ゲヘナ給食部臨時調理員、陸八魔アル

  • 1二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:07:34

    アル「えっ、こんなに調理しないといけないの?」
    フウカ「当たり前でしょ、ゲヘナ生は、何人いると思ってるのよ?」
    ハルカ「アル様、私に任せてください。食材も全部ぶっ壊します」
    カヨコ「いや、壊しちゃだめでしょ」
    ムツキ「あはは、ハルカちゃんは相変わらずだね〜。ねっ、私と不審者対策にトラップ仕掛けに行こうよ」
    ジュリ「あんまり、変なものは仕掛けないでほしいのですが……」

    ここだけ、便利屋が用心棒兼調理員として給食部のヘルプに入っている世界

  • 2二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:08:20

    風紀委員会に見つかった時点で銃撃戦始まるんですがそれは……

  • 3二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:09:15

    >>2

    給食部で活動できてるってことは多分風紀から指名手配される前か、されなかった世界線なんじゃないかな……

  • 4二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:10:14

    もしくは依頼だからと御目溢しさせてもらっているか

  • 5二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:11:24

    ……ゲヘナ内で問題も起こしてない……
    何なら給食部周りが平穏になる……
    ツーセーフってところか

  • 6二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:11:44

    給食部は誰かがヘルプに入らないと、マジでいつ崩壊してもおかしくないからな……

  • 7二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:12:10

    アコ以外には美食からの護衛って言っておけばなんとかなるかも

  • 8二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:15:43

    実際、給食部に戦闘要員はいる
    風紀委員会が常駐しててもおかしくない程度には

  • 9二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:17:31

    「給食部に万が一があったら明日の給食がおにぎりだけになる」ってヒナの言葉、一度便利屋を追っ払ってしまった時の実体験のある言葉だった…?

  • 10二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:19:09

    ヒナ「私だってお昼は温かい美味しいご飯が食べたかった!!」

  • 11二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:19:22

    ハルナはフウカが楽できそうになって喜んでそう
    勿論、誘拐はするけど

  • 12二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:22:33

    >>10

    でもよヒナちゃん……

    時間が!!

  • 13二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:23:20

    おかもち持ってヒナ委員長に給食のデリバリーするアルちゃん……?

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:24:23

    アルを筆頭に便利屋なんだかんだ料理上手そう

  • 15二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:25:45

    漫画だとアルカヨコが料理できてムツキハルカはイマイチって感じだったな
    それでもおかしな物を錬成したりはする様子なかったから"あんまり得意じゃない"程度に留まってそうではあるが

  • 16二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:26:45

    ハルカがパンちゃん特効すぎる…

  • 17二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:27:54
  • 18二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 19:30:57

    フウカのまかない飯を毎日食べて常時元気100倍アルちゃんマン状態の便利屋とかすごいことになるよね

  • 19二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:08:07

    「え、ちょっと待って、聞き間違いかしら?」
    「ええ、私も言い間違いだったら良かったのだけれど」
    何人かの非行ゲヘナ生が囚われている風紀委員会の懲罰房の中で
    捕まっている生徒達から不満とも言えるブーイングが浴びせかけながらも、この風紀委員会の長まるで意にも介さずに冷静な態度は崩さない
    しかし、今にもため息が出そうと言うよな表情でもう一度、静かに、しかし疲労感は隠せない声色で言い放った
    「今日からしばらく、受刑者用のご飯は出ないから自分達でなんとかするように」
    「え、えぇ? それは風紀委員会としてどうなのかしら……」
    「文句は一緒に捕まっている、美食研究会に言いなさい。大判……じゃなかった、"小麦粉を練った生地に餡を入れた焼菓子"の名前に関する議論を給食部長に仕掛けた挙げ句、食堂にいた全てのゲヘナ生を議論に巻き込んで。結果的に暴徒化したゲヘナ生による食堂を爆破のおかげで、普通の給食すら満足に作れないんだから」
    「風紀委員長、本当にそれは大判焼きで良いのでしょうか? 私としては広く皆さんに知られている」
    「そういうのいいから」
    隣の房からハルナの声が聞こえた。アルの隣に囚われているらしいが、懲りずにヒナに議論をふっかけようとして、ピシャリと止められてしまった
    他の房もザワザワとしていて、議論が始まっているような……
    「焼菓子の名前なんて、自分が言いたいようにすればいいの、黙ってなさい。で、本題だけど、この中で料理できる人いる? 美食研究会は論外よ。料理させてるうちに逃げられたらたまったものじゃないし……」
    「なに、私達が作るってこと?」
    「そうよ、コンロと鍋くらいなら貸して上げるから。さっきも言ったけど、食堂が使えなくなったから、食堂復旧まで給食は少人数分しか作れない。他の生徒は自炊か外で食べてもらうにしても、あなた達にそれはさせれないから。だから作ってもらうことにしたの、勿論、風紀委員会の監視付きでね」
    なにか無茶苦茶な事を言っているように思うが、正気なのだろうか
    囚人に対する食事くらいは、別にカップ麺とかインスタントな物でいいし、誰もそれで文句は出ないだろうに
    「いないの? 居なかったら、3食適当に切っただけの生野菜になるわね。給食で出せない分、野菜はたっぷりあるから」
    そういうことか、合点がいった
    使えない分の食材を有効活用しようというのだ

  • 20二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:10:36

    「あの、私作れるわ」
    「便利屋の陸八魔アル、本当?」
    「便利屋の社員の食事は手ずから、私が作ってるのよ」
    「それなら、それなりに手慣れてそうね。じゃあ、任せたわ。料理中に脱走しようとか考えないでね、貴女たちのオフィスまで捕まえに行きたくないもの」
    恐ろしいことを言う
    ゲヘナに逃げた賞金首を追いかけて、少し建物を破壊しすぎただけなのに、情状酌量くらいしてくれてもいいと思うのだけれど
    賞金首も捕まえれたみたいだし、ムツキたちは無事に逃げ切れたみたいで、何日か牢の中で我慢していればいいと気楽に考えていたのに
    まあ、捕まっている間はいい気晴らしになるだろう
    「あとの詳しいことは牢番してる子に聞いて」
    そう言い残すと、ヒナは踵を返して牢を出ていった
    普段は白モップと言われるくらいにはあるヒナの髪のボリュームも心なしか、ツヤがないように思える
    そういえば、目の下に薄っすらと隈もあったような
    何日ぐらい寝てないのだろうか
    「なんだか、ヒナさんお疲れでしたわね。こういう時こそ、美味しいものを食べてリラックスすると良いのですが」
    どの口がそれを言うのかと
    悪びれもなくそう言うハルナにツッコミを入れて
    まあ、そう言う陸八魔アルも問題を起こして捕まってるのだから何も言えない立場なのだが

  • 21二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:11:22

    「ああ、それにしても便利屋のアルさんの料理は楽しみですわね。一体、どのような物が出てくるのかしら」
    「意外だよね、あんまり料理できそうな気がしないのに」
    「そんなことを言っては駄目ですよ☆ 誰だって料理は慣れですから、どんな人でも慣れれば美味しく作れるんですから。まあ、私はお腹いっぱい食べれればいいですけど」
    「コーヒーソースに合う料理だといいな〜」
    美食研究会は好き勝手な事ばかり言ってる
    呑気なものだと思うが、ふと考えれば多くのゲヘナ生にとって風紀委員会の牢屋は第二の自宅のようなものだ
    特に入り慣れている彼女たちなら、さもありなん
    「あんまり期待しないでよね、普通の料理しか作れないから」
    「普通の料理と皆さんおっしゃいますが、普通の料理なんてありません。その人が心を込めて作った料理は唯一無二のもの。それに上も下もありませんわ」
    意外とまともな事を言ってる
    もう少し美食に関して厳しい価値観を持っていると思っていたのだけれど
    「もちろん、適当な料理を作れば話は別ですが。その時には然るべき手を打ちましょう」
    前言撤回
    やっぱりちょっと、いや、かなり独特な価値観を持っている
    「まあ、牢屋で食べるというシチュエーションならば、どんな食べ物でも美食を堪能することができるでしょうけどね、ふふふ」
    先が思いやられる
    フウカはよく相手していられるな、と久しく会っていない同級生の呆れ顔を瞼の思い出しながら、陸八魔アルは何を作ろうかと考えるのであった

  • 22二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:12:24

    とりあえずここまで
    続きは規制されてなければ書け次第投稿します

  • 23二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:47:13

    風紀委員会生徒に連れられて第二調理実習室に連れてこられた
    アルの腰にはハーネスベルトのようなものが繋がれて、その紐先は風紀委員会生徒の手の中にある
    逃げないしアウトローらしくないからやめたくれと言ったのに、規則ですから、と申し訳無さそうにおずおずと言われたら引き下がる他なかった
    廊下ですれ違う見知った同級生から面白がって見られるのは少し応え、こんな事なら申し出なければよかったと思ってしまったが、仕方ない
    やるとなったからには真面目にやろう、ハルナからも変な期待をかけられているし
    「で、こんなに食材があるなんて聞いてないんだけど?」
    「これでも1食分らしいです」
    アルの前には大量の食材が並べられている
    ゆうに100人前くらいは使えそうな量だ
    檻の中には美食研究会含めて10人くらいしかいなかったはずだけど
    「現在、第一調理実習室でフウカ給食部部長が突貫で給食を作ってますが、その余りです。食堂の大型冷蔵庫も壊れたみたいなので、今日中に使い切る必要があるみたいで、できるだけ使って欲しいと」
    私たちが調理実習室に運び込んだんですよ、と胸を張って言うが、アルの耳からは右から左へ流れていった
    流石にこの量の食材を捌いたことはないのだ、アルができるのは家庭料理くらいで大人数向けの料理はしたことがない
    「ちょっと、私には手にあまるような……」
    「まあ、失敗しても牢の中の人たちに恨まれるくらいですから、気楽にやってください」
    勝手なことを
    アルがキッと風紀委員生徒を睨めつけると、どこ吹く風と目をそらされた、コイツ……
    食材に目を向けると、一番目を引くのは山盛りのトマト、次ににんじんとたまねぎ、キノコに葉物野菜に牛肉と一通り調理に使えそうな物はあって何かは作れそうだ

  • 24二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:48:11

    「はぁ……まあ、仕方ないわやるだけやりましょ。あなたも手伝ってくれるのよね?」
    「え、私もですか? 私は監視として……」
    「手 伝 っ て く れ る わ よ ね ?」
    「はい……」
    気弱な娘で良かった
    一人でこの量を捌くのは無理がある、少しでも協力者は必要だ
    いや、給食部はこれ以上の量を2人で調理しているのか
    それを考えると、フウカたちの調理技術は卓越したものなとだろう
    「あ、ちゃんとカレー粉はあるわね。流石はフウカ、この量で小鉢を作るのは無理だからカレーにしちゃいましょうか」
    「え、トマトはどうするんですか? あまり料理したことないですけど、カレーにトマトは入れないですよね」
    「大丈夫、ちゃんと考えてるから。と言うわけで、この大量にあるトマトのヘタ部分を切り落として、みじん切りにしてくれない、こうやって」
    アルが包丁を手に取り、実演してみせる
    よく洗ったトマトのヘタ部分を切り落とし、細かく角切りにしていく
    「ヘェ~上手なもんですね」
    隣で見ている風紀委員会生徒が呑気なことを言いながらじっと見る
    「こんなものかしら、簡単でしょう? 大きさはバラバラでいいから、できるだけ細かく切って。できたら適当にボウルに入れといてね。多分、沢山になるから」
    「分かりました、これくらいなら私でもできそうです」
    「慣れるまではゆっくりでいいから、手を切らないように気をつけて」
    風紀委員会生徒が調理を始めるのを少しだけ観察
    あまり手慣れているという訳ではないが、全く包丁を握ったことがないと言うわけではなさそう
    そこまで早くはないが、慎重に包丁を使っている
    これなら任せられるだろう
    「あ、そう言えばご飯は……?」
    「給食部の大型炊飯器が無事だったみたいなので、それは給食部で準備するらしいです」
    「そういう事なら」

  • 25二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:49:06

    アルは安心して、たまねぎと人参を用意し始めた
    流石にこの量をみじん切りにするのは骨が折れるので、皮を剥いて大きく分けてからフードプロセッサーに入れて細かくしていく
    「給食部のフードプロセッサー凄いわね、相当入る……確かにこれがあればかなり楽そう」
    「なんとか爆破を逃れたみたいですね。とは言っても、フウカさんはあんまり使ってないみたいですけど。っと、出来ましたよ。あちゃ~手がベトベトだ」
    どうやらトマトの準備が終わったらしい。
    トマトだけで50個くらいあったと思うけど、この子は意外に手際は良いみたいだ
    「ありがとね。じゃあ、あとは具材を入れて煮込むだけだから待っててちょうだい。」
    フライパンに火を通した牛肉を寸胴鍋に入れる
    この鍋だけでも50人前くらいありそうだけど、せっかく材料沢山もあるから、2つに分けて入れる
    そうしたら、フードプロセッサーで刻んだ人参、たまねぎ、山盛りのトマトを入れて蓋をして煮込む
    「水は入れないんですか?」
    「今回は入れないわ。トマトの汁と野菜から出た水分だけで作るのよ」
    「ああ、無水カレーとかいう」
    「よく知ってるわね」
    「漫画で読んだので」
    そんな事を話しているうちに、キノコの石づきを落として一口大に切っていく
    あと、生野菜を大きなボウルに千切って入れて、簡易的な生野菜サラダを作っておく
    そうこうしている内に、鍋のフタがアルたちを呼ぶようにカタカタと揺れ始めた
    「水分が出てきたみたいで沸騰し始めたわね。じゃあ、あとはカレールーを味を調整しながら入れて終わり」
    「ジャガイモは入れないんですか? 私はジャガイモがないカレーはちょっと……」
    「美食研究会みたいなこと言わないでよ。ジャガイモも沢山あるから入れてもいいけど、ジャガイモは日持ちするし、何よりこの量のジャガイモの皮を私たち二人で剥けると思う?」
    ダンボール一杯に入ったジャガイモも指差しながらアルは言った
    ジャガイモも1つや2つくらいなら何でもないが、流石にこの量を剥いていくのは無理がある
    アルは料理ができるのであって、大量の皮を効率よく剥く技術はない

  • 26二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:50:56

    「さて、ちょうどいい感じに煮えたわね、ほら見てみなさい」
    「あ、ホントだ。でも、ドロドロしてますね」
    「まあ、無水カレーだしこんなもんでしょ、悪いけど味見してもらえる?」
    「はい喜んで!」
    お玉で掬ったカレーを小皿に写し、風紀委員会生徒に食べさせてみる
    「ちょっと甘いような……でもコクがあって全然イケます!」
    「じゃあ、少しだけルーを足して混ぜましょうか」
    少しだけ、とは言っても箱単位でルーを入れてから、アルがカレーを作る際に隠し味にしている調味料をいくつか入れて、味見しながら整えていく。
    調理を初めてもう1時間以上経つ。
    お昼が目前で、檻の中の美食研究会どもが暴れていなければいいけど、と考えながらも、やっぱりつくるからには美味しく食べてもらいたい
    折角協力を依頼されたのだから、誠意を持って味に妥協せずに作りたいのだ
    「後はもう少し煮込んだら完成よ。お疲れ様、手伝ってくれてありがとね」
    「はい、お疲れ様でした。偶に料理するのも良いものですね~」
    「あと、私たち囚人はこっちの1つでいいから、残りのもう一つは風紀委員会に差し入れにしといて。こんなにあっても食べきれないし」
    いや、アカリがいるから食べきることはできると思うが彼女には我慢しもらうしかない
    今日のお昼と夜はこのカレーで過ごすつもりで作ったのだから
    「え、いいんですか?」
    「いいわよ、ヒナのあの感じじゃどうせ、あなた達含めて忙しくて、あんまり食べれてないんでしょ。カレーなら食べやすいから皆に配ってあげて」
    あと、情状酌量で早めに解放してとは言わなかった
    なんというか、料理を作った交換条件で外に出るのはあんまりアウトローじゃないと思ったから
    カレーが煮込み終わったら、嬉しそうな顔をした風紀委員会生徒を見送ってアルも鍋と生野菜の入ったボウルを乗せた台車で押しながら調理実習室を出た
    「そう言えば、あの子、私のハーネスの紐忘れてるけど良いのかしら」
    いや、良くないと思うが、この隙に逃げるのはなにか違う気がする

  • 27二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:52:09

    アルはフウカたちが調理している第一調理実習室に寄ってご飯を人数分貰ってから牢に帰った
    その際に涙目になっているフウカに味見して貰ったら
    「この無水カレー美味しい! こんなに美味しい料理が作れるのなら、アルも一緒に給食部やりましょ? やるわよね? やらないわけないわよね?」
    と据わった目で見られたので、丁重に
    非常に丁重にお断りして、フウカたちから逃げ出しだ

  • 28二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:53:46

    おつおつ
    料理に手慣れてるアルちゃんいいね!
    そしてフウカ部長の熱い眼差し……まぁ残当

  • 29二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:55:19

    牢屋にて配膳を始めたらお腹をすかせたゲヘナ生たちが我先に欲しいと言って聞かないので、ちょっとゆっくり配ってやることにした
    カレーの香ばしい、空腹を促すスパイスが牢屋の中に充満している中でこれは拷問だろう
    かくいうアルも食欲が刺激される匂いで、喉が鳴る
    「私の分は超大盛りでお願いします☆」
    「皆同じ量だけよ、夜もこれ食べるんだから。夜余ったら好きにしなさい」
    「約束ですよ」
    アカリの房に来るとそんなことを宣う
    確かに普段のアカリの食事量なら少ないかも知れないが、無水カレーは野菜が溶け込んでいるので結構ボリューミーだ
    満足度まではいかないが、ちょっとくらいは腹は満たせるだろう
    まあ、とは言っても暴れられても困るので気持ち多めに注いであげた
    「あら、無水カレー。ニオイは……ふむ、市販のカレールーですわね」
    「1から作るのは無理よ」
    「いいえ、文句を言っているのではありませんわ。市販のカレールーはプロの料理人たちが吟味したものです。その美食を受け止めなくては美食研究会会長は名乗れませんわ。そして、味は……いただきます……ング……これは中々……ふむ……」
    何か少しドキドキしてきた
    別にハルナ気に入られたいとは思わないけど、味覚だけは間違いなくキヴォトス一だ
    せっかくだから、ハルカ美味しいと言ってもらいたいものだ
    「美味しい……ですね」
    溜めが気になるが、まあ、一先ず爆破されることはないだろう
    「カレーのルーの味をしっかりと出ていて、野菜の甘味とよくマッチしています。カレー店のような個性はないですけれど、間違いない美味しさで、正に素朴な味ですわね」
    要は普通ということでいいのか
    いや、さっきのハルナの便であれば普通などはないと言うが、その中で素朴な味と言われたのならそれはそれで満足だ

  • 30二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:57:20

    「さて、これで配膳も終わったから私も食べましょうか」
    とは言っても自分が入っていた檻は鍵がかかってて入れないので、牢番がいつも座っている椅子に座ってカレーを食べ始めた
    というか、牢番はどこに行ったんだ?
    「まあ、いいか。いただきます」
    無水カレーの独特な粘り気のあるルーが口の中に満たされる
    トマトを沢山入れたから少し酸味があると思っていたけど、全くそんなことはなく、カレーの味がトマトこ酸味を消し去っていた
    無水カレーの特徴で、野菜の甘味が入っていてコクがあるから普通のカレーよりも甘味が有るけれど、その中にもしっかりと辛味があって食欲を刺激する
    「うーん、コーヒーソースともよくあう!」
    「そうかな……そうかも……」
    「ジュンコもかけてみる?」
    「いや、辞めとく……」
    檻の中で美食研究会が騒いでいるが、面倒なので放置しておく
    それにしてもコーヒーソースか、カレーの隠し味にコーヒー粉を入れる人もいるから、量をちゃんとすればそれなりに美味しいかも知れない
    アルはやろうとは思わないけれど

  • 31二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:57:40

    「陸八魔アルはいるか?」
    お腹が空いていたおかげで、スプーンが素早く動き、あっというまに全て平らげてしまったところに、騒がしいお客さんが銀髪を揺らしながらやって来た
    「あれ、牢番はどうしたんだ?」
    「さあ、ここに来たら居なかったわよ。私の牢も開かないから、ここで食べさせて貰ってるの」
    「はぁ〜またか。凶暴犯はすぐに逃げるから目を離すなと言ってるのに、全く……」
    凶暴犯ではないと言われているような気がして、少し気になったが、それよりも銀鏡イオリが自分をわざわざ呼びに来たことの方が驚いた
    「何? 用があって私を呼びに来たんでしょ?」
    「あ、そうだ、委員長が呼んでるから一緒に来てもらう」
    「えっ、えええ? 何の用? わ、私、ちゃんとお昼作ったわよね?」
    「ああ、美味しかった。アルがあんなに料理が得意とは思わなかった」
    「そうじゃなくて」
    「大丈夫だと思うよ。なんか久しぶに上機嫌だったから。最近、まともに休めてないからずっとピリピリしてたけど、あの感じだと多分大丈夫だと思う」
    「イオリの言葉を信じていいのかしら」
    「失礼な奴だな。まあ、信じるにしろ、信じないにしろ、委員長が読んでるんだから来るしかたさないと思うよ」
    そう言ってて、イオリはハーネスの紐先を持ってアルを引っ張ろうとした
    「ああ、それと、檻の中の奴らは見張りが居ないからって逃げようとするなよ。すぐに牢番が来るから、特に美食研究会、お前ら!」
    「安心してくださいな、イオリさん。寝かせたアルさんのカレーを味わうまでは、しばらく脱走はしませんわ」
    「よし!」
    堂々と脱走宣言されたのにそれで、いいのか銀鏡イオリ
    そんなツッコミをしながらアルはイオリ後ろをついていった

  • 32二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 20:59:48

    「陸八魔アル、カレー美味しかったわ。久々にカップ麺とカロリーバー以外を食べれて良かったわ」
    ヒナの身体が隠れるほどの書類の山の底から、いつもどおりの落ち着いた声色でヒナの声が聞こえた
    風紀委員長室に来る前にも複数の風紀委員からお礼と味の感想を言われた
    特にあの奇抜な格好の行政官からは、苦虫を潰すような、本当は言いたくないけれどお礼くらいはちゃんと言っとかないと人として駄目だから、取り敢えず言うしかないといった表情で
    「悔しいけど美味しかったです……本当に……」
    と言われた
    「え、そんなものしか食べてなかったの?」
    「最近、忙しかったから」
    「いくら風紀委員長でもそんな食生活だと倒れちゃうわよ」
    「分かっては居るんだけど、お弁当を作る時間も給食の時間に食べいくような余裕もなくて」
    やはり、それだけ忙しいのか
    いや風紀委員長の仕事ぶりなら納得ではあるが、そこまでしていて身体を壊していないのが不思議だ
    「ま、私の食事についてはどうでもいいの」
    山のような書類が動いて、椅子に座るヒナが見えるように書類の谷ができた
    器用に動かすものだと感心するが、手慣れているということは、これの書類の山が日常茶飯事なのだろう
    「便利屋社長陸八魔アル、これはゲヘナ風紀委員長としての依頼よ。知っての通り、食堂が爆破されて今は使い物にならなくなっている。とは言っても、ゲヘナの建築技術はキヴォトス1。すぐに再建されるとは思う、けど、毎回壊されてたら給食が止まって学園運営にも問題がある。フウカの不在で全食おにぎりになったときは、ゲヘナ中の生徒が反旗を翻したこともあるの。あれの鎮圧には骨が折れたわ。だから、あなたたち便利屋に風紀委員会として依頼を出すわ」
    そう言ってて、ヒナは机の中から書類を出してアルに手渡した
    「要は臨時調理員とし給食部を手伝ってもらうことと、食堂を爆破しようとする輩を排除してもらいたいの。報酬は……万魔殿から予算を毟り取ったのでそれで。あと、口座の凍結はゲヘナに正式に戻ってくるまで解除できないけど、仮の便利屋名義での口座開設を許可するわ、どうかしら?」

  • 33二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:01:06

    「急な話ね」
    「そう、急を要する事だから。あと、フウカからも貴方の腕を見込んで是非お願いしたいと申し出があったわ。勿論、受けてくれたら刑期を短縮、今すぐ帰っていいわ。そうじゃなければ、予定通り来週月曜まで入っててもらう、その間の囚人の料理は作ってもらうけど」
    「期間は?」
    「更新ありで1ヶ月くらい。気に入ったのなら、そのまま続けてもらってもいい。便利屋としての仕事があるのなら、事前に言ってもらえばフウカと相談して融通を効かせる」
    なにか美味しい話しすぎて裏があるような気がする
    書面に目を通すと、ちゃんとした契約書になっている
    フウカの署名がすでにされている
    片手間に書いたのか、急いだようなミミズの這ったような字にはなっているが
    カヨコに言われたように内容もしっかりと精査して読み込むが不審な点もない
    空崎ヒナがそんな小細工するとも思えないが
    報酬も日給は悪くないし、これが安定して出るなら正直助かる
    「一応、便利屋の皆と相談させて」
    「そうだと思った、はい、これ」
    ヒナがポケットからスマホを取り出して渡してきた
    私のスマホだ
    こうい準備万端なのはカッコいい、アルはスマホを受け取りながらそう思いつつ、便利屋のグループももトークにさきほどのやりとりを入力した
    すぐに既読がついて、色々と質問され返答していく
    結果だけを言えば、アルがやりたいのなら皆協力するとの事だった
    「話はまとまった?」
    「ええ、もちろん。今すぐは別の依頼が入ってるから無理だけど、今日解放してくれるなら、来週から手伝えるわ」
    そう言いながら、アルは委員長机とペンを借りて達筆な字で署名をしてヒナに渡した
    ヒナもじっくりとアルの署名を見てから、サラサラと署名した
    「これで契約成立ね。勝手に契約破棄したら、殴り込みに行くから」
    「契約は契約よ、反故には絶対にしないわ」
    それならいいの、とヒナは一仕事終えたかのように椅子に深く座り込んだ
    そうして、少しだけ天井を見上げ少し考えてから
    「そういえば、あのカレーは余ってないのかしら?風紀委員会にもらった分は全部食べてしまったみたいで。少し寝かした物を今晩食べてみたいのだけれど」
    少しだけ恥ずかしそうに頬を赤らめながら、そう言ったのだった

  • 34二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:18:40

    >>29

    コピペブログミスで行が抜けてます

    アカリとハルナの間に"次はハルナの番だ。

    大人しく、牢屋の中で待っているが、期待しているという目を向けてきて少し緊張する"が抜けてました

  • 35二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:22:35

    神SSすぎる…

  • 36二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 21:47:21

    ヒナにしてもフウカにしてもゲヘナの組織側は割と労務体制悲惨だよね
    便利屋を雇うことで給食部を守れるのなら、ヒナもらくになるだろうし

  • 37二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:12:09

    >>28

    料理できる人材はなんとしても欲しいだろうし

    何で2人(実質1人)で4000人分の料理作ってるんですかね

  • 38二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 08:06:35

    給食部の部員ってモブキャラすらいない?

スレッドは12/17 20:06頃に落ちます

オススメ

レス投稿

1.アンカーはレス番号をクリックで自動入力できます。
2.誹謗中傷・暴言・煽り・スレッドと無関係な投稿は削除・規制対象です。
 他サイト・特定個人への中傷・暴言は禁止です。
※規約違反は各レスの『報告』からお知らせください。削除依頼は『お問い合わせ』からお願いします。
3.二次創作画像は、作者本人でない場合は必ずURLで貼ってください。サムネとリンク先が表示されます。
4.巻き添え規制を受けている方や荒らしを反省した方はお問い合わせから連絡をください。