- 1◆VLlUGaOg9c24/12/18(水) 18:52:51
- 2◆VLlUGaOg9c24/12/18(水) 18:53:48
- 3◆VLlUGaOg9c24/12/18(水) 19:14:46
リア「……ねぇ、もうそろそろ良いんじゃないかしら?」
ナレーション
あれから完全に吹っ切れた訳ではないものの、リアは「仕方が無いわ」と調査への参加を約束してくれた。
のはいいものの、「せっかくだから、とびっきりお洒落で奇麗な姿を見て貰おう」と張り切ったカナに連れられて、
あれよあれよと鏡台の前に座らされること早数時間。カナの練習に付き合い続けたリアは疲れ始めていた。
いや、もうちょっと………よし、奇麗になった!けど、いいのか?リアのままで。
ナレーション
丁寧に洗われてドライヤーにかけられた後、優しく櫛で梳かれた長い黒髪はクラウンブレイドに編み込まれ、
元より素晴らしい美貌は上手く化粧で美しさを引き立てられ、柔らかく可憐な仕上がりに飾り付けられたことで、
別人…「リア」を名乗るのに相応しい表情へと変わっている。神子柴カナ、職人の技だ。
リア「…いいのよ。私が許されない罪を犯したのは事実だもの。
それに「調月リオ」がアリウスに居たら、みんなにも迷惑が掛かるでしょう?」
許す許さないは私たちが決めることじゃないと思うが……色々ややこしいのはそうだな。
ナレーション
今は失踪中ということになっているが、調月リオはミレニアムの生徒会長だ。
それが他所の学園で何故か1生徒として振る舞っていると知られたら、色々とあることないこと噂を立てられる。
ただでさえ、アリウスは年中政争をやっているトリニティの中でも、新興で色々とややこしい立ち位置にあるのだ。
「ミレニアムの生徒会長を自分のところの生徒として匿っている」なんて爆弾を起爆させる訳にはいかなかった。 - 4◆VLlUGaOg9c24/12/18(水) 19:56:34
でも、みんな心配してるんじゃないか?ヒマリとか……
ナレーション
それはそれとして、カナは何とかしてミレニアムの友人たちとリオを再開させてあげたかった。
ここを逃せばリアが「リオ」としてミレニアムのみんなと再会出来ないのでは?と疑っているである。
もしかしたら、ヒマリやウタハならリアとしての変装を見抜くかもしれない。なんて、想像もしていない。
ウィッグもカラコンも付けていないにも拘わらず、カナは自らのメイク術に絶対の自信があった。
リア「…ヒマリこそ、私が居なくなって清々しているんじゃないかしら?
いつも、顔を合せる度に色々と言われたもの。彼女は私が嫌いなのよ」
いや、あれは多分、ミカたちが何時もやってるじゃれ合いみたいなヤツじゃないか?
ああいうの、何だったっけ?け…け…怪我するほど仲が良い?っていうらしいぞ」
リア「多分、色々違うと思うけど……励ましとして受け取っておくわ」
ナレーション
ミカはナギサセイアとも良く衝突するし、口論になることもあるが、それでも3人が互いを大事に思っている。
直ぐ側でそれを見ていて知っていたカナは、ヒマリの悪口もそういうヤツじゃないかと考察するが、
その真相はヒマリの心の中にしか存在しない。結局、リア自身がヒマリと合って真相を確かめるしかないだろう。
……ヒマリが素直に自分の心中を語るかどうかは、また別の話だが。
- 5二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:07:11
ヒマリは素直に言わなさそうだなぁ…
- 6二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:28:29
たておつ
- 7二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:36:33
たておつです
いい加減腹決めなさいな、ビッグシスター! - 8二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:51:21
堂々としてれば逆にバレない気もする
- 9二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:40:15
立て乙
- 10二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:52:10
自信があるのは可愛くて良いがいけるのかこれ
- 11二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 22:53:03
やるきゃないかね
- 12◆VLlUGaOg9c24/12/18(水) 23:16:06
リア「…今更だけれど、大丈夫なの?メイクの練習も大事なのは分かるけれど、調印式や襲撃で疲れているんでしょう?
エデン条約機構(ETO)のメンバー選定に調査員の選定、各学園や連邦生徒会との会談。
今日はもう休めるとしても、明日からカナは凄く忙しくなると思うのだけれど………」
ナレーション
ふと、思いついたようにリアは心配の言葉を口にした。…いや、事実、今思いついたのだ。
リアはずっと自分のことでいっぱいいっぱいで、今の今まで周囲のことに思考を回す余裕が欠片もなかった。
だから、これから待ち受けるであろうカナの超過密スケジュールに今更思い当たったのである。
心配してくれてるのか?なら、ありがとう!嬉しい!
リア「…こっちこそ、カナたちにはお世話になっているもの。心配くらいは当たり前よ。
それで、本当に大丈夫なの?無理をしているようなら、化粧は自分で落とすからカナは休んで…」
あー、それなんだけどな。出来るだけ、化粧したまんまで待機してくれないか?
もしかしたら、ことが起こったときに、私がメイク直す余裕が無いかもしれない。
ナレーション
カナの言葉でリアは漸く腑に落ちた。つまるところ、この「練習」は練習であると同時に保険なのだ。
相手は「色彩」と呼ばれているものの、その詳細については一切が謎に包まれた正体不明のナニカ。
それが人なのか?機械なのか?はたまた神秘なのか?何1つ分かっていない状況の中で、
1秒先に状況が動かないなどという保証は何処にもない。
だから、何時何があってもいいように、カナは一足早くリアの準備を済ませたのである。
リア「…今日は徹夜した方が良いかしら?」
心配するな。何かあったら、私たちが直ぐに飛び起きる。
ナレーション
「昔のアリウスで生きる為の必須技能だ」という経験談は、カナの胸に秘められたまま仕舞われた。
仲間を安心させるための言葉には、自信満々の笑顔があればそれでいいからだ。
- 13◆VLlUGaOg9c24/12/19(木) 06:22:37
代理モブ「参考にするように、1番最初のスレ見返してみたら、日付が3月だったんですよ……・
え?9ヶ月もこのスレ連載してたの?」 - 14◆VLlUGaOg9c24/12/19(木) 06:22:59
- 15二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 09:21:44
続きましたねぇ
- 16二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 14:40:27
もうすぐ年越すと考えるとかなり続いてるな…
- 17◆VLlUGaOg9c24/12/19(木) 20:53:55
リア「それは…そうね。なら、安心して今日は早く寝ることにするわ。メイク、ありがとう。カナ」
ああ。また明日、がんばろうな!リア!
ええ、また明日。
ナレーション
リアはカナが胸に仕舞い込んだ、寝ていても何かあったら直ぐ飛び起きれる理由に察しがついていたが、
それを口にしない優しさにも気がついていたので、深く追求することはせずにリアはゆっくりと立ち上がり、今日は
もう自分の部屋へと戻ることにした。メイクの礼と挨拶だけを交す。
…よし、私ももう寝るか!
ナレーション
リアを見送ると、カナは自分も寝る支度を済ませ、直ぐにベッドに入って横になった。
どんな場所でも直ぐに寝られるように鍛えられたことや色々とあって疲れていたこともあって、
カナは直ぐに静かな寝息を立て始めた。のはいいのだが、翌朝、カナは早朝早くに飛び起きねばならなかった。
赤い!トマトジュースみたいだ!
ナレーション
翌朝、キヴォトスの空は血をぶちまけたかのような赤に染まっていた。
- 18◆VLlUGaOg9c24/12/19(木) 20:59:09
- 19二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 21:38:42
遂に来たか色彩
- 20二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 06:39:11
凄い、トマトジュースみたいだ。
- 21二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 12:25:35
本格的に来たか、向こうも
- 22二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:21:33
なるほど
- 23二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 22:51:39
どうなることやら…
- 24◆VLlUGaOg9c24/12/20(金) 23:10:18
ナレーション
その日、トリニティが………いや、キヴォトス中の学園が混乱と喧騒に包まれていた。
確かに高エネルギー反応という形で予兆は察知していたとはいえ、昨日の今日でこの有様だ。
まだ調査も終っていないどころか、調査隊を編成する前に状況が一変して、誰も彼も状況の把握が出来ていない。
ナレーション
そんな中、いち早く異変を察知して飛び起きたカナはサオリたちも起こして、
みんなでナギサたちより一足先にティーパーティーの庭園にやって来ていた。
のだが、カナは席に座るでも無く、庭園に来る前からずっと不思議そうに首を傾げては、空の上を気にしてた。
…やっぱり、空気の感じが何時もと違う。
サオリ「空気?確かに空が赤くて不気味だが……」
なんか、こう、上手く言えないけど、嫌な感じと暖かい感じが一緒にあるみたいな………
ナレーション
カナの鋭敏な感覚が不可視のナニカを感じ取っていたのだが、それが何なのか?どう表現すればいいのか?
カナ自身にも分からないらしく、分かるような分からないような不思議な例えを口にしては、
しっくりこないとでも言うように再び首を傾げる。その繰り返しだ。
それに、空の上に何かあるような……
ミサキ「何かって、あの逆さの塔のこと?」
いや、あれも不思議な感じだけど、これは調印式の時にも感じたヤツだ…と思う。
ずっとずっと上の高いところに何か、おっきな……船?建物?
ナレーション
やっぱり分からない。と、首を傾げて、ナギサたちが来るまでずっと不思議そうにしていた。
- 25二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 08:14:02
分かるけど理解できないから説明が出来ない
もどかしいな - 26二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 13:14:20
急に忙しいな
- 27二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 14:03:59
カナにはアトラ・ハシースの箱舟が見えてるのか
- 28◆VLlUGaOg9c24/12/21(土) 20:46:04
サオリ「カナがそういうのなら何かはあるのだろうが……赤一色しか見えないな」
ん~………でも多分、遠すぎて分かりにくいけど、何かある……と思う。すまん、曖昧で。
ナレーション
カナは視界に頼らず、鋭敏な感覚で周囲を感じることが出来る。というのは、エリドゥ攻略の際に話したと思う。
目を使っている訳ではないから「見えている」という表現は正確ではないが、しかし、
思わず周囲が「見えている」のではないか?と錯覚するほどに、カナの持つ「感覚」は正確だ。
その第2の目を以てしても「それが何なのか理解出来ない」というのは、カナにとって非情に不気味だった。
???「ほう、分かるのか?アリウスの神輿よ」
ナレーション
瞬間、言葉とともに背後に現われた気配にカナたちは振り返る。
サオリ「お前は、地下牢で天使とやらを連れていた……っ!」
ナレーション
心なしか落ち込んでいるようにも見えたそれは、双頭のデッサン人形のような姿をした怪人。
芸術家を名乗り、独自の解釈を用いることで『崇高』に対するアプローチを試みるゲマトリアが1人、
アリウス分派とも因縁深い男。マエストロであった。
…すまん、分からん!誰だ!?
マエストロ「…芸術への敬意を込めて、マエストロと呼んで欲しい」
ナレーション
かつて戦った相手にサオリたちが警戒する中、
カナだけは初対面なので、誰か分からない謎の相手の出現に困惑していた。 - 29◆VLlUGaOg9c24/12/21(土) 20:48:41
- 30二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 23:02:49
先生側が黒服とフランシスだったから…
ここではマエストロがカナたちの現状含めた解説役をするのか - 31二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 09:39:45
どうなることやら…
- 32二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 14:52:07
このスレ世界の色彩ヒエロが期待大だな…
- 33◆VLlUGaOg9c24/12/22(日) 19:56:28
サオリ「何のようだ?」
ナレーション
一見、相手は1人無防備に突っ立っているように見えるが、それでもサオリは最大の警戒心を以てカナの前に出た。
何しろ、マエストロはあのベアトリーチェと連んでいたゲマトリアとかいう組織の仲間で、
かつてヒエロムニスという天使を用いてアリウスの前に立ち塞がった明確な敵なのだ。警戒しない理由がない。
マエストロ「どうか、落ち着ついてくれたまえ。かつて「主人公」の役を勝ち取った天使たちよ。
私は我が「崇高」たる天使を超え、自らの手で物語を紡ぎ上げた君たちに最大の敬意を以て、
あの捻くれた女…ベアトリーチェが伝えなかったことを伝えに来たのだ」
ナレーション
そんな敵意剥き出しのサオリたちに対して、マエストロは少しだけ悲しそうに俯くような仕草を見せた。
自身のマエストロマエストロは自らの天使を…否、運命を打ち破り、未来を掴み取った少女たちを尊敬していた。
黒服がシャーレの先生をリスペクトするのと同じぐらい、アリウスをリスペクトしていたのである。
サオリ「俄には信じられんな…」
マエストロ「…君たちにとって我々が敵対者であることは理解しているが、今回ばかりは戦う意思はない。
ミメシスもヒエロニムスも連れず、1人でこの場所を訪れたことを誠意とさせてほしい」
サオリ「……カナ」
……いいんじゃないか?私は初めて会ったから、マエストロさん?とみんなとの間に何があったか知らない。
けど確かに、戦いに来るならもっと仲間連れて来た方が良いし……ここを戦場にしたらナギサたちも庭師さんも困る。
マエストロ「…寛大な対応に感謝しよう、偉大なるアリウスの神輿よ」
ナレーション
奇怪な外見をしていても大人ということか?木製人形の芸術家は恭しく礼をして見せた。
- 34二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 22:36:06
伝言か…
- 35◆VLlUGaOg9c24/12/22(日) 22:39:13
マエストロ「さて…名残惜しいが、私が長くここに居るのも問題である。三天使が来る前に手短に済ませるとしよう。
…我々は今回の事件において『元凶は色彩だが、相対するべきは色彩ではない』と推測している」
ミサキ「色彩だけど色彩じゃない?それってどういう…」
アズサ「実行犯が別にいる。ということだろう。色彩の影響を受けた誰かか…或いは色彩を利用する誰かが」
ナレーション
アズサの言葉から連想されるのは、先日、連邦生徒会の会議室に突如として現われ暴れ回った謎の襲撃者。
聖園ミカに酷似し、その力さえも上回っているようい見えた彼女は、確かに普通の生徒とは何か違うように見えた。
砕け散ったままに浮かぶヘイロー、色素の抜け落ちた髪、服と呼ぶことすら烏滸がましい襤褸切れ、
その異様にして不気味な特徴が色彩の影響だと言うのなら、一応、納得は出来ないにしても理解は出来る。
しかし、それは視点を変えれば、あれだけ強大な力を持つ彼女でさえも色彩の影響から逃れられない証拠でもあり、
色彩という謎の存在への恐怖をかきたてるには充分な材料と言えた。
マエストロ「その解釈は概ね正しい。実のところ。我々ゲマトリアの解釈を以てしても色彩を完全に解してはいない。
しかし、今回の件も含めた観測と経験、そこから導き出される解釈によって、大凡の輪郭は掴めている。
………結論から言おう、現在、我々は色彩とは特定の性質を持つ現象の総称である。と解釈している」
マエストロ「『この方舟の理を超えていること』。即ち、物語のジャンルを打ち壊し、世界の理を書き換える。
例えるならば、そう……『第三者による加筆』を可能とする存在だろう」
ヒヨリ「せ、世界の理って…そ、そんなの勝ち目がないじゃないですか!」
ナレーション
ともすれば荒唐無稽とさえ呼べてしまうような、あまりに強大過ぎる存在に、思わずヒヨリの口から悲鳴が漏れる。
ベアトリーチェなんて話にならない。かつて自分たちを圧倒した大空シズでさえ、まだ戦いの土俵に居てくれた。
しかし、色彩は違う。当たり前のことすら通用してくれるか怪しい。そんな相手に一体どうやって戦えば良いのか?
アリウスの少女たちの心に、再び黒く分厚い暗雲が浮かび上がろうとしていた。
- 36◆VLlUGaOg9c24/12/22(日) 22:58:10
- 37二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 07:37:19
しゃーなしよ…
- 38二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 13:13:03
二次創作は作者さんの解釈を見に来てるとこもある
- 39二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 13:13:33
多分問題ないのでは…
- 40◆VLlUGaOg9c24/12/23(月) 21:14:09
何言ってるんだ?戦うのは色彩じゃないんだろ?
ヒヨリ「え?…あっ!そ、そうでしたね。え、えへへ…つい、うっかりしてしまいました」
ナレーション
単純であるが的を射たカナの指摘に、少しアリウスの少女たちの表情は明るくなった。
カナの言うとおり、敵は「色彩の影響を受けた何か」であって、色彩そのものではない。
その話をしていたはずなのに、余りに大きな話を前に見失いかけていた本質を彼女たちは再び捉えることが出来た。
…しかし、1度根を張った恐怖が易々と消え去ることは決してない。色彩への恐れは、毒のように根を張っていた。
マエストロ「その通り。色彩は強大な存在ではあるが、その本質は飽くまでも「現象」であると解釈する。
火が焼く物を選ばないように、水が沈める相手を選ばないように、その在り方に意思や善悪はない。
色彩が自らの意思で特定の世界・相手に執着する等、本来であれば有り得ない筈である」
アズサ「だが、色彩の影響を受けた…マエストロ風に言うなら「書き換えられた」存在は違う。そういうことだな?」
マエストロ「概ねはその解釈で問題ない。
補足するならば、色彩の存在を認知し、利用を試みる存在の可能性は忘れてはならないだろう」
ミサキ「……で?対抗策は?まさか、相手が強いなんて分かりきったことだけ話しに来んじゃないでしょ?」
ナレーション
ミサキの言う通り、結局、分かったのは「相手が何だが、とんでもない相手」というだけ、
ここで話が終ってしまえば無闇に不安を煽っただけになってしまう。それは幾ら何でもあんまりだ。
マエストロ「…先程も言った通り、我々ゲマトリアも色彩の全容を把握している訳ではない」
ナレーション
あんまりなのだが、マエストロの口調は余り頼もしくはなかった。
- 41二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:01:48
色彩をガチで知ってるヤツはやっぱいない感じだよなぁ…
- 42二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 09:15:47
この考察厨がよぉ
- 43二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 13:27:36
締まらねえな
- 44二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 20:32:08
マエストロからの追加情報はまだあるかな?
- 45◆VLlUGaOg9c24/12/24(火) 22:27:06
ナレーション
マエストロの頼りない言葉に、アリウス分派の生徒たちの視線は一気に呆れ交じりの冷たいモノになった。
散々前振りで怖がらせた挙げ句、対抗策はありません。では、一体何しに来たのか?という話だ。
マエストロ「……だが、我々も何の準備もしていない訳では無い。
我等が芸術の結晶を、アリウスの神輿は受け取ったと聞いている」
ああ、カードのことか?
ナレーション
カナがスマホのカバーから1枚のカードを取り出すと、マエストロはゆっくりと首肯した。
それは一見すると何の変哲もないプラスチックの板。ベアトリーチェによって齎された、大人のカードの贋作だ。
マエストロ「…先ずは確認をさせて欲しい。カードについて、ベアトリーチェから何処まで聞いている?」
大人のカードの贋作だそうだ。それ以外は何にも言ってなかった……よな?
アツコ「うん、それだけ。アイツ、何にも言ってなかった」
マエストロ「やはり…か。少しは見えるようになったと思えば……」
ナレーション
今度はマエストロが呆れたように息を吐く番だった。
- 46◆VLlUGaOg9c24/12/25(水) 06:44:28
- 47二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 13:23:46
あるあるすぎる
なんで予定していた文量で収まってくれないんですかね - 48二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 21:18:39
マエストロがよく喋る
珍しい - 49◆VLlUGaOg9c24/12/25(水) 22:42:19
マエストロ「…ベアトリーチェの説明に誤りは無い。しかし、その解を以て「カード」を理解するには、
我々の「大人のカード」に対する解釈を知る必要があるだろう」
ナレーション
マエストロは呆れ交じりにそう告げ、「座りたまえ、少し長い話になる」と促すと、
サオリはマエストロに銃口を向けながらティーパーティー用の椅子を引いて、カナを座らせた。
…この庭園に置かれた椅子と机はティーパーティーのホストの為のモノ。この場で座る権利があるのは、1人だけだ。
マエストロ「我々は「大人のカード」とは所有者の身分…即ち権限を証明する一種のレガリアであり、
対価を支払うことで奇跡を顕現させる有限の願望器であると解釈し、
ベアトリーチェは「アリウスの生徒会長」としての権限を象徴するレガリアとしてカードを作り上げた」
アツコ「身分証明書ってこと?」
マエストロ「その解釈で間違いは無い。「大人のカード」はレガリアとして権限を証明することで、
その身分に相応しい、ある種の権能と言い換えられる力を振るうことが出来る」
サオリ「身分に相応しい権能だと?」
マエストロ「…正当な所有者が統括する組織に属する者を招集………否、【召喚】すると称するのが相応しいだろう。
神の呼び声に天使が応えるように、カードの所有者は自らが統括する者たちを呼び出すこと可能となる。
そして、この使い方をする限り、使用するのは「レガリアとしての権限」のみとなり、
有限の願望器に【対価を求められることはない】」
ナレーション
マエストロの語る大人のカードの力の正体と凄まじさに、アリウスの少女たちは目を見開く。
所有者が統轄する組織に属する者………今回の場合、アリウス分派の生徒たちであれば距離に関係無く呼び出せる。
たったそれだけのことが、一体どれほどの戦術的…いや、戦略的な価値を生むのか?兵士の直感が導き出したのだ。
……最も、1番肝心なカードの正当な所有者は呆けた顔で宇宙を幻視していた訳だが。
- 50◆VLlUGaOg9c24/12/25(水) 23:15:54
Q.つまり、どういうこと?
代理モブ「マエストロの語る「レガリアとしての権限」は、任務や総力戦などで所属生徒を編成している時のやつです。
先生が責任者である「シャーレ」に所属している生徒だから、「先生の大人のカード」で呼び出せる。
「シャーレの先生」を証明するレガリアの権限で招集できる訳ですね」
代理モブB「「じゃあ、ストーリーのヤツで自分酷使しとるの何やねん」というと、
あれは対価を支払い「願望器としての力」で「レガリアとしての権限」を強化しています。
「レガリア」の力がメインで「願望器」の力を補助に使っているので少ない対価で奇跡を齎せる。
ヘイローも他の特別な力もない先生にはそれでも大きな対価ですが、一種の節約技になりますね」
代理モブC「つまり、その時点ではシャーレに所属している筈が無い生徒も呼び出せるようにして、
過去・現在・未来を含めた中で集められるドリームチームを結成しているわけです。
この理屈でいくと、「それなら、未実装も含めて全ての生徒使えないと可笑しくない?」となりますが、
「シャーレに所属する運命」が確定しているのはゲーム本編でシャーレに所属した生徒なので、
更なる対価が必要になるという訳です」
代理モブA「まぁ、全部1がこねくり回した妄想なんですけどね」
- 51二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 08:31:09
はえー(宇宙猫)
- 52二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 13:25:48
面白い解釈だな
- 53◆VLlUGaOg9c24/12/26(木) 17:58:45
- 54二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 22:30:13
それならある意味説としてはまるか
- 55二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 23:35:26
マエストロ「…レガリアとしての権能については以上だ。何か質問はあるかね?」
…すまん、よく分からなかった!取り敢えず、万能呼び出しボタン…じゃなくてカード?ってことでいいのか?
マエストロ「いいだろう。「呼び出しボタン」という解釈の是非については議論の余地が残るところだが、
方向性としては大きく間違ってはいない。しかし、「万能」という解釈は否定せざるを得ない。
「現在の時間軸において、アリウスに属する者」でなければ、
レガリアとしての権限を用いての召集は叶わないだろう」
ナレーション
大人のカードは「今のアリウスのトップとして命じます、○○さんは今すぐ来て下さい」と、
直接・或いは間接的に部下に当たる相手を「上司としての権限で」呼び出しているに過ぎない。
「シャーレの顧問」である先生や「アリウス分派のホスト」であるカナが持つからこそ強力な力を発揮するが、
大した権限を持たない者や呼び出した相手を統率する器のない者が手にしても、その真価は発揮されない。
正しく、1種の王権……レガリアと称するに相応しい権能であった。
ってことは、これで教室に呼んで貰えば、朝ぎりぎりまで寝られ……いや、私しか使えないのか。
ナレーション
「なーんだ」と、勝手にガッカリしているカナを前に、
このくらい平和でしょうもない使い方を思いつく方が、ある意味カードの所有者としては相応しいのかもしれん。
と、サオリは呆れながらも「カナらしい」と笑うのだった。
- 56二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 07:36:35
朝沢山寝れるだけで幸せな日々
- 57二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 13:52:57
発想は面白い感じではあるか
- 58二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 20:06:37
カナちゃんらしい
- 59二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 23:23:20
良いな…
- 60◆VLlUGaOg9c24/12/27(金) 23:30:11
マエストロ「…有限の願望器の力については詳しい説明は不要だろう。
相応の対価を支払い、それに応じた奇跡を得る。文字通りの『願望器』だ」
ナレーション
「尤も、天秤が釣り合っているかは保証しかねるが」と続けるマエストロを他所に、
カナは両の手でカードを力強く握りしめて、ジッと見つめた。
カナだって1人の生徒。人並みに悩んだり、苦しんだり、……願いに心を飢えさせることもある。
もしたった1度だけ、ほんの数秒だけでも叶うならばと、果てなき望みに恋い焦がれたことも1度や2度ではない。
だったら、もし、カードに願ったら……
ナレーション
カナはバカではない。理屈では、手の中のカードの重要性に気がついている。
色彩の影響を受けた謎の敵を前にして、途方もなく強大な脅威を前にして、この切札がどれだけの意味を持つか?
その切札を自分の我儘に使い潰すことがどれだけ愚かなことか?ちゃんと、分かってはいるのだ。
し、死んだ人に会えたりするのか?
ナレーション
ああ、しかし、それでも尚、どうしようもなく願ってしまうカナを一体誰が責められるだろう?
理性で感情を抑え込んで、強引に飲み込んだ離別の哀しみを一体誰が軽んじられる?
……命の重みを知らない者等、今のアリウスにはただの1人も居ないというのに。
マエストロ「可能だろう」
ならっ!
マエストロ「しかし、努々忘れぬことだ。カードの奇跡は有限であり、相応の対価を以て齎される。
天使たちよ、そのカードはに対価を君たちに求めることはないが、誰にも求めない訳でない」
- 61二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 07:54:55
酷い誘惑だ
- 62二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 13:37:56
それをやっちゃったら酷いことになりそうで怖い
- 63◆VLlUGaOg9c24/12/28(土) 20:54:04
代理モブ「ふと、割と昔に1が立てた(らしい)スレを読み返したら、
マエストロの口調が今作と何か違う気がするんですよね。もしかして、マエストロの書き方忘れてる?」
代理モブB「1のやつ、分かってないんですよ。あのデッサン人形のこと」
代理モブC「というか、「マエストロこんなんだったっけ?」って言いたいのは分かりますが、
急に過去スレの話なんてしてもみんな分からないでしょう。というか、普通にスレチでは?」
代理モブ「まぁ、今更、急にキャラ変させるのもアレですし、
今作のマエストロじはバタフライエフェクト敵なアレで若干キャラが違うということにしておきましょう」
代理モブB「ほんと、ウチのスレはこんなんバッカリですね」 - 64◆VLlUGaOg9c24/12/28(土) 21:26:29
ナギサ「―――ナさん。―ナさん?」
ナレーション
マエストロが去ってからも、ナギサたちがやって来てからも、
カナはカードの誘惑に惹かれて、遠い昔に諦めたはずの願いが意識の片隅にあった。
…繰り返しになるが、カナはカードで望みを叶えることがどういうことか?理性ではちゃんと理解している。
自分なら上手く【歯止め】を利かせられる。なんて、驕った考えもない。けれども、考えずにはいられない。
頭の中に幾つも浮かんだ【大切】を、取り戻したいという熱情を忘れることなど……出来はしなかった。
ナギサ「カナさん!」
うわっ!な、ナギサか!?どうかしたか!?
ナギサ「それは此方の台詞です。一体どうしたんですか?さっきから、ずっとボーッとして……
…もしや具合でも悪いのですか?でしたら、今すぐに救護騎士団に連絡を…」
ああ、いや、すまない。ちょっと…眠かっただけだ。
ナレーション
昨日はベアトリーチェ会ったことすら素直に話せたのに、何故かマエストロと会ったことを未だ話せていない。
いや、話せない。話そうと思っても、何でか誤魔化しの言葉が出てしまう。それが、カナは自分でも不思議だった。
それほどまでに、カードの誘惑はカナを揺さぶっていた。
セイア「まぁ、仕方ないと言えば仕方ない。昨日も色々と立て込んだからね。疲れているんだろう」
ミカ「だったら、尚のこと休んだ方が良くない?議事録はとってあるから、ちょっと横になって休んできたら?」
ナレーション
純粋に心配してくれる友人の優しさが、今のカナには少し痛かった。 - 65二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 23:22:29
やさしいな…
- 66二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 07:14:48
言えないか、そりゃそうだよな
- 67二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:59:01
しゃーなしよ…
- 68二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:25:05
保守
- 69◆VLlUGaOg9c24/12/29(日) 22:49:37
ミネ「所見では特に異常は見られませんでした。希望であれば、より詳しい検査を提案しますが…」
あー…大丈夫だ。心配かけて、すまない。
ミネ「いえ、私は救護騎士団として当然の救護をしたまでです。
…念の為、少し休んでおくと良いでしょう。カーテンを閉めて、外から見えないようにしておきます」
…ありがとう、ミネ
ナレーション
救護の騎士として多くの人に寄り添ってきた経験のお陰か?身体ではなく心に原因があると見抜いたのだろう。
ミネはカナに1人の時間を与えるべくカーテンを閉め、また救護を求める他の生徒の元へ去って行った。
…何やってるんだろうな、私は。
ナレーション
本当のことを言えない後ろめたさも手伝って、心配する友人たちの好意を強く押しのけられず、
具合も悪くないのに救護騎士団の部室で転がっている。そんな自分の現状が、カナは何だか情けなかった。
……きっと、怒るよな。「こういうのは、生きてるみんなの為に使いなさい」って、言うのかな?
ナレーション
カナは自身を悩ませるカードを取り出して、もう1度じっくりと掲げて見る。
理性はとっくに答えを出してる。やってはならないこと、やらなきゃいけないこと、全部分かってる。
なのに出来ない。お腹が減ってないし、身体は痛くない。頭は回るし、身体も動く。なのに、思うように動けない。
………会いたいなぁ
- 70二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 08:59:51
そりゃなぁ…
- 71二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 14:19:35
その辛さは普通よ
- 72◆VLlUGaOg9c24/12/30(月) 22:13:53
…いや、悩んでても仕方ない!この時間を使って装備の点検をしよう!整備は大事だからな!
ナレーション
理性と欲望がぶつかり合う、グルグルと巡る頭の中を何とか振り切りたい。
その一心でカナは空元気を振り絞り、自らの愛銃をベッドの上でオーバーホールし始めた。
というか、何かしていなければ、今にもカードに願ってしまいそうだった。
……よし、次は服の中に隠してるヤツだな!
ナレーション
何とか意識を整備に切り替え、銃を組み立て直したカナは、仕込み武器を手入れするべく衣服に手をかけた。
自分がカーテン1枚だけで隔てたベッドに居ること等、すっかり忘れていた。
ただでさえカードの誘惑に心を奪われていた上、それを振り切ろうと装備の点検に努めて意識を向けていた。
だから、普段なら直ぐに気がつくような、隠されてすらいない気配にも気がつかなかった。
“カナ、様子見に来たんだけど調子はどぉ………っ!?
あれ、先生?
ナレーション
少女は殆ど全裸体であった。
- 73二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 08:19:49
キャー先生のエッチー
- 74二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 12:01:05
出くわしてしまった
どうする先生 - 75二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 14:26:18
こういノリも久々だな…
- 76◆VLlUGaOg9c24/12/31(火) 18:36:19
…?どうした、先生?大丈夫か?
ナレーション
色んな意味で衝撃的な光景に出くわしたことで一瞬思考が止まってしまった先生を前にして、
カナは無防備な姿をしたまま心配して近寄った。何故先生が固まってしまったのか、まるで分かってなかった。
“カナ、服!服!“
え?ああ、服着てなかったな。……揉むか?
“も、揉まないよ!早く、服着て!“
ナレーション
何とか意識を取り戻した先生は、大慌てでカーテンの外へと出て行った。
(まともな性教育が期待出来ない環境で育ったとはいえ、本当にとんでもないことを言う子だ)。と、
先生は内心焦り交じりの嘆息を吐きながら、心の奥底では少しだけ勿体ないことをしたと後悔した。
2人が先生と生徒である以上、あってはならないことなのだが、それでも少女の身体は惜しいほどに美しかった。
“………ごめん、カナ“
ナレーション
少女の身体が美しいからこそ、完全には消えることがなかった古傷は苦しいほどに痛々しい。
先生は自らの欲望以上の力不足を、思い知ることにとなった。
- 77二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 23:22:03
今の内でマシと感じる所はあるかもな…
- 78二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 07:30:18
でも先生にはどうしようもない部分ではある
- 79◆VLlUGaOg9c25/01/01(水) 09:53:47
- 80二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 11:39:05
訳解んない初夢見てて草
- 81二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 13:40:47
良いんじゃないかな?
- 82二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 16:21:13
原作はおろか、本スレでも出てこなかったアツコのお父さん!?
- 83二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 22:27:33
最終編所かアビドス3章の後にやるべきヤツでは…?
- 84◆VLlUGaOg9c25/01/02(木) 00:11:11
代理モブ「「そもそも、アリウスに伝わる呪われた宝石って何だよ?」って1番思ってるのは1なんですよね。
うろ覚えですが、自称アツコのお父さんも余りアツコさんに似てなかったみたいですし………」
気にするな、先生。私は全然気にしてない。
“うわっ!?カナ、着替え終ったのっ!?“
ナレーション
先生が1人落ち込んでいると、シャーッと音を立ててカーテンが開いた。
また生徒の裸を見てしまう訳にはいかないと、先生は大慌てで目を瞑る。
先生は気がついて居ないが、さっきから大声を上げるので救護騎士団内の視線を1度に集めて大変目立っていた。
ああ。そんなに焦らなくても、ちゃんと着替えたぞ。
“そっか、なら良かった。……私が言うのも何だけど、少しは見られたこと気にした方が良いと思うよ“
別に先生は傷口狙って撃ってきたりしないだろ?
“いや、そういう問題じゃなくてね?“
???
ナレーション
何にも分かってない顔のカナを前にして、先生は保健体育の補習を決意した。
必ずや、純真無垢過ぎる生徒に危機感を持たせねばならぬと決意した。
- 85二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 09:14:40
カナちゃんも補習授業部だからね、仕方ないね。
- 86二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 15:22:16
色んな意味で補習授業部を連れてくるべき案件やな…
- 87◆VLlUGaOg9c25/01/02(木) 22:28:47
それはそうと、先生は何しに来たんだ?なんか空赤いし、今忙しいんじゃないか?
“あー…サオリに頼まれて、様子を見に来たんだよ。その…何があったかは教えて貰った“
…先生、その話は2人きりでしよう。カーテンの中に入ってくれ。
ナレーション
事情を聞くと、頑なに忘れようとしていた記憶が瓦礫の下から這い出るミミズのように蘇り、
目に見えて表情を歪めたカナは少しだけ口を噤んだが、やがて意を決したようにカーテンを開いた。
…しかし、先生もカナもお互いに自覚していなかった。
救護騎士団員A「ヒソヒソ……カナ様、がカーテンをお開けになったわ」
救護騎士団院B「ヒソヒソ……先生はあのような女性がお好みなのかしら?」
治療中の生徒A「ヒソヒソ……よく見なさい、あれはカナ様からのアプローチ。アリウス仕込みの籠絡術よ…」
治療中の生徒B「ヒソヒソ………ああ、想像が止まらないわ。誰か、絵筆を持っていらっしゃらない?」
ナレーション
カナが開けたカーテンの中へと先生が招かれて消えていく。
その後継は遠目に様子を伺う生徒たちから見て、先生をベッドに誘おうとしている衝撃的ラブシーンであることに。
アツコ「私はカナと先生の詳しい馴れ初めを知っているけど……どうする?」
ナレーション
そして1人のアリウス生が面白半分にあることないこと話していたことに、カナも先生も全く気がつかなかった。
- 88◆VLlUGaOg9c25/01/02(木) 22:34:41
- 89二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 23:12:16
良いなこう言う要素も…
- 90二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 10:34:50
ほ
- 91二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 10:44:07
すっごいニヤニヤしながら言ってそうなアツコ
- 92二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 15:53:38
アツコはあの口になってそうだな…
- 93◆VLlUGaOg9c25/01/03(金) 20:47:21
あー…その、なんだ……
ナレーション
カーテンの内側に先生を招き入れたはいいものの、カナは話せば良いか分からなかった。
自らの願望を奥底に封じ込めようとしたのは現実的に「叶えてはいけない」と結論付けたからであり、
それを理解しているからこそ、尚も諦めきれない願いを口にすること後ろめたく感じられた。
“大丈夫。ゆっくりでいいから、カナの話を聞かせて欲しいな“
ナレーション
そして、それ以上に、カナは優しい先生に願いを肯定されるのが怖かった。
「ダメだ」と必死に自分を戒めているのに、赦しを与えられてしまったら…本当に願ってしまいそうだった。
……先生は
ナレーション
けれども、今はキヴォトスの一大事。何時までも無言で見つめ合っている訳にはいかない。
それが分かっているからこそ、カナは何度も口の中で言葉をこねくり回しては呑み込んでを繰り返した末、
ようやく、何とか少しづつではあるが話し始めることが出来た。
サオリに、何処まで聞いたんだ?
…マエストロに会って、私のカードのレプリカを貰って…それで人を蘇らせられるって聞いてから、
様子が可笑しくなったって…
…そっか
ナレーション
全部、何もかも知られている。そのことを知って、ようやくカナは観念することが出来たような気がした。
- 94二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 23:10:02
話せたか…
- 95二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 08:11:39
無理はすんな…カナ…
- 96二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 15:50:14
保守
- 97◆VLlUGaOg9c25/01/04(土) 19:56:02
…まぁ、大体それで合ってる。あの人形の人…マエストロはただ説明しに来てくれただけだ。
“大丈夫?怖くなかった?”
いや、全然。親切な人形おじさんだった。
ナレーション
マエストロがアリウス分派の前に立ち塞がった時、カナはベアトリーチェによって磔にされていた。
勿論、カナはマエストロとアリウスの戦いについて全く無知な訳ではないが、それでも直接の面識が薄く、
結果論ではあるが、マエストロとの戦いで死者どころか後遺症を残した者もいない。
その為、カナとマエストロの間にある因縁は薄く、カナの認識では謎の人形おじさん程度の認識だった。
不審者という意味では不気味だが、怖いと思うほど怖いところを知らないのである。
“なら良いけど……あんまり、怪しい大人には近寄らないようにね“
それなら大丈夫だ、最近は何時も誰か一緒に居てくれるからな。
“…そっか、なら大丈夫だね”
ナレーション
“そうだ、カナにはアリウスのみんなも居る。思っていたよりも元気そうだし、もう大丈夫なのかもしれない“と、
そう先生は内心安心しかけていた。そんなこと、ある訳もないのに。
………あー、その……先生は、誰か会いたい人はいるか?
ナレーション
ミカ直伝のアイスブレイクが今、終った。
- 98◆VLlUGaOg9c25/01/04(土) 21:23:58
- 99二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 23:03:07
空気感が和むから悪く無いのは確かだな…
- 100二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 03:53:39
師匠だったのか…
- 101二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 10:40:14
まあ教えられそうなのもミカ位ではあるか…
- 102二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 17:44:07
保
- 103◆VLlUGaOg9c25/01/05(日) 21:21:05
ナレーション
先生はキヴォトス唯一の「先生」であり、数多くの生徒たちと浅くない交流がある。
が、カナが言っているのはそういうことではない。カナは…【会いたくても会えない人】が居るか?と聞いたのだ。
“それは…“
ナレーション
会いたい人は居る。キヴォトスの外にある故郷には家族も、友人も居るし、先祖代々の墓もある。
生徒たちのことも大切だから、先生はまだ暫くキヴォトスの外へと帰るつもりはないが、
それでも、長らく家族や友人と離れ寂しさはある。しかし、それがカナの言う「会いたい人」かどうかは……
…流石の先生であっても断言はできなかった。
…私は居る。それも、沢山だ。
“カナ…“
ナレーション
教え子にかけてあげられる言葉を見つけられない己の不甲斐なさを、先生は呪わずにはいられなかった。
しかし、それも仕方のないことだ。残しされた者の傷を真に癒やせるのは残して行ってしまった者しか居ない。
昔のアリウスは…あんまり良いところじゃなかった。
生きる為に、みんなの為に、未来の為に。そうやって自分を誤魔化して、そこら中で傷つけ合って、奪い合ってた。
私もそうだ。汚いことも、悪いことも………先生に言えないようなことを沢山やった。
ナレーション
カナが纏う空気は何時もより暗く、誰の目から見ても懺悔をしているのだと直ぐに分かった。
そうして先生は思い知る。
アリウスの「戦争」を体験していない自分では、カナの心を抉る傷痕に触れることすら難しいのだと。
- 104二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 22:53:52
先生でもそりゃ触れづらいもんよな…
- 105二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 07:50:55
保
- 106二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 08:41:59
簡単に埋まるものじゃないわな
- 107二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 13:39:35
これはそうよな…
- 108◆VLlUGaOg9c25/01/06(月) 22:13:53
…そんな顔しないでくれ、先生。私もみんなも、もうそんなことしない。
“分かってるよ。分かってるから、苦しいんだ“
ナレーション
先生自身は気がついていなかったが、その瞳からは涙が流れていた。
カナの言うとおり、もうアリウスの生徒たちが「汚いこと、悪いこと」に手を染めることは無いだろう。
しかし、それだけの自制心と倫理観…優しい心を持つ生徒たちが、懺悔するほどの行為に手を染めて、
そうまでして数多くの命を取り溢して、苦難と苦痛に喘ぎながら生きなければならなかったという現実。
そのことが熱心な教職者である先生には何よりも哀しく、そして苦しかった。
…そっか。やっぱり、先生は優しいな。
ありがとう、先生。「みんな」の為に泣いてくれて、「みんな」のことを想ってくれて……本当に嬉しい!
ナレーション
カナも思うところはあったが、先生の涙を止めはしなかった。
泣かせてしまった哀しみ以上に、泣いてくれたことが嬉しかった。
今は亡き家族の為、友の為、名も知らぬ誰かの為に、本気で想ってくれることがカナの心を軽くしてくれた。
“カナ、君は…“
ほら、ハンカチだ。そんなにグチャグチャの顔でみんなの前に出たら笑われるぞ?
ナレーション
カナの「ありがとう」を前にして、少しだけ、先生は自分の方が救われたような気がした。
まるで自身が助けられなかった生徒たちがそこにいて、カナを通して笑いかけてくれたかのように感じたのだ。
…いや、或いは本当に、生前の交流を通じてカナに託された生徒たちの意思が、先生に会いに来たのかもしれない。
- 109二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 22:48:38
導きの月光並みにカナのそばにいた思い達でもあるだろうな…先生の感じた意思は
- 110二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 07:46:53
保
- 111二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 14:31:32
守
- 112二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 14:33:03
ここでハンカチ渡せるのはカナちゃんの強さよな
- 113二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:21:22
カナちゃんちょっと楽になったかな
- 114◆VLlUGaOg9c25/01/07(火) 22:23:24
安心してくれ、先生。私は人を蘇らせようとしている訳じゃない。
ナレーション
先生の涙を拭きながら、カナは努めて優しく告げる。
それは先生を安心させる為の言葉だが、強ち、その場凌ぎの嘘という訳でも無い。
寂しさも、叶うならそうしたい願いも本物。しかし、現にカナは今の今までずっと自制が出来ている。
先生のように亡くなった「みんな」を想ってくれている人が居るという事実が心を軽くしてくれたから、
これから先も誘惑に負けることはきっとない。少なくとも今は、カナもそう信じることが出来たのだ。
“…どうして?“
ナレーション
先生は自分が何かを出来たという自覚も自信も無い。いや事実、何か出来た訳では無いのかもしれない。
ただ、先生の想いが伝わったことで、カナが勝手に救われた。ただ、それだけのことなのかもしれない。
だからこそ、先生はどうしてカナがそれほど気丈に振る舞えるのか分からなかった。
カードは色彩からみんなを守る為のものだからな。
…それに死んだ人が戻ってきたら、みんな今よりもっと引き金が軽くなる。
“それは……っ!?“
…それに、生きている私たちが、去ってしまった「みんな」を言い訳するのはダメだろう?
ナレーション
長く死と近しい場所で生きてきたからこそ育まれた、強固にして芯の強い死生観。
それは自身が力及ばず去ってしまった時、自分の為に家族の未来を閉ざしたくないという、
まだ少女のカナが抱くには余りにもささやかな願いに由来するものだった。
- 115二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 09:13:43
ちょっとつらみ
- 116二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 16:26:56
柔軟だねカナちゃん
- 117◆VLlUGaOg9c25/01/08(水) 21:01:41
- 118二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 22:38:27
ギリギリ一般家庭よりのホルスと紛争地出身のカナだからなぁ…
- 119◆VLlUGaOg9c25/01/08(水) 23:14:48
ん?どうした、先生?
“えっ?あっ…“
ナレーション
“何とかしないと”。その想いだけが先行して、先生は殆ど無意識にカナの手を掴んだ。
先生にはカナの決意を無駄にする気も、価値観を否定する気もない。でも、このままではいけないと思った。
蹲まりながら歯を食いしばって、苦痛の呻きを呑み込んで、ただ痛みに耐えている。そんなのは、
生き地獄と一体何が違うのだろう?可愛い生徒に味合わせて良いものではない。その想いが先生を動かした。
“えっと…”
ナレーション
カナの手を掴んだまでは良かったけれど、何を言えば良いか分からずに先生は口ごもる。
不思議には思ったカナだったが、しかし何を言うこともなく、ジッと先生の答えを待つことにした。
何も焦ることは無い。ここには銃弾も、榴弾も飛んでは来ないし、相手は信頼する先生なのだから。
“…ごめん。何かしてあげられたら良かったんだけど、私じゃあ、きっと、カナの苦しみを分かってあげられない“
“けれど、もし私が去ってしまった「みんな」なら……きっとカナが覚えててくれているだけでも、
凄く嬉しいし、そうやって想ってくれることに救われると思う“
“カナがずっと想っているくらい素敵な「みんな」なら、同じように想ってくれるんじゃないかな?“
ナレーション
そうして信頼に応えるように、先生は自らの出した答えを告げた。
- 120二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 07:55:15
ほ
- 121二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 14:40:24
先生なりに答えたか…
- 122二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 19:32:29
よかった
- 123◆VLlUGaOg9c25/01/09(木) 22:39:11
ナレーション
たかが言葉、されど言葉。何か特別なことが言えた訳でも無ければ、同じ痛みを共有出来た訳でも無い。
けれども、その言葉を絞り出すのに先生が一体どれほど自身のことを想って、悩んで、苦しんだか?
それを全く想像出来ないほどカナは愚かでも無かった。
先生、それは…
ナレーション
けれども、これは理屈の問題では無い。先生の優しさに感じ入り、その想いに応えなければと幾ら思っても、
カナの奥底に突き刺さった暗く、ずっしりと重い感情が消えることは無い。…しかし、それでも、想いは伝わった。
…ほんとに、そうかな?
ナレーション
カナの心を縛りつける理性の鎖が緩み始めた。
カードの誘惑によって限界ギリギリまで追い詰められた精神状態、1枚のカーテンで隔てられた視線の無い環境、
そして……伝えられた先生の想い。それらが合わさったことで、ようやく感情が自制心を上回り始めたのだ。
ほんとに…みんな、私のこと覚えてくれてるかな?嬉しいって思っててくれるかな?
ナレーション
カナは泣いていた。
殺される寸前まで嬲られても尚、理性を以て仇敵の心に思いを馳せたカナが、
明日の命も分からないまま、理不尽によって1人また1人と友が消えていく地獄の中で笑みを見せ続けたカナが、
年相応のただの少女として不格好に表情を歪めて、自分の「弱さ」を曝け出して、……本気で泣いていたのだ。
“勿論だよ。だって、カナが大切に思うくらい素敵な人なんだからね“
- 124二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 07:36:09
そりゃそうだぜ…
- 125二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 13:00:26
よしよし
- 126二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 23:16:01
ちゃんと吐き出せるのも大事よ
- 127◆VLlUGaOg9c25/01/10(金) 23:20:49
…そっか。
“うん。きっと、そうだよ“
ナレーション
ただの言葉だ。先生はカナが亡くした「みんな」にあったことも無い。
けれど信憑性を考える必要も、疑って掛かって検証する必要も無い。繰り返しになるが、これは感情の問題なのだ。
理屈ではなく、本気で応えてくれた先生の言葉だから、今でも愛している「みんな」のことだから信じられる。
たったそれだけで良かったのだ。
…すまない、もう少しだけ時間を貰って良いか?
“もちろん。カナが満足するまで一緒に居よう“
ありがとう、先生。
ナレーション
ほぷっ!と音を立てて、体当たりでもするかのように、カナは先生の元へと倒れ込んだ。
うぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーーーっ!!
ナレーション
先生のワイシャツは涙と鼻水でグズグズになって、カナも泣きはらした所為で顔が真っ赤に染まり、
これから間もなく赤く染まった空についての会議があるだろうというのに、後のこと等何も考えていない。
でも、きっと、そういう時間がカナには必要だった。
- 128二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 09:58:14
先ちょだったか
- 129二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 15:44:17
ほ
- 130二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 23:00:28
し
- 131◆VLlUGaOg9c25/01/12(日) 00:30:38
うう…ぐずっ…すまない、やり過ぎた。
“大丈夫。むしろ、甘えてくれて嬉しかったよ“
………ありがとう、本当に先生は優しいな。
ナレーション
どれだけの時間が経ったかは分からないが、例え僅かな時間であっても、それはカナにとっては大切な時間だった。
立場も何もかも忘れて、封じ込めた感情を解き放ち、溜め込んだ言葉を吐き出して、
ただの子どもとして先生に縋りついて泣きじゃくる。そんな風に誰かに甘えられたのは本当に久し振りのこと。
先生が真剣にカナに向き合い続けたからこそ、積み上げられた信頼が起こした必然の奇跡と言っても良い。
そんな大切な相手に思いっ切り甘えられた。カナにはそれが堪らなく恥ずかしく、それ以上に嬉しかった。
でも、本当に大丈夫か?先生の服ぐちゃぐちゃにしちゃったが……
“ま、まぁ、それは、急いで着替えれば良いから“
…すまない、弁償する。
ナレーション
明らかに誤魔化しの色が強い先生の返答に、カナは申し訳なさそうに頭を下げる。
そこに悲痛や気負いの色は無く、2人は何でもない本来の日常の姿を取り戻していた。
“それじゃあ…もう大丈夫そう?”
…正直、みんなのことを思うと寂しいのは変わらないし、叶うならもう一度会いたい。
けど、大丈夫だ!きっと、みんなも私のことをずっと想っていてくれてるからな!
ナレーション
先生のお陰で辿りつけた答え。もうカナの瞳には迷いは無かった。
- 132二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 08:58:18
やったぜ
- 133二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 18:19:15
メンタル面は大丈夫そうかな
- 134二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:00:24
吹っ切れたか
- 135◆VLlUGaOg9c25/01/12(日) 22:19:14
- 136二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:24:37
それはそうなきはする
- 137二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:37:06
赤くなったカナの顔、着替えている先生…これは!?
- 138二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 09:58:50
カナちゃんは友愛な印象
- 139◆VLlUGaOg9c25/01/13(月) 10:20:17
- 140二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 16:23:22
いつ見ても面白いはあの顔は…
- 141二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:25:34
良い空気吸ってんなぁ
- 142二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 22:37:55
保守
- 143◆VLlUGaOg9c25/01/13(月) 22:46:52
代理モブ「他人事のように言っていますが、この噂をコントロールしようとしてるんですよね。アツコ」
ナレーション
カナが迷いを振り切ったのは良かったが、それはそれとして今はキヴォトスの存亡が掛かった一大事。
周囲の視線も気がつかないまま、泣きはらした顔のカナと先生は大急ぎでナギサたちに連絡を入れ、
今にも走り出しすような勢いでティーパーティーの車に乗り込み、連邦生徒会へと急行せねばならなかった。
すまない、遅くなった!
ミカ「おかえり~♪って、カナちゃん、顔真っ赤じゃんっ!?」
セイア「まぁ、間に合ったなら良いさ。ただ会議までには何時もの顔に戻してくれよ?」
えっ、あっ!そ、そうだな!分かった、軽く化粧で偽装する。
ナレーション
先に車に乗っていた2人の指摘で、やっと自分が酷く赤面していると気付いたカナは急いで学生鞄を漁り始める。
そんな慌ただしい様子を見て、何時ものカナに戻っていると気づいたナギサは薄く微笑んだ。
ナギサ「カナさん、一応聞いておきます。もう大丈夫ですか?」
…ああ。心配してくれてありがとう、もう大丈夫だ。
ナレーション
マエストロに会う前、早朝振りにカナは晴れやかな笑みを見せた。
- 144二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 07:52:32
ある意味問題無い感じになったか
- 145二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 13:18:18
よかったよかった
- 146二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 21:25:57
これで良い意味でいつも通りのカナちゃんだ
- 147◆VLlUGaOg9c25/01/14(火) 21:37:58
- 148◆VLlUGaOg9c25/01/14(火) 22:54:30
“お待たせ、遅れてごめんね“
ナレーション
連邦生徒会の会議室へと到着すると、そこには既に各学園の重鎮たちが揃っていた。
マコト「キキキ…随分と遅かったじゃないか?先生にまで手間をかけて一体何をやっていたのだろうな?うん?」
ナレーション
トリニティが最後となると、水を得た魚のように突いてくるのがゲヘナの羽沼マコトだ。
元よりゲヘナとトリニティの仲が悪いというのもあるが、
ベアトリーチェが倒れたことでアリウスと組んでトリニティにミサイルを計画をぶち込む計画が潰れた上、
そのことをネタに(言うほどの要求はされてないが)揺すられているマコトにとって、
アリウスを擁する今のトリニティは憎らしい相手以外の何者でもない。
マコトは1人の治政者としてカナの能力は評価しているが、それはそれ、これはこれであった。
あー、それはわた“私の方がちょっと用事があってね。付合って貰ってたんだ“
ナレーション
庇うように被せられた先生の言葉。
カナは驚き目を見開きそうになったが、先生の好意を無駄にするまいと平静を装った。
その代わり、今度先生にとびっきりお礼をしないといけない。と心に決めるのであった……(加湿フラグ)。
リン「用事とは?」
“ちょっと、古書館の方で何か情報が無いか探して貰ってて…ね?“
ナギサ「ええ。我々トリニティが有する古書館の資料を閲覧したいとのことでした。
残念ながら、思うような資料は見つけられませんでしたが…」
- 149◆VLlUGaOg9c25/01/14(火) 22:54:57
- 150◆VLlUGaOg9c25/01/15(水) 06:51:47
- 151二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 13:30:02
キヴォトス全体のピンチだしね
- 152二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 22:18:22
納得感ある
- 153◆VLlUGaOg9c25/01/15(水) 22:31:14
ナレーション
マコトのちょっかい…もとい小競り合いもそこそこに、残された席にカナたちが座ったことで会議が始まった。
リン「皆様お手元の資料をご覧下さい。こちらが作戦計画書となります」
アヤネ「これほどの資料、いつの間に…」
ナレーション
リンの言う通り、それぞれの机に用意された分厚い紙の資料。
パラパラと軽く捲るだけで作り手の苦労を伺えるほど、詳細かつ丁寧に作られた資料に感嘆の声が上がる。
事実、これだけの資料を僅かな期間で用意出来る能力の持主はキヴォトス広しといえども多くは居ないだろう。
連邦生徒会筆頭行政官として、リンは恥じないだけの仕事をしたと言って良い。
アコ「例の塔によってサンクトゥムタワーは倒壊、それによる連邦生徒会の行政機能の麻痺――ーなるほど」
ユウカ「連邦生徒会はサンクトゥムタワーに頼りすぎなんじゃないの?」
ナレーション
サンクトゥムタワーはキヴォトスを管理する中枢部であり、連邦生徒会の本部でもある。
そのサンクトゥムタワーが倒壊したことにより、連邦生徒会は職場・資料・仕事道具の3つを同時に失った。
こうして会議をしているのも、実は連邦生徒会が偶然保有していた別の建物。
リンの指揮の下、サンクトゥムタワーの代わりとして大慌てで用意した借宿でしかないのである。
普段の業務もままならず、連邦生徒会は未曾有の大混乱を前に事実上の機能不全に陥っていた。
リン「結論から申し上げますと、あの塔を2週間以内に破壊しなくてはなりません」
ナレーション
しかし、壊れてしまった以上は無い物ねだりばかりしていても仕方が無い。
サンクトゥムタワーの倒壊も一大事ではあるが、それ以上に逼迫した危機が目前に迫っているのだから。
- 154二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:13:31
アレのブリーフィングが始まったか
- 155◆VLlUGaOg9c25/01/16(木) 06:48:07
- 156二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 14:37:41
しゃーなしよ…
- 157二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 20:55:02
このスレでおかしくなければまぁ
- 158二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 23:05:14
ですな
- 159◆VLlUGaOg9c25/01/16(木) 23:22:38
リン「現在、キヴォトスに出現した6つの塔。それらを今から「虚妄のサンクトゥム」と命名します」
きょもー……?よく分らんが、サンクトゥムタワーのパチモンか?著作権案件か?
リン「パチモン…という表現はよく分りませんが、サンクトゥムタワーの贋作という認識で問題ありません」
ナレーション
サンクトゥムタワーはキヴォトス全域を管理する力を持つ中枢、そこに集まるエネルギーも尋常なものではない。
それだけのエネルギーを有する物体が1度に6つ。それに加えて、本物のサンクトゥムタワーは倒壊している。
6つの虚妄のサンクトゥムが持つエネルギーと倒壊したサンクトゥムタワーから溢れ出したエネルギ-、
それらの影響と考えれば空が赤く染まるという異常事態にも一応の説明は付けられた。のだが……
ユウカ「まぁ、それならこの空の色も超高濃度エネルギー体のことも納得がいくけど……」
ナレーション
…それはそれとして、非現実的なほどに大事件。現実を素直に呑み込むだけでも難しいものがあり、
失踪中のリオ会長の代理として出席するユウカを初め、あまり納得の色が浮かんでいない者も多かった。
ナギサ「こちらはカナさん……いえ、ティーパーティーとシスターフッドが協力し、
旧アリウス分校舎から見つけ出したデータです」
これは信頼…は今一し辛いけど、信用は出来る筋からの情報なんだが、
今起きている変化は「色彩」っていう現象に影響された「誰か」が、キヴォトスにやって来て起こしたこと…らしい。
サクラコ「――「色彩」に関しては、シスターフッドが所蔵している古書にも記録があります。
曰く――人々を「狂気」に陥れる光である。と……」
- 160二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 07:27:06
著作権が分かってる
賢い - 161二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 12:37:00
パチモン…そういう考えもあるのか
- 162二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 21:30:32
情報ちょっとあったぞ
- 163二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 23:01:50
確かに
- 164◆VLlUGaOg9c25/01/18(土) 00:05:22
代理モブ「えー、これについてですがね。
原作のメインストーリーとの矛盾が発覚したので辻褄あわせをした弊害です」
代理モブB「そういう訳で、問題のシーンを見てみましょう。まずは本スレから」
>>148より、先生とナギサ様の台詞。
“ちょっと、古書館の方で何か情報が無いか探して貰ってて…ね?“
ナギサ「ええ。我々トリニティが有する古書館の資料を閲覧したいとのことでした。
残念ながら、思うような資料は見つけられませんでしたが…」
代理モブC「…はい、古書館で資料は見つけられませんでした。続いては、原作のメインストーリー」
最終編2章「作戦会議」より、ハナコの台詞
ハナコ(原作)「こちらは、セイアちゃん……いえ、ティーパーティーとシスターフッドが協力し、
古書館から発見したデータです」
代理モブ「…はい。という訳で、原作との祖語が出ないようにデータの出所を旧アリウス分校舎に変更したんです。
代理モブB「一応原作と違い本スレだと、セイアが夢経由でゲマトリア会議や地下聖堂の儀式を見てないので、
夢という導線が無かった代わり、ベアトリーチェやマエストロがカナに齎した情報が導線になった。
という解釈は出来なくも無いので、今回の所はそういうことにしておいて下さい」
代理モブC「まぁ、原作とは世界線が違うので、この世界線では過去に資料がアリウス分校へ渡った。
という差違があっても、可笑しくは無い。……筈です」
- 165二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 09:34:44
まあ問題は無いからヨシ!
- 166二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 15:00:13
だな
- 167二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 22:50:32
それはそう
- 168◆VLlUGaOg9c25/01/18(土) 23:27:12
ユウカ「「色彩」……?狂気に、陥る………?一体何の話?」
ナレーション
キヴォトス有数の技術の学園であり、キヴォトスの科学技術の中枢とも呼べるミレニアムサイエンススクール。
その運営を担うセミナーのユウカですら、「色彩」という現象について耳にするのは初めてのことだった。
現実を侵食するように突然現われた、人を狂気に陥れるという未知の現象。
余りにも非現実的な話で、ユウカはまるで御伽噺でも聞いているような気分であった。
ヒマリ(通信)『信じ難いのは分かりますが、これらは全て現実の話ですよ』
ユウカ「ヒマリ先輩!?聞いていたんですか!?」
ヒマリ(通信)『ええ。実は先生からトリニティにて発見されたデータの解析と実証を依頼されていましてね。
セミナーにも報告を上げたのですが覚えていませんか?』
ユウカ「えっ、ああ、もしかして、連邦生徒会との共同調査のやつ!?でも、あれは未だ検証途中じゃあ…」
ナレーション
しかし、ヒマリは知っていた。カナが旧アリウス分校生徒会室から発見したベアトリーチェのノート。
その分析は先生の依頼により、連邦生徒会と特異現象捜査部に任されていたらしい。
ヒマリ(通信)『とはいえ、アルプスの天然水のように清らかな超天才病弱美少女の私でさえ、
未だに色彩の実態を掴めている訳ではありません。ですが………今回の1件で確信しました。
生徒の神秘を『反転』させる不可思議の光、理の外に或る現象……色彩は実在します』
ウタハ(通信)『ヒマリ先輩と…トリニティのリア先輩と協働して例のタワーを分析したのだが、
どうやら、この光に触れると人格に変化が起こるようだね。1種の精神攻撃のようだ』
- 169二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 08:45:46
あの資料が役に立ったぜ
- 170二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 14:45:26
地味にウタハがちゃんとリオを誤魔化してるな
- 171二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 19:56:48
とりあえず有ると分かれば
- 172◆VLlUGaOg9c25/01/19(日) 21:53:16
ヒマリ(通信)『本当に驚きました。この超天才病弱美少女に迫るほどの知恵者が…しかもトリニティに居たとは。
どうでしょう?これを気に転校を考えてみるのは?』
リア(通信)『……ごめんなさい、お話はありがたいけれど。アリウス分派…特にカナ様には大きな恩がある。
まずは、その恩を返すのが私の「やるべきこと」だから』
ウタハ(通信)『…まぁ、そんな訳で望外の助っ人が得られた上、ヴェリタスにもデータ解析を依頼したんだ。
――でも、これでもまだ足りない。説明出来ないことが多過ぎる。もっとデータを集めないと…』
ナレーション
「全知」と謳われるヒマリ率いる特異現象捜査部、ミレニアムの有数の技術者集団エンジニア部、
ホワイトハッカー集団ヴェリタス。どれもミレニアムでも特に優秀と謳われる生徒たちが多く所属する部活だ。
…キヴォトスの科学技術の最先端を行くミレニアムの才媛たちが、所属の壁を越えて協力したにも拘わらず、
「説明できないことが多過ぎる」という異常事態。それは、生徒たちの危機感を煽るには充分な情報だった。
リア(通信)『これはまだ仮設の段階だけれど、私たちの計算が正しければ、
あの塔が発しているエネルギーは約300時間後に臨界点に達するという結論が出たわ』
リア(通信)『放っておけば、最終的にキヴォトス全域にまで塔のエネルギーが広がるでしょうね』
ハレ(通信)『トキ…新しい妖怪MAXまだ…?』
コタマ(通信)『買い出しに行ってから、まだ1分も経っていませんよ』
- 173二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 22:52:23
ギリギリヒマリは口に出してないだけで薄々感づいてるかな…
後話と関係無いけど、このスチル好き