- 1二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:49:00
- 2二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:49:45
そうか…なら書け!
- 3二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:50:33
ふーん なかなか面白そうじゃないスか
どれ ひとつ書いてみてくれ - 4二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:51:51
いやだイチャイチャ二次創作くらいしか書いたことないから真面目な話は書ける自信ないし書きたくない
- 5二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:53:24
あと普通に悪魔王子の口調がなんとなく掴めていないからキツイのん
- 6二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 19:59:10
おそらくこの世界線ではファインの友人にリカルドがいると思われるが…
- 7二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:03:43
身長差と体格差の激しい男女の二人組はカップル非カップル問わず好物なんだァ流行って貰おうかァ
- 8124/12/18(水) 20:44:29
ハーッ灘神陰流"やっつけ仕事のSS(語録抜き・ドーベルの一人称視点・全二レスだよ…たぶん)"
- 9124/12/18(水) 20:44:40
少女漫画が好きで昔からよく読んでいた。そういう漫画には王子様が付きもの、というと少し言い過ぎだけど、それでも沢山の王子様を見てきたし、憧れた。
生まれ持っての地位も何もかもも捨てて主人公と駆け落ちする王子様。偶然の出会いをしたソリの合わない主人公が実は顔も知らない婚約者だった王子様。主人公を押し倒して、その……無理矢理そういうことをして自分のモノにしたけれど、次第に主人公に本当の愛を向けるようになるなんていう過激な王子様もいたかな。
本当の王子様もいれば、王子様みたいに格好良くてみんなの人気者な……アタシとは正反対だけど、生い立ちというか立場だけはアタシにそっくりな王子様もいた。こんな人がある日突然現れて……みたいな事を妄想してベットでジタバタしたことは少なくない。……実を言うと、高等部に入ってからもトレーナーに会うまではほんの少しだけやっていた。
たまたまその様子をタイキに見られて、無邪気にあれこれ聞いてくる彼女に押し切られるように妄想した内容を話すことになってしまったのも今ではいい思い出だ。……とは、流石に言えない。やっぱり思い返す度顔が熱くなっちゃう。だって、胸に秘めていたものを自分の口から話すのは拷問のようなことだし、何よりその妄想を全部ではないけれどタイキが叶えてくれたことも思い出しちゃうから。壁ドンとか、お姫様だっことか、耳元で『好き』って囁かれるとか……。
それはともかく。そんな王子様に憧れる毎日を送っていたら———アタシの前にもついに王子様が現れた。 - 10124/12/18(水) 20:45:00
その王子様は今までアタシが見てきた王子様とは全く違う。……見た目の格好良さはどの王子様にも負けないけれど、中身が全く違う。
弱くて、不安定で、そんな自分を隠そうとするかのように強気に、横暴に振る舞う。心の底から憎悪を向ける相手がたくさんいて、『そんなこといけない』だなんて口が裂けても言えないような悲惨な生い立ちの、この学園に流れ着くまで地位どころか人間扱いすらされたこともない。それでもなお、心優しいアタシのトレーナー。そんな、『悪魔の王子様』
分かってる。悪魔だなんてうそぶくけれど、龍になると苦しむけれど、アンタはそんな存在じゃない。いつまでも付きまとう悲惨な過去と、空っぽと思い込んで満たされていないと感じている毎日。そんな苦境を克服しようと必死に足掻くアンタは悪魔でも龍でもましてや兵器でもない。ただの、普通の『人間』。
アンタはアタシを支えてくれた。『メジロドーベル』じゃなくて『誰か』になろうと迷い苦しんでいた時も、隣にいてくれた。これからもずっと、アタシに強いって言い続けると約束してくれた。
昔はどうしようもない現実からアタシを奪い去ってくれる王子様に憧れていたけど、今度はアタシの番。アタシがアンタを苦しみから連れ出す。
闘えなくなったっていい。自分の力だけで地獄から抜け出そうとしなくたっていい。アンタの抱える苦しみごと、罪ごと、向けられた恨み辛みごとアンタを抱えて、地獄から連れ出して……一緒に背負って、生きていく。『悪魔の王子様』をただの『王子様』にする。それが、たくさんの王子様に勇気を貰ってきたアタシができる王子様への恩返しだから。……ううん、それだけじゃない。アンタへの恩返しにもなるから。まあ——
——アンタをお姫様抱っこするのは大変そうだけど
- 11124/12/18(水) 20:46:13
やっつけ仕事すぎて語録もなければ猿要素も薄いしどぼ先生の口調も変な気がするだァ だけど許してもらおうかァ
- 12二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:49:18
こんな神概念がタフカテで生えるなんてアタシは聞いていないよッ
おいっ 日常シーンも見せてくれ - 13二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 20:59:45
あうっ ほ…本当に書かれるのかあっ
腕力的には問題ないけど体格が違いすぎてベルちゃん抱えるの大変そうっスね - 14二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:04:40
米軍の手先に追われた悪魔王子がとりあえず人混みに紛れようと野球場に忍び込んでやねぇ…偶然見かけたやきうのおウマさんを見ないふりしてあげるの優しさが悪魔に芽生えるのもウマイで!
- 15二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:11:23
そういえばガルシアとガルシア・クローンの計画って米軍のどこ主導なんスか?陸軍とか海兵隊は出てくるけど海空は空気だし流石にパパノトップガン大佐は計画の外にいるんスかね
- 16二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:16:43
- 17二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:18:08
- 18二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:20:14
- 19二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:22:34
- 20二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:24:13
えっ コマンドーとダイ・ハード2の脚本って同じ人が書いてたんですか
- 21二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:31:00
- 22二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:34:05
R国は分からないけど米国出すとダートの本場だからいろいろ大変なことになりそうと思うのが…俺なんだ! 面白そうだけど絶対扱いきれないんだよね
- 23二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:44:19
- 24二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 21:58:35
少女漫画みたいに冷える身体を大切な人の上着で温めてやね…丈ガ違イスギルーッ助ケテクレーッ
- 25二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 23:14:05
お姫様抱っこを期待してたら片腕で軽く担がれてむくれるドーベルと軽く受け流す悪魔王子がよかったよねパパ
- 26二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 23:15:55
まるで王子というより歴戦の戦士みたいでやんした…
- 27二次元好きの匿名さん24/12/18(水) 23:23:24
いけーっ
二次創作者の1ーっ - 28124/12/19(木) 00:36:25
ほいだら見せてやろうかあーん? 悪魔王子のエミュは無理です でもスタンプならいけるやろしたワシの判断…糞 全然わからないしたぶん出来てないから…糞
「はい……R国の特殊部隊です。……いえ、後処理係は必要ありません。アイルランド王室のSP隊が数人近くにいます。チームが到着する頃には既に彼女たちが人道的に保護してるでしょうから。……それでは」
通信を終え、倒れ伏すR国の軍人どもをそのままに場を去る。やはり、王女の護衛を任されるだけあって練度は高いらしい。俺が気配を把握できる範囲の限界に来たあたりで速やかにノびた奴らを確保していった。幸運な奴らだ。彼女たちが近くにいなければ良くて旅行先はグァンタナモ、悪ければ俺も知らないようなブラック・サイト行きだったはずだ。
人のいない裏路地から離れ活気あふれるトーキョーのフチュウの街に出る。———そう、ここは日本。相変わらず平和ボケした車と飯の旨さが取り柄の我が同盟国だ。俺は今、この国で潜入任務に着いている。任務内容はガルシア11号の『護衛』だ。
11号め、鬼龍の血を引くだけあって頭が回る。……あるいは三女神の導きというやつか。だとすれば神が救うのは人のはずだろうに、人でなしの兵器を助けるなんてかの女神達は随分と慈悲深いらしい。
日本は同盟国、ただ奴がこの国に逃げ込んだだけなら話は簡単だった。だが、奴は今よりにもよって面倒な所に籍を置いている。Japan Uma Musume Training Schools and Colleges.通常トレセン学園。日本のウマ娘・レースの中心地だ。
どの世界にも言えることだが、金を持っている奴が有利なもの。逆にいえば、その道の最高峰には金持ちが集まるものなのだ。そして、金を持っているということは、権力や影響力も併せ持っているもの。我が母国アメリカがその典型だ。
それにレースは民衆にとって最高の娯楽の一つ。トレセン学園での荒事はアメリカ政府の抑え付けが効果的ではない一般大衆の反発を招くのは必至。さらに言えば、今はグローバル社会だ。一国の問題がどこまで飛び火するか分からない。アカの理屈のようで少し癪だが、民衆を敵にした時国家というのは深手を負うか潰れてしまうかするのは古来よくある事だ。
- 29124/12/19(木) 00:36:40
更に面倒なのはトレセン学園にアイルランド王女ファインモーションが在籍している点だ。正確に言えば、彼女と鬼龍の息子らしきリカルドという男が友人となってしまった事だ。諜報班によれば、リカルドはR国の機密技術と非人道的行為の塊で襲撃を受けた事もあるらしい。そのため王女直下のSP隊が彼の護衛も行っているとのこと。その過程で我々とガルシア11号についての情報を多少掴まれ、今日のように11号へもある程度護衛の網が広げられてた。つまり、R国のとばっちりで我々アメリカは動くに動けない状態にあるのだ。
だからこその潜入捜査官による『護衛』任務だ。確保のために動けないなら、動けるようになるまで他所の勢力に“ガルシアの心臓"を渡らないよう現状を維持する。……まさか、一度捕まえた相手を護る事になるとはね。
「人間兵器がデートとはいい御身分だな、11号」
見失ったガルシア11号に追いつき、遠方からの監視を再開する。今、奴は自分の担当のメジロドーベルと商店街を練り歩いてるのだ。それも二人して随分と楽しそうに、クレープなんかを食べながら。……ただのティーン・エイジャーの恋なら素直に応援する所だし、彼女には悪いと思うが、こと11号が相手となるとさっさとお開きになってくれと願わざるをえない。
「……お前がさっさと寮に戻ってくれないとテストの採点ができないだろ」
護衛任務にあたって与えられた身分はトレセン学園の英語教師。プリント作りとか授業の流れとか、そういう専門的なものはバックアップ・チームがやってくれるのだが、雑事は別だ。1日の大半を教師と捜査官双方の業務につぎ込まなければならないのに、家に帰ればそういう残業が待っている。おかげで、こうして気を張り詰めていないと最近は欠伸ばかりしている。
「チッ、あの方向にはショッピング・モールがある。……家に帰れるのは夕方か、下手したら夜になりそうだな」
まあ、上手いこと値引き品に巡り合えたら夕飯を考える手間が減るし悪くないなと思いなおしつつ、尾行を開始する。
- 30124/12/19(木) 00:37:07
それにしても、こんな任務を続けているとふと思ってしまう。あの子は、メジロドーベルとは授業でいつも接している。奴が身の上話をしたのか敵意を向けられる事も多いが、好感の持てる良い子だ。だからこそあんな人間兵器に何故彼女のような子が……
「……何考えてるんだろうな、俺は。……うん?」
ちょうど余計な世話焼きをするおじさん臭い事を考える自分に呆れ、冷静になった時にスマホに着信があった。この名前は確か……よく担当の銅像を建てたり、着ぐるみ姿でそこら辺を徘徊しているド級の変人トレーナー。売り込みを受けた時、押し切られるようにLANEを交換する羽目になって、なんだかんだ友人関係になってしまったのだ。
送られてきたのは『たづなさんに撤去されなくてかつ人目につく場所知らない?』というメッセージと、相変わらず何処で身につけたのかわからない高い技術力を感じさせるアストンマーチャン銅像。近くにいる発光体は……たまたま近場にいたもう一人の狂人トレーナーか、その担当の狂人の哀れな被害者もとい被験者か。いつもの光景ながら、とんでも無い写真であることに変わりはなく、思わず笑ってしまう。
「……少し緩みすぎだな」
俺にだって捜査官という職に誇りがある。愛着がある。これで結構祖国へ忠誠を誓う愛国者でもある。だから、『その時』がくれば11号を捕まえ、今の身分を捨てることには変わりない。
だが、最近はこの生活も悪くないと思ってしまう時がある。兵器である11号ですら荒んだ裏の世界よりも表の暖かな世界に心地よさを覚えているのに、人間である俺がそれを覚えない訳がない。だからこそ、願わくば——
——明日にでも、確保の指令が出て欲しいものだ。
- 31二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 00:38:50
どうしてワシは普通のトレドベSS差し置いてスタンプSSなんて書いてるんやろうなぁ
ムフッ目も疲れたしさっさと寝ようね - 32二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 00:45:23
なんや短編集とか書き下ろしにありそうな話やのォ… 見事やな(ニコッ)
- 33二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 07:25:32
- 34二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 09:53:30
- 35二次元好きの匿名さん24/12/19(木) 20:12:27
ドーベルのコメント
許せなかった…憧れのラモーヌさんのトレーナーでアタシの大切な人のパパが鬼龍だったなんて……!!! - 36124/12/20(金) 00:37:33
「変わったよね、アンタも」
隣あって歩くメジロドーベルがふと、そんな事を言う。……俺が変わっただと?何を言っている?別に変化らしい変化など感じないが。
「変わったわよ。……そういうの、溢さないで食べられるようになったし」
言われて気づく。確かに、あの地獄から抜け出して行き倒れていた所を彼女に助けられるまでこんな、ホット・クレープなんてものは食べた事がなかった。それまでの食事は腐りかけの臭いメシに廃棄予定の糧食。兵器に人間らしい食事は不要ということか、この程度でどうにかなるほどヤワなものを造ってはいないという下らない自負か。とにかく、真っ当な人間の食事など取った事がないから、初めの頃は酷く苦労をした。
アイスとか、それこそクレープのような片手間に食べるものは特に酷く、手を汚しては彼女にウェットティッシュを渡されていた。
「ふん。それを言うならベルもだろう。……自分の口元をよく見ろ」
一瞬、何を言っているかよく分からないという風に固まり、言葉を理解して慌てて口を拭う。元来人目が、特に男の目線が苦手なせいなのか。初めの頃は俺の前では気を張り詰めていて、こんな隙を見せることはなかった。……しかし、名家の出というだけあって拭い方一つとっても品を感じる。生まれの違いを感じてしまう。……そんな視線が彼女に気づかれる前に、意識が別の方へ向いた。LAENの着信だ。
「誰から?」
「キー坊から『ラーメンを食いに行くか?』と」
「………行くの?」
すっかり口元を綺麗にしたメジロドーベルに問われて答える。もちろん行くわけがない。ドーベルとの予定があることを抜きにしても、彼女の声音が不安に揺れていることは置いておくにしても行きたくはない。ラーメンの誘いということは十中八九『弟』が、リカルドがいるはず。そしてそれは、奴の友人ファインモーションがそこにいることを意味していると見て間違いない。
王女に何かあっては一大事と、府中での荒事に対して警戒を強めているアイルランドは、味方と考えていい。それは、王女の友人リカルドだけでなく自分にも数人、遠目から護衛・監視の人員を付けていることからも確かなはずだ。だから敵対心があるとか、狙われる恐れとか、そういうものから断るのではない。単純に、肩肘張って食べるラーメンなんて美味さが半減するからだ。 - 37124/12/20(金) 00:37:49
「そうなんだ。……よかった」
嬉しそうな、それでいてそれ悟られまいとするような最後の独り言を聞こえないふりする。……兵器が随分人間らしくなったものだ。誰かの心を、それも年頃の娘の羞恥心を慮るようになるだなんて。
この街は本当に良い所だ。食事は上手いし、寝床も真っ当で、風呂にも好きに入れる。教育上手で道場を構えていたこともあるらしいパパの血を引いているからか、トレーナーという立場も意外と性に合っているらしい。生徒なり同僚なりに何かと頼られるのも悪くないし。
それに、政治的な問題もあって米国も俺に手を出せないから気楽なものだ。それどころか、護衛すらしている有り様だなんて胸がすく。なんてったって、人間様が兵器に使われている訳だからね。だからこそ、毎日のように思ってしまう。
——俺は本当にここにいていいのか?
この街は、ここに住んでいる奴らは本当に温かい。そんな所に俺はいていいのか?かつての俺は、知っている温もりといえば、死んだばかりの人間の体温と返り血の生暖かさくらいだったのだ。そんな修羅が、本当にここにいていいのか?
日を追う毎に、うなされて飛び起きることが少なくなっている。当然だ。穏やかな場所にいて、楽しい毎日を過ごしていれば心の荒みも取れていくものだからな。だが俺にそんな毎日を生きる価値はあるのか?
たくさんの人を殺した。自意識もなく、ひたすら命令通りに人を殺した。きっと、俺が殺した奴らの中には、今の俺のような毎日を送っていた者だっていたはずだ。そんな幸せを奪った俺が、何故幸せに生きている?本当に、何故?
悪夢を見なくなってきているという事は、自分の犯した罪を忘ようとしているんじゃないのか?俺は人間として生きるべきではなく、兵器として死ぬべきなのではないのか?
何よりR国の存在だ。いや、それ以外にも突然変異の心臓を狙う勢力はごまんといる。米国だって諸々の手筈が整えばすぐにでも襲ってくる。そのつもりがなければ、俺の尾行をスタンプにさせる訳がない。癪だが、奴はそれくらいに恐ろしい相手だ。敵になり得ないのはきっとアイルランドくらいだろう。それだって、王女が王女であるからそう言えるだけで絶対じゃない。
- 38124/12/20(金) 00:38:16
自分だけが死ぬのならそれは悪因の報いでしかないからまあいい。せめて奪った命に申し訳ないように戦い抜いてから死ぬさ。だが、自分一人で済むだなんて誰が保証できる。
時々オマケだサービスだと頼んでもいない商品を押し付けてくる商店街の年寄りたち。まだ仕事に慣れていなかった頃、何かと世話を焼いてきた同僚たち。俺みたいな人間が物珍しいのか、絡んでくるトレセンの生徒達。身元も不確かな俺を抱え込んでくれたメジロ家。何より——メジロドーベル。
そんな人々が血の温かさと死体の冷たさなど知るべきではない。……それも、知り合い達の死を通してだなんて。スペンサー長官もあの男も、マフマドベコフのようなマフィア連中も、心臓のためなら平気で民間人を巻き込みかねない。
悪魔は地獄に帰りる時が来たんじゃないのか。最近、そんな事ばかり考えてしまう。……それでもそれを実行できないのは、俺が弱い人間だからなのかそれとも醜い兵器だからなのか——
「アンタ、また要らないこと考えてるの?」
メジロドーベルの声に意識を引き戻される。その声音は先ほどまでの嬉しそうなものとはまったく違う。責めるような色をしていた。
「アンタの過去は知ってる。……語ってくれたのが、ほんの一部でしかないのも。でも、だからってアタシの前から消えるのは絶対に許さないから」
気弱な彼女が時折見せる意志の強い瞳。それがこちらを真っ直ぐ見つめる。
「ずっと、『強い』って行ってくれるって約束したんだから、ちゃんと守ってよ。それから——」
「——お姫様抱っこしてやるって言ったの、守らせてよ」
……兵器だった頃はこれほど人間が難儀なものとは思いもよらなかった。一度約束してしまえば、それを絶対に守らなければならない。しかも、守ったところで廃棄されないとか、飯を食えるといった報酬がある訳でもない。それでも、逃げるわけにはいかない。
それが悪魔王子の生きるべき道なんだろう。
- 39124/12/20(金) 00:39:13
悪魔王子のエミュ分からないけどこんなの悪魔王子の口調ではないというのはなんとなくわかるよバカヤロー
- 40二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 01:21:46
1‥神
上質なクロスオーバーを作り出す事は人間に与えられた能力の中で最上のものだからな - 41二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 01:45:34
どうしてワシはこんなクロスで感動してるんやろなぁ...
- 42二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 07:25:33
なにっイケメン・ベル・ちゃん
負けん気の強い相棒のせいで精神的にタフになるヒロインは麻薬ですね - 43124/12/20(金) 08:25:47
「やあ、『ガルシア』トレーナー」
放課後、メジロドーベルとトレーニング場へ移動している道中声をかけられた。振り返らずとも分かる。この声、声音こそ人あたりの良さそうな感じを装っているが、相変わらず俺を兵器としか思っていないのが伝わってくる声は、潜入捜査官スタンプ・ハウアーだ。
とはいえ、奴の今の身分はトレセン学園英語教師で俺はトレセン学園トレーナー。無視して去っていくわけにもいかない。仕方なく振り返ろうとすると、
「こんにちは、スタンプ先生!」
それよりも先にメジロドーベルが反応していた。隣にいたはずの彼女が、いつの間にか俺とスタンプの間に割り入るように立っている。……俺を庇おうというのか?そんな震える声で。怯えるように折り畳んだ耳で。勇気を振り絞るように握りしめた、小さな掌で。
普段の彼女はあまり気が強くなく、むしろ他人の視線に怯えるような繊細な女だ。確かにウマ娘だから、身体能力だけでいえば俺たちより上かもしれない。だが、どんな力も活かせなければ意味はなく、彼女はそれを活かす術を持ち合わせてはいない。トレーニングの一環でボクシングや心陽流を用いてはいるが、エクササイズ程度のもの。スタンプ相手には意味をなさない。何より、ウマ娘の活躍できる時期は短い。それなのに大怪我などしてはいられない。それは彼女もわかっている。
彼女は俺の過去をある程度は知っている。もちろんスタンプが俺を捕まえ、一度は地獄に連れ戻した男とということも。任務となれば非合法活動も実行する男であることも。……もし、奴が敵に回った時は迷わず俺を見捨てて逃げろと、よくよく伝えたからな。
それなのに彼女は迷わず俺を庇っている。 - 44124/12/20(金) 08:25:59
「……やり辛いなぁ。心配しなくてもいいよ。ちょっと冷やかしに来ただけだから」
そう言ってスタンプが帰っていく。放課後の雑踏に溶け消えるように奴の背中が見えなくなった頃、ようやくドーベルが緊張を解いた。胸を撫で下ろして、安堵のため息。……よほど、無理していたのだろう。余計な事を。
「ドーベル」
その声に、「なに?」と彼女がこちらを向く。……いくら芯のあるタフな女とは言え、こんなあどけない少女に心配され庇われるなんて悪魔王子の名折れだ。パパ譲りのプライドもズタズタさ。
「トレーニングが終わったら、何か食いに行くか」
それでも嬉しい事には変わりはない。せっかく人間扱いされたのだ、人間らしく礼の一つでもしよう。
- 45124/12/20(金) 08:27:28
ムフッ昨日の作品に盛り込みたかったけどできなかったシーンを書いておこうね
そろそろネタが尽きたんだァ他のウマネモブにも書いて貰おうかァ - 46二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 10:09:55
タフという言葉はドーベルのためにある
親愛にしろ恋愛にしろやはり愛こそが最強だろなんだナァ - 47二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 11:02:24
- 48二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 20:06:18
- 49二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 00:13:04
なんとなく思いついたはいいけれどクソ眠くて書くに書かないそれが今のボクです
完成はいつになってしまうんやろなあ… - 50124/12/21(土) 11:23:42
自分で書いといてなんスけどねーっなんなのこの出会い
解釈違いというか思ってたのと違うよバカヤローみたいな声でたとして知らないこれくらいしか戸籍問題とか解決する方法が思いつかない - 51124/12/21(土) 11:23:53
雪が優しく降る中、人通りのない路地をおっかなびっくり歩く。この辺りには絵画も扱っている古物商があるって聞いたことがあった。だから、聖夜の装いをした大通りよりはこちらの方が可能性があるだろうと軽い気持ちで入ったはいいが、正直その判断を激しく後悔している。
「うう、何処にいるんだろ……ラモーヌさんたち」
人目につくのは苦手だけれど、誰もいない空間というのもそれはそれで恐ろしい。雑踏の奏でる音はもちろん、それに負けまいと張り上げられるクリスマス・ケーキを売り込む声すらも聞こえない静謐で薄暗い空間。そんな所に独りでいると不安で不安で仕方なかった。
「ひっ!?」
怖くて早くここから抜け出したいのに、そのせいでどんどん歩みが鈍っていく中、何か聞こえたような気がした。お化け、なんてことはないと思うけど、だとしたら不審者とか怖い人なのだろうか?……恐怖心が生んだ空耳ということにしてやり過ごそうとしたけれど、ダメだった。やはり、どこかからか声が聞こえる。
どうしよう。走って投げる?でも、もし走った方向に声の主がいたらどうしよう。隠れる?けど、ここには隠れられそうなところなんてないし。とにかく、何をするにしても冷静にならなきゃ。
そうして、どこに声の主がいるか知るために耳を澄ませて気づいた。……もしかして、この声ってうめき声?なんというか、怪我か病気かわからないけれど、何か大変なことになってるんじゃ……。
一度そう思ってしまうと、逃げるという選択肢はなくなってしまった。助けの必要な人を放って逃げた。なんてことになったら今後ずっと後悔し続けるし、メジロの一員として相応しくない。
足を止めて深呼吸をする。緊張と、しばらく歩きっぱなしだったこととで火照った身体が一瞬、内側から冷える。そのおかげか、少しだけ気持ちが落ち着いた。意を決して声がする方に向かう。
ウマ娘の聴力は種族的に高い。だからといって、漫画みたいに何メートル先に相手がいる!みたいなことまではちゃんと訓練でもしないと分からない。しばらくあちこちウロウロしているとようやく声の主を見つけた。そこには……
倒れ伏している巨漢がいた。 - 52124/12/21(土) 11:24:56
どう考えても只事ではない。長い間動けないでいたのだろう。身体に雪が降り積もっている。そのせいで分かりにくいが半裸で、靴も履いていない様子だ。何より、身体がボロボロなように見える。
頭が追いつかない。ついさっきまでアタシはクリスマス・パーティーの準備をしていて、いつものように連絡の取れないラモーヌさん達を探しに出て、それで……とにかく当たり前の日常を送っていたはずなのに、こんな事になるなんて。……いや、現実逃避なんてしている暇はない。
「早く救急車を……あと、警察も……」
「止めておけ」
急に後ろから声をかけられる。一瞬ビクッとするがすぐに馴染みの声と分かり落ち着きを取り戻す。この声はラモーヌさんのトレーナーの——
「——鬼龍さん!?」
クリスマス・パーティーにあたって探していたもう一人の人。人嫌いで、それにメジロのパーティに呼ばれるような人達にとってはトレーナーとしてよりも恐怖の対象として有名なのもあって、家としてのパーティには出ないけれど、せめて身内だけの会くらいは。そう思って探し回っていた人がそこにはいた。何故か片手に花束を持って。
けど、どうして?この状況はどう考えてもそういう機関に助けを求めるべきだと思うのだけど。
「入り組んだ事情があるが一言で言うなら、それが人間じゃないからだ」
人間じゃないって何を言っているのこの人は?どうみてもこの倒れている人は人間にしか見えない。
「言っただろ。入り組んだ事情があるとな。……面倒ごとに巻き込まれる前にキサマは帰るんだな」
そう言って倒れている人に向ける視線は冬の空気よりも冷たくて、ゾッとした。けれど、アタシに向けられた声音は言葉とは裏腹に優しさを感じた。心からアタシを慮っているというのは分かった。それでも……
「こんな光景見ちゃったら、帰れませんよ」
大柄な体格にどこか自己中心的で傲慢な性格。時々見せる冷徹で冷酷に嗤う様はまさに悪魔。いや、ラモーヌさんと上手くやっていけるような美意識と愛の深さも持ち合わせているあたり単なる悪魔では収まらない。暴虐と美しさを併せ持った、龍のような人。……正直、苦手な人だ。
けど、この状況で大人しく帰ることはできない。無い勇気を振り絞って、なんとか抵抗する。そんなアタシを面倒くさそうに、けどどこか楽しそうに鬼龍さんが見つめる。決して目をそらしはしない。
- 53124/12/21(土) 11:25:47
睨み合い……なんて立派なものじゃない。ただそらさなかったというだけで、アタシの眼光に力はなくむしろ怯えしかなかった。それは自分でもわかっている。ともかく、そんな状況を先に終わらせたのは意外にも鬼龍さんだった。……楽しそうな笑みを浮かべて。けど、すぐにその笑顔が崩れた。
「ぱ……ぱ……?」
倒れている人が初めて真っ当な言葉を発しってわずかに視線を動かした。その視線は確かに、鬼龍さんを捉えていた。鬼龍さんがこの人のお父さん?でも、確か鬼龍さんの息子さんってもう……。
「……お前なんかを息子とは認めない」
一瞬、手元の花束を見やったあとそんなことを言う。……本人がどう思っているかはともかく、どうやらこの二人に血のつながりがあることだけは確からしい。
冷たい拒絶の言葉。けど、その声音は鬼龍さんらしからぬものだった。動揺の色が、確かな悲しみの色がそこにはあった。
「チィッ」
暫く何やら悩んでいたようだったが、そんな舌打ちとともにスマートフォンを取り出して何処かへ電話をかけ始めた。
「蛆虫か。今すぐ府中商店街の指定する場所まで車でこい。荷物運びだ。……それから」
鬼龍さんがチラリとこちらを見る。
「メジロドーベルを家まで送り返せ。俺は少し用事ができた」
そう言って有無を言わさず電話を切った。蛆虫……たぶん何かと鬼龍さん周りの人に振り回されているゲンさんのことだろう。そんなものだから何かとお世話になることがある……今度、いつものお礼に何かしてあげよう。何喜ぶんだろう、あの人。そんなことを考えていると、突然鬼龍さんに花束を投げ渡された。
「……それを代わりに供えておけ」
- 54124/12/21(土) 11:26:01
その言葉にようやく花束を持っていた理由を理解する。それから、この人がメジロのパーティーに出ようとしない理由も。これは息子さんの、ジェットさんの墓前に手向けるものだったんだ。クリスマスを親子二人で過ごすために……。
「その、ごめんなさい。アタシのせいで」
「女のワガママを叶えてやるのが男というものよ。それより——」
「———そいつは俺が手を回してお前のトレーナーにしておく。責任を持って面倒を見ろ」
「…………えっ?」
こうしてアタシはアタシのトレーナーと、悪魔王子と出会った。
- 55124/12/21(土) 11:28:30
猿先生が鬼龍に頼る理由がわかったっスこいつ話動かすのに便利すぎるんだ
遺体をアメリカから遷すとかは難しいだろうけど、空でも墓作って日本にいながらジェットを弔う……みたいなのって可能なんスか?書いておいてなんだけど - 56二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 16:03:36
こんな世界線でも愛息を失っている鬼龍に悲しき悪因縁…
- 57二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:42:19
- 58二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 21:43:15
このレスは削除されています
- 59二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:25:57
- 60二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 22:56:54
鬼龍のガルシア冷遇は反発されて殺されたい欲=自分は死ぬべき人間という意識が根底にあるっぽいし穏やかな日常を過ごすうちに自分を許せるようになったら正面からガルシアを息子と認めるようになるんスかね
- 61二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 10:11:30
目が覚めた悪魔王子がどんな反応するのか楽しみですね…ガチでね
- 62二次元好きの匿名さん24/12/22(日) 18:23:51
概念スレ聞いています 一度建てると言い出しっぺが書き続けることになったりならなかったりすると
- 63二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 01:20:43
クリスマスをおじさんに台無しにされるゲンに悲しき聖夜…
- 64二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 08:04:15
キャプマスどこへ!?
友人枠として是非とも出番が欲しいよね党高官のパパ - 65二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 19:28:51
オラーッもうちょい頑張って貰おうかスレ主ーッ
- 66二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 03:09:11
◇乙女なドーベルと人間兵器を絡ませようとするこの男の目的は…?
- 67二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 03:43:56
ハメにタフクロスウマ娘あったっスね結構続いてたけどえたったやつ
- 68124/12/24(火) 13:36:57
せっかくのクリスマス・イヴで休みの日なのにワシは何をしてるんやろうなあ…
薄れゆく意識の中で声が聞こえた。確かに誰かがパパの名前を呼ぶ声を。その女の声に応える男の声を。……あれが俺のパパ、鬼龍という人だったのか。どうせ死ぬなら、父子の感動の再会なんていう兵器らしからぬ事をしてから死にたかった。
「博士、博士!えっと、11号さん?が目を覚ましました!」
意識が判然としないせいで何を言っているかまでは分からない。だが、女の声というのはわかった。とにかく、そんな女の声が響いて始めて気づく。どうやら俺はまだ死んでいないらしい。それに、寒くない。どこかの施設に運び込まれたのか、暖房的な暖かさを感じる。……こんな人間らしい扱われ方をしているあたり、少なくとも米軍にまた捕まってしまった訳ではないようだ。
「起きたようだなガルシア11号」
意識がハッキリとしてきた。声の主は……ゴア博士か。科学者で、既に米軍から離反していると聞くが関係ない。俺を兵器として扱う男へ反射的に殴りかかろうと起き上がる。……のを止められた。
「ちょっ、身体を安静にしないと死んじゃう!」
病み上がりとはいえ、兵器として造られた俺の動きを咄嗟に止められるこの女は?ゴア博士に改造でもされたのか。……いや、違う。こいつはウマ娘なのか。
「その、いきなりの事でビックリしてると思うけど……ええと、とにかく落ち着いてください。……なんて説明したらいいんだろう。ここって」
そうしてあれこれ悩むウマ娘を見ていると、殺意が引っ込んでいく。コイツは俺がゴアを殺そうとしていたことに気づいていない。そういう発想がそもそもない。せいぜい、目が覚めたら見知らぬ天井を眺めていたことにパニックを起こした程度の認識しかないのだ。そんな能天気な様子を見ていれば、殺そうという気持ちも収まってくるものだ。……俺は合理的な殺人兵器じゃなくて、不合理な人間だからな。そうしていると、ゴアが「ほれ」と何かを投げてよこす。膝上に落ちたそれを拾う。
「偽造パスに偽造免許証、適当に作った貴様の偽の来歴。それから偽造したトレーナー免許だ」
「……どう考えても違法だよね、これ」 - 69124/12/24(火) 13:37:10
「気にしたら負けだよ、ドーベル」とゴアが笑う。ここまでのやりとりで確信した。このドーベルというウマ娘は軍人どころか軍属ですらないのだ。そんなのを多額の予算のかかっているクローンに……いや、突然変異の心臓の近くに付けるなどというのはありえないはずだ。どうやら、今すぐに逃げ出さなければならない状況という訳じゃないようだ。
「それじゃ私はライツ博士との打ち合わせがあるんでな。万が一アクシデントが起きたらこのトダーに任せなさい」
「マカセロデスワヤンケ」
ロボットにどんな教育をしているんだこの男は?と一瞬思ったが、ゴア自身呆れたような目でトダーを見ているあたり、コイツにとっても予想外の学習をしているらしい。
「まあ、いい。……ああそうだ。ガルシア11号よ、人間を気取るなら人間らしく礼の一つも言えるようにならんといかんぞ。私に、鬼龍に、何よりその子、メジロドーベルにな」
そういってゴアが部屋から出ていく。扉越しから「チコ、おいチコ!車を出してくれんか!」というような声が聞こえてきたが、そんな事はどうでもいい。
「……あのレーザー?付きの車、どうして警察に捕まらないんだろ」
人間を気取るなら礼の一つも言えるようなれ。確かに、今の今まで誰かに感謝の言葉を述べる機会などなかった。これから死ぬって相手に感謝などする余地がない。……正直な話、感謝の言葉といってもどういうことを言えば良いのかわからない。そんなこちらの心中など知らないで、メジロドーベルとかいう彼女から皿を差し出される。皮の剥かれたリンゴだ。
「博士は大丈夫って言ってたけど、一応胃に優しいものからの方がいいだろうから」
確かにこの肉体なら病み上がりの今でもステーキとかそういう胃に響くという食べ物を食べてもどうとでもなるだろう。とはいえ、実際食いたいかどうかは話が別だ。今まで死にかけてた身としてはこういうものの方が助かる。
何やらホッとしたような表情を浮かべたかと思えば、すぐに深刻そうな顔になる。そんな忙しない娘に側に居られると、どうにも落ち着かない。
「……この人がアタシのトレーナー、か」
- 70124/12/24(火) 13:37:54
一瞬、何を言っているのか分からなかったが、先程渡された物品を思い出す。そうか、コイツのトレーナーが今の俺に与えられた偽造の身分だったのか。
ウマ娘のトレーナーの事などよく分からないが、恐らく裏方仕事のはず。体調を万全に整えるまでの隠れ蓑程度にはなるだろう。この娘が余程の才器の持ち主で俺まで悪目立ちする羽目にでもならなければ。
「ところで、その……ガルシア11号さん?」
「……その名で呼ぶな」
ガルシア11号。兵器としての『名称』。個体識別番号でしかないそれで呼ばれるのは腑が煮えくり返る。あの呪詛と怨嗟の声が耳に響いて、汚濁の血の臭いと生暖かさが蘇ってくる。……本当に気に入らない。とはいえ、
「あっご、ごめんなさい。……たぶん本名じゃないってのは分かっていたけど、なんて呼べば分からなくて」
これに悪気がないのは分かる。事情も何も知らない子供なのだろうから仕方ないし、悪い事をしたとは思う。
しかし名前か。……だとすればこれしかない。俺のルーツ。恥辱と苦痛に耐える拠り所。俺を兵器ではなく俺たらしめるたった一つの要素。俺はただの人殺しの道具じゃない。あの人の、悪魔を超えた悪魔の息子なんだ。
「悪魔王子」
それが俺の名前だ。
「……申し訳ないのだけど、書類とかは我慢してガルシアって書いてね」
「なにっ」
- 71124/12/24(火) 13:39:34
ハードお…俺はネタが切れた…も…もう犬以外も働いてくれねェか…
- 72二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 13:55:05
- 73二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 15:38:51
ムフフ…昔あったリカルドトレーナーのスレを貼っておくのん
因みにこっちだと悪魔王子はファインのSPらしいよ
リカルドトレーナーの指導は麻薬ね【クロス】|あにまん掲示板どんどんタイムが速くなっちゃって…ここんとこ毎日よbbs.animanch.com - 74二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 18:51:52
久々に見に来たらSSが増えてた俺も嬉しいぜ
- 75二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 22:39:04
>>1…すげぇ
休みの日なのに面白いSS書いてくれるし
- 76二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 09:06:03
饅頭・インプリンティング(故意)なのか饅頭・インプリンティング(事故)なのかキー坊あたりがふざけてデスワヤンケを打ち込んだのか教えてくれよ