- 1124/12/25(水) 08:48:10
- 2124/12/25(水) 08:48:26
前スレ
【クロス注意】ここだけ|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>個性は dice1d3=@2 (2)@1. 二人とも使えない2. かっち…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染みinNRC|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part2|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part3|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part4|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com幼馴染inNRC Part5|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染みinNRC Part6|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com【クロス注意】幼馴染inNRC Part7|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com - 3124/12/25(水) 08:49:14
- 4124/12/25(水) 08:49:30
素敵な支援SS様
……ノーコメントで | Writeningパソスト風じゃなく普通のSSです。お目汚し失礼。 登場人物:出久+勝己+グリム+エース+デュース+ジャック+エペル+セベク ふわっと頭に浮かんだワンシーンを書きたいなと思ったらなんか長くなってしまいました…writening.netなんてことない普通の日 | WriteningパソストではなくSSです、ご注意を。 登場人物 トレイ・クローバー 尾白猿夫 砂藤力道(名前のみ) 個人的に尾白くんとトレイ先輩は仲良しであってほしいなぁと思う今日この頃。 アリアーブ・ナーリヤとかいっ…writening.netマスターシェフ〜地獄のニラ〜 | Writening登場人物:轟、リリア、砂藤、トレイ、エペル、デュース、エース、麗日、峰田、青山、学園長 ちょっと体調不良表現あるので苦手な方要注意、なんでも許せる人向け 「食」それは生命の礎。 清き海。強き山。優…writening.netもぎもぎパニック!ドアと化したフロイド | Writening登場人物:フロイド、峰田、緑谷、エース、デュース、ラギー、カリム、ジャミル、ルーク、リドル、セベク、飯田、イデア、オルト キャラエミュ間違い、キャラ崩壊あるかも なんでも許せる人向け 「おーいエ…writening.net素敵な支援イラスト様は2スレ目に!
- 5124/12/25(水) 08:50:02
現在好感度まとめ
【出久→相手/相手→出久、 爆豪→相手/相手→爆豪】
*グリム 91/97、 58/47
*エース 74/100、 32/88
*デュース 100/100、 84/93
*リドル 61/70、 57/94
*ケイト 99/100、 85/87
*トレイ 30/27、 60/40
*レオナ 2/65、 36/16
*ラギー 14/59、 72/21
*ジャック 83/100、 52/91
*アズール 72/93、 73/21
*ジェイド 26/65、 21/43
*フロイド 8/33、 28/69
*カリム 50/79、 28/81
*ジャミル 84/66、 47/62
*マレウス 75/30、 -/-
*クルーウェル 56/-、 13/-
*トレイン 78/-、 36/-
*バルガス 16/-、 6/ - 6124/12/25(水) 08:51:50
前回までのざっくりあらすじ
想定外の事態はあったものの、なんとかオクタヴィネルの集団イソギンチャク事件を解決した二人。
出久が見ている不思議な夢のことを勝己にも共有して事態は一歩進展したが、元の世界に帰る手立ては未だ見つからないのだった。 - 7124/12/25(水) 08:53:41
早いものでPart8です
スレ主が今まで立てたことあるPartスレだと8までが最高なのですが、ストーリー的にまだまだ続きそうなので最高記録出そうです
無事に完走させたいね…… - 8二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 09:03:07
スレ立て乙です!
- 9二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 09:06:07
たておつ
- 10二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 09:09:43
10まで
- 11二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 09:43:24
四章が一番好きだから個人的に無茶苦茶楽しみ
- 12124/12/25(水) 12:25:21
パソストを投げときます!色々捏造してますので注意
緑谷出久 実験着パソスト 「なんつーか、お前って……」 | Writening■オンボロ寮 ー2階ー 「どうです、ミドリヤさん!僕が開発した魔法薬は!」 「オンボロ寮の二階の頑固なカビがポロポロと……!すごいよ、アズールくん!!」 「フフ、そうでしょう、そうでしょう!アッハハ…writening.net爆豪勝己 実験着パソスト 「なんか懐かしいね!」 | Writening■イグニハイド寮 ー談話室ー 「チェンジ!!!」 イグニハイドの談話室に、寮長であるイデアの悲鳴が響き渡る。 「ただでさえ他寮の人間をイグニハイドに招くってだけで特大ハードルなのに、事前に聞い…writening.netリリアちゃんが「緑谷」「爆豪」呼びなのは仕様です。他の人より異国の名前を綺麗に発音してくれているようです。
- 13二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 16:23:45
- 14二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 17:29:43
某魔法世界にも鼻くそ味とか石鹸味とかのビーンズとかあるから、飴ぐらい誤差みたいなもんだよ
- 15二次元好きの匿名さん24/12/25(水) 23:12:41
- 16二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 00:22:56
かっちゃんの地声、元々ガラガラみたいなもんだから大丈夫だよ
- 17二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 10:33:13
あいかわらずスレ主のキャラエミュが絶妙
大好きだ! - 18二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 19:41:03
ほ
- 19二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 22:08:15
そういや小指の関節が足りないと特に不便とかないのかな?
- 20二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 22:14:56
- 21124/12/26(木) 22:34:48
- 22124/12/26(木) 22:35:46
四章スタートしたいと思います!
この辺からストーリー長くなるので、カット増えるかもです - 23124/12/26(木) 22:44:46
その日、出久は不思議な夢を見た。
乾いた砂漠で、二人の男が問答している。
粗末な身なりの盗賊を連れた、黒いターバンを巻いた男が黄金のスカラベを追いかけていくと、砂漠の中に虎の頭のような洞窟が現れた。
――ついに長年の夢がかなう、魔法の洞窟だ
――魔法の洞窟!
男の方の上で、赤いオウムが鳴く。
――いいか、ランプを持ってくるのだ。ランプだぞ!
ターバンの男が、盗賊の男を洞窟へとけしかける。
――眠りを妨げるのは誰だ
地を這うような低い声で問いかける魔法の洞窟に、盗賊の男はおそるおそる足を踏み入れた。
*出久 夢への違和感 dice1d10=1 (1) +54
*爆豪への共有は…… dice1d2=2 (2)
1.毎回話すのもなんだし、別にいっか。共有しない。
2.一応話しておいた方が良いかな?共有する。
- 24124/12/26(木) 23:02:54
(今度の夢は砂漠か……)
夢の内容は寓話的で、断片的に見ても全貌はつかめてこない。出久はスッキリしないままベッドから起き上がった。
寝室から最後に出てきた出久の周りにふよふよとゴーストが集まってくる。
「おや、イズク坊や。寝ぼけた顔してどうしたぃ」
「おはよう、ゴーストさんたち」
「今日は秋学期のしめくくりの日じゃ。最後に大ポカやらかさんように気を引き締めていくんじゃぞ」
ゴーストたちが浮足立っているのは、明日からウィンターホリデーが始まるからだ。
出久と勝己がツイステッドワンダーランドに飛ばされてから、早くも三か月が経とうとしていた。
「んん?『うぃんたーほりでー』ってなんなんだゾ?」
出久のもとにやってきたグリムが、ゴーストとの会話の単語を拾って首を傾げた。
ゴースト曰く、ナイトレイブンカレッジの生徒の大半は、長期休暇中に実家に帰って過ごすのだという。
ゴーストがウィンターホリデーの過ごし方についてアレコレ語ってきかせると、グリムの青い目がキラキラと輝いていく。「ごちそう」という単語に惹かれているようだ。
「そういえば、グリムはどこから来たの?家はどこ?」
「オレ様の家……?うーん、よく覚えてねぇんだゾ。気がついたら1人で腹減らしてた気がする。すげー寒くて、ずっと誰かが迎えにくるのを待ってたような…………。……それで、その後どうしたんだっけ?よく思い出せねぇな」
グリムは肉球のある手で額をグリグリと押してみたが、それ以上の記憶は出てこないようだ。
「まっ、オレ様は過去は振り返らねぇ主義なんだゾ!過去より未来!なにせもうすぐリッチな大魔法士になるんだからな!がっはっは!」
「今年は僕たちと一緒に過ごそうか。僕たちも帰り方が分からないから」
「今年のホリデーはわしらと暖炉を囲んで過ごそうじゃないか」
「にゃっはー!ご馳走が食える!ホリデー楽しみなんだゾ!!」
嬉しそうにとび跳ねるグリムを連れて、出久は朝食の支度をするために談話室へ向かった。 - 25124/12/26(木) 23:13:42
「却下。テメー状況分かってンのかよ」
「……ですよね」
談話室に入った瞬間、血管がブチ切れそうな勝己の怒気で、暖炉を囲んで賑やかに楽しむ穏やかなホリデーの想像はあっという間に対消滅させられた。
代わりに脳内に浮かぶのは、図書館でひたすら文献を漁るか、体を鈍らせないようにひたすらトレーニングを積むイメージ映像だ。
「僕たちの世界でも三か月も経ってたら、みんな心配してるだろうな……」
*爆豪 アイデアロール dice1d100=11 (11) (51以上で成功)
- 26124/12/26(木) 23:20:08
ちょっとダイス
*かっちゃんの様子 dice1d100=75 (75)
1:珍しく参っている様子 100:MB5(マジでブチ切れる5秒前)
- 27二次元好きの匿名さん24/12/26(木) 23:21:57
だいぶキレてる!
- 28二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 11:03:32
まぁうん キレたくなるのも仕方ないよなぁ
- 29二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 19:24:01
ほ
- 30二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 19:42:05
結構キレてて笑う
アイデアロール成功してたら経過時間関連で何か気付きがあったのかな - 31二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 22:51:24
- 32二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 08:19:33
ほ
- 33二次元好きの匿名さん24/12/28(土) 17:26:39
ほっしゅ
- 34124/12/28(土) 21:40:41
等身イラストも可愛いですね!!色鉛筆の色味があったかいです……!
ちなみにイラスト大歓迎です!!
スレ主のPCがなぜかBlankaryを使うとエラーが出るので、支援イラストをあげていただいてもスレ冒頭でまとめることができませんが……
- 35124/12/28(土) 22:07:56
「意味不明な状況のまま時間だけ流れて、浦島太郎みてーなことになんのは俺ァ絶対ごめんだぞ!」
「それは僕も嫌だよ!……僕もちゃんと帰りたい」
勝己が怒りっぽいのは今に始まったことではないが、今回は勝己なりに非常に焦っていることが怒りの原因のようだ。
「むう、ウラシマタローとはなんじゃ?」と出久の周りをふよふよと漂うゴーストが聞くので、『浦島太郎』の物語を教えると「おお、恐ろしや」と身を震わせて飛び回った。幼い頃は何気なく聞いていたが、今の二人にとっては恐ろし過ぎる物語である。
「大体よォ~~、マジであのクソ烏は仕事してンのか?」
勝己の怒りの矛先が学園長に向く。学園長は二人と鉢合わせる度に口先では「ちゃんと帰る方法は探していますよ、私とっても優しいので」と言うが、具体的な進捗報告は聞いたことがない。
そういえば。
学園長といえば、校長先生。校長先生といえばネズミ。ネズミと言えば不思議な夢。不思議な夢といえば。
学園長から始まった連想ゲームで、出久は今朝の夢のことを思い出した。
「……そうだ、かっちゃん。僕、また変な夢を見たんだ」
「朝遅ェからそんなことだろーと思った。で、どんな夢だったンだよ」
「それが――」
出久は夢の内容をできるだけ具体的に勝己に共有したが、そもそもの夢のシチュエーションもよく分かっていないので、何の参考にもならなかった。
「まあ、所詮夢は夢ってことなのかな」
「……一応内容は頭にいれておく。くれぐれも油断すんじゃねェぞ」
これ以上話していると遅刻してしまうので、出久は朝の支度に取り掛かった。
「イズク~、オレ様、ホリデーにごちそう食べられねーのか?」
「な~に、心配するなグリ坊。イズク坊やとバク坊は忙しいみたいだから、代わりにワシらがご馳走を用意してやるわい!もちろん、イズク坊やとバク坊の分もな。ふぉっふぉっふぉ」
「やったー!ご馳走食べまくるんだゾ!!」
「ありがとう、ゴーストさんたち!」
「良いってことよ。若いモンは沢山食べないとな!」
陽気なゴーストたちに励まされながら、出久たちは終業式に遅れないように支度を終えてオンボロ寮を出た。 - 36124/12/28(土) 22:33:05
担任のクルーウェルによるホームルームが終わると、クラスは帰省する生徒たちによるホリデームードに包まれた。
エースとデュースはそれぞれ薔薇の王国の地元に帰るようで、そわそわと浮足立っている。最も、デュースは宿題の多さで気が重そうでもあるが。
「そーいやミドリヤたちって、まだ元の世界に戻る方法見つかってないんだろ?」
「ということは……3人ともホリデーは寮で過ごすのか」
「ほとんど図書館に籠ることになりそうだけどね」
「オレ様はゴーストたちとご馳走食べまくる約束してるんだゾ!」
「なるほどね。確かに学園にはゴーストがたくさんいるし、3人ぼっちってわけでもないか」
「ん?でも、学園が休みになるということは、食堂や購買部も休みになるんじゃないか?」
「ふな”っ!そういやそうなんだゾ。オレ様のご馳走はどうやって調達すりゃいいんだ!?」
会話の中、デュースが気づいたことは、オンボロ寮のメンメンにとって死活問題になりうることだった。
*オンボロ寮の食事事情
自炊 dice1d100=73 (73) %
食堂の基本メニュー ↑の残り%
「待てよ……それじゃあもしかして……」
「図書館も閉まンのか……?」
早くも予定が崩れ、出久と勝己は顔を見合わせた。図書館が開いていないとなると、帰る方法を探すのに大幅なタイムロスになる。
「早急に学園長に確認してみる必要がありそうだな」
「闇の鏡の使用は学園長の許可がいるはずだし、今なら鏡の間にいるんじゃね?行ってみようぜ」
二人は一も二もなくエースの言葉に賛同し、鏡の間に向かった。
- 37124/12/28(土) 22:49:48
鏡の間に着くと、そこはすでに帰省する生徒でいっぱいだった。ソワソワと浮かれる空気が充満している。
「ええっと、学園長は……。もしかしてあそこの……」
「浮かれすぎだろ職務怠慢クソ烏」
闇の鏡の横で、生徒たちの案内をする学園長の姿が二人の目に飛び込んできた。
洒落たハットと陽気なアロハシャツを着ている学園長は、この場にいる誰よりもバケーションに浮かれていた。
「この真冬にアロハシャツって!南国に遊びに行く気満々じゃん!」
「浮かれた気持ちを隠す気がゼロすぎるな」
エースとデュースが呆れたようにため息をついた。
「やいやい、学園長!話があるんだゾ!」
「おや、みなさんお揃いで。どうしたんです?」
*dice1d2=2 (2)
1.出久「学園長、僕たちが元の世界に戻る方法の調査の進捗はいかがですか?」
2.爆豪「テメェ、まさか自分の仕事忘れて無ェだろうな学園長サンよォ」
- 38二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 07:17:53
ここの学園長いつ見てもウキウキで草
- 39二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 11:12:33
ゴーストおじさんバク坊って呼んでたの今気づいた'www
- 40二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 13:30:42
グリムに好感抱いてるpixiv監督生みる度に元の世界のことはいいのかな?って(タヒ人は除く)思うこと多々あったから帰還がメイン目的のかっちゃんが良い具合にアクセントになってる
それでいてふたりとも最高のヒーローをやってくれるのがマジ最高 - 41二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:24:22
いつもの不審者スタイルでサマになっているけど、アロハ着ると不審者度が跳ね上がるな
- 42二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 14:25:49
ヒロアカ世界で言うならオバホがアロハシャツ着てる程度には不審者
- 43二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 16:51:29
しっかり自炊してて偉いな……
サムさんの店で鶏胸肉とかブロッコリーとか買いまくってるのかな
二人とも栄養ちゃんと考えそうだから、男二人の自炊でも安心できる - 44二次元好きの匿名さん24/12/29(日) 22:39:22
学園長せめて仮面外せばいいのに……
- 45二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 06:54:58
幼馴染、スティッチイベのアロハシャツ着て欲しいし、豊作村イベのモコモコウェアも着て欲しい
ツイステッドワンダーランドの春夏秋冬の服着てくれ - 46二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 10:00:38
- 47二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 11:02:55
あの世界になくないか???と思ったけど、サムなら「IN STOCK NOW!」できるか……
- 48二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 12:03:18
- 49二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 17:49:28
ジャミルのユニ魔シーンが今から楽しみ
どっちがかけられるんだろうか
あるいは両方なのか… - 50124/12/30(月) 20:38:58
世の中は年末だけど、スレ主は暇しているので進めていきますゾ
年始はちょっと忙しいですが - 51124/12/30(月) 20:52:45
「テメェ、まさか自分の仕事忘れて無ェだろうな学園長サンよォ」
「あっ!あぁ~~~!!!元の世界に戻る方法ね。ははは、いやですねぇ、ちゃんと探していますとも」
「じゃあそのふざけた格好はなんだコラ」
「この冬季休暇は、まだ行ったことがない南の地域へ調査範囲を広げようと思ってるんです。私、とっても真面目なので」
「アロハシャツで調査とかナメとンのか」
「そうだそうだ!思う存分休暇を満喫する気なんだゾ!」
「なにを仰います。南の国ではこれが正装。郷に入っては郷に従え」
「ほぉ~~?クソ寒ィ学園よりも随分調査が捗りそうじゃねェか。手伝ってやるから俺らも連れてけや」
売り言葉に買い言葉。言い訳じみた発言を繰り返す学園長に、勝己が向けるニコッとした笑顔の圧がすごい。額にぶっとい青筋が浮いている。
「僕が雄英受けるって言ったときのかっちゃんもこんな顔だったな~」と出久は昔の記憶を引っ張り出して懐かしい気分になった。現実逃避をしているともいう。
「えぇ?それでは楽しい休暇が台無し……ゴホン!君らを連れて行くには危険な調査になりそうですから、ここは私が1人で向かいます」
「今休暇っつったよなァ!!!」
「休暇って言ったね」
「休暇って言ったんだゾ」
「オ”ッホン!とにかく!調査は私1人で行くので、君たちには学園に残り、重要な任務にあたってほしいのです」
「任務だァ?」
「また学園内の調査ですか……?」
学園長の発言に、勝己は眉を吊り上げ、出久は訝し気に眉を寄せた。 - 52124/12/30(月) 21:04:10
「学園の存続に関わる、重要な任務です」
「そんなに重要なことをいきなり任されても困ります。学園長ご自身でやった方が良いのでは……」
出久の反論はゴホン!という学園長のわざとらしい咳払いに遮られる。
学園長曰く、学園の大食堂の暖炉に住み着いている火の妖精に毎日よく乾いた薪を与えなければ、火の妖精が消えてしまい学園中の暖炉や火を賄えなくなるのだという。
「その薪を俺たちがくべろってか」
「厨房のゴーストさんたちに任せるのはダメなんでしょうか?」
「それなんですが……今年は厨房係のゴーストの娘夫婦にお子さんが産まれたそうで、初孫の顔を見にあの世に帰省するんだとか」
「そんなおめでたいことが……。……うん?あの世に帰省するんですか……?」
「そうですよ?」
「えっと……、かっちゃん、どういうことか分かる……?」
「……ゴーストって繁殖するンか?」
*困惑度
出久 dice1d100=81 (81)
爆豪 dice1d100=53 (53)
- 53二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 21:08:19
- 54124/12/30(月) 21:19:41
二人の常識を超える話を当然のようにされて、二人の頭の中で疑問符が踊った。
あまりにも混乱した様子の出久に「そこは愛が生んだミラクルということで深く考えてはいけません」と学園長が言うので、ここはとりあえずそういうものだと思うことにした。
「ですので、彼の代わりに君たちに火の番を頼みたいのです」
この雑務を請け負った暁には、と前置きをして、学園長は食糧の保証とご馳走の差し入れを約束した。食い意地のはったグリムがまんまと食いつく。
「毎日暖炉に薪をくべるだけで、寒さや食料の心配をしなくて済む……。一石二鳥じゃありませんか。なんという好条件!」
「確かに、今までの無茶ぶりに比べれば超楽チンな気がするんだゾ!」
「そうでしょう?こう見えて私、とっても優しいので」
「どこが優しいンだよ。ほぼ脅しじゃねェか」
「オンボロ寮は暖炉以外に暖を取れるものがないから、火が消えたら屋内でも凍死しかねないからなぁ……」
*賢者の島の冬の気温 dice1d3=3 (3)
1.冬の日本海レベル
2.冬の北海道レベル
3.冬のロシアレベル
(あくまで気温なので、降雪量はほどほど)
オンボロ寮はあちこちからすきま風がヒュウヒュウと通り抜ける、通気性バツグンの年季の入った建物だ。暖炉が無ければ室内はほぼ外気と同じくらいまで冷え込んでしまう。
布団は綿も羽毛も潰れ切っており、ブランケットは向こう側が透けてみえるくらいスカスカで、保温性は期待できない。二人のひもじい財布では寝具を新調するなど夢のまた夢だ。
「僕、なんか今無性に轟くんに会いたいかもしれない」
「人のことエアコン扱いしてんじゃねーよ」
「だって……轟くん優しくて寒そうにしてると暖かい空気を出してくれるんだもん……」
- 55124/12/30(月) 21:41:23
「ああ、そうそう。私が長期不在にするので、これを君たちに渡しておこうと思ったんです」
そう言って学園長が1台のスマホを取り出した。
「なにか緊急の用事があれば、このスマホで私に連絡してください。さて、私は生徒たちをご実家へ転送する仕事ありますので、後は任せましたよ、3人とも」
「待ってください学園長、僕たちホリデー中に図書館を使いたいんですが!」
「図書館はセキュリティの都合で閉め切りですよ。どうしても借りたいなら今日の閉館時間までに借りてくださいね。あっ、一人10冊までですよ!それじゃあ。ああ、忙しい、忙しい」
出久の質問に嬉しくない回答をよこすと、学園長は闇の鏡に向かって小走りで行ってしまった。
*スマホを入手しました
*スマホをもつのは dice1d2=1 (1) (1.出久、2.爆豪)
「グリムを頭数に入れてもホリデーを通して30冊しか調査できないなんて……」
「チッ、こうなったら麓の街まで下りて古書店にでもあたるしかないかな……?」
ご馳走に胸を躍らせるグリムの横で途方に暮れる出久と勝己をよそに、沢山の生徒が闇の鏡を通って地元へと帰っていく。
大量の食品を背負ったラギー。両手いっぱいにサボテンをもったジャック。完全に手ぶらのレオナ。
ハーツラビュル寮の先輩たちはエースとデュースと軽く談笑をして、それぞれの故郷に帰っていく。エースとデュースも帰りの列に並ぶ頃合いになった。
- 56124/12/30(月) 21:57:55
「そうだ、ミドリヤ。さっき学園長にスマホもらったなら、マジカメのID交換しとこーよ。連絡とれたら色々と便利だし」
「そうだな。僕とも交換しよう」
「うん!」
スマホ本体やアプリの操作感は出久たちの世界のものとほぼ同一で、直感的に操作してアカウントIDを交換することができた。
「よし、登録完了……っと。冬休み中、寂しくなったら連絡してきてもいいぜ~」
「ありがとう!そうしようかな!」
「出た。ミドリヤのマジレス。冗談だっつーの」
「えっ……、冗……談……?そっか……そうだよね、ごめん……」
「えっ、ちょっ……!おいミドリヤ、そんな顔すんなって。それも冗談だから!」
よほど悲愴な顔をしていたのか、エースが慌ててフォローを入れた。あまりこの手の冗談に慣れていない出久には、ちょっと今回の冗談は毒が強すぎた。
「タチ悪ィ冗談言ってんじゃねェよカス」
「フォローしてくれるのは嬉しいけど……かっちゃんが言うとなぁ」ボソッ
「こいつのくだらない冗談はさておき、なにかあったら遠慮なく連絡してこいよ。じゃあ、母さんが待ってるだろうから僕ももう行く。ミドリヤ、バクゴー、グリム。良いホリデーを」
「んじゃ、オレも行きますか。ミドリヤ、バクゴー、グリム、また来年な~」
年末の挨拶を交わし、エースとデュースも闇の鏡を潜っていく。
気がつけば、鏡の間に溢れる程いた生徒がほとんどいなくなっている。二人がいなくなると、広々とした鏡の間がしんと静まり返るようだった。
「アイツらいつも騒がしすぎてウゼーと思ってたけど、いざいなくなってみると……アイツら本当に毎日ウルセーってことがよくわかるんだゾ」
「テメーも大概だわ、クソ狸」
「まぁ、声量だけでいうなら君が一番だけどね」
「アァン?そりゃどういう意味だ?俺がうるせぇってか」
「そうは言ってないけど」
「じゃあどういう意味か言ってみろやコラァ!!!」
「そういうところだよ!!!」
何気ない会話を発端に小競り合いを始める二人を、グリムがジトっとした目で見ていた。
「……やっぱオマエらも滅茶苦茶ウルセーんだゾ!」 - 57二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 23:16:28
まぁ、小中はボッチだったろうからねデク…
- 58二次元好きの匿名さん24/12/30(月) 23:58:25
パソストSSでもそうだったけど、時々垣間見える過去の闇からしか得られない栄養がある
- 59二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 00:14:45
- 60124/12/31(火) 10:38:22
- 61二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 12:22:20
- 62124/12/31(火) 12:46:22
ウィンターホリデー初日、暖炉に薪をくべるために外に出ると、そこは一面の雪景色だった。
「わー、見てみろイズク!雪が積もってるんだゾ!」
「本当だ、どうりで冷えるわけだ」
「寒すぎんだろクソが!!」
賢者の島の冬は信じられないくらい冷えた。水たまりは凍り付き、オンボロ寮の軒下にはつららが生えている。
冷えた耳が取れそうなほど痛い。もふもふの冬毛で覆われたグリムが羨ましくなるほどだ。
「さっさと薪くべて戻んぞ!」
「そうしよう、風邪でもひいちゃうと大変だ」
二人は防寒着を持っていない。ナイトレイブンカレッジの防寒着の上に雄英のブレザーも羽織って二重にしてみても、寒さが苦手な勝己は耳も鼻先も真っ赤になっていた。
*
校舎まで移動し終わることには出久も勝己も体が凍えてしまい、毛皮のあるグリムも肉球が冷えて痛いと涙目になっていた。
かじかむ手でなんとか持ってきた薪をくべると、火の妖精がパチパチと音を立てて動き出し、体の芯まで温まるような暖気が発された。
「はー、生き返るなぁ」
「傍によると毛皮の芯まであったまるんだゾ」
「……手の凍えが解けるまではしばらく温まるか」
*暖炉でぽかぽか (数値が高いほど暖炉から離れたくない)
出久 dice1d100=31 (31)
爆豪 dice1d100=84 (84)
グリム dice1d100=19 (19)
- 63二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 12:47:11
かっちゃん!?
ロシア並みの寒さ、私だったら正気じゃいられないね - 64二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 13:47:29
鍛えてて体脂肪率も低いだろうから尚更寒さに弱いだろうな……冬は汗が出にくいから個性も使えないし
- 65二次元好きの匿名さん24/12/31(火) 14:10:12
あれ?もしかして分断する?
- 66124/12/31(火) 15:26:22
しばらく大食堂の暖炉の前で温まっていると、厨房の方から包丁で何かを切る音や肉の焼ける音が聞こえてきた。追い打ちをかけるように食欲をそそるスパイシーな香りが漂ってくる。
「良い匂いがするんだゾ!」
「ホリデー中は食堂はお休みなんじゃなかったっけ?一応確認してみようか」
暖炉で体が温まってしまえば、火の魔法で温度が保たれている学園内は問題なく動き回ることができる。
少しばかり名残惜しいが、三人は暖炉の前を離れて厨房をのぞきに行った。
「野菜に火を通し終わったら、解凍してあった肉を茹でてくれ。脂が温まったらナッツを入れるのを忘れるな」
厨房では、冬休み中だというのに何人ものスカラビア寮生が料理に励んでいた。指示を飛ばして料理を総括している生徒は、出久も見覚えがあった。
「ん?君たちは……」
編み込んだ長い黒髪が印象的な生徒が振り返る。
*出久 ジャミルを…… dice1d2=2 (2)
1.バッチリ覚えている
2.少ししか話していないのでうろ覚え
- 67124/12/31(火) 15:39:17
「君は、確か聞き込みに協力してくれた……」
「ああ、マジフト大会前に怪我をした時、少し話をしたな。君たちは確か……ミドリヤとバクゴーとグリムだったか?」
「覚えててくれたんだ!君は、えっと……」
「ジャミルだ。ジャミル・バイパー。スカラビアの副寮長をしてる。俺は昔から人の顔と名前を覚えるのは得意でね。それに、君らは入学以来とにかく目立つからな」
この学園で君らの名前を知らないヤツはいないんじゃないか、とジャミルが冗談っぽく笑った。
確かに、入学早々の退学騒ぎから始まり、ハーツラビュルの決闘騒ぎ、マジフト大会の連続傷害事件の聞き込み、期末テストのイソギンチャク騒動とトラブルに首を突っ込みまくっているため、無理もないのかもしれない。
「ところで、君たちは冬休みなのになぜ学園に?」
「僕たち、帰れる場所がないから残るしかないんだ。学園長に火の番も頼まれちゃったし……」
「オレ様、真面目で有能だからなー!学園長に頼られるのも仕方ねぇことなんだゾ!」
えっへん!とグリムが胸を張る。どちらかというと面倒くさがりなグリムがやる気に満ち溢れているのだから、ご馳走パワーは侮れない。
「へぇ……そうなのか。学園長にね……。それは使えるかもしれないな」ボソッ
「ジャミルくん、何か言った?」
「あの学園長に認められるなんて、君たちはすごいな、と」
それ以上会話を掘り下げる前に、ジャミルは調理中のスカラビア寮生に呼ばれてそちらに行ってしまった。
グリムが鼻をひくひくさせながら、興味津々で料理中の手元の覗きに行く。熱とともに立ち上るスパイスの香り。どうやら、熱砂の国の伝統的な家庭料理を作っているらしい。 - 68124/12/31(火) 15:58:35
「ところで、ジャミルくんたちはどうして冬休み中なのに学園に残ってるの?」
「……それは……。それについては、話すと少し長くなる」
出久が何気ない疑問を口に出すと、厨房の空気が暗く沈んだ。
調理中のスカラビア生たちから「スカラビアは全員、寮長の命令で……」「帰りたくても帰れないというか……」と小さく呟く声がするのを、ジャミルが窘めた。
「スカラビア寮で何かあったのかな」ヒソヒソ
「厄介事の匂いがするな」ヒソヒソ
「――さあ、完成だ。料理が冷めてしまう。早くスカラビアへ向かおう」
ジャミルが号令をかけると、スカラビア生たちが料理の入った鍋や大皿を持って鏡の間へと移動していく。
「……ああ、そうだ。ここで出会ったのもなにかの縁。良ければ君たちも食べていかないか?」
「にゃにっ!いいのか!?」
「そんな、急にご飯にお邪魔したら悪いよ」
「別に、構わないさ。少し多めに作りすぎたから、むしろ君たちも一緒に食べてくれると嬉しい」
そういう風に言われてしまうと大変断りにくい。それに、現在オンボロ寮は昨日購買が閉まる前に急遽買い込んだ保存の効く味気ない食材しか置いていないので、正直目の前の熱砂の国の料理は非常に魅力的だった。
「ホラ!ジャミルだってこう言ってるんだゾ!食べ物残すのは良くねぇんだゾ」
「スカラビアはいつでも夏のように暖かい。ちょっとした南国気分が味わえると思うぞ」
*二人の行動ロール dice1d2=1 (1)
1.ご飯ご馳走になるだけだし……。誘いに乗る
2.そんな上手い話しがあるのかな?疑念を抱く
- 69124/12/31(火) 16:11:48
「君たちが来てくれたら、寮長も喜ぶだろう」
「それじゃあ、お言葉に甘えてご一緒させてもらおうかな!」
「……君を招待できてとても嬉しいよ、ミドリヤ。さあ、行こう。スカラビアへ」
ジャミルに案内されてやってきたスカラビア寮は、地平線まで続く砂漠に聳え立つ宮殿のような建物だった。
スカラビア寮が存在する空間は、真冬だとは思えないくらいの強い日差しがジリジリと降り注いで暑いくらいだった。
「客人のおでましだ!みな、歓迎の音楽を!」
ジャミルが手を打ち鳴らして合図をすると、寮で待機していたスカラビア生たちが異国情緒あふれる演奏で出迎えてくれた。
「にゃっはっは!オレ様ほどの有名人ともなると、こんなに歓迎されちまうのか」
「僕は逆に恐縮しちゃうよ……」
「呼び寄せたのは向こうなんだから堂々と歓迎されてろや」
三人が談話室に着くなり、テキパキと食事の用意が進められていき、あっという間に談話室いっぱいに料理が並んだ。
「さあ、冷める前にどんどん食べてくれ」
「えっ、まだ寮長のカリムくんが来てないみたいだけど……」
「いただきまーす!あむっ!」
本当に料理に手を付けて良いのか困惑する出久をよそに
、グリムが全ての皿から一口ずつ料理を口に放り込んでは食レポを始めた。ジャミルがどんどん食べてくれ、と次々と料理を出すので、グリムが本当に遠慮なく食べ続けている。
「……お前たち、なにを騒いでる?」
その時、スカラビア寮長であるカリムが談話室にやってきた。寮生たちがギクリと肩を跳ねさせ、和気あいあいとした空気が硬直する。
「なんかちょっと気まずい雰囲気になっちゃったけど……」ヒソヒソ
「客招くならしっかり根回ししとけやァ……!」ヒソヒソ - 70124/12/31(火) 18:21:56
「どういうことだ、ジャミル。客を呼ぶなんて、俺は聞いてないぞ!」
「カリム、これにはワケが」
気まずい雰囲気をグリムも察知したのか、食べる手を止めて出久の腕に身を隠すように身を丸くした。
「客を呼ぶときは、必ず先に報告しろと言ったはずだ!」
キッ、とカリムの大きな目が吊り上がる。人が叱責される瞬間とは胸が痛くなるもので、出久はヒヤヒヤした。
「そうすれば…………もっとスゲーご馳走と音楽隊を用意できたのに~~!!」
カリムの気の抜けた発言に、その場にいた者全員がズコッ、とずっこけた。
「よう、さんにんとも。よく来たな!出迎えのパレードもなくて悪い!オレはスカラビアの寮長、カリム・アルアジームだ。オンボロ寮の監督生のミドリヤと、あとの二人ははじめまして、だよな?」
「いいや、彼らとは初対面じゃない。お前は入学式でグリムに尻を焦がされたし、マジフト大会の前にも食堂で話をしたぞ」
「あれっ?そうだったか?あっはっは、悪い悪い。オレ、あんまり人の顔覚えるのが得意じゃねぇんだよな~。気を悪くしないでくれ」
カリムが大口を開けて朗らかな声で笑った。芦戸や上鳴たちのものとも違う、もっと突き抜けた明るさだ。
名前を忘れられていた勝己が怒るタイミングを逃す程度には、カリムは明るく大らかでマイペースだった。
「そんじゃ、改めまして。お前ら、これからよろしくな!」 - 71二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 00:19:43
雄英とスカラビアの幼馴染絡み楽しみ〜
- 72二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 08:03:26
新年あけましておめでとうございます
こちらあけおめ記念SSです
1-A全員トリップ時空、細かいことは気にせずお読みください
後半キャラ崩壊あるかもなのでそこだけご注意ください
ドキッ!漢だらけの新メニュー決定戦〜飯テロもあるよ〜 | Writening登場人物:アズール、ジェイド、フロイド、ラギー、青山、飯田、上鳴、切島、瀬呂、砂藤(回想のみ) キャラエミュ間違いあったらスマソ、後半キャラ崩壊あるかも 何でも許せる人向け 「……皆さんが集まっていた…writening.netスレ主さんのNRC生と幼馴染とのやりとりが本家監督生とはまた違った魅力があって大好きです
4章も楽しみです
- 73二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 11:01:52
- 74二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 12:28:11
- 75二次元好きの匿名さん25/01/01(水) 19:02:02
ほ
- 76二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 06:15:00
☆
- 77二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 15:35:56
ほ
- 78二次元好きの匿名さん25/01/02(木) 22:12:46
やっと追いついた!そしてやったー!カリムが出た!
- 79二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 08:46:27
気になるから今からおっかけ
続いてくれるよう☆ - 80二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 09:34:42
保守
洗脳パート無かったけどここからどうやって違和感に気づいて行くのか楽しみ
本編通りでもオリジナルルートでもわくわくする - 81二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 18:54:50
ちょっと早いけどほしゅ
- 82二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 21:54:08
ストーリーのネタバレかもしれないので一応注意
ちょっとした疑問なんだが、爆豪と緑谷はグリムの掘った穴を通れるんだろうか‥? - 83二次元好きの匿名さん25/01/03(金) 22:33:31
2人ともガタイいいもんな
- 84二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 01:33:42
最終的に穴も追っ手も爆破すればいいんだよ
- 85二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 09:08:15
⭐︎
- 86二次元好きの匿名さん25/01/04(土) 19:10:54
デクの場合下手に洗脳すると異変を感じて引き返してだろうからな
- 87125/01/04(土) 19:12:03
あけおめSS感謝です!!
砂藤くんがアンコウくん、飯田くんがクロマグロくんなのがすごい好きです
某もちづきさんと化したアズール氏のセリフに爆笑しました
アズール氏のデズニーのギリギリを攻めてるセリフ大好きなんです
- 88二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 01:35:37
ほっし
- 89二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 09:21:23
ジャミルがデクと爆豪相手にどう立ち回るのか気になるな
あの2人なら絨毯の助けがなくても脱走できそうなものだけれど‥ - 90125/01/05(日) 13:44:08
「今日の料理も美味そうだ。出来栄えはどうだ?ジャミル」
「いつも通りさ。どの大皿にも危ないものは入っていないから、安心して食べていい。毒見も済んでる」
「むがっ!?ど、毒見っ!?」
突然飛び出してきた物騒な単語に、グリムが噎せた。
ジャミル曰く、カリムは熱砂の国有数の大富豪の跡取りで命を狙われることも多く、毒見が必須であるらしい。
「いつも大袈裟なんだよ、ジャミルは。食事に毒物混入なんて……4年前に2週間昏睡状態になったのを最後に最近はパッタリなくなってるし」
カリムはからからと笑っているが、どう考えても笑いごとではない。警戒心をどこに置いてきてしまったのか、少しだけ心配になってしまう。
「オイ、つまりさっきオレ様にいろいろ食べさせてたのは、毒見だったってことか!?」
「ハッ。テメェの意地汚さも役に立つことがあンだな」
「……黒い石をペロペロ食べちゃうグリムに毒が効くのかすごい疑問だけどね」
「あっはっは。そんなに心配しなくても、ジャミルが作ったメシなら安心だ。ジャミルは絶対に俺に毒を盛ったりしない」
「ふ、なにを当たり前のこと言ってるんだ」
カリムの笑顔にジャミルが答え、不敵な笑みを浮かべる。カリムはジャミルに生命線を任せられるほどに深い信頼を抱いているようだ。 - 91125/01/05(日) 13:52:37
「食べ物も飲み物もじゃんじゃん持ってこい。音楽も、もっと盛り上がっていこうぜ!今日は宴だ!」
カリムの音頭で盛大な宴が始まった。
カリムはとにかく太っ腹というべきか、人に与えることが好きなのか、よく食べるグリムにとにかく食べ物を勧めまくっていた。その凄まじさは、羊乳の青かびチーズが乗ったクラッカーをしこたま口に詰め込まれたグリムが「もう食べられない……」と根を上げる程だ。
「グリムの口から『もう食べられない』なんて言葉を聞く日がくるなんて!」
「まぁオンボロ寮じゃ一生聞けねェわな」
財政がカツカツのオンボロ寮の食事ではグリムは腹八分も満たせないのか、しょっちゅう「お腹すいたんだゾ!」とごねているのをひそかに心苦しく思っていた出久は、謎の感動に包まれた。
*スカラビア飯の満腹度
出久 dice1d100=60 (60) (最低保証50)
爆豪 dice1d100=8 (8) (最低保証50)
グリム dice1d9999=5159 (5159)
- 92125/01/05(日) 13:57:29
食事が終盤に差し掛かった頃、カリムが更にデザートを勧めてきたが、グリムが泣きながら断った。
出久たちも十分食事は頂いたし、長居しすぎている気がしたので、そろそろお暇しようと辞退した。
「どれも美味いから食ってもらいたかったんだけどな。ま、オレたちはこの冬休みはずっと寮にいる予定だし、いつでもメシ食いに来いよ。な、ジャミル」
「ああ。いつでも」
*質問するのは dice1d2=2 (2)
1.出久
2.爆豪
- 93125/01/05(日) 14:24:51
(そういや、寮長命令で帰れねェとか何とか話してやがったな……)
二人のやり取りを聞き、勝己は厨房でのスカラビア生の呟きを思い出した。
「オイ。何でこの寮のヤツら全員、冬休みだってのに帰らねェんだよ」
「ん?ああ……。この間、寮対抗マジフト大会と期末テストがあっただろ?ウチの寮、どっちも順位が最下位になっちまってさ。それで、一念発起。寮生みんなで自主的に特訓しようぜってことになったんだ」
*二人の勘
出久 dice1d100=13 (13)
爆豪 dice1d100=61 (61)
- 94125/01/05(日) 14:33:59
「この冬休み……俺たちは毎日6時間、勉強したり魔法の実技訓練をして過ごそうと思ってる」
「そっか。それは有意義な冬休みの過ごし方だね!プルスウルトラだ」
「プル……?なんか分かんねぇけど、そういうことだ!あっはっは!」
国内最高峰、倍率300倍の競争を勝ち抜いた者だけが入れる雄英高校のヒーロー科といえば、常軌を逸したストイック人間の集まりである。その一員にして成績上位の出久も当然常軌を逸したストイック精神の持ち主なので、スカラビア寮生の特訓内容を自然に受け入れることができた。
「毎日6時間?それじゃあ、学園で授業がある時となにも変わらねぇんだゾ。『ホリデーってのは、休むもんだ。宿題なんか休みが明けてからやりゃいいんだよ』ってレオナは言ってたゾ」
「グリム!レオナ先輩の言うことを真に受けちゃダメだよ。本当に大魔法士になりたいなら、ちゃんと毎日コツコツ努力しないと」
「大体、あのライオン野郎はそれができる実力があるからそんなナメたことデケェ口で言えんだよ。テメェはその域に達して無ェだろうが」
出久は悪い先輩の影響を受けているグリムを諫めた。勝己としても、グリムの成績が自分の成績と連動しているので落第点を取られると火の粉が飛んでくるためド正論で矯正にかかった。
(しかし……、寮生全員で特訓……)
*爆豪 気になっていることを dice1d2=1 (1)
1.口に出す
2.口に出さない
- 95125/01/05(日) 15:07:18
「オイ、ターバン野郎。特訓はすんのは良いが、本当に全員承知してンのかよ。実家で家族が待ってたヤツも居るんじゃねぇンか」
強制的な寮生活が解除されたとき、A組のクラスメイト達が親が嬉しがって好きな食事を用意して待ってくれていたと話していたのをよく耳にした。出久も母のカツ丼を久しぶりに食べたと喜んでいたのを覚えている。勝己はまだ病院と行ったり来たりの時期だったので生活にあまり変化がなかったが、おそらく健康だったなら勝己の両親もそうしただろう。
子の帰省を心待ちにしていた親は多いだろうし、帰省を楽しみにしていた生徒も多いだろう。だからこその厨房でのボヤキだ。
「俺には寮生全員が心から承知してるようには見えねェぞ」
「うーん。言われてみれば確かにそうかもしれない。オレのとーちゃんも『人とのつながりは宝だから大事にしろ』って言ってたし、バクゴーの言う通り家族団らんも大切かもな」
勝己の言葉に、カリムが腕を組んで考え込む。
「よし!オレは決めたぜ、ジャミル。やっぱり休暇はちゃんと取るべきだ。寮生たちを明日実家に帰してやろう」
「えっ!?」
急に180度転換した方針を打ち出したカリムにジャミルが目を丸くする。
「このことは寮生たちには夕食の席で話すことにする。ジャミル、みんなに欠席しないよう伝えておいてくれ」
「あ、ああ……。わかった」
「……俺が言うのもなんだが、そんな急に方針転換して良いンかよ」
「まあ、学校で家族団らんはできないけど、特訓は実家でもできるわけだし……良いんじゃないかな」 - 96125/01/05(日) 15:45:28
食後、2人と1匹はカリムにスカラビア寮を案内してもらう流れになった。
一応一度は辞退したのだが、食い下がったカリムの好意を頑なに断るのも気が引けたのと、スカラビア寮所蔵の文献を借りる目的があってのことだ。
出久と勝己は冬休み前に図書館で見繕ってきた本を初日のうちに全て読破してしまっていたので、カリムの好意は渡りに船だった。極寒の中、満足な防寒着もない状態で麓の街の書店まで赴き立ち読みするのは迷惑な自殺行為だ。
「ほぁ~この寮、どこ見ても金ピカで豪華で……オンボロ寮とは大違いなんだゾ」
「そんなに驚くほどか?確かにオレが入学した時、とーちゃんが学園に少し寄付して寮を綺麗に改装させたって言ってたけど……」
会話の中で、カリムは『アジーム家』という富豪の跡取り息子なのだと語った。『アル』は熱砂の古い言葉で『息子』を意味するそうで、カリム・アルアジームという名は『アジームさんの子孫のカリム』という意味になるらしい。
アジーム家は召使が100人もいて、カリムは下の兄弟が30人から40人もいるらしいから驚きだ。何もかもスケールが大きすぎて、庶民の出久たちにはイメージするのも難しい。
「ジャミルのとーちゃんもかーちゃんもオレんちの召使いで、だから、ジャミルにも小さい頃からずっとオレの世話係をしてもらってる。ジャミルはスゲーヤツなんだ。頭もいいし、気も利くし、なにより料理が上手い!」
「憧れなんだね、ジャミルくんのこと」
「憧れ……とはちょっと違う気もするけど……そうだな!ジャミルはやればなんでもできるんだ!スゲーよな!」
ジャミルを褒められたカリムが自分のことのように笑顔だ。ジャミルのことを語るカリムはいつも眩しいほどの目を輝かせている。
*二人の勘(累積します)
出久 dice1d30=27 (27)
爆豪 dice1d30=1 (1)
- 97二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 15:55:04
このスレのオンボロ寮、極貧描写にこと欠かないのが笑うんだ
原作の監督生よりも寒くてひもじい思いしてそう
まあ「線が細い」って人に言われる原作監督生と、筋肉ゴリラ×2の幼馴染だとベースの食費が倍以上違いそうだけども - 98二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 16:03:24
2人の出目が両極端!でも解釈一致だ
- 99125/01/05(日) 16:05:37
「「…………!!??」」
「どひゃー!なんだここ!?ギラギラのお宝がいっぱいなんだゾ!」
カリムが3人を連れてきたのは、スカラビア寮にある物置だった。天井まで届くような金銀の山に、ビッグジュエルをあしらった宝飾品に、二人の素人目でも名だたる巨匠の作品だと分かるような芸術品など、目に入るものが富を主張しているような空間だった。もはや物置ではなく宝物庫だ。
庶民の二人は声もなく財宝の山を見上げることしかできなかった。
ちなみに、これらは全てカリムの父親の仕送りの品であるらしい。
「このお宝の山の中でもオレが一番気に入ってるのが…………アレ?どこいった?“アイツ”、たまに勝手に1人で移動するんだよな。おーい、どこいった~?」
*困惑度
出久 dice1d100=6 (6)
爆豪 dice1d100=29 (29)
- 100二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 16:11:45
あれ?あんまびっくりしてない?
- 101125/01/05(日) 16:21:42
「アイツ何に話しかけとンだ……?動く金ピカの犬でもおるんか?」
「魔法の世界だしそういうのもいるんじゃないかな。僕なんか麻痺してきたから、そういうのが出てきても驚かないかも」
万が一にも財宝に傷をつけられない、という心理が働くので、庶民の二人は宝物庫の中でカチコチ状態で静止してカリムを見守ることにした。
「ほぎゃ~~~!!!」
そのとき、二人の足元でコソコソしていたグリムが急に悲鳴を上げた。
「グリムどうしたの……、って、絨毯が動いてる!?」
「犬みてェに動いとンな……」
「ふなぁ~、ゴーストが取り憑いた呪いの絨毯なんだゾ!!」
「おっ、そこにいたのか。いつもの場所で丸まっててくれよ」
騒ぎを聞きつけたカリムが絨毯を発見してまるで友人を相手にするような気安い口調で話しかけると、絨毯がたスキップしそうな楽し気な様子でカリムに近づいた。
「へぇ~、魔法の世界の絨毯は動くんだね!」
「全部の絨毯が動くワケじゃないぜ。これは熱砂の国に伝わる伝説のお宝『魔法の絨毯』だ!」
「名前そのまんまじゃねェか」
「かつて砂漠の魔術師が仕えた王が愛した空飛ぶ絨毯。コイツはそのレプリカらしい。ウチに代々伝わる家宝なんだ」
カリムの言葉に同意するように、絨毯は愛嬌ある仕草でこくこくと頷くような動きをした。
「家宝を仕送りと一緒に寮に送っちゃうってすごい大胆だね……」ヒソヒソ
「アイツの親父イカれとるだろ。財布の紐ブチ切れすぎだわ」ヒソヒソ - 102125/01/05(日) 16:30:12
「空飛ぶ絨毯ってことは、箒みたいにその絨毯は空を飛べるってこと?」
「そう。話すより乗ってみたほうが早い。もうすぐ日暮れだし、夜空の散歩と洒落込もうぜ!さあ、お前たちも乗った乗った!」
「手すりとかないけど、落ちたりしないの?」
「大丈夫だって!」
出久の疑問を払拭するように、カリムが鮮やかな動きで絨毯の上に乗ってヒラヒラと低空飛行してみせた。
「オレを信じろ」
そう言ってカリムが手を差し出したので、出久は思わずその上に手を重ねてしまった。
すると、カリムが豪快に出久の腕を引っ張って絨毯に乗せ、間髪入れずに絨毯を器用に操縦してグリムと勝己も乗せてしまった。
「さあ行くぞ、それっ!」
カリムの合図で、絨毯が宝物庫を飛び出して上空へと飛び立った。 - 103125/01/05(日) 16:59:24
「う、うわーーーー!!本当に空を飛んでるんだゾ!高さで足が眩みそうだ!」
「かっちゃん、グリム!絶対に僕のこと離さないでよ!!」
「言われんでもわーっとるわ!!」
ヒラヒラと不安定な絨毯の上で慣れたようにバランスを取るカリムに出久が両腕でしがみつき、その後ろから勝己が左腕で出久にしがみついてバランスを取る。グリムは出久とカリムの間に挟まりこみ、尻尾を出久の腕に巻きつけて体を固定している。
「どうだ、雲の上は別世界だろ?」
絨毯の背中でバランスを取るのにも慣れた頃、カリムが振り向いて空を指さした。
下は壮大な雲の海。上はダイヤモンドように輝く星々。美しい世界が出久の視界に飛び込んできた。
「うん、すごく綺麗だ……。見せてくれてありがとう」
まだ出久が空を飛べた頃、飛びながら景色を楽しめる余裕なんてなかった。空は平和な場所ではなくて、見下ろす街並みは壊れた瓦礫の山。浮遊の力で空を飛ぶときの出久はいつも焦っていた。
こんな風に、純粋に空を楽しんで飛ぶなんて初めてのことだった。
「あははっ、気に入ったか?」
「まァ、悪かねーな。良い眺めなんじゃねーの」
勝己も、基本的に戦いの場に出動するとき以外は個性で飛ぶことはできなかったし、爆破の力で飛ぶのは繊細な姿勢制御と威力調整が必要になるから飛んでいる間は集中力を切らすことなどできない。
勝己にとっても、のんびり空を飛ぶのは初めての経験だった。 - 104二次元好きの匿名さん25/01/05(日) 21:53:53
よく空中いるよな、って思ったけどそうだね、のんびり飛ぶなんてなかったよね……
- 105二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 06:23:23
2人とも飛べる(た)なって思っていたらスレ主さんうまい感動した
- 106二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 17:31:52
- 107二次元好きの匿名さん25/01/06(月) 19:41:36
改めて言うまでもない事なんだけど、それを体育祭時点で出来てたのやっぱりかっちゃんって凄いんだな‥ってなる
- 108二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 02:37:47
周囲への影響もほぼ出してないから本気の神業
- 109二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 08:57:10
この絨毯のシーンが個人的に一番好きだったから見られて嬉しい
- 110二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 19:18:20
☆
- 111125/01/07(火) 22:41:59
「空を自由に飛び回るのって、いいよな。小さい悩みなんか全部どうでもよくなる」
ひんやりと心地の良い夜風を浴びながら、カリムがぽつりと呟いた。
「ジャミルにはいつも『お前は気にしなさすぎだ』って言われるけど、アイツも、もう少し気楽に生きればいいのにな……」
*二人の勘(累積します)
出久 dice1d20=20 (20) +27
爆豪 dice1d20=15 (15) +1
カリムの呟きに何か返す前に、グリムが周囲の景色に興味を示してはしゃぐ声が会話を遮った。「よし、見に行ってみよう」と絨毯を操縦するカリムは、いつもの底抜けに明るい調子に戻っていた。
*
「はぁ~~~!!本当に楽しかったんだゾ!」
「僕もすごい楽しかった!ありがとう、カリムくん!」
「喜んでもらえてよかった。なんだかんだ、あっという間に夕餉の時間だな」
「カリム!やっと戻ってきたな。夕食の前に確認しておきたいことがある。来てくれないか」
空の旅から4人が帰ると、ジャミルがカリムを迎えにきた。
「ああ、わかった。ミドリヤたちは先に談話室に行っててくれ。……って、お前たちは本が借りたいんだったか?スカラビアの書庫は談話室の近くだから、ついでに好きな本なんでも借りてっていいぜ!」
「貸出票にサインするのだけは忘れないでくれよ。棚卸のときに出てこないと困るんでね。あと、禁書は寮外に持ち出し禁止だから気を付けてくれ。……じゃあ行くぞ、カリム」
去っていくカリムとジャミルを見送り、出久と勝己はスカラビアの書庫を訪れた。さすがに本校舎の図書館には劣るが、十分な蔵書量がある。
「助かったね。これだけ本があれば、少しは帰る方法の手がかりが見つかるかな」
「今日は余計な時間食っちまったし、死ぬ気で後れを取り戻しコロす」
「ふなぁ~~。オマエら、冬休みだってのに真面目すぎるんだゾ」
*二人が借りた本
出久 dice1d20=17 (17) 冊
爆豪 dice1d20=1 (1) 冊
- 112二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 22:45:24
このレスは削除されています
- 113125/01/07(火) 22:56:19
出久は軽めの魔導書を17冊、勝己はアコーディオンのように分厚い魔導書を1冊借りて、スカラビア寮の談話室に合流した。
スカラビア寮生の話題は、特訓のキツさに関するものが多い。プルスウルトラな雄英のカリキュラムに慣れ切った二人には大した苦にはならないが、一般的にはそうではない。
「ここは冷たい隙間風が吹き込むオンボロ寮と違って、まさに楽園なんだゾ。カリムのいいヤツだし、オレ様ここの寮生になりてーなー♪」
「確かに、寒い思いをしなくて良いっていうのは大きいよね。オンボロ寮もこれくらい快適だといいんだけどなぁ」
「みんな揃ってるな?夕食の前に、寮長から寮生全員に話があるそうだ」
少しの間雑談をしていると、カリムを連れたジャミルが寮生に号令をかけた。
「あ、そっか。そういえばカリムのヤツ……居残り特訓はやめて明日からスカラビアも冬休みにするって言ってたんだゾ。寮生のヤツらは喜ぶだろうけど、オレ様は美味いメシが冬休みのあいだ食えなくなって残念なんだゾ」
「もう、グリムったら。そんなによそ様のうちでご飯ごちそうになったら迷惑になっちゃうからダメだよ」
「えぇ~~。カリムは『いつでもメシ食いに来てくれ』って言ってたんだゾ!」
「社交辞令だわ。ちったあ遠慮覚えろクソ狸」 - 114二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 23:24:33
アコーディオン????太くね???思わず自分の想像してんの合ってんのか確認しに行ったわ
- 115二次元好きの匿名さん25/01/07(火) 23:29:28
めちゃくちゃ分厚い辞書とか辞典は知ってるけどアコーディオン並の厚さはお目にかかったことないな
- 116二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 06:14:37
保守
- 117二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 12:16:14
夢の国作品だとアコーディオンみたいな本は結構見かける、ゲームだとよく足場になってる
- 118二次元好きの匿名さん25/01/08(水) 20:01:32
たぶんカリム君は社交辞令じゃなくてマジで言ってるよかっちゃん!
- 119二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 05:02:38
保守
- 120二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 12:41:56
カリムくんは本気でいつでももてなすつもりでいるだろうな……
- 121二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 22:04:05
てか話してたのは5章だった気がするけど、カリムくんもまあ色々あるとはいえ中々イカれてるところあるよな……
なんだよ自分が死んだら殺した人が反省した時取り返しがつかないから生きるって - 122125/01/09(木) 22:12:04
ツイステのストーリー見直してたのですが、オバブロ戦ってブロットの化身を消せばOKだったのをすっかり忘れてデクにレオナさんとアズール氏を腹パンさせちゃったことに気づきました
ごめんねレオナさんとアズール氏
4章のバトルの案も浮かびましたが、ジャミル氏もボコボコになりそうだけどジャンプ時空だから仕方ない☆てことで強行します - 123二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 22:17:19
家具作るためにカツアゲバトルしてる学校だし、ジャンプ時空と混じっても無問題よ
- 124125/01/09(木) 22:35:04
「…………この冬休み、オレたちスカラビアは自主的に寮に残り毎日6時間自習をすると決定したが……オレは気づいた」
寮生たちが見守る中、カリムが静かに言葉を紡ぐ。昼間の底抜けに明るいカリムの雰囲気とは打って変わって、どこか冷たい空気を纏っていた。
「それじゃ、全然生ぬるい!!1日たった6時間で、他寮にとった遅れが挽回できるはずがない。他寮の2倍、いや、5倍の努力をしなければ、成績最下位寮の汚名をそそげないと思え!明日からは毎日5時間の勉強と、4時間の実技訓練を全員の義務とする!」
カリムは淡々と、昼間の方針をまるきり覆す内容を告げた。その表情は険しく目じりが吊り上がっており、ニコニコ笑っていたカリムとはまるで別人のようだった。
「カリム。寮生を家に帰すと決めたんじゃ……!?」
「アイツ、さっきと言ってることが全然違うんだゾ!?」
ジャミルが困惑と動揺を隠しきれずに目を見開く。どよめく寮生たちを冷たく睨むカリムの赤い目が爛々と不気味に光っていた。
*アイデアロール(51以上で成功)
出久 dice1d100=65 (65)
爆豪 dice1d100=58 (58)
- 125125/01/09(木) 22:59:27
カリムは夕食後に防衛魔法の特訓をすると急に言い出して、スカラビアに来たからには強制参加だとオンボロ寮のメンバーにも特訓を強いたため、出久たちは満足に味わえもしないまま夕食をかきこむ羽目になった。
*防衛魔法の特訓
出久 dice1d1000=967 (967)
爆豪 dice1d1000=699 (699)
スカラビア生たち dice1d100=28 (28)
防衛魔法の特訓が終わると、カリムは「明日も徹底的にしごいてやるからそのつもりでいろ」と言い残して去っていった。振り回されたスカラビア生たちの間から悲鳴のような泣き言が上がる。
「ぜーはー……やっと終わった。アイツ、さっきまで超ニコニコしたいいヤツだったのに、急に人が変わっちまったんだゾ。どうしたんだ?」
「きっと、寮対抗マジフト大会や期末テストでスカラビアの成績がふるわなかったことに責任を感じているんだろう。アイツは最近、ひどく情緒不安定なんだ」
「情緒不安定ってレベルじゃねぇんだゾ。まるで別人んじゃねーか」
「俺もアイツとは長い付き合いだが、今のカリムとどう接したものかと困り果てている。言動がコロコロ変わったり、急に横暴になったり……とにかく手に負えない」
こうなる前は寮生全員が寮長であるカリムを慕っていたが、と付け足して、ジャミルは深いため息を吐いた。
「かっちゃん。もしかしたら僕の考えすぎかもしれないんだけど、もしかしてこれって……」
「俺も同じこと考えとる。誰かがターバンを『洗脳』してるんじゃねえかってんだろ」
「うん」
勝己の推察に出久は頷く。二人にとって、人の不可解な言動を誘発する力は身近なものだ。A組にもすっかり馴染んだ心操の姿が二人の脳内をよぎる。
彼の『洗脳』の個性は言葉の受け答えという予備動作が必要になるし、衝撃で解けてしまったり長時間は持続しなかったりといった弱点もあるのだが、魔法となればまた勝手が変わってくるだろう。
- 126125/01/09(木) 23:12:51
「ねえ、ジャミルくん。誰かがカリムくんを魔法で操ってるって可能性はないかな?」
「何……?」
「目的は分からないけど、そうだと考えれば腑に落ちると思って。僕たち魔法には詳しくないけど……『人を操る魔法』ってないのかな」
「確かにその類の魔法は存在するが、人間のような高度な自我が確立した生き物に催眠をかけるのは非常に難しい。少なくとも学生にはまず無理だ。先生方でもできるかどうか……」
ジャミルはマジカルペンを振って教科書を呼び出すと、とある頁の一節を出久に指し示した。確かに、催眠魔法は非常に高度な魔法であり、人間相手に使用できる魔法士はほんの一握りであるという記述がある。
「それなら、カリムくん自身の問題なのかな……?」
「正直俺も原因が分からなくてお手上げでね。このままじゃ寮生たちの不満が爆発するのは時間の問題だ」
ジャミルは今日何度目かも分からない深く長いため息を吐き出した。
*二人の方針(高いほどスカラビアの問題解決に協力的)
出久 dice1d100=26 (26) (最低保証30)
爆豪 dice1d80=49 (49)
- 127二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:28:27
おお、めずらしくかっちゃんのほうがやる気だ
- 128125/01/09(木) 23:28:45
「うーん、ハーツラビュルのトレイといい、副寮長ってヤツは苦労するんだゾ」
グリムの何気ない同情の言葉を聞き、ジャミルが「あっ」と天啓を得たような声を上げた。
「そうか……君たちこそ、“ダイヤの原石”なんだ!」
「ダ、ダイヤ……?」
「君たちはハーツラビュルやサバナクロー……さらにはオクタヴィネルの問題までを解決に導いた優秀な生徒だと噂で聞いてる。だから、頼む。どうか俺たちスカラビアの力にもなってくれないか」
「でも、僕たちにできることがあるかどうか……」
カリムの精神不安定の原因が本当にジャミルの見立て通りスカラビア寮の成績不振にあるのなら、出久と勝己にできることなどたかが知れている。
二人は表面的な知識以上に魔法を理解することはできないし、ましてや魔法の実技特訓に協力もすることもできない。できることといえば、応援するだとか悩みや相談を聞くことくらいだろうか。
「食堂でたまたま出会ったのも運命の巡り合わせだ。きっと君らはダイヤのように輝く解決策をもたらしてくれるに違いない!」
出久の手を握り、ジャミルが距離を詰めてくる。
「えっと……正直に言うと君の期待に応えられる自信はがあまりないけど……」
「……おい、イズク。他寮のトラブルに首を突っ込むのはやめとけよ!オレ様、もう面倒はこりごりなんだゾ」
グリムが出久の肩に飛び乗って耳打ちする。
カリムとスカラビアをなんとかしたいというジャミル期待にどう応えたものか、出久は迷った。
「………………」
勝己に視線をよこしてみたが、勝己は何を言うでもなく出久のことを静かに見ているだけだった。この頃の彼が時折見せる、出久に判断を委ねるときの表情だった。
「君は…………俺たちを救けてくれるよな?」
出久に顔を寄せ、ジャミルが囁いた。
*対抗ロール (どっちが勝っても出久は魔法にかかります)
出久 dice1d100=12 (12)
ジャミル dice1d100=10 (10)
- 129二次元好きの匿名さん25/01/09(木) 23:52:31
まあかっちゃんの49ってちょうど真ん中くらいか
- 130二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 06:05:56
ほ
- 131二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 15:11:04
数字が低空飛行
- 132二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 15:28:15
ほし
- 133二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 20:26:55
どっちにしろかかるならなんのための対抗ロール?
- 134125/01/10(金) 21:19:28
期待に満ちたまなざしで見つめてくるジャミルと目があった瞬間、出久は眩暈を起こしたように頭が重くなったように感じた。しかしそれは一瞬のことで、違和感はすぐに消えてなくなった。
(何を迷ってるんだ僕は。ジャミルくんが救けを求めてるのに)
ジャミルの目を見た瞬間に、霧が晴れていくように、出久の迷いが消えていった。
「僕たちにできることなら何でも力になるよ。任せて」
「ああ……!引き受けてくれるのか。嬉しいよ、ミドリヤ」
「ふな”っ!?オマエ、なに安請け合いしてるんだゾ!?」
「……ったくテメーはよォ~~」
勝己は呆れたように半目で出久を睨んだが、爆発的に怒るようなことはしなかった。グリムは本当に不服そうにちいさな額にぎゅっと皺を寄せているが。
「そうと決まれば、ぜひ3人とも賓客としてスカラビアに留まって欲しい」
ジャミルは寮生たちに指示を出すと、スカラビア寮の空室を整えて案内してくれた。一年生用の四人部屋らしく、ベッドの数は十分にある。綿がしっかりと詰まった布団は温かいし、スプリングがしっかり効いたマットレスは心地よく体を受け止めてくれる。不快な隙間風に煩わしい思いをすることもない。
何より、快適だがレオナと相部屋だったサバナクロー寮よりもプライバシーがあって落ち着ける。
久方ぶり、ツイステッドワンダーランドに迷い込んで以来初めての快適な寝床だった。 - 135125/01/10(金) 21:19:56
「何から何までもてなして貰っちゃってなんだか悪いなぁ」
「依頼料みてェなモンだろ。恐縮するほうがターバン野郎に悪ィ」
「オマエらはなんでそう厄介ごとに首を突っ込むんだゾ!スカラビアの問題なんだ。自分たちの問題は自分でカタつけろってんだ」
「ごめんね。でもやっぱり放って置けなくって」
「クソ寒ィ中わざわざ麓の街まで下りて本屋で立ち読みするより、ここの書庫漁らせてもらった方が効率良いしな」
勝己はさも自宅のソファであるかのようにスカラビアのベッドの上にふんぞり返り、さっそくアコーディオンのような魔導書を開いて読み始めた。暖炉の前以外は凍える寒さのオンボロ寮よりも捗るのだろう。夜のスカラビア寮はからりとした空気が心地よい気候だ。
涼しい夜風を頬に感じながら、出久も借りた魔導書を開いた。
「ったく。イズクはお人好しすぎるし、バクゴーはなんかみみっちいし……。とにかく、オレ様はもう面倒ごとに巻き込まれるのはまっぴらゴメンなんだゾ。今のうちにこっそり抜け出してオンボロ寮に戻ろうゼ!」
「ダメだよ。もうジャミルくんに約束しちゃったんだから」
「学園長の頼みごともあるんだゾ!ご褒美のオレ様のご馳走が!」
「明日の朝いちばんにジャミルくんに断って、ちゃんと薪をくべに行くつもりだから大丈夫だよ」
「やること無ェならとっととクソして寝ろや」
グリムの訴えを退けて魔導書を読み始めた二人に、グリムの額にますます皺がよる。
「もういいんだゾ!オレ様だけ先に帰っちゃうもんね~!」
「あっ、待ってグリム!」
「放っとけ。別に赤ん坊じゃねンだから」
ムムム、と額に皺を溜め込んだグリムは、スカラビアの部屋を飛び出して行ってしまった。 - 136125/01/10(金) 21:21:38
- 137二次元好きの匿名さん25/01/10(金) 23:29:24
ちゃんとした寝床がある...!(感動)
こうも違和感なく監禁回避できるとは
それでも結局グリムは脱走を試みるのね... - 138二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 08:42:15
僅差だったな
- 139二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 17:47:44
この僅差でも違和感はあるんだな……凄いよ……
- 140二次元好きの匿名さん25/01/11(土) 22:40:30
このレスは削除されています
- 141二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 06:28:40
数字が低空飛行なのはお互い油断してたとかかな
とくに出久はお人好しっぽさが出てるし簡単にユニ魔がかかると思ってたんだろう - 142二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 16:21:23
種類違うけど洗脳経験済みかつ外部?内部?干渉ありとはいえ破った子なんですよ、そのお人好しっぽい子
- 143125/01/12(日) 17:10:15
「……なんか部屋の外騒がしくない?グリムがなにかトラブル起こしちゃったのかな」
グリムが部屋を飛び出してから暫くすると、廊下から人の騒ぐ声とバタバタという物音が響いてきた。
「さっさと部屋に入れ!手こずらせやがって」
「いででで!首根っこ掴んで引きずるんじゃねぇんだゾ!」
かと思うと、出久たちが借りている部屋のドアが空いて、グリムが中に放り投げられてきた。随分と手荒な扱いを受けたらしいグリムに出久が駆け寄る。
「グリム、大丈夫!?」
「クッソ~~~、覚えとけよ!」
頭に血が上っているらしいグリムが再び外に出ようとしたが、鍵をかけられたドアノブがガチャガチャと鳴るだけだった。
「嘘……今、外から鍵をかけられた!?ドアが……開かない!」
「イズク!オレ様たち閉じ込められてるんだゾ!スカラビアの奴らが誰も寮を出られないように見張ってる!これじゃ帰りたくても帰れないんだゾ~~!!そうだ、バクゴーが爆発させたらドアが壊れて出られるんじゃねぇか?なあバクゴー、一発頼むんだゾ!」
「こんなせまっ苦しい部屋で爆破使うワケねぇだろ。損害賠償沙汰になんのもウゼェし。……チッ、マジで閉まっとンな」
内鍵と外鍵は別物であるようで、勝己がドアの鍵を弄ってみても開く気配がない。素敵なリゾートだと思っていたスカラビアの部屋が、一瞬で牢獄に様変わりした。例え閉じ込められていても今は快適だが、今後は分からない。
「……明日になったらジャミルくんにどういうつもりなのか聞いてみよう」
「この学園まともな寮無いンか?」
「あっ、そうだ。イズク、学園長にすまほ?って便利なアイテムをもらったんだろ?それでアイツにスカラビアのことチクッてやるんだゾ!」
*行動ロール dice1d2=1 (1)
1.学園長に連絡する
2.学園寮に連絡しない
- 144二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 17:37:16
このレスは削除されています
- 145125/01/12(日) 17:40:27
「うん。他のスカラビアの人たちもこんな風に閉じ込められてるならちょっと異常だ。学園長に報告しておいた方が良いよね」
出久は電話帳に登録されている学園長の連絡先にコールしてみた。RRRRRRR……ガチャ。
『はい、クロウリーです』
「もしもし学園長、オンボロ寮の緑谷出久です。今スカラビア寮に宿泊しているんですが、実はそこで――」
『現在南の島でバカンス中……ゴホンッ!重要任務中につき、スマホの電源を切っております。ご用の方はピーッという音のあとにメッセージを。気が向いたら折り返します。私、優しいので』
ピッ。留守電録音開始の電子音が虚しく部屋に響く。
「ざッッけんなやゴラァアアア!!!緊急連絡先っつって生徒に渡したスマホの電源切ってンじゃねェエエ!!!」
「アイツ、今バカンスって言ったんだゾ!?こういう時に連絡がとれないんじゃ意味ねーじゃねぇか!!」
「えぇ……。学園長って……」
緊急用の連絡手段として学園長にもたされたスマホだが、全く本来の役目を果たさなさそうということが判明して3人は怒りと呆れが湧いてきた。
「チクショー!本当にいい加減なヤツなんだゾ!とりあえず、エースとデュースにでも連絡しとくんだゾ。なんの役にも立たなさそうだけど……」
「あの二人に?こんな夜に連絡したら迷惑じゃないかなぁ」
「別に夜中って時間でもねぇし、ハート野郎なら十中八九起きてンだろ。あいつにメッセージ送ってやれよ。クソみてェな冗談言われたお返し」
「そんなの言われたっけ?」
「お前がアイツに連絡送るつったときの『出た。ミドリヤのマジレス。冗談だっつーの』ってやつ」
「一字一句覚えてるのかよ」
こういうところ本当にみみっちいな……と呆れる出久をよそに、勝己は出久の手からスマホを抜き取ると何やらメッセージを打ち込んで送信したようだ。
「ま、これで良いだろ。寝んぞ」
「かっちゃん、あの分厚い本もう読み終わったの!?」
「目次読んで目ェ通す必要があるところにアタリつけときゃこんなもんだろ。テメェまだあの薄い本読み終わってねーのかよ」
「むっ。言っておくけど、僕だってもう読み終わってるんだからね」
「うげ~。オマエら本読むの早すぎて気持ち悪いんだゾ……」
何はともあれ明日に備えて今日はよく寝た方が良さそうなので、消灯すると2人と1匹は快適なベッドで眠りについたのだった。 - 146125/01/12(日) 17:51:58
快適な寝床につきながらもそこはかとない不安に駆られたその夜、出久はまた夢を見た。
きらびやかな応急で、国王と右大臣が揉めている。右大臣の男は、先日の夢でみた黒いターバンの男と同じ顔だった。
――姫との結婚相手は王子でなければならない決まりだ。
――この際、非常手段もやむを得ません。姫は私を結婚するのです。
――姫はお前と……。
国王は反対しようとしたが、右大臣が蛇の形をした杖を目の前にかざすと、コロリと意見を変えて姫と右大臣の結婚に賛成してしまう。
そのとき、壮大な音楽が王宮の外から響いてきた。
――アリ王子に道を開けよ。アリ王子のお通りだ。
75頭の金のラクダ。美しい紫のクジャク。美しい踊り子たち。そして、パレードの列を自由に飛び回りながら高らかに歌う男。
――恋する王子、アリ・アバブワのおめみえだ!
ひと際目を惹く巨躯のゾウの上で、白いターバンを身に着けた王子が王宮の姫に笑顔を向けた。 - 147125/01/12(日) 18:01:45
デクは夢を見る度にかっちゃんに内容をちゃんと共有してますが、その描写はこの先カットしますね!
大半のレスで行数制限との戦いをしているので…… - 148125/01/12(日) 18:24:01
「お前たち、いつまで寝ている気だ!起きろ!」
「とーーっくに起きてンだよこっちは!!テメェらが鍵かけやがったら出られなかったんだよバァカ!!!」
明朝、耳をつんざくような勝己のキレ声で出久は目を覚ました。重たいまぶたを開けると、ドアの前で勝己とスカラビア寮生が何やら言い争いをしていた。
「ふぁ……朝から元気だね、かっちゃん……。えっと、どういう状況?」
「ふがっ!?……って、まだ朝の6時なんだゾ」
「これより、東のオアシスに向けて10キロの行進を行う!」
「これより……ってことは、朝食前に行くの!?」
「トレーニング前にエネルギー体に入れンのが鉄則だろうが!パフォーマンス落ちるし、低血糖にでもなるヤツでも出たらどうするつもりだ、アァ!!?」
「……君の場合はもっと気にするところありそうだけどね」
朝一で足場の悪い砂漠を10キロも行進するとなると、それなりに負荷のかかる内容だ。体調に不調をきたす者も出かねない。出久視点では勝己がその筆頭だ。
「っていうか、僕たち暖炉に薪をくべに行かないと」
「つべこべ言うな。お前たちも参加せよと寮長が仰せだ!来い!」
「フギャ~!ヤダヤダ~~離すんだゾ~~!」
「グリム!乱暴はやめてください!……とりあえず、カリムくんかジャミルくんに話をしてみるから、ここは言うことを聞こう」
「うぅ~~、わかったんだゾ……」
「ダメだ、許可しない」
「そんな!カリムくん、僕たち学園長の指示で」
「お前たちは今スカラビア預かりの身だ。それならスカラビア寮長であるオレに従ってもらう」
行進の集合場所にいたカリムに薪をくべにいくために一度スカラビア寮を出ると告げたところ、にべもなく却下された。カリムの目は昨晩と同じく赤々と不気味に光っており、表情は冷たく、魔法の絨毯に乗せてくれたときの笑顔は見る影もなかった。
「……悪い、俺じゃもうカリムを止められない。だからどうか頼むよ、ダイヤの原石」
呆然とする出久のもとにジャミルがやってきて、申し訳なさそうに耳打ちをした。
*二人の勘(累積します)
出久 dice1d20=3 (3) +27
爆豪 dice1d20=15 (15) +1
- 149125/01/12(日) 18:32:39
- 150二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 18:45:51
さすかっちゃん これはムシュー・タフネスだわ
- 151二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 19:22:30
- 152二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 19:32:24
まあ蘇生直後に飛び出していってラスボス殴りに行ったときに比べたら……(なんで生きてるんですか????)
- 153二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 20:02:02
やっぱりかっちゃんってすごいんだなぁ‥‥‥
- 154二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 20:19:11
大爆殺神ってタフネスを司る神様なん?
何処かにお社とか建てて祀った方がいいな??? - 155二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 22:43:36
そのうち銅像出来るから、それ祀ればいいんだよ
- 156125/01/12(日) 23:29:15
日よけの傘を渡されて、あれよあれよと2人と1匹も砂漠の行進に参加することになった。
尋常でない運動量に慣れている出久と勝己には大した苦ではなかったが、もふもふの冬毛を蓄えているグリムはかなり辛そうだ。周囲のスカラビア生たちは滝のような汗を流している。
「――全体、止まれ!」
「これより15分の休憩をとる」
東のオアシスに辿り着き、カリムとジャミルが号令を飛ばす。オアシス、とは言うが、そこはただ砂が大きく窪んでいるだけだった。水が完全に干上がっている。
(そういえば、今の行進の光景、夢で見たのと似てるような……)
*出久 夢への違和感 dice1d10=10 (10) +55
「オイ、ぼーっとしてるけど大丈夫なんかテメェ」
「あ、うん。大丈夫だよ」
「本当かよ、脱水じゃねーの。……チッ、オアシスっつーから水があるもんだと思ってたが……」
「みず……水……、水がほしいのか?」
勝己のボヤキを拾ったのか、カリムがどこかうわ言のような口調で呟いた。
「たりめーだろうが!どんだけ鍛えたヤツでも脱水起こしたらぶっ倒れンだろーがよ!!」
「なら、オレがよく冷えた美味い水を飲ませてやるよ!」
そう言って笑顔を浮かべたカリムは、マジカルペンを取り出して空に向かって魔法を詠唱した。
「『枯れない恵み(オアシス・メイカー)』!」
ザァ、とオアシスに小規模な雨が降る。雨粒が太陽の光を反射し、小さな虹がかかった。
「うわ~~!恵みの雨なんだゾ~~!!」
「わぁ、この水すごく美味しい!汗かいた体に染みるなぁ」
「そうか、美味いか!水だけでいいなら、乾いたオアシスをたっぷり満たすくらい出してやれるぜ」
カリムのユニーク魔法『枯れない恵み』は、少しの魔力で美味しい水をたくさん作り出すことができる魔法であるらしい。
「なんか、ユニーク魔法にしてはめっちゃ地味なんだゾ。水が出せる魔法士は他にもたくさんいるし……」
「いや、すごい魔法だよ!水って生活になくてはならないものだし、災害なんかで断水してる地域で使えばたくさんの人を助けられる、とても優しくってすごい魔法だ!!待てよ、美味しく飲める水ってことは衛生的にも優れてブツブツ」
「あっはっは!早口すぎて何言ってるかよくわかんねーけど、俺のユニーク魔法をそんなに褒めてくれたのはミドリヤが初めてだ。ありがとな!」
- 157二次元好きの匿名さん25/01/12(日) 23:31:24
水を出すのって洸汰くんと似てるね
- 158二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 07:49:37
カリムのユニ魔って美味しいっていうくらいなんだから浄水と同等の物なんだろうけど、洸汰くんの水って飲用としてはどうなんだろう
飲めればやりようによってはヒロアカ個性版のオアシスメイカーができそうね - 159二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 18:16:10
洸汰くんって一度にどれくらいの水を出せるんだろうな
- 160二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 20:36:50
飲水として便利だし、攻撃として転じるなら洪水、冠水も出来るね
会得者がカリムで本当に良かったね - 161二次元好きの匿名さん25/01/13(月) 23:19:56
マジでオアシスは物量で押し切る戦法使えるからね
水発生させる座標とか自由に設定できるなら体内で水大量発生させて破裂させたりもできるだろうし
ユニ魔の中でも特に汎用性高い部類なんだよな - 162二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 06:12:22
ほ
- 163二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 16:44:18
A組B組にはこの手の水責め系個性っていないよな
轟君が氷出したあと炎で溶かしたら単純な洪水くらいはできそうだけどコスパ悪そう - 164二次元好きの匿名さん25/01/14(火) 22:19:12
このレスは削除されています
- 165二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 06:05:54
保守
- 166125/01/15(水) 09:27:57
水を振舞ってニコニコ笑っているカリムは朗らかな様子に戻っており、昨晩からの暴君然とした雰囲気は感じられない。
*二人の勘(累積します)
出久 dice1d10=3 (3) +30
爆豪 dice1d10=7 (7) +16
オアシスで美味しい水を飲みながらの休憩時間は和気藹々とした雰囲気で、気力が回復した復路のスカラビア生たちは往路よりも生き生きとして見えた。
*
「朝から良い運動になったね!」
「オレ様は朝なのにもうヘトヘトなんだゾ。帰りは日が昇って砂が熱くなってきたから肉球が熱くて死ぬかとおもったんだゾ。はぁ~スカラビアの石の床が冷たくてきもちいい~」
「次の行進のときは靴下みたいなのをもらった方がいいかもね。ジャミルくんにお願いしてみよっか」
往復計20キロの行進を終えて、スカラビアは朝食の準備に取り掛かっている。カリムはジャミルに「お前はここで待ってろ」と言い含められ、談話室でのんびり朝食が運ばれてくるのを待っていた。
*朝食の前 行動ロール dice1d2=1 (1)
1.カリムに悩みがないか聞いてみる
2.大食堂の暖炉に行って来てもいいか聞く
- 167二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 18:44:39
ほ
- 168二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 21:44:31
し
- 169125/01/15(水) 22:21:12
「カリムくん、朝からおつかれさま」
「おっ!ミドリヤおつかれ!オレになにか用か?」
「ちょっとね。特訓のことで聞きたいことがあって」
「特訓のこと?」
「うん。スカラビア寮の成績を上げたいって君の考えは素晴らしいと思うんだけど、寮生のモチベーションが追い付いていないような気がして。昨日も急に方針転換してたし、なにか悩みでもあるのかなって」
カリムの豹変の原因究明にあたり、出久はとりあえず遠回しにカリムのストレス源を探るところから始めた。悩みはないか、と聞いてみたところ、カリムは腕を組んで首を傾げてムムム……と難しそうな顔をした。
「う~ん、悩みかぁ。やっぱり、スカラビア寮の成績がマジフト大会も試験も最下位だったこと、かなぁ。オレが不甲斐ないせいで寮の評判が落ちたら寮の奴らも困る……んじゃないかなぁって」
カリムは妙に煮え切らない態度で回答をひねり出した。
「それで急な方針転換をしたの?ジャミルくん、昨日のカリムくんの話を聞いて、すごく驚いてた顔してたよ。他の寮生も困惑してたように見えた」
「あー……。アイツには悪いことしちまったかなあ。アイツ、どんな頼みでもパッとこなしちまうから、つい甘えちまってさ。寮生も……オレ、空回ってるのかな」
「……僕の経験談だけど、悩んでるときは一人で抱え込まないで、周りの人に相談した方が良いよ。ジャミルくんはきっと親身になって聞いてくれると思うし、僕たちも、魔法の指導とかはできないけどいつでも力になるよ。一人で考えてると、途中でおかしくなっても誰も指摘してくれないからさ」
出久もいつか一人で悩みを抱え込んで、闇雲にもがいていた時期があった。A組の皆に連れ戻されて体を洗われたとき、自分から悪臭のする真っ黒な水が流れていき、柔軟剤の香りがするTシャツを着せてもらったとき、どれ程自分が自分の姿を客観視できていなかったのかを悟った。
「そうか……そうだよな。ジャミルにちゃんと相談しよう。特訓のメニューも誰にも相談せずに決めちまったし。昨日も今日もアイツらしんどそうだったもんな」
「うん、それが良いよ!」
「よし!朝食の後、休憩時間を作ってジャミルに相談してみるよ!ありがとうな、ミドリヤ!」
話が終わったタイミングで、丁度食事が運ばれてきた。昨日に引き続き、ジャミルが寮生と作った料理はスパイスの香ばしい香りがしてとても美味しそうだった。 - 170125/01/15(水) 22:43:40
「はぐはぐ!もぐもぐ!くっ……こんな囚人生活からは一国も早く逃げ出したいのに、悔しいことにメシだけはメチャクチャ美味いんだゾ!」
「テメー大魔法士になりてぇならあんくらいでへばってンじゃねェわ」
そもそも大魔法士が何なのか出久と勝己はイマイチ分かっていないが、なんとなく雰囲気で二人にとってのトップヒーローに匹敵する存在なのだろうと思っている。
「オマエらは全然疲れてなくて逆に怖えーんだゾ」
「まあ慣れてるからね」
「こんなんクソ余裕だわ」
毎日5時間の勉強と、4時間の実技訓練。雄英生である二人は当たり前にこなせる内容だ。実技訓練の時間は日課のトレーニング代わりに充てればいいし、大学勉強を考えている出久はどのみち習慣的に勉強しなければならない。魔法科目以外の基礎科目の教科書を使えば受験勉強の足しにすることができる。
「まあ、スカラビアの人たちは慣れてないみたいだから辛そうだけど……」
「あんだけ朝令暮改に付き合わされりゃ不満も出ンだろ」
「このままハーツラビュルの二の舞になることは避けたいね。朝食後にジャミルくんに相談してみるって言ってたし、それで事態が好転すると良いんだけど」
会話しながらピリッと辛い味付けの熱砂の国の料理を口に運ぶ。疲れた体にスパイスが染みていくようだ。
相変わらず良い食べっぷりのグリムのもとに途中からカリムがやってきて、昨日と同じく無限に料理を勧め始め、「もう食えないんだゾ~」というセリフを聞くことになった。 - 171125/01/15(水) 22:54:56
「今日は昨日食えなかったアイスクリームをデザートに用意してあるぞ。たくさん種類を並べて、でかいスプーンで好きなだけザクザクすくって食べるのがカリム流だ。グリムもやってみろよ」
「スプーンでザクザク?」
「そうそう。いくら腹一杯でも、デザートは別腹だろ?今持ってきてやるから待ってろよ」
「!カリム、待て。俺が用意してくるから、お前は座ってろ」
グリム相手にどこか兄貴風のようなものを吹かせてカリムが立ち上がる。それに気づいたジャミルが目ざとく駆け寄ってきた。
「いいって。アイスの用意なんか、冷凍庫から出してくるだけだろ?」
「馬鹿、主人に給仕させる従者がどこにいるんだ。お前はもう少しアジーム家の後継としての自覚を持ってくれ。お前にそんなことをさせたと知れたら、俺が父さんたちに怒られる」
「ジャミルは本当に真面目だなあ。いいじゃないか、今は同じ学園の学生同士だろ?」
「……はぁ。それじゃあ、俺が皿に盛り付けるから運ぶのを手伝ってくれるか?」
「よし!今用意してくるから少し待ってろよ!」
ジャミルに手伝いの許可を得ると、カリムは嬉しそうにジャミルとともに厨房へと向かって行った。
このまま朝食が終われば、カリムはジャミルと話をして今の状態が改善に向かうだろう。それに、出久たちは大食堂の暖炉に行かなければならない。
そんなことを考えられていたのは束の間。
再び朝食の場に戻ってきたカリムの手にアイスクリームはなく、赤々と不気味に目を光らせていた。
*二人の勘
出久 dice1d10=1 (1) +50
爆豪 dice1d10=1 (1) +31
( >>166 の数値ミスってました)
- 172二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:22:34
二人そろって最低値……!!
- 173二次元好きの匿名さん25/01/15(水) 23:43:12
このレスは削除されています
- 174125/01/15(水) 23:45:16
↑ダイス振っちゃいましたがやばい誤字みつけたので再送します
- 175125/01/15(水) 23:45:27
「いつまでメシを食ってるつもりだ!王様にでもなったつもりか!?今すぐ食器を片付けろ!すぐに午後の特訓を始める!」
カリムの号令で寮生たちは慌てて朝食の残りをかきこむ羽目になった。
出久は今日の薪を暖炉にくべていないことを思い出し再びカリムに外出の許可を求めたがやはり却下され、ほかのスカラビア寮生たちと一緒に防衛魔法の特訓に駆り出された。満足な小休止の時間もない過酷な特訓内容は、この生活で唯一の癒しである食事を吐き戻してしまう者も現れるほどだった。
*
「……どうしよう、結局夜になるまで特訓抜け出せなかったね。本は新しいのを借りられたけど……」
「チッ。アイツら、互いに監視し合っててマジでウゼェ」
暴君状態のカリムに折檻を受けた者がいるようでスカラビア寮生たちは怯えており、互いが逃げ出さないように相互監視状態に陥っていた。息が詰まる雰囲気はまるで本当の牢獄のようだった。
出久と勝己は本気を出せば監視係のスカラビア寮生を気絶させて抜け出すこと自体は造作もないのだが、敵相手でもないのに暴力を振るうのはヒーロー的に完全NGである。
「学園長はアテになんねーし、もうオレ様たちだけでなんとかするっきゃねぇ。そこで、頭脳明晰なオレ様が完璧な脱獄計画を考えたんだゾ。見ろ、これを!」
「脱獄計画って……スプーン?」
「テメェまさかこれで床でも掘る気か?正気かよ」
「うっせえ!バクゴーがドアを爆破してくれればこんなことする必要なかったんだゾ!」
*行動ロール dice1d3=3 (3)
1.出久がグリムを止める。
2.出久がグリムに付き合う。
3.爆豪が本気を出す。
- 176125/01/16(木) 00:05:55
「スプーンでチマチマ穴掘る計画のどこが頭脳明晰だァ?大体ここの床タイル張りだろうが、何年かける気だよ」
「ふな”~!文句言うんならオマエがなんとかするんだゾ!」
「ハッ。こんなん外鍵開けりゃ一発だろ。頭使えや」
「えっ、かっちゃん何する気?まさか鍵盗ってきたとかじゃないよね!?」
「違ェわ!人聞きの悪ィこと言ってんじゃねぇ!!床に落ちてたコイツを使うんだよ」
勝己はドアの前までのしのしと移動すると、ポケットからヘアピンやクリップを取り出した。ナイトレイブンカレッジには美意識の高く髪形を整えるためにヘアピンを挿している生徒が多いし、クリップは勉強時間に誰かが落としたものだろう。どちらも使い捨て品なので床に落ちてしまえば実質ゴミだ。窃盗と咎められるようなものでもない。
「この鍵、みたところ魔法なんかの小細工は使ってねえ普通のディスクシリンダーみてぇだから、ヘアピンを折り曲げてこうやって……」
先を鉤状に折り曲げたピンとクリップを鍵穴に差し込むと、勝己が無言でカチャカチャと弄り始めた。どうやら出久の幼馴染はピッキングの才能もあるらしい。
「……君って本当にやればなんでもできるんだね。ちょっと怖くなってきたよ」
「ちょっと黙ってろ。中の細工の状態を音で確認してンだよこっちは」
*かっちゃんの鍵開け dice1d180=92 (92) 分
*対抗ロール(見つかったかどうか)
オンボロ寮のメンメン dice1d100=66 (66)
スカラビアの見張り dice1d100=47 (47)
*(↑見つかった場合)おいかけっこロール
出久 dice1d1000=724 (724)
勝己 dice1d1000=96 (96)
グリム dice1d1000=241 (241)
スカラビア生 dice1d100=17 (17)
- 177二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 02:35:29
左手でやってんだよね……? 器用すぎる……
- 178二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 07:24:48
両手使えてたらかかった時間は半分以下だったんだろうな
- 179二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 17:54:11
ほ
- 180二次元好きの匿名さん25/01/16(木) 22:16:34
このレスは削除されています
- 181二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 06:07:28
原作のこの辺、どう考えても普通に床なのにスプーン一本で掘り進められたグリム化け物過ぎるんだよな
いや本物のモンスターなんだけど - 182二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 09:51:40
- 183二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 09:55:18
利き腕でない+本来おねむの夜時間+おそらく早く出たいと主張するグリムのそばでやっていてこの時間……さすが才能マンですわ
- 184二次元好きの匿名さん25/01/17(金) 19:42:17
対抗ロールは見つかっちゃった判定?
追いかけっこダイスを見るにかっちゃん出久に担がれてそう - 185125/01/17(金) 22:31:06
書き方分かりにくくて申し訳なかったですが、オンボロ寮の方が数値高いので見つかってないです!
- 186125/01/17(金) 22:51:06
ヒーローはときに隠密行動を取るからして、雄英では実戦授業で隠密の訓練等も行う。二人ともステルススーツを着て活動した経験もある。素人の目をかいくぐっての移動はさほど難しいことではなかった。
グリムはもとより体が小さい上に、手足に肉球があるためほとんど足音がしない。
ひっそりと、二人と一匹はスカラビア寮生たちの監視をすり抜けて、大食堂の暖炉へと向かった。
*
「……って、なんでスカラビア寮に戻ってきたんだゾ!!?折角監獄から出られたのに!」
二人のスカラビア脱出の目的は大食堂の暖炉に薪をくべることだったので、それさえ済めばスカラビアに戻ることにさほど抵抗はない。
グリムが激しく抵抗している訓練の内容は二人にとってはやや温い強度で、住環境はオンボロ寮とは比べるべくもなく素晴らしい。
「ジャミルくんとの約束があるから、勝手に帰ったりできないよ。それに、ありがたいことにここでは本も借りられるからさ」
「グチグチ言うんじゃねぇよ。文句があンならテメェ一人で戻れば良かったじゃねぇか」
「ムム……だって、オレ様……」
グリムがぎゅっと小さな手を握る。その姿は寂しがる子どものように見えた。
*出久 行動ロール dice1d3=1 (1)
1.グリムの背中をさする。
2.グリムの手を握る。
3.グリムを抱っこする。
「グリム……!」
「オレ様……あのお喋りなゴーストたちの中で一人なんて絶対嫌なんだゾ。アイツらオレ様のこと赤ん坊か何かだと思ってて鬱陶しいからな。オマエらもうっせえけどアイツらよりまだマシなんだゾ」
「グリム……」
「つまみ出されてェかクソ狸」
- 187125/01/17(金) 23:41:56
スカラビア滞在三日目も、オアシスへの行進から始まった。
砂漠気候のスカラビア内で照りつける日差しは厳しく、ゴール地点にあるオアシスは昨日カリムがたっぷり水で満たしたはずだったが、たったの一日で干上がって砂の窪みに戻ってしまっていた。
「ぜぇ、はぁ、喉がカラカラなんだゾ。カリム、水を出してくれぇ~」
「このオレに水を出せ、だと?お前、誰に向かって口を利いている!」
「ヒェッ!?」
昨日のように美味しい水をもらおうとグリムがカリムに甘えようとしたが、カリムは冷たい表情でグリムを怒鳴り飛ばした。
「俺はお前らの水道じゃない。水が欲しいものは、オアシスから汲んでくるがいい」
カリムが顎で指した先は干上がったオアシス。水の一滴も汲めるはずもない。
スカラビア寮生の間にどよめく空気が広がった。
*口をはさむのは dice1d2=1 (1)
1.出久
2.爆豪
- 188二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 08:31:30
保守
- 189二次元好きの匿名さん25/01/18(土) 18:33:54
ほ
- 190二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 00:57:03
⭐︎
- 191二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 08:27:15
デクがこの状況で口を出さないわけない
- 192二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 18:34:59
ほしゅ
- 193125/01/19(日) 19:28:36
「カリムくん、何を言っているんだ!」
あんまりなことを言うカリムに、出久は思わず声を荒げた。
「昨日は迷いなく僕たちに水を振舞ってくれたじゃないか。それなのに一体どうして……」
「…………」
オアシスの周りに淀んで不穏な空気が満ちている。スカラビア寮生からカリムに対する不信や不満が渦巻いているのだ。
連日の厳しい特訓のストレスに加え、今は誰も彼も喉が渇いていた。飢えや渇きは容易く人の心の余裕を奪う。
このままではハーツラビュルの二の舞だ。
「寮生の顔を見てよ、カリムくん!これじゃ特訓どころか、誰かが倒れるぞ!君だってそんなこと望んでないはずだ!」
*対抗ロール
出久 dice1d100=61 (61)
カリム dice1d100=31 (31)
- 194125/01/19(日) 19:42:56
不信や不満からくる恨みに満ちた睨む顔。脱水を起こしかけた苦しそうな顔。ただ現状に諦めてしまった虚ろな顔。
取り巻く状況は、カリムが大好きな楽しい宴とは程遠い。
「オレは……違う。オレは一体……」
「カリムくん!大丈夫!?」
カリムが頭痛に耐えるように頭を押さえたあと、脚が折れてその場に倒れ込むのを出久は受け止めた。覗き込んだカリムの目はぼんやりとしている。
「カリム。お前も砂漠の熱にやられたんだろう。今ユニーク魔法を使うのはやめておけ」
「ジャミル……。でも、それじゃ水が」
「大丈夫だ。こんなこともあろうかと、ラクダに水を積んできてある。お前たち、荷物を降ろして水を分け合え。ミドリヤありがとう、カリムは俺が預かるよ」
ジャミルが流れるような動きで出久の腕の中からカリムを抱き起し、自身の腕の中に抱え直した。
ジャミルが持ってきた水をスカラビア寮生たちがありがたがって受け取る。
「ジャミル先輩が寮長だったら良かったのに」と最初に呟いたのは誰だったか。情緒不安定なカリムよりも、気が回って用意周到なジャミルが寮長ならば、と潜めた声が、水を受け取りにきた出久たちの耳にも入ってきた。
「なんだか嫌な感じだ」ヒソヒソ
「ハレーション起こすのも時間の問題だ。早くターバンを戻さねえとトラブルは避けられねぇな」ヒソヒソ
*二人の勘
出久 dice1d10=9 (9) +51
爆豪 dice1d10=1 (1) +32
- 195125/01/19(日) 20:34:47
「ジャミル先輩。俺、俺、やっぱりもうこんな寮にはいたくない」
「ジャミル先輩はなぜあんなカリム寮長に従うんですか!?」
ジャミルがカリムをオアシスの木陰で休ませて戻ってくると、スカラビア寮生が彼に詰め寄った。誰もがカリムの気まぐれに振り回されることに疲れ果てていた。
「それは……アイツが『カリム・アルアジーム』だからだ」
「ジャミルくんの家族が、カリムくんの家の召使だからってこと?」
宝物庫でカリムからアジーム家の話を聞いた際に、ジャミルの家族の話も聞いた。大富豪と召使、そしてその子ども達の関係など出久には想像できないが、生活を巡るお金の問題がついて回る以上しがらみは避けられないだろうということくらいは察しがつく。
「……それも理由のひとつではある」
ジャミルは腕を組んでフードの陰になっている目を難しそうに細め、自身を取り囲む寮生たちを見渡した。
「……今日の夜、少し話をしよう。カリムには気づかれないように俺が手を打っておく。ミドリヤたちも、時間をくれないか」
「寮生集合!休憩時間は終わりだ!さあ、さっさと隊列を組め!」
木陰から立ち上がったカリムが号令を張り上げる。やはり、もとの大らかなカリムには戻っていないようだった。
誰も何も言葉を発さない、帰りの行進は異様な雰囲気だった。
*二人の勘
出久 dice1d10=5 (5) +60
爆豪 dice1d10=5 (5) +33
- 196二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 20:45:04
このレスは削除されています
- 197二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 21:06:55
次スレこっちかな?
【クロス注意】幼馴染inNRC Part9|あにまん掲示板ここだけデクとかっちゃんがツイステのNRCにトリップしちゃった世界【以下前提条件】>トリップ地点は入学式の棺桶の中>トリップしたのは最終決戦後の二人>個性はかっちゃんだけ使える(反動…bbs.animanch.com早くヤッホー見たいですね〜でも無理して止まっちゃうよりゆっくり進行のがいいと思うのでご自愛ください
- 198125/01/19(日) 21:18:16
- 199二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 21:23:08
おつ
- 200二次元好きの匿名さん25/01/19(日) 21:23:22
乙