- 1福丸は俺24/12/16(月) 21:39:59
- 2二次元好きの匿名さん24/12/16(月) 22:23:00
建て乙ですぴゃ
- 3福丸は俺24/12/16(月) 23:53:47
「ぴゃいっ!」
「ぴゃいっ!」
「ぴゃいっ!」
……今日は木曜日。
来る決戦の日に向けて、猛特訓の最中。
「…………ふぅ」
「……随分広くなったな。ここも」
実福狩りの影響により、脱福する門下生が後を絶たない。
無理のないことだ。命を張ってまで実質福丸小糸で在り続けるなんてなかなかできることじゃない。
分かってる、分かってる、解ってる…わかってるよ。
……だけど思ってしまうんだ。
「…………寂しいな」 - 4福丸は俺24/12/16(月) 23:54:12
金曜日。
また1人……2人……
脱福者が増えていく。
かつて一緒に高め合い、笑い合った彼らの姿はもうどこにも見えない。
「…………」
「…………ぴゃあっ!!」
ぴゃ力の消費を抑える訓練をした。
月曜日はトール達との連戦になる。
数では向こうが圧倒的有利。
必要最低限のぴゃ力消費量で戦わなければあっという間にガス欠になるだろう。 - 5福丸は俺24/12/16(月) 23:57:48
土曜日。
また死人が出た。
実福狩りだ。
街で一人歩いているところをトールに狙われたらしい。
「…………」
今にも飛び出して奴らを探し出し、この手でとっちめてやれたらどんなに良いだろう。
……でも今はまだその時じゃない。
決戦まであと2日…… - 6福丸は俺24/12/17(火) 00:42:13
前スレでは久々の再開にも関わらず保守をしていただきありがとうございました
引き続き完結に向けて頑張ります - 7二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 04:22:31
ぴゃあっ...!
た、楽しみにしてます...! - 8二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 05:59:06
ブォ…
- 9二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 06:48:17
ほ
- 10二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 06:56:45
す
- 11二次元好きの匿名さん24/12/17(火) 17:32:28
俺も実福になれば冬優の寒さに耐えれるかなっ...!
- 12二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 01:24:43
浅倉透ファンヒーター ブォ…
- 13福丸は俺24/12/18(水) 06:20:04
日曜日。
決戦の日、その前日。
とうとう誰もいなくなった。
残ったのは僕と師匠だけだ。
いつか師匠が言っていたっけ。
“孤独”を知れ──
それが真の実質福丸小糸に至るのに必要なんだと。
結局師匠の言う通りになってしまった。
「よぉ、何しょぼくれた顔してんだよ」
「え……」
そんな、いるはずがない。
トールや福面との戦いで大怪我を負って入院してるはずだ。
なのに……なんで…… - 14福丸は俺24/12/18(水) 06:21:13
「ルカ!」
「明日奴らが攻めて来んだろ。俺も戦うぜ」
「怪我は…………」
『怪我はいいのか』と、聞こうとした。
けれど、すんでのところでその言葉を飲み込んだ。
良いはずがない。 良いはずがないんだ。
数日で治るような怪我じゃない。
本来なら僕は引き摺ってでも病院に連れ戻さなければならないのだろう。
だのに、どうしても僕にはそれができなかった。
思ってしまったんだ。
逆の立場ならどうだったろうと。
怪我をしたのが僕で。 置いていかれたのが僕で。
独り死んでしまったのがルカだったなら、と。
もしそうだったら僕は許さなかっただろう。
置いていったルカを。 這ってでも戦いに加わらなかった自分を。 - 15二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 15:53:14
ぴゃあ...(孤独)
- 16二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 22:36:17
実質雛菜だからな
- 17福丸は俺24/12/19(木) 06:08:39
「そうか。ルカよ、お主も戦うか……」
「おう、俺一人寝て待ってなんていられねぇぜ」
病院を抜け出して帰ってきたルカ。
僕達は師匠にそのことを報告しに来た。
「戦いに加わるのは許可する……じゃが」
「……足、引っ張るでないぞ?」
「師匠! それは言い過ぎだ!」
「いいんだ。実力不足は俺が一番分かってる」
「ジジイにも今のお前にも、正直着いて行ける気がしねぇ」
「ルカ……」
「『足を引っ張るなよ、雑魚が……』……ジジイがそう言いたくなる気持ちも分かるぜ」
「それは言っとらん」
「けどよ、心配すんな。何もできねぇまま、気づかれずに終わらせはしねえ」
「…………では見せてもらおうかの。お主の実質福丸小糸を」
「おう!」 - 18福丸は俺24/12/19(木) 06:09:04
その日の修行を終え、僕達は久し振りに毎日特訓を重ねたあのビルの屋上へやってきた。
「なんだか懐かしいな……」
「強くなりたいと思った」
「だからここで二人で特訓を始めた」
「こんなやべー戦いになるとは思わなかったけどな」
「…………」
「不安か?」
「…………あぁ。戦うことはもう怖くはない。だけど……」
だけど、時々不安に思うことがある。
「僕達はどこに向かって走っているのか……って」
福丸さんのことを知りたくて実質福丸小糸になった。
それが今ではこの街を守る為に、平気で人の命を弄ぶような連中と戦うようになってしまった。 - 19福丸は俺24/12/19(木) 06:09:25
「僕達はどこに向かって、どこまで走っていくんだろう」
「…………それは……俺馬鹿だから分かんねえけどよ」
「今のお前は良い方向に成長してると思うぜ」
「……うん」
「だったら、流れに身を任せてこのまま突っ走るのも良いんじゃあねえか?」
「…………そうかな」
「……なぁルカ」
「走った先に何もなかったら……一緒に『何もなかったね』って笑ってくれるか?」
「…………!」
「…………あぁ……たりめぇだろ」
一瞬の間の後、ルカは笑ってそう答えた。
「……ありがとう、ルカ」
「帰ってきてくれて。一緒に走ってくれて」
ルカは僕にとって……どんなカミサマよりも、信じられる理解者だ。 - 20二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 12:55:16
実福のその先には小糸の強張った顔があるから一緒に笑おう
- 21二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 22:48:53
前回メタルアサクウラを倒したのはこいつなんだぜ
- 22福丸は俺24/12/20(金) 06:25:26
そして……夜が明け
決戦の日がやってきた。
こちらの戦力は僅か3人。
それに対して敵は100人以上の人造人間。
はっきり言って勝ち目は薄いと思う。
敵は一人一人が化け物みたいな強さを持った機械。
……でもそれは前提だから、諦める理由にはならない。
こっちにだって超強い師匠と……
「ん? どうした」
「いや…………絶対に生きて帰ろう」
親友がいる。
こんなに心強いことはない。 - 23福丸は俺24/12/20(金) 06:25:50
「今回儂は別行動させて貰う」
「え……固まって動いた方が安全なんじゃ」
「全員一箇所に固まっておっては彼奴等に狙われた実質福丸小糸達を守り切れぬじゃろう」
「それに……儂のぴゃ力で本気を出せば、お主らをも巻き込みかねん」
「なるほど……分かりました」
師匠の本気の戦い……この目で見てみたかった気もするが、そういうことなら仕方ない。
「さて……準備はいいかの」
「はい……!」
「おう!」
「ぴゃっぴゃっぴゃ……全員生きて帰るんじゃぞ……では行くぞ!」 - 24二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 12:34:28
周囲を巻き込むぴゃ力……?
巻き込まないぴゃ力もわからないけど - 25二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:53:09
実質福丸達は一箇所に固めて置けるような人数じゃないからな
分散するしかない - 26二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 03:12:52
ぴゃ力を論理的に理解することは
今の人類には難しい
体感するしかない - 27二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 13:30:41
- 28二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 23:03:20
ぴゃ力が何なのか真にそれを理解しているのは小糸だけなんだろうな
- 29二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 05:32:22
ぴゃ力とは何なのか?
その謎を解明すべく、我々は聖蹟桜ヶ丘の奥地へ向かっぴゃ―― - 30福丸は俺24/12/22(日) 06:42:14
師匠と別れた僕達は、できるだけ人気のない場所を求めて歩いた。
「なぁ、それ」
「あ? あぁ、このバットか?」
ルカが手に持っているのは金属バット。
「それってこの前トールが持ってたやつだろ」
「良いだろ気に入ってんだ」
「ぴゃ力が低い俺でもこれなら少しは戦えるしな」
「お前は何も武器持たなくてよかったのか?」
「うん。バットとか刃物を振り回すのには抵抗あるし」
「それに、この前の公園での戦いで拳をぶち込んだ時……妙にしっくりきたんだ」
「フゥン……お、この辺でいいんじゃねえか?」 - 31福丸は俺24/12/22(日) 06:42:41
工業地帯の一角に、今は使っていないと思われる寂れた廃工場があった。
こういう所に勝手に入るのは良くないが……戦いに関係ない人を巻き込むよりはいいだろう。
「……で、こっからどうすんだ?」
「簡単だよ」
奴らは実質福丸小糸だけを⬛︎す機械。
その判断は“ぴゃ力”の有無で処理される。
つまり……
「ぴゃ力を解放して奴らをここへ誘い込む」
ブォ…
普段は制御しているぴゃ力を全開に。
「す……すげぇ……なんてぴゃ力量してんだよ……」 - 32二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 12:00:43
ぴゃ力は持ってない人も居るのか
小糸とかがそうなんだろうな - 33二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:19:33
わざわざバットを持ってるんだからトールの硬度はそれ以下なのかな
- 34福丸は俺24/12/23(月) 06:03:32
ぴゃ力は撒き餌。
街中にトール達が潜んでいる今、僕の膨大なぴゃ力量をチラつかせれば……
『お〜 いるじゃん』『しゃー やるか』
……早速釣れたようだ。
「敵さんは4人だぜ。どうする?」
「僕が3人貰う。ルカは残りの1人を頼む」
「やれんのか?」
「多分」
奴らと戦う為にこの数日間ずっと修行を重ねた。
あの日以降、実戦は初めてだけど……
──僕はもう躊躇わない。
──僕はもう恐れない。 - 35福丸は俺24/12/23(月) 06:04:38
「…………ッ!」
一気に駆け出して、やつらの懐へ潜り込む。
「速ぇ!」
……奴らと戦って、奴らと言葉を交わして分かったことがある。
奴らは僕と同じように思考し、言葉を話す。
……けれどそこに“人の心”はない。
トールは所詮AIでしかなくて、その言葉には意味を持たない。
機械が人を真似ているだけなのだ。
だから奴らとの対話は無意味。此方の心を乱す為だけの物だ。
「ぴゃぁ!」
必要最低限のぴゃ力を凝縮し、拳に込めて打ち込む。
「ぴぇぇい!」
1人……2人……言葉を発するよりも前に、トール達は溶けて無くなっていく。
「おぉぉぉぉぉぉ!!」
「“白線”!!」 - 36二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 08:53:36
トールが透になるにはサンプルが足りない
実福と同じだな - 37二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 20:23:15
ピ ャ
- 38二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 03:14:23
ふふっ
サンタいないわ - 39福丸は俺24/12/24(火) 06:26:20
「…………ふぅ」
……よし、ちゃんと戦える。
あんなに苦戦したトールだけど、今の僕達が負ける相手じゃない。
「こっちも片付いたぜ。すげぇな。あっという間に3人倒しちまった」
「そういうルカだって」
「どうしたってお前やジジイには敵わねぇけどよ、俺だってただ病室のベッドで寝ていたわけじゃねぇぜ」
「常にぴゃ力のコントロールを…………と」
「次のお客さんが来ちまったな」
「うん。またさっきと同じように行こう」 - 40福丸は俺24/12/24(火) 06:26:52
「最強」なのだった。
戦いが始まってから2時間は経ったろうか。
続けてやってくるトール達を難なく撃破し、その数は既に数え切れないほど。
師匠も別の場所で戦っているから、きっと奴らの戦力も残り僅かなはず。
「…………ッ」
「ルカ?」
突然蹲ったルカ。
「怪我が痛むのか? だったら暫く休んだ方がいいよ」
「す……すまねぇ……」
無理もない。本来戦えるような身体じゃないんだ。 - 41福丸は俺24/12/24(火) 06:27:18
残りは僕一人で片付ける。
大丈夫。余裕で勝てる。
そこへ、新たに1人のトールがやってきた。
すぐに片付ける。
……そのつもりだった。
トールは懐から何かを取り出して此方へ向けた。
何か分からないけど関係ない。
ぴゃ力を拳に────
「…………!?」
莫迦な…………ぴゃ力が……なくなった…………?
狼狽える僕を見て、トールは「ふふっ」と笑った。
『貰ったわ お前のぴゃ力』
「ぴゃ力を…………奪われた…………だと…………?」 - 42二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 08:52:45
ぴゃん解が……
- 43二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 11:08:59
どうやって戦えばいいんだ!!!
- 44二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:57:36
千年ぴぇっ戦篇
- 45福丸は俺24/12/25(水) 06:23:18
「…………っ」
やられた……どういう技術かは分からないけど、奴らはぴゃ力を奪う術を持っている。
今の僕には僅かなぴゃ力も残されてなくて、奴らを倒すには微量なぴゃ力をぶつける必要があって。
とどのつまり、今の僕にトールを倒すことはできない。
『おーい 出てきて良いよ』
僕のぴゃ力を奪ったトールの言葉を合図に辺りの建物や物陰から、ぞろぞろとトールが姿を現した。
「……嘘だろ…………」
数にして、20……30……いや、50はいる……
「まだそんなに残っていたのか……!?」
既に100人近く倒して、それに師匠だってどこかで戦っているはずなのに…… - 46福丸は俺24/12/25(水) 06:23:45
なんにせよ、これでは勝ち目がない。
一旦退いて体勢を整えなければ……
「ルカ! 動けるか? どこか隠れる場所を探そう」
「お……おう……問題ねェ……」
僕達は追手から逃げつつ、しばらく身を隠せる場所を探した。
すると廃工場の中に、元々作業員が使っていたであろう詰所を見つけた。
他の建物より頑丈そうだし、どうやら鍵も内側から掛けられるようだった。
「ふぅ……暫くここで身を隠そう」 - 47福丸は俺24/12/25(水) 06:24:11
しかし……
隠れて30分程経った頃『ガシャガシャ!』と、扉を開けようとする音が聞こえた。
「チッ! もう見つかったのかよ!」
「こんな広い廃工場でどうして…………あ」
「奴らはぴゃ力を辿っている……つまり」
「俺の弱ぇーぴゃ力のせいでバレちまったのか……!?」
ガン! ガン!
音は、扉を無理矢理にこじ開けようとする物に変わった。
マズいな……トールの馬鹿力ならすぐに……
考えるまもなく、奴らは扉をこじ開け、詰所の中に雪崩れ込んできた。 - 48福丸は俺24/12/25(水) 06:24:34
『うぃー』
一人のトールが先陣を切ってバットで殴りかかってきた。
「ひっ……!?」
「ぐっ……」
そこへルカがすかさず割って入り、自らが持ってたバットで受ける。
「ちぃっ!!」
「窓から逃げろ!!」
部屋の中には成人男性が余裕で通れる程度の窓があった。
トール達は扉の方へ集中していて、どうやら今窓から外に出れば待ち伏せされる心配はなさそうだ。
「あ……あぁ……」 - 49二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 12:40:51
死ぬなよルカ
- 50二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 22:39:16
ぴゃぴぃぴゅぴぇぴょ
- 51二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 22:47:50
ひ
ぐ
ち
窓か - 52福丸は俺24/12/26(木) 06:49:22
僕はルカの言う通りに窓の外へ出る。
「ルカも早く!」
「…………いいや、俺はここに残るぜ」
「は……? おい、何言ってんだよ!」
「こいつらはぴゃ力を辿ってるんだろ」
「だったら俺のちっぽけなぴゃ力でも……一緒にいりゃ またすぐに見つかっちまう」
「お前だけなら逃げられるかもしんねぇ……」
「でも……」
「奴らを倒すんだろ!! ……だったら、今は逃げて生きのびろ!!」 - 53福丸は俺24/12/26(木) 06:50:06
……確かにルカの言う通りだ。
ここで二人奴らにやられるよりは、僕だけでも逃げて反撃の機を窺う方が合理的だ。
…………だけど!!
見捨てられるわけないだろ……!!
「いいからとっとと行けぇーーーー!! 行かねえとぶん殴るぞーーーーっ!!」
「…………っ」
「……分かった…………!」
「ごめんルカ……僕……行くよ……」
「…………そうだ……それでいい」
「らぁっ!」
ルカは鍔迫り合いの状態になっていたトールを振り解き、持っていたバットを差し出した。 - 54福丸は俺24/12/26(木) 06:50:49
「こいつを持って行け……!」
「追手が来たとき、何もないより良いだろ……」
「でもルカが……」
「心配すんな……お前が遠くに逃げたらすぐ俺も逃げっからよ」
「…………」
「……絶対に死ぬなよ」
「おう!」
「…………行ったか」
『あのさ、行かせると思う?』
『追いかけるから すぐに』
「まぁ待てよ。てめぇの喧嘩の相手は俺だろ」 - 55福丸は俺24/12/26(木) 06:52:06
「一つ良いことを教えてやるよ」
『……何?』
「このままじゃお前ら、負けちまうぞ」
『…………え?』
『何言ってるの? そっちじゃん。負けてるの』
「今はな。でもお前ら……本気じゃないだろ」
「だったら俺の親友はあっという間にお前らを超えていくぜ」
「みんなあいつのことを“実質福丸小糸の天才”と言うけどよ……実際はちっとばかし違ぇんだ」
「あいつは天才は天才でも“努力の天才”だ」
『…………なにそれ』
『努力するのにも才能ってもんがあってよ……あいつは普通じゃ投げ出すようなことでも、諦めず、必死に努力し、食らいついてくる』
『だからお前らなんざ、あっという間に超えてくぜぇ……』 - 56福丸は俺24/12/26(木) 06:53:33
『フゥン……よくわからん』
『邪魔。どいて』
「ぐぉっ!?」
「っ…………待てって」
『しつこいよ。そういうのいいから』
「ちゃんと、最後まで、喧嘩しようぜぇ……」
『喧嘩?』
『どうやって? もうないじゃん、武器』
「へっ……俺は不良だぜ」
「俺らの世界じゃ喧嘩に武器を使うなんざ、力に自信のねぇチキン野郎のすることさ」
『じゃあ どうするの?』
「決まってんだろ。最後に勝負を決めるのは……」
「拳だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 - 57二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 13:32:38
まだびゃ力は残ってる!
- 58二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 21:07:15
ノクチルは不良だった気がするのでルカはノクチル
- 59福丸は俺24/12/27(金) 05:48:50
「はぁ……はぁ……」
──僕は逃げた。
一心不乱に。
振り返ることもせず。
後ろに追手がいるのかも分からない。
とにかく必死に、どこまでも走り続けた。
「………………!」
今……感じた。
ルカのぴゃ力が……消えた……
奪われただけかもしれない。
それで僕と同じように逃げているかもしれない。
だけど……きっと僕らは、もう二度と逢えない。
そんな気がした。 - 60福丸は俺24/12/27(金) 05:49:18
ほとぼりが冷めた頃、道場に戻って二人を待った。
とうとうルカも師匠も帰っては来なかった。
僕は……これからは本当に独りで戦わなければならない。
いっそ、福面の者の言う通りに奴らの仲間になってしまえばいいのだろうか。
超良い部屋に、超良い食事も食べられるしな。
…………ダメだな。それだけは。
例え演技でも奴らに尻尾なんて振れやしない。
……大丈夫。僕は戦うよ。
この心には、消したくても消せない炎がある。 - 61福丸は俺24/12/27(金) 05:49:51
それから自主練に使っていた廃ビルに来た。
無意識に探しているのかもしれないな。
けれどやっぱりどこにも姿はなくて。
目を閉じると、あの日々が鮮明に思い出される。
あぁ、いつだって僕らは二人一緒にここに来ていたんだ。
「…………寒いな」
季節は冬。
クリスマスシーズン。
この街でもツリーにイルミネーション、煌びやかな電飾が街を彩っている。
道理で寒いわけだ。
「…………」
僕は手に持っていたバットを振った。
閑静な廃ビルの屋上に、空を切る音だけが鳴り響いた。 - 62福丸は俺24/12/27(金) 05:50:12
翌日、僕は再び道場を訪れた。
奴らを倒すには、まずはぴゃ力を取り戻さなければならない。
これは時間の経過を待つしかないだろう。
だからそれまでに、ぴゃ力が戻る前に他に出来ることをやっておきたい。
僕は前より強くならなければならない。
だから普段は入ることのなかった師匠の部屋に、何かヒントがないかと思ったけど……
どうやら目ぼしいものは何もないようだ。
……仕方ない。帰って基礎トレーニングでもするか…… - 63福丸は俺24/12/27(金) 05:50:33
エレベーターで1階に降りようとすると……
「あ……」
しまった。間違えて上の階のボタンを押してしまった。
…………あれ……
そういえば、上の階って何があったっけ。
エレベーターや外の看板には何も書かれていなかったよな。
空いているならそれこそ募集張り紙とかがあるはずだ。
……でも出入りしている人を見たこともない。
…………いや。
一度だけ……師匠が上の階から降りてくるのを見たことがある………… - 64福丸は俺24/12/27(金) 05:50:59
上の階に降りると、扉がある以外は何もない部屋だった。
扉には電子ロックが施されており、どうやら暗証番号を入力しなければ入れないようだ。
だったらお手上げだ。
番号も、桁数すらも僕には分からないんだから。
…………そのはずなのに。
「…………」
僕は吸い込まれるように扉の前に立ち、なんとなく入力した。
「2……9……0……5……1……1……0……」
「…………!」
開いた……
これも実質福丸小糸の然らしむるところだろうか。
恐る恐る扉を開き、中を進む。
そこにあった物は……
「…………何だよ…………これ…………」 - 65二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:13:47
門下生で開けられない奴はいない
- 66二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 22:08:27
ブォ…
- 67二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 09:38:21
ぴぇ……!
- 68福丸は俺24/12/28(土) 10:00:26
──12月31日 大晦日──
『あー あー 侵入者ー侵入者ー』
『ほう……敵は?』
『独りだけ』
『けど なんか強いんだって めっちゃ』
『そうか──』
『辿り着いたか……! 少年……!』
『私の屋敷に……!!』
『今日この日……遂に私の計画は実現するだろう……!』
『どうする?』
『全戦力で迎え討て』
『どうせお前達も用済みだ』
『…………あー』 - 69福丸は俺24/12/28(土) 10:01:10
少年が仲間を喪った日から数日が経った。
道場の上階の秘密の部屋。
そこには“福面の者”の屋敷へ至る手掛かりが残されていた。
とうとう“真の実質福丸小糸”にこそなれなかったが、少年は今日この日まで静かに力を蓄えた。
そして────
大晦日のこの日、全ての因縁に決着をつけるべく、単身福面屋敷に乗り込んだ。
「…………ッ」
『いたわ 侵入者』
『おーい 止まれー』
『帰って紅白でも観てろー』
『なんか 出るんだって アイドルとか』 - 70福丸は俺24/12/28(土) 10:01:45
「…………」
言葉は交わさない。それが心底無駄な行為と理解しているからだ。
少年は静かに相手を見据え、親友から託されたバットを構える。
そして瞬時にトールの懐に潜り込み、その腹部に目掛けてバットを振るった。
『え……速……』
トール達に油断はなかった。
腐っても戦闘用の人造人間……その動体視力は常人とは比べ物にならない。
だが、捉えられなかった。
「白線……!」
「白線ッ!」
「白線!!」
炸裂する“白線”。
打撃との誤差0.000001秒以内にぴゃ力が衝突した瞬間に生じる空間の歪み……
通常、それを狙って出せる実質福丸小糸は過去どれだけ遡っても存在しない。
しかし少年は、それを三度連続で引き起こした。 - 71二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 12:36:17
隣に立つトール達が用済みとか言われて使い捨てられてるのにそんなので実浅になろうと言うのか
- 72二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 23:37:50
火矢
- 73福丸は俺24/12/29(日) 07:17:23
“白線”によりぴゃ力を受けたトールは溶けて消滅する。
少年はそれを一瞥することもなく先へ進む。
「…………」
進んだ先には先刻とは比べ物にならないほどのトールが待ち構えていた。
福面の者の命により集められた、屋敷内の全戦力である。
いくら強くなろうと、この数を相手にすれば被弾は避けられない。
だが少年は臆することもなく尚進んだ。 - 74福丸は俺24/12/29(日) 07:17:44
トール達は数の利を活かすように少年を取り囲んだ。
包囲された少年は足を止め、周りを見渡す。
今にも四方八方から襲い掛かろうとしているトール達。
しかし、少年はそれでも尚バットを持つ手を下ろしたまま……
ただ息を大きく吸い、声を張り上げた。
「どけ!!! 僕は福丸小糸だぞ!!!」
────瞬間、トール達は一斉に警戒を解き、言われるがままに道を空ける。 - 75二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:24:23
見分けつかないのかトール
- 76二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:28:40
福丸小糸なら仕方ない
- 77二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:41:56
なんだ小糸ちゃんか
- 78福丸は俺24/12/29(日) 22:49:48
『ぴゃっぴゃっぴゃ……』
『男子三日会わざれば刮目してみよ……とはよく言ったものだな。以前会った時とは顔つきがまるで違う』
トール達が突如道を空けたその先。
そこへ現れたのは“福面の者”。
トール達を造り出し、実質福丸小糸を襲わせた張本人だ。
「…………これはあんたの仕業か」
『いいや。君だ』
『君が命じたのだ。彼女達に』
「……どういうことだよ」
『トールは実質福丸小糸だけを⬛︎す兵器……故にぴゃ力の有無、その程度を判別する機能を持っている』
『だがそれではこの私も攻撃対象になってしまう』
『だからこうプログラミングしたのだ』
『“最も強いぴゃ力を持つ者に従え”……と』 - 79福丸は俺24/12/29(日) 22:50:29
「…………てことは」
『君は私をも超えて、最も強いぴゃ力の持ち主という事になる』
『トール達の命令権は君へ移った』
『故に君の「どけ」という命令に従ったわけだ』
「…………」
淡々とそう語る福面の者。
少年はそれを訝しげに観察する。
『おめでとう。私としても嬉しく思う』
『私の後を継ぐのは君の他にいないと思っていたのでね』
「…………くだらないや」 - 80福丸は俺24/12/29(日) 22:50:56
『さて……そうなれば彼女達も用済みだ』
福面の者はおもむろに右手を伸ばし、芝居掛かったような動きで指を鳴らした。
「…………っ!」
すると、二人を囲むように立ち尽くしていたトール達、その全てが溶けて跡形もなく消え失せた。
「なっ…………」
『彼女達は実によく働いてくれた』
『私の身の回りの世話から、不要な実福のなりそこないの処分まで、大いに役に立ってくれたよ』
「だったら……なんで⬛︎した!? あんたの仲間だったんだろ!?」
『言っただろう。彼女らはもう君の物になってしまった』
『今の私には邪魔でしかない。だから責任を持って処分しただけのこと』
『大晦日なのだ。不要品は処分しなくては』 - 81福丸は俺24/12/29(日) 22:51:42
「…………あんたはそうやって、利用するだけ利用して、要らなくなれば簡単に切り捨ててきたんだな」
『人聞きの悪いことを言う』
「トール達だけじゃない、実質福丸小糸のみんなも、ルカも計画の為に利用して、切り捨てた」
「そして今度は僕を、甘い言葉で誘い利用しようとしてる」
「そうなんだろ?」
「福面の者…………いや」
「師匠…………!」
『ぴゃ……』
『ぴゃ〜ぴゃっぴゃっぴゃ!!』 - 82二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 03:17:36
やはり...か
- 83二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 10:44:05
別れて戦ってたのにトール達はこっちに集中したからな……
- 84福丸は俺24/12/30(月) 12:59:05
『気づいておったか』
福面の者は福丸小糸を模った仮面を外した。
その素顔は、少年のよく知る顔をしていた。
「…………やっぱり師匠か……!」
「いつからじゃ?」
変声機による高音じゃない。
聴き慣れた声。
「……今思えばずっと違和感を感じていた」
「師匠は何かと理由をつけて戦っているところを見せないし」
「肝心な時にいないし」
「僕を真の実質福丸小糸にすることに妙に拘っている」 - 85福丸は俺24/12/30(月) 12:59:32
「師匠がいなくなった日、思ったんだ」
「僕はあんたのことを何も知らないって」
「道場のあんたの部屋を探しても何も分からなかった」
「……道場の上の階にも行ったよ」
「ほう……あの部屋に入ったのか」
「あぁ……だからここへ来れた」
「あの部屋にこれみよがしに置かれていた地図のお陰でな」
「けど、あんたが福面の正体だと決定付けたのはあの部屋で作っていたアレだ!」
「あの部屋には……トールを複製する機械があった!!」
「ぴゃっぴゃっぴゃ……まさか実質福丸小糸の道場の上で、その命を狙うトールが生み出されているとは思うまい」 - 86福丸は俺24/12/30(月) 12:59:57
「師匠……あんたの目的はなんなんだ」
「あるんだろう……僕を真の実質福丸小糸に育てあげる、更にその先が」
「…………よかろう」
「お前にも語らねばなるまい……儂の真の目的を」
「じゃがその前に場所を移すとしよう。着いてくるがいい」
福面の者……改め師匠が先導し、少年も大人しくそれに着いて歩く。
「…………!」
少年は宿敵にして自らの師でもあるその男の背中を見て、ある異変に気がついた。
「…………なんだ……?」
「ぴゃ力を……感じない…………」 - 87福丸は俺24/12/30(月) 19:45:22
「ここも随分寂しくなったものじゃ」
二人の向かった先は、かつて同じ時間を過ごした道場だった。
師匠は窓に付いた埃を指でなぞり呟いた。
「…………あんたが全部奪ったんだろうが」
「返す言葉もないのぅ」
「最初に一つ聞かせてくれ」
「あんたの“ぴゃ力”はどこ行った?」
「あんたの持っていた膨大なぴゃ力……今は全く感じない」
「あぁ……それなら」
師匠は懐から何かのエンブレムのような物を取り出した。
「これのことかの」
それを掲げた瞬間 膨大なぴゃ力を発し、少年は思わず怯む。
「………………ッ」 - 88福丸は俺24/12/30(月) 19:46:03
「それは……あの時トールが僕からぴゃ力を奪った……」
「いかにも。儂はこの装置を使い、高いぴゃ力を持つ者から力を奪っては我が物としてきた」
「…………最強の実質福丸小糸なんて、まやかしだったっていうのか……」
「何の為に!?」
「儂の計画の為に、より多くの実質福丸小糸を集める必要があった」
「計画……?」
「小僧……お前は『1次元先の世界』の存在を信じるか?」
「は……? 次元………?」 - 89福丸は俺24/12/30(月) 19:46:28
「もしこの世界が高次元の存在によって創られた世界だとしたら……」
「もしこの世界が高次元の存在によって思いのままに操られている世界だとしたら……?」
「小僧。お前ならどうする?」
「どうするって……」
「あんた何を言ってるんだ……?」
それは到底理解できない話だった。
常軌を逸している。
子どもの空想ならともかく、まともな人間の思考ではない。
しかし、師匠は本気でそう信じていた。 - 90福丸は俺24/12/30(月) 19:47:00
「儂は考えた」
「高次元の存在を掌握できれば、この世界を思いのままにできると」
「そんな出来の悪い漫画みたいな話あるわけ……」
「…………いや、仮にその通りだったとして、それがぴゃ力と何の関係がある?」
「ぴゃっぴゃっぴゃっ…………知らぬのか」
「儂には分からぬが、アイドルには……時に見た者の心を動かす力がある」
「それは……別次元とて例外ではないのじゃろう?」
「──────!」 - 91二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 20:14:11
アイドルになってシャニマスのプレイヤーを感動させる事が出来る者こそが真福
- 92二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 02:22:33
アイドルが見たものの心を動かすという事実を分からぬと言うこいつは福丸小糸じゃあ無いな
- 93福丸は俺24/12/31(火) 07:47:10
「だから……福丸さんの……本物の福丸小糸の代わりに僕達実質福丸小糸を育て上げて……」
「その福丸小糸エネルギー……ぴゃ力を使って、世界を思いのままにしようっていうのか……?」
「その通り……理解が早くて助かる」
少年は思った。
この男は何を言ってるのか、と。
妙なクスリでもやっているのではないか、と。
「そんなことで……そんなことで僕達の人生を巻き込んだのか……?」
「大勢が死んだんだぞ……!!」
「そんなことじゃと!?」
「くだらぬ社会不適合者共の人生など、どうなろうと知ったことではないわ!!」 - 94福丸は俺24/12/31(火) 07:47:42
「ふざけろ!! あいつらが……実質福丸小糸のみんながあんたに何をした!?」
「誰かに迷惑を掛けたか!?」
「みんなただ、夢を見ただけなんだ……」
「少年がサッカー選手に憧れるように」
「少女がパティシエに憧れるように」
「ただ福丸小糸に憧れただけじゃないか!?」
「それの何がいけない!?」
「それと何が違う!?」
「それを社会不適合者と吐き捨て、イカレた妄想の為に良いように利用する……あんたは異常者だ……!!」 - 95福丸は俺24/12/31(火) 07:48:17
「何とでも言うがいい……」
「夢を見ただけと言うが……儂とて……」
「一つの夢を叶えたい思いは誰にも負けはせんわ……!!」
「小僧……儂に協力しろ」
「お前さえ協力すれば死んだ者も、傷ついた者も皆元通りにしてみせよう」
「…………!」
「それだけではないぞ。何もかもお前の望むままの世界だって創れる」
「…………」
「…………断ると言ったら?」
「言わせはせん」
少年はバットを構える。
師匠もまた、妙な武術の構えを取る。
かつて実質福丸小糸として師事を受けた、この道場で……
────最期の戦いが始まる。 - 96福丸は俺24/12/31(火) 07:48:43
先に動いたのは少年の方だった。
稽古ではない、師匠の本気の戦いを見るのは初めてのことだ。
どんな技を使うかは分からない。
故に後手に回るより武器の有利を活かして先手を取ることを選んだ。
一瞬で距離を詰め、力一杯にバットを振るう。
入った。少年は確信した。
しかし結果としてバットは空を切る。
「何…………!?」
「……鈍いな」
師匠の手刀が首に入った。
「ぐっ…………」
「なぜ自らのぴゃ力を持たぬ儂が、最強の実質福丸小糸と呼ばれたか教えてやろう」
「ぴゃ力など関係なく、儂が一番強いからじゃ!!」 - 97二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 11:57:21
まさか戦闘能力とぴゃ力は関係無い……?!
- 98福丸は俺24/12/31(火) 12:27:29
背中に激痛が走る。
しかし少年は怯まずに再度バットを振るう。
……いや、振るおうとした。
「……鈍いと言っている」
「止められた……!? 振る前に……!?」
師匠は片手でバットを押さえつけ、もう一方の手で腹部に強烈な一撃を叩き込んだ。
「………………ッ」
力量は雲泥の差。
師匠は少年の行動の全てを読み、更にその先を行く。
「くそ……ぴゃ力では勝ってるのに……!!」
「お前達は一つ勘違いしておる」
「ぴゃ力とは“想いの力”」
「いくら鍛えようとそれで肉体が強くなるはずもなかろう」
「……そんな……嘘だ……!!」 - 99福丸は俺24/12/31(火) 12:28:02
「どれ……ここらで力の差を見せてやるとしようかの」
「…………なんだ……!?」
空気が一変した。
何かが来る。
今までとは違う何かが。
少年は実福的本能で感じた。
「見せてやろう……これが福丸真拳奥義……」
「“極光”」 - 100福丸は俺24/12/31(火) 12:28:32
「………………っ」
一瞬の出来事だった。
注視していたにも関わらず、少年の目では追うことすらできなかった。
少年は速さには自信があった。
事実、トール達は彼のスピードに対応できず敗れていったからだ。
しかし、今の一撃……“極光”はそれすらを遥かに凌駕していた。
速さは強さ。
光の速さの衝撃が少年を襲う。
「…………ち……くしょう…………」
「気絶したか。……丁度良い」
「夢を見せてやるとしよう。……素晴らしい夢を」 - 101福丸は俺24/12/31(火) 12:29:41
『pyapyapyapyapyapyapya!』
──目覚ましの音が鳴る。
もう起きなきゃ……あぁ、でもまだ眠いな。
もう少し寝たい……
カチッ。
目覚まし時計の音が止まった。
僕じゃない。誰かが止めたんだ。
まだ眠いんだ。そっとしておいてくれ。
「起きて……起きてよ……!」
………誰だろう。僕はこの声を知ってる。
「もう……! 遅刻しちゃうよ……!」
…………まさか。そんなはずはない。
僕は思わず飛び起きた。 そして声の主の方を見た。
そこにいたのは……福丸さんだった。
「…………は?」 - 102二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 13:05:50
夢というか妄想というか
- 103福丸は俺24/12/31(火) 16:06:53
師匠は少年を抱え、道場の上階へ向かった。
そこは研究室であった。
武術の達人であると同時に優秀な科学者でもある師匠は、ひょんなことから“ぴゃ力”の発見に至った。
そして研究を重ねる内に、ぴゃ力にはあらゆる事象を改変する力があることに気がついた。
師匠はこれを『高次元への干渉』と仮説立てる。
師匠は繰り返し実験を行った。
そして遂に、福丸小糸を介して高次元の存在への干渉に成功する。
もっとも高次元とは言っても、その次元に於いてはただの冴えない中年サラリーマンでしかなかったが。
高次元中年男性は後に福丸小糸によって身を滅ぼすのだが、それはまた別の話だ。
師匠は考えた。より多くのぴゃ力を集めれば、この世界を操る高次元の存在にさえ干渉出来ると。 - 104福丸は俺24/12/31(火) 16:07:23
「え……なんで……」
「ふ、福丸さん……?」
なんだ……どうなってる……?
僕はさっきまで道場で戦ってたはず……
「な、何その呼び方……! まだ寝ぼけてるの?」
「そ、それとも……もしかしてからかってる?」
「いつも下の名前で呼んでるのに……!」
…………福丸さんだ。
あの福丸さんが、僕の部屋にいる……
…………ていうかここ、僕の実家だ…… - 105福丸は俺24/12/31(火) 16:07:43
「ほら! 早く着替えないと遅刻しちゃうよ! 『学校』……っ」
「えっ……あぁ……うん」
福丸さんは「部屋の外で待ってるから」と言って廊下へ出た。
着替える……学校って言ってたよな……
ということは、制服……?
…………これに袖を通すのも久し振りだな……
僕、高校1年の途中で退学したから…… - 106福丸は俺24/12/31(火) 16:08:02
その後、福丸さんに言われるがまま顔を洗い、歯を磨き、食パンを口に詰めて大急ぎで家を出た。
「小糸ちゃん、いつも悪いわねぇ」
…………母さんだ。
僕が高校辞める前の、母さんだ。
「い、いえ……! これくらい、とーぜんですよ……!」
「幼馴染ですから……!」
フゥン……幼馴染ね。
…………幼馴染!? - 107福丸は俺24/12/31(火) 16:08:29
「こ、これならHRに間に合いそう……!」
「あのさ、福丸さん」
「また変な呼び方して……」
「ご、ごめん……えっと……小糸?」
「⬛︎⬛︎くん、なんか今日変だよ……? もしかして熱あるんじゃ……」
しまった。怪しまれた……できるだけ自然に振る舞わないと。
「いや……なんか変な夢見ちゃって、そのせいかな」
「そうなんだ……それって、どんな夢?」
「ええと……なんか……変な拳法の修行する夢だよ」
「夢の話なんてしても面白くないだろ。それより学校行こう」 - 108福丸は俺24/12/31(火) 16:08:50
懐かしの母校……と言っていいのだろうか。
学校はあの頃……僕が通っていた頃の記憶そのままで。
教室の中もクラスメイトもそのままだ。
……ただひとつ。
「よぉお二人さん! 今日はギリギリだったな!」
ルカがいることを除けば。
「…………」
「なんでいる!?」
「ぴぇ……!?」 - 109福丸は俺24/12/31(火) 16:09:10
「おいおい、どうしたよ急にデケェ声出して」
「あ……いや、つい……」
教室中が僕へ注目する。
福丸さんは隣で縮こまってしまった。
あぁ……しまった……
「HR始めるぞー。席に着けー」
そこへ担任の先生が入ってきて、みんな一斉に着席する。
タイミングに救われたようだ。
…………今朝から現実とのギャップに驚かされるばかりだ。
この世界は一体なんなんだろう。 - 110福丸は俺24/12/31(火) 16:09:37
考えてみたら、ここには僕の理想が詰まっている……のかもしれない。
学校生活。
平穏な家庭。
親友のルカ。
そして…………
「…………」
隣の席の福丸さん。
ふと隣を見ると、彼女は一生懸命にノートを取っている。
その横顔を見るのが好きだった。
その横顔に憧れていた。
そんな福丸さんが、この世界では僕の幼馴染だなんて……
…………あれ、元の世界では僕達はどんな関係だったっけ? - 111福丸は俺24/12/31(火) 16:10:09
「⬛︎⬛︎くん……! ほ、放課後だよ……!」
「い、一緒に帰ろう……!」
出来るだけボロを出さないように過ごし、ようやく今日1日の授業が終わった。
……なんだか妙に疲れたな。
下駄箱に向かうと、女子生徒達が群がって騒いでいた。
「ふ……小糸、あれって何やってんだ?」
「えっと……浅倉先輩と樋口先輩じゃないかな。二年の」
「知り合い?」
「ううん……! 私達と幼稚園と小学校は一緒らしいけど……話したことないよ」
「なんか最近、芸能事務所に入ったんだって……! す、凄いよね……!」
「フゥン……」
浅倉先輩……なんか聞いたことあるような気がするな。 - 112福丸は俺24/12/31(火) 16:10:32
毎日福丸さんと学校に行って。
学校でルカとふざけあって。
福丸さんと一緒に帰って。
帰ったら父さんと母さんと普通の夕飯を食べて。
たまに一緒にテスト勉強なんかして。
休日には遊びに行って。
そんな毎日が続いた。
そんな当たり前の毎日が、当たり前になった。
──当たり前に、なってしまった。 - 113二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 19:01:44
師匠の再現率高いのか低くても騙せるのか
- 114福丸は俺24/12/31(火) 19:43:06
ある日の帰り道。
小糸と学校から帰る途中のことだった。
商店街にある電気屋のテレビに、知ってる顔が映ってるのを見つけた。
「あ……あれ、浅倉先輩達じゃないか?」
「ほ……ほんとだ……! すごい……テレビに出てる……」
「二人ユニットで結構売れてるみたいだなぁ」
「…………すごいな……」
「…………小糸もアイドルになってみたいとか思うのか?」
「ぴぇ……む、無理だよ……!」
「⬛︎⬛︎くん以外の人と全然喋れないのに……!」
「それもそうか」
「…………⬛︎⬛︎くんは……わたし、アイドルになれると思う……?」
「……いや、小糸は普通に学校行って、普通に勉強して、普通に進学するのがいいよ」 - 115福丸は俺24/12/31(火) 19:43:26
「そういえば、小糸はなんでうちの高校選んだんだっけ」
「ほら、小糸は頭良いからもっと上の高校狙えただろ?」
「え……えっと……」
「…………?」
「だ、誰かさんがわたしがいないとだめだめだから、だよ……!」
小糸は顔を真っ赤にして、小さな声でそう言った。
それって……
「もしかして……俺……?」
「…………」
小糸はそれ以上何も言わず、ただ俯いていた。 - 116福丸は俺24/12/31(火) 19:43:47
「あのさ、俺……」
想いを伝えるなら今しかない。
そう思った。しかし、それを遮るように小糸のスマホが鳴る。
「あ、お母さんだ…………」
『いとちゃま〜〜〜〜! 寄り道しないですぐ帰ってくるザマス!』
『今日からお塾の時間を増やす約束ザマス!』
「た、大変……! すぐ帰らないと……」
「……はは、相変わらず厳しいお母さんだな」
「ご、ごめんね……! また明日……!」
小糸は逃げるように、小走りで去っていった。
「…………あれ?」
そういえば小糸のお母さんってどんな顔だっけ?
小糸の家ってどこだっけ? - 117福丸は俺24/12/31(火) 19:44:13
「…………」
「……なんだろう」
何か忘れてるような気がする。
何か……大切なことを。
なんか……考えたら気持ち悪くなってきた。
「…………小糸!」
僕は思わず小糸の後を追った。
ここは、なにか、おかしい。 - 118福丸は俺24/12/31(火) 19:44:37
幸いにも小糸はすぐに見つかった。
不幸にも小糸はすぐに見つかった。
「小糸!」
僕の声を聞いて小糸が振り返る。
「あ……⬛︎⬛︎くん」
…………え?
「今……なんて言った?」
「え? ⬛︎⬛︎くんって、呼んだだけだよ……!」
「…………」
「…………聞こえない」
君が俺を呼ぶ声が、聞こえない。
「いとちゃま! 何をしてるザマス!」
「お、お母さん……!?」
顔のない何かが小糸の手を引き、家に連れ込んだ。 - 119福丸は俺24/12/31(火) 19:46:16
「待って!!」
それを追いかけ小糸の家に入る。
しかし、そこにあったものは……
「なにも…………ない…………」
そこはただの明るい部屋。
なにもない、真っ白な空間。
あるものは、空白。
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!」
「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎?」
もう君の言ってることは何一つ聞き取れない。
「…………あぁ。そうか」
そりゃそうだ。思えば最初からそうだった。
知らない振りをしていた。気づかない振りをしていた。
「────だって僕は、君に名前を呼んでもらったことなんてないんだから」
────僕は、アイドルじゃない君のことなんて何一つ知らないのだから。 - 120二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 20:45:43
話しかけたら逃げられたから
- 121福丸は俺24/12/31(火) 20:51:27
「…………」
気づけば周りには、ただ真っ白な空間が広がっていて。
目の前には福丸さん。
……いや、福丸さんの形をした物か。
ただそれだけの世界。
「福丸さん……僕は……君が好きだった」
君に憧れていた。
君に近づきたかった。
君のようになりたかった。
かわいくて、努力家で。
芯が強くて、輝く君に。
そんな君をもっと識りたくて。
「だから実質福丸小糸になろうとしたんだっけ」 - 122福丸は俺24/12/31(火) 20:51:48
「だけど、分かったんだ」
「人はどれだけ憧れって誰にも成れやしなくて」
「どれだけ手を伸ばしたって誰にも成れやしなくて」
「ごめん、やっぱり僕は僕だよ」
「どこまでいっても、どれだけ強くなっても僕は僕なんだ」
「僕は……僕が嫌いだった」
「高校中退。コンビニバイトのフリーター。作曲だって中途半端だ」
「…………うん。でも、今の僕は少しだけ僕を好きになれる気がするんだ」
「ちょっとは頑張れる奴だって、分かったから」 - 123福丸は俺24/12/31(火) 20:52:19
「だから僕は、もう誰にも憧れはしない」
「だから僕は、もう誰にも成ろうとしない」
「誰にもなれない僕だから、僕は僕のまま戦うよ」
「たくさん嫌われてきたけれど、僕はそんな僕を好きになれたから」
「ありがとう。福丸さん」
「僕の居場所になってくれて」
「………でも、もう一人で大丈夫」
「──会いに行くよ。君に並べる僕になって」
「そして……僕は僕のために、君のための曲を書く」
目の前の福丸さんの形をした物に手を伸ばす。
「君は……僕の中の実質福丸小糸……」
「僕自身だ」 - 124二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 21:40:58
みんなみたいに卒業の時が来たのか
- 125福丸は俺24/12/31(火) 22:01:38
「…………もうじき年明けか」
「儂の作る新世界……福丸時代の幕開けには相応しい日じゃな」
「…………させるかよ」
「そんな訳の分からない世界に……!」
「ほう、目が覚めたか」
「良い夢は見られたかの?」
「…………あぁ。最高だよ」
「最高に最低な、クソみたいな夢だ」
大晦日の夜、もうじき年が明けるという頃。
家で家族団欒を楽しむ人々もいれば、街に出てカウントダウンを待つ人々もいる。
ある小さな雑居ビルの中にある道場で、世界の命運を決める戦いが繰り広げられているとは誰にも想像もつかないことだろう。
「む…………」 - 126福丸は俺24/12/31(火) 22:02:03
「……何かを掴んだようじゃな」
少年の持つ空気が変わった。
夢を見せられる前と、後ではまるでは違う。
「…………!!」
「…………小僧…………ぴゃ力はどうした……?」
膨大なぴゃ力は消えていた。
「なんじゃそのぴゃ気は…………!?」
「それではまるで……」
「“真の実質福丸小糸”…………か?」
「あんたがそう感じるのなら……そうなんだろうな」
「莫迦な……成ったというのか」 - 127福丸は俺24/12/31(火) 22:02:26
「薄らと疑問に思っていたことがある」
「実質福丸小糸は、福丸さん……福丸小糸を模倣する」
「福丸小糸に近づこうとする」
「……でもそれって矛盾してると思わないか?」
「…………何を……」
「『わたしの主人公はわたしだから!』」
「福丸小糸の持ち歌だ」
「自分よりも凄い奴なんてたくさんいる……それでも自分の主人公は自分だから、自分なりに頑張ろう……そういう歌だ」
「……もちろん福丸さんのように努力することは必要だと思う」
「…………だけど、それだけじゃ駄目なんだ」
「僕の主人公は僕だから、大嫌いな僕と生きていくのは僕なんだから」
「“真の実質福丸小糸”とは……自分を受け入れることだったんだ」 - 128福丸は俺24/12/31(火) 22:18:46
「そんな……そんなものが真の実質福丸小糸じゃと……?」
「認めん……儂は認めんぞ…………!」
師匠は激昂し、少年に向かって殴り掛かる。
……が、少年はそれを軽くいなし、師匠の首元にバットを突き立てる。
「…………遅ぇ」
「こ……此奴……先刻までと動きが……!?」
「計画を止めろ」
「断る! ならば、もう一度極光をお見舞いしてやろう!」
師匠は距離を取り、再び“極光”を発動する。 - 129福丸は俺24/12/31(火) 22:19:23
しかし、少年はそれに反応し、防御の構えを取る。
「…………ッ」
「くそっ……完全に防ぎきれなかったか」
「何故じゃ! 何故反応できる!?」
「ないはずじゃ! そこまでの身体能力など!」
「…………ぴゃ力は“想いの力”」
「想いの力は……ときに何よりも人を強くしてくれるんだ……!」
「くっ…………極光……!!」
再びの極光。
しかし、少年は今度はそれを完全に防ぎ切る。
防げたのには理由がある。
少年は初撃から攻撃そのものより、その予備動作、その動きの癖に注視していた。 - 130福丸は俺24/12/31(火) 22:19:42
予備動作を訝しみ、攻撃の軌道を訝しみ、攻撃の範囲を訝しむ。
故に同じ技を使う度、少年は理解を深め、対応する。
「もうその技は通用しないぞ」
「ぐっ……おのれ……」
「ぴゃあっ!」
師匠は天井に大穴を開け、そこから屋上に逃げていった。
「待てっ!」 - 131福丸は俺24/12/31(火) 22:20:13
少年は慌ててそれを追う。
しかし、師匠は屋上で逃げも隠れもせずに佇んでいた。
「勘違いするな……儂は逃げた訳ではない」
「研究所では思うままに戦えんからのう」
「…………ここで最終決戦というわけか」
大晦日の夜。
極寒のビルの屋上。
空気が冷たい。
けれど二人はそんなことなど気にも介さずに向き合う。
「散々好き勝手しやがって…………」
「師匠(せんせい)がよぉ…………」 - 132二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 22:43:49
どうして良い話をしてるんだ
まるで福丸小糸のようじやないか - 133福丸は俺24/12/31(火) 22:47:42
少年は決着をつけるべく、師匠めがけて走り、バットを振るう。
全力の一振りは見事に入った。
しかし年老いてこそいるが武術の達人。
「むんっ…………舐めるなぁっ!!」
効いていないはずがない。
けれど衝撃をものともせず、今度は師匠の拳が少年を襲う。
「ぐっ…………」
少年もまた負けじと再びバットを振るった。
どちらも倒れない。どちらも怯まない。
まさに一進一退の攻防だった。
「…………ふん、ならば奥の手を見せてやろう」
「はぁ……はぁ……奥の手……だって……?」
「まだ何か隠してるのか……?」
「くらうがいい……福丸真拳最終奥義……」
「“晩冬”」 - 134福丸は俺24/12/31(火) 22:48:08
「…………!!」
それは凄まじい衝撃だった。
師匠の全身全霊の一撃。
「これは儂の全てを掛ける最強の一撃」
「全てを終わらせる……終の拳じゃ」
少年はこれをかろうじて防いだ。
しかし、あまりの威力にバットを持つ手に痺れが残ってしまった。
「くっ…………」
「む…………もうまもなく年が明けるな」
「その前にお前を片付けるとしようかの……ぴゃっぴゃっぴゃ……」 - 135福丸は俺24/12/31(火) 22:48:32
「負けられるか……こんなところで……!」
少年は尚も立ち上がる。
もうバットを強く握ることもできない。
しかし、それでもバットを構え、師匠に向き合う。
「ふん……まだ立ち上がるか…………」
「…………」
一瞬、師匠の目には少年が別の物に写った。
…………自らの息子に。 - 136福丸は俺24/12/31(火) 23:10:00
弟子の誰もが知らないことだが、師匠には妻と子どもがいた。
当時の師匠はとあるラボで働く研究者で、研究の合間に筋トレ、筋トレの合間に研究する変態だった。
しかしそれでも妻とたった一人の息子に対しての愛情はあった。
ある日、妻が愛想を尽かして出ていった時、師匠は思った。
たった一人の家族である息子に、できる限りの愛情を注いでやろうと。
日本一の武術家に育て上げる……それが師匠にとっての愛情だった。
しかし息子は武術家向きの性格ではなかった。
すぐに逃げ出し、反発するように部屋に引き篭もるようになったのだ。 - 137福丸は俺24/12/31(火) 23:10:24
師匠は息子を無理矢理部屋から出そうとはしなかった。
できなかったのだ。
鍛錬を拒絶された師匠には、息子への接し方が分からなかった。
それから長い月日が経った。
息子は部屋から出るようになったものの、30代、40代になっても定職に就かず、欲しいだけ与えられる金で遊ぶだけの日々を送っていた。
息子は地下アイドルや駆け出しの新人アイドルに傾倒していた。
…………それを師匠が知ったのは、息子がとある駆け出しアイドルに刺された後だった。 - 138福丸は俺24/12/31(火) 23:10:46
息子はアイドルの追っかけをする内に過激化し、悪質な出待ちなストーキング行為を行うようになっていた。
そして当時推していたアイドルに彼氏がいることを知り、激昂し、ナイフで刺そうとしたところ、逆に刺されてしまう。
一命こそ取り留めたものの、息子の意識は戻らなかった。
師匠は思った。
もし時間を巻き戻せれば。
もし全てをなかったことにできれば。
そして……
師匠は“高次元”の研究をするようになったのだ。 - 139二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 23:21:15
息子って元カノのストーカーか
- 140福丸は俺24/12/31(火) 23:50:09
「…………うぅ…………」
「…………悪いことは言わぬ」
「儂に協力しろ」
「…………断る」
「何故じゃ……夢で見たじゃろう」
「理想の世界を……現実では叶わぬ世界を……!」
「…………確かにあそこは僕の理想だった」
「もう何一つ叶うこともない。……分かってる」
「……でも、駄目なんだよ」
「今この現実は、福丸さんの、色々な人の頑張りで成り立っている」
「それを否定して……なかったことになんかしたら……駄目なんだ……」
「変えたい過去がないというのか……!?」
「あるよ……たくさんある……」
「…………だけど、それはもう怒ってしまったことだから」
「受け入れて……前に進んでいくしかないんだ!!」 - 141福丸は俺25/01/01(水) 00:00:34
「理解できん…………ならば、意思を奪い……四肢をもぎ、ぴゃ力だけを吐き出す人形にしてやろう!」
「くらえ……福丸真拳最終奥義…………!!」
「くっ……!」
万事休すか。少年が思わず目を伏せたその時……
──日付が変わった。
年が明けた。その瞬間……
ドォン! ドォン!
何かが爆ぜる音がした。
爆ぜて、咲いた。
「なんじゃ……!? 爆発音……?」
「いや……これは…………」
それは……
遠く鮮やかに夜を彩る……
「花火か……!!」 - 142福丸は俺25/01/01(水) 00:00:57
花火に虚を突かれた師匠は、僅かに躊躇した。
それは時間にして1秒にも満たない極短い時間。
ほんの1ステップの躊躇い。
しかし……その一瞬が勝敗を分けた。
「…………!!」
少年はその花火を知っていた。
「ルカだ……! ルカの花火だ……!!」
「間違いない……後ろ向きだから見れないけど……これはルカだ……!」
「この背中の輝き……この背中の温もり……!! 安心する……頼もしい…………!!」 - 143福丸は俺25/01/01(水) 00:01:17
─川崎市 病院─
「よぉ……見てるか……相棒」
「何も言わずにいなくなって悪かったな……」
「……けどよ、もう大丈夫だよな」
「もう、一人で大丈夫だよな」
「……お前はこれから作曲家として売れていくんだろうな」
「そんな奴が俺らみてェな不良と連んでちゃいけねぇ」
「てめェの足引っ張るわけにはいかねぇからよ……もうお別れだ」
「だから……」
「こいつは……俺からのハナムケのハナタバだぜ……!」 - 144福丸は俺25/01/01(水) 00:01:35
少年に躊躇はなかった。
いつのまにか手の痺れは引いていた。
バットを力強く握り締める。
そして師匠の最終奥義に割り込むように……
「福丸真拳……」
「我流最終奥義……」
「“新春”」
親友から託された、そのバットを振るった。
「こいつは……! 全てのぴゃ力を込めた……! 明日を……未来を掴み取る……必殺の一打だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
「くっ…………おのれ…………」
「おのれぇぇぇぇぇぇ!!!!」 - 145福丸は俺25/01/01(水) 00:02:03
「はぁ……はぁ……」
「やった……やったぞ……ルカ……!」
「…………見事だ」
「!!」
「……安心せい。もう戦う力などないわ……」
「全てのぴゃ力を込めた……明日を掴む必殺の一打……」
「……新春福丸小糸SP……か……」 - 146二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 00:06:49
タイトル回収キター!!!!
- 147二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 00:42:42
生きてたのかルカ
良かった - 148二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 12:37:37
本気の更新量!
- 149二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 20:43:56
ぴゃ力とは思いの力
思いの力があれば痛みなんて感じない - 150二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 01:28:30
ここまで来るのに長かった
そしてこれからもまだ先は長い
果てしない実福への道と同じように - 151二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 13:02:23
ぴゃ
- 152福丸は俺25/01/02(木) 22:12:11
「師匠……もうやめよう」
「起きてしまったことは受け入れるしかない」
「やってしまったことは取り消せない」
「折り合いつけて、それでも生きていくしかないんだよ」
「フン……抜かせ。若造が」
「儂は諦めんぞ……福丸小糸が駄目なら、今度は他の手段を用いるまで……!」
「師匠!」
師匠はボロボロの身体を引き摺りながら、非常階段を降りて去っていった。 - 153福丸は俺25/01/02(木) 22:12:34
「師匠! その階段は滑るぞ!」
「聞こえていないのか……!?」
「…………むっ?」
ボロボロの身体で階段を使ったのが良くなかった。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉ!!」
師匠は『ズルっ』と足を滑らせ、そのまま階段の一番下……地上まで転げ落ちた。
「くっ…………」
流石の師匠も痛みで身動きが取れない。
『プップー』
「…………!?」
すると……そこへ不運にもトラックが猛スピードで突っ込んできた。
逃げる暇もなく、師匠はトラックの下敷きとなった。
「うぎゃぁぁぉぁぁぁぁ!!」
……あまりにも呆気ない最期だった。 - 154二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:49:58
実質福丸小糸道場ももう無くなるのか……
- 155二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 00:12:54
死ーん
- 156二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 00:15:27
突然の画太郎
- 157二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 10:43:22
ぴぇ
- 158二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 20:41:54
トラックの運転手が可哀想だと思ったけど川崎市だった
- 159二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 00:59:01
真の実質福丸小糸
- 160福丸は俺25/01/04(土) 02:23:08
全てが終わった。
全てが終わってしまった。
“実質福丸小糸”はもういない。
“トール”も、それを陰で操る者ももういない。
師匠のことは警察でどう処理されるのだろうか。
事故によるものか、人為的な物として捜査されるのか。
できることならば僕がちゃんと終わらせてあげたかった。
できることならば然るべき形で罪を償わせてやりたかった。
たくさん憎みも恨みもしたけれど
利用され裏切られただけだったけれど
それでも僕にとってここは“家”と言える場所で……
どこまで行ってもあの男は僕の師匠で……
だからこんな形で終わらせたくなかった。 - 161福丸は俺25/01/04(土) 02:23:33
この道場にはいつまでもはいられない。
けれど、次はどこへ行けばいいんだろう。
僕はどこへ行けばいいんだろう。
年越しで賑わう人々をよそに、僕は独り街を彷徨った。
散々歩いて着いた先は……いつものあの廃ビルだった。
なんとなく屋上へ上がり、いつもの場所に座り込む。
目を閉じれば、思い出すのはルカの、師匠の、みんなの笑顔と笑い声。
けれど今の僕にはなんもない。
親友も、師匠も、仲間も、宿敵も、全て失った。
「…………さむい……」 - 162福丸は俺25/01/04(土) 02:24:10
いつのまにか朝になっていた。
どうやらいつのまにか寝てしまっていたらしい。
身体はすっかり冷え切っていて、なんだか少し気怠い感じがする。
…………帰って身体を温めよう。
そう思ったが時すでに遅し。
案の定風邪をひいてしまって、正月は寝て過ごすこととなった。
……まぁ、正月休みもクソもない生活だけど。
風邪で寝込んでいるときというのは、普段以上にやたらとネガティブに物事を考えてしまうもので、僕は食事も摂れずにじっとしていた。 - 163二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 12:14:19
実質福丸小糸を辞めた以上自分の中の実質福丸小糸を具現化して看病して貰うことももう出来ないな
- 164二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:12:25
虚しいな…
- 165二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:12:26
ぴゃぴゃんぴゃぴゃんぴゃんぴゃん
- 166福丸は俺25/01/04(土) 23:41:42
数日寝込んでようやく回復し、久し振りに外へ出た。
別段外出する気分ではなかったけれど、家には食べ物がない。
街に出ると、とっくに正月ムードは過ぎて、街は平時に戻っていた。
そういえば道場はどうなったかな。
師匠の件で僕のところに警察は来ないかな。
……なんて考えていると、電気屋の店先に展示された大型の液晶テレビが目に入った。
そこに映っていたのは……
「…………ノクチル」
あぁ、あの日師匠に見せられた夢の中で、こんな風にテレビごしに観たっけ。
福丸さんと二人で……浅倉先輩と、樋口先輩のステージを。
……だけど今、現実では市川さんもステージに立っている。
そして勿論……福丸さんも。
『ここにいるよ』と言わんばかりにステージの上で輝いている。 - 167福丸は俺25/01/04(土) 23:42:05
僕はいてもたってもいられなくなり、駆け出した。
買い物も放り出し、駆け出した。
空気が冷たい。
脚が痛い。
心臓がバクバク悲鳴をあげている。
病み上がりの身体にもきっと良くない。
けれど、不思議と気分は晴れている。
家に帰って何をするよりも早く僕は机に向かった。
何もかも失った、なんもない今の僕。
そんな僕に残された物。 - 168福丸は俺25/01/04(土) 23:42:39
『福丸小糸』の為の曲を作る。
それを福丸さんに歌ってもらう。
それが僕の夢。
あぁ、メロディーがどんどん浮かんでくる。
色々なことがあった。
楽しいことも、嬉しいことも。
腹立たしいことも、悲しいことも。
誰かに聞いてほしい。
だけど僕はひとりぼっちで。
だけど僕は表現者で。
だからこの思いは言葉にはしない。
だからこの思いは全部音楽に乗せる。 - 169二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 00:29:10
福丸小糸に代わって福丸小糸の曲を作るなら実質福丸小糸と呼んで良いんだろうな
- 170二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 04:16:13
確かに
- 171福丸は俺25/01/05(日) 10:19:29
作曲を再開してから数日が経った頃、家に荷物が届いた。
送り主は実家の母さんだった。
僕を嫌い、僕を恨み、僕を蔑む母さんだった。
ダンボールの中には食品がぎっしりと詰められていた。
野菜に缶詰、日持ちするインスタント食品。
助かるけど、どういうつもりなんだろう。
実家を出てしばらく経つけれど、こんなことは初めてだ。
僕は恐る恐る実家に電話をかける。
これも実家を出てから初めてのことだった。 - 172福丸は俺25/01/05(日) 10:20:03
『……もしもし』
「もしもし母さん。僕だよ」
……これではまるで詐欺の電話じゃないか。
慌てて名前を名乗る。
「荷物届いたよ。ありがとう。急に来たんでびっくりしたけど」
『…………そう。ご飯、ちゃんと食べてるの?』
「あー……いや、どうかな……色々あって」
「でもちゃんと食べるよ。これからは」
『風邪には気をつけるのよ』
「うん」
『火の元にも注意するのよ。空気が乾燥してると火事になりやすいから』
「うん」 - 173福丸は俺25/01/05(日) 10:20:26
相槌を打ちながら僕は驚いていた。
母さんの態度に。母さんの言葉に。
母さんは僕に興味なんてないと思っていた。
小言を言うようでいて、その声色はなんだか優しくて。
僕はなんだか懐かしさと、温もりを感じていた。
「じゃあ……そろそろ切るよ」
「今度、父さんとも話をしたいと思う」
…………あぁ、そうか。
そういうことなんだ。 - 174福丸は俺25/01/05(日) 10:21:13
家族にはきっとそれぞれに合った距離があって。
一緒にいることだけが家族じゃなくて。
僕らの距離は、きっと一緒に暮らすことじゃなかったんだ。
僕がこの先両親と一緒に暮らすことはないと思うけど。
会えばきっとまた喧嘩をすることもあるだろうけど。
温泉旅行をプレゼントするような孝行息子にはなれないけれど。
だけど……それでも。
僕らはきっと、前より家族になれると思う。
人はそう簡単に孤独になんてなれやしない。
僕は……独りじゃない。 - 175二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 13:32:58
変な講習に金を払ってたことを心配されなくて良かった
- 176二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 22:53:09
き…帰省して親と喧嘩別れして帰ってきた私には胸に刺さりますっ…!
- 177福丸は俺25/01/05(日) 23:01:29
時折考えることがある。
実質福丸小糸とは、ぴゃ力とはなんだったのかと。
単なる師匠の妄言だったのかもしれない。
あるいは集団幻覚のようなものだったかもしれない。
けれどあの日の戦いで僕の中に熱く燃える何かを、みなぎる力を感じたのも事実だ。
僕はこう考える。
そもそも実質福丸小糸なんて物はなかった。
正確に言えば有るにはあった。
けれどそれは別の名前を持っていた。 - 178福丸は俺25/01/05(日) 23:02:05
ある時は勇気。
ある時は憧れ。
ある時は希望。
それは人によって、それぞれ違った形を持つ。
例え苦しくて諦めそうになっても、負けずに立ち向かう。
そんな強い心……前に進みたいと思う心の持ち主。
それらを総じて“実質福丸小糸”と呼んでいたのではないかと。
師匠は言った。
“ぴゃ力”は想いの力だと。
僕に差をつけられた実質福丸小糸の皆が伸び悩み、挫折したのも納得できる。
彼らは前に進むことをそこで諦めてしまったのだから。
福丸さんへの憧れはきっと重要じゃない。
前に進む意志を持つ人々、その全員が実質福丸小糸だったんだ。 - 179福丸は俺25/01/05(日) 23:02:33
あの戦いの日々から数年。
僕は22歳になった。
僕と同世代の連中は大学を卒業し、いよいよ社会に出る頃合いだ。
…………それは彼女も例外ではない。
4月の頭に発表があった。
人気アイドル福丸小糸の引退宣言だ。
大学卒業と就職に合わせて、芸能界を卒業すると。
この一年を最後の年にすると。
……いつかはこの日が来ると思っていた。
覚悟はしていたけれど、いざ報道を目にすると固まってしまった。
とどのつまり、僕にとってもラストチャンスの年になるわけだ。 - 180福丸は俺25/01/05(日) 23:02:53
とはいえやることは変わらない。
コンポーザーとして、より良い曲を顧客に届ける。それだけだ。
その頃には僕の作る曲は業界内外で高い評価を受けていた。
雑誌やネットニュースの取材を受けることもしばしばある。
だけど、まだ283プロからのオファーは一度も来ていない。
だったらまだ足りない。
もっと頑張ろう。
評判が福丸さんに、あのプロデューサーの男に届くまでに。 - 181福丸は俺25/01/05(日) 23:03:21
僕はコンポーザーとして活動するにあたって、福丸さんの名前を出したことは一度もなかった。
もし公言すれば、僕と福丸さんのコラボを実現させようという動きも業界内で起きたかもしれない。
だけど、それじゃ意味がない。
近道じゃ駄目なんだ。僕自身の力で掴み取らなくちゃ。
それは果てしなく実現する可能性の低い夢ということも分かっている。
…………だから僕は、作曲依頼が来たときの事は忘れない。
今までの人生で何よりも嬉しい瞬間だった。
それも福丸さんの卒業ライブで歌う曲。
正真正銘、福丸小糸最後の曲だ。 - 182福丸は俺25/01/05(日) 23:03:45
今日は僕にとって特別な日になる。
今日ようやく福丸さんと会う日なのだから。
作曲を担当するにあたって、曲のイメージを掴む為に福丸さんと一度会って話がしたい。
そう先方に伝えたら無事にOKを貰えた。
お世話になってるレコード会社の小さな会議室を借りて、そこで福丸さんを待つ。
あぁ……凄く緊張する。
何を話せばいいだろう。
最初になんて声をかける?
『久し振りだね。福丸さん』
……違う。
『僕のことを覚えてる?』
……違う。 - 183福丸は俺25/01/05(日) 23:05:22
福丸さんは、僕のことなんて覚えていないだろう。
だって僕らはきっと、あの頃知り合ってはいなかったから。
ただ同じ教室、隣の席にいただけの存在で。
だから……言うべき言葉は……
──コンコン、と小さなノック音がした。
「どうぞ」
僕は少し上擦った声で入るように促した。
あの日 何者でもなかった僕ではなく。
あの日 君を模倣した僕ではなく。
今の僕として。
あえてこう言おう。
「はじめまして。福丸さん」
僕は今 君に出会ったんだ── - 184福丸は俺25/01/05(日) 23:05:48
完
- 185二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 00:33:26
面白かった
連載ありがとうござます
小糸の方の話も待ってます
透はまだ顔を覚えてると思う - 186二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 01:58:19
スレ主様含め
全ての実福たちに幸多からんことを!
ぴゃああああっ!!! - 187二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 12:46:27
ぴゃ力は集団幻覚だったのかもしれない
メタルアサクウラによる死者はバットによるもの - 188福丸は俺25/01/06(月) 20:05:58
遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
ようやくここまで話を進められました。保守していただきありがとうございました。
そしてお待たせしてしまって本当に申し訳ありません。
ここからは横道に逸れることなく本編を進めます。
長期的に休んだり藤田ことねの作品を書いていたりしたのもありますが、とうとう3周年を迎えてしまいました。
4周年になる前に終わらせられるよう頑張ります。
少しだけお休みを貰ってまた再開しますので、どうか最期までよろしくおねがい致します。 - 189二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 00:16:16
これからもぴゃってる
- 190二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 12:11:38
ぴゃぴゃ
- 191二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 14:21:56
- 192二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 00:29:43
実福ってもしかしてあまり小糸とは似てない……?