私は貿易部の部員

  • 1◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 10:43:03

    各学園地区の製品を他地区に持ち込み、販売することで利益を得ている。
    ...転売じゃないぞ、ちゃんと各学園に認可を受けて信頼を持って活動している部活だ。
    ピピピピ
    ...もしもし、伊野です。
    あ、その説はどうもお世話になりました。
    おぉご購入を検討していただけると!
    えぇ、分かりました今日の午後、そちらにお伺いしますね。
    はい、はい、失礼します...。
    やった!
    以前取引したトリニティのお客様からもう一度取引をしたいとの連絡だ、あの辺はお金を持ってる人が多く、羽振りがいい。
    早速向かうとしよう

    ...

    さて、トリニティに着いたが...まだ少し時間があるな
    それに...ポン ポン ポーン(謎のカメラワーク)
    腹が...減った。
    よし、そうと決まれば飯だ、この辺りで飯屋を探そう!

  • 2伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:04:05

    トリニティとくればアフタヌーンティーやスイーツが人気だが今欲しいのは飯だ、結構ガッツリしたものが欲しい。
    ...クレープ屋、ケーキ屋ソフトクリーム屋台
    おっと、スイーツ通りに出てしまったようだ、違う通りに...ん?喫茶店か...食事メニューは...お、ビーフシチューがあるじゃないか、カリッと焼いたバケットとビーフシチュー、黄金コンビだ。
    店内も落ち着いた雰囲気みたいだし...よし、ここにしよう。
    ガチャ
    「いらっしゃいませー」
    店内は昔ながらの木製の温かみのある内装で、吊るされたランプがほっこりとする明かりを放っている。
    席につきスーツを椅子にかけてもう一度メニューを見る
    さっき見たビーフシチュー、スパゲッティ、オムライス...
    うんオーソドックス、定番のメンツだ。
    デザートの方もパンケーキにパフェ、ソフトクリームに...ん?コーヒーゼリー?トリニティは余りコーヒーは好んでないと思ったけど...
    「あ、気になります?」
    声をかけてきたのはアルバイトしているらしい生徒の店員で制服の上にカフェエプロンをつけている。
    え、あはい、珍しいですよね?
    「そうですね、この辺りだと紅茶が主流ですし、お金持ちの人たちだとコーヒーは邪道なんて言う人もいます」
    じゃあなんで?
    「ここのマスターが他地区から来た人で、コーヒーの美味しさを広めたいんだそうです、そのためにまずコーヒーゼリーからってことで...ですよね?」
    そう言って振り返るとカウンター越しに猫のマスターが微笑む
    無口な人なのかな?
    ...そうでしたか、確かに甘いデザートから入るのもいいかもしれませんね
    「はい!あ、ご注文はお決まりでしたか?」
    えっと...やっぱりこれかな...ビーフシチューとバケットを
    あ、あとせっかくなのでコーヒーとコーヒーゼリーもお願いします。
    「かしこまりました!少々お待ちくださいくださいね」
    アルバイトの少女は賑やかにカウンターの方へ向かった

  • 3伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:44:15

    店内は落ち着きのある音楽が流れ読書をするのにも良さそうだ...オフの日に来たら試してみようか...
    そんなことを考えていると
    「お待たせしました、ビーフシチューとバケット、コーヒーですね。ゼリーの方は後でお持ちしますね」
    はい、ありがとうございます。
    少女がパタパタと去っていくのを確認して...
    手を合わせて、いただきます
    まずはビーフシチューのソースをそのままスプーンですくって口に運ぶ
    ...うん!これはよく煮込まれたシチューだ、デミグラスのしっかり深みのあるソースにビーフの旨みがよく溶け込んでいる。
    これは美味い!
    さて、次はバケットをつけていってみよう...
    バケットを手で少しちぎる、パリッとした音がちょうどいい焼き加減だとを知らせてくれる。
    早速シチューをつけて...
    うんこれこれって感じ、バケットのパリッとした部分とシチューの染みたジュワッとした部分が違った食感で楽しい。
    さてさっきから目に入っていたけど触れなかったこれ、大きなお肉がでん!とシチューの中に鎮座している。
    スプーンで切って取ろうとするとスっとスプーンが入った、すごく柔らかく煮込まれているようだ。
    いざ、すくいとった肉を口に入れるとしっかりとシチューの味が染み込んだ肉がホロホロとほぐれていく、これはすごい...肉らしい食感や味を残しつつ硬さを全て取り払っている、スジも感じない。
    これをバケットに乗っけて...おおーこりゃすごい...まるでこれ一つでそういう料理というような佇まいだ。
    ふと気がつくとバケットが全部なくなってしまっていた。
    あまりに美味しくてペースを間違えたか...仕方ない
    すみません!
    「はーいどうしましたか?」
    不思議そうな顔でこっちにやってきた少女に空いたバケットの皿を指さして
    バケットをもうひとつお願いします。
    「かしこまりました!すぐお持ちしますね」
    にこやかな笑顔になった少女はまたパタパタとカウンターの向こうへ入っていった。

  • 4伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:44:28

    ...そうだ、コーヒー
    シチューに夢中になりすぎていた...
    口をリセットしてまた美味しく食べるためにもコーヒーカップに口をつける。
    ほのかな酸味と柔らかな苦味、そしてフルーティな香りが鼻をぬけていく
    これはなかなかにこだわったコーヒーだ、コーヒーゼリーの方も期待できそう。
    そうこうしているとバケットがやってきたので最終ラウンドを開始する。
    シチューの残り、皿に着いている分もバケットでこそぎ取って美味しくいただき、完食!

  • 5伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:45:03

    さて、例のデザートにいこう
    すみません、コーヒーゼリーお願いします。
    「はーい!ただいまお持ちしますね」
    そうしてやってきたコーヒーゼリーはグラスに入り、白い練乳を被ったものにミントか添えられていて見た目も爽やかだ。
    コーヒーで口を整えてから1口、コーヒーの酸味が少しなりを潜め微かな苦味とフルーティさが前面に出ている。
    お、この練乳も市販じゃなくて整えてるのかコーヒーゼリーにとても合う。
    シチューで少し火照った体をゼリーがさわやかに適温に戻してくれる。
    口直しにミントを口に入れ完食。
    ご馳走様でした、大満足だ。

  • 6伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:47:44

    お会計を済ませ外に出る
    「ありがとうございましたー」
    ご馳走様でした。
    さて、時間はっと...うんちょうどいいくらいだ、お客さんのところに向かおう...
    おっと!忘れていた...カバンを漁りブレスケアのタブレットを口に入れる。
    トリニティの人間はコーヒーを嫌いな人も多い、匂いも気にしておかないと嫌な顔をされてしまう。
    私は好きなんだけどなぁコーヒー。
    それから少し身だしなみを整えてから取引先に向かった。

  • 7二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:18:28

    孤独の貿易部…

  • 8二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:19:18

    ゴローちゃんじゃねえかよ!!!

  • 9伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 12:37:02

    さて、お腹も膨れたところで仕事の時間だ。
    今回のお客さんは前にもやり取りした人でトリニティ学園の生徒だ。
    約束の場所は...校舎を通り過ぎその奥にある建物だ。
    その入口には補習部屋と立て札がかかっている。
    すみませーん!どなたかいらっしゃいますか?
    声をかけるとバタバタと足音が聞こえ1人の生徒が顔を出す。
    「はーい!伊野さんお久しぶりです。」
    補習授業部の阿慈谷ヒフミ、彼女が今回のお客様だ。
    お久しぶりです阿慈谷さん、お元気そうで良かったです。
    「あはは...相変わらずこんなところにはいますけどね...」
    阿慈谷さんは苦笑いしつつ立て札を見る、...成績が悪いようには見えないけど、どんな理由でここに所属しているんだ...?
    阿慈谷さんはそんな風には見えないのですけど...
    「あ、あはは...これには深い事情があって...」
    そ、そうですか...あ、それで本日のご要件なんですが...
    「あ!はい!こちらに」
    阿慈谷さんが先導し建物の中を進む。
    トリニティにしては古い意匠だけどしっかりとした作りだし、きちんと掃除されている。
    「どうぞ、こちらです。ちょっとお茶を入れてきますね!」
    そう言うと阿慈谷さんは部屋を出ていった。
    部屋の内装はまぁ学校の空き教室と言った風貌だが、さすがトリニティ、上品な意匠が多く嫌でもお嬢様学校なんだと理解出来る。
    「お待たせしました!」
    そう言って阿慈谷さんが持ってきたお茶を1口飲む、やはりいい紅茶なんだろう...正直よく分からないけど。
    「それでですね、品物なんですけど...」
    はい、お持ちしてますよ。
    カバンから小箱を出し、蓋を開ける。
    きちんと梱包された中から顔を見せたのは奇妙な顔をした鳥のキャラクター、そのフィギュアだ。

  • 10伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 12:42:47

    こちらがゲヘナ限定の『デビルペロロ』フィギュアです。
    「わぁ!これがデビルペロロ様のフィギュア...!」
    阿慈谷さんはとても興奮して目を輝かせている。
    最近またモモフレンズは人気が出てきましたからね、こういうのももっと増えると思いますよ。
    「そんな...素晴らしいです!もっと皆さんにもペロロ様の良さを知って頂けますね!!」
    ...正直私にはよく分からない。
    が、生徒の間で人気が伸びてきているのも事実。
    この気をてらいすぎた顔の鳥も人気なのだそうだ。
    お品物、間違いないですかね、不具合等も見ていただければ...
    「はい!拝見させて頂きます!」
    そう言うと阿慈谷さんポケットから手袋を取り出し尊いものを触るようにそっとフィギュアを手に取り、観察し始めた。
    「...はい!問題ないと思います!素晴らしい出来ですね!」
    最近はフィギュアの造形もより細かくなってますよね。運側としては少々怖いですが...
    「あはは...でもおかげで私もゲヘナ限定グッズを手に入れられます!ありがとうございます!!」
    いえいえ、仕事ですから...
    さて、それじゃあ取引成立ということで、料金の方はまた振込でお願いしますね。
    「はい!今日は本当にありがとうございました!」
    さてここでの仕事は終わりだ。
    ぺこりとお辞儀をし、建物の入口に向かった。

  • 11伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 13:08:20

    建物から出ようとするとガチャりと音を立てて誰かが扉を開いた。
    そこに居たのはのほほんとした雰囲気の大人だった。
    "あれ、ヒフミ?と君は...?"
    私、貿易部をしている伊野イツミと申します。あなたは...?
    「伊野さん!こちらの人はシャーレの先生です!とっても頼りになる人ですよ!!」
    なるほどあなたがシャーレの先生でしたか。
    お噂はかねがね。
    "あはは、そんな大した人じゃないよ私は、先生として当然のことをしてるだけだよ...ところで貿易部って言ってたね、そんな部活があったなんて知らなかったよ、どんなことをしているの?"
    あ、はい、貿易部は主に他の自治区の製品をまた違う自治区のお客様に販売することを活動内容としています。
    もちろん各学園から認可も降りてます。
    "へぇそれはすごいね...ということは今はヒフミがお客さんだったの?"
    「はい!向こうにおいてあるので後で先生にもお見せしますね!!」
    先生ですとあまり関係ないかもしれませんけど何かありましたらよろしくお願いします。
    "うん、よろしくね"
    それでは私は失礼しますね。
    「はい!本当にありがとうございました!!」
    ぺこりとお辞儀をして正門に向かう。
    あれが先生か...こちらを利用しようとする気を感じない大人だった。
    このキヴォトスにおいてそう言う大人は貴重だ、なんとかお得意さんになってくれればいいけど...

  • 12伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 13:12:47

    というわけで
    ここだけ貿易商をしてる部活の食事好きな生徒がいる世界です。ご自由に妄想してくれ

  • 13二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 13:18:59

    百鬼夜行でしか流通していない銘品の包丁を、玄武商会まで持っていく日とかもありそう
    で、その足で香辛料とかを買い付けて顧客の元へ・・・と思った矢先にフウカ共々美食研に拉致される、ってのもありそう

  • 14二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 14:30:19

    カニの模型乗っけたミニで他地区まで移動したりしそう

  • 15二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 14:46:17

    …もしや、梅干しを持って行ったのはあなたか?(コタマの絆ストーリー)

  • 16二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 15:44:14

    どこ出身なんだ...?

  • 17二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:05:37

    各学園に貿易部があると他自治区の物が手に入りやすそう。

  • 18伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 06:13:52

    出身校は

    dice1d9=2 (2)

    1.アビドス

    2.ミレニアム

    3.トリニティ

    4.ゲヘナ

    5.ヴァルキューレ

    6.山海経

    7.百鬼夜行

    8.レッドウィンター

    9.その他

  • 19伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 11:53:26

    今日のお仕事は?

    dice1d9=2 (2)

    1.アビドス

    2.ミレニアム

    3.トリニティ

    4.ゲヘナ

    5.ヴァルキューレ

    6.山海経

    7.百鬼夜行

    8.レッドウィンター

    9.その他

  • 20伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 13:02:27

    今できる限りの技術が詰め込まれたガラス面の多いビル街をすごいなーくらいの雑な感想を持ちつつ歩く。
    今日はミレニアムに来ていた、いや帰ってきた。
    私は何を隠そうミレニアム生なのだ。
    もちろんただ帰ってきた訳では無い、今日も仕事だ。
    最新鋭の建造物達を抜け、ミレニアムサイエンススクールの本校舎脇に作られた建物に入る。
    ここは実験棟、様々なものを開発する部活がここに拠点を置いている。
    そのひとつが今回のお客様という訳だ。
    もうここも何度も通って慣れた廊下である。
    防音性を高めたミレニアムの壁でも僅かに漏れ聞こえる工具の音、怪しげにひかるエナジードリンクに占拠された自動販売機、目的の部屋から出ている黒煙と異臭。
    うん、またやってるのか...なんともあきないものだ...。

  • 21伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 13:53:10

    黒煙を吹いているドアから顔を出し覗き見る。
    中には爆発したなにか金属の塊と煤けつつ消火活動に勤しむ3人の部員がいた。
    1年の猫塚ヒビキ、豊見コトリ、そして3年でエンジニア部部長の白石ウタハだ。
    3人とも作業に夢中でこちらに気づいていないようだ...。
    仕方ない声をかけるか...。
    あのー!交易部の伊野ですー!
    「おや...イツミか、すまないちょっと夢中になりすぎていた。」
    いえいえ...今度は何を作ってるんです?
    「これは依頼を受けたものでね、自己防衛を行う自動販売機だ。」
    ...何から自己防衛するので?
    「もちろん破壊して中身を奪おうとする輩からだね。」
    それでどうして爆発を?
    「一通り完成したからテストを行ったんだ、そうしたら普通にものを購入しようとしたのに自己防衛機能が起動してね、自爆したのさ。」
    自爆は自動販売機に必要なのか...?
    そうでしたか...また、時間を改めましょうか?
    「いや、その必要は無いよ...ヒビキ!コトリ!私は少し商談をしてくるから消化は任せてもいいかい?」
    「うん、任せて」
    「大丈夫です!!!任せてください!!!」
    「との事だ、それじゃあ場所を変えようか」
    そう言うと白石さんは部室を出て歩き始めた。

  • 22伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 14:20:27

    その後少し歩いて談話室までやってきた。
    白石さんはコーヒーマシンから2つのカップを持って席に着く。
    「それでお願いしたものは持ってきてくれたのかな?」
    もちろんです。
    カバンから箱を取りだし、さらにその箱を開ける。
    すると中からはまたも箱がでてきた、ただそれは今までの緩衝材のようなものではなく木製の凝った意匠の箱である。
    こちらがご依頼されていた百鬼夜行の伝統工芸品で『組木のからくり箱』です。
    「ほうこれが...」
    箱は様々な色の木材を組み込み、削り、柄を作る組木と呼ばれる伝統工芸で作られたからくり箱。
    からくり箱とは箱の板を特定の方向に動かし、仕掛けをとかなければ中身を取り出せないという代物で、昔は貴重品の輸送などで使われていたらしい。
    箱の解除方法はこちらの仕様書に書いてあります。
    ペラりと紙を白石さんに渡し、次いで箱も渡す。
    「ふむ...アナログではあるけど随分と複雑なんだね」
    昔は貴重品を閉まったり持ち運ぶ際に使っていたそうですから、特段厳重なのでしょう。
    「それが今では伝統工芸品、これそのものに価値がある...と」
    そう、このからくり箱だが、百鬼夜行ではもちろん、他地区の人間からも人気で、芸術品のような扱いをされるものだ。
    「お、開いたね...うん、中も思っていたより物が入りそうだ...見た目より頑丈そうだし、仕掛けで場所を圧迫もしていない。素晴らしいものだ...。」
    ご満足いただけたなら良かったです。
    しかし何故白石さんはこれを?
    失礼ですけどあまり芸術品を愛でるようには見えませんが...。
    「いや...正解だとも...ロマンなら愛でる趣味はあるがね、これは我々の作品のヒントを得ようと思って頼んだんだ。」
    ...ということは同じようにからくりの箱を?
    「まぁそうだね、電子的な鍵と物理的な鍵を合わせて強固な防壁を作ってみようという話が出ているんだ。」
    ...なるほどそういう事でしたか、納得しました。
    「うん、ものはこれで問題ないよ支払いはいつも通りでいいのだろう?」
    はい、いつも通り振り込みでお願いします。
    「いつも助かるよ、またなにか頼むかもしれないからその時はお願いするよ。」
    こちらこそ、よろしくお願いします。

  • 23伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 14:43:13

    ...よしこれで今日の仕事は終わりだ。
    ミレニアムに来ているし部室に顔を出してから帰ろうか...。
    「おや?」
    帰ろうとしていると白石さんが私の後方を見て声を上げた。
    何事だろうと振り返ると
    "やぁ2人とも、お仕事の話し中かな?"
    トリニティで出会った先生がいた。
    シャーレの先生...白石さんとも知り合いなのですね。
    "うん、まぁ色々あってね"
    「どうしたんだい先生?部室ならわかるが談話室に来るなんて」
    "ここに来たのは偶然だよ、ちょっとした用事でミレニアムに来てたんだけど、用事が終わって帰るところなんだ"
    そうでしたか、先生もご多忙なんですね...。
    "まぁ、生徒のためならね"
    そう言うと先生は優しそうに微笑む、心からそう思っているというように見える...本当に変わった人だ。
    「私達も今話が終わったところでね、私は部室に帰るところさ。」
    "そうだったんだ...イツミもお仕事は終わり?"
    はい、1度部室に顔を出しから帰ろうかと...。
    "...あれ、イツミってもしかしてミレニアムの生徒なの?"
    そうですが...以前お会いした時お伝えしてませんでしたか、失礼しました。
    "いや、こっちも聞かなかったからね"
    お互い苦笑いをしてしまった。
    「さて私はもう行くが先生はどうする?」
    "あ、じゃあ一緒に行こうかな?"
    「わかったよ、それじゃあイツミ、今日はありがとうまたよろしく頼むよ」
    こちらこそありがとうございました、またご機会があれば...。
    ぺこりとお辞儀をし、別れる。
    前回もそうだったが先生は色んなところに行っているようだ、大変な仕事だなぁ。

  • 24伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 15:07:25

    それから部室に行き、事務仕事をしている部員に挨拶だけしてミレニアムサイエンススクールを出た。
    仕事から解放されてこう、落ち着くと...

    ...腹が...減った...ポン ポン ポーン(謎のカメラワーク)
    よし、飯屋を探そう。
    ...っとしまった!
    ミレニアムの生徒は食に関心が薄い、それこそエネルギーバーで満足するくらいだ、私には理解できない。
    知ってる店もないし、探すしかないか...
    こういう時はビル街の外ではなく内側の方があるはずだ、働いている人が食べに来るような庶民的なお店が。
    歩けば歩くほど目に入るのはビル、ビル、ビル、ビル、蕎麦屋、ビル...おっと、蕎麦屋かガッツリした物が食べたいが...立ち食いそばか...ここじゃないな、またビル、ビル、ビル、サンドイッチ、ビル、おにぎり、ビル...
    とことんサッと食べたり片手間に食べられるようなものばかりだ、腰を下ろして落ち着いて食べられるような温かみのある店はミレニアムには無いのだろうか...
    少し諦め気味にまだ歩く、すると
    ん?急に華やかなお店が出てきたぞ?
    どれどれ...スイーツショップか...
    甘いものも好物だが、今は食事が...ってんん?
    オムライスにピザ、パスタ?食事メニューも取り揃えているのか...店内を伺うとピンクと白のゆるゆるっとしたテーマの内装で入るのには少し勇気がいる...というかメイド喫茶とかじゃないよな...?ここ...そう見ていると赤毛の生徒がウェイトレスをしていた...メイド服では無いな...?
    ...ここを逃してしまうと何時になったら他の店を見つけられるか分からない...ここは勇気をだして入ろう!
    そう決心し、ドアをくぐった。

  • 25伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 15:21:19

    「いらっしゃいませー!1名様ですか?」
    はい、1人です。
    「こちらのお席へどうぞ!」
    外から見えた赤髪をツインテールにしたウェイトレスの少女に案内されて席に着く。
    「こちらメニューになります、お決まりになったらお声がけ下さい!」
    なんというかこう、マニュアルを頑張って言っているって感じだ、まぁ変な人よりは断然いい。
    パラりとメニューに目を通す、やはり大部分はスイーツみたいだ、ケーキが沢山とパフェ、プリン...いけない、とりあえずまずは食事メニューからだ。
    えーとなになに、ピザにパスタ、グラタンにアクアパッツァ...?もしかしてここはスイーツ屋の皮を被ったイタリアンなのか?
    オニオンスープ、ラザニア、お!ミートドリア!実は私は米が好きなんだ、よし!これにしよう。
    すみません!
    「はーいご注文はお決まりですか?」
    えっと...このミートドリアとオニオンスープ、あとコーヒーをください。
    「はい、かしこまりました!少々お待ちください!」
    また少女は力のはいりすぎたテンプレを喋り去っていく...
    なんかどこかで見たことあるような気がするな...

  • 26伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 16:01:07

    「お待たせしましたー!」
    ことんと目の前に置かれるのは白い耐熱皿に入ったたっぷりのチーズが焦げを作っているドリア、そして蕩けた玉ねぎが浮かぶ茶色いスープ、それとコーヒー。
    いただきます。
    手を合わせ食前の感謝を述べ、準備は整った。
    紙につつ待った金属製のスプーンを取り出し、まずはスープ、とろけてしまっている玉ねぎを掬いつつスープと一緒に口に入れる。
    途端ブイヨンベースのコンソメと玉ねぎの甘い味がふんわりと口の中に広がる、温まる味と言うやつだ
    しかし本命はこれからだ
    見るからに熱そうなチーズにスプーンを通しホワイトソース、ミートソースごと下のバターライスをとり、口に運ぶ。
    あちっ!火傷しそうな程の熱さだ、ドリアやグラタンはアツアツでないと、ハフハフとしつつ続けて口に運ぶ。
    美味い!熱々で食べるからかすこ濃いめのホワイトソースとトマトベースなミートソースの相性もいい。
    合間合間にスープを飲む、ホワイトソースとチーズそしてオニオンスープの相性はバッチリ、ノンストップで食べ続ける。
    数分もせずにドリアを食べきってしまった。まぁこういうのは熱々のうちが美味しいものだ。
    最後にスープを口に入れまったりとしたホワイトソースを流しスッキリとさせる。
    ふぅ...さてまだ満足はしない、ここからは第2ラウンドだ!

  • 27伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/25(水) 16:25:30

    もう一度メニューを開きお目当てのページまでペラペラめくる。
    あった、これにしよう!
    すみません!
    「はーい、どうしました?」
    あ、えっとこの...いちごたっぷりパンケーキを追加でお願いします。
    「わ、はい!少々お待ちください!!」
    ...やっぱり少し多かったかな?
    びっくりしながら厨房にオーダーを伝えに向かう後ろ姿を見る。
    ...よく見るとツインテールの根元の方に黒い角が生えている...ゲヘナの生徒かな?こんなところまで出てきてアルバイトしているのだろうか...なにか事情があるのかな?

    「お待たせしました!いちごたっぷりパンケーキです!」
    そう言ってことんと置かれた皿を見にすれば、その名前に偽りなし、たっぷりのいちごとホイップクリームで彩られた3枚重ねのパンケーキだ。
    一緒に置かれた小瓶を見るとこれにもいちごソースが入っている...こういうのはたっぷりかけるのが作法だろう、パンケーキからさらに垂れるほどにかけてからいざ実食。
    フォークでパンケーキをおさえ、ナイフで3枚まとめて切り取る、断面にもソースが垂れてきて見た目的にもGood。
    ソースがテーブルに垂れないよう気をつけながらパクリ、いちごの酸味混じりのフルーティな甘み、ホイップクリームのミルクを感じる柔らかな甘み、そしてパンケーキのふんわりとしつつバターをしっかり感じる風味、3枚まとめてなのでボリュームもたっぷりだ。
    あまりの充足感に頬が緩むのを感じつつ1切れまた1切れと減っていき...
    ご馳走様でした。
    最後にコーヒーを飲んでゲームセットだ。

    あ...
    店を出てしばらく歩いていると思い出した。
    そうだゲヘナの飲食店は危ないんだった、だからあの子はあそこまで来ているのか...
    今度もまた居るだろうか?
    ミレニアムで食事をとる時はあそこに行こうと心に違うのだった。

  • 28二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 16:34:34

    赤髪ツインテでスイーツ…ジュンコか!

  • 29二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 02:26:36

    ジュンコはゲヘナ以外でバイトしてそうなの理解出来る

  • 30二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 12:16:09

    この時間に見るんじゃなかった
    お腹すいてきたな…

  • 31二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 21:44:20

    伊野さん背高そう

  • 32二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 09:16:13

    無作法者にアームロックしてそう

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