- 1二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:33:51
12/24 夜
トリニティ総合学園 救護騎士団本部
「セナさん、本当にお手数おかけしました。」
「いいえ、ミネ団長。頭をお上げください。様々な死体……ではなく患者を診ることができて私も勉強になりました。」
トリニティではこの聖夜、大きめの暴動が起こっていた。
サンタがいるのか内乱。もしかしたら今後トリニティで歴史に残るかもしれないほどの規模で行われた内乱だった。
「では、これで。」
セナが立ち去ろうとするとミネが大きな箱を持ちセナの救急車に積んでいく。
「これは…?」
「ケーキです。今回とても手伝っていただいたお礼にぜひ部員の皆様でお食べください。」
「いえ、今日はゲヘナで皆さんはもう食べていると思いますので……」
言い切る前にミネ団長は去っていってしまった。
残りの作業をしにいくようだが……もう呼んでも聞こえないだろう。 - 2二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:34:42
持て余したクリスマスケーキを助手席に乗せながらD.U.地区を運転する。
車はケーキの箱から漏れ出す甘い匂いと外のイルミネーションに照らされていた。
(さて、どうしましょう……この大きさだとさすがに冷蔵庫に入らない……だけど生モノである以上あまりケーキを放っておきたくはありませんが……この時間ですと働いているのは風紀委員長くらい……ですが風紀委員会でクリスマスパーティをやると言っていましたから流石にケーキは不要でしょうし……
それにしてもこんな夜なのに賑やかですね)
イルミネーションに飾られた木をたくさんの人々が囲んでいる。
その様子はイルミネーションはもとより人の波でより鮮やかに輝いているようだった。
(そういえば)
ナビを切り替えハンドルを切る。
救急車はD.U地区でもサンクトゥムタワーの方向へと進んでいった。 - 3二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:35:54
連邦生徒会の建物が近づいてくるとここもイルミネーションで飾られており煌びやかだ。
しかしその中で無機質かつ普段と同じように窓から輝きを放つ場所が見える。
シャーレだ。
セナはシャーレの光を確認すると車を止めてその箱を持ち中へ入る。
その足取りは彼女にしては珍しく少しリズムを刻むようにウキウキとしていつもより半歩分歩調も速かった。 - 4二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:37:10
もう日が越えるか越えないか。
一人の男がデスクと向き合い仕事を進めている。
聖夜であれ彼の仕事が終わることはない。
昼にシャーレに遊びにきた生徒たちにプレゼントを渡し夜に仕事を終わらせる。
書類のサインを書きつつ仕事の山もそろそろ終わりが見えてくる。
すると入り口の扉にコンコンと静かに音が鳴る。
"どうぞ"
先生の言葉に反応し扉が開かれる
「こんばんは、先生。メリークリスマスです。」
"メリークリスマス、セナ。こんな遅くにどうしたんだい?"
「シャーレの電気がついていたのでまだ先生がいらっしゃると思いまして寄らせていただきました。
……あれ?当番の生徒さんは……?」
"当番の子なら今日は部活でパーティするから帰るってさ。"
「そうでしたか。人数は多ければ多いほど良かったのですが仕方ありません。」
そういうとセナはいつもの救急箱とは違う、手に持っている箱を机に置く。
「先生、お仕事お手伝いできることはないでしょうか」
"いやいや、こんな時間には悪いよ。あとは私一人でできるからセナは帰りなさい。"
その言葉を聞くとセナは持っている白い箱を開ける。
中は豪華で大きなホールケーキだった。
「トリニティで手伝った際にミネ団長からいただいたケーキなのですが、大きく冷蔵庫に入らないです。さらに流石にこの量を一人で食べるわけには行かず、なので先生もお食べになりませんか?」
"そっか。じゃあ仕事ぱぱっと終わらせて食べようか"
先生がそういうと仕事を少しだけ分けてセナに渡す。
"じゃあこれをお願いできる?わからないところがあれば教えてね"
「わかりました」
セナがそういうともう一つのデスクに座り仕事を始める。 - 5二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:39:08
カタカタとパソコンの音が部屋に響く。
「……先生、質問です。」
"どうしたの?何かわからないところでも……"
「いえ、違います。」
"どうしたの?"
「先生はクリスマス、ともに過ごす相手……つまり恋人はいらっしゃるのですか?」
"えっ!?……
うーん。……。……いないなぁ……"
「そうですか。……ではもう一つ質問です。先生は何かクリスマスにプレゼントとか欲しいものはございますか?」
"うーん……私は大人だからね。もらう側じゃなくて渡す側なんだ。
セナは何か欲しいものある?
今日、シャーレに来てくれた子には色々あげてるんだけど" - 6二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:40:25
「そうですね……
……いえ、今日は欲しいものは貰っています」
"?。そっか……"
「……先生、来年も来てよろしいですか?」
"良いけど……卒業じゃないの?"
「はい。卒業後です。」
"そうだね。ぜひいつでも来てね。プレゼントも用意しておくよ"
「ありがとうございます。
……その時はお互い大人ですね。」 - 7二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:42:06
「……先生。私は今から卒業後と、その先のまだ曖昧としている未来について先生と話し合いたいです。
ですが先生がご自身で私たち生徒と恋愛方面へ踏み入った関係になろうとしていない事はわかっています。
……ですのでその時に。プレゼント、忘れないでくださいね。」
"!"
「私にしてはとても曖昧な言葉になってしまいましたね。
……私の分は終わりました。先生はどうですか?」
"あぁ!ちょっと待ってね
……
はい。終わったよ。じゃあケーキ食べようか"
「……はい。そうしましょう。」 - 8二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:43:36
先生がケーキを半分に切り片方をさらに半分に切って2つ皿に分ける。
"これなら冷蔵庫に入る?"
「ありがとうございます。残りは部員たちと分けます。」
先生とセナは一つづつ皿を運び机に座る。
「いただきます」
"いただきます"
甘く舌でとろけるようなクリームのケーキはとても素晴らしく、上に乗った果物もどれも綺麗に切られ、華々しいものだった。
"とても美味しいですね。ミネ団長には感謝しなくては"
「そうだね。私からもお礼を言っておくよ」
"えぇ、ありがとうございます"
時間も忘れてそのケーキの味を楽しんだ。 - 9二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:45:04
シャーレ外 車庫前
"じゃあ気を付けて運転してね"
「はい。任せてください。安全運転していきます。」
"そっか。じゃあまたね"
「先生、少しお待ち下さい」
セナはそういうとスッと素早く背伸びをして先生の唇と自らの唇を合わせる
……
"!?"
「……それと私から先生へのクリスマスプレゼントです
それと私がもう一つクリスマスプレゼントが欲しくなってしまいました。
……では。年末の最後の当番でまた。」
救急車に乗り込みセナは車を出して行く。
運転席の彼女の誰にも見えない頬はその表情に合わずサンタのような色をしていた。 - 10二次元好きの匿名さん24/12/24(火) 23:50:27
1年後
今日のシャーレは珍しく、きらびやかな周りとは違い、その少し静かでその涼しさが色を増している。
ピンポーン 去年の約束を知らせる音が鳴る。
私はドアを開いて去年より少し大人びたように見える彼女を中へと招き入れる
"いらっしゃいセナ ハッピークリスマス"
完 - 11二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 00:07:36
以上です。
実質初書きみたいなもんなので駄文も駄文ですが読んでいただけたらとても嬉しい 感想や♡いただけるともっと嬉しいという感じです。ハッピークリスマス - 12二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 00:07:56
初めてここで推し(セナ)のss見た気がする…
もっとあってもいいと思うんだがなぁ、そう思わないかい?文豪さん。 - 13二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 00:13:15
- 14スレ主24/12/25(水) 02:05:10
- 15二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 11:11:05
トリニティってモチーフ上クリスマスガチ勢だろうしサンタの有無はマジで戦争になりかねない
- 16二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 11:11:30
わかる、早くセナの新衣装欲しい
それはそれとしてss良かったです - 17スレ主24/12/25(水) 11:14:12
ありがとうございます!
- 18二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 11:15:27
ハロウィンボイスもクリスマスボイスもそう
もしかして救急医学部って休みとかないの……? - 19二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 11:17:36
現実の救急も…