- 1二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 00:51:47
ベランダに出て、ポケットを探る。
骨身に染みるような、風が吹く夜だった。
咥えたそれに、命の灯火のように大事に抱えたライターを近づけた。
立ち昇る煙を見ると、このまま不安も一緒にどこかへ消えてくれるような気がしていた。
このままで、いいのだろうか。彼女の愛に自分はついて行けているのだろうか。
考えても仕方のないような疑問を、無責任に、ふわふわとした紫煙に委ねていたのだ。
「あら」
びっくりした。初めて会った頃から、し通しではあるが。
「ラモーヌ」
どうやって、なんてことは今更言うつもりもない。
手でも壁でもいいから、とりあえず火を押し消そうと思った。
「些事よ」
そう言った彼女は、すんでのところの右腕を止めてくれた。
まるで、大人に叱られる不良みたいな、そんな気持ちになった。 - 2二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 00:52:10
「ごめん」
何よりも先に口をついてその言葉が出た。
言い訳がましい。
「曇らないわ、その程度では」
怒っているのか、呆れているのか、嗤っているのか、どうとも取れない表情だった。
ただ、また煙草を、口先へとやってくれた。
念の為、距離は取って、また一口飲んだ。
「つまらない人」
「でも、それも貴方の愛なのね」
納得した様子だった。
味なんて分からないまま、吸い殻は灰皿へ、紫煙は不安諸共何処かへと飛んでいった。
向き直る。
やっぱり、まだまだ自分には彼女が分からない。ミステリアスに微笑む彼女を見て、謝罪も封じられた自分はただただ黙っているしかなかった。
「まだ、染められる。 これって、とても素晴らしい事ではなくて?」 - 3二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 00:52:28
そう、だね、と言った唇に、彼女の指が押し当てられた。
たったそれだけのことで、きゅっと締まった喉が、発言を許さない。
「それでこそ、私も全てを捧げられる」
「ふふ、ふふふ」
それだけを言って、彼女は部屋から出ていってしまった。
部屋の中には、ただ彼女の跡が香り立つだけだった。
リビングに戻り、おもむろにパソコンを開く。
そうでないと、彼女の愛には染まれない。
そう思った。 - 4二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 01:43:24
すっごいドキドキする、好きだな
- 5二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 01:48:19
ラモーヌ推し喫煙者トレーナーワイ
このSSのハートを100にするために飛行機を飛ばすことを決意 - 6二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 01:59:00
このレスは削除されています
- 7二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 02:05:33
タバコを吸うときに距離を置かれる→被保護者扱いされてるので少々不満
まだ、染められる→遠慮しないで私をあなたの色で染めていいのよ
こうですかチェリーなのでわかりません