- 1◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 10:43:03
各学園地区の製品を他地区に持ち込み、販売することで利益を得ている。
...転売じゃないぞ、ちゃんと各学園に認可を受けて信頼を持って活動している部活だ。
ピピピピ
...もしもし、伊野です。
あ、その説はどうもお世話になりました。
おぉご購入を検討していただけると!
えぇ、分かりました今日の午後、そちらにお伺いしますね。
はい、はい、失礼します...。
やった!
以前取引したトリニティのお客様からもう一度取引をしたいとの連絡だ、あの辺はお金を持ってる人が多く、羽振りがいい。
早速向かうとしよう
...
さて、トリニティに着いたが...まだ少し時間があるな
それに...ポン ポン ポーン(謎のカメラワーク)
腹が...減った。
よし、そうと決まれば飯だ、この辺りで飯屋を探そう! - 2伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:04:05
トリニティとくればアフタヌーンティーやスイーツが人気だが今欲しいのは飯だ、結構ガッツリしたものが欲しい。
...クレープ屋、ケーキ屋ソフトクリーム屋台
おっと、スイーツ通りに出てしまったようだ、違う通りに...ん?喫茶店か...食事メニューは...お、ビーフシチューがあるじゃないか、カリッと焼いたバケットとビーフシチュー、黄金コンビだ。
店内も落ち着いた雰囲気みたいだし...よし、ここにしよう。
ガチャ
「いらっしゃいませー」
店内は昔ながらの木製の温かみのある内装で、吊るされたランプがほっこりとする明かりを放っている。
席につきスーツを椅子にかけてもう一度メニューを見る
さっき見たビーフシチュー、スパゲッティ、オムライス...
うんオーソドックス、定番のメンツだ。
デザートの方もパンケーキにパフェ、ソフトクリームに...ん?コーヒーゼリー?トリニティは余りコーヒーは好んでないと思ったけど...
「あ、気になります?」
声をかけてきたのはアルバイトしているらしい生徒の店員で制服の上にカフェエプロンをつけている。
え、あはい、珍しいですよね?
「そうですね、この辺りだと紅茶が主流ですし、お金持ちの人たちだとコーヒーは邪道なんて言う人もいます」
じゃあなんで?
「ここのマスターが他地区から来た人で、コーヒーの美味しさを広めたいんだそうです、そのためにまずコーヒーゼリーからってことで...ですよね?」
そう言って振り返るとカウンター越しに猫のマスターが微笑む
無口な人なのかな?
...そうでしたか、確かに甘いデザートから入るのもいいかもしれませんね
「はい!あ、ご注文はお決まりでしたか?」
えっと...やっぱりこれかな...ビーフシチューとバケットを
あ、あとせっかくなのでコーヒーとコーヒーゼリーもお願いします。
「かしこまりました!少々お待ちくださいくださいね」
アルバイトの少女は賑やかにカウンターの方へ向かった - 3伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:44:15
店内は落ち着きのある音楽が流れ読書をするのにも良さそうだ...オフの日に来たら試してみようか...
そんなことを考えていると
「お待たせしました、ビーフシチューとバケット、コーヒーですね。ゼリーの方は後でお持ちしますね」
はい、ありがとうございます。
少女がパタパタと去っていくのを確認して...
手を合わせて、いただきます
まずはビーフシチューのソースをそのままスプーンですくって口に運ぶ
...うん!これはよく煮込まれたシチューだ、デミグラスのしっかり深みのあるソースにビーフの旨みがよく溶け込んでいる。
これは美味い!
さて、次はバケットをつけていってみよう...
バケットを手で少しちぎる、パリッとした音がちょうどいい焼き加減だとを知らせてくれる。
早速シチューをつけて...
うんこれこれって感じ、バケットのパリッとした部分とシチューの染みたジュワッとした部分が違った食感で楽しい。
さてさっきから目に入っていたけど触れなかったこれ、大きなお肉がでん!とシチューの中に鎮座している。
スプーンで切って取ろうとするとスっとスプーンが入った、すごく柔らかく煮込まれているようだ。
いざ、すくいとった肉を口に入れるとしっかりとシチューの味が染み込んだ肉がホロホロとほぐれていく、これはすごい...肉らしい食感や味を残しつつ硬さを全て取り払っている、スジも感じない。
これをバケットに乗っけて...おおーこりゃすごい...まるでこれ一つでそういう料理というような佇まいだ。
ふと気がつくとバケットが全部なくなってしまっていた。
あまりに美味しくてペースを間違えたか...仕方ない
すみません!
「はーいどうしましたか?」
不思議そうな顔でこっちにやってきた少女に空いたバケットの皿を指さして
バケットをもうひとつお願いします。
「かしこまりました!すぐお持ちしますね」
にこやかな笑顔になった少女はまたパタパタとカウンターの向こうへ入っていった。 - 4伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:44:28
...そうだ、コーヒー
シチューに夢中になりすぎていた...
口をリセットしてまた美味しく食べるためにもコーヒーカップに口をつける。
ほのかな酸味と柔らかな苦味、そしてフルーティな香りが鼻をぬけていく
これはなかなかにこだわったコーヒーだ、コーヒーゼリーの方も期待できそう。
そうこうしているとバケットがやってきたので最終ラウンドを開始する。
シチューの残り、皿に着いている分もバケットでこそぎ取って美味しくいただき、完食! - 5伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:45:03
さて、例のデザートにいこう
すみません、コーヒーゼリーお願いします。
「はーい!ただいまお持ちしますね」
そうしてやってきたコーヒーゼリーはグラスに入り、白い練乳を被ったものにミントか添えられていて見た目も爽やかだ。
コーヒーで口を整えてから1口、コーヒーの酸味が少しなりを潜め微かな苦味とフルーティさが前面に出ている。
お、この練乳も市販じゃなくて整えてるのかコーヒーゼリーにとても合う。
シチューで少し火照った体をゼリーがさわやかに適温に戻してくれる。
口直しにミントを口に入れ完食。
ご馳走様でした、大満足だ。 - 6伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 11:47:44
お会計を済ませ外に出る
「ありがとうございましたー」
ご馳走様でした。
さて、時間はっと...うんちょうどいいくらいだ、お客さんのところに向かおう...
おっと!忘れていた...カバンを漁りブレスケアのタブレットを口に入れる。
トリニティの人間はコーヒーを嫌いな人も多い、匂いも気にしておかないと嫌な顔をされてしまう。
私は好きなんだけどなぁコーヒー。
それから少し身だしなみを整えてから取引先に向かった。 - 7二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:18:28
孤独の貿易部…
- 8二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 12:19:18
ゴローちゃんじゃねえかよ!!!
- 9伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 12:37:02
さて、お腹も膨れたところで仕事の時間だ。
今回のお客さんは前にもやり取りした人でトリニティ学園の生徒だ。
約束の場所は...校舎を通り過ぎその奥にある建物だ。
その入口には補習部屋と立て札がかかっている。
すみませーん!どなたかいらっしゃいますか?
声をかけるとバタバタと足音が聞こえ1人の生徒が顔を出す。
「はーい!伊野さんお久しぶりです。」
補習授業部の阿慈谷ヒフミ、彼女が今回のお客様だ。
お久しぶりです阿慈谷さん、お元気そうで良かったです。
「あはは...相変わらずこんなところにはいますけどね...」
阿慈谷さんは苦笑いしつつ立て札を見る、...成績が悪いようには見えないけど、どんな理由でここに所属しているんだ...?
阿慈谷さんはそんな風には見えないのですけど...
「あ、あはは...これには深い事情があって...」
そ、そうですか...あ、それで本日のご要件なんですが...
「あ!はい!こちらに」
阿慈谷さんが先導し建物の中を進む。
トリニティにしては古い意匠だけどしっかりとした作りだし、きちんと掃除されている。
「どうぞ、こちらです。ちょっとお茶を入れてきますね!」
そう言うと阿慈谷さんは部屋を出ていった。
部屋の内装はまぁ学校の空き教室と言った風貌だが、さすがトリニティ、上品な意匠が多く嫌でもお嬢様学校なんだと理解出来る。
「お待たせしました!」
そう言って阿慈谷さんが持ってきたお茶を1口飲む、やはりいい紅茶なんだろう...正直よく分からないけど。
「それでですね、品物なんですけど...」
はい、お持ちしてますよ。
カバンから小箱を出し、蓋を開ける。
きちんと梱包された中から顔を見せたのは奇妙な顔をした鳥のキャラクター、そのフィギュアだ。 - 10伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 12:42:47
こちらがゲヘナ限定の『デビルペロロ』フィギュアです。
「わぁ!これがデビルペロロ様のフィギュア...!」
阿慈谷さんはとても興奮して目を輝かせている。
最近またモモフレンズは人気が出てきましたからね、こういうのももっと増えると思いますよ。
「そんな...素晴らしいです!もっと皆さんにもペロロ様の良さを知って頂けますね!!」
...正直私にはよく分からない。
が、生徒の間で人気が伸びてきているのも事実。
この気をてらいすぎた顔の鳥も人気なのだそうだ。
お品物、間違いないですかね、不具合等も見ていただければ...
「はい!拝見させて頂きます!」
そう言うと阿慈谷さんポケットから手袋を取り出し尊いものを触るようにそっとフィギュアを手に取り、観察し始めた。
「...はい!問題ないと思います!素晴らしい出来ですね!」
最近はフィギュアの造形もより細かくなってますよね。運側としては少々怖いですが...
「あはは...でもおかげで私もゲヘナ限定グッズを手に入れられます!ありがとうございます!!」
いえいえ、仕事ですから...
さて、それじゃあ取引成立ということで、料金の方はまた振込でお願いしますね。
「はい!今日は本当にありがとうございました!」
さてここでの仕事は終わりだ。
ぺこりとお辞儀をし、建物の入口に向かった。 - 11伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 13:08:20
建物から出ようとするとガチャりと音を立てて誰かが扉を開いた。
そこに居たのはのほほんとした雰囲気の大人だった。
"あれ、ヒフミ?と君は...?"
私、貿易部をしている伊野イツミと申します。あなたは...?
「伊野さん!こちらの人はシャーレの先生です!とっても頼りになる人ですよ!!」
なるほどあなたがシャーレの先生でしたか。
お噂はかねがね。
"あはは、そんな大した人じゃないよ私は、先生として当然のことをしてるだけだよ...ところで貿易部って言ってたね、そんな部活があったなんて知らなかったよ、どんなことをしているの?"
あ、はい、貿易部は主に他の自治区の製品をまた違う自治区のお客様に販売することを活動内容としています。
もちろん各学園から認可も降りてます。
"へぇそれはすごいね...ということは今はヒフミがお客さんだったの?"
「はい!向こうにおいてあるので後で先生にもお見せしますね!!」
先生ですとあまり関係ないかもしれませんけど何かありましたらよろしくお願いします。
"うん、よろしくね"
それでは私は失礼しますね。
「はい!本当にありがとうございました!!」
ぺこりとお辞儀をして正門に向かう。
あれが先生か...こちらを利用しようとする気を感じない大人だった。
このキヴォトスにおいてそう言う大人は貴重だ、なんとかお得意さんになってくれればいいけど... - 12伊野イツミ◆/kSHtx0aXkRD24/12/24(火) 13:12:47
というわけで
ここだけ貿易商をしてる部活の食事好きな生徒がいる世界です。ご自由に妄想してくれ - 13二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 13:18:59
百鬼夜行でしか流通していない銘品の包丁を、玄武商会まで持っていく日とかもありそう
で、その足で香辛料とかを買い付けて顧客の元へ・・・と思った矢先にフウカ共々美食研に拉致される、ってのもありそう - 14二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 14:30:19
カニの模型乗っけたミニで他地区まで移動したりしそう
- 15二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 14:46:17
…もしや、梅干しを持って行ったのはあなたか?(コタマの絆ストーリー)
- 16二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 15:44:14
どこ出身なんだ...?
- 17二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 21:05:37
各学園に貿易部があると他自治区の物が手に入りやすそう。