- 1全3レス(予定)24/12/20(金) 21:12:55
高品質のマットレス、高品質のシーツ、高品質の布団、高品質の枕。これほど柔らかくて、暖かくて、肌触りもよく、ふわふわとしたものに今まで触れたことはない。まったく、贅沢な事を言うが
「……眠れない」
枕が変わると眠れないタチというわけではない。むしろ、旅行先とか、遊びに行った友人宅とか、そういったところでもぐっすり眠れるタイプだ。トレーナー業を始めてからは、背もたれさえあれば学園の年季が入った固い椅子でも問題なく眠れるようになっている。……まあ、流石にそうなると睡眠の質は酷いものだが。
ただ、メジロ家のような弩級のお金持ちの家に生まれたわけでも、そういう知り合いがいたわけでもない自分にとって、この最高品質の寝具類はどうにも合わない。おハイソすぎる。
「眠れるまで仕事でもしようか」
チームのトレーニング計画、強化トレーニングのための合宿先の選定、他チームの分析……今からでもできることはそれなりにあるが
「……ドーベルに怒られるか。止めておこう」
熱が入りすぎて良くて寝不足、最悪一睡も出来ないのがオチだろう。メジロドーベルはとても優しい子だ。目にクマを浮かべて会えば、きっとキツイお説教が待っている。……何より心配をかけてしまう。
ドーベルと出会って数年、最近ではチームも持つようになった。しかも、彼女の知名度のお陰でかなりの大所帯だ。トレーナーとしては情けない限りだが、彼女に支えられながらどうにか切り盛りしている。
自分同様、最年長という新しい立場に慣れないのだろう。時々こちらに困ったような、けれどどうすればいいのか分からず、どうしようもない。そんな視線を向けられることがよくある。……心なしか、ドーベル以外の子の指導に注力してる時に多い気がするのが気になるが。とにかく、これ以上彼女に余計な心配をかけるわけにいかない。
とりあえず羊でも数えよう。そうして、布団をかぶり直した時だった。誰かが扉をノックする音が聞こえたのは。
「こんな時間に誰だろう」
メジロの使用人の方々……にしてはノック音が弱々しく、自信なさげだ。かといって、他にこんな時間に訪れてきそうな人に心当たりがない。同僚曰く、ノックしてくるヤツもいるというが、まさか幽霊でもあるまい。とりあえず開けてみるとそこには—— - 2全3レス(予定)24/12/20(金) 21:13:06
「……こんな時間にごめん」
——メジロドーベルがいた。枕を抱きしめ、少しモジモジしている。顔が少し赤いあたり、緊張しているのだろう。しばらく、言葉にならない言葉を発していたが、恥ずかしさを誤魔化すよう枕に顔を埋めて
「……隣で、一緒に眠って欲しくて」
消えいるような声でそう言う彼女の顔は、枕で大半隠れているが、それでも火が出そうなくらい真っ赤になっているのはわかった。
部屋に招き入れて一緒にベッドへ入る。慣れない寝具に包まれる中で、彼女と触れ合い、その温もりを感じられる僅かな部分にだけ安らぎが訪れた。
「それにしても、どうして来てくれたんだ?」
寝室も、もちろんベッドも一つしかない自分の家であるなら自然と添い寝する事になるが、彼女の奥手なところはまだ健在だ。デート中とか、そういうムードでもない限り、彼女から恋人らしいことを求められることはまず無い。だからこそこの状況は意外だった。
「これでも、アンタの事は分かってるつもりなんだけど」
……家の枕でないとダメ、なんて事になった場面は記憶の限り一度だってない。それなのに、こうしてお眠れないでいるのを見抜かれてしまうなんて、彼女には頭が上がらない。そんなこちらを他所に、ドーベルが息を吸い込み、一拍おいて話し始める。恥ずかしさを堪えて、自分でもとんでも無いことを言ってしまっていると分かっている。そんな声音で。
「眠れないんでしょ?ならさ、いいよ。アタシのこと……いっぱい、抱きしめて」 - 3全3レス(予定)24/12/20(金) 21:13:25
その言葉に、いつも以上に努めて優しく、慎重に抱きしめる。自分のため精一杯の勇気を出してくれた大切な人に、不快な思いはさせたくない。
相変わらず柔らかくて、暖かくて、思わずぎゅっと強く強く抱きしめたくなってしまう。彼女を胸に抱く形なので自然とその長く、艶やかな髪に鼻がうずまる。鼻腔を彼女本来の花のような香りと、まだ僅かに残るシャンプーや石鹸の匂いとがくすぐる。
……恥という観念を全く持た無いのなら、彼女に変態と罵られるような行為をできる性格ならば、深く呼吸をして、眠るその時までこの芳香に耽溺していただろう。理性で押さえ込んではいるが、許されるなら今すぐにでもそうしたい。
慣れない夜を、いつもの夜が塗り替えていく。出来すぎた寝具への違和感やらといった妨げが取り去られると、一気に眠気が襲ってきた。だが、まだ眠る訳にはいかない。最後に一言、言わなければ……
「……おやすみ、トレーナー」
ドーベルの優しい声音に応えられたか否も分からない。もうその時には意識が睡魔に刈り取られ、囚われてしまっていたから。けど、それでもいいだろう。だって、起きれば隣に彼女がいるのだ。鳥が囀り、朝日が登る頃でも遅すぎはということはあるまい。だから、起きたら彼女にキスをして一言、言おう。
———ありがとう、ドーベル。 - 4おわり24/12/20(金) 21:15:16
トレーナーのためではあるけどそれはそれとして自分のためでもある そんなこんなでドーベルから恋人らしいことをおねだりするところが見たいのですがそういうのどこかにありませんか?
前回書いたやつ
【トレウマ・SS】ああ……タバコ吸いてぇ……|あにまん掲示板アレが毒の塊みたいなものというのも、それに満ち満ちた喫煙所が身体に悪影響というのも分かっている。何より、アレに使う金があるなら担当のウオッカに何やら奢る方が断然いい。だから、控えるのではなく本格的に止…bbs.animanch.com - 5二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:22:59
積極的なドーベルは健康にいいぞ
- 6二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:24:49
「される」じゃなくて「なる」って自発的なのがねいいよね
- 7二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:29:09
トレウマたすかる
- 8二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:31:54
トレーナーの家で添い寝しながら夜を明かすのが日常っぽいんですけど…?
まあええか - 9二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:35:51
ドーベル自身にはそのつもりないけどそれはそれとしてメジロにされそう
- 10二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:43:02
恥ずかしそうにもじもじしながらも勇気を出してお誘いする乙女さ…やはりドーベルはいいな
- 11二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 21:57:58
さりげなーくおはようのキスするつもり満々なのはなんなんですかね色男なんですかね
- 12二次元好きの匿名さん24/12/20(金) 22:19:14
どぼ先生抱き枕は安眠によく効く しかも湯たんぽみたいに暖かい(たぶん)
- 13二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 07:46:01
俺もドーベルを抱きしめて眠りたい
- 14二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 16:14:34
まあ同衾してたらね…
- 15二次元好きの匿名さん24/12/21(土) 16:25:37
↘️この辺に翌朝そーっとドアを開けて撮ってるライアン