- 1二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:55:12
- 2二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:55:32
七囚人の脱走、それを手引きした者の存在に気付いていながら私はまんまと彼女達に出し抜かれてしまったのです。
それにより引き起こされたキヴォトスの混乱は規模こそ小さかったですが、連邦生徒会長である私がその場から転落するには十分過ぎました。
だから、ああ、私は最初のシャーレ所属の生徒となったんですよね? - 3二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:56:02
その後、私達はアビドスへと向かいました。
神々から見捨てられたかのような大地で必死に学校を守ろうとしていた生徒達、その実態を私はその時初めて知る事となったのです。
あの大きな椅子に腰掛けただ「責任」を取り続けていただけでは知り得ない事で、そしてそれを知るにはあまりにも遅過ぎました。
梔子ユメ、そこから始まった彼女達の物語。
そして大人の思惑によって「そこ」へと導かれる事となった彼女。
私は、その時になってまた何もする事が出来ず無力でした。 - 4二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:56:25
ミレニアムサイエンススクール。
学徒達が集う場所と思われていたその場所で、私はロマンというものを知る事となりました。
生徒達は各々が持つ理想を形にすべく日々目を輝かせていて、そして彼女達ゲーム開発部もまた同じでした。
そして、彼女達が見つけ出した、アリスと名付けられた存在。
極めて危険な存在を、あの子達は迷う事なく手を取り抱きしめた。
そして世界に渦巻く「可能性」に囚われてしまった生徒達は、今もなお長い旅路にいる。
私は、その時になってまた何もする事が出来ず無力でした。 - 5二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:56:49
トリニティ総合学園、ゲヘナ学園、アリウス分校。
……エデン条約。
そもそもが二つの学園の間に燻り続けてきた争いの連鎖を断ち切る為に提案されたそれは、しかし当事者達を更なる混乱に叩き落とす結果となった。
トリニティの裏切り者、そこにある「思い」は浮上する事なく沈み続け。
たった1人で奮闘していた彼女達はどれほど孤独で寂しかったのでしょうか?
……希望はそれでもそこにありましたが、しかしそれがそうあり続けられたのは、ただ彼女にかけがえのない友達が出来たからでしょう。
そして彼女達は青空の下で可能性を提示し、運命を変えてみせた。
そしてそれは最終的に絶望に落ちた「お姫様」と虚無に囚われざるを得なかった者達とを変えて。
私は、その時になってまた何もする事が出来ず無力でした。 - 6二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:57:15
そうですね、私はどうしようもないほどに無力でした。
その時になってようやく私は自らがどれだけ無力で、如何に愚かであったかを知る事となったのです。
私がしてきた選択の数々。
ただその場所に「いて」責任を取ったつもりになっていた私は、その実、結局誰も救う事が出来ませんでした。
結局、この結果にたどり着いて初めて、貴方の方が正しかった事を悟るだなんて。 - 7二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:57:38
だから、私は貴方に「賭ける」事にします。
すみません、自分でも無責任な事をしている事は理解しています。
ここに至るまでにいくつもチャンスがあったのにそれを全て「ふい」にして、その先でやった事といえば責任を誰かに押し付ける事だったのですから。
だからきっとこれは。
今までの全て、この世界を取り巻く不幸、災禍の元凶はきっと。
私のミスでした。 - 8二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:58:05
そして、嗚呼。
私が「私」でなくなるのを感じる。
記憶が解け、知性が蕩け、凡人でいる事すら難しくなる。
私はどうなっちゃうんだろう、最適化された私はあの人をちゃんと導けるだろうか?
今度はちゃんと、その手を取る事が出来るだろうか?
後悔ばかりの私の人生。
それでもあの時、先生と出会って話をして、笑って、泣いて、悩んで、それから、それから。
私は、◯◯を知ったのです。
……だから先生、いってらっしゃい。
すべての◼️◼️が、ある場所へ。 - 9二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:58:39
……………
…………
……
「あれ?」
私は、そこで気がつく。
ここはどこだろう?
意識が鮮明になってくると同時に聞こえてくるのは爆発音。
衝撃、硝煙の匂い? - 10二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:59:02
「う、うわっ。な、なんですかこれはっ!?」
呂律が回らない、というか思考が定まらない?
まるで寝起きのような感じの思考、脳みそがそっくりそのまま蕩けて歪んで変わってしまったかのよう。
身体は震え、とはいえこのままではいけないと思った私は立ち上がり、それから足元に落ちていた銃を拾い上げる。
と、とにかく今は行動しないと。
そう思った時、大きな影が視界を遮った。 - 11二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:59:25
'きみ、大丈夫かい?'
驚いた、同時に心から安堵した。
先生、どうして貴方が?
いえ、それ以前にどうして私は今も存在しているのでしょう?
私の計算ならば、今頃私はこの人をサポートするための……
「ん?」 - 12二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 06:59:45
そこになって気がつく。
先生が大きくなったわけではない。
むしろ逆、私が小さくなっていたのだ。
まるで、幼い子供の体躯みたいなそれ。
「な、なんですかこれーっ!!!!」 - 13二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 07:00:15
ここだけ凡人未満になった連邦生徒会長が先生のサポートをしている世界。
なお、生徒会長は先生の授業を受けた上で消える覚悟を決めていた後だったのでまた先生と頑張れるという事実に歓喜し無敵モードになっているものとする。
あとシッテムの箱には何故かアロナではなくA.R.O.N.Aがいます。
不思議ですね。 - 14二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 07:01:42
パッと思いついた設定のプロローグを書いただけ。
一応アビドス編の構想はあるけど書けるかな。 - 15二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 07:03:21
祈ろうかな…凡人未満がなんややらかして結果的にプレ先世界みたいにならないことを…
- 16二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:52:51
「先生、それでは早速アビドス高等学校に向かいましょう」
しっかりと荷物をまとめて準備万端な様子の先生にそう私は告げる。
おかしな話ではあるが、万が一の時を考えて遭難しても良いように私と先生は前もって準備をしてからアビドスへと向かう事にしたのだ。
あの神々に見捨てられたかのような砂の台地は過酷な場所だ。
全くの準備もせずに向かう事はほとんど自殺行為だろう。
それこそ、土地勘があるであろう現地の人間ですら下手すれば迷ってしまうほどなのだから。
……連邦捜査部シャーレに届いた手紙、アビドス高等学校の奥空アヤネという生徒が送ってきた救援依頼。
現在、アビドス高等学校は未曽有の危機に瀕しているとの事だが、実際は極めて複雑な状況に彼女達は立たされている。
その土地に隠された宝物を狙う者、そしてそれに便乗して生徒を狙う大人。
ただ厄介な事に現状が最も「マシ」である事もまた事実なのだ。
なにせまだ「宝物」は絵空事のお話でしかなく、存在しているかも分からないあやふやなものとなっているからである。
だからこそそれらがまだ物語上の存在として扱われているうちに問題を解決するべきなのだが。 - 17二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:53:20
「とりあえず先生、『彼女達』に連絡は済ませておきました。あくまで『可能性』を提示しただけなので応じてくれるかどうかは不明ですが……」
”まあ、それに関しては私もいきなり言われた本人達が「信じる」とはならないと思うよ”
「す、すみません先生。やっぱり私の事まだ信じ切れてはいないですよね?」
”ううん、信じてほしいって思ってくれた生徒の事を信じてあげるのも先生の仕事だから”
「せ、先生」
本当にこの人は……
”うん、だからいろいろと仕事を手伝ってくれてありがとうプラナ”
プラナ。
それは今の私が名乗っている名前である。
本当は……アロナと名乗るつもりだったが、しかしそれだとシッテムの箱のメインのOSと被ってしまうので、悩んだ末にこうなった。
ものは良いようとも言う。
「それじゃあ、行きましょうか」
”ああ、行こう” - 18二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:53:45
そんなこんなで早速足を運ぶ事となったアビドス自治区。
砂に飲み込まれたこの大地を見た時はその圧巻さと壮絶さに思わず息を吞んだものだが、今はそんな事をしていられない。
地図とコンパスを頼りに目指すのはアビドス高等学校。
幸いその二つがあったから私達はくたくたになりはしたもののしっかりと現地へと辿り着く事に成功した。
「迷わずに済んでよかったですね……」
”はい、プラナ。お水”
「あ、ありがとうございます先生」
こくりこくりと先生から受け取ったボトルの水を少量飲む。
一息ついた私と先生は、私達を待っているであろう彼女達がいる場所。
アビドス廃校対策委員会の彼女達の元へと向かった。 - 19二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:54:20
「ん。ええっと、それで」
砂狼シロコさんが私達を見て何やら思案顔になる。
「貴方達がその、連邦捜査部シャーレから派遣された人?」
”うん、シャーレの顧問先生です。よろしくね”
「大人の先生が自ら来てくださるなんて……!」
まさしく「感激」といった感じの奥空アヤネさん。
「これで弾薬や補給品の援助が受けられます!」
「隣の教室にいる委員長を起こしてくるわ」
「そ、そうだね。お願いセリカちゃん」
教室から出ていく黒見セリカさん。
慌ただしくばたばたとした足取りだった。 - 20二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:54:31
「それにしても、こんなに可愛らしい子も一緒に来てくださるなんて♧」
と、私の事をニコニコ顔で見てくる十六夜ノノミさん。
「アイドルに興味はありませんか? えっと」
「ぷ、プラナです。それとアイドルに興味はありません十六夜ノノミさん」
「がっかりです……」
そこでセリカさんが出た時に開けっ放しになっていた扉の方から二人の生徒が戻ってくる。
黒見セリカさんと、小鳥遊ホシノさんだ。
「うへー、むにゃむにゃ。本当に来てくれるなんてねぇ、おじさん感激かも」
「寝ぼけてる場合じゃないってホシノ先輩!」 - 21二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:55:00
とりあえず私達は各々席に着き、それから私は用意していた資料を一同に渡した。
「アビドス高等学校、廃校対策委員会の皆さん。まずですが、我々シャーレの意向としてはこの学校が抱えている問題の解決に協力しようと考えています」
「「……!!」」
「ですが、まずはこちらの資料を見てくださると分かる通り。現状アビドス自治区はカイザーコーポレーションにより多くを買収されております」
「……え?」
最初に驚きの声を上げたのは意外にも小鳥遊ホシノさんだった。
「待って。そんな情報……いやそれより、えっと、なんでそんな事を」
「ん、意味が分からない。それこそ私達がこの学校を守りたいのには理由があるけど、こう言ってはなんだけどアビドス自治区は砂ばっかりで旨味がない」
「そう、ですね。カイザーコーポレーションも企業である以上、何らかの利益を求めているはずなのですが」
「な、何かお宝でも埋まっているのかしら?」
「セリカちゃん、流石にそれは」
「そこからは私が説明するわ」 - 22二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:55:23
がらがら、と扉を開けて現れたのは小柄な生徒だった。
黒い制服に身を包んだゲヘナ学園の生徒。
――空崎ヒナさんだ。
「……」
「ええっと、貴方は? 今日はなんだかお客様が多いね、おじさんの顔に何かついてる?」
「いえ、なんでも」
顔を横に振った空崎ヒナさんはまず私と先生に向かって言う。
「マコト議長は今日はこれなかったわ。彼女も彼女で、まあ、多忙だから」
「いえ。こちらこそ来てくださりありがとうございます、空崎ヒナさん」
”ありがとうね、ヒナ”
「……いえ、礼には及ばないわ」
さて、と彼女は前置きもなしに話始める。 - 23二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:55:37
「貴方達は、雷帝の遺産というものを知っているかしら」
「雷帝の、遺産?」
「やっぱりお宝?」
「セリカちゃん……」
「ある意味では、そうかもしれないわ」
肯定にも否定にも聞こえる言い方をする空崎ヒナさん。
「一言で表現するのならば、このキヴォトスに混乱をもたらす危険な存在。そしてそれはゲヘナ学園を納めていた雷帝と呼ばれる人物が発明したものであり、今もなお各地に残されているとされているわ」
そしてその一つが、アビドス砂漠にあるという情報があった。 - 24二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:55:50
「そ、そんなものがアビドス砂漠にあるの?」
恐々と先ほどまで「お宝?」と目を輝かせていた黒見セリカさんが言う。
「で、ではそのカイザーコーポレーションは」
「断定は出来ないけれども、それを探すためにアビドス自治区の土地を買収した可能性は高いわね」
「そんな」
「話を戻しましょう」
私はしばし軌道が逸れてしまった話を戻すために口を挟む。
「現状ですが、カイザーコーポレーションはその『宝物』を求めてこの土地に来ている可能性が高く、そして彼らはこのアビドス高等学校もまたその過程で支配に置こうと考えているようです。現在この学校に襲撃をかけている方々の裏にいるのは」
「なるほど、ね」
何かを理解したらしい小鳥遊ホシノさんは頷く。
どこか、視線が鋭いように見えた。
「つまり、今回の騒動の黒幕にとってこの学校は『おまけ』でしかなく? その上本丸は『あるかどうかは不明な謎の危険物』だって事?」
「……」
「なるほどね~、そっかそっか。うん、それならいろいろ合点がいったかも」 - 25二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 10:56:42
ふー、とため息を吐いた彼女は少し疲れた顔をしていた。
「ごめん、シャーレの先生とプラナちゃん。あと、そちらの」
「ああ、自己紹介が遅れたわね。ゲヘナ学園の空崎ヒナよ」
「ヒナちゃん。おじさん達、いきなりたくさんの情報で頭がくらくらだからちょっと考える時間をくれないかな?」
「ええ、だけどあまり時間がない事も覚えてて。雷帝の遺産は極めて危険な代物よ、そしてそれをわざわざ探そうとしている者達がもし仮にそれを見つけてしまった場合、どのような事が起きるか分かったものではない」
「うん、忠告痛み入るよ」
立ち上がり、みなの視線が向けられている事も気にせず部屋から出ていく小鳥遊ホシノさん。
私達はその小さな背中をただ黙って見守る事しか出来なかった。 - 26二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 13:49:12
連邦生徒会長が黒幕化したりデータ化したりせずに残留してるの珍しい
というより初めて見たかもしれない - 27二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:08:48
不愉快だった。
ホシノはむかむかする胃袋から胃酸が上がってくるのを我慢しながら顔を顰めた。
シャーレの先生、そしてプラナと呼ばれた生徒。
ゲヘナ学園の空崎ヒナ。
今日はいろいろな生徒がここにやってくる。
「どれもこれも『宝物』がある、から?」
今までこの学校の事を誰も見向きもしなかったのに。
誰も声を聞いてくれなかったのに。
たった「それ」だけで手のひらを返してやってきた彼ら彼女らの事を、ホシノはあまりにも不愉快に感じていた。
「でも、学校を守るためには」
手伝ってもらうのが一番なのは分かる、ただ気持ちは納得してくれない。 - 28二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:09:22
「はぁ」
何度目かとなるため息を吐く。
まさか、こんな事になっているなんて。
……そしてそれを今の今まで気づけていなかった自分に対しても辟易としていた。
「私は」
なんで、いつもこんなにも愚かなのだろう?
自分がそれらについてもっと早い段階で気づいていたら自体はもっとわかりやすくなっていただろう。
もしかしたら借金を返し切るための手段になってたかもしれない。
だけどそれらは全て後の祭り。
気づけば崩しきれないほどの問題の山が出来上がっていた。 - 29二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:10:00
「ん……?」
と、そこで。
小さな少女がひょこひょこ動いているのが見えた。
プラナという少女だ。
なにか、しようとしているのだろうか?
どこかへと向かおうとしている彼女の事をホシノは鋭い視線で睨み、気配を消して尾行する。
そして、彼女が向かった先にあったのはホシノにとって想定外のものだった。 - 30二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:10:24
(ここは)
生徒会室前。
その前に立つプラナは入り口の前で何かを考え込んでいる。
入るか否かを考えているのだろうか?
しばしそうしていたのち、彼女は部屋の中に語りかけるように話し始めた。
「はじめまして、ユメさん」
(……え?) - 31二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:11:12
どきん、と心臓が跳ねる。
しかしプラナは叫びそうになったホシノについては変わらず気づかないようで言葉を続けた。
「貴方がこの学校で何を感じ何を思ったのか、私は結局知る事が出来ませんでした……死人に口なしとは言いますが、だから私は貴方の意思を知る事が出来ない」
(……)
「貴方は最期の時に何を思い、何を感じたのでしょうね」
分からない。
ホシノは、呼吸が乱れるのを感じた。
「アビドス高等学校には今、5人の生徒がいて学校を守るために奮闘しています。私は──彼女達の手伝いをする事しか出来ません。凡人以下の私では、ただ彼女達に寄り添う事しか出来ないけど」
ふう、と息を吐いたプラナは「それから」と続ける。
「ユメさん、ごめんなさい」 - 32二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:11:36
がた。
「……! だ、誰ですか!?」
音を立ててしまったホシノは、そのまま逃げ出す事も出来たが悩んだ末に結局素直に姿を現す事にした。
「ほ、ホシノさん!?」
「うへ〜、ごめんね」
「も、もしかして聞いてました?」
「うん、なにを?」
「……」
惚けてみたが、それでは流石に自白しているようなものだった。
プラナは「うー」と唸り、対しホシノは「君は」と問いかける。 - 33二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:12:02
「どうしてここに来たのかな?」
「……ユメさんの事を少しでも知ろうと思って。私は結局、彼女の事をまったく知る事が出来ませんでしたから」
プラナはホシノから視線を外し部屋の方を見る。
「お二人はこの部屋で日常を送っていたんですよね?」
「それは、うん。そうだね」
「……私は、ユメさんがどのように笑うのかを知りません」
「なんていうか、太陽みたいに笑う人だったよ」
「それは、きっと素敵な笑顔だったのでしょうね」
「うん、私もそう思う」 - 34二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:12:32
ホシノもどうしてらここまで素直に気持ちを吐露出来るのかわからなかった。
ただ、目の前の少女は梔子ユメという生徒の事をまるで知らない。
自分と同じように。
それが分かったからなのかも知れない。
「ホシノさん」
「ん、なぁに?」
「私がこのような事を言う資格はないのかも知れませんけど、もっと寝た方が良いと思います」
「え? おじさんちゃんと寝てるけど」
「ホシノさんは後輩の方々から愛されてますから。その先輩が不健康な生活を送っていると知ればプンプンに怒るかと」
「うへ、それは困るなぁ」 - 35二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 17:13:09
「ねえ、プラナちゃん。君はどうやら知らないはずの事を知っているみたいだけど」
「はい……いえ、私は知るべき事をまるで知りません」
「そっか」
「ええ」
それから二人はしばらく生徒会室の方を見る。
まるで黙祷するかのように、ただ黙ってそうしていた。
「帰りましょうか」
「うん、そうだね」
「ホシノさん、貴方とこうして話せて良かったです」
「こちらこそ──ああ、そうだ」
「はい?」
「これからもよろしくね、プラナちゃん」 - 36二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 18:42:21
良い空気感
- 37二次元好きの匿名さん24/12/27(金) 23:12:27
保守