自分が◯ぬか、自分の大切な人が1人◯ぬか選べって!?

  • 1二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:03:32

    何でしょうかこれは……頭の上に変な選択肢が出てきました

    自分が◯ぬか、自分の大切な人が◯ぬか……いやいや、そんなのどっちも嫌に決まってるよ!

    しかもこれどんなに走っても自分から離れない……本当にどっちか選ばなきゃいけないみたい。

    大切な人って誰だろう……トレーナー、キングちゃん、スカイちゃん、エルちゃんにグラスちゃん、スピカのみんな、それにザリオちゃんやブエナちゃんも……うぅ……みんな同じぐらい大切だよぉ。

    例え私が顔も名前も知らない人でも……私の選択のせいで死なせちゃうなんて耐えられない。

    私の友達やトレーナーには悲しい思いをさせてしまうかもしれないけれど……ここは覚悟を決めて腹を括って、「自分が◯ぬ」を選びます!!!

  • 2二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:06:12
  • 3二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:08:07

    あの、エルちゃん、キングちゃん、グラスちゃん、スカイちゃん。

    いつもお世話になりました……どうもありがとう。

    「何よ急に。まるで明日どこかに去ってしまうような言い方ね。」

    「もしかしてトレセン学園を退学になったとか?」

    「スカイさん、演技でもないことを言わないでください。」

    「そうですよ。スペちゃんはずっと私達の友達デース!」

    えへへ、嬉しいな。

    別にみんなとお別れしちゃうってわけじゃないんだけど、その、なんとなく感謝を伝えたくて。

    みんなとは一緒にいてすごく楽しかったし、私にも優しくしてくれたし、一緒に走ったり、美味しいものを食べたり……思い出もたくさん作った。

    「まあ、感謝の気持ちを伝えるのはいいことね。」

    「なんだあ。てっきりスペちゃんがどこかにいなくなっちゃうのかと思ったよ。」

    (本当に、どこかにいなくなっちゃうのかもしれないけどね。)

    (でも……あの選択肢のことは、みんなには言えない。)

    (言ったら……絶対悲しませちゃうから。)

  • 4二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:18:27

    トレーナーさん! スピカのみんな!

    あの、今まで……本当にお世話になりました。

    「なんだ急に。まるで明日トレセンを去ってどこかに行ってしまうみたいな言い方だな。」

    「そうよ! 勝手に移籍だなんて、アタシ聞いてませんよ!」

    「オレも! スペ先輩、移籍ならもっと早く言ってくださいよ!」

    「スペちゃん……急にどうかしたの?」

    あの、そういうわけではなくて。

    (まだ完全に否定はできないけれど。)

    「辛気臭い雰囲気なんて、オメーに似合わねーぞ!」

    ちょっとゴルシさん、頰を掴んで無理矢理笑わせるのはやめてくださいよ!

    「うわ、オメーのほっぺすげーモッチモチだな! おい、みんなも触ってみろよ!」

    「では私も、失礼しますね。……これは、適度な弾力があって気持ちいいですわ!」

    「うわー、こんなに触ってて気持ちいいものが身近にあっただなんてボク知らなかったよ! これからは癒されたくなったら、スペ先輩のほっぺを触りに行こーっと!」

    はっふいーんはんもへいおーはんも、はへてくははい!!!

  • 5二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:26:37

    お世話になった人達にはお礼を言い終わったけど、悲しいな……。

    もうこれで、みんなとはお別れなのかなあ。

    せっかくトレセン学園に入学して、日本一のウマ娘になった姿を天国のお母ちゃんに見せるって決めたのに。

    こんな道半ばで終わってしまうだなんて。

    ◯ぬって、どんな感じなのかな?

    私がいなくなったら、みんなはどう思うかな?

    やっぱり、悲しい思いをさせちゃうのかも……。

    ……あれ、なんだか脚が勝手に動いて……。

    うぅ、どうして?

    対抗できない、外へ向かっていく……。

    「ちょっとスペさん! こんな時間にどこ行くのよ!」

    キングちゃん! 脚が勝手に……ああいや、コンビニでアイスを食べたくなっちゃって……あはは。

    そっか。

    もうキングちゃん達の顔が見れるのも、これで最後なのか………。

    だって私、もう◯んじゃうんだもん。

  • 6二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:36:51

    勝手に動く脚に連れて行かれて、結局寮の外に出ちゃった。

    学園の門が近づいていく。

    もうここには、二度と来られないのかも。

    見慣れた校舎も、もう永遠に見られないと思うとなんだかすごく悲しく感じる。

    授業で発言を間違えちゃうことも、学食をお腹いっぱい食べることも、みんなで特訓することも……もう、絶対にできないんだ。

    ごめんね、みんな。

    でも、私1人の犠牲で済むのなら……。

    そう思っているうちに、とうとう学園の外に出てしまった。

    学園の傍の道路の真ん中に立った途端、脚が急に動かなくなり、鉛のように重く感じる。

    あっ、これって………。

    私の余地に答えるかのように、背後に大型トラックが現れた。

    トラックの眩しいライトが、私を黄色く照らす。

    「ビビビーッ」とトラックはクラクションを鳴らすが、脚は地面に張り付いたように動かない。

    そうしている間にも、トラックはどんどん自分に近づいていく。

    これが私の、最期………。

  • 7二次元好きの匿名さん24/12/23(月) 23:49:45

    一方………。

    スペの頭上に選択肢が出たのと同じ頃、サイレンススズカの頭の上にも怪しげな選択肢が現れていた。

    「大切な人に24時間付き纏われるか、二度と会えなくなるか………?」

    「大切な人というのはずいぶんと曖昧な表現だけど、私の場合は私の身近にいる人……つまり、フクやタイキ、エアグルーヴという事よね。」

    「タイキが24時間ずっとハグしてきたり、フクキタルが24時間も私をつけ回して占いの押し売りをしたりするのかしら。それはちょっと困るわね。でも………。」

    「こっちには24時間と書かれているのに対して、こっちには具体的な期限が記されていない。」

    「つまり……こっちを選んだら、最悪の場合は二度と会えなくなる可能性もある。」

    「フクキタルやタイキがいくら執拗に私を追い回してきたとしても、彼女達は私の大切な友達。二度と会えなくなってしまうよりもずっといいわ。」

    「それに……スペちゃんも。」 

    「………なら、私の取るべき選択は。」

    スズカは「大切な人に24時間付き纏われる」を選んだ。

    しかし、フクキタルやタイキに会いに行っても、彼女らは普段と変わらない態度だ。

    フクキタルは会って早々に怪しげな占いを勧めてきたし、タイキはいきなり抱きしめてきたが、それもいつもの彼女らの行動であって、「24時間付き纏われる」と比べれば随分と大人しく感じられる。

    スズカが彼女らの元を去る時も執拗に引き止めようとはしなかったので、彼女らは今の「24時間付き纏われる」の対象ではないということだ。

    ならば……誰が?

  • 8二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 00:00:20

    スズカはスペと同様に、脚が勝手に動き始めた。

    「脚が……ひとりでに動く。どこへ連れて行かれてしまうの?」

    普段は滅多に動揺などしないスズカも、今回ばかりはスペと同様の反応を見せていた。 

    身体は必死に抗おうとするが、ウマ娘なだけあって脚の力は凄まじく、力の差に押し負けてしまう。

    スズカもスペと同様、自らの脚によって外へ連れ出されてしまった。

    例の選択肢で「大切な人に24時間付き纏われる」を選んだにも関わらず、不思議と誰も追ってこない。

    スズカはしばらく周囲の視線を見渡していたが、そこで恐ろしい光景を目にした。

    「………!!」

    スズカが目を向けたのは、学園の門の外。

    そこには、あろうことが道路の真ん中にうずくまっているスペと、そこに向かって走っている大型トラックがいる。

    このままではスペが大型トラックとぶつかってしまう。

    スペは入学した頃からスズカを強く慕っていて、スズカのようになりたいと考えていた。

    スズカに頭を撫でられるのが大好きで、よく自分に額を向けて「撫でてアピール」をしていた。

    何か嬉しいことがあったら、すぐにスズカに話しに行った。

    そんなスペをスズカは可愛いと思っていたし、そもそもそこにいるのが名前も顔も知らない生徒であったとしても、見過ごすほど自分は非情ではない。
    助けたいと思うより先に、その脚は動いていた。

  • 9二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 00:11:04

    「スペちゃーーーーん!!!!」

    「スズカさん!?」

    スズカはスペに駆け寄りながら思い切り手を伸ばし、腕を確かに掴む。

    そして、トラックがそこを通過するよりも早く、ありったけの力でスペを自らの方へと引き寄せた。

    スペはその勢いで、スズカを巻き込みながら転んでしまう。

    転びながらスペは自らの身体で、スズカを押し倒してしまった。

    「いたた……わっ、スズカさん! すみません!」

    「いいのよ、スペちゃん。それより怪我はない?
    ………そう、膝を軽く擦っただけなのね。スペちゃんが無事で……本当によかった。」

    スズカは先ほどタイキにされたように、スペを両腕で思い切り抱きしめた。

    そして、スペの頭を優しく撫でる。

    スペは泣き出し、自らの涙でスズカの制服を濡らしてしまった。

    「頭の上に怪しげな選択肢が出て……大切な人か自分が◯ぬか選べって言われて……でも、トレーナーさんやスズカさん、キングちゃん達が死んじゃうのは嫌で、自分が◯ぬ方を選んだら……脚が勝手に動いてここに……うぅ……もう、二度と会えないと思いました。」

    「よしよし、もう大丈夫よ。さあ、一緒に寮に戻りましょう。」

    スズカは自身の腕にしがみついているスペを連れ、共に栗東寮へと戻った。

    スズカは自身にかけられた呪いでスペの呪いを上書きし、スペに起こる最悪の末路を回避したのだ。

  • 10二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 00:11:42

    これにて完結
    短いけど自信作です

  • 11二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:04:53

    あげ

  • 12二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:13:05

    おもしろいですね^^

  • 13二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:34:53

    よりによって事故による死亡にするの酷くない?

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:35:15

    第二部~呪い返し編~はまだですか

  • 15二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 14:56:48

    >>14

    楽しみ

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