段か!)
    一瞬でも虚を疲れた屈辱を滲ませつつ、バイタスは背後に向けて衝撃波を放った。

  • 43524/12/25(水) 22:19:54

    だが予想していた位置にジナイはいない。彼が飛びかかっていたのはバイタスではなく肉塊の方――より正確には、肉塊に貼り付けられていた少女の体にだった。
    「うあ! ぎゃあああ!」
    「痛いだろうが我慢しろよ! アレイオール!」
    「いくぞッ!」
    アレイオールが空中で振り上げた剣が、紅蓮の炎をまとった。躊躇なく振り下ろされる剣の下で、ジナイは少女を守るように覆いかぶさった。肉塊が狂ったように暴れ、ジナイと少女を激しく振り回す。
    「馬鹿な! 諸共叩き斬る気か!?」
    バイタスが驚愕の声を上げ、燃え盛る炎の刃がジナイに迫るなか、モニタが大半の魔力を込めた防御の術を発動させる。瞬間的に防御力を大きく上げるこの術は、聖剣の斬撃を完全に防ぐことは出来ないまでも、骨で逸らすことは可能にした。
    ジナイの背骨で弾かれた刃は、そのまま彼の革製の鎧の上を滑り、肉塊の方へと流れていく。激しく動いている肉塊の特定の部分を正確に切り裂くことは、今のアレイオールにはまだできない。しかし、当たりさえすればよいのであれば、彼の剣は十分に届く。
    「はあっ!」
    斜めに逸れた斬撃は、肉塊に呑み込まれた少女の脚を巻き込みつつも、その体を切り離したのだった。

  • 43624/12/25(水) 22:27:28

    「ぐっ……!」
    「ごめん、ジナイ!」
    背骨に達する激痛に流石に声を上げながらも、ジナイは少女を放すことはなかった。宙に待った二人をアレイオールが蹴りつけ、モニタのもとへ飛ばす。
    「いま回復します!」
    モニタはすでに回復術への集中に移っていた。癒やしの術を受け始める二人を尻目に、着地したアレイオールは油断なくまだ炎をまとっている剣を構えた。
    「よもや……千載一遇の好機を、このような下らぬことに使うとは」
    呆気にとられた様子でバイタスは言った。
    「全く人間の考えることは理解不能じゃ。そんな人間なぞおらずとも、わしはこやつを操れるのじゃぞ?」
    「それがどうした」
    動じる様子もないアレイオールに、バイタスは不快げに鼻を鳴らした。
    「ふん、人間ごときが。気に入らぬ目じゃ。……このままなぶり殺してやろうと思っておったが、気が変わった」
    バイタスの纏う空気が不穏なものへと変わる。危険を察したアレイオールが斬りつけたが、枯れ木のような老人は吐血しつつも、なんの痛痒も覚えた様子もなく笑った。
    「見せてやろう! このバイタスの真の魔術を!」

  • 43724/12/25(水) 22:35:35

    卵型の肉塊が動いた。中央から縦に裂け、大きな口のような……否、食虫植物のような形状に変じたそれは、肩口から真っ二つにされたバイタスの肉体を包み込み、閉じていく。
    ”見るがよい! 下賤の肉より生まれし、高貴なる不死の姿を!”
    バイタスの声が部屋に響き渡る。バイタスを咀嚼するように蠢いていた肉塊は動きを止め、小刻みに震え始めた。
    「アレイオール様!」
    「……」
    アレイオールはモニタの声をどこか遠くに感じていた。肉塊の中で、老人の肉体を糧に何かが成長している。どこか覚えのある……奇妙な感覚。彼の中の何者かが、「それ」を前に舌なめずりをするような感覚。
    肉塊を内側から食い破って、「それ」が生まれようとしている。ねじれた肉体。黒ずんだ肌。世界の仇敵たるものが。
    「アレイオール様、早く! 今のうちにとどめを!」
    ”正面から叩き潰せ”
    モニタの叫びを、頭の中に響く何者かの声がかき消した。
    ”愚かな使徒を滅ぼし、勇者となるがよい”
    アレイオールが剣を構えた。その顔には喜悦の色が浮かんでいた。

  • 43824/12/25(水) 22:40:23

    「カカカッ! 素晴らしい! 素晴らしいぞ! なんという力、なんという肉体!」
    肉塊を破り捨てて現れたそれは、確かにバイタスの面影を残していた。
    しかしその肉体は奇妙に捻れ、まるで枯れ木のように変形している。
    樹皮のように硬い顔に狂った笑みを浮かべ、バイタスだったものは叫んだ。
    「わしはついに魔族を超えたのじゃ! クゥクゥッ……さあ、おぬしらを最初の贄としてやろう!」
    アレイオールの剣が激しく燃え盛ると同時、彼は黒い怪物に向けて駆けた。

  • 43924/12/25(水) 22:42:30

    気がつけばバイタス戦にめっちゃ尺をとっていた…
    もうあとは噛ませ犬と化したバイタスが終末匂わせをして死んだり致命傷を受けたはずの勇者がなぜか死んでいないイベントが起きるだけなので省略してもいいかな…?
    今日はひとまずここまでにするので、もし良かったら意見を聞かせてください
    特に意見がなければダイジェストで済ませようと思います

  • 440二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 22:46:28

    ゆっくりシャヘルが導きコマンドを使ったか
    おつおつ、ほどよく今後の伏線はばら撒けたしあとはダイジェストでも良いと個人的には思いますな

  • 441二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 02:27:06

    このレスは削除されています

  • 442二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 09:01:26

    このレスは削除されています

  • 443二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 20:22:41

    保守

  • 44424/12/26(木) 20:34:41

    遅れました。再開します

    スキップするかどうかはダイスに決めてもらいましょう

    dice1d2=1 (1) 1スキップ 2このまま

  • 44524/12/26(木) 20:40:20

    異形と化したバイタスと正面からぶつかった勇者アレイオール。「導き」の声のままに戦う彼は戦闘を優位に進めるが、強制的な覚醒による肉体の負荷は大きく、あと一撃というところで膝をついてしまう。

    この隙を見逃すバイタスではなく、腕を変形させて作った槍の一突きで胸を貫かれるアレイオール。確実な止めを刺そうとするバイタスの前に、まだ傷が治りきらないジナイが立ちふさがり、モニタはアレイオールに必死の治療を施すのだった。

    止まらない出血にモニタの顔が絶望に染まり、ジナイが力尽きかけたその時、アレイオールは目を開き、勇者として次の段階へと進むのだった。

    覚醒カウンターdice1d3=3 (3)  (現在2/10)

  • 44624/12/26(木) 20:43:44

    5/10なので一度致命傷を食らって半覚醒状態になったみたいですね。

    能力としては

    dice2d5=3 1 (4) 被ったらひとつ下

    1同時に複数の聖剣を操作可能

    2剣が高熱の炎をまとい再生系能力を封じる

    3持続時間の延長

    4一発で剣も消し炭になるが強力な必殺技習得

    5超速再生

  • 44724/12/26(木) 20:48:04

    目玉は複数の聖剣を操れるところかな。これまでは曲がりなりにも剣士的な戦い方がメインでしたが、ここからは手に持たない剣を操作するのも重要になりそう。
    バイタスは土壇場で発現した二本目の聖剣に驚きつつも、二本の聖剣をなんとかいなそうとするが、聖剣を防御する手段に乏しく、再生が追いつかない二刀流の高速連撃で寿命が底をつき塵に還る感じです。
    最終的には「この世界に高貴なる終末の訪れんことを!」と叫んで滅びます。

  • 44824/12/26(木) 20:57:08

    あとは豪商に治療を施した娘を返してエピソード終了ですね。

    まあ足はぶった切られているので車椅子生活ですが……教団にめっちゃ金積めば治るかもだけど本人トラウマになってそう。

    アレイオールはジナイと意気投合し、ジナイはしばらく旅の仲間に加わることになりました。アレイオールに隠れてこっそり教団と連絡を取っていたモニタにとっては、隠密技能にすぐれ勘も鋭いジナイの加入は困ったことですが、密通しなくて済む大義名分が得られてちょっとホッとしているようです。

    さて、次の大きなエピソードは弓使いルナの仲間入りですが、その前に現状の三人での日常回も、描写はしませんがダイスで占っておきましょう

    dice2d4=1 2 (3)

    1暴走した農耕ゴーレムの討伐回。モニタの出身が農家で、兄弟姉妹がいる長女ということが分かる

    2ジナイとアレイオールが賭博場で大負けする回。相手のイカサマが発覚し殴り合いの大喧嘩になるもなぜか仲良くなる

    3目的地までの大橋が落ちており、足止めを食らう回。街で人助けをするアレイオールにモニタが贈り物をする

    4修行中のアレイオールが怪我をした幼竜を助ける回。

  • 44924/12/26(木) 21:00:01

    それぞれ一話くらいかな? イカサマ賭博師とかは後に再登場させられそうですね

    ちなみにサイフェの冒険から次のエピソードまでの経過時間は

    dice1d5=2 (2) ヶ月です

  • 45024/12/26(木) 21:06:12

    それでは弓使いルナの加入エピソードに進みます

    設定としては


     エルフの少女。人買いに攫われていたところをアレイオールとジナイの二人に救われてからは、二人の反対を押し切って自身も冒険者になり、強引に仕事に同行するようになった。まだ13歳でありながら弓について天賦の才を持ち、その戦闘力は極めて高いため、現在は二人の信頼を得ている。

     無口で感情をあまり顔に出さないため、親しくない人からは何を考えているのかわからないと思われることがある。自分を助けてくれ、理解してくれるアレイオールが好きで、彼の役に立つために戦いを続けている。


    前半はスレ主が勝手に付け足した設定(設定集の文字数が少なくて寂しかった)ですが、まあこれはこれでよさそう

    人身売買組織の撲滅依頼とかですかねこれは

    ところでモニタが出てこないのは

    dice1d4=4 (4)

    1体調不良(伏線)で離脱中

    2教団の別命があり同行できなかった(不在)

    3組織の居場所を明らかにするためわざと攫われた(潜入)※エピソード中に合流します

    4組織のアジトに向かう直前まで同行。被害者の治療などで別行動に

  • 45124/12/26(木) 21:08:51

    「わたしはここで治療しています。ご武運をお祈りします!」みたいなやつか……なんか怪しいな

    ちなみに今回のボスキャラは

    dice1d4=1 (1)

    1人間(亜種族も可)の悪党

    2竜族

    3魔族

    4その他

  • 45224/12/26(木) 21:11:51

    ふむふむ。ではしばらくぶりに安価を募集します。お題は今回のボスキャラです

    名前:
    種族:魔族・竜族不可。人間はもちろんエルフとかドワーフとか獣人などは可
    性別:
    年齢:
    外見:
    特徴:

    でお願いします。人攫いのお頭でも、お頭のやとった腕のたつ用心棒でも何でもOKです。
    あんまり戦闘力が無さそうな場合は代理で戦うやつを生やすかもです。
    それでは下3、25分くらいでどうぞ

  • 453二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 21:23:55

    名前:ギルス
    種族:人間
    性別:男性
    年齢:53
    外見:白い髭とふさふさした白髪の細身の中年
    特徴:人身売買組織の長。口を開けば下劣で下品な言葉が飛び出す。「両刀」かつ「種族は問わない」タイプであり、商品である様々な種族の美少年美少年を時折つまみ食い(隠語)しているらしい。

  • 454二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 21:24:40

    >>453

    ◯美少年美少女

  • 455二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 21:35:57

    名前:キレイミ
    種族:エルフ
    性別:女性
    年齢:23
    外見:白髪と疲れきった目が特徴の綺麗系のエルフ
    特徴:元マリアナの友人だったが方針の違いにより決裂し、なんやかんやでエルフと縁を切ることになる
    奴隷事業はいなくなっても困らなそうなエルフを使って自分達の計画の資金を得るためのもの

  • 45624/12/26(木) 21:41:41

    dice1d2=2 (2)

  • 45724/12/26(木) 21:43:10

    名前:キレイミ
    種族:エルフ
    性別:女性
    年齢:23
    外見:白髪と疲れきった目が特徴の綺麗系のエルフ
    特徴:元マリアナの友人だったが方針の違いにより決裂し、なんやかんやでエルフと縁を切ることになる
    奴隷事業はいなくなっても困らなそうなエルフを使って自分達の計画の資金を得るためのもの
    ですね。これはエルディラト動乱の伏線になりそうな予感

  • 45824/12/26(木) 21:52:30

    「国境付近で人攫いが活動している……か」
    自室で依頼書を読みながらアレイオールは呟いた。
    今回斡旋されたこの依頼は、ゴドルダルキア・エルディラトの国境地帯で多発している拉致事件の調査と解決を目的としたものだ。
    歴史的に不仲な隣国同士である両国は、互いに下手人は相手だと決めつけて緊張を深めており、このままでは何度目かの戦争に突入しかねない。
    アレイオールは不意にゴドルダルキア王の昏い目つきを思い出して身震いした。
    じつはこの頃すでにアレイオールの勇者としての名声は拡がりだしており、とうとう勇者を輩出する家系としての面目をも失いつつある現ゴドルダルキア王家は、失われつつある権威の回復に躍起になっていた。アレイオールの預かり知らぬことではあるが、実際のところ、追い詰められた国王が対外的な拡張で成果を残そうとする可能性はかなり高かったのである。
    「……よし」
    ともかくも現地に向かわねば始まらない。
    アレイオールは仲間と出発の日程を打ち合わせるべく、いつも皆でたまり場にしているギルドのホールへ向かった。

  • 45924/12/26(木) 22:03:11

    エルディラト連合国。
    ゴドルダルキアよりも寒冷な平野地帯に、大小さまざまな貴族たちがひしめき合う貴族共和国である。
    建国の経緯から、デアム・カエリ教団との関係は険悪で、同国と連携するゴドルダルキアとの関係もまた悪い。
    やや乾燥した平原には、どこか寂しい風がふいている。
    勇者アレイオールたちは、この地を望む丘の上へとやってきていた。

    「あれがエルディラトか!」
    アレイオールは目を輝かせて言った。冒険者となっても、まだ彼はこの国から出たことがない。
    未知への期待にその胸は高鳴っていた。
    「今回は向こう側には行かないかもしれないがな」
    のんびりそう言うのはジナイである。
    今回の目的は飽くまでも人攫い集団の発見と撃滅。組織がエルディラト側に拠点を作っている可能性もあるが、まずは調べてみなければならなかった。

  • 46024/12/26(木) 22:04:59

    遅くなってきましたので本日はここまでです。
    明日はルナ編をガンガン進めていきたいですね。
    また20時くらいに再開予定です。よければお付き合いくださいね
    それでは

  • 461二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 02:36:11

    おつした

  • 462二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 09:13:44

    乙魔王

  • 463二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 11:44:15

    アニメだとするとここまでゆっくり描写したあとで仲間全滅は普通に炎上するやつだな…

  • 464二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 14:29:11

    >>463

    1話で全滅シーンをやって2話以降は過去回想というパターンかもしれない

  • 465二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 20:07:50

    勇者待機

  • 46624/12/27(金) 20:16:51

    再開します。次は新章ですね。弓使いルナが仲間になるエピソード

  • 46724/12/27(金) 20:27:39

    アレイオールたちは被害が出ているという国境付近の村落の聞き込みを始めた。
    狙われているのは若い女性や子供。一人でいるところを狙われており、出かけたまま行方不明になっていることが多かった。
    「なかなか手がかりが見つかりませんね」
    子供が帰ってこなくなり、憔悴した様子の夫婦に話を聴き終わり、モニタが嘆息した。
    「大して遠出しているわけでもないのに、一体全体どうやって攫っているんだろう」
    人攫いに遭う瞬間を目撃したものは誰もいなかった。村人たちの中には神や精霊の怒りを買ったのだと主張するものまでいる始末だ。
    今回の事件が発覚したのも、攫われた少年が一人、なんとか組織の拠点を脱出し家に帰り着いたことがきっかけだったが、何らかの処理を施されたと見えて、少年は肝心のアジトの場所や下手人の人相、犯行の手口などは覚えていなかったのである。

  • 46824/12/27(金) 20:37:53

    「……手詰まりだな」
    アレイオールがそう言った。
    捜査開始から早くも2週間が経ち、三人は村の酒場で卓を囲んでいる。日も落ちてきたため、本日の調査は終了していた。
    「調べ始めてからもう二件もそれらしい行方不明が出ているのに、尻尾の先も見えねえな」
    ジナイがそうぼやきながら杯を煽る。モニタも渋い顔だ。
    「いったいどうやって攫っているのでしょう? 村だと余所者は目立つはずですが、怪しい人を見たという話もありません」
    「あー……」
    アレイオールは椅子にもたれかかって天井を見上げた。
    こんなときリューベンがいてくれたら、いいアイデアが出たんじゃないか。ふとそう思った。
    「こうなったら仕方ない。あれをやるか……」
    「あれ、ですか?」
    「なんだよリーダー。アイデアがあるのか?」
    「おう、まあ任せとけ」
    妙に自信ありげなアレイオールの様子に、モニタとジナイは不安げに顔を見合わせるのだった。

  • 46924/12/27(金) 20:41:50

    アレイオールの作戦とは

    dice1d3=2 (2)

    1囮作戦

    2奴隷商を買収

    3その辺の悪党を片っ端からシメる

  • 47024/12/27(金) 20:49:59

    「というわけで、攫われた人間を買っているであろう奴隷商に接触する」
    「正気か? まあ確かに実行犯よりは尻尾が掴みやすい気がするが……」
    「とっても嫌な予感がします……」

    エルディラト領内、ゴドルダルキアの国境付近に存在する交易都市テガ。近隣諸国からの文物が最初にやって来る、エルディラトの門とも呼ばれる都市だ。アレイオールたちはここへやってきていた。
    「テガ市は領主である伯爵から自治権を与えられていて、奴隷取引が合法なんだと」
    「……」
    あっけらかんとしたジナイに対してモニタの表情は固い。
    その様子にちょっと怯えつつアレイオールは頷いた。
    「合法的に商売をしている連中からすれば、危ない仕入れルートを使ってる同業者は不逞の競争相手のはずだ。まずは”まっとうな”奴隷商人に話を聞きに行こう」

  • 47124/12/27(金) 20:57:34

    アレイオールの楽観的な予想と異なり、奴隷商人たちは捜査にあまり協力的とはいえなかった。
    たっぷりした髭を蓄えた年嵩のある奴隷商は言った。
    「あんたらの言いたいことは分かるが、こういう商売は危険と隣り合わせでね。小狡い連中が排除できたとしても、恨みを買えばあとが怖いのさ」
    商人はパイプをくわえて吸い込むと、ほうと輪の形の煙を吐き出す。
    「どうしてもと言うんだったら、お兄さん。これだよこれ」
    指で丸を作って続ける。
    「この街は何でもこれ次第さね」

    「全然ダメでしたね……」
    「うあー……ギルドから金を借りられねえかな?」
    「そういう経費を使いたくないから俺達が雇われてるんだと思うが」
    アレイオールたちはその後も様々な奴隷商を当たったが、気前よく同業者の話を教えてくれる者は誰もいなかった。

    しかし、テガへとやってきて3日が経った頃のこと。

  • 47224/12/27(金) 21:02:26

    「こんにちは。皆さん、危険な奴隷商について調べているそうね」
    その少女は全く唐突に現れた。腰まで伸ばした長い金髪に、薄い青の瞳。そして尖った耳は、彼女がエルフであることを物語っていた。小柄な体格に似合った幼い顔はしかし整っていて、笑うと人を惹き付ける魅力があった。
    またぞろ酒場で作戦会議をしているところに急に声をかけられたアレイオールたちは驚いて言葉を失っていたが、やがてアレイオールが口を開いた。
    「え、えっと……君は?」
    当然の疑問に、少女は愛想よく微笑んで名乗った。
    「マリアナと申します。あなたと同じく、この世の理想を信じる者です」

  • 47324/12/27(金) 21:10:40

    マリアナと名乗った少女は、胸に両手を当てると、うっとりした表情で言った。
    「私、感動しました。この街の奴隷交易については、私も胸を痛めていましたから」
    「え、いやそこまで……」
    別に奴隷交易そのものを潰すつもりでもなかったアレイオールが余計なことを言おうとするのを、ジナイが軽く小突いて黙らせる。こういった場面は自分が向いていると判断したジナイは、アレイオールと一瞬アイコンタクトをすると言った。
    「協力してくれるつもりかい? それはありがたいが……君は一体どこの誰なんだ?」
    「身分ですか? なんてことはない、ごく普通のエルフの娘ですよ」
    どこかズレた様子の答えに、ジナイとアレイオールは困惑した様子で互いを見やった。
    今度は黙っていたモニタが口を開く。
    「この街の方ですか? 申し出はありがたいですが、危険なことに巻き込むわけにはいきませんので……」
    「ふふ、ご安心ください。こう見えて、多少は荒事の心得もあるのよ」
    何が面白いのか、マリアナは微笑してそう言った。アレイオールは背筋に寒気を感じていた。
    この少女と話していると、どうにも落ち着かなかった。見た目も口ぶりも上品な娘そのものだが、いい知れぬ違和感があった。
    「私、この街の人達には好かれていますから、口利きをして差し上げます」
    マリアナはにこりと笑った。

  • 47424/12/27(金) 21:19:18

    結局、交渉に付き合うというマリアナの申し出を断り続ける理由もなく、アレイオールたちは彼女の同行を許した。
    ――その効果は絶大であった。

    「マリアナ! こんなところに来てくれるなんて! さあさ、上がっていきなさい。お茶でもどうだい?」
    「ありがとうございます、おじさま。でも今日は訊きたいことがあって来たの」
    つい昨日に下品な金のジェスチャーでアレイオールたちを追い返した老商人が、マリアナを一目見るなり目を輝かせ、初孫を見る老爺のように相好を崩して歓待し始めた。
    目を白黒させるアレイオールたちをよそにマリアナは花が咲くような笑顔を浮かべ、ますます商人を虜にする。
    「さ、アレイオールさん。なんでもお尋ねになってください。きっと答えてくれますわ」
    「あ、ああ……」
    「なんだいお兄さんたち。マリアナの知り合いなら最初からそう言ってくれよ!」
    バンバンと背中を叩いてくる商人の変貌ぶりにアレイオールはただただ困惑していた。

  • 47524/12/27(金) 21:30:11

    マリアナに促されるがまま、昨日はあれだけ固かった口を全開にした商人は、聞いてもいない奴隷商の裏事情から、怪しい動きをしている商人の情報に至るまでを洗いざらいぶちまけた。
    それによると、裏通りで商売をやっている奴隷商に、ここ最近、急に羽振りの良くなったものがいるらしい。もともとは労働用の男性奴隷や家事用の女性奴隷を扱っていたのが、ここ最近、若い女性や子供、そしてエルフを筋の悪い客に売り始めたようで、仕入れルートは一切が不明、ということのようだ。
    「うふふ。よいお話が聞けましたね? どうです? 私は役に立つでしょう」
    「あ、ああ」
    アレイオールたちの前を歩くマリアナは可愛らしくくるりと回って微笑んだ。
    (まただ)
    アレイオールは考える。
    (また妙な感じがする……)
    マリアナが話すのを見ていると、時折おかしな感覚に襲われる。
    好ましい感覚ではない。あの商人をあっという間に籠絡してしまうのは怪しいが、そういうことが理由というわけでもなさそうなのだ。
    アレイオールは密かに仲間たちの様子を見た。ジナイはあまり表情をだしていない。モニタは露骨に怪しんでいるのか、少々怖い顔でマリアナを見つめていた。

  • 47624/12/27(金) 21:42:20

    「ではその商人さんのところに行きましょうか」
    事も無げに言うマリアナに、アレイオールは釘を刺すべき時だと感じた。
    「マリアナさん。ありがたいけど、これ以上は危険だし、お世話になるのはここまでにしようと思うんだけど」
    「危険?」
    マリアナは不思議そうに首を傾げた。
    「あなたたちの方がよほど危険ではないかしら?」
    「俺達は冒険者だ。荒事がどうとか言ってたが、君とは違う」
    「うふふ」
    アレイオールの反論に、マリアナはやはり何がおかしいのか笑った。
    「可愛いのね。アレイオールさん、あなたは正義を信じられる?」
    「正義?」
    「そう。私はね、正義を信じているの。信じていれば何も怖くないわ」
    「何をいいたいのか分からないんだが……」
    いよいよ表情の曇るアレイオールに、マリアナは笑みを絶やさない。
    「ふふ、でもいいわ。お望みであれば、私はここまでにします」
    マリアナはあっさりとそう言うと、上機嫌に歩き出した。
    「では御機嫌よう。勇者様。気をつけてね」

  • 47724/12/27(金) 22:11:15

    勇者たちから離れたマリアナは機嫌よく街の通りを歩く。道行く人々、通りで商売をする人々とその客たち皆が、彼女に気づくと好意と尊敬の視線を向けた。
    通りの角を曲がったところで、フードを目深に被った人物がひとり、マリアナの後をつけた。
    マリアナは気にする様子もなく悠々と歩く。人物は足を早め、彼女との距離を縮めていった。
    手が届くほどまで近づき、フードの人物は声を発した。
    「マリアナ様」
    「クーフ。様はやめてと言っているでしょう」
    「申し訳ありません」
    「場所はあの人たちが教えてくれるわ。準備は予定通りに」
    「はい」
    クーフと呼ばれた人物は軽く頭を下げると去っていった。
    マリアナはその様子を見ることもなく、上機嫌に歩き続けていた。

  • 47824/12/27(金) 22:21:47

    アレイオールたちが悪徳奴隷商人にインタビューするシーンはカット。
    いちおう拷問とかそういうことはしてません。が、ジナイがそれを匂わせてハッタリをかけます。
    その結果、取引に使用している場所を聞き出すことに成功する、という流れですね。

  • 479二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 22:35:20

    マリアナも暗躍してるねぇ

  • 48024/12/27(金) 22:46:25

    取引の現場となっていたのは、テガの郊外にある廃村だった。
    数年前に疫病で滅んでしまった村で、縁起を担ぐ人々はもはや近づきもせず、打ち捨てられている。
    怯えた商人は、フードで人相を隠したアレイオールたちを連れてここを訪れていた。
    月のない晩である。周囲の様子はあまりよく見えない。
    商人はアレイオールを連れて、村はずれの屋敷跡へとやってきた。
    「こ、ここです……」
    商人が崩れかかった屋敷を指さして言った。
    「よし、じゃあいつも通り取引を始めろ。余計なことを言ったら……」
    「わ、分かってますよぉ。よしてくださいな」
    じろりと睨みつけるジナイに商人は悲鳴を上げた。そして小声でぶつぶつと文句を言いながら、建物の中へと踏み入ったのだった。

  • 48124/12/27(金) 23:10:34

    今日更新遅くてすみません。ちょくちょく別の用事をやりながら書いているのでペースが落ちてます。

    だいぶ遅いので本日はこれで終わりにします


    朽ち果てたかつての屋敷の中には先客がいた。男の二人組である。

    「やっとか。待たせやがって」

    商人の姿を見るなり、背が高くて神経質そうな男がそう言った。もう一人の、小柄で筋肉質な男はじっと商人を見つめている。

    「お、お待たせしました~」

    商人が手を揉みつつ返事をした。

    「で、なんの用だ急に。次の”納品”は来月だと言ったはずだが?」

    「い、いえいえ~今回はですね、そちらに使える人材を紹介しようかなって……」

    「あん?」

    ノッポの男は怪訝そうな顔をした。それはそうだろう。いつも彼らから奴隷を仕入れている商人が急にそんな事を言い出すのだ。

    「あ、あの~、優秀な人が見つかったのでですね! その代わりちょっとお安く……」

    ノッポは小柄な男を見やった。「どうする?」といった風情である。小柄な方は困惑した様子でノッポを見返している。

    「んー……そうだなあ……」

    商人の口車dice1d100=44 (44) VS 二人組の知能dice1d100=51 (51)

  • 48224/12/27(金) 23:19:44

    いい勝負で草 一個だけ追加

    「なァんか怪しいんだよなァ。おめえもそう思うだろ?」
    「……?」
    ノッポはそう言ったが、小柄な方はむっつりと押し黙っている。
    「え、ええ~? そうでしょうか……?」
    (さっきから下手な芝居しやがって)
    ジナイが内心で苦虫を噛み潰したような顔をしていると、ノッポはどこからか謎の核心に至ったらしく叫んだ。
    「うん! そうだ、てめえは嘘をついているな! 俺達を嵌めようってんだろ! そうはいかねえぜ!」
    「……?」
    まだ話に着いてこれていない様子の相棒を無視してノッポは短剣を抜いた。
    「覚悟しやがれェ! 俺達ゃ裏切り者にはなァ、容赦しねェんだよ!!」
    「……!」
    小柄な男が慌てて斧を取り出したのを見て、アレイオールは戦闘が避けられないことを悟った。

  • 483二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 23:31:05

    もう

  • 484二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 08:27:19

    保守

  • 485二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 17:34:40

    >>483

    ワッザ?

  • 486二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 20:02:38

    魔王待機

  • 48724/12/28(土) 20:16:28

    再開しますよ。今日は人さらいの組織との取引現場にやってきて、嘘がバレたところからですね

  • 48824/12/28(土) 20:27:44

    年末年始は時間短縮したりするかもです。なるべく毎日更新するつもりではいますが急に昼始まったりするかも

    ない知恵を絞って商人が嘘をついていると気付いた人さらいの二人組だったが、勇者一行に勝てるはずもなく、あっという間にコテンパンにされて縛り上げられてしまった。
    「で? アジトはどこにある?」
    「ぐ……誰が言うもんかよ! 俺達を舐めるんじゃねえぜ!」
    「……」
    ジナイが剣呑な表情で尋ねると、ノッポはたん瘤で片目を塞がれながらも威勢よく叫び、小柄な方もうんうんと頷いた。
    ジナイがアレイオールを振り返る。なにか言いたげな様子に何かを察したアレイオールは頷いてみせた。
    「よし、じゃあこっちに来ようか」
    「待て! 何をしやがる! 俺をどこに連れて行く気だ! やめろ! よせ! この俺が吐くとでも……!」
    「……!」

    一時間ほど経って。
    「で? アジトはどこにある?」
    「ここから東の洞窟ですん……」
    「ふむ。チビの言ってたことと同じだな」
    従順になったノッポは聞かれることにはなんでも素直に答えるようになっていた。
    ちなみに相棒の方はそばで伸びており、頭の上に星が回っている状態だった。
    「信用できるのか?」問いかけるアレイオールに、ジナイは肩をすくめた。
    「たぶんな。痛みに耐えて嘘八百を言えるほど器用には見えん」
    「まあ行ってみるしかないか……うーん、モニタ」
    「はい、アレイオール様」
    「この人たち、治してやってくれる?」
    「もちろんです!」
    二人への仕打ちをなんとも居心地が悪そうに見ていたモニタは、回復を命じられて嬉しそうだ。
    「……先に言っておくけど、嘘だったらまたはっ倒すから」
    「拷問の一環じゃないですか!」
    声もなく震え上がるノッポの前で、モニタが叫ぶのだった。

  • 489二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 20:31:10

    見る限り2人とも相当頭弱いが…さすがにここまでヘタクソな演技だとだめだったか…

  • 49024/12/28(土) 20:38:45

    知能は「二人合わせて51」なのでだいぶかわいそうな感じの頭ですね

    アレイオールとジナイは賊二人から剥いだ衣装を身に着けて変装すると、洞窟へと向かった。人数の辻褄を合わせるためモニタは置いてきている。
    洞窟を探すのには少し苦労した。なにもないように見える平原のど真ん中に、背の高い草に隠れるようにして口を開けているのだ。事前に二人から話を聞いていなければ見つからなかったかもしれない。
    「見張りはいないようだな」アレイオールが呟くと、ジナイが頷いた。
    「まあ、いたらここに隠れていますと言っているようなもんだからな」
    賊に扮した二人は視線を交わしあうと、慎重に洞窟に近づいていった。外から中をうかがうが、明かりらしい明かりもなく真っ暗だ。
    「……入ってみなければどうしようもないな」
    「俺が先行する。リーダーは後ろを警戒しててくれ」
    「了解」
    ジナイが忍び足で洞窟の中へと進んでいく。斥候として訓練を受けている彼はかなり夜目が利き、こうした暗がりでの活動は得意だった。
    しばらくしてアレイオールも中に続き、二人はしばしの間、草原から姿を消したのだった。

  • 49124/12/28(土) 20:47:41

    洞窟の奥には木製の扉が用意されていた。ジナイが扉に手を這わせ、軽くつついて罠の有無を確かめる。
    「よし……」
    問題ないと判断し、二人組から聞いていた通り、扉を三回、三回、一回、二回とノックする。
    やや間があって、扉が内側から開かれ、中から暖かな松明の光が漏れた。
    「随分遅かったな」
    「向こうが遅れやがったんだ」
    アレイオールは見事な声帯模写でノッポの声を真似てみせた。後ろで見ていたアレイオールがあまりの巧みさに舌を巻くほどだ。
    「よし、入りな」
    「はいよ」
    扉が開きはじめると、ジナイは隙間から素早く中の様子を観察した。アジトの玄関口には、この「番人」の相棒であろう賊がもう一人いるようだった。ジナイは素早くアレイオールに目配せをした。
    「良いか、お前ら。いつも言ってるが姐さんに報告を……あ?」
    番人は入ってきたジナイが顔をフードで覆っていることに戸惑った様子だった。入ってきた姿だけ見れば完全に背格好も異なるが、声が全く同じなので、一瞬頭が混乱する。
    その隙に、ジナイは素早く相手の首に腕を回すと、背後に回り込んで締め上げた。
    急な事態にもう一人の番人が反応するより早く、稲妻のように入り込んだアレイオールが番人に肉薄し、鳩尾に強烈な拳打を叩き込む。
    「……ごふっ」
    二人の番人は無力化され、アレイオールたちはほっと息をついた。

  • 49224/12/28(土) 20:54:56

    「さてと、どうするかだな」
    「捕まっている人たちを先に解放しよう。人質に取られでもしたら大変だ」
    アレイオールはそう言うが、ジナイは難しい顔だ。
    「リーダーがそう言うなら従うが……今みたいにうまくいくとは限らないぞ? 親玉に逃げられてしまうかもしれん」
    「その時はその時だ。腹いせに殺されたりするよりはいい」
    アレイオール達がいる玄関から、味とはざっくりと二方向に分かれている。左側が攫われてきた人々が放り込まれている牢屋と、賊たちの居住スペース。右側が物資の倉庫と、親玉の部屋だ。
    「じゃあ左側の道を進むぞ。急ごう」
    「ああ」
    二人は洞窟の中を駆けた。
    この洞窟は天然のものを後から加工して出来たようで、坑道のようにあちこちが木製の柱で補強されていた。全体的には緩やかに下っていた。つまり、奥の部屋ほど地中深く埋まっているということになる。
    点々と配置された松明の炎に照らされながら、二人の戦士は奴隷たちの捕まっている場所へと向かうのだった。

  • 49324/12/28(土) 21:12:44

    洞窟の奥へと進んでいると、すぐに二人の耳に声が聞こえてきた。
    賊に昼も夜もないのか、何やら騒いでいる様子だ。
    洞窟の通路はさらに左側にカーブしており、その先が明るくなっているようだった。
    ジナイが足を止め、音を殺して先行する。曲がり角の部分から先の様子を伺った彼は、眉をひそめた。
    身をかがめたアレイオールが待っていると、ジナイは軽く手招きをした。そして、アレイオールが近づいたところで角の向こうを覗くのをやめ、顎でアレイオールにも見てみるよう合図する。
    「!」
    アレイオールは息を呑み、ぎり、と歯ぎしりをした。

    そこでは賊たちが酒盛りをしていた。卓の上には酒と食べ物が並べられ、六人ほどの賊たちが思い思いにくつろいでいる。アレイオールたちから賊を挟んで向こう側には鉄製とおぼしき四角い檻があり、攫われてきたらしい人たちが入れられている。
    だがそんなことよりも目を引くのは、檻の横の柱に縛り付けられた人影だ。
    見ればそれは、年端もいかない少女のように見えた。深い色の髪にふちどられたあどけない顔は痛々しく腫れており、身体にはあちこちに切り傷が出来ている。そしてその理由は明白だった。
    「ひひひっ、次は俺だぜぇ」
    下卑た声を出して、赤ら顔になった賊の一人が少女に向かってナイフを投げる。風を切って飛んだナイフは硬質な音を立てて、柱の、少女の顔のすぐ横の部分に突き刺さった。少女はぎゅっと目をつむり、ナイフの投擲で傷つけられたと見えて、耳から血が滴る。
    「趣味の悪い奴らだ。早くなんとかしないとな……いつ手元が狂ってもおかしくない」ジナイが吐き捨てた。
    「商品」であるにもかかわらず、賊たちは少女が死ぬことなど何とも思っていないようだった。なにか彼らの不興を買うことがあったのかもしれない。
    「どうする……っておいおい」
    ジナイが見ると、アレイオールはすでに剣の柄に手を伸ばしていた。
    「殺す気か?」
    「……あんな連中だぞ」
    「止せよ」
    魔族や魔物を殺すのとはわけが違うぜ、とジナイは言った。
    「冒険者じゃなくて傭兵になっちまうぜ? お前はそんなものになりたいのか?」
    「……いや」
    殺気を減じさせるアレイオールに、ジナイはニヤッと笑ってみせた。
    「煙玉を用意してあるが……そんな時間じゃ、勇者様でもこの数はキツいか?」
    「誰に言ってる」
    ジナイに乗せられ、アレイオールもまた微笑んで見せるのだった。

  • 49424/12/28(土) 21:24:52

    ジナイが煙玉を投げ込んでも、酒に酔った賊たちはまだ異変に気づかなかった。
    「うわっ、なんだ!?」
    彼らが慌てだしたのはもうもうたる煙に自分たちが包まれてからのことだ。
    飛び出したアレイオールが今まさに少女にナイフを投げつけようとしていた賊に体当たりをして思い切り突き飛ばす。凄まじい力で弾き飛ばされた賊は、そのままナイフを投げ終えて酒杯を煽っていた賊に激突し、折り重なるように失神した。
    「だっ、誰かいやが……!」
    焦って叫ぶ賊の一人に背後から近づいたジナイが、卓に置かれていたワインで頭を殴りつけ昏倒させる。
    これで残りは三人。煙のせいで見えにくいが、ジナイが声から察するに混乱した賊はさほど動いてはいない。
    アレイオールが人間離れした素早さで賊の一人に襲いかかるのを横目で見てちょっとした悪寒を感じつつ、ジナイは麻痺毒を仕込んだナイフで賊に斬りかかった。
    「畜生! 一体誰がこんな……!」
    最後の賊は二人のどちらからも離れた位置にいた。なんとかボスに伝えようとしたのか賊が走り出す。
    「チッ面倒な……」
    ジナイが追いすがろうとした瞬間、ひゅっと風を切る音がしたかと思うと、賊が悲鳴を上げて倒れ込んだ。
    右脚に矢が刺さり、貫通している。
    「なに?」
    ジナイが振り返ると、徐々に薄れていく煙の中から姿を現したのは、いつのまにか拘束を解き、弓を手にして無表情に賊を見つめる、先程の少女だった。

  • 49524/12/28(土) 21:30:05

    「今の矢は君が?」
    尋ねるアレイオールに、少女はコクリと頷いた。
    「……ルナ。助けてくれてありがとう」
    ペコリと頭を下げる少女に、アレイオールとジナイは揃って呆気にとられていた。
    「君の名前か?」
    「そう」
    「縄は……」
    「いつでも解けた」
    でもわたしが逃げると他の人が殴られるから、と付け足す。
    「ところで、その人」
    ルナが地面を這って逃げようとしている賊を指差した。
    「どうする? このままだと逃げる」
    矢をつがえつつそう言うので、アレイオールが慌てて止める。
    「い、いや、殺しちゃだめだ。縛り上げておこう」
    「……わかった」
    思うところがあるらしく、半眼になったルナは少し間をおいてそう言った。

  • 49624/12/28(土) 21:37:22

    アレイオールたちは牢に入れられていた人々を解放した。(鍵は族の親玉が持っているということだったが、檻ごと錠前をアレイオールが焼き切った)
    「ルナ、君もこの人たちと外で待っていてくれ」
    「わたし、戦えるよ?」
    相変わらず無表情にルナは言った。ふんす、とよく見ると鼻息が荒く、こう見えて喧嘩っ早いのかもしれない。
    「お嬢ちゃんにこういうのはまだ早い。ここは言う通りに……」
    「おじさんには言ってない」
    口を挟んだジナイを一言で撃沈したルナを見て、アレイオールはぽりぽりと頭を掻いた。
    「危険なことはさせられないよ。怪我でもしたら親御さんになんて言えばいいか」
    「だいじょうぶ」
    ぐっと親指を立ててルナは言った。
    「わたし、親いないから」
    「……」
    アレイオールたちはルナを避難させようと言葉を尽くしたが、強情な彼女は結局一歩も引かず、これ以上説得する時間もなかったため、結局彼女も同行することになった。
    「親玉以外の賊は?」
    「あれでぜんぶ」
    「全部だと? それで一体どうやってあの数の人間を攫ってたんだ?」
    「……わかんない」
    ルナの言葉に不安を覚えつつも、一行は親玉のもとへ向かうのだった。

  • 49724/12/28(土) 21:52:32

    アレイオールたちが親玉の部屋へ辿り着いたとき、その女は逃げようともせず、傲然と椅子に腰掛けて、彼らを待ち構えていた。
    「……ふうん。どんな奴らが来たのかと思ったら、意外にいい男じゃない」
    白髪のエルフだ。エルフらしく端正な顔立ちだが、若々しい肌と裏腹に、目の下には隈がくっきりと浮かんでおり、疲弊した印象が強い。
    「お前が親玉か」
    「そうよ」
    「降参しろ。無駄に怪我をすることもない」
    「お断りよ」
    アレイオールの降伏勧告を、女はきっぱりと切り捨てた。
    「腕は立つようだけど……みんな揃って魔術は素人ね」
    「何もさせないッ!」
    叫んで飛び出そうとするアレイオールに、女が意地の悪い笑みを浮かべてみせた。
    「させない? もうしてるのよ、おバカさん」
    不意に横合いから飛んできたナイフを、アレイオールはすんでのところで弾いた。
    「……」
    見ればジナイが、うつろな表情でナイフを構えている。
    「ジナイ……!?」
    「驚いたかしら? でもショックを受けなくていいのよ」
    女は猛獣が舌なめずりをするような獰猛な笑みを浮かべている。その両目が、怪しく輝いた。
    「うわっ……な、なんだ……!?」
    アレイオールが膝をつくのと、女が驚愕の表情を浮かべるのは同時だった。
    「なんてこと……抵抗したというの? あなた一体……」
    ルナが放った矢が女に向かって飛ぶ。しかし矢は、身を挺して女を庇ったジナイの肉体に防がれた。
    「躾のなってない子ねえ……」
    女は焦る様子もなくそう言って、今度はルナに視線を送る。ルナはびくりと震えると、その瞳から光が失われていった。
    「くそ……」
    眼の前に立ちふさがる二人の仲間を見やり、アレイオールは毒づいた。
    (体が動きさえすれば、この程度の相手……)
    さきほどから凄まじい頭痛に襲われており、まともに動けない。
    「あなた面白いわよ。ちょっと痛めつけたら、このキレイミ様の護衛にしてあげるわ」
    キレイミと名乗った女の声が勝ち誇ったように洞窟にこだました。

  • 49824/12/28(土) 21:58:36

    その男は、遥か彼方の地から事の一部始終を見つめていた。
    彼は今、「黒の塔」と呼ばれる建造物の上層階にいる。そして静かに目を閉じ、千里眼でその様子を観察しているのだ。
    「”魅了(テンプテーション)”か。この出力では、いまの勇者では耐性が足りんな」
    彼は静かに呟くと、頭の中でさまざまな予測を立て始める。
    「まだ覚醒が足りないな……いっそここで一部……」
    そのとき、不意に彼の千里眼が、現場に近づきつつある別の存在を捉えた。
    それを見つめ続けるうち、彼の顔に、ここ数百年はなかったであろう驚きの表情が浮かぶ。
    「なんだ……? こいつは……!?」

  • 499二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:10:25

    キレイミさん予想よりセクシー系だった

  • 50024/12/28(土) 22:16:56

    「さあ、早く心を明け渡しなさい。折れてしまえば楽になれるわよ」
    「ふざけるな、誰が……!」
    反駁はするものの、現実的な抵抗手段があるわけでもなかった。
    アレイオールはナイフや矢を繰り出してくる仲間たちをいなしつつ反撃の機会をうかがったが、今の弱った彼にとって、キレイミまでの距離は遠すぎた。
    「くそ、ジナイ、ルナ、目を覚ましてくれ……!」
    「ほっほっほ、無駄よ。呼びかけた程度であたしの術が解けるわけないでしょ?」
    キレイミはアレイオールを嘲笑い、さらに彼を追い詰めるようジナイとルナを操った。
    「さあ終わりよ! ここに来たことを後悔しながらあたしの人形になりなさいな!」
    「くそっ!」
    アレイオールが聖剣を作り出そうとして、頭痛に集中を阻害される。
    キレイミの両目がまた輝き、アレイオールの頭痛がいっそう強くなった。
    (ここまで、なのか……!)
    とうとうアレイオールが剣を取り落とし、キレイミが哄笑し始めたそのとき。

  • 50124/12/28(土) 22:17:11

    「お困りかしら?」
    甘い声が聞こえた。
    とつぜん頭痛が消え、アレイオールは何が起きたか理解できないまま、声のした方を見つめた。
    長い金髪に、薄い青の瞳。その少女は、やはり唐突に現れていた。
    「マリアナ……? どうしてこんなところに……?」
    「ご挨拶ですね。助けに来て差し上げたのに」
    マリアナは頬を膨らませた。戦闘中とはとても思えない仕草だ。
    「は、早く逃げるんだ! この女は……」
    「キレイミのこと? 大丈夫よ。彼女は安全だもの」
    マリアナは花のような笑顔でそう言った。
    アレイオールはマリアナがまだ術を受けていないことに今更ながら違和感を覚え、キレイミの方を見た。
    「う……あ……」
    キレイミは震えていた。
    顔を青ざめさせ、歯の根が合わずガチガチと音を立て。
    誰が見ても明らかに、幼い少女のように恥も外聞もなく、眼前の少女に怯えていた。
    「ねえ、キレイミ? だってあなたは可愛い子ですものね。私の真似をして、ちょっと困らせたかったのよね? 怒ってないから、安心していいのよ」
    「う……」
    マリアナに微笑みかけられて、キレイミは蛇に睨まれた蛙のように硬直した。彼女に操られているジナイやルナも動きを止めている。
    マリアナはそんな彼女の姿が見えていないかのように手を差し伸べ、歌うように言った。
    「さあ、帰っていらっしゃい。お客様に迷惑をかけてはいけないわ。私と一緒に、また、正しい(たのしい)ことをしましょう」

  • 50224/12/28(土) 22:27:18

    キレイミは恐怖していた。
    数え切れないほどの犠牲の果てに、鋼のような覚悟を持って、彼女はマリアナから離反し、自分の足で歩き始めた……。

    はずであった。だが今、マリアナを前にして彼女が感じているのは……歓喜だ。
    ああまた帰れる。許してもらえる。また役に立てる。「正しいこと」ができる。
    そんな喜びを感じている自分の心に、キレイミは震え上がっていた。

    気づけばキレイミは涙を流していた。マリアナの下から逃れて以来、一度も流したことのなかった滂沱の涙が頬を伝っている。
    マリアナは彼女に微笑みかけていた。その輝くような笑顔の前では、キレイミの自我など、風に吹かれる砂粒も同然だった。
    しかしその時、ほんの僅かにマリアナが表情を変えた。笑顔が陰り、わずかに怪訝な成分がまじる。
    「誰……?」
    虚空に向かって彼女は問いかけた。ほんの一瞬ではあったが、そのときマリアナの意識はキレイミの上から逸れた。
    その一瞬が、キレイミになけなしのプライドを取り戻させた。

    「っっざけんじゃないわよ! 誰があんたなんかに!」
    キレイミは一欠片の繕いもなく、荒々しく叫んだ。
    「あたしが上! あんたが下なのよ! あんたもあたしの人形にしてやる!」
    そしてキレイミの目が、赤い閃光を放った。

  • 50324/12/28(土) 22:35:49

    「あっ、……やっちゃったぁ」
    あらら、といった風に、マリアナは慌てていた。
    とてとてとキレイミの方に駆け寄ると、その前にかがみ、優しく手で前髪をかきあげて、彼女の顔を見る。
    「あー……ごめんね、ヤキモチ焼いちゃったのよね。私がよそ見なんかしたから……」
    マリアナは優しく言うと、キレイミの頭を包み込むように胸に抱いた。
    なだめるようにその髪を梳き、背中をさする。
    「大丈夫、大丈夫よ。一緒におうちに帰ろうね……」

    アレイオールは言葉もなく、二人の様子を見つめていた。
    あの瞬間、確かにキレイミはマリアナへ例の術を放った。二人の間に何が起きたのかは分からない。
    ただ全てが終わったとき、何も言わなくなったキレイミと、全く変わった様子のないマリアナがいたのだった。
    アレイオールは今度こそ間違いなく、背筋が凍りつくような感覚を覚えていた。
    キレイミは笑っていた。貼り付けたような満面の笑みを浮かべ、目を見開いていた。
    その表情は、彼女という人間が終わってしまったことを悟らせるには十分だった。

  • 504二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:42:11

    なーんで一般エルフが魔法の逆探知なんて離れ業できるんですかねぇ…

  • 50524/12/28(土) 22:45:38

    こうして人さらいの組織は壊滅し、アレイオールは依頼を達成した。
    下手人が明らかになったことでゴドルダルキア、エルディラトの両国は矛を収めざるを得なくなり、戦は回避された。
    賊たちは皆捕らえられた……だが首謀者たる女の一人は気が触れており、やがて獄中から忽然と姿を消してしまった。

    「それは”魅了”という術で間違いないと思います」
    あとから事のあらましを聞かされたモニタはアレイオールにそう言った。
    「その昔、さまざまな国で大問題を起こしたので、教団が禁術に指定している技術のひとつです。資料も全て焼き捨てられているはずです」
    「じゃあキレイミはどうやってあの術を使えるようになったんだろう?」
    「それは……」
    モニタは考え込んでいった。
    「推測ですが、きっとあのマリアナという人を参考にしたのではないかと思います」
    「マリアナが禁術を使っていたってことか?」
    「いえ……でも時には、術に匹敵するなにかを生まれつき持っている人もいる、ということかもしれません」
    モニタは冗談を言っている風ではなかった。アレイオールはつばを飲み込む。
    「あまり関わりたくないものですね。……本当に」
    アレイオールは頷いた。
    「アレイオール! モニタ!」
    元気な声に二人は振り向いた。そこには無表情のルナが、真新しい衣を着てふんすと鼻を鳴らしていた。
    「見て。わたしの弓」
    「あら。やっぱり洞窟にあったんですね!」
    「返してもらえた」
    ルナは満足げだ。その姿に少し安堵して、アレイオールはマリアナのことを頭から振り払った。
    このあと、当然のように旅に同行し始めるルナを諦めさせようとアレイオールたちが説得を続け、ついに折れるまで、実に一月かかったという。

  • 50624/12/28(土) 22:46:38

    というわけで人さらい編は以上です
    ルナの活躍がぜんぜん足りないので次回以降に持ち越しですね。というか動乱編の伏線にしようと思ってマリアナたちを掘り下げすぎた……
    本日はこれで終了です。
    明日はたぶん昼過ぎくらいになりそうです

  • 507二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:51:08

    お疲れさまです

  • 508二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 22:52:42

    仲間が全員揃ったな…

  • 509二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 00:58:21

    やったぜ

  • 510二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 11:04:28

    ほす魔王

  • 51124/12/29(日) 13:29:53

    再開します

    さて今回なんですが、前回の経験であやうく全滅しかけたアレイオールたちは、ギルドの勧めもあって、エルディラトの各地を回る武者修行の旅に出かけます。

    ここでラナックとかとも出会うわけですね。

    ルナの活躍の機会も設けたいですし着々と呪層童窟編が近づいてきているので、四人揃って旅ができる期間はあまり長くなさそうです

    ところでリューベンの動向や、終末や一柱あたりも気になりますが、どれからやるかな……

    dice1d3=1 (1)

    1エルディラト武術修行編

    2魔法使いリューベン誕生編

    3その他(過去編など)

  • 51224/12/29(日) 13:30:52

    ストレートに行きましたね。イメージ的には
    武者修行編→なんらかの冒険→呪層童窟編 という流れかなと思うので、間にひとつ外伝を挟むかどうかくらいですね

  • 51324/12/29(日) 13:37:26

    んー、昨日ちょっと暴走した感あったし今回はダイスと、出来れば安価多めでいきますねー

    まず武者修行といってもざっくりしすぎなので目標を定めましょう

    dice1d4=4 (4)

    1何らかの技術の習得

    2試練の突破

    3アイテムの入手(宝探し?)

    4問題解決(なにかの依頼)

  • 514二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:37:49

    あと3〜4編あたりでアレイオールの芸術的シーンが来るのか…

  • 515二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:40:52

    丁寧にキズナァ!を育んでいくぜ…

  • 51624/12/29(日) 13:41:09

    スレ主的には今のパーティメンバーとの積み上げがしっかりしていればいるほど例のシーンが輝くかなって思ってますので、実際の長さはともかく心理的には長い事一緒にいたなってスレ民にも思って頂けるようなのを目指したいですね


    飽くまで依頼ベースの武者修行なんですね。

    どういう依頼かな?

    dice1d4=2 (2)

    1危険な武術家の捕縛

    2護衛(護衛対象が旅行をしている)

    3迷宮攻略(各地を回らないと入れない等)

    4遺物の回収(パーツごとに分かれて散らばっているなど)

  • 51724/12/29(日) 13:42:25

    護衛ですか。一時加入メンバーみたいなもんですねこれは

    外堀を埋めてから安価を募集しますね

    まず出身地

    dice1d4=4 (4)

    1ゴドルダルキア

    2エルディラト連合国

    3デアム・カエリ教団領

    4ザント=ヴェルニフル

  • 51824/12/29(日) 13:45:07

    おっ、これまであまり絡んでこなかったザント=ヴェルニフル出身ですか

    ザント=ヴェルニフルといえばいま国情が荒れていて国内は革命前夜ですが……

    立場

    dice1d4=2 (2)

    1皇族を含む上級貴族(皇帝をのぞく)

    2身分を隠した革命家

    3芸術家(歌手などを含む)

    4ザント=ヴェルニフル大使

  • 519二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:46:42

    Revolution…

  • 52024/12/29(日) 13:49:15

    ふーむ革命家ですか

    普通に考えればマリアナと接触するつもりなんでしょうが、昨日あれだけやったあとだとさすがにクドい感じもあるので一捻り入れましょう

    エルディラト連合国に入国する目的

    dice1d3=1 (1)

    1特殊な遺物の入手

    2情報収集

    3二重スパイ(実は王党派)

  • 52124/12/29(日) 13:53:18

    どうやら何かの遺物を手に入れるため、身分を隠して入国するようです。
    これはカバーストーリーも含めて募集しないといけないので、二回に分けようかな
    まずはギルドやエルディラト、アレイオールたちが知っている「表の顔」から

    名前:
    種族:
    性別:
    年齢:
    外見:
    背景:
    表向きの目的:

    下3、25分くらいでどうぞ

  • 522二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:00:55

    名前:ミルゴ・デシャーロ
    種族:ハーフエルフ
    性別:男
    年齢:23
    外見:中世的な美形で吟遊詩人然とした軽装、ハープを所持
    背景:誰に対しても三下口調の吟遊詩人。諸国を巡り様々な伝承を集めている
    表向きの目的:エルディラトの民話などを聞いてまわるため

  • 523二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:03:01

    名前:ティル
    種族:人間
    性別:男性
    年齢:20
    外見:一般的な旅人衣装に身を包んだ黒髪青目の好青年
    背景:曰く母国の失策や飢饉で困窮する家族への仕送りをするために冒険者になったとのこと(なお、このことを話している時は何故か遠い目をしていた)
    表向きの目的:とあるエルディラト貴族に依頼の品を配達する

  • 524二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:29:30

    遅くなりました

    dice1d2=2 (2)

  • 52524/12/29(日) 14:30:22

    名前:ティル
    種族:人間
    性別:男性
    年齢:20
    外見:一般的な旅人衣装に身を包んだ黒髪青目の好青年
    背景:曰く母国の失策や飢饉で困窮する家族への仕送りをするために冒険者になったとのこと(なお、このことを話している時は何故か遠い目をしていた)
    表向きの目的:とあるエルディラト貴族に依頼の品を配達する
    ですね
    護衛は依頼元の貴族が雇ったということかな?

  • 52624/12/29(日) 14:34:41

    では次に正体を募集しますね。

    名前:(本名でも可)
    背景:
    本当の目的:
    でいきましょう
    こちらは下2,15分くらいでいきます
    来なかったらこっちで設定しますね

  • 527二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:41:17

    名前:カルム
    背景:家族に仕送りをするために冒険者になったことは本当だったが、1人前になる前に両親と幼い弟が飢饉で死亡し、絶望に陥っていた。そこを反政府組織「共和国宣言機構」にスカウトされた。ティルという偽名は元々弟の名前だった。
    本当の目的:エルディラトに保管されているある遺物を奪取し、組織に献上する。

  • 52824/12/29(日) 14:52:11

    >>527で確定ですね

  • 529二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:54:25

    組織の名前からして皇帝に死亡フラグが…(現実の革命の数々を見ながら)

  • 53024/12/29(日) 14:58:33

    ブツを届けることになっている貴族は

    dice1d3=2 (2)

    1実在しカルムに協力している

    2実在するが何も知らない

    3架空の存在

  • 53124/12/29(日) 15:01:12

    どうやら実際にいる貴族ではあるものの、勝手に名前を使われているような状態のようです
    隠遁していて表舞台にあまり出てこないのか、外に干渉できない事情があるのか……
    国内がいくつもの領国に分かれている国なので、関所を通るのに時間がかかる、ということにしましょうか

  • 53224/12/29(日) 15:04:06

    護衛対象のティル(大きな木箱を背負っている)と合流したアレイオールたちは、目的地である貴族の領地まで向かわねばなりません。ルートは西の海路とエルディラト連合国内を進む道の2つがありますが、海路は魔族領をぐるりと回り込む形なので危険すぎ、陸路を選ぶことになります。

    陸路で歩く際に通過する貴族の領国は

    1+dice1d4=3 (3) 個

  • 53324/12/29(日) 15:04:55

    4つですね。2つ目か3つ目くらいにラナックを叩きのめす感じかな
    迷宮探索などの寄り道を入れるかは難しいところですね……

  • 534二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 15:07:46

    あとはザント=ヴェルニフル革命への伏線ぐらいか

  • 53524/12/29(日) 15:08:44

    関所で足止めを食っている間(外国人なのでだいたい2~3日待たされる)に現地の道場だの修行場だのに挑むという形式が良さそうですね
    そろそろ魔法使いと接触も済ませておきたいですしその辺のイベントも入れましょう
    これまでと比べると割とのんびりしている印象ですが伏線を入れることを考えると意外に忙しい

  • 53624/12/29(日) 15:10:29

    革命についてはとりあえず匂わすくらいはしといたほうが良さそうですね
    最後にティルの正体と、某国に革命の日が迫っている事がわかるくらいの
    もちろん一番大事なのはルナたち仲間をちゃんとキャラ立てすることですけれども

  • 537二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 15:10:45

    そういや流派とか色々設定してたわね

  • 538二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 15:13:29

    革命を目指しているっぽいマリアナとカルムだけど、ヤベー奴と真っ当な悲しき悪役(?)で差別化されてるな…

  • 53924/12/29(日) 15:14:15

    あと飛行島アギオームもあるんですよねここ。
    どこか山がちの都市に寄った時に、遠くの方に浮いてるのが見えるくらいのシーンは忘れずに入れとかないと…
    4つの領地を回るので、山岳の修練所、湖畔の街、草原の大キャラバン、そして三公都の一つ、という流れになると思います

  • 54024/12/29(日) 15:16:57

    あとなにか忘れてるのはなさそうかな… できればルナちゃんを連れて別の国も冒険して欲しいんだけど、例のダンジョンをザント=ヴェルニフルあたりに配置してそこの道中まで旅をさせようかな
    というわけでエルディラト編のプロットが固まってきましたので、今回はここまで
    今日の夜に再開したいですが外出の予定があるので厳しいかも…その場合は明日の昼から再開です

  • 54124/12/29(日) 15:18:00

    あともうなんかスレ主は吹っ切れているというか、自分が楽しくて文章を書いている感があるんですが、もうちょっとこうして欲しい、ああして欲しいというご希望とかご感想とかありましたら教えてくださると嬉しいです
    それでは

  • 542二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 15:21:22

    乙です
    旅の途中で魔法使いと接触するってことは言及だけされている旅するタイプの人なのか、それとも…

  • 543二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 21:07:07

    念の為待機…?

  • 54424/12/29(日) 21:22:52

    戻ってきました
    眠気が強いので少しだけにしますね

  • 54524/12/29(日) 21:40:12

    ゴドルダルキアへと戻ろうとしていた勇者アレイオール一行のもとへ、ギルドからの使者がやってきた。
    「ああ良かった、入れ違いになるかもと心配していました」
    使者が手渡してきた封書を開いたアレイオールは内容にざっと目を通した。
    「エルディラトへの護衛依頼か……」
    エルディラト連合は多数の貴族の連合国家であり、各領国の状況はそこを治める貴族家の性格や懐事情などによって大きく異なっていた。なかには野盗や追い剥ぎが横行するような治安の悪い領国もある。
    今回の依頼は、重要な荷物を持った対象を、目的地の領国まで護衛するというものだ。
    「どう思う?」
    アレイオールが手紙を仲間たちに渡して尋ねる。三人の仲間たちは興味深げに手紙を回し読みした。
    「俺はいいと思う。せっかくエルディラトの国境を超えているんだしな。あまりない機会じゃないか?」
    「わたしはどちらでも……アレイオール様のお供をさせていただきます」
    「どっちでもいい」
    特に反対意見はないようだった。
    エルディラトの貴族たちは領国の境界に関所を置くケースが多く、許可がなければ通行を許可されないことも珍しくない。冒険者ギルドへの対応も他国に比べて厳しく、目的地までの行路に限られるとは言え、領内を旅できる機会は珍しかった。
    「ギルド長いわく、ついでにエルディラトの武術を見てきてはどうか、とのことです」
    使者はそう付け加えた。今回の依頼の難易度はアレイオールたちの実力に見合ったものとは言い難い。むしろ有望な新人に経験を積ませたいというのが本来の目的なのである。
    「……よし、分かった。引き受けることにするよ。護衛の対象は?」
    「今日、国境の街に到着されたところです。明日には国境を越えますので、この街までは別のものが護衛いたしますよ」
    「分かった。それではこの街で合流だな?」
    使者は頷くと、アレイオールたちに別れを告げた。
    アレイオールたちはこうして、エルディラト連合国での旅を始めるのだった。

  • 54624/12/29(日) 21:51:54

    翌日の昼過ぎ、アレイオールたちは護衛の対象と顔を合わせていた。
    ティルと名乗ったその青年は、人の良さそうなほほえみを浮かべていた。少し癖のある黒い髪に、柔和な印象を与える青い目。なんども頭を下げる腰の低さに、アレイオールたちはかえって恐縮した。
    「いやあ、情けない話ですが、僕は戦いはあまり得意じゃなくて……冒険者とはいっても、交渉や荷物持ちなんかの雑用ばかりしていたんですよ」
    「そうなんですか……?」
    困惑した様子で視線を向けるアレイオールに、ジナイは肩をすくめて見せた。
    「別に珍しくもねえぜ、そういう奴。むしろ俺みたいに戦闘も副業でやるヤツのほうが少ないんじゃないか」
    「そういうものか」
    そういうものだ、と頷くジナイにアレイオールはひとまず納得した。
    「……それで、それが依頼の配達物ですか?」
    「ええ」
    アレイオールはティルが背負っている大きな木箱を指さしていった。
    ティルは頷き、そして恥ずかしそうに頬をかいた。
    「といっても、僕も中身がなにかは知らないんですけどね。決して開けてはならぬとのことで」
    「おいおい、禁制品だったらどうするんだ?」
    ジナイが思わず突っこむが、ティルはかぶりを振った。
    「大丈夫だと思います。この印を見せるように言われていまして」
    ティルが懐から取り出したのは、真鍮で出来ているらしい金属の護符のようなものだった。
    「六本脚の牡馬にサーベル……ランセット家の紋章か」
    ジナイがしげしげと眺めながら言う。
    「ええ。僕の依頼人です。国境の番人にも効果はてきめんでした」
    「そりゃあまあ、ランセット家ならなあ……」

  • 54724/12/29(日) 22:03:09

    ランセット家。呪術で知られるエクレール家、財力で知られるハイエレヒアル家とならび、特に騎乗しての戦いを得意とするランセット流槍術で知られている。これら三つの家を三大公爵家と呼び、彼らは連合国の最高機関である貴族議会を牛耳り、寡頭制を敷いていた。
    その権勢は圧倒的で、この国において彼らの権力にかなうものはおらず、どのような無茶も彼らの命令でありさえすれば通ってしまうほどである。
    ティルが取り出した護符はエクレール家で作られたもので、光にかざすと表面に独特の紋様が浮かび上がるように出来ている。かなり偽造の難しい品であり、信憑性は高かった。
    「特に奇妙な気配は感じません。呪物の類ではないと思います」
    箱に手をかざしてオーラを感じ取っていたモニタがそう太鼓判を押したことで、一行は荷物のことはひとまず置いて出発することにしたのだった。

  • 54824/12/29(日) 22:17:43

    「ランセット領はここから3つの貴族の領国を越えた先にあります。一つ目はマンジューク伯爵領。ここは”山麓都市”を突っ切って行くのが早いのでそうしたいです」
    酒場の卓上に地図を広げてティルはそう言った。
    アレイオールたちも身を乗り出して地図を眺める。見れば、ランセット領はなかなか奥地にあるようだ。
    「そこを越えたらエレネ男爵領、ポーマス子爵領、そしてようやく公都にたどり着くというわけです」
    ティルは地図を順に指差しながらそう言った。山岳地帯、湖畔、広い草原を越えた先に、大きな城と街の記号が描かれていた。
    「行ったことある? ジナイ」
    「いや、エルディラトは何回か来たことがあるが、ランセット領へは」
    「公爵閣下にも案内人をつけてくれるようお願いしたのですが、なぜか断られてしまって……」
    ティルは残念そうにそう言った。そんな話を聞くとますます荷物の中身が気になってしまい、アレイオールは無理矢理そのことを頭から追い出した。
    「ああそれと、エルディラトでは関所を越えるのに最低3日はかかるからな、それは覚えとけよ」
    「あの印を持っていてもダメなのか?」
    「関所を越えようとするものは、各領にそれだけは滞在して金を落とさなきゃならないんだよ」
    面倒くさげにジナイはそう言った。対象的に、女性陣は嬉しそうだ。
    「じゃあ今回の旅は、ベッドで眠れる日が多そうですね」
    「ベッド、いい」
    にこにこしているモニタと、無表情ながらわずかに顔を赤らめてはしゃいでいるルナを見て、ジナイはため息をついた。

  • 549二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:25:55

    というわけで新章の冒頭だけ書きました
    次回は少し飛ばして、山麓都市へとやってきて修練場に寄るところから
    武術とはどういうものかみたいな掘り下げをしていきますよ
    明日の再開はまた可能なら昼からやりたいですね

  • 550二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 02:10:25

    おつです

  • 551二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 11:25:40

    保守

  • 55224/12/30(月) 13:01:05

    2時から予定が入ってしまったので短時間ですが再開します

  • 55324/12/30(月) 13:08:02

    マンジューク伯爵領。ゴドルダルキアとの国境から続く山脈の麓にある領国である。
    領都アルピアは山脈が湾曲して出来ている扇型の地に山をくり抜くように作られた都市で、難攻不落の天然の要害として知られている。
    マンジューク伯爵領から南に抜けるには、このアルピアに築かれた古代の隧道を通るのがもっとも早いと言われている。
    アレイオールが街から山を見上げれば、そこには古くからの武術家たちの聖地、修練場ドグマが鎮座しているのも見えた。

  • 55424/12/30(月) 13:18:10

    あんまりいい感じの絵ではないですね。もっと山にもたれかかるようなイメージだったんですが…

    「よ、ようやくつきましたねえ……」
    宿屋に併設された酒場で、席につくなりティルは情けない声をあげて脱力した。
    「まさか街に着いてからもあの階段とは。さすがに堪えたぜ」
    「……おじさん……」
    同じく脱力したジナイが漏らした声に、涼しい顔のルナがぼそりと反応し撃沈する。
    そこに荷物を下ろしたモニタが苦笑しながら合流した。
    「ルナちゃん、ジナイさんはデリケートなお年頃ですから……」
    「おじさん、だめ……?」
    「やめてあげましょうね」
    優しく諭されてルナはこくこくと頷いた。仲間に入ってからこっち、モニタには割と懐いている。
    「アレイオール様は?」
    「景色を見てくるってんで、屋上に行ったよ」
    まだ昼間だというのにエールを呑みつつジナイが答えた。
    席についたモニタはしばらく考える風だったが、やがて意を決して立ち上がった。
    「わたし、ちょっと様子を見てきますね」
    「おう。お前も早く来いって言っといてくれ」
    すこし紅潮し始めた顔でだらしなく椅子にもたれながら、ジナイはそう言った。

  • 55524/12/30(月) 13:42:32

    アレイオールは石造りの宿屋の屋上から、山頂の方角を眺めていた。
    急峻な山肌の上の方は分厚い雲に包まれ、その輪郭を捉えるのは難しかった。
    雲の隙間をかいくぐった真昼の陽の光が、切り立った中腹あたりに埋め込まれるように建っている寺院を照らし上げ、黄金色の彩色をほどこしている。
    「きゃっ」
    小さな悲鳴が聞こえ振り返ると、ルナがベールを押さえながら屋上に出てくるところだった。
    「結構風がありますね」
    そう言ってアレイオールの隣に並ぶ。彼女は、アレイオールの肩ほどまでの小柄な身体に力を入れ、ぐっと伸びをした。
    「みなさん、下でお待ちですよ。……何をご覧になっていたんですか?」
    「あれだよ」
    アレイオールが指差す先には、黄金色に輝く寺院。
    「なんでしょう、きれいな建物ですね」
    「武術家が集まる修練場らしい。ティルが言ってた」
    「修練場……?」
    「どうせこの街で足止めを食らうんだし、良いだろ?」
    そう言って笑うアレイオールに、モニタは口の端をひくつかせてぎこちない笑みを返した。
    「もっとこう、景色とかを見てるのかなって……」
    「ん? いや景色も綺麗だと思うぞ?」
    「……そうですね」
    なんとなく会話が途切れ、二人は無言で山を見上げた。

  • 55624/12/30(月) 13:42:44

    (……なんだろう。気まずいな)
    アレイオールはモニタの気配を伺いながら考えた。
    (あれか。修練場に行くのは嫌なのかな。まあ山の上だしな……)
    「えっと……」
    アレイオールは慎重に言葉を選びつつ切り出した。
    「その……別にモニタは来なくて良いし」
    無理しなくていいんだぞ、というニュアンスを込めたつもりでアレイオールは言い、モニタに向き直った。
    彼女はいつものにこにことした笑みを浮かべていた。
    「いいえ、ついていきます」
    「え? でも」
    「なにか問題でも?」
    「いえ、別にないです……」
    有無を言わせぬ謎の迫力にアレイオールは押し黙った。
    「……そろそろ下に行きましょうか」
    アレイオールが気づかないほど小さくため息をついてモニタが言った。アレイオールは頷くしかなかった。

  • 55724/12/30(月) 13:46:46

    早いですが一旦離脱します 夜に再開できたら良いな
    それにしてもやることが……やることが多い……アレイオールもまだまだ慢心が足りないし、ルナもまだ影が薄いし、モニタは奥手だし…

  • 558二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 20:13:27

    このレスは削除されています

  • 559二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 23:55:59

    このレスは削除されています

  • 560二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 08:58:59

    保守

  • 561二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 17:48:54

    このレスは削除されています

  • 56224/12/31(火) 20:58:21

    遅くなりましたが再開します

  • 56324/12/31(火) 21:13:03

    修練場ドグマ。500年前に伝説的な武術家が開祖となった修道院である。エルダルキア山脈の厳しい環境を活かした修行で有名で、開闢以来、数多の武術家を惹き付けてやまない場所だ。
    当代座主のカムシンは、若い頃は剛勇で鳴らした武術家であった。マンジューク流拳闘術を極め尽くし歴代最高の実力者との呼び声高い彼も、数年前に大病を患って以降は床からなかなか離れられずにいる。
    「先生、勇者と噂される者が来ました」
    一番弟子のエルドラにそう声をかけられ、浅い眠りについていたカムシンは目を開いた。
    「そうか……では出迎えの準備をせねば……ならんな」
    「先生、どうか無理はなさらぬよう。出迎えは我々で」
    「そういうわけにはいかん」
    カムシンはゆっくりと上体を起こした。ただそれだけで、彼の身体は動悸と息苦しさを訴えてくる。
    「……」
    顔には出していないつもりだったが、エルドラは気遣わしげにカムシンを見つめていた。身体にむち打ち、カムシンは立ち上がった。
    「すまんが面会の用意をしてくれ。わしは少し遅れていく」
    「……はい」

  • 56424/12/31(火) 21:27:20

    「あんまり歓迎ムードって感じじゃないな……」
    寺院のそこかしこから敵意を孕んだ視線を向けられ、アレイオールは呟いた。
    「勇者を神聖視しているのはゴドルダルキアと教団領だけだからな。先代勇者のときにはエルディラト軍と直接戦ったこともあったというし」
    アレイオールにジナイがそう教える。現在の王家が勇者の末裔であるゴドルダルキア、勇者を女神の遣わす救世主と定義しているデアム・カエリ教団領と違い、ここエルディラト連合国では勇者は非常識なまでに強い一個人としか見られていない。
    修練場ドグマは山に食い込むように建設された大きな寺院で、外壁は薄い黄色に塗られており、臙脂色の屋根や窓がコントラストを生んでいる。本館に加えて東西の棟と奥院があり、アレイオールたちは西館からここを尋ねている。

  • 56524/12/31(火) 21:31:22

    「よくぞこられた、勇者を名乗るものよ」
    西館の入口では、筋骨隆々の年嵩の僧侶が待ち構えていた。豊かな顎髭と対象的に頭部の毛は剃られていて、よく手入れされている風だった。僧侶は太い眉を厳しく寄せた。
    「座主がお待ちである。ついて来られよ」
    僧侶はアレイオールたちの返事を待たず、一方的にそう告げると踵を返した。
    唖然とその後姿を見送るアレイオールたちを気にする様子もない。
    「なんというか……随分なご挨拶ですね」
    「……ん」
    モニタが怒りを通り越して呆れたように言う。
    ルナもいつもどおりの無表情だがさすがに思うところがあるのか、小さく頷いていた。

  • 56624/12/31(火) 21:58:03

    座主との面会が許されたのはアレイオールだけであった。彼が通された部屋で、ドグマの座主、カムシンは脇息に身体を預けるようにして座っていた。
    一目で生きているのが不思議なほどの状態だということが誰にでも分かる。全身がやせ衰え、眼窩は落ちくぼみ、息はあらく、ひゅうひゅうと喉に擦れる音が響いていた。
    「よくぞおいでくださいました、勇者様。このような格好で申し訳ない……本来ならば拙僧がお相手をつかまつる所じゃが、この無様ではそれも叶わぬことでございます」
    そう言って、カムシンは深々と頭を下げた。
    「あ……いえ、まさか……その、このような容態とは……、こちらこそ失礼を」
    半死半生の老人にへりくだられ、アレイオールは狼狽していた。
    「こちらへは修行をお求めでございますかな?」
    「ええ、まあ。短い期間しか滞在できませんので、見学くらいなものですが……」
    カムシンは軽く咳き込み、しばらく呼吸を整えると返事をした。
    「残念じゃが、ここの如何なる修行も、あなた様の力を増す手伝いにはなりますまい。……拙僧にも、まだ不完全とはいえ、あなた様が紛れもない勇者であることくらいは見て取れまする」
    見るからに体調の悪そうなカムシンの様子に、アレイオールはモニタを連れてこなかったことを後悔し始めていた。しかしカムシンは面会を中断しようとはしない。
    「実は勇者様、恥を忍んで、お願いがございます」

  • 56724/12/31(火) 21:58:21

    「お願いですか?」
    「我が弟子たちと、手合わせしてやってはくださいませぬか」
    「手合わせですか」
    カムシンが語るのは、次のような事情だった。
    曰く、長年最強の格闘家として活躍してきたカムシンが、ついに無敗のまま病に倒れたことで、弟子たちは彼の実力を過大評価し、飽くなき鍛錬を忘れつつあるのだという。それは一番弟子のエルドラとて例外ではない。
    「実のところ、この病が癒えたとて、拙僧はすでにエルドラには敵わぬでしょう。しかし、弟子たちにはそれが分からぬのです」
    そこで、アレイオールが手合わせをして彼らを叩きのめすことで、「上には上がいる」という初心を思い出してもらおうというのである。
    「かなり荒療治のようですが……」
    「我らは武道家。最後は拳で語らねば分からぬものです」
    今ひとつ釈然としないアレイオールであったが、ここまで来て全く何もせず帰るというのも気が引けたため、結局は引き受けたのだった。
    弟子たちとの試合は、翌日の早朝からということになった。

  • 56824/12/31(火) 22:07:30

    翌日の朝早く。山の冷気が漂うドグマの試合場に、アレイオール一行とカムシンの主だった弟子たちが集まっていた。
    すでに武舞台に上がったアレイオールは、カムシンの最も若い弟子が上がってくる様子を見た。
    「ハッサンと申します! よろしくお願いします!」
    ハッサンと名乗った少年僧侶がそう言って元気よく一礼した。アレイオールも見様見真似でぺこりと一礼を返す。
    そんな二人の様子を相変わらず厳しい目つきで見ていたエルドラは、咳払いをして声を上げた。
    「それではドグマ武僧代表対勇者アレイオールの試合を始める! 始め!」
    「つあッ!」
    試合が始まるなり、ハッサンはアレイオールに真っ直ぐに突っ込み、右足で蹴りを繰り出した。アレイオールの方はといえば、特に構えるでもなく、軽く一歩下がって避けた。
    「たたたたたッ!」
    連打を繰り出すハッサン。一発一発に気が込められ、カムシンの弟子としては最年少とはいえ、すでに拳術は立派なものだった。
    (なるほど。確かに……)
    だがアレイオールはその素早い連撃を涼しい顔で躱し続けていた。すでに複数回、人類にとってみれば生物としての上位互換である魔族を倒している彼にとって、武術の心得があるとはいえ、人間の繰り出す攻撃など欠伸が出るほど遅いものでしかなかった。

  • 56924/12/31(火) 22:15:08

    「よっと」
    拳打に夢中になっているハッサンの背後を取り、後ろから首筋に手刀を叩き込むと、少年は声もなく昏倒した。
    「え……?」
    カムシンの弟子たちは皆、呆気にとられてアレイオールと倒れ伏したハッサンを交互に見つめている。
    「は、ハッサン……?」
    「すぐには目を覚まさないと思いますよ」
    「……」
    エルドラは目を白黒させていたが、アレイオールにそう言われて我に返ったらしい。
    彼が指示を出すと、カムシンの弟子のひとりが駆け寄ってハッサンの頬を何度かたたいた。
    本当に起きないと悟ったらしく弟子が相図を送ると、エルドラは息を呑み、しばらくの沈黙のあとで声を張り上げた。
    「そ、そこまでっ! 勇者アレイオール……殿の勝利!」
    アレイオールは仲間たちの方を見た。ジナイは余裕たっぷりに微笑み、ルナは無邪気に喜んでいる。モニタは一見いつも通りだが頬がひくついており、笑いをこらえているらしかった。

  • 57024/12/31(火) 22:25:36

    それからの試合も似たような展開が続いた。
    カムシンの弟子たちはそれぞれに得意技を繰り出してアレイオールに挑んだが、圧倒的な実力差のせいで通用する技は一つもなかった。
    初めは侮り、次に怒りと屈辱が籠もっていた彼らの視線は、次第に怪物を見るような恐怖のそれへと取って代わられていった。
    「シーシャは棄権するとのことです!」
    シーシャと呼ばれた太り気味の武僧が貼り付けたような愛想笑いを浮かべながらそういうのを小坊主が聞いてエルドラに伝える。エルドラは顔を紅潮させ、こめかみに青筋を浮き立たせた。
    「次の試合は……私だ」
    エルドラはそう言うなり、武舞台に上がってアレイオールと対峙した。
    (こいつ、10人以上の門弟を一撃でのめし、まるで疲れた様子もない……勇者というのは化物か!?)
    アレイオールは、最初に武舞台に立ったときから様子が全く変わっていなかった。恐ろしいことに、汗はおろか、埃の一つもついていない。
    「お主たちは武道の心を忘れておる」満身創痍ながらもそう苦言を呈するカムシンの様子が今更に脳裏に浮かんだ。
    (そんな……そんなはずはない! 俺はもう師匠すら超えている、次のドグマの座主だ! 俺が負けるはずがない!)
    だが、皮肉にも他の弟子より抜きん出て鍛錬に励んでいたエルドラだからこそ、分かってしまう。
    勇者アレイオールに勝てる道筋が、突くべき隙が一切見当たらないということに。

  • 57124/12/31(火) 22:31:30

    エルドラが構え、アレイオールがそれを見やってから、どちらも動かなかった。
    アレイオールには何の変化もなかった。ただ無言でエルドラを見つめていただけだ。
    一方のエルドラの方の変化は劇的だった。次第に息が荒くなり、脂汗を流し始めたのだ。
    「はぁ、はぁ……ぐ」
    エルドラは、まるでそうしているのが精一杯であるかのように、何度も気合を込め直してアレイオールを睨みつけた。
    しかしそのたびに、彼は途方もない何かに打ちのめされているようだった。
    10分ほどが経過した。エルドラに代わって審判を引き受けた弟子が、そろそろ声をかけようかと迷い始めた頃になり、エルドラは力を抜き、その場にがっくりと膝をついた。
    「ま……参った!」
    絞り出すようにエルドラは言った。審判はしばらく硬直していたが、やがて自分の役割を思い出したのか宣言した。
    「そこまでっ! 勇者アレイオール様の勝利!」

  • 57224/12/31(火) 22:36:33

    アレイオールは他の弟子に肩を借りながら武舞台から降りていくエルドラを無感動に見つめていた。
    (こんなものなのか)
    アレイオールは前衛と仕事をしたことがない。彼が知っているのは後衛であるリューベンやモニタ、ルナであり、戦闘はあくまで副業でしかないジナイの戦いだけだ。
    話によればここは、エルディラト連合国のなかでも屈指の実力者が集う修行場だったはずだ。
    (それが……この程度?)
    驚きに包まれながらも、彼の心には失望と退屈が忍び寄りつつあった。

  • 57324/12/31(火) 22:55:27

    寝落ちしてました
    本日はこれで終了にします
    明日も夜から再開予定です。よろしくお願いします!

  • 574二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 02:34:59

    お疲れ様でした
    良いお年を

  • 575二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 11:40:24

    保守

  • 576二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 17:43:43

    このレスは削除されています

  • 57725/01/01(水) 20:41:35

    あけましておめでとうございます
    今日はダイスと安価で次のエピソードの大枠を決める回になると思います
    でもその前にアギオーム関連の描写を忘れていたのでそれだけ追加

    「勇者様、お力添え、まことにかたじけのうございます」
    「いえまあ……」
    大したことではなかったですし、という言葉をアレイオールは呑み込む。
    カムシンの弟子たちは、実際のところ彼にとっては全く大したことはなかったのだが、老い先短い彼の前でそれを口に出すことはできなかった。
    「……ふふ、その様子では、我が弟子たちは不甲斐ない戦いをしたようですのう」
    カムシンはそう言って、自嘲気味に笑った。
    「情けない話ですが、今日は胸をお借りできて良かった」
    「……」
    アレイオールが黙り込んでいると、カムシンは横に視線をやり、窓から外を眺めた。
    「ふむ、今日はよく見えますな」
    アレイオールが視線の先に目をやると、空の遥か彼方に、霞むように浮かんでいるなにかが見えた。
    「あれは……」
    「あれは我々が空島と呼んでおるものでしてな、天空の浮島なのです」
    アレイオールはその島を見つめた。遥か遠くに浮かんでいた島は、やがて雲に呑み込まれ見えなくなった。
    「勇者様ならば、いずれはあの島へたどり着けるかもしれませんな」
    カムシンは静かにそう言った。

  • 57825/01/01(水) 20:49:13

    次は湖畔の街ですね。

    似た展開が続くのはあれなので、ラナックとの戦闘は次からということにしましょう。

    では湖畔で起きるイベント

    dice1d4=1 (1)

    1貴族の陰謀に巻き込まれる

    2水中の遺跡を探索

    3湖畔の怪物を討伐

    4安価

  • 57925/01/01(水) 21:01:15

    水着回にしようかと思ってましたがシリアスなの引きましたね……

    陰謀というのは

    dice1d3=1 (1)

    1勇者抹殺のため刺客が現れる

    2滞在先の領主が暗殺され犯人と疑われる

    3滞在先の領主が終末カルトの一員で儀式が始まる

  • 58025/01/01(水) 21:02:33

    どうやら勇者の抹殺を目的として刺客が送られてくるようです

    理由としてはdice1d3=2 (2)

    1ゴドルダルキアの勇者への敵愾心

    2正確にはティルを狙ったもの

    3魔族と結託

  • 58125/01/01(水) 21:05:58

    ふむふむ。ティルを狙ったもののようです。刺客を送ったのは

    dice1d3=1 (1)

    1ザント=ヴェルニフルの王党派

    2上記と協力関係にあるエルディラト貴族

    3現地の貴族(背中の荷物をねらって)

  • 582二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 21:07:19

    これは伏線回かな?

  • 58325/01/01(水) 21:07:49

    どうやらはるばる本国から追ってきたようですね

    ちなみに刺客の強さはdice1d10=5 (5)

    1で鉄砲玉、10で代々暗殺者の家系

  • 584二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 21:10:11

    中間ほどの強さか

  • 58525/01/01(水) 21:11:47

    いちおうプロではある感じですね…

    >>582 恐らくそうですが、どうせなら他の伏線も一緒に張りたい所

    このあたりで呪層童窟にも触れておきたいところですね

    子供を死に追いやる危険極まりないダンジョンですが、革命の発端として採用できそうです

  • 58625/01/01(水) 21:15:41

    呪層童窟について

    dice2d4=3 4 (7)

    1呪いが溢れ出し多数の犠牲が出たことが革命の発端になった

    2カルム(ティル)の弟妹がここで命を落としており、冒険者になる一つの切っ掛けだった

    3国ぐるみで子供の生贄を捧げる事業が続いている

    4カルム(ティル)の目的は呪層童窟を崩壊させるとある遺物を回収すること

  • 587二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 21:18:08

    皇帝の知らぬ間に悪行が盛られていっておられる

  • 58825/01/01(水) 21:18:18

    なるほど……ザント=ヴェルニフル政府はなぜ呪層童窟に生贄を捧げ続けている?

    dice2d4=3 3 (6)

    1やりたくても出来ないが、国力の低下を意味する事実のため対外的には秘密にしている

    2呪詛の力を利用しており、このまま使い続けたい

    3生贄によって呪詛が抑えられるため、平民の子供を捧げるのはコスト的に良好と考えている

    4不満を溜める民衆への威圧、見せしめ目的

  • 58925/01/01(水) 21:22:03

    被ったのでひとつ下で3,4ですね

    さすがに呪詛の軍事転用とかまではしていないようだけど、仕方ないってのを口実に見せしめ的に生贄を選んでいるので、まあ悪辣ですね…皇帝は人が良いので知らなさそうですが

    なんとなくアレイオールがなぜ呪層童窟攻略を目的にしたのか分かってきましたね…

    刺客がこのままだとマジでぽっと出すぎるので少し練りましょう

    まずは外堀から

    性別:dice1d2=1 (1) 1男 2女

    年齢:dice1d4=2 (2) 1子供 2若年 3壮年 4老年

    凶暴性:dice1d100=52 (52) 100に近いほど戦闘狂タイプ。1だと感情を殺した仕事人

  • 59025/01/01(水) 21:24:24

    趣味と実益を兼ねたお仕事というわけですね…

    代々の暗殺者家系とかではなさそうなので、フリーのヒットマンくらいの立ち位置ですかね

    出身は

    dice1d5=1 (1)

    1ゴドルダルキア

    2エルディラト

    3デアム・カエリ

    4ザント=ヴェルニフル

    5その他(魔族領、竜族の里など)

  • 59125/01/01(水) 21:25:48

    ゴドルダルキアだとアレイオールやジナイと何らかの面識があってもおかしくないですが…

    アレイオールとの因縁度

    dice1d100=65 (65)

    ジナイとの因縁度

    dice1d100=36 (36)

  • 59225/01/01(水) 21:28:51

    これ一回くらい戦ってたりしてそうな気配あるな…
    ジナイとは顔を合わせたことくらいはあるかな
    タイミング的にサイフェあたりかな?
    ではこのキャラクターについて安価を募集してみます

    名前:
    性別:男
    種族:
    年齢:種族としては若年でお願いします
    外見を含めた特徴:
    アレイオールとの因縁:
    でお願いします
    下2,20分くらいでいきましょう

  • 59325/01/01(水) 21:49:37

    来ないですね…
    まあこちらで適当に設定しておきますか
    本日はここまで。明日は湖畔の展開を進めていき、出来れば草原か公都でラナックと戦う所まで行きたいですね

  • 594二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 02:17:55

    名前:オグン
    性別:男
    種族:オーク
    年齢:20
    外見を含めた特徴:革の鎧を着た豚の頭の小男
    アレイオールとの因縁:酒場で酔って暴れてるところを咎められた

  • 595二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 02:22:16

    名前:ホマード
    性別:男
    種族:エビ人間
    年齢:33
    外見を含めた特徴:二本足で歩くエビ。その鋏の威力は強く鋼鉄の鎧をも両断する
    アレイオールとの因縁:アレイオールの持ち物を奪おうとして返り討ちにあったことがある

  • 596二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 02:39:04

    名前:タラバ
    性別:男
    種族:バケガニ
    年齢:28
    外見を含めた特徴:人間程の大きさの蟹そのもの
    堅牢な甲殻と強靭な鋏を持つ
    ちなみに彼は空気呼吸できる種族
    アレイオールとの因縁:通行人を恐喝しているところをやっつけられた

  • 597二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 02:46:25

    名前:ノビータ
    性別:男
    種族:ゴブリン
    年齢:35
    外見を含めた特徴:短い黒髪と丸い眼鏡をかけたゴブリン
    手にはマスケット銃を持つ
    服装は黄色いシャツと紺色の半ズボンを身に付けている
    表向きの仕事は猟師だが実は名うて殺し屋で標的を遠距離から射殺して仕留める方法を好む
    アレイオールとの因縁:かつての標的

  • 598二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 12:10:56

    このレスは削除されています

  • 59925/01/02(木) 17:17:58

    さすがに時間外ですので今回の安価はいずれも不採用として、オリジナルの暗殺者を設定します。
    すぐ死ぬちょい役ですが、あんまりそう感じすぎないよう設定を提示しておきます。
    名前:ジーグ
    種族:人間
    性別:男
    年齢:24
    アレイオールとの因縁:抹殺しようと闇討ちしたが、あっさり撃退されたうえ忘れ去られている
    特徴:顔がグズグズに焼け爛れたプロの暗殺者。かつてゴドルダルキア全土にその名を轟かせた存在だったが、アレイオールに無様な敗北を喫したことで評判がガタ落ちし、復讐を誓っている。

  • 60025/01/02(木) 17:23:11

    アレイオールたちは山麓都市を越え、エルディラト連合国の水源地帯へと足を踏み入れていた。山脈からの水が川となって流れる平野を進めば、やがてそれらが合流した大きな湖が見えてくる。この湖こそ、エルディラト最大の淡水源である、エルディ湖である。夕日が湖面をオレンジ色に輝かせるなか、アレイオールたちは長い影法師を引いて、湖畔の都市へ入った。

  • 60125/01/02(木) 17:32:17

    アレイオールたちはいま、湖の東側にある都市、イーストンへとやってきている。この都市周辺の領国は、エレネ男爵という名の貴族によって統治されているらしかった。
    「つかれた……」
    ルナが眠そうに目を擦っている。アレイオールたちはひとまず、泊まれる宿を探すことにした。

    「……」
    街に到着したアレイオール一行を、少し離れた、建物の角から見つめている影があった。
    影はアレイオールたちが行くさまをじっと見ており、ぎりり、と歯の軋む音を立てる。
    その音が聞こえたはずはないが、不意にルナが目を見開き、影の方を見た。
    しかし彼女が影の姿を捉えることはなかった。怪しい人影は、その頃にはすでに姿を消していた。

  • 60225/01/02(木) 17:43:07

    「エレネ男爵領は初めて来たが、なかなか静かで良いところだな」
    「ここイーストンは特に小さな港町ですからね。交易はだいたい南方と西方でやってますし」
    ジナイのエレネ男爵領評に軽く同意しながらティルは言った。
    「海路というか、湖の上を船で渡った方が早いんじゃないか?」
    アレイオールがそう尋ねると、ティルは首を横に振った。
    「エルディ湖の水上交易はランセットと同格のハイエレヒアル家が独占しているんですよ。陸路ならともかく、海路であれば荷物の検査は免れません」
    「面倒だな……」
    「貴族連合のエルディラト特有の問題ですね。ザントやゴドルダルキアのように王家に統一されてる国ではあまりないことですから」
    ティルの話を聞きながら、アレイオールは無意識のうちに、彼が運んでいた木の箱に目をやってしまう。
    「あっ、駄目ですからね? これ、開けたらすぐ分かるらしくて、みなさんの報酬もなくなっちゃいますよ?」
    「少しだけ」と好奇心に負けた一言をアレイオールが話す前に、ティルはそう言って釘を差した。

  • 60325/01/02(木) 17:52:43

    イーストンは漁師が多いようで、朝の早い彼らのために酒場も早々に開き、早々に閉めてしまう。
    結果として、アレイオールたち一行はさっさと就寝する必要に迫られた。
    「それではお休みなさい」
    「ぐっない」
    女性陣二人が部屋に入るのを見届けて、アレイオールも自室へと向かう。
    彼の脳裏には、先の修練所ドグマでの一件があった。
    (武者修行か……果たして意味があることなんだろうか?)
    ”灯台”やサイフェの地下での戦いは、彼にとって死闘であった。それに続く、キレイミとの戦いも、実力的にはともかく異能との戦いの難しさを学べる良い機会だったと言える。
    それに比べて、今回のこの旅はどうだろう? アレイオールはそう感じずにはいられなかった。
    「……もう寝よう」
    考えを振り払うように頭を振ると、アレイオールは寝床へと向かった。

  • 60425/01/02(木) 18:00:40

    一行の使っている部屋の明かりが消えてから、実に二時間ほど、その影は身じろぎもせずに様子をうかがっていた。
    まだ時間的にはやや早いが、旅の疲れもあってか、再び起き出す気配はない。影はようやく動き出した。

    宿屋に近づくと、アレイオールたちが使っている部屋のある方とは反対側の屋根に鈎縄を投げつける。うまく「へり」に食い込んだことを確認し、影は蜘蛛のように静かに縄を登り始めた。
    影が警戒しているのは、斥候とエルフの少女だ。このうち半分同業の斥候については、しょせん人間ではあり、気づかれずに事を運ぶ自信があった。心配なのはエルフの方で、あの少女はそれなりの距離から影の存在を気取っていた様子がある。
    神官の女とエルフの寝ている部屋はすでに調べがついていた。先に始末しようかとも思ったが、危ない橋を渡るのはやめ、影は屋根を伝って目標の部屋へと向かった。
    屋根の端にたどりつくと、影はその場に寝そべり、ダラリと逆向きに上半身を垂らした。
    部屋の窓から中をそっとうかがうと、3つのベッドがそれぞれ膨らんでいる。いずれかが目標で間違いないだろう。

  • 60525/01/02(木) 18:09:25

    影はコウモリのように逆さになった状態で、感覚を研ぎ澄まし、周囲の気配をうかがった。
    特に気にかかる隣室は……大丈夫だ。起き出している気配はない。
    さて、あとは順番だ。
    (勇者は最後にしよう)
    影はそう考えていた。彼は小さな切り傷でも命取りとなる、麻痺毒を染み込ませたナイフを持参していたが、過去の経験上、勇者には毒が効かない可能性がそれなりにあった。
    (まずは依頼のスパイ野郎。次に斥候だな)
    影は煙突に引っ掛けた鈎縄を使い、そのまま静かに身体を下げた。そして、窓の下枠に手が届く位置までやってくると、軋まぬようごくゆっくりと体重をかけていき、やがてロープを話すと、逆立ちの状態になった。
    息を乱さぬよう注意をはらいながら、ゆっくりと脚を前方におろしていく。凄まじい筋力が求められる動きだが、影にとっては日常的な動作でしかない。
    床に蹲る格好になった影は、慎重に毒のナイフを滑り出すと、それを構えてベッドの近くへと向かった。

  • 60625/01/02(木) 18:13:59

    そっと息遣いに耳を澄ませた。

    (……こいつだな)

    尾行中に、影はアレイオール一行それぞれの「癖」を頭に叩き込んでいた。姿が見えずとも、相手の正体を察する方法はいくらでもあるのだ。

    影はナイフを持った手を静かに振り上げた。闇の中で、爛れた口がニヤリと笑った。


    襲撃の成否

    dice1d2=1 (1)

    1成功 2失敗

  • 60725/01/02(木) 18:23:39

    振り下ろしたナイフは、膨らんだベッドへと吸い込まれていった。
    ばふ、という軽い打撃音と、うめき声がベッドから発された。音はごく小さい。
    (これならば)
    すでに依頼は完遂したも同然だが、「ついでの仕事」もこなせるに違いない。
    そう考えた影は、わずかに気分が昂揚したのが祟ったか。

    ぎしり。

    床を踏んで音を立ててしまった。
    息を呑むが、もう遅い。ベッドのうちの1つがもぞもぞと動き出し――今にも起き出しそうだ。
    (クソが……!)
    こういった場合、直感に従うべきことを影は知っていた。彼は迷うこと無く撤退を選び、静粛性よりも速度を重視して、窓まで駆けようとした。
    しかし。
    「う!」
    不意に抵抗を感じ、思わず声を上げてしまう。振り向けば、今しがた突き刺したベッドから伸びた腕が、影の外套を掴んでいた。
    (な、なんで動ける!?)
    手を離させようともがいた拍子に、血走った目がこちらを睨みつけているのがちらりと見えた。
    (クソっ、こいつを最後にしておくべきだったか!)
    「誰だ、そこにいるのは!」
    背後から声が聞こえた。斥候が起きたのだと悟り血の気が引き、なりふり構わず、外套を掴む手にナイフをふるった。
    しかし格闘もそこまでだった。闇の中からナイフが投げられ、顔を庇った影の腕に突き刺さる。
    「アレイオール、侵入者だ!」
    声がそう叫んだ。
    (畜生、万事休すか……!)

  • 60825/01/02(木) 18:30:39

    ジーグはかつて、名のしれた犯罪組織の幹部だった。
    もともと天涯孤独の少年だったこの男は、やがてその手先の器用さや弁舌を買われて裏社会で成り上がったが、組織の長の娘に手を出したことがきっかけで顔を焼かれ、暗殺者としての道を歩むことになった。
    アサシンとして経験を積み、依頼を口実に古巣の長とその娘夫婦を惨殺したジーグは、その恐ろしい風貌も相まって、ゴドルダルキア中で恐れられる存在になった。
    そう、ほんの数年前。軽い気持ちで引き受けた、勇者と呼ばれる若い冒険者を抹殺する任務が、無残な失敗で終わるまでは。
    プライドと評判を傷つけられたジーグは、勇者――アレイオールへの復讐を誓い、その時を待ちわびていた。
    そして今日、とうとうその日がやってきたはずであった。

    ところが今やその彼が。泣く子も黙る影の死神が。
    たかが一人のスパイ野郎を始末するのにしくじって、脂汗を流しながら追い詰められていた。

  • 60925/01/02(木) 18:40:39

    アレイオールの手にした剣が、白熱して周囲を照らしあげる。
    その男は全身を外套で覆っていた。光に照らされた彼の顔は、醜く焼け爛れていた。
    その右手にはナイフを持っており、また右肩にはジナイが投げたのであろう投げナイフが数本突き刺さっていた。
    「くそっ……!」
    男は毒づくと、懐から煙玉らしいものを取り出した。だが、ジナイのそれを見慣れているアレイオールの行動は早かった。
    一瞬にして肉薄すると、地面に叩きつけようと投げた煙玉を床付近で掴み取る。体を捻った勢いのまま、アレイオールの右脚が男の胴に叩きつけられた。
    「ぎゃっ!」
    潰れるような短い悲鳴をあげ、男が吹き飛ばされ調度品のタンスに突っ込む。手加減はしているが、無事で済む蹴り方はしていなかった。
    「ティル! 大丈夫!?」
    アレイオールは男にそれ以上の興味を持たず、ベッドから毛布を引き剥がした。
    「ええ……なんとか」
    その中にいたティルは、肩と右手に深い傷を負ってはいたが、顔色はそれほど悪くなかった。
    ひとまず大丈夫そうだと判断して、アレイオールは叫ぶ。
    「モニタ! 怪我人だ!」
    がたっと隣室から音がして、ばたばたと動いたあとで、こちらに駆け寄ってくる足音が聞こえた。
    ドアが勢いよく開かれると、寝間着姿で片手に杖、片手に無表情のルナを手にしたモニタが寝癖まみれの頭で飛び込んでくる。
    「き、来ました!」
    「ティルを診てやってくれ」
    アレイオールはモニタにティルを任せると、男の吹っ飛んでいった方へと向き直った。

  • 61025/01/02(木) 18:52:02

    ジナイにタンスの残骸の中から引きずり出されてきたその男は、完全に気を失っていた。
    「こりゃ骨はバキバキだな……」
    呆れたようにそう言って、ジナイは慣れた手つきで男を近くにあった椅子の上に縛り上げた。
    アレイオールは虜囚の身となった男に近づき、顔をしげしげと眺めた。
    「なんだこいつは……いつの間に俺達の部屋に入ったんだ」
    「アサシンだな。この爛れた顔、噂のジーグかもしれん」
    「知っているのか?」
    「その筋じゃ、ちょっとした有名人だよ」
    その有名人がなぜ自分たちを狙ってきたのか。アレイオールが考え込んでいくと、モニタの声が聞こえた。
    「アレイオール様、ひとまず治療、終わりました」
    「ありがとうモニタ。悪いけどこいつもお願いできるか」
    「はいっ」
    近寄ってきたモニタがジーグというらしい男に手をかざし、治癒術へ集中し始めた。
    入れ替わりに、アレイオールはティルに声をかけた。
    「大丈夫か? ティル」
    「はあ……驚きましたけど、大丈夫です」
    ティルは眉を下げて笑った。
    「アレイオールさんたちがいてくれて良かった。お陰で命拾いしましたよ」
    「いや、むしろ怪我をさせてしまって申し訳ない」
    「大丈夫ですよ。もう治してもらいましたし」
    ティルはそう言って笑った。さすがの治癒術というべきか、痛々しい傷があった右手には、その痕すら残っていなかった。

  • 61125/01/02(木) 19:01:55

    しばらくして、東の空が白み初めた頃。ジーグは低い唸りを発して、薄っすらと目を開けた。
    「ああ、クソ。痛え……」
    自分が椅子に縛られていることはすぐに分かったらしい。ジーグは爛れて表情が判然としない顔をあげた。
    目の前のアレイオールを憎々しげに見、ジナイを見、モニタとルナを見たあとで、ティルを見つけて愕然とするのがアレイオールたちにもわかった。
    「てめえ……なんで生きてやがる。確かに刺さったはずだが」
    「傷なら治した。苦労が水の泡だな」
    アレイオールにそう言われ、ジーグは悔しげに歯ぎしりをしたが、やがてアレイオールを見上げて言った。
    「分かった、降参だ。解放してくれるなら俺の持っている情報をやろう」
    「そんな取引に応じると思うか? 衛兵に突き出してやる」
    「まあ、まあ、待てよ勇者様。あんたを二度も狙ったのは悪かったが」
    「二度?」
    アレイオールは純粋な疑問の表情を浮かべていた。しばらく口をぽかんと開けてそれを見つめていたジーグの顔が、ゆっくりと紅潮し、真っ赤に染まっていく。
    (覚えて……いないだと?)
    屈辱にジーグが震える。眼の前にいる男は、全く悪意もなく、ただただ不思議そうにジーグを見つめていた。
    その反応が何より憎らしい。

  • 61225/01/02(木) 19:13:47

    「……」
    「どうした?」
    ジーグは押し黙った。それ以降、彼が口を開くことはなかった。
    「仕方ない、このまま衛兵につき出そう」
    アレイオールの提案に、仲間たちは頷いた。
    話を聞いてアレイオールたちの部屋までやってきた衛兵たちは、黙って俯くジーグを縛り上げたまま立たせると、アレイオールも同行の上で、要塞の地下牢へと連れて行った。
    「……」
    「あとは我々にお任せください」
    終始無言のジーグと対照的に衛兵はにこやかにそう話した。アレイオールはその場を離れながらも、どうも釈然としなかった。
    (取引することはないにしても、情報は引き出しておきたかったな。途中から黙ってしまったが……)
    自分がジーグの地雷を踏み抜いたとは夢にも思わず、アレイオールはそう考えていた。しかし。
    「追え! 追え!」
    ジーグを預けて1時間も経たないうちに、何やら要塞の方が騒がしくなった。
    「どうしたんだ」
    「申し訳ありません、先程の男が……! どうにかして縄を切断したようでして」
    「なんだって!?」
    ジーグはこのとき、すでに要塞の東口から外へと飛び出していた。
    「クソ……この俺がこんな情けないことに……」
    呪詛を吐きながら、ジーグは疾走していた。中途半端にしか治療されていないせいであちこちが痛むが、今はかまっている暇はない。
    (勇者アレイオール……必ず、必ずてめえを仕留めてやる)
    そう改めて心に誓いながら、ジーグは駆けた。

  • 61325/01/02(木) 19:22:21

    その頃。要塞の屋上では、アレイオールについてきたルナとティルとがいて、風景を眺めていた。
    要塞が慌ただしくなったことは、当然彼らも把握している。
    「どうしたんだろ」
    「さあ……トラブルですかね?」
    そうこうするうちに、東側へ誰かが飛び出した。その人物は人混みをかき分け、必死に離れようとしている。
    「今のは……?」
    「あ、アレイオール」
    それを追うようにアレイオールが建物から飛び出してきた。ルナがぶんぶんと手を降る。
    「アレイオール!」
    「ルナ! 丁度いいところに!」
    声に振り返ってルナの姿に気づいたアレイオールが身振り手振りを交えて状況を伝える。
    「どうもあの男、脱走しちゃったようですね」
    「さっきの」
    ルナは人混みを見つめた。かなり遠方だが、まだ走っている様子がルナには分かる。
    「ルナさん、弓で何とかなりませんか」
    「遠すぎて無理。それにあんなに人がいたら、まわりに当たるかも」
    ティルにそう言われるが、ルナは頭を振った。するとティルはさらに言い募った。
    「僕は弓射の術が使えましてね、サポートがあればいけるんじゃないですか?」
    「それは……」
    ルナの瞳が揺れる。ティルはアレイールを指さした。
    「今ここで当てれば、アレイオールさんに良い所を見せられますよ」
    その一言が効いたらしい。ルナはコクリと頷くと、弓に矢をつがえた。
    「狙うのは足」
    「もちろんです」
    ティルは表情を変えずにそう言った。

  • 61425/01/02(木) 19:22:43

    しばらく休憩します。また後ほど再開

  • 61525/01/02(木) 21:01:29

    再開します。夕方にだいぶやったので少しだけ

  • 61625/01/02(木) 21:11:45

    ルナの身体から手、手から弓に、見えない力が伝わっていく。
    すると、木製の弓がざわざわと音を立てて震え始め、枝葉を伸ばし始めた。
    月神流弓術。ルナ本人はこの名を知らないが、それが彼女が修めている武術の名だ。
    今やもとの数倍ほどの大きさになったルナの弓は、根や枝を伸ばし、ルナの手に絡みついて弦を引く。
    隣りにいるティルは「観測手」として、逃げていくジーグの足に狩人の印を投影した。
    ルナは弓を引き絞ったまま瞑目する。弓が帯びていた緑のオーラが、矢に纏わりつき、微細な振動を始めた。
    「……いまっ!」
    そして目を開くと同時、限界まで高められていた力が、矢に乗って解き放たれた。
    ルナの放った矢は濃い緑の軌跡を残しながら一直線に飛び――。
    「っ!?」
    次の瞬間、ジーグの足についていた「印」が上に向かって逸れた。
    足に向かって飛んでいた矢は印に導かれて軌道を変え、新たな目標、ジーグの頭部へと吸い込まれるように向かった。

  • 61725/01/02(木) 21:31:58

    しばらく後。
    「ごめんなさい」
    「仕方ないさ、あの距離では……。逃がすよりは良かったし」
    ルナに頭を下げられ、アレイオールは慌ててフォローを入れた。
    「いえ、僕のせいです。僕がルナさんにお願いして、僕の手元が狂ったから……」
    申し訳無さそうな様子でティルがそう言った。
    その姿を横目で見つつ、柵にもたれかかったジナイがふうと息を吐いた。
    彼の背後では、夕日に染まった湖面がキラキラと反射している。
    「しかし、あいつを雇ったのは誰だったのか、分からなくなっちまったな」
    ルナの放った矢は、本来の狙いであった足から逸れ、ジーグの後頭部に命中した。
    結果、彼の頭はスイカのように割れ、持っていた情報は藪の中になってしまったのである。
    「寝る……」
    モニタはしょんぼりした様子で一人宿屋へと向かった。その後姿をモニタが心配そうに見つめている。
    「あの、わたしルナちゃんの様子を見てきます。……アレイオール様も一緒に来ませんか?」
    「ん? ああ、そうだな」

  • 61825/01/02(木) 21:34:10

    連れ立ってルナの跡を追いかけていく二人を見送って、その場にはジナイとティルが残された。
    夕日がだんだんと赤みを強くしていくなか、二人の間に会話はない。
    「……で?」
    かなり間があいて、ようやくジナイが口火を切る。
    「……で? と言われても。なんですか?」
    「しらばっくれるんじゃねえよ。お前、雇い主に心当たりがあるんだろ?」
    ティルは興味深げにジナイを見つめた。ジナイの方はといえば、視線を合わせようとしない。
    「……ふふ、蛇の道は蛇ですかね。敵わないな」
    やがてティルが笑い出した。ジナイはそんな彼を胡乱げに見やる。
    「一緒にされるのは心外だ。ありゃ毒刃だろ? プロの暗殺者があの程度の傷で満足するはずがない」
    「ちょっと育ちの関係で、毒には強いんですよ」
    「あんな手練れが来るとは思っていなかった。次も同じことがあると拙いんでね。事情を話してもらおう」
    ジナイの視線に剣呑な光が交じるが、ティルはどこ吹く風だ。
    「んー、大丈夫じゃないですかね。たぶんそろそろそんな余裕はなくなりますから」
    「なぜそうなると分かる?」
    「そういう計画があるんですよ」
    飽くまではぐらかすような物言いに、ジナイはため息を付いた。
    「言うまでもないだろうが次に妙なことをしたら……」
    「分かってますって。いい子にしてますよ」
    ティルはそう言って、ひらひらと手を振りながらその場を後にした。
    ジナイは舌打ちをしながら再び湖を眺め始めた。
    「あいつの周りにいると退屈しねえな」
    少し皮肉げなその言葉は、誰に聞かれることもなく、風に巻かれて消えていった。

  • 61925/01/02(木) 21:36:32

    というわけで湖畔のエピソードが終わりました。
    次は平原でラナックのエピソードをやるかな。公都でもいいけどメインの遺物の話があるからなー。
    伏線は順調に引けているので、概ねエルディラト連合国編でやることは終わりつつあります

  • 62025/01/02(木) 21:40:31

    この物語は例のダンジョンでの全滅をクライマックスにしているわけですが、どうですかね? 仲間感とかちゃんと出てますか? 書いてる側としては書いてる時間の分だけ彼らのことを考えているので体感時間がすごく長いんですが、仲間に使えるエピソードも残り少なくなってきたので、なんか別に深い付き合いじゃなさそうだな、みたいな感じに見えてないかちょっと心配ですね…

  • 62125/01/02(木) 21:41:49

    というわけで本日は以上です
    もうだいぶ近づいてきたのでたとえスレ主一人になろうが例のシーンまでは突っ走ります。よろしければ明日もお付き合いくださいね(昼以降再開の予定です)

  • 622二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 21:43:35

    面白く読ませてもらっています
    ちゃんと彼らの仲の良さ…というか信頼は感じるので大丈夫ですよー

  • 623二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 21:44:02

    乙です
    ジナイは勘が良いな…

  • 624二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 08:12:44

    保守

  • 625125/01/03(金) 15:46:19

    すいません本日夜から再開に変更します!

  • 626二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:06:26

    このレスは削除されています

  • 62725/01/03(金) 20:48:59

    遅れましたが再開します

  • 62825/01/03(金) 20:56:23

    さて平原を通る感じなのですが、ラナックくんが出てくるかもということ以外は決まっていないので、スキップして公都のエピソードにもつれ込むのもありです

    その場合は箸休め的なエピソードのあらすじだけ触れますね

    dice1d2=1 (1) 1スキップ 2スキップなし

  • 62925/01/03(金) 21:01:44

    スキップですね。

    ということは草原ではここまでの伏線的なものはあまり触れずに行ったと。毎回なんだかんだあると胃もたれしそうだしな…

    草原のエピソードの内容は

    dice1d4=2 (2)

    1騎獣関係のエピソード。馬だとか騎乗トカゲとかの紹介など

    2平和なコメディ

    3恋愛関係

    4グルメ関係

  • 63025/01/03(金) 21:05:04

    割と当たり障りのないコメディだった様子。まあギャグの中に伏線を仕込むのは割とよくある手ですが……

    これだけだと話が持たないので外伝的なエピソードでも挟んでおきますか

    dice1d3=3 (3)

    1魔法使いになろうとするリューベンのエピソード

    2ザント=ヴェルニフルの革命関係

    3魔族の描写

    4竜族の描写

  • 63125/01/03(金) 21:05:20

    ダイスミスりました

    dice1d4=3 (3)

  • 63225/01/03(金) 21:09:40

    魔族の描写ですね。一方その頃、という感じで、ここまで名前だけは出ていたかも知れない魔王が姿を表します。ここで初めて機械系キャラであることが分かる感じですねー バイタスがガラクタと呼んでいた理由も分かると

    ちなみにどういう話? 登場人物は魔王プロトアイギスは確定として

    人数 dice1d3=2 (2) 3で幹部全員集合状態

    チョイスdice2d3=1 1 (2) (前から優先 被ったらひとつ下)

    1魔導師シャヘル

    2魔人プロトイージス

    3魔王の影アヴァロン

  • 63325/01/03(金) 21:12:48

    アヴァロン以外の二人が魔王の前に現れるやつですね

    内容的には

    dice1d3=1 (1)

    1プロトイージス誕生/起動

    2魔軍の作戦会議(侵攻が徐々に激しくなる)

    3シャヘルを怪しむプロトイージス(ギスギスするやつ)

  • 63425/01/03(金) 21:14:16

    どうやらここでプロトイージスが登場するようです

    この分だとアヴァロンはまだ魔軍に参加してない可能性もあるな?

    彼はこの時点で魔軍に

    dice1d2=2 (2)

    1いる

    2いない

  • 63525/01/03(金) 21:17:40

    なるほど、じゃあこの時点まではシャヘルと魔王の二人体制だったわけだ。対外的には魔王の完全な独裁なんだろうけど
    新生した悪の幹部であるプロトイージスですが、勇者と戦うのは少し先の話になるので、すぐ動いてもらうと具合が悪いですから、培養槽にでも浸かっていてもらいましょう

    というわけで、培養槽に眠っている新キャラを前に話し合う二人という構図です。よくあるやつ!

  • 63625/01/03(金) 21:21:07

    草原の方も詰めるだけ詰めてしまうか

    草原で出来そうなコメディでパッと思いつくのが草原で奇行に及ぶ変人か動物さんなんですが、どっちかな

    dice1d2=2 (2)

    1変人

    2動物

  • 63725/01/03(金) 21:23:58

    ある動物を回るエピソードのようですね

    動物のかわいさdice1d100=92 (92) デザイン面のみ

    動物の強さdice1d100=21 (21) 60でアレイオールと同等

    動物のでかさdice1d100=1 (1) 100で山みたいなデカさ

    動物の獰猛さdice1d100=90 (90) 100で殺戮を楽しむ

  • 63825/01/03(金) 21:24:53

    すごくちっちゃくて普通の人間よりはまあ強くて血と暴力を好むマスコット的キャラクターみたいですね…

  • 639二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:33:28

    執拗に急所狙ってきそうだ…

  • 64025/01/03(金) 21:34:33

    普段なら安価取るんですけど人いなさそうですからね…ふーむ

    このかわいい生き物は

    dice1d2=1 (1) 1単独 2群れ

    で住んでおり、

    dice1d2=2 (2) 1肉食 2草食

    で、草原の

    dice1d3=3 (3)

    1いたるところに

    2特定の場所に

    3どこかに(稀)

    いる

  • 64125/01/03(金) 21:36:00

    なんかわざわざ近づかない限り害は無さそう

    めっちゃ獰猛なのは

    dice1d3=3 (3)

    1縄張り意識が強い

    2臆病だが逃げる代わりに殺しに来る

    3他人が苦しむのが何より好き

  • 64225/01/03(金) 21:39:28

    純粋悪だ…

    ちなみに今回のエピソードの哀れな犠牲者は

    dice1d4=1 (1)

    1勇敢な密猟者(死ぬ覚悟がある)

    2何も知らないお尋ね者

    3動物と話せると信じている狂人

    4一人前になる試練としてやってきた狩人

  • 64325/01/03(金) 21:41:19

    危険は承知だろうになぜ…?

    dice1d4=2 (2)

    1どこかの我儘な貴族がペットにしようと大金をかけた

    2常に困難に挑戦しているから

    3身体の一部が高く売れるから

    4復讐


    ちなみに何人編成?

    dice1d4=2 (2)

  • 64425/01/03(金) 21:43:05

    二人組のモンスターハンター(という名のただの密猟者)。ストイックで、常に強い獲物を探し求めており、今回白羽の矢が立ったのがこのかわいい生き物だったというわけですね

    dice1d3=1 (1)

    1二人共死亡

    2一人生き残る

    3二人共生還

    なおこのかわいい生物は

    dice1d2=2 (2)

    1狩れた

    2狩れなかった

  • 64525/01/03(金) 21:44:06

    アレイオールたちは

    dice1d3=3 (3)

    1傍観

    2いちおう助けようとしたが瞬殺された

    3そもそも気づいていない

  • 64625/01/03(金) 21:47:53

    全く安価をやらないのもあれなので、モチーフとなる生き物を募集します
    生き物は現実にいるものでも架空のものでもOKですが、なるべくかわいいものでお願いします
    下2、10分くらいでいきます (例:あざらし)

  • 647二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:48:26

    リス

  • 648二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:50:45

    ウサギ

  • 64925/01/03(金) 21:51:14

    締め切ります

    dice1d2=1 (1)

  • 65025/01/03(金) 21:57:12

    こんな感じになりました

  • 651二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:57:42

    ハムスケ…?

  • 65225/01/03(金) 21:59:05

    かわいいおててから覗く鋭い爪がそこはかとなく殺意を漂わせていますね
    草食だからこんな爪たぶん要らないのに持ってるってことは戦闘用なんでしょうね

  • 65325/01/03(金) 22:01:35

    こんなに可愛いのに草原では年間dice1d10=9 (9) * dice1d3=1 (1) 1一 2十 3百 人の死者を出している

  • 65425/01/03(金) 22:04:17

    少なめかなと思ったけど毎年10人弱は小動物としては普通に多いですね…
    ちなみにこれは現代の世界における狼とかサメにやられるのと同じくらいの数です

  • 65525/01/03(金) 22:16:51

    最後に密猟者のお二人とリスについてスレ主で固めた設定を書いておきます

    ジェームズ
    38歳。名うてのモンスターハンター(自称)。これまでで最大の敵はザント地方にいた6mくらいのワニ。弓術を修めており、毒矢を使った戦闘スタイルが持ち味。相棒のサッチョンとは10年の付き合いで、彼と違って自分は命に対して敬意を払っていると考えている。草原の殺人リスの話を聞きつけ、血が騒いで狩りのため密入国した。密猟に凝るがあまり稼ぎは良くなく、妻には逃げられた。とびきりの獲物をとって見返してやろうと密かに思っている。

    サッチョン
    45歳。処女(安く雇える)を前にして油断したユニコーンを襲うなどの比較的簡単な狩りが好きだが、競合するため仕方なくジェームズに付き合っている。仕事はマジで辞めたいと考えているが再就職のあてもなく、惰性で続けている。故郷にいた幼馴染にカッコいいところを見せようと密猟者になったが、故郷を出て半年もしないうちに幼馴染は結婚しており、自らの選択を深く後悔している。動物のことは完全にただの金蔓と考えている。

    殺人リス
    3歳のオス。この生物は1歳で成熟するため、人間で言うなら36歳くらい。三回目の繁殖期を迎え、周辺の枝をかき集めたりキレイな卵の殻とか鱗とかを集めて素敵な巣を作った。しかしメスに相手にされず気が立っており、誰でもいいから痛めつけて殺してやりたいという気持ちになっている。生まれてからの三年間で縄張りの近くを通りかかった人間をすでに10人ほど葬っている。好物は木の実。木の実をくれた人間は撫でさせてやってから殺す。

  • 656二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:17:54

    このリス怖えぇ…

  • 65725/01/03(金) 22:19:26

    というわけでジェームズたちのモンスターパニックな話がアレイオールたちののどかな旅の裏側では起きていたわけですね。どういうテンションで魔族パート見るんだこれ…

  • 65825/01/03(金) 22:23:48

    では最後に、公都エピソード(最後)の設定を詰めて本日は終わりにしましょう

    まずはカルム(ティル)が手に入れようとしている遺物について

    これは

    dice1d4=4 (4)

    1兵器

    2呪物

    3鍵系

    4その他の道具(防具なども含む)

  • 65925/01/03(金) 22:27:01

    ふむふむ、道具類か

    絞りきれていませんが他のところを先に埋めましょう

    カルムはどうやってこれを手に入れるつもり?

    dice1d3=3 (3)

    1貴族の邸宅や宗教施設にあり、盗もうとしている

    2迷宮などの危険地帯にあり、そこから回収

    3協力者がおり、受け取るだけ(の予定)

  • 66025/01/03(金) 22:28:26

    ふむふむ、どうやら協力者がいて、手筈通りならすでに回収されてはいると

    予定通りに進んでいるんですかね?

    dice1d3=2 (2)

    1予定通り。問題なし

    2受け渡しには成功したが、回収が露見し追われることに

    3協力者がバレた/裏切ったなどで予定が狂う

  • 66125/01/03(金) 22:33:13

    おや、結構大変なことになってますね…

    ちなみにこの「追われる」というのは

    dice1d4=1 (1)

    1完全に露見しお尋ね者状態

    2受け渡しの場からは離脱でき、顔は見られていない

    3協力者が捕まって拷問を受けている。顔は見られていないが吐かれれば拙い

    4受け渡しのさいのチェイスで傷をつけられるなど、動かぬ証拠が残る

  • 66225/01/03(金) 22:35:11

    あちゃ~

    追われるカルムは

    dice1d4=3 (3)

    1アレイオールたちと共に逃げる

    2アレイオールたちの前で正体を見せ、華麗に離脱

    3捕縛されるが、何らかの手段で遺物はすでに手元になかった

    4上記と同じだが捕縛される前に自害する

  • 663二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:35:14

    ここで正体判明とかかな?

  • 66425/01/03(金) 22:38:27

    アレイオールたちは

    dice1d4=3 (3)

    1事情を聞いてびっくり。犯罪者だったなんて(傍観→手紙などと共に遺物を託される)

    2本人に話をさせてくれ(直談判→潜入)

    3依頼人である以上、助ける(脱出幇助)

    4犯人の仲間と疑われ、やむなく脱出。(カルムの持ち物の中に遺物がある)

  • 66525/01/03(金) 22:40:07

    アレイオールが救出を主張したとして、事情を察しているジナイはまあ反対でしょう

    他の仲間の反応は

    1賛成 2どちらとも言えない 3反対

    モニタ dice1d3=3 (3)

    ルナ dice1d3=2 (2)

  • 66625/01/03(金) 22:42:32

    仲間の反対を押し切って救出しようという感じですね。
    んー、なんかだんだん人の言うことを聞かなくなって来ましたね
    成否は実際に動かしながら決めるとしましょう

    道具は流れ的にここで使えるものでもなさそうなので、中身は分からないということにして流しましょう
    エピソードの最後でそれが分かる、という感じですね

  • 66725/01/03(金) 22:43:30

    あとは、潜入した要塞のなかで、昼間に酒場で仲間にちょっかいをかけてきたラナック+師匠と再戦という流れですね。
    んー尺的に二話くらい使う気がしますね…

  • 66825/01/03(金) 22:44:47

    本日は以上となります。後の細かいところはやりながら決めていきましょう
    明日はまた夜の更新になりそうです
    もしかしたら前後編になるかもです よろしくお願いします!

  • 669二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:48:40

    乙です
    いつ慢心モードになるのか楽しみなところ

  • 670二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 03:04:52

    保守

  • 671二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 12:16:00

    保守

  • 672二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 20:11:39

    このレスは削除されています

  • 67325/01/04(土) 21:17:39

    遅くなりました。再開します

  • 67425/01/04(土) 21:28:52

    今回は草原をスキップしてランセット公爵領の公都へ踏み入ったところです

    あまり詳しくない方のために解説します。結論から言えばこの公都はエルディラト最大の都市のひとつです

    エルディラト貴族の爵位は現実のヨーロッパのものに倣った称号でして
    簡単にいえば
    公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵 の順に並んで土地と紐づいています
    分かりやすく東京で例えますと、
    関東地方全域を支配する公爵、東京都を支配する伯爵、中央区を支配する男爵…というように、上位の称号に包摂される支配関係があります
    公都(造語)とは公爵領の首都という意味で、したがって伯爵や男爵が拠点としている領都より広範囲の地域の政治経済の中心を意味するため、都市の規模としてはそれらよりずっと大きいということになります

  • 67525/01/04(土) 21:36:27

    ポーマス子爵領の草原を無事に通過した勇者アレイオール一行は、街道沿いに進んでいき、ついにランセット領内へと進入した。
    エルディラト南部の広大な平野地帯を支配するランセット公はその領内に多数の貴族を従属させているが、アレイオールたちが歩いている街道周辺は公爵の直轄領となっていた。
    これは街道の生む交易の権益を公爵が独占していることを意味しており、この公爵家が、従属する貴族たちに有無を言わせぬ権力を持っていることを内外に示していた。

    「見えてきましたよ。あれが公都ラーテオンです」
    ティルが少し弾んだ声でそう言った。

  • 67625/01/04(土) 21:42:19

    ランセット平野の政治経済の中心である公都ラーテオンは、ユルダ川をまたぐように建設された水の都でもあった。周辺の土地は起伏に乏しいが、朝日にきらめく白亜の城壁はラーテオンの守りを堅固なものとしている。公都の市街地は城壁の外にも及んでおり、さらに外側には豊かな田園地帯が広がっていた。北側の丘陵地帯は良馬を産するため、ランセット公爵家が先祖伝来の騎馬戦力をよく育んだとされている。

  • 67725/01/04(土) 21:51:03

    市街地を通り抜け、城壁までたどり着いたアレイオール一行は、何やら街の様子がおかしいことに気づいた。
    人々がざわめいており、落ち着きがない。見れば、城壁内へと続く跳ね橋が上げられており、その周囲に人だかりが出来ていた。
    「なんでしょうね」
    モニタが首をかしげる。近づくと、橋の前に何やら看板が立っており、人々はそれを読んで、口々に何か言い合っているらしかった。
    「わたし、見に行ってきますね」
    そう言い、モニタは人だかりのなかに走っていった。人混みの中に身体をねじ込むように進んでいき、小柄な彼女の姿はすぐに見えなくなった。
    「……」
    なんとなく嫌な予感をおぼえながら、アレイオールはモニタが帰ってくるのを待った。

  • 67825/01/04(土) 21:57:41

    「分かりました!」
    しばらくして帰ってきたモニタは息を切らしながら報告した。
    「どうやら、昨日の夜にお城の中に盗賊が出たということで、逃げられないように跳ね橋を上げているということだそうです」
    「盗賊だって? 何か盗んだのか?」
    アレイオールが驚いて聞き返すと、モニタはかぶりをふった。
    「そこまでは書かれていませんでした。衛兵さんにも尋ねてみましたがだんまりです」
    モニタはそう言ったが、城壁内への出入りを封鎖するくらいだから、よほどのものが盗まれたと見て間違いはなさそうだった。今頃城壁の内側では、衛兵たちが血眼になって盗賊を探し回っているのだろう。
    「……しかしそういう事情なら、いつ橋が降りるかは分からんな。そんな長いこと封鎖していられないとは思うけど」
    「盗賊が狙った獲物の値打ち次第だろうな」
    ジナイが言うと、アレイオールはうなだれた。
    その姿を見て、ティルが呑気に笑いながら言う。
    「まあ、封鎖中ということなら仕方ありません。しばらく城壁の外に宿でも取りましょうよ」

  • 67925/01/04(土) 22:10:40

    一行は壁外の市街地を巡って宿屋を探した。湖畔の都市イーストンで暗殺者の襲撃を受けた記憶も生々しい彼らは、今度はある程度値が張ってもしっかりした宿屋を選ぶことにした。
    いくつかの宿屋をまわり、最終的に泊まることになったのは、「暴れ馬亭」という中級の宿屋である。三階建ての立派な宿屋で、一階は酒場になっていた。
    部屋を確保して不要な荷物を置いた一行は、作戦会議を兼ねた夕食のため、一階の酒場に集合するのだった。

    「ひとまず寝泊まりするところはできたけど……橋が上がってるのはどうしようもないな」
    「こればかりは気長に待つしかないと思いますよ。公爵閣下が宿代を出してくれればいいんですけどね」
    「お貴族様がか? そいつは期待できねえだろうな」
    男三人が先に集まり、酒杯を片手に今日の感想を言い合っている。いつ終わるともしれない足止めを食らっていることで、アレイオールは少し機嫌が悪い。
    「な、いっそ俺が盗賊を捕まえるから中に入れてくれってのはどうだ? 例の紋章を見せれば信用されるかも」
    その方が早いだろ、と言う彼に、ジナイは首をふる。
    「やめとけ。貴族相手に目立っても碌なことがないぜ。果報は寝て待て、だ」
    「僕も同意見です。それに、仮にアレイオールさんが捕まえたとしたら衛兵の面目は丸つぶれですよ。恨みは買いたくありません」
    「そうか……」
    言い返す言葉もなく、アレイオールは押し黙り、酒杯を煽った。
    ジナイとティルは目を見合わせた。
    「なあアレイオール、なにか焦っているのか?」ジナイが尋ねた。しかしアレイオールは首を横に振った。
    「いや。そういうわけではないんだが……」
    アレイオールは歯切れが悪い。言わなければよかった、と顔に書いてあった。
    ジナイはその様子を見て推測した。
    今回の旅、初めは期待していた様子だったアレイオールは、湖を越えてから少し退屈そうにしているように見える。
    ギルド長からちらつかされた「武者修行」というのが、彼にとって期待外れだったからではないか。

  • 68025/01/04(土) 22:20:10

    しかし、さすがに依頼人を前にして「さっさと終わらせたい」と口にするのは拙いと思い当たったのだろう。
    ジナイはそう当たりをつけた。
    (まあ、本人が自覚しているならあえて追求することもないだろう)
    そう考えていた彼は、二階へ続く階段から見慣れた人物が降りてくるのを目ざとく見つけた。
    「お、女どもが来たみたいだぜ」
    彼は少し大きめの声でそう言って話題を変える。横に座っているアレイオールがホッとする気配を感じた。
    ジナイたちが手を振ると、仲間を探してかきょろきょろしていたモニタとルナがこちらを見つけ、向かってきた。
    だが彼女たちの歩みは、数歩もいかないうちに背の高い影に阻まれた。

    「女二人とは、珍しいね」
    それは赤い派手なマントを身に着けた、金髪の青年だった。ジナイたちの方からは後ろ姿しか見えないが、かなり綺麗な身なりから貴族であることはひと目で分かった。

  • 68125/01/04(土) 22:35:53

    青い目をしたその青年は、髪をかきあげながら、モニタたちを観察しているようだった。つま先の方からゆっくり視線を上げ、舐めるように二人の少女を見つめる。そろって怖気が走る二人に、青年はニヤリと笑いかけた。
    「うん、合格。僕の相手をさせてあげる」
    青年はそう言うと手を伸ばし、無遠慮にモニタの頬に触れようとした。
    「っ!」
    反射的にモニタが青年の手をはたく。青年に随行していた取り巻きらしい男たちが、さっと顔色を変えた。
    しかし青年は目を瞬くと、ふっと笑った。
    「元気がいいね。そういえば僕のことはまだ知らないんだったね。僕の名前はラナック・エル・スピロス。スピロス家の嫡男さ」
    ラナックと名乗った青年はそう言い、手で取り巻きたちを制した。そして、これで分かっただろう、とでも言うようにモニタたちの反応を見たが、今ひとつピンと来ていない様子なのを見て驚く。
    「スピロス家を知らないのかい? 外国人にしても不勉強だね……。それでは覚えておきたまえ。ここ公都ラーテオンの壁外は、代々我らスピロス家の領地。この地にいるものは例外なく僕らの命に従わねばならない……。もちろん、旅行者も例外ではないんだよ」
    ラナックはそう告げると、好色な笑みを浮かべた。
    「まあ知らなかったことだ。安心したまえ、許してあげるよ。その代わり、今夜はそれなりに覚悟をしておいてもらおう。そっちの君もね……」
    そして、まるでそれが当然かのように手を伸ばし、モニタの胸を服の上から鷲掴みにした。
    あまりの出来事にモニタの顔が一瞬にして紅潮する。
    「ふふ、思った通りなかな」
    ラナックがその言葉を最後まで言い切ることはなかった。彼は店の外まで吹き飛ばされるのに忙しかったからだ。

  • 68225/01/04(土) 22:40:39

    「なんてこった……」
    ジナイが止める暇もなかった。
    初めは声をかけてやめさせるだけのつもりだったのだろう。
    しかし貴族らしい青年がモニタの胸に触れた瞬間、彼の背後から近づいていたアレイオールは、恐らく反射的に青年の横顔を殴りつけていた。
    しかも酒場の壁を突き破って店の外まで吹っ飛んでいった威力を見るに、あまり加減は出来ていない。
    俺が行くべきだったとジナイは心底後悔していた。アレイオールが助けた方がモニタは喜ぶかと無用な計算をしていたのが仇になった。
    ティルはと見れば、事の成り行きを興味深そうに眺めていたが、ジナイの視線に気づくとわざとらしく慌てた様子になった。
    「あ、アレイオールさん! なんてことを……!」
    こいつはもういい。ジナイはそう判断して、最悪の場合ここから逃げ出すべくアレイオールたちの方へ向かった。

  • 68325/01/04(土) 22:50:42

    「アレイオー……」
    「っ! きっさまアアアアアアアア!」
    ジナイがアレイオールにかけようとした声は。店の外から響いてきた怒号にかき消された。
    見れば、木材で切ったのか、額から血を流し、髪を乱した凄惨な様子の貴族の青年が、元気に怒鳴り散らしながら近づいてくるところだった。
    「この僕を、ラナック・エル・スピロスと知っての蛮行かアア!?」
    「どっちが蛮行だ。お前の名前など知らん」
    冷たく言い放つアレイオールに、ラナックはもともと短い堪忍袋の緒が切れたらしい。腰に提げていたレイピアを抜き放った。
    「出ろ! 切り刻んでやる!」
    「その前に、俺の仲間に謝罪をしろ」
    「ああ!?」
    「無礼なことをしただろ?」
    アレイオールが金色の瞳をギラつかせて威嚇すると、ラナックは一瞬怯んだ様子を見せた。
    しかしすぐに立ち直ると、下品な笑みを見せた。
    「なんだ、貴様の連れか? 馬鹿が……一晩で返してやるつもりだったが気が変わった。二人共飽きたら、死ぬまで豚共の慰み者にしてやる!」
    実際の所、いくら貴族の御曹司といっても、ラナックに旅行者にそこまでの無法を働けるほどの権力はなかった。だがいま、彼の頭にあるのは、どうやらこの男にとって自分が見初めた女二人は大切らしいということと、それをいかに目の前の男を侮辱するのに利用するかだけだった。
    「アレイオール、よせ」
    「アレイオール様、わたしたちは大丈夫ですから」
    安い挑発に乗せまいとジナイが声をかけたが、あいにくアレイオールに届いたのは、明らかにショックから立ち直っていない様子のモニタの健気な一言だった。
    男としてアレイオールがもう引けない状態になったことを悟ったジナイは目を覆った。

  • 68425/01/04(土) 22:57:26

    「そうか……。後悔させてやる」
    「ふん……マルクト流皆伝の僕に勝てると思っているのか? 冒険者ふぜいが」
    挑発に応じたアレイオールに、ラナックは内心でほくそ笑みながら、取り巻きたちに視線を飛ばす。
    「決闘だ! エルディラト貴族の一員として貴様に決闘を申し込んでやる……光栄に思え」
    「馬鹿馬鹿しい」
    決闘。貴族同士の戦争が禁じられているエルディラト連合国において、武力で物事を解決する唯一の方法である。時と場所を指定したうえで見届人を用意し、代闘者を用意しても良いが一対一であることは守らねばならず、相手の生命はなるべく奪ってはならない。
    (同じ貴族同士ならな!)
    だが、相手は平民だ。平民との約束を守る義務などエルディラト貴族にはない。むしろ、領主の威厳を傷つけたこの男は、ただちに罰されねばならない。ラナックはそう自分を正当化した。
    アレイオールに続いて、取り巻きたちが店の外に出てきた。
    決闘が始まる直前に取り巻きに攻撃させ、八つ裂きにしようというのである。

  • 68525/01/04(土) 23:04:50

    ラナックは自分の強さに自信があった。仮に助けがなくとも、目の前にいる冒険者の一人ていど、膾に切り刻めると思っていた。
    (だが僕の高貴な剣は、こいつの血で汚すのは勿体ない……)
    それに、あの女たちの目が気に入らなかった。あの男の勝利を確信し、まるで彼がやりすぎることを心配しているような目。きっとあの男は信頼されているのだろう。
    そいつが無様に目の前で死んだ時の様子を想像すると、たまらない愉悦で顔が歪んでしまいそうだった。
    (マヌケが! お前はここでまんまと罠にかかって死ぬんだよ!)
    アレイオールがラナックの眼前に立った。攻撃の合図をしようとラナックは身構えたが、アレイオールは腰の剣に手を伸ばさない。ラナックは怪訝な表情を浮かべた。
    「なんだ貴様。剣を抜かないのか?」
    「お前に剣? いらん。さっさとかかってこい」
    ラナックは額に血管を浮き上がらせ、ニヤリと笑った。
    「どこまでも貴族を愚弄しやがって……貴様はここで殺す」
    最後は自分が止めを刺してやると心に決めて、ラナックは取り巻きたちに頷いた。

  • 68625/01/04(土) 23:16:35

    ラナックの従者は三人いた。いずれも従騎士でラナックには及ばないが、配下の子弟たちからラナックの父が選りすぐった実力者揃いである。彼らは主人の行動に思うところはあったかもしれないが顔に出さず、ラナックの意図を正確に理解して、迅速に行動した。
    アレイオールの背後に立っていた従者が腰の長剣を使い、抜き打ちの斬撃を繰り出す。三人の従者は頭に血が上った主人よりもアレイオールをよく観察しており、彼がただならぬ気配を纏っていることに気づいていたため、この不意打ちに対応される可能性は想定していた。
    硬質な音が響く。
    「え?」
    切りつけた従者は半ばあたりでへし折れた愛剣を見つめ、間の抜けた声を上げた。
    彼らは、アレイオールが斬撃に対応しないことは彼の死と同義であると思い込んでいた。
    斬撃を避けも受けもせず身体で受けて、にも関わらず剣のほうが折れるなど、想像もしていなかったのだ。
    「これが決闘とやらか?」
    アレイオールが怒りをにじませて唸る。
    「大したもんだな、貴族というのは」
    アレイオールから見て右斜め後ろに控えていた従者がなりふりかまっていられないと考えたのか、雄叫びを上げながら上段から剣を振り下ろす。
    アレイオールは迎え撃つように裏拳を放ち、剣は粉砕された。
    アレイオールの左斜め後ろにいた従者は、狼狽の声をあげつつも、剣にオーラを纏わせ斬り掛かった。
    アレイオールは左手で刀身を掴んだ。
    「なまくらが」
    そのまま握りつぶされる剣を見て、その従者はその場にへたり込んだ。

  • 68725/01/04(土) 23:25:35

    ラナックは眼前で展開される光景を理解できずにいた。
    マンジューク流の武道家たちの中には、武器を使わずとも剣士と互角に戦える者たちがいることは知っていた。
    だが、彼らは飽くまで拳を必殺の武器として鍛え上げているのであって、斬りつけられれば傷つくし、当たりどころが悪ければ死ぬ。
    目の前にいる冒険者は違った。そもそもの強度が武術を収めた剣士の破壊力を上回っている。剣を素手で挟み込んで受け止めるというのはまだいいとして、素手で握りつぶすなどというのは、一体どういう技なのか。
    (化け物か?)
    それを口に出さなかったのは、ラナックのプライドがギリギリで保たせた一線であった。
    アレイオールが自分に向き直ったとき、ラナックは無意識のうちに後ずさりしていた。
    「どうした? 俺を切り刻むんだろ? やってみろよ」
    「ぐ……」
    そうだ、切り刻んでやれ。僕をコケにした報いを受けさせてやれ。
    心でそう叱咤するが、身体は動いてくれず、それどころか細かく震え始めた。
    (ダメだ! 止まれ! 震えるな!)
    ラナックの心は狂ったようにそう命じたが、膝は笑い始めていた。
    アレイオールの視線がちらと膝に向き、彼の表情が変わっていく。
    驚き。呆れ。失望と納得。そして少々の残酷さを経由して……嘲笑に。

  • 68825/01/04(土) 23:30:34

    「震えてるな」
    アレイオールはそう言った。
    見られた。ショックと屈辱と共に、哀れな自分が実際に切り刻まれることはないかもしれないと、心の一部が臆病な期待をしていることに、ラナックは死にたくなるほどの恥を感じた。
    次の一言は、普段のアレイオールなら決して言わなかったであろう類のことだった。
    「マルクト流皆伝だっけ? 誰に習ったか知らんが、大した事ないな、そいつも」
    聞いた途端、ラナックの視界が真っ赤に染まった。
    「貴様ァアアアアア!」
    脳髄がネジ切れるような憤怒が身体を突き動かす。
    彼は何千回、何万回と鍛錬した動きを身体が再現するのを感じていた。

  • 68925/01/04(土) 23:37:39

    「誰であろうと!」
    そう、誰であろうとだ。
    師匠を侮辱することだけは許されない。

    ラナックは自分の性格が歪んでいることは知っている。
    自分が周囲からどう思われているかよく分かっている。
    どうでも良かった。彼には関係のないことだった。
    「貴方には見込みがありますわね」
    その一言だけが真の意味で彼を肯定していたからだ。
    あの日、退屈でしかなかった彼の人生に、初めて「敗北」の二文字をあの人がもたらした瞬間に、彼は初めて生まれたのだ。
    それでも歪んだ性根は直らなかったけれど。鍛錬と剣術に関してだけは、彼は手を抜いていない。それが彼を唯一負かしたあの人に振り向いてもらうためのただ一つの手段だと知っていたから。
    品行方正、高潔さ、善意などあの人には通じない。純粋な強さだけが彼女を振り向かせる。

    にも関わらず、ラナックは彼女の顔に泥を塗った。
    否、泥を塗らされたのだ。目の前にいる男に。
    許せない。許せるはずがない。

    ラナックはこれまでの生涯で最大の速度をもって、敵の心臓に向かって突きを放っていた。

  • 69025/01/04(土) 23:38:24

    ふう。遅くなってきましたので本日はここまでとしましょうか。
    明日こそお昼にやりたいですね……正月は予定が安定しなくてすみません
    それでは、おやすみなさい

  • 691二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:43:53

    乙です
    慢心メーターが上がり始めたアレイオール

  • 692二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:46:38


    たぶんアレイオールのなかでは普通の人間ってもうちょっと強いはずだったんだろうな
    この国に来てからだんだん一般戦士のレベルが理解りはじめて…

  • 69325/01/05(日) 01:54:00
  • 694二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 11:53:30

    保守

  • 69525/01/05(日) 13:01:39

    再開しましょうかね。ラナックとアレイオールが決闘をしているシーンでしたね

  • 69625/01/05(日) 13:11:56

    鬼気迫る表情で突きを繰り出したラナックがアレイオールへと向かう。
    それは間違いなくラナックにとって会心の一撃であり、彼の師にすら迫る技の冴えであった。
    だがそれでも、ただの人間に過ぎない彼の剣技は、勇者の前では悲しいほどに、遅い。
    アレイオールは自身の胸の中心を狙ったであろうレイピアを半身になって躱した。
    無我夢中のあまり、外したことにすら気づいていないラナックの後頚部に向かって、アレイオールは手刀を振り下ろした。

  • 69725/01/05(日) 13:28:51

    (やり過ぎだ)
    ラナックの師を侮辱して激昂させるアレイオールを見て、ジナイはそう思った。
    こういうやり方は全くアレイオールらしくなかった。が、この若者は年齢を考えれば異常なほどに、もともと朗らかで怒ることがない。不機嫌でも多少苛つく程度で、喧嘩で相手を叩きのめすようなことはこれまで一度もなかった。
    「アレイオール」
    ジナイが声をかけてもアレイオールは気づかず、路上で伸びたラナックをじっと見つめていた。
    「アレイオール!」
    声を大きくしてもう一度呼びかけると、アレイオールはハッとした様子でこちらに振り返った。
    そして、実にバツの悪そうな様子で視線をそらした。

  • 69825/01/05(日) 13:29:02

    (こいつ……)
    ジナイは痛感した。アレイオールは、要するに喧嘩慣れしていないのである。
    自分が侮辱されても大して気にならないから、そもそも怒ることがあまりなく、実力がありすぎてその必要もなく、ただ普通に過ごしているだけで誰もが彼に一目置いていた。
    仲間を侮辱されるという経験は下手をすれば初めてのことで、それゆえに怒りが一線を超えたのだ。
    ジナイはアレイオールの意外な未熟さに面食らいながら考えた。
    (様子を見るに、自分でもやり過ぎたとは思っているのか。それにあのラナックとかいう奴の振る舞いは、確かにいくらなんでもあんまりだった)
    アレイオールは表情を変えていない。だがそこには、年長の仲間に叱責されるのではないかという怯えがある気が、ジナイにはした。
    (……少なくとも、仲間が侮辱されてヘラヘラしているよりはいい。敢えて余計なことは言わないほうがいいか)

    アレイオールに声をかけて近づいてきたジナイは硬い表情をしていた。彼はアレイオールのそばまでやってくると、床に倒れたラナックの呼吸と脈を確認した。そして軽くラナックの頬を叩くと、ラナックは苦しげにうめいた。
    「……気を失ってるだけだな。おい、あんたら」
    ジナイはいまだ硬直している取り巻きたちに声をかけた。
    「こいつの常識外れの強さはよく分かっただろ。このお坊ちゃんの言動にも問題はあったし、なるべく大事にせんでもらえると助かるんだが」
    取り巻きたちは顔を見合わせると、なんども頷いた。
    「よし、頼むぜ……。モニタ! すまんが治癒を頼む」
    「は、はいっ!」
    「お水とてぬぐいいる?」
    「ああ、それも頼む」
    ジナイが指示を飛ばすと、同じく固まっていた二人の少女も動き出した。
    アレイオールは何も出来ず、その場に突っ立っている。
    「……ジナイ」
    「……」
    ジナイは内心でため息をついた。彼とてまだ若い。最適な言動が分からないこともある。
    「……まあ、仕方ないさ。あんまり気にするな」
    迷った挙げ句、ジナイはそう慰めることにした。

  • 69925/01/05(日) 13:36:31

    結局その日は、あたふたした取り巻きたちが治癒を施されて朦朧としているラナックを連れ帰って終わった。別にジナイが頼みもしないのに、取り巻きの一人は硬貨の詰まった袋を手渡してきた。
    「おい……こりゃあ」
    「いえ、近頃の若の振る舞いは度を超えておられるので……」
    結局袋を受け取ったジナイは、これをそのまま壁などの弁償代として宿屋の女将に支払った。
    修理費用を考えても相当なお釣りのでる額だったこともあり、鬼の形相になっていた女将はころりと表情を変えると、アレイオールたちが引き続き宿に滞在することを許した。

    ベッドに横になったジナイは、同室でベッドに入りつつも眠れない様子のアレイオールの気配を感じながら考えていた。
    (こいつはもっと経験を積むべきだ。これまでは良かれと思って俺が同行していたが……)
    これまで、まだ若いアレイオールに代わって、ジナイがパーティのために交渉や駆け引きを行うことは少なくなかった。
    だがそのことは、かえってアレイオールから学びの機会を失わせていたかもしれない。
    ジナイは寝返りをうち、国に置いてきている妻のことを考えた。
    (あいつの言う通り、いい加減、潮時かな……)
    妻の心配そうな声を思い返しつつ、ジナイは斥候特有の浅い眠りに落ちていった。

  • 70025/01/05(日) 13:50:37

    深夜になり、モニタはベッドの中で目を開けた。
    そっと横に視線をやると、隣のベッドの中でルナは安らかに眠っていた。
    (……よし)
    近頃は「定期連絡」がやりづらくなった。ルナは感覚が鋭いので、わずかな刺激でも目を覚ましてしまう。
    あまり眠れない体質で、ときどき夜中に起きてしまうのだと説明すると納得してくれてはいるが。

    モニタは寝間着姿のまま、足音をなるべく立てないようベッドから抜け出すと、バルコニーに向かった。
    静かに扉を開けると、エルディラトの冷たい風が室内に流れ込んできた。
    身震いをしながら表へと出る。

    バルコニーで夜風に当たるようにして、モニタは首からさげたロザリオを取り出し、額に当てて瞑目した。
    これで何事か呟いていても、傍目には祈りを捧げているように見えるはずだった。
    ”今回は時間がかかったな”
    低い男の声がロザリオを通して聞こえてきた。
    「申し訳ありません。なかなか一人になれず……」
    "よい。それで、対象の様子はどうか"
    「対象は……ええ、問題はないと思います。強く、真面目で、正義感があって……」
    「対象」と呼ぶことに胸をチクリと刺されるような錯覚を覚えながらモニタは答えた。
    "そういうことではない。分かっているだろう?"
    「……はい」
    "我らの娘よ。お前の役目は首輪だ。対象が女神に逆らうことは、決してあってはならぬゆえ"
    「承知しております」
    ”お前に出来ぬというなら別のものを遣わすまでだが”
    「いえ……それには及びません」
    私の代わりはいくらでもいる。そう考えると、モニタの胸はじくじくと痛んだ。
    ”ふむ。お前には期待しているのだ。どんな手段を使っても構わん。早く結果を出せ”
    「……」
    ”ではな。汝に女神の慈悲と恩寵があらんことを”
    定型句を付け加えると、通信は一方的に断ち切られた。

  • 701二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 13:56:48

    やっぱこの任務をルクスタが引き継いだのはシャヘルのガバチャーの余波か…

  • 70225/01/05(日) 13:58:15

    モニタは深い溜め息をつくと、部屋に戻っていった。
    彼女は気づくべくもなかったが、この時、宿屋の屋根には一人の男がいた。
    「……ふうん。あの神官さん、何か訳ありみたいだな」
    それは黒い装束で身を覆ったティルだ。
    護衛たちが寝静まったいま、彼は本業の時を迎えていた。
    斥候の男はこの動きに気づいているかもしれないが、互いに累が及ばないようにすることで話はまとまっていた。
    「ま、俺には関係ないことだ」
    ティルは月のない暗い夜に、城壁の方を眺めていた。
    どうやら「協力者」がしくじってくれたお蔭で、当初よりかなり面倒な仕事になりそうだった。
    ティルは口元を黒い布でおおうと、素早く屋根を伝って、城壁の方へと近づいていった。

  • 70325/01/05(日) 14:06:08

    レタラ村という村落がかつて存在した。
    場所はザント=ヴェルニフル西部。山がちな地域の村で、これといった名物はないが、村人たちはそれぞれ身の丈にあって生活を送っていた。
    誰からも注目されることのなかったこの村が、ザント=ヴェルニフル全土にその名を轟かせたのはちょうど50年前。
    村の裏手にあった丘が突如として崩落し、そこに洞窟が現れたのである。
    ただの洞窟ではない。かすかな瘴気を漂わせるその横穴は、一部の物好きな冒険者たちの興味を引き、やがて探索のためにやってきた彼らは意気揚々と洞窟へ入っていった。
    中に入っていった冒険者は全部で15人。
    帰ってきたのは1人だけだった。
    全身を呪詛と毒気に冒され、半ば以上、死人のように成り果てていたその冒険者は、村人たちのもとまでたどり着くと、驚く彼らに絞り出すような声で告げた。
    「呪層童窟」
    ザント=ヴェルニフル西部に存在する世界最大、そして最悪の迷宮の一つである。
    横穴は、どういうわけか、その迷宮へと繋がっていたのだった。

  • 70425/01/05(日) 14:14:27

    呪巣童窟へと繋がった横穴は、日に日に漂わせる瘴気を強くしていった。
    丘から漂う邪気に、農作物は育ちにくくなり、体調を崩す村人が増えた。
    村長と神官の嘆願がようやく聞き入れられ、帝都から調査隊が送られてくるまで、3年が経過。
    もともと100戸以上あった村の世帯は半減。なかには全滅した家もあった。
    帝都から送られてきた調査隊は騎士団を主力としたもので、それなりの戦力に達していた。
    彼らは先行した冒険者の記録を調べ、呪詛や毒への対策をしていた。
    調査隊は全部で50人を超える大所帯であった。
    緊張した面持ちの彼らが洞窟の中に消えて、一週間がたち、一ヶ月がたった。
    予定されていた定期連絡は最初の数回以来、途絶えていた。
    三ヶ月が経過する頃、洞窟の中から、1人の骸骨人間(スケルトン)がふらつきながら這い出た。
    村の衛士と神官が引きつった顔で対峙するなか、尋常ではない呪力を身にまとったスケルトンは口を開いた。
    「こどもを捧げよ」
    「幼く健康な子を捧げよ」
    「怨みと呪いの王を、王の無聊を慰めよ」
    それだけ告げると、スケルトンは黒ずみ、朽ちて消えていった。

  • 70525/01/05(日) 14:22:13

    それから「討伐隊」が洞窟へと派遣された。
    しかし四度目の討伐隊で、「聖騎士」と呼ばれた著名な騎士が帰らなかったことで、帝都はさじを投げた。
    政府が村人たちを少し離れた地域に移住させると、そこにも洞窟が現れ、もともとの洞窟と合わせて瘴気の量は倍となった。
    何度移住させても結果は同じだった。そのたびに呪巣洞窟はその口を増やしていく。村人たちそのものが呪われているとしか思えなかった。
    日を追うごとに増していく瘴気を食い止める手段は、骸骨の言葉に従って生贄の子供を捧げる他はなかったが、小さな村の子供はあっという間に底をつき、外部から子どもたちを運んで来なければならなくなった。
    現地の村を含め、周囲の人々は子供を隠すようになっていった。

    10年も経過する頃には、ザント=ヴェルニフル政府はどの程度の頻度で子供を捧げれば被害が拡大しないか、計算を済ませていた。
    広大な版図を誇る帝国にとって、呪層童窟に捧げるべき子供の数など僅かなものに過ぎなかったが、生贄の子供を要求するその名はあまりに有名であり、政府はしばしば、不穏分子に対する威嚇や見せしめを目的に、捧げられるべき子供を選ぶようになっていった。

  • 70625/01/05(日) 14:30:59

    50年が経過した。レタラ村はすでに住人をなくし、過去のものとなっていたが、迷宮は変わらず子供を要求し続けた。
    カルムはザント=ヴェルニフル西部のとある村で生まれた。生まれつき身が軽く、器用で、一度見たことならたいていそつなくこなすことができた。
    カルムが14歳のころ、どういう事情があったのか、彼の幼い弟が生贄に選ばれた。
    猛反対するカルムに悲しそうに目を伏せながら、両親は弟を洞窟へと送った。
    カルムはしかし諦めなかった。彼は呪層童窟への入口が複数あり、中には管理が放棄されているものもあることを知っていたのである。
    とある夜半に、カルムは家を抜け出し、その洞窟の中へと入った。
    14歳の少年が洞窟に入り、しかも生還したのは奇跡という他ない。
    彼は魔物たちの目を欺き、罠をかわし、そしてなにより幸運に恵まれて、ついに祭壇の上に寝かされていた弟を発見して連れ帰った。

  • 70725/01/05(日) 14:38:30

    あのとき、迷宮は敢えて自分を泳がせたのではないかと、カルムはそう考えている。

    連れ帰った弟は既に呪詛にひどく冒されていた。
    両親は変わり果てた我が子の姿を見て狼狽し、後悔し、彼を隠したが、洞窟の瘴気が収まらなかったために、実は子を匿っているのではと噂が立った。
    一家は孤立し、困窮していった。カルムの弟は辛うじて生きていたが、死が時間の問題であることは明白だった。さらに、弟の看病をしていた両親までもが、呪詛にやられて動けなくなった。
    弟の薬代と家族の生活費を稼ぐため、カルムは冒険者になることを決め、近隣の都市へと出ていった。
    彼はまだ仲の良かった隣家に、くれぐれもと両親と弟のことを頼んでいた。

    そして初めての稼ぎを手に戻ったカルムが見たのは、骨と皮ばかりにやせ細った両親と弟の遺体だった。
    カルムは隣家の男を問い詰めた。その男は言葉を濁しながら言った。
    「君の家に食べ物を持っていくと、我々まで同じ目に遭わされてしまうんだ……」
    両親と弟は、呪詛のために死んだのではなかった。隣家に頼んでおいたから、というカルムの言葉を信じながら、飢えて死んでいったのだった。

  • 70825/01/05(日) 14:45:28

    屋根の上を跳んで渡りながら、カルムは考える。
    彼は隣家の人々も、村の人々のことも、恨んではいない。
    仕方のないことだ。力もなければ知恵も足りないただの村人に、どうして呪われた一家が救えよう。
    領主だって、力があるとは言えない地方貴族だ。出来ることには限界がある。

    だが中央政府は違う。
    彼らには、少なくとも唯々諾々と子供を捧げ続ける事の他にまだやるべきことがあった。
    まして生贄の邪習を支配のために利用するなど、以ての外である。

    カルムは内通者を通じて連絡してきた、エルディラトの革命家に思いを馳せる。
    「そう……そんな困ったことになっていたのね。お気の毒に」
    甘い声で、その女は言った。
    「それなら私の国に、良いものがあるわ。きっと役に立つでしょう」
    もっとも、今は私の手元にはないから、あなたが自分で手に入れないといけないのだけれど。
    彼女はそう言った。その奇妙な説得力に、カルムはこの国への潜入を決めた。
    偽の身分と、偽の姿。そして偽の名前。
    ティルと名乗ることにしたカルムは、とある遺物を手に入れるためにこの国にやってきていた。

  • 70925/01/05(日) 14:46:17

    お昼の部は以上になります
    今日の夜はさすがに遅くまで出来ないので夜の部はあるかどうか微妙ですね…
    それではお疲れ様です。感想などあったら気軽に書いていってね

  • 710二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 20:18:07

    このレスは削除されています

  • 71125/01/05(日) 22:23:22

    すいません戻りました
    PCのパーツを新調していたんですがさきほどようやく起動に持ち込んだところで、本日の夜は再開せずに明日20時ごろから再開にいたします
    よろしくお願いします

  • 712二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 07:25:28

    保守

  • 713二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 18:43:09

    保守

  • 71425/01/06(月) 20:17:53

    再開します
    前回はラナックをボコり、カルムが単身宿屋を抜け出したところですね

  • 71525/01/06(月) 20:20:12

    さてさてアレイオールたちがカルム(ティル)の後を追うのはもう決まっているわけですが、具体的にどのような状況で追うのでしょう

    dice1d3=1 (1)

    1抜け出した後それほどかからず気づき、追い始める

    2翌朝になってから捜索開始

    3カルムが捕まってから

  • 71625/01/06(月) 20:22:18

    どうやら単独行動を取ったことが伝わって、ということみたいですね

    どうやって気づく?

    dice1d3=1 (1)

    1抜け出したことをジナイが伝える

    2アレイオールがなにかの用事で気づく

    3城壁の中で大騒動になって

  • 71725/01/06(月) 20:24:30

    ふむふむ、斥候としてリーダーに抜け出したことを伝えたわけですね

    ちなみにニュアンスとしては

    dice1d3=2 (2)

    1ヤバいことに足を突っ込んでるから放置して逃げたほうが良い

    2飽くまで事実を伝えるだけ。それ以上でもそれ以下でもない

    3ヤバいことが起きそうだが、逃げるか捕まえて阻止するか

  • 71825/01/06(月) 20:27:07

    飽くまで事実のみを伝え、判断はリーダーであるアレイオールに任せるということのようです

    さてアレイオールはティル(カルム)を助けることにするようですが、その意図としては

    dice1d3=3 (3)

    1何より事情を知りたい。全てはその後

    2どちらかといえば何らかの企みをくじくのが目的

    3どちらかといえば愚挙に走る知り合いを止める感覚

  • 71925/01/06(月) 20:29:10

    どこで追いつく?

    dice1d4=2 (2)

    1城の中庭

    2遺物の保管されている宝物庫

    3牢獄や拷問室

    4城の外(瀕死の状態)

  • 72025/01/06(月) 20:34:22

    宝物庫ですね。一番最奥というわけだ

    ラナックと再戦させようかと思っていましたが、劇中の時間的に余裕がないし、もう十分彼の展開はやった感があるのでここは無しで

    ちなみに宝物庫でのカルムの様子は

    dice1d4=4 (4)

    1宝物庫の罠を解除する前

    2遺物に触れる直前

    3遺物回収後(衛兵に追われ始めている)

    4すでに衛兵に追い詰められている

  • 72125/01/06(月) 20:36:12

    絶体絶命のピンチですが…

    dice1d4=1 (1)

    1アレイオールたちが助けに入る(衛兵と戦闘)

    2高所から飛び降りるなどの形で離脱するも瀕死に

    3すでに致命傷を受け虫の息

    4自爆

  • 72225/01/06(月) 20:37:01

    悪運の強い男ですね

    それでは生存できるかダイスに聞いてみましょう

    dice1d2=2 (2)

    1生存 2死亡

  • 72325/01/06(月) 20:39:35

    あー、まあ死んじゃう感じしかなかったですもんね…

    遺物については

    dice1d4=2 (2)

    1何らかの方法で自分の組織に送っていた

    2アレイオールたちに託した

    3そもそも持ち運びが必要なものではなかった

    4持ち出したのは協力者。カルムは囮となった

  • 72425/01/06(月) 20:42:33

    ふむふむ、どうやら物理的実体はある類のアイテムのようです

    そろそろこれも掘り下げてしまいましょう

    遺物の効果

    dice1d4=2 (2)

    1解呪

    2マイナスを他人に押し付ける

    3極端に強力な呪詛

    4対アンデッド効果

  • 72525/01/06(月) 20:45:17

    どうやらこの遺物は、マイナスの効果を他人に押し付けてしまうもののようです。迷惑すぎる

    ちなみに対象となる人物/集団は

    dice1d4=2 (2)

    1完全に無作為に選ばれる

    2効果範囲内を幸福にし、そのすぐ外に最も強く不幸を押し付け、離れるほど減衰する

    3特定の手段で指定可能。指定しない場合は最も近いもの

    4遺物自身の意思で選ばれる

  • 72625/01/06(月) 20:47:15

    なるほど。イメージとしては不幸を散らすバリアーを張る感じでしょうか。飽くまで散らすだけで処理したり吸収したりしているわけではないので、範囲外の人々が被害を受けると

    この遺物は

    dice1d4=2 (2)

    1過去に大きな悲劇を招き封印中

    2使い所が難しいため、普段は休眠

    3現在進行系で効果発現中

    4壊れており機能していない

  • 72725/01/06(月) 20:49:33

    普段は使われていないようです。まあそりゃ相当範囲が広くない限りは自分の隣人とか周囲の人々に降りかかるわけだから使いにくいったらないよな

    ちなみに見た目は

    dice1d4=3 (3)

    1宝石・宝玉

    2杖

    3鏡

    4像

  • 72825/01/06(月) 20:56:56

    ♡数からすると、たぶんいま安価をとっても人がいないと思うので今回はこちらで設定しておきます

    ランセットの鏡
    百年ほど前に当時のランセット家当主が樹人との取引の結果手に入れた遺物。製作はレムランティス文明期とされるが、より魔法に近い作りをしており、それより前の可能性もある。
    首からさげられるネックレス状の手鏡であり、普段は曇っているが、効果を発現させると澄み切って光を反射する。
    毒、呪詛、病や不幸、天災といったあらゆる災いを跳ね除ける力を持つ。その範囲は使用者が設定できるが、広くすればするほど一人あたりの効果は薄くなる。この減衰は範囲面積ではなく、そこに含まれる対象者の数による。
    元来は都市ひとつを不幸から守るものであったとされ、効果はその規模に最適化されている。

  • 72925/01/06(月) 21:02:48

    いい感じに主人公たちとしては看過しておけないアイテムになりましたね
    使わせるわけにはいかないけど、かといって迷宮を放置するわけにもいかない…
    次の冒険の動機としては十分といったところでしょうか

  • 73025/01/06(月) 21:07:57

    だいたい決まりましたね。これでエルディラト連合国編はラストまで走れそう
    あとはルナの見せ場をもっと作ること、アレイオールの行動が徐々に周囲の制止が効かないものになっていっていることくらいかな

  • 73125/01/06(月) 21:16:33

    息抜き的にリューベン側の描写をちょっとだけやって本日はおしまいにしましょう

    目を開けると、そこには知らない天井があった。
    「……」
    わずかに呆然としたのち、リューベンは両目を右手で覆った。
    (まただ……慣れるもんじゃないな)
    彼はすでに半年近く使っているはずの見慣れないベッドから出ると、支度を整え、馴染のない自室を出た。
    道は覚えていないが、魔力が彼を導いてくれる。
    長い廊下を縦横に歩いた果てに、彼は飾り気のない扉の前で立ち止まった。
    軽くノックをする。
    「開いているよ」
    中から穏やかな声が聞こえてきた。リューベンは扉を開いた。
    「やあ、調子はどうだい」
    中にいたのは、長身痩躯の青年だった。彼は鉢に植えられた燐光を放つ青い花に、手にした短杖(ワンド)から水をやっていた。ゆったりした淡い青のローブを着ているが、その袖から出た腕は細く、逞しさとは正反対の印象を与える。
    「いつも通り、落ち着きません」
    リューベンがそう言うと、青年はくつくつと笑った。
    「そういう魔法がかけてあるからね……それで、我らの若き英雄も、さすがに昨夜の冒険は堪えたのかな」
    「……ええ。やはりご存知でしたか」
    「我々は何でも知っているからね」
    さも当然というように、青年は言った。

  • 73225/01/06(月) 21:26:33

    この青年は、いまリューベンがいる建物……魔法使いの城を支配する六人の魔法使いたちの1人で、ナンバー2に位置する人物だ。正確な名前は本人も覚えていないといい、「最後の魔法使い」だの「黄昏の魔法使い」だのと呼ばれている。
    そしてこの魔法使いこそ、リューベンをスカウトし、そして教育している張本人なのだ。
    「それで、どうだったね? バーバヤーガは」
    花から目をそらすことなく、黄昏の魔法使いは昨夜の夕食でも聞くかのように尋ねた。
    「強力な使い手でした。正直なぜ勝てたのか……」
    「彼女の目は妄執に曇っていたからね。何も不思議なことではない」
    リューベンは森の中で山のような生贄の頭蓋骨に囲まれていた老女を思い返していた。振り乱された白い髪に血走った目。バーバヤーガは明らかに狂っていたが、その実力は本物だった。あれで曇っていたというのだろうか。
    黄昏の魔法使いは、そこで水をやり終わったのか、手ぬぐいで杖を軽く拭くと懐に収めた。
    そして視線をリューベンにやり、言った。
    「昨日の顛末は、君から直接グリマールに話すのがいいだろう。バーバヤーガとは浅からぬ縁だからね」
    「……分かりました」
    「それが終わったら、今日の講義を始めるから中庭においで」
    黄昏の魔法使いはそう言って、話は終わったとばかりに手を振った。
    リューベンは軽く頭を下げて部屋を出て……ため息をついた。
    彼にはもう、先程まで話していた魔法使いの顔が思い出せなかった。

  • 73325/01/06(月) 21:34:34

    一柱と五者の会。そしてその拠点である、「一柱の城」。
    全世界に数十人しかいないと言われる魔法使いたちの総本山であり牙城である。
    異次元の極彩色の空に、泡のような丸い光に包まれて浮かんでいるこの城にリューベンがやってきて、すでに数年が経とうとしていた。
    聞く話では、この城での数年は地上での一ヶ月にも満たないのだという。時間的にも空間的にも隔絶されたこの場所で、魔法使いたちは情報を仕入れ、物品を取引し、技を磨いていた。
    リューベンは六本の塔のうち中央の塔、「一柱」に向かっていた。この上に全魔法使いの頂点に立つ、大魔法使いグリマールがいる。
    断面が円形のその塔へと入ると、そこは内周部分が本棚で埋め尽くされ、それらに触れるように螺旋階段が用意された、縦長の図書室となっていた。
    ここに収められた魔導書の一冊一冊が先人たちの知恵であり、強力な魔法具でもある。書物たちからただよう強力なオーラに身震いしながら、リューベンは螺旋階段の最初の段に足をかけた。
    すると、階段がひとりでに変形しだし、ヘビのようにうねってリューベンを階上へと連れていった。

  • 73425/01/06(月) 21:42:44

    一柱の部屋に扉はない。螺旋階段を登った先が、そのまま大魔法使いの部屋となっていた。
    机について、目の前の水晶玉を覗き込んでいるのは、頭の禿げた老人だった。老人はリューベンの気配に気づくと顔を上げ、分厚い丸眼鏡の奥からリューベンの姿を見た。
    「おお、よう来た」
    老人はそう言うと、椅子から立ち上がり、ゆっくりとリューベンへ近づいた。大魔法使いにのみ許された紫紺のローブを身に着けたこの老人こそ、大魔法使いグリマールその人であった。
    グリマールは、豊かな顎髭をしごき、柔和な微笑みをたたえて言った。
    「さあ、座りなさい。お茶でも飲みながら話を聞こう」
    彼が軽く指を振ると、どこからともなくティーセットが現れ、応接テーブルの上に乱雑に載せられた資料やら手紙やらを追い散らして、その上に陣取った。
    リューベンが勧められるまま腰掛けると、グリマールもまたその対面に座った。
    グリマールは何も聞かず、静かにお茶を飲み始めた。
    「その、ご存知と聴きました」
    沈黙に耐えきれずリューベンが口を開くと、グリマールは頷いた。
    「ワシリーサのことは残念じゃった。しかし、儂はこれで良かったと思っておるよ」

  • 73525/01/06(月) 21:52:39

    ワシリーサというのはバーバヤーガのことだろうとリューベンは直感した。
    グリマールはしばらくリューベンの目を見つめていたが、やがてティーカップを置いた。
    「ふむ。目は口ほどに物を言うといってな、お主の目を見ておれば、だいたいのことは分かる。お主は友人想いじゃの」
    「いえ、そんなものでは」
    「プラタとナラサがつい先程までここにおってな。是非ともお主に寛大な処置をと言っておった」
    ここまで誰ともすれ違わなかったリューベンは驚いて口を開けた。グリマールは悪戯っぽく笑う。
    「魔法使いの家は、同じ道でも出口と入口は違うものじゃ。こういうところはまだまだじゃのう」
    「……」
    「もちろん、お主を罰するつもりはない。我が弟子のしたことじゃ。儂の不徳のいたす所でもあるゆえ」
    黄昏から聞いてはいたが、実際にグリマールからそう言われ、リューベンは肩の荷が降りるのを感じた。
    「じゃが、お主はまだ未熟。ゆめゆめ忘れぬことじゃ。お主が真の意味で友人を助けたいと思うのならな」
    「……肝に銘じておきます」
    神妙な様子のリューベンに、グリマールはにっこりと笑うと言った。
    「まあ、お小言はこれで十分じゃろう。よくぞ無事に帰った、魔法使いリューベンよ。お主の成長を楽しみにしておるぞ」
    グリマールの言葉を聞いて、リューベンは窓の外から不思議な色合いの空を眺めた。
    こことは違う空の下に、彼の親友はいる。
    (今どこで何をしているのか。あいつのことだから、きっと凄いことをしているに違いない)
    リューベンは遥かな地にいる勇者に思いを馳せるのだった。

  • 73625/01/06(月) 21:54:37

    少し短いですし、そのうち一般術者と魔法使いの力の差みたいな描写をやらないといけないんですが、まあひとまずこんなもので
    本日は終了です 明日は同じ時間に始められるといいんですが、夜に予定があるので延期になるかも
    それでは

  • 737二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 08:25:40

    保守

  • 738二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 18:32:37

    このレスは削除されています

  • 73925/01/07(火) 22:37:32

    再開します…が明日が早いので今日は23時までで

  • 74025/01/07(火) 22:46:50

    カルムが宿を抜け出した気配をジナイは感じていた。
    (動いたか……となると、やっぱり城壁内に出た賊ってのは奴さんの仲間だったかな)
    ジナイは考える。もっとも賢い選択は、今すぐ仲間たちを起こして一緒に逃げることだ。
    ティルがヘマをやって捕まった場合、仲間としてアレイオールたちにも累が及びかねない。
    だが……。
    ジナイはベッドから起き出すと、アレイオールの肩を揺すった。
    「おいアレイオール、起きろ」
    「……ん、ジナイ、どうした?」
    「ティルが消えた」
    これもまた経験。ジナイはアレイオールに判断を委ねることにした。

  • 74125/01/07(火) 22:52:40

    「……そうか」
    ベッドから出たアレイオールはそう呟くなり、黙りこくった。
    (驚いている様子はない。薄々察していたか)
    ジナイがそう考えていると、アレイオールは顔を上げた。金色の目に決意がみなぎっている。
    「何をしようとしているにせよ、依頼人をお尋ね者にするわけにはいかない。追いかけよう」
    「追いついて、どうする?」
    ジナイが尋ねると、アレイオールは首を振った。
    「分からない。やむにやまれぬ事情があるのかもしれないし……だが、基本的には止めるつもりだ」
    「迷いは咄嗟の判断を遅らせるぞ」
    ジナイの顔は険しい。しかしアレイオールは譲らなかった。
    「それでも、事情はギリギリまで見極めたい」
    「……分かった。だがヤバくなる前に退けよ」
    「ああ」
    ジナイの忠告にアレイオールは頷いた。
    その後、女性陣を呼び行った二人は、特にモニタからの強い反対を受けるものの、アレイオールは取り合わず、結局四人で追うことになったのだった。

  • 74225/01/07(火) 23:05:46

    屋根の上を3つの影が疾走する。
    戦闘を走るのは、片手に弓を持ち、猫のように目を光らせて前方を観察しながら跳ぶように駆けるルナ。次に走りながら周囲を警戒しているのはジナイ。そして最後尾をアレイオールが走っている。その腕には、真っ赤にした顔を両手で隠したモニタが横抱きにされていた。
    この布陣についてモニタは重ねて猛反対したのだが、ただ1人(このパーティ基準で)身軽ではなく、屋根の上を走っていくのが無理そうだったことから、もっとも膂力のあるアレイオールに運ばれる羽目になっている。
    「ルナ、こっちで合ってるのか?」
    ジナイが少し走る速度を早め、ルナと並走して問いかけると、彼女は頷いた。
    「うん。ティルの痕跡がある」
    彼女の煌めく瞳には、確かにティルと呼ばれた男の痕跡が映し出されている。この夜闇の中で彼を追跡できるのはルナをおいて他にはいないだろう。
    「この分だと城壁までたどり着いてしまってるかもしれないな……俺たちは大丈夫として……モニタ、いざとなれば城壁の上に投げ飛ばすから、受け身の準備をしておいてくれ」
    「いっそ殺して下さい……」
    月のない暗がりの晩、3つの影は城壁に向かって屋根の上をひた走るのだった。

  • 74325/01/07(火) 23:06:55

    短いですが本日はここまでです
    明日は予定通り20時ごろに再開できると思います
    それではおやすみなさい

  • 744二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 08:08:34

    保守

  • 745二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 17:58:49

    保守

  • 746二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 20:10:40

    このレスは削除されています

  • 74725/01/08(水) 20:19:10

    再開します!
    前回は三人がティルの後を追いかけていくところでしたね

  • 748二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 20:20:09

    死の間際にどんなことを話すのか…

  • 74925/01/08(水) 20:27:51

    ラーテオンの城塞は、もともと建設されていたスピロス家の城館をランセット家が増築したもので、城壁に囲まれた優美な外観からは想像がつかないほど複雑で入り組んだ構造をしている。
    協力者から城内の見取り図を手に入れていたカルムは、城壁の東側の綻んだ部分に鈎縄をかけ、登攀していた。
    冷たい風が城壁の表面をこすり、寂しい音を立てる。カルムは下を見ないようにしながら、ゆっくりとだが着実に城壁を制覇しつつあった。

  • 75025/01/08(水) 20:59:44

    「どうだ、ルナ」
    「登っていったみたい」
    ルナが城壁を指さしながら言う。彼女の目には、ティルが壁に足をつきつつ登ったオーラの跡がはっきりと見えていた。
    「鈎縄を使ったな……さて、俺達はどうするか」
    ジナイが顎に手を当てて考える。アレイオールは言った。
    「俺が上に登って引っ張るよ」
    「どうやって登るんだ?」
    「これを使うのさ」
    アレイオールはそう言って、街で購入した安物の剣を取り出した。

  • 75125/01/08(水) 21:36:49

    すいません、仕事しながらなのでスピードが落ちてます…

    「器用なもんだな……」
    その光景を、ジナイが感心して見上げていた。
    アレイオールは、聖剣化した二本の剣を操って城壁を登っていた。手に持って壁面に突き刺すような登り方ではない。彼は僅かな時間、聖剣化した剣を前方に飛ばして壁に刺し、足場にして跳躍するとともに剣を回収して次の剣を突き刺すことを繰り返して登っていた。
    こうすることで、ごく短時間しか聖剣化に耐えられない剣の寿命を最大限に活用して壁を登ることができる。
    アレイオールが城壁のへりにしがみつくまでに、結果的に1本の剣を消費するだけで済んだ。

  • 75225/01/08(水) 21:40:57

    懸垂の要領で体を持ち上げ、壁上の様子を観察したアレイオールは、ここにいたであろう見張りが血を流してうつ伏せに倒れているのを発見した。
    「……」
    素早く周囲を見回し、勢いをつけて壁の上に跳び上がると、アレイオールは見張りに駆け寄り、首筋に手を当てた。
    脈はない。少しずらしてみると、喉笛を一文字に切り裂かれていた。
    (ティルがやったのか……)
    周囲に騒がしい様子はない。この見張りは誰にも気づかれずに死んでいったのだろう。
    呆然と見開かれたままの目をそっと閉じてやると、アレイオールは振り返って身を乗り出し、壁下の仲間に手を振った。
    眼下のジナイたちが手を振り返すのを見て、アレイオールは用意していたロープを投げ下ろした。

  • 75325/01/08(水) 21:46:13

    仲間たちを壁の上に引っ張り上げたアレイオールは、ようやく城の様子を観察する余裕を得ることができた。
    ラーテオンの城塞は、やや東西に長めの六角形の形をしている。この中には、貴族の邸宅や彼らのための公共施設が立ち並ぶちょっとした都市があるが、面積の大半を占めるのは、ランセット公爵の住居でもある城だ。
    いくつもの尖塔を持つその城は、その美しい造形からユルダ川の真珠と呼ばれることもあるが、いまは夜の闇になかば溶け込んで、亡霊のようにその白い姿を浮かび上がらせていた。
    「あそこ」
    ルナが周囲を見回し、ティルが辿ったであろうルートを割り出す。
    やはりというか、ティルはこの壁を降りて城の方へと向かったようだった。

  • 75425/01/08(水) 21:48:20

    「おい聞いたか? 城に出たさっきの賊、どうも捕まったらしいぜ」
    「本当か? じゃあこの馬鹿騒ぎも終わりだな……」
    衛兵たちが話し合っている様子を観察しつつ、アレイオールたちは身を隠して先を急いだ。
    「さっきの賊」とはティルのことか、それとも、昼間からこの街を騒がせていた者のことか。
    不安を抱えつつも、アレイオールたちは城への道をひたすらに進んだ。

  • 75525/01/08(水) 21:55:45

    その頃。
    すでに城へと辿り着いたカルムは、無感動にその威容を見上げていた。
    「ここにあるのか……”鏡”が」
    ひとり呟く彼の言葉を聞くものはいない。
    彼は城の側面にあるはずの、使用人の入口を探した。
    果たして、城の豪奢さと比べると不釣り合いな、くすんだ木目の扉が、庭の中に目立たないようにあった。
    扉には一応、鍵がかかっていたが、カルムの前では大した障害になりはしない。
    彼は慣れた手つきでピッキングを行うと、ゆっくりと扉を開き、城へと音もなく忍び入った。

  • 75625/01/08(水) 22:00:21

    城内は閑散としていた。夜ということもあるだろうが、「賊」を探すのに総出になっているのだろう。
    誰にも見つからずに目標を回収するのには失敗したが、その上では比較的マシな展開だ。
    このさい、協力者にはよい囮となってもらうしかない。
    カルムは頭の中で見取り図を開き、宝物庫へ向かう道を辿った。
    この城には、前の持ち主のときから広大な地下階が建設されていた。そいつは相当な臆病者だったようで、いざというときに隠れ住むために地下空間を作ったようなのだが、その構造はほとんど迷宮といっていい代物だった。
    (見取り図が正確ならいいが……)
    地下階へ向かう下り階段を見つけ、そこから不穏な冷気が漏れ出てくるのを感じたカルムは、冷や汗を一滴垂らした。
    もはや引き返す道もないカルムは、地下へと降りていくのだった。

  • 75725/01/08(水) 22:05:35

    「拙いな……衛兵どもが城の方に集まってきている」
    ジナイが舌打ちしつつ言った。
    彼の言う通り、賊狩りに駆り出されていた衛兵たちは、いまその仕事を終えて帰路につきつつある。
    非番のものは兵舎へ。運悪く当直のものは城や城壁へ。
    「やっと終わった」という空気を漂わせる彼らからは、緊張した様子はない。
    「ティルはあっちに行ったみたい」
    「やっぱりお城の方ですね……」
    やめておいた方がいいのでは、という視線を向けてくるモニタをアレイオールは手で制した。
    「ここまで来たんだ。先を急ごう。これだけ人手を割いているんだから、城は手薄かもしれない」
    彼の決定に逆らうものはいなかった。不満というより懸念がありそうなジナイたちの視線をあまり意識しないよう、アレイオールは努力せねばならなかった。

  • 75825/01/08(水) 22:12:09

    アレイオールたち一行は、時折鉢合わせそうになる衛兵たちに気を払いつつ、とうとう城へと辿り着いた。
    とうぜん、正門は固く閉ざされている。ルナが目を光らせ、庭の方を指さした。
    「あっち」
    仲間たちは頷き、彼女に先導されて庭へと進む。
    見れば、目立ちにくい箇所に小さな扉があった。
    ジナイが慎重に近づきドアノブを回すと、ほとんど抵抗もなくドアが開く。
    ここの鍵を開けて進んだに違いない。アレイオールたちは確信を強めながら、城の中に入った。

    城の中には、すでに衛兵たちが集まってきていた。だがどうやらよほどの大捕物に参加させられたとみえて、彼らは一様に疲れた顔をしており、注意力散漫だった。
    「どっちだ、ルナ」
    「廊下を左に行った。だんだん近づいてる」
    ルナの言葉を信じ、アレイオールたちは城の廊下を進んだ。身を隠しつつ静かに進むもどかしさにアレイオールは歯噛みしたのだった。

  • 75925/01/08(水) 22:19:56

    いくつかが罠の仕掛けになっているであろう石畳を回避しつつ、カルムは地下通路を進んでいた。もともとは秘密の脱出路として設計されたこの通路は、今は外部への接続口を埋められ、地下の奥へと進む迷路となっている。
    「クソ、ここもか……!」
    行き止まりに突き当たったカルムは、苛立ちと焦燥の声をあげた。彼の見取り図にはこの迷宮の図面もあったのだが、厄介なことに、この迷宮は一定の時間間隔でパターンに沿って変形していた。
    よく知っているものなら進むことが出来るが、侵入者にとっては非常に都合の悪い仕掛けだ。
    余計な時間がかかっていることに冷や汗をかきつつも、カルムは努めて冷静に迷宮の構造を解析しようとしていた。
    (まだだ。諦めるな。もう”鏡”は眼の前にある……)
    自身を叱咤しつつ、カルムは足早にもと来た道を引き返した。

  • 76025/01/08(水) 22:24:55

    「これは……」
    凄惨な光景にアレイオールは絶句した。
    地下への階段を降りていくと、その途中に部屋があった。地下へ出入りする人物を検査していたらしいその部屋では、まだ若い衛兵が二人、喉をかき切られて死んでいた。
    「……喉を一閃。動脈の内側を切って”血で溺れる”ようにしていやがる。鮮やかな手際というしかないな」
    ジナイが渋い顔で傷口を観察して言った。この衛兵たちは自分たちの血で喉を溢れさせて声を出すことも許されず、助けも呼べずに死んでいったのだ。
    「アレイオール、引き返すならここで決めろ。これをやったのは……ティルは殺しのプロだ。決して善人ではないぜ」

  • 76125/01/08(水) 22:27:29

    アレイオールの受けた衝撃は、ティルが人を殺したということそのものよりも、いま眼前に広がっている光景の何割かは、ティルをここまで導いた自分たち……いや、仕事を引き受けた自分にあるのではないかという思いだった。
    死んでいる衛兵はジナイよりも少し年下のように見える。
    彼らが殺されなければならないほどの理由を、果たしてティルは……自分は持ち合わせているだろうか。

  • 76225/01/08(水) 23:23:40

    「進もう、ジナイ。ティルが何者なのか確かめたい」
    アレイオールの決断に、仲間たちはそれ以上は何も言おうとしなかった。
    一行は、哀れな二人の遺体を尻目に地下深くへと下っていく。

    「待て」
    不意にジナイが警告した。その視線が床の一点を油断なく見つめている。
    「罠がある」
    そういうと、ジナイは石畳の石の一つを指さした。たしかにアレイオールがよく見ると、他の石よりも少し浮いているのが分かった。
    「どうやらここから先にも、こういうトラップがごまんとありそうだ。踏んでしまっても足を離さなければ大丈夫な場合はあるから、焦って動かないようにな」
    「分かった。ルナ、こっちで間違いないか?」
    「うん。この先。でも……行ったり来たりしたみたい」
    ルナの言葉にアレイオールは首を傾げた。
    「どういうことだ……?」
    「分からん。ここまで来て迷うような準備不足はありえないと思うが……」
    考えている時間はあまりなかった。一行はそれからすぐにティルの捜索を再開した。

  • 76325/01/08(水) 23:31:05

    この城には2つの宝物庫がある。
    一つは最も高い尖塔の上階にあるもので、金銀財宝や強力な武器など、「普通の宝物」が収められていた。
    ランセット公爵はときおり客人にこの宝物庫を見せびらかし、噂があえて流れるようにした。
    この宝物庫の本当の役割はただ一つ。地下にあるもう一つの宝物庫――そこに眠る、公爵家の真の宝を守るための囮だ。

    地下の宝物庫に収められた、ランセット家重代の秘宝。
    ランセット家の先祖が見出し、一族が公爵にまで上り詰める力を与えたその宝は、本当の名を知るものももはやいない、伝説の魔除けの鏡であった。

  • 76425/01/08(水) 23:37:55

    カルムはようやくそこに辿り着いた。
    八角形の大きな部屋。ただし床はほとんどなく、どこまで続くとも知れない奈落が黒い口を開いている。
    入口からただ一本、細い通路が部屋の中央に繋がっており、そこに置かれた台座には、首飾りの中央に飾られる形で、薄く烟った銀色の鏡がおさめられていた。

    「あれが……」
    カルムは一言発すると、つばを飲み込んだ。
    ”鏡”は今は眠っているのか、何の変哲もないように見えた。魔術に関して素人同然のカルムの感覚では、この品の真贋は量りづらかった。
    カルムは慎重に部屋を見回した。ここまで数多の罠を用意してきたランセット家が、このもっとも重要な部屋に何の仕掛けも施していないとはとても考えられなかった。
    「……進むしかなさそうだな」
    しかし、結局のところ”鏡”を手に入れるには危険を冒すほかないようだった。カルムはどんな小さな違和感も見逃さないように神経を研ぎ澄ませながら、じりじりと”鏡”の方に近づいて行った。

  • 76525/01/08(水) 23:48:46

    結局何の仕掛けもないまま……いや、何の仕掛けにも気付けないまま、カルムは”鏡”に手が届く距離まで来てしまった。
    近くで見ても、カルムにはこの鏡の何が特別なのか分からなかった。曇った鏡はぼんやりと景色を映しているが、これだけ近づいているにも関わらず、カルムの顔さえはっきり判別できなかった。

    カルムはしばらく悩んだが、やがて意を決し、”鏡”に手を伸ばした。
    手がわずかに震える。さすがのカルムも、この震えまでをも完全に制御することは難しかった。
    指先が”鏡”の縁に触れた。

    「……」

    何も起こらない。あるいは水面下で何かが進んでいるのか。
    「クソ……」
    カルムは自分の心臓が打つ音を聞いた気がした。最悪なことに、彼のよく当たる直感は、これまでで最も大きな警告を発し続けていた。
    逃げろ、今すぐに。”鏡”をおいて逃げろ。
    本能がそう叫んでいる。しかし、これを持ち帰らなければ、何のためにここまで来たのかわからない。何のためにカルムは手を汚したのか。何のために仲間は死んでいったのか。
    カルムが鏡の縁を握りしめた。そのとき、彼は曇った鏡のなかで何かが動いた気がした。
    「……?」
    目を凝らして見つめると、鏡の縁から染み出すように、黒い影が映り込んでいた。

  • 76625/01/08(水) 23:53:55

    (これは……!)
    カルムは危険を悟り、鏡を手放そうとした。だが、鏡を掴んだ手は蝋で固めたかのように動かなかった。
    「う……ま、拙いぞ!」
    思わず声を発したことにカルム自身気づいていなかった。鏡面が急速に晴れていくのから、彼は目が離せなかった。
    ぼんやりと曖昧だった映像がクリアになり、カルムの姿が映し出される。その表情が恍惚としていることに気付いた瞬間、カルムの背筋に凄まじい悪寒が走った。
    やはり罠だ。罠だった。後悔するがすでに遅い。
    鏡の中では、さきほどまで黒い影としか見えなかった何かが、その鉤爪をカルムの肩にかけつつあった。

  • 76725/01/09(木) 00:44:50

    「##$$%$$##$$##」
    黒い影が震え、言葉らしきものを吐いた。
    カルムは脂汗が頭皮を伝う嫌な感触をおぼえながら、その耳障りな音を聞いた。

    おやおや。
    侵入者とはいつぶりかねえ。
    身の程知らずの盗人が、また鏡を覗き込んだか。

    「##”!$’’&&&」

    影には顔もなければ頭もないのに、それが底意地の悪い笑みを浮かべるのがカルムには分かった。

    バカなやつだ。マヌケなやつだ。
    自分では何でも出来るつもりでいたか。
    その結果がこのザマだ。
    このオレに見つめられて身動きも取れぬ。
    ヘビに睨まれた、哀れなカエル。

    影はカルムを嘲笑した。鋭い鉤爪がカルムの頬に立てられ、つうっと血の線を引きながら皮膚がえぐられた。
    鏡の中のカルムはやはり恍惚とした表情のままだが、頬に深い傷が走り、玉の汗が浮かんでいた。
    (ああ、だめだ――)
    自分の意志が急速にしぼんでいくのをカルムは感じていた。
    そうだ、所詮俺には無理だったんだ。こんなところに来たのが間違いだった。いやもっといえば、革命運動などに身を投じたのが……冒険者になろうなどと思わなければ。
    深く闇に沈んでいくカルムの意識に、死にゆく両親と弟の顔がよぎった。

  • 76825/01/09(木) 00:45:39

    だいぶ遅くなりましたが、本日はこれで終了です
    思いのほか邪魔が入ってなかなか進みませんでした
    明日こそ頑張って進めたいですね
    それではまた20時ごろに!

  • 769二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 10:35:40

    保守

  • 770二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 20:08:11

    このレスは削除されています

  • 77125/01/09(木) 20:20:10

    では再開です

  • 77225/01/09(木) 20:29:26

    その顔を見た瞬間、闇に呑まれかけていたカルムの意識は、すんでのところで踏みとどまった。
    (まだだ……!)
    己に活を入れ、閉じかけていた目を見開く。
    「ぐ……!」
    カルムは精神力を総動員し、融けてへばりついたように”鏡”を離さない右手の指を開こうとした。
    しかし、右手はまるで自分のものではないかのように言うことを聞いてくれない。
    カルムは、こちらも動きの鈍い左手を無理矢理動かし、腰に備えていたダガーを手に取った。
    「##……」
    影が何やら話している。焦ったふうではなく、カルムの行動に興味を惹かれたようだ。
    (どうでもいい)
    こんな影にかまっている暇はないのだ。カルムはダガーを逆手に持つと、硬直して動かない右手に振り下ろした。

  • 77325/01/09(木) 20:38:38

    右手に走る激痛とともに、"鏡"を掴んでいた指が弛緩した。
    床に向かって落ちていく鏡面の中で、黒い影がふっと消えてゆく。
    かん、という高い音を立てて”鏡”が床に当たるのと、カルムがその場に崩れ落ちるのはほとんど同時だった。
    「はぁ、はぁ……」
    荒い息を付きながら、カルムは左手をついて身を起こそうとした。
    右手は深く刻まれた傷からどくどくと血を流していた。カルムは腕の内側にある腱を切っていた。それで指が曲がらなくなったわけだが、咄嗟の行動だったために重要な血管や神経も切断してしまっている。
    「早く回収しなければ……」
    幸いというべきか、"鏡"は鏡面を伏せるように落ちていた。左手で拾い、鏡面を見ないよう慎重にしまう。
    右腕の止血をしつつ立ち去ろうとした矢先、カルムの耳がいくつもの足音を感じ取った。
    「衛兵どもか。クソ、早すぎる。いや……」
    あの”鏡”を握りしめていたのは、カルムの認識ではほんのわずかな時間に過ぎなかったが、すでに記憶が曖昧だ。
    実際には相当な時間を「魅入られて」いたのだろう。

  • 77425/01/09(木) 20:45:04

    「こっち」
    ルナに先導され、罠を躱しつつアレイオールたちは進んでいた。
    「!」
    ふいにルナが何かに気づき速度を緩める。何か危険を察したと考えたアレイオールは剣を構えながら彼女に近づいた。
    「どうした?」
    「人の気配がする」
    「ティルか?」
    「ううん、たくさんいる。この先、……ティルと同じところ」
    ルナの幼さを残した顔が不快げに歪んだ。
    「それに、血の匂いがする……どうする?」
    「今更引き返さないさ。このまま行くぞ」
    アレイオールの返事を聞いたルナは、無言で頷くと再び走るスピードを上げた。

  • 77525/01/09(木) 20:55:27

    「こ、こいつ……」
    衛兵たちは目の前にいる賊のしぶとさに戦慄していた。
    「鏡の間」にある細い通路の上、口元を布で覆ったその男は、たった一人で衛兵たちを相手取っていた。
    すでに通路には物言わぬ屍となった数人の衛兵が倒れている。
    とはいえ賊の男の方も無傷とはいかなかった。右腕は使い物にならず、脇腹には半ばほどで折れた槍が突き刺さっており、左目は潰されている。
    状況は膠着していた。侵入者の予想外の強さに、安月給で死にたくない衛兵たちは尻込みしている。
    もちろん賊――カルムも、出口を衛兵たちが塞いでいるため、逃げることはできなかった。
    「くっ……!」
    「ち、近寄るな!」
    前に出ようと一歩踏み出すカルムに衛兵たちが槍の穂先を突きつけた。
    「貴様はそこから動くんじゃない! そ、その出血だ……黙ってみていれば勝手に死ぬんだからな」
    隊長格と思わしい年嵩の衛兵がそう叫ぶ。
    (悔しいがその通りだ。俺が……こんなところで)
    カルムは喉に流れ込む血に噎せつつ、敵を睨みつけた。

  • 77625/01/09(木) 21:02:08

    そのとき、不意に衛兵の一人が姿勢を崩した。
    自分自身でも何が起きたか分かっていない状態で動揺していたその衛兵は、自分の膝を裏側から矢が貫いているのを見て悲鳴を上げる。
    「ぎゃ、ぎゃああああああ!」
    「矢!?」
    慌てて振り向いた衛兵が見たのは、二射目を放つ小柄な少女の姿だった。ほぼ同時に膝に耐え難い痛みが走り、その場に倒れ伏す。
    「くそ、仲間がいたか!」
    焦りに声を上ずらせた衛兵は、今更ながら自分たちが挟み打ちを受ける格好になっていることに気づいて愕然とした。
    満身創痍だが手練れの賊と、新たな侵入者。どちらに攻撃すべきか一瞬迷ったのが命取りとなった。
    「悪いが寝ていてくれ」
    すぐそばから聞こえた声とともに、顎に衝撃が走り、衛兵は意識を刈り取られた。

  • 77725/01/09(木) 21:21:30

    「まさか……追いかけてくるとはな」
    敵が無力化されたことで気が抜けたのか、これまで何とか立っていたティルは膝をついた。
    モニタが負傷の深刻さに表情を固くしながら近づくが、ティルは左手を振って拒んだ。
    「何を……!?」
    「治療をしている時間はない。これを……持ち出して欲しい」
    ティルは震える手で腰につけていたポーチを取り外し、モニタに差し出した。
    「中身は聞いてくれるな。……レタラ村という村の跡地に持っていけ……ザントにある」
    「事情も説明せず、俺達に押し付けようってのか?」
    近づいてきたアレイオールが厳しい顔で問いかけるが、ティルは笑ってみせた。
    「その通りだ。俺の命などどうでもいい。これを届けなければ……」
    「ふざけるな。そんなことのために」
    ティルはきっとアレイオールを睨みつけると、左腕を無理矢理動かしてアレイオールの胸ぐらをつかんだ。
    「いいか、こいつを届けなければ、子供が死ぬ。一人や二人じゃない。何百人、何千人とだ。俺が信用できなければ……鏡なぞいつでも割ってしまえばいい。だから、頼む。後生だ。これを……」
    ティルは血を吐き、自分の血に噎せこむ。
    すでに治癒術を施していたモニタが悲しげに目を伏せた。
    「お腹の傷は腸に達しています。すぐに治せるようなものでは……」
    ティルの手が離れたアレイオールは、徐々に白くなってゆく彼の顔をじっと見つめた。

  • 77825/01/09(木) 21:38:29

    「分かった。その話が本当なら言う通りにしてやる」
    アレイオールがそう言うと、ティルは安堵の息をついた。
    「さすがは勇者だな……よし……じゃあ、行け……衛兵が来るぞ」
    アレイオールは虫の息のティルに背を向けた。
    「俺はこの国に来てからろくな事がなかった。お前だってそうだ。……死なずに済む道もあっただろうに」
    その表情はティルの方からは窺えなかった。
    「最後に聞かせろ。本当の名前は何ていうんだ?」
    「……カルム」
    アレイオールはその名を一度、口の中で繰り返した。
    少しだけ振り返り、横目でティルと名乗っていた男を見る。
    「似合わない名前だな。やっぱりお前はティルだ。……あばよ」

  • 77925/01/09(木) 21:40:43

    アレイオールは仲間たちとともに去っていった。
    一人残されたカルムは、崩折れながら笑う。
    「似合わんか……そうだな、随分と……」
    言い切るだけの力はすでに残されていなかった。
    深い息をひとつ吐いて、2つの名を持つ青年は動かなくなった。

  • 78025/01/09(木) 21:42:38

    というわけで最後駆け足気味でしたが、エルディラト王国編は終了です。
    次がいよいよ呪層童窟編ですね……アレイオールたちがどのようにして迷宮に挑むようになっていくのかから、丁寧に描写して行こうと思います。
    それでは本日は終了です。また明日!

  • 781二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 21:45:12

    乙です
    次回からザントの詳しい内情が明かされる…のか?

  • 782二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 08:27:57

    保守

  • 783二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 19:56:40

  • 78425/01/10(金) 21:28:44

    戻りました。遅くなりましたが再開します

  • 78525/01/10(金) 21:38:47

    さてザント=ヴェルニフルの話(というよりメインは呪層童窟)がいよいよ始まるんですが、ただダンジョンに挑むだけでは今ひとつドラマがないので、せっかくですし革命の話と絡ませようと思います
    まあガッツリ革命に関わるというのはアレなので背景にというくらいですけれども

  • 78625/01/10(金) 21:50:01

    一から革命をやってると話がまとまらないので時間的に一部だけオーバーラップする感じになります

    dice1d4=2 (2)

    1地方で群衆の蜂起~首都市民の武装

    2首都暴動~全土での民衆蜂起

    3帝国貴族の追放・亡命~革命政府の発足

    4共和国の成立~恐怖政治の始まり

  • 78725/01/10(金) 21:58:13

    首都で武装した市民たちが蜂起し政府の重要施設や要塞に攻撃を仕掛け、政府が事態を収拾できない間に、この事件をきっかけに恐慌を起こした民衆が暴動を起こし帝国全土がパニックの渦に巻き込まれていく部分ですね
    このあたりは調べながらになるのでプロットを組むにも時間かかりますね……

  • 78825/01/10(金) 22:00:18

    民衆の間にパニックが広がっていくのは、まあ基本的に誤報やデマありきなので、ここに呪層童窟を絡ませましょう
    呪いや毒、生贄に関する根拠のない噂が混乱に乗じて拡がり、身の危険を感じた市民たちはやられる前にやれの精神で領主たちを襲撃し、ついでに略奪を行うわけです

  • 78925/01/10(金) 22:10:09

    カルムの遺品を持ってザントにやってきたアレイオールたちは、共和国宣言機構と接触し遺品を渡そうとするわけですが、首都での蜂起を控えた組織は呪装洞窟よりも革命の遂行に力を入れていておざなりな対応。
    そんななかついに革命が勃発し、やがて全土が混乱に陥っていく中、民衆にも多くの被害が出ていることを懸念したアレイオールはなるべく急いで呪層童窟を攻略しようとして……という感じですね

  • 79025/01/10(金) 22:27:36

    んー革命軍や王党派のキャラ募集をしたいですが人が集まらないのが目に見えているので、どうしようかな…

  • 79125/01/10(金) 22:33:02

    こっちで適当に設定するしかないか
    まあ腹案は固めておいて、一応募集してこなさそうならそれを採用という感じで行きます

  • 79225/01/10(金) 22:41:21

    あとは具体的な話運びの順番ですね
    1ザント到着 2地方の見聞・共和国宣言機構との接触 3首都で事件勃発
    4野火のように広がる暴動と被害の描写 5呪層童窟へ 6迷宮攻略 7パーティ全滅・勇者覚醒
    みたいな感じかな…

  • 79325/01/10(金) 22:43:18

    ”鏡”を使ったら散らされた呪詛が各地に飛び火してかえって混乱が大きくなるのとかも焦りを誘っていいですね
    良かれと思ってしたことがきっかけでますます国が荒れるんだからそりゃ必死になる
    仲間たちが迂闊な遺物の使用を止めるくだりがあればますますよさそう

  • 79425/01/10(金) 22:44:11

    ここまでの設定が固まりすぎていてほぼダイスを振る余地がありませんでしたが、プロットはこんなものでいいと思います。
    というわけで本日はここまで。
    明日から本格的に描写していきます

  • 795二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 08:39:23

    保守

  • 796二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 18:31:20

    ほしゅえもん

  • 79725/01/12(日) 00:37:12

    まさかの今から再開でいきますよ!
    ザントの詳しい描写からですね

  • 79825/01/12(日) 00:41:27

    まずは前回最終話からの展開をあらすじで

    ティルと名乗る冒険者の男から、エルディラト連合国はランセット領までの護衛任務を引き受けたアレイオール一行。
    道中でさまざまな経験をしつつも、アレイオールの心は晴れないままだった。
    ようやくランセット領へと辿り着いたアレイオールたちだったが、ティルは彼らに何も告げず失踪。
    実は彼は、とある組織の密命を受けたものであり、ランセット領に隠された遺物を盗み出すことが目的だった。
    アレイオールたちを隠れ蓑にしていたティルだったが、遺物を手にしてまもなく死を迎える。
    彼の最後の頼みとして遺物を届けるよう言われたアレイオールは、悩みつつもその真意を探るべく、東の大国、ザント=ヴェルニフルに向かうのであった。

  • 79925/01/12(日) 00:47:34

    ザント=ヴェルニフル。古くから続く帝国で、皇帝を頂点とした封建貴族たちが支配体制をしく国家である。
    二代ほど前の皇帝は有能で強力であり、貨幣経済を推進して農耕経済を基盤とする地方貴族の勢力を削ぎ、皇帝と中央政府に極端な権力を集中する絶対主義を確立した。
    しかし、現在の皇帝、第27代皇帝エレメイオス16世は善良ではあったが弱体であって巨大な権力を統御できず、宰相や皇妃一派の専横を許し、国政は乱れていた。
    折しも、元来温暖で湿潤な気候であったザントは、例外的な干ばつに襲われており、全土で重大な飢饉が発生していたこともあって、民衆は不満を抱き、地方では散発的な暴動が生じ、政治経済の中心である帝都にも不穏な空気が漂いつつあった……。

  • 800二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 00:49:00

    おお、たすかる

  • 80125/01/12(日) 00:54:47

    ゴドルダルキアに一度戻ったアレイオール一行は、ギルドの宿舎で準備を整えると、休息もそこそこにザント=ヴェルニフルへの旅立ちを決め、ギルドに相談した。
    今回、彼らは依頼を受けているわけではない。体裁としては個人的な旅行ということになるのだが、冒険者ギルドとしても、近年情勢が不安定化しているザント=ヴェルニフルの内情を知りたいという意図があり、ギルドからの入国申請が下りることになったのである。
    「聖領を通っていきましょう」
    モニタはそう言った。聖領というのはデアム・カエリ教団領のことで、信心深いものはこの地をそう呼ぶ。
    教団は遺物の管理に厳しいためアレイオールは難色を示したが、あえて教団に伝えないという条件をモニタが呑んだことで相談はまとまり、一行は最短のルートで帝国領へと向かうことになった。

  • 80225/01/12(日) 01:04:22

    デアム・カエリ教団領でもイベントがいくつか起きる可能性がありますがここはスキップで。
    なんか外伝とかで触れられるやつだと思ってください。劇場版的な一話完結スタイルとかで。

    山道を抜けると、眼下に広大な森林が拡がった。
    「これが……ザントか!」
    アレイオールの声が知らず弾む。
    森林には河川がいくつもの分岐を作って流れていた。その向こうには穀倉地帯が拡がっており、規模はさほどではないが城館を中心とした都市もあるようだった。
    それはこれまでにアレイオールが見てきた、比較的涼しい国々とはまた違った印象を与えるものだった。

  • 80325/01/12(日) 01:18:55

    アレイオールたちは森林のなかで焚き火を囲み、寝袋にくるまっていた。
    木々の合間からのぞく空には無数の星々がまたたき、薪の爆ぜる音が一行の耳を安らがせる。
    見張りのルナが文字通り目を光らせて周囲を観察するなか、アレイオールはなかなか寝付けずにいた。
    (胸騒ぎがする)
    何がいけないのか自分でもわからないが、この国に踏み入れてからというもの、アレイオールの心は落ち着かなかった。
    「……」
    いつまで経っても眠れず、仕方なく身を起こす。明日に響くかもしれないがどうしようもなかった。
    「ルナ、見張り代わるよ」
    「……眠れないの?」
    ルナが相変わらずの無表情のまま首を傾げた。
    「ああ。……新しい国に来て興奮してるのかも」
    「……」
    ルナは無言でアレイオールを見つめた。アレイオールはなんとなく居心地が悪くなり、目を逸らした。
    「アレイオール、こわい?」
    「いや、そういうわけでは……」
    虚を突かれ、アレイオールは口ごもった。
    (怖い? 俺が何かを怖がっている?)
    そんなことは到底、考えられるはずもないことだった。これまでに一度も負けたことのない彼に限っては。

  • 80425/01/12(日) 01:24:12

    「ん」
    「……なにをしてる?」
    すっと両手を広げたルナに、なんとなく嫌な予感がしてアレイオールが尋ねると彼女は答えた。
    「ぎゅってしてあげる。こわい夢をみた時は、いっつもモニタにしてもらう」
    「いやいい」
    一瞬、年端もいかない女の子に抱きしめられて慰められる自分の姿を想像し、アレイオールは反射的に断った。
    「そう? エンリョしなくていいのに」
    少女はあっさりと手を下ろした。アレイオールには、ルナの顔になんだか不満げな色が浮かんでいる気がした。
    「……まあとにかく、ここからの見張りは俺がやるから、ルナは寝てていいぞ」
    「ううん、わたしもやるよ。アレイオール、にぶいから」
    「お前な……」
    アレイオールとルナは、二人で見張りをしながら暫くのあいだ語らった。
    東の空が白んでくるまで、静かなやり取りは続いたのだった。

  • 80525/01/12(日) 01:33:37

    一行は翌日の昼には森を抜け、低地に入った。穀倉地帯はもう少し先ではあったが、ここにも小規模な集落が散在していた。
    「……みんな、暗い顔だな」
    いくつかの集落を横切ってアレイオールが抱いた感想がそれだった。
    理由は明らかだった。元来は沼沢地であったのであろう場所がそこかしこで干上がり、泥がひび割れて固まっていた。
    痩せた集落の人々は顔を伏せて歩き、よそ者のアレイオールたちを用心深い目で観察していた。なお悪いことに、集落には略奪を受けた痕跡や、飢えてか病でかは不明な遺体が転がっていることも珍しくなかった。
    「噂以上だな、こりゃあ……」
    ジナイがうめいた。ザント=ヴェルニフルが全土で干ばつに襲われていることは国外でも噂になっていたが、実際にこうして目にすると、事態は想像以上に深刻なようだった。

  • 80625/01/12(日) 01:46:58

    「アレイオール様」
    後方を歩いていたモニタが小走りで近づいてきて、アレイオールに耳打ちをした。
    彼女が指差す方をアレイオールが見ると、まだ息のあるらしい住人がひとり倒れている。
    アレイオールたちが駆け寄ると、住人は朦朧としているようで、まともに話せる状態ではなかった。
    「これは……すぐに治療します」
    モニタが住人の様子を観察し息を呑む。彼女は杖を住人のうえにかざすと、治癒術のため集中し始めた。
    その様子を横目に、仲間たちは相談を始めた。
    「酷い有様だな。この分だとこの先も大変なことになっているかも」
    「怪我人や病人もいくらでもいるだろうからな……この調子で治療し続けるわけにはいかんぞ」
    「みんなこわがってるみたい……イヤな空気が流れてるね」
    ルナがそういうのに、アレイオールたちは頷いた。彼女ほど特殊な目を持っていなくても、何となく不吉で、不浄な空気が流れていることは彼らにも分かった。

  • 80725/01/12(日) 01:51:11

    「これは瘴気だと思います」
    治療が一段落したのか、モニタが話に加わった。
    「どこかに寝かせてあげたいですね。でも、わたしたちの寝具は使わないほうがいいでしょう。本人の家が分かればいいのですが……」
    モニタは痛ましげに治療を受けていた住人を見つめた。すると、少し離れた民家から、こちらを伺っていたらしい住人が、恐る恐るといった様子で近づいてくる。もう老境に差し掛かる男性だ。
    「あなたは?」
    アレイオールが尋ねると、その住人は怯えたように震えたが、答えた。
    「その男の隣に住んでおる。そやつの家ならわしが分かる。案内すればよいか?」
    「ええ、そうしてもらえると助かります」
    「どうやら本当に神官さんのようだの。……ついてきてくれい」

  • 80825/01/12(日) 01:58:49

    男の家にまで案内すると、老人は礼を言われるのも困るとばかりに、足早に去っていった。
    「なんだありゃ……」
    「やっぱりこわがってるね」
    「ここまで案内してくれただけでも善い方だと思いますよ。さあ、安全に休める場所だといいのですが」
    アレイオールたちは男をみすぼらしい家の中に運ぶと、彼のものであろう古びたベッドに寝かせた。
    男は一人暮らしなのか、家には他の住人が生活していた気配はない。
    安らかな寝息を立て始めた男を尻目に、一行は話し合いを続けた。
    「それでその、瘴気というのは?」
    「呪詛と毒が一体になった概念です。特殊な状況でのみ見られる、珍しいものですね」
    「ただ飢饉になってるってわけでもなさそうだな」
    モニタの説明を受けて、ジナイがうーむと唸った。魔術だの呪いだのについては門外漢な彼にとっては、どうにも仕様のない話だ。
    「このイヤな空気のこと?」
    「どうでしょう……わたしには見えませんが、ルナちゃんが感じているのならそうかもしれません」
    ルナが尋ねるが、モニタの答えは曖昧だった。知識はあっても、呪詛や毒は感じ取れるような類のものでは本来ない。
    「どちらにしてもあまり長居はしないほうがよいでしょう。このあたりは低地で、水や空気が淀んでいるのもあまり良くないです」
    「もう少しマシな場所もあるかもしれないってことだな」
    アレイオールが確認すると、モニタは頷いた。

  • 80925/01/12(日) 02:08:18

    「う……」
    しばらくすると、ベッドに寝かされていた男は目を覚ました。彼はぼんやりと周囲を見回すと、のそりと上体を起こし、苦痛の呻きをあげて頭を押さえた。
    「いってえ……」
    「大丈夫ですか?」
    モニタがベッドのそばに寄り、優しく問いかけると、男は目を瞬いた。
    「ここは、俺の家か……? アンタは……?」
    「モニタといいます。正教の神官です」
    「神官様……」
    男はまだぼんやりしており、事態を飲み込めていない様子だった。
    「焦らなくて大丈夫です。お名前は分かりますか?」
    「あ、ああ……パウルってんだ。アンタが助けてくれたんだな」
    パウルと名乗った男は礼を言った。

    しばらくして、モニタから渡された薬湯をすすりながら、パウルはアレイオールたちに事情を話していた。
    「一月くらい前だったかな……」
    パウルは思い出しつつ語った。ここ数年、ザント=ヴェルニフルでは各地でひどい干ばつが起きるようになり、今年も日照りが続いて水場が干上がり、不作だった。
    食うにも困る状況になった集落は領主に助けを求めたが、領主は助けるどころか住民に重税を課し、生活は苦しくなる一方だったのだという。
    悪いことは続くもので、ただでさえ厳しい状況のなか、原因のわからない疫病までもが流行し始め、集落はほとんど壊滅状態に陥ってしまった。

  • 81025/01/12(日) 02:15:56

    そして一ヶ月前、食い詰めた集落はとうとう暴徒と化した。ただし襲う相手は私兵で守りを固めた領主ではなく、同じ苦しみを味わっている別の集落だった。
    この争いで何人もの住民が命を落とし、ただでさえ最悪だった集落の空気は地獄のそれへとなった。人々はもはや生きる希望をなくし、部屋に籠もって鬱々と死を待つ日々になっていたのだという。
    「ところがな、この疫病については、どうも原因が分かっているらしいんだよ」
    パウルはそう言った。これは他ならぬ領主から伝えられたことだった。
    曰く、疫病の正体は呪いであり、これはレタラの地から湧き出るもので、子どもの生贄を捧げない限りは続くのだという。
    領主は暴動を起こした集落から、何人かの子どもを生贄として捧げるよう命じた。当然、指定された集落は激怒したが、暴動に対する罰という大義名分があり、さらに襲われた他の集落は彼らに冷淡な態度を取ったため、生贄は正当化されることになった。
    「実際、マシになったんだよ。干ばつはどうにもならなかったけど、疫病の方はね。でもしばらくするとまた流行りだすから、また生贄を捧げなくちゃいけない」
    苦渋ではあったが、集落に選択の余地はなかった。彼らは生贄を捧げ続け、どの集落が生贄を出すべきか定める領主に逆らえないようになっていったのだという。

  • 811二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 02:19:33

    予想以上に革命フラグが積み上がっていた…

  • 81225/01/12(日) 02:21:27

    「これはアンタらだから話すんだが……俺は貴族どもが呪詛を流してるんじゃないかって思ってる」
    そう語るパウルの目は暗い。声音には、深い恨みと憎しみがこもっていた。
    「子どもを生贄に、か……」
    アレイオールは本当の名前をカラムといった、ティルの言葉を思い出していた。
    ”こいつを届けなければ、子供が死ぬ。一人や二人じゃない。何百人、何千人とだ”
    それに、「レタラの地」と、パウルは確かにそう言った。ティルが言ってた村の名と同じだ。
    「アンタらも、早くこんなところは離れた方が良い。こうして忠告することのほかは、何の礼も出来ないが……」
    「いや、そうでもないぜ」
    アレイオールが申し訳無さそうにうなだれるパウルに言った。
    「そのレタラの地ってのは、どこにあるか分かるかい?」

  • 81325/01/12(日) 02:31:19

    レタラ。かつてこの地には小さな村があった。
    しかし現在、ザント=ヴェルニフル地理院の発行する地図に、村の名はない。
    50年前にこの村で見つかった、とある「穴」と、そこから滲み出す災いによって滅んでしまったからである。
    だが、村を地図から消し去っても、災いは消えることなく人々を苦しめ続けている。
    人々はこの呪われた地を忌み嫌い、今では近づくものもいない。レタラの廃村だけが、寂しく残っているのだという。
    「本当に行く気かい?」
    「ああ。呪いの正体も気になるしな」
    パウルがアレイオールたちを見つめる目つきは、狂人を見るときのそれであった。
    「アンタらは命の恩人だ。危ないことはして欲しくない。この呪いだって、危ないところに行かなくても、もう少しで何とかなるかも知れない」
    「それは……生贄を捧げるということですか?」
    「いや、そうじゃないんだが……」
    「呪いを断つ方法があると?」
    モニタに尋ねられ、パウルは歯切れ悪く言った。何かを察したらしいジナイが話を遮った。
    「まあとにかく試してみたいってことだ。あまり外部の人間には言いたくないこともあるだろう」
    「あ、ああ。すまない……」
    パウルは心から悪いと思っている様子だった。ジナイに目で制され、モニタは引き下がった。
    「さて、場所も教えてもらったことだし、そろそろ行かないか」
    ジナイにそう言われ、アレイオールたちは頷いた。

  • 81425/01/12(日) 02:39:36

    「連中、領主を襲う気だな」
    集落から離れ、荒れた街道を歩きながら、ぽつりとジナイが言った。
    「ええ!? 自殺行為ですよ!?」
    「それでも連中からしたら、他に手はないんだろう」
    驚くモニタにジナイは肩をすくめた。アレイオールが呆れたように言う。
    「なんで言わなかった」
    「そりゃお前、確定しちまったら連中の一揆に協力するか、逆に領主に付くか迫られる羽目になるぜ」
    「理由は……ああ、呪いの原因か」
    「そう。個人的な意見みたいな言い方だったが、ありゃ、集落の連中の共通見解だぜ」
    ”貴族どもが呪詛を流している”。パウルはそう言っていた。
    「しかし、これだけの呪いを人為的に流すのは無理ですよ。その……それほど大きな貴族ではないでしょうし」
    そのへんは俺には分からんが……とジナイは言葉を濁した。
    「いずれにしても、巻き込まれない方がいいと思う。俺達は暴動に参加しに来たわけじゃないだろう?」
    「ああ……」
    アレイオールは頷いたが、複雑な表情を浮かべていた。彼は何かを振り払うように髪をかきむしった。
    「今は仕方ない。この呪いが何とかなれば暴動は避けられるだろうし、急ごう」

  • 81525/01/12(日) 02:43:46

    そこそこ進みましたね、今回は以上です
    次回はレタラ村跡到着~共和国宣言機構との接触を描きますよ
    それでは、また明日……いえ普通にもう今日ですね。よろしくお願いします

  • 816二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 11:45:31

    おつおつ

  • 817二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 20:13:45

    待機?

  • 81825/01/12(日) 21:35:31

    再開します
    今回はレタラ村についたあたりからですね

  • 81925/01/12(日) 21:53:50

    何回やっても寂れた村が出力できなかった…

    パウルの言われたとおりに進むと、果たして、レタラ村らしき場所にたどり着いた。
    村への道は全く手入れがされておらず、草が伸び放題で、周辺はほとんど原野の様相を呈していたが、村に入ると、一転して自然の旺盛な生命力は鳴りを潜め、不浄で気の重くなるような空気が漂う。
    随分前に打ち捨てられたという割に、レタラ村は不自然なほどにその原型をとどめていた。

  • 82025/01/12(日) 22:00:27

    「なんて場所だ……ここが呪詛の発生源だというのも頷けるな」
    アレイオールが顔をしかめながらそう言った。かつてレタラ村だった場所は静まり返っていて、彼の言葉はいやに大きく響いた。
    「奴の話だと、ここに例のものを持ってくればいいんだったな?」
    ああ、とアレイオールは頷いた。ティルが命がけでランセット公の城から盗み出した、曇った鏡。使い道はいまだに分かっていないが、この呪詛への対策なのではないかという気がアレイオールにはしていた。
    「……来てみただけではダメらしい。ルナ、呪詛の源は分かるか?」
    「たぶん。このモヤみたいなのだと思う」
    アレイオールたちはルナに案内され、村の大通りであったであろう、幅の広い道を突っ切っていった。彼女は迷いなく、村の背後にある丘へと向かっていた。

  • 82125/01/12(日) 22:07:23

    やがて一行は、丘の中腹にぽっかりと口を開けた、小さな洞窟へとたどり着いた。
    「ここから出てる」
    ルナはそう言うなり、不快そうに洞窟から目を背けた。
    アレイオールが耳を澄ませると、洞窟の奥からはごうごうと風の鳴る音が聞こえており、その中には深い闇が続いていて、どの程度の深さなのか知れなかった。
    アレイオールたちは互いに顔を見合わせた。
    「……入ってみるしかないんじゃないか?」
    「俺は反対だぜ。どうにもヤバい予感がしやがる」
    「わたしも。せめてもう少し情報を集めてからでも遅くないと思います」
    「……入りたくない」
    仲間たち全員の反対に遭って、さすがにアレイオールも閉口した。どうしたものかと考えていると、ふいにルナが弾かれたように振り返った。
    「だれか来る」
    一行に緊張が走った。アレイオールたちは各々に武器をとり、近づいてくるものを待ち構えた。

  • 822二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:09:08

    ついにここまで来たわね

  • 82325/01/12(日) 22:21:18

    「こんなところに何の用だ?」
    現れたのは、白い髪に赤い瞳を持った少年だった。年齢に似つかわしくない険しい顔をして、全身を白いマントで覆っている。
    アレイオールたちを見る目は、友好的なものとは言いがたかった。敵意に限りなく近いが……殺意があるわけではない。少年はアレイオールに近づくと、その姿を無遠慮に眺め始めた。
    「冒険者だね」
    少年はそれだけ言うと、興味をなくしたように引き返そうとした。
    慌ててアレイオールが呼び止める。
    「ちょっと待ってくれ」
    「……何?」
    一応は立ち止まるが、軽く首を傾けただけで振り返ろうとせず、少年は問うた。
    「君はここのことを何か知っているんじゃないか?」
    「知っているけど、だから何?」
    「ぜひ教えて欲しい。俺達は呪いを解きに来たんだ……これを使って」
    アレイオールは鏡を取り出し、少年に向けた。ちょうど、鏡面が少年を向いている格好だ。
    少年は軽く首を上げるように振り返った。
    「ふうん……じゃ、教えてあげるよ」
    目が細められ、赤い瞳がきらりと光る。なぜかアレイオールの背筋に、本能的な悪寒が走った。
    「それは魔除けの鏡だ。適切な呪文を唱えれば発動し、呪いを散らせるだろうね」
    「そうなのか、ありが……」
    「ついでに呪文も教えてあげるよ」
    一瞬、少年が笑った気がした。アレイオールは思わず身構えたが、次に見た少年の顔に笑みは浮かんでいなかった。
    薄い唇が呪文を紡ぐ。
    「じゃあね」
    用は済んだとばかりに少年は歩き去った。アレイオールが呼び止めても、今度は振り向かなかった。

    もし、鏡が彼の方を向いていた時に、アレイオールたちの誰かが少年と同じ側に立っていたら。
    その鏡面に、白く赤い瞳の竜がいることに気づいていただろう。

  • 82425/01/12(日) 22:27:13

    アレイオールたちは洞窟の入口に”鏡”を置いて目配せしあった。
    「あの少年、信用して大丈夫なのか?」
    「邪悪な気配は感じませんでしたが……あまり歓迎してくれている様子でもなかったですね」
    ジナイとモニタは懸念を口にした。アレイオールがルナに視線を向けると、彼女は首を傾げる。
    「ヘンな人だったとは、思う」
    「ここまで来て、他に手がかりもない。やってみてもし何かの罠だったら、俺が鏡を割ってしまうよ」
    「ちょっと危ない橋を渡りすぎじゃないか?」
    「ああ。だからみんなは少し離れていてくれ」
    「そういう問題じゃないですよ……」
    まただ。
    アレイオールは内心で歯噛みしていた。
    ここ最近、こうして仲間たちと意見が衝突することが増えてきている。
    アレイオールにしてみれば、冒険者たるもの、多少の危険はつきものなのだが。

  • 82525/01/12(日) 22:32:34

    メインディッシュが近づいてきてますがここではまだ突入しません。もう少しだけ下地が要りますのでご容赦下さい…

    結局、アレイオールがやや強引に押し切って、一行は”鏡”を使ってみることになった。
    覚えた呪文をアレイオールが唱えると、曇っていた鏡面がみるみると澄み切っていく。
    パーティが固唾をのんで見つめるなか、アレイオールが詠唱を終えた。

    四人は、さっと見えない何かが”鏡”から放たれ、体を通り抜けていくのを感じた。
    同時に、重苦しく沈んでいた気分が、爽やかに晴れていく。
    振り返れば、地を走るように、白い光の波が素早く進んでいくのが見えた。同時に、レタラ村に漂っていた陰鬱な空気が追い散らされて消えてゆく。
    アレイオールたちは思わず歓声を上げた。ほんの僅かな時間の後には、そこには廃村ではあるけれど、特に他と変わったところはない場所が広がっていたのである。

  • 82625/01/12(日) 22:36:35

    レタラ村を浄化した一行は、意気揚々とその場を後にした。”鏡”は動かしてはまずいと考え、見つからないよう、洞窟の入口近くに埋めておいたが、埋めても特に効果に問題はないようだった。
    集落に帰ると、そこもまた、来たときとは見違えるほどよい状態になっていた。倒れていた人々はやつれつつも晴れやかな顔で外に出て、陽光を浴びていた。パウルはアレイオールたちを見つけると喜んで駆け寄り、一体どんな魔法を使ったのかと嬉しそうに尋ねた。
    集落の人々は、わずかな蓄えから捻出して、アレイオールたちを歓迎してくれた。やや気を遣いつつも歓待を受けた一行は、久方ぶりに安らかな寝床を得ることが出来たのだった。

  • 82725/01/12(日) 23:24:48

    呪層童窟の呪いの影響が消えたという報は、まもなく帝国全土に伝わった。あらゆる人々がこのことを喜び、当然この知らせは、帝都にも伝わっていた。

    すでに夜の帳が下りた帝都の裏路地を、顔をフードで隠した男が小走りに進んでいる。
    男は、とても客が入っていると思えないほどひっそりと建っている酒場にやってくると、さっと周囲に視線をやってから、店の中に入っていった。
    店の中には数人の先客がいた。彼らは一様に、入ってきた男をちらりと眺めると、すぐに視線を戻した。
    男は客たちには一切取り合わず、酒場の店主に一言も告げずにカウンターに入ると、そのまま店の奥へと進んでいく。
    行く先は食料庫。男はその一角を、軽く踏み鳴らした。
    するとしばらくして、床の一部がスライドし、下り階段が現れる。男は最後にもう一度周囲に注意を払ってから、階段を降りていった。

  • 82825/01/12(日) 23:39:20

    店の地下にはいくつもの通路と部屋があった。
    男は何人かの知人とすれ違いながら、真っ直ぐに、最も奥の部屋――彼らの指導者が使っている執務室へと足を進めた。
    ドアの前までやってきて、フードを取る。いかにも風采の上がらない、没個性な顔が現れた。
    男がドアを軽くノックすると、「入れ」と声があった。

    「まずはご苦労」
    その人物は、執務室で机についていた。何やら書類仕事をしていたようだ。
    いつもの通り、その顔は部屋の闇に紛れてよく見えない。
    労りの言葉を受け、男は静かに頭を下げる。
    「では報告を聞こうか。呪層童窟はどうだった?」
    「噂の通り、瘴気が消えていました。理由も分かりました。例の”鏡”です」
    「ほう。カルムは失敗したと思っていたが、そうでもなかったということか」
    「奴からのメッセージはありませんでしたが」
    影の人物は口にくわえていたパイプを手に取り、煙を吐きながら考える素振りをした。
    「となると、護衛の方かな。ずいぶん親切な護衛もいたものだ」
    「……よろしいのですか? すでに計画はカルムが失敗したことが前提となっていて……」
    「いや、それは心配ない」
    影の人物はそう言って笑った。男の無知な発言に、失笑したという風だった。
    「その使い方では、むしろ好都合になるだろう。宣伝部隊の文面に一つ二つ書き加えるだけだ」
    男は黙って、影の人物の言葉の続きを待った。やはりこの人は、俺が想像もつかないほど多くのことを知っている。俺はただ従っていればいい。そう確信できたからだ。
    「予定通り準備を進めよう。実に楽しみだな……」
    影の人物は、押し殺したような含み笑いを漏らした。

  • 82925/01/12(日) 23:46:48

    呪層童窟の呪いが消失したというニュースは、恐らくザント=ヴェルニフルの宮廷にとっても久方ぶりとなる朗報だった。
    守旧派の王妃たちや大貴族と、権利を求める市民たちの板挟みになっていた皇帝と彼の数少ない忠臣たちは、ようやっと民衆の怒りが収まる気配を察し、安堵の息をついた。
    厳しい干ばつによる不作と経済危機は変わらず続いているが、国家を蝕む病とでもいうべき迷宮が影響力を失ったことで、少しだけ希望が見えてきた気がしていたのだ。

    大きな間違いであった。
    呪いが消えたという知らせがあって一月もしないうちに、以前よりも遥かに広大な範囲に呪詛と毒とが蔓延したのである。
    それは以前ほど強力なものではなかったが、体の弱い者を死に至らしめるには十分で、これまでは「安全圏」だとされていた地域に住んでいた人々は、見るも容易くパニックへと陥っていった。
    これまではレタラ村を中心とする局所的な災害に過ぎなかった呪層童窟の呪いは、ここにきて帝国全土に害を及ぼすものとなっていったのである。

  • 83025/01/12(日) 23:52:12

    「生贄を捧げれば、呪層童窟の影響は広がらない」政府が事前にしていた説明と今回の現象は致命的に食い違っていた。そして、政府に対していっそうの不信感を抱く市民の間には、ある噂が流れ始めていた。
    曰く、皇帝や守旧派貴族は血を好む怪物で、己の命のために生贄を欲している。
    曰く、呪いは政府が裏で糸を引く陰謀であり、人為的に蔓延させたものである。

    帝都の広場で、地方都市の酒場で、山村の寄合所で、旅人たちが集う宿で。
    ありとあらゆるところでこの噂が囁かれ、大抵のところに狙いすましたように口の達者な者がいて言うのだ。
    「陰謀を許すな。貴族の、政府の犯罪を許すな。貴族の義務を忘れ、市民の血を欲する怪物から、自分と家族の身を守ろう。武器を手に取り、自衛しよう」
    肌が粟立つように、帝国のあらゆるところに火種が広がっていった。

  • 83125/01/13(月) 00:01:47

    「どうも呪詛が広がっているというのは本当らしい」
    「そんな……」
    帝国領の東側からやってきたという交易商に話を聞いていたジナイが戻り、そう報告すると、モニタは顔を青くした。
    アレイオールたちはいま、帝都のとある酒場にいる。もともとはティル……改めカルムの情報を集めるべくやってきたのだが、数日滞在するうちに呪詛が帝国全体に拡がりつつあるという噂が聞かれるようになり、そちらの情報収集に切り替えていたのである。
    「やっぱりあの”鏡”が原因か」
    そう言うアレイオールの瞳が揺れている。すでに少なくない死者が出ている状態で、ジナイは彼のことを痛ましく思った。
    「まだそうとは限らん。もっと情報を……」
    「気休めを言わないでくれ!」
    いつになく大声を発してしまい、周囲の視線を集めてしまったアレイオールはハッと我に返った。
    「すまん……少し頭を冷やしてくる」
    アレイオールは唇を引き締めながら外に向かった。後を追うべきか、一人にしておくべきか迷っている様子のモニタを見て、ジナイは言った。
    「ついていてやってくれ。あの様子じゃ一人で行きかねん」
    「はい。えっと、ルナちゃんも……」
    「わかった」
    二人がアレイオールの後を追い、ジナイはため息をついた。
    確かに、普通に考えればあれが原因で間違いない。これまで、なんだかんだで犠牲を出さずに歩んできたアレイオールからすれば、かなりキツい経験だろう。
    ジナイは机に肘をつき、頭を支えながら考える。
    (これ以上事態が悪化しないように、専門家に相談したほうが良いな……。しかし、ギルドの学者共でも分からなかったことを、一体誰に相談するんだ……?)

  • 83225/01/13(月) 00:11:34

    そんなとき、ジナイの視線が酒場のとある客に引きつけられた。
    向かいの方の席で一人で飲んでいる、これといった特徴がない顔立ちの男。その特徴の無さが引っかかった。
    人の記憶に残らないことを計算されて作られた顔は、似通ったものになる。だから見るものが見れば、そういうものだと逆に分かってしまう。
    そんな「商売道具の顔」を、フードも被らず、惜しげもなくさらしている男がいるのだ。
    ジナイは立ち上がり、男に近づいた。
    「よう、相席させてもらってもいいかい」
    「構わないよ」
    ジョッキを持ってやって来たジナイに男は一瞥をくれて、マイペースに飲み直し始めた。
    ジナイもジョッキを煽る。
    「あんた、何者だ?」
    「使いの者だ。あなたがたに会いたがっているお方がおられる」
    「ほう。誰か言うつもりはなさそうだな。……じゃあ、なぜ会いたがっている?」
    「”鏡”の件だ」
    「……だろうな」
    ジナイと男は、しばらく無言で自分の酒を飲んでいた。
    「こちらに敵意はない。危害は加えないと約束する」
    「そうか」
    今度は男の方からそう言ったが、ジナイはさらりと流した。頭の中で考えを巡らせるが、どうも応じるしかないようだと結論を出す。
    「リーダーを呼んでくる。少し待っていてくれ」
    「ごゆっくり」
    男は別に美味そうにもせず、酒を口に運んでいた。少しは演技でもしたらどうなんだとジナイは思った。

  • 833二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:26:04

    案内されるシーンはスキップしてボスとご対面

    「やあ、よく来てくれた」
    その人物はアレイオールたちを快く迎え入れると、彼の机の前に並べられた椅子に座るよう身振りで勧めた。
    アレイオールたちが座ると、影の人物は満足そうに頷く。
    「君たちのことはカルムから聞いている。その節は彼が世話になったね……そしてずいぶん迷惑もかけてしまったようで、申し訳ない」
    アレイオールたちは何も答えない。得体のしれない何かをこの人物から感じ取っていたからだった。
    「さて、残念ながらあまり時間がないので、本題に移ろう。まず結論から言うが、君たちが使った例の”鏡”。あれは使い方が拙かったな。発動させるところまでは正しいが、場所が違う」
    アレイオールたちの反応を気にもとめず、影の人物は話し続けた。
    「あれは洞窟のさらに奥……この国の人々が”呪層童窟”と呼んでいる迷宮の最奥に配置しなければならないんだ。そうしないと、洞窟まで出てきた呪詛を散らすのは良いが、あとで広範囲に拡散してしまう」
    「迷宮の、最奥」
    アレイオールが呟いた。彼らが話について来られるよう、たっぷりと余韻を置いて、影の人物は話を続ける。
    「カルムの遺志だ。我々が継ぎたいところだが、タイミングの悪いことに今は取り込み中でね。武器庫を襲撃せねばならないんだよ」
    「待て……いまなんと言った?」
    「武器庫を襲撃するんだよ」
    ジナイが愕然として聞き返すと、影の人物はなんでもないことのようにそう繰り返した。

  • 834二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:37:02

    「この国の政府は腐っている。かの”太陽帝”が権力を恣にしていた時期も酷かったが、今には及ばない」
    影の人物は吐き捨てるように言った。
    「民衆は飢え、木の皮を食らって命をつないでいるというのに、連中は重税を課し、自分たちの贅沢だけは決して削らない。この国難の時にだ。この市民に対する犯罪は、まったく死に値すると思わんかね?」
    「悪いが、関わる気はない」
    ジナイが素早くそう答えると、影の人物は大仰な仕草で腕を広げた。
    「構わんさ。別に協力して欲しいわけじゃない。ただ我々は、長年このために準備をしてきた。いま呪詛がどうなっていようと、計画を中止するつもりはない……たとえタイミングが悪かったとしてもだ」
    「何が言いたい?」
    アレイオールが尋ねると、影の人物は含み笑いを漏らした。
    「噂は聞いているだろう? 全国に呪詛が広まっているいま、民衆は原因を政府にもとめ激怒している。革命にはうってつけだが、いま火が付けば、間違いなく帝国全土が火の海になるだろうな」
    「その噂をばら撒いているのは、あんた達はじゃないのか」
    ジナイが驚いてアレイオールを見た。アレイオールが気づいていたとは思っていなかったのである。
    アレイオールは影の人物を正面から睨みつけていた。
    「いいや? 自然に生じたものだよ。……まあ、敢えて火を消しても回らないが」
    面白がるような声音だった。アレイオールは顔つきを険しくした。
    「とにかく、我々は犠牲を厭わないが、君たちは違うだろう? これはお礼でありお詫びなのだ。”君たちのせいで”人が死ぬのを避けるチャンスというわけだよ」
    「この……!」
    「いい、ジナイ。こいつの言う通りだ」
    何を馬鹿なことを、と言おうとして、ジナイは思わず口をつぐんだ。アレイオールの瞳がギラギラと輝いているように見えたからだ。

  • 835二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:51:02

    クックックッと喉に引っかかるような笑い方をして、影の人物は言った。
    「勇者くんはどうやら乗り気らしいな? まあ君の力なら何の問題もあるまい。がんばりたまえ」
    「話はそれだけだな。俺達はもう行くぞ」
    「待て、アレイオール。こいつの言う事を鵜呑みにするのか?」
    アレイオールがジナイを見た。金色の瞳が一瞬不安に揺れるのを彼は見逃さなかった。
    「そうじゃないが……俺に出来るのは、あの迷宮を攻略することくらいだ。最初からそうすべきだったと、そう思っているだけだ」
    「考えてみろ。これだけ大きな影響を出す迷宮だぞ。お前がこれまで挑戦してきたどれともレベルが違う!」
    モニタとルナは、二人のやり取りをおろおろと見ていた。影の人物は事の成り行きを眺めている。
    「だが……だが勇者なら、この程度」
    「何を背負った気になっていやがる。いいかアレイオール、俺に言わせればお前なんてまだまだ駆け出しで……」
    「じゃあっ……じゃあ、黙って見てろというのか?」
    「そうは」
    ジナイは言葉に詰まった。しかしアレイオールの真剣な表情を見て、やがて諦めたように言った。
    「ああ、その通りだ。……アレイオール。この際言っておくが、俺はまず何より自分の命、その次に嫁と子供の命、そしてその次にお前らの命が大事だ。あとの連中は、……それほど重要じゃない」
    「お前が……そんな奴だったとは……」
    ジナイは痛感していた。アレイオールが常人離れしているのは何もその強さだけではない。常に他の人間たちより圧倒的に強かった彼は、取捨選択することを知らない。すべての命を助けられて当然だと、そう考えている。
    それは気高いことではあるが、幼いことであり、……傲慢なことだ。

  • 836二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 00:59:39

    アレイオールはモニタとルナを見た。二人の少女はどうしていいか分からず戸惑っているようで、彼は下唇を噛んだ。
    「俺は一人でいい。お前らは残ってろ」
    「アレイオール様!」
    「まって!」
    モニタとルナが部屋を出たアレイオールの後を追い、扉が閉まった。
    ジナイは影の人物を睨みつけた。
    「てめえ……」
    「ンクッ、クックックッ。なかなか直情的じゃないか、君たちの勇者様は」
    「わざと煽りやがって。何が望みだ?」
    「望み?」
    影の人物は愉快そうに笑った。
    「もちろん、万民の幸福だよ」
    「このイカれ野郎が」
    ジナイは最後に吐き捨てると、自分も部屋を去っていった。

    一人残された影の人物は、上機嫌で足を組んだ。
    「これは思わぬ収穫だったな。いやはや……邪魔者を早くに消せて助かるよ」
    影の人物は紫煙を吐き、ひとり愉悦の笑みを浮かべていた。

  • 83725/01/13(月) 01:00:38

    というわけで、次からいよいよダンジョン攻略、そして例のシーンです。
    例のシーンは日を分けて、総合スレで告知してやろうかな。そこだけみたい人もいるかもだし
    それでは、おやすみなさい

  • 838二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 10:18:43

    おつした

  • 839二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:02:29

    保守

  • 84025/01/13(月) 20:31:34

    再開します

  • 84125/01/13(月) 20:39:11

    アレイオール一行はその日のうちに帝都を発ち、レタラ村へと向かった。
    道中、いくつかの町や村を通り過ぎたが、前回と打って変わって、人々の不安げな表情が目立った。
    四人の冒険者たちは、徐々に清浄になっていく空気と反対に気持ちを沈ませながら、廃村へたどり着くのだった。

    レタラ村の丘。
    例の洞窟にやって来たアレイオールたちは、洞窟の前に白い衣を着た少年が立っているのに気づいた。
    「貴様……」
    殺気立つアレイオールに動じる様子もなく、少年は一行を見返していた。
    「その様子だと、鏡の力はお気に召さなかったようだね」
    「当たり前だ! こんな……」
    「こんなはずじゃなかった? ふふふ……呪いとは悪意、悪意とは怨念。何の代償もなく解けるはずがないだろ? 村の呪いは解けたのだから、これで満足しておけよ」
    アレイオールは無言で剣を抜いた。少年は退屈そうにそれを眺めるばかりで、動く様子はない。
    「そんなもので僕をどうにかしようってのかい? これだから人間は……」

  • 84225/01/13(月) 20:47:45

    「この洞窟の先にはね」
    性根は親指で後ろを指しながら言った。
    「僕らの可哀想な王様が眠っているのさ。ねえ、君ら人間のしたことに比べれば、これでも随分と負けてくれているんだよ。何しろお優しいお方だからね」
    皮肉をたっぷりと込めた言い回しは、一行の神経を逆なでするものだった。今にも飛びかからんばかりのアレイオールをジナイが止める。
    「よせ。余計な戦いは避けろ」
    「忠告をしておいてあげよう。この先に進み、呪いを解かんと欲するなら、君は代償を払うことになる。ここで回れ右して家に帰るのが賢明だよ」
    「……」
    アレイオールは剣を収めた。少年の方を見ることもなく、無言で洞窟へと向かう。
    「自分なら何とか出来ると思っているのかな?」
    勇者は振り向かない。あとに続く仲間たちを見送って、彼は呟いた。
    「やれやれ。人が親切で言ってやっているというのに。愚かな……」
    一行が洞窟の奥へと姿を消し、一陣の風が吹いたかと思うと、もうそこに少年の姿はなかった。

  • 84325/01/13(月) 20:57:42

    洞窟そのものは、何の変哲もないもののようだった。とはいえこれは、アレイオールたちが入口で”鏡”を回収していたからかもしれない。その証拠に、よく見れば壁面や床は乾燥しているにも関わらず滑らかであり、まるで溶け出したかのようだった。
    「定期的に毒がここを通っていたんだろう」
    ランタンを掲げて観察していたジナイがそう言った。洞窟には分岐やカーブはなく、ただただ真っ直ぐに進み、そして緩やかに下っていた。
    「すごくイヤな感じがする」
    ルナが身震いをしながら言った。彼女の見つめる洞窟の奥には、深い闇が渦巻いている。
    「光を灯しましょうか? 神術の光なら邪気を祓えるかも……」
    「いや、このまま進む」
    アレイオールはにべもなく言った。普段と違い、なぜ駄目なのか付け加えることもない。
    提案を却下されたモニタが戸惑ったような表情を浮かべた。
    「……消耗を避けるってことだろ? アレイオール」
    「ああ」
    仲間たちは顔を見合わせた。これまでの彼らにはなかった類の不安が、その表情に見て取れた。

  • 84425/01/13(月) 21:00:02

    一行が長く下る洞窟を進んでいると、行く手にかすかな光が見え始めた。
    それと同時に、これまでは途絶えていた瘴気が、わずかずつ感じられるようになった。
    「……いよいよだ」
    アレイオールがいつになく緊張した声で言う。
    四人は頷き合うと、かすかな光に向かって進んだ。

  • 84525/01/13(月) 21:12:06

    やや開けたその空間は、天井が抜けたことでわずかに月光が差し込んでいた。
    先ほど見えた光は、どうやらこれだったようだ。
    「これは……」
    階段があった。これまでの洞窟の下り方とは違う、急な下り階段が、地の底に向かって続いている。
    これまでの、まがりなりにも自然物ではあった洞窟と異なり、それは明らかに人工的に作られた通路だった。
    階段の奥からは、アレイオールやジナイですら目視できるほどの強力な瘴気がたなびいている。
    アレイオールはいつでも戦闘に移れるよう剣を抜き、仲間たちに言った。
    「どうやらここからが本番みたいだ。俺から離れないようにしてくれ」
    彼らは頷いた。アレイオールたちの持つランタンの頼りない光が、階下の闇の中に消えていった。

  • 84625/01/13(月) 21:28:48

    「帝国が建国される以前、かの地には竜が住んでいたとされている」
    遥かなる地で、水晶玉に手をかざした魔法使いが話した。彼の千里眼には、呪層童窟へと挑む勇者一行の姿が、まるでその場にいるかのように見えていた。
    「このシャヘルが生を享けるその前に、大陸から数に任せて魔族を駆逐した人間たちは、戦いの同盟者であったはずの竜族を裏切り、竜王を滅ぼし、その宮殿を略奪し尽くしたという」
    自らをシャヘルと呼んだ男の背後には、二人の人物がいた。
    一人は巨大な盾を持つ、かなり大柄な純白の甲冑の騎士で、鋼のように輝く翼を持っていた。今一人は輪郭があやふやで、辛うじて人型をしている状態だった。
    「へえ、じゃあその竜族ってのは、よほどにクソ弱かったんだろうなあ」
    軽薄な様子で、おぼろげな人影が言う。シャヘルは表情を変えず続けた。
    「そうではない。竜族は今なお人より遥かに強力だ。だが、竜王は人を信じすぎた。その力と契約が仇になったのだ」
    「……」
    大柄な騎士は無言だった。おぼろげな人影はつまらなさそうに吐き捨てた。
    「くだらねえ。要するにただ馬鹿ってことじゃねえか」
    「……そうかもな」
    シャヘルはそう言うと、いったん千里眼を打ち切り、二人に向き直った。
    「プロトイージス、お前は国境の守備に回れ。アヴァロン、お前は……」
    「待機なんて言うなよ? お前ばっかりショーを楽しめるんじゃ詰まらねえだろ」
    「手出しをすれば、分かっているな?」
    「お、おうよ。……怖い顔すんなってえ」
    軽薄で引きつった笑い声を残して、アヴァロンと呼ばれた影は消えた。プロトイージスと呼ばれた甲冑の騎士は、終始言葉を発さず、翼を広げると窓から外へと飛び立っていった。
    「……さて、どう転ぶかな」
    一人になったシャヘルは、そう呟いた。

  • 84725/01/13(月) 21:41:50

    呪層童窟には、闇と瘴気が充満していた。内部はかび臭く、ところどころに覗く直線的な石の形状は、本来は神殿やそれに類するものであることを示唆していた。埃の積もった地面にはそこかしこに邪気が淀み、その中心をよく見れば、小さな骨が転がっている。不意に毒や呪詛を吹き出す穴があるかと思えば、何者が仕掛けたのか、致死的な罠も仕掛けられている。
    そこは悪意と怨念によって築かれた、死の宮殿だった。

  • 84825/01/13(月) 21:44:14

    ここで唐突にダイス

    dice1d3=3 (3)

    1ジナイ 2モニタ 3ルナ

  • 84925/01/13(月) 21:54:38

    アレイオール一行は呪層童窟の中を進んでいた。最初の懸念に反し、洞窟のなかは思ったほどには暗くなかった。あちこちに青い炎が灯っているからだ。
    だがその生気のない色の光は、かえって一行の気持ちを沈ませた。
    職業柄、死体を扱うこともあるモニタはこの炎の正体を知っている。これは燐火。無念を残した遺体から出ると言われる悪霊の炎だ。
    「なるべく火に近づかないようにしてください」
    モニタはそう言って、哀れみをもって火を見つめた。もともとあったであろう石造りの建物の上にかぶさるようにしている融けた岩のような構造。この正体も、彼女はうすうす察していた。
    「待て……何かいる」
    アレイオールが仲間に声をかけ、油断なく剣を構える。前方の闇の中で、何者かが蠢いていた。

  • 85025/01/13(月) 22:50:04

    あ、鯖落ちから直ってる
    遅くなってしまったので、本日は最後にこれだけ投下です

    かたん、かたん、と軽い音が聞こえる。大方の正体に察しを付けながら先制攻撃の準備を整えていたアレイオールは、燐火に照らしあげられた姿を見て渋面を作った。
    「……」
    スケルトン。ある程度経験を重ねた冒険者なら誰もが目にしたことのある、最弱のアンデッドだ。
    だがこのスケルトンは。
    「子供だわ……」
    モニタが囁くように言った。何の感情も浮かべない空洞の眼窩をこちらに向けて、ゆっくりと歩み寄るスケルトンは、アレイオールの半分の身長もなかった。
    「モニタ、頼めるか」
    「はい」
    モニタが前に進み出て杖を構える。浄化の呪文は、略式だが葬送の儀式も兼ねている。
    哀れな魂を還そうとしたモニタは、そこではっと気づいた。
    「この子……縛られています。なにか大きなものに」
    スケルトンが宿した子供の魂は、地下から伸びる意識の束に拘束されていた。その意識を辿った先にあったものは、モニタがこれまでに見たことがないほど強大で、深い怨念を宿していた。
    「モニタ!」
    気づけばモニタは杖を取り落とし、へたり込んでいた。目の前にスケルトンの空虚な眼窩と、大きく開けられた口があった。
    「あ……」

  • 851二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 10:22:14

    あぶない

  • 852二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 19:58:43

    ねんのため

  • 85325/01/14(火) 20:05:29

    再開です。今回は例のシーンの前までなので、短くなりそうな気がしています

  • 85425/01/14(火) 20:16:56

    「モニタ!」
    すかさず飛び出したアレイオールが剣を一閃すると、スケルトンは頭蓋骨を横一線に切り裂かれた。
    小さな軀がびくりと震え、糸が切れたようにその場に崩れ落ちる。
    呪わしい魔物は物言わぬ屍へと還った。
    「すいません」
    「いい」
    立ち上がるなり謝罪するモニタをアレイオールは止め、折り重なった骨を眺めた。
    「ここに捧げられた生贄ってとこか?」
    「恐らくそうかと」
    ジナイが近づいてきた。子供のいる彼が小さな骨に注ぐ眼差しは、他の誰よりも悲しい。
    「胸糞の悪いところだ。早く先に進んじまおうぜ」
    「ああ。ルナ、ここからどう進めばいい?」
    アレイオールは骨から視線を上げつつ言った。
    返事はない。

    「ルナ?」
    もう一度名前を呼んでも、返ってくるのは静寂だけだった。

  • 85525/01/14(火) 20:33:36

    アレイオールの顔から、みるみる血の気が引いていく。
    「ルナ!」
    彼は危険を顧みず、大声で仲間の名を呼んだ。
    しかし期待に反し、返ってくるのは自分の声の残響だけだった。
    「ジナイ様、ルナちゃんは」
    「ついさっきまで俺の後ろにいたはずだ」
    弓使いの彼女は、最後列にいて周囲の様子を伺っていた。
    斥候のジナイとは、互いに死角を補っていたはずだった。
    「何も見ていないのか、ジナイ!」
    「目を話したのは一瞬だ。どこかの穴にでも落ちたのかもしれん」
    アレイオールはランタンを掲げて周囲をよく照らしたが、ルナの姿はおろか、痕跡すら見つからなかった。
    「くそ……!」
    毒づくアレイオールは、不意に寒気を感じて身を縮めた。
    激しい地鳴りと共に、洞窟ぜんたいが鳴動し始める。
    やがて地の轟音は、人の言葉となった。
    ”同胞を助けたくば、我が元に来たれ”
    低く、嗄れた声だった。
    地響きはそれを伝えると、すぐに収まった。

  • 856二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 20:35:27

    ひとりめ…

  • 85725/01/14(火) 20:48:15

    「行くぞ」
    声が収まるなり、アレイオールは言い放つと、洞窟の奥に向かって歩き出した。
    「待て、アレイオール」
    呼び止めるジナイにアレイオールは振り返った。
    「これは罠だ。敵は間違いなく俺達を待ち構えている」
    「だから何だ」
    「ルナが欠けた状態で進むのはまずい。一度戻って、態勢を立て直そう」
    「何を悠長な……」
    アレイオールの声音に怒気がこもる。それを痛いほどに感じながらも、ジナイは言った。
    「急いで行っても全滅するだけだ。ここは確実に……」
    「仲間が消えるのを見落としておいて、今度は自分の命惜しさに撤退しようって?」
    ジナイは歯を食いしばり、絞り出すように言った。
    「こうなったのは俺の責任だ。言えたことじゃないのは分かってるが、三人ではあまりに危険だ」
    「……モニタ、お前の意見は?」
    「ぅ……」
    射すくめるような視線に、モニタは思わずたじろいだ。アレイオールの瞳に、一瞬だけ失望と悲しみの色が混じったことに彼女は気付いたが、もう遅かった。
    「そうか。好きにしろ。お前らの力なんて要らん」
    アレイオールはそう言うと、踵を返して、一人迷宮の奥へと進んでいった。

  • 85825/01/14(火) 21:00:45

    「待って下さい!」
    一拍置いて、モニタがアレイオールの後を追いかける。ジナイもかなり躊躇ったが、結局は彼の後を追った。
    ルナを失った三人の冒険者を、呪層童窟の悪意が襲った。
    これまで、さきほどの小さなスケルトンしか出てこなかったのが嘘のように、多種多様なアンデッドが現れた。
    いくつもの死体が融合し球体のような形状になった醜悪な怪物や、死してなお魔力を保つ骸骨の術師、人の精気を吸い取る悪鬼、そして無数の子供の骨格たち。
    アレイオールたちはしばしば苦戦しながらもそれらを蹴散らし、少しずつだが確実に、迷宮の最深部へと近づいていった。

  • 85925/01/14(火) 21:06:51

    書いてて精神的にきつい…

    現在のルナの状態

    dice1d3=3 (3)

    1無事 2生きているが… 3死亡

  • 86025/01/14(火) 21:12:31

    ちょっとしんどすぎるので義務から逃げて安価取ろうと思ったけど
    取るべき安価が思いつかない…

  • 86125/01/14(火) 21:23:31

    切り替えて続きいきます

    「……っ」
    数十にも及ぶ戦闘のすえ、ついに膝をついたアレイオールにモニタが駆け寄り、治癒術を使い始めた。ジナイはもはや止める言葉も持たず、黙って周囲の警戒を続けた。
    傷を癒やされたアレイオールは立ち上がると、洞窟の奥に視線をやった。先程から濃密な瘴気で満たされ、暗紫色の靄が漂っているが、この奥は一段と闇が濃く、いよいよ終点が近いことを思わせた。
    「アレイオール様、せめてもう少し休まれたほうが」
    モニタが言った。治癒術は身体の損傷は治すが、疲労や精神的なダメージまで回復できるものではない。しかし勇者は答えず、さらに先に進もうとした。
    不意に、からんという音がして、右手が軽くなり、何かが床に落ちた。
    そちらを見ると、半ばほどから崩れ落ちた刀身が転がっている。
    アレイオールはここに来るまでに彼は数本の剣を使い潰している。今持っているのは虎の子というべき、東の国の名刀だ。
    しかし剣としてはかなりの格を誇るはずのこの武器すら、度重なる聖剣化に耐えかねて刀身を綻ばせていたらしい。
    アレイオールは役立たずとなった刀を打ち捨てると、無言で新しい剣を取り出した。

  • 862二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 21:26:10

    ワ…アァ…ッ!

  • 86325/01/14(火) 21:27:49

    三人は、とうとう呪層童窟の最深部へと到達した。
    切り立った岩壁に、巨大な鋼鉄の門がはまり、固く閉じられている。
    しかしその蟻も通れぬほどの隙間からは、抑えきれない瘴気と呪詛とがとめどなく流れ出していた。
    「いよいよですね」
    モニタが決意を込めた目でそう言った。ジナイは、己の冒険者としての勘が鳴らしている警鐘から意識をそらし、ただ門を見あげた。
    「待ってろ、ルナ……!」
    アレイオールはそう言って、躊躇なく踏み込み、扉を押し開いた――。

  • 86425/01/14(火) 21:30:01

    本日はここまでです。次回は阿鼻叫喚になり、次々回はアレイオールが慢心の報いを受けます。
    ただここは閲覧注意系ではないので、過度にグロい描写はしないつもりです。
    明日はいちおう夜勤なので、何とかやりたいですが呼び出されると途中で抜けたりしちゃうかもですね。
    それではまた…。

  • 865二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 21:31:29

    終わりの始まりだぁ…おつです

  • 866二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 02:39:42

    保守

  • 867二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 11:50:31

    保守

  • 86825/01/15(水) 21:54:06

    再開しますか…気が重い

  • 86925/01/15(水) 22:03:56

    門を開けた先にあったのは、円形の広大な空間だった。大木のように太い石の柱が立ち並び、その上部は闇に呑まれて見えなくなっている。洞窟のあちこちに見られた燐火はここでも燃えており、青ざめた色で周囲を照らしあげていた。
    空間の中央には、明らかに人工物と思われる円形の段差があり、その中心に、なにか巨大な影が鎮座していた。

  • 87025/01/15(水) 22:10:33

    それは大きく、痛々しく、そして悍ましい怪物だった。気が遠くなるほどの年月を経てなお腐敗しきらない身体は、しかし崩れかけており、ところどころに乾ききった白い骨が露出している。至るところから噴き出す黒く濁った血と体液、そして膿に汚されつつも、鱗は黄金色の反射光にきらめき、口からは強烈な悪臭を伴って蒸気を吐き出している。
    逞しい四肢に、長大な尾、そして一対の、破れて最早使い物にならないであろう翼をそなえたそれは、紛れもなく竜であった。

  • 87125/01/15(水) 22:20:05

    「ドラゴンゾンビ……!」
    そう言ったのはモニタだっただろうか。
    かつての威容が見る影もない、生ける屍と化している竜は、侵入者の気配を感じ取ったのか、ゆっくりと首をアレイオールたちの方へ向けた。
    眼窩にはまった左目だけでなく、脱落しかかり、神経や血管でつながるのみとなった右目もが、いかなる作用でか、冒険者たちを睨みつけた。
    ”来たか。我が贄よ”
    アレイオールたちの脳裏に言葉がひらめいた。竜の喉が直接言葉を発したわけではなく、その思念が伝わってきているようだった。
    ”案ずるな、わしはお前たちを赦そう”
    竜から、言葉通りに悪意や殺気が感じられないことに、アレイオールたちは怖気をふるった。
    ”わしは人の子を喰らう。喰らってこの傷を癒やすのだ”
    もはや誰が見ても死の国に属すべき身体で、竜は言った。
    ”うぬらもすぐに……喰ろうてやる。案ずるな、案ずるな、うぬらの過ちを、責めはせぬ……”

  • 87225/01/15(水) 22:29:47

    「ルナをどこにやった!」
    アレイオールが聖剣を輝かせ、竜に問うた。すると竜はしばらくの間、沈黙した。何かを考えるのに、あるいは思い出すのに苦労しているような様子だった。
    その巨大な顎にわずかに残された肉が、ずるりと歪み、痙攣する。竜は笑みを浮かべているらしいとアレイオールが気づくまでに、しばらくかかった。
    竜が大口をあけ、不浄な血と瘴気を撒き散らしながら哄笑する。
    ”会わせて……進ぜよう”
    そう言うと、竜は喉の奥からくぐもった音を出し始めた。ごっ、ごっ、と音を立て、苦しげに首を前後に動かす。
    「何をしてる?」
    アレイオールが目を見開いてそう言った。竜は――なにかを吐き出そうとしているようだった。
    「アレイオール! 見るな!」
    ジナイがそう叫んだが、もはやアレイオールの耳には届いていなかった。
    やがて竜は、どろりとした粘液に包まれた何かを吐き出した。

  • 87325/01/15(水) 22:34:58

    アレイオールの脳に最初に刻みつけられたのは、見慣れた緑の髪だった。次いで、彼を導いた赤い瞳。小さな手。折れた弓。その全てに違和感があった。
    それがそんな場所にあってはならない。それは一つであってはならない。そんなものが見えていてはならない。
    竜の前に湿った音を立てて落下したそれは、彼の仲間を模して子供が描いた絵のように、可怪しく誤っていた。

  • 87425/01/15(水) 22:42:09

    モニタとジナイには、前衛として前に出ていたアレイオールほどにはその姿は見えていなかった。しかし、その片鱗をわずかに捉え、硬直するアレイオールを眺めたときに、彼女たちはそれを察した。
    「あぁ……」
    モニタの口から、絶望と諦念の息が漏れた。ジナイは唇を噛みちぎるほどに食い締め、血走った目で竜を睨みつけた。
    アレイオールは無表情だった。彼はルナだったものを見つめながらゆっくりと瞑目した。
    「……」
    再び目が開かれた時、その金色の瞳は苛烈な光を帯びて竜に視線を注いだ。
    竜は上半身を起こし、翼を開くと、その巨体をアレイオールたちの前にそびえさせた。
    ”愚かなるかな、愚かなるかな。身の程を知らぬ人の子よ。うぬらは我が贄となるため、ここに来たのだ!”
    アレイオールの手にした聖剣が強い光を帯びる。太陽のように輝く剣は、穢れた竜の身体を照らし上げた。

  • 87525/01/15(水) 22:50:54

    アレイオールは竜に向かいつつ、聖剣を構えた。いま「聖剣化」しているのは、デアム・カエリ教団領を通過するときに聖堂で授けられた名剣で、聖剣の力はこの剣によく馴染んだ。
    「ああああああッ!」
    雄叫びを上げながら跳躍し、光り輝く剣が振り抜かれる。純粋なエネルギーをまとった斬撃は、竜の鱗を易々と切り裂き、その右腕を肘の少し上の部分で切断した。
    竜が悍ましい苦痛の絶叫を上げる。奇妙なことに、こうして攻撃されて初めて、竜はアレイオールたちに敵意を向けた。
    ”魔族めが!”
    そう喚くと、竜は大きく息を吸い込んだ。
    「守りを!」
    間一髪でモニタが唱えた呪文が発動し、光の帯が空中のアレイオールを包む。ほとんど間をおかず、竜が吐き出した赤黒い炎がアレイオールを飲み込んだ。
    「アレイオール!」
    ジナイが竜に接近しつつ叫ぶ。光の帯でブレスのダメージを抑えたアレイオールはやや離れた位置に着地し、次なる攻撃に移るべく態勢を整えた。

  • 87625/01/15(水) 23:02:14

    ”我が名はアルダラノン。竜の中の竜なり。我が名にかけて、悪しき魔族の頭を葬ってくれる”
    「たわけたことを……抜かすな!」
    アレイオールが聖剣を投げつけると、剣は意思を持っているかのように飛び回り、死竜の肉体を切り裂いた。
    モニタが杖を振り下ろすと、光で出来た十字の刃がいくつも竜に突き刺さる。ジナイがばら撒いた爆弾が炸裂し、竜の巨体を揺らめかせた。
    ”惰弱なり”
    竜が尾を振るい、アレイオールが風圧だけで吹き飛ばされた。竜が落とされた右手に右腕の切断面を近づけると、そこから血管や骨が飛び出して右手に突き刺さり、骨の軋む音を立てながら癒合していく。
    「クソッ、落とした腕も処理しないと駄目か!」
    ジナイが毒づく。竜は修復した右手を何度か閉じ開きすると、咆哮を上げてアレイオールに突進した。

  • 87725/01/15(水) 23:17:13

    アレイオールは善戦したといえる。
    彼は二本の聖剣を振るい、飛ばして死竜に立ち向かった。光の斬撃は放たれるたびに竜の身体をひどく破壊したが、竜族としても埒外の生命力を持つこの竜は、どんな重傷からも容易く回復した。再生を止めようと、切り落とした部位をジナイが爆弾で木っ端微塵にしても、肉片が寄り集まってもとの部位を構成する有り様だ。
    一方のアレイオールは、疲労とダメージとが確実に蓄積していた。常人より遥かに回復の早い彼であったが、強力な毒と呪詛をまとった爪で切り裂かれるたびに、その全身に激痛が走り、癒えない傷が残った。

    アレイオールは、徐々に追い詰められつつあった。

  • 87825/01/15(水) 23:29:00

    「っ!」
    何十回目かの爪の一撃を剣でいなしたときだ。
    不意に、力が抜けるように、アレイオールは片膝をついた。
    (早く、早く体勢を立て直さなければ……!)
    アレイオールは自らの膝を叱咤した。しかし、疲労の限界に達していたのであろう脚は言うことを聞かず、立ち上がるどころかますます脱力し、アレイオールはたまらず、剣を地面に突き立てて杖とした。
    不意に周囲が暗くなる。アレイオールが見上げると、竜は右手を振り上げていた。
    ”滅びよ”
    死の呪いが込められた爪が自分に迫ってくるのを、アレイオールはどこか遠くに、ゆっくりと感じていた。
    どこか呆けたような表情で、少年は死が降りようとするのを見ていた。

    アレイオールの視界が、不意にぐらりと傾いた。今度こそ倒れてしまうかと錯覚した彼に、暖かいものが触れた。
    「悪い」
    ジナイの声だった。いつの間にか直ぐ側までやってきていた彼は、こちらに向かって身を投げ出していて――いや、アレイオールは、ジナイに突き飛ばされていた。

    アレイオールはジナイに向かって手を伸ばした。
    その時のジナイの表情を、勇者は生涯忘れることはなかった。
    諦めと、申し訳無さと。そして眼の前の仲間を、今度こそ死なせずに済んだという、穏やかな満足をないまぜにしたほほえみ。

    「ジナ――!」
    アレイオールの叫びを遮るかのように、巨大な手がその下にあったものを叩き潰した。

  • 87925/01/15(水) 23:32:05

    今回はここまでです。次回は明日。おそらく最後の一人です。よろしければお付き合いください。

  • 880二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 07:53:22

    お疲れ様です

  • 881二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 18:46:43

    保守

  • 88225/01/16(木) 20:54:02

    再開します

  • 88325/01/16(木) 21:09:55

    ジナイに気を取られたアレイオールの隙を見逃す敵ではなかった。
    腐敗した竜はアレイオールが動きを止めたと見るや、彼に向かって赤黒いブレスを吐き出したのだ。
    「があっ」
    躱すどころか防御することも出来ず、まともに炎の奔流を浴びたアレイオールはたまらず弾き飛ばされ、床に転がった。何とか立ち上がろうとするが力が入らず、突っ伏してしまう。
    「アレイオール様!」
    モニタの悲鳴のような声が響く。アレイオールは無理矢理首を動かして、血で赤く染まった視界で竜を見た。
    「お、のれ……」
    ”魔族の長よ、己の非力を思い知ったか”
    狂った竜はそう告げ、崩れかけた身体を引きずるようにしてアレイオールに近づいてきた。

  • 88425/01/16(木) 21:23:22

    「いま治します!」
    モニタがアレイオールのそばに跪き、術でその体を癒やし始めた。
    アレイオールはその姿を見て、目を瞑った。
    「すまない、モニタ」
    「何を……」
    「どうか君だけでも、生き残ってくれ」
    モニタの顔に、一瞬、衝撃が走った。しかし彼女はすぐに表情を引き締め言った。
    「弱気にならないでください。まだ戦いは終わっていませんよ」
    「だが、もうあいつは」
    「しっかりしなさい!」
    初めて聞くモニタの叱咤の声に、アレイオールが目を見開いた。
    「あなたなら、必ず勝てます。だからそんな顔をしないで」
    モニタはアレイオールの身体を抱え起こし、正面からその目を見つめた。
    「女神は……ううん、わたしはあなたを信じていますから」
    モニタは柔らかい微笑みを浮かべて言った。
    「勇者だからじゃありませんよ? アレイオール様だからです。きっと、ジナイさんやルナちゃんもそうです」
    彼女の身体は、いつしか白い光を纏っている。
    「モニタ……?」

  • 885二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 21:25:54

    やっぱ覚悟してても辛ェんだ

  • 88625/01/16(木) 21:35:38

    「何をするつもりだ」
    モニタを包む光は次第に輝きを増し始めた。戸惑うアレイオールの手を、モニタは優しく握った。
    「わたしの全てをあなたに託します。アレイオール様、きっと魔王を倒して、この世界を」
    「よせ……!」
    アレイオールはモニタを抱きしめた。目を丸くしたモニタは、アレイオールの背に手を伸ばそうとして、やめた。
    「ごめんなさい、こんなことしかしてあげられなくて。あなたの重荷を少しでも軽くしてあげたかった」
    「やめろ!」
    血を吐くように叫ぶアレイオールに、モニタは悲しげに微笑み、優しくその髪をすいた。
    「やめてくれ……俺は……俺は駄目なんだ、俺のせいで」
    「あなたのせいじゃないわ」
    普段は頼もしいアレイオールが、今や子どものように泣きじゃくっている。モニタは自分の残酷な仕打ちに心を痛めながらも、術を解こうとしない。
    「たのむ……」
    懇願する彼の声も、聞くのは初めてだった。どうかこんな声を聞くのが、自分が最初で最後にありますようにと、慈悲の心で覆い隠した女の心が呟く。
    「アレイオール様、これを」
    モニタがローブのポケットから取り出したのは、使い古された手記だった。
    「恥ずかしいから、一回読んだら捨てちゃってくださいね」
    アレイオールにそれを手渡すと、彼女は術を完成させ、解き放った。

  • 88725/01/16(木) 21:42:24

    アレイオールは光の中にいた。
    眩しさのあまり、手をかざして目を細めると、前方に小柄な人影がいるのが分かった。
    「……」
    その人物は、こちらをじっと見つめていた。その両手が頭の方に動いて、何かを取り去る動作をすると、ぱさりと音を立てて形が変わる。どうやらフードを被っていたらしい。
    見慣れた緑の髪。
    「ルナ、そこにいたのか」
    思わず安堵の声が漏れた。
    なぜほっとしているのか思い出せないまま、アレイオールはルナに話しかけようとした。
    彼女はしばらく、アレイオールのことを見つめていた。何も言わず、とても名残惜しげに。
    やがて、彼女はアレイオールに向かって勢いよく手を振ると、思い切ったように踵を返して走り出した。
    「どうしたんだ。待ってくれ」
    追いかけようとするが、なぜか、足を動かしても前へ進めない。
    すると、右から自分を追い抜いていく人影があった。
    「ジナイ!」
    年長の冒険者は、飄々とした笑顔でアレイオールの頭に手を置き、撫でてくしゃくしゃにした。
    「な、なにするんだ」
    彼もまた何も言わなかった。ジナイは優しくアレイオールを見つめると、やはり前に向かって歩き出す。
    「二人とも、どこに行くんだ」
    アレイオールは後を追おうとしたが、二人との距離は離れるばかりだった。

  • 88825/01/16(木) 21:48:08

    「待て! 止まってくれ!」
    アレイオールは息を切らして走りながら叫んだ。
    二人は振り向くことなく、どんどん遠ざかっていく。
    今度は左側から、誰かが歩いてアレイオールを抜き去っていく。
    「モニタ!」
    彼女は立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
    モニタは万感の思いを口に出さず、アレイオールに深々と一礼した。
    そしてやはり、アレイオールを置いてさってゆく。
    「俺も連れて行ってくれ!」
    アレイオールはあらん限りの声で叫んだ。
    「俺が……俺の考えが足りなかったから……! 俺が愚かだったから……! 悪いところは、治すから……」
    勇者は膝をつき、遠ざかっていく仲間を見た。
    「俺を一人に……しないでくれ……」

  • 88925/01/16(木) 21:55:16

    アレイオールが目を覚ますと、そこは冷たい石の上だった。
    右手に柔らかい感触があって、そちらを見つめると、彼に抱きしめられるようにして、モニタが倒れている。
    その目は閉じられ、眠っているかのようだ。
    彼は身を起こし、モニタの頬をそっと撫でた。
    「ごめんな……」
    彼はいつぶりかの涙を流していた。その全身には力がみなぎっている。その意味することをアレイオールは悟っていた。
    ”残すはうぬ一匹よ”
    地響きを立てながら近づいてくる竜をアレイオールは見上げた。
    「お前は……」
    竜の朽ちた肉体を見てアレイオールは呟く。
    「あるいはお前も、俺と同じだったのかもしれない」
    竜が翼を広げ、アレイオールのそばにまで迫った。
    「だがお前は、……ここで滅ぼす」

  • 89025/01/16(木) 22:07:54

    アレイオールの周囲に、緑色の光があふれる。周囲の大気が巨大なオーラにかき混ぜられ、モニタの髪を揺らす。
    彼が用意していた予備の剣が二本、ひとりでに飛び出すと、彼の周囲に滞空した。
    手にしていた一本を含む全ての剣が光を纏い、一本一本の刀身に今は失われた文字で言葉が浮かび、勇者が振るう剣としてあるべき姿に形状を変えてゆく。
    「我こそは勇者アレイオール!」
    高らかに名乗りを上げると、三本の剣が竜に向かって飛ぶ。
    そして剣の一つ一つが、刀身の長さからは考えられない規模の斬撃を放った。
    ”ぬっ……!”
    同時に両腕を斬り飛ばされ、怯んだ隙に首を切断された死竜は、空中に頭を舞わせながら唸る。
    ”魔族めがあ!”
    竜は肉体のあちこちから血管や神経、骨を突き出させて切り落とされた部分に突き刺し、強引に再生した。
    「人類の敵は俺が滅ぼす!」
    動きが鈍ったところに、剣を構えたアレイオールが突っ込んだ。
    振り抜かれた一撃の大きさは、三本の剣の比ではなかった。
    ”ぐおおお……!”
    胴体を切り刻まれ、さすがの死竜も苦痛に咆哮した。
    「二度と再生できないよう、粉々に切り刻んでやる」
    アレイオールはそう宣言し、さらに攻撃を加えるべく突き進んだ。

  • 89125/01/16(木) 22:16:04

    ”このわしを倒せると思うてか!”
    竜がブレスを放つ。先程までの赤黒いものではなく、鮮血のように赤く輝く熱線に近いものだ。
    アレイオールは指一つ動かさなかった。瞬時に飛来した3つの剣が刀身を噛み合わせて盾を作り、いとも容易く熱線を霧散させる。
    驚愕のあまり硬直する竜に、素早く下方に移動した剣を足場に跳躍したアレイオールは縦一文字の斬撃を浴びせかける。
    光の斬撃は、鋼鉄よりもなお強い金色の竜の鱗を、紙でも引き裂くように両断した。
    ”かあ……ああ!”
    正中線で真っ二つにされた竜は、それでもなおその抜け殻の生命を失わなかった。
    「はあーっ!」
    連続で繰り出される斬撃は一撃ごとに破壊的な衝撃波を伴い、いまだ再生しきれない竜の肉体を粉砕し始めた。
    ”こんな、馬鹿な!”
    狼狽の声を発した竜は、苦し紛れに爪で襲いかかるが、あろうことかアレイオールは剣さえ使わず、握り拳でこれを粉砕した。
    ”ぐあっ!”
    爪ごと手を爆散させられた竜は、眼前で起きていることが受け入れられないように呆然とし、後退りをした。

  • 89225/01/16(木) 22:20:49

    ”お、おのれ……かくなる上は……!”
    朽ちた身体の竜がその全身を震わせる。竜は、身を捩ると狂おしく悍ましい絶叫を上げた。
    ”我が魂を糧に、うぬを呪い尽くしてくれるわ!”
    何百年ものあいだ腐敗と戦い続けていた死肉が、炎を吹き出して焼き尽くされていく。全身から紅蓮の炎を吹き出す竜は、やがては咆哮を放つ喉すら無くした。
    しかし、それでもその呪いと妄執は生き続けた。いまや肉を完全に失い、ドラゴン・スケルトンと化した竜は、記憶も理性も完全に失い、虚ろな眼窩でアレイオールを捉えた。
    「――――ッ!」
    喉ではなく、魂が吠える。骨のみとなった竜は、文字通り全霊をかけて勇者に挑戦した。

  • 89325/01/16(木) 22:26:35

    完全なスケルトンとなった竜は、肉体的な能力においては以前よりも劣っていた。しかし、それを補って余りあるほどの怨念と呪いがその身を包み、たとえ骨を砕こうが、その破片の一つ一つが怨みを持ってアレイオールを襲った。
    (もう時間がない……)
    一方のアレイオールも、決着のときが近づいていることを悟っていた。「聖剣化」した剣の耐久力は限界に近づいており、もはやこの竜を滅するには、アレイオールの全力を込めた一撃で完全に消滅させるほかない。
    アレイオールは竜の攻撃を凌ぎながら、戦場の外へと目をやった。
    そこには傷一つなく、まるで眠っているかのように倒れているモニタの遺体があった。
    (しかしそんなことをすれば、モニタを巻き込んでしまう)
    怨念の化身となったこの竜を相手に、技の効果範囲を制御する余裕などなかった。どう頑張っても、モニタの遺体がひどく損傷してしまうことは避けられないだろう。
    アレイオールは目を閉じた。アレイオールは……。

  • 89425/01/16(木) 22:28:08

    というわけで、本日は以上です。
    次回はいよいよ例のシーンが含まれる回となります。
    正直今回が一番書いていて辛かったです

  • 895二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 00:38:19

    おつおつです

  • 896二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 08:52:43

    保守

  • 897二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 19:28:41

    必要な描写多かったからな…お疲れ様やで

  • 89825/01/17(金) 21:14:41

    今日は再開できそうにないので延期します。
    明日の20:30~開始にしますね

  • 899二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 00:41:31

    了解!
    お待ちしておりますぜ

  • 900二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 11:42:34

    保守

  • 90125/01/18(土) 20:30:35

    予定通り始めようと思います

  • 90225/01/18(土) 20:41:04

    「だあああっ!」

    叫びとともに、渾身の力で剣を振り下ろす。
    聖剣は過剰に集中した力で刀身を半ば崩壊させながら振り抜かれ、僅かな沈黙の後、破壊の暴風が吹き荒れた。
    骨の竜は衝撃波に巻き込まれ、全身を打ち砕かれながら宙に舞った。
    砕けた骨片は再び本体に戻ろうと飛行するが、戻り切る前に衝撃の余波に襲われ粉砕される。
    ”ありえぬ――”
    呆然とした声がアレイオールの脳裏に響いた。
    斬撃によって生じたいくつもの輝く竜巻が一つに合流し、巨大な渦となって竜を飲み込んでいく。
    アレイオールの手の中で、限界を迎えた剣が砕け散った。

    アレイオールはモニタの遺体に手を伸ばした。しかし遺体は、アレイオールの手が届くよりも早く渦へと引き寄せられ、やがてふわりと浮き上がる。
    アレイオールは目を閉じた。

  • 90325/01/18(土) 20:46:49

    「っ!」
    モニタに向かって伸ばしていた手の向きを変え、腰の短剣を抜き放つ。
    正真正銘、最後の武器だ。これより後に聖剣化できるものはもう持っていない。
    「いけえ!」
    短剣を聖剣化すると、それを竜に向かって投げつける。
    竜巻から逃れようと床に爪を立ててもがいていた竜の額に、聖剣は吸い込まれるように突き刺さった。
    短剣が砕けるのと同時に、聖剣の光が竜の額を割り砕いていく。
    ”く……あ……”
    短い声を漏らし竜はよろめき、やがて竜巻に吸い込まれていった。
    骨格がバラバラになり、さらに骨の一つ一つが塵となってゆく。

  • 90425/01/18(土) 20:55:39

    やがて周囲の全てを破壊していた竜巻が弱まって消え去ると、そこにいるのはアレイオールだけになった。竜は主要な骨を全て破壊され、もはや復活は不可能だった。
    アレイオールはしばらく立ち尽くし、周囲を眺めていた。仲間たちの遺体が原型をとどめないほどに破壊され、もはやどれがどれとは分からない状態になっていたのは、彼にとって幸運だったかもしれない。
    アレイオールはその場に腰を下ろした。凄まじい疲労がのしかかってきて、彼は天井を仰いだ。
    「……」
    彼を案ずるものも、治療を施すものも、からかうものもいない。
    もはや誰も、彼に語りかけはしないのである。
    アレイオールはうなだれ、しばらく頭を抱えていたが、おもむろに立ち上がった。
    「……もう行くよ。……すまない」

  • 90525/01/18(土) 21:05:11

    「仲間を失ったか」
    「!?」
    とつぜん背後から聞こえてきた声に、アレイオールは驚いて振り向いた。
    見れば、金の髪と赤い瞳をもち、ローブに身を包んだ青年がそこに立っていた。
    「何者だ」
    青年はアレイオールの掠れた質問に、無感動な声で答えた。
    「私はシャヘル。魔導師だ」
    「……その魔導師が何の用だ。俺を殺しに来たのか?」
    「そうして欲しいようだな」
    アレイオールはため息をつき、シャヘルを見返した。
    昏い瞳だった。全てが億劫で、忌々しい。そういう目だとシャヘルは思った。
    「今はお前らの相手をする気分じゃないんだ。失せろ」
    「貴様の仲間、生き返らせてやろうか?」
    シャヘルはそう言った。表情は先程までと全く変わらない。
    アレイオールはしばらく沈黙していたが、やがてシャヘルにつかつかと近寄ると、胸ぐらを掴み上げた。

  • 90625/01/18(土) 21:13:06

    「このまま絞め殺してやろうか?」
    「野蛮なことだ」
    シャヘルは動じなかった。彼は霧のように消えると、アレイオールの隣に再び姿を現した。
    「冗談もいい加減にしやがれ!」
    「冗談ではない……ただし、代価が必要だ」
    あくまで冷静なシャヘルを、アレイオールは乱暴に突き放した。
    「くそ……何だってこんな……」
    「どうする? 生き返らせるのか、生き返らせないのか」
    アレイオールは悩んだ挙げ句に、尋ねた。
    「それが本当だとして、代価には何を求める?」
    「魔王の討伐」
    シャヘルの答えは簡潔だった。アレイオールは訝しげに彼を見返した。
    「それは……確かに勇者としての責務だが。……お前に何の得がある?」
    「……」
    シャヘルは沈黙していた。彼はひたすらアレイオールを観察しているようだった。

  • 90725/01/18(土) 21:19:22

    (生き返る? そんなことが可能なのか?)
    アレイオールはシャヘルの話を受け止めきれず、内心では戸惑っていた。
    (もし……もし本当に生き返るのなら)
    また、仲間たちに会うことができる。そして、今度こそ守り切ることが、いや、巻き込まないようにできるのではないか。
    突然現れた魔法使いの言う事など、とても信じられるはずはなかったが、彼の心の渇望は、一縷の望みを期待してやまなかった。
    「……」
    「さあ、どうする、勇者よ」
    アレイオールは冷静さを失っていた。こんなとき、仲間たちが近くにいれば、彼に適切な助言が出来たかも知れない。しかし皮肉にもその仲間たちの存在が、彼の背中を押した。

  • 908二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 21:21:42

    めちゃくちゃ試されてる…

  • 90925/01/18(土) 21:27:32

    「本当に、生き返るのか」
    アレイオールはそう尋ねた。その様子を見るシャヘルの表情は少しも変わらない。しかし何百年も彼と過ごしたものがこの場にいれば、その瞳にほんの刹那、失望の色が浮かぶことに気付いたかもしれない。
    「信じるも信じぬも、貴様次第だ」
    「……」
    アレイオールは迷っているようだったが、シャヘルの目から見れば、もう心は決まっているようなものだった。
    この期に及んで揺らぐようでは、彼の目的にはかなわない。
    「もしそんなことが可能だと言うのなら……やってほしい。彼らが死んでしまったのは、俺のせいなんだ」
    「そうか」
    シャヘルはやはり表情を変えなかった。彼はどこからともなく、白い石の杖を取り出した。
    「では望み通り、仲間を生き返らせてやろう」

  • 91025/01/18(土) 21:35:50

    シャヘルは杖を身体の前に構え、瞑目して集中した。
    彼は実際に蘇生の呪文を習得している。本来この呪文は、対象となる死者の魂がそこにあり、肉体が十全でないと効果を発揮しない。
    しかし、シャヘルの手腕をもってすれば、肉体が欠けているこの場でも術の「発動」は可能だ。
    (勇者にはここで学んでもらわねばならん。慢心の報いと、己の罪を)
    シャヘルは、アレイオールという個人に対して特に思う所があるわけではない。
    しかし、手痛い失敗のすえに仲間を失ってなお、甘い希望を持っているようでは、使い物にならないのだ。

    シャヘルの口が、朗々と呪文を紡いだ。
    やがて、ぼんやりと地面に光の円が浮かび上がり始める。
    アレイオールが生唾を呑み込む音を聞きながら、シャヘルは長い詠唱を終えた。

  • 91125/01/18(土) 21:41:46

    魔法陣が強い光を放ち、周囲に蒸気のようなものを勢いよく噴き出した。
    「うわっ」
    アレイオールが思わず顔をかばう。
    やがて蒸気がおさまり、光がその強さを減じていくにつれ、アレイオールは円の中心に何かの影があることに気づいた。
    「……っ!」
    アレイオールは思わず飛び出した。
    生き返ったのかが誰かは分からない。だが、言いたいことがたくさんあった。
    「お、俺……俺は!」
    彼は魔法円のなかにいた人影に呼びかけた。

  • 91225/01/18(土) 21:47:12

    「あれい、……おーる?」
    親しんだ声を聞き、アレイオールは表情を明るくする。
    「ルナ……ルナか!?」
    「そこに、いるの……?」
    アレイオールは魔法円の中へと飛び込んだ。
    ルナはそこにいた。彼女は一糸まとわぬ姿で、魔法陣の中心に座り込んでいた。
    「ルナ!」
    その場に跪いて、アレイオールはルナを抱きしめた。
    「痛かっただろう、ごめん、ごめんな……」
    アレイオールは知らず涙を流しながら、ルナを抱きしめ続けた。
    「……どうして?」
    ふいにルナにそう言われ、アレイオールは我に返った。
    蘇生したばかりで何が何やら分かっていないのだろう。彼はここに来てようやく、彼女が何も着ていないことに気づいて慌てた。
    「こ、これを羽織って。事情はあとで詳しく」
    「……どうして」
    しかしルナは、同じ言葉を繰り返した。アレイオールが怪訝な表情を浮かべる。

  • 91325/01/18(土) 21:52:51

    「どうして……いきかえらせたの」
    「え……?」
    アレイオールは曖昧な笑みを浮かべて、ルナの問いを聞き返した。
    アレイオールが身体を離して見れば、ルナは恐怖に満ちた表情を浮かべていた。
    目から血の涙が流れ始める。
    「いたい……いたい、いたい……」
    「ど、どうしたんだ」
    「たすけて……たすけて……」
    アレイオールの言葉が届いていないらしく、苦痛の言葉をただ繰り返すルナに、アレイオールはただただ戸惑うしかない。そして。
    「なんだ、これ……」
    アレイオールは、自分がこれまで抱きしめていたルナの身体を見返した。彼が掴んでいた部分の皮膚が崩れ、骨と肉が剥き出しになっていた。
    「いたい、たすけて、いたいよぉ……」
    血の涙を流すルナは、口からも血を流し始めた。
    「あ……あぁ……!」
    アレイオールは自分の過ちを悟った。彼は振り向いて叫んだ。
    「シャヘル! 呪文が、呪文は失敗だったのか!?」
    「失敗?」
    シャヘルは表情を変えない。

  • 91425/01/18(土) 22:01:11

    「呪文は成功した。貴様の望み通り仲間は生き返ったぞ」
    「馬鹿を言うな! こんな、こんな……ああ、ルナ」
    アレイオールは自分が痛みを感じているかのようにルナをさすってやろうとしたが、みるみる崩れてゆく彼女の血肉を前に、どうすることも出来ず狼狽した。
    「愚かな勇者よ。その娘の姿をよく目に焼き付けておくがよい」
    シャヘルは言葉を続ける。
    「失敗から学ばぬ結果がこれだ。貴様が本当に己の行いを顧みていたならば、安易な選択はしなかったであろう」
    「ふざけるな! お前、お前は……!」
    シャヘルの身体が、薄らいで消えてゆく。声だけがアレイオールの耳朶に響いた。
    ”私は魔導師シャヘル。魔軍に仕える魔法使いだ。貴様の来訪、楽しみに待っているぞ”
    シャヘルが消え去った後も、アレイオールはルナのそばにい続けた。
    身体が歪に変形して不定形の異形となり、その痛みに血の涙を流し、やがて息絶えるその時まで。
    彼はそれに寄り添い続けていた。

  • 915二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:05:12

    アレイオールのメンタルがヤバい

  • 91625/01/18(土) 22:05:38

    アレイオールはまた一人になった。
    もう肉の這いずる音も、痛みを訴える声も、苦しげな息も聞こえない。
    ルナは塵となり、後には小さな一本の骨だけが残されていた。
    ルナの骨だ、とアレイオールは麻痺した頭で考えた。
    彼はその骨を拾い、両手で握ると、そのままゆっくりと、自分の首に当てた。
    目を瞑る。

    アレイオールの手の中で、骨が輝いた。
    勇者の力で強引に聖剣にされた骨は、瞬間的に破壊の力を発揮し、その切っ先――アレイオールの首に威力を発揮した。
    骨が音もなく崩れ、ごとりとアレイオールの頭が落ちる。首を無くした胴体が、少しふらついて倒れた。

  • 91725/01/18(土) 22:12:45

    夢を見ていた。
    楽しい夢だった気がする。もしかすると、前にあった現実のことを思い出していたのかも。
    確か冒険者ギルドで。そこには仲間たちがいた。
    リューベンも、モニタも、ジナイもルナもいた。ティルもいたが少し遠慮がちだ。
    (それから……それからどうなったんだっけ?)

    アレイオールが最初に考えたのは、俺はなぜものが考えられているのだろうという疑問だった。
    彼は自分の姿を見下ろした。夥しい血が衣服に付着していて、床にも広がっている。
    ふと横を見やると、自分と同じ顔をした青白い生首が、溶けるように消えていくところだった。

    「……くっ」
    アレイオールは噴き出した。
    「くっくっ……はっはっは、はは、はははは! あはは! あはははははははは!」
    彼は狂ったように笑った。
    首は、飛んだ。
    でも死なない。
    死ぬことが出来ないのだ。
    「あははははは! はははははは!」
    こんな滑稽な話があるだろうか。どうせ死なない自分を庇って、治して。
    笑いながら、彼は全力で自分の胸に腕を突き刺し、心臓を掴みだした。
    「がはっ! ははっ!」
    握りつぶして倒れる。笑い声がやみ、静寂が周囲を満たす。そして……。
    「……」
    やはりアレイオールは起き上がった。胸に空いたはずの傷は跡形もない。
    「ふふふ……」
    アレイオールはまた笑い始めた。笑い声は、いつまでも続いた。

  • 91825/01/18(土) 22:17:39

    およそ一日ほど経って、一人の男が洞窟から外に出た。
    血に塗れたボロボロの衣服をまとったその男は、幽鬼のように生気がなかった。
    レタラ村の近くの宿屋は、いきなりやってきた男のその姿に驚き、宿泊を拒否しようとしたが、有無を言わさぬ迫力に、思わず男を泊めてしまい。
    自分でも何を考えているのか不思議に思いながら、翌日になって去っていこうとする男に思わず尋ねてしまった。
    「なあ、アンタ。これからどこに行くんだ?」
    男は振り返って、事も無げに言った。
    「魔族の土地へ。魔王を倒しに行く」
    男は去っていった。宿屋の亭主が魔王討伐の報を聞くのは、これから一年後のことだった。

  • 91925/01/18(土) 22:19:18

    というわけで、例のシーンもお仕舞いです。
    プロット的には折り返しくらいなんですが、さすがに本編をほぼ全部SSで進行するのは色んな意味で厳しすぎたので、いったんここで畳もうと思います。
    一柱編とか書きたいところはあったんですが、また機会があればということで……。

  • 920二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:24:47

    了解です、濃厚な曇らせを楽しませて貰いやしたぜ感謝!

  • 921二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:25:54

    乙です
    4クールアニメだと24〜26話あたりのところかな?

  • 92225/01/18(土) 22:27:48

    >>921

    だいたいそれくらいですね


    このタイプのスレを運用するのは初めてだったので、設定と本編のバランスを完全にミスりましたね…

    本編移行後は設定が固まりすぎて安価を取ろうにも取れなかった…

  • 92325/01/18(土) 22:28:56

    ここまで付き合ってくださった参加者の皆さん、誠にありがとうございました
    何なら明日にでも別のジャンルでチャレンジしてみる予定なので、お時間あったらぜひ遊びに来てくださいね
    さすがに今回みたいな進行にはならないと思います

スレッドは1/19 10:28頃に落ちます

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